機械部品の寿命消費の信頼できる予測

申请号 JP2015518365 申请日 2012-06-19 公开(公告)号 JP2015525354A 公开(公告)日 2015-09-03
申请人 ゲーコーエヌ エアロスペース スウェーデン アーベー; ゲーコーエヌ エアロスペース スウェーデン アーベー; 发明人 アンデション,マグヌス; ラーション,アンデシュ;
摘要 本発明は機械における部品の寿命消費を予測する方法に関する。前記方法は、前記機械の負荷セッションから負荷データを受け取ること、寿命消費が決定的であると考えられる前記部品の決定的な箇所に関連付けられた複数のパラメータ組にアクセスすること、及び、各決定的な箇所について、前記負荷データ及び前記パラメータ組を入 力 として受け取る寿命消費計算モデルを使用して寿命消費を計算すること、を含む。複数の決定的な箇所を選択することによって、異なった部品の箇所が前記負荷セッションによってどのように影響されるかの全体像が示される。【選択図】図1
权利要求

機械における部品の寿命消費を予測する方法であって、 前記機械の負荷セッションから負荷データを受け取ること、 寿命消費が決定的であると考えられる前記部品の決定的な箇所に関連付けられた複数のパラメータ組にアクセスすること、 及び、各決定的な箇所について、前記負荷データ及び前記パラメータ組を入として受け取る寿命消費計算モデルを使用して寿命消費を計算すること、を含む方法。複数の負荷セッションについて請求項1の段階を実行すること、及び、 各負荷セッションについて各決定的な箇所における寿命消費を蓄積すること、を更に含む請求項1に記載の方法。前記寿命消費が決定的であると考えられる前記決定的な箇所が、 複数のノードを含むメッシュを前記部品の幾何モデルに適用する段階、 少なくとも一つの予め定められた負荷セッションについて、メッシュベースの数値的な方法により、前記メッシュの応力パターン及び温度パターンのうちの少なくとも一つを計算する段階、 前記応力パターン及び前記温度パターンの前記少なくとも一つに基づき、予め定められた各負荷セッションについて寿命消費計算モデルを使用して前記複数のノードのそれぞれについて予測される寿命消費を計算する段階、 前記予測される寿命消費に基づいて、寿命消費が決定的であると考えられる前記決定的な箇所を形成する複数の選択されたノードを選択する段階、によって選択される請求項1又は2に記載の方法。前記メッシュベースの数値的な方法が有限要素分析法を含む、請求項2に記載の方法。前記寿命消費の決定的な限界を決定すること、及び、 前記部品の前記決定的な箇所のうちの一つの寿命消費が前記決定的な限界に達したときに、前記部品の保守動作を決定すること、を更に含む請求項1又は2に記載の方法。決定的な箇所のパラメータ組を修正されたパラメータ組に修正すること、及び、 先に計算した負荷セッションの組について、前記修正されたパラメータ組のそれぞれと共に前記寿命消費計算モデルを使用して、前記決定的な箇所について前記予測された寿命消費を再計算すること、を更に含む請求項1乃至5のいずれかに記載の方法。前記寿命消費計算モデルがメッシュベースの数値的なモデルを含む、請求項1乃至6のいずれかに記載の方法。簡略化された計算モデルを調整し及び/又は実証するために前記メッシュベースの数値的なモデルを使用する、請求項7に記載の方法。前記簡略化された計算モデルが、負荷データと応力、歪及び温度のうちの少なくとも一つとの間の関係を定義する一組の線形差分方程式を含む、請求項8に記載の方法。前記寿命消費計算モデルが、負荷データと応力、歪及び温度のうちの少なくとも一つとの間の関係を定義する一組の線形差分方程式を含む、請求項1乃至9のいずれかに記載の方法。前記負荷データが、時間、高度、航空機の速度、周囲温度、吸込温度、低圧ロータ速度、高圧ロータ速度、燃焼圧、タービン出口温度、タービン出口圧力、パワーレバー度及び制御モードのうちの少なくとも一つを含む、請求項1乃至10のいずれかに記載の方法。特定の負荷セッションについての前記負荷データが、前記負荷セッションの間に測定されたデータを表す機械状態の時間シーケンスにより形成される、請求項1乃至11のいずれかに記載の方法。前記パラメータ組のうちの少なくとも一つが、部品番号、安全率、材料データ、フィルタ設定、熱モデル設定、応力モデル設定及び故障モード設定のうちの少なくとも一つを含む、請求項1乃至12のいずれかに記載の方法。前記負荷セッションが、航空機の飛行ミッションから記録された負荷によって構成される、請求項1乃至13のいずれかに記載の方法。機械における部品の寿命消費を予測するシステムであって、 前記機械の負荷セッションから負荷データを受け取るように構成された負荷生成装置、 寿命消費が決定的であると考えられる前記部品の決定的な箇所にそれぞれが関連付けられている複数のパラメータ組にアクセスするように構成されたモデルユニット、 前記負荷データ及び前記パラメータ組を入力として受け取る寿命消費計算モデルを使用して各決定的な箇所の寿命消費を計算するように構成された計算エンジン、 を備えるシステム。寿命消費計算ユニットが、複数の負荷セッションについて、各決定的な箇所における各負荷セッションの寿命消費を蓄積するように構成されている、請求項10に記載のシステム。前記寿命消費計算ユニットは、寿命消費の決定的な限界を決定するとともに、前記部品の前記決定的な箇所のうちの一つにおける前記寿命消費が前記決定的な限界に達したときに前記部品のための保守動作を決定するように構成されている、請求項16に記載のシステム。前記計算エンジンは、負荷データと応力、歪及び温度のうちの少なくとも一つとの間の関係を定義する線形差分方程式の一組を使用して前記寿命消費を計算するように更に構成されている、請求項15乃至17のいずれかに記載のシステム。前記負荷生成装置は、時間、高度、航空機の速度、周囲温度、吸込温度、低圧ロータ速度、高圧ロータ速度、燃焼圧、タービン出口温度、タービン出口圧力、パワーレバーの角度及び制御モードのうちの少なくとも一つを含む負荷データを受け取るように更に構成されている、請求項15乃至18のいずれかに記載のシステム。前記負荷生成装置は、前記負荷セッションの間に測定されたデータを表す機械状態の時間シーケンスにより、特定の負荷セッションの負荷データを形成するように更に構成されている、請求項15乃至19のいずれかに記載のシステム。コンピュータプログラムが格納されているコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、前記コンピュータプログラムは、処理装置上で実行されるときに請求項1に記載のステップを実行するプログラムコード部分を含んでいる、コンピュータプログラム製品。

