発電設備

申请号 JP2013202963 申请日 2013-09-30 公开(公告)号 JP6200748B2 公开(公告)日 2017-09-20
申请人 株式会社日立製作所; 发明人 舩橋 茂久; 繁永 康; 稲村 慎吾; 織田 勝;
摘要
权利要求

風を受けて回転するブレードと、 前記ブレードの回転により駆動され発電する発電機と、 前記ブレードを支持するナセルと、 前記ナセルを回転可能に支持するタワーを有し、 前記ナセルの、前記ブレードが設置される側の反対側から風を受ける風発電設備において、 前記ナセルの外部風上側に前記ナセル内の熱を冷媒を介し放熱するラジエータが設置され、 前記ラジエータは吸込面が風上方向に向くように設置され、 前記ラジエータの後流に、前記ラジエータを通過した風を導く流路が形成され、 前記流路出口の前記流路を形成するナセル外壁と前記ナセル側面の接続部にR部を設け、 前記流路を形成するナセル外壁と前記ナセル側面の接続部に形成された前記R部が、前記ラジエータの下端部と同等の高さになるように前記ラジエータが設置されることを特徴とする風力発電設備。請求項1に記載の風力発電設備であって、 前記流路は、前記ナセル風上側のナセル外壁を含む面により形成されていることを特徴とする風力発電設備。請求項1または2に記載の風力発電設備であって、 前記ラジエータは、前記ラジエータをナセルに支持する部材に内包されるように設置されていることを特徴とする風力発電設備。請求項1乃至3のいずれかに記載の風力発電設備であって、 前記ラジエータの吸込面と垂直な方向から見た、前記ナセルの投影面に収まるように、前記ラジエータが設置されていることを特徴とする風力発電設備。請求項1乃至4のいずれかに記載の風力発電設備であって、 前記流路出口の合計面積が前記ラジエータのコア面積より大きいことを特徴とする風力発電設備。請求項1乃至5のいずれかに記載の風力発電設備であって、 前記ラジエータの内部の冷媒の流れる方向が上下方向であることを特徴とする風力発電設備。請求項1乃至6のいずれかに記載の風力発電設備であって、 前記ラジエータの吸込面と垂直な方向が、平より上方に傾斜するように前記ラジエータを設置することを特徴とする風力発電設備。請求項1乃至7のいずれかに記載の風力発電設備であって、 前記ナセルの上面に風を計測する計測装置を設置することを特徴とする風力発電設備。請求項1乃至8のいずれかに記載の風力発電設備であって、 前記ナセルの側面側に前記流路排気口を有することを特徴とする風力発電設備。請求項9に記載の風力発電設備であって、 前記ラジエータが風上方向に凹形状である、または前記ラジエータが風上方向に凹になるように二つのラジエータを傾斜して配置されていることを特徴とする風力発電設備。請求項1乃至10のいずれかに記載の風力発電設備であって、 前記ラジエータの上流に前記ナセルの換気用取り入れ口を設置することを特徴とする風力発電設備。請求項11に記載の風力発電設備であって、 前記換気用取り入れ口につながる流路に塩害フィルタを設置することを特徴とする風力発電設備。風を受けて回転するブレードと、 前記ブレードの回転により駆動され発電する発電機と、 前記ブレードを支持するナセルと、 前記ナセルを回転可能に支持するタワーを有し、 前記ナセルの、前記ブレードが設置される側の反対側から風を受ける風力発電設備において、 前記ナセルの風上方向は片側が他方より突出した形状を有し、 前記突出した形状部に前記ナセル内の熱を冷媒を介し放熱するラジエータを備え、 前記ラジエータは吸込面が前記ナセルの風上方向に向くように設置されており、 前記突出した形状部の前記ラジエータが設置されたナセル外壁を含む壁面により、前記ラジエータを通過した風を導く流路が形成されており、 前記流路出口の前記流路を形成するナセル外壁と前記ナセル側面の接続部にR部を設け、 前記流路を形成するナセル外壁と前記ナセル側面の接続部に形成された前記R部が、前記ラジエータの下端部と同等の高さになるように前記ラジエータが設置されることを特徴とする風力発電設備。

