Ultrashort pulse laser machining of metals and alloys

申请号 JP55667499 申请日 1998-05-19 公开(公告)号 JP2002511801A 公开(公告)日 2002-04-16
申请人 ザ リージェンツ オブ ザ ユニヴァーシティー オブ カリフォルニア; 发明人 スチュアート,ブレント,シー.; ペリー,マイケル,ディー.;
摘要 (57)【要約】 本発明は、金属及び 合金 の高 精度 機械加工(切削、ドリル加工、彫刻)の方法からなる。 10フェムト秒から100ピコ秒の範囲内の幅のパルスを使用することにより、本質的に熱又は衝撃により影響を受ける領域なしに非常に高精度の機械加工が達成できる。 パルスが非常に短いので、除去される領域を超える熱伝達は無視することができ、レーザ機械工面から約0.1〜1ミクロンを超える(特定の材料に依存する)材料への熱応 力 及び衝撃は無視できる。 短いパルス幅のため、相互作用に関連する高い強度(10
12 W/cm
2 より大)が材料を直接的に固体状態からイオン化プラズマ状態へ変化させる。 プラズマの 流体 力学 的拡張は、材料を除去するための補助的手法を省き、非常に高品質の機械加工面を作り、切溝の内部及びその表面上の再堆積は無視できる。 除去される材料の深さを超える加熱は無視できるので、レーザ機械加工プロセスによって残りの材料の組成が影響を受けることはない。 これは、結晶粒組織の変化無しに金属及び純粋金属さえも高精度に機械加工することを可能とする。
权利要求
  • 【特許請求の範囲】 1. 金属及び合金を機械加工する方法において、 複数のレーザパルスを含むパルスレーザ出力ビームを生成する工程であって、 前記複数のレーザパルスの各パルスは1Hzより大きいパルス繰返し数及び0. 18〜10ミクロンの範囲内の波長を有し、前記各パルスは100ピコ秒以下のパルス幅を有する工程と、及び 金属又は合金を含む加工物に対して前記パルスレーザ出力ビームを向ける工程であって、前記各パルスは前記加工物の約0.01〜1ミクロンの材料を固体状態からプラズマ状態に変化させ、前記材料は前記プラズマの流体力学的拡張により前記加工物から除去される工程と、を有する方法。 2. 金属及び合金を機械加工する方法において、 金属及び合金からなるグループから選択される材料を含む加工物上にレーザビームを向ける工程を有し、前記レーザビームは複数のレーザパルスを含み、前記複数のレーザパルス各パルスは1Hzより大きいパルス繰返し数及び0.18〜 10ミクロンの範囲内の波長を有し、前記各パルスは10フェムト秒から100 ピコ秒の範囲内のパルス幅及び10 12 W/cm 2より大きい集束放射照度を有し、前記複数のレーザパルスの各パルスは前記加工物の約0.01〜1ミクロンの材料を固体状態からプラズマ状態に変化させ、前記材料は前記プラズマの流体力学的拡張により前記加工物から除去される方法。 3. 前記複数のレーザパルスは、切溝から約1ミクロンを超えて前記加工物の残りの材料の構造に変化又は損傷を与えること無く、前記加工物から前記材料を除去する請求項2に記載の方法。 4. 前記複数のレーザパルスは、特定の材料に依存する約0.1〜1ミクロンの範囲内の深さをを超えて前記加工物の残りの材料の構造に変化又は損傷を与えること無く、前記加工物から前記材料を除去する請求項2に記載の方法。 5. 前記パルス幅は、パルス中の熱侵入度L thが1ミクロン未満となるように調整され、前記熱侵入度L thは2√ατに等しく、α=k/ρc pは熱拡散係数であり、kは熱伝導率であり、ρは密度であり、C pは熱容量であり、τはレーザパルス幅である請求項2に記載の方法。 6. 前記各パルスの電界は、前記各パルス中に前記材料内に生成される熱波より深く前記材料内に侵入する請求項2に記載の方法。 