Three-dimensional steering system

申请号 JP2001547430 申请日 2000-12-14 公开(公告)号 JP3730570B2 公开(公告)日 2006-01-05
申请人 ハリバートン エナジー サービシーズ,インコーポレーテッド; 发明人 ウィルソン,トーマス,ピー.; エステップ,ジェイムズ,ダブリュー.; エピンク,ジェイ,エム.; セカンド オデール,アルバート,シー.,ザ; テリー,ジェイムズ,ビー.; トレイナー,ウィリアム,エフ.;
摘要
权利要求
  • 地表からボアホールを掘穿する間に 、シャフトに取り付けられたビットのステアリングを行うための装置であって、
    ノーズを有する本体と、
    アクチュエータと、
    を有し、前記本体及びノーズはそれぞれ軸線を有し、ノーズは継手接続部によって本体に接続されるとともに シャフトは前記ノーズを通過し、前記ノーズはシャフトの方向づけ動作が可能であり、ビットは掘穿の間前記本体に対して回転可能であり
    アクチュエータは前記本体に移動可能に取り付けられるとともに前記ノーズに係合し、 前記ノーズを前記本体及び前記継手接続部に対して移動させ、前記ノーズの軸線を前記継手接続部において前記本体の軸線に対して変化させ、また、前記アクチュエータが前記本体の軸線に対して前記ノーズの軸線を変化させる第1の位置と、前記本体の軸線に対して前記ノーズの軸線を変化させる第2の位置とを有し、第1及び第2の位置がそれぞれビット掘穿に対する第1の方向及びビットの掘穿に対する第2の方向を形成し 、前記アクチュエータは前記ビットが前記ボアホール内にある間に前記ノーズの軸線を前記第 1 の位置から前記第2の位置まで変化させる装置。
  • 前記アクチュエータが、前記アクチュエータを前記第1および第2の位置の間で移動させ て、前記本体の軸線と前記ノーズの軸線との間の角度及び方位角の両方を変化させるために、ピストンに連結された電動モータを有している請求項1に記載に記載の装置。
  • 地表の電源をさらに有し、電源がその電源から延びる導体を通じて前記モータへ電力を供給するとともに前記アクチュエータを作動させて 、前記アクチュエータの回転及び軸方向の動きによって前記ノーズに係合させるようになっている請求項2に記載の装置。
  • 地表のプロセッサをさらに有し、プロセッサがそのプロセッサから延びる導体を通じて前記アクチュエータに接続されており、また、前記アクチュエータが前記ノーズに係合している請求項1に記載の装置。
  • ボアホールを掘穿するために地表から 、シャフトに取り付けられたビットのステアリングを行う方法であって、
    シャフトをステアリングアセンブリを通過して延ばし、前記ステアリングアセンブリは継手接続部において接続された第1及び第2の部分を有し、前記第1及び第2の部分はそれぞれ軸線を有し、前記第1及び第2の部分は前記シャフトを支持する段階と、
    センサ、 前記ステアリングアセンブリ及びビットを有するボトムホールアセンブリを複合コイル管上でボアホール内へ下降させる段階と、
    複合コイル管の壁を介して地表からボトムホールアセンブリに電力を供給する段階と、
    複合コイル管の壁を介してセンサから地表のプロセッサへデータを送信する段階と、
    地表でデータを処理して掘穿方向を決定する段階と、
    地表からステアリングアセンブリに命令を送信して掘穿方向を変化させる段階と、
    ステアリングアセンブリの 前記第1の部分とステアリングアセンブリの 前記第2の部分との間の 前記継手接合部において、 前記第1の部分の軸線を 前記第2の部分の軸線に対して変化させる段階と、
    を有する方法。
  • ボアホールの掘穿中にビットのステアリングを行うための装置であって、
    自在継手によって第2のハウジングに接続された第1のハウジングと、
    前記第1のハウジングに取り付けられた第1のカム部材と、
    前記第2のハウジングに移動可能に取り付けられるとともに前記第1のカム部材に係合している複数の第2のカム部材と、
    を有し、前記第1のハウジングが第1の軸線を有し、前記第2のハウジングが第2の軸線を有し、前記第2のカム部材が前記第1のカム部材に対する第1の位置と、前記第1のカム部材に対する第2の位置とを有し、
    前記第1の位置が 前記第1軸線と第2軸線との間に第1の角度及び第1の方位角を形成し、 前記第2の位置が 前記第1軸線と第2軸線との間に第2の角度及び第2の方位角を形成している装置。
  • 前記第2のカム部材の各々が前記第1のカム部材と接触範囲で係合し、前記接触範囲が前記第1の軸線と垂直な平面を成すことによって、前記第2のカム部材が前記平面の角度または方位角を調整する際に前記平面が前記第1軸線の角度または方位角をシフトさせる請求項6に記載の装置。
  • 前記第2カム部材の各々に接続された駆動列をさらに有している請求項6に記載の装置。
  • ボアホールの掘穿中にビットの方向を制御するためのステアリングアセンブリであって、
    定速継手により接続された第1および第2の管状部材と、
    前記第2の管状部材内へ延びる前記第1の管状部材の一端と、
    前記第2の管状部材内に配置されるとともに前記第1の管状部材の前記一端に係合する制御機構と、
    を有し、前記制御機構は前記定速継手を中心に前記第1の管状部材を旋回させて前記第1の管状部材の角度及び方位角を前記第2の管状部材に対して変化させるように構成されているステアリングアセンブリ。
  • 壁を形成するボアホールの掘穿中に 、シャフトに取り付けられたビットの方向を制御する方法であって、
    シャフトをステアリングアセンブリを通過して延ばし、前記ステアリングアセンブリは継手接続部によって接続された上部及び下部セクションを有し、前記下部セクションは前記シャフト及びビットを回転可能に支持する段階と、
    ダウンホールモータとステアリングアセンブリとを備えるボトムホールアセンブリを前記ボアホール内へ下降させる段階と、
    ダウンホールモータ上で 前記ビット 及びシャフトを回転させて 前記ビットに負荷を適用することによってボアホールを掘穿する段階と、
    テアリングアセンブリの上部セクションと下部セクションとの間の 前記継手接続部において、 掘穿中に前記上部セクションの軸線に対して下部セクションの軸線の角度を変化させることによって、及び掘穿中に前記上部セクションに対して前記下部セクションの軸線の方位角を変化させることによって、前記下部セクションの軸線を上部セクションに対して 掘穿中に調整してビットの角度及び方位角ひいては掘穿方向を変化させる段階と、
    を有する方法。
  • 地表からボアホールを掘穿する間に 、シャフトに取り付けられたビットのステアリングを行うための装置であって、
    第1及び第2のハウジングと、
    アクチュエータと、
    を有し、第1及び第2のハウジングはそれぞれ第1及び第2の軸線を有するとともに継手接続部によって結合され、前記第 のハウジングは 前記シャフトを回転可能に支持して前記ビットに動作可能に接続され、
    前記アクチュエータは前記第 のハウジング内に移動可能に取り付けられるとともに前記第 のハウジングに係合し、 前記継手接合部において前記第1のハウジングを前記第2のハウジングに対して移動させて、前記継手接続部において、第 の軸線を第 の軸線に対して変化させ、また、前記アクチュエータが第 の軸線に対して第 の軸線を変化させる第1の位置と、第 の軸線に対して第 の軸線を変化させる第2の位置とを有し、第1及び第2の位置がそれぞれビット掘穿に対する第1の方向及びビットの掘穿に対する第2の方向を形成し 、前記アクチュエータは前記第1の軸線を前記第1の位置から前記第2の位置まで前記ビットが前記ボアホール内にある間に変化させ、前記ビットは掘穿中前記第1及び第2のハウジングに対して回転している装置。
  • 壁を形成するボアホールの掘穿中に 、シャフトに取り付けられたビットの方向を制御する方法であって、
    シャフトをステアリングアセンブリを通過して延ばし、前記ステアリングアセンブリは継手接続部によって接続された上部及び下部ハウジングを有し、前記下部ハウジングは前記シャフト及びビットを支持する段階と、
    ダウンホールモータとステアリングアセンブリとを備えるボトムホールアセンブリを前記ボアホール内へ下降させる段階と、
    ダウンホールモータ上で 前記シャフト及びビットを回転させてボアホールを掘穿する段階と、
    掘穿中は回転しない前記上部ハウジングを有する前記接続部において前記上部ハウジングに対して下部ハウジングを屈曲させるにあたって、ダウンホールモータを有する前記シャフト及びビットの角度を変化させることによって、及びダウンホールモータを有する前記シャフト及びビットの方位角を変化させることによって、1回のアクチュエータ作動で同時に前記ビットの角度及び方位角ひいては掘穿方向を変化させる段階と、
    を有する方法。
  • 掘穿中に上部ハウジングと下部ハウジングとの間の屈曲を調整する段階をさらに有する請求項12に記載の方法。
  • 壁を形成するボアホールの掘穿中にビットの方向を制御する方法であって、
    ダウンホールモータ及びステアリングアセンブリを備えるボトムホールアセンブリを前記ボアホール内へ下降させる段階と、
    前記ダウンホールモータ上でビットを回転させてボアホールを掘穿する段階と、
    掘穿中に接続部において前記ボトムホールアセンブリを屈曲させるにあたって、ダウンホールモータを有する前記ビットの角度を掘穿中に変化させることによって、及びダウンホールモータを有する前記ビットの方位角を変化させることによって、前記ビットの角度及び方位角ひいては掘穿方向を変化させる段階と、
    ビットと連動する部材に係合するアクチュエータを設けて、ボトムホールアセンブリの角度及び方位角を、前記アクチュエータがボアホール壁と係合していない状態で調整する段階と、
    を有する方法。
  • 前記屈曲の角度及び方位角を調整する間ボトムホールアセンブリをボアホール壁沿いに摺動させる段階をさらに有する請求項12に記載の方法。
  • 前記アクチュエータは機械式駆動又は機械油圧式駆動で作動する請求項1に記載の装置。
  • ボアホール内でビットをステアリングするためのアセンブリであって、
    第1の軸線を備える第1の部分と第2の軸線を備える第2の部分とを有するハウジングと、
    前記第2の部分に移動可能に取り付けられて前記第1の部分と係合するアクチュエータと、
    を有し、
    前記第1及び第2の部分は自在継手によって接続され、前記第1の部分はビットに動作可能に接続され、
    前記アクチュエータは前記第1の部分を前記第2の部分に対して前記自在継手による接続部分において動かして前記第2の軸線に対して前記第1の軸線を変化させ、
    前記アクチュエータは前記第1の部分に対して動き、前記第2の軸線に対する前記第1軸線の第1の角度及び方位角からなる掘穿の第1方向から、前記第2軸線に対する前記第1軸線の第2の角度及び方位角からなる掘穿の第2方向まで、の回転を前記自在継手において生じさせるアセンブリ。
  • 地表からボアホールを掘穿するための、シャフト軸線を有するシャフトに取り付けられたビットをステアリングするためのアセンブリであって、
    ノーズを有する本体と、
    アクチュエータと、
    前記本体から地表に延びるコイル管と、
    を有し、
    前記ノーズは自在継手によって前記本体に接続され、前記本体及びノーズはそれぞれ軸線を有して前記シャフトを回転可能に支持し、前記ノーズは前記シャフト及びビットに動作可能に接続され、前記本体の軸線及びノーズの軸線はシャフト軸線と同一線上にあり、
    前記アクチュエータは前記本体に移動可能に取り付けられて前記ノーズに係合し、前記ノーズを前記自在継手において前記本体に対して動かして前記ノーズの軸線を前記自在継手において前記本体に対して変化させて前記シャフト軸線を変化させ、
    前記アクチュエータは、前記本体の軸線に対して前記ノーズの軸線を変化させる第1の位置からなる前記ビットの第1の掘穿方向と、前記本体の軸線に対して前記ノーズの軸線を変化させる第2の位置からなる第2の掘穿方向とを有するアセンブリ。
  • ボアホールの掘穿中に、シャフトに取り付けられたビットの方向を制御する方法であって、
    シャフトを、自在継手によって軸受パックに接続されたハウジングを有するステアリングアセンブリに通して延ばし、前記軸受パックに前記シャフト及びビットを回転可能に支持させる段階と、
    前記軸受パック及び自在継手によって前記ステアリングアセンブリのハウジングに動作可能に接続されたビットを備えるワークストリング上で、ダウンホールモータ及び前記ステアリングアセンブリを前記ボアホール内へ下降させる段階と、
    前記ボアホールの掘穿中、前記ステアリングアセンブリのハウジング及び前記ワークストリングを保持しながら前記ダウンホールモータ上でビットを回転させる段階と、
    前記ステアリングアセンブリのハウジングから前記軸受パックに力を印加して、前記ステアリングアセンブリ上の自在継手において前記ビットの角度及び方位角を変化させながらボアホール内で掘穿方向を変化させる段階と、
    を有する方法。
  • 说明书全文

    【0001】
