Dental positioner

申请号 JP2001579699 申请日 2001-04-26 公开(公告)号 JP4190759B2 公开(公告)日 2008-12-03
申请人 オーレ クリスチャン アムンゼン; 发明人 オーレ クリスチャン アムンゼン;
摘要
权利要求
  • 歯科矯正治療の保定期間中、下顎または上顎の歯対(20、22)もしくは歯群を安定させるいわゆる保定を行なう歯科用保定装置であって、
    前記保定装置は保定要素対(2)を有し、
    前記保定要素対(2)は、2個の個別の保定要素(4、6)を有し、
    前記保定要素(4、6)は、使用場所において、相互接触によって協働し、
    この使用場所において、前記保定要素(4、6)の各々は、歯列弓内の隣接する2個の歯(20、22)の歯における取付け面(28、30)に個別に固定され、
    前記保定要素(4、6)の各々は、外側の面(8、10)と、ベース面(12、14)と、保定装置隣接面(16、18)を含んで形成され、
    前記保定要素隣接面(16、18)は相補的に形成され、それによって、使用場所において、関連する歯対(20、22)に協働的に接触して、それぞれを相互的に安定化する相互接触面を提供する、
    ことを特徴とする歯科用保定装置。
  • 前記保定装置隣接面(16,18)の各々は、平面状に形成されることを特徴とする請求項1に記載の歯科用保定装置。
  • 前記保定装置隣接面(16,18)の各々は、数個の非平行平面部分を有するように形成されることを特徴とする請求項1に記載の歯科用保定装置。
  • 前記保定装置隣接面(16,18)の各々は、起伏または波形状または湾曲または皺状の中の少なくとも1つの表面形状を有するように形成されることを特徴とする請求項1に記載の歯科用保定装置。
  • 前記保定装置隣接面(16,18)の各々は、平面と、起伏または波形状または湾曲または皺状の中の少なくとも1つの表面と、の組み合わせを有するように形成されることを特徴とする請求項1に記載の歯科用保定装置。
  • 前記保定装置隣接面(16,18)は、粗い表面を有するように形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項5の中のいずれか1に記載の歯科用保定装置。
  • 保定要素対(2)は、使用場所において、歯における取付け面(28,30)に向けた平面図において、楕円または略楕円の輪郭形状を有することを特徴とする請求項1乃至請求項6の中のいずれか1に記載の歯科用保定装置。
  • 保定要素対(2)は、使用場所において、歯における取付け面(28,30)に向けた平面図において、丸味をおびた四角形の輪郭形状を有することを特徴とする請求項1から請求項6の任意の1項に記載の歯科用保定装置。
  • 前記保定要素(4,6)の外側の面(8,10)は滑らかな面であることを特徴とする請求項1乃至請求項8の中のいずれか1に記載の歯科用保定装置。
  • 前記保定要素(4,6)の外側の面(8,10)は丸味をおびた形状の面であることを特徴とする請求項1乃至請求項9の中のいずれか1に記載の歯科用保定装置。
  • 前記保定要素(4,6)の各々の前記ベース面(12,14)は平面に形成され、前記ベース面(12、14)は、その表面形状または表面処理によって、前記歯における取付け面(28、30)に固定される準備ができていることを特徴とする請求項1乃至請求項10の中のいずれか1に記載の歯科用保定装置。
  • 前記保定要素(4,6)の各々の前記ベース面(12,14)は丸味をおびた形状の面に形成され、前記ベース面(12、14)は、その表面形状または表面処理によって、前記歯における取付け面(28、30)に固定される準備ができていることを特徴とする請求項1乃至請求項10の中のいずれか1に記載の歯科用保定装置。
  • 前記保定要素対(2)の保定要素(4、6)の各々には磁石が備えられ、2個の磁石は反対の極性であることを特徴とする請求項1乃至請求項12の中のいずれか1に記載の歯科用保定装置。
  • 保定要素(4、6)は、ガイドストリップ(36)に着脱可能に取付けられていることを特徴とする請求項1乃至請求項13の中のいずれか1に記載の歯科用保定装置。
