液化システム及び発電システム

申请号 JP2015046253 申请日 2015-03-09 公开(公告)号 JP2016166691A 公开(公告)日 2016-09-15
申请人 株式会社神戸製鋼所; ジャパンスーパーコンダクタテクノロジー株式会社; 发明人 井上 憲一; 斉藤 一功; 財津 享司; 井上 浩司; 伊藤 聡;
摘要 【課題】超電導モータの超電導磁石を臨界 温度 以下に冷却する冷媒について、冷媒を臨界温度以下にするためのエネルギーを減らす。 【解決手段】 液化 機4は、超電導モータ3によって駆動され、気体状態の物質を圧縮する第1の圧縮部40を含む。冷却回路5は、超電導モータ3によって第1の圧縮部40が駆動されているときに、超電導モータ3によって駆動され、冷媒を圧縮する第2の圧縮部50と、タンク2に貯留されている物質と圧縮された冷媒とで熱交換させることにより、冷媒を冷却する第1の熱交換部51と、冷却された冷媒を膨張させることにより、冷媒を超電導材料の臨界温度以下にする第2の膨張部52と、タンク2に貯留されている物質と超電導磁石を冷却した後の冷媒とで熱交換させることにより、冷媒の冷熱を物質に与える第2の熱交換部53と、を含み、第2の膨張部52で臨界温度以下にされた冷媒を超電導モータ3に送り、超電導磁石を臨界温度以下に冷却する。 【選択図】図1
权利要求

室温以下の沸点を有する物質を液体状態で貯留する貯留部と、 所定の超電導材料で構成された超電導磁石を含む超電導モータと、 前記超電導モータによって駆動され、気体状態の前記物質を圧縮する第1の圧縮部と、前記第1の圧縮部によって圧縮された前記物質を膨張させることにより、前記物質を気体状態から液体状態に変える第1の膨張部と、を含み、前記貯留部に貯留される液体状態の前記物質を生成する液化機と、 前記超電導モータによって前記第1の圧縮部が駆動されているときに、前記超電導モータによって駆動され、冷媒を圧縮する第2の圧縮部と、前記貯留部に貯留されている前記物質と前記第2の圧縮部によって圧縮された前記冷媒とで熱交換させることにより、前記冷媒を冷却する第1の熱交換部と、前記第1の熱交換部によって冷却された前記冷媒を膨張させることにより、前記冷媒を前記超電導材料の臨界温度以下にする第2の膨張部と、前記貯留部に貯留されている前記物質と前記超電導磁石を冷却した後の前記冷媒とで熱交換させることにより、前記冷媒の冷熱を前記物質に与える第2の熱交換部と、を含み、前記第2の膨張部で前記臨界温度以下にされた前記冷媒を前記超電導モータに送り、前記超電導磁石を前記臨界温度以下に冷却する冷却回路と、 を備える液化システム。前記貯留部は、前記物質が貯留され、かつ、前記第1の熱交換部及び前記第2の熱交換部が配置される第1の空間部と、前記超電導モータ、前記第2の圧縮部及び前記第2の膨張部が配置され、前記第1の空間部と隔離された第2の空間部と、を含む請求項1に記載の液化システム。前記貯留部外で前記貯留部に取り付けら、前記超電導モータ、前記第2の圧縮部及び前記第2の膨張部を収容する断熱密閉容器をさらに備え、 前記第1の熱交換部及び前記第2の熱交換部は、前記貯留部内に配置されている請求項1に記載の液化システム。前記第2の圧縮部は、スクリュロータである圧縮雌ロータと、前記圧縮雌ロータに噛み合うスクリュロータである圧縮雄ロータとを有するスクリュ式圧縮機であり、 前記第2の膨張部は、スクリュロータである膨張雌ロータと、前記膨張雌ロータに噛み合うスクリュロータである膨張雄ロータとを有するスクリュ式膨張機であり、 前記圧縮雌ロータと前記膨張雌ロータとは、同一の軸回りに一体的に回転可能となるように互いに連結され、 前記圧縮雄ロータと前記膨張雄ロータとは、同一の軸回りに一体的に回転可能となるように互いに連結され、 前記超電導モータは、前記膨張雌ロータ及びそれに連結された前記圧縮雌ロータを含む一方の回転体と、前記膨張雄ロータ及びそれに連結された前記圧縮雄ロータを含む他方の回転体とのうち少なくとも一方の回転体を回転させる請求項1〜3のいずれか一項に記載の液化システム。室温以下の沸点を有する物質を液体状態で貯留する貯留部と、 前記貯留部から供給される前記物質を燃焼させることにより生じたエネルギーを利用して回転するタービンと、 回転軸及び所定の超電導材料で構成された超電導磁石を含み、前記タービンの回転によって前記回転軸が回転されることにより発電する超電導発電機と、 前記回転軸の回転によって駆動され、冷媒を圧縮する圧縮部と、前記貯留部に貯留されている前記物質と前記圧縮部によって圧縮された前記冷媒とで熱交換させることにより、前記冷媒を冷却する第1の熱交換部と、前記第1の熱交換部によって冷却された前記冷媒を膨張させることにより、前記冷媒を前記超電導材料の臨界温度以下にする膨張部と、前記貯留部に貯留されている前記物質と前記超電導磁石を冷却した後の前記冷媒とで熱交換させることにより、前記冷媒の冷熱を前記物質に与える第2の熱交換部と、を含み、前記膨張部で前記臨界温度以下にされた前記冷媒を前記超電導発電機に送り、前記超電導磁石を前記臨界温度以下に冷却する冷却回路と、 を備える発電システム。前記貯留部は、前記物質が貯留され、かつ、前記第1の熱交換部及び前記第2の熱交換部が配置される第1の空間部と、前記超電導モータ、前記圧縮部及び前記膨張部が配置され、前記第1の空間部と隔離された第2の空間部と、を含む請求項5に記載の発電システム。前記貯留部外で前記貯留部に取り付けら、前記超電導発電機、前記圧縮部及び前記膨張部を収容する断熱密閉容器をさらに備え、 前記第1の熱交換部及び前記第2の熱交換部は、前記貯留部内に配置されている請求項5に記載の発電システム。前記圧縮部は、スクリュロータである圧縮雌ロータと、前記圧縮雌ロータに噛み合うスクリュロータである圧縮雄ロータとを有するスクリュ式圧縮機であり、 前記膨張部は、スクリュロータである膨張雌ロータと、前記膨張雌ロータに噛み合うスクリュロータである膨張雄ロータとを有するスクリュ式膨張機であり、 前記圧縮雌ロータと前記膨張雌ロータとは、同一の軸回りに一体的に回転可能となるように互いに連結され、 前記圧縮雄ロータと前記膨張雄ロータとは、同一の軸回りに一体的に回転可能となるように互いに連結され、 前記膨張雌ロータ及びそれに連結された前記圧縮雌ロータを含む一方の回転体と、前記膨張雄ロータ及びそれに連結された前記圧縮雄ロータを含む他方の回転体とのうち少なくとも一方の回転体は、前記タービンの回転によって前記回転軸が回転されることにより、回転する請求項5〜7のいずれか一項に記載の発電システム。

说明书全文

本発明は、超電導モータを用いた液化システム及び発電システムに関する。

超電導モータは、超電導磁石を利用して回転子を回転させるモータである。超電導モータは、超電導磁石を構成する超電導材料の臨界温度以下に超電導磁石が冷却された状態で使用される。超電導磁石の冷却には、臨界温度以下の沸点をもつ冷媒が用いられ、超電導磁石を冷却した後の冷媒は、冷却回路によって臨界温度以下に冷却され、再び、超電導磁石の冷却に用いられる。

超電導材料の臨界温度が、液体窒素の沸点より高いとき、冷媒として液体窒素を用いることができる。液体窒素の沸点は、77Kであり、液化天然ガスの沸点(111K)との差が比較的小さいので、冷媒(液体窒素)と液化天然ガスとの熱交換を利用して、超電導磁石を冷却した後の冷媒を冷却すれば、冷媒の温度を臨界温度以下にするためのエネルギーを減らすことができる。このような技術は、例えば、特許文献1に開示されている。

特開2007−83851号公報

天然ガスを液化する工程で用いられる圧縮機を、超電導モータで駆動させる場合に、冷媒を臨界温度以下にするためのエネルギーを減らすことができれば、天然ガスを液化する工程でのコストを下げることができる。液化天然ガスのコストの大部分は、天然ガスを液化する工程で発生するので、この工程のコストを下げることができれば、液化天然ガスのコストを大きく下げることができる。