    発明の背景本発明は、鉱井のボアホールの掘穿方向を制御するための装置及び方法に関し、詳しくは、ビットの掘穿を三次元で指示するためのステアリングシステム(steering system)に関し、さらに詳しくは、地表から電が供給され、地表と通信を行い、掘穿中に屈曲度と方向とを変化させることのできるステアリングアセンブリに関連する。
    【0002】
    制御された方向で鉱井にボアホールを掘穿するための従来法では、掘穿中に方向を制御する複数の機構を必要とする。 掘穿方向を制御する一般的な先行技術工具は、ドリルビットと、安定装置と、ドリルカラーと、重量パイプと、屈曲ハウジングを有する容積式モータ(泥モータ)とで構成されるボトムホールアセンブリである。 ボトムホールアセンブリは、地表まで延在するドリルストリングまたはドリルパイプに接続されている。 屈曲ハウジングの屈曲を特定方向にした状態でアセンブリを(回転ではなく)摺動させて、ボアホール方向を変化させることにより、アセンブリはステアリングを行なう。 アセンブリとドリルストリングとが回転されて、直線状に掘穿される。
    【0003】
    別の種類の先行技術工具は、通常は一定の力によりボアホール側面を径方向に押圧するように、ある距離だけドリルビットの上方に位置する非回転安定装置を用いてステアリングを行なうため、前方へ掘穿中にビットが被制御速度で反対方向に掘穿を行ない、ホールの方向が変化する。 この種のステアリング工具は掘穿される100フィートのホールについて最大約15度の割合で方向を変化させることができ、回転ドリルストリングとともに又は泥水モータの下で作動されなければならない。 このようなシステムの一つはバルブと作動流体とを用いており、ボアホール壁に係合する調整可能なブレードを延出させて方向を変化させる。
    【0004】
    さらに別の先行技術ステアリング工具はある距離だけビットの上方に位置するパドルを用いてステアリングを行なう。 ボアホールの方向を変えるため、ボトムホールアセンブリがホール内で回転すると、パドルが特定の方向にボアホール側面を押圧する。 この種のステアリング工具は掘穿される100フィートのホールについて最大約10度の割合で方向を変化させることができ、回転ドリルストリングとともに又は泥水モータの下で作動されなければならない。
    【0005】
    他の先行技術ステアリング工具は、ボール継手と、ボール継手およびビットの付近の調整可能なブレードとを備えるハウジングを含み、ブレードの延出により、ハウジングのダウンホール部分がボトムホールアセンブリの残りに対してボール継手の箇所で屈曲する。 屈曲角度または方向を変化させるためにボアホールの壁と接触するステアリングシステム(steerable system)は掘穿中にボアホール壁に不要な抵抗を発生させる。 そのため、この抵抗に打ち勝つためビットにさらに掘穿力を加える必要が生じる。 このような接触は、また、掘穿中にボアホール内でのボトムホールアセンブリの摺動を妨げる。
    【0006】
    別の方法はくさびを有するステアリングシステムを含む。 くさびはドリルストリングの全長にわたるカムに対する差圧により作動し、カムを駆動させて掘穿方向を変化させる。 掘穿角度を変化させるには、掘穿を停止しなければならない。
    【0007】
    また、先行技術には電気制御された屈曲サブが含まれる。 しかし、これらは工具の一平面における屈曲を制御するに過ぎない。 さらに、先行技術による電気制御式屈曲サブはドリルストリングを回転させずに屈曲方向を制御することはできない。
    【0008】
    先行技術による様々なステアリングシステムはダウンホールの屈曲角度を変化させることができるが、屈曲角度と方向をともに変化させられるものは少ない。 掘穿中に屈曲角度及び屈曲方向の両方を制御できる先行技術はない。 屈曲の角度または方向を変化させるには、たいてい、ボトムホールアセンブリ全体をホールから引き出す必要がある。
    【0009】
    鋼製のコイル管の外側に取り付けられた連結物を用いて地表から電力と油圧力とを供給する先行技術システムも見られる。 しかし、このようなシステムはコイル管の壁を介して地表から直接的にダウンホール工具に電力を供給するものではない。
    【0010】
    本発明は先行技術の欠点を克服する。
    【0011】
    発明の概要本発明によるステアリングアセンブリは自在継手により上部ハウジングに取り付けられた下部ハウジングを含み、下部ハウジングをあらゆる方向に4度も屈曲させることができる。 ステアリングアセンブリは、また、掘穿負荷を受けた状態で、下部ハウジングの角度及び方向の両方を上部ハウジングに対して制御する制御機構を含む。 アセンブリへの電力は地表から直接供給することができ、制御機構は地表から遠隔制御することが可能である。 ステアリングアセンブリは、一般的に、ステアリングアセンブリの上方の動力部を有する掘穿モータと、ステアリングアセンブリの下方の軸受パックとを含むボトムホールアセンブリの一部であり、駆動シャフトは動力部と軸受パックとの間においてステアリングアセンブリ内に延在する。 駆動シャフトの端にはドリルビットが接続されている。
    【0012】
    自在継手は下部ハウジングに接続されるとともに上部ハウジングのケージ内に取り付けられたナックルボールを有する定速継手である。 ボールはスリーブの一部であり、そのスリーブは下の軸受パックのハウジングに接続されており、スロットと溝とによりケージとボールとの間に保持された軸受を有する。 自在継手はモータ動力部と軸受パックとの間の相対回転を阻止する。
    【0013】
    制御機構は自在継手のナックルボールに装着されるかナックルボールの一部であるアングルカムを含む。 アングルカムは軸受パックおよびドリルビットと反対側の上部ハウジングへと突出する。 軸受パックとドリルビットとがある角度及びオフセットに移動させるために自在継手を回転させられると、アングルカムが同じ大きさの角度及びオフセットで反対方向へ移動する。 アングルカムは上部ハウジングの内径の周囲において等間隔で離間した3個のくさび部材により調整される。 すべてのくさび部材がアングルカムと接触した時に3個のくさび部材の各々の軸方向位置により位置が固定されるように、くさび部材はアングルカムの湾曲面と接触するテーパ面を有する。 くさび部材とアングルカムとの接触角度はロックテーパ形状より大きくても小さくてもよいが、非ロックテーパ形状が望ましく、ほぼ15°以上である。 3個のくさび部材はくさび体に設けられ、外側の上部ハウジングと内側の1個以上のスリーブとの間に配置されている。
    【0014】
    各くさび部材は駆動列に取り付けられている。 駆動列の一種はくさび体の各ピストンについて形成された油圧シリンダを軸方向内側に移動させる1本以上の油圧ピストンを含む。 各くさび部材の油圧ピストン及びシリンダはくさび部材に印加される力を駆動列の上端に印加される力から上昇させる油圧力増幅器である油圧増幅器の一部である。 油圧増幅器はくさび部材に取り付けられた大型ピストンおよびシリンダより総面積の小さい1本以上の小型油圧ピストンおよびシリンダを使用する。 小型ピストンはくさび体の中に配置されたナットにねじ止めされたねじ付スクリュに取り付けられており、スクリュを回転させることによりくさび体ひいては小型ピストンに対するねじ付ロッドの軸方向位置が変化するようになっている。 ねじ付スクリュの反対側の端は摺動スプライン接続を備える伸縮可能部材に接続されている。 伸縮可能部材の他端は電動モータ駆動シャフトに取り付けられている。 摺動スプライン接続はやはり軸方向移動を許容しながらトルクを伝達する係合スプラインを含む。
    【0015】
    3台の電動モータは、上部ハウジング内での移動が妨げられるように、上部ハウジング内の所定位置に固定されている。 くさび体も上部ハウジングに固定されているため、その間に移動は生じない。 小型ピストンを移動させるねじ付スクリュを駆動シャフトが回転させるように、各電動モータを始動および停止させることにより、アングルカムの位置が制御される。 小型ピストンの移動により、シリンダ内に印加される油圧力ゆえに大型ピストンが軸方向に移動するため、くさび部材がアングルカムの湾曲面に対して軸方向に近接または離間する。
    【0016】
    制御機構全体は外側の上部ハウジングと内側のスリーブとの間でオイルに封入されている。 内径から外径まで2000psiもの高い差圧に対する密封が可能な密封システムの中にオイルが設けられている。 アングルカムの端及び上部ハウジングのスリーブの下端には強化エラストマまたは金属製の可撓性蛇腹が装着されており、システム内でオイルを収容するための室を形成している。 また、電動モータの上方に配置された浮動補正ピストンは起こり得る掘穿泥水の浸入を減少させるためオイル室内の圧力をわずかに上昇させるばねピストンを含む。 小型および大型ピストンの間のシリンダ部分は過圧防止安全システムと連通する独立閉鎖したシステムである。
    【0017】
    複合コイル管の壁内の電気導体とデータ送信導体とが電源と地表プロセッサにそれぞれ接続されている場合には、ボトムホールアセンブリは地表まで延在する複合コイル管に接続されることが望ましい。 電気導体はステアリングアセンブリに電力を供給し、データ送信導体は地表とステアリングアセンブリとの間で通信を行なう。 ステアリングアセンブリからのデータは地表に送信され、ここで地表プロセッサにより処理され、そして、例えば、掘穿の屈曲角度と方向とを調整するために、地表からステアリングアセンブリに命令が送信される。 ステアリングアセンブリは、また、屈曲角度及び方向の変化を地表で確認するため返信を行なう。
    【0018】
    本発明の他の目的と長所は以下の説明から明らかとなるだろう。
    【0019】
    好ましい実施の形態の説明本発明は、掘穿中のビット掘穿軌道の変更を含めて、鉱井にボアホールを掘穿する際のビットの屈曲および方向を制御するための方法及び装置に関連する。 本発明では様々な形の実施の形態が考えられる。 本発明の特定実施の形態について図面に図示し、詳細に説明するが、本開示は発明の原理を例示したものと考えるべきであって、ここに図示および説明されたものに発明を限定する意図はないことを理解すべきである。
    【0020】
    特に、本発明の様々な実施の形態はステアリングシステムの多様な構造及び操作方法を提供する。 これらはそれぞれ鉱井用のボアホールを掘穿するのに使用されるものであり、このボアホールには、新しいボアホール、ボアホールの範囲の延長、既設ボアホールの延長、側道ボアホール、分岐ボアホール、既設ボアホールの拡張、既設ボアホールのリーミング、産出区間を掘穿して完成させるための他の種類のボアホールが含まれる。 本発明の実施の形態は、また、本発明によるステアリングアセンブリを使用するための複数の方法を提供する。 所望の結果を達成するために、下記実施の形態の異なる開示内容を個別に使用することもできるし、適当に組み合わせて使用することもできることを十分に理解すべきである。 「上方」「下方」の語は説明を容易にするために使用されるもので、「上方」はビットからの離間を意味し、「下方」はビットへの近接を意味する。
    【0021】
    最初に図1Aを参照すると、ここには本発明の動作環境の一例が図示されている。 コイル管作動システム510は電源512と、地表プロセッサ514と、コイル管スプール516とを含む。 インジェクタヘッドユニット518はコイル管520をスプール516から鉱井522へ送り出す。 コイル管520は後述する複合コイル管であることが望ましいが、本発明は複合コイル管に限定するものではなく、鋼製コイル管に連結物が取り付けられた鋼製コイル管でもよいことを理解すべきである。 ボトムホールアセンブリ10が図示されている。 これは複合コイル管520の下端に取り付けられ、分岐または水平ボアホール524まで延びている。 本実施の形態は例示を目的として説明されていること、及び本発明は開示された特定のボアホールに限定されないことを理解すべきであり、本発明は様々な鉱井計画に使用してよいことを理解すべきである。
    【0022】
    図1Bは、ガイド528を越えてインジェクタ518とストリッパ532とを通って複合管520を送るためにスプール516を用いるコイル管ユニット526を示す。 複合コイル管520はインジェクタ518により噴出防止装置534を通って鉱井522へ送り込まれる。 電源512は電気導管538,540により複合コイル管520の壁の電気導管に電気接続されている。 さらに、地表プロセッサ514はやはり複合コイル管520の壁に収容されたデータ送信導管に接続されたデータ送信導管542,544を含む。 複合管の壁に収容された電力導管538,540及びデータ送信導管542,544は複合コイル管520の全長にわたって延びており、図15に関して後述するように、ボトムホールアセンブリ10に配置された監視モジュール580に接続されていることを理解すべきである。 電力導管及びデータ導管は撚り銅線などの安価で抵抗の低い導電材料を含むことが望ましい。 1998年5月20日に出願された「掘穿システム」という名称の米国特許出願第09/081,961号を参照されたい。 この出願はここにおいて文献援用される。
    【0023】
