給電装置

申请号 JP2018032613 申请日 2018-02-26 公开(公告)号 JP2018148784A 公开(公告)日 2018-09-20
申请人 国立研究開発法人海洋研究開発機構; 株式会社リューテック; 发明人 井上 朝哉; 石渡 隼也; 粟井 郁雄;
摘要 【課題】長尺物の継ぎ目で非 接触 給電を行うことができ、長大な長尺物多段接続体を通しても伝送効率の低下を少なくできる給電装置を提供する。 【解決手段】この給電装置1は、給電回路30を備える長尺物3が多段に接続される長尺物多段接続体を有するものであって、給電回路30は、他の長尺物3の給電回路30から非接触受電する受電コイル31と、給電線路32と、他の長尺物3の給電回路30に非接触送電する送電コイル33と、を備え、複数個の給電回路30は、周期回路を構成している。 【選択図】図1
权利要求

送電回路を備える送電器と、給電回路を備える長尺物が多段に接続され前記送電器に接続される長尺物多段接続体と、負荷給電回路を備え前記長尺物多段接続体に接続され負荷に電を供給する負荷給電器と、を有する給電装置であって、 前記送電回路は、交流電源と、該交流電源に接続される送電回路線路と、該送電回路線路に接続される送電回路コイルと、を備え、 前記給電回路は、前記長尺物の一方の端部に設けられ、該長尺物の該一方の端部に接続される一方側の他の前記長尺物の前記給電回路又は前記送電回路から非接触受電する受電コイルと、該受電コイルに一方の端部が接続される給電線路と、該給電線路の他方の端部に接続され、前記長尺物の他方の端部に設けられ、該長尺物の該他方の端部に接続される他方側の他の前記長尺物の前記給電回路又は前記負荷給電回路に非接触送電する送電コイルと、を備え、 前記負荷給電回路は、負荷給電回路コイルと、該負荷給電回路コイルに接続される負荷給電回路線路と、を備え、 前記送電回路の前記送電回路コイル及び前記送電回路線路と、複数個の前記給電回路と、前記負荷給電回路の前記負荷給電回路コイル及び前記負荷給電回路線路と、は、周期回路を構成していることを特徴とする給電装置。請求項1に記載の給電装置において、 前記交流電源の交流電力には前記負荷の制御信号及び/又は検知信号が重畳していることを特徴とする給電装置。請求項1又は2に記載の給電装置において、 前記給電線路は、前記長尺物の軸方向に延びる第1導体及び第2導体により構成されており、前記受電コイル及び前記送電コイルの各々の両端は、該第1導体及び該第2導体に接続されていることを特徴とする給電装置。請求項1〜3のいずれか1項に記載の給電装置において、 前記給電回路は、金属製の長尺物本体の内部に形成されていることを特徴とする給電装置。請求項4に記載の給電装置において、 前記受電コイルは、導電率が前記長尺物本体よりも高い円筒状の第1受電コイル外囲シートに囲まれており、 前記送電コイルは、導電率が前記長尺物本体よりも高い円筒状の第1送電コイル外囲シートに囲まれていることを特徴とする給電装置。請求項5に記載の給電装置において、 前記第1受電コイル外囲シート及び第1送電コイル外囲シートは、銅系金属製又はアルミ系金属製であることを特徴とする給電装置。請求項5又は6に記載の給電装置において、 前記該受電コイルと前記第1受電コイル外囲シートの間には、円筒状の磁性体の第2受電コイル外囲シートが設けられており、 前記該送電コイルと前記第1送電コイル外囲シートの間には、円筒状の磁性体の第2送電コイル外囲シートが設けられていることを特徴とする給電装置。請求項7に記載の給電装置において、 前記第2受電コイル外囲シート及び第2送電コイル外囲シートは、フェライト製であることを特徴とする給電装置。請求項1〜8のいずれか1項に記載の給電装置において、 前記給電線路は、シールドケーブルであることを特徴とする給電装置。

