農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置

申请号 JP2011544347 申请日 2010-12-01 公开(公告)号 JPWO2011068245A1 公开(公告)日 2013-04-22
申请人 中島銅工株式会社; 发明人 積 平野; 積 平野; 正彦 中島; 正彦 中島;
摘要 農園芸作物用切断具の 液化 ガスの燃焼による加熱殺菌装置において、ガスカートリッジの液化ガスによって得られる熱量の利用効率を高め、確実な加熱殺菌効果が得られるようにするようにし、かつ装置の構造を簡略化する。把持部2.12に組込んだ液化ガスカートリッジ4、14からの混合ガスを刃先部3、13に形成した溝に設けたガス流路としての金属細管8、18に導き、このガス流路8、18に電熱ヒータ線9、19および燃焼反応触媒10、20を組込み、電熱ヒータ線9、19で混合ガスを加熱することにより燃焼反応触媒10、20を触媒燃焼の反応開始 温度 に加熱して刃先部3、13を加熱殺菌する。刃先部を直 接触 媒燃焼反応部で加熱するので熱伝達効果が向上する。電熱ヒータ線により混合ガスを加熱して、流路中に置かれた触媒を燃焼開始温度に予備加熱するので触媒の燃焼反応が確実に生起し、刃先部を常時過熱殺菌状態に維持することができる。
权利要求
  • 先端側に刃先部を備えた把持部を有し、液化ガスを熱源とする触媒燃焼反応により刃先部を加熱殺菌する農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置において、
    前記把持部はその内部に、
    液化ガスカートリッジと、
    前記カートリッジから吐出される液化ガスの流量制御弁と、
    前記流量弁により制御されたガスの流速により外部から空気を吸入して混合ガスを生成するエゼクタと、
    前記エゼクタからの混合ガスを刃先部側に供給するガス供給路とを有し、
    前記刃先部はその内部に、
    前記ガス供給路に連通し刃先部の内部に長手方向に沿って先端側に向けて形成された混合ガス流路と、
    前記混合ガス流路に沿って延設され、前記把持部に内蔵された供電部により通電されて発熱し、前記混合ガス流路内部の混合ガスを加熱する電熱ヒータ線と、
    前記混合ガス流路の内部部に収容され、前記電熱ヒータ線により加熱された混合ガスにより触媒燃焼反応を開始し以降触媒燃焼反応によって混合ガスを無炎燃焼させて刃先部を加熱する燃焼反応触媒とを有することを特徴とする農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置。
  • 前記把持部は内部に長手方向の空所を有し、前記空所内に液化ガスカートリッジ、流量制御弁、エゼクタ、ガス供給路および供電部を収容してなる前記請求項1記載の農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置。
  • 前記混合ガス流路は刃先部の表面に長手方向に沿って穿設した溝に収容された混合ガスを流す金属細管からなり、この金属細管中に前記電熱ヒータ線および前記燃焼反応触媒を設けた請求項1記載の農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置。
  • 前記電熱ヒータ線と前記供電部一方の極性の端子とをリード線で接続し前記電熱ヒータ線の他方の端部と前記供電部の他方の極性の端子とを把持部の金属部分を介して接続した請求項1記載の農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置。
  • 前記電熱ヒータ線への供電部は前記把持部に内蔵した電池である、請求項1記載の農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置。
  • 前記電熱ヒータ線への供電部が外部電源に対する受電端子である請求項1記載の農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置。
  • 前記刃先部および前記金属細管の前記燃焼反応触媒に対応する部分に前記燃焼反応触媒の触媒燃焼反応状態を確認する透孔を設けた前記請求項3記載の農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置。
  • 刃先部の温度を検出する熱電素子およびその出力変化で発光状態の変化する発光ダイオードからなる発光表示部を有する請求項1記載の農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置。
  • 前記液化ガスカートリッジとして流量制御を備えたカートリッジを着脱可能に設けた請求項1記載の農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置。
  • 一対の把持部と各把持部の先端側に夫々設けられ互いに回転開閉する一対の刃先部とを有し、液化ガスを熱源とする触媒燃焼反応により刃先部を加熱殺菌する農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置において、
    少なくとも一方の把持部はその内部に形成された中空部に、
    液化ガスカートリッジと、
    前記液化カートリッジから吐出される液化ガスの流量制御弁と、
    前記流量弁により制御されたガスの流速により外部から空気を吸入して触媒燃焼反応に至適な空/燃比を有する混合ガスを生成するエゼクタと、
    前記エゼクタからの混合ガスを刃先部側に供給するガス供給路とを有し、
    前記少なくとも一方の把持部に設けられた刃先部はその内部に、
    前記ガス供給路に連通して刃先部の表面の内部に長手方向に沿って先端側に向けて形成され溝中に延設された金属細管からなる混合ガス流路と、
    前記金属細管に沿って延設され、前記把持部に内蔵された供電部からの供電により発熱し、前記金属細管内部の混合ガスを加熱する電熱ヒータ線と、
    前記金属細管の内部に収容され、前記電熱ヒータ線により加熱された混合ガスにより触媒燃焼反応を開始し以降触媒燃焼反応によって混合ガスを燃焼させて刃先部を加熱する燃焼反応触媒とを有する農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置。
  • 说明书全文

    本発明は、農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置に係り、たとえば作物の収穫、摘果、剪枝等の作業に用いる切断具の刃先を加熱して切断作業中に刃先に付着するおそれのある病原性の細菌やウィルスを死滅もしくは不活性化する農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置に関する。

