ラインシステムの監視

申请号 JP2016550612 申请日 2014-12-09 公开(公告)号 JP6325123B2 公开(公告)日 2018-05-16
申请人 プライメタルズ・テクノロジーズ・オーストリア・ゲーエムベーハー; 发明人 クルト・ディッテンベルガー; ダニエル・ランツァーストーファー; クレーメンス・ハウザー;
摘要
权利要求

ラインシステム(1)を監視するための方法であって、前記ラインシステム(1)が冶金ユニットの冷却システムとして実現されていて、前記ラインシステム(1)の少なくとも一つのライン(2)内に液体媒体(3)が誘導され、 (a)複数の検出時点の各々において、前記少なくとも一つのライン(2)内の前記液体媒体(3)の実際の圧と、前記少なくとも一つのライン(2)内の関連する実際の流量とを検出し、 (b)計算ユニット(5)が、検出された実際の圧力と検出された実際の流量とを受信して、 (c)前記計算ユニット(5)が、前記液体媒体(3)の理論的流量と前記液体媒体(3)の実際の圧力との間の物理的関係性を記述する所定の流量関数を考慮して、各検出された実際の圧力から、前記少なくとも一つのライン(2)内の前記液体媒体(3)の各理論的流量を計算し、 (d)前記計算ユニット(5)が、各実際の流量及び各理論的流量に基づいて、各詰まりレベルを決定し、 (e)前記計算ユニット(5)が、複数の決定された詰まりレベルに基づき、確率論的方法を用いて、所定の確率で前記ラインシステム(1)の詰まりレベルが存在する区間を決定し、 (f)詰まりレベルの所定の第一限度に対する計算された区間のサイズ及び/又は計算された区間の位置を前記ラインシステム(1)の不具合の存在の指標として用いることによって、前記ラインシステムを監視する、方法。前記ラインシステム(1)が、金属撚線(6)を製造するための連続鋳造工場の冷却システム又は金属帯を製造するための圧延工場の冷却システムとして実現されていて、前記少なくとも一つのライン(2)によってノズル(7)に誘導された前記液体媒体(3)が、前記ノズル(7)によって前記金属撚線(6)又は前記金属帯に適用されて、前記ラインシステム(1)の監視が、前記連続鋳造工場又は前記圧延工場の休止中においても行われることを特徴とする請求項1に記載の方法。前記ノズル(7)に誘導された前記液体媒体(3)がであることを特徴とする請求項2に記載の方法。前記複数の検出時点が、2秒間から5秒間までの間の検出時点と検出時点との間の一定な時間間隔を有することを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。前記確率論的方法が1サンプルt検定を含むことを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。作業者が前記所定の確率を前記計算ユニット(5)に指定することを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。詰まりレベルの計算された区間が、詰まりレベルの所定の限度の完全に外側に存在している際に、前記計算ユニット(5)が前記ラインシステム(1)の不具合の指標を発生させることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。計算された区間が所定の第二限度よりも大きい際に、前記計算ユニット(5)が、前記ラインシステム(1)が確認不能であることを示す警報を発することを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。計算ユニット(5)によって実行されるマシンコードを有するコンピュータプログラムであって、前記計算ユニット(5)による前記マシンコードの実行が、請求項1に記載のステップ(b)からステップ(e)を備える方法を前記計算ユニット(5)に行わせる、コンピュータプログラム。前記マシンコードの実行の結果として、前記計算ユニット(5)が、請求項1に記載のステップ(f)を実行し、及び/又は、請求項4から8のうち少なくとも一項に記載の特徴を実現することを特徴とする請求項9に記載のコンピュータプログラム。請求項9又は10に記載のコンピュータプログラム(14)が記憶されているコンピュータ可読記憶媒体。請求項9又は10に記載のコンピュータプログラム(14)がプログラムされている計算ユニット。(a)液体媒体(3)を誘導する少なくとも一つのライン(2)を有するラインシステム(1)と、 (b)前記少なくとも一つのライン(2)内の前記液体媒体(3)の実際の圧力及び前記少なくとも一つのライン(2)内の前記液体媒体(3)の実際の流量をそれぞれ決定するための少なくとも一つの装置(8、9)と、 (c)前記装置(8、9)に結合された請求項12に記載の計算ユニット(5)と、を備えるデバイス。詰まりレベルの所定の第一限度に対する計算された区間のサイズ及び/又は計算された区間の位置を前記ラインシステム(1)の不具合の存在の指標として用いることによって、前記ラインシステム(1)を監視するための監視ユニット(12)を備えることを特徴とする請求項13に記載のデバイス。