说明书全文

本発明は、機械部品の寿命消費を予測する方法、システム、及びコンピュータプログラム製品に関する。寿命消費は、部品における損傷の量を表している。

今日、機械、特に可動部分を有する機械における個々の部品の寿命消費の予測を改善する方法及び装置の開発について、大きな関心がある。そのような方法の正確さを改善することにより、適用される安全限界を引き下げることができ、部品の不必要な交換を回避することができる。フリート(例えば、軍用航空機のフリート)全体に適用するとき、コストの節約が著しいものとなり得るし、並びに運転寿命の延長も可能となる。更にまた、従来の方法が楽観的すぎる異常なイベントにおいても、この改良された方法は部品の故障を回避し、したがって運転中の予測のつかない停止あるいは重大な事故すら回避することができる。

改良された寿命消費の予測が役立ち得る興味深い適用の実例には、航空機、ガス/蒸気タービン、トラック、ローダ、原子プラント、及び風力タービンが含まれる。

機械部品の寿命消費を予測する従来の方法は、使用/運転時間、距離のうちの一つあるいは組み合わせを測定し、又は予め定められた負荷セッションあるいは控えめな負荷セッションのサイクル数をカウントするものである。負荷セッションは機械が作動中である時間であり、例えば航空機においては、負荷セッションは、予め定められたロータ速度変化でA地点からB地点に飛行するものとして定義することができる。

航空機分野において、エンジンの寿命消費は、時には、特定のエンジン部品の使用に重点を置いた「簡略化された」サイクルカウントを行うことによって決定される。また、特定の、例えばエンジン部品についてのELCF(等価低サイクル疲労)サイクルを決定する、より具体的で、かつ少なくともある意味ではより信頼できる方法を利用することができる。そのようなELCFサイクルは、例えば、負荷セッションの間に記録された航空機ジェットエンジンの高圧ロータ速度に基づいて計算することができる。このサイクルは、高圧ロータの速度が、ある選択された及び予め定められたロータ速度を上回った回数によって決定することができる。更にまた、ELCFサイクルを算出するために、そのサイクルのスケールファクタが、予め定められた負荷セッションに基づいて決定される。しかしながら、このELCFサイクルの大きな欠点は、スケールファクタのベースとなる、個々に経験する実際の負荷セッションが、予め定められた負荷セッションと著しく異なる場合に、寿命消費の予測に誤差が生じることである。

例えばエンジンの寿命消費をより正確に決定するためには、エンジンの関連部品の寿命消費を決定しなければならない。特定部品の寿命消費を決定するためには、エンジンの個々の部品のより詳細な情報が必要である。

特許文献1には、一組の簡略化された使用カウンタを備えるシステムを使用して、エンジン寿命の使用を概算する改良された方法が記載されている。使用の間における航空機エンジンの損傷を推定するために、一組の簡略化された使用カウンタ、過酷度カウンタ(SC)が使用される。この過酷度カウンタは、エンジンの飛行時間と組み合わせた高圧軸の速度、トルク、排気ガス温度といった特定のエンジンパラメータに関連する関数である。同じ過酷度カウンタは、エンジンのいくつかの部品の損傷を概算するために使用することができる。カウンタとエンジン損傷との間の相関は、蓄積された損傷の正確な計算によって較正される。損傷の概算をわずかに改善するために、常に最悪の場合の損傷を仮定することを回避する統計アプローチとして、エンジンフリートのモンテカルロシミュレーションが使用される。

欧州特許出願公開第2 390 742号明細書

コスト効率の要求が高まるにつれて、寿命消費を予測する、より良好なモデルを見いだすことに対する関心もまた高まってきている。従来の方法は、全ての重要な負荷サイクルを考慮に入れているわけではない。

例えば、ELCFサイクルをカウントする方法は、エンジン全体のうちの一つのエンジンパラメータを考慮するだけであるが、エンジンあるいは機械における決定的な部品の寿命消費は、各部品の寿命消費にとって最も重要な負荷に応じて変動し得る。特許文献1に示されている方法は、それぞれが経験する全ての異なる負荷セッションに対応する損傷に関して寿命消費を予測する、改良された方法を示唆していない。

したがって、安全性及び経済性の観点の両方に重点を置いて、全ての実際の負荷セッションに基づいて機械部品の寿命消費を予測する、改良されたより正確な方法へのニーズがある。

従来技術の上述した欠点に鑑み、本発明の目的は、信頼性を向上させつつ機械における部品の寿命消費を予測する、改良された方法及びシステムをもたらすことにある。

本発明の第1の態様によると、上記の目的は、機械における部品の寿命消費を予測する方法であって、機械の負荷セッションから負荷データを受け取ること、寿命消費が決定的であると考えられる部品の決定的な箇所に関連付けられた複数のパラメータ組にアクセスすること、及び、決定的な箇所のそれぞれについて、負荷データ及びパラメータ組を入力として受け取る寿命消費計算モデルを使用して寿命消費を計算すること、を含む方法により少なくとも部分的に満たされる。