    農園芸作物、たとえばトマト、ナス、キュウリ等の野菜類、カトレヤ、シクラメン等の花卉類、メロン、マンゴー、ぶどう等の果実さらには煙草等の有用作物は青枯病、べと病、うどん粉病等の病原菌やモザイク病のウィルス等の感染によって立ち枯れしたり又は病変によってそれらの商品価値が全く失われることがあり、これら病原性生物の防除について従来から種々の対策が講じられている。

    病原性微生物の感染経路には種々のものがあり、切断具による摘果、集果、剪枝、樹皮の皮剥き等の日常の農作業の際の接触感染もその一つの原因となっている、感染している作物を気付かずに処理すると、刃先に付着した微生物により周辺の作物を引続く処理の際にこれらに次々と感染を生じて農場、果樹園、又はハウス等の全体の作物に致命的な損傷を生じることがある。

    このような切断具を介する接触感染を防止するため、従来から切断具の刃先を作業中薬剤で殺菌することが行われていた。 しかし、この場合には作業者が重い薬液タンクを常時携帯しなければならず、また毒性の強い殺菌液の扱いに注意する等作業者への負担が大きかった。 また巾広い抗菌スペクトルを示す殺菌液として従来有効とされていた、たとえば臭化メチルはオゾン層破壊物質であることからすでにその使用が廃止される等、薬剤による殺菌は今後環境保全の点で大きな制約を受けることが予想される。

    これら微生物が熱感受性を有し、たとえば青枯病菌が90℃以上の温度では実質的に短時間で死滅ないしは不活性化することに着目して刈刃の刃先を加熱すること、たとえば、プロパンガスを燃焼源とする燃焼装置を刃先に設けて約90℃に加熱することが試みられている。

    しかし、前記方法の場合には、刃先を90℃以上に保持しておくためのガスの消費量が約0.2kg/hrであり、ガスタンクとしてかなり大型のものが必要となる。 またプロパンガスの燃焼炎を刃先に当てゝ加熱しているので熱の利用効率が低く、かつ風によってバーナの火が消えたり、温度が一定しないこともあるとされている。

    外部電源を熱源としヒータ線により刃先を加熱する園芸用ハサミが実開昭64−11655号公報(特許文献1)に開示されている。 この特許文献1の方法では前記の欠点はある程度解消される。 しかし電源を外部の供電設備から得る場合には、広い農場などでは電源の設置場所から切断具まで長いコードを延設した状態で作業を行う必要があるため、作業者に大きな負担を生じる。

    特開2007−611号公報(特許文献2)には種々の方式のハサミがの殺菌装置が記載されており、その一例として電池によって刃に取り付けたマイクロヒータを加熱することが開示されている。 このように片手で操作する小型のハサミやナイフの場合には電源として電池を用いることも可能であるが、刃を殺菌に必要な温度(約90℃以上)に維持するためには、たとえば標準的な大きさのハサミ(全長約20cm、重量約150g)で、約10〜15Wの電が必要となる。 このような消費電力で数時間の作業中連続して通電加熱を続けるには、充電容量の大きなリチウムイオン電池であっても、単三型電池で最小4本組パックが必要となり通常のハサミに組込む機構としては大きくて高価なものになってしまう。 またこのようなパックを装置に直接組み込むことも出来ないので、ベルト等で腰に支持することになるが、この場合でもコードが接続された状態でハサミを操作することになり、前記と同様の作業上の不便さは解消できない。

    また前記特許文献2には液化ガスを熱源とする触媒燃焼反応で生じた熱で刃先を加熱殺菌する実施例も開示されている。
    この方式では液化ガスのカートリッジを熱源とするため電気加熱方式の場合のようなコード類を省略することができる。 また電池を加熱源とする場合に比較して液化ガスのカートリッジは比較的小型かつ軽量であり、同一の所要熱量を得るためのコストの面でも優れている。 さらに電池を用いた場合、その再充電に長時間を必要とするのに対し液化ガスタンクの場合は再充填時間が著しく短く付帯的な作業時間を短縮することができる。

    しかし特許文献2ではガス燃焼時に生じるブロー(燃焼排気ガス)を刃先に吹き付ける構成がとられているので、限られた容量の液化ガスタンクによる燃焼によって得られる熱量を刃先の加熱に効率的に利用できる態様ではない。 また従来のガスの燃焼機構全体をハサミに取付ける構成をとっているため、従来のハサミの形状や切断刃の構造を大きく変えることになり、製造コストが増大すると共に形態的にも必ずしも使い勝手の良いものではない。

    農園芸作供物用切断具の加熱殺菌装置においてはこのような液化ガスの触媒燃焼方式は前記のように種々の利点をもたらすが、この方式をこの特定の用途に用いるときには固有の問題があり、従来のガスごての機構をそのままでは転用できない。

    実開昭64−11655号公報

    特開2007−611号公報

    農園芸作物用の切断刃の殺菌に液化ガスを触媒反応によって燃焼させ、刃先を加熱殺菌する方式を適用することは、従来全く試みられたことがなく、したがってそれを実施する際の具体的な課題も知られていない。

    本発明において農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置に対して適用される液化ガスの触媒燃焼反応の技術の概要およびこれを農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置に適用する場合の課題についてガスハンダごてを例としてまず簡単に説明する。