    図1Cに示されるように、本発明のステアリングシステムは駆動シャフト14に取り付けられたビット12と、軸受アセンブリ16と、ステアリングアセンブリ20と、上部定速(CV)サブ616と、ワイヤサブを備える動力部22と、チェックバルブ618と、抵抗サブ620と、電気断路器622とを有するボトムホールアセンブリ10を含む。 ステアリングアセンブリ20は電子機器部18及び、好ましくは、傾斜計および磁力計を有するビット付近配向センサ556を含む。 ボトムホールアセンブリ10は、また、配向パッケージ554を含むセンササブ624を含む。 さらに、ダウンホールアセンブリ10は後述する追加センサ552とダウンホール制御装置558とを含んでもよい。 ボトムホールアセンブリ10は、また、下部トラクタ背圧制御モジュール660と下部引張/圧縮サブ662と圧力測定サブ664と上部トラクタ背圧制御モジュール666と上部引張/圧縮サブ668と監視サブ672とフラッパボールドロップ674とを含む推進システム670を含むことが望ましい。
    【0024】
    ボトムホールアセンブリ10は鉱井522の地表11まで延在するワークストリング25に接続されている。 ステアリングアセンブリ20はコイル管、複合コイル管520、ドリルパイプなど、いかなる種類のワークストリングとともに使用されてもよいし、ワイヤラインと使用されてもよい。 複合管を用いても、鋼製管を用いても、ボトムホールアセンブリ10は回転しない。 ボトムホールアセンブリ10に他の工具が含まれてもよいことを理解すべきである。 ボトムホールアセンブリ10を構成する工具は使用される掘穿システムと掘穿されるボアホールとに応じて変化する。 本発明は特定のボトムホールアセンブリには限定されず、他の代替アセンブリも使用できることを理解すべきである。 例えば、ステアリングアセンブリ20は動力部22から分離されていてもよいし、動力部22より上に位置していてもよい。 ボトムホールアセンブリ10の個々の部品及びそれらの動作についてのさらなる詳細は1997年10月27日に出願された「掘穿システム」という名称の米国仮出願第60/063,326号、及び1998年5月20日に出願された「掘穿システム」という名称の米国特許出願第09/081,961号に開示されている。 これらの出願はここにおいて文献援用される。
    【0025】
    ステアリングアセンブリ20は自在継手30により下部ハウジングつまりノーズ28に接続された上部ハウジング26と、上部ハウジング26の上端に接続された圧力ハウジング27とを含む。 下部ハウジング28は駆動シャフト14の下端とビット12とに接続されてこれらを支持する軸受パック16に接続されている。 圧力ハウジング27には電子機器部18とビット付近配向センサ556とが収容されることが望ましい。 圧力ハウジング27より上の動力部22は、一般的に、しばしば泥水モータとも呼ばれる容積式モータであり、図3Aに示されるようにステアリングアセンブリ20と軸受パック16とを通って延びるフローボア120内を通って延びる駆動シャフト14に動力を供給する。
    【0026】
    ボトムホールアセンブリ10が複合コイル管520上でホール内を進む場合、アセンブリ10は掘穿トラクタなどの推進システム670も含む。 金属製のコイル管が使用されるならば、トラクタは必要ない。 ボトムホールアセンブリ10は非回転ワークストリング25上で作動することが望ましい。
    【0027】
    軸受パック16は駆動シャフト14の下端を支持し、駆動シャフト14の他端はビット12に取り付けられている。 軸受パック16は回転する駆動シャフト14を支持するラジアルスラスト軸受を含む。 駆動シャフト14の上端は動力部22の下端のスラスト・ラジアル軸受パッケージから懸架されている。 軸受パック16は従来のもので当該技術では周知である。 様々な種類の軸受パックがステアリングアセンブリ20の下に取り付け可能であることを理解すべきである。
    【0028】
    ここで図2及び3Aを参照する、図2は図3A〜Eに図示されたステアリングアセンブリ20の様々な断面を示す。 図3Aから最もよく分かるように、上部および下部ハウジング26,28は定速継手である自在継手30により接続されている。 上部および下部ハウジング26,28は相互に回転しないが、自在継手30により下部ハウジング28の屈曲角度と方向とを上部ハウジング26に対して変化させることができる。 下部ハウジング28はステアリングアセンブリ20の下流端における可動ノーズとして機能する。
    【0029】
    自在継手30は下方に延在する管状部材またはスリーブ34を備えた球形ヘッド32、たとえば、ナックルボールや球体を含む。 ナックルボール32は下部ハウジング28の箱形上部終端38に取り付けられたナックル継手ハウジング36内に配置されている。 ナックル継手ハウジング36は下部ハウジング28の箱形終端38の凸面42と旋回可能に係合する外側凹面40を有する。 面40,42の間を密封するシール44はワイパーシールでよい。
    【0030】
    ナックル継手ハウジング36はナックルボール32の外側球面48と旋回可能に係合するのに適した内側凸面46を含む。 密封部材50が面46,48の間を密封する。 ナックル継手スリーブ34はねじ山52などにより下部ハウジング28の箱形端部38に接続されている。 面40,42と46,48の間を正しく旋回可能に係合させるため、箱形端部38の底にはスペーサ54が設けられている。 ナックル継手ハウジング36はナックルボール32の面48の球形切欠き62にも配置される軸受58を各々が収容する複数の各スロット56を含む。 これにより、スラストと負荷が印加された際に、ナックルボールハウジング36の凸面46内でナックルボール32が完全に回転できる。
    【0031】
    自在継手30は、さらに、上部ハウジング26の下端にケージ60を含む。 ケージ60は球面48に係合する下向き凹面64を有する。 ケージ60はナックルボールハウジング36にねじで挿入される外ねじ小径部66を含む。 スペーサ68は面64,66間の旋回可能係合に正しい間隔を与える。 こうして、ナックルボール32はナックルボールハウジング36とケージ60との間に保持されて、自在継手30を形成する。
    【0032】
    ナックルボール32がナックルボールハウジング36内に回転可能に取り付けられているので、ノーズつまり下部ハウジング28は上部ハウジング26の下端で旋回する。 下部ハウジング28が上部ハウジング26に対して旋回すると、下部ハウジング28の軸線72が上部ハウジング26の軸線74と一致しなくなるので、上部および下部ハウジング26,28の間に屈曲が生じる。 軸線72と74との間の点100付近に形成される角度は屈曲角度と呼ばれる。 さらに、軸線74を中心とする別の方位角でも、屈曲部が生じる。 ハウジング26,28間の屈曲角度を軸線74を中心とする特定の角方向とすることにより、工具面の方向と角度が変化し、それにより、ビット12の掘穿軸線72が変化するとともにボアホールの経路が変化する。 自在継手30はモータ動力部22と軸受パック16との間の相対回転を妨げる。
    【0033】
    ここで図3A,4,5を参照すると、屈曲方向と屈曲角度をともに変化させるために、ステアリングアセンブリ20には方向探知機構70が設けられている。 方向探知機構70はアングルカム80と、ビット12の掘穿方向と角度とを制御するための複数のカム部材または方向くさび部材90とを含む。 アングルカム80とくさび部材90とはビット12の軸線72をボトムホールアセンブリ10の残り部分の軸線74に対して変化させる。
    【0034】
    アングルカム80は拡大ヘッド84を備える管状体82を有するカム部材である。 拡大ヘッド84は方位角が120°ずつ離間した3個の上向きカム面86a,86b,86cを有する。 カム面86a,86b,86cは図5に示されるようにアングルカム80の全周にわたって延びているのでなく、図3Aに示されるように各々がアングルカム80の略軸方向に延びる湾曲面を有する。 カム面86の半径はナックルボール32の中心線101上の点から12インチ、旋回点100より下に約10.5インチであることが望ましい。 アングルカム80の管状体82はナックルボール32内の拡大ボア92に収容される。 壁形成ボア92及び管状体82はそれらの間の相対回転を防止するために、94において係合スプラインを有する。 伸張可能リング97がアングルカム80をナックルボール32と接続して、アングルカム80をナックルボール32の延出部のようにしている。 密封部材98はアングルカム80とナックルボール32との間を密封する。 アングルカム80が旋回すると、下部ハウジング28とともに、ひいては軸受パック16およびビット12とともに回転する。 アングルカム80は自在継手30の旋回点100より所定距離だけ突出しており、下部ハウジング28が、アングルカム80と一方向にカム係合することによって、軸受パック16およびビット12とともに反対方向に移動する。 なお、本明細書において「方位角」とは、xy平面を底面としz軸を中心軸とする円柱座標におけるxy平面内に形成される角度を示すものとする。 一方、単に「角度」または「屈曲角度」とする場合はz軸を含む平面内に形成される角度を示すものとする。
    【0035】
    さて図3A,4,6A〜Cを参照すると、アングルカム80の3個のカム面86a,86b,86cのそれぞれに係合するくさび面96a,96b,96cをそれぞれ有する3個のくさび部材90a,90b,90cが示されている。 各くさび面96a,96b,96cは対応するカム面86a,86b,86cとある範囲にわたって接触しており、図5と6Cに最もよく示されるように、くさび部材90とアングルカム80との間に3個の接触範囲260,262を形成している。 くさび部材90が湾曲面86上を移動する際の接触範囲の軌跡は直線を成す。 アングルカム80上の3個の接触範囲262は平面を成す。 くさび部材90によりこの平面が移動する際にナックルボール32がハウジング36およびケージ60内で旋回して掘穿方向を変化させるように、下部ハウジング28の軸線72はこの平面と垂直である。 動作時において、ナックルボール32がボールハウジング36およびケージ60内で移動すると、下部ハウジング28もボールハウジング36と下部ハウジング28との界面の弓形面40,44を移動する。
    【0036】
    3個の各くさび部材90の軸方向長さを制御および調整し、それによって、接触範囲260,262により形成された平面その平面に垂直な軸線72に対して変化させ、アングルカム80を介してナックルボール32の方向を変化させることによって、掘穿の角度と方向を変化させることができる。 例えば、1個のくさび90aが下方に移動すると、別のくさび90bが上方に移動して、軸線74を中心とする任意の方位角と軸線72,74間の任意の屈曲角度で、アングルカム80によってナックルボール32が旋回させられる。
    【0037】
    こうしてステアリングアセンブリ20はビット12を三次元で案内する。 くさび部材90により、掘穿方向は360°の方位角が可能で、傾斜または屈曲角度は4°までである。 方向変化はナックルボール32の旋回点100を中心として行われる。
    【0038】
    さて図22〜27を参照すると、アングルカムとくさび部材の代替実施の形態が図示されている。 特に図22〜24を参照すると、代替方向探知機構460は、ビット12の掘穿方向と角度とを制御するために、アングルカム470と、アングルカムスリーブ472と、複数のカム部材または方向くさび部材480とを含む。 アングルカム470は474のスプラインにより自在継手30のナックルボール32に接続されている。 アングルカム80とは異なり、アングルカム470はカムスリーブ472が配置された球形ヘッド476を含む。 カムスリーブ472はカムハウジング478を含む。 このカムハウジング478はアングルカム470の球形ヘッド476を摺動および回転可能に収容するための弓形曲面482を有する。 カムハウジング478はアングルカム470のヘッド476において軸受レース486と反対側に配置された軸受レース484を含み、それらの間にボール軸受488を収容されている。 カムスリーブ472はねじ山494の係合によってカムスリーブ472内にヘッド476を保持するための弓形面492を有する保持リング490を含む。 軸受レース478はアングルカム470の球形ヘッド476上でのカムスリーブ472の限定的回転運動を許容する横方向弓形の寸法を含む。 アングルカムスリーブ472は上向きで内方テーパ状のカム面496a,b,cを3個含む。 カム面496a,b,cは、図24に示されるように、アングルカムスリーブ472の全周にわたって延びているのではなく、図23に示されるように、アングルカムスリーブ472の略軸方向に延びる半径方向の面(radiused surface)を各々が有している。
    【0039】
    さて図22と25〜27を参照すると、アングルカムスリーブ472のカム面496a,b,cのそれぞれに係合するために、3個のくさび部材480a,b,cはそれぞれくさび面498a,b,cを含む。 各くさび面498は、例えば、Duralon(商標名)軸受材料などの軸受材料500によって被覆されている。 各くさび面498a,b,cは、くさび部材480とアングルカムスリーブ472との間に3個の接触範囲が設けられるように、ある範囲にわたって対応のカム面496a,b,cと接触する。 軸受レース478によって、カムスリーブ472は、 図23に示されるように、限定角度502にわたって回転する。
