Vane-type compressor

申请号 JP2011187100 申请日 2011-08-30 公开(公告)号 JP2013050038A 公开(公告)日 2013-03-14
申请人 Valeo Japan Co Ltd; 株式会社ヴァレオジャパン; 发明人 TAKAHASHI TOMOYASU; TERAYA TAKANORI; NAKAMURA TAKAAKI; YAMADA ISAO; HORI MITSUHIRO;
摘要 PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a vane-type compressor that can relatively reduce the coating amount of a solid lubricant used for forming a solid lubricant film on the outer peripheral surface of a rotor.SOLUTION: The vane-type compressor 1 includes at least a cylinder 8a having a perfect circle inner circumferential surface stored in a housing 2, a perfect circle rotor 4 stored in the cylinder 8a with its center P2 disposed at a position offset from the center P1 of the cylinder 8a, and a shaft 3 press-fit into a through-hole 4a of the perfect circle rotor 4. A solid lubricant film 30 is formed on the outer peripheral surface 4b and the side surface 4c of the perfect circle rotor 4. The thickness L of the solid lubricant film 30 is in a range of 10-20 μm in the initial stage without application of a finish process so that the coating amount of the solid lubricant is reduced relatively.
权利要求
  • 吸入口と吐出口とが形成され、外郭をなすハウジングと、
    このハウジングと一体又は別体に形成され、真円状の内周面を有するシリンダと、
    このシリンダの中心に対して偏った位置にその中心が配されるように前記シリンダ内に収納された真円状のロータと、
    このロータの外周面に開口したベーン溝と、前記シリンダの前記内周面と摺接しつつ前記ベーン溝に出没可能に格納されたベーンと、
    前記ロータに圧入されて当該ロータと一体化されたロータアセンブリと成って外部からの動力を前記ロータに伝達するシャフトと、
    前記ハウジングに形成保持されて前記シャフトを回転可能に支持する軸受部とを有して構成され、
    前記ロータは、前記外周面に固体潤滑剤皮膜が形成されていると共に、前記ロータアセンブリは、前記固体潤滑剤皮膜への仕上げ加工が施されることなく前記シリンダ内に収納されていることを特徴とするベーン型の圧縮機。
  • 前記ロータは、前記ロータの前記シャフトが挿入される貫通孔が開口する側面にも固体潤滑剤皮膜が形成されていると共に、前記ロータアセンブリは、前記ロータの側面の固体潤滑剤皮膜への仕上げ加工も施されることなく前記シリンダ内に収納されていることを特徴とする請求項1に記載のベーン型の圧縮機。
  • 前記固体潤滑剤皮膜の厚みは、仕上げ加工を施さずとも10μmから20μmまでの範囲になっていることを特徴とする請求項1又は2に記載のベーン型圧縮機。
  • 前記軸受は、プレーンベアリングであることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のベーン型圧縮機。
  • 前記ハウジングを構成するサイドブロックは、前記シリンダと一体に形成されていることを特徴とする請求項1、2、3又は4のいずれかに記載のベーン型圧縮機。
  • 前記ロータの側面には、前記貫通孔の開口周縁に前記貫通孔の軸方向に窪んだ凹部が形成されていることを特徴とする請求項2、3、4又は5に記載のベーン型圧縮機。
  • 前記ロータアセンブリの所定部位の寸法に基づいて前記シリンダの内周面のみを加工することにより、前記ロータアセンブリと前記シリンダとの間のクリアランスが管理されていることを特徴とする請求項1、2、3、4、5又は6に記載のベーン型圧縮機。
  • 说明书全文

    この発明は、例えば車両用空調装置の冷凍サイクル等で用いられるベーン型圧縮機に関する。

    車両用空調装置の冷凍サイクルで用いられるベーン型圧縮機にあっては、その性能と信頼性との両立を図るため、シリンダの内周面とロータの外周面との間のクリアランスが適切な状態になるように管理すべく、従来から様々な工夫が行われていた。