同様に、タンクから取り出された液化天然ガスを気化させて生じた天然ガスを、燃焼させて生じるエネルギーを利用して回転するタービンと、タービンの回転により駆動されて発電する超電導発電機と、を備える発電システムにおいて、冷媒を臨界温度以下にするためのエネルギーを減らすことできれば、発電コストを下げることができる。

本発明は、超電導モータの超電導磁石を臨界温度以下に冷却する冷媒について、冷媒を臨界温度以下にするためのエネルギーを減らすことができる液化システム及び発電システムを提供することを目的とする。

本発明の第1の局面に係る液化システムは、室温以下の沸点を有する物質を液体状態で貯留する貯留部と、所定の超電導材料で構成された超電導磁石を含む超電導モータと、前記超電導モータによって駆動され、気体状態の前記物質を圧縮する第1の圧縮部と、前記第1の圧縮部によって圧縮された前記物質を膨張させることにより、前記物質を気体状態から液体状態に変える第1の膨張部と、を含み、前記貯留部に貯留される液体状態の前記物質を生成する液化機と、前記超電導モータによって前記第1の圧縮部が駆動されているときに、前記超電導モータによって駆動され、冷媒を圧縮する第2の圧縮部と、前記貯留部に貯留されている前記物質と前記第2の圧縮部によって圧縮された前記冷媒とで熱交換させることにより、前記冷媒を冷却する第1の熱交換部と、前記第1の熱交換部によって冷却された前記冷媒を膨張させることにより、前記冷媒を前記超電導材料の臨界温度以下にする第2の膨張部と、前記貯留部に貯留されている前記物質と前記超電導磁石を冷却した後の前記冷媒とで熱交換させることにより、前記冷媒の冷熱を前記物質に与える第2の熱交換部と、を含み、前記第2の膨張部で前記臨界温度以下にされた前記冷媒を前記超電導モータに送り、前記超電導磁石を前記臨界温度以下に冷却する冷却回路と、を備える。

本発明の第1の局面に係る液化システムにおいて、第1の熱交換部が、圧縮された冷媒と貯留部内の物質とで熱交換させることで冷媒を冷却するので、冷媒から貯留部内の物質に熱が与えられる。一方、第2の熱交換部は、超電導磁石を冷却した後の冷媒と貯留部内の物質とで熱交換させることにより、冷媒の冷熱を貯留部内の物質に与える。これにより、第1の熱交換部での熱交換によって貯留部内の物質の温度が上昇することを抑えることができる。

また、本発明の第1の局面に係る液化システムにおいて、液化機の第1の圧縮部を駆動させる超電導モータの動の一部のみを用いて、第2の圧縮部を駆動させる。

以上より、本発明の第1の局面に係る液化システムによれば、冷却回路の第2の圧縮部を駆動させるための別のモータを設けないので、超電導モータの超電導磁石を臨界温度以下に冷却する冷媒について、冷媒を臨界温度以下にするためのエネルギーを減らすことができる。

上記構成において、前記貯留部は、前記物質が貯留され、かつ、前記第1の熱交換部及び前記第2の熱交換部が配置される第1の空間部と、前記超電導モータ、前記第2の圧縮部及び前記第2の膨張部が配置され、前記第1の空間部と隔離された第2の空間部と、を含む。

第1の空間部及び第2の空間部は、貯留部内にあるので、第2の空間部へ外部から侵入する熱を第1の空間部にある物質によって小さくすることが可能となる。従って、この構成によれば、超電導モータ並びに冷却回路の第2の圧縮部及び第2の膨張部が収容される第2の空間部への熱侵入量を小さくすることができるため、冷媒を臨界温度以下にするためのエネルギーを減らすことができる。

上記構成において、前記貯留部外で前記貯留部に取り付けら、前記超電導モータ、前記第2の圧縮部及び前記第2の膨張部を収容する断熱密閉容器をさらに備え、前記第1の熱交換部及び前記第2の熱交換部は、前記貯留部内に配置されている。

断熱密閉容器に、超電導モータ並びに冷却回路の第2の圧縮部及び第2の膨張部を収容することにより、その容器内の温度を貯留部内の物質の温度と同じ程度にすることができる。

第1の熱交換部と第2の圧縮部との距離、及び、第1の熱交換部と第2の膨張部との距離が大きくなると、冷媒を冷却する効率が悪くなる。この構成によれば、断熱密閉容器を貯留部外で貯留部に取り付けるので、第1の熱交換部と第2の圧縮部との距離、及び、第1の熱交換部と第2の膨張部との距離を近くできる。

以上により、この構成によれば、冷媒を臨界温度以下にするためのエネルギーを減らすことができる。

上記構成において、前記第2の圧縮部は、スクリュロータである圧縮雌ロータと、前記圧縮雌ロータに噛み合うスクリュロータである圧縮雄ロータとを有するスクリュ式圧縮機であり、前記第2の膨張部は、スクリュロータである膨張雌ロータと、前記膨張雌ロータに噛み合うスクリュロータである膨張雄ロータとを有するスクリュ式膨張機であり、前記圧縮雌ロータと前記膨張雌ロータとは、同一の軸回りに一体的に回転可能となるように互いに連結され、前記圧縮雄ロータと前記膨張雄ロータとは、同一の軸回りに一体的に回転可能となるように互いに連結され、前記超電導モータは、前記膨張雌ロータ及びそれに連結された前記圧縮雌ロータを含む一方の回転体と、前記膨張雄ロータ及びそれに連結された前記圧縮雄ロータを含む他方の回転体とのうち少なくとも一方の回転体を回転させる。

この構成によれば、第2の圧縮部により圧縮された冷媒が第1の熱交換部で熱交換された後、第2の膨張部で断熱膨張される際、当該圧縮冷媒の空圧エネルギ(圧力)が膨張雌ロータと膨張雄ロータを回転させるように作用する。ここで、当該液化システムでは、膨張雌ロータと圧縮雌ロータとが一体的に回転可能となるように互いに連結されているとともに、膨張雄ロータと圧縮雄ロータとが一体的に回転可能となるように互いに連結されているため、空圧エネルギーに起因する膨張雌ロータの回転力は圧縮雌ロータに伝達され、空圧エネルギーに起因する膨張雄ロータの回転力は圧縮雄ロータに伝達される。このため、超電導モータが各ロータを回転させるために消費する電力を大幅に削減することができる。

本発明の第2の局面に係る発電システムは、室温以下の沸点を有する物質を液体状態で貯留する貯留部と、前記貯留部から供給される前記物質を燃焼させることにより生じたエネルギーを利用して回転するタービンと、回転軸及び所定の超電導材料で構成された超電導磁石を含み、前記タービンの回転によって前記回転軸が回転されることにより発電する超電導発電機と、前記回転軸の回転によって駆動され、冷媒を圧縮する圧縮部と、前記貯留部に貯留されている前記物質と前記圧縮部によって圧縮された前記冷媒とで熱交換させることにより、前記冷媒を冷却する第1の熱交換部と、前記第1の熱交換部によって冷却された前記冷媒を膨張させることにより、前記冷媒を前記超電導材料の臨界温度以下にする膨張部と、前記貯留部に貯留されている前記物質と前記超電導磁石を冷却した後の前記冷媒とで熱交換させることにより、前記冷媒の冷熱を前記物質に与える第2の熱交換部と、を含み、前記膨張部で前記臨界温度以下にされた前記冷媒を前記超電導発電機に送り、前記超電導磁石を前記臨界温度以下に冷却する冷却回路と、を備える。

本発明の第2の局面に係る発電システムにおいて、第1の熱交換部が、圧縮された冷媒と貯留部内の物質とで熱交換させることで冷媒を冷却するので、冷媒から貯留部内の物質に熱が与えられる。一方、第2の熱交換部は、超電導磁石を冷却した後の冷媒と貯留部内の物質とで熱交換させることにより、冷媒の冷熱を貯留部内の物質に与える。これにより、第1の熱交換部での熱交換によって貯留部内の物質の温度が上昇することを抑えることができる。

また、本発明の第2の局面に係る発電システムにおいて、タービンの回転によって超電導発電機の回転軸が回転されて発電しているときに、その回転軸の回転のみによって圧縮部を駆動させる。

以上より、本発明の第2の局面に係る発電システムによれば、冷却回路の圧縮部を駆動させるための別のモータを設けないので、超電導発電機の超電導磁石を臨界温度以下に冷却する冷媒について、冷媒を臨界温度以下にするためのエネルギーを減らすことができる。

上記構成において、前記貯留部は、前記物質が貯留され、かつ、前記第1の熱交換部及び前記第2の熱交換部が配置される第1の空間部と、前記超電導発電機、前記圧縮部及び前記膨張部が配置され、前記第1の空間部と隔離された第2の空間部と、を含む。

