座位から立位への移行検出

申请号 JP2014517999 申请日 2012-06-19 公开(公告)号 JP6067693B2 公开(公告)日 2017-01-25
申请人 コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ; KONINKLIJKE PHILIPS N.V.; 发明人 チャン ウェイ; バルドゥス ハリベート; シュラボーム ステファン;
摘要
权利要求

ユーザの動作の測定結果における座位から立位への移行を特定する方法であって、 動作中に前記ユーザが経験する垂直加速度の測定結果を取得するステップと、 動作中の前記ユーザの一部の高さの変化を示す測定結果を取得するステップと、 前記ユーザによる座位から立位への移行に対応する候補動作を特定するように、 前記垂直加速度の前記測定結果を、座位から立位への移行用の所定加速度プロファイルにマッチさせるステップ、及び 座位から立位への移行に対応する候補動作を、ピークと、特定された前記ピークの前の所定期間内の第1の極小値と、特定された前記ピークの後の所定期間内の第2の極小値とがある場合に、マッチさせる前記サブステップの結果で特定するステップによって、前記垂直加速度の前記測定結果を処理するステップと、 特定された前記候補動作が高さの増加と一致する場合に、特定された前記候補動作を座位から立位への移行として決定するステップと、 を含む方法。前記ユーザによる座位から立位への移行に対応する前記候補動作は、前記ピークが所定範囲内の大きさを有する場合に、マッチさせる前記ステップの前記結果で特定される、請求項1に記載の方法。座位から立位への移行に対応する候補動作は、 (i)前記ピークの大きさと、前記第1の極小値の大きさとの差が、第1の閾値未満であり、 (ii)前記ピークの大きさと、前記第2の極小値の大きさとの差が、第2の閾値未満であり、 (iii)前記ピークの後の前記第2の極小値の大きさが、前記第1の極小値の大きさ未満である場合に、更に特定される、請求項2に記載の方法。特定された前記候補動作を座位から立位への移行と決定する前記ステップは、 高さの変化を示す前記測定結果において、前記第1の極小値の前であり、第1の閾値を超える、マッチさせる前記ステップの前記結果における第1のサンプルs1に対応する第1のサンプルを特定するステップと、 高さの変化を示す前記測定結果において、前記第2の極小値の後であり、第2の閾値を超える、マッチさせる前記ステップの前記結果における第2のサンプルs2に対応する第2のサンプルを特定するステップと、 特定された前記第1及び第2のサンプルから前記ユーザの前記一部の高さの変化を決定するステップと、 を含む、請求項1乃至3の何れか一項に記載の方法。前記第1及び第2のサンプルから高さの変化を決定する前記ステップは、 前記第1のサンプルで終了する評価窓に亘る前記ユーザの前記一部の高さの平均値を決定するステップと、 前記第2のサンプルで開始する評価窓に亘る前記ユーザの前記一部の高さの平均値を決定するステップと、 候補の座位から立位への移行中の高さの変化を与えるように2つの前記平均値を減算するステップと、 を含む、請求項4に記載の方法。前記垂直加速度の変化を推定するステップと、 推定された前記変化を使用して前記垂直加速度の前記測定結果において特定された前記座位から立位への移行の開始及び/又は終止のタイミングを決定するステップと、 を更に含む、請求項1乃至5の何れか一項に記載の方法。特定された前記座位から立位への移行の前記開始のタイミングを決定する前記ステップは、 マッチさせる前記ステップの前記結果において前記第1の極小値の前に生じ、第3の閾値未満であるサンプルを、推定された前記変化において特定するステップを含み、前記サンプルは、特定された前記座位から立位への移行の前記開始を示す、請求項6に記載の方法。特定された前記座位から立位への移行の前記終止のタイミングを決定する前記ステップは、 マッチさせる前記ステップの前記結果において、前記第1の極小値の前であり、第1の閾値を超えるサンプルs1を特定するステップと、 マッチさせる前記ステップの前記結果において、前記第2の極小値の後であり、第2の閾値を超えるサンプルs2を特定するステップと、 前記サンプルs1と前記サンプルs2との間の前記垂直加速度の前記測定結果において、最低値を特定するステップと、 前記垂直加速度の前記測定結果における前記最低値の後で、第5の閾値を超える前記第1のサンプルを特定するステップであって、前記第1のサンプルは、特定された前記座位から立位への移行の終止を示す、ステップと、 を含む、請求項6又は7に記載の方法。動作中に前記ユーザが経験する前記垂直加速度の測定結果を取得する前記ステップは、 動作中に前記ユーザが経験する加速度の3次元測定結果を取得するステップと、 前記ユーザが経験する前記垂直加速度を推定するように前記3次元測定結果を処理するステップと、 を含む、請求項1乃至8の何れか一項に記載の方法。ユーザによる座位から立位への移行中に使われたを決定する方法であって、 請求項1乃至9の何れか一項に記載される方法に従ってユーザの動作の測定結果における座位から立位への移行を特定するステップと、 前記座位から立位への移行中に使われた前記力の推定値を決定するように前記垂直加速度の前記測定結果を処理するステップと、 を含む方法。ユーザの転倒のリスクを決定する装置の作動方法であって、 請求項10に記載されるようにユーザによる座位から立位への移行中に使われた力を決定するステップと、 前記決定された力及びユーザの転倒リスク閾値に従って、前記ユーザの転倒のリスクを決定するステップと、 を含む、方法。コンピュータ又はプロセッサ上で実行された場合に、前記コンピュータ又はプロセッサに、 動作中に前記ユーザが経験する垂直加速度の測定結果を取得させ、 動作中の前記ユーザの一部の高さの変化を示す測定結果を取得させ、 前記ユーザによる座位から立位への移行に対応する候補動作を特定するように、 前記垂直加速度の前記測定結果を、座位から立位への移行用の所定加速度プロファイルにマッチさせることと、 座位から立位への移行に対応する候補動作を、ピークと、特定された前記ピークの前の所定期間内の第1の極小値と、特定された前記ピークの後の所定期間内の第2の極小値とがある場合に、前記マッチさせることの結果で特定することとによって、前記垂直加速度の前記測定結果を処理させ、 特定された前記候補動作が高さの増加と一致する場合に、特定された前記候補動作を座位から立位への移行として決定させることによって、ユーザの動作の測定結果における座位から立位への移行を特定させるコンピュータプログラムコードを含むコンピュータプログラム。ユーザの動作の測定結果における座位から立位への移行を特定する装置であって、 前記ユーザによる座位から立位への移行に対応する候補動作を特定し、特定された前記候補動作が高さの測定された増加と一致する場合に、特定された前記候補動作を座位から立位への移行と決定するように、動作中にユーザが経験する垂直加速度の測定結果を処理し、前記垂直加速度の前記測定結果を、座位から立位への移行用の所定加速度プロファイルにマッチさせることによって、及び座位から立位への移行に対応する候補動作を、ピークと、特定された前記ピークの前の所定期間内の第1の極小値と、特定された前記ピークの後の所定期間内の第2の極小値とがある場合に、前記マッチさせることの結果で特定することによって、前記ユーザによる座位から立位への移行に対応する候補動作を特定するプロセッサを含む、装置。前記プロセッサは、前記ユーザによる座位から立位への移行に対応する前記候補動作を、前記ピークが所定範囲内の大きさを有する場合に、前記マッチさせることの前記結果で特定する、請求項13に記載の装置。前記プロセッサは、更に、座位から立位への移行に対応する候補動作を、(i)前記ピークの大きさと、前記第1の極小値の大きさとの差が、第1の閾値未満であり、(ii)前記ピークの大きさと、前記第2の極小値の大きさとの差が、第2の閾値未満であり、(iii)前記ピークの後の前記第2の極小値の大きさが、前記第1の極小値の大きさ未満である場合に、特定する、請求項14に記載の装置。

