発電・淡水化複合プラント

申请号 JP2012516994 申请日 2010-05-27 公开(公告)号 JPWO2011148422A1 公开(公告)日 2013-07-22
申请人 日立Geニュークリア・エナジー株式会社; 发明人 孝次 難波; 孝次 難波; 重雄 幡宮; 重雄 幡宮; 高橋 文夫; 文夫 高橋; 晃治 陰山; 晃治 陰山;
摘要 総合効率をさらに向上できる発電・ 海 水 淡水 化複合プラントを提供する。発電・ 海水 淡水化複合プラント10は沸騰水型 原子 力 発電プラント1及び海水淡水化装置40を備える。沸騰水型原子力発電プラント1は原子炉2から蒸気が供給される高圧タービン3及び低圧タービン5を有する。高圧タービン3及び低圧タービン5を連結する回転軸15に蒸気圧縮機26及び発電機9が連結される。低圧タービン5から排気された蒸気が、蒸気圧縮機26で圧縮されて 温度 が上昇し過熱蒸気になる。この過熱熱蒸気は、復水器11の伝熱管12を流れる海水にて凝縮されて水になる。伝熱管12内の海水は過熱蒸気で加熱されて海水淡水化装置40のフラッシュ蒸気発生器41に供給される。温度が上昇した海水は、フラッシュ蒸気発生器41内で減圧沸騰して蒸気になる。この蒸気が凝縮されて淡水になる。
权利要求
  • 蒸気発生装置、前記蒸気発生装置で発生した蒸気が供給されるタービン、前記タービンによって駆動され、前記タービンから供給される前記蒸気を圧縮する蒸気圧縮機、及び前記蒸気圧縮機から排出される圧縮蒸気が供給され、この圧縮蒸気を凝縮する第1復水器を有する発電プラントと、
    前記圧縮蒸気から前記第1復水器内において回収される熱により加熱される海水が供給され、前記海水から淡水を生成する多段フラッシュ蒸気発生装置と、
    前記多段フラッシュ蒸気発生器で生成される前記淡水を冷却する冷却装置とを備えたことを特徴とする発電・海水淡水化複合プラント。
  • 前記第1復水器内の第1伝熱管の一端に接続された、前記海水を供給する第1海水供給管と、前記第1伝熱管の他端及び前記多段フラッシュ蒸気発生装置にそれぞれ接続され、前記第1伝熱管内で加熱された前記海水を前記多段フラッシュ蒸気発生装置に導く第2海水供給管とをさらに備えた請求項1に記載の発電・海水淡水化複合プラント。
  • 内部に第2伝熱管を有する中間熱交換器と、前記中間熱交換器内の第2伝熱管の一端に接続された、前記海水を供給する第1海水供給管と、前記第2伝熱管の他端及び前記多段フラッシュ蒸気発生装置にそれぞれ接続され、前記第2伝熱管内で加熱された前記海水を前記多段フラッシュ蒸気発生装置に導く第2海水供給管と、前記第1復水器内の前記第1伝熱管と前記中間熱交換器の胴体を連絡し、循環液体が流れる閉ループとをさらに備えた請求項1に記載の発電・海水淡水化複合プラント。
  • 前記多段フラッシュ蒸気発生装置が、ケーシング、前記ケーシング内で、前記ケーシングに取り付けられた仕切り部材によって区画され、前記海水から生成される蒸気を凝縮する凝縮器及び前記凝縮器の下方に配置された凝縮水受皿がそれぞれ設置される複数の蒸発室、それぞれの前記凝縮水受皿を連絡する接続管、及び前記凝縮水受皿及び前記冷却装置に接続され、凝縮水を前記冷却装置に供給する凝縮水供給管を有し、
    前記第1海水供給管が前記複数の蒸発室内のそれぞれの前記凝縮器を接続し、前記仕切り部材の下端と前記ケーシングの底面との間に海水流路を形成する請求項2または3に記載の発電・海水淡水化複合プラント。
  • 前記タービンに連絡されて第1流量調節弁が設けられ、前記タービンから排気される前記蒸気を導く蒸気排気管と、前記蒸気排気管に接続され、前記タービンから排気される前記蒸気を凝縮する第2復水器と、前記蒸気圧縮機及び前記第1復水器に接続され、第2流量調節弁が設けられる蒸気通路とを備えた請求項1に記載の発電・海水淡水化複合プラント。
  • 前記第1流量調節弁及び第2流量調節弁のそれぞれの開度を制御する制御装置を備えた請求項5に記載の発電・海水淡水化複合プラント。
  • 前記発電プラントが、原子力発電プラント、汽水型火力発電プラント及びガスタービン複合型火力発電プラントのいずれかである請求項1ないし6のいずれか1項に記載の発電・海水淡水化複合プラント。
  • 说明书全文

    本発明は、発電・淡水化複合プラントに係り、特に、沸騰水型原子発電プラントに適用するのに好適な発電・海水淡水化複合プラントに関する。

    従来の沸騰水型原子力発電プラントでは、原子炉で発生した蒸気を、主蒸気配管を通して高圧タービン及び低圧タービンに供給し、これらのタービンを回転させて発電機を回し、発電を行っている。 低圧タービンから排気された蒸気は復水器で海水により凝縮されて水になる。 低圧タービンから排気された蒸気を復水器での凝縮によって水にした場合、熱サイクルの原理から、通常の原子炉圧力では原子炉で発生した熱エネルギーの約2/3が復水器から外部に排出される。

    発電プラントの排熱利用を向上するために、原子力発電プラントの排熱を海水淡水化に使用する複合プラントが、特公昭58−7354号公報及び特開昭58−219982号公報に提案されている。 これらの発電・海水淡水化複合プラントでは、原子力発電プラントの低圧タービンから排気された蒸気の熱を、中間熱交換器を介して伝達し、この熱を用いて海水淡水化装置で淡水化する海水を加熱している。

    さらに、特開2001−4791号公報は、発電・海水淡水化複合プラントの他の例を記載している。 この発電・海水淡水化複合プラントも、原子力発電プラントを用いている。

    特開2001−4791号公報の図4に記載された、原子力熱利用システムの一例である発電・海水淡水化複合プラントでは、原子炉で発生した蒸気がタービンに供給され、タービンから排気された蒸気が原子炉側熱交換器で海水により凝縮され、この蒸気の凝縮によって生成された水が給水ポンプで昇圧されて原子炉に供給される。 原子炉側熱交換器でタービンから排気された蒸気により加熱されて温度が上昇した海水が、加熱器(海水前加熱器)で加熱され、蒸気復水器でさらに加熱されて蒸気を生成する。 この蒸気は、上記のタービンで回転される蒸気圧縮機によって圧縮されて温度が上昇する。 温度が上昇した圧縮蒸気は、蒸気復水器内で、原子炉側熱交換器で加熱された海水をさらに加熱してこの海水を蒸発させる。 これにより、圧縮蒸気は蒸気復水器で凝縮して淡水となり、この淡水は加熱器でさらに冷却されて取り出される。