说明书全文

本発明は、自然風を用いて内部機器の冷却を行う風発電設備に関するものである。

通常、風力発電設備は、ブレードにより回転するロータを、主軸を介して支持するナセルが、タワー上部に備えられた構成となっている。このナセルの内部には、ブレードの主軸の回転によって回転させられる発電機が備えられることが多い。発電機の好ましい回転数を得るために、ロータと発電機の間に増速機を配置して、発電機の回転数を増加させる構成とする場合もある。発電機によって発電された電気エネルギーは、電力変換器や変圧器を介して電力系統に供しうる電力に変換される。

発電機、増速機、電力変換器、変圧器等の機器は、風力発電設備に内蔵されるが、機器の損失を熱として発生させる。そのため、発生する熱を放散させ、機器を適正な温度で運転できるような冷却システムが必要である。最終的には風力発電設備外部の大気、あるいはに熱を放散するべく、放熱器(ラジエータ)やファンを用いたシステムが用いられることが多い。ここで、可動部であるファンを無くした冷却システムとして、例えば特許文献1に記載されたものがある。この公報には、風力発電設備の熱を周辺空気へ取り除くために、ナセル頂上に冷却装置(ラジエータ)を配置し、自然風で冷却する構成が記載されている。また、特許文献2には、ナセル内に配置された変圧器や発電機を、自然風によってナセル内に導入された空気を使って冷却する構成が記載されている。特許文献3には、ナセルにおける川上側の壁面に通風口部を有し、この通風口部に熱交換部を設置するアップウィンド型風車の例が示されている。

特開2012−233481号公報

特開2012−072684号公報

特開2009−185641号公報

上記のように、特許文献1および2は自然風を利用して風力発電設備内の熱を周辺空気に放散させる構成を示しているが、いずれの場合も、効率的に機器の冷却を行なうためには、如何に多くの空気をラジエータ、あるいは冷却対象となる機器に導くかが重要である。また、風力発電設備においては、信頼性向上、コスト低減のために、風による荷重の抑制、ナセルの小型軽量化も求められる。さらに、効率的、安定的な発電のために、ナセルやラジエータ等の配置・構造がブレードに加わる風を消耗し乱すことを抑制することが求められる。そこで、本発明では、ナセル部において効果的な冷却を実現するために、自然風による冷却風量の確保がしやすいような流路構成を有する風力発電設備を提供することを目的とする。

上記課題を解決するために、例えば特許請求の範囲に記載の構成を採用する。

本願は上記課題を解決する手段を複数含んでいるが、その一例を挙げるならば、風を受けて回転するブレードと、前記ブレードの回転により駆動され発電する発電機と、前記ブレードを支持するナセルと、前記ナセルを回転可能に支持するタワーを有し、前記ナセルの、前記ブレードが設置される側の反対側から風を受ける風力発電設備において、前記ナセルの外部風上側に前記ナセル内の熱を冷媒を介し放熱するラジエータが設置され、前記ラジエータは吸込面が風上方向に向くように設置され、前記ラジエータの後流に、前記ラジエータを通過した風を導く流路が形成され、前記流路出口にR部を設け、前記流路を形成するナセル外壁と前記ナセル側面の接続部が、前記ラジエータの下端部と同等の高さになるように前記ラジエータが設置されることを特徴とする。

