浮体式風発電装置のメンテナンス方法

申请号 JP2014557297 申请日 2013-01-21 公开(公告)号 JPWO2014112115A1 公开(公告)日 2017-01-19
申请人 エムエイチアイ ヴェスタス オフショア ウィンド エー/エス; エムエイチアイ ヴェスタス オフショア ウィンド エー/エス; 发明人 橋本 淳; 淳 橋本;
摘要 係留ラインによって係留 位置 に係留された浮体上に風 力 発電機が設置され、前記風力発電機で生成した電力をケーブルに供給するように構成された浮体式風力発電装置のメンテナンス方法であって、メンテナンス対象部位を有する第1浮体式風力発電装置の前記浮体から前記係留ライン及び前記ケーブルを切り離す切り離しステップと、前記切り離しステップの後、前記係留ライン及び前記ケーブルを浮体構造物に保持させる保持ステップと、前記切り離しステップの後、前記第1浮体式風力発電装置を前記係留位置から移動させる第1移動ステップと、メンテナンス対象部位を有しない第2浮体式風力発電装置を前記係留位置に移動させる第2移動ステップと、前記第2移動ステップの後、前記係留ライン及び前記ケーブルを前記浮体構造物から取り外し、前記第2浮体式風力発電装置に接続する接続ステップとを備える。
权利要求

係留ラインによって係留位置に係留された浮体上に風発電機が設置され、前記風力発電機で生成した電力をケーブルに供給するように構成された浮体式風力発電装置のメンテナンス方法であって、 メンテナンス対象部位を有する第1浮体式風力発電装置の前記浮体から前記係留ライン及び前記ケーブルを切り離す切り離しステップと、 前記切り離しステップの後、前記係留ライン及び前記ケーブルを浮体構造物に保持させる保持ステップと、 前記切り離しステップの後、前記第1浮体式風力発電装置を前記係留位置から移動させる第1移動ステップと、 メンテナンス対象部位を有しない第2浮体式風力発電装置を前記係留位置に移動させる第2移動ステップと、 前記第2移動ステップの後、前記係留ライン及び前記ケーブルを前記浮体構造物から取り外し、前記第2浮体式風力発電装置に接続する接続ステップとを備えることを特徴とする浮体式風力発電装置のメンテナンス方法。前記第1移動ステップの後、前記第1浮体式風力発電装置にメンテナンスを施し、前記第2浮体式風力発電装置を得るメンテナンスステップをさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の浮体式風力発電装置のメンテナンス方法。前記第2移動ステップでは、前記第1浮体式風力発電装置とは別の前記第2浮体式風力発電装置を前記係留位置に移動させることを特徴とする請求項1に記載の浮体式風力発電装置のメンテナンス方法。前記第2移動ステップの前、動作確認場所において前記第2浮体式風力発電装置の動作確認を行う動作確認ステップをさらに備えることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の浮体式風力発電装置のメンテナンス方法。前記浮体式風力発電装置は、前記浮体を浮沈させるためのバラストポンプと、前記バラストポンプを制御するための浮体コントロールセンターとを有し、 前記バラストポンプおよび前記浮体コントロールセンターは、前記風力発電機のタワー下部又は前記浮体に設置されており、 前記動作確認ステップでは、前記動作確認場所において、前記浮体コントロールセンターの制御下で電源から前記バラストポンプに電力を供給し、前記バラストポンプを作動させて前記浮体の浮沈動作を確認することを特徴とする請求項4に記載の浮体式風力発電装置のメンテナンス方法。前記浮体式風力発電装置は、前記風力発電機の補機と、前記補機を制御するための非常用コントロールセンターとを有し、 前記動作確認ステップでは、前記動作確認場所において、前記非常用コントロールセンターの制御下で電源から前記補機に電力を供給し、前記補機の動作確認を行うことを特徴とする請求項4に記載の浮体式風力発電装置のメンテナンス方法。前記電源は、非常時に前記浮体式風力発電装置の各部に電力を供給するためのバックアップ電源であり、 前記浮体式風力発電装置は、前記バックアップ電源に発電用燃料を供給するための燃料タンクを有し、 前記動作確認ステップでは、前記燃料タンクから前記発電用燃料を前記バックアップ電源に供給し、前記バックアップ電源の動作確認を行うことを特徴とする請求項5又は6に記載の浮体式風力発電装置のメンテナンス方法。前記浮体式風力発電装置は、前記風力発電機の発電機と前記ケーブルとの間に設けられてトランス及び開閉器を含む内部配電網を有し、 前記動作確認ステップでは、前記動作確認場所において前記内部配電網の動作確認を行うことを特徴とする請求項4に記載の浮体式風力発電装置のメンテナンス方法。前記浮体式風力発電装置は、前記風力発電機のブレードのピッチを変更するためのピッチ駆動機構と、前記風力発電機のナセル内に設置されて前記ピッチ駆動機構を含む機器の制御を行うナセルコントロールセンターとを有し、 前記動作確認ステップでは、前記第2浮体式風力発電装置に前記ブレード及び前記ナセルを取り付けた状態で、前記ナセルコントロールセンターによる制御下で電源から前記ピッチ駆動機構に電力を供給し、前記ピッチ駆動機構の動作確認を行うことを特徴とする請求項4に記載の浮体式風力発電装置のメンテナンス方法。前記メンテナンスステップでは、前記第1浮体式風力発電装置を岸壁に接岸させた状態で、前記第1浮体式風力発電装置のブレードの交換を行うことを特徴とする請求項2に記載の浮体式風力発電装置のメンテナンス方法。前記メンテナンスステップでは、前記第1浮体式風力発電装置を岸壁に接岸させた状態で、前記第1浮体式風力発電装置のドライブトレインの少なくとも一部を構成する機器を交換することを特徴とする請求項2に記載の浮体式風力発電装置のメンテナンス方法。前記ドライブトレインは、油圧ポンプ及び油圧モータによって構成され、前記風力発電機のロータの回転エネルギーを発電機に伝達するための油圧トランスミッションを含み、 前記機器は、前記油圧ポンプ、前記油圧モータおよび前記発電機の少なくとも一つであることを特徴とする請求項11に記載の浮体式風力発電装置のメンテナンス方法。