    特開2001−4791号公報の図1には、発電・海水淡水化複合プラントではないが、原子力熱利用システムが記載されている。 この原子力熱利用システムでは、原子炉で発生した蒸気がタービンに供給され、タービンから排気された蒸気が中間熱交換器で凝縮され、この蒸気の凝縮によって生成された水が給水ポンプで昇圧されて原子炉に供給される。 タービンの回転軸に蒸気圧縮機が連結され、中間熱交換器、圧縮機、熱利用側熱交換器及び中間熱交換器を連絡する閉ループが形成されている。 この閉ループ内を冷媒が循環している。 熱利用側熱交換器から排出された冷媒(液体)が、中間熱交換器でタービンから排気された蒸気によって加熱されて蒸気になり、この蒸気が蒸気圧縮機に供給されて圧縮されて、蒸気の温度が上昇する。 温度が上昇した蒸気が、熱利用側熱交換器に供給される利用水を加熱する。 利用水の加熱によって凝縮した冷媒(液体)が閉ループを通して中間熱交換器に供給される。

    一方、海水淡水化方法には、エネルギー源として熱を使用するものとして、多段フラッシュ法(Multi-Stage Flash Distillation)、膜蒸留法、及び多重効用法等がある。 また、エネルギー源として電気及び軸動力を使用するものとして、逆浸透膜法(Reverse-Osmosis)及び電気透析法等がある。 淡水化の原水を海水に限ってみると、実用化されているのは多段フラッシュ法及び逆浸透膜法である。 前者は、現在、世界の淡水化プラントの約80%を占めている。 しかし、35℃から100℃と比較的高温条件での生成を必要とする点から、最近では常温条件で生成できる逆浸透膜法に移行してきている。 逆浸透膜法は半透膜を用いて、海水の浸透圧以上の圧力をかけて水のみを通過させて淡水を得る海水淡水化方法である。 最近では電力使用量を削減できるシステムが提案されており、世界的な普及が見込まれる。 ここで、熱をエネルギー源として使用するメリットが見出せれば、すなわち高温の排気蒸気を生成することができれば、再び多段フラッシュ法が主流になることも十分に考えられる。

    特公昭58−7354号公報

    特開昭58−219982号公報

    特開2001−4791号公報

    原子力発電プラント及び火力発電プラント等の発電プラントでは、一般にランキンサイクルが適用され、蒸気発生装置(原子炉、蒸気発生器及びボイラのいずれか)で発生した蒸気を高圧タービンに供給し、高圧タービンで仕事をして排気された湿り蒸気を湿分分離過熱器により過熱蒸気にし、この過熱蒸気を低圧タービンに供給することによって発電機を回転させて発電している。 しかしながら、約2/3の熱量は、低圧タービンから排気された蒸気を復水器内で海水により凝縮することによって海水に伝達され、海に放出される。

    そこで、発電プラントからの排熱を有効利用することにより、プラントの総合効率を向上させることが重要となる。 すなわち、発電プラントから外部へ排出する排熱を減少させ、その排熱を海水淡水化システムに必要な熱源として供給し有効利用する必要がある。

    特公昭58−7354号公報は、原子力発電プラントにおいて、タービンから排気された蒸気で海水淡水化装置に供給する海水を加熱することによって、原子力発電プラントから外部へ排出する排熱を減少させ、プラントの総合効率を向上させている。

    特開2001−4791号公報の図4に記載された、原子力熱利用システムの一例である発電・海水淡水化複合プラントは、原子力プラントのタービンから排気された蒸気により熱交換器内で加熱されて温度が上昇した冷媒(液体)を、加熱器(海水前加熱器)で加熱し、蒸気復水器内で、上記のタービンの回転軸に連結した蒸気圧縮機から供給される圧縮蒸気で加熱して蒸気にしている。 この蒸気がその蒸気圧縮機で圧縮されて圧縮蒸気になる。 蒸気復水器内での圧縮蒸気の凝縮により淡水が生成される。 このような特開2001−4791号公報に記載された発電・海水淡水化複合プラントは、タービンで回転される蒸気圧縮機で圧縮された過熱蒸気の熱量を海水の蒸発に利用しているので、特公昭58−7354号公報に記載された発電・海水淡水化複合プラントよりもプラントの総合効率を向上させる。

    発明者らは、特開2001−4791号公報に記載された発電・海水淡水化複合プラントよりもプラントの総合効率をさらに向上できる発電・海水淡水化複合プラントを検討した。

    本発明の目的は、総合効率をさらに向上できる発電・海水淡水化複合プラントを提供することにある。

    上記した目的を達成する本発明の特徴は、蒸気発生装置で発生した蒸気が供給されるタービン、タービンによって駆動され、タービンから供給される蒸気を圧縮する蒸気圧縮機、及び蒸気圧縮機から排出される圧縮蒸気が供給され、この圧縮蒸気を凝縮する第1復水器を有する発電プラントと、
    圧縮蒸気から第1復水器内において回収される熱により加熱される海水が供給され、海水から淡水を生成する多段フラッシュ蒸気発生装置と、
    多段フラッシュ蒸気発生器で生成される淡水を冷却する冷却装置とを備えたことにある。

    タービンから排気された蒸気を、タービンで駆動される蒸気圧縮機に供給して圧縮するので、タービンから排気された蒸気で加熱された海水から、タービンに連結された蒸気圧縮機に供給する蒸気を生成する場合に比べて、極めて少ないエネルギーで温度が上昇した圧縮蒸気を生成することができる。 この圧縮蒸気によってフラッシュ蒸気発生器に供給される海水を加熱するので、発電プラントで発生した熱を有効に利用することができ、淡水の生成量を増大させることができる。 このため、発電・海水淡水化複合プラントの総合効率をさらに向上させることができる。

    本発明によれば、発電・海水淡水化複合プラントの総合効率をさらに向上させることができる。

    本発明の好適な一実施例である実施例1の発電・海水淡水化複合プラントの構成図である。

    比較例1の発電・海水淡水化複合プラントにおける低圧タービン及び復水器付近の構成図である。

    比較例2の発電・海水淡水化複合プラントにおける低圧タービン及び復水器付近の構成図である。

    図1、図2および図3に示すそれぞれの復水器内の温度分布を示す特性図である。

    図1に示す海水淡水化装置のフラッシュ蒸気発生器内における流体の温度分布を示す特性図である。

    発電・海水淡水化複合プラントにおける沸騰水型原子力発電プラントの電気出力と海水淡水化装置で生成される淡水の生成量との関係を示す特性図である。

    実施例1の発電・海水淡水化複合プラントの復水器内温度に対する熱効率、及び淡水生成割合の変化を示す特性図である。

    本発明の他の実施例である実施例2の発電・海水淡水化複合プラントの構成図である。

    本発明の他の実施例である実施例3の発電・海水淡水化複合プラントの構成図である。

    本発明の他の実施例である実施例4の発電・海水淡水化複合プラントの構成図である。

    本発明の他の実施例である実施例5の発電・海水淡水化複合プラントの構成図である。

    発明者らは、発電プラントの排熱の有効利用について検討した結果、特公昭58−7354号公報に記載された発電・海水淡水化複合プラントのように、原子力発電プラントで発電を行い、タービンから排気された蒸気を復水器で凝縮させて回収した熱を、海水淡水化装置に供給する海水の加熱源として有効に利用すれば良いとの結論に達した。

