エネルギー回収装置及び圧縮装置並びにエネルギー回収方法

申请号 JP2014188719 申请日 2014-09-17 公开(公告)号 JP2016061199A 公开(公告)日 2016-04-25
申请人 株式会社神戸製鋼所; 发明人 橋本 宏一郎; 松田 治幸; 西村 和真; 足立 成人; 成川 裕; 垣内 哲也; 福原 一徳;
摘要 【課題】複数の熱源から熱エネルギーを回収する際に、各熱源の 温度 が異なる場合であっても、効率よく熱エネルギーを回収すること。 【解決手段】エネルギー回収装置であって、互いに並列に接続され、複数の熱源から熱源が流入する複数の熱交換器(21,22)と、作動媒体を膨張させる膨張機(24)と、動 力 回収部(28)と、凝縮器(28)と、凝縮器から流出した作動媒体を複数の熱交換器(21,22)へ送るポンプ(30)と、複数の熱交換器(21,22)への作動媒体の流入量を調整する調整部(40)と、を備え、調整部(40)が、複数の熱交換器(21,22)のそれぞれから流出した気相の作動媒体の温度差、又は、気相の作動媒体の過熱度差が一定範囲内に収まるように、複数の熱交換器(21,22)のそれぞれに流入する液相の作動媒体の流入量を調整すること。 【選択図】図1
权利要求

作動媒体のランキンサイクルにより、熱源からの熱エネルギーを回収するエネルギー回収装置であって、 前記ランキンサイクル上において互いに並列に接続され、複数の熱源が流入する複数の熱交換器と、 前記複数の熱交換器において熱源と熱交換した作動媒体を膨張させる膨張機と、 前記膨張機からの動を回収する動力回収部と、 前記膨張機から流出した作動媒体を凝縮させる凝縮器と、 前記凝縮器から流出した作動媒体を前記複数の熱交換器へ送るポンプと、 前記複数の熱交換器への作動媒体の流入量を調整する調整部と、 を備え、 前記調整部が、前記複数の熱交換器のそれぞれから流出した気相の作動媒体の温度、又は、前記気相の作動媒体の過熱度に基づき、前記複数の熱交換器のそれぞれに流入する液相の作動媒体の流入量を調整する、エネルギー回収装置。請求項1に記載のエネルギー回収装置であって、 前記調整部が、 前記複数の熱交換器へ向かう複数の分岐流路のうち少なくとも1つの分岐流路に設けられる流量調整弁と、 前記温度又は前記過熱度に基づき前記流量調整弁の開度を制御し、記複数の熱交換器のそれぞれに流入する液相の作動媒体の流入量を調整する弁制御部と、 を備える、エネルギー回収装置。請求項1又は2に記載のエネルギー回収装置であって、 前記複数の熱交換器へ流入する液相の作動媒体の全体流量を調整する全体流量制御部をさらに備え、 前記全体流量制御部は、前記複数の熱交換器から流出した気相の作動媒体の過熱度の平均もしくは温度の平均が特定の範囲内に収まるように、又は前記複数の熱交換器から流出した気相の作動媒体が合流した後であって前記膨張機に流入する前の気相の作動媒体の過熱度もしくは温度が特定の範囲内に収まるように、前記複数の熱交換器へ流入する液相の作動媒体の全体流量を調整する、エネルギー回収装置。請求項1ないし3のいずれかに記載のエネルギー回収装置と、 ガスを圧縮する第1圧縮機と、 前記第1圧縮機から吐出された圧縮ガスをさらに圧縮する第2圧縮機と、 を備え、 前記エネルギー回収装置の前記複数の熱交換器が、 前記第1圧縮機から吐出された圧縮ガスの熱エネルギーを回収する第1熱交換器と、 前記第2圧縮機から吐出された圧縮ガスの熱エネルギーを回収する第2熱交換器と、 を含む圧縮装置。請求項4に記載の圧縮装置であって、 前記第1圧縮機により吐出されるガスの圧力を略一定とし、前記第2圧縮機により吐出されるガスの圧力を需要側の要求圧力に応じて変更する制御部をさらに備え、 前記調整部が、前記複数の熱交換器のそれぞれに流入する液相の作動媒体の流入量を調整した後、前記第2圧縮機により吐出されるガスの圧力又は温度の変化率に基づいて再調整する、圧縮装置。請求項4または5に記載の圧縮装置であって、 前記第1圧縮機及び前記第2圧縮機のそれぞれから吐出される圧縮ガスの温度が略一定に維持される場合に、需要先に圧縮ガスが供給される前において前記エネルギー回収装置の動作を調整する際に、前記複数の熱交換器への液相の作動媒体の流入量を決定する、圧縮装置。作動媒体のランキンサイクルを用いて熱源からの熱エネルギーを回収するエネルギー回収方法であって、 a)前記ランキンサイクル上において互いに並列に接続され、複数の熱源が流入する複数の熱交換器を準備し、前記複数の熱交換器のそれぞれから流出した気相の作動媒体の温度又は過熱度を取得する工程と、 b)前記温度又は前記過熱度に基づき、前記複数の熱交換器のそれぞれに流入する液相の作動媒体の流入量を調整する工程と、 を備える、エネルギー回収方法。請求項7に記載のエネルギー回収方法であって、 前記複数の熱交換器と、各熱交換器において熱源と熱交換した後の気相の作動媒体を膨張させる膨張機と、前記膨張機からの動力を回収する動力回収部と、前記膨張機から流出した気相の作動媒体を凝縮させる凝縮器と、前記凝縮器から流出した液相の作動媒体を前記複数の熱交換器へ送るポンプとを備えるエネルギー回収装置を用い、 前記a)および前記b)工程を実施する、エネルギー回収方法。請求項7または8に記載のエネルギー回収方法であって、 前記a)および前記b)工程に前後して、または、前記a)および前記b)工程と同時に、前記複数の熱交換器から流出した気相の作動媒体の過熱度の平均もしくは温度の平均が特定の範囲内に収まるように、又は前記複数の熱交換器から流出した気相の作動媒体が合流した後であって前記膨張機に流入する前の気相の作動媒体の過熱度または温度が特定の範囲内に収まるように、前記複数の熱交換器へ流入する液相の作動媒体の全体流量を調整する工程をさらに備える、エネルギー回収方法。