    従来の典型的なガスハンダごては、基本的な要件として液化ガスのカートリッジと、液化ガスを空気と混合して混合ガスを生成するエゼクタと、混合ガスに圧電方式で点火して有炎燃焼させる有炎燃焼室と、有炎燃焼による加熱で触媒燃焼を開始する触媒燃焼反応部と、加熱チップとを有し、エゼクタからの空気と液化ガスとの混合ガスに着火して有炎燃焼させ、この炎の高温により燃焼反応部の触媒を触媒燃焼反応の開始温度まで加熱し、以降触媒による混合ガスの無炎の完全燃焼反応を継続させて加熱チップを高温に加熱してワークを熱加工する。

    本発明の農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置において、液化ガスを熱源とする方式を用いて小型小容量のガスカートリッジから得られる熱量を効果的に利用するためには、液化ガスの燃焼による触媒加熱部を肉薄な刃先の内部に直接埋込んで刃先全体への均一で熱損失の少ない熱伝達を図ることが必要である。

    前記のガスハンダごての構成において、前記有炎燃焼室および触媒燃焼反応部を切断刃の刃先に設けることは極めて困難であるが、これを手許の把持部等に配置すると、発生した熱を刃先に伝熱する際に大きな熱損失が生じ小容量のガスカートリッジでは刃先を十分に加熱することができない。

    仮にこれらを刃先に設ける場合には一般に切断刃の刃先の肉厚が薄いのでそこに埋込まれる燃焼室等の容積もそれに応じて限られたものとなる。 しかし、このような狭い空間では触媒燃焼反応開始の前段としての有炎燃焼が著しく不安定になる現象が知られている。
    例えば液化ガスに近似する性質を有するメタンガスでは燃焼管の管径が3mm以下になると有炎燃焼が困難になることが報告されており、本発明者による液化ガス(プロパン/ブタンガス)を用いた実験でも燃焼管の径を小さくすと同様な傾向が認められた。
    その他実際のハンダ付作業では空/燃比、気温、外気圧などの諸条件によって数回の点火操作を繰返して始めて有炎燃焼および触媒の反応開始に到ることもあり、触媒の着火すなわち触媒燃焼反応の開始が必ずしも確実ではないことがあった。

    ガスハンダごての場合では、着火ミスによって触媒燃焼反応部が所定の温度に加熱されていないことを見逃してハンダ付け作業に移行しても、加熱の失敗はただちにワークへのハンダ付けの不具合として反映されてこれを確認することができる。

    しかし、加熱処理の目的が病原性微生物の殺菌である本発明の農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置のような場合、加熱によって完全な殺菌が行われているかどうかを作業中に確認することはできない。 触媒燃焼反応部の非加熱状態に気づかなかった場合、仮に感染した作物を誤って切断して病原性微生物が刃先に付着している状態でさらに作業を続行すると、たとえそれが極めて低い確率であったとしても農園又はハウス全体に感染を引き起こす重大な結果を生じる場合がある。

    本発明の課題は農園芸作物用の切断具の加熱殺菌装置において熱源としての液化ガスを触媒反応により燃焼させて刃先を加熱殺菌する際に、液化ガスの燃焼により得られる燃焼熱を加熱対象とする刃先に有効に伝達させて液化ガスのカートリッジから得られる限られた熱量の利用効率を向上させると共に、前記触媒燃焼反応を確実に生起させて加熱殺菌を常時完全なものとすることの出来る具体的な構成を提供することにある。

    またこのような農園芸作物用の切断具の加熱殺菌装置は一般の農作業者等が日常使用する器具であるので、切断刃に加熱殺菌機構を組み込むことによって装置自体が大型化したり重量が増大したりすると従来の切断具を常用している作業者には大きな負担と違和感を生じさせることになる。 本発明の別の課題は従来の切断はの構造をほとんど変えることなく小型、軽量で、取扱いの容易な農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置を提供することにある。

    前記課題は基本的には液化ガスの触媒燃焼を利用した農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置において触媒燃焼反応の開始のために従来はんだごてなどで汎用されているガスの有炎燃焼による予備加熱方式に代えて電熱ヒータ線によって混合ガスを加熱する方式を用いることにより達成される。 すなわち、具体的には刃先を加熱する燃焼反応触媒、そのための混合ガス流路、混合ガス加熱用の電熱ヒータ線等を刃先自体に設けることにより触媒燃焼反応の開始を確実にし熱利用率を向上させ、またこれによって装置全体の小型化および簡略化をはかることによって達成される。

    すなわち本願発明の農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置は 先端側に刃先部を備えた把持部を有し、液化ガスを熱源とする触媒燃焼反応により刃先部を加熱殺菌する農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置において、
    前記把持部はその内部に、
    液化ガスカートリッジと、
    前記カートリッジから吐出される液化ガスの流量制御弁と、
    前記流量弁により制御されたガスの流速により外部から空気を吸入して混合ガスを生成するエゼクタと、
    前記エゼクタからの混合ガスを刃先部側に供給するガス供給路とを有し、
    前記刃先部はその内部に、
    前記ガス供給路に連通し刃先部の内部に長手方向に沿って先端側に向けて形成された混合ガス流路と、
    前記混合ガス流路に沿って延設され、前記把持部に内蔵された供電部により通電されて発熱し、前記混合ガス流路内部の混合ガスを加熱する電熱ヒータ線と、
    前記混合ガス流路の内部部に収容され、前記電熱ヒータ線により加熱された混合ガスにより触媒燃焼反応を開始し以降触媒燃焼反応によって混合ガスを無炎燃焼させて刃先部を加熱する燃焼反応触媒とを有しており、前記液化ガスタンクからエゼクタを介して刃先部のガス流路に送られる混合ガスを電熱ヒータ線への供電による発熱によって加熱し、これによってガス流路中の燃焼反応触媒をその燃焼反応の開始温度まで加熱し、以降触媒による混合ガスの触媒燃焼反応により刃先部を加熱して加熱殺菌状態に維持する。