说明书全文

本発明は、長大な長尺物多段接続体を通して給電する給電装置に関する。

海底科学掘削を行う際、一本10mの鋼鉄製のドリルパイプを幾本も連ね、長大なドリルパイプ多段接続体となる。その継ぎ足し作業は海上に浮かぶ調査船にて行われる。この掘削作業に付随して掘削地点や地層における検知用の各種センサーや撮影用のカメラなどを先端等に取り付けると、一回の掘削作業により大きな成果を得ることができる。しかし、このドリルパイプ多段接続体に取り付ける各種計測器などの機器の動作電の確保が非常に困難である。

このような機器の動作電力の確保の困難さの主因には、電源から機器までの距離が長いことにある。ドリルパイプの継ぎ目では電線ケーブルを構造上の問題で通常の方法では接続できない。このため、特別な方法が必要である。例えば、特許文献1には、ドリルパイプの一方端に雄ネジと一方の電気接点を形成し、他方端に雌ネジと他方の電気接点を形成し、2本のドリルパイプを雄ネジと雌ネジにより結合すると一方の電気接点と他方の電気接点が接触するような構成が開示されている。なお、1本のドリルパイプの中では、一方の電気接点と他方の電気接点の間は導体で結ばれている。

特表2003−531320号公報

しかしながら、海中のドリルパイプの継ぎ目は、流等により動き易いものである。そのため、特許文献1に開示された構造のものでは、一方の電気接点と他方の電気接点が安定して接触するようにするのは、困難である。また、電気接点は、海水に直接触れるものであると、腐食し易い。

このようなことから、本願発明者は、ドリルパイプの継ぎ目では非接触(ワイヤレス)給電が望ましいと思料し、鋭意研究し、ドリルパイプの継ぎ目では非接触給電し、しかも、長大なドリルパイプ多段接続体を通しても伝送効率の低下を少なくできる給電装置を案出した。

本発明は、係る事由に鑑みてなされたものであり、その目的は、ドリルパイプなどの長尺物の継ぎ目で非接触給電を行うことができ、ドリルパイプ多段接続体などの長大な長尺物多段接続体を通しても伝送効率の低下を少なくできる給電装置を提供することにある。

上記目的を達成するために、請求項1に記載の給電装置は、送電回路を備える送電器と、給電回路を備える長尺物が多段に接続され前記送電器に接続される長尺物多段接続体と、負荷給電回路を備え前記長尺物多段接続体に接続され負荷に電力を供給する負荷給電器と、を有する給電装置であって、前記送電回路は、交流電源と、該交流電源に接続される送電回路線路と、該送電回路線路に接続される送電回路コイルと、を備え、前記給電回路は、前記長尺物の一方の端部に設けられ、該長尺物の該一方の端部に接続される一方側の他の前記長尺物の前記給電回路又は前記送電回路から非接触受電する受電コイルと、該受電コイルに一方の端部が接続される給電線路と、該給電線路の他方の端部に接続され、前記長尺物の他方の端部に設けられ、該長尺物の該他方の端部に接続される他方側の他の前記長尺物の前記給電回路又は前記負荷給電回路に非接触送電する送電コイルと、を備え、前記負荷給電回路は、負荷給電回路コイルと、該負荷給電回路コイルに接続される負荷給電回路線路と、を備え、前記送電回路の前記送電回路コイル及び前記送電回路線路と、複数個の前記給電回路と、前記負荷給電回路の前記負荷給電回路コイル及び前記負荷給電回路線路と、は、周期回路を構成していることを特徴とする。

請求項2に記載の給電装置は、請求項1に記載の給電装置において、前記交流電源の交流電力には前記負荷の制御信号及び/又は検知信号が重畳していることを特徴とする。

請求項3に記載の給電装置は、請求項1又は2に記載の給電装置において、前記給電線路は、前記長尺物の軸方向に延びる第1導体及び第2導体により構成されており、前記受電コイル及び前記送電コイルの各々の両端は、該第1導体及び該第2導体に接続されていることを特徴とする。

