変換装置内蔵モータ、このモータを内蔵した空気調和機、給湯器、および換気送風機器

申请号 JP2014519784 申请日 2012-06-08 公开(公告)号 JP5791798B2 公开(公告)日 2015-10-07
申请人 三菱電機株式会社; 发明人 山田 倫雄; 篠本 洋介; 麻生 洋樹; 石井 博幸; 尾屋 隼一郎;
摘要
权利要求

電圧をステータへ供給する半導体モジュールが実装された基板を有する電変換装置を内蔵したモータであって、 前記基板には、前記半導体モジュールの高圧回路グランドと、前記半導体モジュールの低圧回路グランドと、が設けられ、 前記高圧回路グランドと低圧回路グランドとは、抵抗体を介して一点で接続されている電力変換装置内蔵モータ。前記抵抗体は、前記基板のステータ側に配置されている請求項1に記載の電力変換装置内蔵モータ。前記半導体モジュールは、複数の半導体素子が形成された半導体チップを有し、 前記半導体チップは、ワイドバンドギャップ半導体によって構成されている請求項1または2に記載の電力変換装置内蔵モータ。調和空気を設置室内に吹き出す室内機と、 前記室内機内に設置され、前記室内機の吹出口から前記調和空気を送り出す室内送風機と、 前記室内機と冷媒配管によって接続され、外気と熱交換を実施する室外機と、 を備え、 前記室内送風機には、請求項1から3のいずれか1つに記載の電力変換装置内蔵モータが設けられている空気調和機。調和空気を設置室内に吹き出す室内機と、 前記室内機と冷媒配管によって接続され、外気と熱交換を実施する室外機と、 前記室外機内に設置され、外気を前記室外機内に送り込む室外送風機と、 を備え、 前記室外送風機には、請求項1から3のいずれか1つに記載の電力変換装置内蔵モータが設けられている空気調和機。冷媒によりを加熱するための送風機に、請求項1から3のいずれか1つに記載の電力変換装置内蔵モータが設けられている給湯器。冷媒により水を加熱するための流体ポンプに、請求項1から3のいずれか1つに記載の電力変換装置内蔵モータが設けられている給湯器。室内空気を室外に吹き出す換気送風機器であって、請求項1から3のいずれか1つに記載の電力変換装置内蔵モータが設けられている換気送風機器。

说明书全文

本発明は、半導体モジュールを用いた電変換回路基板によって構成された電力変換装置を内蔵したモータ、このモータを内蔵した空気調和機、給湯器、および換気送風機器に関する。

近年、高圧の電力変換回路とステータとを接続し不飽和ポリエステル樹脂等の熱硬化性樹脂で成形された駆動回路内蔵モータが空調用送風機に多く用いられている。モータ駆動のための直流電源は、最大325Vと高圧化している(例えば下記特許文献1)。また、空調機器は、電源事情の悪い地域での利用も多く、上記直流電源の電圧の最大値がさらに増加する方向である。

また、集積回路(以下、ICと略す)を封止するパッケージは、小型化が進み、面実装に対応するパッケージも多く使われるようになった。特に、モータ内部の電力変換装置に実装されるICは、小型化の要求から上記の面実装対応のパッケージが使われる例が増えている(例えば下記特許文献2)。ただし、空調用送風モータ等で使われるICには、比較的大きな許容消費電力が要求されるため、この許容消費電力に伴い生じる熱を効果的に放熱するため、実装には工夫が必要となる。

また、モータのインバータ回路には、当該回路の高電位(直流電源の正極)側に接続され当該回路に異常電流が発生したときに溶断する抵抗体や、当該回路の低電位(直流電源の負極)側に流れる電流を検出するためのシャント抵抗などが設けられている。ただし、このように構成されたインバータ回路では、異常電流がシャント抵抗にも流れるため、シャント抵抗が異常電流によって焼損(断線)した場合、本来は低抵抗であるシャント抵抗が高抵抗になる可能性がある。そうすると、インバータ回路内では異常電流の原因が解消されていないにも係わらず、シャント抵抗によってインバータ回路の高電位側から低電位側への電流の流れが阻害される。従って、インバータ回路の高電位側に接続されている抵抗体には、当該抵抗体を溶断するような電流が流れなくなり、当該抵抗体が溶断されない状態が続くことになる。すなわち、インバータ回路内で発生する異常電流によって、シャント抵抗が焼損した場合、抵抗体が溶断されないため、インバータ回路には、異常電流に対応する電圧が継続して印加されるため、インバータ回路の構成部品やモータ等に損傷を与える可能性がある。

このような問題を解決する手段として、下記特許文献1に示される電力変換装置では、インバータ回路の高電位側に接続される所定以上の異常電流が発生した場合に溶断する抵抗体と、インバータ回路の低電位側に接続されたシャント抵抗と、シャント抵抗に並列に接続され異常電流が流れたときにシャント抵抗をバイパスするバイパス回路と、を有して構成されている。そして、インバータ回路に異常電流が発生した場合、異常電流がバイパス回路に電流が流れるため、シャント抵抗の焼損が防止される。従って、シャント抵抗が焼損して高抵抗になることが抑制され、安価な抵抗体を用いても抵抗体を溶断させることが可能である。その結果、インバータ回路を電源側から遮断することができ、インバータ回路の構成部品やモータなどに異常電圧が印加されることを防止することができる。

特開2011−61907号公報(段落「0059」、図1、図3)

特開平5−91708号公報(段落「0011」〜「0013」、図4)

特開2010−88233号公報(段落「0006」、図1、図2)

しかしながら、上記特許文献1で示される電力変換装置は、電力変換回路の主要な部分を集積したICがリードタイプであるため、基板実装に人的工程が必要であるといった問題点があった。また、プリント基板上のICの配置位置が反ステータ側であるため、回路が厚くなるといった問題点がある。さらに、IC内のインバータ回路が上下短絡故障を起こした場合、破損するICの高圧電源端子とその周辺の基板銅箔が反ステータ側に設けられているため、IC破壊の影響がモータ外部に及ばないよう反ステータ側のモールド樹脂の肉厚を大きく取る必要があり、モータが大型化するという問題があった。