说明书全文

本発明は、熱エネルギーを回収するエネルギー回収装置に関連する。

近年、圧縮機から吐出された圧縮ガスが有するエネルギーを回収するシステムが提案されている。例えば、特許文献1には、前段の羽根車と、前段の羽根車から吐出された圧縮ガスと液相作動媒体とを熱交換させる第1の蒸発器と、第1の蒸発器から流出したガスを冷却する第1の冷却器と、第1の冷却器から流出したガスを圧縮する後段の羽根車と、後段の羽根車から吐出された圧縮ガスと液相作動媒体とを熱交換させる第2の蒸発器と、第2の蒸発器から流出したガスを冷却する第2の冷却器と、各蒸発器から流出した気相作動媒体を膨張させるタービンと、タービンに接続された交流発電機と、タービンから流出した作動媒体を凝縮させる凝縮器と、凝縮器から流出した液相作動媒体を各蒸発器へ圧送する循環ポンプと、を備える圧縮機のエネルギー回収システムが開示されている。このシステムでは、第1の蒸発器と第2の蒸発器とが互いに並列となるように接続されている。すなわち、ポンプから吐出された液相作動媒体は、その一部が第1の蒸発器へ流入するとともに残りが第2の蒸発器に流入し、各蒸発器から流出した作動媒体がタービンの上流側で合流してからタービンに流入する。

特開2013−057256号公報

上記特許文献1に記載のシステムでは、各羽根車(各圧縮機)の圧縮比が互いに異なる値に設定されることなどに起因して、各圧縮機から吐出された圧縮ガスの温度に差が生じる場合がある。この場合、温度が高い圧縮ガスが流入する蒸発器では、当該圧縮ガスと熱交換した気相の作動媒体の温度が過度に上昇してしまう。気相の作動媒体の顕熱量が増大することにより、当該蒸発器にて効率よく圧縮ガスを冷却することができない。また、高温の作動媒体により、当該蒸発器の下流側に設けられている計器が損傷してしまう虞もある。

一方、温度が低い圧縮ガスが流入する蒸発器では、当該蒸発器に流入する作動媒体の流量が多くなり過ぎてしまうことにより、十分に作動媒体を蒸発させることができない、すなわち、圧縮ガスを作動媒体の潜熱を利用して十分に冷却することができない。また、気液二相の状態で作動媒体がタービンに流入してしまうとタービンが損傷してしまう虞もある。

本発明は上記課題に鑑みなされたものであり、複数の熱源から熱エネルギーを回収する際に、各熱源の温度が異なる場合であっても、効率よく熱エネルギーを回収することを目的としている。

前記課題を解決するための手段として、本発明は、作動媒体のランキンサイクルにより、熱源からの熱エネルギーを回収するエネルギー回収装置であって、前記ランキンサイクル上において互いに並列に接続され、複数の熱源が流入する複数の熱交換器と、前記複数の熱交換器において熱源と熱交換した作動媒体を膨張させる膨張機と、前記膨張機からの動を回収する動力回収部と、前記膨張機から流出した作動媒体を凝縮させる凝縮器と、前記凝縮器から流出した作動媒体を前記複数の熱交換器へ送るポンプと、前記複数の熱交換器への作動媒体の流入量を調整する調整部と、を備え、前記調整部が、前記複数の熱交換器のそれぞれから流出した気相の作動媒体の温度、又は、前記気相の作動媒体の過熱度に基づき、前記複数の熱交換器のそれぞれに流入する液相の作動媒体の流入量を調整する、エネルギー回収装置を提供する。

本発明では、前記温度又は前記過熱度に基づき各熱交換器への作動媒体の流入量が調整される。これにより、一方の熱交換器において作動媒体の過熱度が過度に上昇してしまうことにより気相の作動媒体の顕熱量が増大してしまうことが抑制され、効率よく圧縮ガスの熱回収を行うことができる。また、他方の熱交換器において、液体として作動媒体が流出してしまうことが防止され、作動媒体の潜熱を有効に利用することができ、効率よく圧縮ガスの熱回収を行うことができる。

この場合において、前記調整部が、前記複数の熱交換器へ向かう複数の分岐流路のうち少なくとも1つの分岐流路に設けられる流量調整弁と、前記温度又は前記過熱度に基づき前記流量調整弁の開度を制御し、記複数の熱交換器のそれぞれに流入する液相の作動媒体の流入量を調整する弁制御部と、を備えることが好ましい。

このようにすれば、流量調整弁の開度を制御するという簡単な構成により各熱交換器への作動媒体の流入量の調整が可能となる。

また、本発明において、前記複数の熱交換器へ流入する液相の作動媒体の全体流量を調整する全体流量制御部をさらに備え、前記全体流量制御部は、前記複数の熱交換器から流出した気相の作動媒体の過熱度の平均もしくは温度の平均が特定の範囲内に収まるように、又は前記複数の熱交換器から流出した気相の作動媒体が合流した後であって前記膨張機に流入する前の気相の作動媒体の過熱度もしくは温度が特定の範囲内に収まるように、前記複数の熱交換器へ流入する液相の作動媒体の全体流量を調整することが好ましい。

このようにすれば、圧縮ガスの温度が変化しても平均過熱度を一定に維持することができ、膨張機に流入する直前の作動媒体が、液体となってしまったり、温度が過度に高い蒸気となってしまったりすることが防止される。その結果、エネルギー回収装置が圧縮ガスの熱エネルギーをより効率よく回収することができる。