    例えば、特許文献1の図1に示されるような楕円型シリンダに奇数枚のベーンが配されたロータを組み合わせてなるベーン型圧縮機の場合には、シャフトを中心としてその径方向の両側に位置する圧縮部にて交互に圧縮作用が行われるので、シャフトとこのシャフトを支承する軸受とのクリアランスをできるだけ小さくしても、このクリアランスの範囲内でロータアセンブリが楕円型シリンダの楕円短径方向に沿って交互に振動することとなる。 具体的には、上死点側のロータ外周面とシリンダ内周面との間が離れてクリアランスが大きくなり、上死点とは反対側のロータ外周面とシリンダ内周面との間が接近してクリアランスが小さくなるように、ロータアセンブリが振動する。

    従って、ロータ外周面とシリンダ内周面との間からの作動流体(冷媒ガス)の漏れを減らすためにはロータ外周面とシリンダ内周面とのクリアランスはできる限り小さくすることが好ましいが、上記のようにロータアセンブリの振動があるので、楕円型シリンダの楕円短径方向でのロータ外周面とシリンダ内周面とのクリアランスを小さくしすぎると、かかる楕円型シリンダの楕円短径方向では、ロータ外周面とシリンダ内周面とが接触するおそれがある。

    このような、ロータ外周面とシリンダ内周面との接触を許容しつつベーン型圧縮機に対する信頼性を確保するために、楕円型シリンダの内周面とロータの外周面との一方又は双方にポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFE)等の固体潤滑剤を塗布することにより固体潤滑剤皮膜を形成することが考えられる。 尚、上記特許文献1に示される気体圧縮機では、その目的は異にするが、楕円型シリンダの内周面とロータの外周面との一方又は双方にフッ素樹脂等から成る固体潤滑剤皮膜が形成された構成が開示されている。

    かかる固体潤滑剤皮膜が全周に形成されたロータを用いた場合、各部品の形状精度に加えて固体潤滑材皮膜の厚さも加わり、シリンダ内周面とロータ外周面とのクリアランスのばらつきが相対的に大きくなる。 このため、クリアランスが適切な値となるようにシリンダ内周面とロータ外周面の一方の実測寸法に合わせて他方を加工してクリアランスを管理する、いわゆるマッチング加工が一般的に取られる。

    特開2004−211651号公報

    しかしながら、特許文献1に示されるような楕円型シリンダを採用したベーン型圧縮機の成形で上記のマッチング加工を採る場合には、研摩加工もしくは旋盤加工にて楕円形状を十分な精度で形成するのが困難であるので、通常ではロータアセンブリ側において円筒形状のロータの外周面を研摩加工することによりマッチング加工が行われる。

    これに伴い、ロータの外周面に対して初期時に形成される固体潤滑剤皮膜は、シャフト圧入時におけるロータの変形や、仕上げ加工での取りしろを考慮して、例えば約100μmという余剰分を含んだ厚みとすることから、高価なPTFEを固体潤滑剤として塗布する場合には、仕上げ加工で取り除くにもかかわらずPTFEを多量に使用しなければならないという不都合が生ずる。 しかも、固体潤滑剤がPTFEの場合には、何度にも分けて塗布してから焼いて固めてという作業を複数回、例えば3回も繰り返さないと、固体潤滑剤皮膜が例えば約100μmという相対的に大きな厚みにはならないという不都合もある。

    そこで、本発明は、ロータの外周面に固形潤滑剤皮膜を形成するために使用する固形潤滑剤の塗布量を相対的に低減することが可能なベーン型圧縮機を提供することを目的とする。

    この発明に係るベーン型圧縮機は、吸入口と吐出口とが形成され、外郭をなすハウジングと、このハウジングと一体又は別体に形成され、真円状の内周面を有するシリンダと、このシリンダの中心に対して偏った位置にその中心が配されるように前記シリンダ内に収納された真円状のロータと、このロータの外周面に開口したベーン溝と、前記シリンダの前記内周面と摺接しつつ前記ベーン溝に出没可能に格納されたベーンと、前記ロータに圧入されて当該ロータと一体化されたロータアセンブリと成って外部からの動を前記ロータに伝達するシャフトと、前記ハウジングに形成保持されて前記シャフトを回転可能に支持する軸受部とを有して構成され、前記ロータは、前記外周面に固体潤滑剤皮膜が形成されていると共に、前記ロータアセンブリは、前記固体潤滑剤皮膜への仕上げ加工が施されることなく前記シリンダ内に収納されていることを特徴としている(請求項1)。 そして、前記ロータアセンブリの所定部位の寸法に基づいて前記シリンダの内周面のみを加工することにより、前記ロータアセンブリと前記シリンダとの間のクリアランスが管理されていることを特徴としている(請求項7)。 ここで、固体潤滑剤としては例えばPTFE等が用いられる。 また、固体潤滑剤皮膜は固体潤滑剤の塗布等により形成される。

