湿紙搬送用ベルト

申请号 JP2014030024 申请日 2014-02-03 公开(公告)号 JP6389041B2 公开(公告)日 2018-09-12
申请人 イチカワ株式会社; 发明人 井上 健二; 梅原 亮; 田村 藍; 菅原 裕太;
摘要
权利要求

湿紙側面及び機械側面を有する補強基材と熱硬化性ポリウレタンとが一体化してなり、前記補強基材の少なくとも前記湿紙側面が、前記ポリウレタン中に埋設され、湿紙接触面を有する外周層が、前記ポリウレタンの一部で構成された、湿紙搬送用ベルトにおいて、少なくとも前記外周層が、真円度0.7以上の球状フィラーを含有し、前記球状フィラーが、無機フィラーから選択される1種以上を含有することを特徴とする、湿紙搬送用ベルト。前記球状フィラーの比表面積が、10m2/g以下であることを特徴とする、請求項1に記載の湿紙搬送用ベルト。前記球状フィラーが、前記外周層のみに含有することを特徴とする、請求項1または2に記載の湿紙搬送用ベルト。前記球状フィラーの含有量が、前記外周層の全重量(ポリウレタンとフィラーおよびその他添加剤の合計重量)に対し、10重量%以上含有することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の湿紙搬送用ベルト。前記球状フィラーの平均粒径が1.0〜100μmであることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の湿紙搬送用ベルト。前記球状フィラーが平均粒径の異なる2種類以上のフィラーを混ぜ合わせたものであることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の湿紙搬送用ベルト。前記補強基材が、前記補強基材の少なくとも機械側面に、短繊維をニードリングによって絡合一体化させた複合補強基材であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の湿紙搬送用ベルト。機械接触面を有する内周層が、前記機械側面に絡合一体化させた短繊維の一部で構成されることを特徴とする、請求項7に記載の湿紙搬送用ベルト。機械接触面を有する内周層が、前記ポリウレタンの一部で構成されることを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の湿紙搬送用ベルト。

说明书全文

本発明は、抄紙機に使用される湿紙搬送用ベルト(トランスファーベルトとも呼ぶ)に関する。

紙の原料から分を除去する抄紙機は、一般的にワイヤーパートとプレスパートとドライヤーパートとを備えている。これらワイヤーパート、プレスパートおよびドライヤーパートは、湿紙の搬送方向に沿ってこの順番に配置されている。

抄紙機には、オープンドローにて湿紙の受渡しを行うタイプのものがある。このオープンドロー抄紙機のプレスパートでは、湿紙がフェルトやベルトなどの抄紙用具、あるいはロールの何れにも支持されない箇所、即ち湿紙が単独で走行する箇所が存在し、その箇所で「紙切れ」などの問題が発生しやすい。この問題は、抄紙機を高速運転すればそのリスクは高まり、それ故、オープンドロー抄紙機の高速運転化にはある程度の限界があった。

このため、近年では、クローズドドローにて湿紙の受渡しを行うタイプが主流となっている。このクローズドドロー抄紙機のプレスパートでは、湿紙は、抄紙用フェルトあるいは湿紙搬送用ベルトに載置された状態で搬送されるため、オープンドロー抄紙機のように湿紙が単独で走行する箇所が存在しない。その結果、抄紙機の更なる高速運転化が可能となり、また、操業の安定化にもつながっている。

ここで、クローズドドロー抄紙機のプレスパートの一例を詳しく説明する。図8は、本発明の湿紙搬送用ベルトを使用したクローズドドロー抄紙機の概略構成図である。図8に示すように、紙の原料から水分を除去するクローズドドロー抄紙機2は、ワイヤーパート(図示せず)と、プレスパート3と、ドライヤーパート4とを備えている。これらワイヤーパート、プレスパート3およびドライヤーパート4は、この工程順で湿紙Wの搬送方向(矢印B方向)に沿って配置されている。