说明书全文

本発明は、ユーザによる座位から立位への移行(sit-to-stand transfer)動作を特定する方法及び装置に関する。

高齢者にとって転倒は、最大の健康上のリスク要因のうちの1つである。65歳以上の高齢者の約3分の1の人が少なくとも年に1回は転倒する。

これらの転倒の多くは、転倒のリスクの早期の特定と、効果的かつ的が絞られた転倒防止プログラムの適用とによって回避される。

及びバランストレーニング(SBT)に基づいた転倒防止トライアルによって、高齢者の転倒のリスクを縮小できることが示されている。バランス能力尺度が、転倒リスクの早期指示子として使用され、また、転倒防止プログラムの進展を測定するためにも使用される。「座位から立位へ(sit-to-stand)」(STS)の移行は、バランス能力尺度として使用される1つの重要な動作として特定されてきている。ドメイン専門家は、転倒防止のために着座から立位への移行中に生じた力のグラフを、心臓血管疾患におけるECGグラフと比較する。日常生活では、人は、STSの移行を1日のうち何回も行う。

従来では、(歩行板や光マーカーシステムを含むシステムといった)臨床的測定システムのみによって、座位から立位への移行中の力が正確に定量化できた。これらの測定システムでは、歩行板が垂直地面反力を提供し、光マーカーシステムが移動の尺度を3次元で提供する。両方の測定結果を組み合わせたものが、座位から立位への移行中の力を定量化するために使用される。

これらの測定システムは、幾つかの欠点を有する。まず、これらの測定システムは、臨床機器であるため、ユーザがクリニックに行く必要がある。測定の準備をし、行うことは、労働集約的である(特に光マーカーを体の特定部分に取り付ける必要がある場合)。さらに、これらの測定システムは、ユーザのバランス能力のスナップショットしか提供せず、ユーザは、臨床設定によって、通常、ユーザの平均能力以上に行ってしまう。最後に、これらの測定システムには、ユーザにとってかなり面倒な手続きが含まれる。

「力測定及び装置(Power Measurement and Apparatus)」なる名称の国際特許公開公報WO2010/035187は、座位から立位への移行といった動作の垂直成分を行う際にユーザが使用するピークの力を推定する装置について説明する。当該装置は、ユーザに取り付けられ、ユーザが経験する加速度を測定する加速度計を含み、当該装置は更に、ユーザに取り付けられた加速度計からの加速度の測定結果を受け取り、受け取った測定結果から垂直加速度を推定し、垂直加速度から使用した力を推定するプロセッサを含む。

現行の活動モニタリング技術は、数十秒又は数十分の長さのセンサデータのシーケンスを分類することによって、体の姿勢又は動作を特定する。しかし、通常、2、3秒で完了する座位から立位への移行を正確に検出することは困難である。

したがって、動作を行う際にユーザが使用する力が計算できるように、ユーザの当該動作の測定結果から上記移行を特定できる方法及び装置が必要である。更に、力解析によって有用な結果が提供されるように、特定の精度内で移行の開始と終止とを検出できる方法及び装置も必要である。

本発明の第1の態様によれば、ユーザの動作の測定結果における座位から立位への移行を特定する方法が提供される。当該方法は、動作中にユーザが経験する垂直加速度の測定結果を取得するステップと、動作中のユーザの一部の高さの変化を示す測定結果を取得するステップと、ユーザによる座位から立位への移行に対応する候補動作を特定するように垂直加速度の測定結果を処理するステップと、特定された候補動作が高さの増加と一致する(同時に起きる)場合に、特定された候補動作を座位から立位への移行と決定するステップとを含む。

1つの好適な実施形態では、ユーザによる座位から立位への移行に対応する候補動作を特定するように垂直加速度の測定結果を処理するステップは、垂直加速度の測定結果を、座位から立位への移行用の所定加速度プロファイルにマッチさせるステップを含む。

好適には、ユーザによる座位から立位への移行に対応する候補動作は、ピークと、特定されたピークの前の所定期間内の第1の極小値と、特定されたピークの後の所定期間内の第2の極小値とがある場合に、マッチさせるステップの結果において特定される。