7. 前記複数のレーザパルスは、切溝から約1ミクロンを超えて前記加工物の残りの材料の構造に変化又は損傷を与えること無く、前記加工物から前記材料を除去し、前記加工物の外部冷却を必要としない請求項2に記載の方法。 8. パルス毎に非常に小さい深さの材料が除去されるとしても、高い繰返し数により毎秒1mmを超える非常に高い切削速度を可能とする請求項2に記載の方法。 9. 前記各パルスは、前記材料から除去される深さを超える重大な熱伝達のための十分な時間が無くなるように迅速に前記材料を固体状態からプラズマ状態へ変化させ、前記各パルスが前記パルス期間で前記材料の固体面に遭遇した時に前記材料内にエネルギーが堆積して前記材料の深さをその沸点(典型的にはイオン化点を超える温度を)大きく超える温度まで上昇させ、前記パルスの後に、初期温度により決定される拡張速度により前記深さは前記材料の表面を残す請求項5に記載の方法。 10. 金属及び合金を機械加工する装置において、 複数のレーザパルスを含むパルスレーザ出力ビームを生成する手段であって、 前記複数のレーザパルスの各パルスは1Hzより大きいパルス繰返し数及び0. 18〜10ミクロンの範囲内の波長を有し、前記各パルスは100ピコ秒以下のパルス幅を有する手段と、及び 金属又は合金を含む加工物に対して前記パルスレーザ出力ビームを向ける手段であって、前記各パルスは前記加工物の約0.01〜1ミクロンの材料を固体状態からプラズマ状態に変化させ、前記材料は前記プラズマの流体力学的拡張により前記加工物から除去される手段と、を有する方法。 11. 金属及び合金を機械加工するための装置において、 金属及び合金からなるグループから選択される材料を含む加工物上にレーザビームを向ける手段を有し、前記レーザビームは複数のレーザパルスを含み、前記複数のレーザパルス各パルスは1Hzより大きいパルス繰返し数及び0.18〜 10ミクロンの範囲内の波長を有し、前記各パルスは10フェムト秒から100 ピコ秒の範囲内のパルス幅及び10 12 W/cm 2より大きい集束放射照度を有し、前記複数のレーザパルスの各パルスは前記加工物の約0.01〜1ミクロンの材料を固体状態からプラズマ状態に変化させ、前記材料は前記プラズマの流体力学的拡張により前記加工物から除去される装置。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】 金属及び合金の超短パルスレーザ機械加工 米国政府は、ローレンスリバーモア国立研究所の活動についての米国エネルギー省とカリフォルニア大学との間の契約No. W-7405-ENG-48に従って、本発明における権利を所有する。 発明の背景発明の分野 本発明は金属を切削するためのレーザの使用に関し、より詳細には金属の機械加工のための超短レーザパルスの使用に関する。 関連技術の説明 従来の機械的旋盤及び工作機械(例えば、スリッティング鋸)は、金属を、約100ミクロンの切溝幅で1ミリメートルのオーダー(アスペクト比<10:1) の深さで切削するために効果的である。 このレベル未満では、切削又は高精度機械加工(彫刻、ドリル加工)のためには典型的に電子ビーム又はレーザのツールが使用される。 電子ビーム及び既存の工業用レーザ技術は従来の熱プロセスにより材料を除去し、そのプロセスにおいては除去すべき材料は融点又は沸点まで加熱される。 有機(及び、ある無機)材料中の分子解離によるレーザ処理は、エクサイマーレーザを使用して達成することができるが、この光解離のメカニズムは金属には適用できない。 電子ビーム又は現在の最新技術のレーザにより達成されるのと同様に、局部的熱処理における基礎的相互作用は、入射ビームからのエネルギーが熱の形態で関心のある材料内へ堆積することである(格子振動)。 