Conductive rubber composition, transfer roller and image formation apparatus

申请号 JP2013058801 申请日 2013-03-21 公开(公告)号 JP2014181336A 公开(公告)日 2014-09-29
申请人 Sumitomo Rubber Ind Ltd; 住友ゴム工業株式会社; 发明人 TANIO YUSUKE; SATOYOSHI NAOYUKI;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a conductive rubber composition which allows efficient and sufficient foaming and crosslinking without formation of ammonia or carbon monoxide by using a continuous crosslinking device including a microwave crosslinking unit and a hot air crosslinking unit, a transfer roller composed of the conductive rubber composition and an image formation apparatus incorporated with the transfer roller.SOLUTION: A conductive rubber composition is prepared by blending a rubber ingredient with a crosslinking ingredient for crosslinking the rubber ingredient, sodium hydrogen carbonate as a foaming ingredient and citric acid. A transfer roller 1 formed with the conductive rubber composition and an image formation apparatus incorporated with the transfer roller 1 are also provided.
权利要求
  • マイクロ波架橋装置と熱風架橋装置とを含む連続架橋装置によって発泡および架橋させることができる導電性ゴム組成物であって、ゴム分、前記ゴム分を架橋させるための架橋成分、および前記ゴム分を発泡させるための発泡成分を含むとともに、前記発泡成分は、発泡剤としての炭酸水素ナトリウム、および発泡助剤としてのクエン酸であることを特徴とする導電性ゴム組成物。
  • 前記炭酸水素ナトリウムの配合割合は、前記ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上、5質量部以下、前記クエン酸の配合割合は、無水物換算で、前記ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上、0.5質量部以下である請求項1に記載の導電性ゴム組成物。
  • 前記ゴム分は、スチレンブタジエンゴム、エチレンプロピレンジエンゴム、およびエピクロルヒドリンゴムを少なくとも含んでいる請求項1または2に記載の導電性ゴム組成物。
  • 前記ゴム分は、さらにアクリロニトリルブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブタジエンゴム、およびアクリルゴムからなる群より選ばれた少なくとも1種の極性ゴムを含んでいる請求項3に記載の導電性ゴム組成物。
  • 前記請求項1ないし4のいずれか1項に記載の導電性ゴム組成物からなることを特徴とする転写ローラ。
  • 前記導電性ゴム組成物を筒状に押出成形しながら、マイクロ波架橋装置と熱布架橋装置とを含む連続架橋装置によって連続的に発泡および架橋させる工程を経て製造される請求項5に記載の転写ローラ。
  • 前記請求項5または6に記載の転写ローラを組み込んだことを特徴とする画像形成装置。
  • 说明书全文

    本発明は、導電性ゴム組成物、当該導電性ゴム組成物を筒状に発泡および架橋させてなり、電子写真法を利用した画像形成装置に組み込んで用いられる転写ローラ、およびかかる転写ローラを組み込んだ画像形成装置に関するものである。

    例えばレーザープリンタや静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、あるいはこれらの複合機等の、電子写真法を利用した画像形成装置においては、概略下記の工程を経て、紙(OHPフィルム等のプラスチックフィルムを含む。以下同様。)の表面に画像が形成される。
    まず、光導電性を有する感光体の表面を一様に帯電させた状態で露光して、当該表面に、形成画像に対応する静電潜像を形成する(帯電工程→露光工程)。

    次いで、微小な着色粒子であるトナーをあらかじめ所定の電位に帯電させた状態で、感光体の表面に接触させる。 そうするとトナーが、静電潜像の電位パターンに応じて感光体の表面に選択的に付着されて、静電潜像がトナー像に現像される(現像工程)。
    次いで、トナー像を紙の表面に転写し(転写工程)、さらに定着させることにより(定着工程)、紙の表面に画像が形成される。

    また転写工程では、感光体の表面に形成したトナー像を、紙の表面に直接に転写させる場合だけでなく、像担持体の表面に一旦転写(一次転写工程)させたのち紙の表面に再転写させる(二次転写工程)場合もある。
    トナー像を、転写工程において感光体の表面から紙の表面に転写させたり、一次転写工程において感光体の表面から像担持体の表面に転写させたり、あるいは二次転写工程において像担持体の表面から紙の表面に転写させたりするためには、導電性ゴム組成物からなり、所定のローラ抵抗値を有する転写ローラが用いられる。

    例えば直接転写の場合は、転写工程において、互いに所定の圧接で圧接させた感光体と転写ローラとの間に所定の転写電圧を印加した状態で、両者間に紙を通紙させると、感光体の表面に形成されたトナー像が紙の表面に転写される。
    近時、特に新興国向けの汎用のレーザープリンタ等に用いる転写ローラとしては、できるだけ汎用の材料を使用して、なるべく構造が簡単で、しかもコスト安価に製造できるものが求められる傾向にある。

    これらの要求に対応するため、転写ローラとしては、多孔質構造としたものが広く用いられる。 かかる多孔質構造とすると、形成材料を少なくして材料費を抑制できる上、軽量化して輸送費等をも削減できる。 また、可塑剤の配合を省略したり、配合割合を少なくしたりしても、多孔質構造により、転写ローラに適度な柔軟性を付与できる。
    また多孔質構造の転写ローラを製造するためには、例えば下記の連続的な製造方法を採用するのが、生産性を向上して転写ローラの生産コストをさらに圧縮する上で好ましい。

    すなわち導電性ゴム組成物を、押出成形機を用いて長尺の筒状に押出成形し、押出成形した筒状体をカットせずに長尺のままで連続的に送り出しながら、マイクロ波架橋装置と熱風架橋装置とを含む連続架橋装置内を連続的に通過させることで連続的に発泡および架橋させたのち、所定の長さにカットする工程を経ることで、転写ローラを連続的に、生産性良く製造できる。

    また導電性ゴム組成物を構成するゴム分としては、例えばエピクロルヒドリンゴム等の高価なイオン導電性ゴムに架橋性ゴムを併用するのが、材料コストを低減して転写ローラの生産コストをさらに圧縮する上で好ましい。
    かかる架橋性ゴムとしてはアクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)が一般的であるが、先の要求に対応して、転写ローラの生産コストをより一層圧縮するためには、架橋性ゴムとして、スチレンブタジエンゴム(SBR)と、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)とを併用するのがさらに好ましい。

