燃料ポンプ及びその製造方法

申请号 JP2015011466 申请日 2015-01-23 公开(公告)号 JP6380129B2 公开(公告)日 2018-08-29
申请人 株式会社デンソー; 发明人 酒井 博美; 古橋 代司;
摘要
权利要求

内歯(42a)を複数有するアウタギア(40)と、 外歯(34a)を複数有し、前記アウタギアとは偏心方向(De)に偏心して噛合するインナギア(30)と、 前記アウタギア及び前記インナギアを回転可能に収容するポンプハウジング(10)とを、備え、 前記アウタギア及び前記インナギアは、それら両ギア間に複数形成されるポンプ室(60)の容積を拡縮させつつ回転することにより、燃料を各前記ポンプ室に順次吸入して当該各ポンプ室から吐出し、 前記ポンプハウジングは、 前記アウタギア及び前記インナギアが摺動する摺動面(12b,18d)と、 前記摺動面よりも凹み、当該ポンプハウジングの周方向に延伸するガイド路として、燃料を前記ポンプ室に吸入させる吸入ガイド路(13,21)と、 前記摺動面よりも凹み、前記周方向に延伸するガイド路として、燃料を前記ポンプ室から吐出させる吐出ガイド路(15,19)とを有し、 前記吸入ガイド路の吸入側端部(14,22)と前記吐出ガイド路の吐出側端部(16,20)とは、互いに間隔を空けて対向し、 前記ポンプ室の縮小が開始される偏(θs)において、前記吐出側端部のうち、外周部(16a,20a)が前記内歯に沿って形成されると共に、内周部(16b,20b)が前記外歯に沿って形成されることを特徴とする燃料ポンプ。前記吐出側端部のうち、前記外周部と前記内周部とを接続する中間部(16c,20c)は、前記吸入側端部に向かって凹状に湾曲して形成されることを特徴とする請求項1に記載の燃料ポンプ。前記吸入側端部は、前記吐出側端部の線対称形状であることを特徴とする請求項1又は2に記載の燃料ポンプ。請求項3に記載の燃料ポンプの製造方法であって、 前記ポンプハウジングにおいて、円形状に回転切削する加工ツール(72)を、前記吐出側端部を含む前記吐出ガイド路の輪郭を形成するように一筆書き状に周回移動させることにより、前記吐出ガイド路を形成する吐出ガイド路切削工程と、 前記ポンプハウジングにおいて、前記加工ツールを、前記吸入側端部を含む前記吸入ガイド路の輪郭を形成するように一筆書き状に周回移動させることにより、前記吸入ガイド路を形成する吸入ガイド路切削工程とを含むことを特徴とする燃料ポンプの製造方法。

说明书全文

本発明は、燃料を各ポンプ室に順次吸入してから吐出する燃料ポンプ及びその製造方法に関する。

燃料を各ポンプ室に順次吸入してから吐出する燃料ポンプに応用可能な技術として、特許文献1においてオイルポンプが開示されている。このポンプでは、内歯を複数有するアウタギアと、外歯を複数有し、アウタギアとは偏心方向に偏心して噛合するインナギアと、アウタギア及びインナギアを周方向に回転可能に収容するポンプハウジングとを、備えている。アウタギア及びインナギアは、それら両ギア間に複数形成されるポンプ室の容積を拡縮させつつ回転することにより、オイルを各ポンプ室に順次吸入してから吐出するのである。

さらにこのポンプハウジングは、アウタギア及びインナギアが摺動する摺動面と、この摺動面よりも凹み、周方向に延びるガイド路として、オイルをポンプ室に吸入する吸入ガイド路及びオイルをポンプ室から吐出する吐出ガイド路と、を有している。吸入ガイド路の吸入側端部と吐出ガイド路の吐出側端部とは、互いに間隔を空けて対向している。

そして、吸入側端部と吐出側端部との間において、ポンプ室は閉鎖状の空隙となる部屋を形成するようになっている。

特開2008−274870号公報

特許文献1では、上記の部屋の形成を阻害しないように、吐出側端部の形状設定がされているとみられる。このため、例えば、吸入側端部の外周部と吐出側端部の外周部との距離が中間部に対して比較的短くなっている。この構成を燃料ポンプに適用すると、吐出ガイド路から摺動面を介して吸入ガイド路へ燃料が漏れ、その結果、ポンプ効率が低下することが懸念されている。

