流体機械および冷凍サイクル装置

申请号 JP2010512947 申请日 2009-05-21 公开(公告)号 JPWO2009142023A1 公开(公告)日 2011-09-29
申请人 パナソニック株式会社; 发明人 優 塩谷; 優 塩谷; 長谷川 寛; 寛 長谷川; 雄司 尾形; 雄司 尾形; 信吾 大八木; 信吾 大八木; 賢宣 和田; 賢宣 和田; 修 小須田; 修 小須田;
摘要 流体 機械(101)は、第1圧縮機(107)および第2圧縮機(108)を備えている。第1圧縮機(107)は、第1密閉容器(111)、第1圧縮機構(102a)、膨張機構(104)およびシャフト(113)を有する。第1密閉容器(111)内には、第1油溜まり(112)が形成されている。第2圧縮機(108)は、第2密閉容器(125)および第2圧縮機構(102b)を有する。第2密閉容器(125)の底部には、第2油溜まり(126)が形成されている。第1油溜まり(112)と第2油溜まり(126)との間を潤滑油が流通しうるように第1密閉容器(111)と第2密閉容器(125)とが油通路(109)によって接続されている。第1密閉容器(111)側における油通路(109)の開口部(109a)は、鉛直方向に関して、膨張機構(104)よりも上に 位置 している。この構成により、膨張機構(104)の周囲の高温の潤滑油と第2圧縮機(108)の高温の潤滑油とが流通することを回避することにより、第1圧縮機(107)と第2圧縮機(108)との間の熱移動を抑制する。
权利要求
  • 第1密閉容器と、前記第1密閉容器内に配置された第1圧縮機構と、鉛直方向に関して前記第1圧縮機構よりも下に位置するように前記第1密閉容器内に配置された膨張機構と、前記第1圧縮機構と前記膨張機構とを連結しているシャフトとを有し、前記第1圧縮機構および前記膨張機構のための潤滑油で前記膨張機構の周囲が満たされるように前記第1密閉容器内に第1油溜まりが形成されている第1圧縮機と、
    第2密閉容器と、前記第2密閉容器内に配置された第2圧縮機構とを有し、前記第2圧縮機構のための潤滑油が溜まるように前記第2密閉容器の底部に第2油溜まりが形成されており、前記第1圧縮機構に対する前記第2圧縮機構の接続が並列接続である第2圧縮機と、
    鉛直方向に関して前記膨張機構よりも上に位置している開口部を前記第1密閉容器側に有し、前記第1油溜まりと前記第2油溜まりとの間を潤滑油が流通しうるように前記第1密閉容器と前記第2密閉容器とを接続している油通路と、
    を備えた、流体機械。
  • 前記第1圧縮機が、鉛直方向に関する潤滑油の流動を抑制するように前記第1油溜まり内に設けられた流動抑制部材をさらに有し、
    鉛直方向に関して、前記第1密閉容器側における前記油通路の前記開口部が前記流動抑制部材よりも上に位置している、請求項1に記載の流体機械。
  • 前記シャフトの軸方向が鉛直方向に平行であり、
    前記流動抑制部材が、前記第1油溜まり内に水平に配置された板材でできており、
    前記シャフトの軸方向に関して、前記第1密閉容器側における前記油通路の前記開口部と、前記流動抑制部材と、前記膨張機構とが、上からこの順番で配列している、請求項2に記載の流体機械。
  • 前記第1圧縮機が、前記第1油溜まりの潤滑油を前記第1圧縮機構に供給するための第1給油機構をさらに有し、
    前記シャフトの軸方向に関して、前記第1密閉容器側における前記油通路の前記開口部と、前記第1給油機構の吸入口と、前記流動抑制部材とが、上からこの順番で配列している、請求項3に記載の流体機械。
  • 前記第1圧縮機が、前記第1油溜まりの潤滑油を前記第1圧縮機構に供給するための第1給油機構をさらに有し、
    鉛直方向に関して、前記第1密閉容器側における前記油通路の前記開口部が前記第1給油機構の吸入口よりも上に位置している、請求項1〜3のいずれか1項に記載の流体機械。
  • 前記第2圧縮機が、前記第2油溜まりの潤滑油を前記第2圧縮機構に供給するための第2給油機構をさらに有し、
    鉛直方向に関して、前記第2密閉容器側における前記油通路の他の開口部が、前記第2給油機構の吸入口よりも上に位置している、請求項1〜5のいずれか1項に記載の流体機械。
  • 前記第1圧縮機が、前記第1圧縮機構を駆動するために前記第1密閉容器内に配置された第1電動機をさらに有し、
    鉛直方向に関して、前記第1密閉容器側における前記油通路の前記開口部が前記第1電動機の回転子よりも下に位置している、請求項1〜6のいずれか1項に記載の流体機械。
  • 前記第2圧縮機が、前記第2圧縮機構を駆動するために前記第2密閉容器内に配置された第2電動機をさらに有し、
    鉛直方向に関して、前記第2密閉容器側における前記油通路の他の開口部が前記第2電動機の回転子よりも下に位置している、請求項1〜7のいずれか1項に記載の流体機械。
  • 前記第1密閉容器側における前記油通路の一の前記開口部を第1開口部、前記第2密閉容器側における前記油通路の他の開口部を第2開口部としたとき、
    鉛直方向に関して、前記第1密閉容器の底面を基準として、前記第1開口部と前記第2開口部とが等しい高さに位置している、または、前記第1開口部が前記第2開口部よりも低い位置にある、請求項1〜8のいずれか1項に記載の流体機械。
  • 前記油通路が、ストレート形状を有する配管で形成されている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の流体機械。
  • 前記油通路が、U字状の曲管で形成されており、
    前記曲管が、同じ方向から前記第1密閉容器および前記第2密閉容器のそれぞれに挿し込まれている、請求項1〜9のいずれか1項に記載の流体機械。
  • 前記第1密閉容器の内部空間と前記第2密閉容器の内部空間とを連通している均圧通路をさらに備えた、請求項1〜11のいずれか1項に記載の流体機械。
  • 前記第1圧縮機構で圧縮された作動流体が前記第1密閉容器の内部空間を経由して前記第1密閉容器の外部に吐出されるように前記第1圧縮機が構成され、
    前記第2圧縮機構で圧縮された作動流体が前記第2密閉容器の内部空間を経由して前記第2密閉容器の外部に吐出されるように前記第2圧縮機が構成されており、
    前記第1圧縮機構で圧縮された作動流体を前記第1密閉容器の外部に導くための吐出管と、前記第2圧縮機構で圧縮された作動流体を前記第2密閉容器の外部に導くための吐出管とを、分岐部分として有する配管によって、前記均圧通路が形成されている、請求項12に記載の流体機械。
  • 前記第1圧縮機が、前記第1油溜まりの潤滑油を前記第1圧縮機構に供給するための第1給油機構をさらに有し、
    前記第2圧縮機が、前記第2油溜まりの潤滑油を前記第2圧縮機構に供給するための第2給油機構をさらに有し、
    鉛直方向に関して、前記第1密閉容器の底面を基準として、前記第1給油機構の吸入口と前記第2給油機構の吸入口とが等しい高さに位置している、または、前記第1給油機構の吸入口が前記第2給油機構の吸入口よりも低い位置にある、請求項12または13に記載の流体機械。
  • 前記第2圧縮機が、鉛直方向に関する前記第1密閉容器の高さに対する前記第2密閉容器の高さを補完するための底上げ部材をさらに備えた、請求項1〜14のいずれか1項に記載の流体機械。
  • 前記第1圧縮機構がスクロール圧縮機構であり、前記膨張機構がロータリ膨張機構である、請求項1〜15のいずれか1項に記載の流体機械。
  • 作動流体を圧縮するための圧縮機と、
    前記圧縮機で圧縮された作動流体を放熱させるための放熱器と、
    前記放熱器で放熱した作動流体を膨張させるための膨張機と、
    前記膨張機で膨張した作動流体を蒸発させるための蒸発器と、を備え、
    前記圧縮機および前記膨張機として、請求項1〜16のいずれか1項に記載の流体機械が用いられた、冷凍サイクル装置。
  • 前記作動流体が二酸化炭素である、請求項17に記載の冷凍サイクル装置。
  • 说明书全文

    本発明は、流体機械および冷凍サイクル装置に関する。

    大能の冷凍サイクル装置には、大能力の圧縮機が必要である。 特許文献1には、複数台の圧縮機を並列に接続することによって、冷凍サイクル装置の大能力化を図る方法が開示されている。 特許文献1に開示されている圧縮機を図9に示す。

    図9に示すように、連結圧縮機700は、第1圧縮機701aおよび第2圧縮機701bを備えている。 第1圧縮機701aの上部と第2圧縮機701bの上部とが、均圧管707によって接続されている。 第1圧縮機701aの底部と第2圧縮機701bの底部とが、均油管708によって接続されている。 均油管708を通じて、第1圧縮機701aと第2圧縮機701bとの間を潤滑油が往来できるため、各圧縮機での潤滑油の過不足が起こらない。

    一方で、現在、給湯器や空調機に応用される冷凍サイクル装置の省エネルギー化に関する研究開発が活発に行われている。 省エネルギー化に関する技術の一つとして、膨張機一体型圧縮機の開発が進められている。 膨張機一体型圧縮機は、圧縮機と膨張機とがシャフトで連結された流体機械のことである。 特許文献2に開示されている膨張機一体型圧縮機を図10に示す。

    図10に示すように、膨張機一体型圧縮機800は、密閉容器802と、密閉容器802内の上部に配置された圧縮機構801と、密閉容器802内の下部に配置された膨張機構804とを備えている。 圧縮機構801と膨張機構804とが第1シャフト803および第2シャフト805によって連結されている。 圧縮機構801と膨張機構804との間には、圧縮機構801に潤滑油を供給するためのオイルポンプ808が設けられている。 膨張機構804で冷媒から回収された動力は、シャフト803,805を介して圧縮機構801に伝達される。 これにより、圧縮機構801を駆動するための電動機の負荷を軽減できる。

    特開平7−35045号公報

    特開2008−38915号公報

    本発明者らは、図9に示す第1圧縮機701aとして、図10に示す膨張機一体型圧縮機800を用いることを検討した。 その結果、次のような問題が存在することを突き止めた。

    図10に示す膨張機一体型圧縮機800では、動作時に低温となる膨張機構804が密閉容器802内の下部に配置されているので、膨張機構804の周囲を満たす潤滑油の温度は比較的低い。 他方、図9に示す第2圧縮機701bでは、容器内に溜められた潤滑油の温度は比較的高い。 そのため、図9に示す第2圧縮機701bと図10に示す膨張機一体型圧縮機800とを均油管で接続すると、潤滑油を介して第2圧縮機701bから膨張機一体型圧縮機800へと熱移動が起こる可能性がある。 このような熱移動は、第2圧縮機701bの吐出冷媒温度の低下および膨張機構804の吐出冷媒温度の上昇を招くので好ましくない。

    本発明の目的は、第1圧縮機として膨張機一体型圧縮機を用いた冷凍サイクル装置において、第1圧縮機と第2圧縮機との間の熱移動を抑制することにある。

    すなわち、本発明は、
    第1密閉容器と、前記第1密閉容器内に配置された第1圧縮機構と、鉛直方向に関して前記第1圧縮機構よりも下に位置するように前記第1密閉容器内に配置された膨張機構と、前記第1圧縮機構と前記膨張機構とを連結しているシャフトとを有し、前記第1圧縮機構および前記膨張機構のための潤滑油で前記膨張機構の周囲が満たされるように前記第1密閉容器内に第1油溜まりが形成されている第1圧縮機と、
    第2密閉容器と、前記第2密閉容器内に配置された第2圧縮機構とを有し、前記第2圧縮機構のための潤滑油が溜まるように前記第2密閉容器の底部に第2油溜まりが形成されており、前記第1圧縮機構に対する前記第2圧縮機構の接続が並列接続である第2圧縮機と、
    鉛直方向に関して前記膨張機構よりも上に位置している開口部を前記第1密閉容器側に有し、前記第1油溜まりと前記第2油溜まりとの間を潤滑油が流通しうるように前記第1密閉容器と前記第2密閉容器とを接続している油通路と、
    を備えた、流体機械を提供する。