第1の空間部及び第2の空間部は、貯留部内にあるので、第2の空間部へ外部から侵入する熱を第1の空間部にある物質によって小さくすることが可能となる。従って、この構成によれば、超電導発電機並びに冷却回路の圧縮部及び膨張部が収容される第2の空間部への熱侵入量を小さくすることができるため、冷媒を臨界温度以下にするためのエネルギーを減らすことができる。

上記構成において、前記貯留部外で前記貯留部に取り付けら、前記超電導発電機、前記圧縮部及び前記膨張部を収容する断熱密閉容器をさらに備え、前記第1の熱交換部及び前記第2の熱交換部は、前記貯留部内に配置されている。

断熱密閉容器に、超電導発電機並びに冷却回路の圧縮部及び膨張部を収容することにより、その容器内の温度を貯留部内の物質の温度と同じ程度にすることができる。

第1の熱交換部と圧縮部との距離、及び、第2の熱交換部と膨張部との距離が大きくなると、冷媒を冷却する効率が悪くなる。この構成によれば、断熱密閉容器を貯留部外で貯留部に取り付けるので、第1の熱交換部と圧縮部との距離、及び、第2の熱交換部と膨張部との距離を近くできる。

以上により、この構成によれば、冷媒を臨界温度以下にするためのエネルギーを減らすことができる。

上記構成において、前記圧縮部は、スクリュロータである圧縮雌ロータと、前記圧縮雌ロータに噛み合うスクリュロータである圧縮雄ロータとを有するスクリュ式圧縮機であり、前記膨張部は、スクリュロータである膨張雌ロータと、前記膨張雌ロータに噛み合うスクリュロータである膨張雄ロータとを有するスクリュ式膨張機であり、前記圧縮雌ロータと前記膨張雌ロータとは、同一の軸回りに一体的に回転可能となるように互いに連結され、前記圧縮雄ロータと前記膨張雄ロータとは、同一の軸回りに一体的に回転可能となるように互いに連結され、前記膨張雌ロータ及びそれに連結された前記圧縮雌ロータを含む一方の回転体と、前記膨張雄ロータ及びそれに連結された前記圧縮雄ロータを含む他方の回転体とのうち少なくとも一方の回転体は、前記タービンの回転によって前記回転軸が回転されることにより、回転する。

この構成によれば、圧縮部により圧縮された冷媒が第1の熱交換部で熱交換された後、膨張部で断熱膨張される際、当該圧縮冷媒の空圧エネルギ(圧力)が膨張雌ロータと膨張雄ロータを回転させるように作用する。ここで、当該発電システムでは、膨張雌ロータと圧縮雌ロータとが一体的に回転可能となるように互いに連結されているとともに、膨張雄ロータと圧縮雄ロータとが一体的に回転可能となるように互いに連結されているため、空圧エネルギーに起因する膨張雌ロータの回転力は圧縮雌ロータに伝達され、空圧エネルギーに起因する膨張雄ロータの回転力は圧縮雄ロータに伝達される。このため、超電導発電機が各ロータを回転させるために消費する電力を大幅に削減することができる。

本発明によれば、超電導モータの超電導磁石を臨界温度以下に冷却する冷媒について、冷媒を臨界温度以下にするためのエネルギーを減らすことができる。

第1実施形態に係る液化システムの構成を示す構成図である。

第1実施形態の変形例に係る液化システムの構成を示す構成図である。

第2実施形態に係る発電システムの構成を示す構成図である。

超電導モータの構成を示す断面図である。

膨張後の冷媒の温度と圧縮圧力との関係を示すグラフである。

比較例に係る液化システムの構成を示す構成図である。

図1〜図3に示す第2の圧縮部及び第2の膨張部の横断面図である。

以下、図面に基づいて、本発明の実施形態を詳細に説明する。図1は、第1実施形態に係る液化システム1aの構成を示す構成図である。液化システム1aは、タンク2、超電導モータ3、液化機4、冷却回路5、第3の熱交換部6及び起動用モータ7を備える。

タンク2は、断熱密閉構造を有しており、液化天然ガス(LNG)を貯留している。タンク2は、室温以下の沸点を有する物質を液体状態で貯留する貯留部の一例である。室温以下の沸点を有する物質として、天然ガスを例にして説明するが、他の例として、例えば、窒素、素がある。室温とは、例えば、25℃である。

タンク2は、隔壁20によって、第1の空間部21と第2の空間部22とに分けられている。第1の空間部21と第2の空間部22とは、隔壁20によって隔離されている。第1の空間部21には、液化天然ガスが貯留される。第1の空間部21内の液化天然ガスの一部は、BOG(boil off gas)になっている。ここでのBOGは、天然ガスである。

第2の空間部22には、超電導モータ3及び冷却回路5の一部(第2の圧縮部50、第2の膨張部52)が配置される。タンク2の外壁には、第2の空間部22につながる貫通穴が形成されており、超電導モータ3の回転軸30の一方側31は、その貫通穴を通り、第2の空間部22からタンク2の外部に延びている。その貫通穴は、シール部材23で埋められている。

液化対象となる天然ガス(NG)は、第3の熱交換部6に送られる。第3の熱交換部6は、天然ガスとタンク2の第1の空間部21から送られてきたBOGとで熱交換させる熱交換器である。熱交換後のBOGは、熱交換前の天然ガスに合流される。

液化機4は、第1の圧縮部40、第4の熱交換部41及び第1の膨張部42を備え、ジュールトムソン過程によって、タンク2に貯留される液化天然ガス(液体状態の物質)を生成する。第1の圧縮部40は、第3の熱交換部6と接続されている。第1の圧縮部40と第4の熱交換部41とが接続されている。第4の熱交換部41と第1の膨張部42とが接続されている。第1の膨張部42とタンク2の第1の空間部21とが接続されている。

第1の圧縮部40は、第3の熱交換部6で熱交換された天然ガス(気体状態の物質)を圧縮する圧縮機である。

第4の熱交換部41は、第1の圧縮部40で圧縮された天然ガスと冷却水とで熱交換させる熱交換器である。これにより、圧縮された天然ガスが冷却される。

第1の膨張部42は、第4の熱交換部41で冷却された天然ガスを膨張させる膨張機である。これにより、天然ガスは、液化天然ガスに変化する。このように、第1の膨張部42は、第1の圧縮部40によって圧縮された物質を膨張させることにより、物質を気体状態から液体状態に変える。液化天然ガスは、第1の膨張部42からタンク2の第1の空間部21に送られ、第1の空間部21に貯留される。

第1の圧縮部40及び第1の膨張部42は、超電導モータ3の回転軸30の一方側31を介して伝達される回転力によって、それぞれ駆動される。第1の圧縮部40及び第1の膨張部42の構成は、冷却回路5に備えられる第2の圧縮部50及び第2の膨張部52の構成と同じであり、第2の圧縮部50及び第2の膨張部52の構成を説明することで、第1の圧縮部40及び第1の膨張部42の構成の説明を省略する。なお、第1の膨張部42は、モータによって駆動されるタイプに限定されず、圧縮された天然ガスを膨張できる装置であればよい(例えば、膨張弁)。

冷却回路5は、第2の圧縮部50、第1の熱交換部51、第2の膨張部52及び第2の熱交換部53を備え、ジュールトムソン過程を応用した冷凍機である。冷却回路5によって、超電導モータ3に含まれる超電導磁石が、この磁石を構成する超電導材料の臨界温度以下に冷却される。超電導磁石とは、例えば、超電導コイルと、これが巻かれた磁性体芯とで構成される磁石や、超電導バルク磁石である。第2の圧縮部50及び第2の膨張部52は、超電導モータ3の回転軸30の他方側32を介して伝達される回転力によって、それぞれ駆動される。

冷却回路5は、冷媒を超電導材料の臨界温度以下の状態にして、この状態の冷媒を超電導モータ3に送り、超電導磁石を臨界温度以下に冷却する。超電導材料が、例えば、Bi系(Bi2Sr2Ca2Cu3Oy)又はY系(YBa2Cu3O7)のとき、液体窒素(沸点77K)を冷媒として用いることができる。液体窒素は、それらの超電導材料の臨界温度より沸点が低いからである。冷媒として液体窒素を例にして説明する。なお、液化天然ガスの沸点(111K)は、Bi系やY系の超電導材料の臨界温度よりも高い。

第1の熱交換部51及び第2の熱交換部53は、第1の空間部21に配置され、第2の圧縮部50と第2の膨張部52とは、第2の空間部22に配置されている。

第2の圧縮部50は、気体状態の窒素(冷媒)を等温圧縮する圧縮機である。第2の圧縮部50は、超電導モータ3によって第1の圧縮部40及び第1の膨張部42が駆動されているときに、超電導モータ3によって駆動され、窒素を圧縮する。第2の圧縮部50は、第1の熱交換部51と接続されており、圧縮された窒素は、第1の熱交換部51に送られる。