本発明は、以上説明した問題に鑑みてなされたものであって、その目的は、ポンプ効率の高い燃料ポンプ及びその製造方法を提供することにある。

開示される発明のひとつとして燃料ポンプは、内歯(42a)を複数有するアウタギア(40)と、 外歯(34a)を複数有し、アウタギアとは偏心方向(De)に偏心して噛合するインナギア(30)と、 アウタギア及びインナギアを回転可能に収容するポンプハウジング(10)とを、備え、 アウタギア及びインナギアは、それら両ギア間に複数形成されるポンプ室(60)の容積を拡縮させつつ回転することにより、燃料を各ポンプ室に順次吸入して当該各ポンプ室から吐出し、 ポンプハウジングは、 アウタギア及びインナギアが摺動する摺動面(12b,18d)と、 摺動面よりも凹み、当該ポンプハウジングの周方向に延伸するガイド路として、燃料をポンプ室に吸入させる吸入ガイド路(13,21)と、 摺動面よりも凹み、周方向に延伸するガイド路として、燃料をポンプ室から吐出させる吐出ガイド路(15,19)とを有し、 吸入ガイド路の吸入側端部(14,22)と吐出ガイド路の吐出側端部(16,20)とは、互いに間隔を空けて対向し、 ポンプ室の縮小が開始される偏(θs)において、吐出側端部のうち、外周部(16a,20a)が内歯に沿って形成されると共に、内周部(16b,20b)が外歯に沿って形成されることを特徴とする。

このような発明によると、吐出側端部のうち外周部は、ポンプ室の縮小が開始される偏角におけるアウタギアの内歯に沿って形成されている。これと共に、吐出側端部のうち内周部は、ポンプ室の縮小が開始される偏角におけるインナギアの外歯に沿って形成されている。このような外周部及び内周部を有する吐出ガイド路では、ポンプ室が縮小を開始するに伴って、燃料の吐出ガイド路への吐出がスムーズに開始されるので、脈動が抑制されて両ギアをスムーズに回転させることができる。さらに、吐出側端部のうち外周部及び内周部が吸入側端部から周方向に間隔を空けて遠ざかるので、吐出ガイド路から摺動面を介して吸入ガイド路へ燃料が漏れることを抑制することができる。以上により、ポンプ効率の高い燃料ポンプを提供することができる。

また、開示される発明の他のひとつとして燃料ポンプの製造方法では、ポンプハウジングにおいて、円形状に回転切削する加工ツール(72)を、吐出側端部を含む吐出ガイド路の輪郭を形成するように一筆書き状に周回移動させることにより、吐出ガイド路を形成する吐出ガイド路切削工程と、 ポンプハウジングにおいて、加工ツールを、吸入側端部を含む吸入ガイド路の輪郭を形成するように一筆書き状に周回移動させることにより、吸入ガイド路を形成する吸入ガイド路切削工程とを含むことを特徴とする。

このような発明によると、ポンプハウジングにおいて、円形状に回転切削する加工ツールを、吐出側端部を含む吐出ガイド路の輪郭を形成するように一筆書き状に周回移動させることにより、吐出ガイド路が形成される。このような工程では、加工ツールを変更することなく吐出ガイド路を形成することができるので、加工ツールを変更した場合に生じ得るバリ等の発生を抑制できる。このため、内歯に沿った外周部及び外歯に沿った内周部が形成された燃料ポンプを、容易に製造することができる。また、吸入ガイド路も同様に形成することで、生産性を向上させることができる。

こうして製造された燃料ポンプでは、ポンプ室が縮小を開始するに伴って、燃料の吐出ガイド路への吐出がスムーズに開始されるので、脈動が抑制されて両ギアをスムーズに回転させることができる。さらに、吐出側端部のうち外周部及び内周部が吸入側端部から周方向に間隔を空けて遠ざかるので、吐出ガイド路から摺動面を介して吸入ガイド路へ燃料が漏れることを抑制することができる。以上により、ポンプ効率の高い燃料ポンプを容易に製造することができる。