また、上記特許文献2で示される電力変換装置は、ICおよび基板が面実装化され半田面積がかせげないため、リード実装に比べてプリント基板との機械的接続強度が弱くなるという問題があった。また、上記特許文献2で示される電力変換装置では、スイッチングパワー素子の半導体チップが直接プリント基板と機械的に接続されることから、チップ放熱のために樹脂基材を用いたプリント基板ではなく、金属や焼結基材を用いた基板を用いる必要があるため、高価になるという問題があった。また、前記の放熱性の高い基板(金属や焼結基材を用いた基板)では一般的に片面配線となることから、両面基板に比べ配線効率が悪く、基板面積が大きくなるといった問題もある。

一方、スイッチングパワー素子を含む電力変換主回路に面実装ICを用いて、ICパッケージに配置されたヒートスプレッダからプリント基板上の銅箔を介してICの熱を放熱する場合、IC端子からの高圧配線をIC下部およびその周辺に配置することができない。この場合、高圧配線の一部をプリント基板の反ステータ側に引き回す必要があるものの、プリント基板の反ステータ側には基板押さえ用の金型穴が配置されているなどの事情により、高圧配線の配線可能領域は非常に狭くなっている。従って、反ステータ側にしか銅箔のないプリント基板では、高圧配線を配置することができない場合があるという問題がある。

また、上記特許文献3で示される電力変換装置では、高電位側の抵抗体を溶断しやすくするため抵抗体の抵抗値を高くする必要があり、主電流のラインの抵抗値を大きくした場合、通常運転時の損失が増加するといった課題がある。するわち、インバータ回路の構成部品などに異常電圧が印加されることを防止しながらインバータ回路が正常動作しているとき流れる電流の損失を低減するというニーズに対応することができないという課題があった。

本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、小型化を図ることができると共に、インバータ回路の構成部品などに異常電圧が印加されることを防止しながらインバータ回路が正常動作している際に流れる電流の損失を低減可能な電力変換装置を内蔵したモータ、このモータを内蔵した空気調和機、給湯器、および換気送風機器を得ることを目的とする。

上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の電力変換装置内蔵モータ、電をステータへ供給する半導体モジュールが実装された基板を有する電力変換装置を内蔵したモータであって、前記基板には、前記半導体モジュールの高圧回路グランドと、前記半導体モジュールの低圧回路グランドと、が設けられ、前記高圧回路グランドと低圧回路グランドとは、抵抗体を介して一点で接続されている。

この発明によれば、高圧直流電圧が低圧回路に印加された場合でも、小電力容量の抵抗体によって短絡電流が制限されると共に、時間が経過したときにこの抵抗体が断線して高圧直流電圧が遮断されるようにしたので、小型化を図ることができると共に、インバータ回路の構成部品などに異常電圧が印加されることを防止しながらインバータ回路が正常動作している際に流れる電流の損失を低減することができる、という効果を奏する。

図1は、本発明の実施の形態1に係る電力変換装置およびそれを内蔵したモータの側断面図および上面透視図である。

図2は、本発明実施の形態1に係る抵抗体の内部構造図である。

図3は、本発明の実施の形態1に係る電力変換装置に実装されたインバータICの構成図である。

図4は、本発明の実施の形態1に係る電力変換装置のインバータICにおけるICチップの構造図である。

図5は、本発明の実施の形態1に係る電力変換装置のインバータICにおけるICチップ周辺の回路構成図である。

図6は、本発明の実施の形態1に係る電力変換装置の断面図である。

図7は、本発明の実施の形態1に係るプリント基板を1枚の基板から複数枚取り出すときにおけるメリットを説明するための図である。

図8は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機の全体外観図である。

図9は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機における室内機の横断面図である。

以下に、本発明に係る電力変換装置内蔵モータ、このモータを内蔵した空気調和機、給湯器、および換気送風機器の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。

実施の形態1. (電力変換装置60およびモータ61の構成) 図1は、本発明の実施の形態1に係る電力変換装置60を内蔵したモータ61の側断面図および上面透視図である。図1の下側には、図1の矢印Aの方向から見たプリント基板1のステータ3側(以下「ステータ側」)の面が示されている。モータ61は、主たる構成として、電力変換装置60と、ステータ3と、ロータ16と、ベアリング9とを有して構成されている。また電力変換装置60は、主たる構成として、略1/2円弧状に形成されたプリント基板1と、インバータIC2と、モータ61の各相の入力端子であるモータ端子5と、ロータ16の回転位置を検出するホール素子6と、モータ外部接続リード7と、インバータIC2の過熱状態を検知する過熱検知素子14とを有して構成されている。

モータ61の内部には、モータ61を回転駆動させるための電力変換回路を実装したプリント基板1が内蔵されている。電力変換回路の一部であるインバータIC2は、プリント基板1に実装されている。インバータIC2は、モータ61のステータ3の銅線またはアルミ線等である巻線に電圧を印加するための電圧型インバータの主回路を内蔵している。また、モータ61の内部において、プリント基板1のインバータIC2が実装される側の面には、ステータコア(図示せず)に巻線が巻かれた円環状のステータ3が配置されている。そして、ステータ3とプリント基板1は、不飽和ポリエステル等の熱硬化性モールド樹脂4によって機械的に接続されている。プリント基板1の反ステータ側の面には、このモールド樹脂4によって、ベアリングハウジング9aを構成するモータ61の外形が形成されている。

モールド樹脂4内のステータ3とプリント基板1の位置関係を正しく保つため、プリント基板1の反ステータ側の面は、符号100で示される位置に当接する金型(図示せず)で押さえられ、かつ、プリント基板1のステータ側の面は、スータ3と符号101で示される位置に当接する金型とで押さえられる。より具体的には、プリント基板1の反ステータの面は、内周側と外周側の双方(点線の丸で示される符号100の6箇所)が金型で押さえられる。また、プリント基板1のステータ側の面は、モータ端子5を介してステータ3と機械的に接続がとれているため、プリント基板1の内周側(実線の丸で示される符号101の2箇所)のみが金型で押さえられる。その上で金型に樹脂が流されてモールド樹脂4が成形される。この金型は、モールド樹脂4の成形後に取り除かれるため、符号100、101で示される場所には、プリント基板1が直接露出するような穴が形成される。