湿紙Wは、ワイヤーパート、プレスパート3およびドライヤーパート4に次々と渡されながら搬送される。湿紙Wは、プレスパート3で搾水された後、最終的にはドライヤーパート4で乾燥される。湿紙搬送用ベルト1は、抄紙機2のプレスパート3に配置されて、湿紙Wを矢印B方向に搬送するために使用される。

湿紙Wは、プレスフェルト5、6、湿紙搬送用ベルト1、ドライヤーファブリック7にそれぞれ支持されて、矢印B方向に搬送される。これらプレスフェルト5、6、湿紙搬送用ベルト1、ドライヤーファブリック7は、それぞれ無端状に構成された帯状体であり、ガイドローラー8で支持されている。

通常のクローズドドロー抄紙機では、プレスロール10に対向する位置に、シュープレス機構13が配置される。シュープレス機構13は、プレスロール10に対応した凹状のシュー9を有し、シュー9は、シュープレス用ベルト11を介してプレスロール10と共に、プレス部12を構成している。

湿紙Wは、ワイヤーパート(図示せず)からプレスパート3に渡された後、プレスフェルト5からプレスフェルト6に渡される。そして、湿紙Wは、プレスフェルト6によりシュープレス機構13のプレス部12に搬送される。プレス部12において、湿紙Wは、プレスフェルト6と湿紙搬送用ベルト1とで挟持された状態で、シュープレス用ベルト11を介したシュー9とプレスロール10とにより加圧される。その結果、湿紙W中の水分が搾水される。プレスフェルト6は、湿紙搬送用ベルト1に対し、透水性が高く構成されているため、プレス部12において、湿紙W中の水分はプレスフェルト6に移行する。湿紙Wは、こうしてプレスパート3で搾水されるとともに湿紙表面が平滑化される。

プレス部12を脱出した直後においては、湿紙W、プレスフェルト6および湿紙搬送用ベルト1は、急激に圧から解放されるので、これらの各体積が膨張する。この膨張と、湿紙Wを構成するパルプ繊維の毛細管現象とにより、プレスフェルト6内の一部の水分が湿紙Wに移行する、いわゆる「再湿現象」が生じる。しかし、湿紙搬送用ベルト1は透水性が低いので、その内部に水分を保持することは少ない。従って、湿紙搬送用ベルト1から湿紙Wに水分が移行する再湿現象はほとんど発生せず、湿紙搬送用ベルト1は湿紙Wの搾水性向上に寄与している。

プレス部12を通過した湿紙Wは、湿紙搬送用ベルト1により矢印Bに示す方向に搬送される。そして、湿紙Wは、サクションロール14に吸引され、ドライヤーファブリック7によりドライヤーパート4に搬送されて乾燥される。

ここで、湿紙搬送用ベルトの重要な要求機能の1つとして、湿紙搬送用ベルトの湿紙接触面における、湿紙の密着性および剥離性がある。即ち湿紙搬送用ベルト1には、プレス部12を脱出した直後の湿紙Wを、積極的に湿紙搬送用ベルト1の湿紙接触面に密着させる一方で、ドライヤーファブリックに湿紙Wを受け渡す際に、湿紙Wを湿紙搬送用ベルト1からスムースに剥離(離脱)させる機能が要求される。これらの要求機能が満足されない場合、紙取られといった現象が発生することがある。

紙取られとは、例えば、湿紙搬送用ベルト1の湿紙接触面の密着力が弱く、プレス部12を通過した湿紙Wが、プレスフェルト6から湿紙搬送用ベルト1に移行せずにプレスフェルト6に留まってしまう現象や、湿紙搬送用ベルト1の湿紙接触面の密着力が強く、湿紙Wが、湿紙搬送用ベルト1からドライヤーファブリック7に移行せずに湿紙搬送用ベルト1に留まってしまう現象をいう。