本発明の第2の態様によると、上記の目的は、機械における部品の寿命消費を予測するシステムであって、機械の負荷セッションから負荷データを受け取るように構成された負荷生成装置、寿命消費が決定的であると考えられる部品の決定的な箇所にそれぞれが関連付けられている複数のパラメータ組にアクセスするように構成されたモデルユニット、負荷データ及びパラメータ組を入力として受け取る寿命消費計算モデルを使用して決定的な箇所のそれぞれの寿命消費を計算するように構成された計算エンジン、を備えるシステムによって少なくとも部分的に満たされる。

本発明の第1の及び第2の態様は、類似した特徴及び効果をもたらすが、それらは以下に記載される。本発明は、エンジンの単一部品上のいくつかの決定的な箇所について寿命消費を予測することの可能性が、寿命消費の予測に関する安全性の観点を大きく改善するという認識に基づいている。部品上の複数の決定的な箇所を選択することにより、部品の異なる部分が負荷セッションによってどのように影響されるかについてのより完全な考察が提示される。部品の寿命を制限する位置は、負荷セッションによって変化し得る。その機械は、任意のタイプの機械、例えば航空機、ガス/蒸気タービン、トラック、ローダ、原子力プラント及び風力タービンとすることができる。

「寿命消費」という用語は、負荷セッションによって蓄積された損傷と部品、機械あるいは箇所が故障なしで耐えることができる損傷の総量との間の比率として解釈されなければならない。寿命消費は、その部品が故障なしで耐え得る全体的な損傷のパーセンテージとして計算することができる。さらに負荷セッションは、機械の運転サイクル、例えば航空機の飛行ミッションとして理解されなければならない。複数のパラメータ組は、製品開発段階の間に使用される開発モデルから更に発展させることができる。

部品上の複数の決定的な箇所について計算を実行することの利点は、部品全体について予測される寿命消費がより信頼できるものとなり、かつ複数の決定的な箇所が各負荷セッションによってどのように影響を受けるかについての情報を更にもたらし得るということである。

従来技術の解決案においては、部品の典型的な使用に基づいて、各部品上の一箇所が寿命消費にとって決定的であると定められる。この箇所は、寿命消費を予測しかつ評価するために使用される。しかしながら、実際には、部品の使用が予想される使用から外れた場合に、他の箇所が実際により損傷を受け、したがって寿命消費を決定することとなり得る。複数の箇所を選択するとともにこれらの全ての箇所について寿命消費を予測することにより、この状態は回避され、あるいは少なくとも緩和される。

正確さ及び信頼性を改善することにより、本発明は予測の安全率の低減を可能にする。安全のための余裕を減少させることができ、寿命消費の決定的な限界をその部品の予測される寿命限界に接近させることができるようにする。従って、部品をより長く使用することができ、予備部品のコスト低減に結びつく。更にまた、各負荷セッションの効果に関する情報は、その部品上の異なる箇所についてより均一に分布した寿命消費が生じるように、機械の運転設定を変更しあるいは調整できるようにする。

決定的な箇所のそれぞれを、寿命消費を計算する計算モデルによって入力として使用されるように適合されたパラメータ組と関連付けることにより、負荷データの極めて効率的な処理を達成することができる。

パラメータ組は、例えば、そのパラメータ組が有効な部品の部品番号、材料データ、安全率、決定的な箇所の位置、熱及び応力のモデル設定、有限要素モデル及び故障モード設定に関する設定及びパラメータを含むことができる。機械においては、多くの部品が寿命制限部品となり得るが、典型的な寿命制限部品は回転部品のディスクとすることができる。寿命制限部品は、製品の寿命を制限し得る部品として理解されなければならない。部品の寿命制限位置は、最初に故障すると予測される位置、すなわち複数の決定的な箇所のうちの一つの決定的な箇所として理解されなければならない。異なるパラメータ組は以下に更に記載される。

パラメータ組は、寿命消費に関する部品の資料としてそれ自身が作用する。開発段階の間におけるパラメータ組の広範囲なテスト及び実証の後、そのようなパラメータ組は、部品を供給する際に「承認されたデータ」として使用することができる。

部品を設計する間、いくつかの決定的な箇所についてのパラメータ組は、予め定められた負荷セッションの組み合わせについての寿命消費を予測するために使用することができる。この予測された寿命消費は、部品を再設計するために、かつ決定的な箇所のそれぞれについてのパラメータ組を再設計された部品に整合させるために、使用することができる。予測された寿命消費からの結果を評価することにより、部品について異なってシミュレーションされた負荷セッションに基づいて、部品の設計を変更しかつ改良することができる。そのパラメータ組は、部品の新しい設計についての寿命消費を予測するために適合させることができる。

寿命消費計算モデルは、決定的な箇所の状態に基づいて異なる計算方法を使用するために適合させることができる。パラメータ組は、寿命消費を計算するときに使用し得る寿命消費計算モデルを決定することができる。機械的な負荷に比較して温度的な負荷が小さい「冷たい」位置に配置された決定的な箇所については、寿命消費計算モデルは温度的な負荷を無視するように適合することができる。位置の状態に基づいて、決定的な箇所のそれぞれについて計算モデルが使用する情報を含むように、パラメータ組を適合することにより、寿命消費の予測をより急速に実行することができる。

本発明の例示の実施形態によると、寿命消費は、複数の負荷セッションについて計算し、かつ決定的な箇所のそれぞれについて蓄積することができる。

特定の部品の異なる決定的な箇所に関連付けられた複数のパラメータ組を適用することにより、いくつかの決定的な箇所のそれぞれにおける損傷を蓄積することができ、したがって、寿命制限位置の不確定度が低減される。また、機械の運転設定を適合して負荷セッションの間における負荷を変更し、交換が安価なあるいはエンジンの他の部品に比較して蓄積された寿命消費が低い部品により多くの損傷が蓄積されるようにすることができる。

