浮体式風発電装置及び該装置の部品搬送方法

申请号 JP2014549731 申请日 2012-11-30 公开(公告)号 JP5860976B2 公开(公告)日 2016-02-16
申请人 エムエイチアイ ヴェスタス オフショア ウィンド エー/エス; 发明人 沼尻 智裕;
摘要
权利要求

面に浮かぶ浮体と、 前記浮体上に設置され、少なくとも一部が潜水可能に構成された風車とを備える浮体式風発電装置であって、 前記風車は、 少なくとも一本のブレードと、 前記ブレードが取り付けられるハブと、 前記浮体上に立設されるタワーと、 前記タワー上に設けられるナセルと、 前記ハブ又は前記ナセル内に設けられる第1電気機器と、 ケーブルを介して前記第1電気機器に接続される第2電気機器とを含み、 前記第2電気機器は、前記風車の潜水時において、水没しないように前記タワーに対して鉛直方向に相対移動可能に構成され、 前記タワー内に設けられ、前記タワーの内部空間に注入されたバラスト水を前記タワー外に排出するための排出ポンプと、 前記排出ポンプを前記バラスト水の水面に浮かべるためのフロートとをさらに備えることを特徴とする浮体式風力発電装置。水面に浮かぶ浮体と、 前記浮体上に設置され、少なくとも一部が潜水可能に構成された風車とを備える浮体式風力発電装置であって、 前記風車は、 少なくとも一本のブレードと、 前記ブレードが取り付けられるハブと、 前記浮体上に立設されるタワーと、 前記タワー上に設けられるナセルと、 前記ハブ又は前記ナセル内に設けられる第1電気機器と、 ケーブルを介して前記第1電気機器に接続される第2電気機器とを含み、 前記第2電気機器は、前記風車の潜水時において、水没しないように前記タワーに対して鉛直方向に相対移動可能に構成され、 前記タワーには、前記タワーの内部空間と前記タワーの外部との間における前記バラスト水の移動に用いられるバラスト水チューブが挿通される給排水口が設けられており、 前記給排水口は、前記風車の潜水時において前記水面よりも上方の前記タワーの領域に位置することを特徴とする浮体式風力発電装置。水面に浮かぶ浮体と、 前記浮体上に設置され、少なくとも一部が潜水可能に構成された風車とを備える浮体式風力発電装置であって、 前記風車は、 少なくとも一本のブレードと、 前記ブレードが取り付けられるハブと、 前記浮体上に立設されるタワーと、 前記タワー上に設けられるナセルと、 前記ハブ又は前記ナセル内に設けられる第1電気機器と、 ケーブルを介して前記第1電気機器に接続される第2電気機器とを含み、 前記第2電気機器は、前記風車の潜水時において、水没しないように前記タワーに対して鉛直方向に相対移動可能に構成され、 前記風車は、前記タワーの外周側に設置されたラダーと、該ラダーを覆うラダーカバーとをさらに含み、 前記ラダーによって前記タワーの下部から前記ナセルに至るアクセス路を前記タワーの外部に形成したことを特徴とする浮体式風力発電装置。前記第2電気機器は、前記風車の潜水時において、前記水面に浮かぶフロートを有する電気機器ボックスに収納されていることを特徴とする請求項1乃至3の何れか一項に記載の浮体式風力発電装置。水面に浮かぶ浮体と、 前記浮体上に設置され、少なくとも一部が潜水可能に構成された風車とを備える浮体式風力発電装置であって、 前記風車は、 少なくとも一本のブレードと、 前記ブレードが取り付けられるハブと、 前記浮体上に立設されるタワーと、 前記タワー上に設けられるナセルと、 前記ハブ又は前記ナセル内に設けられる第1電気機器と、 ケーブルを介して前記第1電気機器に接続される第2電気機器とを含み、 前記第2電気機器は、前記風車の潜水時において、水没しないように前記タワーに対して鉛直方向に相対移動可能に構成され、 前記第2電気機器は、前記風車の潜水時において、前記水面に浮かぶフロートを有する電気機器ボックスに収納されており、 前記電気機器ボックスは、前記タワーの内周面又は外周面に当接するガイド部材を有し、前記風車の潜水時、前記電気機器ボックスが前記ガイド部材によって前記タワーに沿って案内されるように構成されたことを特徴とする浮体式風力発電装置。前記浮体は、前記風車が設置される第1コラムを含む複数のコラムと、前記複数のコラム間を接続するロワーハルとを含むセミサブ式浮体であり、 前記風車は、前記タワーと、前記コラム又は前記ロワーハルの少なくとも一方とに対するバラスト水の注入によって潜水可能に構成されたことを特徴とする請求項1乃至5の何れか一項に記載の浮体式風力発電装置。前記ナセルは、前記タワー上部に固定されて前記タワーに対して不動であり、 前記タワーは、断面楕円形状であることを特徴とする請求項1乃至6の何れか一項に記載の浮体式風力発電装置。少なくとも一本のブレード、該ブレードが取り付けられるハブ、水面に浮かぶ浮体上に立設されたタワー、該タワー上に設けられるナセル、前記ハブ又は前記ナセル内に設けられる第1電気機器、および、ケーブルを介して前記第1電気機器に接続される第2電気機器を含む風車と、前記浮体とを備えた浮体式風力発電装置の部品搬送方法であって、 前記風車の少なくとも一部を潜水させる潜水ステップと、 前記潜水ステップの後、前記ブレード、前記ハブ又は前記ナセルの少なくとも一つにおける第1積み降ろし位置と、前記水面側における第2積み降ろし位置との間で前記風車の部品を移動させる部品移動ステップとを備え、 前記潜水ステップでは、前記第2電気機器が水没しないように前記タワーに対して前記第2電気機器を鉛直方向に相対移動させ、 前記潜水ステップでは、前記少なくとも一本のブレードのうち前記水面に近いブレードに保護カバーを取り付けることを特徴とする浮体式風力発電装置の部品搬送方法。少なくとも一本のブレード、該ブレードが取り付けられるハブ、水面に浮かぶ浮体上に立設されたタワー、該タワー上に設けられるナセル、前記ハブ又は前記ナセル内に設けられる第1電気機器、および、ケーブルを介して前記第1電気機器に接続される第2電気機器を含む風車と、前記浮体とを備えた浮体式風力発電装置の部品搬送方法であって、 前記風車の少なくとも一部を潜水させる潜水ステップと、 前記潜水ステップの後、前記ブレード、前記ハブ又は前記ナセルの少なくとも一つにおける第1積み降ろし位置と、前記水面側における第2積み降ろし位置との間で前記風車の部品を移動させる部品移動ステップとを備え、 前記潜水ステップでは、前記第2電気機器が水没しないように前記タワーに対して前記第2電気機器を鉛直方向に相対移動させるとともに、 前記部品移動ステップの後、前記風車を浮上させる浮上ステップと、 前記浮上ステップの後、前記風車を乾燥させる乾燥ステップとをさらに備えることを特徴とする浮体式風力発電装置の部品搬送方法。少なくとも一本のブレード、該ブレードが取り付けられるハブ、水面に浮かぶ浮体上に立設されたタワー、該タワー上に設けられるナセル、前記ハブ又は前記ナセル内に設けられる第1電気機器、および、ケーブルを介して前記第1電気機器に接続される第2電気機器を含む風車と、前記浮体とを備えた浮体式風力発電装置の部品搬送方法であって、 前記風車の少なくとも一部を潜水させる潜水ステップと、 前記潜水ステップの後、前記ブレード、前記ハブ又は前記ナセルの少なくとも一つにおける第1積み降ろし位置と、前記水面側における第2積み降ろし位置との間で前記風車の部品を移動させる部品移動ステップとを備え、 前記潜水ステップでは、前記第2電気機器が水没しないように前記タワーに対して前記第2電気機器を鉛直方向に相対移動させるとともに、 前記潜水ステップの前に、前記浮体を係留するためのアンカー付きの係留ラインを前記浮体から取り外して、該係留ラインをブイに取り付けておく係留解除ステップをさらに備え、 前記潜水ステップでは、前記浮体から前記係留ラインが取り外された状態で、前記風車の潜水を行うことを特徴とする浮体式風力発電装置の部品搬送方法。前記部品移動ステップでは、クレーン船を用いて前記第1積み降ろし位置と前記第2積み降ろし位置との間で前記部品の移動を行い、 前記部品は、前記少なくとも一つのブレード、および、前記ナセル内に収納されるドライブトレイン又は発電機の少なくとも一つであることを特徴とする請求項8乃至10の何れか一項に記載の浮体式風力発電装置の部品搬送方法。前記少なくとも一つのブレードは、前記ハブから反対方向に延在する一対のブレードであり、 前記潜水ステップの前に、前記一対のブレードが水平方向に沿うように前記ハブの度位置を調整する角度位置調整ステップをさらに備え、 前記潜水ステップでは、水平方向に沿った前記一対のブレードが水没しない位置まで前記風車を潜水させることを特徴とする請求項8乃至11の何れか一項に記載の浮体式風力発電装置の部品搬送方法。前記浮体式風力発電装置は洋上に設置された洋上風車であり、 前記潜水ステップでは、前記風車の内部に海水を取り込んで前記風車の少なくとも一部を潜水させ、 前記浮上ステップの後、且つ、前記乾燥ステップの前に前記風車を真水で洗浄する洗浄ステップをさらに備えることを特徴とする請求項9に記載の浮体式風力発電装置の部品搬送方法。