第1の熱交換部51は、タンク2の第1の空間部21に貯留されている液化天然ガスと第2の圧縮部50によって圧縮された窒素とで熱交換させることにより、圧縮された窒素を冷却する熱交換器である。このように、第1の熱交換部51は、貯留部に貯留されている物質と第2の圧縮部50によって圧縮された冷媒とで熱交換させることにより、冷媒を冷却する機能を有する。第1の熱交換部51は、第2の膨張部52と接続されており、第1の熱交換部51で冷却された窒素は、第2の膨張部52に送られる。

第2の膨張部52は、超電導モータ3によって第1の圧縮部40及び第1の膨張部42が駆動されているときに、超電導モータ3によって駆動され、第1の熱交換部51によって冷却された窒素を断熱膨張させることにより、窒素を気体状態から液体状態にする膨張機である。このように、第2の膨張部52は、第1の熱交換部51によって冷却された冷媒を膨張させることにより、冷媒を超電導材料の臨界温度以下にする機能を有する。第2の膨張部52で液体状態にされた窒素(すなわち、液体窒素)は、超電導モータ3に送られ、超電導磁石を冷却した後、第2の熱交換部53に送られる。

第2の膨張部52と第2の圧縮部50とは、ロータ軸166を共有している。第2の膨張部52は、超電導モータ3の回転軸30の他方側32を介して伝達される回転力によって、駆動される。その回転力はロータ軸166に伝達されて、ロータ軸166が回転することにより、第2の圧縮部50が駆動される。なお、第2の膨張部52は、モータによって駆動されるタイプに限定されず、圧縮された天然ガスを膨張できる装置であればよい(例えば、膨張弁)。

第2の熱交換部53は、タンク2の第1の空間部21に貯留されている液化天然ガスと超電導磁石を冷却した後の窒素とで熱交換させることにより、窒素の冷熱を液化天然ガスに与える熱交換器である。このように、第2の熱交換部53は、貯留部に貯留されている物質と超電導磁石を冷却した後の冷媒とで熱交換させることにより、冷媒の冷熱を物質に与える機能を有する。

第2の熱交換部53は、第2の圧縮部50と接続されており、第2の熱交換部53で熱交換された窒素(気体状態の窒素)は、第2の圧縮部50に送られる。

以上説明したように、冷却回路5は、第2の圧縮部50による冷媒の圧縮、第1の熱交換部51による冷媒の冷却、第2の膨張部52による冷媒の膨張、第2の熱交換部53による冷媒の冷熱の放出を繰り返すことにより、超電導磁石を臨界温度以下に冷却する。

起動用モータ7は、常電導モータであり、第1の圧縮部40、第1の膨張部42、第2の圧縮部50及び第2の膨張部52を駆動させるモータである。液化システム1aを立ち上げるとき、タンク2の第1の空間部21内には液化天然ガスがないので、第1の熱交換部51及び第2の熱交換部53で熱交換に用いられる液化天然ガスが存在しない。

そこで、起動用モータ7によって液化システム1aを助走運転させる。すなわち、起動用モータ7によって、液化機4の第1の圧縮部40及び第1の膨張部42を駆動させて、液化機4により液化天然ガスを生成し、タンク2の第1の空間部21内に液化天然ガスを貯める。起動用モータ7によって第1の圧縮部40及び第1の膨張部42を駆動させると、起動用モータ7の駆動力は、超電導モータ3の回転軸30を介して、第2の膨張部52及び第2の圧縮部50に伝達されて、第2の膨張部52及び第2の圧縮部50も駆動される。これにより、冷却回路5が作動する。

タンク2の第1の空間部21内に所定量の液化天然ガスが溜まり、液化天然ガスの冷熱によって、第2の空間部22の温度が液化天然ガスの温度まで下がったとき、液化システム1aの運転者は、起動用モータ7を停止させて、液化システム1aの助走運転を停止し、超電導モータ3を作動させて液化システム1aを定常運転に切り換える。

第1実施形態の主な効果を説明する。第1実施形態に係る液化システム1aにおいて、第1の熱交換部51が、圧縮された窒素(冷媒)と第1の空間部21(タンク2)内の液化天然ガスとで熱交換させることで窒素を冷却するので、窒素から第1の空間部21内の液化天然ガスに熱Q1が与えられる。一方、第2の熱交換部53は、超電導磁石を冷却した後の窒素と第1の空間部21内の液化天然ガスとで熱交換させることにより、冷媒の冷熱Q2を第1の空間部21内の液化天然ガスに与える。これにより、第1の熱交換部51での熱交換によって第1の空間部21内の液化天然ガスの温度が上昇することを抑えることができる。なお、熱Q3は、超電導モータ3、第2の圧縮部50及び第2の膨張部52が作動することにより第2の空間部22に発生する熱であり、熱Q3は、第2の空間部22から第1の空間部21に伝達される。

また、第1実施形態に係る液化システム1aにおいて、液化機4に備えられる第1の圧縮部40及び第1の膨張部42を駆動させる超電導モータ3の動力の一部のみを用いて、第2の圧縮部50及び第2の膨張部52を駆動させる。

以上より、第1実施形態に係る液化システム1aによれば、冷却回路5に備えられる第2の圧縮部50及び第2の膨張部52を駆動させるための別のモータを設けないので、超電導モータ3の超電導磁石を臨界温度以下に冷却する冷媒について、冷媒を臨界温度以下にするためのエネルギーを減らすことができる。

また、第1の実施形態に係る液化システム1aの冷凍効率は、冷媒の熱を液化天然ガスに放出するので、70%程度にすることができる。

77K(液体窒素の沸点)÷110K(液化天然ガスの温度)×100=70% 比較として、冷却回路5を室温環境(25°=300K)に設置した場合、冷凍効率は、約25%となる。

77K÷300K×100≒25% 従って、第1の実施形態に係る液化システム1aによれば、冷凍効率が高い冷却回路5を実現することができる。

第1の実施形態に係る液化システム1aは、さらに、以下の効果を有する。第1の空間部21及び第2の空間部22は、タンク2内にあるので、第2の空間部22へ外部から侵入する熱を第1の空間部21にある物質(液化天然ガス)によって小さくすることが可能となる。従って、第1の実施形態に係る液化システム1aによれば、超電導モータ3並びに冷却回路5の第2の圧縮部50及び第2の膨張部52が収容される第2の空間部22への熱侵入量を小さくすることができるため、冷媒を臨界温度以下にするためのエネルギーを減らすことができる。

第1実施形態の変形例を説明する。図2は、第1実施形態の変形例に係る液化システム1bの構成を示す構成図である。液化システム1bの構成のうち、図1に示す液化システム1aと同じ構成については、同一番号を付すことにより説明を省略する。

液化システム1bは、断熱密閉容器8を備える。断熱密閉容器8は、タンク2の外壁に取り付けられている。すなわち、断熱密閉容器8は、タンク2外でタンク2に取り付けられている。断熱密閉容器8は、超電導モータ3並びに冷却回路5の第2の圧縮部50及び第2の膨張部52を収容している。このため、タンク2内に超電導モータ3、第2の圧縮部50及び第2の膨張部52を収容する空間である第2の空間部22が不要なので、図1に示す隔壁20は、タンク2に設けられていない。第1の熱交換部51及び第2の熱交換部53は、液化天然ガスが貯留されているタンク2内に配置されている。

断熱密閉容器8に、超電導モータ3並びに冷却回路5の第2の圧縮部50及び第2の膨張部52を収容することにより、その容器内の温度をタンク2内の液化天然ガスの温度と同じ程度にすることができる。

第1の熱交換部51と第2の圧縮部50との距離、及び、第1の熱交換部51と第2の膨張部52との距離が大きくなると、冷媒(液体窒素)を冷却する効率が悪くなる。変形例によれば、断熱密閉容器8をタンク2外でタンク2に取り付けるので、第1の熱交換部51と第2の圧縮部50との距離、及び、第1の熱交換部51と第2の膨張部52との距離を近くできる。

以上により、変形例によれば、冷媒(液体窒素)を臨界温度以下にするためのエネルギーを減らすことができる。

また、変形例によれば、超電導モータ3、第2の圧縮部50及び第2の膨張部52を断熱密閉容器8に収容することにより、これらをユニット化し、このユニットをタンク2の外壁に取り付けている。従って、図1に示すように、超電導モータ3、第2の圧縮部50及び第2の膨張部52がタンク2内に収容されている液化システム1aに比べて、変形例は、冷却回路5の組み立て作業、超電導モータ3、第2の圧縮部50及び第2の膨張部52の保守作業、並びに、超電導モータ3、第2の圧縮部50及び第2の膨張部52の点検作業を容易にすることができる。

