Air motor

本発明は、ガイドボアを有するケーシングと、その中で回転可能に軸受けされたロータと、を有するエアモータに関する。 ロータには、外側方向に延ばされたスロットが備えられ、そのスロットにはプレート形状のベーンが遠心力によって放射方向に移動可能に配置され、ベーンの周辺部であって、ロータの外側とケーシングのガイドボアの間には、ベーンの外側を取り囲んで、実質的にシリンダー状で、自由に回転可能な回転スリーブが備えられている。

従来の技術では、圧縮エアで駆動される幾つかのベーンモーター（ヴェーンモーター）が知られている。 ヨーロッパ特許ＥＰ−Ｂ１−３９４６５１はロータと遠心力で移動するベーンを持つモーターがを開示する。 ここでは、ロータにはケーシングのボア内部に内臓された回転可能な回転スリーブが配置されている。

回転スリーブはベーンがケーシングの内部でこすれるのを防止する機能を有する。 従って、駆動の際には、ロータと回転スリーブとが回転する。

ケーシングのボアはこのよく知られたモーターではシリンダー形ではなく、一方の側に形成されたポケットによって非シリンダー形状に成形されている。 これは、明らかに回転スリーブと外側シリンダー壁の間の空間にエアを入れることが必要だとの見解に基いたものである。 もう１つの理由として、ロータと回転スリーブの間の空間に軸方向に流入するエアを入れることにより、その圧負荷のため回転スリーブの側面移動の傾向が生じ、これは切欠き部の追加放射方向隙間によって調整されるため、一面の非シリンダー形成形が必要になったためと思われる。

ケーシング内ボアの非対称形の形状は、製作が高くつくのみならず、駆動中にエアロスが生じ効率が低下する。

ＵＳ特許ＵＳ−Ａ−４１９７０６１で、ボーイング社は、ケーシングボア内で中心から外れた切欠きがなく、その代りにケーシングの内壁に分離したエアチャンネルを有し、そのチャンネルにはエアが供給され、回転可能な回転スリーブとケーシングの間の空間をエアで満たすエアモータを公開した。 しかし、この追加のチャンネルの製作は複雑であり、ハウジングのシリンダーのフォーメーションを中断し、性能低下をもたらす。

従来技術を示す他の文献として、ＵＳ特許ＵＳ−Ａ−４６４８８１９には、同様に回転スリーブをもつポンプが開示されている。 この回転スリーブの外側には様々な溝が設けられ、溝はポンプされる媒質の搬送に使われる。 それ自身比較的肉薄の材料からできている回転スリーブに−部分的にはスリーブの周囲にまたがる−溝をつけることは比較的に高価である。 このよく使われる構造はエアモータ製作に役立つものではない。

これらのエアモータは、すでに述べたように、他のエアモータではベーンと外部ケーシングの間に生じる摩擦を減らし、それによりオイルなしの駆動を可能にしようとする。

特に外科の分野で使われる機器では、潤滑オイルが人体に入ってはならないため、オイル潤滑のないエアモータは大切である。 外科で使われるエアモータはその高速回転（最高約８００００ｒｐｍ）であるので、エア漏れなく、それにつながるオイル漏れがないようにオイルタイトするのが困難である。

そこで、本発明は、オイルなしで駆動可能な、効率の良いモーターを容易に製作することを目的とする。

ヨーロッパ特許ＥＰ−Ｂ１−３９４６５１

ＵＳ特許ＵＳ−Ａ−４１９７０６１

ＵＳ特許ＵＳ−Ａ−４６４８８１９

この課題は、請求項１の発明により解決される。

穴のあいた、あるいは壁を通るボアのついた回転スリーブの使用により、構造力学の面でも、ロータのベーンまた外ケーシングの内壁に対する少ない摩擦という観点からも、回転スリーブの驚くべき良好な配置を実現する。 シリンダー形ボアは簡単に製作される。

エア流入・流出用のエア接続は、本発明のシステムでは特別な形とする必要はない。 流れの効率をよくするために、好ましくは、ばり取りをするか、サンドブレストがされる。

ロータは、放射（半径）方向に沿ったベーンを備えることができる。 ベーンは、好ましくは、放射状に延びるスロットに配置され、積極的にコントロールしないことが好まれる。 ベーンおよび／または回転スリーブの材料は、好ましくはプラスチック、特に、フェノール樹脂を含浸させた繊細木綿繊維（phenol resin/very fine cotton febric）である。

回転スリーブのボア（穴）は規則的にならべても良いが、必要に応じて、そして、また回転スリーブの長さに応じて異なる配置にしても良いし、また異なる形状としても良い。

従って、ボアは回転スリーブの雑音に関して統計的または偶然に分配される。 つまり、回転スリーブの周囲に、なるべく規則的でないボア間隔を置いてならべる。 こにより、高い回転数でエアでの雑音が生じるのを防ぐことができる。