本発明の例示の実施形態によると、寿命消費が決定的であると考えられる決定的な箇所は、複数のノードを含むメッシュを部品の幾何モデルに適用する段階、少なくとも一つの予め定められた負荷セッションについて、メッシュベースの数値的な方法により、メッシュの応力パターン及び温度パターンのうちの少なくとも一つを計算する段階、応力パターン及び温度パターンの少なくとも一つに基づき、予め定められた各負荷セッションについて寿命消費計算モデルを使用して複数のノードのそれぞれについて予測される寿命消費を計算する段階、予測された寿命消費に基づいて、寿命消費が決定的であると考えられる決定的な箇所を形成する複数の選択されたノードを選択する段階、によって選択することができる。

メッシュという用語は要素の格子として理解されなければならず、その格子の各部がノードである。さらに、メッシュは2次元あるいは3次元の幾何モデルに適用することができる。

「メッシュベースの数値的な方法」という言い回しは、以下の及び全体の明細書について、所望の結果を達成するために明確なあるいは黙示の反復計算を使用する方法と解釈されなければならない。メッシュベースの数値的な方法は、例えば2次元あるいは3次元の幾何モデルにもたらされたメッシュあるいは格子を使用することができ、メッシュ/格子によってもたらされた各ノード及び/又は要素について例えば応力及び温度を計算する。したがって、メッシュベースの数値的モデルの以下の記載は、応力、歪及び温度を計算するメッシュベースの数値的な方法を利用するモデルとして解釈されなければならない。メッシュベースの数値的な方法は、例えば、有限要素法、FEMを使用して応力及び/又は歪を算出することができる。

寿命消費の予測を更に改善するために、温度パターンを計算することが有利であり得る。

更にまた、寿命消費は、構造が受ける主応力及び/又は歪を、温度的な負荷と組み合わせて計算することによって予測することができる。主応力及び/又は歪の計算は、例えばヴェーラー線図又は類似のものの使用により、部品によって利用される寿命消費の量を決定するために使用することができる。上述したように、第1の負荷セッションについて予測した寿命消費を第2の負荷セッションの予測した寿命消費に加算するときには、同じ主方向を有する主応力を比較して加算することが重要であり得る。負荷セッションの間で最も高いレベルの第1の主応力/歪は、最も高いレベルの主応力/歪の方向を決定できるように計算することができる。応力/歪レベルは、負荷セッション内の時間内にあらゆる箇所について決定された方向において計算することができる。さらに、この計算は、部品のクラック開始あるいはクラック伝播を決定しかつ検出するために使用することができる。寿命消費を決定するときに、クラックが一つの重要な態様であるからである。

異なる予め定めた負荷セッションについてその部品の寿命消費を予測しかつ評価することにより、その部品の最も決定的なノードを表す複数のノードを選択することができ、その最も決定的なノードのそれぞれがその部品の寿命予想を制限し得ることになる。寿命消費が決定的な領域は、例えば穴を囲む領域であり得る。この領域は、決定的な寿命消費が同一のいくつかのノードを含むことができ、かつ評価に基づいて、その穴を囲む領域のそれらのノードを代表する一つのノードを選択することができる。

本発明の例示の実施形態によると、メッシュベースの数値的な方法は有限要素分析法を含むことができる。

本発明の例示の実施形態によると、寿命消費の決定的な限界を決定し得るとともに、部品の決定的な箇所のうちの一つの寿命消費が決定的な限界に達したときに、その部品の保守動作を更に決定することができる。

複数の重要な箇所のうちの一つが寿命消費の決定的な限界に到達したときに、保守動作が決定される。この保守動作は、例えば、部品の交換あるいは部品の修理点検の実行を含むことができる。

本発明の例示の実施形態によると、決定的な箇所のパラメータ組を修正されたパラメータ組に修正することができるとともに、先に計算した負荷セッションの組について、修正されたパラメータ組のそれぞれと共に寿命消費計算モデルを使用して、決定的な箇所について予測される寿命消費を再計算することができる。

負荷セッションのそれぞれについて負荷データが残っている場合、寿命消費は、更新されたパラメータ組に基づいて再計算することができる。更新されたパラメータ組及び更新された寿命消費計算モデルについて、負荷セッションを再利用する可能性は、この方法の弾力性を改善する。

本発明の例示の実施形態によると、寿命消費計算モデルは、メッシュベースの数値的なモデルを含むことかできる。このメッシュベースの数値的なモデルは、上述したメッシュベースの数値的な方法によって、部品の応力、歪及び/又は温度を計算することができる。

本発明の例示の実施形態によると、簡略化された計算モデルを調整し及び/又は実証するためにメッシュベースの数値的なモデルを使用することができる。メッシュベースの数値的モデルは、比較的に正確に応力、歪及び温度を計算すると考えられるので、簡略化された計算モデルは、比較的に正確かつ信頼できる応力、歪及び温度をもたらすべく改善することができる。したがって、メッシュベースの数値的モデルの更なる利点は、簡略化された計算モデルを開発するときにそれを利用できることにある。

本発明の例示の実施形態によると、簡略化された計算モデルは、負荷データと応力、歪及び温度のうちの少なくとも一つの間の関係を定める一組の線形差分方程式を含むことができる。

本発明の例示の実施形態によると、寿命消費計算モデルは、負荷データと応力、歪及び温度のうちの少なくとも一つとの間の関係を定める一組の線形差分方程式を含むことができる。既知の応力及び温度の分析結果に線形方程式を近似することにより、寿命消費を予測するこの方法は、依然として正確でありながらより迅速なものとなる。それにより、この方法は、全ての利用可能な実際の負荷セッション及び部品上の追加のノードについての寿命消費予測を可能にする。

本発明の例示の実施形態によると、負荷データは、時間、高度、航空機の速度、周囲温度、吸込温度、低圧ロータ速度、高圧ロータ速度、燃焼圧、タービン出口温度、タービン出口圧力、パワーレバー角度及び制御モードのうちの少なくとも一つを含むことができる。