切削の効及び質は、金属の熱機械的性質に依存して金属間で大きく異なる。 また、レーザ吸収も関心のある金属の光学的性質に依存する。 吸収されるレーザエネルギーは、吸収部分及びその近傍で温度上昇を生じさせる。 温度が融点又は沸点まで上がり、従来の溶解又は気化により金属が除去される。 レーザのパルス幅に依存して、照射領域内の温度上昇が非常に早くなり、熱的な切除及び衝撃を生じる。 局部的な熱応力が材料の降伏応力より大きくなるという事実に起因して、照射領域は気化し又は単純に切除される(熱衝撃)。 熱的メカニズムによって材料が除去されるこれら全ての場合において、材料が除去された部分の周囲の材料に衝撃が加わる。 周囲の金属は大きな温度暴走又は衝撃を経験し、しばしば材料の性質に重大な変化が生じる。 これらの変化は、結晶粒組織の変化から実際の組成変化にまで渡る。 そのような組成変化は酸化を含む(合金の場合、空気中で切削されれば、合金の組成変化を生じる)。 この影響を受ける領域は、金属の熱機械的性質、レーザパルス幅及び他の要因(例えば能動的冷却)に依存して数ミクロンから数ミリメートルにわたる。 多くの応用において、熱又は衝撃の影響を受けた領域の存在は、その領域の材料の性質が材料の大部分の性質と全く異なるため、厳格に制限的である。 さらに、数十ミクロンのオーダーの形態を有する装置は、機械加工中に材料に誘導される熱応力に耐えることができない。 わずかな熱応力又は衝撃でさえも、関心のある形態を破壊することができる。 高精度応用における従来のレーザ又は電子ビーム処理の別の制限は、再堆積又は再凝固した材料の存在である。 先に述べたように、切削又はドリル加工は、関心のある材料の溶解又は気化のいずれかにより生じる。 除去される領域近傍の面は相当な熱負荷を受け、しばしば溶解する。 この溶解は、図1Aに示すように、 凝固前の流れに伴う。 これにより、切溝の周囲にスラグの堆積を生じさせることがある。 多くの高精度応用において、スラグの存在は容認できないものである。 従来のスラグの堆積を回避できる場合、気化した材料の切溝の壁部上又は頂面上への再堆積が一般的である。 ビームは下部の大部分の材料との相互作用する前にこの濃縮物を再度除去しなければならないため、この濃縮物は切削の質を低下させ、切削効率を低下させる。 図1Aは、1nsecより大きいパルス幅で動作する従来の赤外線( 1053nm)レーザを使用したステンレス鋼の切削の平面図である。 従来の方法による、再凝固した溶融材料(スラグ)の存在及びレーザ切削を示す不適当な単一経路の切削の質が容易に理解される。 切削プロセスを補助する2次的手法の使用により、これらの多くの制限を減らすことができる。 これらの最も一般的なものは、レーザパルス中又はその直後に関心のある材料を能動的冷却すること、及び、再堆積を防止するために切削部付近から気化又は溶融材料を除去する高圧ガス噴射を使用することである。 これらの手法は切溝を改善するために効果的であるが、システムの複雑さの相当な増大及び切削効率の頻繁な低下を犠牲にする。 発明の概要 本発明の目的は、金属及び合金のレーザ切削/機械加工方法を提供し、その方法は非常に高精度で高い機械加工速度を提供し、熱による影響を受ける領域が無視でき、切溝の周囲の材料への改変が無い。 その方法は、高い繰返し数(0.1〜100kHzを超える)で送られる非常に短いレーザパルス(10フェムト秒から約100ピコ秒)の使用を伴う。 レーザエネルギーの吸収メカニズムは長いパルスのレーザの場合と同様であるが、短いパルス幅(100psec未満)は単純で顕著な長所を提供する。 パルス中の熱侵入度L thが1ミクロン未満となるようにパルス幅を調整することにより、関心のある体積からの衝撃又は熱伝達のいずれかによるエネルギーの非常に小さい移動を伴って、非常に少量(0.1〜1ミクロン)の材料をレーザパルス毎に除去することができ、ここでL th =2√ατである(α=k/ρc pは熱拡散係数であり、kは熱伝導率であり、ρは密度であり、c pは熱容量であり、τはレーザパルス幅である)。 