請求項4に記載の給電装置は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の給電装置において、前記給電回路は、金属製の長尺物本体の内部に形成されていることを特徴とする。

請求項5に記載の給電装置は、請求項4に記載の給電装置において、前記受電コイルは、導電率が前記長尺物本体よりも高い円筒状の第1受電コイル外囲シートに囲まれており、前記送電コイルは、導電率が前記長尺物本体よりも高い円筒状の第1送電コイル外囲シートに囲まれていることを特徴とする。

請求項6に記載の給電装置は、請求項5に記載の給電装置において、前記第1受電コイル外囲シート及び第1送電コイル外囲シートは、銅系金属製又はアルミ系金属製であることを特徴とする。

請求項7に記載の給電装置は、請求項5又は6に記載の給電装置において、前記該受電コイルと前記第1受電コイル外囲シートの間には、円筒状の磁性体の第2受電コイル外囲シートが設けられており、前記該送電コイルと前記第1送電コイル外囲シートの間には、円筒状の磁性体の第2送電コイル外囲シートが設けられていることを特徴とする。

請求項8に記載の給電装置は、請求項7に記載の給電装置において、前記第2受電コイル外囲シート及び第2送電コイル外囲シートは、フェライト製であることを特徴とする。

請求項9に記載の給電装置は、請求項1〜8のいずれか1項に記載の給電装置において、前記給電線路は、シールドケーブルであることを特徴とする。

本発明の給電装置によれば、ドリルパイプなどの長尺物の継ぎ目で非接触給電(非接触送電及び非接触受電)を行うことができ、ドリルパイプ多段接続体などの長大な長尺物多段接続体を通して伝送効率の低下の少ないものとすることができる。

本発明の実施形態に係る給電装置の概略を示す側面視断面図である。

同上の給電装置の周期回路の回路ブロック図である。

同上の給電装置の周期回路の単位セルの回路ブロック図である。

同上の給電装置の長尺物の継ぎ目近傍を拡大して示す断面図であって、(a)が側面視断面図、(b)が(a)のA−Aで示す線の位置で切断した平面視断面図である。

同上の給電装置のシミュレーション結果の特性グラフである。

同上の給電装置のシミュレーション結果の拡大した特性グラフである。

同上の給電装置の他のシミュレーション結果の特性グラフである。

以下、本発明を実施するための形態を説明する。本発明の実施形態に係る給電装置1は、送電回路20を備える送電器2と、給電回路30を備える長尺物3が多段に接続された長尺物多段接続体3Gと、負荷給電回路40を備え、負荷5に電力を供給する負荷給電器4と、を有するものである。長尺物多段接続体3Gは、一方の端部3Gaが送電器2に接続され、他方の端部3Gbが負荷給電器4に接続されている。例えば、給電装置1を海底科学掘削に用いる例では、送電器2は調査船に設置された機器の一つであり、長尺物3はドリルパイプ(長尺物多段接続体3Gはドリルパイプ多段接続体)であり、負荷給電器4は、掘削地点や地層における各種計測器などの機器(負荷)5に電力を供給するものである。ここで、長尺物は、ドリルパイプに加え、例えば海底敷設パイプや鉱山分野におけるドリルロッドあるいは掘り管などの動力伝達物を含む。

送電回路20は、交流電源21と、交流電源21に接続される送電回路線路22と、送電回路線路22に接続される送電回路コイル23と、を備えている。交流電源21の交流電力の周波数は、例えば、0.1MHz〜10MHzである。また、この交流電力に、各種計測器などの機器(負荷)5の制御信号及び/又は検知信号(データやコマンドなど)を重畳させることも可能である。

送電回路コイル23は、通常は、給電回路30の後述する送電コイル33と同じ構成及び形状である。また、送電器2において長尺物3と接続される端部2bに、送電回路コイル23が設けられている。その端部2bの近傍は、通常は、長尺物3の後述する他方の端部3bの近傍と同じ構成及び形状であり、後述する長尺物本体34の半分の形状(図1において下半分)に対応する送信器接続体24を有している。その送信器接続体24は、長尺物本体34との接続のために、ねじ(本実施形態では雄ねじ)を形成することができる。