    【0040】
    さて図3A〜Eを参照すると、上部ハウジング26はケージ60に取り付けられるか又はケージと一体的な下側終端を有する下部管状部材102と、上部モータハウジング104とを含む。 モータハウジング104は下部管状部材102と正しく整合されなければならない。 このように、上部モータハウジング104は、正しい整合を維持するように、ターンバックル106(図3D)によって下部管状部材102に接続されている。 モータハウジング104の下側終端及び下部管状部材102の上側終端はターンバックル106のねじ付ピン112,114に対してそれぞれねじ係合するためのねじ付ボックス108,110をそれぞれ有する。 ターンバックル106の外側スリーブ116が回転すると、接続がねじで固定される。 ピン/ボックスねじ山の一方は左側にあり、他のピン/ボックスねじは右側にある。 上部モータハウジング104との接続中においては、ターンバックル106のみが回転して、下部管状部材102は静止したままである。
    【0041】
    中央フローボア120がステアリングアセンブリ20の全長にわたって延びている。 掘穿流体はフローボア120内をビット12まで流れ、泥水モータ22に動力を供給するのにも使用される。 図12に図示された駆動シャフト14もフローボア120内を通って延びる。 上部ハウジング26内のフローボア120は下部内側スリーブ122と、 下部スペーサスリーブ124と、中間スペーサスリーブ126と、上部スペーサスリーブ128と、モータハウジング104内のボア132とによって形成される。 下部内側スリーブ122と下部管状部材102とは環状範囲130を形成する。 この環状範囲は後に詳述する閉鎖流体室320の一部であり、自在継手30からモータハウジング104まで延びる。
    【0042】
    伸縮可能なシール部材136は内側スリーブ部材122の下側終端からアングルカム80の上側終端まで延びている。 シール部材136は金属製蛇腹や可撓性ゴムブーツなどの補強エラストマまたは金属の可撓性蛇腹である。 また、部材122とアングルカム80との間を延びている各端部にシールを備えるシリンダも部材136の代用品として使用できる。 部材136はオイル量補正装置として作用する。 部材136は内側スリーブ122の下側ピン終端140とアングルカム80のカウンタボア144に収容された下部ピン端部142とを収容する部材136の上部箱形端部138を含む。 この接続を密封するためにシール146aと146bが設けられ、スナップリング148a,l48bがこの接続を維持する。 部材136は外側環状範囲130内のオイルなどの流体を中央フローボア120を通って流れる掘穿流体及び駆動シャフト14の周囲を流れる掘穿流体(図3には図示されていない)から隔離する。 このため、閉鎖流体室320に収容された後述する可動部品は中央フローボア120を流れる掘穿流体によって汚染されることがない。 フローボア120を流れる掘穿流体の圧力は閉鎖流体室320内の流体の圧力とほぼ同じなので、部材136は隔離バリヤとしてのみ作用する。 シール部材136の内外に生じる差圧は偶然のものである。
    【0043】
    図6A〜Cを再度参照すると、各くさび部材90は長形弓形体138を含む。 この弓形体138はその下端に当接くさび面96を有し、その上端にT字形ヘッド142を有する。 T字形ヘッド142には後述するような駆動列を装着するための一対の孔144a,144bが穿設されている。 当接くさび面96はロックテーパ形状より大きくても小さくてもよいが、非ロックテーパ形状が望ましく、ほぼ5°と30°の間である。 一般的に、15°未満のテーパはロックテーパと考えられるので、当接くさび面96は15°以上であることがより望ましい。 アングルカム80の移動を可能にするために、40°などの間隙テーパ146も設けられる。
    【0044】
    さて図7,8,9を参照すると、各くさび部材90の軸方向長さを変化させるのには、様々な駆動機構つまり駆動列が使用される。 図7は図3に図示された好適な実施の形態の駆動列150を示す。 これは機械油圧式駆動列である。 図8は機械式駆動列152を示し、図9は油圧式駆動列154を示す。 各々は電動モータ174により電力の形態で動力供給される。 電力は複合コイル管520内を通って延びる図15に図示された電気導管562,564により地表から供給されるか、又はボトムホールアセンブリ10に収容されたバッテリから供給される。
    【0045】
    特に、図3A〜C,7,10を参照すると、くさび部材90a,90b,90cの各々を個別に作動させるための機械式/油圧式駆動列150が図示されている。 ほぼ管状のくさび体156は閉鎖流体室320に収容され、下端から突出する複数のフィンガ158を含む。 くさび部材90を摺動支持するために、フィンガ158には支持スリーブ160が取り付けられている。 3本の弓形フィンガ158はくさび部材90の端を越えて下方に延出し、その終端はケージ60の上端で上向き環状肩部159に係合する。 3本のフィンガ158は3個のくさび部材90の間を延びて、それらの間にスロットを形成し、その中でくさび部材90が摺動できるようになっている。
    【0046】
    くさび部材90a,90b,90cを作動させるための3個の各駆動列150を収容するために、 周方向に離間した3個の孔162が下部内側スリーブ122の外側のくさび体156を通り、さらに、 下部スペーサスリーブ124、中間スペーサスリーブ126、上部スペーサスリーブ128及びモータハウジング104を通って延びている。 各駆動列156は同一であるので、一つの駆動列のみについて詳細に説明する。
    【0047】
    駆動列150は油圧増幅器170と機械増幅器172とモータ174の形の動力源とを含む。 油圧増幅器170は小型ピストン178と連動する一対の大型ピストン176を含む。 一対の大型ピストン176は大型シリンダ180に配置され、小型ピストン178は小型シリンダ194に配置され、シリンダ180,194は周方向に120°離間したくさび体156の弓形のセグメントである。 各くさび部材90は一対の大型ピストンに取り付けられている。 3組の大型ピストン176および小型ピストン178が存在する。 すなわち、3個のくさび部材90ごとに1組ずつの大型ピストン176および小型ピストン178が存在する。 各大型ピストン176の下端はくさび部材90のT字形ヘッド142の孔144a,144bを通過する小径シャフト182を有する。 くさび部材90のT字形ヘッド142の各側には、上側および下側の皿ばね組184,186が配置されている。 上側ばね184は大型ピストン176の下向き肩部188とT字形ヘッド142の上部終端との間に保持され、下側ばね186はT字形ヘッド142の下側とシャフト182のねじ付下端にねじ込まれたナット190との間に保持され、ばね付勢接続を形成する。 シリンダ180の円筒壁との密封係合のために、大型ピストン176の周囲にはOリング溝と運動用シール192とが配置されている。 皿ばね184,186により、大型ピストン176とくさび部材90との間には限定的な相対軸方向運動が可能となる。
    【0048】
    小型ピストン178が収容されたシリンダ194はくさび体156の上部小径ボアである。 小型ピストン178も小径シリンダ194の円筒壁との密封係合のための溝と運動用シール196とを含む。 シリンダ194には小型ピストン178と大型ピストン176との間において非圧縮性流体が充填されており、閉鎖油圧システムを形成している。 シリンダ180,194内の非圧縮性流体の一つはオイルである。 後述する過圧防止安全システム340は小型ピストン178と大型ピストン176との間のシリンダ194,180部分と連通する。
    【0049】
    油圧増幅器170は上部管状部材102のくさび体156内の所定位置にロックされている。 下部スペーサ124と中間スペーサ126とを係合および整合させるために、整合ピン(図示せず)が使用される。 中間スペーサ126はキーとスロット198によって下部管状部材102と整合されている。 油圧増幅器170は、くさび部材90のテーパ状くさび面96と正しく係合するために、アングルカム80の弓形カム面86に対して特定の配向で整合されている。
    【0050】
    小型ピストン178は大型ピストン176といっしょに油圧増幅を行なう。 大型ピストン176はその下端で大型シリンダ180を閉鎖し、小型ピストン178はその上端で小型シリンダ194を閉鎖し、それによって、それらの間に閉鎖油圧システムを形成する。 小型ピストン178が小型シリンダ194内で下方に移動すると、小型ピストン178は一対の大型ピストン176を駆動する。 シリンダ194,180は方向と角度とを変更するのに必要な相対運動をくさび部材90とアングルカム80とに与えるのに十分な長さを有する。 一対の大型ピストン176は小型ピストン178の小型ピストン面積と比較してピストン面積を最大化する。 2本の大型ピストン176に対する小型ピストン178の増幅はほぼ5対1である。
    【0051】
    本発明は、各くさび部材90に設けられた一対の大型ピストンに限定されるわけではないことを理解すべきである。 1本のみの大型ピストンでもよいし、複数のピストンでもよい。 各大型ピストンのピストン面積も変化させ得ることは明らかである。
    【0052】
    特に、図3C〜E及び7を参照すると、油圧増幅器170は機械式増幅器172に接続されている。 機械式増幅器172は駆動シャフトジャックねじ200などのねじ付ロッドを含む。 ジャックねじ200はその下端が小型ピストン178に接続され、その上端が下部二重定速継手202に接続されている。 下部二重定速継手202は伸縮可能部材204にねじ200を接続している。 この部材204はその上端で上部二重定速継手206に接続されている。 上部二重定速継手206は、組合せラジアルスラスト軸受210によって、伸縮可能部材204ひいてはねじ200を電動モータ174の駆動シャフト208に接続している。 プラグ212は駆動シャフト208の周囲に設けられ、上部スペーサ128の上部終端に当接している。 モータ174は減速歯車も含む。 電気導管228は室229を通過して、電子機器パッケージ18に接続された電気コネクタ230にモータ174を接続する。 電動モータ174は地表からの電力をほとんど必要としない。
    【0053】
    電動モータ174は電子機器パッケージ18から制御される。 電動モータ174はブラシタイプでもブラシレスタイプでもよい。 ブラシタイプのモータの場合、電動モータ174の上に収容された動作センサ(図示せず)はモータシャフトの上端に配置される。 動作センサはモータによる一方向又は他方向への回転数を判断する。 しかし、ブラシレスタイプモータが望ましい。
    【0054】
    ねじ200にはねじ山が形成され、くさび体156の上端にあるボア162の拡大ボア216に配置されるナット214を含む。 拡大ボア216内でのナット214の回転を防止するために、ボア216内のスロットには複数のボール218が配置されている。 ナット214は下部スペーサ124の上向き肩部220と下部終端222とによって所定位置にロックされる。 こうして、駆動シャフトねじ200がボア162及びねじ付ナット214内で回転すると、ねじ山により駆動シャフトねじ200がくさび体156内で軸方向に移動する。 駆動シャフトねじ200の下端は221で小型ピストン178に取り付けられているので、シリンダ194内の油圧流体圧力が変化すると、大型ピストン176への油圧力を変化させる。 こうして、駆動シャフトねじ200が回転すると、ナット214のねじ山が駆動シャフトねじ200を上方または下方へ移動させ、それによって、小径シリンダ194内で小型ピストン178を上下動させることが分かる。 ねじ200は約16対1の増幅を有する。
    【0055】
    くさび部材90は、また、ビット12における側方負荷変化が油圧増幅器170に現れることを防止し、運動用シールによる過圧が発生しないようにする。 油圧増幅器170はねじ付ねじ200の移動に必要な軸方向負荷の量を減少させ、これにより、ジャックねじとして作用するねじ200を移動させるのに必要な摩擦損失を減少させる。 これは、また、負荷の減少によって伸縮可能部材204の軸方向移動から生じる摩擦損失を低下させる。
    【0056】
    特に、図3Dを参照すると、伸縮可能部材204は上部二重定速継手206に接続された上端を有するスプラインシャフト224と、下部二重定速継手202に接続された下端を有する外側部材226とを含む。 スプラインシャフト224は外側部材226のスプラインボアに収容され、内側スプラインシャフト224の外側部材226内における摺動を許容している。 シャフト224上のスプラインと外側部材226との係合によって、それらの間にトルクが伝達され、シャフト224と外側部材226とがともに回転し、同時に、シャフト224が外側部材226内で摺動すると、伸縮可能部材204が軸方向に伸縮する。 スプライン部材224,226はトルクを伝達するように設計され、また、軸方向相対運動を行なう。 ナット214上のねじ山は駆動シャフトねじ200と外側スプライン部材226とを軸方向に引き下げる。 二重定速継手202,206によって伸縮可能部材204の角オフセットが可能となる。 これは、掘穿がボアホール524内で進行する際に、ステアリングアセンブリ20の屈曲によって生じる。