    これにより、真円状の内周面を有するシリンダを用いるため、シリンダ内周面について旋盤を利用してマッチング加工することが可能となる。 これに伴い、ロータの外周面や側面を研磨してマッチング加工する必要がなくなり、仕上げ加工での取りしろを考慮してロータアセンブリに余剰な固体潤滑剤を塗布する必要がなくなるので、固体潤滑剤の塗布量を相対的に減少させることが可能となる。

    また、真円状の内周面を有するシリンダと、このシリンダの中心に対して偏った位置にその中心が配されるように前記シリンダ内に収納された真円状のロータとで構成されているため、シリンダ内の圧力によってロータが常に上死点とは反対側に押されることとなる。 このため、シャフトと軸受部とのクリアランスが大きくてもロータアセンブリが振動するおそれがないので、軸受部についてシャフトと軸受部との好適なクリアランスを管理すべくマッチング加工をする必要がなく、ロータ外周面のある一点からシャフトの前記ロータ外周面の一点がある側とは反対側の外周面までの数値に基づいてシリンダ内周面をマッチング加工するだけで、好適なクリアランスを管理することができる。

    この発明に係るベーン型圧縮機では、前記ロータは、前記ロータの前記シャフトが挿入される貫通孔が開口する側面にも固体潤滑剤皮膜が形成されていると共に、前記ロータアセンブリは、前記ロータの側面の固体潤滑剤皮膜への仕上げ加工も施されることなく前記シリンダ内に収納されていることを特徴としている(請求項2)。 このように、ロータの側面も、ロータの外周面と同様に仕上げ加工を施すことなく固体潤滑剤皮膜が形成されるようにすることにより、ロータの外周面と側面とに固体潤滑剤を同時に塗布することが可能となる。

    そして、前記ロータの固体潤滑剤皮膜の厚みは、仕上げ加工を施すことなく10μmから20μmまでの範囲になっていることを特徴としている(請求項3)。 この固体潤滑剤皮膜の厚みは、例えば15μmが最適である。

    この発明に係るベーン型圧縮機では、前記軸受部は、プレーンベアリングであることを特徴としている(請求項4)。 これにより、軸受部としてニードルベアリングを用いる場合よりも、軸受部とシャフトとの間のクリアランスを相対的に大きくすることが可能となる。 また、軸受部としてニードルベアリングを用いる場合とは異なり、シリンダ内周上に位置するある一点とは反対側に位置する軸受部のある一点を計測する場合に直接計測が可能になる。

    この発明に係るベーン型圧縮機では、前記ハウジングを構成するサイドブロックは、前記シリンダと一体に形成されていることを特徴としている(請求項5)。 このように、サイドブロックがシリンダと一体形成されている場合には、シリンダの底面(ロータのスラスト面)を固体潤滑皮膜の形成後のロータの長さに合せるマッチング加工を施すことにより、サイドブロックとロータとの間のスラストクリアランスも容易に管理することができる。

    この発明に係るベーン型圧縮機では、前記ロータの側面には、前記貫通孔の開口周縁に前記貫通孔の軸方向に窪んだ凹部が形成されていることを特徴としている(請求項6)。 これにより、この凹部を対向する部品との摺動や干渉について考慮しなくて良い部位として利用することができる。

    以上のように、請求項1から請求項7に記載の発明によれば、真円状の内周面を有するシリンダを用いるため、旋盤を利用してシリンダ内周面をマッチング加工することが可能となる。 これに伴い、これまでロータアセンブリ側でロータの外周面や側面を研磨してマッチング加工していたのに対し、シリンダ側でマッチング加工することが可能となったことから、ロータアセンブリに形成される固体潤滑剤皮膜も必要十分な厚みで足りることとなるため、ロータアセンブリに余剰な固体潤滑剤を塗布する必要がなくなり、固体潤滑剤の塗布量を相対的に減少させることができるので、ベーン型圧縮機の製造コストを削減することが可能となる。