更に、ユーザによる座位から立位への移行に対応する候補動作は、ピークが所定範囲内の大きさを有する場合に、マッチさせるステップの結果において特定される。

更に別の好適な実施形態では、座位から立位への移行に対応する候補動作は、(i)ピークの大きさと、第1の極小値の大きさとの差が、第1の閾値未満であり、(ii)ピークの大きさと、第2の極小値の大きさとの差が、第2の閾値未満であり、(iii)ピークの後の第2の極小値の大きさが、第1の極小値の大きさ未満である場合に、更に特定される。

一実施形態では、特定された候補動作を座位から立位への移行と決定するステップは、高さの変化を示す測定結果において、第1の極小値の前であり、第1の閾値を超える、マッチさせるステップの結果における第1のサンプルs1に対応する第1のサンプルを特定するステップと、高さの変化を示す測定結果において、第2の極小値の後であり、第2の閾値を超える、マッチさせるステップの結果における第2のサンプルs2に対応する第2のサンプルを特定するステップと、特定された第1及び第2のサンプルからユーザの一部の高さの変化を決定するステップとを含む。

当該実施形態では、第1及び第2のサンプルから高さの変化を決定するステップは、第1のサンプルで終了する評価窓に亘るユーザの一部の高さの平均値を決定するステップと、第2のサンプルで開始する評価窓に亘るユーザの一部の高さの平均値を決定するステップと、候補の座位から立位への移行中の高さの変化を与えるように2つの平均値を減算するステップとを含む。

幾つかの実施形態では、垂直加速度の変化を推定するステップと、推定された変化を使用して垂直加速度の測定結果において特定された座位から立位への移行の開始及び/又は終止のタイミングを決定するステップとによって、座位から立位への移行の開始及び終止のより正確な推定値が見出される。

好適には、特定された座位から立位への移行の開始のタイミングを決定するステップは、マッチさせるステップの結果において第1の極小値の前に生じ、第3の閾値未満であるサンプルを、推定された変化において特定するステップを含み、サンプルは、特定された座位から立位への移行の開始を示す。

好適には、特定された座位から立位への移行の終止のタイミングを決定するステップは、マッチさせるステップの結果において、第1の極小値の前であり、第1の閾値を超えるサンプルs1を特定するステップと、マッチさせるステップの結果において、第2の極小値の後であり、第2の閾値を超えるサンプルs2を特定するステップと、s1とs2との間の垂直加速度の測定結果において、最低値を特定するステップと、垂直加速度の測定結果における最低値の後で、第5の閾値を超える第1のサンプルを特定するステップとを含み、第1のサンプルは、特定された座位から立位への移行の終止を示す。

1つの好適な実施形態では、動作中にユーザが経験する垂直加速度の測定結果を取得するステップは、動作時にユーザが経験する加速度の3次元測定結果を取得するステップと、ユーザが経験する垂直加速度を推定するように3次元測定結果を処理するステップとを含む。

本発明の第2の態様によれば、ユーザによる座位から立位への移行中に使われた力を決定する方法が提供される。当該方法は、上記方法に従ってユーザの動作の測定結果における座位から立位への移行を特定するステップと、座位から立位への移行中に使われた力の推定値を決定するように垂直加速度の測定結果を処理するステップとを含む。

本発明の第3の態様によれば、ユーザの転倒のリスクを決定する方法が提供される。当該方法は、上述されたようにユーザによる座位から立位への移行中に使われた力を決定するステップと、決定された力からユーザの転倒のリスクを決定するステップとを含む。

本発明の第4の態様によれば、コンピュータ又はプロセッサ上で実行された場合に、コンピュータ又はプロセッサに、上述されたようにユーザの動作の測定結果における座位から立位への移行を特定させるコンピュータプログラムコードを含むコンピュータプログラムプロダクトが提供される。コンピュータ又はプロセッサに、上述したようにユーザによる座位から立位への移行中に使われた力を決定する方法及びユーザの転倒のリスクを決定する方法を実行させる更なるコンピュータプログラムプロダクトが提供される。

本発明の第5の態様によれば、ユーザの動作の測定結果における座位から立位への移行を特定する装置が提供される。当該装置は、ユーザによる座位から立位への移行に対応する候補動作を特定し、特定された候補動作が高さの測定された増加と一致する場合に、特定された候補動作を座位から立位への移行と決定するように、動作中にユーザが経験する垂直加速度の測定結果を処理するプロセッサを含む。

1つの好適な実施形態では、プロセッサは、垂直加速度の測定結果を、座位から立位への移行用の所定加速度プロファイルにマッチさせることによって、ユーザによる座位から立位への移行に対応する候補動作を特定する。

好適には、プロセッサは、ピークと、特定されたピークの前の所定期間内の第1の極小値と、特定されたピークの後の所定期間内の第2の極小値とがある場合に、ユーザによる座位から立位への移行に対応する候補動作を、マッチさせるステップの結果において特定する。

好適には、プロセッサは、ピークが所定範囲内の大きさを有する場合に、ユーザによる座位から立位への移行に対応する候補動作を、マッチさせるステップの結果において特定する。

更に好適な実施形態では、プロセッサは更に、(i)ピークの大きさと、第1の極小値の大きさとの差が、第1の閾値未満であり、(ii)ピークの大きさと、第2の極小値の大きさとの差が、第2の閾値未満であり、(iii)ピークの後の第2の極小値の大きさが、第1の極小値の大きさ未満である場合に、座位から立位への移行に対応する候補動作を特定する。

一実施形態では、プロセッサは、高さの変化を示す測定結果において、第1の極小値の前であり、第1の閾値を超える、マッチさせるステップの結果における第1のサンプルs1に対応する第1のサンプルを特定し、高さの変化を示す測定結果において、第2の極小値の後であり、第2の閾値を超える、マッチさせるステップの結果における第2のサンプルs2に対応する第2のサンプルを特定し、特定された第1及び第2のサンプルからユーザの一部の高さの変化を決定することによって、特定された候補動作を座位から立位への移行と決定する。