    他の側面において、本発明は、
    作動流体を圧縮するための圧縮機と、
    前記圧縮機で圧縮された作動流体を放熱させるための放熱器と、
    前記放熱器で放熱した作動流体を膨張させるための膨張機と、
    前記膨張機で膨張した作動流体を蒸発させるための蒸発器と、を備え、
    前記圧縮機および前記膨張機として、上記流体機械が用いられた、冷凍サイクル装置を提供する。

    第1圧縮機の動作時において、膨張機構の周囲を満たす潤滑油の温度は比較的低くなる。 しかし、膨張機構よりも上に圧縮機構が配置されているので、膨張機構よりも上に溜められた潤滑油の温度は、膨張機構の周囲に溜められた潤滑油の温度に比べて高くなる。

    本発明では、第1密閉容器側(第1圧縮機側)における油通路の開口部が、鉛直方向に関して、膨張機構よりも上に位置している。 そのため、膨張機構よりも上に溜められた高温の潤滑油が第2圧縮機に移動する。 もしくは、第2圧縮機の高温の潤滑油が膨張機構よりも上の領域に移動する。 つまり、膨張機構の周囲の低温の潤滑油が第2圧縮機に移動したり、第2圧縮機の高温の潤滑油が膨張機構の周囲に移動したりすることを極力回避できる。 その結果、第1圧縮機と第2圧縮機との間の熱移動が抑制される。

    本発明の第1実施形態にかかる冷凍サイクル装置の構成図

    本発明の第1実施形態にかかる流体機械の断面図

    油通路、油面および電動機の相対位置関係の説明図

    変形例にかかる流体機械の側面図

    図4に示す流体機械の上面図

    他の変形例にかかる流体機械の模式図

    第2実施形態にかかる流体機械の断面図

    第3実施形態にかかる流体機械の断面図

    従来の圧縮機の断面図

    従来の膨張機一体型圧縮機の断面図

    以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。 なお、本発明は、下記の実施形態に限定されるものではない。

    <第1実施形態>
    図1は、本発明の第1実施形態にかかる冷凍サイクル装置100の構成図である。 冷凍サイクル装置100は、流体機械101、放熱器103、蒸発器105および配管117a〜117dを備えている。 流体機械101には、作動流体としての冷媒を圧縮したり、膨張させたりする役割がある。 流体機械101の圧縮機構で圧縮された冷媒は、放熱器103で放熱する。 流体機械101の膨張機構で膨張した冷媒は、蒸発器105で蒸発する。 流体機械101、放熱器103および蒸発器105が配管117a〜117dによって相互に接続され、これによって、冷媒回路が形成されている。

    流体機械101は、第1圧縮機107(膨張機一体型圧縮機)と、第1圧縮機107に組み合わされた第2圧縮機108と、第1圧縮機107と第2圧縮機108とを接続している油通路109とで構成されている。 油通路109によって、第1圧縮機107における潤滑油の量と、第2圧縮機108における潤滑油の量との均衡が保たれる。 油通路109の開口部が油面の近傍に位置しているため、油面近傍の高温の潤滑油が第1圧縮機107と第2圧縮機108との間を往来する。 これにより、第2圧縮機108の圧縮機構102bから第1圧縮機107の膨張機構104への熱移動を防げる。

    第1圧縮機107の圧縮機構102aと、第2圧縮機108の圧縮機構102bとによって、圧縮機部102が形成されている。 冷凍サイクル装置100において、圧縮機構102aと圧縮機構102bとは並列に接続されている。 具体的には、配管117aの分岐した部分が、圧縮機構102aの吸入口と圧縮機構102bの吸入口とのそれぞれに接続されている。 これにより、蒸発器105から流出した冷媒が圧縮機構102aと圧縮機構102bとのそれぞれに導かれる。 また、配管117bの分岐した部分が、第1圧縮機107の密閉容器と第2圧縮機108の密閉容器とのそれぞれに挿入されている。 これにより、圧縮機構102aで圧縮された冷媒と圧縮機構102bで圧縮された冷媒とが配管117bにおいて合流し、放熱器103に導かれる。 放熱器103において放熱した冷媒は、第1圧縮機107の膨張機構104で膨張する。 膨張後の冷媒は、蒸発器105に送られる。

    冷凍サイクル装置100の冷媒回路には、高圧部分(圧縮機部102から膨張機構104に至る部分)において超臨界状態となる冷媒が充填されている。 そのような冷媒の具体例は、二酸化炭素である。 ただし、冷媒は二酸化炭素に限定されず、冷媒回路内で超臨界状態とならないものであってもよい。 冷媒として、ハイドロフルオロカーボン等のフッ素冷媒を用いてもよい。

    二酸化炭素を冷媒として用いた冷凍サイクル装置は、フッ素冷媒を使用した冷凍サイクル装置に比べて、サイクルの高低圧差が非常に大きい。 そのため、膨張機構104での動力回収効率に優れ、冷凍サイクル装置100の効率向上の効果が高い。 ただし、サイクルの高低圧差が大きいことから、油面の変動幅も大きくなる可能性がある。 それゆえ、油通路109を設けることによって得られる効果も高い。

    本実施形態の冷凍サイクル装置100において、冷媒の流通方向は一定である。 ただし、冷凍サイクル装置100には、冷媒の流通方向を変更可能にするための経路(配管)および方向切替弁が設けられていてもよい。 さらに、第2圧縮機108を停止して第1圧縮機107のみが動作しうるように、冷媒回路に分配弁が設けられていてもよい。

    図2は、図1に示す流体機械101の断面図である。 第1圧縮機107は、第1密閉容器111、第1圧縮機構102a、膨張機構104、第1電動機110および第1シャフト113を備えている。 第1圧縮機構102aは、第1密閉容器111内の上部に配置されている。 膨張機構104は、第1密閉容器111内の下部に配置されている。 第1電動機110は、第1圧縮機構102aと膨張機構104との間に配置されている。 第1シャフト113は、第1圧縮機構102a、膨張機構104および第1電動機110を互いに連結している。 第1密閉容器111内には、第1圧縮機構102aおよび膨張機構104のための潤滑油で膨張機構104の周囲が満たされるように第1油溜まり112が形成されている。 本実施形態では、第1シャフト113の軸方向が鉛直方向に平行となるように、流体機械101が設計されている。

    第1密閉容器111は、略円筒の形状を有している。 第1密閉容器111の底部は下向きに凸であり、いわゆる碗状に形成されている。 第1密閉容器111の下側部分が第1油溜まり112として利用されている。

    第1電動機110は、第1圧縮機構102aを駆動するための要素であり、第1密閉容器111の内壁に固定された固定子110bと、固定子110bの内側に配置された回転子110aとを備えている。 回転子110aには、上下方向に延びる第1シャフト113が固定されている。

    第1シャフト113は、上シャフト113a、下シャフト113bおよび連結器114を含む。 上シャフト113aは第1圧縮機構102aに接続された部分であり、下シャフト113bは膨張機構104に接続された部分である。 上シャフト113aおよび下シャフト113bは、膨張機構104によって回収された動力が第1圧縮機構102aに伝達されるように、連結器114によって連結されている。 ただし、上シャフト113aと下シャフト113bとが、嵌めあわせによって直接連結されていてもよい。 上シャフト113aの回転数と下シャフト113bの回転数が相違するようにギアを介して両者が連結されていてもよいし、クラッチやトルクコンバータを介して両者が連結されていてもよい。 上シャフト113aおよび下シャフト113bに代えて、単一の部品からなるシャフトを採用してもよい。

    上シャフト113aの内部には、給油路115が軸方向に延びるように形成されている。 給油路115を通じて、第1油溜まり112の潤滑油が第1圧縮機構102aに供給される。 同様に、下シャフト113bの内部には、給油路139が軸方向に延びるように形成されている。 給油路139を通じて、第1油溜まり112の潤滑油が膨張機構104に供給される。

    第1圧縮機構102aは、上シャフト113aの上端部に取り付けられている。 第1圧縮機構102aは、上シャフト113aの回転に伴って冷媒を吸入、圧縮および吐出する容積式圧縮機構である。 本実施形態では、第1圧縮機構102aとしてスクロール圧縮機構が採用されている。 ただし、圧縮機構の具体的構成は何ら限定されず、ロータリ式等の他の形式の圧縮機構であってもよい。

    膨張機構104は、下シャフト113bの下部に取り付けられている。 膨張機構104は冷媒を吸入、膨張および吐出する容積式膨張機構である。 膨張機構104内において冷媒が膨張すると、その膨張エネルギーが回転駆動力として下シャフト113bに伝えられる。 この回転駆動力は連結器114を介して上シャフト113aへと伝えられ、第1電動機110による第1シャフト113(上シャフト113a)の駆動をアシストする。 本実施形態では、膨張機構104として2段ロータリ膨張機構が採用されている。 ただし、膨張機構の具体的構成は何ら限定されず、スクロール式やスクリュー式等の他の形式の膨張機構であってもよい。

    なお、「ロータリ式」には、「ローリングピストン式」や「スライディングベーン式」だけでなく、ピストンとベーンとが一体化された「スイングピストン式」も含まれる。

    第1密閉容器111の上側部分には、第1圧縮機構102aに冷媒を導くための吸入管135と、圧縮された冷媒を第1密閉容器111の外部に導くための吐出管137とが設けられている。 吸入管135は、第1密閉容器111の側壁を貫通しており、第1圧縮機構102aに直接接続されている。 吸入管135からの冷媒は、第1密閉容器111の内部空間を経由することなく、第1圧縮機構102aに直接吸入される。 吐出管137は、第1密閉容器111の上壁を貫通しているとともに、第1密閉容器111の内部空間に向かって開口している。 第1圧縮機構102aで圧縮された冷媒は、第1密閉容器111の内部空間に吐出され、その内部空間を流通した後、吐出管137を通じて外部に吐出される。

    第1密閉容器111の下側部分には、膨張機構104に冷媒を導くための吸入管129と、膨張した冷媒を第1密閉容器111の外部に導くための吐出管130とが設けられている。 吸入管129および吐出管130は、それぞれ、第1密閉容器111の側壁を貫通しているとともに、膨張機構104に直接接続されている。 吸入管129からの冷媒は、第1密閉容器111の内部空間を経由することなく、膨張機構104に直接吸入される。 膨張した冷媒は、吐出管130を通じて第1密閉容器111の外部に直接吐出される。

    第1電動機110と膨張機構104との間には、副軸受133、第1オイルポンプ118、流動抑制部材122およびスペーサ123が、第1電動機110側からこの順番で配置されている。 第1給油機構としての第1オイルポンプ118は、ポンプ本体119と、ポンプ本体119を収容しているハウジング116とで構成されており、第1油溜まり112の潤滑油を第1圧縮機構102aに供給する。 ポンプ本体119は、第1シャフト113(上シャフト113a)に取り付けられており、第1シャフト113とともに回転する。 本実施形態における第1オイルポンプ118には、ロータリポンプやトロコイドポンプ(登録商標)等の公知の容積式ポンプを使用できる。

    ハウジング116には、第1油溜まり112に開口している吸入口120と、オイルチャンバ121とが形成されている。 オイルチャンバ121は、連結器114を配置するためのスペースを兼ねている。 上シャフト113aの下部および下シャフト113bの上部がハウジング116に挿し込まれており、それぞれ、連結器114に嵌め合わされている。 上シャフト113aにおける第1オイルポンプ118よりも上側の部分は、副軸受133によって回転可能に支持されている。 連結器114には、オイルチャンバ121と上シャフト113aの給油路115とを連通するための給油孔114aが、径方向に貫通する形で形成されている。 ポンプ本体119の回転に応じて、潤滑油が、吸入口120からオイルチャンバ121へと送られる。 潤滑油は、その後、給油孔114aを通じて給油路115に導かれ、第1圧縮機構102aへと供給される。