  • 说明书全文

    【0001】
    (技術分野)
    本発明は、歯科矯正中あるいは他の理由のために、数本の歯を上下顎の一方または他方に保定、つまり安定させることが必要な患者に対して使用する、歯科用リテイナとも呼ばれる歯科用保定装置に関する。
    【0002】
    (背景技術)
    歯科矯正治療は、主に、能動的期間と、受動的期間とを含む。 能動的期間には、対象の歯と、これに結合する組織とを顎内の目的位置に動かす。 能動的期間の後には受動的期間が続く。 受動的期間は保定期間とも呼ばれる。 この期間中、対象の歯と、これに結合する組織とを移動先の位置に安定、つまり保定させる。 したがって、保定期間中、歯科矯正患者は、数年にわたって一日24時間または数時間、適切な保定装置を適切な位置に装着することで、移動先の歯の位置を確実に保持しなければならない。
    【0003】
    周知の技術
    周知の保定装置は、着脱可能保定装置と、固定保定装置とを含む。
    【0004】
    着脱可能保定装置は、主に、樹脂製の保定プレートで形成される。 樹脂製の保定プレートは、スチール製のブレス(かすがい)やクランプと組み合わされることが多い。 このようなスチール製の部品は、独立した保定要素としても使用できるし、ブレスに対する固定装置または補強材として使用して保定プレートを補強することもできる。 一日の一部の時間において着脱可能保定装置を使用する。 したがって、患者は保定装置の使用やメンテナンスについて説明されなければならない。
    【0005】
    一方、固定保定装置は主に歯科矯正ワイヤで形成される。 これは保定ワイヤとも呼ばれる。 このワイヤは適切な長さに切断し、問題となっている歯対や歯群に適合させる。 歯科矯正ワイヤの種類は様々で、個々のワイヤ、捻りワイヤ等があり、その断面も丸、四、長方形等であり、金属製や合金製等がある。
    【0006】
    こうしたワイヤは、例えば合成物質等の適切な歯科用ボンド材を接着剤の小さな塊の形にしたものを用いて直接歯に装着することもできるし、もっと古くからの方法では、関連するアンカー歯をとり囲んだ歯科用矯正ストリップにワイヤを半田付けし、歯科矯正ストリップを適切なボンド材によってアンカー歯に固定する。 他の方法として、留め具付きでブレスまたは棒材を一体化成形したいわゆる保定ベースと呼ばれる固定保定装置を用い、この留め具を、適切なボンド材によって関連するアンカー歯に固定する。
    【0007】
    固定保定装置は、下顎の正面部の歯列弓の内側(舌側)に使用し、上顎の正面部の歯列弓の内側(口蓋側)への使用は幾分少なくすることが好適である。
    【0008】
    周知の技術の欠点
    着脱可能保定装置を用いて良好な結果を得るためには、患者の意志と、患者が協し、保定装置を正しく維持する能力とに完全に依存する。 また、保定プレートは、経年にわたっては正しい歯の位置を維持しないという点で、精度がよくない。 したがって、何回も局所的に設定をやり直す必要がある。 更に、プレートは装着心地が悪く、壊れ易いかもしれないので、数年におよぶ保定のために着脱可能保定プレートを用いることは不適切である。
    【0009】
    しかし、固定保定装置を用いると、歯の衛生面の点で好ましくない結果になり、歯の衛生手段を用いる場合に、歯とボンド材との間を不注意で破壊してしまうかもしれない。 上述のように、固定保定装置は下顎の正面部に使用することが好適である。 この領域内の歯の位置は通常、他の領域内のそれよりも不安定であり、同時に、下顎の正面部の舌側の領域は歯垢や歯石が溜まり易い場所でもある。
    【0010】