    【0057】
    ステアリングアセンブリ20がホール内で立ち往生した場合、すなわち、たとえば、動力停止が生じて、ステアリングアセンブリ20が3〜4°など大きな傾斜を有する場合、ステアリングアセンブリ20をホールから引き出せるように、アセンブリは可撓性を有する設計である。 ステアリングアセンブリ20が前傾しても、定速継手202,206によって、ステアリングアセンブリ20は依然として作動できる。 定速継手202,206がないと、例えば、ステアリングアセンブリ20が前傾した場合には、伸縮可能接続204が固着する。 駆動シャフト14は撓曲する。 部材224,226上の摺動スプラインが結合しないように、定速継手202,206は十分な側方動作を行なう。 下部定速継手202は、また、駆動シャフトねじ200のねじ山の固着を阻止する。
    【0058】
    動作時に電動モータ174は外側スプライン部材226と駆動シャフトねじ200とを回転させる内側スプライン部材224を回転させる。 駆動シャフトねじ200がねじ付ナット214内で回転すると、外側スプライン部材226と駆動シャフトねじ200とが軸方向に移動し、モータ174の回転方向に応じて小型ピストン178を軸方向上方または下方に移動させる。 例えば、小型ピストン178が小径シリンダ194内で下方に移動すると、大型ピストン176も下方に移動してくさび90を下方に移動させる。 これが接触範囲260,262におけるくさび部材90とアングルカム80との係合を変化させ、それにより、接触範囲260,262と垂直軸線72とにより形成される平面を移動させる。 当然のことながら、これがビット12の掘穿方向を変化させる。
    【0059】
    油圧増幅器170は約5対1の増幅を有し、機械増幅器172は約16対1の増幅を有する。 この増幅はくさび部材90の面96からアングルカム80の面86へ約1,500psiの軸方向力を発生させ、また、くさび角度の機械的効果のために、くさび面96からアングルカム80の面86へ約5000ポンドというより高い垂直方向力を発生させる。
    【0060】
    くさび部材90の軸方向移動には他の種類の駆動機構を使用できることを理解すべきである。 再度図8及び9を参照すると、図8にはボール動力ねじまたはローラねじ234に接続されたくさび体232を含む機械式駆動列152が図示されている。 動力ねじ234の駆動シャフト236はスラスト軸受238に支持され、モータ174の出力シャフト208に取り付けられている。 軸方向力を分散することによって動力ねじ234をより良好に支持するために、動力ねじ234の各側にはスラスト軸受が配置される。 図9は1本以上の大型ピストン244を収容する大型シリンダ242を有するくさび体240を含む油圧式駆動列154が図示されている。 小径シリンダ246は小型ピストン248を収容する。 小型ピストン248は複動式油圧ポンプピストン252に接続されたシャフト250に取り付けられている。 ポンプピストン252はポンプシリンダ254に収容されており、ピストン252の片側または反対側に油圧流体圧力を供給することによって、油圧ポンプ256による往復動作が行なわれる。 ポンプ256に動力を供給するには、電動モータ174を使用できる。
    【0061】
    本発明によるステアリングアセンブリ20は掘穿中にビット12の方向を変化させることができる。 皿ばね184,186によって、くさび部材90に予荷重を加えるばね付勢接続が行なわれる。 この皿ばね力によって、一方のくさび90がアングルカム80から離間して軸方向上方に移動する際、および/または別のくさび90が軸方向下方に移動してアングルカム80に下方向の力を印加する際に、カム面86,96が接触したままになる。 大型ピストン176への油圧力が解除されると、下の皿ばね組186がばね付勢接続の片側を伸張させる。 大型ピストン176への油圧力が増加すると、上の皿ばね組184がばね付勢接続の反対側を伸張させる。
    【0062】
    皿ばね184,186は、掘穿方向を変化させる間に、くさび部材90のくさび面96によりアングルカム80のカム面86に加えられる所定量の負荷を維持し、ビット12により生じる振動がボトムホールアセンブリ10を分解させないようにする。 掘穿中において、ビット12の掘穿動作によりくさび部材90には高い動的衝撃負荷が印加される。 例えば、ビット12は掘穿の際に、地盤をつかんで離そうとする。 アングルカム80の角度と方向を調整する際に、皿ばね184,186はくさび部材90の面96とアングルカム80の面86との間に負荷を加え続ける。 面86,96の接触が維持されないと、ビット12の掘穿動作がカム面86,96を破損させてしまう。
    【0063】
    くさび部材90によりアングルカム80に印加される負荷が大きすぎる場合には、皿ばね184,186がくさび部材90をアングルカム80から離間させ、アセンブリがくさび止めすなわちロックされるようになる。 ビット12が動かなくなった場合には、くさび部材90がアングルカム80から離間する。 くさび角度は10°以上であるため、くさび部材90がアングルカム80にロックされる点が存在する。 ステアリングシステムが失速を開始するか停止すると、くさび部材90に循環的負荷が印加され、くさび部材90が動かされる。 皿ばね184,186はくさび部材90を約0.025インチ移動させ、システムがくさび止めされないようにする。 ビット12からの衝撃負荷はくさび部材90を戻して、システムのロックを外す傾向がある。 くさび部材が外れると、電動モータ174がくさび部材90を上方の非接触状態へと移動させる。
    【0064】
    非使用時には、皿ばね184,186は完全収縮位置に付勢されている。 収縮位置における皿ばね184,186のばね負荷は約600ポンドである。 例えば、ステアリングアセンブリ20が新たな方向及び屈曲角度へ移動すると、皿ばね184,186は底に到達する。 これは、くさび部材90がいったん設定位置に達すると皿ばね184,186がビット振動に必要なくなるためである。 この時、皿ばね184,186は補助を行なわない。 さらに、掘穿が停止している間に方向変化が行なわれる場合には、皿ばね184,186は必要ない。
    【0065】
    さらに、フェイルセーフシステムもステアリングアセンブリ20の一部とすることができる。 その場合においては、アングルカム80を制御するためのくさび部材90の移動に関して問題が起こった場合には、全てのくさび部材90が離脱してアングルカム80から離間することができる。 このシステムはビットの側方負荷によってアングルカム80に生じる過剰な負荷を取り除くことができるため、くさび部材90を再調整するのに使用される力つまり電動モータトルクがはるかに小さくなる。 フェイルセーフシステムは電動モータ174の上に配置された油圧ピストンでもよい。 このピストンは泥水ピストンハウジングの内径に対して密封された大きな外径を有し、この大径の下により小さな外径部分を有し、これもハウジングに密封されており、また、泥水ピストンハウジングは外側へ通じる開口部を有し、2個の密封面の間にはボアホール圧力が印加されている。 ピストンはおそらく密封面の間においてコイルばねによって掘穿モータ動力部へと付勢されている。 ピストンは少なくとも3本のロッドにより下のくさび体156に接続されており、所定の圧力低下が生じた時に(ノズル付のビットを下に備えるボトムホールアセンブリに対しては、通常、ツール内を流れる泥流速度で)、ピストンはストッパへと押圧されて、くさび体を3個のくさび部材とともに2インチから1/32インチの間の所定距離だけ移動させる。 フェイルセーフシステムは上方に配置されたピストンでもよい。 このピストンは電動モータ174間をピストンからくさび体156まで延びる単数または複数の管によってくさび体156に油圧式に接続されている。 くさび体156はハウジング26及び内径スリーブに密封され、ストッパがさらなる軸方向移動を阻止するまで、上のピストンからの油圧力がくさび体156を下方へ押圧するようになっている。
    【0066】
    さらに別のフェイルセーフシステムはくさび部材90と油圧増幅器170の大型ピストン176との間にばねおよび/または緩衝装置を含む。 これらは、大型ピストン176によってくさび部材90に加えられるいずれかの方向の力によってそれらの間に所定量の移動が許容されるように配置されている。 電動モータはわずかな量の動作を可能にする能力によって、くさび部材90に所望の方向の力を付与し、ホールでの振動から地盤へのビットの側方負荷が瞬間的に低下した時に、くさび部材90が若干量移動できるようになっている。 電動モータ174が必要に応じてくさび部材90を移動させられるように、電動モータ174は周期的に起動してくさび部材90に軸方向負荷を加え、ビットの側方負荷が十分小さくなるまでその動作を継続させる。
    【0067】
    屈曲角度および/または軸線72を中心とする方位角などの掘穿方向を変化させる際には、くさび部材90の軸方向位置に暫定的な調整が加えられる。 例えば、一方のくさび部材90がアングルカム80から完全に離脱せず、別のくさび90が下方へ移動して、アングルカム80に印加する力を増大させる。 係合の変化はスモールステップで漸増的に行なわれる。
    【0068】
    組立時には、くさび部材90の3個のくさび面96a,96b,96cがすべてアングルカム80のテーパ面86a,86b,86cにそれぞれ完全に付勢され、面86,96はそれぞれ接触範囲260,262で相互に接触する。 くさび部材90がすべて下方位置で面86に付勢されている時には、皿ばね184,186の収縮によって0.025インチまでの軸方向移動が可能である。 例えば、一つのくさび90がアングルカム80から離間すると、皿ばね184,186により所定の負荷が維持されたまま接触範囲260,262がシフトする。 次に、駆動列150により1個以上のくさび部材90が個別に軸方向に調整されて、ビット12が所望の方向と角度となる。 例えば、皿ばね184,186がアングルカム80に抗して接触範囲260,262でくさび部材90に連続的な力を加え続けたまま掘削が行われているときには、一つのくさび90が上方に0.020インチ移動してから、別のくさび90が下方に0.020インチ移動する。
    【0069】
    ビット12を所望の方向と屈曲角度とするために、3個のくさび部材90の相対位置が地表プロセッサ514により決定される。 例えば、地表プロセッサ514はビット12が特定の屈曲角度と軸線74を中心とする方位角を有するある掘穿方向に各々が対応する300または400の方向位置を有するルックアップテーブルを含む。 各掘穿方向は3個のくさび部材90の各々について特定の軸方向位置集合を有する。 地表プロセッサ514は、また、新たな掘穿方向と角度にするため、3個のくさび部材90の相対的軸方向調整を行なう。 こうして、特定の掘穿方向と角度についてのルックアップテーブルによって、くさび部材90の位置集合が指示される。
    【0070】
    ステアリングアセンブリ20は無限に変化するが、ロックアップテーブルはビット12について有限数の方向位置しか持たない。 方向掘穿自体は精密技術でないので、ビット12の位置は有限数で十分である。 また、ビット12が所望の方向に確実に掘穿を行なうように、ステアリングアセンブリ20にたいして多数の調整を行うことができる。
    【0071】
    再度図3A〜Eを参照すると、各くさび部材90の正確な位置を判断して確認するために、各くさび部材90の付近の上部ハウジング26には電位差計270が収容されている。 図3Bから最もよく分かるように、線形電位差計270はくさび体156の軸方向ボア272に配置されている。 電位差計のロッド274は電位差計の本体270から下方に延出して、ロッド284の下端は締結装置276によりくさび部材90の一つに取り付けられている。 電位差計270の上端は別の締結装置278によりくさび体156内に取り付けられている。 1本以上の電気導体(図示せず)が通る孔280が下部スペーサ124と中間スペーサ126と上部スペーサ128とを通って延びている。 電気導体はモータハウジング104の電動モータ174の周囲から電動モータ174の上に位置する電気コネクタ230まで、さらに、電子機器パッケージ18まで延びている。 くさび90が軸方向に移動すると、取り付けられた電位差計のロッド274も移動して、電位差計270内の抵抗を変化させる。 各電位差計270は各くさび部材90の長手方向位置についての信号を地表に提供し、ハウジング26に対するくさび部材90の移動の測定値を提供する。 こうして3個の電位差計96はくさび部材90とアングルカム80との間の接触範囲260,262によって形成される面を決定するくさび部材90の相対位置を示す。
    【0072】