また、湿紙搬送用ベルトの別の重要な要求機能の1つとして、湿紙搬送用ベルトの湿紙接触面や機械接触面の耐摩耗性がある。即ち湿紙搬送用ベルト1の湿紙接触面や機械接触面の耐摩耗性を向上させることで、長期間に渡り湿紙搬送用ベルトを使用し続けることが可能となる。

上記機能を果たすために、従来から種々の湿紙搬送用ベルトが提案されている。 例えば、特許文献1には、基体の上面(湿紙側)を形成する湿紙接触側面が不透過ポリマーコーティング層によって形成され、基体の下面(ロール側面)が繊維状ウェッブによって形成された湿紙搬送用ベルトにおいて、前記不透過ポリマーコーティング層には、ポリマーコーティングよりも硬度の高い粒子が混入しており、湿紙接触側面を研磨等の手段により、その粒子を表面に突出させた湿紙搬送用ベルトが開示される。また同様に、特許文献2乃至4においても、ベルトの樹脂層に種々のフィラーを添加させることが提案されている。

なお前述したように、湿紙搬送用ベルト1は、走行中、ガイドロールに支持されている。更にまた、湿紙搬送用ベルト1の湿紙接触面は、ドクターブレードがあてがわれており、湿紙搬送用ベルト1の湿紙接触面に付着した紙の残滓やピッチが除去され、また湿紙接触面の水分プロファイルや湿紙接触面に散布される薬剤(例えば剥離剤)のプロファイルが均一になり、湿紙接触面における湿紙の密着性および剥離性が維持される。

このような湿紙搬送用ベルトの使用環境下において、上記先行技術文献に記載される湿紙搬送用ベルトを使用した場合、湿紙搬送用ベルトの樹脂に添加したフィラーによって、ガイドロールやドクターブレードが著しく摩耗してしまう恐れがあり、この点について改善することが要求されている。

特開平6−57678号公報

米国特許第6962885号公報

特表2007−530800号公報

国際公開WO2013/020745号公報

本発明は、従来の湿紙搬送用ベルトの湿紙接触面における湿紙の密着性および剥離性、ならびに湿紙搬送用ベルトの湿紙接触面や機械接触面の耐摩耗性を維持しつつ、湿紙搬送用ベルトにあてがわれるドクターブレードや湿紙搬送ベルトを支持するガイドロールに対する摩耗を低減することができる、湿紙搬送用ベルトを提供することを目的とする。

本発明は、上記課題を解決するために、湿紙側面及び機械側面を有する補強基材と水不透過樹脂とが一体化してなり、前記補強基材の少なくとも前記湿紙側面が、前記水不透過樹脂中に埋設され、湿紙接触面を有する外周層が、前記水不透過樹脂の一部で構成された、湿紙搬送用ベルトにおいて、以下の技術を適用したものである。

[1]湿紙側面及び機械側面を有する補強基材と熱硬化性ポリウレタンとが一体化してなり、前記補強基材の少なくとも前記湿紙側面が、前記ポリウレタン中に埋設され、湿紙接触面を有する外周層が、前記ポリウレタンの一部で構成された、湿紙搬送用ベルトにおいて、少なくとも前記外周層が、真円度0.7以上の球状フィラーを含有することを特徴とする、湿紙搬送用ベルト。

[2]前記球状フィラーの比表面積が、10m2/g以下であることを特徴とする、[1]に記載の湿紙搬送用ベルト。

[3]前記球状フィラーが、無機フィラーから選択される1種以上を含有することを特徴とする、[1]乃至[2]に記載の湿紙搬送用ベルト。

[4]前記球状フィラーが、前記外周層のみに含有することを特徴とする、[1]乃至[3]に記載の湿紙搬送用ベルト。

[5]前記球状フィラーの含有量が、前記外周層の全重量(ポリウレタンとフィラーおよびその他添加剤の合計重量)に対し、10重量%以上含有することを特徴とする、[1]乃至[4]に記載の湿紙搬送用ベルト。