    本発明の好ましい態様では、前記把持部は内部に長手方向の空所を有し、その空所内に液化ガスカートリッジ、流量制御弁、エゼクタ、ガス供給路および供電部が収容される。

    本発明の好ましい態様では、前記混合ガス流路は刃先部の表面に長手方向に沿って穿設した溝に収容された混合ガスを流す金属細管からなり、この金属細管中に前記電熱ヒータ線および前記燃焼反応触媒が設けられている。

    本発明の好ましい実施態様では細い金属細管中での電熱ヒータ線の帰路を省略して簡略化するため前記電熱ヒータ線と前記供電部一方の極性の端子とはリード線で接続され前記電熱ヒータ線の他方の端部と前記供電部の他方の極性の端子とは把持部の導電性部分を介して接続される。

    前記電熱ヒータ線への供電部は外部電源に対する受電端子であってもよく又は前記把持部に内蔵した電池としてもよい。

    また本発明の好ましい実施態様では前記刃先部および前記金属細管の前記燃焼反応触媒に対応する部分に前記燃焼反応触媒の触媒燃焼反応状態を確認する透孔が設けられている。

    別の態様として、刃先部の温度を検出する熱電素子およびその出力変化で発光状態の変化する発光ダイオードからなる発光表示部を設けてもよい。

    前記農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置はナイフ、包丁、鉈などからなる群より選ばれる単葉型の切断具でもよくまたは一対の刃先からなるハサミ型の切断具でもよい。
    ハサミ型の場合は、一対の把持部と各把持部の先端側に夫々設けられ互いに回転開閉する一対の刃先部とを有し、液化ガスを熱源とする触媒燃焼反応により刃先部を加熱殺菌する農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置において、
    少なくとも一方の把持部はその内部に形成された中空部に、
    液化ガスカートリッジと、
    前記液化カートリッジから吐出される液化ガスの流量制御弁と、
    前記流量弁により制御されたガスの流速により外部から空気を吸入して触媒燃焼反応に至適な空/燃比を有する混合ガスを生成するエゼクタと、
    前記エゼクタからの混合ガスを刃先部側に供給するガス供給路とを有し、
    前記少なくとも一方の把持部に設けられた刃先部はその内部に、
    前記ガス供給路に連通して刃先部の表面の内部に長手方向に沿って先端側に向けて形成され溝中に延設された金属細管からなる混合ガス流路と、
    前記金属細管に沿って延設され、前記把持部に内蔵された供電部からの供電により発熱し、前記金属細管内部の混合ガスを加熱する電熱ヒータ線と、
    前記金属細管の内部に収容され、前記電熱ヒータ線により加熱された混合ガスにより触媒燃焼反応を開始し以降触媒燃焼反応によって混合ガスを燃焼させて刃先部を加熱する燃焼反応触媒とを有する。

    本発明の農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置では前記構成に基いて液化ガスカートリッジから吐出される液化ガスの流量を流量弁で調節し、その流速によりエゼクタで外部から吸引した空気と混合して混合ガスとし、これを刃先部に設けた混合ガス流路に送る。

    混合ガス流路内に挿入された電熱ヒータ線に対する供電による発熱で混合ガスが加熱され、これによって下流側の混合ガス流路内に設けた燃焼反応触媒がその触媒反応の開始温度(たとえば約185℃)に加熱されると触媒燃焼反応が開始され、以降の触媒燃焼反応温度(約600℃)で周辺の刃先部全体をたとえば90℃以上の所定の温度に加熱して殺菌状態とする。

    ここで、本発明においては触媒の燃焼反応を開始させるための予備加熱として電熱ヒータ線によって混合ガスを加熱して、その加熱温度で燃焼反応触媒の反応を開始させる方式を採用し、把持部側に液化ガスカートリッジ、流量制御弁、エゼクタ、および供電部を設け、刃先部には混合ガスのガス流路、供電部により加熱される電熱ヒータ線および燃焼反応触媒を設ける構成としているので、その構造が極めて簡略化される。

    すなわち切断具の把持部をたとえば中空状としてその内部に液化ガスカートリッジおよびエゼクタを収容すればよく、また供電部も把持部ケースの適所に受電端子(ソケット)を設けるだけでよい。 供電部として二次電池を利用する場合も小型のボタン電池を取付るだけでよいので、装置全体の形状には大きな変化はなく重量もほとんど増加しない。

    また本発明では混合ガスのガス流路を刃先部自体に設けてこのガス流路中に混合ガスを加熱する電熱ヒータ線、およびそれによって燃焼反応を開始する燃焼反応触媒を設けているので、小型小容量の液化ガスタンクからの液化ガスによる発熱を全て直接刃先部全体に損失なく伝達してその加熱のために効率的に利用することができ、かつ切断作業に支障を生じるような刃先部の外形の変化もない。