说明书全文

本開示は、面に浮かぶ浮体と、該浮体に設置された風車とを備えた浮体式風発電装置及び該装置の部品搬送方法に関する。

近年、地球環境の保全の観点から風力発電装置の普及が進んでいる。特に、発電効率の向上に有利な大型の風力発電装置を洋上や湖上等の水上に設置する計画が様々な場所で進められている。

水上に設置される風力発電装置として、水面に浮かぶ浮体上に風車を設置した浮体式風力発電装置が知られている。浮体式風力発電装置には、タワーの高さが数十メートルから百メートルを超える大型のものもある。このような浮体式風力発電装置では、メンテナンス時や据え付け・解体時等に、水上に設置された状態で風車のタワー上部、ナセル又はハブのような高所にアクセスすることは極めて困難である。

そこで、特許文献1には、風車の上方部位へのアクセスを容易化する目的で、メンテナンス時に風車のタワーを沈めて海底に着床させる方法が開示されている。また、特許文献2及び3には、メンテナンス時に風車のタワーをスパー内に沈める構成が開示されている。

特開2012−45981号公報

特開2010−223113号公報

特開2010−223114号公報

ところで、浮体式風力発電装置には、発電機、制御盤、変圧器等の各種の電気機器が多数設けられている。これらの電気機器は、風車の上方に設けられるものだけではなく、低所に設けられるものもある。例えば、制御盤や操作パネルといった電気機器等は、ナセル内、ハブ内又はタワー内上部等の上方空間と、タワー内又はタワー外下部の下方空間とにそれぞれ設置され各場所での必要な操作に使われる。通常の浮体式風力発電装置においては、浮体以外の風車部位は水上に露出した状態にあるので、これらの電気機器が浸水することは考えられていない。しかし、メンテナンス時等に風車を水中に沈める場合、これらの電気機器、特に低所に設置される電気機器は浸水してしまうおそれがある。

この点、特許文献1〜3は、メンテナンス時に浮体式風力発電装置を沈める構成が開示されているのみで、電気機器の浸水に関しては何ら考慮されていない。特許文献2及び3のように、タワーをスパー内に沈めれば浸水の可能性は低減するものの、大型のタワーをスパー内に沈めるために大きな動力を要してしまうという問題があった。

本発明の少なくとも一実施形態の目的は、風力発電装置の潜水時においても電気機器を浸水から保護し得る浮体式風力発電装置及び該装置の部品搬送方法を提供することである。

本発明の少なくとも一実施形態に係る浮体式風力発電装置は、水面に浮かぶ浮体と、前記浮体上に設置され、少なくとも一部が潜水可能に構成された風車とを備える浮体式風力発電装置であって、前記風車は、少なくとも一本のブレードと、前記ブレードが取り付けられるハブと、前記浮体上に立設されるタワーと、前記タワー上に設けられるナセルと、前記ハブ又は前記ナセル内に設けられる第1電気機器と、ケーブルを介して前記第1電気機器に接続される第2電気機器とを含み、前記第2電気機器は、前記風車の潜水時において、水没しないように前記タワーに対して鉛直方向に相対移動可能に構成されたことを特徴とする。