[6]前記球状フィラーの平均粒径が1.0〜100μmであることを特徴とする、[1]乃至[5]に記載の湿紙搬送用ベルト。

[7]前記球状フィラーが平均粒径の異なる2種類以上のフィラーを混ぜ合わせたものであることを特徴とする、[1]乃至[6]に記載の湿紙搬送用ベルト。

[8]前記補強基材が、前記補強基材の少なくとも機械側面に、短繊維をニードリングによって絡合一体化させた複合補強基材であることを特徴とする、[1]乃至[7]に記載の湿紙搬送用ベルト。

[9]機械接触面を有する内周層が、前記機械側面に絡合一体化させた短繊維の一部で構成されていることを特徴とする、[8]に記載の湿紙搬送用ベルト。

[10]機械接触面を有する内周層が、前記ポリウレタンの一部で構成されることを特徴とする、[1]乃至[8]に記載の湿紙搬送用ベルト。

以上の構成により、本発明の湿紙搬送用ベルトは、従来の湿紙搬送用ベルトの湿紙接触面における湿紙の密着性及び剥離性、ならびに湿紙搬送用ベルトの湿紙接触面や機械接触面の耐摩耗性を維持しつつ、湿紙搬送用ベルトにあてがわれるドクターブレードや湿紙搬送用ベルトを支持するガイドロールに対する摩耗を低減することができる、湿紙搬送用ベルトを提供することができる。

本発明の湿紙搬送用ベルトを示す断面図。

本発明の湿紙搬送用ベルトの別の形態を示す断面図。

本発明の湿紙搬送用ベルトの別の形態を示す断面図。

本発明の湿紙搬送用ベルトの別の形態を示す断面図。

本発明の湿紙搬送用ベルトの別の形態を示す断面図。

本発明の湿紙搬送用ベルトの別の形態を示す断面図。

本発明の湿紙搬送用ベルトのポリウレタンの含浸、積層方法を示す概略図。

抄紙機のプレスパートの一例を示す概略図。

摩耗評価の試験装置に関する概略図。

以下、図面を参照して本発明の実施形態について詳細に説明する。本発明は図8に示す抄紙機のプレスパートで使用される湿紙搬送用ベルト1である。湿紙搬送用ベルト1は無端状に構成された帯状体であり、ガイドローラー8で支持されている。

図1は、本発明による湿紙搬送用ベルト1の巾方向(Cross Machine Direction:CMD方向)断面図である。湿紙搬送用ベルト1は、湿紙側面22及び機械側面23を有する補強基材24が、熱硬化性ポリウレタン25に埋設されるように、ポリウレタン25を含浸、積層、硬化させることで、補強基材24とポリウレタン25とが一体化され、湿紙接触面26を有する外周層27及び機械接触面30を有する内周層28が前記水不透過樹脂25の一部で形成されるように構成されている。そして、外周層27を構成する前記ポリウレタン25には、球状フィラー29が含有されている。

図2乃至図6は、本発明による湿紙搬送用ベルト1の別の態様を示す巾方向断面図である。図2に示される湿紙搬送用ベルト1は、湿紙側面22及び機械側面23を有する補強基材24がポリウレタン25に埋設されるように、ポリウレタン25を含浸、積層、硬化させることで、補強基材24とポリウレタン25とが一体化され、湿紙接触面26を有する外周層27及び機械接触面30を有する内周層28が前記ポリウレタン25の一部で形成されるように構成されている。そして、外周層27、内周層28を構成する前記ポリウレタン25、及び補強基材24中に含浸した前記ポリウレタン25には、球状フィラー29が含有されている。このように、内周層28に含有されたフィラーによって、機械接触面30の耐摩耗性を向上させたり、ポリウレタンの耐クラック性を向上させたりすることも可能である。