说明书全文

本開示は、浮体上に風発電機が設置された浮体式風力発電装置のメンテナンス方法に関する。

近年、地球環境の保全の観点から風力発電装置の普及が進んでいる。特に、発電効率の向上に有利な大型の風力発電装置を洋上や湖上等の上に設置する計画が様々な場所で進められている。

水上に設置される風力発電装置として、水面に浮かぶ浮体上に風力発電機を設置した浮体式風力発電装置が知られている。一般的な浮体式風力発電装置は、浮体と、水底に配置されるアンカーとが係留ラインを介して接続されることによって、浮体が水上の所定位置に係留されるようになっている。例えば、特許文献1〜3には、予め組み立てた浮体式風力発電装置を水上の所定位置まで曳航する方法が開示されている。このような浮体式風力発電装置は、通常、水上の所定位置に浮体が係留された状態でメンテナンスが行われる。

なお、高所におけるメンテナンス作業を容易化する目的で、特許文献4には、メンテナンス時に風力発電装置のタワーを沈めて海底に着床させる方法が開示されている。また、特許文献5及び6には、メンテナンス時に風力発電装置のタワーをスパー内に沈める構成が開示されている。

欧州特許出願公開第2428443号明細書

特開2010−234965号公報

特開2011−207446号公報

特開2012−45981号公報

特開2010−223113号公報

特開2010−223114号公報

ところで、浮体式風力発電装置は、風や波浪等の周囲環境の影響を受けて浮体が動揺するので、メンテナンス時の作業安定性が低い。特に、浮体式風力発電装置が風況に優れた場所に設置される場合、風速が比較的大きいために波浪も大きくなる。このように、風や波浪等の周囲環境が厳しい条件下では、水上でのメンテナンス作業がより一層困難となる。そこで、風や波浪等の周囲環境条件によらず、メンテナンス作業可能な技術が求められている。

この点、特許文献1〜3には、浮体式風力発電装置の曳航方法が記載されているのみで、浮体式風力発電装置のメンテナンス方法に関しては何ら開示されていない。また、特許文献4〜6は、洋上で浮体式風力発電装置のメンテナンスを行う場合、高所におけるメンテナンス作業を容易化するためにタワーを下方に移動させる構成が開示されているのみで、浮体の動揺を考慮した構成とはなっていない。

本発明の少なくとも一実施形態の目的は、風や波浪等の周囲環境条件によらずメンテナンス作業可能な浮体式風力発電装置のメンテナンス方法を提供することである。

本発明の少なくとも一実施形態に係る浮体式風力発電装置のメンテナンス方法は、係留ラインによって係留位置に係留された浮体上に風力発電機が設置され、前記風力発電機で生成した電力をケーブルに供給するように構成された浮体式風力発電装置のメンテナンス方法であって、メンテナンス対象部位を有する第1浮体式風力発電装置の前記浮体から前記係留ライン及び前記ケーブルを切り離す切り離しステップと、前記切り離しステップの後、前記係留ライン及び前記ケーブルを浮体構造物に保持させる保持ステップと、前記切り離しステップの後、前記第1浮体式風力発電装置を前記係留位置から移動させる第1移動ステップと、メンテナンス対象部位を有しない第2浮体式風力発電装置を前記係留位置に移動させる第2移動ステップと、前記第2移動ステップの後、前記係留ライン及び前記ケーブルを前記浮体構造物から取り外し、前記第2浮体式風力発電装置に接続する接続ステップとを備えることを特徴とする。 なお、本明細書において、“浮体構造物”は、浮き及び水面に浮かぶ構造物を含む。また、“係留位置”は、風力発電装置の稼働時に浮体が係留される位置である。

上記浮体式風力発電装置のメンテナンス方法では、メンテナンス対象部位を有する第1浮体式風力発電装置を係留位置から移動させて、メンテナンス対象部位を有しない第2浮体式風力発電を係留位置に移動させる。これにより、風力発電装置の係留位置でのメンテナンスに適さないような大掛かりなメンテナンス作業については、他の場所にて行うことができる。すなわち、風や波浪等の周囲環境条件が係留位置よりも穏やかな水上(例えば沿岸等)又は陸上(例えばドック等)の位置、あるいは岸壁に接岸させた状態のように、より安定した作業環境下でメンテナンスを行うことができる。よって、風力発電装置の係留位置の周囲環境条件によらず、浮体式風力発電装置のメンテナンスを行うことができる。 また、第1浮体式風力発電装置を移動させる際に、浮体から係留ライン及びケーブルを切り離してこれらを浮体構造物に保持させておくことで、第2浮体式風力発電装置を係留する際に、係留ライン及びケーブルを容易に浮体に接続することができる。 なお、上記浮体式風力発電装置のメンテナンス方法において、第1浮体式風力発電装置及び第2浮体式風力発電装置は、同一でもよいし、異なってもよい。

幾つかの実施形態では、前記第1移動ステップの後、前記第1浮体式風力発電装置にメンテナンスを施し、前記第2浮体式風力発電装置を得るメンテナンスステップをさらに備える。 このように、第1浮体式風力発電装置にメンテナンスを施した後、この風力発電装置を第2浮体式風力発電装置として係留位置に戻すことで、浮体式風力発電装置の代替機を前提とせずに風力発電システムを運用できる。すなわち、設備コストを抑えながら、風力発電システムの運営を行うことができる。なお、ここでいう風力発電システムとは、少なくとも一つの浮体式風力発電装置の集合体である。

幾つかの実施形態において、前記第2移動ステップでは、前記第1浮体式風力発電装置とは別の前記第2浮体式風力発電装置を前記係留位置に移動させる。 このように、第1浮体式風力発電装置を係留位置から移動させた後、別の第2浮体式風力発電を係留位置に移動させることで、第1浮体式風力発電装置のメンテナンス中においても第2浮体式風力発電装置を稼働させることができる。よって、風力発電システムの設備稼働率を向上できる。 なお、上記実施形態において、第2浮体式風力発電装置は、使用後にメンテナンスが施された風力発電装置であってもよいし、未使用の風力発電装置であってもよい。