本発明の別の例示の実施形態によると、特定の負荷セッションについての負荷データは、負荷セッションの間に測定されたデータを表す機械状態の時間シーケンスによって形成される。

機械状態を生成することの利点は、計算速度を改善し得ることである。負荷データは、負荷セッションの間に記録された実際の負荷データとすることができる。代わりに、それは複数の機械状態によって生成された負荷データとすることができる。

本発明の例示の実施形態によると、パラメータ組のうちの少なくとも一つが、部品番号、安全率、材料データ、フィルタ設定、熱モデル設定、応力モデル設定及び故障モード設定のうちの少なくとも一つを含む。

例えば、部品番号は、そのパラメータ組が有効である部品に関連する。安全率は、部品の決定的な限界に関連する設定を含む。すなわち、安全率は、理論的な寿命のうちのどれくらいが利用にとって安全であるかを決定する。故障モード設定及び材料データは、部品の材料及び材料試験から集められたデータの特性に関連するデータを含むことができる。材料の試験片には、破損する前にどのくらいの周期的応力、歪及び温度の損傷を材料が処理できるかに関連する特性を評価するための、一連の試験が課せられる。フィルタ設定は、全データの組の一部を選択できるようにデータをフィルタに通すための効果的な設定を含む。

更にまた、パラメータ組は、メッシュにおける箇所の位置についての設定を含むことができる。熱モデル設定及び応力モデル設定は、熱的及び機械的な応力の分析計算を可能にするべく、温度及び応力データに関する設定を含む。

本発明の例示の実施形態によると、負荷セッションは、航空機の飛行ミッションから記録された負荷によって構成される。

これにより、航空機が飛行ミッションにさらされたときに、航空機のエンジンは、特定の飛行に関する、したがって飛行ミッションの間にエンジンが受けた時間に依存する負荷に関する情報を受け取る、コンピュータあるいは類似のものに接続される。したがって、例えば天気、パイロットの挙動、その他といった、特定のミッションの間における異なる飛行条件に応じて、その特定のミッションの間における部品の予測される寿命消費を算出できるようにするために、これらの条件によってエンジンに影響を及ぼす負荷が、エンジンからもたらされる。

本発明の第2の態様の実施形態によると、このシステムは、複数の負荷セッションについて、決定的な箇所のそれぞれにおける各負荷セッションの寿命消費を蓄積するように構成された寿命消費計算ユニットを更に含むことができる。

本発明の第3の態様によると、コンピュータプログラムが格納されているコンピュータ可読媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、そのコンピュータプログラムが、処理装置上で実行されるときに上述した方法を実行するプログラムコード部分を含んでいる、コンピュータプログラム製品がもたらされる。

本発明の更なる特徴、及び利点は、添付の請求の範囲及び以下の記載を考慮するときに明らかとなる。本発明の範囲を逸脱することなしに、以下に記載されるもの以外の実施形態を作りだすべく本発明の異なる特徴を組み合わせ得ることは、当業者が理解するところである。

本発明の特徴及び利点を含む様々な態様は、以下の詳細な説明及び添付の図面から容易に理解される。

全体的な保守システムの模式図の一実施例である。

多くの寿命制限部品を示す、ジェットエンジンの断面の模式図である。

メッシュが適用された部品を示している。

寿命消費計算システムを模式的に示している。

本方法の一実施形態のフローチャートを示している。

図4に記載されているシステムの例示的なフローチャートを示している。

ここで、本発明の好ましい実施形態が示されている添付の図面を参照しつつ、本発明を以下により詳細に説明する。しかしながら、この発明は、多くの異なる形態で実施することができ、かつ本願明細書に述べる実施形態に限定されるものと解釈されてはならず、むしろこれらの実施形態は完全さ及び完全性のためにもたらされて、本発明の範囲を当業者に詳細に伝えるものである。類似の参照符号は、一貫して類似の要素を参照する。

図1は、機械の保守システム100の模式的な説明図の一実施例である。図1には、戦闘機102が機械の実例として示されており、この戦闘機102は複数の機械部品から構成され、そのうちのいくつかが寿命を限定する決定的なものとして定められている。もちろん、他の機械を本発明の範囲内とすることは可能であり、例えば(一般的な)航空機、ガス/蒸気タービン、トラック、ローダ、原子力プラント、及び風力タービンとすることができる。

図2には、その部品/パーツに重大な故障を生じさせ得る力に特にさらされる、多くの寿命制限部品202を備えたジェットエンジン200の断面が描かれている。典型的に、それらの部品のいくつかは、回転部品、あるいは高温もしくは他の負荷にさらされる部品である。ジェットエンジン200においては、(負荷セッションとして定められる)機械が運転されている間に、多くのパラメータ、例えば時間、パワーレバーの角度、高度、航空機の速度、周囲温度、吸込温度、低圧ロータ速度、高圧ロータ速度、燃焼圧、タービン出口温度、タービン出口圧力、例えば航空機102の制御モードが測定される。図1の戦闘機については、複数の運転データが戦闘機上のコンピュータ記憶媒体(図示せず)に記録されかつ格納される。

図1を更に参照すると、負荷セッションは記録データと共に、おそらくは「地上」に配置された、例えば航空機102から分離しているデータベース104に(例えば有線あるいは無線で)転送されるように適合される。飛行の間に記録されるデータは負荷セッションからの負荷データと呼ばれる。データベース104に格納されたデータは、例えばジェットエンジン200の部品/パーツ上の複数の箇所の寿命消費を予測するために、寿命消費計算システム106によって使用される。蓄積された寿命消費の結果は、保守装置108に転送することができる。保守装置108は、部品がその耐用寿命の終わりに接近しているという兆候(例えば保守装置108によってなされる決定)の後、適切な保守活動を決定することができる。この保守活動は、例えばその部品を修理しあるいはそれを交換するものとすることができる。保守活動が行われたときに、そのような(保守)イベントの情報は寿命消費計算システム106に送り返されるが、そのイベントは例えばその部品が修理されたあるいは他の(新しい)部品に交換されたという情報を含んでいて、寿命消費計算システム106が(新しい)部品の蓄積された寿命消費に基づいてその蓄積された寿命消費を適合できるようにする。(少し)使用された部品を取り付けることができるが、使用される部品について適合された予測寿命消費は、同様のやり方で保守装置108から寿命消費システム106に転送することができる。