    流動抑制部材122は、第1油溜まり112内において、第1オイルポンプ118と膨張機構104との間に設けられている。 流動抑制部材122によって、潤滑油の上下方向(鉛直方向)の流動が抑制されるので、第1油溜まり112で潤滑油が安定した温度成層を形成する。 すなわち、油面112aの近くに比較的高温の潤滑油が溜まり、膨張機構104の周囲に比較的低温の潤滑油が溜まる。 これにより、潤滑油を介して第1圧縮機構102aから膨張機構104に熱が移動するのを防止できる。

    流動抑制部材122は、第1密閉容器111の内径よりもやや小さい直径を有する円形の板材でできている。 流動抑制部材122の中央部には、第1シャフト113(下シャフト113b)を通すための貫通孔が形成されている。 流動抑制部材122は、第1油溜まり112内に平に配置されている。 第1密閉容器111の内壁と流動抑制部材122の外周面との間には、潤滑油の通過を許容する隙間(流路)が形成されている。 潤滑油の通過を許容する流路として、流動抑制部材122に貫通孔が形成されていてもよい。

    スペーサ123は、流動抑制部材122の下側に設けられている。 スペーサ123によって、膨張機構104と流動抑制部材122との間に潤滑油が滞留しうる空間が形成されている。 つまり、スペーサ123は、安定した温度成層の形成、ひいては第1圧縮機構102aから膨張機構104への熱移動の防止に寄与する。

    なお、第1シャフト113の軸方向に関して、複数の流動抑制部材122が設けられていてもよい。 例えば、副軸受133が第2の流動抑制部材として機能するものであってもよい。 さらに、流動抑制部材122とスペーサ123とが一体化されていてもよいし、流動抑制部材122と第1オイルポンプ118のハウジング116とが一体化されていてもよい。

    第2圧縮機108は、第2密閉容器125、第2圧縮機構102b、第2電動機124および第2シャフト127を備えている。 第2圧縮機構102bは、第2密閉容器125内の上部に配置されている。 第2シャフト127は、第2圧縮機構102bと第2電動機124とを連結している。 第2密閉容器125の底部には第2油溜まり126が形成されている。 第2油溜まり126には、第2圧縮機構102bのための潤滑油が溜められている。 第2シャフト127の軸方向は、鉛直方向に略平行である。

    第2密閉容器125は、略円筒の形状を有している。 第2密閉容器125の底部は下向きに凸であり、いわゆる碗状に形成されている。 第2密閉容器125の底部が第2油溜まり126として利用されている。 本実施形態において、第2密閉容器125の内径は、第1密閉容器111の内径に一致している。

    第2電動機124は、第2圧縮機構102bを駆動するための要素であり、第2密閉容器125の内壁に固定された固定子124bと、固定子124bの内側に配置された回転子124aとを備えている。 回転子124aには、上下方向に延びる第2シャフト127が固定されている。

    第2シャフト127の内部には、給油路131が軸方向に延びるように形成されている。 給油路131を通じて、第2油溜まり126の潤滑油が第2圧縮機構102bに供給される。

    第2圧縮機構102bは、第2シャフト127の上端部に取り付けられている。 第2圧縮機構102bは、第2シャフト127の回転に伴って冷媒を吸入、圧縮および吐出する容積式圧縮機構である。 本実施形態では、第2圧縮機構102bとしてスクロール圧縮機構が採用されている。 ただし、圧縮機構の具体的構成は何ら限定されず、ロータリ式等の他の形式の圧縮機構であってもよい。

    第2密閉容器125の上側部分には、第2圧縮機構102bに冷媒を導くための吸入管128と、圧縮された冷媒を第2密閉容器125の外部に導くための吐出管138とが設けられている。 吸入管128は、第2密閉容器125の側壁を貫通しており、第2圧縮機構102bに直接接続されている。 吸入管128からの冷媒は、第2密閉容器125の内部空間を経由することなく、第2圧縮機構102bに直接吸入される。 吐出管138は、第2密閉容器125の上壁を貫通しているとともに、第2密閉容器125の内部空間に向かって開口している。 第2圧縮機構102bで圧縮された冷媒は、第2密閉容器125の内部空間に吐出され、その内部空間を流通した後、吐出管138を通じて外部に吐出される。

    第2電動機124の下方には、副軸受134と第2オイルポンプ132とが配置されている。 第2給油機構としての第2オイルポンプ132は、ポンプ本体132aと、ポンプ本体132aを覆うカバー132bとで構成されており、第2油溜まり126に溜められた潤滑油を第2圧縮機構102bに供給する。 ポンプ本体132aは、第2シャフト127に取り付けられており、第2シャフト127とともに回転する。 カバー132bには吸入口132cが形成されている。 第2シャフト127における第2オイルポンプ132よりも上の部分は、副軸受134によって回転可能に支持されている。 本実施形態における第2オイルポンプ132には、ロータリポンプやトロコイドポンプ(登録商標)等の容積式ポンプを使用できる。 ただし、第2オイルポンプ132の具体的構成は特に限定されない。 例えば、カバー132bが無く、ポンプ本体132aの下面に吸入口132cが形成されていてもよい。 容積式ポンプに代えて、速度式ポンプを用いてもよい。

    第1圧縮機107において、吸入管135は、図1に示す配管117aの分岐した部分を形成している。 吐出管137は、配管117bの分岐した部分を形成している。 第2圧縮機108において、吸入管128は、図1に示す配管117aの分岐した部分を形成している。 吐出管138は、配管117bの分岐した部分を形成している。 吐出管137と吐出管138とは、第1密閉容器111および第2密閉容器125の外部において、相互に接続されている。 配管117bは、第1密閉容器111の内部空間と第2密閉容器125の内部空間とを連通している均圧通路を形成している。 ただし、配管117bとは別に、冷媒の流通を許容するように第1密閉容器111の内部空間と第2密閉容器125の内部空間とを連通する配管が設けられていてもよい。 さらに、その配管に弁が設けられていてもよい。

    油通路109は、第1油溜まり112と第2油溜まり126との間を潤滑油が往来しうるように第1密閉容器111と第2密閉容器125とを接続している。 油通路109の一端は、第1密閉容器111の側壁を貫通し、第1油溜まり112に向かって開口している。 油通路109の他端は、第2密閉容器125の側壁を貫通し、第2油溜まり126に向かって開口している。 以下において、第1密閉容器111側における油通路109の一の開口部を第1開口部109a、第2密閉容器125側における油通路109の他の開口部を第2開口部109bとする。

    油通路109は、典型的には配管によって形成しうる。 本実施形態では、ストレート形状を有する円管で油通路109が形成されている。 言い換えると、油通路109は真っ直ぐ水平に延びている。 ただし、油通路109が管状であることは必須ではない。 また、軸方向に関して、第1密閉容器111の底面を基準として、第1開口部109aと第2開口部109bとが等しい高さに位置している。 ただし、軸方向に関して、第1開口部109aの位置と第2開口部109bの位置とが異なっていてもよい。 また、第1密閉容器111と第2密閉容器125との間で油通路109が曲がっていてもよい。

    第1密閉容器111と第2密閉容器125とは、吐出管137および吐出管138(配管117b)によって互いに接続されているので、一方の内圧が他方の内圧よりも高くなった場合には、圧力差が駆動力となって一方から他方へと冷媒が流れ込む。 これにより、第1密閉容器111の内圧と第2密閉容器125の内圧とが等しくなる。 例えば、第1密閉容器111の内圧が第2密閉容器125の内圧よりも高くなると、第1密閉容器111内の高圧冷媒が、吐出管137および吐出管138を経由して第2密閉容器125内へと流入する。

    また、第1油溜まり112と第2油溜まり126とは、油通路109によって互いに接続されているので、一方の油面が低下した場合には他方から潤滑油が流入する。 例えば、第2油溜まり126の油量が少なくなると、第1油溜まり112の潤滑油が油通路109を通じて第2油溜まり126内に流れ込む。 第1油溜まり112の油面112aと第2油溜まり126の油面126aとが、鉛直方向に関して一致する。

    第1圧縮機107において、膨張機構104は、第1油溜まり112の潤滑油に完全に浸漬している。 軸方向に関して、油面112aは副軸受133よりも上にある。 冷凍サイクル装置100の運転時において、膨張機構104は冷媒の膨張に伴って低温となる。 そのため、膨張機構104の周囲を満たす潤滑油も低温となる。 一方、第1密閉容器111の内部空間が第1圧縮機構102aの吐出冷媒で満たされるので、油面112a付近の潤滑油は比較的高温になる。 したがって、第1油溜まり112の潤滑油は、油面112a付近で比較的高温になり、膨張機構104の周囲で比較的低温になっている。

    第2圧縮機108において、第2密閉容器125の内部空間が第2圧縮機構102aの吐出冷媒で満たされるので、油面126a付近の潤滑油は比較的高温になる。 熱は、第2油溜まり126の潤滑油全体に伝わり、第2油溜まり126の潤滑油全体が比較的高温になる。

    油通路109の第1開口部109aは、鉛直方向に関して、膨張機構104よりも上に位置している。 そのため、膨張機構104よりも上に存在する潤滑油が油通路109に流入できる。 つまり、比較的高温の潤滑油が第1油溜まり112と第2油溜まり126との間を優先的に往来する。 この結果として、潤滑油を介して第1圧縮機107の膨張機構104と第2圧縮機108との間で熱移動が起こるのを防止できる。

    なお、本明細書において、「鉛直方向に関して膨張機構104よりも上に位置する」とは、少なくとも膨張機構104の膨張室よりも上に位置することを意味する。 好ましくは膨張機構104に接続された吸入管129および吐出管130よりも上に位置することを意味する。

    また、鉛直方向に関して、油通路109の第1開口部109aが流動抑制部材122よりも上に位置している。 流動抑制部材122よりも上に溜められた潤滑油の温度は比較的高い。 そのため、潤滑油が油通路109を通じて第1油溜まり112から第2油溜まり126に移動した場合に、第2油溜まり126の潤滑油の温度が低下しにくい。 これにより、第2圧縮機構102bの吐出冷媒温度の低下が防止される。 この効果を一層高めるために、本実施形態では、鉛直方向に関して、油通路109の第1開口部109aと、流動抑制部材122と、膨張機構104とが、上から(第1圧縮機構102a側から)この順番で配列している。

    前述したように、第1密閉容器111の内部空間と第2密閉容器125の内部空間とは、吐出管137および吐出管138によって連通しているため、定常運転時における両密閉容器の内圧は等しい。 しかし、第1圧縮機構102aと第2圧縮機構102bの両方または一方の運転状態が大きく変わる過渡時、例えば起動時において、一方の密閉容器の内圧が他方の密閉容器の内圧よりも大幅に高くなる場合がある。 このとき、高圧側の密閉容器から低圧側の密閉容器へと油通路109を経由して大量の潤滑油が流れ込み、高圧側の密閉容器の油溜まりの油面が一時的に大幅に低下する。 また、低圧側の密閉容器の油面は一時的に大幅に上昇する。

    本実施形態では、鉛直方向に関して、油通路109の第1開口部109aが第1オイルポンプ118の吸入口120よりも上に位置している。 このような構成によれば、第1油溜まり112の油面112aが油通路109の第1開口部109aの下端まで低下した時点で第1密閉容器111から第2密閉容器125への潤滑油の流出が停止する。 すなわち、油面112aは、第1開口部109aの下端よりも低くなりえず、第1オイルポンプ118の吸入口120よりも低くなりえない。 油面112aが第1オイルポンプ118の吸入口120よりも常に上にあるので、起動時などの過渡時においても、第1オイルポンプ118が潤滑油を安定して吸入できる。 第1圧縮機構102aに対して潤滑油が安定供給されるので、第1圧縮機構102aの信頼性が高まる。

    より好ましくは、第1シャフト113の軸方向に関して、油通路109の第1開口部109aと、第1オイルポンプ118の吸入口120と、流動抑制部材122とが、上からこの順番で配列していることである。 このような構成によれば、上述した各効果を享受できる。

    また、本実施形態では、鉛直方向に関して、油通路109の第2開口部109bが、第2オイルポンプ132の吸入口132cよりも上に位置している。 このようにすれば、第2密閉容器125の内圧が第1密閉容器111の内圧よりも一時的に高くなった場合であっても、第2オイルポンプ132が潤滑油を確実に吸入できる。 第2圧縮機構102bに対して潤滑油が安定供給されるので、第2圧縮機108の信頼性が高まる。