    固定保定装置は、これが設けられる領域内において、歯から歯へと継続的に装着されるので、通常の歯科用衛生製品であるデンタルフロスや楊枝等が使用できない。 つまり、歯頚部を掃除するために隣接する歯と歯の間に通常の方法でフロスを挿入することができないので、デンタルフロスを使用できない。 もし使用するのであれば、患者はデンタルフロスを保定ワイヤの下に通さなくてはならない。 これは技術的に難しいので実際には不都合である。 一方、楊枝を使って歯と歯の間を清掃することは患者にとって容易ではあるが、楊枝を使用することは、同時に、深刻な不都合を生じるかもしれない。 つまり、歯と歯の間に楊枝を挿入すると、歯が押され、隣接する歯同士が幾分引き離されるように歯の間が拡張させられる。 その結果、この拡張力によって保定ワイヤが伸ばされ、ワイヤの固定点に力が加わる。 これによって、ワイヤと歯の間のボンド材が破壊されるか、緩くなるかもしれない。 すると、保定装置の全体または一部が、固定したい歯から緩んでしまう。 さらに、子供や若者が楊枝を使うと、固いまたは柔らかい組織を損傷することがあるので、この年代の患者には楊枝を使うことを勧めない。
    【0011】
    固定された保定ワイヤを使う場合、固定したい対象の歯群、つまり保定部分の各々の歯にワイヤを接着することで、所望の歯の位置が最も良好に保たれる。 しかし、1個以上の固定点から固定ワイヤが緩みだすことは多々あり、これは患者や歯医者によっても発見され難いかもしれない。 対象の歯が所望の位置から多少ともずれてしまうまで気が付かない場合も多々ある。 こうなると、短期的には悪い治療結果となり、長期的には、噛み合せの安定という点でより悪い予後となる。
    【0012】
    保定ワイヤは、通常、合成物質によって歯に固定される。 これは、十分な量の合成物質を保定ワイヤの周囲と、個々のアンカー歯の表面とに塗布して行なう。 その結果、この合成物質が硬化すると、多様な広がりや突起を有する接着剤の塊として歯の面上に残る。 これも都合が悪い。 なぜならば、粘着物の塊の表面は粗くて穴があるので、歯垢が溜まり易く、やがて歯石が形成される。
    【0013】
    衛生処理のためのアクセス性が悪くなり、固定された保定装置が不用意に緩むことによる不都合は、良好な歯科衛生措置や長期間の保定が、通常は子供や若者より厳しく求められ大人の患者において、より大きくなる。
    【0014】
    (発明の開示)
    発明の目的
    本発明は、保定部分の歯対または歯群を安定させるだけでなく、歯ブラシ、デンタルフロスまたは楊枝を使用して歯間の頚部を清掃するための良好かつ容易なアクセスを実現する歯科用保定装置を提供することを目的とする。 同時に、この保定装置は、保定装置と保定部分との間の結合を破損する危険を防止または軽減するので、固定したい歯から外れない。 またこの保定装置は、従来の技術の欠点を防止または軽減する。
    【0015】
    目的の実現
    本発明の目的は、歯科用保定装置として、1個以上の保定要素対の形で、保定要素を用いることで達成される。 保定要素対は2個の保定要素を有する。 これらの保定要素は個別に別個であるが、使用場所において相互接触により協働することが好適である。 保定要素対は、舌側(口蓋側も可能であろう)の、歯列弓内の2個の隣接する歯の表面に固定され、対を構成する保定要素の各々が、隣接する歯の各々の取付け面に固定して設けられることが好適である。 使用位置において一方の保定要素は、いわゆる保定装置隣接面と呼ばれる垂直または略垂直の側面に沿って、他方の保定要素に当接および接触する。 保定要素対において、一方の保定要素の保定装置隣接面は、他方の保定要素の保定装置隣接面を相補するように形成されている。 その結果、使用場所において、これらの接触面は、全体的または部分的に、互いに担持し合うようになる。
    【0016】
    さらに、保定装置隣接面の表面を、所望程度の粗さを有する、または、粗さに適合するように処理しても良い。 こうすることで、使用場所において、双方の表面に相互的に力を加えて押付け力を付与すると、その表面の相対的移動により所望レベルの摩擦を生じさせることができる。 隣接する歯が結合した組織内の均衡した位置に自然に配置されている場合、該隣接する歯同士はある程度の押付け力を互いに付与しあっている(生理的移動)。 この押付け力は、接着剤や保定要素対を介して、該保定要素対の保定装置隣接面に伝達される。
    【0017】