当該実施形態では、プロセッサは、第1のサンプルで終了する評価窓に亘るユーザの一部の高さの平均値を決定し、第2のサンプルで開始する評価窓に亘るユーザの一部の高さの平均値を決定し、候補の座位から立位への移行中の高さの変化を与えるように2つの平均値を減算することによって、第1及び第2のサンプルから高さの変化を決定する。

幾つかの実施形態では、プロセッサが、垂直加速度の変化を推定し、推定された変化を使用して垂直加速度の測定結果において特定された座位から立位への移行の開始及び/又は終止のタイミングを決定する場合に、座位から立位への移行の開始及び終止のより正確な推定値が見出される。

好適には、プロセッサは、マッチさせるステップの結果において第1の極小値の前に生じ、第3の閾値未満であるサンプルを、推定された変化において特定することによって、特定された座位から立位への移行の開始のタイミングを決定する。当該サンプルは、特定された座位から立位への移行の開始を示す。

好適には、プロセッサは、マッチさせるステップの結果において、第1の極小値の前であり、第1の閾値を超えるサンプルs1を特定し、マッチさせるステップの結果において、第2の極小値の後であり、第2の閾値を超えるサンプルs2を特定し、s1とs2との間の垂直加速度の測定結果において、最低値を特定し、垂直加速度の測定結果における最低値の後で、第5の閾値を超える第1のサンプルを特定することによって、特定された座位から立位への移行の終止のタイミングを決定する。当該サンプルは、特定された座位から立位への移行の終止を示す。

1つの好適な実施形態では、プロセッサは、動作時にユーザが経験する加速度の3次元測定結果を取得し、ユーザが経験する垂直加速度を推定するように3次元測定結果を処理する。

更なる実施形態によれば、ユーザによる座位から立位への移行中に使われた力を決定する装置が提供される。当該装置内のプロセッサは更に、ユーザの動作の測定結果における座位から立位への移行を特定し、座位から立位への移行中に使われた力の推定値を決定するように垂直加速度の測定結果を処理する。

更に別の実施形態によれば、ユーザの転倒のリスクを決定する装置が提供される。当該装置内のプロセッサは、ユーザによる座位から立位への移行中に使われた力を決定し、決定された力からユーザの転倒のリスクを決定する。

本発明の実施形態が単なる例として以下の図面を参照しながら説明される。

図1は、ユーザに取り付けられた本発明の一実施形態によるセンサユニットを示す。

図2は、本発明の一実施形態によるセンサユニットのブロック図である。

図3は、ユーザの動作の測定において座位から立位への移行を特定する方法を説明するフローチャートである。

図4は、座位から立位への移行中の垂直加速度における変化の一例を示すグラフである。

図5は、座位から立位への移行を検出するためのアルゴリズムを説明するブロック図である。

図6は、アルゴリズムへの入力信号と、処理ステップの一部において得られた信号とを示す。

図7は、座位から立位への移行を検出する際の使用のために最適化された例示的な整合フィルタを示す。

図1に示されるように、本発明は、ユーザ4が装着するセンサユニット2を提供する。図示される実施形態では、センサユニット2は、ユーザの首回りの配置のために首紐6を有するペンダントの形式で提供される。或いは、センサユニット2は、胴体、骨盤又は胸骨といったユーザの体の異なる部分に装着されるように構成され、体の当該部分にセンサユニット2を取り付けるために適切な配置(例えばセンサユニット2が骨盤又は胸骨に取り付けられる場合にはベルト又はストラップ)を含む。

センサユニット2は、ユーザ4の動作を測定し、かつ、ユーザ4が座位から立位への移行を行ったときを決定するために測定結果を処理するように使用される。好適な実施形態では、センサユニット2は更に、ユーザ4の体の動作の測定結果から、座位から立位への移行中に使用された力又は体力を決定するように使用される。或いは、この処理は、ユーザ4に装着されるセンサユニット2とは別箇のベースユニット(図1では図示せず)内で行われてもよい。

図2は、本発明によるセンサユニット2の1つの好適な実施形態を示す。センサユニット2は、3つの直交軸に沿って加速度を測定する加速度計8と、センサユニット2の地上からの高度、即ち、高さを測定する(又は、より具体的には、センサユニット2の地上からの高度、即ち、高さの変化を測定するか、又は、これらの変化を測定できるようにする)センサ9とを含む。センサユニット2の高度、即ち、高さを測定するセンサ9は、例えば高度計又は空気圧センサを含むが、当業者であれば、使用可能な他のタイプのセンサを知っているであろう。加速度計8及びセンサ9によって出力された信号は、解析のためにプロセッサ10に提供される。

センサユニット2は更に、メモリ12と、送信器又は送受信器回路14とを含む。メモリ2は、加速度計8及びセンサ9からの測定結果を記憶するために使用され、また、プロセッサ10による解析の結果を記憶するために使用される。送信器又は送受信器回路14は、解析結果を、遠隔の(ベース)ユニット又はコンピュータに送信するために使用され、遠隔の(ベース)ユニット又はコンピュータでは、当該解析結果が、ユーザ又はヘルスケア提供者によって確認又は検討される。

幾つかの実施形態では、加速度計8は、ミクロ電気機械的システム(MEMS)加速度計である。加速度計8が経験する加速度は、50Hzのレートでサンプリングされるが、当然ながら、多くの他のサンプリング周波数を使用してもよい。センサ9が空気圧センサ又は高度計である場合、センサユニット2の地上からの高さの測定結果は、約1.8Hzの周波数でサンプリングされるが、ここでも当然ながら、他のサンプリング周波数を使用してもよい。

高さを測定するためにセンサ9に使用されるセンサの特定のタイプに依存して、センサ9は、地上から(又は空気圧センサの場合は海面からの)の高さを示す信号を出力する。その場合、時系列の高さ測定結果がプロセッサ10によって解析され、1つの測定結果サンプルから次の測定結果サンプルまでの(又は所定数の測定結果サンプルに亘る)高さの変化を決定する。或いは、センサ9は、先行する又は先に指定された測定結果サンプルからセンサユニット2の高さの変化の指示を直接出力することもできる。