上記浮体式風力発電装置によれば、風車の潜水時において、高所に設置される第1電気機器にケーブルを介して接続される第2電気機器が、タワーに対して鉛直方向に相対移動可能であるから、第2電気機器が水没することを確実に防止できる。特に、浮体式風力発電装置は過酷な周囲環境下に設置されることが多いので、単に密閉空間に第2電気機器を設置することで浸水から保護しようとしても、その密閉空間を長期間に亘って維持することは困難である。例えば、洋上に設置される浮体式風力発電装置は、周囲の温度変化が大きく、また大気中に腐食性物質が多く含まれることから、密閉空間を形成するためのシールが短期間で劣化してしまうことが考えられる。これに対して上記浮体式風力発電装置は、風車の潜水時においても第2電気機器が常に水上に露出するように構成されているので、第2電気機器を浸水から確実に保護できる。また、第2電気機器は、タワーに対して鉛直方向に相対移動可能に構成されているので、風車の通常運転時には適切な位置に第2電気機器を配置することができる。

幾つかの実施形態では、前記第2電気機器は、前記風車の潜水時において、前記水面に浮かぶフロートを有する電気機器ボックスに収納されていてもよい。 第2電気機器が収納された電気機器ボックスはフロートによって水面に浮かぶようになっているので、動力を用いずに、第2電気機器をタワーに対して鉛直方向に相対移動できるとともに、第2電気機器を確実に水面より上方に位置させることができる。

幾つかの実施形態では、前記電気機器ボックスは、前記タワーの内周面又は外周面に当接するガイド部材を有し、前記風車の潜水時、前記電気機器ボックスが前記ガイド部材によって前記タワーに沿って案内されるように構成されてもよい。 このように、電気機器ボックスをタワーに沿って案内するガイド部材を設けることによって、電気機器ボックスがタワーに対して鉛直方向に相対移動する際に他の部品に接触することを防止でき、電気機器ボックスをタワーに対して円滑に相対移動させることができる。

幾つかの実施形態では、前記浮体は、前記風車が設置される第1コラムを含む複数のコラムと、前記複数のコラム間を接続するロワーハルとを含むセミサブ式浮体であり、前記風車は、前記タワーと、前記コラム又は前記ロワーハルの少なくとも一方とに対するバラスト水の注入によって潜水可能に構成されてもよい。 このように、バラスト水の注入によって風車を潜水させることにより、潜水に要する動力を低減できる。

幾つかの実施形態では、前記ナセルは、前記タワー上部に固定されて前記タワーに対して不動であり、前記タワーは、断面楕円形状であってもよい。 このように、ナセルがタワーに対して不動となるように構成することで断面楕円形状のタワーを採用することができ、延いては、波浪や潮流等によっても揺動し難く、姿勢安定性の高い風力発電装置とすることができる。

幾つかの実施形態では、前記タワー内に設けられ、前記タワーの内部空間に注入されたバラスト水を前記タワー外に排出するための排出ポンプと、前記排出ポンプを前記バラスト水の水面に浮かべるためのフロートとをさらに備えてもよい。 このように、タワーの内部空間に注入されたバラスト水をタワー外に排出するための排出ポンプを設けることにより、バラスト水注入によって潜水状態にある風車を容易に浮上させることができる。また、排出ポンプはフロートによって水面に浮かぶようにしているので、排出ポンプが水没して故障することを防止できる。

幾つかの実施形態では、前記タワーには、前記タワーの内部空間と前記タワーの外部との間における前記バラスト水の移動に用いられるバラスト水チューブが挿通される給排水口が設けられており、前記給排水口は、前記風車の潜水時において前記水面よりも上方の前記タワーの領域に位置するように構成してもよい。 このように、バラスト水チューブが挿通される給排水口を、風車の潜水時において水面よりも上方のタワーの領域に設けるようにしたので、タワー周囲の水が給排水口を介してタワー内空間に侵入することを防止できる。これにより、タワー内部空間に貯留されたバラスト水の水面と、タワー周囲の水面との高さの差を調整可能となり、バラスト水による浮力調整を適切に行えるようになる。

幾つかの実施形態では、前記風車は、前記タワーの外周側に設置されたラダーと、該ラダーを覆うラダーカバーとをさらに含み、前記ラダーによって前記タワーの下部から前記ナセルに至るアクセス路を前記タワーの外部に形成してもよい。 これにより、タワーの内部空間に入らなくてもタワー外周側のラダーを利用してナセルにアクセスできる。したがって、タワー内空間に入るための開閉口が不要となり、タワーを水密に形成することが可能となる。

本発明の少なくとも一実施形態に係る浮体式風力発電装置の部品搬送方法は、少なくとも一本のブレード、該ブレードが取り付けられるハブ、水面に浮かぶ浮体上に立設されたタワー、該タワー上に設けられるナセル、前記ハブ又は前記ナセル内に設けられる第1電気機器、および、ケーブルを介して前記第1電気機器に接続される第2電気機器を含む風車と、前記浮体とを備えた浮体式風力発電装置の部品搬送方法であって、前記風車の少なくとも一部を潜水させる潜水ステップと、前記潜水ステップの後、前記ブレード、前記ハブ又は前記ナセルの少なくとも一つにおける第1積み降ろし位置と、前記水面側における第2積み降ろし位置との間で前記風車の部品を移動させる部品移動ステップとを備え、前記潜水ステップでは、前記第2電気機器が水没しないように前記タワーに対して前記第2電気機器を鉛直方向に相対移動させることを特徴とする。

上記浮体式風力発電装置の部品搬送方法によれば、風車の少なくとも一部を潜水させることによって風車の水面からの高さが低くなり、波浪や潮流等により風車が揺動しても風車上方の揺れはそれ程大きくならないので、ブレード、ハブ又はナセルのような高所においても部品搬送の作業性を向上させることができる。また、浮体やタワーを水中に沈めることによって、波浪や潮流等による揺動の減衰効果が高くなり、風車全体の揺動もより一層小さくすることができる。さらに、クレーン船を用いて、風車側の第1積み下ろし位置と水面側の第2積み下ろし位置との間で部品を移動させる場合、クレーン船のブームの揚程は低くてよいため、船体の揺れによるブーム先端(部品が取り付けられるフック位置)の揺れを小さくでき、より一層作業性を向上できる。さらにまた、短いブーム長のクレーンでよいことから、クレーン船の特殊性が軽減し、より汎用性のある船体及びサイズの船を利用できる。 また、風車の潜水時に、第2電気機器が水没しないように、タワーに対して第2電気機器を鉛直方向に相対移動させるようにしたので、第2電気機器を浸水から確実に保護できる。