図1に示す液化システム1a又は図2に示す液化システム1bにおいて、第1の膨張部42の次に、精留塔を設けたシステムである液化天然ガスの製造プラントにすれば、以下の効果を有する。これによれば、液化システム1a又は液化システム1bを用いることにより、小型、軽量及び高効率なプラントにすることができる。従って、陸地から遠く離れた海域や水域に存在するガス田の真上に、浮かせたプラントを実現できる。このようなプラントでは、天然ガスの採掘現場において、液化天然ガスを生産し、かつ、生産した液化天然ガスをLNGタンカーに載せることができるので、液化天然ガスのコストを下げることができる。

第2実施形態を説明する。図3は、第2実施形態に係る発電システム1cの構成を示す構成図である。発電システム1cの構成のうち、図1に示す液化システム1aと同じ構成については、同一番号を付すことにより説明を省略する。発電システム1cにおいて、超電導モータ3は、超電導発電機として機能する。

発電システム1cは、タンク2内(第1の空間部21内)に貯留されている液化天然ガスを用いて発電する火力発電プラントである。発電システム1cは、図1に示す液化機4及び第3の熱交換部6に替えて、ガスタービン9、蒸気タービン10、排熱回収ボイラ11及び第5の熱交換部12を備える。

発電システム1cは、ガスタービン9と蒸気タービン10とを組み合わせて、コンバインドサイクル発電をする。ガスタービン9のタービン13と蒸気タービン10のタービン14とは、回転軸15によって接続されている。蒸気タービン10のタービン14と超電導モータ3の回転軸30とは、回転軸16によって接続されている。

タンク2内(第1の空間部21内)に貯留されている液化天然ガスは、第5の熱交換部12に送られる。第5の熱交換部12は、液化天然ガスと温水とで熱交換させる熱交換器である。この熱交換により、液化天然ガスが天然ガスに変わる。第5の熱交換器は、ガスタービン9と接続されている。

ガスタービン9は、第5の熱交換器から送られてきた天然ガスを燃焼させて、この燃焼で生じるガスによりタービン13を回転させる。タービン13の回転は、回転軸15、タービン14、回転軸16を介して、超電導モータ3の回転軸30に伝達される。

ガスタービン9の排熱は、排熱回収ボイラ11に送られ、排熱回収ボイラ11は、その排熱を利用して蒸気を発生させる。この蒸気により、蒸気タービン10のタービン14を回転させる。タービン14の回転は、回転軸16を介して、超電導モータ3の回転軸30に伝達される。

タービン13及びタービン14は、タンク2(第1の空間部21)から供給される液化天然ガスを燃焼させることにより生じたエネルギーを利用して回転するタービンとして機能する。

タービン13及びタービン14の回転力が回転軸30に伝達されて、回転軸30が回転することにより、超電導モータ3は発電をする。

また、回転軸30の回転することにより、第2の膨張部52及び第2の圧縮部50が駆動され、冷却回路5が作動する。これにより、臨界温度以下の状態にされた冷媒(液体窒素)が超電導モータ3に送られ、超電導モータ3の超電導磁石が臨界温度以下に冷却される。

第2実施形態の主な効果を説明する。第2実施形態に係る発電システム1cにおいて、第1の熱交換部51が、圧縮された窒素(冷媒)と第1の空間部21(タンク2)内の液化天然ガスとで熱交換させることで窒素を冷却するので、窒素から第1の空間部21内の液化天然ガスに熱が与えられる。一方、第2の熱交換部53は、超電導磁石を冷却した後の窒素と第1の空間部21内の液化天然ガスとで熱交換させることにより、冷媒の冷熱を第1の空間部21内の液化天然ガスに与える。これにより、第1の熱交換部51での熱交換によって第1の空間部21内の液化天然ガスの温度が上昇することを抑えることができる。

また、第2実施形態に係る発電システム1cにおいて、タービン13,14の回転によって超電導モータ3の回転軸30を回転させて発電しているときに、その回転軸30の回転のみによって第2の圧縮部50及び第2の膨張部52を駆動させる。

以上より、第2実施形態に係る発電システム1cによれば、冷却回路5に備えられる第2の圧縮部50及び第2の膨張部52を駆動させるための別のモータを設けないので、超電導モータ3の超電導磁石を臨界温度以下に冷却する冷媒について、冷媒を臨界温度以下にするためのエネルギーを減らすことができる。

発電システム1cは、超電導モータ3で発電をするので小型化できる。このため、発電システム1cを海上の浮遊体に設置した海上火力発電プラントを実現することができる。また、液化天然ガスを輸送するLNGタンカーに発電システム1cを搭載し、タンカーを動かす推進スクリュを、発電システム1cが発電した電力によって駆動させることができる。

第2実施形態に係る発電システム1cは、第1実施形態に係る液化システム1aと同様の変形例がある。すなわち、図2に示すように、超電導モータ3、並びに、冷却回路5の第2の圧縮部50及び第2の膨張部52を収容した断熱密閉容器8をタンク2の外部に取り付けた変形例である。

次に、図1に示す第1実施形態に係る液化システム1a、図2に示す第1実施形態の変形例に係る液化システム1b、及び、図3に示す第2実施形態に係る発電システム1cに共通に適用される事項[1]〜[11]を説明する。

[1]図4は、超電導モータ3の構成を示す断面図である。超電導モータ3は、回転軸30、第1の固定子33a、第2の固定子33b、第3の固定子33c、第1の回転子34a、第2の回転子34b、第3の回転子34c及び第4の回転子34dを備える。第1の圧縮部40から第2の圧縮部50に向かって、間隔をあけて、第1の固定子33a、第2の固定子33b、第3の固定子33cが配置されている。図1〜図3と比較して、図4は、第1の圧縮部40の位置と第1の膨張部42の位置とを逆にし、第2の圧縮部50の位置と第2の膨張部52の位置とを逆にして示されている。なお、図3に示す発電システム1cの場合、第2の圧縮部50の替わりに、タービン14となる。

第1の固定子33aは、W相を生成するための固定子である。第1の固定子33aは、断熱容器35、軸受36、超電導コイル37及び隔壁38を備える。

断熱容器35の材料は、非磁性金属材である。断熱容器35は、円盤形状を有する。断熱容器35の中央部に軸受36が配置されている。軸受36は、回転軸30を回転自在に保持する。

断熱容器35は、中空の構造を有する。断熱容器35内には、超電導コイル37が、軸受36を囲んで配置されている。超電導コイル37は、断熱容器35内に固定されている磁性体芯(不図示)に巻かれている。この磁性体芯と超電導コイル37とにより超電導磁石が構成される。断熱容器35内は、図1〜図3に示す冷却回路5で生成された臨界温度以下の冷媒(液体窒素)で満たされている。

断熱容器35は、超電導コイル37と対向する箇所に、環状の貫通穴を有する。隔壁38によって、貫通穴が塞がれている。隔壁38は、断熱性、非磁性及び絶縁性、又は、断熱性、非磁性及び高抵抗の性質を有する。隔壁38の材料は、例えば、硬質ガラス、セラミックス、硬質プラスチックである。

隔壁38が断熱性を有するのは、冷媒で満たされた断熱容器35内と、低温大気又は真空である断熱容器35外とを断熱するためである。隔壁38が、非磁性を有するのは、超電導コイル37及びこれが巻かれている磁性体芯(不図示)と、永久磁石61,63とを磁気的に結合させるためである。隔壁38が、絶縁性又は高抵抗性を有するのは、隔壁38に渦電流が発生しないようにするためである。上記磁気的結合が原因で発生する変動磁場によって、隔壁38に渦電流が発生すれば、隔壁38が発熱するからである。

第2の固定子33bは、V相を生成するための固定子であり、第3の固定子33cは、U相を生成するための固定子である。第2の固定子33b及び第3の固定子33cの構成は、第1の固定子33aの構成と同じなので、説明を省略する。

第1の固定子33a、第2の固定子33b及び第3の固定子33cがそれぞれ備える超電導コイル37の構成は、例えば、特開2014−54092号公報に開示された固定子に備えられるコイルと同じ構成を採用することができる。

第1の圧縮部40から第2の圧縮部50に向かって、間隔をあけて、第1の回転子34a、第2の回転子34b、第3の回転子34c、第4の回転子34dが配置されている。第1の固定子33aは、第1の回転子34aと第2の回転子34bとによって、所定の間隔をあけて挟まれている。第2の固定子33bは、第2の回転子34bと第3の回転子34cとによって、所定の間隔をあけて挟まれている。第3の固定子33cは、第3の回転子34cと第4の回転子34dとによって、所定の間隔をあけて挟まれている。