    また、本実施形態では、鉛直方向に関して、油通路109の第1開口部109aが第1電動機110の回転子110aよりも下に位置しており、油通路109の第2開口部109bが第2電動機124の回転子124aよりも下に位置している。 このような構成によれば、各電動機が潤滑油に浸漬するのを防止できる。 具体的には、以下に説明する関係を満たすように設計を行えば、電動機が潤滑油に浸漬するのを確実に防げる。

    図3に示すように、まず、第1密閉容器111の底面を鉛直方向に関する基準位置とする。 冷凍サイクル装置100の停止時において、油面112aまでの高さをho1、油面126aまでの高さをho2、第1電動機110の回転子110aの下端までの高さをH1、第2電動機124の回転子124aの下端までの高さをH2、第1開口部109aの下端までの高さをh1、第2開口部109bの下端までの高さをh2、水平方向に関する第1密閉容器111の断面積をA1(第1油溜まり112の断面積)、水平方向に関する第2密閉容器125の断面積をA2(第2油溜まり126の断面積)と定義する。 このとき、下記式(1)を満たすように油通路109の第2開口部109bの位置が定められている。

    ho1+(A2/A1)(ho2-h2)<H1 ・・・(1)

    上記式(1)は、第2開口部109bの下端よりも上に存在する潤滑油の全てが第1油溜まり112に流入した場合であっても、常に、油面112aが回転子110aの下端よりも下に位置することを意味している。 つまり、仮に、第2油溜まり126から第1油溜まり112へと大量の潤滑油が流れ込んだとしても、回転子110aが潤滑油に浸漬しない。

    冷凍サイクル装置100の運転時において、潤滑油は冷媒とともに冷媒回路を循環する。 そのため、冷凍サイクル装置100の運転時に第1油溜まり112および第2油溜まり126の油量は、停止時よりも必ず少なくなる。 運転停止時に上記式(1)を満たせば、運転時にもho1<H1の関係が必ず成立する。 これにより、回転子110aが潤滑油に浸漬することによる第1電動機110の負荷の増大を回避でき、ひいては、第1圧縮機107の消費電力増大および冷凍サイクル装置100の性能低下を防止できる。

    さらに、第2開口部109bと同様に、下記式(2)を満たすように油通路109の第1開口部109aの位置が定められている。

    ho2+(A1/A2)(ho1-h1)<H2 ・・・(2)

    運転停止時に上記式(2)を満たすならば、第1油溜まり112から第2油溜まり126に大量の潤滑油が流れ込んでも、ho2<H2の関係が必ず成立する。 これにより、回転子124aが潤滑油に浸漬することによる第2電動機124の負荷の増大を回避でき、第2圧縮機108の消費電力増大および冷凍サイクル装置100の性能低下を防止できる。

    また、本実施形態では、鉛直方向に関して、第1開口部109aと第2開口部109bとが等しい高さに位置している。 このような構成によれば、第1油溜まり112と第2油溜まり126との間での潤滑油の授受がスムーズになる。

    また、本実施形態では、ストレート形状を有する円管で油通路109が形成されている。 このような構成によれば、潤滑油が油通路109を流れる際に発生する圧力損失を小さく抑えることができる。 また、第1密閉容器111と第2密閉容器125とを最短距離で接続できるので、油通路109において潤滑油が失う熱量を最小化できる。

    また、本実施形態において、第1圧縮機107は、第1圧縮機構102aで圧縮された冷媒が第1密閉容器111の内部空間を経由して第1密閉容器111の外部に吐出されるように構成されている。 第2圧縮機108は、第2圧縮機構102bで圧縮された冷媒が第2密閉容器125の内部空間を経由して第2密閉容器125の外部に吐出されるように構成されている。 そして、第1密閉容器111の内部空間と第2密閉容器125の内部空間とを連通する均圧通路が設けられている。 具体的には、吐出管137と吐出管138とを分岐部分として有する配管117bによって、均圧通路が形成されている。 両密閉容器の内圧がほぼ等しく保たれるので、油面112aと油面126aに作用する圧力もほぼ等しくなる。 配管117bおよび油通路109の働きに基づき、油面112aおよび油面126aがほぼ等しい高さに保持される。 そのため、第1圧縮機107および第2圧縮機108の油面の管理が容易である。 油面を管理するための他の特別な手段(例えば油面センサ)を設ける必要がないので、製造コストや部品点数の削減に有利である。

    また、本実施形態では、鉛直方向に関して、第1オイルポンプ118の吸入口120と、第2オイルポンプ132の吸入口132cとが、等しい高さに位置している。 第1油溜まり112の油面112aが第1オイルポンプ118の吸入口120よりも上にあれば、第2油溜まり126の油面126aも第2オイルポンプ132の吸入口132cよりも上になる。 この逆も成立する。 したがって、油面の管理が容易であるとともに、各圧縮機構に潤滑油を確実に供給できるので、第1圧縮機構102aおよび第2圧縮機構102bの信頼性が向上する。

    図2に示すように、第1密閉容器111は、第1圧縮機構102aおよび膨張機構104を収容するために、第2密閉容器125よりも鉛直方向に長い。 さらに、膨張機構104と第1圧縮機構102aとの間に第1オイルポンプ118が配置されている。 そのため、鉛直方向に関する第1密閉容器111の中央付近に第1オイルポンプ118の吸入口120が位置している。 これに対し、第2圧縮機108において、第2オイルポンプ132の吸入口132cは、第2密閉容器125の底部付近に位置している。 基準位置(第1密閉容器111の底面)から第1オイルポンプ118の吸入口120までの高さと、第2オイルポンプ132の吸入口132cまで高さとを等しくするには、第2圧縮機108側で高さの調節が必要である。 しかし、第2密閉容器125を長くすることは、放熱ロスを抑制する観点で好ましくない。 そこで、本実施形態では、第2密閉容器125の下部に、第1密閉容器111の高さに対する第2密閉容器125の高さを補完するための底上げ部材140を設けている。 このようにすれば、既存の圧縮機を設計変更することなく第2圧縮機108に転用できるので、製造および開発コストを抑制できる。

    底上げ部材140として、筐体、支持脚および支柱等の構造物を利用できる。 そのような構造物は、金属でできていてもよいし、樹脂でできていてもよい。 さらに、図1に示した放熱器103を底上げ部材140として用いてもよい。

    本実施形態では、第1圧縮機構102aがスクロール圧縮機構である。 給油が容易であるという理由から、油面112aよりも上に配置するべき第1圧縮機構102aとして、スクロール圧縮機構は優れている。 第1圧縮機107において、温熱源である第1圧縮機構102aが上側に配置され、冷熱源である膨張機構104が下側に配置されている。 このようなレイアウトによれば、高温かつ低密度の潤滑油が油面112a近傍を占め、低温かつ高密度の潤滑油が膨張機構104の周囲を満たすので、自然対流が起こりにくい。 すなわち、高温の潤滑油と低温の潤滑油が混ざりにくいので、第1圧縮機構102aと膨張機構104との間の熱移動が抑制され、第1圧縮機107の吐出冷媒の温度低下を抑制できる。 結果として、冷凍サイクル装置100の高効率化を図れる。

    本実施形態では、膨張機構104が2段ロータリ膨張機構である。 一般にロータリ流体機構は、シール性と潤滑性を維持するために、全体が潤滑油に浸漬していることが望ましい。 詳しくは、シャフトとベーンに給油が必要となる。 本実施形態では、膨張機構104は第1密閉容器111内の下部に配置されており、第1油溜まり112に浸漬している。 そのため、膨張機構104に確実かつ容易に給油でき、膨張機構104の高効率で動作させることができる。 結果として、冷凍サイクル装置100の高効率化を図れる。

    (第1変形例)
    図4および図5に示すように、本変形例にかかる流体機械201では、油通路109がU字状の曲管で形成されており、その曲管が、水平方向に関する同じ方向から第1密閉容器111および第2密閉容器125のそれぞれに挿し込まれている。 このような構成によれば、一方の密閉容器に油通路109としての曲管を接続するための作業(例えばロウ付け)を行う際に、工具が他方の密閉容器に干渉しにくい。 また、同じ方向から作業を行えるので、作業効率も向上し、生産性が高まる。

    (第2変形例)
    図2を参照して説明したように、鉛直方向に関して、油通路109の第1開口部109aが第1オイルポンプ118の吸入口120よりも上に位置していると、第1圧縮機構102aに対して潤滑油を安定供給できるという効果が得られる。 この効果は、熱移動を防止できる効果から切り離して享受しえる。 具体的には、圧縮機構と膨張機構との位置関係が図2に示す第1圧縮機107とは逆の場合にも、当該効果を得ることができる。

    すなわち、図6に示す流体機械202の第1圧縮機207(膨張機一体型圧縮機)は、(a)第1密閉容器111と、(b)第1密閉容器111内の上部に配置された膨張機構104と、(c)第1密閉容器111内の下部に配置された第1圧縮機構102aと、(d)膨張機構104と第1圧縮機構102aとを連結しているシャフト113と、(e)第1圧縮機構102aの周囲が潤滑油で満たされるように第1密閉容器111内に形成された第1油溜まり112と、(f)膨張機構104と第1圧縮機構102aとの間に配置され、第1油溜まり112の潤滑油を膨張機構104に供給するための第1オイルポンプ118(第1給油機構)と、を備えている。 鉛直方向(軸方向)に関して、油通路109の第1開口部109aが第1オイルポンプ118の吸入口120よりも上に位置しているので、起動時などの過渡時においても、第1オイルポンプ118が潤滑油を安定して吸入できる。

    各変形例にかかる流体機械も、図2に示す流体機械と同様、図1に示す冷凍サイクル装置100に好適に採用できる。

    <第2実施形態>
    図7は、本発明の第2実施形態にかかる流体機械の断面図である。 流体機械203は、第1実施形態で説明した流体機械101に代えて、冷凍サイクル装置100(図1)に適用されうる。 以下、第1実施形態と同じ要素には同一符号を付し、説明を省略する。

    流体機械203は、縦長の第2密閉容器225を有する第2圧縮機208を備えている点で第1実施形態と相違している。 第2密閉容器225は、通常の圧縮機に用いられる密閉容器よりも上下方向に伸長されている。 具体的には、第2密閉容器225の寸法が、第1圧縮機107の第1密閉容器111の寸法と同じである。 このような構成によれば、部品共通化によるコスト削減効果が見込める。 また、第2油溜まり126内に油除け部材141を設けると、潤滑油の充填量および放熱ロスを低減できる。

    流体機械203において、第1圧縮機107から冷媒とともに冷媒回路へと吐出される潤滑油の量は、第2圧縮機208から冷媒回路へと吐出される潤滑油の量よりも多い。 第1圧縮機107では、第1圧縮機構102aおよび膨張機構104で潤滑油が利用されるのに対し、第2圧縮機208では、第2圧縮機構102bのみで潤滑油が利用されるからである。 したがって、第1油溜まり112の潤滑油の消費スピードは、第2油溜まり126の潤滑油の消費スピードよりも速い。 一方、第1密閉容器111の内部空間で冷媒から分離されて、第1油溜まり112に回収される潤滑油の量は、各圧縮機構の容積がほぼ等しいことを前提とすれば、第2密閉容器225の内部空間で冷媒から分離されて、第2油溜まり126に回収される潤滑油の量に概ね等しい。 したがって、通常の運転時においては、第1油溜まり112の潤滑油が減少しやすい。 潤滑油の消費スピードの相違を解消するように、第2油溜まり126から第1油溜まり112へと油通路109を経由して潤滑油が流れ込む。

    本実施形態では、油通路109の第1開口部109aが第2開口部109bよりも低い位置に定められている。 このようにすれば、第1開口部109a付近の潤滑油のヘッドが第2開口部109b付近の潤滑油のヘッドよりも小さい状態となるので、第2油溜まり126から第1油溜まり112への潤滑油の移動がスムーズになる。 その結果、潤滑油不足が防止され、第1圧縮機107の信頼性が向上する。