    この押付け力を増加させるために、例えば保定要素対の一方の保定要素に磁石を設け、他方の保定要素に反対の極性の磁石を設けて、使用場所において協働させても良い。 この場合、2個の磁石は反対の極性を有するので相互に引き合う。 磁石は保定要素に内蔵することが好適である。
    【0018】
    保定要素対は、歯列弓の内側に装着されることが好適である。 その結果、保定装置隣接面は、隣接する歯対の歯隣接面に対応しかつ重なる。 該保定要素対の保定装置隣接面は、隣接する歯対の歯隣接面と平行であり、隣接する歯の長手方向軸ともできるだけ平行であることが好適である。 このようにして、隣接する歯対の歯隣接面の間にデンタルフロス等を挿入することで、同時に、その後ろにある保定要素対の保定装置隣接面の間にもデンタルフロス等を挿入しても良い。
    【0019】
    保定装置の使用位置において、保定要素の各々は、上記の保定装置隣接面とともに、1個のベース面と、1個の外側の面とを有する。 ベース面は、該保定要素を歯の面に固定する領域を構成し、平面でも丸味を帯びた形状の面でもよい。 該保定要素の外側の面は口腔に向かって自由に内側を向いている。 外側の面には舌が触れるかもしれない。 したがって、外側の面は滑らかで、中央部が適切な丸味を帯びた形状を有するように形成されなければならない。 これは、患者が保定要素をできるだけ快適に使用できるようにするためである。
    【0020】
    保定要素の大きさや形状は、患者の歯並びや必要性に応じて異なってもよい。 しかし、共通することは、保定要素の外寸が、該保定要素を固定する歯における取付け面の対応する寸法より小さいことであり、かなり小さいことが好適である。 歯における取付け面に向かう平面図に表され、あるいは側面図においてもうかがわれるように、保定要素対は、隣接する歯対の歯の面上の使用場所に装着された場合に、その外側の面が例えば楕円または略楕円の輪郭形状を有しても良く、丸味を帯びた四角形の輪郭形状でも良い。
    【0021】
    更に、保定要素対を2個の、好適には等しい、あるいは殆ど等しい、協働する個々の要素に分割する。 該保定要素対は、楕円または略楕円の輪郭形状における最短距離の軸を通る平面に沿って、または殆どこれに沿って、分割されることが好適である。 使用場所において、保定要素対は、保定要素の保定装置隣接面の中央部が最も厚くなることが好適である。 この結果、保定要素対は、この領域において歯における取付け面から最も突出する。 さらに保定要素対は、保定要素対の周辺線に向かって、好適には放射状または略放射状に、徐々に薄くなるように形成されることが好適である。
    【0022】
    保定要素の共働する相補的保定装置隣接面の構造は、それを装着する患者の歯並びや必要性に応じて異なり得る。 例えば、各保定要素の保定装置隣接面は二次元の平面状に形成しても良い。 この場合、使用位置において保定要素対は、互いに平行になるように配置された2個の隣接する面からなる。
    【0023】
    また、一方の保定要素の保定装置隣接面を、数個の非平行平面部分によって形成し、隣接する他方の保定装置隣接面を、これを相補するような同数の非平行平面部分によって形成しても良い。
    【0024】
    また、上記の2次元の平面状もしくは数個の非平行平面部分に補足的に組合せて、あるいは独立に、起伏または波状または湾曲または皺状の中の少なくとも1つの表面によって、2個の保定装置隣接面を三次元的な形状の面において相補的に形成しても良い。 この場合、一方の保定要素の保定装置隣接面は、例えば凸型の曲面を有し、これに隣接する他方の保定要素の保定装置隣接面は、これを相補するような凹型の曲面を有するように形成される。 このような、相補的な保定装置隣接面を有する多様な構成については、後述の例示的実施形態の説明において示す。
    【0025】
    保定要素対の保定装置隣接面はかかる多様な構成を有するが、これら全てに共通することは、該保定要素は、その保定装置隣接面の形状が相補的であるため、使用場所において、関連する歯対に協働的に接触する相互接触面となり、互いに支え合い、できるだけ固定し合うように協働することによって、相互に安定化するという効果を奏することである。 保定期間中、ある歯が所望の歯位置からずれる場合、該歯は、その長手方向軸の周りを回転するか、歯肉の結合組織内の固定領域の周りを回転するか、その両方である。 これに対して、隣接する歯が保定要素対を介して抵抗する。