说明书全文

本発明は、液体媒体を誘導するラインシステムを監視するための方法及びデバイスに関し、そのラインシステムは、少なくとも一つのラインを有し、その少なくとも一つのライン内の液体媒体の圧及び液体媒体の流量の決定を用いて、少なくとも一つのラインの詰まりレベルを計算し、その詰まりレベルは、ラインシステムの不具合の存在の指標として用いられる。

ラインシステムは安全性に関するデバイスの主要構成要素であることが多いので、ラインシステムには信頼性に対する高い要求が課せられる。こうした場合、例えば漏れや詰まりによるラインシステムの不具合は、高度な損傷を生じさせ得るので、冷却装置の構成要素としてのラインシステムの動作信頼性を定期的に検査する必要がある。

例えば、ラインシステムが等の液体媒体を誘導する場合、この種のラインシステムを監視するための既知の方法の一つは、ラインシステム内の液体媒体の実際の流量をパラメータとして連続的に検出することである。所謂水圧関数を用いて、検出されたパラメータから液体媒体の所謂理論的圧力を決定する。液体媒体の理論的圧力は、水圧関数に対して液体媒体の実際の流量を代入することによって得られる圧力である。ラインシステム内の液体媒体の実際の圧力を測定した後、液体媒体の実際の圧力と液体媒体の理論的圧力との間の差を決定する。結果としての差は、例えば、詰まりの尺度や、ラインシステムの漏れの尺度として用いられ、所定の許容範囲に対して定期的に比較される。長期間にわたって許容範囲を超えると、ラインシステムの不具合の指標として警報が発せられる。

検出されたパラメータは一般的に高度なノイズを受けて、不必要な誤った警報を発生させるという欠点がある。これを回避するため、比較的大きな許容範囲が指定されるが、これは信頼性に悪い影響を与える。更なる欠点は、液体媒体の実際の圧力と液体媒体の理論的圧力との間で決定される差が、詰まりの尺度の傾向しか特定しない点である。従って、誤った警報をほとんど発生させず且つある程度の監視信頼性を提供する許容範囲の妥当な値を特定することは一般的に難しい。

特許文献1には、工場を冷却するための冷却装置における早期漏れ検出方法が記載されている。この方法では、二つの制御可能なバルブが互いに特定の距離で一つのラインに配置される。二つの圧力センサーが二つのバルブの間に配置される。二つの圧力センサーの各々は、二つのバルブのうち一つの近傍に配置される。実際の圧力が検出されて、予測圧力と比較される。その比較を用いて、漏れの存在に関する結論を導き出す。

特許文献2には、圧力差と、ラインシステム内の実際の流量を繰り返し検出して、そこから、ラインシステムの流体力学的抵抗を決定することが記載されている。決定された流体力学的抵抗は視覚的に出力される。また、決定された流体力学的抵抗が許容される範囲内に存在しているかどうかを自動的に調べることもできる。許容される範囲を逸脱していると、警報信号を出力することができる。

特許文献3には、バルブを用いてラインシステムのセクションを出口側で遮断して、次に、そのセクションに圧力をかけて、最後に、別のバルブを用いてそのセクションを入口側でも遮断することが記載されている。そして、ラインシステムのそのセクション内の圧力を検出及び評価する。 特許文献2には、特定の時点における圧力降下及び流量を決定して、それらから流体力学的抵抗を計算することが記載されている。そして、この変数に基づいて、残留物又は漏れが存在していないかどうかが決定される。流体力学的抵抗はモニタに表示され得る。流体力学的抵抗の許容可能な範囲が定められ得る。許容可能な範囲から外れると、警告メッセージが出力される。特許文献2では、流体力学的抵抗を計算するための式が流量関数として特定されている。