    この技術思想を適用した特開2001−4791号公報に記載された発電・海水淡水化複合プラントは、タービンから排気された蒸気から回収した熱、及びタービンで駆動される蒸気圧縮機で圧縮された圧縮蒸気の熱を利用して海水から蒸気を生成している。 しかしながら、発明者らの検討により、特開2001−4791号公報の図4に記載された発電・海水淡水化複合プラントは以下に述べる問題を生じることが明らかになった。

    特開2001−4791号公報の段落0059に、蒸気復水器に供給された海水がほぼ沸点に達していると記載されている。 このため、蒸気復水器に供給される海水は、原子炉側熱交換器におけるタービンから排気された蒸気による加熱、及び加熱器における、蒸気復水器で圧縮蒸気の凝縮により生成された高温水による加熱により、その温度がほぼ沸点まで上昇しなければならない。 タービンに連結された蒸気圧縮機は、ほぼ沸点になっている海水を復水器で蒸気にするために必要な熱量、及び原子炉側熱交換器から排出された海水の温度を加熱器でほぼ沸点まで上昇させるために必要な熱量を、圧縮蒸気に与えなければならない。 液体状態の海水の温度を上昇させる顕熱よりも、100℃の海水を100℃の蒸気にするための蒸発潜熱は、大量の熱量を必要とする。 また、海水を沸騰させた蒸気を蒸気圧縮機へ供給すると、圧縮機内で塩分による翼の腐食が起こる懸念がある。 このように、特開2001−4791号公報の図4に記載された発電・海水淡水化複合プラントでは、蒸気発生装置である原子炉で発生した熱量に対して、海水を蒸気圧縮機に供給する蒸気にするために必要な熱量の割合が多くなる。

    また、特開2001−4791号公報の図1に記載された原子力熱利用システムは発電・海水淡水化複合プラントではないが、発明者らは、この原子力熱利用システムの熱利用側熱交換器で加熱された利用水を海水淡水化装置に供給することを想定した場合において、以下の問題が生じることを明らかにした。

    この図1に記載された原子炉熱利用システムでは、熱利用側熱交換器から排出された冷媒(液体)が、中間熱交換器で、タービンから排気された蒸気によって加熱されて蒸気になっている。 ここで、沸騰した冷媒は、タービン排気が凝縮した約35〜40℃の液体よりも約10℃程度低い温度となる。 それ故、作動媒体は低沸点媒体に限られる。 もし、作動媒体が水の場合、蒸気圧縮機の入口圧力が約30℃程度の飽和圧力、すなわち負圧となるため、圧縮機の運転・起動性は難しくなる。 この蒸気が、タービンに連結された蒸気圧縮機に供給されている。 その原子炉熱利用システムにおいても、蒸気発生装置である原子炉で発生した熱量に対して、海水を圧縮機に供給する蒸気にするために必要な熱量の割合が極めて多くなる。

    そこで、発明者らは、特開2001−4791号公報において、蒸気圧縮機に供給する蒸気の生成に消費される熱量を低減することができれば、発電・海水淡水化複合プラントの総合効率をさらに向上させることができると考えた。 発明者らは、蒸気圧縮機に供給する蒸気の生成に消費される熱量の低減策を種々検討した。

    この結果、発明者らは、蒸気圧縮機でタービンから排気または抽気された蒸気の圧縮を行い、温度が上昇したこの圧縮蒸気を用いて、フラッシュ蒸発を利用した海水淡水化装置に供給する海水を加熱すればよいとの結論に達した。 発明者らが新たに考え出した、そのような機能を発揮する発電・海水淡水化複合プラントは、タービンで仕事をした蒸気を蒸気圧縮機で圧縮するので、液体を加熱して蒸気圧縮機に供給する蒸気を生成する必要がなく、少ない蒸発潜熱ですむため、特開2001−4791号公報に記載されたプラントに比べてエネルギーの消費量を低減することができる。 したがって、発明者らが考え出した新たな発電・海水淡水化複合プラントは、特開2001−4791号公報に記載された発電・海水淡水化複合プラントよりも総合効率を向上させることができる。

    上記の検討結果を反映した、本発明の実施例を以下に説明する。

    本発明の好適な一実施例である実施例1の発電・海水淡水化複合プラントを、図1を用いて説明する。 本実施例の発電・海水淡水化複合プラント10は、原子力発電プラントである沸騰水型原子力発電プラント1、及び海水淡水化装置40を有する。 海水淡水化装置40は、フラッシュ蒸発を適用し、海水を減圧沸騰させて蒸気を生成する。

    沸騰水型原子力発電プラント1は、蒸気発生装置である原子炉2、高圧タービン3、低圧タービン5、復水器11、及び蒸気圧縮機26を有する。 原子炉2は、原子炉圧力容器(図示せず)内に、複数の燃料集合体(図示せず)を装荷した炉心(図示せず)を配置している。

    原子炉2に接続された主蒸気配管6は、高圧タービン3及び低圧タービン5にこの順番に連絡される。 隔離弁4A及び主蒸気調節弁4Bが、高圧タービン3よりも上流で主蒸気配管6に設けられる。 湿分分離過熱器32が高圧タービン3と低圧タービン5を連絡している主蒸気配管6に設けられる。 高圧タービン3、低圧タービン5及び蒸気圧縮機26が、1本の回転軸15によって互いに連結され、発電機9も回転軸15に連結されている。 蒸気圧縮機26は、蒸気を圧縮するために、ケーシング(図示せず)内に、回転軸15の軸方向に複数段の動翼及び静翼を設けている。 蒸気圧縮機26の蒸気流入口が、配管27によって、低圧タービン5の蒸気排出口に接続される。 蒸気圧縮機26の蒸気流出口が、蒸気通路7によって復水器11に接続される。

    蒸気圧縮機26は遠心式圧縮機及び軸流式圧縮機のいずれでもよい。 蒸気圧縮機26は、高圧タービン3及び低圧タービン5を連結する回転軸15に連結しなくてもよい。 なお、この場合は、蒸気圧縮機26を駆動するための電動機(図示せず)が必要となるため、所内動力が発生する。