    そして、ロータアセンブリに形成される固体潤滑剤皮膜は従来では余剰分を削ることから、完成品となっても好適な厚み、すなわち10μmから20μmまでの範囲の厚み、より好ましくは15μmの厚みとすることが困難であり、例えば40μmだったのに対し、請求項3に示されるように、ロータアセンブリに形成される固体潤滑剤皮膜について確実に10μmから20μmまでの範囲の厚み、より好ましくは15μmの厚みとすることが可能である。

    特に請求項2に記載の発明によれば、ロータの側面も、ロータの外周面と同様に仕上げ加工を施すことなく固体潤滑剤皮膜が形成されるようにすることで、ロータの外周面と側面とに固体潤滑剤を同時に塗布することが可能となり、ロータへの固定潤滑剤の塗布作業を効率良く迅速に行うことができる。

    特に請求項4に記載の発明によれば、軸受部としてニードルベアリングを用いる場合とは異なり、軸受部の内周のある一点の位置を計測する場合に直接に計測することが可能になる。 更にまた、プレーンベアリングはニードルベアリングに比して相対的に大きなクリアランスにて使用することが可能であることから、軸受部としてニードルベアリングを用いる場合には軸受部とシャフトとのクリアランスを所定のクリアランス値に管理するために軸受部の内径に合せてシャフトの外径をマッチング加工する必要があったところ、軸受部にプレーンベアリングを用いたことにより軸受部とシャフトとのクリアランスを管理する必要がなくなり、請求項1に記載のシリンダの内周面が真円状であることとあいまってロータアセンブリ側のマッチング加工を一切不要とすることができる。

    しかも、請求項5に示されるように、サイドブロックがシリンダと一体形成されている場合には、シリンダの底面(ロータのスラスト面)を固体潤滑皮膜の形成後のロータの長さに合せるマッチング加工を施すことにより、リアサイドブロックとロータとの間のスラストクリアランスも容易に管理することができる。

    また、特に請求項6に記載の発明によれば、ロータの側面に、シャフトが挿入される貫通孔の開口周辺に窪んだ凹部が形成されているので、この凹部を対向する部品との摺動や干渉について考慮しなくてよい部位として利用することができる。 例えば、シャフトをロータに圧入する際にこのロータの側面の凹部を支持部として利用することにより、当該支持箇所の周辺が圧入荷重のため損傷したり盛り上がったりしても、サイドブロックとの摺動不良や干渉を考慮する必要がない。 このため、シャフトの圧入時に生ずるロータ側面の変形や固体潤滑剤被膜の損傷を考慮してロータの側面に余剰な固体潤滑剤を塗布して仕上げ加工により除去する必要もなくなり、固体潤滑剤の塗布量をより一層減少させることができる。

    図1は、この発明に係るベーン型圧縮機の一例を示す断面図であり、図1(a)は吐出口が見えるように切断した断面図、図1(b)は吸入口が見えるように切断した断面図である。

    図2は、図1(b)のA−A線断面図である。

    図3は、この発明に係るベーン型圧縮機の内部構成を示すべくその一部を切断した断面図である。

    図4は、この発明に係るベーン型圧縮機を構成するロータアセンブリ及び更にこのロータアセンブリの一部のロータの構成を示す説明図であり、図4(a)はロータアセンブリの斜視図、図4(b)はロータの斜視図、図4(c)はロータの外面に形成された固体潤滑剤皮膜の厚みを示す説明図である。

    図5は、ロータの外周面とシリンダの内周面とのクリアランスを設定する基準を示す説明図である。

    以下、この発明の実施形態について添付図面を参照しながら説明する。

    図1から図4において、例えば車両用空調装置の冷凍サイクルに用いられるベーン型圧縮機の一例が示されている。 このベーン型圧縮機1は、シャフト3と、シャフト3に固定されて当該シャフト3の回転に伴い回転するロータ4と、このロータ4とによって後述する圧縮空間18を画成する第1のハウジング部材8及び第2のハウジング部材9とを有し、これら第1のハウジング部材8と第2のハウジング部材9とでハウジング2が構成されている。 シャフト3にロータ4を組み付けた図4(a)に示される部品Aは、ロータアセンブリとも称される。