本発明の一実施形態では、加速度計8及びセンサ9によって収集された測定結果は、センサユニット2内のプロセッサ10によって解析され、座位から立位への移行の発生と、任意選択的に、当該移行を行う際にユーザが出す力又は力ピークとが決定される。或いは、加速度計8及びセンサ9からの測定結果は、送信器/送受信器回路14を介してベースユニットに送信され、ベースユニットは、当該測定結果を解析して、座位から立位への移行の発生が決定される。どちらの場合でも、処理は、(ほぼ)リアルタイムで行われるか、又は、加速度計8及びセンサ9からの測定結果は、将来(即ち、オフライン)の処理のために、メモリ12又はベースユニットに記憶されてもよい。

図3は、ユーザの動作の測定結果における座位から立位への移行を特定するのに必要なステップを説明するフローチャートを示す。最初に、ステップ101において、センサユニット2(したがって、ユーザがセンサユニット2を装着しているためユーザ4)が経験する加速度の測定結果が得られる。次に、ステップ103において、センサユニット2(したがって、センサユニット2が取り付けられているユーザ4の一部)の地上からの高さの変化の測定結果が得られる。加速度及び高さ(又は高さの変化)の測定結果は、実質的に同じ期間に亘って得られる。

次に、ステップ105において、加速度の測定結果が処理されて、ユーザ4による座位から立位への移行に相当する測定結果における動作が特定される。このステップにおいて座位から立位への移行に恐らく相当すると特定された加速度計の測定結果(即ち、測定結果サンプルのシーケンス)の一部は、「候補動作」と呼ばれる。

本発明の1つの好適な実施形態では、候補動作は、加速度の測定結果を、座位から立位への移行中に生じると予想される加速度プロファイルにマッチさせることによって特定される。

図4のグラフは、典型的な座位から立位への動作中に垂直方向において測定された加速度を示す。ユーザ4は、休息状態(即ち、垂直方向における測定加速度は約0である)から開始し、また、ユーザは、時間tsにおいて動き始める。この時間において測定された加速度は、Accvert_sで表される。通常、ユーザが動き始めた直後で、椅子から立ち上がる前に、加速度プロファイルにおいて小さい最小値がある。次に、時間tho(「ho」は臀部が離れる(hip off)を表す)において、ユーザの臀部が支持手段(即ち、椅子)から離れ、この時間における加速度は、Accvert_hoで表される。次に、垂直方向おける加速度は、時間tprにおけるAccvert_prで表されるピーク(ピーク反応)まで増加する。ピーク反応の後には、時間tlrにおいて生じるAccvert_lrで表される負の加速度である最低反応が続く。動作の終止は、時間teにおいて生じ、Accvert_eで表される加速度を有する。

したがって、図3のフローチャートのステップ105では、候補動作は、そのプロファイルが図4に示されるプロファイルにマッチする又は実質的にマッチするサンプルのシーケンスを特定するように加速度計の測定結果を解析することによって特定される。

ステップ107では、各候補動作中に生じる高さの変化が、ステップ103において得られた測定結果から決定され、座位から立位への移行は、任意の特定された候補動作が、所定範囲内である高さの変化に一致する場合に、生じたと決定される。所定の範囲は、例えばユーザの大腿部の長さにほぼ一致する典型的な座位から立位への移行中に生じると予想される高さ変化を包含する。この場合、範囲の下限は、例えば約0.1又は0.2メートルであり、当該範囲の上限は、例えば0.6、0.75、0.8又は1メートルの値に設定される。当然ながら、閾値は、ユーザの身長又は大腿部の長さに合わせて個人仕様にすることができ、また、センサ9によって提供される高さ、即ち、高度測定結果の分解能を考慮して設定されてもよい。

更に当然ながら、座位から立位への移行は、或いは、高さの変化を閾値と比較することによっても決定されてよい。座位から立位への移行は、高さの変化が閾値を超えると特定される。この場合、閾値は、上記所定範囲の下限に相当する。しかし、本実施形態は、上記範囲の実施形態よりも誤判定の特定をする割合が高い。これは、階段を昇るといった活動も、座位から立位への移行と特定されてしまう場合があるからである(その一方で、範囲の実施形態では、この動作は、0.6〜1メートルの上限によって可能な座位から立位への移行としては無視される)。

図5に、本発明に従って座位から立位への移行を検出し、移行のタイミングを決定するためのより詳細なアルゴリズムが示される。当該アルゴリズムは、加速度計8によって測定された3次元加速度信号(加速度計8の3軸のそれぞれについて別箇の信号を含む)と、空気圧センサ9からの空気圧測定結果とを、入力として取る。

ブロック19、20、21、22及び23によって表されるアルゴリズムの初期部分は前処理段階であり、この前処理段階では、加速度計及び空気圧センサの信号が、アルゴリズムの後続の解析段階において使用されるために処理される。まず、加速度計8からの3D加速度信号は、低域通過フィルタを通され(ブロック19)、後続の処理の精度に影響を及ぼす可能性のあるノイズが除去される。1つの実施形態では、2Hzのカットオフ周波数を有するバターワース(Butterworth)低域通過フィルタが、加速度計8の3軸のそれぞれからの信号に適用される。或いは、チェビシェフ(Chebyshev)低域通過フィルタ又は当業者に知られている他のタイプのフィルタといった様々なフィルタ特性を適用することが可能である。当然ながら2Hzのカットオフ周波数も、加速度計8からのノイズの特定の特性に依存して変えてもよい。

ユーザ4がその中で動く固定基準座標系(例えば地球)に対するセンサユニット2の方位は、(特にセンサユニット2がペンダント形式の場合)変化するので、動作中にセンサユニット2(したがってユーザ4)が経験する加速度の垂直成分を決定するために加速度計8からの測定結果を処理する必要がある。