    また、潤滑油の消費スピードの相違は、潤滑油の吸入量および吐出量がより多くなる運転状態(例えば起動時)で顕著となる。 また、そのような運転状態では、吐出冷媒から分離および回収される潤滑油よりも、冷媒とともに冷媒回路へと吐出される潤滑油の方が多くなる。 したがって、第1油溜まり112の油面112aおよび第2油溜まり126の油面126aは一時的に低下する。 より低い位置まで低下する可能性があるのは、第1油溜まり112の油面112aである。

    本実施形態では、鉛直方向に関して、第1オイルポンプ118の吸入口120が、第2オイルポンプ132の吸入口132cよりも低い位置にある。 このようにすれば、油面112aが油面126aよりも低くなった場合においても、第1オイルポンプ118が吸入口120から潤滑油を吸入し続けることができる。 これにより、第1圧縮機構102aへの潤滑油の供給不足が防止され、第1圧縮機107の信頼性が向上する。

    <第3実施形態>
    図8は、本発明の第3実施形態にかかる流体機械の断面図である。 流体機械204は、第1実施形態で説明した流体機械101に代えて、冷凍サイクル装置100(図1)に適用されうる。

    流体機械204は、第1圧縮機307および第2圧縮機108を備えている。 第2圧縮機108は、第1実施形態と同じものである。 第1圧縮機307は、第1密閉容器111、第1電動機110、第1圧縮機構142、第1オイルポンプ145、第1シャフト150(上シャフト143および下シャフト113bを有する)および膨張機構104を備えている。 鉛直方向に関して、第1電動機110、第1圧縮機構142、第1オイルポンプ145および膨張機構104が、上からこの順番で配列している。

    第1圧縮機構142は、ロータリ圧縮機構である。 第1圧縮機構142は上シャフト143の下側に取り付けられている。 上シャフト143の上側に第1電動機110が取り付けられている。 第1圧縮機構142の下側には膨張機構104が配置されている。 上シャフト143は第1圧縮機構142よりも下側に突出している。 第1オイルポンプ145の内部に配置された連結器114を介して、上シャフト143と下シャフト113bとが連結されている。

    上シャフト143には給油路144が形成されている。 第1オイルポンプ145は、吸入口145aおよびオイルチャンバ145bを有しており、オイルチャンバ145bに連結器114が配置されている。 吸入口145a、オイルチャンバ145bおよび連結器114の給油孔114aを経由して、給油路144に第1油溜まり112の潤滑油が導かれる。 給油路144に導かれた潤滑油が第1圧縮機構142に供給され、第1圧縮機構142の内部を潤滑する。

    第1圧縮機構142は、ベーン146とベーン溝147とを有する。 ベーン溝147にベーン146が摺動可能に配置されている。 ベーン溝147の一部は、第1油溜まり112に露出しており、第1油溜まり112の潤滑油がベーン溝147に直接供給される。

    鉛直方向に関して、油通路109の第1開口部109aは、第1圧縮機構142に向かい合う高さに位置している。 第1圧縮機構142は、冷凍サイクル装置100の運転時に高温となり、自身の周囲に存在する潤滑油を加熱する。 第1圧縮機構142と膨張機構104との間には、流動抑制部材122とスペーサ123とが設けられている。 このような構成によれば、膨張機構104の周囲の低温の潤滑油が第2圧縮機108に移動したり、第2圧縮機108の高温の潤滑油が膨張機構104の周囲に移動したりするのを防止できる。 こうした効果は、第1実施形態で説明した通りである。

    また、油通路109の第1開口部109aの下端が、鉛直方向に関して、ベーン146およびベーン溝147よりも上に位置している。 このような位置関係によれば、油面112aがベーン146およびベーン溝147よりも下まで低下する恐れが小さい。 そのため、ベーン146およびベーン溝147への給油不足を防止でき、第1圧縮機構142の信頼性が向上する。

    本発明は、作動流体から動力を回収するための膨張機構を有する第1圧縮機と、第1圧縮機に組み合わされた第2圧縮機とを備えた流体機械、およびそれを用いた冷凍サイクル装置に有用である。 冷凍サイクル装置の用途は何ら限定されず、例えば、給湯機、温水暖房装置、空気調和装置に適用しうる。

    本発明は、流体機械および冷凍サイクル装置に関する。

    大能力の冷凍サイクル装置には、大能力の圧縮機が必要である。 特許文献1には、複数台の圧縮機を並列に接続することによって、冷凍サイクル装置の大能力化を図る方法が開示されている。 特許文献1に開示されている圧縮機を図9に示す。

    図9に示すように、連結圧縮機700は、第1圧縮機701aおよび第2圧縮機701bを備えている。 第1圧縮機701aの上部と第2圧縮機701bの上部とが、均圧管707によって接続されている。 第1圧縮機701aの底部と第2圧縮機701bの底部とが、均油管708によって接続されている。 均油管708を通じて、第1圧縮機701aと第2圧縮機701bとの間を潤滑油が往来できるため、各圧縮機での潤滑油の過不足が起こらない。

    一方で、現在、給湯器や空調機に応用される冷凍サイクル装置の省エネルギー化に関する研究開発が活発に行われている。 省エネルギー化に関する技術の一つとして、膨張機一体型圧縮機の開発が進められている。 膨張機一体型圧縮機は、圧縮機と膨張機とがシャフトで連結された流体機械のことである。 特許文献2に開示されている膨張機一体型圧縮機を図10に示す。

    図10に示すように、膨張機一体型圧縮機800は、密閉容器802と、密閉容器802内の上部に配置された圧縮機構801と、密閉容器802内の下部に配置された膨張機構804とを備えている。 圧縮機構801と膨張機構804とが第1シャフト803および第2シャフト805によって連結されている。 圧縮機構801と膨張機構804との間には、圧縮機構801に潤滑油を供給するためのオイルポンプ808が設けられている。 膨張機構804で冷媒から回収された動力は、シャフト803,805を介して圧縮機構801に伝達される。 これにより、圧縮機構801を駆動するための電動機の負荷を軽減できる。

    特開平7−35045号公報

    特開2008−38915号公報

    本発明者らは、図9に示す第1圧縮機701aとして、図10に示す膨張機一体型圧縮機800を用いることを検討した。 その結果、次のような問題が存在することを突き止めた。

    図10に示す膨張機一体型圧縮機800では、動作時に低温となる膨張機構804が密閉容器802内の下部に配置されているので、膨張機構804の周囲を満たす潤滑油の温度は比較的低い。 他方、図9に示す第2圧縮機701bでは、容器内に溜められた潤滑油の温度は比較的高い。 そのため、図9に示す第2圧縮機701bと図10に示す膨張機一体型圧縮機800とを均油管で接続すると、潤滑油を介して第2圧縮機701bから膨張機一体型圧縮機800へと熱移動が起こる可能性がある。 このような熱移動は、第2圧縮機701bの吐出冷媒温度の低下および膨張機構804の吐出冷媒温度の上昇を招くので好ましくない。

    本発明の目的は、第1圧縮機として膨張機一体型圧縮機を用いた冷凍サイクル装置において、第1圧縮機と第2圧縮機との間の熱移動を抑制することにある。

    すなわち、本発明は、
    第1密閉容器と、前記第1密閉容器内に配置された第1圧縮機構と、鉛直方向に関して前記第1圧縮機構よりも下に位置するように前記第1密閉容器内に配置された膨張機構と、前記第1圧縮機構と前記膨張機構とを連結しているシャフトとを有し、前記第1圧縮機構および前記膨張機構のための潤滑油で前記膨張機構の周囲が満たされるように前記第1密閉容器内に第1油溜まりが形成されている第1圧縮機と、
    第2密閉容器と、前記第2密閉容器内に配置された第2圧縮機構とを有し、前記第2圧縮機構のための潤滑油が溜まるように前記第2密閉容器の底部に第2油溜まりが形成されており、前記第1圧縮機構に対する前記第2圧縮機構の接続が並列接続である第2圧縮機と、
    鉛直方向に関して前記膨張機構よりも上に位置している開口部を前記第1密閉容器側に有し、前記第1油溜まりと前記第2油溜まりとの間を潤滑油が流通しうるように前記第1密閉容器と前記第2密閉容器とを接続している油通路と、
    を備えた、流体機械を提供する。

    他の側面において、本発明は、
    作動流体を圧縮するための圧縮機と、
    前記圧縮機で圧縮された作動流体を放熱させるための放熱器と、
    前記放熱器で放熱した作動流体を膨張させるための膨張機と、
    前記膨張機で膨張した作動流体を蒸発させるための蒸発器と、を備え、
    前記圧縮機および前記膨張機として、上記流体機械が用いられた、冷凍サイクル装置を提供する。

    第1圧縮機の動作時において、膨張機構の周囲を満たす潤滑油の温度は比較的低くなる。 しかし、膨張機構よりも上に圧縮機構が配置されているので、膨張機構よりも上に溜められた潤滑油の温度は、膨張機構の周囲に溜められた潤滑油の温度に比べて高くなる。

    本発明では、第1密閉容器側(第1圧縮機側)における油通路の開口部が、鉛直方向に関して、膨張機構よりも上に位置している。 そのため、膨張機構よりも上に溜められた高温の潤滑油が第2圧縮機に移動する。 もしくは、第2圧縮機の高温の潤滑油が膨張機構よりも上の領域に移動する。 つまり、膨張機構の周囲の低温の潤滑油が第2圧縮機に移動したり、第2圧縮機の高温の潤滑油が膨張機構の周囲に移動したりすることを極力回避できる。 その結果、第1圧縮機と第2圧縮機との間の熱移動が抑制される。

    本発明の第1実施形態にかかる冷凍サイクル装置の構成図

    本発明の第1実施形態にかかる流体機械の断面図

    油通路、油面および電動機の相対位置関係の説明図

    変形例にかかる流体機械の側面図

    図4に示す流体機械の上面図

    他の変形例にかかる流体機械の模式図

    第2実施形態にかかる流体機械の断面図

    第3実施形態にかかる流体機械の断面図

    従来の圧縮機の断面図

    従来の膨張機一体型圧縮機の断面図

    以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。 なお、本発明は、下記の実施形態に限定されるものではない。

    <第1実施形態>
    図1は、本発明の第1実施形態にかかる冷凍サイクル装置100の構成図である。 冷凍サイクル装置100は、流体機械101、放熱器103、蒸発器105および配管117a〜117dを備えている。 流体機械101には、作動流体としての冷媒を圧縮したり、膨張させたりする役割がある。 流体機械101の圧縮機構で圧縮された冷媒は、放熱器103で放熱する。 流体機械101の膨張機構で膨張した冷媒は、蒸発器105で蒸発する。 流体機械101、放熱器103および蒸発器105が配管117a〜117dによって相互に接続され、これによって、冷媒回路が形成されている。

    流体機械101は、第1圧縮機107(膨張機一体型圧縮機)と、第1圧縮機107に組み合わされた第2圧縮機108と、第1圧縮機107と第2圧縮機108とを接続している油通路109とで構成されている。 油通路109によって、第1圧縮機107における潤滑油の量と、第2圧縮機108における潤滑油の量との均衡が保たれる。 油通路109の開口部が油面の近傍に位置しているため、油面近傍の高温の潤滑油が第1圧縮機107と第2圧縮機108との間を往来する。 これにより、第2圧縮機108の圧縮機構102bから第1圧縮機107の膨張機構104への熱移動を防げる。

    第1圧縮機107の圧縮機構102aと、第2圧縮機108の圧縮機構102bとによって、圧縮機部102が形成されている。 冷凍サイクル装置100において、圧縮機構102aと圧縮機構102bとは並列に接続されている。 具体的には、配管117aの分岐した部分が、圧縮機構102aの吸入口と圧縮機構102bの吸入口とのそれぞれに接続されている。 これにより、蒸発器105から流出した冷媒が圧縮機構102aと圧縮機構102bとのそれぞれに導かれる。 また、配管117bの分岐した部分が、第1圧縮機107の密閉容器と第2圧縮機108の密閉容器とのそれぞれに挿入されている。 これにより、圧縮機構102aで圧縮された冷媒と圧縮機構102bで圧縮された冷媒とが配管117bにおいて合流し、放熱器103に導かれる。 放熱器103において放熱した冷媒は、第1圧縮機107の膨張機構104で膨張する。 膨張後の冷媒は、蒸発器105に送られる。

