【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は土壌検査技術に関するものであり、特に、検査のため一定土壌区域の表面を準備する技術に関するものである。 【0002】 【従来の技術】例えば土壌の液状化抵抗、土壌の劣化特性、低レベルの剪断変形における土壌の動的剪断係数、 および剪断変形に伴う土壌の動的剪断係数の変化を少なくとも積算によって特定する事がしばしば重要である。 液状化現象は、周期的荷重から生じる間隙水圧の増大による飽和土壌の剛性と強度の完全な喪失である。 劣化は、同じく周期的荷重から生じる間隙水圧の形成による土壌の剛性の低下である。 劣化は、土壌の型と状態に対応して液状化を生じまたは生じない。 一般に、剪断係数は剪断変形の関数である。 例えば多くの土壌は、単調な荷重増大において剪断変形が増大するに従ってその剛性が低下する。 【0003】通常、土壌のこれらの特性およびその他の特性は、地震、海波、または機械的振動によって生じる動的荷重に対する敷地または基礎構造の応答を予測する分析のために必要である。 従来、これらの特性は、敷地から採取されたサンプルについて実験室テストを実施する事により、あるいは現場テストによって特定されていた。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】土壌サンプルの実験室テストには多くの問題がある。 特に、サンプルを採取し、これを実験室まで搬送し、このサンプルをテストのために準備する操作は、テスト結果が疑わしくなるほどにサンプルをその原始状態から変状させる。 さらにサンプルの原始現場環境(応力状態)を再現する事が困難な事が多い。 なぜかならば、その環境を限定する事が困難であり費用がかかり、また代表的な実験室テスト装置は現場環境条件を再現する能力に限りがあるからである。 従って実験室テストは、これらの環境条件を正確に考慮できないので誤差を生じる。 実験室中でこのような土壌変状を確実に評価する事ができず、また現実の環境条件を保持しまたは再現する事が不可能であるので、非常に高価なテスト構造を必要とする。 【0005】例えば現場テストに際して、与えられた土壌サンプルから前記のようなデータを捕集するために使用される種々の装置および手段が存在する。 例えば末端を閉鎖されたプローブを、(1)制御された低速で地中に進入させ、このようにして静的非循環荷重をシミュレートするが、これは同時に局所的に土壌中に激しい変状を生じる。 あるいは前記プローブを(2)激しい衝撃作用で地中に駆動するが、この場合にはプローブシリンダに隣接する土壌中に激しい変状を直ちに生じる。 また前記のようなデータを捕集するため、出願人の米国特許第4,594,899号の実施態様に記載のように、衝撃または揺動運動によって回転させられる内側シリンダを有する末端解放型円筒形装置を使用する事もできる。 しかし、テストされるサンプルを入手するためのこのような装置にも関わらず、テスト結果は掘削孔の最初の掘削による土壌の変状によって影響される可能性がある。 このような変状作用は測定データに対して大きな影響を与える。 【0006】 【課題を解決するための手段】土壌テストの結果の精度と首尾一貫性は、本発明によるテスト前に土壌表面を準備する方法および装置を使用する事によって改良される。 特に本発明は、土壌サンプルに隣接した区域中の土壌変状を減少させる事により、従来のデータ蓄積方法および装置に伴う不確実性を低減させる。 【0007】本発明の好ましい実施態様によれば、土壌テストを受けるべき土壌区域の表面を準備する方法は、 着脱自在のノーズコーン部を有するオーガビットまたは類似装置をもって掘削孔を掘削する第1段階を含む。 次にこの方法は、土壌排除装置をオーガビット本体の中に挿入する段階を含み、このオーガビットが下方に徐々に前進させられるに従って、このオーガビットを使用して掘削孔の底の土壌を徐々に制御的にトリミングして排除する。 この徐々の制御された土壌トリミングの結果、オーガビットの長手方軸線に対して本質的に垂直の実質的に平滑な表面が得られる。 従ってこの表面は、所望の土壌パラメータを測定するために各種のテスト機器を配置する事ができ、あるいは実験室テスト用のサンプルを採取するためサンプリング機器を配置する事ができる。 