給電回路30は、受電コイル31と給電線路32と送電コイル33とを備えている。

受電コイル31は、長尺物3の一方の端部(送電器2側の端部)3aに設けられている。長尺物3の一方の端部3aには、長尺物3が長尺物多段接続体3Gの一方の端部3Gaのものでなければ、一方側の他の長尺物3が接続される。その場合、受電コイル31は、一方側の他の長尺物3の給電回路30(詳細には、送電コイル33)から電力を非接触受電する。また、長尺物3の一方の端部3aには、長尺物3が長尺物多段接続体3Gの一方の端部3Gaのものならば、送電器2が接続される。その場合、受電コイル31は、送電回路20(詳細には、送電回路コイル23)から電力を非接触受電する。

給電線路32は、受電コイル31に一方の端部32aが接続され、送電コイル33に他方の端部32bが接続される。給電線路32は、一般には、長尺物3の軸方向に延びる第1導体32A及び第2導体32Bにより構成されており、受電コイル31及び送電コイル33の各々の両端は、第1導体32A及び第2導体32Bに接続されている。また、海底科学掘削に用いる場合のように、長尺物3が、海水に接する場合などでは、その影響を受けないように、給電線路32は、同軸ケーブルなどのシールドケーブルであるのが好ましい。また、給電線路32は、通常は、後述する長尺物本体34の軸方向に溝に形成してそこに埋め込むなどして、長尺物本体34に固定されている。

送電コイル33は、長尺物3の他方の端部(負荷5側の端部)3bに設けられている。長尺物3の他方の端部3bには、長尺物3が長尺物多段接続体3Gの他方の端部3Gbのものでなければ、他方側の他の長尺物3が接続される。その場合、送電コイル33は、他方側の他の長尺物3の給電回路30(詳細には、受電コイル31)に電力を非接触送電する。また、長尺物3の他方の端部3bには、長尺物3が長尺物多段接続体3Gの他方の端部3Gbのものならば、負荷給電器4が接続される。その場合、送電コイル33は、負荷給電回路40(詳細には、負荷給電回路コイル41)に電力を非接触送電する。

長尺物3は、長尺物本体34を有しており、多くの場合、海底科学掘削に用いる場合のように、金属製である。給電回路30は、多くの場合、長尺物本体34の内部に形成されている。長尺物3の一方の端部3aにおいては、長尺物本体34に、他の長尺物本体34(又は送信器接続体24)との接続のために、ねじ(本実施形態では雌ねじ)を形成することができる。長尺物3の他方の端部3bにおいては、長尺物本体34に、他の長尺物本体34(又は後述する負荷給電器接続体44)との接続のために、ねじ(本実施形態では雄ねじ)を形成することができる。また、長尺物本体34は、海底科学掘削に用いる場合のように、多くの場合、図1(及び後述する図4(a)、(b))に示すようにパイプ形状又はチューブ形状であり、中空部34aを有している。中空部34aには、海水などが流れる。なお、受電コイル31及び送電コイル33は、中空部34aの周りに巻かれる。また、送信器接続体24及び負荷給電器接続体44についても、長尺物本体34の構造と同様であり、送電回路コイル23及び後述する負荷給電回路コイル41は、中空部34aと同様な中空部の周りに巻かれる。

なお、受電コイル31は、絶縁体で囲まれるようにして1個の受電体ユニット31Aとすることができる。また、送電コイル33も、絶縁体で囲まれるようにして1個の送電体ユニット33Aとすることができる。また、これらの受電体ユニット31Aと送電体ユニット33Aを給電線路32でつないで、防水等を行って全部をユニット化することもできる。また、送電回路コイル23、負荷給電回路コイル41についても同様にして1個の送電体ユニット23A、1個の受電体ユニット41Aとすることができる。

負荷給電回路40は、負荷給電回路コイル41と、負荷給電回路コイル41に接続される負荷給電回路線路42と、を備えている。負荷給電回路線路42は、負荷5に接続されている。