    この併用系では、転写ローラの良好な耐オゾン性を維持しながら、さらに材料コストを抑制できる。
    すなわち、同じローラ抵抗値を有する転写ローラを形成するために必要で、なおかつ高価なイオン導電性ゴムの配合割合を少なくできる。 しかもSBRは、NBRよりも汎用性が高くコスト安価であるため、材料コストをより一層低減できる。

    ただしSBRは、レーザープリンタ等の内部で発生するオゾンに対する耐性、つまり耐オゾン性が十分でないため、EPDMを併用する。
    EPDMは、それ自体が耐オゾン性に優れているだけでなく、SBRのオゾン劣化を抑制する働きもするため、転写ローラのオゾン耐性を向上できる。
    発泡成分としては、発泡剤としてのアゾジカルボンアミド(H NOCN=NCONH 、ADCA)に、発泡助剤としての尿素を組み合わせるのが一般的である。

    しかしADCAは、マイクロ波の照射による分子振動加熱により、分解残渣としてシアン酸、イソシアン酸、シアメリッド、シアヌル酸、イソシアヌル酸等を生成する。
    また尿素は、やはりマイクロ波の照射による分子振動加熱により、分解残渣としてシアン酸類を生成する。
    そしてこれら分解残渣が、イオン導電性ゴムによる導電性を阻害したり、ゴム分の架橋反応を阻害したり、感光体を汚染したりするおそれがある。

    そこで特許文献1、2において、ADCAや尿素とともに、炭酸素ナトリウム(重曹)等の、加熱分解によって水を発生する添加剤を併用することが提案されている。
    炭酸水素ナトリウムの分解によって発生した水が存在すると、分解残渣を、マイクロ波の照射による分子振動加熱によって、先に説明した導電性や架橋反応を阻害したり、感光体を汚染したりしない成分に変化させることができる。

    特開2007−309992号公報

    特開2008−180273号公報

    ところが発明者の検討によると、発泡剤としてADCAを使用すると、その分解、および発泡過程でアンモニア(NH )や一酸化炭素(CO)が発生する。
    これらの成分は、転写ローラを製造する作業環境に影響を及ぼすおそれがある。 特に先に説明したように、導電性ゴム組成物を連続的に押出成形したのち、連続的に発泡および架橋させる工程を採用する場合は、かかる工程でこれらの成分が多量に発生して、その処理が問題となる場合がある。

    しかもこれらの成分は、特許文献1、2に記載のように炭酸水素ナトリウムを併用して水を発生させても、他の成分に変化させたりすることはできない。
    本発明の目的は、マイクロ波架橋装置と熱風架橋装置とを含む連続架橋装置を用いて、アンモニアや一酸化炭素を発生させることなしに、効率よく、かつ十分に発泡および架橋させることができる導電性ゴム組成物、当該導電性ゴム組成物からなる転写ローラ、並びにかかる転写ローラを組み込んだ画像形成装置を提供することにある。

    本発明は、マイクロ波架橋装置と熱風架橋装置とを含む連続架橋装置によって発泡および架橋させることができる導電性ゴム組成物であって、ゴム分、前記ゴム分を架橋させるための架橋成分、および前記ゴム分を発泡させるための発泡成分を含むとともに、前記発泡成分は、発泡剤としての炭酸水素ナトリウム、および発泡助剤としてのクエン酸であることを特徴とするものである。

    また本発明は、前記本発明の導電性ゴム組成物からなることを特徴とする転写ローラである。
    さらに本発明は、前記本発明の転写ローラを組み込んだことを特徴とする画像形成装置である。
    架橋剤としての炭酸水素ナトリウムは、分解してもアンモニアや一酸化炭素を発生しないため、作業環境に及ぼす影響を大幅に低減できる。

    しかし炭酸水素ナトリウムを単独で使用したのでは、特に転写ローラの外表面近傍の発泡セル径が小さくなりすぎるという問題がある。
    これに対し本発明では、発泡助剤としてクエン酸を併用することで、炭酸水素ナトリウムの発泡開始温度を低下させ、筒状体の全体で良好に発泡させて、転写ローラの全体で、発泡セル径をできるだけ均一化させることができる。

    しかもクエン酸は、やはり分解してもアンモニアや一酸化炭素を発生しないため、炭酸水素ナトリウムとともに、作業環境に及ぼす影響を大幅に低減できる。
    クエン酸としては、無水物、一水和物のいずれを使用してもよい。
    前記炭酸水素ナトリウムの配合割合は、前記ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上、5質量部以下で、かつ前記クエン酸の配合割合は、無水物換算で、前記ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上、0.5質量部以下であるのが好ましい。

    炭酸水素ナトリウムの配合割合がこの範囲未満では、押出成形機を用いて押出成形された筒状体を十分に発泡させることができないおそれがある。 一方、範囲を超える場合には、転写ローラのローラ抵抗値、特に高温で放置した際の抵抗特性が悪化するおそれがある。
    これに対し、炭酸水素ナトリウムの配合割合を、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上、5質量部以下の範囲とすることにより、高温で放置した際の抵抗特性が悪化するのを抑制しながら、筒状体を十分に発泡させることができる。

    またクエン酸の配合割合が先の範囲未満では、当該クエン酸を配合することによる、先に説明した、炭酸水素ナトリウムの発泡開始温度を低下させて、転写ローラの全体で発泡セル径をできるだけ均一化させる効果が十分に得られないおそれがある。 一方、範囲を超える場合には、却って、転写ローラの全体で発泡セル径をできるだけ均一化させる効果が得られないおそれがある。

    これに対し、クエン酸の配合割合を、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上、0.5質量部以下とすることにより、転写ローラの全体で発泡セル径をできるだけ均一化させる効果を、より一層向上することができる。
    前記ゴム分は、SBR、EPDM、およびエピクロルヒドリンゴムを少なくとも含んでいるのが好ましい。

    エピクロルヒドリンゴムと組み合わせる架橋性ゴムとして、NBRに代えて、SBRとEPDMとを併用することで、先に説明したように、転写ローラの良好な耐オゾン性を確保しながら、さらに材料コストを抑制できる。
    前記ゴム分は、さらにNBR、クロロプレンゴム(CR)、ブタジエンゴム(BR)、およびアクリルゴム(ACM)からなる群より選ばれた少なくとも1種の極性ゴムを含んでいるのが好ましい。