幾つかの実施形態では、前記第2移動ステップの前、動作確認場所において前記第2浮体式風力発電装置の動作確認を行う動作確認ステップをさらに備える。 第2浮体式風力発電装置を係留位置に移動させてから動作確認を行うと、確認結果に問題があった場合、再度、第2浮体式風力発電装置をメンテナンス場所まで戻さなければならないことがある。そこで、上記実施形態では、第2浮体式風力発電装置を係留位置に移動させる前に動作確認を行うようにしたので、第2浮体式風力発電装置の係留位置への設置作業を効率的に行うことができる。 また、風や波浪等の周囲環境条件が係留位置より穏やかな水上又は陸上、あるいは岸壁に接岸させた状態のように、より安定した作業環境下で動作確認を行うことができる。よって、動作確認作業の効率化が図れる。

幾つかの実施形態において、前記浮体式風力発電装置は、前記浮体を浮沈させるためのバラストポンプと、前記バラストポンプを制御するための浮体コントロールセンターとを有し、前記バラストポンプおよび前記浮体コントロールセンターは、前記風力発電機のタワー下部又は前記浮体に設置されており、前記動作確認ステップでは、前記動作確認場所において、前記浮体コントロールセンターの制御下で電源から前記バラストポンプに電力を供給し、前記バラストポンプを作動させて前記浮体の浮沈動作を確認する。 これにより、第2浮体式風力発電装置を係留位置に移動させる前に風力発電機の浮体の浮沈動作の確認を行うことができるので、第2浮体式風力発電装置を係留位置に設置した後で風力発電機の浮体の浮沈動作の不具合のために第2浮体式風力発電装置のメンテナンス場所への再移動を余儀なくされるといった事態を防止できる。また、係留位置よりも安定した作業環境下で動作確認を行うことができ、浮沈動作確認作業の効率化が図れる。 また、バラストポンプと浮体コントロールセンターは風力発電機のタワー下部又は浮体に設けられているため、浮体上に風力発電機が完全に組み上がる前であっても浮体の浮沈動作確認を行うことができる。ここで、風力発電機を浮体上に完全に組み上げた後に浮体の浮沈動作に異常が見つかった場合、風力発電機を部分的に分解する必要が生じることがある。これに対し、風力発電機を浮体上に完全に組み上げる前に浮体の浮沈動作確認を行えば、風力発電機の分解は最小限にとどめることができる。

幾つかの実施形態において、前記浮体式風力発電装置は、前記風力発電機の補機と、前記補機を制御するための非常用コントロールセンターとを有し、前記動作確認ステップでは、前記動作確認場所において、前記非常用コントロールセンターの制御下で電源から前記補機に電力を供給し、前記補機の動作確認を行う。 これにより、第2浮体式風力発電装置を係留位置に移動させる前に風力発電機の補機の動作確認を行うことができるので、第2浮体式風力発電装置を係留位置に設置した後で風力発電機の補機の不具合のために第2浮体式風力発電装置のメンテナンス場所への再移動を余儀なくされるといった事態を防止できる。また、係留位置よりも安定した作業環境下で補機の動作確認を行うことができ、動作確認作業の効率化が図れる。

幾つかの実施形態において、前記電源は、非常時に前記浮体式風力発電装置の各部に電力を供給するためのバックアップ電源であり、前記浮体式風力発電装置は、前記バックアップ電源に発電用燃料を供給するための燃料タンクを有し、前記動作確認ステップでは、前記燃料タンクから前記発電用燃料を前記バックアップ電源に供給し、前記バックアップ電源の動作確認を行う。 これにより、第2浮体式風力発電装置を係留位置に移動させる前にバックアップ電源の動作確認を行うことができるので、第2浮体式風力発電装置を係留位置に設置した後でバックアップ電源の不具合のために第2浮体式風力発電装置のメンテナンス場所への再移動を余儀なくされるといった事態を防止できる。また、係留位置よりも安定した作業環境下でバックアップ電源の動作確認を行うことができ、動作確認作業の効率化が図れる。

幾つかの実施形態において、前記浮体式風力発電装置は、前記風力発電機の発電機と前記ケーブルとの間に設けられてトランス及び開閉器を含む内部配電網を有し、前記動作確認ステップでは、前記動作確認場所において前記内部配電網の動作確認を行う。 これにより、第2浮体式風力発電装置を係留位置に移動させる前に内部配電網の動作確認を行うことができるので、第2浮体式風力発電装置を係留位置に設置した後で内部配電網の不具合のために第2浮体式風力発電装置のメンテナンス場所への再移動を余儀なくされるといった事態を防止できる。また、係留位置よりも安定した作業環境下で内部配電網の動作確認を行うことができ、動作確認作業の効率化が図れる。

幾つかの実施形態において、前記浮体式風力発電装置は、前記風力発電機のブレードのピッチを変更するためのピッチ駆動機構と、前記風力発電機のナセル内に設置されて前記ピッチ駆動機構を含む機器の制御を行うナセルコントロールセンターとを有し、前記動作確認ステップでは、前記第2浮体式風力発電装置に前記ブレード及び前記ナセルを取り付けた状態で、前記ナセルコントロールセンターによる制御下で電源から前記ピッチ駆動機構に電力を供給し、前記ピッチ駆動機構の動作確認を行う。 これにより、第2浮体式風力発電装置を係留位置に移動させる前にピッチ駆動機構の動作確認を行うことができるので、第2浮体式風力発電装置を係留位置に設置した後でピッチ駆動機構の不具合のために第2浮体式風力発電装置のメンテナンス場所への再移動を余儀なくされるといった事態を防止できる。また、係留位置よりも安定した作業環境下でピッチ駆動機構の動作確認を行うことができ、動作確認作業の効率化が図れる。

幾つかの実施形態において、前記メンテナンスステップでは、前記第1浮体式風力発電装置を岸壁に接岸させた状態で、前記第1浮体式風力発電装置のブレードの交換を行う。 第1浮体式風力発電装置のブレードは長尺であるので、第1浮体式風力発電装置を岸壁に接岸させて浮体を安定させた状態でブレードの交換作業を行うことによって、作業効率を向上させることができ、また、大型のクレーンを用いることも可能となる。

幾つかの実施形態において、前記メンテナンスステップでは、前記第1浮体式風力発電装置を岸壁に接岸させた状態で、前記第1浮体式風力発電装置のドライブトレインの少なくとも一部を構成する機器を交換する。 第1浮体式風力発電装置のドライブトレインは大型で且つ重量が大きいので、第1浮体式風力発電装置を岸壁に接岸させて浮体を安定させた状態で、ドライブトレインの少なくとも一部を構成する機器の交換作業を行うことによって、作業効率を向上させることができ、また、大型のクレーンを用いることも可能となる。