図3は、図2の寿命を制限する部品202のうちの一つを図示している。また、部品302の3次元モデルにもたらされたメッシュ304も図示されている。このメッシュ304は複数の要素306の格子から構成されており、要素の各角部が箇所を形成するノードである。要素306は、各角部に、そのノードの他に、他のノードを有することができる。複数のノード310は、潜在的に寿命を制限するもの、すなわち決定的な箇所として選択される。また、潜在的に寿命を制限するノード310が図3に示されている。複数の点を選択することにより、この方法が一組の異なる負荷セッションについて寿命消費を予測するために使用されるときでも、この方法はより信頼できるものとなる。部品302の3次元モデルのために生成されたメッシュ304は、メッシュベースの数値的な方法で熱的及び機械的な応力パターンを計算することにより、部品302上に作用する予め定められた負荷から生じる温度及び機械的な応力を分析するべく、使用することができる。熱的及び機械的な応力パターンは、有限要素ソフトウェアの有限要素分析法を使用することで計算することができる。機械的な及び温度的な応力を計算するために使用するプログラムは、ANSYS、ABAQUS、Hypermesh、COMSOL、あるいは有限要素分析を取り扱うことが可能な他の任意のプログラムのうちのいずれかとすることができる。要素のサイズは、温度及び応力の分析の正確さに影響する。一つの部品について増加させた数の要素306は、計算精度を改善する。機械的及び熱的な負荷を計算するときに、熱的及び機械的な応力パターンは、機械的な応力及び温度が周囲の領域より高い一つの領域あるいは複数の領域を示す。寿命消費が決定的な領域から一組のノードを選択するために、複数の潜在的に寿命を制限するノードにおいて予測される寿命消費を、一つあるいは複数の負荷セッションについて計算することができる。寿命消費が決定的な領域、例えば円形の開口部を囲む領域においては、予測される寿命消費が、いくつかのノードについて同じであり得る。従って、寿命消費が決定的な領域における全てのノードを代表させるべく、それらのノードのうちの一つあるいはいくつかだけを選択できる可能性があり得る。

寿命を制限するノードであると最終的に判明するノードは、他のタイプの負荷セッションについては寿命を制限するものではないことがあり得る。したがって、寿命を制限する位置は、部品が受ける負荷セッションのタイプに依存する。複数のノード310を考慮することにより、この寿命消費を予測する方法は、より安全でより信頼できるものとなる。そのうえ、機械の動作を適合させることにより、特定のノードにおける寿命消費の追加を制御することができる。

更にまた、計算される応力及び温度は、時間に依存するパラメータであり得る。応力及び温度を時間の関数として計算することにより、部品の負荷の履歴を考慮するとともに、機械的及び熱的な負荷データに含めることができる。

図4には、図1に示した寿命消費計算システム106がより詳細に模式的に示されている。データベース104に格納されている負荷セッションは、寿命消費計算システム106に転送される。データベース104からのデータは負荷生成装置404において処理され、機械的及び熱的な負荷データに変換することができる。寿命消費計算ユニット406は、前処理されたデータを負荷生成装置404から受け取るように構成されている。寿命消費計算ユニット406は、モデルユニット408から複数のパラメータ組を受け取るように更に構成されている。複数のパラメータ組は、各部品の多数の決定的な箇所に関連付けられるとともに、モデルユニット408によって決定され、さもなければモデルユニット408からアクセスされる。寿命消費計算ユニット406は、モデルユニット408からのパラメータ組と共に負荷生成装置404からのデータに結びつけられるとともに、予測される寿命消費が計算される計算エンジン410にパラメータ組及び負荷データを転送するように更に適合されている。寿命消費計算ユニット406は、計算エンジン410から結果を受け取るとともに、予測された寿命消費をメモリにあるいは例えばデータベースに格納するように、更に適合されている。

保守装置108は、部品上の全ての決定的な箇所について予測された寿命消費を、寿命消費計算ユニット406から受け取るように適合されている。保守動作が行われるときに、保守装置108は、この動作に関する情報を寿命消費計算ユニット406に戻すように適合されている。部品が交換された場合、その特定部品の寿命消費についての格納データはリセットされる。

負荷生成装置404は、入力データ及び周波数フィルタのデータにおけるエラーを点検するように構成されている。負荷生成装置404はまた、機械の状態を特定するとともに、その状態をデータベースに格納することができる。機械の状態は負荷データに基づいて見いだされる。負荷セッションの間に測定されたデータから機械の状態を生成することにより、予測の速度を改善することができる。機械状態の生成は、機械が動作しているときの機械の状態から計算された機械状態パラメータをデータベースに格納することに基づいている。これにより、作動している機械の各機械状態の計算を実行することに代えて、結果として生じる機械状態は、機械から測定されたデータをデータベース内の対応する予め定められたパラメータ組と整合させることによって見いだすことができる。そのような整合の手順は、一般的に、計算を実行するよりも時間効率が良い。機械の状態は、測定されたパラメータの特定の値によって定まる特定の時点における機械の状態として定められる。追加の利点は、収束しない解に帰着する計算を回避できることである。