    すなわち、混合ガス流路を刃先の表面に沿って長手方向に設けた溝又はこの溝中に埋設した金属細管とすることによって刃先の表面形状は従来の刃先と何等変わることはない。 また電熱ヒータ線、燃焼反応触媒も溝に収容した金属細管中に配設されている。

    また本発明においては触媒燃焼反応部の反応開始のために従来ガスハンダごてなどで汎用されている圧電点火によるガスの有炎燃焼による予備加熱方式に代えて電熱ヒータ線によって混合ガスを加熱しそれによって燃焼反応触媒の反応を開始させるる方式を用いているので、触媒への着火、すなわち燃焼反応触媒の開始温度への加熱が確実になり、刃先部は作業中常時加熱殺菌状態に維持される。

    本発明では現在ガスハンダごてに用いられている白金触媒としては、その反応開始温度が180〜190℃程度の特性のものが利用可能であるため、触媒に供給される混合ガスをこれ以上の温度に加熱すれば触媒の着火が可能であることに着目し、従来の圧電着火による混合ガスの有炎燃焼に代えて電熱ヒータ線により混合ガスを加熱する方式とした。 圧電着火素子によるスパークの発生は瞬間的であるため、空/燃比、気圧、ガス流量等の条件によっては必ずしも着火が安定しないのに対し、電熱ヒータ線による混合ガスの加熱は連続的であり、ヒータ線の定格やガス流量等を適宜に設定すれば電熱ヒータ線に対するたとえば2〜3秒の供電で常に混合ガスを反応開始温度以上に加熱することができ、確実に触媒反応が生起される。 これにより切断刃の表面は触媒反応による加熱で常に所定の殺菌温度に維持され農園芸作業に伴う病原性微生物の蔓延を防止することができる。

    前記ヒータ線による加熱方式によれば、従来の有炎燃焼室(およびこれに付随するシャッタ機構)を省略することができ、混合ガス流路中に電熱ヒータ線および触媒を挿入するだけでよいので、これらの部分は刃先部自体に容易に設けることができ、刃先部に沿って混合ガス流路を設けることによって、加熱部からの熱量を刃先部の表面全体に熱損失なく効率的に伝達することができる。 これに伴って、刃先部側の構造を著しく簡略化して製造コストを低下させると共にその外観形状を従来の刃先とほとんど変わりのないものとすることができる。

    一方、汎用の小型ガスカートリッジ、エゼクタ、および短時間の予備加熱の際のみに用いられる電池等は把持部の内部空間を利用して収容することもできるので構造は極めて簡単で外観形状も従来の把持部と変わらず、使い勝手の点でも特に作業に支障をきたすことはない。

    以下本発明の具体例を添付の図面により説明する。

    図1は本願発明の農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置の基本的な一実施例の構造を示す断面図である。
    図2は図1のA−A断面図である。
    図3は農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置のより具体的実験例としてのハサミの構造を示す断面図である 図4は図3のB−B断面図である。

    以下本発明を図1に示す農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置の基本的な態様を示す例によりさらに説明する。

    図1中、農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置1は本発明をたとえばじゃがいもの種芽の播種に際して、これを分割切断する単葉型の切断刃に適用したものであり、把持部2とこれに組合された刃先部3とからなる。 把持部2は中空状に形成され、その内部に通常のカートリッジタイプの液化ガスタンク4を収容する。 液化ガスタンク4は小容量のブタン/プロパンガスカートリッジであり、再充填のための注入弁4Aおよび吐出流量制御するための流量弁4Bおよびその調節用の回動ノブ4Cを有している。 液化ガスタンク4の下流側には液化ガスと空気の混合ガスを生成するためのエゼクタ5が設けられている。 エゼクタ5は把持部2の筒面に設けた外気取入口5Aに連通しており、かつ刃先部3の後述する混合ガス流路に連通するガス供給路を有している。
    把持部2には後述する電熱ヒータ線8に対する供電部6が設けられており、この実施例では再充電可能な小型リチウム二次電池が供電部として把持部2の内部に組込んである。

    一方刃先部3の側面にはエゼクタ6側の上流側(図中左側)から下流側(図中右側)の刃先のガス噴出口にかけて断面長方形の溝7が穿設してある。 溝7中には前記エゼクタ5のガス供給路5Bに連通し刃先部の溝7の先端側に到る混合ガス供給路としての金属細管8が嵌入され、この金属細管8中の下流側には燃焼反応触媒10が配置されている。 ニクロム線からなる電熱ヒータ線9が金属細管8の内部に沿って挿通され、ヒータ線9の上流側の端部は前記供電部6の一極に接続され、下流側の端部は刃先3の金属導電部を介して供電部6他の一極に接続されている。 電熱ヒータ線8の下流側には燃焼反応触媒10が設置され、燃焼反応触媒10はステンレス鋼の基板に設けたアルミナ製のサポートに担持された白金の微粒子からなる。

    図2に示すように燃焼反応触媒10はガスカートリッジ4からエゼクタ5を経て供給される混合ガスを無炎で完全燃焼させ、刃先3の全体の温度を少なくとも90℃以上に保持するために充分な有効表面積を有するように断面波形状に形成されている。

    刃先部3における溝7の溝蓋7Aおよびその溝7に収容された金属細管8の前記燃焼反応触媒10に対応する部分には燃焼反応触媒10の触媒燃焼反応動作中にその反応状態(赤熱状態)を確認するための透孔7Bが形成されている。