独国特許出願公開第102009051931号明細書

オーストリア特許第513042号明細書

特開平01−149109号公報

本発明の目的は、上述の欠点を克服したラインシステムの確実な監視の可能性を提供することである。

本目的は請求項1の特徴を有する方法によって達成される。本方法の有利な実施形態は、従属請求項2から8の主題である。

本発明によると、本発明に係る方法には以下の特徴が与えられる: (a)複数の検出時点の各々において、少なくとも一つのライン内の液体媒体の実際の圧力と、少なくとも一つのライン内の液体媒体の関連する実際の流量とを検出し、 (b)計算ユニットが、検出された実際の圧力と検出された実際の流量とを受信し、 (c)計算ユニットが、液体媒体の理論的流量と液体媒体の実際の圧力との間の物理的関係性を記述する所定の流量関数を考慮して、各検出された実際の圧力から、少なくとも一つのライン内の液体媒体の各理論的流量を計算し、 (d)計算ユニットが、各実際の流量及び各理論的流量に基づいて各詰まりレベルを決定し、 (e)計算ユニットが、複数の決定された詰まりレベルに基づいて、確率論的方法を用いて、所定の確率でラインシステムの詰まりレベルが存在している区間を計算し、 (f)詰まりレベルの所定の第一限度に対する計算された区間のサイズ及び/又は計算された区間の位置をラインシステム内の不具合の存在の指標として用いることによって、ラインシステムを監視する。

ラインシステムの少なくとも一つのラインは液体媒体を含む。複数の検出時点の各々において、ラインシステムの少なくとも一つのライン内の液体媒体の各時点での実際の圧力と、液体媒体の関連する各時点での実際の流量とが検出される。決定されたパラメータは計算ユニットに送信されて、計算ユニットによって受信される。計算ユニットでは、各検出された実際の圧力が、液体媒体の理論的流量と液体媒体の実際の圧力との間の物理的関係性を記述する所謂流量関数を考慮して少なくとも一つのライン内の液体媒体の理論的流量を計算するのに用いられる。

ラインシステムに問題がない、つまり漏れ及び/又は詰まりがないという条件において、理論的流量は、例えば以下のようにして決定される。

液体媒体の各実際の圧力について、ラインシステム又は少なくとも一つのライン内の液体媒体の実際の流量が決定される。得られた値の組は、ラインシステム内の液体媒体の実際の圧力と液体媒体の実際の流量との間の関係性を経験的に記述する。得られた関係性は、適切な関数、つまり流量関数によってフィッティングされる。流量関数は計算ユニットに記憶されている。

流量関数の理論的原理及びその導出は以下のとおりである。

パスカルの法則によると、ラインシステム又は少なくとも一つのライン内の液体媒体の圧力差Δpwは以下のとおりである: Δpw=ρgΔh ここで、ρは液体媒体の密度であり、gは重力加速度であり、Δhは液体媒体の圧力を測定するための圧力ゲージとラインシステム又は少なくとも一つのラインの位置との間の高度差である。

ラインシステム又は少なくとも一つのライン内の摩擦による圧力損失Δpfは、以下のダルシー・ワイスバッハの式によって表される: Δpf=(ρv2/2)(l/d)λ ここで、ρは液体媒体の密度であり、vは液体媒体の特性速度であり、lとdはそれぞれ少なくとも一つのラインの長さと直径であり、λはダルシー摩擦係数である。フィッティングに起因してライン内に存在し得る圧力損失は無視される。

ダルシー摩擦係数λは、特性速度と、少なくとも一つのラインの粗度とに依存する。層流(レイノルズ数Re<2050)については、以下のようになる: λ=64/Re Re=ρvd/η ここで、ηは液体媒体の動的粘度である。

乱流(レイノルズ数Re>4000)については、ダルシー摩擦係数を数値的に決定する以下のコールブロックの式が適用可能である:

ここで、kは少なくとも一つのラインの粗度である。実際には、少なくとも一つのラインの粗度は略0.05mmである。

Re>2010及びRe<4000については、以下のブラジウスの式が適用可能である: λ=0.3164/Re0.25

流量関数を得るため、得られた値の組に関数をフィッティングする。流量関数は、例えば以下のように表される:

ここで、wpは液体媒体の圧力であり、fは液体媒体の流量であり、c、c1及びc2は係数である。

第一ステップでは、例えば、実際のラインシステム又は少なくとも一つのラインの物理的関係性を反映した試験構成において決定されたラインシステム内の液体媒体の実際の流量及び実際の圧力の値を、以下の関数でフィッティングする:

係数c1と、c2≒2とは定数である。追加的なステップでは、実際のラインシステム内において決定された液体媒体の実際の流量及び実際の圧力についてのデータを、以下の関数でフィッティングする:

ここで、p1は、液体媒体が少なくとも一つのラインを出る位置に関する圧力差であり、圧力測定値p2及びp3は、液体媒体とラインシステム又は少なくとも一つのラインとの間の摩擦に起因するラインシステム又は少なくとも一つのライン内の液体媒体の圧力損失を記述する。

更に、ベルヌーイの式によると、液体媒体の圧力wpと液体媒体の流量fとの間の関係性が以下のように表される: wp=c1f2+c

しかしながら、上記関係性は、単相流にしか適用可能でない点に留意されたい。

流量関数を発生させることに続いて、ラインシステム又は少なくとも一つのライン内の液体媒体の理論的流量fを、液体媒体の決定された実際の圧力wpから計算することができる。

次に、計算ユニットは、所定の確率で詰まりレベルκが存在している詰まりレベルκの区間を計算する。

次に、計算ユニットは、実際の(測定された)流量factと理論的流量f(流量fは、液体媒体の実際の圧力wpを流量関数に代入することによって計算される理論的流量fのことを称する)との間の商から、各詰まりレベルverstopfを決定する: verstopf=(fact/f)−1

少なくとも一つのラインによってラインシステム内に誘導された液体媒体が、ノズルを介して少なくとも一つのラインの端部においてラインシステム又は少なくとも一つのラインを出て行く場合、各詰まりレベルverstopfが例えば−0.1(=−10%)であることは、ラインシステム又は少なくとも一つのライン又はノズルが10%詰まっていることを意味する。各詰まりレベルverstopfが+0.1(=+10%)であることは、ラインシステム内に誘導された液体媒体の10%がラインシステムから漏れていることを意味する。

所定の確率で詰まりレベルκが存在する区間の計算は、確率論的方法を用いて、複数の決定された詰まりレベルverstopfに基づいて、計算ユニットによって行われる。ここで、理論的流量f(流量関数を用いる)と実際の流量factは、ラインシステム又は少なくとも一つのラインにおいてデータフローとして周期的な間隔で定期的に決定及び/又は測定される。理論的流量f及び実際の流量factはランダムな変数として扱われる。確率論的方法を用いて、特定のエラー確率で、値κ(κは詰まりレベルをモデル化している)を決定するが、データフローκ・f及びfactは同じランダムプロセスによって発生させることができないものとされる。ラインシステム又は少なくとも一つのラインが計算された区間内に存在している詰まりレベルκを有する確率は、1からエラー確率を引いた値である。

ラインシステム又は少なくとも一つのラインは、ラインシステム又は少なくとも一つのラインの不具合の存在に関して、詰まりレベルの所定の許容可能な第一限度に対するその区間の位置を用いて、監視される。代替的に又は追加的に、その区間のサイズを監視することができる。

本発明に係る方法の実質的な利点は、雑音の多い信号が問題を生じさせず、ラインシステム又は少なくとも一つのラインの監視中に誤った警報が回避されるという点である。この種の誤った警報の回避について、従来技術の方法では比較的大きな許容範囲が指定され、その許容範囲は、液体媒体の実際の圧力と液体媒体の理論的圧力との間の差として与えられる。これに対して、本発明に係る方法では、大きな許容範囲は不要である。

また、液体媒体の実際の圧力と液体媒体の理論的圧力との間の差は、詰まりレベルの傾向しか示さない。これに対して、本発明に係る方法は、所定の確率で詰まりレベルが存在している具体的な区間を計算する。

本発明に係る方法の好ましい実施形態では、ラインシステムは、冶金ユニットの冷却システム、特に、金属撚線を製造するための連続鋳造工場の冷却システム、又は金属帯を製造するための圧延工場の冷却システムとして実現され、少なくとも一つのラインによってノズルに誘導された液体媒体が、ノズルによって金属撚線又は金属帯に適用される。