これは、非常に高精度の機械加工を提供し、熱又は衝撃により影響を受ける領域は無視できる(サブミクロン)。 例えば、タイプ304ステンレス鋼は、約5nmの光学的侵入度と比較して、100フェムト秒のパルスについて1.5nmの熱侵入度を示すに過ぎない。 この場合、レーザの電界は、パルス中に熱波よりも深く鋼に侵入する。 従って、材料の除去の深さは単にレーザの強度及び波長、並びに金属の吸収及び熱容量により決定される一熱伝導及び熱衝撃の影響は取り除かれる。 これら超短パルスを使用することにより達成される、関心のある体積を超える重大なエネルギー堆積の欠如は、機械加工される部分の外部冷却の必要なしに、 高い繰返し数(0.1〜100kHz)のレーザの使用を可能とする。 非常に小さい深さの材料のみがパルス毎に除去されるけれども、高い繰返し数は非常に高い切削速度(毎秒深さ1mmを超える)を可能とする。 これら超短パルスによる切削の質及び切削効率は、従来の長パルスレーザについて達成可能なものより大幅に高い。 これは、2つの重要な特徴から生じる:1 )パルス中の熱伝導が無視できるので、関心のある領域から遠ざかるエネルギー損失がほとんど無いこと、及び、2)パルス中に材料の気化又は移動が無いこと。 これらの特徴の第2番目は、迫加の説明を要するであろう。 パルスの間、気化した材料の流体力学的拡張のための十分な時間は無い。 その結果、レーザパルスはパルス期間に固体面と出会い、固体密度材料内にエネルギーを堆積し、深さを沸点(典型的にはイオン化点を超える温度)より遙かに高い温度へ上昇させる。 パルスが終了すると、沸点より上へ上昇した深さは、初期温度により決定される拡張速度で表面を離れる。 拡張プラズマの典型的温度は1〜100eVであり、入射レーザ放射照度I(W/cm 2 )とレーザ波長の平方λ 2 (μm)との積により決定される。 高いプラズマ温度は、気化した材料が壁上に再堆積することなく切溝から完全に除去されることを確実にする。 この材料は、0.01〜10ミリ秒後に次のレーザパルスが到来する前に除去される。 例えば、1キロヘルツの繰返し数で動作しているなら、10 5 cm/secの低い拡張速度を有する拡張蒸気でさえ、次のパルスの前に面から1メートル遠くにある。 従来のナノ秒又はマイクロ秒のレーザでは、レーザパルス中に蒸気が発達する。 入射レーザ光が蒸気により錯乱及び吸収されるために、これはレーザ光の固体面への結合を減少させる。 この問題は、本発明の非常に短いパルスを使用することにより完全に克服される。 金属の高精度機械加工は世界的な非常に大きな産業である。 この産業は新しい応用、特に頻繁に出現する半導体プロセス及びディスプレイ技術において成長を続けている。 従来の機械旋盤及び工作機械は約100ミクロンまでの切溝幅の切削応用について効果的である。 このレベル以下では、切削又は高精度機械加工( 彫刻、ドリル加工)については典型的に電子ビーム又はレーザツールが使用される。 電子ビーム及び既存の産業用レーザ技術の両者は、従来の熱プロセスにより材料を除去し、その従来の熱プロセスでは除去すべき材料を融点又は沸点まで加熱する。 周囲の材料の温度は、関心のある領域からの標準的熱伝導により決定される。 小スケールの形態(100ミクロン未満)は容易に達成できるが、それらはしばしば再凝固した材料(スラグ)及び熱により重大な影響又は衝撃を受けた領域により取り囲まれ、しばしば後処理(例えばアニール、電子研磨、など)を必要とする。 この熱により影響を受けた領域は機械加工された面の近傍の材料の性質を変化させ、しばしば材料の強度を低下させ、合金の場合には材料の組成を変化させる。 