また、本発明は、前記エネルギー回収装置と、ガスを圧縮する第1圧縮機と、前記第1圧縮機から吐出された圧縮ガスをさらに圧縮する第2圧縮機と、を備え、前記エネルギー回収装置の前記複数の熱交換器が、前記第1圧縮機から吐出された圧縮ガスの熱エネルギーを回収する第1熱交換器と、前記第2圧縮機から吐出された圧縮ガスの熱エネルギーを回収する第2熱交換器と、を含む圧縮装置を提供する。

本発明において、前記第1圧縮機により吐出されるガスの圧力を略一定とし、前記第2圧縮機により吐出されるガスの圧力を需要側の要求圧力に応じて変更する制御部をさらに備え、前記調整部が、前記複数の熱交換器のそれぞれに流入する液相の作動媒体の流入量を調整した後、前記第2圧縮機により吐出されるガスの圧力又は温度の変化率に基づいて再調整することが好ましい。

熱源である圧縮ガスの温度が変化してから、熱交換器から流出する作動媒体の温度が変化するまでの間に僅かにずれが生じる。圧縮装置では、圧縮ガスの温度を直接検知することにより、各熱交換器へ流入する作動媒体の流入量を圧縮ガスの温度変化に応じて速やかに調整することができる。また、第1圧縮機から吐出される圧縮ガスの圧力を略一定とすることにより、作動媒体の当該流入量の調整を容易に行うことができる。

また、本発明において、前記第1圧縮機及び前記第2圧縮機のそれぞれから吐出される圧縮ガスの温度が略一定に維持される場合に、需要先に圧縮ガスが供給される前において前記エネルギー回収装置の動作を調整する際に、前記複数の熱交換器への液相の作動媒体の流入量を決定することが好ましい。

このようにすれば、圧縮ガスの需要先への供給途上にて作動媒体の流入量を調整する作業が不要となる。

また、本発明は、作動媒体のランキンサイクルを用いて熱源からの熱エネルギーを回収するエネルギー回収方法であって、a)前記ランキンサイクル上において互いに並列に接続され、複数の熱源が流入する複数の熱交換器を準備し、前記複数の熱交換器のそれぞれから流出した気相の作動媒体の温度又は過熱度を取得する工程と、b)前記温度又は前記過熱度に基づき、前記複数の熱交換器のそれぞれに流入する液相の作動媒体の流入量を調整する工程と、を備える、エネルギー回収方法を提供する。

この方法では、前記温度又は前記過熱度に基づき各熱交換器への作動媒体の流入量が調整される。これにより、一方の熱交換器において作動媒体の過熱度が過度に上昇してしまうことにより気相の作動媒体の顕熱量が増大してしまうことが抑制され、効率よく熱エネルギーを回収することができる。また、他方の熱交換器において、液体として作動媒体が流出してしまうことが防止され、作動媒体の潜熱を有効に利用することができ、効率よく熱エネルギーを回収することができる。

この場合において、前記複数の熱交換器と、各熱交換器において熱源と熱交換した後の気相の作動媒体を膨張させる膨張機と、前記膨張機からの動力を回収する動力回収部と、前記膨張機から流出した気相の作動媒体を凝縮させる凝縮器と、前記凝縮器から流出した液相の作動媒体を前記複数の熱交換器へ送るポンプとを備えるエネルギー回収装置を用い、前記a)および前記b)工程を実施することが好ましい。

また、本発明において、前記a)および前記b)工程に前後して、または、前記a)および前記b)工程と同時に、前記複数の熱交換器から流出した気相の作動媒体の過熱度の平均もしくは温度の平均が特定の範囲内に収まるように、又は前記複数の熱交換器から流出した気相の作動媒体が合流した後であって前記膨張機に流入する前の気相の作動媒体の過熱度または温度が特定の範囲内に収まるように、前記複数の熱交換器へ流入する液相の作動媒体の全体流量を調整する工程をさらに備えることが好ましい。

このようにすれば、圧縮ガスの温度が変化しても平均過熱度を一定に維持することができ、膨張機に流入する直前の作動媒体が、液体となってしまったり、温度が過度に高い蒸気となってしまったりすることが防止される。その結果、エネルギー回収装置が圧縮ガスの熱エネルギーをより効率よく回収することができる。

以上のように、本発明によれば、複数の熱源から熱エネルギーを回収する際に、各熱源の温度が異なる場合であっても、効率よく熱エネルギーを回収することができる。

本発明の第1実施形態の圧縮装置の構成の概略を示す図である。

全体流量制御部の制御内容を示す図である。

弁制御部の制御内容を示す図である。

図1の圧縮装置の変形例を示す図である。

変形例に係る全体流量制御部の制御内容を示す図である。

変形例に係る弁制御部の制御内容を示す図である。

本発明の第2実施形態の圧縮装置の構成の概略を示す図である。

第2実施形態に係る作動媒体の分配量の調整の流れを示す図である。

本発明の好ましい実施形態について、以下、図面を参照しながら説明する。

(第1実施形態) 本発明の第1実施形態の圧縮装置1について、図1〜図3を参照しながら説明する。

図1に示されるように、圧縮装置1は、空気等のガスを圧縮する第1圧縮機11と、第1圧縮機11から吐出された圧縮ガスをさらに圧縮する第2圧縮機12と、エネルギー回収装置20と、を備えている。

エネルギー回収装置20は、作動媒体を用いたランキンサイクルを利用することによって第1圧縮機11から吐出された圧縮ガス及び第2圧縮機12から吐出された圧縮ガスの有する熱エネルギーを回収する装置である。本実施形態では、作動媒体としてR245fa等のよりも低沸点の有機流体が利用される。具体的に、エネルギー回収装置20は、第1熱交換器21と、第2熱交換器22と、膨張機24と、動力回収部である発電機26と、凝縮器28と、ポンプ30と、循環流路32と、調整部40と、全体流量制御部44と、を備えている。