幾つかの実施形態では、前記部品移動ステップでは、クレーン船を用いて前記第1積み降ろし位置と前記第2積み降ろし位置との間で前記部品の移動を行い、前記部品は、前記少なくとも一つのブレード、および、前記ナセル内に収納されるドライブトレイン又は発電機の少なくとも一つであってもよい。

幾つかの実施形態では、前記少なくとも一つのブレードは、前記ハブから反対方向に延在する一対のブレードであり、前記潜水ステップの前に、前記一対のブレードが水平方向に沿うように前記ハブの度位置を調整する角度位置調整ステップをさらに備え、前記潜水ステップでは、水平方向に沿った前記一対のブレードが水没しない位置まで前記風車を潜水させてもよい。 このように、一対のブレードが水平方向に沿うようにした状態で風車を潜水させることにより、ブレードが水に浸かることを防止できる。

幾つかの実施形態では、前記潜水ステップでは、前記少なくとも一本のブレードのうち前記水面に近いブレードに保護カバーを取り付けてもよい。 これにより、ブレードが水に浸かることを防止できる。

幾つかの実施形態では、前記部品移動ステップの後、前記風車を浮上させる浮上ステップと、前記浮上ステップの後、前記風車を乾燥させる乾燥ステップとをさらに備えてもよい。 これにより、円滑に風力発電装置の通常運転を再開することが可能となる。

幾つかの実施形態では、前記浮体式風力発電装置は洋上に設置された洋上風車であり、前記潜水ステップでは、前記風車の内部に海水を取り込んで前記風車の少なくとも一部を潜水させ、前記浮上ステップの後、且つ、前記乾燥ステップの前に前記風車を真水で洗浄する洗浄ステップをさらに備えてもよい。 風車の潜水時に、海水中に含まれる腐食性物質が風車に付着した場合であっても、風車の浮上後にこれを除去でき、風車を構成する部品が腐食することを防止できる。

幾つかの実施形態では、前記潜水ステップの前に、前記浮体を係留するためのアンカー付きの係留ラインを前記浮体から取り外して、該係留ラインをブイに取り付けておく係留解除ステップをさらに備え、前記潜水ステップでは、前記浮体から前記係留ラインが取り外された状態で、前記風車の潜水を行ってもよい。 これにより、風車の潜水時に、係留ラインによって動作が阻害されることを防げ、円滑に風車を潜水させることができる。

本発明の少なくとも一実施形態によれば、風車の潜水時において、高所に設置される第1電気機器にケーブルを介して接続される第2電気機器が、タワーに対して鉛直方向に相対移動可能であるから、第2電気機器が水没することを確実に防止できる。また、第2電気機器は、タワーに対して鉛直方向に相対移動可能に構成されているので、風車の通常運転時には適切な位置に第2電気機器を配置することができる。

本発明の一実施形態に係る浮体式風力発電装置の概略構成を示す側面図である。

本発明の一実施形態における風車を構成する部品構成及び電気機器の移動機構を示す側面図である。

ナセルがタワーに対して不動な場合の風車の構成例を示す側面図である。

図3のA−A線矢視図である。

本発明の他の実施形態における電気機器の移動機構を示す側面図である。

本発明の他の実施形態における電気機器の移動機構を示す側面図である。

タワー内部空間へバラスト水を注入するための構成を説明する図である。

タワー内部空間からバラスト水を排出するための構成を説明する図である。

タワー外周側に配設されたラダーを示す斜視図である。

タワーをヨー旋回させるための構成を説明する図である。

図11(a),(b)は、一実施形態における浮体式風力発電装置の部品搬送手順を示す図である。

本発明の他の実施形態における浮体式風力発電装置が海上に係留されている状態を示す斜視図である。

図13(a),(b)は、他の実施形態に係る浮体式風力発電装置の潜水手順を示す図である。

図13(b)のB部拡大図である。

図15(a),(b)は、他の実施形態に係る浮体式風力発電装置の姿勢調整方法を説明する図である。

図16(a),(b)は、他の実施形態に係る浮体式風力発電装置の潜水手順を示す図である。

図17(a),(b)は、更なる他の実施形態に係る浮体式風力発電装置の潜水手順を示す図である。

以下、添付図面に従って本発明の実施形態について説明する。ただし、実施形態として以下に記載され、あるいは、実施形態として図面で示された構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。

以下、本発明の実施形態に係る浮体式風力発電装置の概略について述べた後、その浮体式風力発電装置における部品搬送方法について説明する。 なお、浮体式風力発電装置の一例として、図1〜図11ではスパー型の浮体を有する浮体式風力発電装置を示し、図12〜図17ではセミサブ型の浮体を有する浮体式風力発電装置を示している。但し、本実施形態に係る浮体式風力発電装置及びその部品搬送方法に適用可能な浮体型はこれらに限定されるものではない。

図1は本発明の一実施形態に係る浮体式風力発電装置の概略構成を示す側面図である。図2は本発明の一実施形態における風車を構成する部品構成及び電気機器の移動機構を示す側面図である。図3はナセルがタワーに対して不動な場合の風車の構成例を示す側面図である。図4は図3のA−A線矢視図である。図5及び図6は本発明の他の実施形態における電気機器の移動機構を示す側面図である。

図1及び図2に示すように、浮体式風力発電装置1は、水面に浮かぶ浮体10と、浮体10上に立設された風車2とを備えている。 一実施形態において、風車2は、風を受けて回転する少なくとも1枚のブレード3と、ブレード3が取り付けられるハブ4と、ハブ4が回転自在に取り付けられるナセル6と、ナセル6を支持するタワー8とを有している。ナセル6はタワー8に対してヨー旋回可能であってもよく、通常は、風向きに応じてブレード3が風上側へ配向されるようにナセル6がヨー旋回する。そして、風を受けたブレード3が回転することで、発電機60によって発電が行われる。