なお、括弧内の符号は、記載内容の理解を容易にすべく、後述する実施形態において対応する構成を例示するものに留まり、発明の内容を限定するものではない。

一実施形態における燃料ポンプを示す部分断面正面図である。

図1のII−II線断面におけるポンプボディ及びポンプハウジングを示す図である。

図1のIII−III線断面におけるポンプボディ及びポンプハウジングを示す図である。

図1のIV−IV線断面図である。

吐出側端部及び吸入側端部を説明するための模式図である。

一実施形態における燃料ポンプの吐出ガイド路切削工程及び吸入ガイド路切削工程を説明するための模式図である。

変形例5における図3に対応する図である。

以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。

図1に示すように、本発明の一実施形態による燃料ポンプ100は、車両に搭載される容積式のトロコイドポンプである。燃料ポンプ100は、円筒状のポンプボディ2内部に収容されたポンプ本体3及び電動モータ4を、備えている。それと共に燃料ポンプ100は、ポンプボディ2のうち電動モータ4を軸方向に挟んでポンプ本体3とは反対側端から外部へ張り出したサイドカバー5を、備えている。ここでサイドカバー5は、電動モータに通電するための電気コネクタ5aと、燃料を吐出するための吐出ポート5bとを、備えている。こうした燃料ポンプ100では、電気コネクタ5aを介した外部回路からの通電により、電動モータ4が回転駆動される。その結果、電動モータ4が有する回転軸4aの回転を利用してポンプ本体3により吸入及び加圧された燃料は、吐出ポート5bから吐出されることになる。なお、燃料ポンプ100については、ガソリンよりも粘性が高い軽油を、燃料として吐出するものである。

以下、ポンプ本体3について詳細に説明する。ポンプ本体3は、ポンプハウジング10、インナギア30及びアウタギア40を備えている。ここでポンプハウジング10は、ポンプカバー12とポンプケーシング18を重ね合わせてなる。

ポンプカバー12は、金属により円盤状に形成されている。ポンプカバー12は、ポンプボディ2のうち電動モータ4を軸方向に挟んでサイドカバー5とは反対側端から、外部へ張り出している。

図1,2に示すポンプカバー12は、外部から燃料を吸入するために、円筒孔状の吸入口12a及び円弧溝状の吸入通路13を形成している。吸入口12aは、ポンプカバー12のうちインナギア30のインナ中心線Cigから偏心した特定箇所Ssを、同カバー12の軸方向に沿って貫通している。吸入通路13は、ポンプカバー12のうちポンプケーシング18側の摺動面12bを軸方向に沿って貫通することで、ポンプケーシング18側に開口している。図2に示すように吸入通路13の内周延伸部13bは、インナギア30の回転方向Rig(図4も参照)に沿って半周未満の長さに延伸している。吸入通路13の外周延伸部13aは、アウタギア40の回転方向Rog(図4も参照)に沿って半周未満の長さに延伸している。

ここで吸入通路13は、円弧状の始端部13cから回転方向Rig,Rogへの終端部としての吸入側端部14に向かう程、拡幅している。また、吸入通路13は、溝底部13dの特定箇所Ssに吸入口12aを開口させることで、当該吸入口12aと連通している。特に図2に示すように、吸入口12aが開口する特定箇所Ssの全域では、吸入通路13の幅が吸入口12aの直径よりも小さく設定されている。

図1,3,4に示すポンプケーシング18は、金属により有底円筒状に形成されている。ポンプケーシング18のうち開口部18aは、ポンプカバー12により覆われることで、全周に亘って密閉されている。ポンプケーシング18の内周部18bは、特に図1,4に示すように、インナギア30のインナ中心線Cigから偏心した円筒孔状に形成されている。

ポンプケーシング18は、ポンプボディ2及び電動モータ4間の燃料通路6を通じて燃料を吐出ポート5bから吐出するために、円弧孔状の吐出通路19を形成している。吐出通路19は、ポンプケーシング18の凹底部18cの底面である摺動面18dを軸方向に沿って貫通している。特に図3に示すように吐出通路19の内周延伸部19bは、インナギア30の回転方向Rigに沿って半周未満の長さに延伸している。吐出通路19の外周延伸部19aは、アウタギア40の回転方向Rogに沿って半周未満の長さに延伸している。ここで吐出通路19は、始端部としての吐出側端部20から回転方向Rig,Rogへの円弧状の終端部19cに向かう程、縮幅している。