循環流路32は、単一の流路を形成する本流路33と、互いに並列となるように本流路33から二股に分岐した第1分岐流路34a及び第2分岐流路34bと、を有する。この循環流路32内を作動媒体が循環する。本流路33は、膨張機24、凝縮器28及びポンプ30をこの順に直列に接続している。第1分岐流路34aには第1熱交換器21が接続されており、第2分岐流路34bには第2熱交換器22が接続されている。すなわち、第1熱交換器21及び第2熱交換器22は、膨張機24、凝縮器28及びポンプ30に対して並列に接続されている。第1分岐流路34aのうち第1熱交換器21の下流側の部位に第1温度センサ51及び第1圧力センサ52が設けられる。第2分岐流路34bのうち第2熱交換器22の下流側の部位に第2温度センサ53及び第2圧力センサ54が設けられる。

第1熱交換器21は、第1圧縮機11から吐出された圧縮ガス(熱源)と液相の作動媒体とを熱交換させる。これにより、圧縮ガスは冷却され、液相の作動媒体は蒸発する(圧縮ガスの有する熱エネルギーを回収する)。すなわち、第1熱交換器21は、圧縮ガスを冷却する冷却器としての役割に加え、液相の作動媒体を蒸発させる蒸発器としての役割も果たす。本実施形態の第1熱交換器21は、フィンチューブ式である。第1熱交換器21としてプレート式などの他の熱交換器が利用されてもよい。第2熱交換器22においても同様である。

第2圧縮機12は、第1熱交換器21の下流側に配置されている。第2圧縮機12の構造は、第1圧縮機11のそれと同じである。第2圧縮機12は、第1熱交換器21で冷却された圧縮ガスをさらに圧縮する。

第2熱交換器22は、第2圧縮機12の下流側に配置されている。第2熱交換器22の構造は、第1熱交換器21のそれと同じである。第2熱交換器22は、第2圧縮機12から吐出された圧縮ガス(熱源)と作動媒体とを熱交換させる。なお、圧縮装置1では、第1圧縮機11及び第2圧縮機12にてそれぞれ高温の圧縮ガスが生成されることから、エネルギー回収装置20において、第1熱交換器21及び第2熱交換器22に流入する圧縮ガスは異なる熱源であると捉えることができる。

膨張機24は、循環流路32のうち第1熱交換器21及び第2熱交換器22よりも下流側の部位、より具体的には、本流路33のうち第1分岐流路34aと第2分岐流路34bとが合流する合流部(各分岐流路34a,34bの下流側の端部同士の接続部)の下流側の部位に設けられている。本実施形態では、膨張機24として容積式のスクリュー膨張機が用いられている。なお、膨張機24としてはスクリュー膨張機に限らず、遠心式のものやスクロールタイプのものが用いられてもよい。

発電機26は、膨張機24に接続されている。発電機26は、膨張機24のロータ部に接続された回転軸を有している。発電機26は、前記回転軸が膨張機24のロータ部の回転に伴って回転することにより電力を発生させる。

凝縮器28は、本流路33のうち膨張機24の下流側の部位に設けられている。凝縮器28は、気相の作動媒体を冷却流体(冷却水等)で冷却することにより凝縮(液化)させる。

ポンプ30は、本流路33のうち凝縮器28の下流側でかつ当該本流路33から第1分岐流路34a及び第2分岐流路34bに分岐する分岐部(各分岐流路34a,34bの上流側の端部同士の接続部)よりも上流側の部位に設けられている。ポンプ30は、液相の作動媒体を所定の圧力まで加圧して第1熱交換器21及び第2熱交換器22へと送り出す。ポンプ30としては、インペラをロータとして備える遠心ポンプや、ロータが一対のギアからなるギアポンプ、スクリュポンプ、トロコイドポンプ等が用いられる。

調整部40は、各熱交換器21,22への液相の作動媒体の流入量を調整する。本実施形態では、調整部40は、流量調整弁Vと、流量調整弁Vの開度を制御する弁制御部42と、を有する。流量調整弁Vは、開度調整可能な弁であり、第2分岐流路34bのうち第2熱交換器22よりも上流側の部位に設けられている。流調調整弁Vの開度が調整されることにより、第1及び第2熱交換器21,22のそれぞれに流入する液相の作動媒体の流入量(以下、「分配量」という。)が調整される。

全体流量制御部44は、ポンプ30の回転数を制御して第1及び第2熱交換器21,22へ流入する液相の作動媒体の全体流量、すなわち、第1分岐流路34a及び第2分岐流路34bを流れる液相の作動媒体の流量の合計を調整する。圧縮装置1では、全体流量制御部44及び調整部40により、第1熱交換器21及び第2熱交換器22に流入する液相の作動媒体が適切な量となる。

以上に説明した圧縮装置1が駆動されると、第1圧縮機11から吐出された圧縮ガスは、第1熱交換器21で冷却され、第2圧縮機12でさらに圧縮された後、第2熱交換器22により冷却されてから需要先に供給される。一方、第1熱交換器21及び第2熱交換器22にて圧縮ガスの熱エネルギーを回収することにより蒸発した作動媒体は、膨張機24に流入して膨張することにより膨張機24及び発電機26を駆動する。膨張機24から流出した作動媒体は、凝縮器28にて凝縮される。凝縮した液相の作動媒体は、ポンプ30により再び第1熱交換器21及び第2熱交換器22へと送出される。すなわち、ポンプ30から吐出された液相の作動媒体は、その一部が第1分岐流路34aを通じて第1熱交換器21に流入し、残りが第2分岐流路34bを通じて第2熱交換器22へ流入する。このように、作動媒体が循環流路32内を循環することにより、発電機26にて電力が生成される。

次に、第1熱交換器21及び第2熱交換器22に流入する液相の作動媒体の量を設定する手法(以下、「流量調整操作」という。)について説明する。以下の説明では、当該流量調整操作は、圧縮装置1により需要先に圧縮ガスが供給されている途上において行われるものとする。