図3に示される湿紙搬送用ベルト1は、湿紙側面22及び機械側面23を有する補強基材24がポリウレタン25に埋設されるように、ポリウレタン25を含浸、積層、硬化させることで、補強基材24とポリウレタン25とが一体化され、湿紙接触面26を有する外周層27、外周層27と補強基材24の湿紙側面22との間に形成される中間層31、及び機械接触面30を有する内周層28が前記ポリウレタン25の一部で形成されるように構成されている。そして、外周層27を構成する前記ポリウレタン25には、球状フィラー29が含有されている。このように、補強基材24に隣接する中間層31、内周層28、及び補強基材24に含浸したポリウレタン25内にフィラーを含有させないことで、フィラーによる補強基材24に対する摩耗を防止することもできる。

図4に示される湿紙搬送用ベルト1は、湿紙側面22及び機械側面23を有する補強基材24の機械側面23に、短繊維33をニードリングによって絡合一体化させた複合補強基材32がポリウレタン25に埋設されるように、ポリウレタン25を含浸、積層、硬化させることで、複合補強基材32とポリウレタン25とが一体化され、湿紙接触面26を有する外周層27及び機械接触面30を有する内周層28が前記ポリウレタン25の一部で形成されるように構成されている。そして、外周層27を構成する前記ポリウレタン25には、球状フィラー29が含有されている。このように複合補強基材32を用いることによって、湿紙搬送用ベルトの強度が向上し、また製作時におけるポリウレタンの含浸速度を調整することができ、作業性を向上させることも可能である。

図5に示される湿紙搬送用ベルト1は、湿紙側面22及び機械側面23を有する補強基材24の機械側面23に、短繊維33をニードリングによって絡合一体化させた複合補強基材32の少なくとも湿紙側面22がポリウレタン25に埋設されるように、ポリウレタン25を含浸、積層、硬化させることで、複合補強基材32とポリウレタン25とが一体化され、湿紙接触面26を有する外周層27が前記ポリウレタン25の一部で形成され、機械接触面30を有する内周層28が前記短繊維33の一部で形成されるように構成されている。そして、外周層27を構成する前記ポリウレタン25には、球状フィラー29が含有されている。このように内周層28を短繊維とすることで、湿紙搬送用ベルトの柔軟性が向上し、抄紙機への掛け入れが容易となったり、ガイドロール8に対する摩耗を低減したりすることも可能である。

図6に示される湿紙搬送用ベルト1は、湿紙側面22及び機械側面23を有する補強基材24がポリウレタン25に埋設されるように、ポリウレタン25を含浸、積層、硬化させることで、補強基材24とポリウレタン25とが一体化され、湿紙接触面26を有する外周層27及び機械接触面30を有する内周層28が前記ポリウレタン25の一部で形成されるように構成されている。そして、外周層27を構成する前記ポリウレタン25には、平均粒径の異なる2種類の球状フィラー29、29’が含有されている。このように、平均粒径の異なる2種類以上の球状フィラーを外周層27に含有させることで、湿紙接触面26における湿紙の密着性や剥離性、並びに表面摩耗性、及びドクター、ガイドロールに対する摩耗性をより詳細に調整することも可能である。

補強基材24は、経糸と緯糸とを織機等により製織した織物が一般的に使用されるが、製織せずに、経糸列と緯糸列の重ね合わせによる格子状構造を採用することも可能である。

補強基材24及び短繊維33の素材としては、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等)、脂肪族ポリアミド(ポリアミド11、ポリアミド12、ポリアミド612等)、芳香族ポリアミド(アラミド)、ポリフッ化ビニリデン、ポリプロピレン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリテトラフルオロエチレン、ポリエチレン、羊毛、綿、金属等を使用することができる。

ポリウレタン25の代替素材としては、エポキシ、アクリル等熱硬化性樹脂、またはポリアミド、ポリアリレート、ポリエステル等の熱可塑性樹脂を適宜使用することができ、好適にはウレタン樹脂を使用することができる。