負荷給電回路コイル41は、通常は、給電回路30の受電コイル31と同じ構成及び形状である。また、負荷給電器4において長尺物3と接続される端部4aに負荷給電回路コイル41が設けられている。その端部4aの近傍は、通常は、長尺物3の一方の端部3aの近傍と同じ構成及び形状であり、長尺物本体34の半分の形状(図1において上半分)に対応する負荷給電器接続体44を有している。その負荷給電器接続体44は、長尺物本体34との接続のために、ねじ(本実施形態では雌ねじ)を形成することができる。

このような送電回路20の送電回路コイル23及び送電回路線路22と、複数個の給電回路30と、負荷給電回路40の負荷給電回路コイル41及び負荷給電回路線路42、は、周期回路100を構成することができる。この周期回路100は、図2に示すように、周期回路100の1周期分を構成する単位セル101が多段に接続されたものである。周期回路100の1周期分の長さdは、長尺物多段接続体3Gを構成したときの長尺物3同士の間のピッチと実質的に同じである。単位セル101は、周期回路100において給電回路30よりも半周期ずれて区切ったものと見ることもできる(図1において破線で示す単位セル101を参照)。

単位セル101は、図3に示すように、長尺物3の継ぎ目を中心にして、受電コイル31と送電コイル33が配置され、そのそれぞれの外側に半分の給電線路32’が配置されているものである。図3中のL1、R1は送電コイル33のインダクタンス成分、抵抗成分であり、L2、R2は受電コイル31のインダクタンス成分、抵抗成分であり、Mは相互インダクタンスである。なお、送電器2と長尺物3の継ぎ目、長尺物3と負荷給電器4の継ぎ目を中心としたものも、同じ単位セル101が適用される。この場合、送電回路線路22と負荷給電回路線路42はそれぞれ、半分の給電線路32’と実質的に同じ線路とみなすことができる。

周期回路100を構成するようにし、後述する解析方法及びシミュレーションにより、最適化すると、給電装置1は、長尺物3の継ぎ目で非接触給電(非接触送電及び非接触受電)を行うことができ、長大な長尺物多段接続体3Gを通して伝送効率の低下の少ないものとすることができる。

給電装置1の受電コイル31及び送電コイル33の周囲の構造の細部について図4(a)、(b)を参照して以下説明する。なお、図4(a)においては、長尺物本体34の中空部34aの向こうに隠れる線を破線で示している。また、第1導体32A及び第2導体32Bは、図4(a)においては模式的に描き、図4(b)においては省略している。

給電回路30における受電コイル31は、円筒状の第1受電コイル外囲シート35に囲まれており、送電コイル33は、円筒状の第1送電コイル外囲シート36に囲まれるようにすることができる。第1受電コイル外囲シート35と第1送電コイル外囲シート36はともに、導電率が長尺物本体34よりも高いもの(例えば、銅系金属製又はアルミ系金属製など)である。金属製の長尺物本体34は、通常、鉄系の金属製であるために、受電コイル31と送電コイル33の磁気が及ぶと電流が流れて損失が生じるが、第1受電コイル外囲シート35と第1送電コイル外囲シート36は、長尺物本体34により損失が生じるのを抑止することが可能である。

更には、受電コイル31と第1受電コイル外囲シート35の間には、円筒状の第2受電コイル外囲シート37が設けられており、送電コイル33と第1送電コイル外囲シート36の間には、円筒状の第2送電コイル外囲シート38が設けられているようにすることができる。第2受電コイル外囲シート37と第2送電コイル外囲シート38はともに、磁性体(例えば、フェライト製など)である。第2受電コイル外囲シート37と第2送電コイル外囲シート38は、第1受電コイル外囲シート35と第1送電コイル外囲シート36を設けたことによる特性の変動を少なくすることが可能である。