幾つかの実施形態において、前記ドライブトレインは、油圧ポンプ及び油圧モータによって構成され、前記風力発電機のロータの回転エネルギーを発電機に伝達するための油圧トランスミッションを含み、前記機器は、前記油圧ポンプ、前記油圧モータおよび前記発電機の少なくとも一つである。

本発明の少なくとも一実施形態によれば、第1浮体式風力発電装置を係留位置から移動させて、メンテナンス対象部位を有しない第2浮体式風力発電を係留位置に移動させることにより、係留位置の周囲環境条件によらず、浮体式風力発電装置のメンテナンスを行うことができる。 また、第1浮体式風力発電装置を移動させる際に、浮体から係留ライン及びケーブルを切り離してこれらを浮体構造物に保持させておくことで、第2浮体式風力発電装置を係留する際に、係留ライン及びケーブルを容易に浮体に接続することができる。

本発明の一実施形態における浮体式風力発電装置が海上に係留されている状態を示した斜視図である。

図1の浮体式風力発電装置を側方から視認した側面図である。

本発明の一実施形態に係る浮体式風力発電装置の機器構成例を示す側面図である。

本発明の一実施形態に係る浮体式風力発電装置の電気系統を示す構成図である。

本発明の一実施形態に係る浮体式風力発電装置のメンテナンス方法を説明する図で、第1浮体式風力発電装置を係留ラインから切り離す状態を示す図である。

第1実施形態に係るメンテナンス方法を説明する図で、第1浮体式風力発電装置を係留位置から移動させる状態を示す図である。

浮体式風力発電装置のメンテナンス方法を説明する図で、第1浮体式風力発電装置のメンテナンス作業の状態を示す図である。

浮体式風力発電装置のメンテナンス方法を説明する図で、第2浮体式風力発電装置を係留位置に移動させる状態を示す図である。

浮体式風力発電装置のメンテナンス方法を説明する図で、第2浮体式風力発電装置に係留ラインを接続する状態を示す図である。

浮体式風力発電装置のメンテナンス方法を説明する図で、第1浮体式風力発電装置を係留ラインから切り離す状態を示す図である。

浮体式風力発電装置のメンテナンス方法を説明する図で、第1浮体式風力発電装置及び第2浮体式風力発電装置の入れ替え前の状態を示す図である。

浮体式風力発電装置のメンテナンス方法を説明する図で、第1浮体式風力発電装置及び第2浮体式風力発電装置の入れ替え後の状態を示す図である。

浮体式風力発電装置のメンテナンス方法を説明する図で、第1浮体式風力発電装置のメンテナンス作業の状態を示す図である。

以下、添付図面に従って本発明の実施形態について説明する。ただし、実施形態として以下に記載され、あるいは、実施形態として図面で示された構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。

以下、本発明の実施形態に係るメンテナンス対象である浮体式風力発電装置1について述べた後、そのメンテナンス方法について説明する。 なお、以下の説明では洋上に設けられた浮体式風力発電装置1を例示しているが、浮体式風力発電装置1の設置場所は洋上に限定されるものではなく、湖上や河川上等の水上であれば何れでもよい。また、本明細書では、浮体式風力発電装置1の一例として、セミサブ型の浮体10を有する浮体式風力発電装置1を示しているが、スパー型等の他の浮体を有する浮体式風力発電装置にも適用できる。

図1は、本発明の一実施形態における浮体式風力発電装置が海上に係留されている状態を示した斜視図である。図2は、図1の浮体式風力発電装置を側方から視認した側面図である。図3は、本発明の一実施形態に係る浮体式風力発電装置の機器構成例を示す側面図である。図4は、本発明の一実施形態に係る浮体式風力発電装置の電気系統を示す構成図である。 図1及び図2に示すように、浮体式風力発電装置1は、水面に浮かぶ浮体10と、浮体10上に立設された風力発電機2とを備えている。

一実施形態において、風力発電機2は、風を受けて回転する少なくとも1枚のブレード3と、ブレード3が取り付けられるハブ4と、ハブ4が回転自在に取り付けられるナセル6と、ナセル6を支持するタワー8とを有している。ナセル6はタワー8に対してヨー旋回可能であってもよく、典型的なアップウィンド型風車の場合、風向きに応じてブレード3が風上側へ配向されるようにナセル6が旋回する。そして、風を受けたブレード3が回転することで、発電機によって発電が行われる。風力発電機2を構成する機器の具体的な構成例については後述する。

一実施形態において、浮体10は、平面視において仮想三角形の頂点位置に配置された柱状の3つのコラム12,14,16を有するとともに、第1コラム12と第2コラム14とを接続する長尺状の第1ロワーハル20、及び第1コラム12と第3コラム16とを接続する長尺状の第2ロワーハル22とを有する。そして、これら3つのコラム12,14,16と2つのロワーハル20,22とによって、平面視において浮体10は略V字状に形成されている。そして、平面視略V字状の真ん中に位置する第1コラム12の上面にはプラットホーム9が設けられ、プラットホーム9上に、上述した風力発電機2が設置されている。

また、第1ロワーハル20と第2ロワーハル22とが直角に交わるとともに、第1ロワーハル20と第2ロワーハル22との交角の二等分線に対して左右対称をなす仮想直角二等辺三角形の頂点位置に、上述した3つのコラム12,14,16が配置されていてもよい。 なお、上記実施形態では、第1コラム12及び第2コラム14、第1コラム12及び第3コラム16をそれぞれ接続する連結部としてロワーハル20,22を例示したが、連結部はこれに限定されるものではない。浮体10の他の構成例として、第2コラム14と第3コラム16とを接続する第3のロワーハルを更に有してもよい。さらに他の構成例として、第1ロワーハル20と第2ロワーハル22とが、補強用の梁部材によって連結されていてもよい。

一実施形態において、浮体10の内部、すなわちコラム12,14,16又はロワーハル20,22の内部には、図3に示すように、バラスト水を貯留する少なくとも一つのバラスト室27が形成されている。バラスト室27は複数設けられてもよい。また、浮体10又はタワー8下部にはポンプ室28が設けられていてもよく、ポンプ室28には、各バラスト室27へ注水することによって浮体10を浮沈させるためのバラストポンプ29が配置される。そして、バラスト室27内のバラスト水量を適宜調整することによって、喫水面WLに対する浮体10の相対位置や浮体10の姿勢を調整するようになっている。なお、浮体式風力発電装置1の運転時には、通常、図3に示すようにロワーハル20の上面よりも上方に喫水面WLが位置した状態で水面に係留される。