プリント基板1とステータ3は、プリント基板1からステータ3への電圧が印加されるように、半田付けによりモータ端子5によって電気的に接続されている。プリント基板1のステータ側の面には、ステータ3に囲われるように配置されたホール素子6が実装されると共に、インバータIC2近傍に過熱検知素子14が設置されている。プリント基板1の反ステータ側の面には、プリント基板1とモータ61の外部とを電気的に接続するため、モータ外部接続リード7が設置されている。このモータ外部接続リード7から外部側には、高圧入力線17および低圧入出力線18が延びている。

ステータ3の内周部には、モールド樹脂4が充填されず円筒状に中空となっているロータ貫通用穴8が設けられ、このロータ貫通用穴8には、モータ61の回転子であるロータ16が配置されている。プリント基板1の内周側には、ベアリング貫通穴10が形成されている。ベアリング貫通穴10は、ロータ貫通用穴8と連通して、ロータ16の主軸(図示せず)がプリント基板1に対して略垂直方向にモールド樹脂4内をベアリングハウジング9aまで貫通している。ベアリング貫通穴10には、ベアリング9が収納されており、ベアリング9の内輪(図示せず)には、ロータ16の主軸(図示せず)が貫設されている。

インバータIC2は、主たる構成としてヒートスプレッダ13、高圧電極11、および低圧電極12を有して構成されている。高圧電極11と低圧電極12は、インバータIC2のデュアルインライン電極を形成する。高圧電極11は、モータ61の外部で商用電源が全波整流あるいは倍電圧整流された高圧直流電圧を入力する。インバータIC2では、この高圧直流電圧が高周波電圧に変換され、高圧電極11は、この高周波電圧をモータ端子5へ出力する。なお、これらの高圧電極11は、プリント基板1上の配線(モータ出力配線105)が短くなるようにモータ端子5の設置位置を考慮して、例えば図1に示されるようにインバータIC2とプリント基板1の外周側との間に設けられている。

高圧入力線17は、モータ外部接続リード7を介して、プリント基板1のステータ側の面に設けられた銅箔である銅箔104と電気的に接続されている。銅箔104の一端は、半田によって高圧入力線17と電気的に接続され、銅箔104の他端は、インバータIC2に設けられた高圧電極11と半田によって電気的に接続されている。銅箔104と近接してプリント基板1の反ステータ側の面に設けられた銅箔であるモータ出力配線105は、一端がインバータIC2の高圧電極11内のモータ出力端子と電気的に接続され、他端がモータ端子5と電気的に接続されている。モータ出力配線105の一端は反ステータ側で接続され、モータ出力配線105の他端はステータ側で接続されている。

またインバータIC2には、高圧主回路系のグランド(以下「高圧回路グランドGP」)および低圧回路である制御回路系グランド(以下「低圧回路グランドGS」)を有する。制御系回路は、ホール素子6の出力信号に応じ高圧主回路のスイッチングパターンを決定したり、過熱検知素子14により検知された過熱状態に応じて高圧主回路の出力電流を制限するなどの機能を有する。図1に示される抵抗体Rgは、高圧回路グランドGPと低圧回路グランドGSとを電気的に接続する抵抗体である。実施の形態1では、一例として抵抗体Rgがプリント基板1のステータ側に配置され、高圧回路グランドGPと低圧回路グランドGSが抵抗体Rgを介して例えば一点接続されている。抵抗体Rgの詳細に関しては後述する。

このように、電力変換装置60は、少なくとも、プリント基板1、プリント基板1上に実装されたインバータIC2、モータ端子5、ホール素子6、モータ外部接続リード7、および過熱検知素子14を有して構成されている。そして、モータ61は、モールド樹脂4で機械的に結合された電力変換装置60およびステータ3と、ロータ16と、ベアリング9と、主軸(図示せず)とを有して構成されている。

なお、インバータIC2及び過熱検知素子14は、それぞれ本発明の「半導体モジュール」及び「過熱検知手段」に相当する。

図2は、本発明実施の形態1に係る抵抗体の内部構造図である。図2に示される各符号a〜fは、aがセラミック基板を表し、bが導体、cが抵抗体、dがオーバーコート、eが表示(カラーコードなど)、fが金属電極である。

本実施の形態では、抵抗体Rgがプリント基板1に面実装され、その後、このプリント基板1がモールド樹脂4によってモールドされる。抵抗体cはセラミック基板a、金属電極f、およびオーバーコートdで取り囲まれ、さらに薄膜のオーバーコートdの外周面にはモールド樹脂4(主にガラスを基材としたバルクモールドコンパウンド(BMC)樹脂)が形成される。そのため、抵抗体cが溶断した際の発光や発音が、モータ外部や製品外部に漏洩しにくいという効果を得ることができる。

また、このように構成された抵抗体Rgでは、抵抗体cの周囲が、ガラス(d)、セラミック(a)、および金属(f)といった不燃物で隙間無く覆われている。そのため、抵抗体cが溶断した際の温度による抵抗体Rg周辺部の変色や変形が最小限に抑えられ、この変色や変形がモータ外部から見えないといった効果を得ることもできる。

(インバータIC2の構成) 図3は、本発明の実施の形態1に係る電力変換装置60に実装されたインバータIC2の構成図である。図3には、インバータIC2の構成要素であるICパッケージ23、金属リードフレーム22、ボンディングワイヤ21、ヒートスプレッダ13、高圧電極11、および低圧電極12が示されている。ICチップ20、ボンディングワイヤ21、および金属リードフレーム22は、高熱伝導性の樹脂であるICパッケージ23によって覆われている。ICチップ20は、シリコンまたはSiC等のワイドバンドギャップ半導体によって構成されている。このボンディングワイヤ21は、金、銅もしくはアルミ等の金属線材で構成され、超音波溶融によって、その一端がICチップ20上の金属電極(後述するアルミ配線25)と電気的に接続され、その他端が金属リードフレーム22と電気的に接続されている。ICチップ20は、熱を効率的に放出するために板厚が厚く形成されたヒートスプレッダ13上に設けられ、半田付けまたは銀ペーストによって、ヒートスプレッダ13と熱的および機械的に接続されている。