まず、第1及び第2圧縮機11,12が起動されて第1及び第2熱交換器21,22内に圧縮ガスが流される。また、エネルギー回収装置20内にてポンプ30が駆動され、作動媒体が初期設定された全体流量にて循環される。次に、図2に示すように、全体流量制御部44が、第1温度センサ51及び第1圧力センサ52に基づき第1熱交換器21から流出した気相の作動媒体の過熱度(以下、「第1過熱度S1」という。)を算出する。さらに、全体流量制御部44は第2温度センサ53及び第2圧力センサ54に基づき第2熱交換器22から流出した気相の作動媒体の過熱度(以下、「第2過熱度S2」という。)を算出する。

全体流量制御部44は第1過熱度S1及び第2過熱度S2に基づき過熱度の平均(以下、「平均過熱度S」という。)を算出する(ステップS11)。

全体流量制御部44は、平均過熱度Sが予め設定された下限値Sα以上か否かを判定する(ステップS12)。平均過熱度Sが下限値Sαよりも小さい場合(ステップS12でNO)、すなわち、各熱交換器21,22への液相の作動媒体の流入量が多い場合、全体流量制御部44によりポンプ30の回転数が予め定められた割合分下げられる(ステップS13)。ポンプ30の回転数が下げられると、一定時間経過後、再び平均過熱度Sが測定され、下限値Sαと比較される(ステップS12)。平均過熱度Sが下限値Sαよりも小さい場合には、さらにポンプ30の回転数が下げられる(ステップS13)。このように、平均過熱度Sが下限値Sα以上となるまでポンプ30の回転数が下げられる。

平均過熱度Sが下限値Sα以上となると(ステップS12でYES)、全体流量制御部44は、平均過熱度Sが上限値Sβ以下か否かを判定する(ステップS14)。平均過熱度Sが上限値Sβ以下である場合には、平均過熱度Sが所望の特定範囲(Sα以上Sβ以下の範囲)内に存在することとなる。

そして、一定時間経過後、再び平均過熱度Sが下限値Sαと比較される(ステップS12)。平均過熱度Sが下限値Sα未満である場合には、下限値Sα以上となるまでポンプ30の回転数が下げられる。平均過熱度Sが下限値Sα以上である場合には、再び上限値Sβ以下であるか否かが判定される(ステップS14)。平均過熱度Sが上限値Sβよりも大きい場合(ステップS14でNO)、すなわち、各熱交換器21,22への液相の作動媒体の流入量が少ない場合、全体流量制御部44によりポンプ30の回転数が予め定められた割合分上げられる(ステップS15)。ポンプ30の回転数が上げられると、一定時間経過後、平均過熱度Sが下限値Sα以上であることが確認された上で(ステップS12)、再び上限値Sβと比較される(ステップS13)。平均過熱度Sが上限値Sβよりも大きい場合には、ポンプ30の回転数がさらに上げられる(ステップS15)。このように、平均過熱度Sが上限値Sβ以下となるまで繰り返しポンプ30の回転数が上げられる。

以上に説明した流れにより、エネルギー回収装置20では、液相の作動媒体の全体流量が圧縮ガスの温度に対して適切な流量に調整され、第1及び第2熱交換器21,22から流出した気相の作動媒体の平均過熱度が特定の範囲(下限値Sα以上上限値Sβ以下の範囲)内に維持される。

次に、圧縮装置1では、第1及び第2熱交換器21,22への分配量の調整が行われる。まず、図3に示すように、弁制御部42は、第1温度センサ51にて検出された温度T1及び第2温度センサ53にて検出された温度T2を取得し、これらの差である温度差ΔTを算出する(ステップS21)。ただし、ΔT=T1−T2である。以下、第1熱交換器21から流出した気相の作動媒体の温度である温度T1を「第1温度T1」という。第2熱交換器22から流出した気相の作動媒体の温度である温度T2を「第2温度T2」という。

次に、弁制御部42は、温度差ΔTが予め設定された下限値−α(αは正の値)以上か否かを判定する(ステップS22)。温度差ΔTが下限値−αよりも小さい場合、すなわち、第2熱交換器22から流出した作動媒体の第2温度T2が第1熱交換器21から流出した作動媒体の第1温度T1に比べて過度に大きい場合、弁制御部42は流量調整弁Vを予め定められた開度分上げる(ステップS23)。これにより、第2分岐流路34bの分配量が増大するとともに、第1分岐流路34aの分配量が減少する。流量調整弁Vの開度が調整された後、一定時間経過後、再び温度差ΔTと下限値−αとが比較される(ステップS22)。温度差ΔTが下限値−αよりも小さい場合には、流量調整弁Vの開度がさらに上げられる(ステップS23)。このように、温度差ΔTが下限値−α以上となるまで流量調整弁Vの開度が上げられる。

温度差ΔTが下限値−α以上となると、弁制御部42は温度差ΔTが予め設定された上限値β以下か否かを判定する(ステップS24)。温度差ΔTが上限値β以下の場合(ステップS24でYES)には、温度差ΔTが所望の一定範囲(下限値−α以上上限値β以下の範囲)内に存在することとなる。

そして、一定時間経過後、温度差ΔTが再び下限値−αと比較される(ステップS22)。温度差ΔTが下限値−αよりも小さい場合には、下限値−α以上となるまで流量調整弁Vの開度が上げられる。温度差ΔTが下限値−α以上である場合には、温度差ΔTが上限値β以下であるか否かが判定される(ステップS24)。温度差ΔTが上限値βよりも大きい、すなわち、第1熱交換器21から流出した作動媒体の第1温度T1が第2熱交換器22から流出した作動媒体の第2温度T2に比べて過度に大きい場合、弁制御部42は流量調整弁Vを予め定めた開度分下げる(ステップS25)。これにより、第1熱交換器21への液相の作動媒体の分配量が増大するとともに第2熱交換器22への液相の作動媒体の分配量が減少する。そして、一定時間経過後、温度差ΔTが下限値−α以上であることが確認された上で(ステップS22)、温度差ΔTと上限値βとが比較され、温度差ΔTが上限値βよりも大きい場合には、流量調整弁Vの開度がさらに上げられる(ステップS25)。このように、温度差ΔTが上限値β以下となるまで繰り返し、流量調整弁Vの開度が上げられる。