回転軸30は、第1の回転子34a、第2の回転子34b、第3の回転子34c、第4の回転子34dのそれぞれの中心部に固定されており、第1の回転子34a、第2の回転子34b、第3の回転子34c、第4の回転子34dが回転することにより、回転軸30が回転する。

第1の回転子34aは、磁性材ヨーク60及び永久磁石61を備える。磁性材ヨーク60は、円盤形状を有する。第1の固定子33aと対向する、磁性材ヨーク60の面には、永久磁石61が配置されている。永久磁石61は、回転軸30を囲み、かつ、第1の固定子33aに備えられる隔壁38及び超電導コイル37と対向して配置されている。

第2の回転子34bは、構造部材62及び永久磁石63を備える。構造部材62は、円盤形状を有する。構造部材62の周面に、永久磁石63が配置されている。永久磁石63は、回転軸30を囲み、かつ、第1の固定子33aに備えられる隔壁38及び超電導コイル37、並びに、第2の固定子33bに備えられる隔壁38及び超電導コイル37と対向して配置されている。

第3の回転子34cは、第2の回転子34bと同じ構成を有する。第3の回転子34cの永久磁石63は、回転軸30を囲み、かつ、第2の固定子33bに備えられる隔壁38及び超電導コイル37、並びに、第3の固定子33cに備えられる隔壁38及び超電導コイル37と対向して配置されている。

第4の回転子34dは、第1の回転子34aと同じ構成を有する。第4の回転子34dの永久磁石61は、回転軸30を囲み、かつ、第3の固定子33cに備えられる隔壁38及び超電導コイル37と対向して配置されている。

永久磁石61,63は、例えば、希土類系永久磁石である。希土類系永久磁石は、強力な保磁力を有するので、第1実施形態及びその変形例では、高トルク密度の超電導モータ3を実現でき、第2実施形態では、高性能の発電機(超電導モータ3)を実現できる。

近年、バルク状の酸化物超電導体のピン止め効果を利用して、その内部に磁束を閉じ込めることにより強力な永久磁石を実現する研究が進められている。該永久磁石を、超電導バルク磁石としてもよい。超電導バルク磁石は、従来の永久磁石以上の高い保磁力を有するので、これを従来の永久磁石に替えることにより高効率な超電導モータ3を実現できる。

回転軸30の方向に沿って、第1の管部64a、第2の管部64b、第3の管部64cが配置されている。第1の管部64aは、第1の固定子33aの断熱容器35と第2の固定子33bの断熱容器35とを接続する。第1の管部64aを介して、第1の固定子33aの断熱容器35の内部と第2の固定子33bの断熱容器35の内部とが連通している。第2の管部64bは、第2の固定子33bの断熱容器35と第3の固定子33cの断熱容器35とを接続する。第2の管部64bを介して、第2の固定子33bの断熱容器35の内部と第3の固定子33cの断熱容器35の内部とが連通している。

第3の管部64cは、一端が第3の固定子33cと接続されている。輸送管65は、第3の管部64cの他端から第3の管部64cに入り、第3の固定子33cの断熱容器35の内部、第2の管部64b、第2の固定子33bの断熱容器35の内部、第1の管部64a、第1の固定子33aの断熱容器35の内部に通されている。冷媒は、第2の圧縮部50から輸送管65を通り、第1の固定子33a、第2の固定子33b及び第3の固定子33cのそれぞれの断熱容器35に送られる。これらの断熱容器35に送られた冷媒は、不図示の輸送管を通り、第2の熱交換部53に送られる。このように、冷媒は、冷却回路5と、第1の固定子33a、第2の固定子33b及び第3の固定子33cのそれぞれの断熱容器35との間で循環している。

第1の管部64a、第2の管部64b及び第3の管部64cは、気密性が要求されるため、通常、金属で構成される。超電導モータ3は、常温環境で組み立てられ、臨界温度以下の環境で使用される。このため、第1の管部64a、第2の管部64b及び第3の管部64の熱変形を吸収するために、これらの管部は、蛇腹構造を有する。

[2]図1〜図3に示す第2の圧縮部50は、第2の熱交換部53から供給された大気圧(1気圧)の冷媒を4気圧まで圧縮する。即ち、第2の圧縮部50の圧縮比は4である。この圧縮比により、冷却回路5が冷媒の温度を、113K(液化天然ガスの沸点)から77K(液体窒素の沸点)まで下げることができることを説明する。

第2の膨張部52による膨張前後の冷媒の圧力P1、P2、及び、膨張前後の冷媒の温度T1、T2の関係は、ジュールトムソン関係式より以下の式(1)によって表される。

Cpは定圧比熱であり、Cvは定積比熱である。なお、断熱膨張前の冷媒の温度T1は、113Kである。

図5は、この関係をグラフ化したものである。横軸は、圧縮圧力を示し、縦軸は、膨張後の冷媒の温度を示す。符号1〜5は、膨張後の冷媒の圧力を示す。符号1に示すように、圧縮後の冷媒の圧力が1の場合、圧縮圧力を4(圧縮比を4)にすれば、冷媒の温度を113Kから77Kに下げることができることが分かる。

[3]第1実施形態及び変形例、並びに、第2実施形態によれば、天然ガスを液化するために投入されるエネルギーについて、冷却回路5を追加することにより増加する量とモータを超電導モータ3にすることより減少する量との関係が、増加量<減少量を成立させることができる。これについて、図1に示す液化システム1aとその比較例とを用いて、詳しく説明する。

図6は、比較例に係る液化システム1000の構成を示す構成図である。液化システム1000の構成のうち、図1に示す液化システム1aと同じ構成については、同一番号を付すことにより説明を省略する。液化システム1000は、超電導モータ3の替わりに、常電導モータ1001を備え、冷却回路5の替わりに、モータ冷却設備1002を備える。常電導モータ1001は、室温環境下に置かれている。モータ冷却設備1002は、常電導モータ1001から発生した熱を冷却する。

まず、図1に示す液化システム1aにおいて、下記のような第0次近似仮定条件の場合を考える。

1)超電導モータ3は、発熱ゼロ(銅損ゼロ、機損も十分小さい)である。

2)冷却回路5の熱負荷は、超電導モータ3の筐体を構成する適切な断熱構造壁を通して、進入する熱のみである(液化天然ガス:110K→筐体内:77K)。

3)第2の圧縮部50は、液化天然ガスで冷却され、第2の膨張部52は、液体窒素で冷却されている。

4)第2の圧縮部50、超電導モータ3、第2の膨張部52は、断熱性の軸で連結されている。

5)超電導モータ3の筐体内で気化した窒素は、第2の熱交換部53で液化天然ガスに冷熱を逃がし(言い換えれば、第2の熱交換部53で液化天然ガスに暖められて)、第2の圧縮部50に送られる。

6)第2の圧縮部50で圧縮された窒素は、第1の熱交換部51で液化天然ガスに圧縮熱を逃がし(言い換えれば、第1の熱交換部51で液化天然ガスにより冷却されて)、第2の膨張部52に送られる。

なお、第2の圧縮部50、超電導モータ3及び第2の膨張部52等の機損は、第1次近似で考慮することにする。

理想的には、5)と6)との熱量差は、2)の侵入熱に、ヒートポンプ効率を乗じた値となる。

図1に示す液化システム1aと図6に示す液化システム1000とにおいて、(常電導モータ1001の銅損+モータ冷却設備1002の運転電力)>冷却回路5の運転電力、が成立する。現実のシステムでは、十分成り立つ設計条件である。図1に示す液化システム1aの概念は、いわゆるエクセルギー再生の方式、又は、いわゆる自己熱再生熱循環モジュール(自己冷熱再生冷熱循環モジュール)の方式とみなすことができる。これらの方式の効率は、通常の冷凍システムのようなヒートポンプに比べて、非常に大きいことが理論的に証明されている(80〜90%)。

上述した関係((常電導モータ1001の銅損+モータ冷却設備1002の運転電力)>冷却回路5の運転電力)を成立させる条件式を、熱力学的な理論考察から導出する。

超電導化のために窒素液化サイクルを追加する。窒素液化サイクルは、冷凍効率を確保するために、温端温度を液化天然ガスの温度(110K)とする。つまり、窒素液化サイクルは液化天然ガスの中にあり、窒素液化サイクルからのロスもしくは排熱は、一旦液化天然ガスに与えることになる。液化天然ガスに与えられた熱は、液化天然ガスを気化させる熱となるから、窒素液化サイクルを付加する場合、BOGの量が幾らか増加する。これによるロスよりも、超電導モータ3を用いることによるエネルギーの減少量が大きくなければ、超電導モータ3を用いるメリットが生じない。