本発明によれば、ナセル部において効果的な冷却を実現するために、自然風による冷却風量の確保がしやすいような流路構成を有する風力発電設備を提供することが可能になる。

実施例1に係る洋上設置の風力発電設備を示す概略図である。

実施例1の風力発電設備のナセル部分の概略側面図である。

実施例2の風力発電設備のナセル部分の概略側面図である。

実施例3の風力発電設備のナセル部分の概略水平面図である。

実施例4の風力発電設備のナセル部分の概略側面図である。

実施例5の風力発電設備のナセル部分の概略側面図である。

実施例1の風力発電設備のナセル部分の投影図である。

以下、図面を用いて本発明の実施例を説明する。

実施例1について図1ないし図2を用いて説明する。

図1には、実施例1における洋上設置の風力発電設備の概略図を示す。該風力発電設備は、水面下から洋上に突き出すように設置されたタワー7の頂部にナセル6を配置しており、該ナセル6は、ブレード1とハブ(図示せず)を有するロータ2を軸支している。ロータ2は主軸3、さらには増速機4を介して発電機5に接続されている。発電機5は電力ケーブル(図示せず)によってタワー7の下部に内蔵された電力変換器8、変圧器9等の電気品につながっている。そして該風力発電設備は、発電機5及び増速機4の冷却のために冷却媒体(冷媒)として不凍液を混合した冷却水を用いており、その冷却水を導くラジエータ13が設置される。ラジエータ13は、その排気側壁面を延長し、ナセル部の外側に支持部材で支持されるように、また、ラジエータ支持部材に内包するかたちで配置している。ラジエータを流れる冷媒はオイル等でもよい。

図2に本実施例1の風力発電設備のナセル6部分の概略側面図を示す。なお、図2においてはラジエータ13の周囲のみ、その構成がわかるように側断面として表示している。風は左側から右側に吹いており、ナセル6はブレード1が設置される側の反対側から風を受けている。すなわち、本風力発電設備はタワー7の下流側にブレード1が位置するダウンウインド型である。

ここでは便宜上、ナセル6のブレード1が設置される側を風下側、ナセル6のブレード1が設置される側の反対側を風上側と呼称する。また、ナセル6に対してブレード1が設置される方向をナセル6のブレード方向、ナセル6に対してナセルが風を受ける方向をナセル6後ろ方向と呼称する。更に、ナセル6のタワー7が接続される側を下、その反対側を上、上下以外の風に略平行な面を側面と呼称する。

ナセル6の風上側にはラジエータ13が、その吸込面が風上方向に向くように設置されている。ラジエータ13には、発電機または増速機またはナセル内に溜まった熱を冷却してそこで発生した熱によって高温となった冷却水が流入し、外気に放熱する構成となっている。ラジエータ13の風上側には自然風を直接受け入れられるように開口した吸気口14が設けられている。ラジエータ13の風下側にはラジエータを通過した空気の流れAをナセル6下方に向けて案内するように流路20が構成されており、ナセル6下方向にその空気を外部に流出させる流路20の出口である排気口15aが設けられている。ラジエータ13は流入する風に対向するように設置され、ラジエータ13のフィンの間を通った風は排気口15aへと導かれる。本実施例では流路20としてラジエータ13の吸込面入口の吸気口14から、ラジエータ13の支持部材とナセル6の外壁面により形成された流路20を経て排気口15aを結ぶ傾斜曲面が形成されている。ナセルの高さ距離の多くを使って、風上側の吸気口14から流入した自然風を緩やかにナセル下面に流すための排気口15aに向けて曲げることで、曲げ損失が抑制される。傾斜曲面は、平面の傾斜壁を複数用いて形成してもよい。流路20はナセル風上側のナセル外壁を含む面により構成されていてもよい。流路20を構成するための傾斜曲面はナセル風上側のナセル外壁を含んでもよいし、ラジエータ13を支持する部材の面を含んでもよし、ナセル外壁の延長部材のみで形成されていてもよい。風の流路はラジエータ13のフィンや排気口R部15cの形状や、ナセル上部の形状により形成される圧力分布により総合的に定まるため、風の当たる傾斜曲面壁が部分的に風に垂直であっても風の流路20を形成することは可能である。流路とは、例えば流れを指向性をもって導く作用を生じさせる構成要件である。本実施例ではラジエータ13を通過した空気の進行方向に対して傾斜した面を含む流路により、流れがナセル側壁部に沿った空気の流れに合流するように、損失少なく導かれる。