例えば複数のパラメータ組は、例えばXMLファイルあるいは類似のものとして格納することができる。これらのパラメータは、部品番号、安全率、材料データ、フィルタ設定、熱モデル設定、応力モデル設定、故障モード設定及び信頼性限界を含むことができる。部品番号は、そのパラメータ組が有効な部品を決定する。安全率は、その部品の決定的な限界に関する設定を含む。安全率は、理論的な寿命消費のうちどれくらいを使用しても安全かを決定する。破損モード設定及び材料データは、部品の材料及び材料試験から集められたデータの特性に関するデータを含むことができる。材料の試験片には、破損する前にどのくらいの周期的応力、歪及び温度の損傷を材料が処理できるかに関連する特性を評価するための、一連の試験が課せられる。

計算エンジン410は、決定的な箇所についてのパラメータ組に基づいて、異なる寿命の消費計算モデルを使用するように適合されている。図示の実施例では、このモデルは、スケール応力モデル414、メッシュベースの数値的モデル416、及び線形計算モデル418を含んでいる。

その箇所が部品の冷たい部分に配置されている場合、すなわち熱的な応力を無視できると考えられるときには、複数のパラメータ組は、任意の箇所に存在する応力をスケーリングするべく単純なスケーリングスキームを実行するための設定を含むことができる。これは、スケール応力モデル414と呼ばれる。この場合、パラメータ組は、スケーリング負荷、負荷レベル及び応力分布を含むことができる。スケーリング負荷は、そのスケーリングが高圧速度もしくは低圧速度、高圧トルクもしくは低圧力トルク、又は力に基づくことになる負荷に関連するが、その一方で、負荷レベル及び応力分布は、応力を特定の負荷レベルに基づいて計算できるようにする。更にまた、パラメータ組は、メッシュ、すなわちFEモデルノードにおける箇所の位置の設定を含むことができる。

熱的な応力を無視できないときに、パラメータ組は、メッシュベースの数値的モデル416を使用する熱的及び機械的な応力分析計算を、計算エンジン410において実行するための設定を含むことができる。寿命計算エンジン410のメッシュベースの数値的モデル416は、メッシュベースの数値的な方法、例えば有限要素法により熱的及び機械的な応力を負荷から計算することができる。この場合、パラメータ組は、時間のかかる計算ではない、又はより密度の高いメッシュを有するFE−モデルと同じ程度に正確でない、粗いメッシュについての設定を含む。更にまた、粗い要素から微細な要素へと要素をスケーリングするときには、スケールマトリックスを使用することができる。熱モデル設定及び応力モデル設定は、メッシュベースの数値的なモデル416に対して入力データとして機能するように適合された、温度及び応力データに関する設定を含むことができる。

寿命消費予測の速度は、応力を計算するために完全なメッシュベースの数値方法を使用することに代えて、簡略化された計算方法を近似することによって改善することができる。一組の負荷入力データから数値的モデルが計算した応力の既知の結果を使用して、簡略化された計算モデル418を較正することにより、簡略化された計算モデル418を他の機械的及び熱的な負荷について使用することができる。これにより、より時間消費の少ない簡略化された計算がもたらされるが、例えば部品の応力及び温度に関しては、依然として信頼できる結果をもたらすことが可能である。線形計算モデル418は、メッシュベースの数値的モデル416で計算された機械的及び熱的な負荷のいくつかの予め計算された負荷セッションに近似される、例えば線形ARXモデルといった線形方程式とすることができる。この線形ARXモデルは、所与の入出力に基づいてパラメータを計算する一組の線形差分方程式を含む。この近似された線形方程式は、寿命消費モデルの計算速度を上げるために機械的な及び温度的な負荷を含む他のデータ組に利用することができる。簡略化された計算モデル418で計算された他の入力データについての応力、温度及び予測された寿命消費のうちの少なくとも一つを、メッシュベースの数値的モデル416からの結果と比較することより、簡略化された計算モデル418を検証することができる。そのような線形モデルを実行する方法の詳細は、「簡略化された計算モデルを生成する方法及び部品の寿命消費を予測する方法」という名称の同時係属出願に開示されており、この参照によって援用されるものとする。

計算エンジン410の簡略化された計算モデル418について、入力データ設定及び簡略化された計算モデル418に関するパラメータは、有限要素ノード、すなわちFEモデルの微細なノードについての精密なモデルに基づいた設定に格納される。その箇所の応力及び/又は歪及び温度は、簡略化された計算モデル418で計算することができる。

さらに、製品開発段階で使用される仮想モデルは、パラメータ組を生成するために使用することができる。このモデルは、それが実証されるまでは、コンピュータクラスタの支援のもとで開発される。実証されるパラメータ組は、計算エンジンにより、人為的な負荷セッションについて予測される寿命消費を計算する。負荷データは、制御された環境、例えば試験施設で、エンジンにおける負荷セッションを実行することにより得ることができる。実証されるパラメータ組は、実際の負荷セッションについて更に開発される。このステップの後、パラメータ組は再検討され、適切に働くことが見いだされた場合に実証される。実際の負荷データについて実証されたパラメータ組は、作動に際して使用する準備ができる。計算エンジン410は、モデルの開発段階の間に、人為的な及び実際的な負荷セッションについて予測される寿命消費を計算するように構成されている。パラメータ組は、予め定められた負荷セッションについて予測された寿命消費を評価することにより、部品を更に開発して再設計するために使用することができる。

パラメータ組は、更新されたパラメータ組により負荷セッションからの負荷データを再計算するときに、より正確な寿命消費が計算から生じ得るように、連続的に更新することができる。新しいパラメータ組は、システムが動作する間はいつでも導入することができる。パラメータ組は、部品を設計する段階の間に更に使用することができる。複数の箇所の寿命消費を予測することにより、結果を評価することができ、かつ部品の弱い部分を強化するために設計を変更することができる。部品を変更した場合、新しいパラメータ組を新しい幾何学的形状に適合させて生成することができる。