液体媒体はノズルに誘導される。連続鋳造工場で製造される金属撚線又は圧延工場で製造される金属帯は、ノズルから出る液体媒体によって冷却される。冷却システムの不具合は顕著な損傷に繋がり得るので、この種の冷却システムは高い有用性、動作信頼性及び確実性を要する。本発明に係る方法を用いて冷却システムを監視すると、不必要な誤った警報を発せずに、冷却システム又はノズルの漏れ又は詰まりによる不具合を迅速且つ確実に特定することができる。この場合、連続鋳造工場又は圧延工場の休止中においても、ラインシステムを監視する。これは、連続鋳造工場又は圧延工場の保守作業中においてもラインシステムの不具合を点検して、可能であれば、連続鋳造工場又は圧延工場の稼動前に、ラインシステムの漏れ又は詰まりを正すことができるという利点を有する。

本発明に係る方法の更に好ましい実施形態では、少なくとも一つのノズルに誘導される液体媒体は水である。水は環境的に中性な媒体であり、十分な量が安価に利用可能であり、また、例えば冷却用に効果的に使用可能である。

好ましくは、検出時点と検出時点との間の時間間隔は2秒間から5秒間の間、例えば3秒間である。この種の時間間隔は、決定されるパラメータについて得られるデータ量と、本発明に係る方法の精度又は信頼性との間の最適な比を示す。

従って、実際の圧力及び実際の流量は繰り返し測定されて、それらの測定結果を計算ユニットが用いて、各詰まりレベルを決定する。この各詰まりレベルは、これまで決定されてきた個々の詰まりレベルの数を増やす。また、原則として、特定の数の個々の詰まりレベルから、最も古い個別の詰まりレベルは使用されなくなる。特定の数とは、例えば、20から50までの間であり、特に30から40までの間である。その特定される数については、システムの作業者が、決定方法を実行する自動化システムに指定することができる。

本発明に係る方法の更なる実施形態では、確率論的方法は、1サンプルt検定を含む。

t検定は、統計学的仮説検定であり、正規分布の仮定の下でデータサンプル(=複数のサンプル)に適用される。この応用の目的については、1サンプルt検定を用いることが好ましい。個々の各サンプルは、実際の圧力wp(又はそれから決定される理論的流量f)と実際の流量factとの値の各対に対応する。

実際の(測定された)流量factが、理論的流量fの周りを値κで変動するという仮定の下で、修正された形式の1サンプルt検定を以下のように記述することができる:

ここで、E(fact)は、実際の(測定された)流量の予測値であり、E(f)は理論的流量の予測値であり、varは分散であり、covは共分散であり、tは、分位点α(例えば0.05)及び自由度nについてのt分布であり、nは値の数(サンプルサイズ)である。予測値、分散、共分散、t分布、分位点は、確率計算の分野において決まった意味を持つ用語である。

上記式において、詰まりレベルκのみが未知である。他の全ての変数は、原理的には一定であるか、又は以前の確率論的評価によって決定されている。特に、予測値E(fact)及びE(f)、分散var(fact)及びvar(f)、共分散cov(fact,f)は測定された実際の流量fact又は決定された流量fによって決定される。用いられるサンプルの数nも既知である。確率は予め指定可能である。これは、使用されるサンプルの数nとともに、値tを決定する。

従って、上記式を二次方程式に変換することができる。この方程式は以下のとおりである:

値tの引数は、上記方程式を不必要に過度なものにしないため、上記方程式では省略されている。

従って、上記方程式の解k1及びk2は簡単に決定可能であり、k1を小さな解、k2を大きな解とするが、これはその一般性を限定するものではない。verstopf=k−1との関係性によって、k1及びk2からverstopf1及びverstopf2が計算される。これは、詰まりレベルが(1−α)の確率で区間[verstopf1,verstopf2]内に存在することを意味する。

所定の確率が、作業者によって計算ユニットに指定される。従って、所定の確率は自由に選択可能である。原則として、確率は90%、好ましくは95%に設定される。基幹システムでは、確率は99%に設定される。