インバータIC2では、ICチップ20が板厚の厚いヒートスプレッダ13上に、半田付け又は銀ペーストによって電気的、熱的、および機械的に接続されている。そのため、ICチップ20からの発熱のうち過渡的な発熱に関しては、ヒートスプレッダ13に蓄熱されてICチップ20の過渡的な温度上昇が抑制される。

また、ICチップ20、ボンディングワイヤ21、および金属リードフレーム22は、ICパッケージ23によって覆われて、インバータIC2の本体を形成している。そしてインバータIC2の本体は、その本体から延びている高圧電極11、低圧電極12、およびヒートスプレッダ13によって形成されている。インバータIC2では、ICチップ20とヒートスプレッダ13が金属リードフレーム22に近接配置され、さらにICチップ20がICパッケージ23と熱的および機械的に接続されている。そのため、ICチップ20からの発熱のうち定常的な発熱に関しては、金属リードフレーム22を介して高圧電極11および低圧電極12からICチップ20の外部に放熱され、さらにICパッケージ23を介してICチップ20の外部に放熱される。なお、ICチップ20およびICパッケージ23は、それぞれ本発明の「半導体チップ」および「熱伝導性樹脂」に相当する。

(ICチップ20の構成) 図4は、本発明の実施の形態1に係る電力変換装置60のインバータIC2におけるICチップ20の構造図である。ICチップ20には、スイッチング素子を構成する複数の半導体素子が設けられ、各半導体素子の上部には、半導体素子と外部電極(図2に示される金属リードフレーム22など)との電気的接続を得るためのアルミ配線25が複数設けられている。これらのアルミ配線25は、前述した金属リードフレーム22と電気的に接続される。ICチップ20上には、各アルミ配線25同士の絶縁をとるための絶縁性能の高い酸化シリコン膜26が形成されている。そのため、実施の形態1に係るICチップ20は、一般的なIC、すなわち複数の半導体素子を各々金属リードフレーム22に配置してボンディングワイヤ21によって各半導体素子間の電気的接続をとるICと比較して、アルミ配線25の配置に自由度がある。また、ICチップ20を用いることによって、非常に小さいスペースで高圧電極11と低圧電極12とを分離して設けることが可能である。

また、ICチップ20には、半導体素子を構成する複数の半導体単結晶島27とその周囲を覆う多結晶シリコン28との電気的絶縁をとるため、絶縁性の高い絶縁分離層29(例えば酸化シリコン)が形成されている。多結晶シリコン28は、前述したヒートスプレッダ13と熱的および機械的に接続されている。絶縁分離層29は、例えば薄膜でも絶縁性能が充分確保できる酸化シリコン(SiO2)によって構成されている。

このようにICチップ20は、絶縁性の高い絶縁分離層29を設けることによって半導体単結晶島27を同一チップ上に島状に分離して配置することができ、高圧絶縁が必要なスイッチング素子を混載することができる。また、ICチップ20は、一般的なIC、すなわち複数の半導体素子を所定の絶縁距離をとりながら配置してこれらの半導体素子を各々金属リードフレーム22に実装して成るICと比較して、小型化を図ることができるため、インバータIC2本体を小型化することができる。さらに、ICチップ20では、低圧の回路も同一チップ上に構成できることから、外部に制御用低圧チップまたは高低圧分離のためのチップが不要となり、また、それらを金属リードフレーム22およびプリント基板1上の配線によって電気的に接続させる必要がない。これにより、電力変換回路、延いては、電力変換装置60全体を著しく小さくすることができる。なお、半導体単結晶島27は、本発明の「半導体素子」に相当する。

図5は、本発明の実施の形態1に係る電力変換装置60のインバータIC2におけるICチップ20周辺の回路構成図である。高圧直流電源38は、モータ61の外部で商用電源が全波整流あるいは倍電圧整流された高圧直流電圧であり、この電圧は、ICチップ20に入力される。IGBT34は、前述したICチップ20の半導体単結晶島27に形成されたスイッチング素子であり、上アーム駆動回路35aおよび下アーム駆動回路35bによってON/OFF駆動され、入力された直流電圧を高周波電圧に変換する。なお、図5に示される6つのIGBT34にはそれぞれ還流ダイオードが逆並列に接続されている。IGBT34からの高周波電圧は、高圧電極11からモータ端子5を介して、ステータ3の巻線に印加される。

ホール素子6で検出されたロータ16の回転位置信号は、ICチップ20内部のロジック回路によって、低圧のパルス信号に変換され、回転数出力線31から外部に出力される。また、ICチップ20は、出力電圧指令入力線32を介して外部から入力される低圧のアナログ信号電圧に基づいて、前述した6個のIGBT34のスイッチングパルス幅を変化させてインバータの出力電圧を調整する。このとき、6個のIGBT34によって構成されるインバータのうち、上アームのIGBT34を駆動させる上アーム駆動回路35aの電源は、チャージポンプダイオード33並びに外部コンデンサーC1およびC2によって生成される。また、モータ端子5(図1参照)と接続されるステータ3の巻線の反対側は、中性点結線39によって電気的に接続され、スター結線モータを形成する。

過熱検知素子14には、温度に対する抵抗特性が急峻な正特性の温度抵抗素子が用いられ、過熱検知素子14は、検出した温度を抵抗値に変換する。この抵抗値は、過電流保護端子に入力される。過熱検知素子14は、過電流保護レベルに温度特性を持たせることによって、インバータIC2の過熱状態を検知して、インバータIC2およびステータ3が過熱状態になったことを検出する。この場合、インバータIC2は、高圧電極11を介してステータ3に供給される電流を制限または停止して、過熱によるインバータIC2等の破壊を防止する。