    冷凍サイクル装置100の冷媒回路には、高圧部分(圧縮機部102から膨張機構104に至る部分)において超臨界状態となる冷媒が充填されている。 そのような冷媒の具体例は、二酸化炭素である。 ただし、冷媒は二酸化炭素に限定されず、冷媒回路内で超臨界状態とならないものであってもよい。 冷媒として、ハイドロフルオロカーボン等のフッ素冷媒を用いてもよい。

    二酸化炭素を冷媒として用いた冷凍サイクル装置は、フッ素冷媒を使用した冷凍サイクル装置に比べて、サイクルの高低圧差が非常に大きい。 そのため、膨張機構104での動力回収効率に優れ、冷凍サイクル装置100の効率向上の効果が高い。 ただし、サイクルの高低圧差が大きいことから、油面の変動幅も大きくなる可能性がある。 それゆえ、油通路109を設けることによって得られる効果も高い。

    本実施形態の冷凍サイクル装置100において、冷媒の流通方向は一定である。 ただし、冷凍サイクル装置100には、冷媒の流通方向を変更可能にするための経路(配管)および方向切替弁が設けられていてもよい。 さらに、第2圧縮機108を停止して第1圧縮機107のみが動作しうるように、冷媒回路に分配弁が設けられていてもよい。

    図2は、図1に示す流体機械101の断面図である。 第1圧縮機107は、第1密閉容器111、第1圧縮機構102a、膨張機構104、第1電動機110および第1シャフト113を備えている。 第1圧縮機構102aは、第1密閉容器111内の上部に配置されている。 膨張機構104は、第1密閉容器111内の下部に配置されている。 第1電動機110は、第1圧縮機構102aと膨張機構104との間に配置されている。 第1シャフト113は、第1圧縮機構102a、膨張機構104および第1電動機110を互いに連結している。 第1密閉容器111内には、第1圧縮機構102aおよび膨張機構104のための潤滑油で膨張機構104の周囲が満たされるように第1油溜まり112が形成されている。 本実施形態では、第1シャフト113の軸方向が鉛直方向に平行となるように、流体機械101が設計されている。

    第1密閉容器111は、略円筒の形状を有している。 第1密閉容器111の底部は下向きに凸であり、いわゆる碗状に形成されている。 第1密閉容器111の下側部分が第1油溜まり112として利用されている。

    第1電動機110は、第1圧縮機構102aを駆動するための要素であり、第1密閉容器111の内壁に固定された固定子110bと、固定子110bの内側に配置された回転子110aとを備えている。 回転子110aには、上下方向に延びる第1シャフト113が固定されている。

    第1シャフト113は、上シャフト113a、下シャフト113bおよび連結器114を含む。 上シャフト113aは第1圧縮機構102aに接続された部分であり、下シャフト113bは膨張機構104に接続された部分である。 上シャフト113aおよび下シャフト113bは、膨張機構104によって回収された動力が第1圧縮機構102aに伝達されるように、連結器114によって連結されている。 ただし、上シャフト113aと下シャフト113bとが、嵌めあわせによって直接連結されていてもよい。 上シャフト113aの回転数と下シャフト113bの回転数が相違するようにギアを介して両者が連結されていてもよいし、クラッチやトルクコンバータを介して両者が連結されていてもよい。 上シャフト113aおよび下シャフト113bに代えて、単一の部品からなるシャフトを採用してもよい。

    上シャフト113aの内部には、給油路115が軸方向に延びるように形成されている。 給油路115を通じて、第1油溜まり112の潤滑油が第1圧縮機構102aに供給される。 同様に、下シャフト113bの内部には、給油路139が軸方向に延びるように形成されている。 給油路139を通じて、第1油溜まり112の潤滑油が膨張機構104に供給される。

    第1圧縮機構102aは、上シャフト113aの上端部に取り付けられている。 第1圧縮機構102aは、上シャフト113aの回転に伴って冷媒を吸入、圧縮および吐出する容積式圧縮機構である。 本実施形態では、第1圧縮機構102aとしてスクロール圧縮機構が採用されている。 ただし、圧縮機構の具体的構成は何ら限定されず、ロータリ式等の他の形式の圧縮機構であってもよい。

    膨張機構104は、下シャフト113bの下部に取り付けられている。 膨張機構104は冷媒を吸入、膨張および吐出する容積式膨張機構である。 膨張機構104内において冷媒が膨張すると、その膨張エネルギーが回転駆動力として下シャフト113bに伝えられる。 この回転駆動力は連結器114を介して上シャフト113aへと伝えられ、第1電動機110による第1シャフト113(上シャフト113a)の駆動をアシストする。 本実施形態では、膨張機構104として2段ロータリ膨張機構が採用されている。 ただし、膨張機構の具体的構成は何ら限定されず、スクロール式やスクリュー式等の他の形式の膨張機構であってもよい。

    なお、「ロータリ式」には、「ローリングピストン式」や「スライディングベーン式」だけでなく、ピストンとベーンとが一体化された「スイングピストン式」も含まれる。

    第1密閉容器111の上側部分には、第1圧縮機構102aに冷媒を導くための吸入管135と、圧縮された冷媒を第1密閉容器111の外部に導くための吐出管137とが設けられている。 吸入管135は、第1密閉容器111の側壁を貫通しており、第1圧縮機構102aに直接接続されている。 吸入管135からの冷媒は、第1密閉容器111の内部空間を経由することなく、第1圧縮機構102aに直接吸入される。 吐出管137は、第1密閉容器111の上壁を貫通しているとともに、第1密閉容器111の内部空間に向かって開口している。 第1圧縮機構102aで圧縮された冷媒は、第1密閉容器111の内部空間に吐出され、その内部空間を流通した後、吐出管137を通じて外部に吐出される。

    第1密閉容器111の下側部分には、膨張機構104に冷媒を導くための吸入管129と、膨張した冷媒を第1密閉容器111の外部に導くための吐出管130とが設けられている。 吸入管129および吐出管130は、それぞれ、第1密閉容器111の側壁を貫通しているとともに、膨張機構104に直接接続されている。 吸入管129からの冷媒は、第1密閉容器111の内部空間を経由することなく、膨張機構104に直接吸入される。 膨張した冷媒は、吐出管130を通じて第1密閉容器111の外部に直接吐出される。

    第1電動機110と膨張機構104との間には、副軸受133、第1オイルポンプ118、流動抑制部材122およびスペーサ123が、第1電動機110側からこの順番で配置されている。 第1給油機構としての第1オイルポンプ118は、ポンプ本体119と、ポンプ本体119を収容しているハウジング116とで構成されており、第1油溜まり112の潤滑油を第1圧縮機構102aに供給する。 ポンプ本体119は、第1シャフト113(上シャフト113a)に取り付けられており、第1シャフト113とともに回転する。 本実施形態における第1オイルポンプ118には、ロータリポンプやトロコイドポンプ(登録商標)等の公知の容積式ポンプを使用できる。

    ハウジング116には、第1油溜まり112に開口している吸入口120と、オイルチャンバ121とが形成されている。 オイルチャンバ121は、連結器114を配置するためのスペースを兼ねている。 上シャフト113aの下部および下シャフト113bの上部がハウジング116に挿し込まれており、それぞれ、連結器114に嵌め合わされている。 上シャフト113aにおける第1オイルポンプ118よりも上側の部分は、副軸受133によって回転可能に支持されている。 連結器114には、オイルチャンバ121と上シャフト113aの給油路115とを連通するための給油孔114aが、径方向に貫通する形で形成されている。 ポンプ本体119の回転に応じて、潤滑油が、吸入口120からオイルチャンバ121へと送られる。 潤滑油は、その後、給油孔114aを通じて給油路115に導かれ、第1圧縮機構102aへと供給される。

    流動抑制部材122は、第1油溜まり112内において、第1オイルポンプ118と膨張機構104との間に設けられている。 流動抑制部材122によって、潤滑油の上下方向(鉛直方向)の流動が抑制されるので、第1油溜まり112で潤滑油が安定した温度成層を形成する。 すなわち、油面112aの近くに比較的高温の潤滑油が溜まり、膨張機構104の周囲に比較的低温の潤滑油が溜まる。 これにより、潤滑油を介して第1圧縮機構102aから膨張機構104に熱が移動するのを防止できる。

    流動抑制部材122は、第1密閉容器111の内径よりもやや小さい直径を有する円形の板材でできている。 流動抑制部材122の中央部には、第1シャフト113(下シャフト113b)を通すための貫通孔が形成されている。 流動抑制部材122は、第1油溜まり112内に水平に配置されている。 第1密閉容器111の内壁と流動抑制部材122の外周面との間には、潤滑油の通過を許容する隙間(流路)が形成されている。 潤滑油の通過を許容する流路として、流動抑制部材122に貫通孔が形成されていてもよい。

    スペーサ123は、流動抑制部材122の下側に設けられている。 スペーサ123によって、膨張機構104と流動抑制部材122との間に潤滑油が滞留しうる空間が形成されている。 つまり、スペーサ123は、安定した温度成層の形成、ひいては第1圧縮機構102aから膨張機構104への熱移動の防止に寄与する。

    なお、第1シャフト113の軸方向に関して、複数の流動抑制部材122が設けられていてもよい。 例えば、副軸受133が第2の流動抑制部材として機能するものであってもよい。 さらに、流動抑制部材122とスペーサ123とが一体化されていてもよいし、流動抑制部材122と第1オイルポンプ118のハウジング116とが一体化されていてもよい。

    第2圧縮機108は、第2密閉容器125、第2圧縮機構102b、第2電動機124および第2シャフト127を備えている。 第2圧縮機構102bは、第2密閉容器125内の上部に配置されている。 第2シャフト127は、第2圧縮機構102bと第2電動機124とを連結している。 第2密閉容器125の底部には第2油溜まり126が形成されている。 第2油溜まり126には、第2圧縮機構102bのための潤滑油が溜められている。 第2シャフト127の軸方向は、鉛直方向に略平行である。

    第2密閉容器125は、略円筒の形状を有している。 第2密閉容器125の底部は下向きに凸であり、いわゆる碗状に形成されている。 第2密閉容器125の底部が第2油溜まり126として利用されている。 本実施形態において、第2密閉容器125の内径は、第1密閉容器111の内径に一致している。

    第2電動機124は、第2圧縮機構102bを駆動するための要素であり、第2密閉容器125の内壁に固定された固定子124bと、固定子124bの内側に配置された回転子124aとを備えている。 回転子124aには、上下方向に延びる第2シャフト127が固定されている。

    第2シャフト127の内部には、給油路131が軸方向に延びるように形成されている。 給油路131を通じて、第2油溜まり126の潤滑油が第2圧縮機構102bに供給される。

    第2圧縮機構102bは、第2シャフト127の上端部に取り付けられている。 第2圧縮機構102bは、第2シャフト127の回転に伴って冷媒を吸入、圧縮および吐出する容積式圧縮機構である。 本実施形態では、第2圧縮機構102bとしてスクロール圧縮機構が採用されている。 ただし、圧縮機構の具体的構成は何ら限定されず、ロータリ式等の他の形式の圧縮機構であってもよい。

    第2密閉容器125の上側部分には、第2圧縮機構102bに冷媒を導くための吸入管128と、圧縮された冷媒を第2密閉容器125の外部に導くための吐出管138とが設けられている。 吸入管128は、第2密閉容器125の側壁を貫通しており、第2圧縮機構102bに直接接続されている。 吸入管128からの冷媒は、第2密閉容器125の内部空間を経由することなく、第2圧縮機構102bに直接吸入される。 吐出管138は、第2密閉容器125の上壁を貫通しているとともに、第2密閉容器125の内部空間に向かって開口している。 第2圧縮機構102bで圧縮された冷媒は、第2密閉容器125の内部空間に吐出され、その内部空間を流通した後、吐出管138を通じて外部に吐出される。