    復水器11は内部に複数の伝熱管12を設置している。 空気抽出器(図示せず)が設けられたオフガス系配管(図示せず)が、復水器11に接続される。 復水器11は給水配管20によって原子炉2に接続される。 復水ポンプ17、低圧給水加熱器16、給水ポンプ19及び高圧給水加熱器18が、この順番で、復水器11から原子炉2に向かって、給水配管20に設けられている。 低圧タービン5に接続された抽気管16Aが低圧給水加熱器16に接続され、高圧タービン3に接続された抽気管18Aが高圧給水加熱器18に接続される。

    海水淡水化装置40はフラッシュ蒸気発生器41及び冷却器45を有する。 フラッシュ蒸気発生器41は、ケーシング58を有し、ケーシング58内に複数の仕切り壁24を設置している。 これらの仕切り壁24によって、複数の蒸発室、すなわち、蒸発室21A、21B,21C,21D,21Eがケーシング58内に形成される。 各仕切り壁24の上端の全面がケーシング58の天井面に取り付けられ、各仕切り壁24の両側端の全面がケーシング58の側面に取り付けられている。 各仕切り壁24のそれぞれの下端はケーシング58の底面よりも上方に位置しており、隣り合う蒸発室を連絡する海水流路60が各仕切り壁24のそれぞれの下端とケーシング58の底面の間に形成されている。 吸引配管57が蒸発室21A、21B,21C,21D,21Eにそれぞれ接続される。

    凝縮器22及び凝縮器22の真下に配置された凝縮水受皿23が、対になって、蒸発室21A、21B,21C,21D,21E内にそれぞれ設置される。 海水供給管13が、各凝縮器22を接続し、復水器11の複数の伝熱管12それぞれの一端に連絡される。 これらの伝熱管12の各他端に連絡される海水供給管25が、フラッシュ蒸気発生器41のケーシング58に接続され、ケーシング58内で最も上流に配置された蒸発室21Aに、直接、連絡される。 各蒸発室内に配置されたそれぞれの凝縮水受皿23が、接続管42によって接続される。 フラッシュ蒸気発生器41は、内部に凝縮器22及び凝縮水受皿23を設置した複数の蒸発室21A〜21Eを有する。

    ポンプ14が、海水供給管13の、フラッシュ蒸気発生器41より上流の部分に設けられる。 海水供給管13の、フラッシュ蒸気発生器41より上流側の端部が、海の中に解放されている。 濃縮水排出管53が、ケーシング58に接続されて最も下流に位置する蒸発室21Eに、直接、連絡される。 ポンプ52及び調節弁54が濃縮水排出管53に設けられる。

    冷却器45は噴射ノズル46及び複数の棚段47をケーシング59内に設置している。 噴射ノズル46はケーシング59内で上部に配置され、複数の棚段47が噴射ノズル46の下方に配置される。 高さ方向に配置されたそれらの棚段47が、上方から下方に向う蛇行通路を形成するように、互いに重なって配置される。 フラッシュ蒸気発生器41内で最も下流に位置する蒸発室21Eに配置された凝縮水受皿23に接続された凝縮水供給管43が、噴射ノズル46に接続される。 ポンプ44が凝縮水供給管43に設置される。 ポンプ49を設けた淡水排出管50が、ケーシング59の下端部に接続される。 空気供給管55が最も下方に位置する棚段47より下方でケーシング59に接続され、空気排出管56が最も上方に位置する棚段47より上方でケーシング59に接続される。

    本実施例の発電・海水淡水化複合プラント10の機能について説明する。 本実施例における海水淡水化は、沸騰水型原子力発電プラント1の運転中において行われる。

    沸騰水型原子力発電プラント1の運転中、再循環ポンプ(図示せず)及びジェットポンプ(図示せず)によって昇圧された冷却水が、原子炉2内の炉心(図示せず)に供給される。 冷却水は炉心内に装荷された複数の燃料集合体(図示せず)に含まれた核燃料物質の核分裂で発生する熱によって加熱され、冷却水の一部が蒸気になる。 原子炉2で発生した蒸気は、原子炉2内で気水分離器(図示せず)及び蒸気乾燥器(図示せず)によって水分が除去された後、主蒸気配管6を通って、高圧タービン3及び低圧タービン5にそれぞれ供給される。 高圧タービン3から排出された蒸気は、湿分分離過熱器32により湿分が除去されて過熱され、低圧タービン5に導かれる。 湿分分離過熱器32には、その蒸気を過熱するため、隔離弁4Aと主蒸気調節弁4Bの間で主蒸気配管6から抽気された蒸気が供給される。 低圧タービン5内の圧力は、高圧タービン4内の圧力よりも低くなっている。

    高圧タービン3及び低圧タービン5は、原子炉2で発生した蒸気によって駆動され、蒸気圧縮機26及び発電機9を回転させる。 発電機9の回転により電力が発生する。 低圧タービン5から排気された蒸気は、配管27を通って回転している蒸気圧縮機26へ供給されて圧縮される。 その蒸気は、蒸気圧縮機26で圧縮されて温度が110℃まで上昇する。 110℃の圧縮蒸気は、過熱蒸気であり、蒸気圧縮機26から排気されて蒸気通路7を通り、前述した空気抽出器の作用により負圧になっている復水器11内に導かれる。 この圧縮蒸気は、復水器11の各伝熱管12内を流れている海水によって冷却されて凝縮され、水になる。 海水は、海水供給管13により各伝熱管12内に供給される。

    圧縮蒸気の凝縮により復水器11内で生成された水は、給水として、給水配管20によって原子炉2に供給される。 給水配管20内を流れる給水は、復水ポンプ17で昇圧されて低圧給水加熱器16に供給される。 低圧タービン5から抽気された抽気蒸気が抽気管16Aを通って低圧給水加熱器16に導かれる。 給水は、低圧給水加熱器16内でその抽気蒸気によって加熱され、昇温する。 さらに、給水ポンプ19によって昇圧された給水は、高圧給水加熱器18内で、高圧タービン3から抽気されて抽気管18Aにより導かれた抽気蒸気によって、さらに加熱される。 温度が高められた給水が給水配管20により原子炉2に導かれる。

    発電・海水淡水化複合プラント10の海水淡水化装置40の機能について説明する。

    ポンプ14が駆動されているとき、海水が海から海水供給管13内に吸引される。 この海水が、海水淡水化装置40のフラッシュ蒸気発生器41内に設けられた各凝縮器22を通って、復水器11の各伝熱管12内に供給され、前述したように、蒸気圧縮機26から復水器11内に導かれた高温(例えば、110℃)の圧縮蒸気を凝縮させる。 この圧縮蒸気が各伝熱管12内を流れる海水を加熱するので、この海水の温度が100℃まで上昇する。 この100℃の海水が、海水供給管25により、フラッシュ蒸気発生器41内に、具体的には、フラッシュ蒸気発生器41内で最も上流に位置する蒸発室21Aに供給される。 フラッシュ蒸気発生器41内に供給された海水は、蒸発室21Aから、海水流路60を通って、蒸発室21B,21C,21D,21Eに順次供給される。 この海水の液面が、仕切り壁24の下端より上方に位置しており、蒸発室21A〜21E内にそれぞれ形成される。