なお、受電コイル31、第1受電コイル外囲シート35、第2受電コイル外囲シート37は、絶縁体を介して配置し上述した1個の受電体ユニット31Aの中に含めることができる。送電コイル33、第1送電コイル外囲シート36、第2送電コイル外囲シート38は、絶縁体を介して配置し上述した1個の送電体ユニット33Aの中に含めることができる。また、送電回路コイル23についても、第1送電コイル外囲シート36、第2送電コイル外囲シート38と同様なものを設けることができ、更に、それらを1個の送電体ユニット23Aの中に含めることができる。負荷給電回路コイル41についても、第1受電コイル外囲シート35、第2受電コイル外囲シート37と同様なものを設けることができ、更に、それらを1個の受電体ユニット41Aの中に含めることができる。

次に、周期回路100の基本の解析方法について説明する。先ず、周期回路100の伝搬定数γを求める方法を説明し、その後、周期回路100のブロッホインピーダンスを求める方法を説明し、その後、周期回路100の伝送効率ηを求める方法を説明する。

図3に示す単位セル101において、半分の給電線路32’を除いた場合の入出力間の関係を表すZ行列は、一般的に下記の(1)式で示される。

単位セル101は、不連続部(継ぎ目)に対して対称的であるので、R1=R2=R、L1=L2=Lとすることができ、また、周期回路100は、回路の縦続接続のものであるので、(1)式で表されるZ行列は、簡単化され、回路の縦続接続の場合の計算がし易い、下記の(2)式で示すF行列に変換することができる。

ここで、各成分A、B、C、Dの上に付けられた横棒は、給電線路32の特性アドミタンスY0で規格化されていることを意味している。特性アドミタンスY0と特性インピーダンスZ0は、Y0=1/Z0の関係である。これを基に、1周期分のF行列を計算するため、図3で示した不連続部の両側に半分の給電線路32’が接続されているものとすると、次の(3)式が導かれる。

ここで、θは移相量であり、θ=k0d (k0は給電線路32の伝搬定数、dは上記の1周期の長さ)である。x’1とx’2は、(4)式の通りである。

1個の単位セル101nの入力と次段の単位セル101n+1の入力(単位セル101nの出力)との間には、以下の(5)式が成り立つ。

ここで、伝搬解の存在のためには、以下の(6)式が成り立たなければならない。

γは広義の伝搬定数であり、dは上記の1周期の長さである。(6)式を(4)式に代入すると、以下の(7)式が導かれる。

この(7)式が解を持つためには、係数行列式を0とする必要があるので、以下の(8)式が導かれる。

次の(8’)式で示す相反性の条件と(3)式の各成分を代入すると、下記の(9)式が導かれる。

ここで、γ=α+jβとして(9)式を展開すると、以下の(10)式が導かれる。

更に、α<<βを利用して、式(9)を実部と虚部に分けることにより、以下の式(11)と式(12)が導かれる。

このようにして、α、βを独立に表現することができる。なお、(11)式と(12)式は、1周期の長さdにより規格化している。

次に、周期回路の特性インピーダンスであるブロッホインピーダンスを求める。

(7)式より、電圧と電流の比を以下の(13)式のように計算すると、ブロッホインピーダンスが求められる。

(13)式より、γdが以下の(14)式のように求まる。

(14)式を(13)式に代入すると、以下の(15)式が導かれる。

(15)式で示されるブロッホインピーダンスは、+方向/−方向に伝搬する波動の特性インピーダンスである。周期回路100は対称的であるとすることができるので、(15’)式が成立し、また、(8’)式に示した相反性により、以下の(16)式のようにブロッホインピーダンスは簡単化される。

ブロッホインピーダンスは、この(16)式のようには簡単化され、これに(3)式で得られた値を代入すればよい。

次に、周期回路100の伝送効率ηを求める。

単位セル101nの入力側の節点における電圧電流は、以下の(17)式で表される。なお、(17)式におけるA、Bは、これまでに用いてきたA、Bとは異なるものである。ここでは、入射波/反射波の振幅は、習慣的に記号A、Bで表されるので、これを用いた。