また図5に示される低圧回路グランドGSは、低圧回路である制御回路系のグランドであり、例えばプリント基板1のステータ側に設けられている。この制御系回路は、ホール素子6の出力信号に応じて高圧主回路のスイッチングパターンを決定する機能や、過熱検知素子14により検知された過熱状態に応じて高圧主回路の出力電流を制限する機能などを有する。また高圧回路グランドGPは、インバータIC2の高圧主回路系のパワーグランドであり、例えばプリント基板1のステータ側に設けられている。高圧回路グランドGPと低圧回路グランドGSは、抵抗体Rgを介して例えば一点接続される。図5の例では、ICチップ20の「GL」端子がグランド(GS)に接続されているが、抵抗体Rgの一端はこのグランドに接続され、抵抗体Rgの他端は高圧回路グランドGPに接続されている。また、図4に示されるRsは、電流検出用のシャント抵抗であり、そのサイズは、3216(電力定格:1/4W)タイプ、その並列配置もしくはリードタイプ(例えば1/2W〜2Wタイプ)である。

本実施の形態で用いられる抵抗体Rgは、1608(1/16W)〜2125(1/8W)タイプのチップ抵抗であり、シャント抵抗Rsに対してサイズおよび電力定格の小さいものを用いる。また抵抗体Rgの抵抗値は、高圧直流電源38からICチップ20の高圧電源入力Vs1、Vs2に至る高圧電力配線の抵抗値、ICチップ20内部のリードフレーム(図示せず)抵抗値、もしくはボンディングワイヤ21の抵抗値と、同等もしくは大きい値とする。

ここで、異電圧投入やサージ電圧発生等によりICチップ20のIGBT34が上下短絡故障モードとなったとき、電力変換回路では、まず電力配線上で最も抵抗値の高いシャント抵抗Rsがオープン故障となる。その場合、高圧直流電源38の電圧がICチップ20に集中し、ICチップ20内部で高圧直流電源38と低圧回路が導通する。この場合、低圧回路に高圧直流電圧が印加され、低圧回路に電力集中が発生する。そのため、低圧回路に接続される部品(ホール素子・過熱保護回路等)が破壊されるなどして、その破壊時の発音や発光が懸念される。

本実施の形態では、低圧回路グランドGSと高圧回路グランドGPとが、通常の電力ラインの抵抗値と同等もしくはそれ以上の抵抗値を持ち、かつ、小電力容量の抵抗体Rgを介して、一点接続されている。そのため、前述した低圧回路が破壊される前に抵抗体Rgが短絡電流を制限する。さらに時間が経過したとき、電力集中が発生した抵抗体Rgが断線し、高圧直流電圧が遮断される。

また本実施の形態では、図1に示すように抵抗体Rgをプリント基板1のステータ側に、面実装部品として配置することで、他の面実装部品と同時に抵抗体Rgを実装でき、かつ、モールド表面から遠い位置に抵抗体Rgを配置することができる。すなわち、反ステータ面に抵抗体Rgを実装されている場合におけるモールド樹脂4の表面から抵抗体Rgまでの距離と、ステータ面に抵抗体Rgが実装されている場合におけるモールド樹脂4の表面から抵抗体Rgまでの距離とを比較したとき、後者の距離は前者の距離よりも長くなり、相対的にモールド樹脂4の肉厚が厚くなる。従って、抵抗体Rgが溶断した際の発音や発光がモータの外部からわかりにくくなる、という効果を得る事が可能である。

また抵抗体Rgは、インバータ回路が正常動作しているとき流れる電流(以下「通常時の電流」)の電流値は5〜50mA程度である。このような電流が低圧回路のグランドラインに流れることから、同一の抵抗値の抵抗体を高圧配線側に設ける場合に比べて、低電力容量の抵抗体Rgを用いることができる。

また高圧側に高い抵抗値の抵抗体を挿入する必要がないため、通常時の電流が流れているときにおける電力変換回路の損失を低減することも可能である。

このように実施の形態1にかかる電力変換装置60では、低圧回路グランドGSと高圧回路グランドGPとが、小電力容量、かつ、通常の電力ラインの抵抗値と同等もしくはそれ以上の抵抗値の抵抗体Rgを介して、一点で接続されている。そのため、破壊モードにおける改善効果が大きいことがわかる。

なお、IGBT34を構成する半導体単結晶島27は、GaN(窒化ガリウム)、SiC(シリコンカーバイド)、またはダイヤモンド等のワイドバンドギャップ半導体によって構成してもよい。ワイドバンドギャップ半導体は、耐熱性および耐電圧が高く、許容電流密度も高いので、ICチップ20上に成形されるIGBT34を小型化することができ、インバータIC2の小型化を図ることができる。また、ワイドバンドギャップ半導体は、電力損失が小さいため、高効率に動作が可能なIGBT34を構成することができる。

(電力変換装置60におけるプリント基板1上の各素子の配置構成) 図6は、本発明の実施の形態1に係る電力変換装置60の断面図である。図6に示される銅箔50は、プリント基板1上の回路配線パターン、または、プリント基板1と部品とを半田により電気的、熱的、および機械的に接続させるためのランドによって形成されている。プリント基板1のステータ側の面には、銅箔50を介してホール素子6、過熱検知素子14、およびインバータIC2が配置されている。インバータIC2は、高圧電極11および低圧電極12を介して半田によって銅箔50に接続されている。また、過熱検知素子14は、この銅箔50を介して低圧電極12と電気的および熱的に接続されている。

スルーホール51は、プリント基板1のステータ側の面から反ステータ側の面に貫通する穴である。この穴の表面にはメッキが施され、プリント基板1のステータ側の面における銅箔50とプリント基板1の反ステータ側の面における銅箔50とは、スルーホール51に施されたメッキによって電気的および熱的に接続されている。

モータ端子5は、スルーホール51を通じてプリント基板1のステータ側の面から反ステータ側の面に貫設されている。モータ端子5は、プリント基板1の反ステータ側の面に設けられた銅箔50から糸状の半田を溶融し、スルーホール51を介してステータ側の銅箔50と電気的に接続されている。このステータ側の銅箔50は、インバータIC2の高圧電極11と接続されるため、モータ端子5は、高圧電極11と電気的に接続される。