    吸引配管57に接続された真空ポンプ(図示せず)が駆動されるので、各蒸発室内の海水の液面よりも上方に形成されて吸引配管57にそれぞれ連絡される各空間が、負圧に維持される。 各蒸発室において、凝縮器22及び凝縮水受皿23は海水の液面よりも上方に配置されている。

    各蒸発室内の海水の液面よりも上方に形成された各空間が負圧になっているので、高温の海水が、蒸発室21A〜21Eにおいて、各蒸発室内の飽和蒸気圧力条件下で減圧沸騰してフラッシュ蒸発する。 各蒸発室内で海水がフラッシュ蒸発して生成された蒸気は、海水供給管13によって供給される海水が流れる凝縮器22の表面で凝縮して水になる。 この凝縮水は、淡水であり、重力により凝縮水受皿23内に落下する。 各凝縮水受皿23内に落下した凝縮水は、接続管42によって集められて凝縮水供給管43に導かれる。

    ポンプ44が駆動されているので、凝縮水供給管43に流入した凝縮水が、冷却器45の噴射ノズル46に供給される。 この凝縮水は、ケーシング59内で噴射ノズル46から細かい霧状に噴射される。 常温(例えば、15℃)の空気が空気供給管55によりケーシング59内に供給される。 この空気は、棚段47によって形成された蛇行通路を上昇し、空気排出管56に排気される。 噴射ノズル46から噴射された凝縮水は、その蛇行通路内を上方から下方に向って落下する。 噴射された凝縮水は、落下する間に、蛇行通路を上昇する空気と接触して冷却される。 空気により冷却されて常温まで温度が低下した凝縮水は、ケーシング59内の底部に溜まる。

    ポンプ49が駆動されているので、ケーシング59内の底部に溜まった凝縮水は、淡水として、淡水排出管50により精製工場へ送られる。

    海水淡水化装置40は、上記のように、海水から淡水を生成する。 海水供給管13によってフラッシュ蒸気発生器41に供給される20℃の海水は、蒸発室21E内の凝縮器22から蒸発室21A内の凝縮器22の各凝縮器22内を流れる間に、フラッシュ蒸発により生成された蒸気によって加熱されて90℃まで上昇する。

    フラッシュ蒸気発生器41では、海水がフラッシュ蒸発するので、海水中の水分が少なくなり、塩分の濃度が高くなった濃縮水51が生成される。 ポンプ52が駆動されて調節弁54が開いている関係上、この濃縮水51が、フラッシュ蒸気発生器41から濃縮水排出管53に排出され、濃縮水排出管53を通って精製工場に送られる。 精製工場では、濃縮水51から塩を製造する。

    本実施例の発電・海水淡水化複合プラント10の復水器11内の温度分布を、2つの比較例の発電・海水淡水化複合プラント(図2及び図3参照)の復水器11内の温度分布との比較で説明する。

    図2に示す比較例1の発電・海水淡水化複合プラントは、発電・海水淡水化複合プラント10において沸騰水型原子力発電プラント1を、蒸気圧縮機26を有していない現行の沸騰水型原子力発電プラントに替えた構成を有する。 沸騰水型原子力発電プラントの低圧タービン5から排気された蒸気が蒸気通路7を通って復水器11に供給される。 海水淡水化装置40に接続された海水供給管13が復水器11内の伝熱管12の一端に連絡され、海水淡水化装置40に接続された海水供給管25が伝熱管12の他端に連絡される。 低圧タービン5での仕事を終えて低圧タービン5から排気された蒸気(温度:40℃)が、復水器11の伝熱管12の外側の領域に供給される。 40℃の蒸気によって、伝熱管12内を流れる海水を加熱する。 この加熱によって、伝熱管12に流入した20℃の海水が、伝熱管12の外側を流れる40℃の蒸気と熱交換を行い、伝熱管12から流出するときに30℃まで温度が上昇する(図4参照)。

    図3に示す比較例2の発電・海水淡水化複合プラントは、発電・海水淡水化複合プラント10において沸騰水型原子力発電プラント1を、蒸気圧縮機26を有していない現行の沸騰水型原子力発電プラントに替え、この現行の沸騰水型原子力発電プラントの低圧タービン5のある段落から抽気された80℃の蒸気を、蒸気通路7を通して復水器11に供給する。 比較例2も、比較例1と同様に、復水器11内の伝熱管12の一端が海水供給管13に連絡され、伝熱管12の他端が海水供給管25に連絡される。 抽気された80℃の蒸気が、復水器11の伝熱管12の外側の領域に供給される。 80℃の蒸気によって、復水器11の伝熱管12内を流れる海水を加熱する。 この加熱によって、伝熱管12に流入した60℃の海水が、伝熱管12の外側を流れる80℃の蒸気と熱交換を行い、伝熱管12から流出するときには70℃まで温度が上昇する(図4参照)。 比較例2では、伝熱管12に流入する海水の温度が60℃になっている理由は、この海水が、伝熱管12に流入する前において、フラッシュ蒸気発生器で加熱されるからである。

    比較例1では、復水器11において海水淡水化装置40に供給される海水が高温に加熱されることがないため、フラッシュ蒸気発生器41で海水を減圧沸騰させる圧力を極めて低くして低温の海水から淡水を生成することになる。 このため、比較例1での淡水生成率は低くなる。 比較例1は、特公昭58−7354号公報の第2図に記載された発電・海水淡水化複合プラントの構成に近い構成を有する。

    比較例2では、復水器11に供給される蒸気の温度が80℃と比較例1でのその温度よりも高くなる。 この結果、比較例2において、復水器11からフラッシュ蒸気発生器41に供給される海水の温度が上昇し、フラッシュ蒸気発生器41で海水を減圧沸騰させる圧力を比較例1よりも高くすることができ、高温の海水から淡水を生成することができる。 このため、比較例2における淡水生成率は比較例1におけるそれよりも高くなる。

    本実施例は蒸気圧縮機26を備えているので、低圧タービン5から排気された40℃の蒸気を、蒸気圧縮機26で圧縮して110℃の過熱蒸気にすることができる。 この110℃の過熱蒸気が、復水器11内で伝熱管12の外側の領域に供給され、伝熱管12内を流れる海水を加熱する。 110℃の過熱蒸気による加熱により、90℃で伝熱管12に流入した海水が、伝熱管12の出口で100℃になる(図4参照)。 本実施例では、100℃の海水が海水供給管25により海水淡水化装置40のフラッシュ蒸気発生器41に供給される。 このため、本実施例において、フラッシュ蒸気発生器41で海水を減圧沸騰させる圧力を比較例2よりもさらに高くすることができ、各蒸発室内でより高温の海水から淡水を生成することができる。 従って、本実施例での淡水生成率は比較例2よりもさらに高くなる。