    【0026】
    更に、このように望ましくない歯の移動は、共働する保定装置隣接面を所望程度の粗さを有する、または、粗さに適合するように形成することでも対処できる。 その結果、保定装置隣接面に押し付け力を加える際に生じる摩擦によってかかる歯の動きが打ち消される。 この打消し効果は、保定部分内の全ての歯が連続した対であり、これら全ての歯に対して協働する保定要素対を設けることで、より増加する。 こうして、このような数個の保定要素対を使用することによって保定部分を安定させる。 つまり、保定部分内の各歯には2個の保定要素が設けられる。 この時、1個の保定要素が1本の歯の2個の歯隣接面の各々に装着される。 強度の点から見て、2個の保定要素の間は歯そのものによって連結される。 つまり、これら2個の保定要素は協働する相補的な保定要素対を形成せず、2個の保定要素の各々は、隣接する歯に装着された保定要素に対して、相補的で協働する保定要素となるように配置される。
    【0027】
    保定要素対を問題となっている隣接する歯に配置するために、例えば、いわゆるアプリケータストリップまたはガイドストリップを用いる。 保定要素対は、着脱可能にガイドストリップに取付けられる。 ガイドストリップは、2個の隣接する歯の歯隣接面同士の間に挿入する場合に有用である所定の厚さを有する。 これらの隣接面は、通常、全体的または部分的に、相互に接触するように位置付けられており、これによって、隣接する歯には、歯の生理学的移動制限の範囲内で相互に離反する方向に力が加えられる。 ガイドストリップを歯と歯の間に配置したまま、ガイドストリップと、着脱可能に取付けられた保定要素対とを、歯の取付け領域に向けて引っ張る。 この時、保定要素の三次元位置を、歯の面に対して、またできるだけ相互に対して、更に調整できる。
    【0028】
    これは、例えば、合成物質等である接着剤の適用量や位置を調整することによって行なう。 この結果、接着剤は、硬化すると、所望の三次元的広がり厚を有する硬い層を形成する。 例えば金属や磁器といった要素物質とボンド材との間、および歯とボンド材との間を連結する周知の技術によって、歯と保定要素との間を強固に結合できる。 保定要素を歯の面に装着するための保定要素上の装着領域は、そのベース面が適切な表面形状の構成を有しているか、または、サンドブラスト等の適切な表面処理がなされているかに影響される。
    【0029】
    接着剤が硬化したら、ガイドストリップを保定要素から取外して除去する。 これによって、隣接する歯は、均衡がとれた以前の位置に自然に戻る。 ガイドストリップを取外すと解除されるこの「一緒に引っ張る力」も、歯および硬化した接着剤によって、保定要素およびその保定装置隣接面に伝達される。 その結果、これらの面は、隣接する2本の歯の歯隣接面が互いに押し付けられる仕方と同様に、互いに押し付けられる。 ガイドストリップを取外すと解除され、表面の粗さとが組合わされることで所望程度の摩擦を面と面との間に生じる「一緒に引っ張る力」は、ガイドストリップの厚さを所望通りにすることで調整できる。 厚いガイドストリップを用いれば、薄いガイドストリップを用いた場合よりも、歯をより引き離す力を与える。 その結果、最終的に、厚いガイドストリップは薄いガイドストリップよりも大きな「一緒に引っ張る力」を与える。
    【0030】
    本発明の効果
    下顎または上顎の歯対もしくは歯群を安定化することに加えて、少なくとも1個の保定要素対である保定要素を使用することで、歯科矯正治療の保定期間において高いレベルの歯科衛生を保つことができる。 これは、歯ブラシや、できればデンタルフロスまたは楊枝のための良好なアクセスが実現できるためである。 その結果、虫歯や歯石等が防止される。
    【0031】