    第2電動機124の下方には、副軸受134と第2オイルポンプ132とが配置されている。 第2給油機構としての第2オイルポンプ132は、ポンプ本体132aと、ポンプ本体132aを覆うカバー132bとで構成されており、第2油溜まり126に溜められた潤滑油を第2圧縮機構102bに供給する。 ポンプ本体132aは、第2シャフト127に取り付けられており、第2シャフト127とともに回転する。 カバー132bには吸入口132cが形成されている。 第2シャフト127における第2オイルポンプ132よりも上の部分は、副軸受134によって回転可能に支持されている。 本実施形態における第2オイルポンプ132には、ロータリポンプやトロコイドポンプ(登録商標)等の容積式ポンプを使用できる。 ただし、第2オイルポンプ132の具体的構成は特に限定されない。 例えば、カバー132bが無く、ポンプ本体132aの下面に吸入口132cが形成されていてもよい。 容積式ポンプに代えて、速度式ポンプを用いてもよい。

    第1圧縮機107において、吸入管135は、図1に示す配管117aの分岐した部分を形成している。 吐出管137は、配管117bの分岐した部分を形成している。 第2圧縮機108において、吸入管128は、図1に示す配管117aの分岐した部分を形成している。 吐出管138は、配管117bの分岐した部分を形成している。 吐出管137と吐出管138とは、第1密閉容器111および第2密閉容器125の外部において、相互に接続されている。 配管117bは、第1密閉容器111の内部空間と第2密閉容器125の内部空間とを連通している均圧通路を形成している。 ただし、配管117bとは別に、冷媒の流通を許容するように第1密閉容器111の内部空間と第2密閉容器125の内部空間とを連通する配管が設けられていてもよい。 さらに、その配管に弁が設けられていてもよい。

    油通路109は、第1油溜まり112と第2油溜まり126との間を潤滑油が往来しうるように第1密閉容器111と第2密閉容器125とを接続している。 油通路109の一端は、第1密閉容器111の側壁を貫通し、第1油溜まり112に向かって開口している。 油通路109の他端は、第2密閉容器125の側壁を貫通し、第2油溜まり126に向かって開口している。 以下において、第1密閉容器111側における油通路109の一の開口部を第1開口部109a、第2密閉容器125側における油通路109の他の開口部を第2開口部109bとする。

    油通路109は、典型的には配管によって形成しうる。 本実施形態では、ストレート形状を有する円管で油通路109が形成されている。 言い換えると、油通路109は真っ直ぐ水平に延びている。 ただし、油通路109が管状であることは必須ではない。 また、軸方向に関して、第1密閉容器111の底面を基準として、第1開口部109aと第2開口部109bとが等しい高さに位置している。 ただし、軸方向に関して、第1開口部109aの位置と第2開口部109bの位置とが異なっていてもよい。 また、第1密閉容器111と第2密閉容器125との間で油通路109が曲がっていてもよい。

    第1密閉容器111と第2密閉容器125とは、吐出管137および吐出管138(配管117b)によって互いに接続されているので、一方の内圧が他方の内圧よりも高くなった場合には、圧力差が駆動力となって一方から他方へと冷媒が流れ込む。 これにより、第1密閉容器111の内圧と第2密閉容器125の内圧とが等しくなる。 例えば、第1密閉容器111の内圧が第2密閉容器125の内圧よりも高くなると、第1密閉容器111内の高圧冷媒が、吐出管137および吐出管138を経由して第2密閉容器125内へと流入する。

    また、第1油溜まり112と第2油溜まり126とは、油通路109によって互いに接続されているので、一方の油面が低下した場合には他方から潤滑油が流入する。 例えば、第2油溜まり126の油量が少なくなると、第1油溜まり112の潤滑油が油通路109を通じて第2油溜まり126内に流れ込む。 第1油溜まり112の油面112aと第2油溜まり126の油面126aとが、鉛直方向に関して一致する。

    第1圧縮機107において、膨張機構104は、第1油溜まり112の潤滑油に完全に浸漬している。 軸方向に関して、油面112aは副軸受133よりも上にある。 冷凍サイクル装置100の運転時において、膨張機構104は冷媒の膨張に伴って低温となる。 そのため、膨張機構104の周囲を満たす潤滑油も低温となる。 一方、第1密閉容器111の内部空間が第1圧縮機構102aの吐出冷媒で満たされるので、油面112a付近の潤滑油は比較的高温になる。 したがって、第1油溜まり112の潤滑油は、油面112a付近で比較的高温になり、膨張機構104の周囲で比較的低温になっている。

    第2圧縮機108において、第2密閉容器125の内部空間が第2圧縮機構102aの吐出冷媒で満たされるので、油面126a付近の潤滑油は比較的高温になる。 熱は、第2油溜まり126の潤滑油全体に伝わり、第2油溜まり126の潤滑油全体が比較的高温になる。

    油通路109の第1開口部109aは、鉛直方向に関して、膨張機構104よりも上に位置している。 そのため、膨張機構104よりも上に存在する潤滑油が油通路109に流入できる。 つまり、比較的高温の潤滑油が第1油溜まり112と第2油溜まり126との間を優先的に往来する。 この結果として、潤滑油を介して第1圧縮機107の膨張機構104と第2圧縮機108との間で熱移動が起こるのを防止できる。

    なお、本明細書において、「鉛直方向に関して膨張機構104よりも上に位置する」とは、少なくとも膨張機構104の膨張室よりも上に位置することを意味する。 好ましくは膨張機構104に接続された吸入管129および吐出管130よりも上に位置することを意味する。

    また、鉛直方向に関して、油通路109の第1開口部109aが流動抑制部材122よりも上に位置している。 流動抑制部材122よりも上に溜められた潤滑油の温度は比較的高い。 そのため、潤滑油が油通路109を通じて第1油溜まり112から第2油溜まり126に移動した場合に、第2油溜まり126の潤滑油の温度が低下しにくい。 これにより、第2圧縮機構102bの吐出冷媒温度の低下が防止される。 この効果を一層高めるために、本実施形態では、鉛直方向に関して、油通路109の第1開口部109aと、流動抑制部材122と、膨張機構104とが、上から(第1圧縮機構102a側から)この順番で配列している。

    前述したように、第1密閉容器111の内部空間と第2密閉容器125の内部空間とは、吐出管137および吐出管138によって連通しているため、定常運転時における両密閉容器の内圧は等しい。 しかし、第1圧縮機構102aと第2圧縮機構102bの両方または一方の運転状態が大きく変わる過渡時、例えば起動時において、一方の密閉容器の内圧が他方の密閉容器の内圧よりも大幅に高くなる場合がある。 このとき、高圧側の密閉容器から低圧側の密閉容器へと油通路109を経由して大量の潤滑油が流れ込み、高圧側の密閉容器の油溜まりの油面が一時的に大幅に低下する。 また、低圧側の密閉容器の油面は一時的に大幅に上昇する。

    本実施形態では、鉛直方向に関して、油通路109の第1開口部109aが第1オイルポンプ118の吸入口120よりも上に位置している。 このような構成によれば、第1油溜まり112の油面112aが油通路109の第1開口部109aの下端まで低下した時点で第1密閉容器111から第2密閉容器125への潤滑油の流出が停止する。 すなわち、油面112aは、第1開口部109aの下端よりも低くなりえず、第1オイルポンプ118の吸入口120よりも低くなりえない。 油面112aが第1オイルポンプ118の吸入口120よりも常に上にあるので、起動時などの過渡時においても、第1オイルポンプ118が潤滑油を安定して吸入できる。 第1圧縮機構102aに対して潤滑油が安定供給されるので、第1圧縮機構102aの信頼性が高まる。

    より好ましくは、第1シャフト113の軸方向に関して、油通路109の第1開口部109aと、第1オイルポンプ118の吸入口120と、流動抑制部材122とが、上からこの順番で配列していることである。 このような構成によれば、上述した各効果を享受できる。

    また、本実施形態では、鉛直方向に関して、油通路109の第2開口部109bが、第2オイルポンプ132の吸入口132cよりも上に位置している。 このようにすれば、第2密閉容器125の内圧が第1密閉容器111の内圧よりも一時的に高くなった場合であっても、第2オイルポンプ132が潤滑油を確実に吸入できる。 第2圧縮機構102bに対して潤滑油が安定供給されるので、第2圧縮機108の信頼性が高まる。

    また、本実施形態では、鉛直方向に関して、油通路109の第1開口部109aが第1電動機110の回転子110aよりも下に位置しており、油通路109の第2開口部109bが第2電動機124の回転子124aよりも下に位置している。 このような構成によれば、各電動機が潤滑油に浸漬するのを防止できる。 具体的には、以下に説明する関係を満たすように設計を行えば、電動機が潤滑油に浸漬するのを確実に防げる。

    図3に示すように、まず、第1密閉容器111の底面を鉛直方向に関する基準位置とする。 冷凍サイクル装置100の停止時において、油面112aまでの高さをho1、油面126aまでの高さをho2、第1電動機110の回転子110aの下端までの高さをH1、第2電動機124の回転子124aの下端までの高さをH2、第1開口部109aの下端までの高さをh1、第2開口部109bの下端までの高さをh2、水平方向に関する第1密閉容器111の断面積をA1(第1油溜まり112の断面積)、水平方向に関する第2密閉容器125の断面積をA2(第2油溜まり126の断面積)と定義する。 このとき、下記式(1)を満たすように油通路109の第2開口部109bの位置が定められている。

    ho1+(A2/A1)(ho2-h2)<H1 ・・・(1)

    上記式(1)は、第2開口部109bの下端よりも上に存在する潤滑油の全てが第1油溜まり112に流入した場合であっても、常に、油面112aが回転子110aの下端よりも下に位置することを意味している。 つまり、仮に、第2油溜まり126から第1油溜まり112へと大量の潤滑油が流れ込んだとしても、回転子110aが潤滑油に浸漬しない。

    冷凍サイクル装置100の運転時において、潤滑油は冷媒とともに冷媒回路を循環する。 そのため、冷凍サイクル装置100の運転時に第1油溜まり112および第2油溜まり126の油量は、停止時よりも必ず少なくなる。 運転停止時に上記式(1)を満たせば、運転時にもho1<H1の関係が必ず成立する。 これにより、回転子110aが潤滑油に浸漬することによる第1電動機110の負荷の増大を回避でき、ひいては、第1圧縮機107の消費電力増大および冷凍サイクル装置100の性能低下を防止できる。

    さらに、第2開口部109bと同様に、下記式(2)を満たすように油通路109の第1開口部109aの位置が定められている。

    ho2+(A1/A2)(ho1-h1)<H2 ・・・(2)

    運転停止時に上記式(2)を満たすならば、第1油溜まり112から第2油溜まり126に大量の潤滑油が流れ込んでも、ho2<H2の関係が必ず成立する。 これにより、回転子124aが潤滑油に浸漬することによる第2電動機124の負荷の増大を回避でき、第2圧縮機108の消費電力増大および冷凍サイクル装置100の性能低下を防止できる。

    また、本実施形態では、鉛直方向に関して、第1開口部109aと第2開口部109bとが等しい高さに位置している。 このような構成によれば、第1油溜まり112と第2油溜まり126との間での潤滑油の授受がスムーズになる。

    また、本実施形態では、ストレート形状を有する円管で油通路109が形成されている。 このような構成によれば、潤滑油が油通路109を流れる際に発生する圧力損失を小さく抑えることができる。 また、第1密閉容器111と第2密閉容器125とを最短距離で接続できるので、油通路109において潤滑油が失う熱量を最小化できる。

    また、本実施形態において、第1圧縮機107は、第1圧縮機構102aで圧縮された冷媒が第1密閉容器111の内部空間を経由して第1密閉容器111の外部に吐出されるように構成されている。 第2圧縮機108は、第2圧縮機構102bで圧縮された冷媒が第2密閉容器125の内部空間を経由して第2密閉容器125の外部に吐出されるように構成されている。 そして、第1密閉容器111の内部空間と第2密閉容器125の内部空間とを連通する均圧通路が設けられている。 具体的には、吐出管137と吐出管138とを分岐部分として有する配管117bによって、均圧通路が形成されている。 両密閉容器の内圧がほぼ等しく保たれるので、油面112aと油面126aに作用する圧力もほぼ等しくなる。 配管117bおよび油通路109の働きに基づき、油面112aおよび油面126aがほぼ等しい高さに保持される。 そのため、第1圧縮機107および第2圧縮機108の油面の管理が容易である。 油面を管理するための他の特別な手段(例えば油面センサ)を設ける必要がないので、製造コストや部品点数の削減に有利である。