さらに、浮体10には、図2に示すように、水底Eに固定されたアンカー25に連結された複数の係留ライン30が、懸垂曲線を描くようにカテナリ状に接続されていてもよい。その場合、浮体10は、これらアンカー25及び係留ライン30によって、浮体10に作用する漂流力や回転モーメントに抵抗して海上に係留される。一方、係留ライン30の浮体側端部は固定部によって浮体10に固定される。一実施形態では、係留ライン30の浮体側端部の浮体10への支持構造は、図3に示すように、係留ライン30が下方へ落下するのを防止するストッパ31と、ストッパ31よりアンカー26側に設けられて係留ライン30を略鉛直方向に案内するガイド部32とを有していてもよい。これらの支持構造は、3つのコラム12,14,16のそれぞれに接続される各係留ライン30に対応してそれぞれ一つずつ設けられている。なお、係留ライン30は、浮体10の位置を保持するためのチェーン、ワイヤロープ、合成繊維ロープ又はこれらが複合したロープ等の主ライン、シャックル等の連結具、及び、中間ブイ又は中間シンカー等の中間補助具を含む。

図3に示すように、一実施形態において、風力発電機2は、ブレード3及びハブ4からなるロータ5に連結された回転シャフト40と、電力を生成する発電機47と、回転シャフト40の回転エネルギーを発電機47に伝えるドライブトレイン41を含んでいる。なお、同図では一例としてドライブトレイン41及び発電機47がナセル6内に配置される場合を示しているが、これらが配置される場所は特に限定されず、例えばこれらのうち少なくとも一方がタワー8側に配置されてもよい。 このような構成を有する風力発電機2においては、風を受けて回転するロータ5の回転エネルギーがドライブトレイン41を介して発電機47に入力され、発電機47で電力を生成するようになっている。発電機47で生成された電力は、ナセル6及びタワー8内に配線された送電ライン52Aを介して海底ケーブル50に送られ、海底ケーブル50を介して電力系統(グリッド)に送電される。

回転シャフト40は、ブレード3及びハブ4から構成されるロータ5と共に回転する。 一実施形態において、ドライブトレイン41は、回転シャフト40に取り付けられた油圧ポンプ42と、高圧油ライン44及び低圧油ライン45を介して油圧ポンプ42に接続される油圧モータ43とを含んで構成される。油圧ポンプ42は、回転シャフト40によって駆動されて作動油を昇圧し、高圧の作動油(圧油)を生成する。油圧ポンプ42で生成された圧油は高圧油ライン44を介して油圧モータ43に供給され、この圧油によって油圧モータ43が駆動される。油圧モータ43で仕事をした後の低圧の作動油は、低圧油ライン45を経由して油圧ポンプ42に再び戻される。また、油圧モータ43の出力軸は発電機47の入力軸に接続されており、油圧モータ43の回転が発電機47に入力されるようになっている。なお、同図ではドライブトレイン41として油圧トランスミッションを用いた構成を例示したが、この構成に限定されるものではなく、ギヤ式増速機等の他のドライブトレインを用いてもよいし、ドライブトレイン41を設けずに、回転シャフト40と発電機47とを直結させた構成であってもよい。

ハブ4内には、ブレード3のピッチ角を調整するピッチ駆動機構49が設けられている。ピッチ駆動機構49は、例えば、風力発電機2の運転中、風速に応じてブレード3のピッチ角を調整したり、風力発電機2の停止時又は起動時、ブレード3のピッチ角をフェザー側又はファイン側に調整したりする。なお、ピッチ駆動機構49は、各ブレード3にそれぞれ設けられてもよく、その場合、複数のブレード3のピッチ角は、各ブレードが連動して、又はそれぞれ独立して制御される。

一実施形態において、風力発電機2には、各種の補機が設けられている。補機として、例えば、ナセル6の上部に設置される航空障害灯60、プラットホーム9上に設置される航路標識灯62、ナセル6内に設置されるブーストポンプ48等が挙げられる。ここで、ブーストポンプ45とは、低圧油ライン45の圧力を維持する目的で設けられる。ブーストポンプ48は、低圧油ライン45と作動油を貯留するタンク(不図示)とを接続するラインに設けられてもよい。

図3及び図4に示すように、浮体式風力発電装置1は、上述したピッチ駆動機構49、ブーストポンプ48、風力発電機2の各種の補機などに電力を供給する内部配電網51を有している。 幾つかの実施形態において、内部配電網51は、発電機47で生成した電力を海底ケーブル50に送るための送電ライン52Aと、送電ライン52Aに接続される負荷ライン52Bとを含む。

送電ライン52Aには、開閉器521、トランス522が設けられる。発電機47は、送電ライン52Aによって開閉器521及びトランス522を介して海底ケーブル50に接続される。 なお、海底ケーブル50は、浮体式風力発電装置1とサブステーション102との間に設けられる。また、海底ケーブル50は、サブステーション102及び海底ケーブル103を介してグリッド100に接続されてもよい。

一方、負荷ライン52Bは、浮体式風力発電装置1が有する負荷を送電ライン52Aに接続するためのものである。負荷ライン52Bには、トランス523を介して、風車コントロールセンタ(WTG.CC)54と、ナセルコントロールセンタ(ナセル.CC)56と、浮体コントロールセンタ(浮体.CC)57と、非常用コントロールセンタ(非常用.CC)58が接続されている。ここで、コントロールセンタとは、配線用遮断器や電開閉器、電磁接触器、始動リアクトル等を含み、各負荷への電力供給を制御するものである。

風車コントロールセンタ54は、浮体式風力発電装置1の運転中、負荷ライン52Bを経由して発電機47から送電される電力を、ナセルコントロールセンタ56、浮体コントロールセンタ57、非常用コントロールセンタ58に分配する。また、風車コントロールセンタ54は、浮体式風力発電装置1の運転停止中、負荷ライン52Bを経由してグリッド100から送電される電力を、各コントロールセンタ56,57,58に分配してもよい。