    これにより、転写ローラのローラ抵抗値を微調整することができる。
    また本発明の転写ローラは、本発明の導電性ゴム組成物を筒状に押出成形しながら、マイクロ波架橋装置と熱布架橋装置とを含む連続架橋装置によって連続的に発泡および架橋させる工程を経て形成されているのが好ましい。
    これにより、先に説明したように生産性を向上して、転写ローラの生産コストをさらに圧縮できる。

    本発明によれば、マイクロ波架橋装置と熱風架橋装置とを含む連続架橋装置を用いて、アンモニアや一酸化炭素を発生させることなしに、効率よく、かつ十分に発泡および架橋させることができる導電性ゴム組成物、当該導電性ゴム組成物からなる転写ローラ、並びにかかる転写ローラを組み込んだ画像形成装置を提供することができる。

    本発明の転写ローラの、実施の形態の一例を示す斜視図である。

    本発明の転写ローラの製造に用いる連続架橋装置の概略を示すブロック図である。

    転写ローラのローラ抵抗値を測定する方法を説明する図である。

    《導電性ゴム組成物》
    本発明の導電性ゴム組成物は、ゴム分、前記ゴム分を架橋させるための架橋成分、および前記ゴム分を発泡させるための発泡成分を含むとともに、前記発泡成分は、発泡剤としての炭酸水素ナトリウム、および発泡助剤としてのクエン酸であることを特徴とする。
    ゴム分は、SBR、EPDM、およびエピクロルヒドリンゴムを少なくとも含んでいるのが好ましい。

    このうちSBRは非極性であって、マイクロ波の吸収効率が著しく低い。 そのため、先に説明した、連続架橋装置内を通過させても筒状体の全体を炭酸水素ナトリウムの発泡温度まで十分に昇温できず、転写ローラの外表面近傍の発泡セル径が小さくなりすぎる傾向が強い。
    これに対し本発明によれば、かかるSBRを含む系であっても、炭酸水素ナトリウムとともにクエン酸を併用することで、炭酸水素ナトリウムの発泡開始温度を低下させ、筒状体の全体で良好に発泡させて、転写ローラの全体で、発泡セル径をできるだけ均一化させることができる。

    〈SBR〉
    SBRとしては、スチレンと1,3−ブタジエンとを乳化重合法、溶液重合法等の種々の重合法によって共重合させて合成される種々のSBRがいずれも使用可能である。 またSBRとしては、伸展油を加えて柔軟性を調整した油展タイプのものと、加えない非油展タイプのものとがあるが、このいずれも使用可能である。

    さらにSBRとしては、スチレン含量によって分類される高スチレンタイプ、中スチレンタイプ、および低スチレンタイプのSBRがいずれも使用可能である。 スチレン含量や架橋度を変更することで、転写ローラの各種物性を調整することができる。
    これらSBRの1種または2種以上を使用することができる。
    SBRの配合割合は、ゴム分がSBR、EPDM、およびエピクロルヒドリンゴムの3種のみで極性ゴムを含まない場合、当該ゴム分の総量100質量部中の40質量部以上、特に60質量部以上であるのが好ましく、90質量部以下、特に80質量部以下であるのが好ましい。 また極性ゴムを含む場合は、当該極性ゴムの配合割合にもよるが、ゴム分の総量100質量部中の30質量部以上であるのが好ましく、50質量部以下であるのが好ましい。

    配合割合がこの範囲未満では、先に説明した、汎用性が高くコスト安価である上、電気抵抗値が低いという、SBRを用いることによる効果が十分に得られないおそれがある。
    一方、範囲を超える場合には、相対的にEPDMの配合割合が少なくなって、転写ローラに良好なオゾン耐性を付与できないおそれがある。 また相対的にエピクロルヒドリンゴムの配合割合が少なくなって、転写ローラに良好なイオン導電性を付与できないおそれもある。

    なお配合割合は、SBRとして油展タイプのものを用いる場合は、当該油展タイプのSBR中に含まれる固形分としてのSBR自体の配合割合である。
    〈EPDM〉
    EPDMとしては、エチレンとプロピレンに少量の第3成分(ジエン分)を加えることで主鎖中に二重結合を導入した種々のEPDMが、いずれも使用可能である。 EPDMとしては、第3成分の種類や量の違いによる様々な製品が提供されている。 代表的な第3成分としては、例えばエチリデンノルボルネン(ENB)、1,4−ヘキサジエン(1,4−HD)、ジシクロペンタジエン(DCP)等が挙げられる。 重合触媒としてはチーグラー触媒を使用するのが一般的である。

    EPDMの配合割合は、ゴム分の総量100質量部中の5質量部以上であるのが好ましく、40質量部以下、特に20質量部以下であるのが好ましい。
    配合割合がこの範囲未満では、転写ローラに良好なオゾン耐性を付与できないおそれがある。
    一方、範囲を超える場合には、相対的にSBRの配合割合が少なくなって、汎用性が高くコスト安価である上、電気抵抗値が低いという、SBRを用いることによる効果が十分に得られないおそれがある。 また相対的にエピクロルヒドリンゴムの配合割合が少なくなって、転写ローラに良好なイオン導電性を付与できないおそれもある。

    〈エピクロルヒドリンゴム〉
    エピクロルヒドリンゴムとしては、エピクロルヒドリン単独重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド二元共重合体(ECO)、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド二元共重合体、エピクロルヒドリン−アリルグリシジルエーテル二元共重合体、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体(GECO)、エピクロルヒドリン−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル三元共重合体、およびエピクロルヒドリン−エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド−アリルグリシジルエーテル四元共重合体等の1種または2種以上が挙げられる。

    エピクロルヒドリンゴムとしては、これらの中でもエチレンオキサイドを含む共重合体、特にECO、および/またはGECOが好ましい。
    かかる両共重合体においてエチレンオキサイド含量は、いずれも30モル%以上、特に50モル%以上であるのが好ましく、80モル%以下であるのが好ましい。
    エチレンオキサイドは転写ローラのローラ抵抗値を下げる働きをする。 しかしエチレンオキサイド含量がこの範囲未満では、かかる働きが十分に得られないため、転写ローラのローラ抵抗値を十分に低下できないおそれがある。