ポンプケーシング18の凹底部18cのうち両ギア30,40間のポンプ室60(後に詳述)を挟んで吸入通路13と対向する箇所には、特に図3に示すように、当該吸入通路13を軸方向に投影した形状と対応させて、円弧溝状の吸入溝路21が形成されている。これによりポンプケーシング18では、吐出通路19の輪郭と吸入溝路21の輪郭とが略線対称に設けられている。したがって、吸入溝路21は、円弧状の始端部21aから回転方向Rig,Rogへの終端部としての吸入側端部22に向かう程、拡幅している。

一方で特に図2に示すように、ポンプカバー12のうちポンプ室60を挟んで吐出通路19と対向する箇所には、当該吐出通路19を軸方向に投影した形状と対応させて、円弧溝状の吐出溝路15が形成されている。これによりポンプカバー12では、吸入通路13の輪郭と吐出溝路15の輪郭とが略線対称に設けられている。したがって、吐出溝路15は、始端部としての吐出側端部16から回転方向Rig,Rogへの円弧状の終端部15aに向かう程、縮幅している。

このように、ポンプハウジング10の周方向に延伸する吸入ガイド路として、吸入通路13及び吸入溝路21が、ポンプハウジング10においてそれぞれ対応する摺動面12b,18dから凹み、燃料をポンプ室60に吸入させるために形成されている。また、ポンプハウジング10の周方向に延伸する吐出ガイド路として、吐出通路19及び吐出溝路15が、ポンプハウジング10においてそれぞれ対応する摺動面18d,12bから凹み、燃料をポンプ室60から吐出させるために形成されている。

図1に示すように、ポンプケーシング18の凹底部18cのうちインナ中心線Cig上には、電動モータ4の回転軸4aを径方向に軸受するために、ラジアル軸受50が嵌合固定されている。一方で、ポンプカバー12のうちインナ中心線Cig上には、回転軸4aを軸方向に軸受するために、スラスト軸受52が嵌合固定されている。

図1,4に示すように、ポンプケーシング18の凹底部18c及び内周部18bは、インナギア30及びアウタギア40を収容する収容空間56を、ポンプカバー12と共同して画成している。インナギア30及びアウタギア40は、それぞれの歯の歯形曲線をトロコイド曲線した、所謂トロコイドギアである。

インナギア30は、インナ中心線Cigを回転軸4aと共通にすることで、収容空間56内では偏心して配置されている。インナギア30の内周部32は、ラジアル軸受50により径方向に軸受されていると共に、ポンプケーシング18の摺動面18dとポンプカバー12の摺動面12bとにより軸方向に軸受されている。また、インナギア30には、軸方向に沿った複数の挿入穴37が設けられており、当該挿入穴37にジョイント部材54の複数の対応する足部54aが挿入されることにより、インナギア30は、ジョイント部材54を介して回転軸4aと連結されている。このようにしてインナギア30は、電動モータ4による回転軸4aの回転に応じて、インナ中心線Cig周りとなる一定の回転方向Rigへ回転可能となっている。

インナギア30は、そうした回転方向Rigに等間隔に並ぶ複数の外歯34aを、外周部34に有している。各外歯34aは、インナギア30の回転に応じて各通路13,19及び各溝路15,21と軸方向に対向可能となっていることで、各摺動面12b,18dへの張り付きを抑制されている。

アウタギア40は、インナギア30のインナ中心線Cigに対して偏心することで、収容空間56内では同軸上に配置されている。これによりアウタギア40に対しては、一径方向としての偏心方向Deにインナギア30が偏心している。アウタギア40の外周部44は、ポンプケーシング18の内周部18bにより径方向に軸受されていると共に、ポンプケーシング18の摺動面18dとポンプカバー12の摺動面12bとにより軸方向に軸受されている。これらの軸受によりアウタギア40は、インナ中心線Cigから偏心したアウタ中心線Cog周りとなる一定の回転方向Rogへ回転可能になっている。

アウタギア40は、そうした回転方向Rogに等間隔に並ぶ複数の内歯42aを、内周部42に有している。ここでアウタギア40における内歯42aの数は、インナギア30における外歯34aの数よりも一つ多くなるように、設定されている。各内歯42aは、アウタギア40の回転に応じて各通路13,19及び各溝路15,21と軸方向に対向可能となっていることで、各摺動面12b,18dへの張り付きを抑制されている。