一実施形態において、スパー型の浮体10は、縦長の中空状の浮体本体11と、浮体本体11の下端部に形成されたバランスウェイト12とから構成される。浮体10の水中部上方には、浮力体13が設けられるとともに、浮体本体11の下端には、浮体10の動揺を低減させるためのフーティング14が設けられている。また、浮体本体11には、複数の係留ライン16が放射状に配設されており、水底に配置されているアンカー15によってこれら複数の係留ライン16が固定されている。なお、係留ライン16とは、浮体10の位置を保持するためのチェーン、ワイヤロープ、合成繊維ロープ又はこれらが複合したロープ等、シャックル等の連結具及び中間ブイ又は中間シンカー等からなるものをいう。

図3に示すように、タワー8の上端とナセル6の底部とを固定して、ナセル6がタワー8に対して不動となるように構成してもよい。このような構成においては、風車2は浮体10とともにヨー旋回する。これにより、ナセル6内に配置される第1電気機器60と、タワー8内に配置される第2電気機器20とを接続するケーブル25が捩れることを防止できる。 また、図4に示すように、ナセル6がタワー8に対して不動である場合、タワー8は、断面楕円形状であってもよい。ナセル6がタワー8に対して不動となるように構成することで断面楕円形状のタワー8を採用することができ、延いては、波浪や潮流等によって揺動し難く、姿勢安定性の高い風力発電装置1とすることができる。

図2に示すように、一実施形態において、風車2は、ハブ4に連結された回転シャフト61と、電力を生成する発電機60(第1電気機器)と、回転シャフト61の回転エネルギーを発電機60に伝えるドライブトレイン63とを含んでいる。なお、同図では一例としてドライブトレイン63及び発電機60がナセル6内に配置される場合を示しているが、これらの少なくとも何れかがタワー8側に配置されてもよい。

回転シャフト61は、ブレード3及びハブ4から構成されるロータ5と共に回転する。なお、ハブ4はハブカバー4aで覆われていてもよい。また、回転シャフト61は、一対の軸受62を介して回転自在にナセル6に支持されている。 ドライブトレイン63は、回転シャフト61に取り付けられた油圧ポンプ64と、高圧油ライン及び低圧油ラインを介して油圧ポンプ64に接続される油圧モータ65とを含んで構成される。油圧ポンプ64は、回転シャフト61によって駆動されて作動油を昇圧し、高圧の作動油(圧油)を生成する。油圧ポンプ64で生成された圧油は高圧油ラインを介して油圧モータ65に供給され、この圧油によって油圧モータ65が駆動される。油圧モータ65で仕事をした後の低圧の作動油は、低圧油ラインを経由して油圧ポンプ64に再び戻される。また、油圧モータ65の出力軸は発電機60の入力軸に接続されており、油圧モータ65の回転が発電機60に入力されるようになっている。なお、同図ではドライブトレイン63として油圧トランスミッションを用いた構成を例示したが、この構成に限定されるものではなく、ギヤ式増速機等の他のドライブトレインを用いてもよいし、ドライブトレイン63を設けずに、回転シャフト61と発電機60とを直結させた構成であってもよい。

風車2は、メンテナンス時や据え付け・解体時等において、風車2の少なくとも一部を潜水させるための潜水手段を備えている。この潜水手段によって、風車2は図1の矢印方向に沈められる。なお、潜水手段の具体的な構成については後述する。 潜水手段を用いて、例えば、図2に示した各部品を移動させるために風車2を潜水させる。移動される部品としては、例えば、上記したようにナセル6内空間に配置される回転シャフト61、軸受62、ドライブトレイン63の各部品、発電機60の他に、ブレード3、ハブカバー4a、ナセル6を構成する各部品、制御盤等の電気機器などの各種の部品が挙げられる。勿論、タワー8の上方空間に配置される各種の部品であってもよい。また、メンテナンス時に用いられる部品も含まれる。勿論、部品の移動を伴わない作業においても、風車2を潜水させてもよい。

図2に示すように、浮体式風力発電装置1は、第2電気機器20をタワー8に対して鉛直方向に相対移動させる移動機構を備えている。この移動機構によって、風車2の潜水時に、第2電気機器20は、水没しないようにタワーに対して鉛直方向に相対移動する。なお、第2電気機器20は、ハブ4又はナセル6内に設けられる第1電気機器60と、ケーブル25を介して接続される電気機器である。第1電気機器60としては、例えばナセル6内の発電機やドライブトレイン(油圧トランスミッション)63や制御盤、ハブ4内のピッチ駆動装置や制御盤、その他補機等が挙げられる。また、第2電気機器20としては、例えば、スイッチギヤ、変圧器、インバータ、制御盤、その他補機等が挙げられる。

一実施形態において、移動機構は、風車2の潜水時において、水面WLに浮かぶフロート22を有する電気機器ボックス21に収納されている.具体的には、電気機器ボックス21の下部にフロート22が取り付けられており、フロート22より上方に第2電気機器20が収納されるようになっている。電気機器ボックス21は、気密性を有するように構成されてもよい。第1電気機器60と第2電気機器20とを接続するケーブル25は、タワー8内に延在する。電気機器ボックス21の移動に際してケーブル25が暴れないように、タワー8内周面に取り付けられたクランプ23にケーブル25を挿通させてもよい。この場合、ケーブル25は、鉛直方向に移動可能となるようにしてクランプ23に挿通される。クランプ23は複数設けられてもよい。最も上部に設けられたクランプ23より上方には、ケーブルローラ19が設けられてもよい。ケーブルローラ19は、クランプ23によりタワー8内周面に沿って配置されたケーブル25をタワー8の中央付近に導くとともに、第2電気機器20の鉛直方向移動により第1電気機器60と第2電気機器20との距離が変化した場合に生じるケーブル25の遊びを吸収する。 上記構成によれば、第2電気機器20が収納された電気機器ボックス21はフロート22によって水面に浮かぶようになっているので、動力を用いずに、第2電気機器20をタワー8に対して鉛直方向に相対移動できるとともに、第2電気機器20を確実に水面WLより上方に位置させることができる。