吸込面を風上に向けることでラジエータ13の吸気側の圧力を高めることが出来るが、ラジエータ13の排気側に風の流れを形成できなければ、ラジエータ13の背面の圧力が下がらず、ラジエータ13に風を流通させるために必要な表裏の差圧が生じさせにくい。本実施例により、ブレードの風上にラジエータを設置するダウンウインド型風車において、ブレードに向かう風エネルギーの低減を抑制したまま、吸引ファン無しでも十分な冷却性能を持つラジエータを有する風力発電装置を実現する。

ナセル6はその外壁で覆うことで、塩分等を含む外気から内部に設置された発電機等機器を隔離するために、外部環境とは隔てた内部環境を形成することが望ましい。さらに、ナセルは風荷重低減のためコンパクトであることが求められており、ナセルの内部は機器が無駄なく詰め込まれた状態になっている。配管等体積を取る構成物は、ナセル内部に配置する必要の薄い場合ナセル内に設置しないことで、よりコンパクトなナセルが実現できる。さらに、ナセル6はブレードの風上に位置する場合、ナセル体積の増加は風の流れを阻害し効率低下を招く恐れがあり、また、その外観を風の流れの損失を招く形状にすることは望ましくない。また、外気をナセル内等の狭い領域に導入した場合であって、更にラジエータや冷却する機器等でその流れを阻害した場合、それを狭い領域から排気する流れを形成するためにファン等機器を新たに設けなければ、外気を継続的に導くのは困難であるという課題もある。

ダウンウインド型風車において、ナセル風上側外部に設置したラジエータ13の吸込面を風上方向に向け、自然風を用いて冷却するために、ナセル6の外側に、特にナセル外壁を含む面でラジエータ13下流の流路20が形成されている場合、上記課題が改善できる効果がある。

異物侵入を防ぐために、又は自然風の整流・流入量制御のために、吸気口14にルーバーを設けてもよい。

ナセル6の下方向に主要な排気口15aを設けることは、上面や側面に設ける場合に比べ、ナセル下流のブレード1に加わる風力への影響を少なく抑え、安定した風の流れをブレード1に供給する効果がある。ナセル6下面はもともとタワー7で風の流れが阻害されており、タワーよりさらに上流にあるナセル6の凹凸形状やナセル6からの排気により発生する乱れや損失が追加で発生しても、その影響は小さく抑制される。

また、本実施例においては、ラジエータ13の排気側壁面とナセル6の接合部により形成された、ナセル6の側方にも排気口15bを設けている。それにより、限られたスペースで排気口の合計面積を大きくとることが出来る。

ナセル6上方に排気口を設けないのは、ナセル6上面には風向風速計(図示せず)を設けることが多く、その計測精度に影響しないようにとの配慮によるものであるが、流路を上方に導くように形成することで、既存の発電設備に比較し効率を改善することは可能である。

図7に、ラジエータ13を設置する本実施例のナセル6の具体的な形状の例として、その投影図を示す。尚、ラジエータ13の周辺構造を明らかにするために、図7にはラジエータを図示していないが、ラジエータ13はラジエータ支持部材16の上に設置されることになる。ラジエータ16の上部と側部を、それぞれナセル上面壁と側面支持部材21に接触するようなサイズで設置すると、ラジエータ13のサイズを大きくとれ、入った風を逃すことなく効率よくラジエータ16で受けられる、若しくは、ラジエータ16を通すための静圧に変換することが出来る。ラジエータ16の上部を、流路20を構成する傾斜面やナセル外壁に対向して接触するような位置に設置しても同様に風を効率よく受けることが出来る。

ラジエータ支持部材16はその両端が側面支持部材21に接続されている。ナセル側面側にも排気口15bを設ける場合には、ラジエータ両側の側面支持部材は、ナセル後縁において、ラジエータ上部構造から下部に向かって、ブリッジを形成する。特にナセル6の下方向に排気する排気口15aの面積が十分に取れる場合は、側面の排気口15bは必ずしも必須では無い。ナセル側面の排気口15bが無い場合は、ラジエータの側面支持部材21はナセル6の両側側壁と繋がった形になり、外観上ナセル側壁と段差なく繋がっていてもよい。