本発明は、除去すべき領域を固体状態からプラズマ状態へ非常に迅速に変化させるので、除去される材料の深さを超える重大な熱伝達のための十分な時間は存在しない。 これは、本質的に熱の影響を受ける領域無しに金属又は合金の非常に高精度の機械加工を実行する能力をもたらし、機械加工プロセス中にその部分を冷却する必要性をなくす。 プラズマの流体学的拡張は、ガス流などの材料の除去を補助する補助的なソースの必要性をなくす。 本発明は、それに限定されるものではないが、高精度(100ミタロン未満) 又は遠隔機械加工(切削、ドリル加工、又は彫刻)を要する応用を可能とし、残りの材料(結晶粒組織、合金の組成、材料の強度、他)に変化を生じない。 具体例は、小型歯車及びバルブ、挿入可能な医療用装置の製造、並びにディスクパターンニングを含む。 図面の簡単な説明 図1Aは、1nsecより大きいパルス幅で動作する従来の赤外線(1053nm)レーザによるステンレス鋼の切削の平面図を示す。 図1Bは、図1Aと同様にステンレス鋼の平面図であるが、本発明の方法により切削されたものを示す。 図2Aは、8nsecより大きいパルス幅で動作する従来の可視(532nm)レーザによるアルミニウムの切削の側面図を示す。 図2Bは、本発明の方法によるアルミニウムの切削の側面図を示す。 図3は、本発明で使用可能なレーザのブロック図を示す。 図4は、本発明で使用可能な模範的なレーザシステムを示す。 図5は、パルス毎に除去されるステンレス鋼材料の深さを、120fsecのパルス幅についてのレーザ流束量の関数として示す。 図6は、種々の厚さのステンレス鋼の切削に要する時間を、固定流束量12J/ cm 2でのパルス幅の関数として示す。 発明の詳細な説明 本発明は、切除される材料の除去により相互作用点から約1ミクロン(ある金属ではこの距離を0.1ミクロン未満とすることができる)を超える深さまでの全ての材料が実質的に影響を受けないようにしつつ、イオン化プラズマを作るように10フェムト秒から100ピコ秒までのパルス幅のレーザパルスを関心のある部材の面上に集束させて金属又は合金を機械加工(切削、ドリル加工及び彫刻)する方法を含む。 本発明では、10フェムト秒から約100ピコ秒の期間内に10 12 W/cm 2を超える集束放射照度を作ることが可能なあらゆるレーザシステムを使用することができる。 イオン化プラズマを作るのに十分に高いピーク放射照度(ワット/cm 2 )を達成するようにビームが集束されるならば、あらゆる波長のレーザ源を使用することができる。 本発明のレーザシステムの実施形態は、1ヘルツから2キロヘルツを超える可変パルス繰返し数で約30フェムト秒から100ピコ秒の選択的に可変なパルス幅を有するパルス出力ビームを作る。 レーザシステムから得られるパルス毎のエネルギーは、1マイクロジュールから5ミリジュールを超え(繰返し数は2kHz未満)、約3ミクロンから1センチメートルを超える可変スポットサイズを有するビーム内で運搬可能である。 これらのパラメータは全ての種類の材料の切除に特に効果的であることが示されている。 図1Bは、図1Aと同様にステンレス鋼の平面図を示すが、本発明の方法により切削されたものである。 パルス幅は350フェムト秒、レーザ波長は1054nmであった。 ステンレス鋼面上の流束量は、4×10 13 W/cm 2にの放射照度に対応する14J/cm 2であった。 溶融又はスラグの形跡は無い。 切削面の質は、その後の研磨を行わない場合に従来の機械的方法で達成可能な程度より良好であった。 図2Aは、8nsec未満のパルス幅で動作する従来の可視(532nm)レーザにより切削されたアルミニウム片の側面図を示す。 熱の影響を受けた領域が切溝を超えて材料内に延びていることが図からわかる。 