    一方、エチレンオキサイド含量が範囲を超える場合には、エチレンオキサイドの結晶化が起こり分子鎖のセグメント運動が妨げられるため、逆に転写ローラのローラ抵抗値が上昇する傾向がある。 また、架橋後の転写ローラの硬度が上昇したり、架橋前の導電性ゴム組成物の、加熱溶融時の粘度が上昇したりするおそれもある。
    ECOにおけるエピクロルヒドリン含量は、エチレンオキサイド含量の残量である。 すなわちエピクロルヒドリン含量は20モル%以上であるのが好ましく、70モル%以下、特に50モル%以下であるのが好ましい。

    またGECOにおけるアリルグリシジルエーテル含量は0.5モル%以上、特に2モル%以上であるのが好ましく、10モル%以下、特に5モル%以下であるのが好ましい。
    アリルグリシジルエーテルは、それ自体が側鎖として自由体積を確保するために機能することにより、エチレンオキサイドの結晶化を抑制して、転写ローラのローラ抵抗値を低下させる働きをする。 しかしアリルグリシジルエーテル含量が先の範囲未満では、かかる働きが得られないため、転写ローラのローラ抵抗値を十分に低下できないおそれがある。

    一方、アリルグリシジルエーテルは、GECOの架橋時に架橋点として機能するため、アリルグリシジルエーテル含量が範囲を超える場合には、GECOの架橋密度が高くなり、分子鎖のセグメント運動が妨げられるため、却って転写ローラのローラ抵抗値が上昇する傾向がある。 また転写ローラの引張強度や疲労特性、耐屈曲性等が低下するおそれもある。

    GECOにおけるエピクロルヒドリン含量は、エチレンオキサイド含量、およびアリルグリシジルエーテル含量の残量である。 すなわちエピクロルヒドリン含量は10モル%以上、特に19.5モル%以上であるのが好ましく、69.5モル%以下、特に60モル%以下であるのが好ましい。
    GECOとしては、上で説明した3種の単量体を共重合させた狭義の意味での共重合体のほかに、エピクロルヒドリン−エチレンオキサイド共重合体(ECO)をアリルグリシジルエーテルで変性した変性物も知られており、本発明ではいずれのGECOも使用可能である。

    エピクロルヒドリンゴムの配合割合は、ゴム分の総量100質量部中の5質量部以上、特に10質量部以上であるのが好ましく、40質量部以下、特に30質量部以下であるのが好ましい。
    配合割合がこの範囲未満では、転写ローラに良好なイオン導電性を付与できないおそれがある。

    一方、範囲を超える場合には、相対的にSBRの配合割合が少なくなって、汎用性が高くコスト安価である上、電気抵抗値が低いという、SBRを用いることによる効果が十分に得られないおそれがある。 また相対的にEPDMの配合割合が少なくなって、転写ローラに良好なオゾン耐性を付与できないおそれもある。
    〈極性ゴム〉
    極性ゴムを配合すると、先に説明したように転写ローラのローラ抵抗値を微調整することができる。 また、発泡のムラがなくできるだけ均一な多孔質構造を形成することもできる。

    極性ゴムとしては、例えばNBR、CR、BR、ACMの1種または2種以上が挙げられる。 特にNBR、および/またはCRが好ましい。
    このうちNBRとしては、アクリロニトリル含量によって分類される低ニトリルNBR、中ニトリルNBR、中高ニトリルNBR、高ニトリルNBR、および極高ニトリルNBRがいずれも使用可能である。

    またCRとしては、例えばクロロプレンを乳化重合させて合成され、その際に用いる分子量調整剤の種類によって分類される硫黄変性タイプと非硫黄変性タイプ、ならびに結晶化速度に基づいて分類される、当該結晶化度が遅いタイプ、中程度であるタイプ、および速いタイプのいずれのCRも使用可能である。
    極性ゴムの配合割合は、目的とする転写ローラのローラ抵抗値に応じて任意に設定できるが、特にゴム分の総量100質量部中の5質量部以上、特に20質量部以上であるのが好ましく、40質量部以下であるのが好ましい。

    配合割合がこの範囲未満では、転写ローラのローラ抵抗値を微調整したり、発泡のムラをなくしたりする効果が十分に得られないおそれがある。
    また範囲を超える場合には、相対的にSBRの配合割合が少なくなって、汎用性が高くコスト安価である上、電気抵抗値が低いという、SBRを用いることによる効果が十分に得られないおそれがある。 また相対的にEPDMの配合割合が少なくなって、転写ローラに良好なオゾン耐性を付与できないおそれもある。 さらに、相対的にエピクロルヒドリンゴムの配合割合が少なくなって、転写ローラに良好なイオン導電性を付与できないおそれもある。

    〈発泡成分〉
    発泡成分としては、先に説明したように発泡剤としての炭酸水素ナトリウムと、発泡助剤としてのクエン酸とを併用する。
    このうち炭酸水素ナトリウムの配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上、5質量部以下であるのが好ましい。

    炭酸水素ナトリウムの配合割合がこの範囲未満では、押出成形機を用いて押出成形された筒状体を十分に発泡させることができないおそれがある。 一方、範囲を超える場合には、転写ローラのローラ抵抗値、特に高温で放置した際の抵抗特性が悪化するおそれがある。
    これに対し、炭酸水素ナトリウムの配合割合を、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上、5質量部以下の範囲とすることにより、高温で放置した際の抵抗特性が悪化するのを抑制しながら、筒状体を十分に発泡させることができる。

    またクエン酸の配合割合は、無水物換算で、前記ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上、0.5質量部以下であるのが好ましい。
    クエン酸の配合割合がこの範囲未満では、当該クエン酸を配合することによる、先に説明した、炭酸水素ナトリウムの発泡開始温度を低下させて、転写ローラの全体で発泡セル径をできるだけ均一化させる効果が十分に得られないおそれがある。 一方、範囲を超える場合には、却って、転写ローラの全体で発泡セル径をできるだけ均一化させる効果が得られないおそれがある。