    前記農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置を使用する場合には、液化ガスタンク4に付設された流量弁4Bの調節ノブ4Cを回動操作して所定流量の液化ガスを吐出させ、エゼクタ5の内部でその流量に応じて取入口5Aから吸引される外気と混合して所定空/燃比の混合ガスを生成する。 ここで供電部(電池)6の図示しないスイッチが作動されると、電池6からの電流が刃先部3の表面側に形成した溝7に埋設されたガス流路としての金属細管8中の電熱ヒータ線9に供電されてヒータ線8が加熱される。 所定の短時間後、この混合ガスの加熱により金属細管8中を流れる混合ガスの燃焼温度が燃焼反応触媒10の燃焼反応開始温度(約185℃)を超えると、燃焼反応部10の触媒CATが燃焼反応による無炎燃焼を開始し、以降所定の燃焼温度(600℃)で燃焼反応触媒10による混合ガスの燃焼反応が継続し、刃先部3全体が微生物の加熱殺菌に充分な90℃以上の温度に加熱される。

    本実施態様の農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置1では燃焼反応触媒10の燃焼反応開始温度への予備加熱は混合ガス流路としての金属細管8中の混合ガスを電熱ヒータ線9により加熱することにより確実に行われ、作業開始時に触媒燃焼反応が確実に生起する。

    混合ガスの予備加熱から触媒の燃焼反応による無炎燃焼への移行、すなわち燃焼反応触媒10が燃焼反応を開始する際の安定性は農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置においては特に重要である。
    従来のはんだごてなどのワークの熱加工装置でも圧電着火が不確実で触媒への着火ミスを生じることがあるがこの場合にはそのまま作業を継続しても、その結果が加工中のワークの熱加工状態に反映され、はんだ付け不能又は不良として直ちに認識される。

    一方農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置の場合は、触媒10への着火ミスにより刃先部3の加熱殺菌がなされていない状態となっても、それによる病原性微生物などの刃先部3への付着状況は作業者には全く気ずかれない。 仮にこの状態で切断具による作物の摘果、裁断等の作業を続けると、刃先部3に付着した病原性微生物が全体の処理作物に次々と感染し重大な被害を生じるおそれがある。 したがってたとえばこのような事故を生じる確率が低くても触媒への着火についてはこの用途では極めて高い信頼性が求められる。

    前記のように圧電着火方式では混合ガスへの点火による有炎燃焼はピエゾ素子からの瞬時の放電スパークによって生じるので、はんだごて作業の場合には数回の点火操作を反復してはじめて着火に到ることもある。 本発明の電熱ヒータ線による場合は供電部からの連続的な電流により電熱ヒータ線が発熱して混合ガスが常時確実に加熱されるので、混合ガスの温度が触媒燃焼反応温度に達するまで点火ボタンを押し続けることによって、触媒がその燃焼反応の開始温度に達した時点で触媒が燃焼反応による完全はな無炎燃焼を生じ、以降この状態が継続されて刃先部3が常に加熱殺菌状態になる。

    従来の圧電着火方式のハンダごての場合では燃焼反応触媒10に接して設ける有炎燃焼室を薄い刃先3側に設けることは構造上困難であったが、本発明における電熱ヒータ線9による加熱方式では、刃先部13に沿ってその表面に穿設された溝7中に金属細管8を嵌入し、その内部に混合ガスを加熱する電熱ヒータ線9、およびそれによって無炎燃焼する燃焼反応触媒10を設ければ良いので、一般の切断具における刃先の外形や重量をほとんど変えることなく、加熱殺菌装置を容易に組込むことができる。

    この実施態様の装置では加熱殺菌装置の始動/停止の際にはカートリッジ4に付設されている流量弁4Bの調節ノブ4Cを回動させて液化ガスの吐出/停止および流量調節を行うだけで良いので操作は極めて簡単である。 この際のガスの噴出音が作業者によって容易に聴き取れるので以降作業中における触媒着火に必要な混合ガスの供給の有無は確実に判断できる。 カートリッジ4の使用中に液化ガスの噴出音が停止した場合にはこれをカートリッジのガスを使い切った状態と判断して作業を中止し、再充填/交換などを行う。

    一方電池6からヒータ線9への供電電流のON/OFFも簡単なスイッチの操作ですむ。 前記流量調節ノブ4Cの図示しない回動操作域の一方の端部にこの供電電流ON/OFF接点を設けておけば液化ガスの吐出/流量制御および電池のON/OFFを調節ノブの1回の回動操作工程で簡単に行うこともできる。

    またヒータ線9による燃焼反応触媒10の加熱後の燃焼反応への移行の際には、触媒燃焼反応の挙動を刃先3に設けた透孔7Bを通して触媒10の赤熱状態を確認してから電熱ヒータ線9の供電のON/OFFスイッチをOFF位置にすれば良い。 前記のように装置の動作状態は実際上は前記ガスの噴射音によって充分に確認できる。 これに加えてヒータ線の断線や燃焼反応触媒10の劣化など混合ガスが供給されていても触媒燃焼反応が生じないような稀にしか生じない事故の場合でもこのような直接的な確認によって燃焼反応触媒10の動作状態をより確実に知ることができる。