    特定の電位差計270からの信号は、次に、電子機器パッケージ18により地表11に送信される。 信号は図15に図示された複合コイル管520のデータ送信導体584,586を介して地表11に送信されることが望ましい。 また、湿潤経路(wet path)により信号を地表に送信することも可能である。 送信には様々な送信器が使用される。 図11Cから最もよく分かるように、アセンブリ10の上部湿潤スタブコネクタ282には四つの金属リング284が設けられている。 接続が行なわれると、各リング284により接触が生じて、当該技術で周知のように地表への湿潤経路送信が可能となる。 次に、地表プロセッサ514により信号が地表で処理されて、3個の各くさび部材90の位置が判断され、その後、接触範囲260,262により形成される面の三角法が決定される。 傾斜計24により判断された実際の垂直線と方位角とに対するこの面の位置によって、実際の掘穿角度と方向が設定される。 また、アングルカム80に対するくさび部材90の位置がハウジング26に固定された線形電位差計により監視され、ピストン176,178の動作または駆動シャフトねじ200の動作が測定され得ることを理解すべきである。
    【0073】
    電位差計270は3個のくさび部材90により形成される面を判断するが、現実には、ビット12が正しいホールを掘穿していないこと、すなわち、所望の方向に掘穿していないことがある。 これは、地盤のボアホール内で摺動しているため、例えば、軟弱な地盤で掘穿を行なうためである。 このように、3個のくさび部材90が正しい位置にあっても、その方向位置がビット12の実際の掘穿方向を反映していないことがある。 そのため、ボトムホールアセンブリ10にビット付近配向センサ556を使用して、ボトムホールアセンブリ10の垂直面からの傾斜を監視してアセンブリの方位角を監視し、掘穿中にビット12付近のボアホール経路を調整して掘穿経路を所望方向付近すなわち鉱井経路に維持するようにすることが望ましい。
    【0074】
    電位差計270はくさび部材90の軸方向長さを測定するに過ぎないが、ビット付近配向センサ556の傾斜計は大地の重力に基づいて方向を測定する。 傾斜と方位角とが容易かつ正確に検知されるように、ボトムホールアセンブリ10は非磁性金属で製作される。 配向パッケージ554は掘穿方向を正確に記録するための勾配調査機器を含み、また、ビット付近配向センサ556と電位差計270の方向に対する実際掘穿方向をチェックするものとしても機能する。 配向パッケージ554はビット12がどこに位置しているかを正確に示す。 言い換えると、電位差計270は掘穿方向を理論的に示してビット付近配向センサ556はおおよその掘穿方向を示すのに対して配向パッケージ554は実際の掘穿方向を示す。
    【0075】
    くさび部材90の位置を監視するために、他のセンサまたは検知システム552を使用してもよい。 例えば、幾つかの検知装置の一つを電動モータ174の駆動シャフト208の回転方向と回転数とをカウントするのに使用し、くさび部材90の軸方向位置を判断することができる。 また、ハウジング26に対するくさび部材90の位置は油圧増幅器170を介して間接的に監視できる。 さらに、くさび部材90の位置はくさび体156のストッパにくさび部材90を当接させて電動モータ174の回転を再びゼロにすることによって周期的に直接判断される。 圧力センサなどのより単純なセンサが大型ピストン178に印加される圧力の測定に使用することができる。
    【0076】
    図3D及び12を参照すると、上部スペーサ128の下部終端にあるカウンタボア292に配置された集中化装置290は中間スペーサ126の上部終端によって所定位置に保持される。 集中化装置290は駆動シャフト14の中央付近でハウジング26に配置されている。 駆動シャフト14は図12に図示されたアップセット15を有する。 これは、集中化装置290の中央で係合するようにシャフト14に配置されている。 これにより、集中化装置290は駆動シャフト14を中央部付近で支持できる。 電気導体を通すための孔291が図示されている。
    【0077】
    図11A〜Cを参照すると、ステアリングアセンブリ20の閉鎖流体室320における圧力変化を補正するために、ステアリングアセンブリ20はモータハウジング104の上端に取り付けられた流体圧力補正システム300を含む。 補正システム300は304にねじ山が形成されて306でモータハウジング104の上端に対して密封された圧力ハウジング302を含む。 圧力ハウジングスリーブ310はハウジング302に収容されており、傾斜計24と電子機器パッケージ18と様々な電気導体とを含むビット付近配向センサ556を収容するためのキャビティ308を形成している。
    【0078】
    図11A〜C及び13A〜Cを参照すると、閉鎖流体室320は圧力ハウジングスリーブ310の上端からモータハウジング104と上部スペーサ128と中間スペーサ126とを通って図13Cに図示された下部スペーサ124まで延びるオイル通路312を含む。 オイル通路312は、さらに、下部スペーサ124とくさび体156との間の界面のシールプラグ314を通ってくさび体156の壁へと通じる。 シール318はくさび体156とハウジング26との間を密封する。 オイルはオイル通路312の下端316からくさび部材90の下端及びアングルカム80の回りの環状範囲130まで流れる。
    【0079】
    閉鎖流体室320は、また、環状範囲130をくさび体156のオイル通路322と連通させる。 これは、下部スペーサ124及びくさび体156との間の界面のシールプラグ324を介してオイル室326へと続く。 室326内に配置されたオイル隔離ピストン330は室326の壁に対して密封するためのシール328を含む。 オイル室326のピストン330より上のこの部分327は駆動列150と電位差計270をそれぞれ収容するボア162,174と連通する。 オイル隔離ピストン330は駆動シャフト200の動作を補正するために往復する。 閉鎖流体室320は閉鎖流体室320とフローボア120を流れる掘穿流体との間の2000psiと高い差圧に抗して密封を行なうことができる。
    【0080】
    図14を参照すると、油圧増幅システム170の小型ピストン178と大型ピストン176との間でシリンダ194,180によって形成される閉鎖油圧システム内の過圧を緩和するために、くさび体156のボア342には過圧防止安全システム340が収容されている。 過圧防止安全システム340はくさび体156の室345と流体連通した下端を有する逃がしバルブ344を含む。 室345は連通ボア346などを介して閉鎖油圧シリンダ180,194と流体連通している。
    【0081】
    過圧防止安全システム340は、また、バルブ344の上端の352に密封状態で取り付けられた下端を有するマンドレル350を含む。 マンドレル350は下端からバルブ344まで延在する流体ポート356を有するシリンダ354を含む。 上部室366と下部室368とを形成するシリンダ354内の358には補正ピストン360が密封状態で配置されている。 下部室368は連通ボア356ひいてはバルブ344と流体連通している。 シリンダ354の上端はプラグ362を通る逃がしポート355により室326(隔離ピストンより上)と流体連通し、シリンダ354内に配置されたばね364はプラグ362およびピストン360の片側と当接している。
    【0082】
    過圧防止安全バルブ344は、“187 Zero Leak Chek”バルブなどのチェックバルブ370と、“250 TRI”バルブなどの高圧バルブ372とを含む。 チェックバルブ370の上端は、ポート374とポート356とを介して下部室368と連通し、チェックバルブ370の下端は、ポート346と、小型ピストン178と大型ピストン176のためのシリンダ180,194と連通する。 チェックバルブ370により、下部室368からくさび室345への流体圧力を軽減できる。 高圧バルブ372は、くさび室345から下部室368への高い流体圧力を軽減できる。
    【0083】
    動作時においては、油圧増幅システム170とくさび室345との圧力がダウンホール温度により所定リミットを越えると、たとえば、高圧逃がしバルブ372が開いて流体を下部室368へ流入させる。 これにより補正ピストン360が上部室366で上方に移動するため、ばね364を収縮され、くさび室345およびシリンダ180,194内の過圧が軽減される。 圧力が上昇した上部室366の流体はピストン330より上のオイル室326部分に流出する。 くさび部材90がアングルカム80から離間するなどによって、くさび室345とシリンダ180,194の圧力が低下すると、チェックバルブ370により下部室368からの流体圧力がくさび室345とシリンダ180,194とに流れる。 過圧防止安全システム340は、くさび室345内及び小型ピストン178と大型ピストン176との間のシリンダ180,194の閉鎖油圧システム内において、一定量を維持する。
    【0084】
    代替過圧防止安全システムも使用できることを理解すべきである。 例えば、上部室366にスペーサ部材を配置して、皿ばねなどの付勢部材がスペーサ部材をばね364に付勢させると、それにより補正ピストン360がスペーサ部材に係合するようにくさび室345とシリンダ180,198とから流出が生じた場合に、追加流体を流出させるのに圧力上昇が必要となる。
    【0085】
    再度図11Cを参照すると、補正システム300は圧力ハウジングスリーブ310の上端の384に密封状態で取り付けられた補正シリンダ382と、シリンダ内382に往復運動可能に取り付けられた補正ピストン386とを含む。 閉鎖スリーブ388はシリンダ382の上端に収容され、392で圧力ハウジングスリーブ310と密封係合する。 閉鎖スリーブ388及びピストン386は掘穿流体を通過させるためのシリンダ部材である。 ピストン386は、また、シリンダ382の壁と密封係合状態にあるシール392を収容する環状フランジ390を含む。 ピストン386はピストン386と密封係合したシール396を有するシリンダ382のカウンタボア394に配置された下端を有する。 閉鎖スリーブ388とシリンダ382とはピストン386の環状フランジ390に当接するばね400を収容する環状範囲398を形成する。 シリンダ382は上向き環状肩部402を形成し、フランジ390は下向き環状肩部404を形成し、これらはシリンダ382およびピストン386とともに補正流体容器410を形成する。 共通の連通フローリンク406は補正流体容器410から閉鎖流体室320の一部を成すオイル通路312まで下向きに延びる。 ばね400はピストン386を下方に付勢し、ピストン386にオイル容器410内のオイルへ所定の小さい圧力を印加させる。 オイル容器は閉鎖流体室320と流体連通し、ステアリングアセンブリ20の可動部材はすべて閉鎖流体室320に収容されている。
    【0086】
    ばね400はピストン386に若干量の下向き圧力を印加し、環状範囲130と環状オイル室326との圧力を中央フローボア120を流れる掘穿流体の圧力より確実に高くする。 それにより、掘穿流体または鉱井流体が閉鎖流体室320へ流入するよりもオイルが閉鎖流体室320から流出する。 こうして、閉鎖流体室320内ではわずかな正圧が維持される。
    【0087】
    ステアリングアセンブリ20の組立中には、整合が非常に重要であることが分かるだろう。 アングルカム80を所定位置に配置した時には、その上のすべての部品がアングルカム80のカム面86に対して正しく整合されなければならない。 そのため、回転接続ではなく主として軸方向挿入により組立が行なわれる必要がある。 アングルカム80のカム面86は、最初に、下部ハウジング28に接続されたナックルボール32の係合スプライン94と最初に整合される。 次に、くさび体156がくさび部材90のカム面96とともにアングルカム80の弓形カム面86と整合されなければならない。 くさび体156と油圧増幅器170とスペーサ124,126,128と伸縮可能接続204とはすべてパッケージとして一緒に組み立てられる。 パッケージが組み立てられると、これらの部品は、パッケージを上部ハウジング26へ軸方向に挿入することによって、パッケージとして上部ハウジング26に取り付けられる。 次に、ターンバックル116によって、上部ハウジング26が下部ハウジング28と接続される。
    【0088】
    本発明によるステアリングアセンブリ20は、ドリルビット12が掘穿中に、ビット12より上流における軸線74を中心とする下部ハウジング28の屈曲角度と方位角とを制御することによって、ステアリングを行なう。 ボトムホールアセンブリ10の屈曲をドリルビット12より上のオフセットとして用いることで、ボトムホールアセンブリ10を使用してビット12をボアホールへ押圧できる。 また、ビット12とボトムホールアセンブリ10との間にはある角度が形成されるため、ビット12はボアホールが掘穿される方向へ指向される。 ボアホールに対する側方負荷が生じるように角度を大きくすることによって、大き過ぎる(ドリルビット12より大きい)ホールを補うように角度を大きくすることによって、屈曲からのオフセットは増大される。
    【0089】