(17)式におけるγ、ZBは、上述したようにして求まる伝搬定数、ブロッホインピーダンスである。周期回路100の始端、終端でそれぞれ、n=0、N=100を(17)式に代入すると、(18)式と(18’)式に示すように、始端における電圧V0と電流I0、終端における電圧VNと電流INが求まる。更に、始端には電圧源E、終端には負荷インピーダンスZLが接続されているので、(18’’)式が成立する。

これからV0、VN、I0、INを消去すると、以下の、(19)式が導かれる。

そして、(19)式を(17)式に代入すれば、各節点における電圧電流は、以下の(20)式に示すように求まる。

任意の節点nにおける負荷側を見たインピーダンスは、VnをInで割ることにより、以下の(21)式で与えられる。

そして、伝送効率ηは、(20)式を用いて、以下の(22)式で与えられる。

次に、電磁界シミュレーターを用いてシミュレーションを行った結果について述べる。

長尺物本体34は、比誘電率が1、比透磁率が4000、導電率が1.03e7[S/m]の鉄製のパイプ形状とし、長さが10m、外径が135mm、内径が114mm、厚さが10.6mmとした。送電回路コイル23、受電コイル31、送電コイル33、負荷給電回路コイル41は、全て2重巻きとし、外側コイル直径が87.2mm、内側コイル直径が83.2mm、外側コイルと内側コイルのギャップが2mm、外側コイルと内側コイルはそれぞれ、ピッチが1.5mm、巻き数が10ターンとした。第1受電コイル外囲シート35と第1送電コイル外囲シート36は、比誘電率が1、比透磁率が0.999991、導電率が58e6[S/m]の銅製とし、外径が110mm、内径が109.4mm、厚さが0.3mmとした。第2受電コイル外囲シート37と第2送電コイル外囲シート38は、比誘電率が15、比透磁率が500、導電率が0.01[S/m]、tanδが0.5のフェライトシートとし、外径が108.8mm、内径が108.2mm、厚さが0.3mmとした。海水は、比誘電率が81、比透磁率が0.99991、導電率が4[S/m]とし、直径が76.22mmとした。この長尺物3を100個接続して、長尺物多段接続体3Gを総長1kmのものとした。

図5に伝送効率ηのシミュレーション結果を示す。また、図6に縦軸を−30dB〜0dBに拡大した伝送効率ηのシミュレーション結果を示す。図中、曲線aは、空気中でのもの(長尺物本体34、第1受電コイル外囲シート35、第1送電コイル外囲シート36、第2受電コイル外囲シート37、第2送電コイル外囲シート38を省いたもの)を示しており、最大の伝送効率ηは−7dBである。図中、曲線bは、曲線aの条件から長尺物本体34を加えたものを示しており、最大の伝送効率ηは−330dBである。図中、曲線cは、曲線bの条件から第1受電コイル外囲シート35と第1送電コイル外囲シート36を加えたものを示しており、最大の伝送効率ηは−50dBである。図中、曲線dは、曲線cの条件から第2受電コイル外囲シート37と第2送電コイル外囲シート38を加えたものを示しており、最大の伝送効率ηは−15dBである。図中、曲線eは、曲線dの条件から海水を加えたものを示しており、最大の伝送効率ηは−20dBである。

曲線aと曲線bを比較すると、長尺物本体34が有ると、急激に伝送効率が低下することが分かる。曲線bと曲線cを比較すると、長尺物本体34が有っても、第1受電コイル外囲シート35と第1送電コイル外囲シート36を加えると、伝送効率の低下が少なくなることが分かる。曲線bと曲線dを比較すると、長尺物本体34が有っても、第1受電コイル外囲シート35と第1送電コイル外囲シート36、更に、第2受電コイル外囲シート37と第2送電コイル外囲シート38を加えると、伝送効率の低下が更に少なくなることが分かる。曲線dと曲線eを比較すると、長尺物本体34が有り、海水が有っても、第1受電コイル外囲シート35と第1送電コイル外囲シート36、更に、第2受電コイル外囲シート37と第2送電コイル外囲シート38を加えると、伝送効率ηの低下が少ないものとすることができるが分かる。このように、周期回路100を構成するようにし、上述した解析方法及びシミュレーションにより、最適化すると、給電装置1を伝送効率ηの低下が少ないものとすることができる。