この熱により影響を受けた領域は、材料の結晶粒組織を変化させ、切削の質を低下させる。 図2Bは、本発明の方法により切削されたアルミニウム片の側面図を示す。 パルス幅は350フェムト秒、レーザ波長は1054nmであった。 鋼面上の流束量は、放射照度約2×1 0 13 W/cm 2に対応する約6J/cm 2であった。 溶解又はスラグの形跡は無い。 熱又は衝撃の影響を受けた領域の形跡は無く、大部分の材料の結晶粒組織は切溝から0.5ミクロン未満で維持されている。 以下に詳細に説明するように上記のパラメータの範囲内で動作可能なあらゆるタイプのレーザシステムを本発明の実施において使用することができるが、レーザシステムは好ましくは図3にブロック形式で示され、最終的に望ましいパルス幅と等しいか短いパルス幅のパルスを生成するためのモード同期発振器10から始まる。 100フェムト秒のパルスを生成する商業的発振器を本発明に従って使用可能である。 ここに記載される別の使用可能なレーザシステムは、20フェムト秒のパルスを生成するカスタムビルト(custom-built)発振器である。 その発振器は、レーザ材料としてチタンをドープしたサファイヤを使用し、モード同期のためにカー効果を利用する。 しかし、望ましい幅のパルスを生成可能なあらゆるレーザ材料及びモード同期メカニズムを使用することができる。 これらの発振器から生成されるパルスは非常にエネルギーが低く、1ナノジュールのオーダーである。 これらの低エネルギーパルスは1000を超える係数による増幅の前に、時間的に伸長される。 増幅前のパルス伸長は、強いパルスによるレーザ増幅器の損傷を防止するために必要である。 この伸長は、パルスを分散性光学的デバイスに通過させることにより達成される。 分散性光学的デバイスは、その装置を通過するのに要する時間が光の周波数の関数であるものである。 これは最も一般的に光学的経路長が周波数の関数であるデバイスにより達成することができる。 例はファイバを通過する伝搬を含み、そこで周波数ωに対する光学的経路長の変化は屈折率n(ω)の周波数依存性により与えられ、即ち、L opt =n(ω)L fiberである。 回折格子を使用するパルス伸長器によってさらに高い分散を達成することができ、そこではレーザパルスの異なる周波数成分が、格子の分散により決定される物理的に異なる経路を通過し、mλ=sin(θ in )+sin(θ out )であり、λはレーザ光の波長であり、θ in及びθ outはそれぞれ回折格子からの入射角及び出射角である。 本システムでは、1ミリ当たり1800個の溝を有する回折格子、焦点距離が1mの凹型球面レンズ、及び1組の再帰反射型ルーフミラーを使用する装置がパルスを100fsecから約500psecに伸長し、約5000の伸長比を達成する。 伸長されたパルスは、次段で数オーダーの大きさによりミリジュールレベルまで増幅される。 ここでは多種のレーザ増幅器を使用することができるが、図3に示すように、好ましい実施例は再生増幅器14である。 これは、パルスが単一の増幅媒質を通じて多数の経路を作ることが可能なデバイスである。 本実施形態で使用する再生増幅器は、利得媒質(gain medium)としてチタンをドープしたサファイヤを利用する。 しかし、短パルスの帯域をサポートするために十分な帯域を有するあらゆるレーザ材料を使用することができる。 発明者が使用した具体的なレーザ材料は、クロムをドープしたLiSrAlF 6 、ネオジミウムをドープしたガラス、ネオジミウムをドープしたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(Nd:YAG)、ネオジミウムをドープしたイットリウム・リチウム・フッ化物(Nd:YLF)、及び、イッテルビウムをドープしたイットリウム・アルミニウム・ガーネット(Yb:YAG)を含む。 