また、図5及び図6に示すように、タワー8の外周側に第2電気機器20の移動機構を設けてもよい。なお、第2電気機器20は、上記と同様に、フロート22を有する電気機器ボックス21内に収納されている。 図5において、電気機器ボックス21は、タワー8の外周面に取り付けられたガイドレール30に沿って、タワー8に対して鉛直方向に相対移動するようになっている。タワー8の外周面には鉛直方向に複数のクランプ32が取り付けられ、第1電気機器60と第2電気機器20とを接続するケーブル25は各クランプ32を挿通するように配置される。 図6において、電気機器ボックス21は、タワー8の周囲を囲むように設けられたフレーム26に連結される。フレーム26には、タワー8の外周面に摺動する複数のガイドローラ27が取り付けられている。また、ケーブル25は、ジャンクションボックス28を介して第2電気機器20に接続されてもよい。さらに、電気機器ボックス21内には、ジャンクションボックス28から外したケーブル25を巻き取るケーブルリール29が設けられていてもよい。なお、風車2を沈める際には、クランプ32からケーブルを外しながら風車2を沈めるようにしてもよい。 上記したように、ガイドレール30やガイドローラ付きフレーム26等によって、電気機器ボックス21がタワー8に沿って案内されるように構成することで、電気機器ボックス21をタワー8に対して円滑に相対移動させることができるとともに、波浪や潮流による電気機器ボックス21の揺動を抑制することもできる。なお、上記した移動機構は、タワー8の内周側に設けてもよい。また、第2電気機器20から外部へ延出するケーブル25は、浮体10に設けられたガイド34を介して水底に延在させてもよい。ガイド34は、例えば、ケーブル25が上下方向に挿通するようにリング状に構成される。これにより、第2電気機器20がタワー8に対して上下方向に相対移動した場合であっても、ガイド34によってケーブル25をタワー8側に安定して支持させることができる。

次に、図7及び図8を参照して、風車2の潜水手段について説明する。図7はタワー内部空間へバラスト水を注入するための構成を説明する図である。図8はタワー内部空間からバラスト水を排出するための構成を説明する図である。 風車2の潜水手段として、タワー8の内部空間に貯留されるバラスト水によって浮体式風力発電装置1の浮力調整を行う構成を用いてもよい。その場合、タワー8の下方、すなわち潜水時に水面WLが到達する可能性のあるタワー領域は略水密状態に形成される。例えば、潜水時に水面WLが到達する可能性のあるタワー領域に設けられる扉等の開閉部は、水密性の高い構造とする。

図7に示すように、一実施形態において、タワー8には、風車2の潜水時において水面WLよりも上方のタワー領域に位置するように、給水口8aが設けられている。給水口8aには、バラスト水をタワー8の内部空間に注水するためのホース102が挿通される。ホース102は、船(例えばポンプ船)100に搭載されたポンプ101に接続され、ポンプ101を駆動することによってホース102からタワー8の内部空間にバラスト水が注水される。 このように、ホース102が挿通される給水口8aを、風車2の潜水時において水面WLよりも上方のタワー8の領域に設けることにより、タワー周囲の水が給水口8aを介してタワー8の内部空間に侵入することを防止できる。これにより、タワー8の内部空間に貯留されたバラスト水の水面と、タワー周囲の水面WLとの高さの差を調整可能となり、バラスト水による浮力調整を適切に行えるようになる。

図8に示すように、一実施形態において、タワー8には、風車2の潜水時において水面WLよりも上方のタワー領域に位置するように、排水口8bが設けられている。なお、給水口8a及び排水口8bは同一であってもよい。排水口8bには、バラスト水をタワー8の内部空間から外部へ排出するためのホース104が挿通される。ホース104は、船(例えばポンプ船)100に搭載されたポンプ103に接続されるともに、タワー8の内部空間に配置されたポンプ102に接続される。そして、ポンプ102,103を駆動することによって、タワー8の内部空間からホース104を介してバラスト水が排出される。また、タワー8の内部空間に配置されたポンプ102は、フロート106上に載置されてもよい。 このように、タワー8の内部空間に注入されたバラスト水をタワー8の外に排出するためのポンプ102,103を設けることにより、バラスト水注入によって潜水状態にある風車2を容易に浮上させることができる。また、タワー8内に設置されるポンプ102はフロート106によって水面に浮かぶように構成することで、ポンプ102が水没して故障することを防止できる。

上記構成に加えて、本実施形態に係る浮体式風力発電装置1は、図9及び図10に示す構成をさらに備えていてもよい。図9はタワー外周側に配設されたラダーを示す斜視図である。図10はタワーをヨー旋回させるための構成を説明する図である。

図9に示すように、風車2は、タワー8の外周側に設置されたラダー42と、ラダー42を覆うラダーカバー41とをさらに備えていてもよい。ラダー42は、タワー8の下部からナセル6に至るアクセス路に沿って延設される。これにより、タワー8の内部空間に入らなくてもタワー8の外周側に設けられたラダー42を利用してナセル6にアクセスできる。したがって、タワー6の内部空間に入るための開閉口が不要となり、タワー8の水密性を向上させることができる。

図10に示すように、風車2は、タワー8の外周を囲むように配置されたチェーンリング45と、チェーンリング45に対してタワー8をヨー旋回させるヨー旋回機構47とをさらに備えていてもよい。チェーンリング45は、タワー8の外周面に対して鉛直方向にスライド可能に取り付けられている。また、チェーンリング45は浮力を有しており、タワー8が水面WLに対して鉛直方向に移動(潜水又は浮上)しても水面WLに留まるようになっている。チェーンリング45には、係留ライン16が接続されるフック46が取り付けられている。チェーンリング45は常時水面WLに維持されるので、風車2が潜水又は浮上しても、フック46に取り付けられた係留ライン16の張力は殆ど変化しない。風車2の通常運転時等において風車2をヨー旋回させる場合には、チェーンリング45を基準としてヨー旋回機構47を駆動する。これにより、風車2の円滑なヨー旋回が可能となる。なお、この構成は、上記図3及び図4に示したように、タワー8に対してナセル6が不動の場合に好適に用いられる。

以下、図11を参照して、一実施形態に係る浮体式風力発電装置の部品搬送手順について詳述する。図11(a),(b)は、一実施形態に係る浮体式風力発電装置の部品搬送手順を示す図である。なお、ここでは一例として浮体式風力発電装置1から船100に第1電気機器60を移動させる場合について説明する。第1電気機器60は、ナセル6の第1積み下ろし位置Aに配置されている。

図11(a)に示すように、メンテナンス時等において船(ポンプ船)100が接近したら、風車2を図中矢印方向に移動させ、風車2の少なくとも一部を潜水させる。このとき、第2電気機器20は、上述した何れかの移動機構によって、水没しないようにタワー8に対して鉛直方向上方に相対移動する(図2、図5及び図6参照)。そして、図11(b)に示すように、風車2の少なくとも一部が水面WLより下方に沈んだ状態を維持して、風車2側における第1積み降ろし位置Aと、水面側における第2積み降ろし位置Bとの間で第1電気機器60を移動させる。第1電気機器60の移動には、例えばクレーン108が搭載された船(クレーン船)100が用いられる。なお、第1電気機器60の移動には、風車2側に設けられたクレーンやウィンチ等の昇降装置(不図示)を用いてもよい。