したがって、低域通過フィルタを通された3D加速度信号は、垂直加速度を推定するブロック20に入力される。垂直加速度は、vert_accで表される。

任意の方位を有する3D加速度計信号から加速度の垂直成分を推定するための1つの技術が、国際特許公開公報WO2010/035191に説明されている。この国際特許公開公報の内容は、参照することにより本明細書に組み込まれる。簡潔に述べると、当該技術によれば、加速度の垂直成分は、(i)加速度の最高成分を有する加速度計の軸を特定するように加速度計からの信号を試験し、(ii)加速度計に作用する加速度(この加速度は通常重力によるものであると考えられる)と加速度の最高成分を有する軸との間の度を決定することによって加速度計の方位を決定し、(iii)加速度計の推定された方位を使用して加速度の測定結果から垂直方向における加速度を決定することによって、加速度計に作用する加速度の測定結果から推定される。この時、加速度計は、固定基準座標系に対し任意の方位を有する。

当業者であれば、3D加速度計からの測定結果から、加速度の垂直成分を推定するための他の技術も知っているであろう。例えばセンサユニット2は、センサユニット2の方位を示す信号を提供するジャイロスコープを含んでもよく、この信号を使用して、加速度の垂直成分が導出される。

図6(a)は、座位から立位への移行を行い、3メートル歩いた後に、再び着座し、これを3回繰り返したユーザのセンサユニット2による測定結果から得られた垂直加速度を表す例示的な信号を示す。図6(a)から、信号において3つの別箇の活動領域が示されていることが見て取れる。

前処理の別の段階は、加速度の変化の推定値の計算に関する。まず、DC成分を除去するために、低域通過フィルタを通された3D加速度信号のそれぞれに高域通過フィルタ21が適用される。一実施形態では、0.5Hzのカットオフ周波数を有するバターワース高域通過フィルタが使用されて加速度信号内のDC成分を除去する。当然ながら、例えばチェビシェフ高域通過フィルタ又は当業者に知られている他のタイプのフィルタといった別のフィルタが使用されてもよい。更に当然ながら、0.5Hzとは異なるカットオフ周波数が選択されてもよい。

高域通過フィルタを通過後、加速度の変化が、ブロック22において推定される。1つの好適な実施形態では、3D加速度信号の3成分のそれぞれの標準偏差が、所定の長さの窓(例えば1秒であるが、当然ながら別の適切なサイズにされた窓が使用されてもよい)に亘って時間tについて計算され、これらの3軸のうちの最大標準偏差が特定される。時間tにおける最大標準偏差は、max_std_accで表され、以下の式1によって与えられる。 max_std_acc=max[std(acc_i(t−0.5,t+0.5)),i=x,y,z] (1)

図6(d)は、加速度の3軸のそれぞれについて計算された標準偏差を示す。図6(d)では、線40がx軸加速度計信号に対応し、線42がy軸加速度計信号に対応し、線44がz軸加速度計信号に対応する。

第3の前処理段階23は、空気圧センサ9からの測定結果から、センサユニット2の高度を推定する。上述したように、この段階23への入力は、空気圧センサ9からの生空気圧信号ptである。先に述べたように、空気圧は、1.8Hzのレートで(又はどの場合でも加速度信号よりもかなり低いサンプリングレートで)サンプリングされる。したがって、生空気圧信号ptは、最初は、加速度信号のサンプリングレート(例えば50Hz)にマッチさせるためにサンプリングされない(サンプリングされていない空気圧信号は、pt’で表される)。次に、時間tにおける高度(alt_tで表される)が、以下の式2を使用して空気圧センサの測定結果から推定される。 alt_t=44330*(1−pt’/101325)0.19 (2)

式(2)は、式(3)に示される空気圧‐高度変換関数から導出される。

ただし、

結果として得られる高度信号は、好適には、例えば約3秒である所定の長さを有するメジアンフィルタを用いて平滑化される。当該フィルタは、時系列の推定高度に適用され、図6(c)に示されるように高度推定段階23から出力される平滑化高度信号alt_measがもたらされる。図6(c)では、y軸が、海面に対する高度(メートル)を表す。

当然ながら、異なるタイプの高度、高さ、又は高さセンサの変化が使用される本発明の代替実施形態では、処理段階23は、適宜、適応されるか省略されてもよい。

入力信号の前処理後、座位から立位への移行が生じたかどうかを決定し、生じている場合に、座位から立位への移行を行う際のユーザの力を決定するために様々な特徴が抽出される。

座位から立位への移行が生じたかどうかを決定するために、2つの主な特徴抽出段階が必要とされる。特徴抽出の第1の段階24は、図3のフローチャートのステップ105を実行し、vert_acc信号における候補動作を特定する。具体的には、ブロック24は、vert_acc信号を、座位から立位への移行中に生じると予想される垂直加速度を表す所定パターンにマッチさせる。

1つの好適な実施形態では、特徴抽出の第1の段階24は、座位から立位への移行中に経験する垂直加速度に近似するインパルス応答を有する整合フィルタを、垂直加速度推定ブロック20から出力された垂直加速度信号(vert_acc)に適用する。整合フィルタの出力は、パターンへの測定結果のマッチを示す係数のセットである。各係数は、所定パターンへの多数の連続する測定結果サンプル(所定パターンと同じ長さの期間に及ぶ)のマッチを表す。係数が高いほど、パターンへの測定結果のマッチは良好となる(したがって、座位から立位への移行が生じた可能性が大きくなる)。整合フィルタを通された信号は、vert_acc_matfiltで表され、図6(b)に示される。

1つの好適な実施形態では、ブロック24において使用される整合フィルタは、座位から立位への移行を検出するために最適化された図7に示されるようなものである。図7に示される整合フィルタは、重力(9.8ms−2)は除外している。第1の曲線50は、座位から立位への移行の典型的な垂直加速度パターンを示す。第2の曲線51は、第1の曲線50に近似する、適用された整合フィルタ特性を示す。当然ながら、整合フィルタ特性は、多くの異なる関数を使用して表現されるが、本実施形態では、整合フィルタ特性は、以下の式4によって与えられる。 A1・sinc[W1(t−t1)]+A2・sinc[W2(t−t2)] (4)