【0008】本発明の他の好ましい実施態様によれば、 サンプル表面を準備するための土壌排除装置が提供される。 この装置のトリミング工具が、油圧シリンダによって下方に徐々に前進させられるに従って、初期掘削孔の底に存在する土壌を制御自在に排除する。 この装置は、 初期掘削によって変状された土壌を排除するための制御可能の漸進的手段を成す。 さらにこの装置はテスト用の実質的に平坦な表面を生じ、非常にわずかの変状を受けた土壌サンプルについてテストを実施する事ができる。 このようなサンプルにより、テストデータは実際の土壌条件をさらによく反映する。 【0009】 【作用】本発明の方法および装置は、初期掘削工程による土壌の局所的変状効果を低減させる事により、種々の土壌特性の測定精度の改良をもたらす。 本発明の方法と装置を使用する事により、より正確なまたより首尾一貫したデータが得られ、その結果として、よりすぐれた構造設計が実施される。 【0010】 【実施例】以下本発明の実施例を図面につき説明する。 これらの図において同一部材について同一参照数字を使用し、図5は土壌排除装置5を示し、この土壌排除装置は油圧シリンダ7と、連結部材9と、トリミング工具1 1と、ケーシング13とを含む。 【0011】図6に図示のように、油圧シリンダ7から出た軸39がトリミング工具11の原動機ハウジング1 9に対して連結部材9によって連結されている。 軸39 は連結部材9に対して、ネジ込み連結部70によって連結されている。 さらに詳しくは、連結部材9は上フランジ44から成り、この上フランジはその上にロッド延長部48を形成され、前記ロッド延長部はネジ込連結部分52によってボール50に連結されている。 このボール50は原動機ハウジング19に対して保持リング54によって固着され、この保持リングは原動機ハウジング1 9に対してネジ込み連結部56によって連結されている。 連結部9と原動機ハウジング19の周囲に、複数のバネ47と可撓性ダストブート49が配置されている。 操作に際してトリミング工具11がボール50上を自由に回転する事により、軸39とトリミング工具11の垂直軸線との不整合に順応する手段を成す。 図示された連結部材の代わりに、軸を他の物体に連結するための通常使用される他の連結手段を使用する事ができる。 【0012】図7に図示のように、トリミング工具11 は原動機ハウジング19の中に配置された変速原動機2 1を含み、この原動機の軸23はその内部に孔14を穿孔されている。 原動機は電動機または油圧原動機とする事ができる。 原動機21は原動機ハウジング19の中に複数のねじ込まれた連結部26によって取り付けられる。 軸23と原動機ハウジング19との間に回転シール51が備えられる。 さらにねじ込み連結部26の隣接区域において、原動機21と原動機ハウジングとの間に静止シール53が備えられる。 原動機ハウジング19はその外周に配置された複数の外側ブレード28を備え、これらのブレードはケーシング13のグルーブ30の中に配置される。 これらのブレード28は、原動機21が作動されて工具ハウジング25の運動を生じる際にケーシング13の回転を防止する手段を成す。 さらにまたは他の方法として、オーガビットに対して原動機ハウジングを回転自在に取り付けるため、原動機とオーガビットハウジングとの上にそれぞれブレードとグルーブを備える事ができよう。 【0013】さらに工具ハウジング25に対して耐摩性バンド61とワイパシール63とが取り付けられる。 この耐摩性バンド61とワイパシール63はケーシング1 3と工具ハウジング25との摩擦ばめを成す。 本発明の方法により土壌排除装置5が最初の土壌トリミング段階に際してオーガビット本体1の中に下降させられる際に、このような摩擦ばめはケーシング13を工具ハウジング25に対して保持するのに十分である。 さらに、または他の方法として、ケーシング13を工具ハウジング25または原動機ハウジング19に対して保持するために、油圧作動式ラッチまたはクランプを使用する事もできる。 【0014】原動機ハウジング19は種々の用役に対して数種の連結部を有する。 