ラジエータ支持部材16は、図2や図7において、側面支持部材により支持された楕円柱状の部材として示されているが、流路20の形状によりラジエータ13の吸気口と排気口15aをより明確に離して形成するために、ラジエータ支持部材16を側面支持部材21とラジエータ下部で外観状一体化するように構成してもよい。

次に、本風力発電設備の動作について説明する。風力発電設備は風向Aにロータ2の回転面を向けるようにナセル6が回転(ヨー制御)し、風のエネルギーによってブレード1が力を受け、ロータ2が回転する。ロータ2の回転は、増速機4を介して発電機5に好適な回転数まで高めて、発電機5に伝えられる。発電機5が回転することで発電された電気エネルギーは、電力変換器8によって整流され、さらに変圧器9によって電圧を調整し、電力系統に送られる。この際、発電機5、電力変換器8、変圧器9等では、電流が流れる際の損失により、熱が発生する。また、増速機4も損失が熱となって発生する。

本実施例の風力発電設備では、発電機5、増速機4の冷却に本発明を適用した水冷方式を採用している。すなわち、ポンプによって発電機5、増速機4とラジエータ13の間に冷却水を循環させ、発電機5、増速機4で奪った熱をナセル6上流部に設置したラジエータ13で外気に放熱することで、冷却をおこなっている。但し、本発明の適用範囲が水冷方式に限られる訳ではない。たとえば、ラジエータといってもそれは水冷方式の物に限られるわけではなく、増速機の油を直接、外気で冷却するオイルクーラーであっても良い。

自然風が吹いて風力発電設備が発電する際には、ナセル6の風上側に配置され、風上側に向けて正対したラジエータ13に自然風が流入する。ラジエータ13およびその前後の圧力損失によって、ラジエータ13を通過する空気の流れAは、自然風の速度よりも減速するが、ナセル6の最上流部に配置されたことにより、自然風の動圧を活用して効果的に、ラジエータ13を冷却することが出来る。この動圧は本来、ダウンウインド型の風力発電設備では、ブレードよりナセルが風上にあることにより損なわれる風力エネルギーでもある。本実施例の構成により、このエネルギーを効率よくナセル内の熱の排熱に用いることが出来る。

また、発電量が多いときには、必然的に自然風も強いことから、放熱性能を高めたいときに、ラジエータ13を通過する風量を増やすことが出来る。ファン動力も要らないため、無駄なエネルギーを消費することもない。また、本風力発電設備が洋上に設置されていることを考慮すると、塩分を多く含み、湿度の高いナセル6外の環境に、稼働部を有するファン(およびファンモータ)を配置すると腐食によって故障する危険性があるため、ファンを必要としない本冷却システムは風力発電設備の信頼性向上にも寄与することになる。さらに、ラジエータ13を支持するために、ラジエータ13から伸びる支持部材により、またはナセル6の外部ではあるがナセル6から伸びる部材に内包される形で設置するため、ブレード1に加わる風が上流に位置するラジエータにより乱されることもない。同時に、ラジエータ13はラジエータ13の吸込面と垂直な方向から見たナセルの投影面、つまりナセルの受風面に収まる状態となるため、ラジエータ13を含めたナセル6の風に対する投影面積が抑制され、風力発電設備に作用する風による荷重の軽減が図れる。