上記した浮体式風力発電装置1の部品搬送方法によれば、風車2の少なくとも一部を潜水させることによって風車2の水面WLからの高さが低くなり、波浪や潮流等により風車2が揺動しても風車2上方の揺れはそれ程大きくならないので、ブレード3、ハブ4又はナセル6のような高所においても部品搬送の作業性を向上させることができる。また、浮体10やタワー8を水中に沈めることによって、波浪や潮流等による揺動の減衰効果が高くなり、風車2全体の揺動もより一層小さくすることができる。さらに、クレーン船100を用いて、風車2側の第1積み下ろし位置Aと水面側WLの第2積み下ろし位置Bとの間で部品を移動させる場合、クレーン船100のブームの揚程は低くてよいため、船体の揺れによるブーム先端(部品が取り付けられるフック位置)の揺れを小さくでき、より一層作業性を向上できる。さらにまた、短いブーム長のクレーンでよいことから、クレーン船100の特殊性が軽減し、より汎用性のある船体及びサイズの船100を利用できる。 また、風車2の潜水時に、第2電気機器20が水没しないように、タワー8に対して第2電気機器20を鉛直方向に相対移動させるようにしたので、第2電気機器20を浸水から確実に保護できる。 なお、これらの実施形態において、船100から浮体式風力発電装置1へ第1電気機器60を移動させる場合には、上記と逆の手順を行う。

また、第2電気機器20を移動させた後、風車2を浮上させて、風車2を乾燥させてもよい。特に、タワー8の内部空間を乾燥させる。乾燥方法としては、例えばタワー8の内部空間に温風を供給して、内部空間の温度を上昇させてもよい。これにより、円滑に風力発電装置1の通常運転を再開することが可能となる。 さらに、浮体式風力発電装置が洋上に設置される場合、風車2を乾燥させる前に、真水で洗浄するようにしてもよい。これにより、風車2の潜水時に、海水中に含まれる腐食性物質が風車2に付着した場合であっても、風車2の浮上後にこれを除去でき、風車2を構成する部品が腐食することを防止できる。

さらにまた、風車2を潜水させる前に、浮体10を係留するためのアンカー付きの係留ライン16を浮体10から取り外して、該係留ライン16をブイに取り付けておいてもよい。その場合、風車2を潜水させる際には、浮体10から係留ライン16が取り外された状態で、風車2の潜水を行ってもよい。これにより、風車2の潜水時に、係留ライン16によって潜水動作が阻害されることを防げ、円滑に風車2を潜水させることができる。

他の実施形態において、図12〜図17の構成を備えていてもよい。図12は本発明の他の実施形態における浮体式風力発電装置が海上に係留されている状態を示す斜視図である。図13(a),(b)は、他の実施形態に係る浮体式風力発電装置の潜水手順を示す図である。図14は図13(b)のB部拡大図である。図15は(a),(b)は、他の実施形態に係る浮体式風力発電装置の姿勢調整方法を説明する図である。図16(a),(b)は、他の実施形態に係る浮体式風力発電装置の潜水手順を示す図である。図17(a),(b)は、更なる他の実施形態に係る浮体式風力発電装置の潜水手順を示す図である。 なお、図12〜図17には、セミサブ型の浮体式風力発電装置における潜水手段及びこれに関連した構成のみを示しており、第1電気機器60、第2電気機器20、及び第2電気機器20の移動機構等は省略している。

図12及び図13に示すように、一実施形態において、浮体式風力発電装置81は、水面WLに浮かぶ浮体90と、浮体90に立設された風車82とを備える。 風車82は、少なくとも一枚のブレード83と、ブレード83が取り付けられたハブ84と、ハブ84が取り付けられたナセル86と、ナセル86をヨー旋回可能に支持するタワー88とを有する。 浮体10は、平面視において仮想三角形の頂点位置に配置された柱状の3つのコラム91,92,93を有するとともに、第1コラム91と第2コラム92とを接続する長尺状の第1ロワーハル94、及び第1コラム91と第3コラム93とを接続する長尺状の第2ロワーハル95とを有する。そして、これら3つのコラム91,92,93と2つのロワーハル94,95とによって、平面視において浮体90は略V字状に形成されている。そして、平面視略V字状の真ん中に位置する第1コラム91の上面には上述した風車92が設置されている。

また、第1ロワーハル94と第2ロワーハル95とが直角に交わるとともに、第1ロワーハル94と第2ロワーハル95との交角の二等分線に対して左右対称をなす仮想直角二等辺三角形の頂点位置に、上述した3つのコラム91,92,93が配置されていてもよい。 さらに、特に図示しないが、第2コラム92と第3コラム93とを接続する第3のロワーハルを更に有してもよい。さらにまた、第1ロワーハル94と第2ロワーハル95とが、補強用の梁部材によって連結されていてもよい。 なお、上記実施形態では、第1コラム91及び第2コラム92、第1コラム91及び第3コラム93をそれぞれ接続する連結部としてロワーハル94,95を例示したが、連結部はこれに限定されるものではない。

一実施形態において、浮体90は、その内部にバラスト水を貯留するバラスト室(不図示)が形成されていてもよい。バラスト室は、コラム91,92,93及びロワーハル94,95の少なくとも何れかの内部空間に設けられる。また、バラスト室は、ロワーハル94,95の延在方向に複数に分割された構成であってもよく、これによりロワーハル94,95の延在方向に浮力分布を形成することができ、風車2の姿勢を適切に制御することができる。このバラスト室にバラスト水が注入されることで、ロワーハル94,95の上面よりも上方に喫水面(水面)WLが位置した状態で水面に係留される。また、バラスト室は、風車2の潜水手段としても用いられてもよい。その場合、風車2の少なくとも一部が潜水する浮力となるようにバラスト室にバラスト水を注入する。バラスト室がロワーハル94,95の延在方向に複数に分割された構成である場合、各バラスト室におけるバラスト水量を調節して、風車2が水平状態を維持したまま鉛直方向下方に沈むようにしてもよい。なお、風車2を潜水させる際には、タワー8の内部空間にもバラスト水が供給されるので、この内部空間もバラスト室の一つに含まれる。