さらに詳しくは、水導入口3 5、原動機21に対する電力供給または油圧供給手段3 3、およびトリミング操作に隣接する区域から余剰水を排出するため地表にポンプ輸送する排水口34が備えられる。 地表から循環流体ホース組立体27の中に導入される水または流体は、水導入口35、原動機ハウジング19の中に形成された導溝46、および原動機軸23中の孔24を通る。 【0015】付図を見れば明らかなように、工具ハウジング25は軸23の下端に対してナット29によって取り付けられる。 工具ハウジング25はケーシング13の内部に配置される。 循環流体ホース組立体27は軸23 に対して取り付け部材31によって取り付けられる。 さらに排水口34が軸23に隣接して配置されている。 また工具ケーシング25は複数の開口38を有し、これらの開口は下方区画40の中の余剰地下水などを排出口3 4から排出させる。 またケーシング13の中に複数の開口42が備えられて流体の圧力形成を防止し、あるいは地下水などの流体を工具ハウジング25とケーシング1 3との間にあふれさせてトリミングブレード39に隣接する区域が水に浸かるようにする。 また工具ハウジング25は下方プレート45を備え、循環流体ホース組立体27の種々の要素がこのプレート45を通る。 また工具ハウジング25の中に底板41が形成されこの底板にトリミングブレード39が取り付けられる。 底板41のすぐ上に捕集ヘッド43が備えられ、このヘッド43に対して循環流体ホース組立体27が連結されている。 前記のトリミングブレード39の代わりに、ローラまたはその他の類似取付け物を工具ハウジング25に取付けて、 テストされる試料の直上において土壌の非常にゆっくりした制御された排除率を生じる事ができる。 【0016】底板41に取付けられたトリミングブレード39は、工具ハウジング25の直径の約半分にわたって延在する。 土壌面に対するブレード39の角度は、それぞれの用途の現在の土壌状態に依存している。 本発明の好ましい実施態様においては、ブレードは採取される土壌面に対して45゜の角度に配置される。 しかし本発明はトリミングブレードの特定の角度に限定されるものではない。 またトリミングブレード39は底板41と一体に形成し、あるいはボルト締めまたは類似の方法によって底板に固着する事ができる。 【0017】図から明かなように、電力または油圧が原動機21に加えられる時、軸23が回転して、工具ハウジング25とトリミングブレード39とを同一方向に回転させる。 トリミングブレード39の制御された回転は、油圧シリンダ7によって生じるケーシング13および工具ハウジング25の漸進的前進と結合して、トリミングブレード39に接触した土壌を徐々に排除するための制御容易な手段を成す。 トリミングブレード39が回転するに従って、排除された土壌粒子が循環流体ホース組立体27を通して循環する水または掘削流体によって搬出される。 操作中に、排除された土壌の一部が下区画40中の水の中に同伴されたままに残る。 しかし土壌粒子の大部分は工具ハウジング25中の下方プレート45 の上側面の上に捕集される。 【0018】トリミング工具11、およびトリミング操作から発生する粒子の排除に使用される循環流体ホース組立体27は、採取される土壌が非常に湿っておりあるいは現存のウオータテーブル以下にある環境において使用されると考えられる。 アリゾナの砂漠地帯などで見られるような乾燥環境の場合に対する本発明の変更実施態様を図9に図示する。 この場合、トリミング操作の結果として排除された土壌が真空システムによって排除される。 さらに詳しくは、図9に図示のように、図7の循環流体ホース組立体27の代わりに真空ホース65が使用される。 この真空ホース組立体は軸23および捕集ヘッド43に接続される。 操作に際してこの真空システムが循環流体ホース組立体27と同一の目的を実施する事、 すなわちトリミング操作から発生した粒子を排除する事は明かであろう。 真空源は地表に配置された真空ポンプ(図示されず)または類似装置とする事ができる。 【0019】土壌排除装置5を使用する1つの方法を図1乃至図4について説明する。 さらに詳しくは図1に図示のように、オーガビット1を使用して掘削孔を掘削する。 