図4に示すように、アウタギア40に対してインナギア30は、偏心方向Deへの相対的な偏心により噛合している。これにより、収容空間56のうち両ギア30,40の間には、ポンプ室60が複数連なって形成されている。このようなポンプ室60は、アウタギア40及びインナギア30が回転することにより、その容積が拡縮するようになっている。

具体的に、両ギア30,40の回転に伴って、吸入通路13及び吸入溝路21と対向して連通するポンプ室60にて、その容積が拡大する。その結果として、吸入口12aから燃料が吸入通路13を通してポンプ室60に吸入される。このとき、始端部13cから吸入側端部14に向かう程(図2も参照)、吸入通路13が拡幅していることで、当該吸入通路13を通して吸入される燃料量は、ポンプ室60の容積拡大量に応じたものとなる。

両ギア30,40の回転に伴って、吐出通路19及び吐出溝路15と対向して連通するポンプ室60にて、その容積が縮小する。その結果として、上記吸入機能と同時に、ポンプ室60から燃料が吐出通路19を通して燃料通路6に吐出される。このとき、吐出側端部20から終端部19cに向かう程(図3も参照)、吐出通路19が縮幅していることで、当該吐出通路19を通して吐出される燃料量は、ポンプ室60の容積縮小量に応じたものとなる。

このようにして、燃料は、燃料ポンプ100により、各ポンプ室60に順次吸入されて、当該各ポンプ室60から吐出されると共に、吐出通路19及び吐出溝路15側における燃料圧は、吸入通路13及び吸入溝路21側における燃料圧と比較して高圧状態となる。

ここで、アウタギア40に対するインナギア30の偏心方向Deに、基準軸Aeを定義し、インナギア30の回転方向Rigに、基準軸Aeからの偏角θを定義する。

そして、両ギア30,40の回転に伴って、各ポンプ室60における偏角θが所定の開始偏角θsに達すると、そのポンプ室60の容積は拡大から転じて縮小が開始されるようになっている。すなわち、ポンプハウジング10の吐出通路19及び吐出溝路15に対して常に同じ開始偏角θsで、各ポンプ室60の縮小が開始されるようになっている。

吐出通路19の吐出側端部20の輪郭形状及び吐出溝路15の吐出側端部16の輪郭形状は、開始偏角θsにおける歯形と関連付けられている。具体的に図4,5に示すように、開始偏角θsにおいて、吐出側端部20,16のうち外周部20a,16aの輪郭は、アウタギア40の内歯42aに沿って形成されている。より詳細に、外周部20a,16aの輪郭は、内歯42aの歯形曲線に沿って凹状に湾曲して形成されている。これと共に、吐出側端部20,16のうち内周部20b,16bの輪郭は、インナギア30の外歯34aに沿って形成されている。より詳細に、内周部20b,16bの輪郭は、外歯34aの歯形曲線に沿って凹状に湾曲して形成されている。

また、吐出側端部20,16のうち、外周部20a,16aと内周部20b,16bとをそれぞれ接続する中間部20c,16cの輪郭は、吸入側端部22,14に向かって凹状に湾曲して形成されている。本実施形態では、円弧状の各中間部20c,16cにおいて、その曲率半径Rmが、終端部19c,15aの曲率半径Rtにそれぞれ一致するように形成されている。開始偏角θsに達するポンプ室60は、中間部20c,16c近傍においても、吐出通路19及び吐出溝路15と確実に連通することとなる。

一方の吸入通路13及び吸入溝路21では、それらの吸入側端部22,14の輪郭が、回転軸4aの中心から所定偏角θ(例えば195°)の方向への放射状の対称線Lsを挟んで、それぞれ対応する吐出側端部20,16の線対称形状となっている。吸入溝路21の吸入側端部22と吐出通路19の吐出側端部20とは、ポンプハウジング10の周方向において、互いに間隔を空けて対向している。同様に、吸入通路13の吸入側端部14と吐出溝路15の吐出側端部16とは、周方向において、互いに間隔を空けて対向している。

このような輪郭形状により、外周部20a,16aにて吐出側端部20,16は、それぞれ、アウタギア40の内歯42aが摺動する摺動面18d,12bを介して、吸入側端部22,14と周方向に遠ざかっている。内周部20b,16bにて吐出側端部20,16は、それぞれ、インナギア30の外歯34aが摺動する摺動面18d,12bを介して、吸入側端部22,14と周方向に遠ざかっている。