さらに本実施例の風力発電設備では、自然風によるラジエータ13への空気流入をより効果的に行なうために、以下に示すような工夫を施している。

まず、ラジエータ13下端に位置する排気口部分にR部15cを設けている。言い換えると、ラジエータの上下端部のいずれかと同等の高さに位置する排気口部分にR部を設けたことを特徴とする。R部は、吸気口14から排気口15aに向かって設置され流路20を形成するナセル外壁傾斜面と、ナセル下面の接続部に設けられている。R部15cの風上にある構造物は、ラジエータ支持部材16を含め、R部に向かう風の流れが妨げられないように設置されている。ナセル6下面を流れる空気は、ラジエータ13の圧力損失等の影響を受けないため、排気される空気よりも流速が高い。この流れがR部15cを回り込むためにさらに増速するため、そこで局所的に負圧領域17が生じる。R部が排気口15a付近に設けてあることから、発生した負圧は排気口15a付近の圧力を下げることになり、吸気口14から取りこまれラジエータ13を通過する風量を増加させる作用を持つ。さらには、R部17の位置とラジエータ13下端を近くに配置していることから、直接的にラジエータ13の背面の圧力を下げ、ラジエータ13を通過する風量の増加が望める。更に、排気口15aから排出されるナセル下方向のベクトル成分を持った空気が、ナセル下面に沿った風下方向に曲がるとき、そこにR部があることで曲げによる圧力損失も抑制されるため、さらに風量増加の効果が望める。R部のサイズは、例えばナセル高さの1/5〜1/50とすることが出来る。また望ましくは例えば1/10〜1/30とすることが出来る。R部は円形状でなくても同様の効果は得られる。

ナセル6下面及び側面に設けた排気口15a、15bの面積の合計はラジエータ13のコア面積よりも大きくしている。ラジエータ13の前面を風上側に向けた本構成では、ラジエータ13下流側で排気流路20を大きく曲げる必要があり、そのためラジエータ13の通過圧損以外の流路圧損は、主にラジエータ13の下流側で生じる。排気口面積を十分に大きくし、少なくともラジエータコア面積よりも大きくすることで、下流側での増速を避け、そこでの流路圧損の上昇を抑制することができる。なおラジエータ13のコア面積とは、熱交換のために風を受ける部分の面積を意味する。また、排気口15aから流出する空気の流れAがナセル6下面を流れる空気よりも十分に速度が低く、R部15cにおいて外部の流れの方が支配的であることは、上述のようにR部15cで発生した負圧17を利用するためにも重要である。

また、ラジエータ13の内部に対する工夫としては、冷却水の流れる方向Wを上下方向としていることがある。上述のように本構成では風上側からラジエータ13にまっすぐ入った流れを、ラジエータ13の下流側で下方(一部側方)に曲げる流路構成としている。また、吸気口14も上下非対称となっている。このため、ラジエータ13を通過する空気の流速分布は、横方向に対しては均一になりやすい一方で、上下方向には曲げ流路の影響で流速分布がつきやすい。ラジエータ13の上下方向に管内流路を設け、冷却水を上下方向に流すことにより、各々の各管内流路(パス)が、ラジエータ13の上下方向についた風速分布の影響を同様に受けることになるため、一部のパスに対する風速が著しく低いといった現象は生じず、ラジエータ13の全域で効率よく熱交換することが可能になる。流路により流れを導く方向が下方向以外の構成でも同様の均一化効果が得られる。

図3を用いて、本発明の実施例2について説明する。なお、実施例1と重複する箇所についてはその説明を省略する。図3は、本実施例の風力発電設備のナセル6部分の側断面図である。なお、図3においてはラジエータ13aの周囲のみ、その構成がわかるように側断面として表示している。ラジエータ13aは、その吸込み側の面を上方に向けた形で傾斜配置されている。

自然風を効果的にラジエータに取り込むためには、風上に向けてラジエータを正対させるのが望ましいが、一方で、搭載するラジエータを少しでも大きくした方が冷却性能を確保する上で好適である。本実施例の場合、主たる排気口15aがナセル6下面に設けられているため、わずかにラジエータ13aの吸込面と垂直な方向の風上側が、水平より上方に向く形でラジエータ13aを傾斜配置させることにより、ラジエータ13aのフィンも下方に傾き、ラジエータ13aのフィンが流れを下方に向ける案内板として作用し、その分ラジエータ13a背後での空気の流れの偏向を緩和でき、圧力損失を抑制できる。勿論、限られた流路にラジエータ13aを傾斜配置することで、ラジエータ13aがナセル6の投影面に収まる範囲でラジエータ13aを大きくすることができる効果がある。

図4を用いて、本発明の実施例3について説明する。なお上述の実施例と重複する箇所についてはその説明を省略する。図4は本実施例の風力発電設備のナセル6部分の概略水平面図であり、ラジエータ13bの周囲のみ、その構成がわかるように水平断面として表示しており、下方から見たように表記している。