ナセルコントロールセンタ56は、ナセル6内に配置され、ピッチ駆動機構49を含む機器の電力供給を制御する。また、ナセルコントロールセンタ56には、ディーゼル発電機等の電源(不図示)が接続されてもよく、グリッド100又は発電機47からの給電が不可能な場合に、当該電源からピッチ駆動機構49等に電力が供給されるようになっている。さらに、このナセルコントロールセンタ56は、メンテナンス時における各機器の動作確認にて、ピッチ駆動機構49に電力を供給し、ピッチ駆動機構の動作確認を行うように構成される。

浮体コントロールセンタ57は、タワー8下部又は浮体10に配置され、バラストポンプ29への電力供給を制御する。また、浮体コントロールセンタ57には、ディーゼル発電機等の電源66が接続されてもよく、グリッド100又は発電機47からの給電が不可能な場合に、電源66からバラストポンプ29に電力が供給されるようになっている。なお、電源66は仮設電源であってもよい。さらに、この浮体コントロールセンタ57は、メンテナンス時における各機器の動作確認にて、バラストポンプ29に電力を供給し、バラストポンプ29を作動させて浮体10の浮沈動作確認を行うように構成される。

非常用コントロールセンタ58は、タワー8下部又は浮体10に配置され、航空障害塔60、航路標識灯62、ブーストポンプ48等の風力発電機2の各種の補機への電力供給を制御する。また非常用コントロールセンタ57には、ディーゼル発電機等のバックアップ電源64が接続されてもよく、グリッド100又は発電機47からの給電が不可能な場合に、バックアップ電源64から各種の補機に電力が供給されるようになっている。バックアップ電源64はタワー8下部又は浮体10に配置されてもよい。さらに、タワー8下部又は浮体10には、バックアップ電源64に燃料を供給する燃料タンク65が設けられてもよい。その場合、燃料タンク65は、風力発電機2の電源喪失後、海上の荒天によるアクセス不可を考慮して、数日間(例えば10日程度)連続運転できる燃料を貯留可能な容量を有してもよい。なお、バックアップ電源64は仮設電源であってもよい。さらに、この非常用コントロールセンタ58は、メンテナンス時における各機器の動作確認にて、風力発電機1の各種の補機(例えば、航空障害塔60、航路標識灯62、ブーストポンプ48等)に電力を供給し、これらの補機の動作確認を行うように構成される。その際、非常用コントロールセンタ58にはバックアップ電源64から電力が供給され、バックアップ電源64には燃料タンク65から燃料が供給される。

次に、図5A〜図5Eを参照して、本実施形態における浮体式風力発電装置1のメンテナンス方法について説明する。なお、図5A〜図5Eは本発明の一実施形態に係る浮体式風力発電装置のメンテナンス方法を説明する図であり、図5Aは第1浮体式風力発電装置を係留ラインから切り離す状態を示す図で、図5Bは第1浮体式風力発電装置を係留位置から移動させる状態を示す図で、図5Cは第1浮体式風力発電装置のメンテナンス作業の状態を示す図で、図5Dは第2浮体式風力発電装置を係留位置に移動させる状態を示す図で、図5Eは第2浮体式風力発電装置に係留ラインを接続する状態を示す図である 以下の説明において、メンテナンス対象部位を有する浮体式風力発電装置を第1浮体式風力発電装置1Aと称し、メンテナンス対象部位を有しない浮体式風力発電装置を第2浮体式風力発電装置1Bと称する。図5に示す実施形態では、第1浮体式風力発電装置1Aと第2浮体式風力発電装置1Bは同一であってもよい。

一実施形態において、図5Aに示すように、係留位置200に係留されている第1浮体式風力発電装置1Aにメンテナンスを施す場合、まず、第1浮体式風力発電装置1Aの浮体10Aに取り付けられている係留ライン30及び海底ケーブル50を切り離す作業を行う。ここで、係留ライン30は重量が大きいので、例えば、作業船202に装備されるクレーン等を用いて、切り離し作業を行ってもよい。浮体10Aから切り離された係留ライン30及び海底ケーブル50は、浮体構造物204に保持させる。なお、浮体構造物204は、水上に浮かぶ構造物であれば特に限定されず、例えばブイ、船体、メガフロート等であってもよい。 そして、図5Bに示すように、浮体10Aに接続された係留ライン30及び海底ケーブル50を全て切り離し、これらを浮体構造物204に保持させたら、浮体式風力発電装置1Aを係留位置200からメンテナンス場所へ向けて移動させる。

浮体式風力発電装置1Aがメンテナンス場所に到達したら、メンテナンス作業を行う。なお、メンテナンス場所は、風や波浪等の周囲環境条件が係留位置より良好な水上(例えば沿岸等)又は陸上(例えばドック等)であってもよい。これにより、安定した作業環境下でメンテナンス作業を行うことができる。あるいは、浮体式風力発電装置1Aを岸壁に接岸させた状態でメンテナンスしてもよく、これにより浮体式風力発電装置1Aの動揺を抑制して、安定した作業環境を形成することができる。メンテナンス作業としては、風力発電機2Aを構成する機器の修理や交換、浮体10Aを構成する機器の修理や交換、各種補機の修理や交換等が挙げられる。

例えば、第1浮体式風力発電装置1Aのブレード3Aの交換を行う場合、図5Cに示すように、第1浮体式風力発電装置1Aを岸壁に接岸させた状態で、第1浮体式風力発電装置1Aのブレード3Aの交換を行ってもよい。その場合、陸上に配置したクレーン210によって、一本のブレード3Aを吊り下ろし、他のブレード3Aを吊り上げて風力発電機2Aに取り付ける。このようにしてブレード3Aの交換作業を行うことで、作業効率を向上させることができるとともに、大型のクレーン210を用いることも可能となる。 また、第1浮体式風力発電装置1Aのドライブトレインの交換を行う場合においても、第1浮体式風力発電装置1Aを岸壁に接岸させた状態で、ドライブトレインの少なくとも一部を構成する機器を交換してもよい。その場合、図2に示すように、ドライブトレインは、油圧ポンプ42及び油圧モータ43によって構成される油圧トランスミッション42を含み、交換する機器は、油圧ポンプ42、油圧モータ43および発電機47の少なくとも一つであってもよい。このようにしてドライブトレイン41の交換作業を行うことで、作業効率を向上させることができるとともに、大型のクレーン210を用いることも可能となる。 上述ように第1浮体式風力発電装置1Aにメンテナンスを施すことによって、メンテナンス部位を有しない第2浮体式風力発電装置1Bが得られる。