    これに対し、クエン酸の配合割合を、無水物換算で、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上、0.5質量部以下とすることにより、転写ローラの全体で発泡セル径をできるだけ均一化させる効果を、より一層向上することができる。
    〈架橋成分〉
    ゴム分を架橋させるための架橋成分としては、架橋剤、促進剤等が挙げられる。

    このうち架橋剤としては、例えば硫黄系架橋剤、チオウレア系架橋剤、トリアジン誘導体系架橋剤、過酸化物系架橋剤、各種モノマー等の1種または2種以上が挙げられる。 中でも硫黄系架橋剤が好ましい。
    また硫黄系架橋剤としては、粉末硫黄や有機含硫黄化合物等が挙げられる。 このうち有機含硫黄化合物等としては、テトラメチルチウラムジスルフィド、N,N−ジチオビスモルホリン等が挙げられる。 特に粉末硫黄等の硫黄が好ましい。

    硫黄の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.2質量部以上、特に1質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下、特に3質量部以下であるのが好ましい。
    配合割合がこの範囲未満では、導電性ゴム組成物の全体での架橋速度が遅くなり、架橋に要する時間が長くなって転写ローラの生産性が低下するおそれがある。 また範囲を超える場合には、架橋後の転写ローラの圧縮永久ひずみが大きくなったり、過剰の硫黄が転写ローラの外表面にブルームしたりするおそれがある。

    促進剤としては、例えば消石灰、マグネシア(MgO)、リサージ(PbO)等の無機促進剤や、有機促進剤等の1種または2種以上が挙げられる。
    また有機促進剤としては、例えばジ−o−トリルグアニジン、1,3−ジフェニルグアニジン、1−o−トリルビグアニド、ジカテコールボレートのジ−o−トリルグアニジン塩等のグアニジン系促進剤;2−メルカプトベンゾチアゾール、ジ−2−ベンゾチアジルジスルフィド等のチアゾール系促進剤;N−シクロへキシル−2−ベンゾチアジルスルフェンアミド等のスルフェンアミド系促進剤;テトラメテルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラエチルチウラムジスルフィド、ジペンタメチレンチウラムテトラスルフィド等のチウラム系促進剤;チオウレア系促進剤等の1種または2種以上が挙げられる。

    促進剤としては、これら種々の促進剤の中から、組み合わせる架橋剤の種類に応じて、最適な促進剤の1種または2種以上を選択して使用すればよい。 例えば架橋剤として硫黄を使用する場合は、促進剤としてチウラム系促進剤、および/またはチアゾール系促進剤を選択して使用するのが好ましい。
    また促進剤は、種類によって架橋促進のメカニズムが異なるため、2種以上を併用するのが好ましい。 併用する個々の促進剤の配合割合は任意に設定することができるが、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上、特に0.5質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下、特に2質量部以下であるのが好ましい。

    架橋成分としては、さらに促進助剤を配合してもよい。
    促進助剤としては、例えば亜鉛華等の金属化合物;ステアリン酸、オレイン酸、綿実脂肪酸等の脂肪酸、その他従来公知の促進助剤の1種または2種以上が挙げられる。
    促進助剤の配合割合は、ゴム分の種類および組み合わせや、架橋剤、促進剤の種類および組み合わせ等に応じて適宜設定することができる。

    〈その他〉
    導電性ゴム組成物には、さらに必要に応じて各種の添加剤を配合してもよい。 添加剤としては、例えば受酸剤、可塑成分(可塑剤、加工助剤等)、劣化防止剤、充填剤、スコーチ防止剤、紫外線吸収剤、滑剤、顔料、帯電防止剤、難燃剤、中和剤、造核剤、共架橋剤等が挙げられる。

    このうち受酸剤は、ゴム分の架橋時にエピクロルヒドリンゴムから発生する塩素系ガスの、転写ローラ内への残留と、それによる架橋阻害や感光体の汚染等を防止するために機能する。
    受酸剤としては、酸受容体として作用する種々の物質を用いることができるが、分散性に優れていることからハイドロタルサイト類またはマグサラットが好ましく、特にハイドロタルサイト類が好ましい。

    また、ハイドロタルサイト類等を酸化マグネシウムや酸化カリウムと併用するとより高い受酸効果を得ることができ、感光体の汚染をより一層確実に防止できる。
    受酸剤の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.2質量部以上、特に0.5質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下、特に2質量部以下であるのが好ましい。
    配合割合がこの範囲未満では、受酸剤を含有させることによる効果が十分に得られないおそれがある。 また範囲を超える場合には、架橋後の転写ローラの硬さが上昇するおそれがある。

    可塑剤としては、例えばジブチルフタレート(DBP)、ジオクチルフタレート(DOP)、トリクレジルホスフェート等の各種可塑剤や、極性ワックス等の各種ワックス等が挙げられる。 また加工助剤としてはステアリン酸等の脂肪酸などが挙げられる。
    これら可塑成分の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり5質量部以下であるのが好ましい。 例えば画像形成装置への装着時や運転時に感光体の汚染を生じたりするのを防止するためである。 かかる目的に鑑みると、可塑成分としては極性ワックスを使用するのが特に好ましい。

    劣化防止剤としては、各種の老化防止剤や酸化防止剤等が挙げられる。
    このうち酸化防止剤は、転写ローラのローラ抵抗値の環境依存性を低減するとともに、連続通電時のローラ抵抗値の上昇を抑制する働きをする。 酸化防止剤としては、例えばジエチルジチオカルバミン酸ニッケル〔大内新興化学工業(株)製のノクラック(登録商標)NEC−P〕、ジブチルジチオカルバミン酸ニッケル〔大内新興化学工業(株)製のノクラックNBC〕等が挙げられる。

    充填剤としては、例えば酸化亜鉛、シリカ、カーボン、カーボンブラック、クレー、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム等の1種または2種以上が挙げられる。
    充填剤を配合することにより、転写ローラの機械的強度等を向上できる。
    また充填剤として導電性カーボンブラックを用いることで、導電性ゴム組成物の全体としてのマイクロ波の吸収効率を向上したり、転写ローラに電子導電性を付与したりすることができる。

    導電性カーボンブラックとしては、HAFが好ましい。 HAFは、マイクロ波の吸収効率に特に優れる上、導電性ゴム組成物中に均一に分散させて、転写ローラに、できるだけ均一な電子導電性を付与することができる。
    導電性カーボンブラックの配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり5質量部以上であるのが好ましく、25質量部以下、特に20質量部以下であるのが好ましい。