高圧入力線17は、プリント基板1のステータ側の面に設けられた銅箔104の一端と半田によって電気的に接続されている。銅箔104の他端は、インバータIC2に設けられた高圧電極11と半田によって電気的に接続されている。なお、プリント基板1のステータ側の面において、モータ端子5の周囲に示される銅箔104と銅箔50は、図示の関係上、一つの高圧電極11に接続されているように表されているが、銅箔104と銅箔50は、各々別の高圧電極11に接続されているものとする。

モータ外部接続リード7は、外部電源(高圧直流電圧など)とインバータIC2とを電気的に接続するため、プリント基板1の反ステータ側の面に、コネクタ式ではなくリード線式として実装されている。例えばモータ61が空気調和機等に搭載された場合、モータ61の外郭に分が付着する可能性がある。モータ外部接続リード7がコネクタ式の場合、この水分がコネクタ内の高低圧電極間に付着した際、これらの電極がショートする可能性がある。モータ外部接続リード7がリード線式の場合、このようなショートを回避することができ、モータ61の信頼性を確保することができる。

ヒートスプレッダ13は、高圧電極11および低圧電極12と同様に、銅箔50と半田によって電気的、熱的、および機械的に接続されている。さらに、ヒートスプレッダ13は、スルーホール51に施された銅箔50を介して、プリント基板1の反ステータ側の面に設けられた銅箔50と熱的に接続されている。ここで、面実装のインバータIC2は、そのパッケージサイズがホール素子6および過熱検知素子14と比較して大きいことから、周囲のモールド樹脂4の成形時および成形後の熱収縮応力を大きく受けて半田切れが発生しやすい。しかしながら、ヒートスプレッダ13を半田によって銅箔50と機械的に強く接続することによって、インバータIC2は、モールド樹脂4の熱収縮応力の影響を受け難くなる。従って、実施の形態1に係るインバータIC2は、通常の回路電極(高圧電極11および低圧電極12等)のみの半田によって接続されるICと比べて、プリント基板1との機械的接続強度が飛躍的に向上し、半田切れが軽減する。その結果、モールド樹脂4で成形されたモータ61に電力変換装置60を内蔵させることが可能となる。

また、ヒートスプレッダ13は、プリント基板1のステータ側の面において銅箔50と半田によって熱的に接続され、さらに、スルーホール51を介して反ステータ側の銅箔50にも熱的に接続されている。これにより、インバータIC2で発生した熱をプリント基板1の反ステータ側に放熱することができる。

また、ホール素子6が配設されたプリント基板1のステータ側の面には、過熱検知素子14およびインバータIC2が面実装されている。このように、プリント基板1のステータ側の面に部品を面実装することによって、これらの部品は、銅箔50に塗布されたクリーム半田の再溶融による接続(リフロー半田)で、一度に電気的および機械的に接続可能である。また、プリント基板1のステータ側の面に部品を面実装することによって、プリント基板1の分割後(図7で詳説する)に半田を施す必要があるモータ外部接続リード7およびモータ端子5の接続用ランドに、半田を塗布しないこと(メタルマスクで半田の塗布を防ぐこと)が可能となる。

また、過熱検知素子14の温度検知性能の向上によって、プリント基板1の実装部品のうち、もっとも厚さのあるヒートスプレッダ13を伴ったインバータIC2を、ステータ側のプリント基板上に面実装させることが可能である。これによって、プリント基板1の反ステータ側の面におけるモールド空間に余裕ができるので、その余裕分だけステータ3を厚くして出力の大きいモータ61を得ることができ、あるいは、その余裕分を薄肉化することによって同一出力で薄型のコンパクトなモータ61を得ることができる。

なお、上記説明では、プリント基板1に対して、ホール素子6、過熱検知素子14、およびインバータIC2等の面実装部品を、リフロー半田によって半田付けする例を説明したが、フロー半田(半田槽の上にプリント基板1を流して部品と基板の接合部に半田付けを行なう手法)によって実装するものとしてもよい。

(プリント基板1の材料取りについて) 図7は、本発明の実施の形態1に係るプリント基板1を1枚の基板から複数枚取り出すときにおけるメリットを説明するための図であり、図7には、一例として1枚の基板上に、実施の形態1に係るプリント基板1を成形した例が示されている。

実施の形態1に係るプリント基板1は、ステータ3の中性点結線39(図5参照)を実装しないこと、および、1チップ半導体であるICチップ20上に複数の高圧素子が集積されたインバータIC2を用いることによって、そのパッケージを小型化している。これによって、断面積が1/2以下となる半円弧状のプリント基板1を形成することができる。このとき、プリント基板1の内径部は、ベアリング(図示せず)を設けることができるよう、半円弧状に形成されている。

従来のプリント基板は、円環状に形成されているため、プリント基板の内周部(ベアリング直径に相当する部分)にインバータIC2などの部品を配設することができない。従って、プリント基板の内周部は廃棄されていた。これに対し、実施の形態1に係るプリント基板1は、プリント基板1の内径部が半円弧状に形成されている。そのため、1枚の基板に複数のプリント基板1を成形する場合、各プリント基板1の内径部を対向させ、かつ、内径部の円弧中心を互いにオフセットさせて配置することによって、プリント基板1のプリント基板1の内周部が有効活用できる。換言すれば、1枚の基板に複数のプリント基板1を高密度で成形することができ、プリント基板1を成形するための基板の利用効率を向上させることができる。

また、従来のプリント基板は、プリント基板の内周部が円環状に形成されているため、フロー半田を用いてこのプリント基板に電子部品を接続させるとき、半田槽の半田がこの貫通部を通して吹き上がる。この吹き上がりを防止するためには、フロー半田工程前に貫通部を塞ぐための板を施す工程が必要であり、また半田工程後にはこの板を外す工程も必要となる。これに対し、実施の形態1に係るプリント基板1は、円環状の内周部ではなく半円弧状の内径部を有するため、フロー半田により半田付けする場合、前述の工程を削減することができ、安価に製造することが可能である。