本発明に係る方法の好ましい実施形態では、詰まりレベルの計算された区間が、詰まりレベルの所定の限度の外側に存在する場合、ラインシステムの不具合の指標として警報が発せられる。verstopf1及びverstopf2が負であり、所定の第一限度よりも小さい場合、少なくとも一つのラインの詰まりの指標として警報が発せられる。verstopf1及びverstopf2が正であり、所定の第一限度よりも大きい場合、少なくとも一つのラインの破断の指標として警報が発せられる。

verstopf2からverstopf1を引いた差が、所定の第二限度よりも大きい場合、ラインシステムが確認不能であることを示す警報が発せられる。

verstopf1及びverstopf2の他の全ての値については、ラインシステムには不具合がないものとして分類される。既に指定されていたあらゆる警報は消去される。

本発明に係る方法の他の実施形態では、金属撚線は鋼撚線である。鋼の他に、“金属”とは、特に、鉄、銅、アルミニウム、又はこれらの混合物も意味するものとして理解される。例えば、撚線はアルミニウム撚線でもあり得る。

本発明に係る方法の更なる実施形態では、金属帯は鋼リボン製品である。例えば、鋼リボン製品は、圧延工場の熱圧延ラインでの熱圧延プロセスによって製造される。

液体媒体に加えて、気体媒体をラインシステムの追加ラインに誘導することもできる。この場合、液体媒体及び気体媒体は、少なくとも部分的に、別々のライン内を誘導されて、ノズルの領域において混合されて混合物を形成する。その混合物が、例えば、金属撚線又は金属帯に適用される。

この場合、液体媒体に加えて、気体媒体も、流量関数を導出する際に考慮される。

本目的は、コンピュータプログラムによっても達成され、そのコンピュータプログラムは、計算ユニットによって実行可能なマシンコードを有する。計算ユニットによるマシンコードの実行は、本発明に係る方法のステップ(b)から(e)を備えた方法を計算ユニットに実行させる。好ましくは、マシンコードの実行の結果として、計算ユニットは、本発明に係る方法の有利な実施形態も実施する。

本目的は、本発明に係るコンピュータプログラムが記憶されているコンピュータ可読記憶媒体によっても達成される。

本目的は、計算ユニットによっても達成され、その計算ユニットには、本発明に係るコンピュータプログラムがプログラムされている。

本目的は、本発明に係る方法を実行するためのデバイスによっても達成され、 (a)本デバイスは、少なくとも一つのラインを有するラインシステムを備え、液体媒体が少なくとも一つのライン内に誘導可能であり、 (b)本デバイスは、少なくとも一つライン内の液体媒体の実際の圧力と、少なくとも一つのライン内の液体媒体の実際の流量を決定するための少なくとも一つの装置を備え、 (c)本デバイスは、前記装置に結合された本発明に係る計算ユニットを備える。

好ましくは、本デバイスは、詰まりレベルの所定の第一限度に対する計算された区間のサイズ及び/又は計算された区間の位置をラインシステムの不具合の存在の指標として用いることによって、ラインシステムを監視する監視ユニットも備える。監視装置は計算ユニットの構成要素であり得る。

本発明に係るデバイスの特に好ましい一実施形態は、冷却システムとしてのラインシステム及び少なくとも一つのノズルを備える冶金ユニット、特に、金属撚線を製造するための連続鋳造工場、又は金属帯を製造するための圧延工場を更に備え、そのノズルにはラインシステムの少なくとも一つのラインが繋がっていて、そのノズルを用いて、液体媒体を金属撚線又は金属帯に適用することができる。

本発明に係るデバイスの好ましい実施形態では、本デバイスは、計算ユニットに結合された、ラインシステムの不具合の指標として警報を発するための警報装置を備える。

警報装置は計算ユニットに結合される。ラインシステムの不具合が認識されると、警報装置は、受信装置、特に音響及び/又は可視光シグナル発生装置にメッセージを送信する。受信装置は、例えば、携帯電話、タブレットPC、又はコンピュータとしても実現可能である。

本発明の上述の性質、特性及び利点並びにそれらを達成するための方法は、添付図面を参照してより詳細に説明される例示的な実施形態の以下の説明からより明確になり、またより分かり易いものとなる。

ラインシステムを監視するための本発明に係る方法及び本発明に係るデバイスを概略的に示す。

ラインシステムの液体媒体の実際の流量と実際の圧力との間の関係性、及びデータフィッティングを概略的に示す。

図1では、液体媒体3がラインシステム1のライン2内に誘導されていて、ここで、液体媒体は水である。

第一ステップでは、ライン2内の液体媒体3の実際の圧力を決定するための装置8と、ライン2内の液体媒体3の実際の流量を決定するための装置9が、ライン2内の液体媒体3の実際の圧力及び液体媒体3の実際の流量をパラメータとして決定する。