図3に示すシステムにおいては、チタン:サファイヤの短いアッパーステート(upper-state)寿命に起因してチタン:サファイヤの利得媒質をポンプするための第2のレーザが使用される。 周波数2倍のQスイッチネオジミウム・イットリウム・リチウム・フッ化物(Nd:YLF)レーザ又はNd:YAGレーザがポンプレーザとして使用されてきた。 チタン:サファイヤ再生増幅器をポンプするのに必要なエネルギーは典型的に再生増幅器のエネルギー出力の4倍より大きい。 このシステムの繰返し数はポンプレーザの繰返し数により決定される。 再生増幅器内におけるチタン:サファイヤ利得媒質の継続的ポンピングも示された。 この場合、 システムの繰返し数は再生増幅器内の光学的スイッチングにより決定される。 再生増幅器へ入出力するパルスのスイッチングは、ポッケルス効果又は光音響効果に基づく光学的パルススイッチング技術により達成される。 再生増幅器14は8mJまでのエネルギーのパルスを生成する。 増幅に続いて、回折格子を有する可変長パルス圧縮器によりパルスは圧縮される。 発明者等は、典型的に30フェムト秒から100ピコ秒の間で調整可能な最終パルス幅を示した。 格子圧縮器16を励起するパルスエネルギーは、格子の回折効率の結果として、再生増幅器14から出力されるパルスエネルギーから約30パーセント減少する。 増幅の前に初期短パルスが伸長され、増幅され、次に再圧縮される高ピークパワー超短パルスの生成方法は、チャープパルス増幅として当業者に知られている。 依然として図3を参照すると、オープンビームトランスポートシステム、関節腕、光ファイバ又は中空コア導波管などの輸送システム18により、レーザパルスは集束システムへ向けられる。 輸送システム18は、パルス幅の追加的な圧縮を提供するように設計することができる。 ビームの輸送は、従来技術で周知な標準的リレー望遠鏡(telescope)を含む。 集束システムは、パルスを目標材料2 4上に所望の切溝幅で集束させるための単体又は複合レンズ22、若しくは凹面鏡構成を含む。 図4の模範的なレーザシステムを参照すると、モード同期レーザ発振器40は、76MHzで1ワット未満の平均パワーを有してビーム経路42上を進む10 0fsecのパルスを生成する。 ファラデーアイソレータ44は増幅された光が発振器40に到達することを防止する。 ビーム経路42上を進むパルスは、ピックオフミラー46を通り、パルス伸長器48へ入り、そのパルス伸長器48は180 01/mmの回折格子50、(フーリエ面内の)平面鏡52及び球面鏡54から構成される。 パルス伸長器48を励起するパルスは再生増幅器56に集束し、再生増幅器56はチタン:サファイヤ媒質58、λ/4波板60、ポッケルスセル6 2、64、薄膜光子6 6、及び5メートル凹型空洞鏡68、70から構成される。 チタン:サファイヤ媒質58は、2kHz、20ワット及び527nmで動作するNd:YLFポンプレーザ71により光学的にポンプされる。 λ/4波板60と組み合わせて第1のポッケルスセルに1/4波電圧(約3500V)を発射することにより、76MHz のパルス列からの単一パルスを再生増幅器内へ切り換える。 チタン:サファイヤ媒質58を通る約20の経路を作った後、第2のポッケルスセルを1/4波電圧まで発射させることにより再生増幅器のキャビティからパルスが放出される。 このポッケルスセルを通る二重経路は、ビームの偏光を90度回転させ、するとパルスは次に薄膜偏光子によりキャビティ外へ向けられる。 再生増幅器の後、パルスは標準ビームトランスポート光学系72により単一の回折格子圧縮器74へ向けられる。 それは次に30cmの焦点距離を有する色消しレンズ76により加工物78上に集束する。 このシステムの工作物上の放射照度は10 13 W/cm 2を超える。 