    スコーチ防止剤としては、例えばN−シクロへキシルチオフタルイミド、無水フタル酸、N−ニトロソジフエニルアミン、2,4−ジフエニル−4−メチル−1−ペンテン等の1種または2種以上が挙げられる。 特にN−シクロへキシルチオフタルイミドが好ましい。
    スコーチ防止剤の配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上であるのが好ましく、5質量部以下、特に1質量部以下であるのが好ましい。

    共架橋剤とは、それ自体が架橋するとともにゴム分とも架橋反応して全体を高分子化する働きを有する成分を指す。
    共架橋剤としては、例えばメタクリル酸エステルや、あるいはメタクリル酸またはアクリル酸の金属塩等に代表されるエチレン性不飽和単量体、1,2−ポリブタジエンの官能基を利用した多官能ポリマ類、ジオキシム等の1種または2種以上が挙げられる。

    このうちエチレン性不飽和単量体としては、例えば
    (a) アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸などのモノカルボン酸類、
    (b) マレイン酸、フマル酸、イタコン酸などのジカルボン酸類、
    (c) (a)(b)の不飽和カルボン酸類のエステルまたは無水物、
    (d) (a)〜(c)の金属塩、
    (e) 1,3−ブタジエン、イソプレン、2−クロル−1,3−ブタジエンなどの脂肪族共役ジエン、
    (f) スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルビニルベンゼン、ジビニルベンゼンなどの芳香族ビニル化合物、
    (g) トリアリルイソシアヌレート、トリアリルシアヌレート、ビニルピリジンなどの複素環を有するビニル化合物、
    (h) その他、(メタ)アクリロニトリルもしくはα−クロルアクリロニトリルなどのシアン化ビニル化合物、アクロレイン、ホルミルステロール、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン等の1種または2種以上が挙げられる。

    また(c)の不飽和カルボン酸類のエステルとしては、モノカルボン酸類のエステルが好ましい。
    モノカルボン酸類のエステルとしては、例えば メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ぺンチル(メタ)アクリレート、i−ぺンチル(メタ)アクリレート、n−へキシル(メタ)アクリレート、シクロへキシル(メタ)アクリレート、2−エチルへキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、i−ノニル(メタ)アクリレート、tert−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシメチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のアルキルエステル;
    アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ブチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸のアミノアルキルエステル;
    べンジル(メタ)アクリレート、ベンゾイル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレートなどの芳香族環を有する(メタ)アクリレート;
    グリシジル(メタ)アクリレート、メタグリシジル(メタ)アクリレート、エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレートなどのエポキシ基を有する(メタ)アクリレート;
    N−メチロール(メタ)アクリルアミド、γ−(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、テトラハイドロフルフリルメタクリレートなどの各種官能基を有する(メタ)アクリレート;
    エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、エチレンジメタクリレート(EDMA)、ポリエチレングリコールジメタクリレート、イソブチレンエチレンジメタクリレートなどの多官能(メタ)アクリレート;等の1種または2種以上が挙げられる。

    以上で説明した各成分を含む本発明の導電性ゴム組成物は、従来同様に調製することができる。 まずゴム分を所定の割合で配合して素練りし、次いで発泡成分、架橋成分以外の添加剤を加えて混練した後、最後に発泡成分、架橋成分を加えて混練することで導電性ゴム組成物が得られる。 混練には、例えばニーダ、バンバリミキサ、押出機等を用いることができる。

    《転写ローラ》
    図1は、本発明の転写ローラの、実施の形態の一例を示す斜視図である。
    図1を参照して、この例の転写ローラ1は、本発明の導電性ゴム組成物により、単層構造の筒状に形成されるとともに、中心の通孔2にシャフト3が挿通されて固定されたものである。

    シャフト3は、例えばアルミニウム、アルミニウム合金、ステンレス鋼等の金属によって一体に形成されている。
    シャフト3は、例えば導電性を有する接着剤を介して転写ローラ1と電気的に接合されるとともに機械的に固定されるか、あるいは通孔2の内径よりも外径の大きいものを通孔2に圧入することで、転写ローラ1と電気的に接合されるとともに機械的に固定されて、一体に回転される。

    転写ローラ1は、本発明の導電性ゴム組成物を、先に説明したように押出成形機を用いて長尺の筒状に押出成形するとともに、押出成形した筒状体をカットせずに長尺のままで連続的に送り出しながら、マイクロ波架橋装置と熱風架橋装置とを含む連続架橋装置内を連続的に通過させることで連続的に発泡および架橋させたのち、所定の長さにカットし、さらに必要に応じて外表面4を研磨する等して製造するのが好ましい。

    研磨は任意の時点で実施できるが、所定の長さにカットし、シャフト3を挿通して固定した図1の状態で、シャフト3を中心として回転させながら研磨するのが、作業性を向上し、なおかつ外表面4のフレを抑制する上で好ましい。
    図2は、連続架橋装置の一例の概略を説明するブロック図である。
    図1および図2を参照して、この例の連続架橋装置5は、押出成形機6を用いて、本発明の導電性ゴム組成物を連続的に押出成形して得られた、転写ローラ1のもとになる長尺の筒状体7をカットせずに長尺のままで、図示しないコンベア等によって連続的に搬送する搬送途上に順に、マイクロ波架橋装置8、熱風架橋装置9、および筒状体7を一定の速度で引き取るための引取機10を配設したものである。

    まず押出成形機6に、例えば先に説明した各成分を混練し、リボン状等に形成した導電性ゴム組成物を連続的に供給しながら、当該押出成形機6を動作させることで、長尺の筒状体7を連続的に押出成形する。
    次いで、押出成形された筒状体7をコンベア、および引取機10によって一定の速度で連続的に搬送しながら、連続架橋装置5のうち、まずマイクロ波架橋装置8を通過させることでマイクロ波を照射して、筒状体7を形成する導電性ゴム組成物をある程度の架橋度まで架橋させる。 またマイクロ波架橋装置8内を一定温度に加熱して、架橋とともに、発泡剤を分解させて導電性ゴム組成物を発泡させることもできる。