    第1のハウジング部材8は、この実施例では、ロータ4を収納するシリンダ8aと、このシリンダ8aとはシャフト3の軸方向のリア側に位置し、且つシリンダ8aと一体成形され、シリンダ8aのリア側を閉塞するリアサイドブロック8bとで構成されている。 尚、図示しないが、シリンダ8aは、リアサイドブロック8bとは別体、すなわち第1のハウジング部材8の一部分となっていない構成としても良いし、フロントサイドブロック9aと一体化されていても良い。

    シリンダ8aに収納されるロータ4は、断面が真円状である円柱状のもので、その真円の中心P1には、図4(b)に示されるように、シャフト3が圧入可能な貫通孔4aが設けられている。 また、ロータ4は、図4(b)に示されるように、外周面に開口した複数(この実施例では2つ)のベーン溝5内に挿入される複数(この実施例では2つ)のベーン6を有している。 ベーン溝5は、シリンダ8aのみならず、フロントサイドブロック9a側及びリアサイドブロック8b側にも開口され、また、ベーン6の摺動方向の奥側となるベーン溝5の底部には背圧室5aが画成される。 よって、背圧室5aもフロントサイドブロック9a側及びリアサイドブロック8b側に開口したものとなっている。 ベーン6は、図2に示されるように、側面がベーン溝5の内側面を摺動すると共に先端がベーン溝5から出没してシリンダ8aの内周面を摺動するものである。 尚、ロータ4の側面4cに形成された凹部4dについては後述する。

    また、シリンダ8aの内周面は、図2に示されるように、ロータ4の外径寸法よりも大きな内径寸法の真円状となっており、シリンダ8aの中心P2とロータ4の中心P1とについて、ロータ4の外周面とシリンダ8aの内周面とが周方向の一箇所で微小なクリアランス(シリンダ8aとロータ4とが最も接近する部分:上死点P3)を形成すべく偏るように、ロータ4がシリンダ8a内に収納されている。 このシリンダ8aの中心P2とロータ4の中心P1との偏りは、例えば、シリンダ8aの内径寸法とロータ4の外径寸法との差の約1/2となっている。 このように、シリンダ8a内にロータ4を収納することにより、シリンダ8aの内周面とロータ4の外周面との間には圧縮空間18が画成されている。 この圧縮空間18は、ロータ4に形成された複数のベーン溝5に収納されたベーン6によって仕切られて複数の圧縮室19に分けられ、各圧縮室19の容積はロータ4の回転によって変化するようになっている。

    第2のハウジング部材9は、シリンダ8aのフロント側端面に当接するフロントサイドブロック9aと、このフロントサイドブロック9aからシャフト3の軸方向に延設されてシリンダ8a及びリアサイドブロック8bの外周面を包囲するように形成されたシェル9bとを一体化して構成されている。 また、第2のハウジング部材9は、ボルト等の連結具7を介して第1のハウジング部材8と連結されている。 そして、第1のハウジング部材8をシェル9bのリア側開口部9dから挿入してシェル9bと嵌合させることにより、シリンダ8aのフロント側がフロントサイドブロック9aによって閉塞されていると共に、シェル9bのリア側開口部9dがリアサイドブロック8bによって閉塞されている。

    また、第2のハウジング部材9は、フロントサイドブロック9aに一体化されたボス部9cに、車両の動力源(図示せず)よりベルト(図示せず)を介して回転動力が伝達されるプーリ20が回転自在に外装され、このプーリ20から電磁クラッチ21を介して回転動力がシャフト3に伝達されるようになっている。 また、第2のハウジング部材9には、作動流体(冷媒ガス)の吸入口11及び吐出口12が形成され、吸入口11は第2のハウジング部材9に形成された空間部14a及びシリンダ8aに形成された凹部14bとで成る吸入空間14に連通している。

    シャフト3は、第2のハウジング部材9のフロントサイドブロック9aと第1のハウジング部材8のリアサイドブロック8bとに保持形成された軸受部たるプレーンベアリング23、24を介して回転可能に支持されている。 そして、シャフト3は、第2のハウジング部材9のボス部9cの基端近傍部位において、第2のハウジング部材9の内周面との間にシール部材13が介在されており、作動流体がボス部9cの開口から外部に漏れるのを防止している。