本実施例では主たる排気口15bがナセル6の両側面に配置されている。上述の実施例2では、ラジエータ13aの吸込み面を上方に向けた形で傾斜配置していたが、本実施例では二つのラジエータをナセル側面方向に並べて構成され、この二つのラジエータの近接部がナセルのブレードが設置された方向、つまり下流側に近くなるように傾斜している。つまりラジエータ13bは、分割したその中央部分を最下流に位置させ、左右両端を若干上流側になるように傾斜配置させている。すなわちラジエータが風上方向に凹になるように二つのラジエータを傾斜して配置されている。これにより、実施例2と同様、限られた流路により大きいラジエータ13bを配置でき、かつラジエータ13bの下流側の流路圧損を抑制できる。

ラジエータ13bは、一つのラジエータでナセル風上方向に凹形状であってもよい。

図5を用いて、本発明の実施例4について説明する。なお、上述の実施例と重複する箇所についてはその説明を省略する。

図5は、本実施例の風力発電設備のナセル6部分の側断面図である。なお、図5においてはラジエータ13の周囲のみ、その構成がわかるように側断面として表示している。本実施例では、ナセル6の風上側に配置したラジエータ13の上流側に、ナセル6内を換気するための空気の換気用取り入れ口18を設けている。

ナセル6内に配置された発電機5や増速機4の冷却はラジエータを介して行なっているが、発電機5、増速機6の表面からの放熱や、軸受、その他電気機器(制御盤など)からの放熱もあり、ナセル6内の雰囲気温度を上昇させる要因となっている。ナセル6内の温度を低下させるためには低温の外気をナセル6内に導入し、換気を促すことが効果的だが、そのためにはファンを設置する必要が生じる。ただし、特許文献3のような方式で外気をナセル6内に導入することには、機器の腐食や劣化が懸念される等のデメリットもある。

このような事情のもと、本実施例は以下の知見により、特許文献3に比べはるかに高い効果を生じる構成を採用したものである。すなわち、ラジエータ13通過後の空気は温度上昇しているために、雰囲気温度を低下させるためにナセル6内に導入する空気としては不向きであり、風速も低下しているため効率良い導入が難しい。これに対して、ラジエータ13上流側の空気は、ある程度の風速(動圧)を有しており、温度上昇前の低温の状態なので、ナセル6内に導入するには好適である。図5では、ラジエータ13直前の流路側面に空気取り入れ口18を設けているが、これはラジエータ13の抵抗による圧力上昇を活用してナセル6内に空気を流入させようとしたものであり、これとは別に、流路に直接、空気取り入れ口18を突き出させて自然風の動圧を活かしてナセル6内に空気を導入してもよい。

また、ナセル6導入直後に塩害フィルタ19を通せば、ナセル6内部の機器を塩害から守ることも出来る。フィルタ19の圧損により十分な空気が導入できない場合は、フィルタ19の下流側に補助ファンを設ける必要があるが、その場合でもファンの駆動動力は小さくて済む。

図6を用いて、本発明の実施例5について説明する。なお、上述の実施例と重複する箇所についてはその説明を省略する。

実施例1では、ラジエータ13を支持するためにラジエータ13から伸びた支持部材、もしくは、ナセル外部のラジエータ13がナセル部から伸びた部材によって内包されている構成について説明したが、ラジエータ13がラジエータ13の側面支持部材21に覆われていなくても、流路20がナセル外壁を含む壁面により構成されていれば同種の効果が得られる。上述の実施例を含め、ラジエータ13の設置環境はその上流においても下流の流路においても、周囲空気の塩分濃度や湿度から鑑みて、ナセル風上側の外部環境に設置されている。つまり、ナセル6aの筺体は、ナセル上面、下面、両側面、ブレードの設置されている面、ナセル風上にある傾斜外壁により形成される。流路は傾斜外壁のみで構成されていてもよいし、ラジエータ13の支持部材により形成されていてもよい。