以上に説明した流れにより、弁制御部42により分配量が繰り返し調整され、第1熱交換器21及び第2熱交換器22への分配量の偏りが防止される。これにより、第1及び第2熱交換器21,22から流出する気相の作動媒体の温度差が所定の一定範囲(下限値−α以上上限値β以下の範囲)内とされ、作動媒体の過熱度差が過度に大きくなってしまうことが抑えられる。なお、分配量が調整された後、第1圧縮機11及び第2圧縮機12の圧縮ガスの温度が大きく変化し、平均過熱度Sが特定の範囲(Sα以上Sβ以下の範囲)外となってしまった場合には、当該範囲内となるよう全体流量が再調整され、分配量も再調整される。

以上、本実施形態の圧縮装置1の構造及び流量調整操作について説明したが、仮に、第1及び第2熱交換器21,22の間において過熱度差が過度に大きくなってしまうと、分配量が少ない一方の熱交換器では、作動媒体は、過熱度が過度に大きい蒸気として流出し、作動媒体が吸収する熱として潜熱よりも熱量が低い顕熱の割合が増大してしまう。また、分配量が多い他方の熱交換器では、作動媒体が液体として、又は、気液二相状態として流出し、潜熱を十分に利用することができない。このように、いずれの熱交換器においても熱エネルギーを効率よく回収することができない、換言すれば、圧縮ガスを十分に冷却することができない。

これに対し、圧縮装置1では、全体流量制御部44により平均過熱度Sが特定の範囲内に収まるように全体流量が調整される。これにより、圧縮ガスの温度が変化しても平均過熱度を一定に維持することができる。その結果、膨張機24に流入する直前の作動媒体、すなわち、第1分岐流路34a及び第2分岐流路34bの合流部から膨張機24に至る流路部分に存在する作動媒体が液体となってしまったり、逆に過熱度が過度に大きい蒸気となってしまうことが防止される。その結果、エネルギー回収装置20が圧縮ガスの熱エネルギーを効率よく回収することができる。また、膨張機24の損傷を確実に防止することもできる。

さらに、圧縮装置1では、第1及び第2熱交換器21,22のそれぞれから流出した気相の作動媒体の温度差が一定範囲内に収まるように、第1及び第2熱交換器21,22のそれぞれに流入する液相の作動媒体の分配量が調整される。その結果、第1及び第2熱交換器21,22の間において作動媒体の過熱度差を抑えることができ、より効率よく圧縮ガスの熱回収を行うことができ、圧縮ガスも十分に冷却することができる。また、第1熱交換器21から流出する作動媒体が高温の蒸気となることにより第1分岐流路34a内の計装機器が損傷してしまうことが防止される。第2熱交換器22においても同様である。さらに、高温の圧縮ガスが第2圧縮機22又は需要先の設備に影響を与えてしまうことも防止される。

エネルギー回収装置20では、流量調整弁Vの開度を制御することにより、容易に第1及び第2熱交換器21,22への作動媒体の分配量を調整することができる。

第1実施形態では、作動媒体の全体流量を調整する際に、平均過熱度Sが上限値Sβ以下であるか否かが判定された後、下限値Sα以上であるか否かが判定されてもよい。さらに、第1温度T1と第2温度T2との平均が特定の範囲内に収まるように全体流量制御部44によりポンプ30の回転数が調整されてもよい。以下の第2実施形態においても同様である。

作動媒体の分配量を調整する際に、温度差ΔTが上限値β以下であるか否かが判定された後、下限値−α以上であるか否かが判定されてもよい。第1過熱度S1と第2過熱度S2との差が一定範囲に収まるように弁制御部42が流量調整弁Vの開度を調整してもよい。以下の第2実施形態においても同様である。

(第1実施形態の変形例) 図4は第1実施形態の変形例を示す図である。図4では、第1分岐流路34a及び第2分岐流路34bの合流部から膨張機24に至る流路部分に温度センサ55及び圧力センサ56が設けられる。エネルギー回収装置20では、温度センサ55及び圧力センサ56に基づいて算出された過熱度、すなわち、第1及び第2熱交換器21,22から流出した気相の作動媒体が合流した後であって膨張機24に流入する前の気相の作動媒体の過熱度が求められる。そして、当該過熱度が上述の特定の範囲(下限値Sα以上上限値Sβ以下の範囲)内に収まるように、全体流量制御部44によりポンプ30の回転数が調整されて作動媒体の全体流量が調整される。全体流量を調整する手法の詳細は図2と同様である。

これにより、図4に示す場合であっても、圧縮ガスの温度変化に対して平均過熱度を一定に維持することができ、エネルギー回収装置20が圧縮ガスの熱エネルギーを効率よく回収することができる。

エネルギー回収装置20では、温度センサ55により検出された温度、すなわち、第1及び第2熱交換器21,22から流出した気相の作動媒体が合流した後であって膨張機24に流入する前の気相の作動媒体の温度が特定の範囲内に収まるように、全体流量制御部44によりポンプ30の回転数が調整されてもよい。

(第1実施形態の他の変形例) 上述の流量調整操作は、必ずしも圧縮ガスが需要先に供給されている途上にて行われる必要はなく、圧縮ガスの需要先への供給前であってエネルギー回収装置20を含む圧縮装置1の各機器の動作を調整する作業(以下、「調整作業」という。)の際に行われてもよい。

この場合、まず、第1及び第2圧縮機11,12が起動されて第1及び第2熱交換器21,22内に圧縮ガスが流される。また、エネルギー回収装置20内にてポンプ30により作動媒体が循環される。次に、全体量制御部44による全体流量の調整が行われる。