    以上は実用的な確認手段であるが、加熱が完全に中断しなくても何等かの原因によって刃先温度が90℃以下になったときにこれを確認する手段を設けておくことがより好ましい。 このためには刃先の適所に熱電素子を設け、前記温度の所定閾値以下への低下時にこれを検知して検知出力で発光する素子を把持部に設けておくことも考えられる。 昼光下での作業時には発光ダイオードなどの発光は確認し難いので点滅発光の形態とすることが好ましい。

    実験例 以下、本発明のより具体的な実施例として実際の実験のために用いられた農園芸作物用切断器具であるハサミを一例としてその刃先部の加熱殺菌装置を図面に示す実施例によって説明する。

    図3において、通常の摘果、剪定に用いる切断具としてのハサミ11は各一対の把持部12、12および刃先部13、13からなり、下方に示す一方の把持部12は、上方に示す刃先部13を一体に備え、液化ガスのカートリッジ14などを収容する中空部を有している。 上方の把持部12はほゞ平板状をなし、先端側で下方に示す刃先部13と一体に連接しており、少なくとも刃先部13は導電性/伝熱性の良好な工具鋼等の金属性材料からなっている。 一対の刃先部13,13はこの種のハサミに通常用いられる図示しないバネ等の部材により弾性的に回動結合されている。

    本実施例に用いたカートリッジ14はブタン/プロパンの90:10の組成比の液化ガスを加圧下に収容した約50mm×25mmφのサイズのものであり、刃先部13を常時90℃に加熱する為に必要な流量のガスを約150分にわたって供給することができる。 カートリッジ14の基端部にはガス補充用の注入弁14Aおよび先端部には流出ガスの流量制御/開閉弁14Bが設けられている。

    流量制御/開閉弁14Bの下流側にはカートリッジ14から噴出する液化ガスの流速により外気を吸引して混合するエゼクタ15が設けられており、液化ガスの速度に応じて吸引孔から外気を吸引して液化ガスと混合し、後述する燃焼反応触媒での燃焼に最適な空/燃比(31:1モル比)を有する混合ガスを生成するようになされている。 前記エゼクタ15の下流側には把持部12の中空部を通して刃先部13に到る混合ガス流露としての金属細管18(外径3mmφ)が設けられている。

    なお前記把持部12には電熱ヒータ線19に加熱電流を供給するための供電部16として外部電源と接続するリード線を有する一対の受電端子が設けられている。 実際に用いられたこの実験例では作業者の携帯するLi二次電池からの供電コードがこの受電端子に接続される。

    切断刃11の一方の刃先部13には、図3および図4に示すように、刃先の長方方向に沿って巾4mm×深さ3mm程度の溝17が形成されており、その内部に前記把持部12のエゼクタ15の下流側からの混合ガス流路としての導電性および耐熱性を有する金属細管18が埋設されている。 燃焼反応触媒CAT20を内装した金属細管18および溝17はカバーで覆われ刃先部13の一面にたとえばネジ等によって固定される(図示せず)。 この際金属細管18はやや扁平に加圧変形され、溝12の壁面に密着して固定される(図4)。

    刃先部13内の金属細管18には点火用の電熱ヒータ線19が挿入される。 ここでヒータ線19の一端は耐熱性ポリイミドで被覆したリード線により供電部としての受電端子16の一方の極性端16Aに接続され、ヒータ線19の他端は前記金属細管18に接続され刃先部13の導電部分を介して受電端子16の他方の極性端16Bに接続されている。 これにより一方のリード線を省略し金属細管18内での配線を単線路の形態に簡略化して金属細管18の限られた収容スペースを効果的に利用できるようにしている。 電熱ヒータ線19は約0.15mmφのニクロム(NCH)または鉄クロム(FCH)電熱線を外形約1.5mmφのコイル状に巻回して形成され、耐熱性のセラミック絶縁コーティングを表面側に形成してある。

    金属細管18の前記電熱ヒータ線19の下流側(刃先端側)には燃焼反応触媒20が配置されている。 燃焼反応触媒20にはその内部に収容した耐熱性に優れたステンレス系の金属箔を支持体として用い、その両面に反応面積を増加させるための担持基体としての比表面積の大きな耐熱セラミックであるアルミナを形成し、ここに白金族金属(Pt)の微粒子を高分散状態で担持させて耐熱性の燃焼反応触媒を形成してある。

    燃焼反応触媒20としての白金族金属の触媒CAT20は電熱ヒータ線19の発熱による混合ガスの加熱に伴って、約185℃の触媒燃焼反応温度に到ると反応を開始し、それ以降その赤熱状態での触媒燃焼反応によりブタン/プロパンの混合ガスを完全に無炎燃焼させる。

    本発明の前記実験例においては、ガスカートリッジ14中からの液化ガスがエゼクタ15で吸引した外気と混合されて約31:1モルの空/燃比を有する混合ガスとなってガス流路としての金属細管18を通して刃先部13に供給される。 ここで図示しない外部電池を把持部12に設けた供電部16としての受電端子に接続することにより電熱ヒータ線19が加熱されて前記混合ガスが加熱される。

    これによって金属細管18を流れる混合ガスがまず加熱され、所定の短時間(2〜3秒)の加熱により、電熱ヒータ線19の下流側に位置する燃焼反応触媒10が所定の触媒燃焼反応の開始温度の(185℃)に達し、以降燃焼反応触媒20は混合ガスに対する触媒燃焼反応により約600℃以上の温度の触媒燃焼反応を持続し、それが埋込まれている刃先部13全体を約90℃以上に加熱する。