本実施例では、風を受けて回転するブレードと、前記ブレードの回転により駆動され発電する発電機と、前記ブレードを支持するナセルと、前記ナセルを回転可能に支持するタワーを有し、前記ナセルの、前記ブレードが設置される側の反対側から風を受ける風力発電設備において、前記ナセルの風上方向は上部が下部より突出した形状を有し、前記突出した形状部の下に前記ナセル内の熱を冷媒を介し放熱するラジエータを備え、前記ラジエータは吸込面が前記ナセルの風上方向に向くように設置されていることを特徴とする。

ラジエータ13を固定するために、図示されていないが、ラジエータ支持部材16がフレーム状にラジエータ13を固定し、ナセル上部突出部に固定する。突出部は図示されないが、逆に下部が上部より突出していており、流路をナセル上方に風を導くように構成することが出来る。また、ナセルの片側側壁が風上方向に延長されるように突出し、側面方向に風を導くように流路を形成することも出来る。

ナセル風上側の上部突出形状は、突出部分がフレームにより保護された筺体であっても、中に機器や冷媒配管が通っていても、外気を突出部からナセル内に導入する経路が形成してあってもよい。さらに、上部突出形状部はナセル上面壁が後部まで延長され、ひさしのように突き出しただけのものであってもよい。

ラジエータ13が構造体等により覆われていない状態で露出している場合、その凹凸形状により抵抗が大きくなるためナセルへの風荷重が増加し、下流のブレードに加わる風の流れを乱す可能性がある。また、ラジエータ周辺が構造体等により覆われていないと、ラジエータ13に当てた風が、ラジエータ吸込面付近の上昇した圧力によりラジエータ13を通らずに横に逃げてしまい、風量に対して冷却効率が低下する可能性がある。それらを抑制するために、実施例1のナセル形状のような図6には図示しない吸気口と排気口を有するカバーで覆われていてもよい。または、ラジエータ13はその側面が、図7の側面支持部材21で覆われていてもよい。または、ラジエータ13がラジエータをナセルに支持する部材に内包されていてもよい。内包されている状態とは例えば、ラジエータの端部が、ラジエータ厚み方向にラジエータ以上の厚みを有する構造物に接触若しくは近接している状態である。

本実施例においても、実施例1〜4で説明したどの構成を採用してもよい。例えば、突出した形状部の下側の傾斜曲面とナセル下面の接続部にR部15cを設けることができる。

以上、本発明の実施例について説明してきたが、上記に示した実施例はあくまでも例に過ぎず、発明内容を限定するものではない。例えば、被冷却対象として、発電機や増速機以外であっても、あるいは冷却媒体が油のような場合においても、放熱するラジエータや流路構成を同様に行えば、所望の効果が得られるものであり、本発明の意図する範囲内のものである。

本発明によれば、風力発電設備の機器冷却において、自然風によるラジエータ冷却を取り入れる場合に、必要最小限のラジエータに効率よく空気を取り込むことで、ナセルの小型化及び良好な冷却が実現できる低コストで効率のよい冷却システムを有する風力発電設備を提供することが出来る。タワー外部で可動するファンを無くして自然風で冷却する本システムは、ファンの消費電力を無くして省エネルギー性を高めるだけでなく、ファン故障時でも必要な冷却性能を得ることが出来、風力発電設備の予期せぬ停止や出力制限運転のリスクを軽減することができる。

1 ブレード 2 ロータ 3 主軸 4 増速機 5 発電機 6 ナセル 7 タワー 8 電力変換器 9 変圧器 10 基礎 12 海面 13 ラジエータ 13a ラジエータ(傾斜配置) 13b ラジエータ(傾斜配置) 14 吸気口 15a 排気口(ナセル下面) 15b 排気口(ナセル側面) 15c 排気口のR部 16 ラジエータ支持部材 17 負圧発生領域 18 ナセル換気用の空気取り入れ口 19 塩害フィルタ 20 流路 21 側面支持部材 A 空気の流れ W 冷却水の流れ

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