寿命消費計算システム106は、ハードウェア及びソフトウェア要素の組み合わせとして実現することができる。特に、ブロック404〜410の一部あるいは全部は、一つあるいは複数の処理装置で実行されるコンピュータプログラムコードによって実現することができる。これらの処理装置は、より大きなコンピュータサーバシステムの一部を構成し、あるいは相互に接続されたプロセッサのネットワークを含むことができる。コンピュータプログラムコードは、例えば脱着自在な不揮発性ランダムアクセスメモリ、ハードディスク駆動装置、フロッピー(登録商標)ディスク、CD—ROM、DVD—ROM、USBメモリ、SDメモリカード、あるいは従来技術において知られている類似のコンピュータ可読媒体といった、コンピュータ可読媒体に格納することができる。

図5は、部品の寿命消費を予測するときに、複数の決定的な箇所を選択する方法の一実施形態のステップを説明するフローチャートを示している。

ステップ601で、寿命を制限する部品の3次元モデルにメッシュが適用される。このメッシュは、メッシュベースの数値的な方法によって、あるいは他のメッシュを生成する方法によって、生成することができる。他のメッシュを生成する方法を使用する場合、このメッシュはメッシュベースの数値的な方法に取り込まれる。このメッシュは複数の要素を有する格子から構成され、要素の各角部が箇所を形成するノードである。メッシュの要素サイズは、予測が必要とする正確さ及び部品の設計に応じて変更することができる。このメッシュは、ステップ602において、メッシュベースの数値的な方法により熱的及び機械的な応力パターンを計算するために使用される。メッシュのノード308を箇所と呼ぶときに、メッシュベースの数値的な方法はメッシュの各箇所の温度及び応力を生じさせる。ステップ603においては、部品のノード/箇所308について予測される寿命消費が計算される。寿命消費は、少なくとも一つの負荷セッションについて計算することができる。代わりに、いくつかの予め定められた負荷セッションについて寿命の消費を計算することができる。異なる負荷セッションが部品の異なる部分に影響を及ぼし、したがって決定的な箇所が異なる結果となり得るからである。

その後のステップ604においては、予測された寿命消費の結果に基づいて、複数の決定的な箇所310を選択することができる。決定的な箇所310は、決定的な寿命消費の限界に急速に達し得る、寿命消費が大きい部品から選択される。部品の決定的な箇所310を選択するときには、一つの負荷セッションを考慮することができる。代わりに、全ての決定的な箇所310が選択されたことを保証するために、異なる負荷セッションを考慮することができる。決定的な箇所310が選択されたときに、機械の部品が受ける複数の負荷セッションについて寿命消費を計算することができ、それは図6に記載されている。

図6は、図4に記載された寿命消費計算システム106の例示的なフローチャートを図示している。

最初のステップ701において、データベース104に格納された負荷セッションからデータが受け取られる。このデータは、負荷生成装置404に関して説明したように処理される。

次のステップ703において、負荷データは、モデルユニット408からのパラメータ組と関連付けられる。

その後のステップ705においては、入力データとしての負荷データ及び関連付けられたパラメータ組により、寿命消費が計算エンジン410によって計算される。これらのパラメータ組は、寿命消費を計算するために、計算エンジン410が3つの計算モデル414、416、418のうちのいずれを使用すべきかを決定する。

次のステップ707において、ある箇所について全体的な寿命消費が提示されるように、特定の箇所について計算された寿命消費が以前に計算された寿命消費に蓄積される。予測される寿命消費は、選択された決定的な箇所のそれぞれについて計算される。この寿命消費は、図4において説明した寿命消費計算ユニット406に蓄積される。ステップ707からステップ705に続く図6の矢印は、決定的な箇所のそれぞれにおける寿命消費の蓄積が負荷セッション毎に繰り返されることを図示している。

次のステップ709において、パラメータ組の安全率の設定に基づいて、蓄積された寿命消費が決定的な限界に対しどれくらい近づいているかが評価される。

最後に、ステップ711においては、蓄積された寿命消費が決定的な限界に接近しているとみなされる場合、保守動作が実行される。保守動作のタイプは、図4において説明した寿命消費計算ユニットによって決定することができる。実行される保守動作は、例えば、その部品を新しいあるいは使用された予備部品に交換することができる。新しいあるいは使用された予備部品が機械に取り付けられた場合、この動作の情報は寿命消費計算ユニット406に送られ、新しい部品については蓄積された寿命消費はゼロにリセットされ、予備部品については蓄積された寿命消費に設定される。

本発明が上述した好ましい実施形態に決して限定されないことは、当業者が理解するところである。これに対し、添付の請求の範囲の範囲内で多くの修正及び変形をなすことができる。例えば、図4に示したシステムの設計は、請求の範囲に記載された方法におけるステップを依然として実行する、異なるものとすることができる。また、パラメータ組及び計算モデルの詳細は実施例の役割をするだけであり、実施に基づいて置き換えあるいは修正することができる。

加えて、開示された実施例に対する変形は、請求の範囲に記載された発明を実施する際に、図面、開示及び添付の請求の範囲の考慮から、当業者が理解しかつ遂行することができる。請求の範囲における、「含む」という用語は他の要素又はステップを排除せず、かつ不定冠詞「a」又は「an」は複数を排除しない。単一のユニットは、請求の範囲に記載されたいくつかの項目の機能を果たすことができる。ある手段が互いに異なる従属請求項に記載されているという単なる事実は、それらの手段の組み合わせを有効に使用できないということを示すものではない。

100 保守システム 102 航空機/戦闘機 104 データベース 106 寿命消費計算システム 108 保守装置 200 ジェットエンジン 202 部品 304 メッシュ 306 要素 308 ノード/箇所 310 ノード/決定的な箇所 404 負荷生成装置 406 寿命消費計算ユニット 408 モデルユニット 410 計算エンジン 414 スケール応力モデル 416 メッシュベースの数値的モデル 418 簡略化された計算モデル/線形計算モデル

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