フィラー粒子の真円度(X)は、フィラー粒子を電子顕微鏡で撮影し、撮影された画像から粒子投影面積(A)と周囲長(C)を測定し、周囲長(C)に対する真円の面積を(B)、粒子半径(r)、円周率を(π)とすると、以下式(1)で表すことができる。 X=A/B=A/(πr2)=A/{π×(C/2π)2}=A×4π/C2 (1) 本発明における球状フィラー29、29’の真円度は、0.7以上のものをいう。

球状フィラー29、29’の素材としては、シリカ、ガラス、炭酸カルシウム、鉄、ステンレス、アルミナ、アルミニウム、亜鉛、スズ、チタン等の無機フィラーが使用できる。球状フィラー29、29’の平均粒径は1.0μm〜100μmとすることができる。球状フィラー29の比表面積は10m2/g以下とすることができる。

抄紙する紙の種類や抄紙条件により、球状フィラーの含有量は変化するが、シート密着性確保のため、外周層27に少なくとも外周層全重量(ポリウレタンとフィラーおよびその他添加剤の合計重量)に対して10重量%以上のフィラーを投入することが好ましい。また、親油性の汚れ成分(ピッチ、サイズ剤等の汚れ)の多いパートは汚れを防止するために、比較的多量にフィラーを投入し、表面を親水性にする必要があるが、球状フィラーの含有量が全重量(ポリウレタンとフィラーおよびその他添加剤の合計重量)に対して60%を超えると、湿紙搬送ベルトが硬くなりすぎ、クラックが発生する恐れがある。また密着性の高い微細なパルプ繊維を使用するパートでは、フィラーを多量に投入しすぎると、微細なパルプ繊維が湿紙搬送用ベルト表面に付着する不具合が発生する恐れがある。従って、球状フィラー29、29’の含有量は、各層における全重量(ポリウレタンとフィラーおよびその他添加剤の合計重量)に対して10重量%〜60重量%含有させることが好ましい。その他添加材とは、顔料や消泡剤等のことを言い、設計に応じて適宜添加することができる。

このように、湿紙搬送用ベルト1について、上記記載の構成とすることで、従来の湿紙搬送用ベルトの湿紙接触面における湿紙の密着性及び剥離性、ならびに湿紙搬送用ベルトの湿紙接触面や機械接触面の耐摩耗性を維持しつつ、湿紙搬送用ベルトにあてがわれるドクターブレードや湿紙搬送用ベルトを支持するガイドロールに対する摩耗を低減することができる。

次に、本発明の湿紙搬送用ベルトの具体的な製造方法の一例について説明する。 図7は、図1に示される湿紙搬送用ベルト1のポリウレタンを積層する工程を示す概略図である。図7(a)に示すように、補強基材24は、補強基材24の機械側面23が、2本の平行に配置されたロール40に接触するように掛け入れられる。そして、ロール40を回転させながら、補強基材24の湿紙側面22に樹脂吐出口42からポリウレタンが塗布され、ポリウレタンがコーターバー41を介して、補強基材24の湿紙側面22から機械側面23に貫通させ、硬化させることによって、湿紙搬送用ベルト1の内周層28を形成することができる(図7(b))。当該工程によって得られる半製品は、補強基材24の湿紙側面22を、2本の平行に配置されたロール40に接触するように掛け入れ、ロール40を回転させながら、補強基材24の機械側面23に樹脂吐出口42からポリウレタンを塗布し、コーターバー41を介して、補強基材24の機械側面23にポリウレタンを積層、硬化させることによって、湿紙搬送用ベルト1の内周層28を形成し、これを表裏反転させて得ることも可能である。