    次に、本実施例におけるフラッシュ蒸気発生器41内での海水及び淡水の温度分布を、図5に示す。 フラッシュ蒸気発生器41内での海水の温度分布は、蒸発室21A〜21Eにそれぞれ配置された各凝縮器22内での海水の温度を示しており、フラッシュ蒸気発生器41内での淡水の温度分布は、蒸発室21A〜21Eの各凝縮器22の外面に付着した凝縮水(淡水)の温度を示している。

    蒸発室21Eに配置された凝縮器22に海水供給管13で供給された20℃の海水は、蒸発室21E内の凝縮器22から蒸発室21A内の凝縮器22の各凝縮器22内を流れる間に、各蒸発室内で海水がフラッシュ蒸発して生成された蒸気を凝縮する際に加熱され、凝縮器22ごとに約10℃ずつ温度が上昇する。 このため、蒸発室21A内の凝縮器22から海水供給管13を通して伝熱管12に供給される海水の温度が90℃まで上昇する。

    この90℃の海水は、復水器11の伝熱管12内で前述のように加熱され、100℃まで温度が上昇する。 100℃になった海水は、フラッシュ蒸気発生器41内で蒸発室21Aから蒸発室21Eに向って、各蒸発室内で減圧沸騰しながら蒸発して温度が低下していく。 各蒸発室で発生した蒸気は、凝縮器22内を流れる温度の低い海水の作用により凝縮器22の外面で冷却されて凝縮水になり凝縮水受皿23へ落下する。 各凝縮器22の外面に付着している凝縮水(淡水)の温度は、図5に示すように、最も上流に位置する蒸発室21Aから最も下流の蒸発室21Eに向うに伴って100℃から30℃まで低下する。 以上のフラッシュ蒸気発生器41内における海水及び淡水(凝縮水)の温度分布から明らかなように、海水と淡水が熱交換する段数が多ければ多いほど、淡水生成率が向上する。 すなわち、復水器11での海水の温度上昇の度合いが大きいほど、フラッシュ蒸気発生器41内で蒸発室の段数を多くすることができ、淡水生成率が向上する。

    本実施例における、沸騰水型原子力発電プラント1の原子炉2の熱出力に対する淡水生成量の推算値を、図6を用いて説明する。 沸騰水型原子力発電プラント1の原子炉2として、4種類の原子炉、すなわち、小型炉、中型炉、大型炉及び次世代大型炉を検討した。 想定した電気出力は、小型炉が100MWe、中型炉が1100MWe、大型炉が1350MWe、及び次世代大型炉が1700MWeである。 図6において、横軸が電気出力Qe、縦軸が淡水の生成量Wである。

    発明者らの試算によると、小型炉では淡水生成量が36万トン/日、次世代大型炉では淡水生成量が474万トン/日になる。 図6から明らかであるように、電気出力に比例して淡水生成量が単調増加している。 小型炉の排熱量220MWtで、淡水を36万トン/日生成することができる。 この淡水生成量は、人口が200万人である地域において、必要な生活用水が200l/日・人であると想定したとき、必要な淡水40万トン/日をほぼ賄うことが可能な量である。

    発電・海水淡水化複合プラント10は、このプラントを設置するある地域で、原子力発電による電気を主に必要とされるか、生活に必要な淡水を主に必要とされるかを適切に見分け、この見分けに応じて発電量及び淡水生成量を決定することができる。

    本実施例の発電・海水淡水化複合プラント10の発電プラントである沸騰水型原子力発電プラント1の復水器11内の温度に対する熱効率及び淡水生成割合を、図7を用いて説明する。 横軸が復水器内温度Tcを示し、縦軸が淡水生成割合ζ及び発電プラントの熱効率ηを示している。

    現行の沸騰水型原子力発電プラント(従来の沸騰水型原子力発電プラント)の復水器における復水器内温度Tcを40℃とし、これを低圧タービンの排気蒸気を圧縮して蒸気温度Tcを最大110℃まで増加すると、淡水生成割合ζは、図7に示すように、単調に増加する。

    一方、現行の沸騰水型原子力発電プラントにおける従来運転(図7に示す黒丸の位置)のままでは、復水器内温度Tcの増加に伴って熱効率ηは急激に低下してしまう。 これは、ランキンサイクルのT−s線図からも明らかなように、現行の沸騰水型原子力発電プラントでは、復水器内は約720mmHgの高真空度を確保して低圧タービンから排気された蒸気を凝縮しているため、復水器の温度条件が低く抑えられることで十分な仕事をしている。 ところが、現行の沸騰水型原子力発電プラントのままで復水器内温度Tcを増加した場合には、十分に低圧タービンで熱落差をとることができないために、仕事量、すなわち、プラント熱効率ηが減少することになる(図7の一点鎖線参照)。

    本実施例の発電・海水淡水化複合プラント10では、高圧タービン3及び低圧タービン5を連結する回転軸15に蒸気圧縮機26を連結しているので、蒸気圧縮機26における蒸気ヒートポンプ効果を利用して低圧タービン5からの排気蒸気を蒸気圧縮機26で過熱蒸気に再生することができる。 このため、発電・海水淡水化複合プラント10では、所内動力を消費しないで蒸気圧縮機26における蒸気ヒートポンプの成績係数COPを高くすることができる。 この結果、発電・海水淡水化複合プラント10は、沸騰水型原子力発電プラント1の熱効率は現行の沸騰水型原子力発電プラントのそれを維持したままで、淡水を生成することが可能となる。

    本実施例は、低圧タービン5から排気された蒸気によりフラッシュ蒸気発生器41に供給する海水を加熱して淡水の生成に利用することができるので、沸騰水型原子力発電プラントから外部環境に放出される熱量を低減することができ、発電・海水淡水化複合プラント10の熱効率を向上させることができる。

    本実施例では、低圧タービン5から排気された蒸気を、低圧タービン5に連結された蒸気圧縮機26に供給して圧縮するので、少ないエネルギーで温度が上昇した過熱蒸気を生成することができる。 この過熱蒸気によって海水淡水化装置40のフラッシュ蒸気発生器41に供給される海水が加熱されるので、沸騰水型原子力発電プラント1で発生した熱量を有効に利用することができ、淡水の生成量を増大させることができる。 本実施例では、蒸気発生装置である原子炉2で発生した熱源を海水中へ捨てずに、海水淡水化装置40において淡水を生成するためのエネルギー源として使用する。 このため、蒸気圧縮機26によるヒートポンプ効果を利用し、発電・海水淡水化複合プラント10の総合効率を飛躍的に向上させることができる。