    保定要素により、保定期間中に歯科保定装置が歯の面から緩んでしまう危険も回避または非常に軽減できる。 もし保定要素が緩んでも、周知の保定装置を使用する場合よりも早期に、患者や歯医者によって発見され易い。 したがって、問題を早期に修正することができ、保定処理中の歯は移動したい先の位置から大きくずれることがなく、歯科矯正治療の予後を改善できる結果となる。
    【0032】
    ガイドストリップを使用することで、保定要素対を問題となっている歯に正確かつ迅速に位置決めできる。 これは、例えば、時間の浪費であって、患者には不快であることが多い、ワイヤを適切な長さに切断して問題となっている歯対または歯群に適用するような、歯科矯正ワイヤつまり保定ワイヤを用いて行なわなければならない治療とは、対照的である。 保定期間中、患者は、保定ワイヤよりも保定要素の方が快適に装着できると思うだろう。
    【0033】
    (発明を実施するための最良の形態)
    以下に、図1〜図18を参照して、保定要素および保定要素対の異なる例示的かつ非限定的な実施形態を示す。 また、対象となる歯の面にこれらの保定要素を配置する方法も示す。 全ての図面において、同様の構成要素に対しては同一の符号を付して、詳細な説明は繰り返さない。
    【0034】
    本発明には直接関連しないが、本発明を実行するため必要である歯科治療用の装置または構成は、以下の例示的実施形態においては特定せず、詳述しない。
    【0035】
    保定要素対2は、保定要素4と、保定要素6とからなり、両者は使用場所において協働する。 保定要素4、6の各々は、外側の面8、10のそれぞれと、ベース面12、14のそれぞれと、いわゆる保定装置隣接面16およびそれと相補形状である保定装置隣接面18とを有する。 相応じて、隣接する歯20、22の対はそれぞれに、1個の歯隣接面24および、これに隣接する1個の歯隣接面26と、歯における取付け面28、30のそれぞれとを有する。 歯は歯顎部の結合組織32に固定される。 保定要素4,6は、合成物質等である歯科用接着剤を用いて、取付けの調整層となる接着剤層34によって、歯における取付け面28,30に配置、固定または接着される。
    【0036】
    図1〜図4に示すように、保定要素対2は、例えば平面図において楕円でも良いが、必ずしも楕円でなくても良い。 保定要素4、6の外側の面8,10は非常に滑らかで平坦な形状に形成されなければならない。 この面は、保定期間中、患者が清掃し易く、快適に装着できるものとなる。 使用場所において、表面の構成は強度の点からも重要である。 表面が粗く平坦でなく角度を有する場合には、破損し易いからである。
    【0037】
    図5〜図7に示す、上記の楕円型の保定要素対2の例示的な側面図には、横から見た場合に見ることができる、保定要素4,6の相補的な保定装置隣接面16,18の突起部の幾何学的な構成の違いが見える。 しかし、保定要素4、6の相補的な保定装置隣接面16、18は、図1〜図4の平面図に示す任意の構成と、図5〜図7の側面図に示す任意の構成とを組み合わせて形成できることは明らかである。 この結果、相補的な保定装置隣接面16,18は、例えば図9に示すような表面形状を有しても良い。
    【0038】
    図11〜図14に示すように、保定要素対2を、隣接する2本の歯の舌側または口蓋側に、例えばガイドストリップ36によって配置しても良い。 保定要素4、6の各々を着脱可能にガイドストリップ36に装着する(図10および図11参照)。 図12に示すように、保定要素対2を取付けた、所定の厚さを有するガイドストリップ36を歯20、22(隣接する歯の対)の間に挿入する。 これによって歯20、22は、互いに離反する方向に押される。 この場所において、保定要素4、6の各々が、歯20、22および歯における取付け面28、30の各々にほぼ担持されるまで、ガイドストリップ36を移動する(図13参照)。
    【0039】