可逆的な冷凍サイクルの理想効率(カルノー効率)は、COP(Coefficient of Performance)として、式(2)で示される。

Thは、高熱源の温度であり、Tcは、低熱源の温度である。

よって、熱量Qの冷凍を発生させるために必要な仕事Wは、式(3)で示される。

但し、式(3)に、駆動するモータの効率ηを乗じる必要があるので、式(4)となる。

よって、熱量Qを得るための仕事Wは、式(5)で示される。

非超電導モータの効率をηnとする。熱量QのLNG冷凍を発生させるために、式(6)で示す仕事Wnを投入する必要がある。

一方、超電導モータ3の効率をηsとする。熱量QのLNG冷凍を発生させるために、式(7)で示す仕事Wsを投入する必要がある。

従って、式(8)が超電導モータ3を用いることにより節約可能なエネルギーである。

一方、超電導モータ3の温度を77Kにして超電導状態にした状態で、超電導モータ3を駆動するためには、窒素循環式の独立した冷凍系が必要になる。モータの超電導化によってモータ効率の向上が図れるが、それでも有限の効率が残る。また、独立した冷凍系は、液化天然ガスのなかに断熱層を介して配置されるため、動力軸やシール機構を介した熱侵入が発生する。さらに、第2の圧縮部50で生じる圧縮発熱は、液化天然ガスで冷却される(液化天然ガスは、常温に配置された圧縮機で用いられるアフタークーラーに相当することになる)。これらのロスを以下のように表記する。

超電導モータ3におけるモータロス・・・QN2−motor 超電導モータ3のハウジングの熱侵入ロス・・・QN2−heat (ただし、QN2−heatは、液化天然ガスに対して冷却作用となる) 第2の圧縮部50の圧縮発熱によるロス・・・QN2−comp 超電導モータ3を用いた場合、それらのロスの合計(QN2−motor+QN2−heat+QN2−comp)が、液化天然ガスに対する新たな熱負荷となる。

従って、図1に示す液化システム1aにおいて、エネルギーを節減するには、式(9)の関係が成立しなければならない。

例えば、ηn=0.9、ηs=0.95、Th=300K、Tc=110Kとすれば、式9の右辺は、式(10)で示される。

よって、(QN2−motor+QN2−heat+QN2−comp)<0.10Qとなる。これは、超電導モータ3による総発熱が、液化天然ガスの冷凍出力の10%以下であれば、超電導モータ3を用いることによるメリットが得られることを示している。

なお、実際には、冷凍サイクルを形成するうえでの種々損失が存在するから、上記で仮定したカルノーサイクルが成立しないことは、エネルギー保存則からも明らかである。よって、式(9)の右辺に、様々な効率を乗じる必要がある。

[4]図7は、図1〜図3に示す第2の圧縮部50及び第2の膨張部52の横断面図である。第2の圧縮部50は、容積型圧縮機の一種であるスクリュ式圧縮機であり、第2の膨張部52は、容積型膨張機の一種であるスクリュ式膨張機である。第2の圧縮部50は、互いに噛み合う雌雄一対のスクリュロータ182,183を備え、第2の膨張部52は、互いに噛み合う雌雄一対のスクリュロータ156,157を備える。

第2の圧縮部50と第2の膨張部52とは、共通の一体型ケーシング150を備える。ケーシング150内に、第2の圧縮部50のスクリュロータ182,183と第2の膨張部52のスクリュロータ156,157とがそれぞれ回転可能となるように収容されている。以下、第2の圧縮部50の一対のスクリュロータ182,183のうちの一方のスクリュロータである雌ロータ182を圧縮雌ロータ182と称し、もう一方のスクリュロータである雄ロータ183を圧縮雄ロータ183と称する。第2の膨張部52の一対のスクリュロータ156,157のうちの一方のスクリュロータである雌ロータ156を膨張雌ロータ156と称し、もう一方のスクリュロータである雄ロータ157を膨張雄ロータ157と称する。

圧縮雌ロータ182と膨張雌ロータ156とは、それらの間の中間のロータ軸158を共有しており、圧縮雄ロータ183と膨張雄ロータ157とは、それらの間の中間のロータ軸166を共有している。すなわち、圧縮雌ロータ182と膨張雌ロータ156とは、同一の回転軸回りに一体的に回転可能となるように同軸に配置され且つロータ軸158を介して互いに連結されている。また、圧縮雄ロータ183と膨張雄ロータ157とは、同一の回転軸回りに一体的に回転可能となるように同軸に配置され且つロータ軸166を介して互いに連結されている。このような構成により、第2の圧縮部50と第2の膨張部52とが、互いに独立して作動するものではなく、連動して作動するようになっている。

圧縮雌ロータ182から膨張雌ロータ156と反対側へ延びるようにロータ軸161が設けられ、膨張雌ロータ156から圧縮雌ロータ182と反対側へ延びるようにロータ軸163が設けられている。一方のロータ軸161は、ケーシング150内に設けられた対応する軸受162によって回転可能となるように支持され、他方のロータ軸163は、ケーシング150内に設けられた対応する軸受164によって回転可能となるように支持されている。

圧縮雄ロータ183から膨張雄ロータ157と反対側へ延びるようにロータ軸167が設けられ、膨張雄ロータ157から圧縮雄ロータ183と反対側へ延びるようにロータ軸169が設けられている。一方のロータ軸167は、ケーシング150内に設けられた対応する軸受168によって回転可能となるように支持され、他方のロータ軸169は、ケーシング150内に設けられた対応する軸受170によって回転可能となるように支持されている。圧縮雌ロータ182、膨張雌ロータ156及びロータ軸158,161,163からなる回転体と、圧縮雄ロータ183、膨張雄ロータ157及びロータ軸166,167,169からなる回転体とは、それらのロータ軸158,161,163とロータ軸166,167,169とが互いに平行となるように配置されている。

ロータ軸169は、超電導モータ3の回転軸30の他方側32と連結されている。これにより、回転軸30が回転すると、膨張雄ロータ157、圧縮雄ロータ183及びロータ軸166,167,169からなる回転体が回転する。回転軸30の他方側32は、ケーシング150内に設けられた対応する軸受171によって回転可能となるように支持されている。

膨張雌ロータ156と膨張雄ロータ157とは、それらのロータが噛み合いながら共に回転するときに相互接触が回避されるような歯形をそれぞれ有する。すなわち、膨張雌ロータ156と膨張雄ロータ157は、回転時に当該両ロータ156,157の歯面(外面)同士の間に微小な隙間が維持されるような歯形をそれぞれ有する。さらに、好ましくは、圧縮雌ロータ182と圧縮雄ロータ183とは、それらのロータが噛み合いながら共に回転するときに相互接触が回避されるような歯形をそれぞれ有する。

ケーシング150は、圧縮雌ロータ182、膨張雌ロータ156及びロータ軸158,161,163からなる回転体と、圧縮雄ロータ183、膨張雄ロータ157及びロータ軸166,167,169からなる回転体とを囲んでいる。ケーシング150は、図1及び図3の場合、タンク2内の第2の空間部22に配置されているので、ケーシング150の温度は、液化天然ガスの温度と同じ程度に保たれている。

超電導モータ3により膨張雄ロータ157が圧縮雄ロータ183と一体的に回転され、かつ、膨張雌ロータ156が圧縮雌ロータ182と一体的に回転された状態において、図1〜図3に示す第2の熱交換部53から排出された冷媒は、ケーシング150に形成された圧縮機吸込ポート(不図示)を通って第2の圧縮部50内に吸い込まれる。第2の圧縮部50内に吸い込まれた冷媒は、圧縮雌ロータ182及び圧縮雄ロータ183とケーシング150の内面との間に形成される閉じ込み空間に導入されるとともに、圧縮雌ロータ182と圧縮雄ロータ183が互いに逆方向に回転して閉じ込み空間が縮小されるに従って圧縮される。この際、圧縮雄ロータ183は、時計回りに回転し、圧縮雌ロータ182は、反時計回りに回転する。圧縮された冷媒は、ケーシング150に形成された圧縮機吐出ポート(不図示)から吐出され、図1〜図3に示す第1の熱交換部51を通って、ケーシング150に形成された膨張機吸込ポート(不図示)に供給される。

膨張機吸込ポートを通って第2の膨張部52内に吸い込まれた冷媒は、膨張雌ロータ156及び膨張雄ロータ157とケーシング150の内面との間に形成される空間に閉じ込められる。そして、膨張雌ロータ156と膨張雄ロータ157とが回転していることにより、膨張雌ロータ156及び膨張雄ロータ157とケーシング150の内面との間の空間が拡大し、その空間に閉じ込められた冷媒が膨張される。膨張した冷媒は、ケーシング150に形成された膨張機吐出ポート(不図示)から吐出され、超電導モータ3へ供給される。