図5は全体流量の調整の流れを示す図である。図5はステップS34を除き、図2と同様である。まず、全体流量制御部44が第1過熱度S1及び第2過熱度S2から前記平均過熱度Sを算出する(ステップS31)。次に、平均過熱度Sが予め設定された下限値Sα以上となるまで、全体流量制御部44によりポンプ30の回転数が段階的に下げられる(ステップS32,S33)。平均過熱度Sが下限値Sα以上となると、全体流量制御部44は、平均過熱度Sが上限値Sβ以下か否かを判定し(ステップS34)、平均過熱度Sが上限値Sβ以下である場合には全体流量調整が完了する。

一方、平均過熱度Sが上限値Sβよりも大きい場合、平均過熱度が下限値Sα以上であることが確認されつつ平均過熱度Sが上限値Sβ以下となるまでポンプ30の回転数が段階的に上げられる(ステップS32,S34,S35)。平均過熱度Sが上限値Sβ以上下限値Sα以上の範囲内に存在することが確認されると(ステップS32,S33)、全体流量調整が完了する。

次に、弁制御部42により分配量が調整される。図6は分配量の調整の流れを示す図である。図6はステップS44を除き、図2と同様である。まず、弁制御部42が、第1温度T1と第2温度T2との温度差ΔTを算出する(ステップS41)。ただし、ΔT=T1−T2である。次に、温度差ΔTが予め設定された下限値−α以上となるまで、弁制御部42により流量調整弁Vの開度が段階的に上げられる(ステップS42,S43)。温度差ΔTが下限値−α以上となると、弁制御部42は、温度差ΔTが上限値β以下か否かを判定し(ステップS44)、温度差ΔTが上限値β以下である場合には分配量の調整が完了する。

一方、温度差ΔTが上限値βよりも大きい場合、温度差ΔTが下限値−α以上であることが確認されつつ温度差ΔTが上限値β以下となるまで流量調整弁Vの開度が段階的に下げられる(ステップS42,S44,S45)。温度差ΔTが下限値−α以上上限値β以下の範囲内に存在することが確認されると(ステップS42,S43)、分配量の調整が完了する。

圧縮装置1では、調整作業時に流量調整操作が行われることにより、特に、第1圧縮機11及び第2圧縮機12のそれぞれから吐出される圧縮ガスの圧力がほとんど変動しない、すなわち、圧縮ガスの温度が略一定である場合には、圧縮装置1が需要先に圧縮ガスを供給し始めた後の流量調整操作が不要となる。

上述の調整作業における流量調整操作は必ずしも全体流量制御部44及び弁制御部42により行われる必要はなく、作業者が作動媒体の平均過熱度及び温度差に基づいてポンプ30の回転数及び流量調整弁Vの開度を調整することにより行われてもよい。

(第2実施形態) 図7は、第2実施形態に係る圧縮装置1である。圧縮装置1では、圧縮ガスの流路上において第2圧縮機12よりも下流側の部位に温度センサ57及び圧力センサ58が設けられる。他の構造は第1実施形態と同様であり、以下、同様の構成には同符号を付して説明する。

圧縮装置1では、圧縮機制御部46により、第1圧縮機11から吐出される圧縮ガスの圧力が略一定とされ、第2圧縮機12から吐出される圧縮ガスの圧力が需要側の要求圧力に応じて変更される。圧縮装置1の他の動作は、流量調整操作を除き第1実施形態と同様である。

次に、流量調整操作の流れについて説明する。圧縮装置1の調整作業が行われる際に、まず、第1及び第2圧縮機11,12が起動されて第1及び第2熱交換器21,22内に圧縮ガスが流される。ここで、第2圧縮機12から吐出される圧縮ガスの吐出圧は、予め設定された圧力(以下、「基準圧力」という。)とされる。基準圧力に対する圧縮ガスの温度(以下、「基準温度」という。)が温度センサ57により検出される。また、既述のように、第1圧縮機11から吐出される圧縮ガスの吐出圧は略一定であり、当該吐出圧に対する圧縮ガスの温度は予め取得されている。

エネルギー回収装置20では、ポンプ30が駆動され、作動媒体が初期設定された全体流量にて循環される。

次に、第1実施形態と同様に、全体流量制御部44により循環流路32内の液相の作動媒体の全体流量が決定される。すなわち、第1及び第2過熱度S1,S2から平均過熱度Sが算出され、平均過熱度Sが下限値Sα以上上限値Sβ以下の範囲となるようにポンプ30の回転数が調整される(図5:ステップS31〜ステップS35)。

そして、第1実施形態と同様に、第1及び第2熱交換器21,22への分配量の調整が行われる。すなわち、第1温度T1と第2温度T2との間の温度差ΔTが一定範囲内に収まるように、弁制御部42により流量調整弁Vの開度が調整される(図6:ステップS41〜45)。

以上の流れにより、第2圧縮機12から吐出される圧縮ガスの基準温度に対する作動媒体の分配量(以下、「基準分配量」という。)が決定される(図8:ステップS51)。ただし、温度差ΔTが一定範囲内に収まるのであれば、基準分配量は厳密に一の値に設定される必要はない。

その後、圧縮装置1の調整作業が完了し、圧縮ガスの需要先への供給が開始される。圧縮装置1の駆動中に、需要先からの要求圧力が変更されると、圧縮機制御部46により第2圧縮機12から吐出される圧縮ガスの吐出圧が変更され、当該圧縮ガスの温度が基準温度から変化する(ステップS52)。このとき、エネルギー回収装置20では、弁制御部42において、基準温度に対する圧縮ガスの温度の変化率が求められ、当該変化率に基づいて第2熱交換器22に流入する作動媒体の分配量が基準分配量から変更される(ステップS53)。変更後の作動媒体の分配量は基準分配量に上記変化率を乗じた値として求められてもよく、さらに、当該値に調整値を乗算したり、加減算することにより求められてもよい。