特に、工夫してボアを適当に並べ、ボアが相補的な音を出し、「白い雑音」（つまり周囲には聞えない音）が生じるようにする。

上述したような雑音減の効果はベーンを厳密には対称的には並べないことによっても得ることができる。

ボアの形（場合によってはスロット形）に関しては、上にのべたポンプのＵＳ特許ＵＳ−Ａ−４６４８８１９が参考になる。 そこに挙がっているみぞとみぞ形とは、本発明の効果をえるためには、本発明でも通して成形することができる。

また、ベーン用の縦スロットを放射面（半径面）からずらして並べるのも有効である。 これにより、放射状にベーンを並べるよりも、エア圧を受ける面が大きくなる。

ベーンは、好ましくは４つ備えられる。 しかし、本発明はそれに限定されず、径と材質により数を減らすか増やすことができる。

特許された請求の範囲は、それに十分広く解釈される。

本発明を図によって詳細に説明する。 図示した例は、特に好適な例である。

符号の説明及び図１並びに図２は、請求項に記載された又はそれによって保護された対象と共に、申請書類の一部をなす。 図は全体にわたる説明に使用される。 同一の符号は同じ部品を示し、異なる符号も同一の機能の部品を示す場合がある。

図１、図２に示すように、エアモータは、実質的に複数パーツで構成されたケーシング１からなる。 ケーシング１は、ロータ２がベアリング３、４によって回転可能に軸受けされている。 ケーシング１の中央部分には実質的にシリンダー形状のガイドボア５を有する。 ロータ２の前端には工具受け６がある。 ロータ２は、実質的に４つの放射状に延ばされた縦スロット７を有する。 ベーン８は、縦スロット７内で放射状に移動可能でガイドされる。 回転スリーブ９は、ベーン８の外側端面を取り囲み、ケーシング１のガイドボア５に自由に回転可能に配置されている。 回転スリーブ９は、ケーシング１内のロータ２と共に回転し、ロータ２と回転スリーブ９間の回転は、ベーン８と回転スリーブ９の摩擦によってのみ行われる。 回転スリーブ９は、ベーン８とガイドボア５との接触を防ぎ、これにより、ベーン８とガイドボア５の摩耗を防止する。 エアは、ロータ２の背面端面でガイドボア５に開けられた供給チャンネル１２を通して供給される。 エア出口１３は、供給チャンネル１２に対しほぼ放射方向に対向する側にある。

回転スリーブ９には、エア用通路１０、１１が設けられている。 この通路１０、１１は、ベーン８とロータ２の外側と回転スリーブ９の内側で囲まれたチャンバー１４からのエアの流出に使われる。 エアの一部の流出により回転スリーブ９の外側に同様にエアクッションが形成される。 これにより、内圧により回転スリーブ９がケーシング１のボアに対向して一側に押し出され、回転スリーブ９とケーシング１の間の摩耗が大きくなるのを防ぐ。 通路１０、１１は、たとえば穴またはスロットとすることができる。 通路１０、１１は、好ましくは、他の通路１０，１１に対して軸方向および／または放射方向からずらされて形成されている。 通路のこのような差異により、このような機器では通常の高速回転（最高８００００ｒｐｍ）で生じる音波に良い影響を与える。

ベーン８および／または回転スリーブ９は、通常プラスチック、特にフェノール樹脂を含浸させた繊細木綿繊維で製作することができる。 これにより重量は軽くなり、遠心力が小さくなり、エアモータを極めてダイナミックに操作可能、例えば、回転数を変化させて駆動することができる。

図３は、本発明エアモータの他の態様のケーシング２１とロータ２２を示す横断図である。

ケーシング２１は、ガイドボア２５を有する。 ロータ２２には、縦スロット２７が形成されているが、図２とは異なり、放射状に延びるのではなく、半径方向と平行な面に配置されている。 縦スロット２７には、同様にベーン２８が移動可能に備えられている。 回転スリーブ２９はベーンの外側を取り囲み、ケーシング１のガイドボア２５内に備えられている。 回転スリーブ２９には、少なくとも１つの通路３０が形成されている。 通路３０を通してエアはケーシング２１と回転スリーブ２９の間の環状の隙間に入る。 それにより一種のエアクッションが生じ、これにより、回転スリーブ２９がケーシング２１のガイドボア２５から離れ、摩耗現象を防ぐことができる。 通路３０は軸方向および／または放射方向に沿って回転スリーブ２９のさまざまな部分に配置させることができる。 また同様に幾つかの開口部を回転スリーブの周囲に配置させることができる。 開口部は、例えば穴又はスロットで構成することができる。 ベーン２８および回転スリーブ２９のいずれも、好適にはプラスチック、例えば、フェノール樹脂を含浸させた繊細木綿繊維で構成することができる。

本発明のエアモータの縦断面図である。

図１に示したエアモータＩＩ−ＩＩ線での横断面図である。

本発明のエアモータの他の態様であって、図２に相当する横断面図である。

符号の説明

１ ケーシング、２ ロータ、３，４ ベアリング、５ ボア、６ 工具受け、７ 縦スロット、８ ベーン、９ 回転スリーブ、１０，１１ 開口部、１２ 供給チャンネル、１３ エア流出口、２１ ケーシング、２２ ロータ、２５ ボア、２７ 縦スロット、２８ ベーン、２９ 回転スリーブ、３０ 開口部。