    本実施例は、低圧タービン5から排気された蒸気を圧縮するので、特開2001−4791号公報において、タービンから排気された蒸気で加熱された海水から、タービンに連結された蒸気圧縮機に供給する蒸気を生成するために必要とする大量の熱量が不要になる。 このため、本実施例では、特開2001−4791号公報においてタービンに連結された蒸気圧縮機に供給する蒸気を海水から生成するために消費した大量の熱量を、多段フラッシュ蒸気発生器における加熱器の加熱源に使用することができるので、発電・海水淡水化複合プラント10の総合効率をさらに向上させることができる。 総合効率は、本実施例では、原子炉熱出力が電気出力に変換された沸騰水型原子力プラント1の熱効率、及び海水淡水化装置40における排熱の有効利用の両者を含めた熱電併給(コージェネレーション)の総合的な効率を意味する。 換言すれば、総合効率は、発電プラント及びこの発電プラントの熱を利用する海水淡水化装置を含む発電・海水淡水化複合プラントにおける熱電併給(コージェネレーション)の総合的な効率を意味する。

    本実施例では、発電・海水淡水化複合プラント10の沸騰水型原子力発電プラント1の構成が、蒸気圧縮機26を設置することによって、発電・海水淡水化複合プラント10の沸騰水型原子力発電プラントよりも複雑になる。 しかしながら、蒸気圧縮機26が高圧タービン3及び低圧タービン5によって回転されるため、別置の電動機が不要となり、そのために所内動力が増加しない。 その上、復水器11に供給される蒸気が高温の過熱蒸気になるため、海水淡水化装置40の性能が向上する。

    本実施例は、低圧タービン5から排気された蒸気の冷却に使用した海水を、フラッシュ蒸気発生器41において淡水及び濃縮水51にするので、海に排出する海水の量を著しく低減することができる。 濃縮水51を用いて塩を製造することができる。

    本実施例では多段フラッシュ型の海水淡水化装置40を用いているが、海水淡水化装置として、エネルギー源として熱を利用する、伝熱管の外面で蒸発、内面で凝縮する多重効用法(Multi-Effect Distillation)を適用した海水淡水化装置を使用してもよい。 この多重効用法を適用した海水淡水化装置は、伝熱管の内外で相変化をもたらす熱交換を行うので、多段フラッシュ法を適用した海水淡水化装置よりも熱効率が良くなる。 このような多重効用法を適用した海水淡水化装置は、実施例1に限らず、後述の実施例2〜5のそれぞれの発電・海水淡水化複合プラントに適用することができる。

    本発明の他の実施例である実施例2の発電・海水淡水化複合プラントを、図8を用いて説明する。 本実施例の発電・海水淡水化複合プラント10Aに用いられる発電プラントは、沸騰水型原子力発電プラント1である。

    発電・海水淡水化複合プラント10Aは、実施例1の発電・海水淡水化複合プラント10に、複数の伝熱管28を内部に有する中間熱交換器29を追加した構成を有する。 中間熱交換器29の各伝熱管28の一端が海水供給管13に連絡され、各伝熱管28の他端が海水供給管25に連絡される。 中間熱交換器29の胴体側の領域に連絡される配管31Aが復水器11内の伝熱管12の一端に連絡され、中間熱交換器29の胴体側の領域に連絡される配管31Bが復水器11内の伝熱管12の他端に連絡される。 ポンプ30が配管31Bに設けられる。 発電・海水淡水化複合プラント10Aの他の構成は、発電・海水淡水化複合プラント10と同じである。

    発電・海水淡水化複合プラント10Aの機能のうち、発電・海水淡水化複合プラント10の機能と異なる部分についてのみ説明する。 発電・海水淡水化複合プラント10Aは、蒸気圧縮機26から排気された過熱蒸気の熱量を海水淡水化装置40に伝える、復水器の伝熱管12に接続された配管31A,31B及び中間熱交換器29によって構成される中間ループを有している。 この中間ループ内には、循環水である純水が循環している。

    発電・海水淡水化複合プラント10Aの運転中、ポンプ30で昇圧された循環水が、中間ループを構成する配管31B、伝熱管12、配管31A、及び中間熱交換器29の胴体側の領域内を循環する。 蒸気圧縮機26から排気された過熱蒸気が伝熱管12内を流れる循環水によって凝縮される。 逆に、この循環水は、過熱蒸気によって加熱されて温度が上昇する。 温度が上昇した循環水が、中間熱交換器29内で、海水供給管13から伝熱管28内に供給された海水を加熱する。 温度が上昇した海水が、海水供給管25によりフラッシュ蒸気発生器41に供給される。 発電・海水淡水化複合プラント10Aの海水淡水化装置40は、実施例1の発電・海水淡水化複合プラント10の海水淡水化装置40と同様に、淡水を生成する。

    本実施例は、中間ループを有するため、発電・海水淡水化複合プラント10よりも構成が複雑化し、蒸気圧縮機26から排気された加熱蒸気の保有する熱量に対する、フラッシュ蒸気発生器41に伝えられる熱量の割合が、実施例1よりも低下する。 しかしながら、本実施例は、実施例で生じる各効果を得ることができる。 さらに、本実施例は、中間ループを有しているので、万が一、復水器11の伝熱管12にき裂が入って過熱蒸気に含まれる放射性核種が循環水に混入しても、中間熱交換器29の伝熱管28がバリアになり、海水淡水化装置40の放射性核種による汚染を避けることができる。 このように、発電・海水淡水化複合プラント10Aは、発電・海水淡水化複合プラント10よりも安全性を向上することができる。

    本発明の他の実施例である実施例3の発電・海水淡水化複合プラントを、図9を用いて説明する。 本実施例の発電・海水淡水化複合プラント10Bは、沸騰水型原子力発電プラント1A及び海水淡水化装置40を備えている。

    発電・海水淡水化複合プラント10Bの発電・海水淡水化複合プラント10と異なる部分、すなわち、沸騰水型原子力発電プラント1Aを、以下に説明する。 沸騰水型原子力発電プラント1Aは、沸騰水型原子力発電プラント1に、蒸気排気管7A及び復水器33を追加した構成を有する。 沸騰水型原子力発電プラント1Aの他の構成は沸騰水型原子力発電プラント1と同じである。

    流量調節弁38を設けた蒸気排気管7Aは、配管27に接続され、さらに、復水器33に接続される。 給水配管20が復水器33にも接続される。 復水器33内に設置された複数の伝熱管34のそれぞれの一端が、ポンプ35を設けた海水供給管36に連絡され、各伝熱管34のそれぞれの他端が海水排出管37に連絡される。 海水供給管36及び海水排出管37は海まで伸びている。 海水供給管36は、海水供給管13の、フラッシュ蒸気発生器41よりも上流の部分に接続してもよい。 流量調節弁49が蒸気通路7に設けられる。 空気抽出器(図示せず)が設けられたオフガス系配管(図示せず)が、復水器33にも接続される。