    また、本実施形態では、鉛直方向に関して、第1オイルポンプ118の吸入口120と、第2オイルポンプ132の吸入口132cとが、等しい高さに位置している。 第1油溜まり112の油面112aが第1オイルポンプ118の吸入口120よりも上にあれば、第2油溜まり126の油面126aも第2オイルポンプ132の吸入口132cよりも上になる。 この逆も成立する。 したがって、油面の管理が容易であるとともに、各圧縮機構に潤滑油を確実に供給できるので、第1圧縮機構102aおよび第2圧縮機構102bの信頼性が向上する。

    図2に示すように、第1密閉容器111は、第1圧縮機構102aおよび膨張機構104を収容するために、第2密閉容器125よりも鉛直方向に長い。 さらに、膨張機構104と第1圧縮機構102aとの間に第1オイルポンプ118が配置されている。 そのため、鉛直方向に関する第1密閉容器111の中央付近に第1オイルポンプ118の吸入口120が位置している。 これに対し、第2圧縮機108において、第2オイルポンプ132の吸入口132cは、第2密閉容器125の底部付近に位置している。 基準位置(第1密閉容器111の底面)から第1オイルポンプ118の吸入口120までの高さと、第2オイルポンプ132の吸入口132cまで高さとを等しくするには、第2圧縮機108側で高さの調節が必要である。 しかし、第2密閉容器125を長くすることは、放熱ロスを抑制する観点で好ましくない。 そこで、本実施形態では、第2密閉容器125の下部に、第1密閉容器111の高さに対する第2密閉容器125の高さを補完するための底上げ部材140を設けている。 このようにすれば、既存の圧縮機を設計変更することなく第2圧縮機108に転用できるので、製造および開発コストを抑制できる。

    底上げ部材140として、筐体、支持脚および支柱等の構造物を利用できる。 そのような構造物は、金属でできていてもよいし、樹脂でできていてもよい。 さらに、図1に示した放熱器103を底上げ部材140として用いてもよい。

    本実施形態では、第1圧縮機構102aがスクロール圧縮機構である。 給油が容易であるという理由から、油面112aよりも上に配置するべき第1圧縮機構102aとして、スクロール圧縮機構は優れている。 第1圧縮機107において、温熱源である第1圧縮機構102aが上側に配置され、冷熱源である膨張機構104が下側に配置されている。 このようなレイアウトによれば、高温かつ低密度の潤滑油が油面112a近傍を占め、低温かつ高密度の潤滑油が膨張機構104の周囲を満たすので、自然対流が起こりにくい。 すなわち、高温の潤滑油と低温の潤滑油が混ざりにくいので、第1圧縮機構102aと膨張機構104との間の熱移動が抑制され、第1圧縮機107の吐出冷媒の温度低下を抑制できる。 結果として、冷凍サイクル装置100の高効率化を図れる。

    本実施形態では、膨張機構104が2段ロータリ膨張機構である。 一般にロータリ流体機構は、シール性と潤滑性を維持するために、全体が潤滑油に浸漬していることが望ましい。 詳しくは、シャフトとベーンに給油が必要となる。 本実施形態では、膨張機構104は第1密閉容器111内の下部に配置されており、第1油溜まり112に浸漬している。 そのため、膨張機構104に確実かつ容易に給油でき、膨張機構104の高効率で動作させることができる。 結果として、冷凍サイクル装置100の高効率化を図れる。

    (第1変形例)
    図4および図5に示すように、本変形例にかかる流体機械201では、油通路109がU字状の曲管で形成されており、その曲管が、水平方向に関する同じ方向から第1密閉容器111および第2密閉容器125のそれぞれに挿し込まれている。 このような構成によれば、一方の密閉容器に油通路109としての曲管を接続するための作業(例えばロウ付け)を行う際に、工具が他方の密閉容器に干渉しにくい。 また、同じ方向から作業を行えるので、作業効率も向上し、生産性が高まる。

    (第2変形例)
    図2を参照して説明したように、鉛直方向に関して、油通路109の第1開口部109aが第1オイルポンプ118の吸入口120よりも上に位置していると、第1圧縮機構102aに対して潤滑油を安定供給できるという効果が得られる。 この効果は、熱移動を防止できる効果から切り離して享受しえる。 具体的には、圧縮機構と膨張機構との位置関係が図2に示す第1圧縮機107とは逆の場合にも、当該効果を得ることができる。

    すなわち、図6に示す流体機械202の第1圧縮機207(膨張機一体型圧縮機)は、(a)第1密閉容器111と、(b)第1密閉容器111内の上部に配置された膨張機構104と、(c)第1密閉容器111内の下部に配置された第1圧縮機構102aと、(d)膨張機構104と第1圧縮機構102aとを連結しているシャフト113と、(e)第1圧縮機構102aの周囲が潤滑油で満たされるように第1密閉容器111内に形成された第1油溜まり112と、(f)膨張機構104と第1圧縮機構102aとの間に配置され、第1油溜まり112の潤滑油を膨張機構104に供給するための第1オイルポンプ118(第1給油機構)と、を備えている。 鉛直方向(軸方向)に関して、油通路109の第1開口部109aが第1オイルポンプ118の吸入口120よりも上に位置しているので、起動時などの過渡時においても、第1オイルポンプ118が潤滑油を安定して吸入できる。

    各変形例にかかる流体機械も、図2に示す流体機械と同様、図1に示す冷凍サイクル装置100に好適に採用できる。

    <第2実施形態>
    図7は、本発明の第2実施形態にかかる流体機械の断面図である。 流体機械203は、第1実施形態で説明した流体機械101に代えて、冷凍サイクル装置100(図1)に適用されうる。 以下、第1実施形態と同じ要素には同一符号を付し、説明を省略する。

    流体機械203は、縦長の第2密閉容器225を有する第2圧縮機208を備えている点で第1実施形態と相違している。 第2密閉容器225は、通常の圧縮機に用いられる密閉容器よりも上下方向に伸長されている。 具体的には、第2密閉容器225の寸法が、第1圧縮機107の第1密閉容器111の寸法と同じである。 このような構成によれば、部品共通化によるコスト削減効果が見込める。 また、第2油溜まり126内に油除け部材141を設けると、潤滑油の充填量および放熱ロスを低減できる。

    流体機械203において、第1圧縮機107から冷媒とともに冷媒回路へと吐出される潤滑油の量は、第2圧縮機208から冷媒回路へと吐出される潤滑油の量よりも多い。 第1圧縮機107では、第1圧縮機構102aおよび膨張機構104で潤滑油が利用されるのに対し、第2圧縮機208では、第2圧縮機構102bのみで潤滑油が利用されるからである。 したがって、第1油溜まり112の潤滑油の消費スピードは、第2油溜まり126の潤滑油の消費スピードよりも速い。 一方、第1密閉容器111の内部空間で冷媒から分離されて、第1油溜まり112に回収される潤滑油の量は、各圧縮機構の容積がほぼ等しいことを前提とすれば、第2密閉容器225の内部空間で冷媒から分離されて、第2油溜まり126に回収される潤滑油の量に概ね等しい。 したがって、通常の運転時においては、第1油溜まり112の潤滑油が減少しやすい。 潤滑油の消費スピードの相違を解消するように、第2油溜まり126から第1油溜まり112へと油通路109を経由して潤滑油が流れ込む。

    本実施形態では、油通路109の第1開口部109aが第2開口部109bよりも低い位置に定められている。 このようにすれば、第1開口部109a付近の潤滑油のヘッドが第2開口部109b付近の潤滑油のヘッドよりも小さい状態となるので、第2油溜まり126から第1油溜まり112への潤滑油の移動がスムーズになる。 その結果、潤滑油不足が防止され、第1圧縮機107の信頼性が向上する。

    また、潤滑油の消費スピードの相違は、潤滑油の吸入量および吐出量がより多くなる運転状態(例えば起動時)で顕著となる。 また、そのような運転状態では、吐出冷媒から分離および回収される潤滑油よりも、冷媒とともに冷媒回路へと吐出される潤滑油の方が多くなる。 したがって、第1油溜まり112の油面112aおよび第2油溜まり126の油面126aは一時的に低下する。 より低い位置まで低下する可能性があるのは、第1油溜まり112の油面112aである。

    本実施形態では、鉛直方向に関して、第1オイルポンプ118の吸入口120が、第2オイルポンプ132の吸入口132cよりも低い位置にある。 このようにすれば、油面112aが油面126aよりも低くなった場合においても、第1オイルポンプ118が吸入口120から潤滑油を吸入し続けることができる。 これにより、第1圧縮機構102aへの潤滑油の供給不足が防止され、第1圧縮機107の信頼性が向上する。

    <第3実施形態>
    図8は、本発明の第3実施形態にかかる流体機械の断面図である。 流体機械204は、第1実施形態で説明した流体機械101に代えて、冷凍サイクル装置100(図1)に適用されうる。

    流体機械204は、第1圧縮機307および第2圧縮機108を備えている。 第2圧縮機108は、第1実施形態と同じものである。 第1圧縮機307は、第1密閉容器111、第1電動機110、第1圧縮機構142、第1オイルポンプ145、第1シャフト150(上シャフト143および下シャフト113bを有する)および膨張機構104を備えている。 鉛直方向に関して、第1電動機110、第1圧縮機構142、第1オイルポンプ145および膨張機構104が、上からこの順番で配列している。

    第1圧縮機構142は、ロータリ圧縮機構である。 第1圧縮機構142は上シャフト143の下側に取り付けられている。 上シャフト143の上側に第1電動機110が取り付けられている。 第1圧縮機構142の下側には膨張機構104が配置されている。 上シャフト143は第1圧縮機構142よりも下側に突出している。 第1オイルポンプ145の内部に配置された連結器114を介して、上シャフト143と下シャフト113bとが連結されている。

    上シャフト143には給油路144が形成されている。 第1オイルポンプ145は、吸入口145aおよびオイルチャンバ145bを有しており、オイルチャンバ145bに連結器114が配置されている。 吸入口145a、オイルチャンバ145bおよび連結器114の給油孔114aを経由して、給油路144に第1油溜まり112の潤滑油が導かれる。 給油路144に導かれた潤滑油が第1圧縮機構142に供給され、第1圧縮機構142の内部を潤滑する。

    第1圧縮機構142は、ベーン146とベーン溝147とを有する。 ベーン溝147にベーン146が摺動可能に配置されている。 ベーン溝147の一部は、第1油溜まり112に露出しており、第1油溜まり112の潤滑油がベーン溝147に直接供給される。

    鉛直方向に関して、油通路109の第1開口部109aは、第1圧縮機構142に向かい合う高さに位置している。 第1圧縮機構142は、冷凍サイクル装置100の運転時に高温となり、自身の周囲に存在する潤滑油を加熱する。 第1圧縮機構142と膨張機構104との間には、流動抑制部材122とスペーサ123とが設けられている。 このような構成によれば、膨張機構104の周囲の低温の潤滑油が第2圧縮機108に移動したり、第2圧縮機108の高温の潤滑油が膨張機構104の周囲に移動したりするのを防止できる。 こうした効果は、第1実施形態で説明した通りである。

    また、油通路109の第1開口部109aの下端が、鉛直方向に関して、ベーン146およびベーン溝147よりも上に位置している。 このような位置関係によれば、油面112aがベーン146およびベーン溝147よりも下まで低下する恐れが小さい。 そのため、ベーン146およびベーン溝147への給油不足を防止でき、第1圧縮機構142の信頼性が向上する。

    本発明は、作動流体から動力を回収するための膨張機構を有する第1圧縮機と、第1圧縮機に組み合わされた第2圧縮機とを備えた流体機械、およびそれを用いた冷凍サイクル装置に有用である。 冷凍サイクル装置の用途は何ら限定されず、例えば、給湯機、温水暖房装置、空気調和装置に適用しうる。

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