そして、ポンプケーシング18側では、周方向において対向する中間部20c,22c同士の間隔が、外周部20a,22a同士の間隔及び内周部20b,22b同士の間隔よりも小さくなっている。同様にポンプカバー12側でも、周方向において対向する中間部16c,14c同士の間隔が、外周部16a,14a同士の間隔及び内周部16b,14b同士の間隔よりも小さくなっている。なお、図4,5では、特に開始偏角θsに達した瞬間のポンプ室60を、60[θs]として示している。

ここで、このような燃料ポンプ100の製造方法について、特にガイド路としての各通路13,19及び各溝路15,21を形成する工程を、図6を用いて簡単に説明する。なお、図6では、代表してポンプケーシング18側について図示しており、ポンプカバー12側の図示は省略する。

本実施形態での各ガイド路の形成は、例えばポンプハウジング10がセットされるマシニングセンタ70が備える加工ツール72の動作を、コンピュータプログラム等により制御することにより行われる。本実施形態における加工ツール72として、円形状に回転切削するカッタが用いられ、その切削半径Rcとしては、曲率半径Rm、及び曲率半径Rtと実質一致するものが選択される。

ポンプハウジング10において、吐出ガイド路としての吐出通路19、又は吐出溝路15を形成する吐出ガイド路切削工程についてここで説明する。具体的に、ポンプケーシング18には吐出通路19を、ポンプカバー12には吐出溝路15を、それぞれ形成する。ポンプケーシング18における吐出通路19の形成では、円形状に回転切削する加工ツール72を、吐出側端部20を含む吐出通路19の輪郭を形成するように一筆書き状に周回移動させる。この加工ツール72によりポンプケーシング18の凹底部18cを貫通するように切削することで、吐出通路19が形成される。ポンプカバー12における吐出溝路15の形成では、加工ツール72を、吐出側端部16を含む吐出溝路15の輪郭を形成するように一筆書き状に周回移動させる。この加工ツール72により摺動面12bから所定の深さにポンプカバー12を切削することで、吐出溝路15が形成される。

ポンプハウジング10において、吸入ガイド路としての吸入溝路21、又は吸入通路13を形成する吸入ガイド路切削工程についてここで説明する。具体的に、ポンプケーシング18には吸入溝路21を、ポンプカバー12には吸入通路13を、それぞれ形成する。ポンプケーシング18における吸入溝路21の形成では、加工ツール72を、吸入側端部22を含む吸入溝路21の輪郭を形成するように一筆書き状に周回移動させる。この加工ツール72により摺動面18dから所定の深さにポンプケーシング18を切削することで、吸入溝路21が形成される。ポンプカバー12における吸入通路13の形成では、加工ツール72を、吸入側端部14を含む吸入通路13の輪郭を形成するように一筆書き状に周回移動させる。この加工ツール72により摺動面12bから所定の深さにポンプカバー12を切削することで、特定箇所Ssが吸入口12aと連通する吸入通路13が形成される。

なお、吐出ガイド路切削工程及び吸入ガイド路切削工程は、順不同である。さらには、ポンプケーシング18における吐出通路19及び吸入溝路21の形成の後、ポンプカバー12における吐出溝路15及び吸入通路13の形成を行なってもよい。また、ポンプケーシング18における吐出通路19及び吸入溝路21の形成を、あるマシニングセンタ70で行い、ポンプカバー12における吐出溝路15及び吸入通路13の形成を、別のマシニングセンタ70で行ってもよい。また、マシニングセンタ70の代わりに、複合旋盤等が備える加工ツール72を用いてもよい。

(作用効果) 以上説明した本実施形態の作用効果を以下に説明する。

本実施形態によると、吐出側端部20,16のうち外周部20a,16aは、ポンプ室60の縮小が開始される偏角θsにおけるアウタギア40の内歯42aに沿って形成されている。これと共に、吐出側端部20,16のうち内周部20b,16bは、ポンプ室60の縮小が開始される偏角θsにおけるインナギア30の外歯34aに沿って形成されている。このような外周部20a,16a及び内周部20b,16bを有する吐出通路19及び吐出溝路15では、ポンプ室60が縮小を開始するに伴って、燃料の吐出通路19への吐出がスムーズに開始されるので、脈動が抑制されて両ギア30,40をスムーズに回転させることができる。さらに、吐出側端部20,16のうち外周部20a,16a及び内周部20b,16bが吸入側端部22,14から周方向に間隔を空けて遠ざかる。このため、吐出通路19から摺動面18dを介して吸入溝路21へ、あるいは吐出溝路15から摺動面12bを介して吸入通路13へ、燃料が漏れることを抑制することができる。以上により、ポンプ効率の高い燃料ポンプを提供することができる。