    次いで、さらに搬送を続けながら熱風架橋装置9を通過させて熱風を吹き付けることで、発泡剤を分解させて導電性ゴム組成物をさらに発泡させるとともに、導電性ゴム組成物を所定の架橋度まで架橋させる。
    次いで、図示しない冷却水中等を通過させることで筒状体7を冷却することにより、当該筒状体7の発泡および架橋工程が完了する。

    連続架橋装置5の詳細は、例えば先に説明した特許文献1、2等に記載されているとおりである。
    筒状体7の搬送速度、マイクロ波架橋装置8で照射するマイクロ波の線量、熱風架橋装置9の設定温度や長さ(それぞれ複数の部分にわけて段階的に変化させることもできる)等を設定することで、導電性ゴム組成物の架橋度、発泡度等が任意の一定値とされた筒状体7を連続的に得ることができる。

    また、筒状体7の全体でマイクロ波の照射線量や加熱の度合いをできるだけ均一化して、その架橋度や発泡度を極力一定にするため、搬送途中の筒状体7に捻りを加えるようにしてもよい。
    このあと、発泡、および架橋させた筒状体7を所定の長さにカットしたのち、通孔2にシャフト3を挿通して固定し、さらに必要に応じて外表面4を研磨する等して、多孔質構造を有する転写ローラ1が製造される。 また発泡、および架橋させた筒状体7を、例えば図示しない巻取機に巻き取る等して一旦保管しておき、需要に応じて順次、カット以降の工程に送って転写ローラ1を製造するようにしてもよい。

    連続架橋装置5を用いたかかる連続架橋を実施することにより、生産性を向上して転写ローラ1の生産コストをさらに圧縮できる。
    〈ローラ抵抗値、およびそのムラ評価〉
    転写ローラ1は、温度23℃、相対湿度55%の常温常湿環境下で測定される、印加電圧1000Vでのローラ抵抗値が10 10 Ω以下、特に10 Ω以下であるのが好ましい。

    図3は、転写ローラのローラ抵抗値を測定する方法を説明する図である。
    図1、図3を参照して、本発明ではローラ抵抗値を、下記の方法で測定した値でもって表すこととする。
    すなわち一定の回転速度で回転させることができるアルミニウムドラム11を用意し、このアルミニウムドラム11の外周面12に、その上方から、ローラ抵抗値を測定する転写ローラ1の外表面4を当接させる。

    また転写ローラ1のシャフト3とアルミニウムドラム11との間に直流電源13、および抵抗14を直列に接続して計測回路15を構成する。 直流電源13は、(−)側をシャフト3、(+)側を抵抗14と接続する。 抵抗14の抵抗値rは100Ωとする。
    次いでシャフト3の両端部にそれぞれ500gの荷重Fをかけて転写ローラ1をアルミニウムドラム11に圧接させた状態で、アルミニウムドラム11を回転(回転数:30rpm)させながら、両者間に、直流電源13から直流1000Vの印加電圧Eを印加した際に、抵抗14にかかる検出電圧Vを計測する。 計測は4秒間で100回行う。

    計測した検出電圧Vと印加電圧E(=1000V)とから、転写ローラ1のローラ抵抗値Rは、基本的に式(i′):
    R=r×E/(V−r) (i′)
    によって求められる。 ただし式(i′)中の分母中の(−r)の項は微小とみなすことができるため、本発明では式(i):
    R=r×E/V (i)
    によって求めた値でもって転写ローラ1のローラ抵抗値とすることとする。

    そして100回分の検出電圧Vから、それぞれ式(i)によってローラ抵抗値Rを求め、その平均値でもって、その転写ローラ1のローラ抵抗値Rとする。
    〈硬さその他〉
    転写ローラ1は、(社)日本ゴム協会標準規格SRIS 0101「膨張ゴムの物理試験方法」に規定された測定方法により、温度23℃、相対湿度55%の常温常湿環境下、500gf(≒4.9N)の荷重を付加して測定されるアスカーC型硬さが40°以下であるのが好ましい。

    これは、アスカーC型硬さがこの範囲を超える転写ローラ1は柔軟性が不足し、広いニップ幅を確保してトナーの転写効率を向上する効果や、感光体へのダメージを低減する効果が得られないためである。
    また転写ローラ1は、所定の圧縮永久ひずみや誘電正接等を有するように調整できる。 圧縮永久ひずみ、アスカーC型硬さ、ローラ抵抗値、並びに誘電正接等を調整するためには、例えばゴム組成物を構成する各成分の種類と量を調整すればよい。

    《画像形成装置》
    本発明の画像形成装置は、本発明の転写ローラを組み込んだことを特徴とするものである。 かかる本発明の画像形成装置としては、例えばレーザープリンタや静電式複写機、普通紙ファクシミリ装置、あるいはこれらの複合機等の、電子写真法を利用した種々の画像形成装置が挙げられる。

    〈実施例1〉
    (導電性ゴム組成物の調製)
    ゴム分としてはSBR〔住友化学(株)製の住友SBR1502〕70質量部、EPDM〔住友化学(株)製のエスプレン(登録商標)EPDM505A〕10質量部、およびECO〔日本ゼオン(株)製のHYDRIN(登録商標)T3108〕20質量部を配合した。

    また発泡成分としては、発泡剤としての炭酸水素ナトリウム〔永和化成工業(株)製の商品名セルボンFE−507〕、および発泡助剤としてのクエン酸〔一水和物、米山薬品工業(株)製〕を用いた。
    炭酸水素ナトリウムの配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり2質量部とし、クエン酸の配合割合は、無水物換算で、ゴム分の総量100質量部あたり0.5質量部とした。

    これらの成分に、さらに下記表1に示す各成分を配合し、バンバリミキサを用いて混練して導電性ゴム組成物を調製した。

    表1中の各成分は下記のとおり。
    HAF:導電性カーボンブラック〔東海カーボン(株)製の商品名シースト3〕
    受酸剤:ハイドロタルサイト類〔協和化学工業(株)製のDHT−4A−2〕
    架橋剤:粉末硫黄 促進剤DM:ジ−2−ベンゾチアジルジスルフィド〔Shandong Shanxian Chemical Co. Ltd. 製の商品名SUNSINE MBTS〕
    促進剤TS:テトラメテルチウラムモノスルフィド〔三新化学工業(株)製のサンセラー(登録商標)TS〕
    なお表1中の質量部は、ゴム分の総量100質量部あたりの質量部である。