    そして、シリンダ8aの周面には、圧縮空間18に対応して吸入空間14に連通する吸入ポート25と、吐出空間15と連通する吐出ポート26とが設けられている。 したがって、シリンダ8aをシェル9bに嵌入させると、吸入空間14は吸入ポート25を介して圧縮室19に連通し、シリンダ8aの外周面とシェル9bの内周面との間には、両端側がフランジ部8c、8dによって仕切られた吐出空間15が形成され、この吐出空間15は吐出ポート26を介して圧縮室19に連通可能となっている。 そして、吐出ポート26は、吐出空間15に収納される吐出弁27により開閉されるようになっている。 また、吐出空間15はフランジ部8dに形成された通孔28を介してオイル分離器16に連通している。 オイル分離器16は更に吐出口12と連通している。

    以上の構成によれば、このベーン型圧縮機1においては、図示しない動力源からの回転動力がプーリ20及び電磁クラッチ21を介してシャフト3に伝達され、ロータ4が回転すると、吸入口11から吸入空間14に流入した作動流体が吸入ポート25を介して圧縮空間18に吸入される。 圧縮空間18内のベーン6によって仕切られた圧縮室19の容積はロータ4の回転に伴って変化するので、ベーン6間に閉じ込められた作動流体は圧縮され、吐出ポート26から吐出弁27を介して吐出空間15に吐出される。 吐出空間15に吐出された作動流体は、シリンダ8aの外周面(シェル9bの内周面)に沿って周方向に移動し、シリンダ8aの周囲をほぼ一周してフランジ部8dに形成された通孔28を介してリアサイドブロック8bに形成されたオイル分離器16のオイル分離室内に導入される。 その後、作動流体は、オイル分離器16のオイル分離室内を旋回する過程でオイルが分離されて、吐出口12から外部回路に吐出される。

    ところで、図4(b)に示されるロータ4の外周面4bと側面4cとには、図4(c)に示されるように、固体潤滑剤皮膜30が形成されている。 この固体潤滑剤皮膜30を形成するための固体潤滑剤としては、例えばPTFEが用いられている。

    そして、ロータ4の外周面とシリンダ8aの内周面との間のクリアランス値Wは、図5に示されるように以下の方法により好適に管理されている。
    まず、ロータ4の外周面4b上に位置するS1点からシャフト3の側方周面のうちロータ4の外周面4bのS1点側とは反対側に位置するS2点までのロータアセンブリ側寸法Rを計測する。
    一方、シリンダ8aについては、仕上げ前のシリンダ8aの内周面のうち、このシリンダ8aの中心P2がロータ4の中心P1に対して偏心している側(図5では下方)とは反対側に位置するS3点からプレーンベアリング24のうちシリンダ8aの内周面上に位置するS3点とは反対側に位置するS4点までのシリンダ側寸法Cを計測する。
    そして、Cの数値−Rの数値が稼動中のロータ4の外周面とシリンダ8aの内周面との間のクリアランスWの数値となるので、Wの数値が好適な値(例えば20μm)となるように、先に計測したRの数値とCとの数値とに基づき最適な数値C'(図示せず)を決定し、シリンダ8aのS3点からS4点までの寸法についてCの数値がこの最適な数値C'となるようにシリンダ8aをマッチング加工する。

    このようなシリンダ8aのマッチング加工によってクリアランスWの管理が可能となったのは、シリンダ8aの内周面が真円状をなしていることに伴い、旋盤を利用してシリンダ8a側を仕上げ加工することができることになったことによるものである。 前述の通りシリンダ8aの内周面の中心P1は、シリンダ8aの外周面の中心P2に対して偏芯しているが、偏芯したチャッキングによってシリンダ8aを保持させて回転させることにより、偏芯したシリンダ8aの内周面を旋盤加工することができる。 また、上記シリンダ側寸法Cを計測するに際し、軸受部がニードルベアリングであった場合には、軸受部の内周面に複数のニードル(ころ)がむき出しになっているためS4点を直接に計測することができないが、本実施例においては軸受部がプレーンベアリング24であるため、基準となるS4点を直接に計測することができる。