次に、ロール40を回転させながら、再度、補強基材24の湿紙側面22に樹脂吐出口42からポリウレタンを塗布し、コーターバー41を介して、ポリウレタンを積層、硬化させることで、湿紙搬送用ベルト1の外周層27を形成することができる(図7(c))。このとき、外周層27を構成するポリウレタン内に、球状フィラー29を含有させることによって、図1に示される湿紙搬送用ベルト1を得ることができる。なお、湿紙搬送用ベルト1の湿紙接触面26や機械接触面30は、必要に応じ研磨加工を施し、所望の粗さを得ることができる。

また、球状フィラー29、29’を含有させたポリウレタンを用いることや、球状フィラー29、29’を含有しない中間層31を構成すること、補強基材24の代替として複合補強基材32を用いること、を任意に設定することで、図2乃至図6に示される湿紙搬送用ベルト1を得ることができる。

以下、実施例及び比較例により本発明を説明する。 <補強基材> 実施例1乃至6及び比較例1乃至3の湿紙搬送用ベルトの補強基材は以下のものを使用した。 上経糸:ポリアミド6からなる2000dtexのツイストモノフィラメント 下経糸:ポリアミド6からなる2000dtexのツイストモノフィラメント 緯糸:ポリアミド6からなる1400dtexのツイストモノフィラメント 組織:上・下経糸40本/5cm、緯糸40本/5cm、経2重組織

<ポリウレタン> 実施例1乃至6及び比較例1乃至3の湿紙搬送用ベルトのポリウレタンは、ウレタンプレポリマーとして、トリレンジイソシアネート(TDI)とポリテトラメチレングリコール(PTMG)の混合物に、硬化剤として、ジメチルチオトルエンジアミン(DMTDA)を反応させたものを使用した。

上記補強基材及びポリウレタンを用いて、実施例1乃至6について、図1に示される湿紙搬送用ベルトを得た。また比較例1乃至3については、図1に示されるフィラーを変更し作成した。なお、各湿紙搬送用ベルトのポリウレタンの硬化条件は同一とし、ポリウレタン硬化後の湿紙接触面について研磨加工を施し、湿紙接触面の表面粗さRa(算術平均粗さ)を、何れも3μm一定とした。

実施例1乃至6の湿紙搬送用ベルトの外周層に含有される球状フィラー、比較例1乃至3の外周層に含有されるフィラーの諸条件は表1の通りとした。

実施例1乃至6及び比較例1乃至3の湿紙搬送用ベルトについて、図9に示す装置を用いて高密度ポリエチレン棒の摩耗試験を行った。なお、高密度ポリエチレン棒の摩耗量は高密度ポリエチレン棒の重量減量分で評価し、比較例3の摩耗量を100とした場合の各サンプルの摩耗量を指数化した。また、装置のテストスピードは1400m/min、テスト時間は12時間、高密度ポリエチレン棒は20mm×20mmの棒で押し付け圧は300N/mで試験を行った。摩耗試験評価結果について表1に示す。

表1に示すように、実施例1乃至6の湿紙搬送用ベルトについては、湿紙搬送用ベルト表面に接触する部材の摩耗を低減することができ、ドクターブレードに対する摩耗を低減する湿紙搬送用ベルトであることが分かる。

W:湿紙、1:湿紙搬送用ベルト、2:クローズドドロー抄紙機、3:プレスパート、4:ドライヤーパート、5・6:プレスフェルト、7:ドライヤーファブリック、8:ガイドローラー、9:シュー、10:プレスロール、11:シュープレス用ベルト、12:プレス部、13:シュープレス機構、14:サクションロール、22:湿紙側面、23:機械側面、24:補強基材、25:ポリウレタン、26:湿紙接触面、27:外周層、28:内周層、29・29’:球状フィラー、30:機械接触面、31:中間層、32:複合補強基材、33:短繊維、40:ロール、41:コーターバー、42:樹脂吐出口、43:トップロール、44:ボトムロール、45:ガイドロール、46:高密度ポリエチレン棒、47:シャワー

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