この特性は、2つのsinc関数の組み合わせであり、スケールパラメータはpで定義される。pは、6つの要素を有するパラメータベクトルである。 [A1,A2,W1,W2,t1,t2] (5)

pにおける各入力は、異なるスケールパラメータを定義する。パラメータA1及びA2は、それぞれ、2つのsinc波のピーク偏差を定義する振幅スケールパラメータである。パラメータW1及びW2は、2つのsinc波の周波数を定義する周波数スケールパラメータである。パラメータt1及びt2は、sinc波の位置を定義する位相スケールパラメータである。パラメータベクトルpにおける6つの要素の値は、整合フィルタの関数を、図7の座位から立位への移行特性50に合わせるように設定される。

当然ながら、パラメータベクトルpにおける要素の値は、多くの既知の曲線当てはめ法によって提供される。1つの場合では、所望のパラメータは、非線形最少二乗回帰アルゴリズムを適用することによって計算されるが、当技術分野では多くの他のタイプの当てはめアルゴリズムが周知であり、適用されてよい。非線形最少二乗回帰アルゴリズムは、様々な関数に対応する様々なパラメータの組み合わせを生成する。生成された関数は、次に、最少二乗誤差規範に従って所望のパターンのデータセットに当てはめられる。パラメータの組み合わせのうち、最少二乗誤差の最小値を、当該関数がもたらす場合、最適化された適合(fit)が見出されたことになる。

整合フィルタを通過後、もたらされた信号は、ユーザによる座位から立位への移行に対応する動作を特定するように処理される。当該処理は、まず、vert_acc_matfilt信号において、所定範囲内にある大きさを有する任意のピークを特定することを含む。図6(d)に示される例示的な信号では、110〜200の範囲内にある大きさを有するピークが特定される。当然ながら、処理の当該部分は、或いは、vert_acc_matfilt信号において、閾値を超えた大きさを有する任意のピークを特定することを含んでもよい。この場合、閾値は、上記所定範囲の下限に相当する。しかし、この分類は、上記範囲の実施形態よりも誤判定の特定をする割合が高い。

特定された各ピークについて、アルゴリズムは、vert_acc_matfilt信号において特定されたピークの前後の所定期間内で生じる各々の極小値を特定しようと試みる。図6(b)に示される例示的な信号では、アルゴリズムは、特定されたピークの前後2秒間内の極小値を探す。特定のピークについて極小値が特定されない場合、vert_acc_matfilt信号の当該ピークは、座位から立位への移行に対応するとは見なされない。

最後に、座位から立位への移行に対応する候補動作は、必要とする極小値を有するピークであって、当該ピークにおいて当該ピークの大きさと当該ピークの前の極小値の大きさとの差が第1の閾値未満であり、また、当該ピークの大きさと当該ピークの後の極小値の大きさとの差が第2の閾値未満であり、更に、当該ピークの後の極小値の大きさが、当該ピークの前の極小値の大きさ未満であるピークと特定される。

本発明の簡易化された実施態様では、極小値に適用される大きさ要件は緩和され、アルゴリズムは、単に、ピーク、ピークの大きさ及びピークの前後の極小値の存在を特定する。

図6(b)に示される例示的な信号では、第1の閾値は25であり、第2の閾値は200である。当然ながら、第1及び第2の閾値に選択される値は、実験データセットに合わせられ、様々な閾値を使用してもよい。

図6(b)から、おおよそ時間1.65、1.69、1.78及び1.87において生じる候補の座位から立位への移行として、4つの可能な動作が強調されていることが見て取れる。

図3のステップ107を参照して上述したように、候補の座位から立位への移行は、所定範囲内であるセンサユニット2の高さの変化と一致する場合に、実際の座位から立位への移行と特定される。したがって、ブロック25は、各候補の座位から立位への移行中に生じた高さ又は高度の変化を決定する。整合フィルタリングブロック24において特定された候補の座位から立位への移行の高度変化を評価するために、ブロック25は、整合フィルタリングブロック24から、vert_acc_matfilt信号のコピーと、当該信号のどの部分が候補の座位から立位への移行に対応するのかを示す指示とを受け取る。ブロック25は更に、推定ブロック23から、推定された高度測定結果信号alt_measも受け取る。

整合フィルタ24からの出力に見出される候補の座位から立位への移行は、3つの主要なサンプルから構成される。これらは、ピーク、ピーク前の極小値(min_1)及びピーク後の極小値(min_2)である。これらのサンプルは、図6(b)の候補の座位から立位への移行のうちの1つに対してマーク付けされる。正しい期間に亘る高度変化を推定するためには、高度測定結果信号において正しいサンプルを特定する必要がある。

まず、その値が閾値より大きい、ピーク前の極小値(min_1)の前の最も近いサンプル(s1)が見出される。次に、その値が閾値より大きい、ピーク後の極小値(min_2)の後の最も近いサンプル(s2)が見出される。当然ながら、理論上は、この閾値はg2であるべきであるが、実際には、例えば加速度計における僅かな不正確さによって、訓練データセットによって様々な値が提供される。一実施形態では、当該閾値は98である。

次に、候補の座位から立位への移行の高度変化は、サンプルs1及びs2における高度の差として推定される。

好適には、高度測定結果には(ノイズによる)小さい変動があるため、候補の座位から立位への移行の高度変化は、第2の極小値から開始する時間窓に亘る高度測定結果の平均値と、第1の極小値で終了する時間窓に亘る高度測定結果の平均値との差として推定される。これらの時間窓は、1秒であるが、当然ながら、他の長さを有する時間窓も使用できる。等式の形式では、次のとおり表される: alt_diff=mean(alt_meas(s2:s2+tw))−mean(alt_meas(s1−tw:s1)) (6) ただし、twは、窓の長さである。このようにすると、候補の移行の開始前の1秒間と、候補の移行後の1秒間の高度データの平均値が評価される。座位から立位への移行が生じた場合、移行前(ユーザ4が座位位置にある場合)に、移行後(ユーザ4が立位位置にある場合)に観察される高度よりも低い高度が観察されるべきである。