    沸騰水型原子力発電プラント1Aの運転中において、復水器33も、空気抽出器の作用により内部が負圧になっている。 発電・海水淡水化複合プラント10Bでは、低圧タービン5から排気された蒸気の一部が、蒸気排気管7Aによって復水器33に導かれ、海水供給管36によって伝熱管34内に導かれる海水によって凝縮されて水になる。 この蒸気の凝縮によって温度が上昇した伝熱管34内の海水は、海水排出管37によって海に戻される。 蒸気の凝縮によって復水器33内で発生した水も、給水として給水配管20により原子炉2に供給される。

    低圧タービン5から配管27に排気された残りの蒸気は、実施例1と同様に、蒸気圧縮機26に供給されて圧縮され、過熱蒸気になる。 この過熱蒸気は、復水器11でフラッシュ蒸気発生器41に供給される海水を加熱する。

    蒸気圧縮機26及び復水器33に供給されるそれぞれの蒸気の流量は、流量調節弁38及び49の開度を調節することによって調節される。 本実施例は、沸騰水型原子力発電プラント1の出力向上運転によって原子炉2での蒸気発生量が増大したとき、その蒸気発生量の増加分を、流量調節弁38の開度調節により、蒸気排気管7Aによって復水器33に供給することが好ましい。

    本実施例は、実施例1で生じる各効果を得ることができる。 本実施例は、流量調節弁38及び49の開度を調節することによって、発電・海水淡水化複合プラント10Bで発生した電力及び生成された淡水を供給する地域のニーズに合わせて発電量及び淡水生成量を調節することができる。

    本発明の他の実施例である実施例4の発電・海水淡水化複合プラントを、図10を用いて説明する。 本実施例の発電・海水淡水化複合プラント10Cは、沸騰水型原子力発電プラント1B及び海水淡水化装置40を備えている。

    発電・海水淡水化複合プラント10Cの発電・海水淡水化複合プラント10Bと異なる部分、すなわち、沸騰水型原子力発電プラント1Bを、以下に説明する。 沸騰水型原子力発電プラント1Bは、沸騰水型原子力発電プラント1Aに制御装置39を追加した構成を有する。 沸騰水型原子力発電プラント1Bの他の構成は沸騰水型原子力発電プラント1Aと同じである。

    制御装置39は、流量調節弁38及び49のそれぞれの開度を制御する。 オペレータは、発電・海水淡水化複合プラント10Cにおける淡水生成量(または発電量)を入力装置(図示せず)から制御装置39に入力する。 制御装置39は、淡水生成量と発電量の関係を示す関係式を記憶しており、入力装置から淡水生成量(または発電量)を入力したとき、この入力情報に基づいて発電量(または淡水生成量)を求める。 制御装置39は、入力した淡水生成量(または発電量)及び求めた発電量(または淡水生成量)に基づいて、発電・海水淡水化複合プラント10Cで該当する発電量及び淡水生成量が得られるように、流量調節弁38及び49のそれぞれの開度を制御する。

    本実施例によれば、実施例3で生じる各効果を得ることができる。 また、本実施例は、制御装置39により流量調節弁38及び49のそれぞれの開度を制御することができ、発電量及び淡水生成量の調節に要するオペレータの負担を実施例3よりも軽減することができる。

    制御装置39に淡水生成量と発電量の関係を示す関係式を記憶させないで、オペレータがその関係式を基に必要な淡水生成量及び発電量を入力装置から制御装置39に入力してもよい。 制御装置39は、入力された淡水生成量及び発電量に基づいて流量調節弁38及び49のそれぞれの開度を制御する。

    本発明の他の実施例である実施例5の発電・海水淡水化複合プラントを、図11を用いて説明する。 本実施例の発電・海水淡水化複合プラント10Dは、沸騰水型原子力発電プラント1C及び海水淡水化装置40を備えている。

    発電・海水淡水化複合プラント10Dの発電・海水淡水化複合プラント10Bと異なる部分、すなわち、沸騰水型原子力発電プラント1Cを、以下に説明する。 沸騰水型原子力発電プラント1Cは、沸騰水型原子力発電プラント1Aにおいて配管27を低圧タービン5の最終段の動翼よりも上流に配置された静翼の位置で低圧タービン5のタービンケーシングの抽気点に接続され、蒸気排気管7Aが最終段の静翼よりも下流で低圧タービン5に接続される。 蒸気排気管7Aには流量調節弁38が設置されない。 沸騰水型原子力発電プラント1Bの他の構成は沸騰水型原子力発電プラント1Aと同じである。

    本実施例では、低圧タービン5から排気された蒸気が蒸気排気管7Aを通して復水器33に供給され、実施例3と同様に、伝熱管34内を流れる海水によって凝縮される。 低圧タービン5から抽気された蒸気が、蒸気圧縮機26で圧縮されて昇温され、160℃の過熱蒸気になる。 この160℃の過熱蒸気が復水器11に供給されて伝熱管12内を流れる海水によって凝縮される。 伝熱管12内を流れる海水の温度は、実施例1で伝熱管12内を流れる海水の温度よりも上昇する。 このため、海水供給管25によりフラッシュ蒸気発生器41に供給される海水の温度が、実施例1よりも本実施例で高くなるので、発電・海水淡水化複合プラント10Dのフラッシュ蒸気発生器41でフラッシュ蒸発により発生する蒸気量が増大する。 このため、本実施例での淡水生成量が実施例1のその量よりも増大する。

    本実施例によれば、実施例1で生じる各効果を得ることができ、実施例1よりも淡水の生成量を増加することができる。

    実施例1〜5の各発電・海水淡水化複合プラントにおいて、沸騰水型原子力発電プラントの替りに、加圧水型原子力発電プラント、汽水型火力発電プラント及びガスタービン複合型火力発電プラントのいずれかを用いてもよい。 沸騰水型原子力発電プラントの替りに、加圧水型原子力発電プラント、汽水型火力発電プラント及びガスタービン複合型火力発電プラントのいずれかを用いた場合には、蒸気発生装置である原子炉2を、加圧水型原子力発電プラントでは蒸気発生器に、汽水型火力発電プラントではボイラに、及びガスタービン複合型火力発電プラントでは排熱回収用蒸気発生器にしなければならない。

    本発明は、発電プラントとして原子力発電プラント、及び汽水型火力発電プラント及びガスタービン複合型火力発電プラントのいずれかを用いた発電・海水淡水化複合プラントに適用することができる。

    1、1A、1B、1C…沸騰水型原子力発電プラント、2…原子炉、3…高圧タービン、5…低圧タービン、6…主蒸気配管、7…蒸気通路、7A…蒸気排気管、9…発電機、10,10A,10B,10C,10D…発電・海水淡水化複合プラント、11,33…復水器、12,34…伝熱管、13,25…海水供給管、21A,21B,21C,21D,21E…蒸発室、22…凝縮器、23…凝縮水受皿、24…仕切り壁、26…蒸気圧縮機、38,49…流量調節弁、39…制御装置、40…海水淡水化装置、41…フラッシュ蒸気発生器、43…凝縮水供給管、45…冷却器、46…噴射ノズル。

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