メンテナンス作業が終了したら、図5Dに示すように、メンテナンス作業が施された第2浮体式風力発電装置1Bを係留位置200に移動させる。第2浮体式風力発電装置1Bが係留位置200に到達したら、係留ライン30及び海底ケーブル50を浮体構造物204から取り外し、第2浮体式風力発電装置1Bの浮体10Bに接続する。この際、作業船202に装備されるクレーン等を用いて、浮体構造物204から浮体10Bへの係留ライン30及び海底ケーブル50の付け替え作業を行ってもよい。

上述のように、メンテナンス対象部位を有する第1浮体式風力発電装置1Aを係留位置から移動させて、メンテナンス対象部位を有しない第2浮体式風力発電1Bを係留位置200に移動させる。これにより、風力発電装置の係留位置200でのメンテナンスに適さないような大掛かりなメンテナンス作業については、他の場所にて行うことができる。よって、風力発電装置1の係留位置200の周囲環境条件によらず、浮体式風力発電装置1のメンテナンスを行うことができる。 また、第1浮体式風力発電装置1Aを移動させる際に、浮体10Aから係留ライン30及び海底ケーブル50を切り離してこれらを浮体構造物204に保持させておくことで、第2浮体式風力発電装置1Bを係留する際に、係留ライン30及び海底ケーブル50を容易に浮体に接続することができる。 さらに、第1浮体式風力発電装置1Aにメンテナンスを施した後、この風力発電装置を第2浮体式風力発電装置1Bとして係留位置に戻すことで、浮体式風力発電装置1の代替機を前提とせずに風力発電システムを運用できる。すなわち、設備コストを抑えながら、風力発電システムの運営を行うことができる。なお、ここでいう風力発電システムとは、少なくとも一つの浮体式風力発電装置1の集合体である。

また、他の実施形態において、図6A〜図6Dに示すようにメンテナンスを行ってもよい。なお、図6A〜図6Dは浮体式風力発電装置のメンテナンス方法を説明する図であり、図6Aは第1浮体式風力発電装置を係留ラインから切り離す状態を示す図で、図6Bは第1浮体式風力発電装置及び第2浮体式風力発電装置の入れ替え前の状態を示す図で、図6Cは第1浮体式風力発電装置及び第2浮体式風力発電装置の入れ替え後の状態を示す図で、図6Dは第1浮体式風力発電装置のメンテナンス作業の状態を示す図である。

図6Aに示すように、係留位置200に係留されている第1浮体式風力発電装置1Aにメンテナンスを施す場合、まず、第1浮体式風力発電装置1Aの浮体10Aに取り付けられている係留ライン30及び海底ケーブル50を切り離す作業を行う。切り離した係留ライン30及び海底ケーブル50は浮体構造物204に保持させる。 そして、図5Bに示すように、浮体10Aに接続された係留ライン30及び海底ケーブル50を全て切り離し、浮体構造物204に保持させたら、第1浮体式風力発電装置1Aを係留位置200からメンテナンス場所へ向けて移動させる。さらに、第1浮体式風力発電装置1Aを係留位置200から移動させたら、別の第2浮体式風力発電装置1Bを係留位置200に移動させる。なお、第2浮体式風力発電装置1Bは、使用後にメンテナンスが施された風力発電装置であってもよいし、未使用の風力発電装置であってもよい。

図6Cに示すように、第2浮体式風力発電装置1Bが係留位置20に到達したら、第2浮体式風力発電装置1Bの浮体10Bに係留ライン30及び海底ケーブル50を接続する。このように、第1浮体式風力発電装置1Aを係留位置200から移動させた後、別の第2浮体式風力発電1Bを係留位置200に移動させることで、第1浮体式風力発電装置1Aのメンテナンス中においても第2浮体式風力発電装置1Bを稼働させることができる。よって、風力発電システムの設備稼働率を向上できる。

図6Dに示すように、第1浮体式風力発電装置1Aがメンテナンス場所に到達したら、メンテナンス作業を行う。なお、メンテナンス場所は、風や波浪等の周囲環境条件が係留位置200より良好な水上(例えば沿岸等)又は陸上(例えばドック等)であってもよい。これにより、安定した作業環境下でメンテナンス作業を行うことができる。あるいは、浮体式風力発電装置1Aを岸壁に接岸させた状態でメンテナンスしてもよく、これにより浮体式風力発電装置1Aの動揺を抑制して、安定した作業環境を形成することができる。メンテナンス作業は、図5に示した実施形態と同一であるので、詳細な説明を省略する。

また、図5又は図6に示したメンテナンス方法において、以下の構成を備えていてもよい。 メンテナンス作業後に、第2浮体式風力発電装置1Bを係留位置200に移動させる前に、動作確認場所で第2浮体式風力発電装置1Bの動作確認を行う。ここで、動作確認場所は、風や波浪等の周囲環境条件が係留位置200より良好な水上(例えば沿岸等)又は陸上(例えばドック等)であってもよい。これにより、安定した作業環境下で動作確認を行うことができる。あるいは、第2浮体式風力発電装置1Bを岸壁に接岸させた状態で動作確認してもよく、これにより第2浮体式風力発電装置1Bの動揺を抑制して、安定した作業環境を形成することができる。動作確認としては、例えば、浮体10Aの浮沈動作確認、各補機の動作確認、ブレード3Bのピッチ動作確認等が挙げられる。

第2浮体式風力発電装置1Bを係留位置200に移動させてから動作確認を行うと、確認結果に問題があった場合、再度、第2浮体式風力発電装置1Bをメンテナンス場所まで戻さなければならないことがある。そこで、上記実施形態では、第2浮体式風力発電装置1Bを係留位置200に移動させる前に動作確認を行うようにしたので、第2浮体式風力発電装置1Bの係留位置200への設置作業を効率的に行うことができる。 また、風や波浪等の周囲環境条件が係留位置より穏やかな水上又は陸上、あるいは岸壁に接岸させた状態のように、より安定した作業環境下で動作確認を行うことができる。よって、動作確認作業の効率化が図れる。