候補の座位から立位への移行特定ブロック24と、高度変化ブロック25との出力は、候補のうちのいずれかが座位から立位への移行であるかどうかを決定する決定ブロック26に提供される。具体的には、所定範囲内の高度、即ち、高さの変化と一致する任意の候補動作が、座位から立位への移行とみなされる。高さの変化は、(座位から立位への移行の定義によって)高さの上昇であるべきであり、所定範囲は、例えば0.1乃至0.75メートルである。図3のステップ107を参照して上述したように、誤判定の割合が大きくなる代償として、上限を省略してもよい。

図6から、図6(b)において強調されている4つの候補動作のうち、少なくとも3つの候補動作が、0.1〜0.75の範囲内である高さの上昇と一致していることが見て取れる。したがって、時間1.69、1.78及び1.87における候補動作は、座位から立位への移行に相当すると見なされる。時間1.65における候補動作は、測定された高さの減少に一致し、したがって、無視される。次に、アルゴリズムは、新しい入力データセット(図5ではブロック27によって表される)について繰り返される。

上述したように、検出された座位から立位への移行(ブロック28)については、移行中にユーザ4が使う力を推定する。これは、ブロック29において行われる。可能な限り推定値を正確にするために、座位から立位への移行の開始と終止とのタイミングを決定する必要がある。

したがって、ブロック30は、座位から立位への移行のタイミングを決定し、加速度の変化を推定するブロック22からの入力と、整合フィルタを通過後の垂直加速度プロファイルvert_acc_matfiltとを受け取る。

単純な実施形態では、s1及びs2は、使った力を計算する目的で、座位から立位への移行の開始と終止とを特定するために使用される。

しかし、当業者には知られているように、整合フィルタは、フィルタタップの数に関連する遅延を導入する。この遅延によって、候補の座位から立位への移行が、vert_acc_matfilt信号における座位から立位への移行の実際の始まりに対して遅れる。したがって、1つの好適な実施形態では、加速度の変化を推定するブロック22の出力(max_std_acc)を使用して、座位から立位への移行の実際の開始が決定される。

まず、その値が閾値より小さい、s1前の信号max_std_accにおける最も隣接するサンプルが特定される。当該閾値は、実際の座位から立位への移行の開始(t_startで表される)が見出される場所を決定する。例示的な場合では、閾値は0.35であるが、当然ながら、1より小さい様々な閾値を使用してもよい。選択される具体的な値は、信号に適用される計算窓のサイズに部分的に基づく。次に、s1とs2との間の垂直加速度(vert_acc)の推定値の最大極小値(即ち、s1とs2との間のvert_accの最低値)が見出される。その値が(1つの好適な実施形態では重力(即ち、9.8ms−2)に基づく)閾値より大きい、垂直加速度の推定値の最大極小値の後の最も隣接するサンプルが、実際の座位から立位への移行の終止(t_end)と定義される。図6(b)における黒実線棒線と図6(a)における対応する丸とは、実際の各座位から立位への移行についての開始(t_start)と終止(t_end)とを示す。検出された各座位から立位への移行についての開始(t_start)と終止(t_end)との値が、力計算ブロック29に提供される。

ブロック29は、ブロック20からvert_acc信号を受け取り、座位から立位への移行におけるピーク力を計算する。具体的には、座位から立位への移行の開始と終止との間(即ち、t_startとt_endとの間)の垂直加速度の推定値の一部が分離される。

国際特許公開公報WO2010/035187に説明されるように、座位から立位への移行中のピーク力は、

を使用して計算できる。ただし、mはユーザ4の質量であり、gは重力による加速度である。

ブロック29による座位から立位への移行中の力の計算に続き、更なる処理又は解析のために、結果が出力される。

当然ながら、力計算段階29から出力されたピーク力出力は、1カ月といった継続した期間に亘って力の変化を評価できるように記憶されてもよい。当該評価は、ユーザの年齢、性別及び健康状態といった他の既知のパラメータと組み合わされた座位から立位への移行中のピーク力に基づく。当該評価は更に、アップアンドゴー(time-up-and-go)といった転倒に関連する他の評価からのパラメータと組み合わされて行われてもよい。評価結果が、転倒リスク閾値を超える場合、介護者又はユーザの注意が喚起される。これに代えて又はこれに加えて、進捗に関するフィードバックのために報告書が提供されてもよい。健康の専門家が、治療介入サービス提供を利用するために同様の報告を入手してもよい。

したがって、ユーザの動作の測定結果から座位から立位への移行を特定できる方法及び装置が提供される。この特定によって、続いて、動作を行う際にユーザが使った力を計算できる。更に特定の実施形態では、当該方法及び装置は、力解析によって有用な結果が提供されるように、特定の精度内で、移行の開始と終点とを検出する。

本発明は、図面及び上記説明において詳細に例示かつ説明されたが、このような例示及び説明は、例示であって限定と考えられるべきではない。本発明は、開示された実施形態に限定されない。

開示された実施形態への変更は、図面、開示内容及び添付の特許請求の範囲の検討から、クレームされた発明を実施する際に、当業者によって理解かつ実現される。特許請求の範囲において、「含む」との用語は、他の要素又はステップを排除するものではなく、また、不定冠詞「a」又は「an」は複数形を排除するものではない。単一のプロセッサ又は他のユニットが、特許請求の範囲に記載される幾つかのアイテムの機能を発揮する。特定の手段が相互に異なる従属項に記載されるからと言って、それらの手段の組み合わせを有利に使用することができないことを示すものではない。コンピュータプログラムは、他のハードウェアと共に又はその一部として供給される光学記録媒体又は固体媒体といった適切な媒体に格納/分散配置されるが、インターネット又は他の有線若しくは無線通信システムを介してといったように他の形式で分散配置されてもよい。請求項における任意の参照符号は、範囲を限定しているものと解釈すべきではない。

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