    この触媒燃焼反応はカートリッジ14からの混合ガスが供給されている限り、継続され、農園芸作業の処理が続く間、刃先部3を前記高温に保持して確実な加熱殺菌を行い病原性微生物の付着を生じた場合でもこれを短時間で不活性化もしくは死滅させて周辺への感染の拡大を防止する。

    本実施例では切断刃としてのハサミは前記のような加熱殺菌装置を設けることによってもほとんど大型化せず、また加熱部の機構は従来のガスハンダごて等の場合に比較して大幅に簡略化されている。 すなわち、把持部は内部を中空にしてここにガスカートリッジや流量弁、エゼクタ等のガス供給機構を組み込んであるのでその形状や重量には実質的な変化はない。 また従来の圧電点火式の触媒燃焼反応による加熱機構と比較して、圧電着火による有炎燃焼のための燃焼室やそこに付設されるシャッタが省略され、ガス供給路としての金属細管、電熱ヒータ線、燃焼反応触媒などの加熱機構は刃先部に穿設した溝に収容されるのでその構造が著しく簡略され、切断刃の製作コストが低下し、作業者の操作上の負担も減少する。

    なお、前記実施例では、一方の刃先部13(図3における上側の刃先部13)にのみ混合ガス流路を設けて加熱する構成としているが、両方の刃先部13に混合ガス流路を設けて加熱する構成にしてもよい。 この場合、混合ガス流路としての金属細管を途中で分岐せ、その分岐部の周りには可撓性のある金属チューブなどを用いて、分岐した金属細管(ガス流路)を他方の刃先部13に形成する等の構造にしてもよい。

    試験例 本発明の農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置の前記実験例によるハサミを用いて実際の作物に対する加熱殺菌効果を実証する下記の試験を行った。

    供試菌液の調整 ナス青枯病菌30−2株を脇本液体培地で27℃、100rpmで36時間振とう培養し、約1×10 cells/mlに菌液を調整した。

    加熱殺菌試験 前記菌液を2本のハサミの加熱殺菌機構を組込んだ夫々の刃先部に塗布し、一方のハサミは電熱ヒータ線に3分間通電することにより刃先部を90℃に加熱し、他方のハサミは非加熱状態としてトマト苗(ポンデローザ、地上部高さ約40cm)10株の本葉第3葉と第4葉の葉柄基部を2枚続けて切った。 接種後のトマト苗を温室条件にしてガラス室で管理し、接種20日後に発病の有無を調査した。

    非加熱状態の10株中9株に青枯病の発症(萎縮病状)が認められたのに対し、90℃に加熱したハサミで処理したトマト苗には発症は全く認められずハサミの刃先部の加熱が青枯病菌の殺菌にきわめて効果的であることが確認された。

    前記菌液をあらかじめ接種され萎縮症状を呈したトマト苗(菌泥の流出確認)の茎を刃先部を加熱したハサミ、非加熱のハサミ、および消毒液としての次亜塩素酸カルシウム溶液(50倍希釈)に浸漬したハサミを用いて、夫々1回切断し、その直後に健全なトマト苗(ポンデローザ、地上部高さ約40cm)15株およびナス苗(千両二号、地上部高さ約40cm)10株の本葉第3葉と第4葉の葉柄基部を2枚続けて切断し、切断処理20日後の各苗木について青枯病の発症の有無を調べた。

    切断処理後の15株のトマト苗の中、加熱したハサミでは1株に、非加熱ハサミでは15株全てに、また次亜塩素酸ナトリウムで処理した非加熱ハサミでは5株に青枯病の発症が認められた。
    ナス苗木10株については、加熱したハサミでは1株、非加熱ハサミでは10株全てに、また次亜塩素酸ナトリウムで処理した非加熱ハサミでは5株に青枯病の発症が認められた。

    非加熱ハサミによる切断作業では全数に感染の生起が認められたのに対し、本発明の加熱したハサミでは優れた感染抑止効果を有することが確認された。 尚僅かであっても感染が生じた原因は本発明の実験例のハサミでは一方の刃先のみを加熱したことによるものと考えられる(一方の加熱刃の温度95℃、他方の刃の場合60℃)が、従来の化学薬品による処理と比較しても感染率は明らかに低下している。

    前記のように、ハサミの他方の切断刃に同様な加熱機構を設けるか、又はガスカートリッジ側からの混合ガスの供給量や電熱ヒータ線の発熱量を増大させ、もしくは刃先の形状をより小型化して他方の刃先部の温度をさらに上昇させることにより、感染防止の効果はより向上するものと考えられる。

    本発明の農園芸作物用切断具の加熱殺菌装置はハサミ、ナイフ、包丁、鉈等の種々の形式の切断具に適用することができ、その殺菌が加熱殺菌方式であるため、熱感受性を有する広い範囲の病原性微生物に対応して作物の切断作業時に生じ得る感染の蔓延を確実に防止することができる。

    1、11 切断刃2、12 把持部3、13 刃先部4、14 カートリッジ4A、14A 注入弁4B、14B 流量制御/開閉弁4C 回動ノブ5、15 エゼクタ5A、15A 吸引孔6、16 供電部(電池)
    7、17 溝7A 溝蓋7B 透孔8、18 金属細管9、19 電熱ヒータ10、20 燃焼反応触媒

    QQ群二维码
    意见反馈