第二ステップでは、検出された値を、装置8、9に接続された計算ユニット5に送信する。装置は検出された値を受信する。第三ステップでは、計算ユニット5が、所定の流量関数を考慮して、検出された圧力に基づき、少なくとも一つのライン2内の液体媒体3の理論的流量を計算する。流量関数は、液体媒体3の理論的流量と液体媒体3の実際の圧力との間の物理的関係性を記述する。更に、第四ステップでは、理論的流量及び実際の流量に基づいて、各詰まりレベルを決定する。この点に関しては、特に、実際の流量と理論的流量との間の商を決定する。

次に、第五ステップでは、計算ユニット5は、確率論的方法を用いて、複数の決定された個々の詰まりレベルに基づいて、所定確率でラインシステムの詰まりレベルが存在する区間を計算する。確率論的方法は、特に1サンプルt検定を含み得る。所定の確率は、作業者が計算ユニット5に指定することができるものである。その確率は自由に選択可能である。原則としては、確率は少なくとも90%、好ましくは少なくとも95%に設定される。

最後の第六ステップでは、詰まりレベルの所定の第一限度に対する計算された区間の位置を用いて、ラインシステム1を監視する。計算された区間の位置は、ラインシステム1の不具合の存在の指標として機能する。計算された区間のサイズについても同様である。

第一ステップから第六ステップは、周期的な時間間隔で行われ、その時間間隔は2秒間から5秒間の間、好ましくは3秒間である。

詰まりレベルの計算された区間が詰まりレベルの所定の第一限度を超えると、計算ユニット5に結合された警報装置13が、ラインシステム1の不具合の指標として警報を発生させる。

図1は、金属撚線6を製造するための連続鋳造工場の冷却システムとして、ラインシステム1を示す。この場合、液体媒体3は、ライン2によってノズル7に誘導されて、ノズル7によって、金属撚線6(特に鋼撚線)に適用される。連続鋳造工場の休止中においても、ラインシステム1の監視は行われる。

計算ユニット5の動作モードは、計算ユニット5で走るコンピュータプログラム14によって決定される。コンピュータプログラム14はコンピュータ可読記憶媒体15内にある。

図2は、ラインシステム1の液体媒体3の実際の流量factと実際の圧力wpとの間の関係性、及びデータフィッティング16を示す。液体媒体3の実際の圧力wp(具体的には水圧)が横軸にプロットされている。実際の圧力wpに依存して、以下の値が縦軸にプロットされている: ‐ 実際のラインシステム1のライン2内で決定された液体媒体3の実際の流量fact(具体的には実際の水流量)、小さな点4で示されている; ‐ 実際のラインシステム1又は少なくとも一つのライン2の関係性が反映されている試験構成のラインシステム1のライン2内で決定された液体媒体3の実際の流量fact(具体的には実際の水流量)、大きな点10で示されている; ‐ 液体媒体3の理論的流量f(具体的には理論的水流量)。図2では、実際のラインシステム1のライン2内の液体媒体3の実際の流量factの値のデータフィッティング16として決定されている。データフィッティング16は、試験構成からも同じ様にして決定可能である。理論的流量fは、流量関数、つまり、液体媒体3の実際の圧力wpと液体媒体3の実際の流量factとの間の関係性を表す。流量関数は計算ユニット5に記憶されている。

本発明は多数の利点を有し、特に、高精度で確実な方法で詰まりレベルを決定することができる。

好ましい例示的な実施形態によって本発明を詳細に例示及び説明してきたが、本発明は、開示されている例に限定されるものではなく、当業者は、本発明の保護範囲から逸脱せずに、他の変更例を導き出すことができるものである。

1 ラインシステム 2 ライン 3 液体媒体 4 小さな点 5 計算ユニット 6 金属撚線 7 ノズル 8 液体媒体の実際の圧力を決定するための装置 9 液体媒体の実際の流量を決定するための装置 10 大きな点 11 流量関数 12 監視ユニット 13 警報装置 14 コンピュータプログラム 15 コンピュータ可読記憶媒体 16 データフィッティング

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