上記のように膨張雌ロータ156及び膨張雄ロータ157とケーシング150の内面との間の空間に閉じ込められる冷媒は、第2の圧縮部50で圧縮された冷媒であるため、その冷媒の空圧エネルギ(圧力)が膨張雌ロータ156及び膨張雄ロータ157とケーシング150の内面との間の空間を拡大させる方向に作用する。このため、この冷媒から膨張雌ロータ156と膨張雄ロータ157にそれらのロータ156,157を互いに逆方向へ回転させる力が作用する。この力は、膨張雌ロータ156に連結された圧縮雌ロータ182と膨張雄ロータ157に連結された圧縮雄ロータ183に伝達されるため、圧縮雌ロータ182及び圧縮雄ロータ183を回転させるための動力として寄与する。このようにして、第2の圧縮部50での冷媒の圧縮によって生成された空圧エネルギーが回生され、超電導モータ3の消費電力が大幅に削減される。例えば、このようなエネルギーの回生が行われない場合に超電導モータ3が圧縮雌ロータ182及び圧縮雄ロータ183を回転させる際の消費電力の50%以下に消費電力が削減される。

第2の圧縮部50と第2の膨張部52とで、ロータ軸158,166を共有させることにより、上記回生を実現しているが、第2の圧縮部50のロータ軸と第2の膨張部52のロータ軸とをギヤで連結しても、上記回生を実現することができる。

[5]図1〜図3に示す冷却回路5として、気液2相型の冷凍機を用いる。すなわち、超電導モータ3の超電導磁石を冷却した後の冷媒(液体窒素)が、第2の熱交換部53で気体(気相)となり、第2の圧縮部50で圧縮され、第1の熱交換部51で冷却され、第2の膨張部52で膨張されて液体(液相)となるように、冷媒の封入圧力、第2の圧縮部50及び第2の膨張部52の構造、並びに、ロータ(図7に示す膨張雌ロータ156、膨張雄ロータ157、圧縮雌ロータ182、圧縮雄ロータ183)の回転数が設計されている。

気相と液相との相変化において、大きな潜熱の出入りがあるので、冷凍能力を大きくすることができる。

気液2相型の冷凍機によれば、冷媒の液相部分が、図7に示すケーシング150とロータの歯先、及び、ツインロータ間のシール液体となるので、第2の圧縮部50の圧縮性能及び第2の膨張部52の膨張性能を向上させることができる。以下詳しく説明する。

室温で動作させる一般的な圧縮機において、可動部と固定シリンダとの摺動部に、一定の隙間をあけ、隙間を低粘性のオイルで埋めることにより、シール性を確保する。低温(例えば、110K)の環境で使用する圧縮機に使えるオイル物質は、一般に存在しない。そこで、110Kから酸化物系の超電導の臨界温度(窒素の沸点77K以下の温度)までの温度域において、気液2相状態を有するように、冷媒(液体窒素)のベース圧力(1気圧以上)を選べば、第2の圧縮部50及び第2の膨張部52の中の冷媒に液相窒素が混ざった状態となる。液相窒素の粘性は、室温オイルの約1/10であるため、液相窒素は、理想的な潤滑液及びシール液となる。

[6]図7に示す第2の圧縮部50及び第2の膨張部52は、液相冷媒を液体シールとする無給油式ツイン・スクリュ型である。これにより、第2の圧縮部50及び第2の膨張部52の摩擦抵抗を最小限にできるので、超電導モータ3を作動させるのに必要な電力を節約できる。図7に示すスクリュ式は、ケーシング150及びロータ(膨張雌ロータ156、膨張雄ロータ157、圧縮雌ロータ182、圧縮雄ロータ183)の材質を、熱膨張率の観点から適切に選択すれば、低温(例えば、113K)の雰囲気においても、摩擦がなく連続的な圧縮動作及び膨張動作が可能となる。

[7]図7に示すツイン・スクリュ型の第2の圧縮部50及び第2の膨張部52において、ケーシング150の材料の熱膨張率が、ロータ(膨張雌ロータ156、膨張雄ロータ157、圧縮雌ロータ182、圧縮雄ロータ183)の材料の熱膨張率より大きくし、冷却回路5の稼動温度において、ケーシング150とロータの歯先との隙間が適正になるように、ケーシング150及びロータを収縮させる。

低温(例えば、110K〜77K)の環境で作動させるスクリュ式の圧縮機及び膨張機の設計と組み立てをする場合、ケーシング150とロータとの間、ロータとロータとの間のクリアランス(隙間)について、上記低温を考慮する必要がある。ケーシング150の材料の熱膨張率を、ロータの材料の熱膨張率より大きくする。常温で、上記隙間を大きくして、スクリュ式の圧縮機及び膨張機を組立てる。スクリュ式の圧縮機及び膨張機を使用するとき(つまり、低温環境下に置いたとき)、ケーシング150がロータより縮むので、隙間が小さくなり、隙間を適切な大きさにできる。

[8]図4に示す超電導モータ3に用いる軸受、並びに、図7に示す第2の圧縮部50及び第2の膨張部52に用いる軸受(軸受162,164,168,170,171)として、窒化珪素セラミックベアリングを用いる。

スクリュ式の圧縮機及び膨張機の軸受には、相当の偏芯加重がかかるので、潤滑油で焼き付防止をしているベアリングを用いる必要がある。しかしながら、低温(110K以下)で使える潤滑油は存在しない。液体酸素を供給するポンプに使用される窒化珪素セラミックス製のベアリングは、極低温(−196℃)の環境下で優れた耐性を示す。セラミックスは、殆ど潤滑を必要としない特性を有する。

[9]図1〜図3に示すシール部材23は、回転軸30を回転可能に支持する軸受の機能、超電導モータ3が設置されている空間と外部との間を断熱する機能、及び、超電導モータ3が設置されている空間と外部との間で空気の出入りを遮断する機能を有する回転伝動機構である。

超電導モータ3の回転軸30は、超電導モータ3が設置されている空間から外部に延びている。超電導モータ3の温度は、液体窒素の温度であり、外部の温度は、常温である。シール部材23を上記回転伝動機構にすることにより、高効率の液化システム及び発電システムを実現できる。

[10]上記回転伝動機構は、非接触の回転伝動機構(例えば、磁気カップリング機構)であり、超電導モータ3は、密閉容器内に収容されている。

超電導状態を得るためには冷却が必要である。冷却方式として、冷却回路5の冷熱を熱伝導性に優れる金属を介して超電導モータ3に伝える無冷媒方式と、冷媒液体に超電導モータ3を浸漬して冷却する冷媒方式がある。超電導モータ3から外部設備に機械的な接触で動力を伝達する場合、無冷媒方式では高真空状態の維持、冷媒方式では冷媒の漏洩防止対策が必要となる。超電導モータ3の回転軸30に対して真空封止及び冷媒封止をする必要がある。これらには高度な技術が必要である。

そこで、非接触の回転伝動機構を採用すれば、超電導モータ3を密閉容器内に設置した状態で、超電導モータ3の動力を外部に伝達することができる。これによれば、シール部材23が不要となる。また、超電導モータ3の故障等が発生することにより、超電導モータ3、第2の圧縮部50及び第2の膨張部52からなるモジュールを交換するとき、モジュールの交換が容易となる。

[11]超電導モータ3は、超電導材料により構成されたかご形コイル(かご形電極)が配置された回転子を備える誘導モータである。

特開2014−54092号公報に開示されアキシャルギャップ型モータにおいて、そのモータの回転子には、円盤形状の永久磁石が配置されている。超電導コイルを、アキシャルギャップ型モータを用いた場合、円盤形状の永久磁石の替わりに、かご形コイルが配列される。かご形コイルは、上記公報に開示されたかご形コイルと同じ構成を採用することができる。

超電導モータ3が、固定子及びかご形コイルが配置された回転子を、冷媒である液体窒素に浸す構造を有する場合、液体窒素の粘性は小さいので、回転子に対する液体窒素の粘性抵抗が小さい。このため、回転子が回転することによる機械損が小さいので、上記構造を有する超電導モータ3を実現することができる。

1a,1b 液化システム 1c 発電システム 2 タンク(貯留部) 3 超電導モータ(超電導発電機) 4 液化機 5 冷却回路 8 断熱密閉容器 9 ガスタービン 10 蒸気タービン 20 隔壁 21 第1の空間部 22 第2の空間部 30 回転軸 40 第1の圧縮部 42 第1の膨張部 50 第2の圧縮部 51 第1の熱交換部 52 第2の膨張部 53 第2の熱交換部

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