次に、交流電力に、制御信号及び/又は検知信号(データやコマンドなど)を重畳させることが可能であることを示すためのシミュレーションについて述べる。

長尺物本体34は、上記のシミュレーションと同じものとした。送電回路コイル23、受電コイル31、送電コイル33、負荷給電回路コイル41は、全て、上記のシミュレーションと同じピッチ、巻き数の2重巻きとし、外側コイル直径が108.6mm、内側コイル直径が102.6mmとした。第1受電コイル外囲シート35と第1送電コイル外囲シート36は、上記のシミュレーションと同じ比誘電率、比透磁率、導電率の銅製とし、厚さが0.1mmとした。第2受電コイル外囲シート37と第2送電コイル外囲シート38は、比誘電率が1、比透磁率が130、tanδが0.01のフェライトシートとし、厚さが0.1mmとした。海水は、上記のシミュレーションと同じ比誘電率、比透磁率、導電率とした。長尺物多段接続体3Gにおける長尺物3の数は、上記のシミュレーションと同じである。このように上記のシミュレーションと大部分は条件を同じにして、シミュレーション結果を比較できるようにしている。

図7に伝送効率ηのシミュレーション結果を示す。図中、曲線fは、長尺物本体34、送電回路コイル23、受電コイル31、送電コイル33、負荷給電回路コイル41、第1受電コイル外囲シート35、第1送電コイル外囲シート36、第2受電コイル外囲シート37、第2送電コイル外囲シート38を全て備えるものを示しており、周波数が10.38MHzで伝送効率ηが最大の−66dBとなる。このことは、制御信号及び/又は検知信号の周波数を10.38MHz近傍とし、交流電力の周波数を上記のシミュレーション結果より1MHz近傍とすれば、制御信号及び/又は検知信号を交流電力に重畳することが可能であることを示している。なお、制御信号及び/又は検知信号の周波数は、10.38MHz近傍に限らず、ある程度の伝送効率ηが得られるならば、他の周波数(例えば、5MHzから6MHzの間の周波数や20MHz以上の周波数など)とすることも可能である。

以上、本発明の実施形態に係る給電装置について説明したが、本発明は、上述の実施形態に記載したものに限られることなく、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内でのさまざまな設計変更が可能である。例えば、上述した実施形態では、第1受電コイル外囲シート35と第1送電コイル外囲シート36、更に、第2受電コイル外囲シート37と第2送電コイル外囲シート38を加えて給電装置1を伝送効率ηの低下が少ないものとしたが、周期回路100を上述した解析方法及びシミュレーションに基づき、更に、寸法又は定数の変更や他の追加手段などにより最適化することも可能である。

1 給電装置 2 送電器 2b 送電器の端部 20 送電回路 21 交流電源 22 送電回路線路 23 送電回路コイル 24 送信器接続体 3 長尺物 3a 長尺物の一方の端部 3b 長尺物の他方の端部 30 給電回路 31 受電コイル 31A 受電体ユニット 32 給電線路 32a 給電線路の一方の端部 32b 給電線路の他方の端部 32A 第1導体 32B 第2導体 32’ 半分の給電線路 33 送電コイル 33A 送電体ユニット 34 長尺物本体 34a 長尺物本体の中空部 35 第1受電コイル外囲シート 36 第1送電コイル外囲シート 37 第2受電コイル外囲シート 38 第2送電コイル外囲シート 3G 長尺物多段接続体 3Ga 長尺物多段接続体の一方の端部 3Gb 長尺物多段接続体の他方の端部 4 負荷給電器 4a 負荷給電器の端部 40 負荷給電回路 41 負荷給電回路コイル 42 負荷給電回路線路 44 負荷給電器接続体 5 負荷 100 周期回路 101 周期回路の単位セル

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