    (転写ローラの製造)
    調製した導電性ゴム組成物を押出成形機に供給して外径φ10mm、内径φ3.0mmの長尺の円筒状に押出成形し、押出成形した筒状体7をカットせずに長尺のままで連続的に送り出しながら、図2に示すマイクロ波架橋装置8と熱風架橋装置9とを含む連続架橋装置5内を連続的に通過させることで連続的に発泡および架橋させたのち、冷却水中を通過させることで連続的に冷却した。

    マイクロ波架橋装置8の出力は6〜12kW、槽内制御温度は150〜250℃、熱風架橋装置9の槽内制御温度は150〜250℃、加熱槽の有効長は8mとした。
    発泡後の筒状体7の外径はおよそφ15mmであった。
    次いで筒状体7を所定の長さにカットし、外周面に導電性の熱硬化性接着剤を塗布した外径φ5mmのシャフト3に装着して、オーブン中で160℃×60分間加熱して熱硬化性接着剤を硬化させることにより、シャフト3と電気的に接合するとともに機械的に固定した。

    そして筒状体7の両端をカットしたのち、円筒研削盤を用いて外表面4をトラバース研削することで、外径をφ12.5mm(公差±0.1mm)に仕上げて転写ローラ1を製造した。
    〈実施例2、3〉
    炭酸水素ナトリウムの配合割合を、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部(実施例2)、5質量部(実施例3)としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、転写ローラを製造した。

    〈実施例4〉
    クエン酸の配合割合を、無水物換算で、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、転写ローラを製造した。
    〈実施例5〉
    ゴム分として、さらに極性ゴムであるNBR〔JSR(株)製のJSR N250SL、低ニトリルNBR、アクリロニトリル含量:20%〕30質量部を加えるとともに、SBRの配合割合を40質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、転写ローラを製造した。

    〈実施例6〉
    ゴム分として、さらに極性ゴムであるCR〔昭和電工エラストマー(株)製のショウプレン(登録商標)WRT〕30質量部を加えるとともに、SBRの配合割合を40質量部としたこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、転写ローラを製造した。

    〈比較例1〉
    発泡成分として、発泡剤としてのADCA〔永和化成(株)製の商品名ビニホールAC#3〕のみを単独で、ゴム分の総量100質量部あたり4質量部の割合で配合したこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、転写ローラを製造した。
    〈比較例2〉
    発泡成分として、発泡剤としてのADCA、および炭酸水素ナトリウムを、それぞれゴム分の総量100質量部あたり2質量部ずつ併用したこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、転写ローラを製造した。

    〈比較例3〉
    発泡成分として、発泡剤としての炭酸水素ナトリウムのみを単独で、ゴム分の総量100質量部あたり4質量部の割合で配合したこと以外は実施例1と同様にして導電性ゴム組成物を調製し、転写ローラを製造した。
    〈ガス発生の有無〉
    各実施例、比較例において、導電性ゴム組成物を筒状に押出成形しながら、連続架橋装置5内を連続的に通過させることで連続的に発泡および架橋させた際に発生するガスを、理研計器(株)製のポータブル毒性ガスモニターSC−01を用いて測定して、アンモニア(NH )、および一酸化炭素(CO)の濃度が0.5ppm以上であったものをガス発生あり、0.5ppm未満であったものをガス発生なしとして評価した。

    〈ローラ抵抗値〉
    各実施例、比較例で製造した転写ローラの、印加電圧1000Vでのローラ抵抗値を、温度23℃、相対湿度55%の常温常湿環境下、先に説明した図3に示した測定方法によって測定した。 ローラ抵抗値Rは、10 6.5 Ω以上、10 10 Ω以下であるとき良好(○)、それ以外のときを不良(×)と評価した。 なお表2、表3ではローラ抵抗値RをlogR値で示している。

    〈硬〉
    各実施例、比較例で製造した転写ローラ1のアスカーC型硬さを、温度23℃、相対湿度55%の常温常湿環境下、先に説明した測定方法によって測定した。 アスカーC型硬さは、40°以下のとき良好(○)、40°を超えるときを不良(×)と評価した。
    〈発泡セル径〉
    各実施例、比較例で製造した転写ローラ1を、シャフト3の軸方向と直交方向にカットし、外表面から径方向内方へ1mmの位置、および通孔2の内周面から径方向外方へ1mmの位置の発泡セルの発泡セル径を測定した。 測定数はそれぞれ30個ずつとし、その平均値でもって外表面側の発泡セル径、および内周面側の発泡セル径とし、両者の差が50μm未満のものを発泡セル径が均一(○)、50μmを超えるものを発泡セル径に不均一あり(×)と評価した。

    以上の結果を表2、表3に示す。

    表3の比較例1、2の結果より、発泡成分としてADCAを使用した場合にはアンモニア、および一酸化炭素が発生すること、特許文献1、2に記載のようにADCAと炭酸水素ナトリウムを併用しても、これらのガスが発生するのは防止できないことが判った。
    また比較例3の結果より、ADCAに代えて炭酸水素ナトリウムのみを単独で使用した場合には、アンモニア、および一酸化炭素が発生するのを防止できるものの、発泡セル径が不均一になることが判った。

    これに対し表2、表3の実施例1〜6の結果より、炭酸水素ナトリウムをクエン酸と併用することにより、アンモニア、および一酸化炭素が発生するのを防止しながら、発泡セル径を均一化できることが判った。
    また表2の実施例1〜4の結果より、炭酸水素ナトリウムの配合割合は、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上、5質量部以下であるのが好ましいこと、クエン酸の配合割合は、無水物換算で、ゴム分の総量100質量部あたり0.1質量部以上、0.5質量部以下であるのが好ましいことが判った。

    さらに実施例1と実施例5、6の結果より、ゴム分として極性ゴムを配合することで、転写ローラのローラ抵抗値を微調整できることが判った。

    1 転写ローラ2 通孔3 シャフト4 外表面5 連続架橋装置6 押出成形機7 筒状体8 マイクロ波架橋装置9 熱風架橋装置10 引取機11 アルミニウムドラム12 外周面13 直流電源14 抵抗15 計測回路F 荷重V 検出電圧

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