    この時、保定要素4,6のベース面12、14と、できれば歯における取付け面28、30にも、接着剤が塗布されている。 その結果、接着剤層34が形成される。 接着剤層34が硬化したら、ガイドストリップ36を剥がし、保定要素4、6から取除く。 これによって歯20、22は、均衡した元の位置に戻る。 ここで、歯隣接面24は、隣接する歯隣接面26に当接する。 保定要素4の保定装置隣接面16も、これに隣接する保定要素6の、相補形状を有する保定装置隣接面18に担持されるようになる(図14、図16〜図18を参照)。
    【0040】
    実際、通常は、下顎または上顎における一群の歯(保定部分)を保定、つまり安定させる必要性がある。 これは、例えば図15に示すように、保定要素対2を数個使用することに関連する。 つまり、協働する数個の保定要素対2を下顎の歯列弓(舌側)の内側の使用位置に配置することで、保定要素対2によって、問題となっている保定部分内の歯を安定させる。
    【0041】
    保定部分内の隣接する歯対の各々に対する安定化は、保定要素対2の保定装置隣接面16、18を相補的に形成し、できるだけ所望程度の粗さを有するように形成することで、維持される。 相補的な形状のために、使用場所において保定装置隣接面16,18は保持し合い、固定し合うようにして協働する。
    【0042】
    この効果は、粗い表面の保定装置隣接面16、18によって摩擦が生じることで、増加できる。 例えば、保定期間中に歯20が所望の位置から外れようとする場合、該歯20は、その長手方向軸の周りを回転するか、結合組織32内の固定領域周りを回転するか、その両方であるが、この相対的な動きに対して、隣接する歯22が保定要素対2を介して抵抗する。 また安定化効果は、保定部分内の全ての歯が連続した対であって、これら全ての歯に対して協働する保定要素対を設けることで、より増加する。
    【図面の簡単な説明】
    【図1−図4】 平面図において楕円形である保定要素対であって、対をなす2個の保定要素が結合した位置にある状態を示す。 該保定要素は、その保定装置隣接面が相補的に形成されることよって協働し、結合位置において相補的に組み合わされる。 各図は、相補的な2個の隣接保定装置面を協働するように対向して配置した場合に生じる認識可能な外側の結合線の突起部分を示す平面図である。
    【図5−図7】 例えば図1〜図4に示す保定要素対のような、平面図において楕円である保定要素対の側面図を示す。 図5〜図7の各図は、相補的な2個の隣接保定装置面を協働するように対向して配置した場合に生じる認識可能な外側の結合線の突起部分を、図1−4に対応するように示す側面図である。
    【図8】 図2の結合位置において見られるような楕円形の保定要素対を、拡大して示す平面図である。
    【図9】 図8に示す保定要素対を示す平面図であり、対をなす2個の保定要素が離反された状態にあり、該保定要素の2個の相補的な保定装置隣接面が見える状態を示す。
    【図10】 図5に示す保定要素対の側面図であり、保定要素対をなす2個の保定要素の各々がガイドストリップの各側面に装着されている。
    【図11―図14】 ガイドストリップに取付けられた保定要素対を、隣接する歯対の舌側に配置する過程を示す一連の斜視図である。
    【図15】 下顎の歯列弓(舌側)の内側の使用位置に装着されて、問題となっている保定部分内の歯を安定化する幾個かの協働する保定要素対を示す平面図である。
    【図16】 図15に示す保定部分の一部を拡大して示す平面図であって、1個の保定要素対が協働するように使用場所に配置される。 この時、各保定要素が隣接する各歯に装着され、該保定要素の協働する保定装置隣接面が互いに接触している。
    【図17】 図16と同様の領域の側面図であり、他の側面図とは対照的に、保定要素のベース面が適度に丸味をおび、湾曲している。
    【図18】 図17と同様の、対応する領域の側面図であり、保定要素のベース面は平面状に形成され、使用場所において、同一平面上において接着されており、保定要素と、問題となっている歯における取付け面の隣接面の段差が、その隣接面の段差に応じた量を調整した歯科用接着剤によって解消されている。

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