また、本実施形態によると、吐出側端部20,16のうち、外周部20a,16aと内周部20b,16bとを接続する中間部20c,16cは、吸入側端部22,14に向かって凸状に湾曲して形成される。このような中間部20c,16cにより外周部20a,16aと内周部20b,16bとが接続されることで、吐出側端部20,16全体が両ギア30,40の形状に近くなるため、燃料の吐出通路19への吐出がスムーズに開始されるので、ポンプ効率が高まる。

また、本実施形態によると、吸入側端部22,14は、吐出側端部20,16の線対称形状である。このような吸入側端部22,14により、吐出側端部20,16のうち外周部20a,16a及び内周部20b,16bは確実に吸入側端部22,14から遠ざかることとなるので、燃料漏れの抑制効果が高まる。

また、本実施形態によると、ポンプハウジング10において、円形状に回転切削する加工ツール72を、吐出側端部20を含む吐出通路19の輪郭、又は吐出側端部16を含む吐出溝路15の輪郭を形成するように一筆書き状に周回移動させることにより、吐出通路19又は吐出溝路15が形成される。このような工程では、加工ツール72を変更することなく吐出通路19又は吐出溝路15を形成することができるので、加工ツール72を変更した場合に生じ得るバリ等の発生を抑制できる。このため、内歯42aに沿った外周部20a又は16a及び外歯34aに沿った内周部20b又は16bが形成された燃料ポンプ100を、容易に製造することができる。また、吸入溝路21又は吸入通路13も同様に形成することで、生産性を向上させることができる。

こうして製造された燃料ポンプ100では、ポンプ室60が縮小を開始するに伴って、燃料の吐出通路19への吐出がスムーズに開始されるので、脈動が抑制されて両ギア30,40をスムーズに回転させることができる。さらに、吐出側端部20,16のうち外周部20a,16a及び内周部20b,16bが吸入側端部22,14から周方向に間隔を空けて遠ざかる。このため、吐出通路19から摺動面18dを介して吸入溝路21へ、あるいは吐出溝路15から摺動面12bを介して吸入通路13へ、燃料が漏れることを抑制することができる。以上により、ポンプ効率の高い燃料ポンプ100を容易に製造することができる。

(他の実施形態) 以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、当該実施形態に限定して解釈されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の実施形態に適用することができる。

具体的に変形例1としては、一ガイド路において、曲率半径Rmと曲率半径Rtとが一致していなくてもよい。また、各曲率半径Rm,Rtは、加工ツール72の切削半径Rcと一致していなくてもよい。

変形例2としては、吐出側端部20,16のうち、外周部20a,16aと内周部20b,16bとを接続する中間部20c,16cは、吸入側端部22,14に向かって凹状に湾曲して形成されていなくてもよい。例えば、中間部20c,16cに直線部分が含まれていてもよい。

変形例3としては、吸入側端部22,14は、吐出側端部20,16の線対称形状でなくてもよい。例えば、吸入側端部22,14のみに直線部分が含まれていてもよい。

変形例4としては、各通路13,19及び各溝路15,21の形成は、切削加工以外の方法(例えば鍛造)で行われてもよい。

変形例5としては、図7に示すように、吐出通路19の略中央において、当該吐出通路19を跨ぐことでポンプケーシング18を補強する補強リブ18eが設けられていてもよい。

変形例6としては、燃料ポンプ100は、燃料として、軽油以外のガソリン、又はこれに準じた液体燃料を吸入して吐出するものであってもよい。

100 燃料ポンプ、10 ポンプハウジング、12b 摺動面、13 吸入通路、14 吸入側端部、15 吐出溝路、16 吐出側端部、16a 外周部、16b 内周部、16c 中間部、18d 摺動面、19 吐出通路、20 吐出側端部、20a 外周部、20b 内周部、20c 中間部、21 吸入通路、22吸入側端部、30 インナギア、34a 外歯、40 アウタギア、42a 内歯、60 ポンプ室、72 加工ツール、De 偏心方向、θs 開始偏角

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