    本発明によるステアリングシステム20はダウンホールセンサからの方向データを監視して掘穿の角度と方向とを変化させるようにステアリングアセンブリ20に命令を送る通信システムを含む。 地表プロセッサ514による分析のため、及び地表プロセッサ514がステアリングアセンブリ20に命令を送って所望のボアホール方向でビット12の掘穿をステアリングするように必要に応じてくさび部材90を調整するために、通信システムによりデータは地表に送られる。 このような調整は、実際のくさび部材位置と掘穿の角度および方位角と実際のビット12の方向とを所定のボアホール経路または他の何らかのパラメータと比較することによって、または、地表に送信された命令を受け取ることによって行なわれる。 また、特定のホールおよび/または掘穿される地盤についての前の設定と結果を比較することによって、所望の方向を得るのに必要な設定を学習する能力をシステムが備えていてもよい。 こうして、通信システムは、好ましくは、複合コイル管520の壁の電気導体584,586を介した地表とステアリングアセンブリ20との間の通信を可能にし、本発明が電気制御による屈曲サブとなるようにしている。
    【0090】
    例えば、図15を参照すると、特に、ステアリングシステム20を含むボトムホールアセンブリ10に使用される電子制御システム530の概略が示されている。 システム530はセンサ552、配向パッケージ554、ビット付近配向センサ556などの複数のダウンホールデータ獲得装置を含む。 また、装置558及びステアリングアセンブリ20など複数の制御装置も含まれる。 センサ552と制御装置558とはここに述べたセンサと制御装置を含むだけでなく、当該技術で周知の他のデータ収集・測定センサ及び制御装置を含むことを理解すべきである。 電源512は電力導線562と電力戻り線564とを介して配電モジュール581に電力を供給し、その長さの大部分は複合コイル管520の壁を通って延びる。 配電モジュール581は電力バス582を介してボトムホールアセンブリ10の様々な部品552〜560,580に電力を分配する。
    【0091】
    「低速」データバス576は様々な部品552〜560,581と監視サブ672に収容されることが望ましい監視モジュール580との間の命令・データ通信経路となる。 各部品のマイクロコントローラは低速バス576を介して相互に通信できる。 監視モジュール580と配向パッケージ554やセンサ552などのデータ獲得装置との間には「高速」データバスも設けられている。 適当な高速データバスの例はワイヤラインでよく使われる1553ワイヤラインデータバスである。
    【0092】
    低速データバス576と高速データバス578とはすべてのダウンホールデータ獲得装置と制御装置とのダウンホール制御装置として作用する監視モジュール580に接続されている。 監視モジュール580は、トランス588によって、複合コイル管520の壁を通って地表の第2トランス590まで延びるデータ導管584,586に結合されている。 複合コイル管520の上端では、トランス590が地表プロセッサ514に収容されたディジタル信号プロセッサ592にデータ導管584,586を結合する。 トランス588,590はデータ導管584,586の電気的故障からホール外またはダウンホール電子機器を保護するための直流絶縁を行なう。
    【0093】
    ディジタル信号プロセッサ592は地表でモデム(変調装置/復調装置)として機能する地表プロセッサ514のプログラマブルな装置である。 ディジタル信号プロセッサ592は受信した信号を次の処理のためにディジタルの形に変換するためのアナログ−ディジタル変換回路を含む。
    【0094】
    各ダウンホールデータ獲得装置および制御装置はデータバス576,578からのユニークなアドレスを有するモデムを有する。 各モデムはそのユニークアドレスを用いて地表プロセッサ514と個々に直接的に通信を行なう。 地表プロセッサ514はユニークアドレスにメッセージを送ることによって特定装置のモデムとの通信を開始する。 モデムは地表に肯定応答を送ることで応答する。 これにより、地表はダウンホール制御装置およびデータ獲得装置の各々と通信できるのである。 ダウンホールと地表との通信はデータ導管584,586を介して直列で行なわれることが望ましい。 配電モジュール581への命令信号によって、適切に指定されたダウンホール装置へ電力が送られる。
    【0095】
    概して、データ獲得装置からのデータが地表に送られることを要求する信号がダウンホールに送信されることはない。 一般的に、データ獲得装置からのデータは、常に、所望通りに地表で読み込みまたは無視されるコード化ストリームの形で地表に送信される。 高速データバス578は、通常、データ通信専用である。 このデータはすべてディジタル形式である。
    【0096】
    地表からダウンホール制御装置への命令はデータ導管584,586上の時間または周波数多重チャネルで送られることが望ましい。 また、このような通信が電線562,564で送られてもよいことを理解すべきである。 最も単純な形では、命令は単なるオン・オフ信号である。 また、信号が電力導管562,564での電力送信と干渉を起こさないように、これらの命令は電力導線で周波数多重化されてもよい。
    【0097】
    電気導管562,564の電力は直流の形で供給されることが望ましい。 電力導線562,564は電力のみに使用され、データと命令はすべてデータ導管584,586で送られることが望ましい。
    【0098】
    ダウンホールの装置の幾つかではある量のデータ処理が行われるが、データ処理の大部分は地表で行われることが望ましい。 データの一部が地表へ送信される前にダウンホールで最初に調整されてもよい。 ダウンホールの各制御装置は制御装置として作用するマイクロプロセッサを含む。 これらのマイクロプロセッサは、通常、データの処理には使用されない。 すべてのデータを処理のため地表に送るのに適切な帯域よりも広い帯域が設けられているので、このようなダウンホール処理が不必要なのである。
    【0099】
    ダウンホール装置はすべて地表から電力を供給され、すべて電力により作動する。 ダウンホール制御装置の一部は油圧部品を有するが、このような部品は電気制御されることが望ましい。
    【0100】
    地表プロセッサ514はステアリングアセンブリ20の3台の電動モータ174に命令し、油圧増幅器170に電力を供給して作動させる。 これらの油圧増幅器170はステアリングアセンブリ20のノーズ28とビット12の屈曲角度と方向とを調整するため、アングルカム80に係合する3個の各くさび部材90を作動させ往復運動させる。 各くさび部材90はアングルカム80との係合により三角形を成す様々な位置を有し、ビット12の工具面の特定屈曲角度と方向とを指示する。
    【0101】
    ビット付近配向センサ556はステアリングアセンブリ20のハウジングに配置されることが望ましい。 ビット付近配向センサ556はビット12の掘穿方向について初期表示を提供する傾斜計と磁気計とを含むことが望ましい。 ビット付近配向センサ556は、また、ビット12の工具面の角度および/または方向を変える命令がダウンホールに送られた後に掘穿方向の変化を確認する。 約10秒ごとに、ビット付近配向センサ556からのデータが低速直列バス576と監視モジュール580とデータ導管584,586とを介して地表へ送られる。 ビット付近配向センサ556からのデータは掘穿方向の進行チェックとして使用される。
    【0102】
    ビット付近配向センサ556の一般的には30または40フィート上には、調査グレード配向パッケージ554が配置されている。 調査グレード配向パッケージ554はHDAS(Develco)配向センサを含む。 配向パッケージ554は、一般的に、3台の磁気計と3台の傾斜計を含み、それとともに温度や他のダウンホール特徴を判断するための他のセンサを含む。 配向パッケージ556からのデータは、一般的に、三つの磁気計測定値と三つの傾斜計測定値と温度とを含む。 このデータは、およそ1秒に1回、高速バス578を介して地表へ送られる。
    【0103】
    監視モジュール580はボトムホールアセンブリ10の制御装置として機能する。 監視モジュール580は基本的にバスマスタとして機能し、ダウンホール活動のハブと考えられる。 このモジュールは地表から命令を受け取り、これを各ダウンホール装置に再送信する。 監視モジュール580は、また、各ダウンホール装置から肯定信号とデータとを受け取り、これを地表の地表プロセッサ514に再送信する。 命令とデータとは監視モジュールがフレームを効率的に多重化して所望の目的地へ送ることができるフレーム形式で提供されることが望ましい。 監視モジュール580は直角位相振幅変調器(QAM)を用いて地表へ情報を送信することが望ましいが、他の変調方式も考えられる。 現在、QAM変調は秒送信速度ごとに65キロビットを提供するが、毎秒160キロビット以上の送信速度の達成が可能であると予想される。 地表プロセッサ514から監視モジュール580へ送信された命令は、約2400ボーの送信速度をサポートする周波数変位(FSK)変調方式を用いて送られることが望ましい。
    【0104】
    地表プロセッサ514はダウンホールにおけるドリルビット12の工具面の屈曲角度と方位角とを計算するための一つ以上のアルゴリズムを有するコンピュータを含む。 地表プロセッサ514のこれらのアルゴリズムはノーズ28の屈曲角度と方向とを調整するように各モータ174とステアリングアセンブリ20とに命令するのに使用される。 地表プロセッサ514のアルゴリズムはダウンホールマイクロプロセッサのアルゴリズムよりも書き込みと修正が容易であると好都合である。 特定の屈曲角度と方向とを得るのに望ましいステアリングアセンブリ20のくさび部材の各位置を判断するために、地表プロセッサ514にルックアップテーブルが組み込まれていることを理解すべきである。
    【0105】
    地表プロセッサ514はデータ獲得装置とダウンホール制御装置との間に「ループ閉鎖」方法を提供する。 地表プロセッサ514はダウンホール制御装置に動作を実施するように命令し、その結果を観察する。 結果が予想されたものと異なる場合、またはデータ獲得装置が別の動作の必要性を示している場合には、地表プロセッサ514は制御装置に命令して、それに応じた動作を調整することができる。 この形のフィードバックにより、精密な制御及び掘穿条件の変更への高速の応答が可能となる。
    【0106】
    代替例として電力は地表から供給されるのでなくダウンホールで発生されてもよいことを理解すべきである。 例えば、泥流がタービンを流れると電気を発生する電気タービンをボトムホールアセンブリに配置してもよい。
    【0107】
    図16を参照すると、地表プロセッサ514により実行されるプロセスについての流れ図が示されている。 ブロック602において地表プロセッサ514は、様々な部品の設定と使用可能性とを確認してこれらの部品を所望の初期構成に置くように、ボトムホールアセンブリに命令を発する。 センサ552と配向パッケージ554とビット付近配向センサ556とは地表プロセッサ514にデータを送る。 地表プロセッサ514はブロック604において送信された情報を復調および解読し、ブロック606において、地表プロセッサ514は周知のアルゴリズムおよびテーブルに照らし合わせてこのデータを処理および分析し、様々なダウンホール条件を判断する。 分析によって、ビット12のダウンホール位置と配向とを指定する「実際」パラメータの集合が決定される。
    【0108】
    地表プロセッサ514は鉱井のボアホールの目標経路を明らかにする所定の「鉱井計画」に基づいた目的パラメータ集合を含むことが望ましい。 ブロック608において、地表プロセッサ514は実際のダウンホールパラメータを目的パラメータと比較する。 実際パラメータが目的パラメータの範囲内にある場合、すなわち、ドリルビット12が目標鉱井経路に沿って掘穿している場合には、何の動作も行なわれずに地表プロセッサ514はステップ604に戻る。 抵抗、ガンマ、岩石学的測定値などの実際データがダウンホールから受け取られると、鉱井計画が連続的に更新される。
    【0109】
    例えば、ビット12が目標の方向に掘穿していないことと掘穿方向の変更が正当化されることが比較から分かる場合、地表プロセッサ514はステップ614において、掘穿方向を変更するようにダウンホールに命令を送る。 地表プロセッサ514は実際パラメータと目的パラメータとの間の差を補正するために、ボトムホールアセンブリ10の制御モジュールに命令を発する。 例えば、鉱井計画の目的から外れた掘穿が行なわれていることを実際パラメータが示す場合には、地表プロセッサ514は新たなビット12の掘穿角度/方向を決定する。 次に、補正措置を行なうようにダウンホールのステアリングアセンブリ20に命令が送られる。 次に、3台のモータ174のうち1台以上が作動して、ビット12を新たな角度および/または方向に配向し直す。 いずれの場合も、地表プロセッサ514はブロック604から始まるプロセスを繰り返す。
    【0110】