以上に説明したように実施の形態1にかかる電力変換装置内蔵モータは、外部電源の電圧を高周波電圧に変換してステータ3へ供給する半導体モジュール(インバータIC2)が実装された基板(プリント基板1)を有する電力変換装置60を内蔵したモータ61であって、基板には、半導体モジュールの高圧回路グランド(高圧回路グランドGP)と半導体モジュールの低圧回路グランド(低圧回路グランドGS)とが設けられ、高圧回路グランドGPと低圧回路グランドGSとは、抵抗体Rgを介して一点で接続されているので、高圧直流電力の主配線上にシャント抵抗Rs以外に新たな抵抗体を入れなくとも、電圧サージ等の異常電圧が投入された際の発音や発光をモータ外部に漏れに難くすることができる。また、電力ラインに抵抗体を入れる場合に比べ、小さい電力容量の抵抗体でよい事からプリント基板1およびモータ61の小型化を図ることが可能である。また抵抗体Rgの溶断により電力を遮断できることから、IC内部のボンディングワイヤ21の溶断を抑制可能である。例えばインバータIC2が反ステータ側に配置されている場合(すなわち高圧配線のためのボンディングワイヤ21が反ステータ側に配置されている場合)であっても、抵抗体Rgによりボンディングワイヤ21の溶断が抑制されるため、ボンディングワイヤ21の溶断に伴う発光がモータ外部を漏れに難くすることができる。

また、実施の形態1にかかる抵抗体Rgは、プリント基板1のステータ3と対向する面に実装されているため、インバータIC2と同時に抵抗体Rgを実装できるため一回のリフロー半田で基板を製造することができ、コスト低減を図ることが可能である。また、モールド表面から遠い位置に抵抗体Rgを配置することができる。そのため、抵抗体Rgが溶断した際の発音や発光が、モータの外部に伝わりにくく、使用者への不安感を軽減することができる。

実施の形態2. (空気調和機200の構成) 図8は、本発明の実施の形態2に係る空気調和機200の全体外観図であり、図9は、同空気調和機200における室内機70の横断面図である。

図8に示される空気調和機200において、室内の壁に掛けられた室内機70は、冷媒配管90を介して、屋外に設置された室外機80に接続されている。また、室内機70には、後述する室内送風機71が内蔵されており、室外機80には、室外送風機81が設置されている。

図9において、室内機70は、主たる構成として、室内機70の上面に備えられた吸込口73と、室内熱交換器72と、室内送風機71と、吹出風路74と、吹出口75とを有して構成されている。室内熱交換器72は、室内空気と冷媒との間で熱交換を行い、室内送風機71は、吸込口73からの室内空気を吸込み、この空気を室内熱交換器72に通過させて熱交換した調和空気とした上で室内に吹出す。室内熱交換器72は、室内機70の背面上部から前面中段付近に延設され、かつ、室内機70の前面中段付近から前面下部に向けて折り曲げられ、室内送風機71の前面側を囲うように設置されている。室内送風機71は、室内機70の長手方向に延びる態様で回転可能に設けられたラインフローファンである。そして、室内送風機71の長手方向の端部には、室内送風機71を回転駆動させるために、実施の形態1に係る電力変換装置60が内蔵されたモータ61(図1参照)が連結されている。また、室内送風機71の下部には、調和空気が流通する吹出風路74が形成されている。吹出口75は、その吹出風路74を流通してきた調和空気を外部に排出するために、室内機70の下部に設けられている。

(空気調和機200の室内機70の基本動作) 次に、室内機70の基本的な動作について説明する。使用者がリモコン等を操作することによって空気調和機200の運転が開始されたとき、室内送風機71に連結されたモータ61が回転駆動し、その回転に連動して室内送風機71が回転駆動する。この室内送風機71の回転によって室内空気が吸込口73から吸い込まれる。吸い込まれた室内空気は、室内送風機71の連続的な回転によってさらに室内熱交換器72を通過し、この室内熱交換器72内部を流通する冷媒と熱交換される。室内熱交換器72は、空気調和機200が冷房運転を実施している場合には蒸発器として機能し、室内熱交換器72の内部の冷媒が蒸発するため、通過する室内空気は冷却される。一方、空気調和機200が暖房運転を実施している場合、室内熱交換器72は、凝縮器として機能し、通過する室内空気は加熱される。このように、室内機70に吸い込まれた室内空気は、室内熱交換器72を通過する際に、室内熱交換器72によって熱交換され、使用者が要求する調和空気となる。室内熱交換器72を通過した調和空気は、室内送風機71の連続的な回転によって、吹出風路74を通過して吹出口75から室内に吹き出される。また、この室内送風機71に連結されたモータ61の回転数が変化することによって、吹き出される調和空気の風量が調整される。

(実施の形態2の効果) 以上に説明したように、実施の形態2に係る空気調和機200は、特に室内送風機71へ実施の形態1に係るモータ61を搭載することによって、モータ61が小型化された分だけ室内熱交換器72のサイズを大きくすることができると共に、電圧サージ等の異常電圧が投入された際の発音や発光がモータ外部に漏れに難くすることができる。そのため、省エネ性能が高く、かつ、異常発生時における使用者への不安感を軽減することができる空気調和機を得ることができる。

また、実施の形態2に係る空気調和機200は、特に室内送風機71へ実施の形態1に係るモータ61を搭載することによって、立ち上がり時の熱交換性能を高く取ることができ、短時間で設定温度に到達し、使用者の快適性を向上させるとができる。また、モータ61の高出力化によって風速が上げられるので、室内の温度ムラを解消でき、使用者の快適性をより向上させることができると同時に、異常発生時における使用者への不安感を軽減することができる。

なお、上記で説明した図8および図9で示される空気調和機200、特に室内機70の構成は一例であり、これらによってその構成が限定されるものではない。実施の形態2の説明では、実施の形態1に係るモータ61を室内機70の室内送風機71に用いた例に関して説明したが、実施の形態2に係る空気調和機200は、これに限定されるものではなく、室外機80の室外送風機81にモータ61を用いるように構成してもよい。