エネルギー回収装置20では、圧縮装置1の駆動中、圧縮ガスの温度変化が常時検知され、温度が変化する場合には(ステップS52)、上述のように基準温度に対する温度の変化率が求められ、当該変化率に基づき基準分配量からの分配量の変更が繰り返される(ステップS53)。

以上、流量調整操作の流れについて説明したが、エネルギー回収装置20では、第1及び第2熱交換器21,22に流入する作動媒体の分配量が調整された後、第2圧縮機12からの圧縮ガスの温度の変化率に基づいて分配量が再調整される。これにより、第1圧縮機11から吐出される圧縮ガス及び第2圧縮機12から吐出される圧縮ガスのうち、温度が高いものが流入する熱交換器にて作動媒体の分配量が増大され、温度が低いものが流入する熱交換器にて作動媒体の分配量が減少される。その結果、効率よく圧縮ガスの熱エネルギーを回収することができる。

圧縮装置1では、圧縮ガスの温度が変化してから、第2熱交換器22から流出する作動媒体の温度が変化するまでの間に僅かに時間を要する。圧縮装置1は、圧縮ガスの温度を直接検知して分配量を調整することにより、作動媒体の温度や過熱度に基づいて分配量を調整する場合に比べて、圧縮ガスの温度変化に速やかに対応することができる。さらに、第1圧縮機11から吐出される圧縮ガスの圧力が一定とされることにより、流量調整操作を容易に行うことができる。

第2実施形態では、弁制御部42において、基準圧力に対する変動後の圧縮ガスの圧力の変化率が求められ、当該変化率に基づいて第2熱交換器22に流入する作動媒体の分配量が基準分配量から変更されてもよい。

流量調整操作では、圧縮ガスが需要先に供給されている途上にて基準分配量を求める作業が行われてもよい。基準分配量は圧縮ガスの温度の変化状況に合わせて再設定されてもよい。

なお、今回開示された実施形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施形態の説明ではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。

例えば、弁制御部42では、第1温度T1を第2温度T2で割った値が一定範囲内に収まるように、第1及び第2熱交換器21,22に流入する作動媒体の分配量が調整されてもよい。もちろん、第2温度T2を第1温度T1で割った値に基づいて分配量が調整されてもよい。第1温度T1と第2温度T2との比に基づいて分配量が調整されてもよい。このように、弁制御部42が、第1及び第2熱交換器21,22のそれぞれから流出した気相の作動媒体の温度に基づき、作動媒体の分配量を調整することができるのであれば、様々な計算手法が利用されてよい。また、第1温度T1及び第2温度T2に変えて第1過熱度及び第2過熱度が利用されてもよい。

上記実施形態では、流量調整弁Vの開度が調整された後に、ポンプ30の回転数の調整(すなわち、全体流量の調整)が行われてもよい。また、流量調整弁Vの開度の調整とポンプ30の回転数の調整とが同時に行われてもよい。

上記実施形態において、流量調整弁Vは、第1分岐流路34aのうち第1熱交換器21よりも上流側の部位に設けられてもよく、第1分岐流路34a及び第2分岐流路34bの両方に流量調整弁が設けられてもよい。あるいは、流量調整弁Vは、前記分岐部(各分岐流路34a,34bの上流側の端部同士の接続部)に設けられた3方弁であってもよい。

上記実施形態では、全体流量制御部44は、ポンプ30の回転数を制御することにより各熱交換器21,22へ流入する液相の作動媒体の全体流量を調整する例が示されたが、全体流量の調整の仕方はこれに限られない。例えば、ポンプ30をバイパスするように本流路33に接続されたバイパス流路と、このバイパス流路に設けられたバイパス弁と、が設けられ、全体流量制御部44は、バイパス弁の開度を調整することにより各熱交換器21,22へ流入する液相の作動媒体の全体流量を調整してもよい。

図1では、第1及び第2熱交換器21,22のそれぞれから流出する作動媒体の圧力は略同じとなることから、第1圧力センサ52及び第2圧力センサ54の一方のみにてこれらの圧力が求められてもよい。また、第1分岐流路34a及び第2分岐流路34bの合流部よりも下流側に1つの圧力センサが設けられてもよい。図7においても同様である。また、図4においても、圧力センサ52,54,56の少なくとも1つが設けられていればよい。

上記実施形態では、膨張機24からの動力を回収する動力回収部として、発電機26以外に回転機械が設けられてもよい。

上記実施形態では、液相の作動媒体を蒸発させるために各熱交換器21,22に供給される熱源として圧縮ガスが例示されたが、熱源としては、外部の複数の熱源から供給される温水、蒸気、あるいは排ガス等の流体であってもよい。例えば、第1熱交換器21に対応する第1の熱源として温泉水が利用され、第2熱交換器22に対応する第2の熱源として温泉蒸気が利用されてもよい。あるいは、複数の熱源は工場排熱であってもよい。例えば、第1熱交換器21には、熱源として高温の工場排水が供給され、第2熱交換器22には、熱源として高温の排ガスが供給されてもよい。また、熱源は、加熱壁面(焼却炉の壁面)を冷却するために当該壁面に供給された冷却流体が蒸発することにより生成される蒸気であってもよい。

熱交換器の数は3以上であってもよい。必ずしも、熱交換器の数と熱源の数とが同じである必要はなく、1つの熱源の熱エネルギーが複数の熱交換器にて回収されてもよい。

11 第1圧縮機 12 第2圧縮機 20 エネルギー回収装置 21 第1熱交換器 22 第2熱交換器 24 膨張機 26 動力回収部(発電機) 28 凝縮器 30 ポンプ 32 循環流路 33 本流路 34a 第1分岐流路 34b 第2分岐流路 40 調整部 42 弁制御部 44 全体流量制御部 V 流量調整弁

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