    新たな角度と方向に到達すると、ビット12は短距離だけさらにボアホールを掘穿し、ビット付近配向センサ556に新たな位置に到達したかどうかを判断させるとともに、これを示す信号を地表に送らせる。 変化が生じた後、ブロック612において、地表プロセッサ514は実際パラメータを目的パラメータと再度比較し、変化を確認する。 新たな位置に到達していないならば、ビット12の工具面の角度と方向とをさらに変えるために、ダウンホールに追加命令が再度送られる。
    【0111】
    極めて硬質の地盤に出くわした時など、特定方向に掘穿中に、問題のあるダウンホール条件のために掘穿方向を変更するために、いつでも地表で手動による介入が行なわれ得ることを理解すべきである。 地盤の条件のため鉱井経路の継続が物理的に不可能だと判明することもある。 さらに、ビットが鉱井経路上で掘穿を行なっていても、好適な地盤内での掘穿ではないために掘穿方向の変更が望ましいと判断されるかもしれない。
    【0112】
    本発明によるステアリングアセンブリ20は、コイル管より下のボトムホールアセンブリの一部として、または、スイベル継手を備えて掘穿モータ22の回転を行なわないか周期的に行なう能力を有する回転掘穿ストリングの下のボトムホールアセンブリ10の一部として使用できる。 動作のための電力消費量は少ないため、回転掘穿システムを用いている時には、必要に応じて、ダウンホールタービンまたはバッテリを使用してステアリングアセンブリ20に動力を供給できる。
    【0113】
    回転掘穿システムとともに使用する時には、泥水パルス遠隔測定法など、他の方法を使用してもよいことを理解すべきである。 システムは、また、目標とするホールボア経路を制御および維持するのに、ステアリングアセンブリ20のために地表から何の命令も必要としないという点で、閉ループシステムであってもよい。
    【0114】
    本発明は掘穿技術に対して様々な長所を有する。 掘穿を中断せずに屈曲角度の量と方向、そして傾斜と方位角とを制御する能力を有する。 ビット12をオフセットさせてビットの方向を掘穿中の方向へ変更するという能力があるため、寸法の大きすぎるホールでボアホール方向をステアリングする能力を有する。 3〜3/4インチもの小さなホールおよびさらに大きなボアホールを掘穿できるアセンブリでは、上記能力を全て備えている。 過剰な側方負荷が加えられないように方向を変化させるのに必要な正確な量の屈曲とオフセットが用いられるため、さらに、ボアホールの掘穿中にホールを監視できるため、掘穿のステアリングに必要な方向変化によってボアホールがスムーズに移行できる。
    【0115】
    ステアリングアセンブリ20の上部ハウジング26に対する下部ハウジング28の屈曲角度と方向の変化を実施および制御するための方向探知機構の好適な実施の形態について図示および説明したが、ビット12の掘穿方向を変化させるように下部ハウジング28を自在継手30上で屈曲および回転させるための他の装置と方法も使用できることを理解すべきである。
    【0116】
    図17及び18を参照すると、ナックルボール32に406でねじ止めされた延出部材404に係合する複数のピストン402a,b,cを含む代替方向探知機構400が図示されている。 一つ以上の油圧ポート408がピストン402a〜cと連通してピストンをシリンダ410内で往復運動させる。 油圧動作は図7または9に図示されたような駆動機構を用いて電動モータ174により行なわれる。 例えば、図7に関して述べると、大型ピストン176は油圧ポート408に作用し、又は図9に関して述べると、ポンプ252などの油圧ポンプは油圧ポート408から作動流体をポンプ供給してピストン402a〜cを作動させる。 また、図19及び20に示されるように、ピストン402a〜cの代わりにアクチュエータ420a〜cを使用して、図7,8,9について説明した駆動機構の一つに取り付けられたリンク機構422によって、図19に図示されたように、機械的に作動させてもよい。 アクチュエータ420はナックルボール32にねじ止めされた延出部材424に係合する。 ピストン402またはアクチュエータ420がそれぞれ延出部材404,424に係合した状態で往復運動を行なうと、延出部材404,424により下部ハウジング28が上部ハウジング26の軸線74に対して下部ハウジング28の軸線72をシフトさせ、ビット12の屈曲および/または方向を変化させる。
    【0117】
    図21を参照すると、本発明による方向探知機構のさらに別の代替実施の形態が図示されている。 方向探知機構430はナックルボール32に434で回転可能に取り付けられた延出部材432を含む。 ナックルボール32はナックル継手ハウジング36と上部ハウジング438に取り付けられたケージ部材436との間に支持されている。 延長部材432は、延出部材432がナックルボールの中で回転できるように、ナックルボール32に取り付けられている。 位置決めシリンダ440は、軸受442と密封保持部材444とによって、上部ハウジング438内に回転可能かつ往復可能に取り付けられている。 延出部材432から離間するように位置決めシリンダ440を付勢するために、ケージ部材436と密封保持部材444との間にはばね446が配置されている。 位置決めシリンダ440には延出部材432の上部テーパ端部448が挿入される。 延出部材432は位置決めシリンダ440に取り付けられたカムピン452を各々が収容する複数のカムスロット450を含む。 カムスロット450は並行カム面454a,bを含み、カムピン452がカムスロット450内で移動すると、延出部材440が旋回して屈曲角度を変化させる。 位置決めシリンダ440は位置決めシリンダを回転させるモータ174などの電動モータに取り付けられている。 位置決めシリンダ440が回転すると、カムスロット450内のカムピン452が延出部材432を回転させることにより方向を変化させる。 動作時においては、地表から掘穿流体をポンプ供給しているポンプが停止すると、図21に図示されたばね446によって、位置決めシリンダ440が軸方向上方に移動する。 ポンプが作動すると、位置決めシリンダ440はケージ部材436の肩部456へと下方に移動する。
    【0118】
    別の代替方向探知機構は下部ハウジング28の延出部材に係合して上部ハウジング26内で回転し、上部ハウジング26の軸線74に対する屈曲角度と方位角とを延出部材により変化させる複数のカム面を有することが望ましい偏心輪を含む。 このような偏心輪は電動モータ、より好ましくは、好適な実施の形態で説明された電動モータ174により回転することが分かるだろう。 偏心輪が回転すると、上部ハウジング26の軸線74に対して下部ハウジング28の軸線72がシフトする。 下部ハウジング28は自在継手30上で上部ハウジング28に対してシフトすることが分かるだろう。
    【0119】
    別の代替方向探知機構では、屈曲角度の変化と方位角の変化とを行なうための2個の別々の装置がステアリングアセンブリに含まれる。 これらの装置の一方は屈曲角度を変化させるための装置であり、他方は方位角を変化させるための装置である。 油圧バルブとピストンの組は延出部材に係合して屈曲角度を変化させ、回転部材は軸受アセンブリとモータといっしょに上部ハウジング26に対して下部ハウジング28を回転させて配向を変化させる。 屈曲角度の変化と方位角の変化は相互に無関係である。
    【0120】
    本発明の特徴の多くは、上部ハウジング26に対して下部ハウジング28の屈曲角度と方位角とを変化させるために、ボアホール壁に係合するステアリングアセンブリへの使用に適していることを理解すべきである。 上述したように、ボアホール壁で必要な抵抗のため、このような実施の形態がそれほど望ましくないことがある。 このような装置と方法の一つは、ステアリングアセンブリのハウジングに調整可能なブレードを延出させるために、バルブと掘穿流体を使用しており、上部ハウジング26の軸線74に対して下部ハウジング28が下部ハウジング28の軸線72の屈曲角度と方向とが変化している。
    【0121】
    さらに別の方向探知機構はステアリングアセンブリの上部ハウジング26に偏心中央カムを収容することを含む。 偏心輪上のカムが上部ハウジング26内で回転すると、偏心輪は上部ハウジング26内で駆動シャフト14に係合して、駆動シャフト14を偏向させる。 上部ハウジング26内で駆動シャフトが偏向すると、駆動シャフト14の下流端が下部ハウジング28に係合して、下部ハウジング28を上部ハウジング26に対して偏向させる。 下部ハウジング28が駆動シャフト14により偏向されると、屈曲角度と方位角とが変化して新たな掘穿角度と方向が得られる。 この方法は偏心部材上のカムにより側方負荷が駆動シャフトに印加されるので、あまり望ましくない。
    【0122】
    ステアリングシステムの他の実施の形態は1997年10月27日に出願された「掘穿システム」という名称の米国仮出願第60/063,326号、1998年5月20日に出願された「掘穿システム」という名称の米国特許出願第09/081,961号、及び1999年7月14日に出願された「ステアリング可能な回転掘穿装置と指向性掘穿方法」という名称の米国特許出願第09/353,599号に開示されている。 これらの出願はいずれもここにおいて文献援用される。
    【0123】
    本発明の好適な実施の形態はボアホール壁に係合して掘穿中に抵抗を発生させる外部の調整可能部材を含まず、駆動シャフトに側方負荷を加えて側方負荷とトルクの両方を駆動シャフトに伝達することがないという長所を有する。
    【0124】
    本発明の好適な実施の形態について図示および説明したが、当業者には発明の趣旨から逸脱しない変形が可能である。
    【図面の簡単な説明】
    本発明の好適な実施の形態を詳細に説明するため、以下、添付図面を参照する。
    【図1A】 鉱井の一例を示す概略図である。
    【図1B】 鉱井の地表装置を示す図1Aの部分概略拡大図である。
    【図1C】 本発明によるステアリングアセンブリを含む図1Aに図示されたボトムホールアセンブリの拡大図である。
    【図2】 図3A〜E、図11A〜C、図13A〜Cの断面を示す図1のステアリングアセンブリの上端図である。
    【図3A、B、C、D、E】 自在継手から電動モータまでのステアリングアセンブリを示す図2の3−3線断面図である。
    【図4】 くさび部材とアングルカムとを示す図3Aの4−4線断面図である。
    【図5】 図3Aに図示されたアングルカムの斜視図である。
    【図6A】 図3Aに図示されたくさび部材の上面図である。
    【図6B】 図6Aの6−6線におけるくさび部材の断面図である。
    【図6C】 図6Aのくさび部材を示す底面図である。
    【図7】 アングルカムに係合するくさび部材のための図3A〜Eに図示された機械油圧式駆動列を示す部分断面概略図である。
    【図8】 アングルカムに係合するくさび部材のための代替機械式駆動列を示す部分断面概略図である。
    【図9】 アングルカムに係合するくさび部材のための別の代替油圧式駆動列を示す部分断面概略図である。
    【図10】 図3Bの10−10線における油圧増幅器の大型ピストンの下端を示す断面図である。
    【図11A〜C】 電動モータからステアリングアセンブリの上端まで延在する圧力補正システムの別の一部を示すステアリングアセンブリの図2の11−11線断面図である。
    【図12】 図3Dの12−12線におけるモータ駆動シャフト集中化装置の断面図である。
    【図13A〜C】 アングルカムから中央スペーサまでの圧力補正システムの一部を示すステアリングアセンブリの図2の13−13線断面図である。
    【図14】 図3B〜Cに図示された油圧増幅器の過圧防止安全システムを示す断面図である。
    【図15】 ステアリングアセンブリの電子制御装置を示す機能的ブロック図である。
    【図16】 データの処理と、地表プロセッサと電子センサとの間の命令の伝達と、ステアリングシステムの制御とについてのフローチャートである。
    【図17】 油圧ピストンを用いて下部ハウジングを作動および制御するための代替装置を示す断面図である。
    【図18】 作動装置を示す図17の18−18線断面図である。
    【図19】 機械式てこ装置を用いて下部ハウジングを作動および制御するための別の代替装置を示す側面図である。
    【図20】 図17の18−18線断面と同様の平面における図19の作動装置を示す断面図である。
    【図21】 下部ハウジングを作動および制御するためのさらに別の代替装置を示す断面図である。
    【図22】 自在継手に配置された代替アングルカムとくさび部材とを示す図2の2−2線断面図である。
    【図23】 図22のアングルカムに配置されたカムスリーブの断面図である。
    【図24】 図23の24−24平面におけるカムスリーブの断面図である。
    【図25】 図22に図示されたくさび部材の正面図である。
    【図26】 図25に図示されたくさび部材の端面図である。
    【図27】 図25に図示されたくさび部材の底面図である。
    【符号の説明】
    22 泥水モータ270 本体420a〜420c アクチュエータ514 地表プロセッサ520 コイル管584,586 導体

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