また、実施の形態1に係る電力変換装置60は、全波整流あるいは倍電圧整流された高圧直流電圧を高圧直流電源38として用いている。そのため、降圧電源を用いた30V以下の低圧電源を用いた回路内蔵モータと比較して、SiやSiC素子チップ短絡故障の時のワイヤとその周辺の破壊エネルギーは、桁違いに大きい。短絡故障時の高圧配線系の抵抗値をR、直流電源電圧をVとすると、破壊時の発生熱量はV2/Rとなる。短絡故障時の抵抗は、チップ断面積の大きな高圧パワー素子の方が小さくなる方向であり、仮に同じとしても電源電圧は、5〜10倍以上の差があり、破壊のエネルギーは、25〜100倍以上となる。その結果、モータや機器の外部で発光や発音がしやすく、使用者に不安感を与えやすい。このような不安感を解消するためには、まず熱破壊を起こさないことが求められる。また、万が一素子破壊が発生した場合にも、機器の外部にいる使用者に発光や発音を認知されない構造にすることが望ましい。

本実施の形態1に係るプリント基板1では抵抗体Rgがステータ側に配置されている。そのため、高圧直流電38で駆動する高耐圧のICチップ20が破壊された際のエネルギーにより発生する音や光、すなわち樹脂穴(図1の符号100で示される金型穴など)の表面からプリント基板1までの厚みが薄い反ステータ側のモールド樹脂4を介して発生する音や光が低減され、使用者への不安感を軽減することができる。

また、上記実施の形態では、インバータの主回路に1チップインバータICを用いているが、高圧面実装タイプのマルチチップのインバータICおよびディスクリート主素子を用いても同様の効果が得られることはいうまでもない。

また、ワイドバンドギャップ半導体としては、例えば、炭化珪素、窒化ガリウム系材料またはダイヤモンドがある。このようなワイドバンドギャップ半導体によって形成されたスイッチング素子やダイオード素子は、耐電圧性が高く、許容電流密度も高いため、スイッチング素子やダイオード素子の小型化が可能であり、これら小型化されたスイッチング素子やダイオード素子を用いることにより、これらの素子を組み込んだ半導体モジュールの小型化が可能となる。またこれらの素子では、上下短絡時のON抵抗がナローギャップのSi半導体より低いため多く短絡電流が流れ、ワイヤとその周辺の損傷の度合いが大きく、銅箔をステータ面に配置した効果がより高くなる。

また、ワイドバンドギャップ半導体は、耐熱性も高いため、ヒートスプレッダ13の小型化が可能であり、また、例えば冷却方式を水冷から空冷化することも可能であるので、半導体モジュールの一層の小型化が可能になる。そのため金属リードフレーム22は、Si素子の場合に比べ短くなることから、ワイヤとその周辺の損傷の度合いが大きく、銅箔104をステータ面に配置した効果が高くなる。

なお、スイッチング素子やダイオード素子の両方がワイドバンドギャップ半導体によって形成されていることが望ましいが、いずれか一方の素子がワイドバンドギャップ半導体によって形成されていてもよく、この実施の形態に記載の効果を得ることができる。

実施の形態1、2において、素子と各金属との熱的、電気的、および機械的接続を半田により行う場合について説明したが、他の金属や導電性樹脂等の素材を用いても同様の効果が得られることはいうまでもない。

また、実施の形態1、2において、プリント基板1に銅箔50を用いた両面スルーホール基板を用いたが、他金属や絶縁素材で構成された基材や、エッチング等により回路を構成しない基板を用いても、両面配線可能であれば同様の効果が得られることはいうまでもない。

また、実施の形態1、2において、モータ搭載機器として空気調和機について説明したが、モータ61は、換気送風機器に用いてもよい。例えば、室内空気を室外に吹き出す換気送風機器のモータとしてモータ61を用いることにより、機器の薄型化や送風性能の向上等の上述同様の効果が得られることはいうまでもない。送風性能の向上は、浴室やトイレ等において短時間で湿気や臭気を排出したい場合等に特に有効である。

また、これまでの実施の形態において、モータ搭載機器として空気調和機について説明したが、モータ61は、給湯器に用いてもよい。例えば、冷媒により水を加熱するための給湯器内送風機または給湯器内流体ポンプにモータ61を用いることにより、機器の薄型化や送風性能の向上等の上述同様の効果が得られることはいうまでもない。高温高負荷性能の向上は、モータ周囲温度を高める要因となる高温の湯をポンピングする場合に特に有効である。

以上のように、本発明は、主に電力変換装置を内蔵したモータ、このモータを内蔵した空気調和機、給湯器、および換気送風機器に適用可能であり、特に、小型化を図ることができると共に、インバータ回路の構成部品などに異常電圧が印加されることを防止しながらインバータ回路が正常動作している際に流れる電流の損失を低減可能な発明として有用である。

1 プリント基板、2 インバータIC(半導体モジュール)、3 ステータ、4 モールド樹脂、5 モータ端子、6 ホール素子、7 モータ外部接続リード、8 ロータ貫通用穴、9 ベアリング、9a ベアリングハウジング、10 ベアリング貫通穴、11 高圧電極、12 低圧電極、13 ヒートスプレッダ、14 過熱検知素子、16 ロータ、17 高圧入力線、18 低圧入出力線、20 ICチップ(半導体チップ)、21 ボンディングワイヤ、22 金属リードフレーム(外部電極)、23 ICパッケージ、25 アルミ配線、26 酸化シリコン膜、27 半導体単結晶島(半導体素子)、28 多結晶シリコン、29 絶縁分離層、31 回転数出力線、32 出力電圧指令入力線、33 チャージポンプダイオード、34 IGBT、35a 上アーム駆動回路、35b 下アーム駆動回路、38 高圧直流電源、39 中性点結線、50 銅箔、51 スルーホール、60 電力変換装置、61 モータ、70 室内機、71 室内送風機、72 室内熱交換器、73 吸込口、74 吹出風路、75 吹出口、80 室外機、81 室外送風機、90 冷媒配管、104 銅箔、105 モータ出力配線、200 空気調和機、GP 高圧主回路系グランド(高圧回路グランド)、GS 低圧の制御回路系グランド(低圧回路グランド)、Rg 抵抗体、Rs シャント抵抗

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