以下、動作確認の例について記載する。 浮体10Bの浮沈動作確認を行う場合、浮体コントロールセンタ57で制御されるバラストポンプ29を用いて、浮体10Bのバラスト室へ注水し、浮体10Bの浮沈動作を確認する。このとき、風力発電機3Bは、タワー8の下部のみが設置された状態で浮沈動作確認を行ってもよい。すなわち、タワー8は、円筒状の複数のタワーセクションが積み重ねられて構成される。その場合、浮体10Bの上に、下方のタワーセクションのみ設置された状態で、浮体10Bの浮沈動作を行ってもよい。バラストポンプ29と浮体コントロールセンタ57とは風力発電機3Aのタワー下部又は浮体10Aに設けられるので、浮体10B上に風力発電機3Bが完全に組み上がる前であっても浮体10Bの浮沈動作確認を行うことができる。 また、第2浮体式風力発電装置1Bを係留位置200に移動させる前に風力発電機3Bの浮体10Bの浮沈動作の確認を行うことができるので、第2浮体式風力発電装置1Bを係留位置200に設置した後で浮体10Bの浮沈動作の不具合のために第2浮体式風力発電装置1Bのメンテナンス場所への再移動を余儀なくされるといった事態を防止できる。また、係留位置200よりも安定した作業環境下で動作確認を行うことができ、浮沈動作確認作業の効率化が図れる。 また、バラストポンプ29と浮体コントロールセンター57は風力発電機3Bのタワー下部又は浮体に設けられているため、浮体10B上に風力発電機3Bが完全に組み上がる前であっても浮体10Bの浮沈動作確認を行うことができる。

ピッチ駆動機構49の動作確認を行う場合、第2浮体式風力発電装置1Bにブレード3及びナセル6を取り付けた状態で、ナセルコントロールセンター56による制御下で電源からピッチ駆動機構49に電力を供給し、ピッチ駆動機構49が正常に動作するか否かを確認する。 これにより、第2浮体式風力発電装置1Bを係留位置200に移動させる前にピッチ駆動機構49の動作確認を行うことができるので、第2浮体式風力発電装置1Bを係留位置200に設置した後でピッチ駆動機構49の不具合のために第2浮体式風力発電装置1Bのメンテナンス場所への再移動を余儀なくされるといった事態を防止できる。また、係留位置200よりも安定した作業環境下でピッチ駆動機構49の動作確認を行うことができ、動作確認作業の効率化が図れる。

風力発電機3Bの各種の補機の動作確認を行う場合、非常用コントロールセンター58の制御下で各種の補機に電力を供給し、各補機の動作確認を行う。例えば、非常用コントロールセンター58から航空障害灯60に電力を供給し、点灯確認を行う。航路標識灯62、ブーストポンプ48等の他の補機についても同様に動作確認する。なお、動作確認時には、バックアップ電源64から各補機に電力を供給してもよい。 これにより、第2浮体式風力発電装置1Bを係留位置200に移動させる前に風力発電機3Bの補機の動作確認を行うことができるので、第2浮体式風力発電装置1Bを係留位置200に設置した後で風力発電機3Bの補機の不具合のために第2浮体式風力発電装置1Bのメンテナンス場所への再移動を余儀なくされるといった事態を防止できる。また、係留位置200よりも安定した作業環境下で補機の動作確認を行うことができ、動作確認作業の効率化が図れる。

また、バックアップ電源64の動作確認を行う場合、燃料タンク65から発電用燃料をバックアップ電源64に供給し、バックアップ電源が正常に動作するか否かの確認を行う。 これにより、第2浮体式風力発電装置1Bを係留位置200に移動させる前にバックアップ電源64の動作確認を行うことができるので、第2浮体式風力発電装置1Bを係留位置200に設置した後でバックアップ電源64の不具合のために第2浮体式風力発電装置1Bのメンテナンス場所への再移動を余儀なくされるといった事態を防止できる。また、係留位置200よりも安定した作業環境下でバックアップ電源の64動作確認を行うことができ、動作確認作業の効率化が図れる。

同様に、内部配電網51の動作確認を行うようにしてもよい。例えば、非常用コントロールセンター58の制御下で内部配電網51の開閉器521やトランス522,523に電力を供給し、正常に動作するか否かを確認する。 これにより、第2浮体式風力発電装置1Bを係留位置200に移動させる前に内部配電網51の動作確認を行うことができるので、第2浮体式風力発電装置1Bを係留位置200に設置した後で内部配電網51の不具合のために第2浮体式風力発電装置1Bのメンテナンス場所への再移動を余儀なくされるといった事態を防止できる。また、係留位置200よりも安定した作業環境下で内部配電網51の動作確認を行うことができ、動作確認作業の効率化が図れる。

以上説明したように、上述の実施形態によれば、第1浮体式風力発電装置1Aを係留位置から移動させて、メンテナンス対象部位を有しない第2浮体式風力発電1Bを係留位置200に移動させることにより、係留位置200の周囲環境条件によらず、浮体式風力発電装置1のメンテナンスを行うことができる。 また、第1浮体式風力発電装置1Aを移動させる際に、浮体10Aから係留ライン30及びケーブル50を切り離してこれらを浮体構造物204に保持させておくことで、第2浮体式風力発電装置1Bを係留する際に、係留ライン30及びケーブル50を容易に浮体に接続することができる。

以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはいうまでもない。

1 浮体式風力発電装置 2 風車 3 ブレード 4 ハブ 5 ロータ 6 ナセル 8 タワー 9 プラットホーム 10,10A,10B 浮体 12 第1コラム 14 第2コラム 16 第3コラム 20 第1ロワーハル 22 第2ロワーハル 30 係留ライン 26 アンカー 27 バラスト室 28 ポンプ室 29 バラストポンプ 30 係留ライン 31 ストッパ 32 ガイド部 40 回転シャフト 41 ドライブトレイン(油圧トランスミッション) 42 油圧ポンプ 43 油圧モータ 44 高圧油ライン 45 低圧油ライン 47 発電機 48 ブーストポンプ 49 ピッチ駆動機構 50,103 海底ケーブル 51 内部配電網 52A 送電ライン 52B 負荷ライン 54 風車コントロールセンタ(WTG.CC) 56 ナセルコントロールセンタ(ナセル.CC) 57 浮体コントロールセンタ(浮体.CC) 58 非常用コントロールセンタ(非常用.CC) 60 航空障害塔 62 航路標識灯 65 バックアップ電源 66 燃料タンク 66 電源 100 グリッド 200 係留位置 204 浮体構造物 521 開閉器 522,523 トランス

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