本発明の中心は、集束条件が、プラズマ形成を開始させるための閾値放射照度を達成しなければならないことである。 典型的な値は、100fsecのパルスについて約10 14 W/cm 2である。 これは図5に示され、図5ではパルス毎に除去される材料の深さが、ステンレス鋼内の120fsecのパルスについてのレーザ流束量(J/cm 2 )の関数として示されている。 データは、導波管効果の制限無しで採取された(140ミクロンの厚さのステンレス鋼)。 図中の挿入はビームの入射角と偏光を示す。 図は、その部分でレーザ線束量が約5J/cm 2を超えるまでは切除は小さいことを示している。 約4J/cm 2未満では非常に低い切削速度が達成される。 パルス毎に除去される材料の深さは、4と10J/cm 2の間で迅速に増加して1パルス当たり約0.4mmになる。 次に、切削深さは全ての偏光について飽和し、15J/cm 2を超えて増加することはない。 飽和レジーム内及びそれを超えると、レーザ放射照度のさらなる増加はプラズマの温度の増加に向けられ、薄い試料についての切削速度にはほとんど影響を与えない。 スポットサイズは、最適な集束から目的物を遠ざけること、又は集束要素を変更することにより容易に調整することができる。 これらの全ての集束手法は当業者に周知である。 厚い材料を高いアスペクト比で切削する時(厚い材料への薄い切溝、例えば1 mmの厚さの鋼についての50ミクロンの切溝)、切溝上への再堆積を防止するために、十分に高いプラズマ温度を達成するのに飽和レベルを超える放射照度がしばしば要求される。 これは2つの要因による。 第1に、高アスペクト比の切削では、切溝自体が導波管として作用する場合がある。 これは、レーザ光の空間的分布を再整形すると共に、切溝の底に到達する強度を減少させる。 その結果、切溝の底に入射する線束量は、部分的表面上に入射する線束量よりも実質的に少ない。 第2に、プラズマが表面から広がると、それは冷却される。 第2に、切溝の底における放射照度が十分に高く十分な高温を確保するようにして、プラズマが広がり、冷却された場合に、プラズマが出てゆく際に切溝の壁上で凝縮しうる点まで冷却されないようにしなければならない。 この高い放射照度は、固定線束量でパルス幅を短くするか、又は固定のパルス幅で線束量を増加させることにより達成することができる。 図6は、固定線束量12J/cm 2において種々の厚さのステンレス鋼を切り進むための所要時間をパルス幅の関数として示す。 レーザのパルス繰返し数は1kHzであった。 より厚い材料について、図は、パルス幅が短くなった時に切削時間の劇的な改善を示している。 本発明においては、0.25から10ミクロンを超えるあらゆるレーザ波長を使用することができる。 実施への変形において使用されるレーザは、光学系の単純な変更、並びにパルス伸長器及び圧縮器内の回折格子の角度の多少の調整により、約780〜1000ナノメートル(nm)を超える継続的に調整可能な出力を作り出すことができる。 特定の金属についての切削効率を最適化するために、第2高調波への変換によって400〜500nmでシステムを動作させることができる。 第2高調波(400〜500nm)における動作は、圧縮後にビームを薄い非線形晶(例えばカリウム二水素リン酸塩(KDP)、 リチウムホウ酸塩、b−バリウムホウ酸塩、など)に通過させることにより達成される。 水晶は、タイプI又はタイプII位相整合について切削することができ、典型的には長さが0.1と4ミリメートルの間である。 本発明の視野から外れること無く、具体的に記述した実施形態の変化及び変更を行うことが可能であり、本発明は添付の請求の範囲によって限定されることが意図される。

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