また、浮体90は、その上面に風車82が設置されている第1コラム91が主風向Wに対して風上側に位置するように配置されてもよい。その場合、第2コラム92及び第3コラム93は、第1コラム91よりも主風向Wの風下側に位置するように配置される。このように、風車2が設置されている第1コラム91を主風向Wの風上側に位置するように配置することで、風荷重を受けて背面側に傾倒しようとする風車82の安定性を高めることが出来る。 さらに、浮体80には、図12に示すように、水底Eに固定されたアンカー(不図示)に連結された複数の係留ライン96が、懸垂曲線を描くようにカテナリ状に接続されていてもよい。その場合、浮体90は、これらアンカー及び係留ライン96によって、浮体90に作用する漂流力や回転モーメントに抵抗して海上に係留される。

図13(a)に示すように、タワー88が水面WLより上方に位置する状態において、タワー88の内部空間及び浮体90のバラスト室にバラスト水を供給して、図13(b)に示すように、風車82の少なくとも一部が潜水するように、浮体90とともに風車82を沈める。このとき、浮体90が水平状態を保ったまま沈むように、バラスト水量を調節してもよい。

図13(b)に示すように風車82が放射状に延びる3枚のブレード83を有する場合、タワー88とともに、下方に位置するブレード83の一部が浸水することがある。このような場合には、図14に示すように、水面WLに近いブレード83に保護カバー96を取り付けてもよい。保護カバー96は水を通さない材質で形成される。また、保護カバー96が外れないように、保護カバー96にフック97を取り付けて、保護カバー96をハブ84側にワイヤー98で吊ってもよい。さらに、保護カバー96にフロート99を取り付けてもよい。

また、図15(a)に示すように、浮体式風力発電装置81の潜水時又は浮上時における姿勢調整において、浮体90が水平状態で鉛直方向に移動するように、フロート110を用いてもよい。例えば、第2コラム92、第3コラム93にフック112を設けて、フックに取り付けたワイヤー114の先端にフロート110を接続する。フロート110の替わりに、第2コラム92、第3コラム93内に空気室115を設けて、空気室115内の空気容積を調節することによって姿勢調整を行ってもよい。 さらに、図15(b)に示すように、浮体式風力発電装置81の潜水時又は浮上時における姿勢調整において、浮体90が水平状態を維持したまま鉛直方向に移動するように、船(クレーン船)100に搭載されたクレーン108で浮体90を吊ってもよい。例えば、第2コラム92、第3コラム93に設けられたフック112にワイヤー114をかけて、クレーン108で上方に引き上げる。

さらに、図16(a)、(b)に示すように、海底Eに浮体設置台120を設けて、浮体式風力発電装置81を沈めた際に浮体90が浮体設置台120に載置されるようにしてもよい。具体的に、浮体設置台120は、各コラム91,92,93を支持する3つの支持部121と、各コラム91,92,93の底面にそれぞれ係合する係合部122と、3つの支持部121を互いに連結する連結部123とを有する。そして、図16(a)に示すように、各コラム91,92,93の底面が浮体設置台120の係合部122に係合するまで浮体式風力発電装置81を沈める。これにより、潜水時における浮体式風力発電装置81の姿勢を安定して維持することができる。 また、各支持部121のワイヤー取付け部124に取り付けられたワイヤー127の先端にフロート126を接続してもよい。このフロート126は、浮体設置台120の位置を作業者に知らせる目的で設けられる。 さらにまた、浮体設置台120に取り付けられたワイヤー127を、船100に搭載された昇降機構109に付け替えて、船100で浮体設置台120を吊り上げた状態で他の場所に移動させることもできる。

また、図17(a)、(b)に示すように、浮体式風力発電装置131の風車132が、ナセル136に取り付けられたハブ134から反対方向に延在する一対のブレード133を有する場合、風車131を潜水させる前に、一対のブレード133が水平方向に沿うようにハブ134の角度位置を調整し、一対のブレード133が水没しない位置まで風車132を潜水させてもよい。このように、一対のブレード133が水平方向に沿うようにした状態で風車132を潜水させることにより、ブレード133が水に浸かることを防止できる。

以上説明したように、上述の実施形態によれば、風車2(82,132)の潜水時において、高所に設置される第1電気機器60にケーブル25を介して接続される第2電気機器20が、タワー8(88)に対して鉛直方向に相対移動可能であるから、第2電気機器20が水没することを確実に防止できる。また、第2電気機器20は、タワー8(88)に対して鉛直方向に相対移動可能に構成されているので、風車2(82,132)の通常運転時には適切な位置に第2電気機器20を配置することができる。

以上、本発明の実施形態について詳細に説明したが、本発明はこれに限定されず、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良や変形を行ってもよいのはいうまでもない。

上述の実施形態では、風車の潜水手段として、タワー内部空間又は浮体のバラスト室にバラスト水を注入する構成を例示したが、潜水手段の構成はこれに限定されるものではない。例えば、浮体に複数接続された係留ラインの張力をそれぞれ調節することによって風車を潜水させる構成としてもよい。また、風車又は浮体に錘や船等の自重を付与することによって浮体を潜水させる構成としてもよい。

1,81,131 浮体式風力発電装置 2,82,132 風力発電機 3,83,133 ブレード 4,84,134 ハブ 4a ハブカバー 5 ロータ 6,86,136 ナセル 8,88 タワー 8a,8b 給排水口 10,90 浮体 11 浮体本体 12 バランスウェイト 13 浮力体 14 フーティング 15 アンカー 16,96 係留ライン 19 ケーブルローラ 20 電気機器ボックス 21 第2電気機器 22,99,106,110,126 フロート 23,32 クランプ 25 ケーブル 26 フレーム 27 ガイドローラ 41 ラダーカバー 42 ラダー 45 チェーンリング 47 ヨー駆動機構 60 第1電気機器 61 回転シャフト 62 軸受 63 ドライブトレイン 91 第1コラム 92 第2コラム 93 第3コラム 94 第1ロワーハル 95 第2ロワーハル 96 保護カバー 100 船 101,102,103 ポンプ 102,104 ホース 108 クレーン 109 昇降機構 115 空気室 120 浮体設置台 A 第1積み下ろし位置 B 第2積み下ろし位置

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