    しかも、軸受部にニードルベアリングを用いた場合には、ニードルの信頼性を考慮して軸受部の内径とシャフトとのクリアランスを所定のクリアランスの範囲に管理する必要がある。 このため、実際の軸受部の内径寸法を計測後、所定のクリアランスになるようにシャフトの外径寸法の仕上げ加工しろを調整するマッチング加工を施す必要があった。 本実施例においては、軸受部をプレーンベアリング23、24としたことにより、ベアリング23、24とシャフト3との間のクリアランスの管理が不要になる。

    これによって、従来のように、ロータ4ひいてはロータアセンブリA側にてマッチング加工を行う必要がなくなったため、ロータ4の外周面や側面に形成される固体潤滑剤皮膜30の厚みLについて、仕上げ加工での取りしろを考慮して、例えば約100μmという余剰分を含んだ厚みとする必要がなくなった。

    更に、この実施例では、図4(a)及び(b)に示されるように、ロータ4の側面4cの貫通孔4aの開口周縁には貫通孔4aの軸方向に窪んだ凹部4dが形成されている。 この凹部4dは、シャフト3を固体潤滑剤被膜30が形成されたロータ4に圧入してロータアセンブリAとする際に、この圧入荷重を支えるための支持箇所となるものである。 シャフト3をロータ4に圧入する際の圧入荷重によって、この支持箇所の周辺が盛り上がったり固体潤滑皮膜が損傷したりする可能性があるが、これらの損傷をこの凹部4d内にとどめることができるので、サイドブロック8b、9aとの干渉や摺動不良を引き起こすおそれがない。 このため、シャフト3をロータ4に圧入する前に固体潤滑剤皮膜30を形成しても固体潤滑剤被膜30の損傷を考慮しなくて良いので、この点でも固体潤滑剤皮膜30の厚みについて余剰分を含んだ厚みとする必要がなくなった。

    しかるに、ロータ4の外周面4b及び側面4cにおいて、固体潤滑剤皮膜30の厚みを最初から好適な寸法、例えば10μmから20μmまでの範囲(例えば最適な寸法の15μm)とすることができるため、固体潤滑剤の塗布量が相対的に減少し、且つ固体潤滑剤被膜の厚みを好適な寸法とする仕上げ加工も不要となるので、ベーン型圧縮機1の製造コストが削減される。

    そして、図1に示されるように、シリンダ8aとリアサイドブロック8bとが一体形成されて第1のハウジング部材8を構成するものとしても良い。 これにより、スラストとラジアル両方のクリアランスを、ロータアセンブリAの現物の寸法に合わせてシリンダ8aからリアサイドブロック8bまで連続して一気に加工できるので、加工時間の短縮化を図ることができると共に、工程を分けると部品を工具に保持させるたびに誤差が生じ得るところ、このような工程分化による誤差が生ずる可能性が小さくなるので精度も向上させることができる。

    1 ベーン型圧縮機 2 ハウジング 3 シャフト 3a 圧入部 4 ロータ 4a 貫通孔 4b 外周面 4c 側面 4d 凹部 5 ベーン溝 6 ベーン 8 第1のハウジング部材 8a シリンダ 8b リアサイドブロック 9 第2のハウジング部材 9a フロントサイドブロック 9b シェル 23 プレーンベアリング(軸受部)
    24 プレーンベアリング(軸受部)
    30 固体潤滑剤皮膜 A ロータアセンブリ P1 ロータの中心 P2 シリンダの中心 P3 上死点

    このようなシリンダ8aのマッチング加工によってクリアランスWの管理が可能となったのは、シリンダ8aの内周面が真円状をなしていることに伴い、旋盤を利用してシリンダ8a側を仕上げ加工することができることになったことによるものである。 前述の通りロータ4の中心P1は、 シリンダ8aの中心P2に対して偏芯しているが、偏芯したチャッキングによってシリンダ8aを保持させて回転させることにより、偏芯したシリンダ8aの内周面を旋盤加工することができる。 また、上記シリンダ側寸法Cを計測するに際し、軸受部がニードルベアリングであった場合には、軸受部の内周面に複数のニードル(ころ)がむき出しになっているためS4点を直接に計測することができないが、本実施例においては軸受部がプレーンベアリング24であるため、基準となるS4点を直接に計測することができる。

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