このオーガビット1はワイヤラインで回収されるノーズコーン3を有し、このノーズコーンは最初の孔を所望の深さまで掘削した時に除去される。 その後、図2に図示のように、土壌排除装置5がオーガビット本体1の中に挿入され、油圧シリンダ7に固着された油圧クランプ2によってオーガビット本体に固着される。 油圧クランプ2はオーガビット本体1の中に配置されて、この本体1に固着されている。 土壌排除装置5がオーガビット本体の中の適当位置まで下降された後に、油圧クランプ2が地表から作動されて、土壌排除装置5に係合し、この土壌排除装置の次の動作を保証する。 正規の操作においては、オーガビットは孔の最初の掘削後にその位置に留まる。 しかし、オーガビットを孔から引き出して再挿入する事もでき、あるいは最初の掘削操作後に別のシリンダを掘削孔の中に挿入する事ができる。 【0020】図3と図7に図示のように、トリミング工具11中の原動機21がトリミングブレード39を孔の軸線回りに回転させると同時に、油圧シリンダ7が生かされてトリミング工具11とケーシング13を下方に徐々に押す。 この操作により、トリミング工具11が下方に前進させられるに従って、土壌の最上層を徐々にトリミングしまたは採取する。 このトリミング操作によって排除された土壌が循環流体ホース組立体27を通して排除される。 循環流体ホース組立体27を通して循環する流体は水、または通常の掘削用流体、または泥である。 この流体は地表から水導入口35を通して導入される。 所望の深さに達するまでこの操作が継続される。 図5に図示のように、装置の操作に必要な用役を成すために使用されるケーブルとホース4が油圧シリンダ7の周囲に緩く巻かれていて、トリミング工具11の下降運動を可能とする。 【0021】その後、ケーシング13を残したまま、土壌排除装置5をオーガビット本体1から引き出す事ができ、その結果、図4に図示の状態となる。 また図4は米国特許第4,594,899号において出願人によって記載されたようなセンサ14を示す。 この特許をここに引例とする。 しかし、本発明はテスト面が準備された後に使用される特定の検知装置によって限定されない。 【0022】図5に図示のような油圧シリンダ7はトリミング工具11を下方に徐々に押す唯一の手段ではない事を注意しよう。 油圧シリンダではなく、空気シリンダ、あるいはモータ軸に連結された歯車によって駆動される駆動ネジを備えたモータなどの装置によって下降力を生じる事ができる。 また下降力は、本発明の土壌排除装置の連結部材9に接触する適当なロッド延長部材を介して地面の装置から供給する事ができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】着脱自在のノーズコーンを備えたオーガビットによって初期掘削孔を掘削する状態を示す断面図 【図2】オーガビットの中に配置された本発明の土壌排除装置の実施態様の部分的断面図 【図3】地中に延在してトリミング操作を実施中の本発明の土壌排除装置の断面図 【図4】トリミング操作が終了して土壌排除装置を掘削孔から引き出した後のケーシングと、ケーシング下方の土壌中に挿通されたプローブとを示す部分的断面図 【図5】本発明の土壌排除装置の実施態様の各成分を示す立面図 【図6】本発明の土壌排除装置に使用される連結部の断面図 【図7】本発明の土壌排除装置のトリミング工具の実施例の拡大部分断面図 【図8】本発明の土壌排除装置のトリミング工具の下部の部分破断された斜視図 【図9】本発明の土壌排除装置の他の実施態様のトリミング工具の下部の部分破断された斜視図 【符号の説明】 1 オーガビット本体 2 クランプ 5 土壌排除装置 7 油圧シリンダ 9 連結部 11 トリミング工具 13 ケーシング 14 センサ 21 変速原動機 25 トリミング工具ハウジング 27 循環流体ホース組立体 39 トリミングブレード 41 底板 43 捕集ヘッド ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ロバート、ヘンケ アメリカ合衆国メリーランド州、ルサービ ル、ワインダム、コート、7 (72)発明者 ワンダー、ケー、ヘンケ アメリカ合衆国メリーランド州、ルサービ ル、ワインダム、コート、7 |