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Vacuum apparatus capable of controlling the vacuum addition ratio in air-drying the paper making process

申请号 JP51275398 申请日 1997-08-28 公开(公告)号 JP3293139B2 公开(公告)日 2002-06-17
申请人 ザ、 プロクター、 エンド、 ギャンブル、 カンパニー; 发明人 ドナルド、 ユージーン エイサイン、; ピーター、 グレーブス エイラーズ、; ポール、 デニス トロクハン、; ダニエル、 エドワード ブエンガー、;
摘要
权利要求 (57)【特許請求の範囲】
  • 【請求項1】縦方向と前記縦方向に対して垂直な幅方向とを有する抄紙機に使用される真空装置において、前記真空装置は、 先頭ウエブ対向面と後尾ウエブ対向面とから成るウエブ対向面を有するヘッドであって、前記ウエブ対向面が抄紙ベルトを支承し、前記抄紙ベルトは前記ヘッドによって支承される裏側面および該裏側面と反対側のウエブ接触面とを有し、前記ウエブ接触面はその上に紙ウエブを担持し、前記抄紙ベルトと前記ウエブは前記縦方向に走行し、前記ヘッドはさらにその中に配置され前記ウエブ対向面上にアパチュアを画成する少なくとも1つの真空溝穴を有し、前記アパチュアは前記先頭ウエブ対向面と前記後尾ウエブ対向面との間に配置され、かつ、前記真空溝穴は前記縦方向において一定長さを有し該縦方向長さに沿って相互離間された相異なる位置を通して相異なる真空圧を有するように成されたヘッドと、 前記ヘッドに連結され、かつ、前記本体は真空源まで延在し、前記少なくとも1つの真空溝穴を通して真空源に流体連通されるように成された本体と、 前記抄紙ベルトの前記ウエブ接触面に対向する外部流管理装置であって、前記外部流管理装置は、ウエブを担持した抄紙ベルトが前記外部流管理装置と前記ヘッドの前記ウエブ対向面との間を走行するように配置され、前記外部流管理装置は一定の空気流抵抗を有して前記ウエブ対向面の前記アパチュアを通る空気流の分布を制御することにより、前記真空溝穴を通して前記抄紙ベルトに加えられる真空圧の量を前記縦方向において効率的に増大させるように成された外部流管理装置とを含むこと、を特徴とする真空装置。
  • 【請求項2】縦方向と前記縦方向に対して垂直な幅方向とを有する抄紙機に使用される真空装置において、前記真空装置は、 先頭ウエブ対向面と後尾ウエブ対向面とから成るウエブ対向面を有するヘッドであって、前記ウエブ対向面が、
    紙ウエブを担持し前記縦方向に走行する抄紙ベルトを支承し、前記ヘッドはさらにその中に配置されて前記ウエブ対向面上にアパチュアを画成する少なくとも1つの真空溝穴を有し、前記アパチュアは前記先頭ウエブ対向面と前記後尾ウエブ対向面との間に配置されるように成されたヘッドと、 前記ヘッドに連結された本体であって、前記本体は真空源まで延在し、かつ前記少なくとも1つの真空溝穴を通して真空源に流体連通されるように成された本体と、 前記抄紙ベルトのウエブ接触面に対向する外部流管理装置であって、該外部流管理装置は、ウエブを担持した抄紙ベルトが前記外部流管理装置と前記ヘッドの前記ウエブ対向面との間を走行するように配置され、前記外部流管理装置は一定の空気流抵抗を有して前記ウエブ対向面の前記アパチュアを通る空気流の分布を制御することにより、前記真空溝穴を通して前記抄紙ベルトに加えられる真空圧の量を前記縦方向において増大させるように成された外部流管理装置とを含み、 前記先頭ウエブ対向面は、前記アパチュアに並置され前記抄紙ベルトから所定のZ間隔に配置された遷移区域を有し、前記Z間隔は前記縦方向に増大して前記真空溝穴を通して抄紙ベルトに加えられる真空圧の量が前記縦方向に増大し、前記遷移区域は前記縦方向に一定長さを有し、前記一定長さと前記Z間隔とのアスペクト比が少なくとも8:1であるように成されたことを特徴とする真空装置。
  • 【請求項3】抄紙機において紙ウエブを形成ワイヤから抄紙ベルトに転送するために使用される真空ピックアップ・シューであって、前記真空ピックアップ・シューは縦方向と該縦方向に対して垂直な幅方向とを有し、かつ、前記真空ピックアップ・シューは前記縦方向に走行する抄紙ベルトを支承するウエブ対向面を備えたヘッドと、前記ヘッドに連結された本体と、 前記真空ピックアップ・シューは、第1真空セクションから最後の真空セクションまで前記縦方向に順次に離間配置された複数の順次配列された真空セクションを有し、前記の各真空セクションは前記ウエブ対向面上の合成的開放面積と該合成的開放面積を通して加えられる真空圧とを有し、前記真空圧は縦方向に順次配列された真空セクションの間において増大し、ここで任意の合成的開放面積を通して加えられる前記の各真空圧は通常の合成的開放面積を通して加えられる前記真空圧より約20%
    大であり、 前記抄紙ベルトのウエブ接触面に対向する外部流管理装置であって、該外部流管理装置は、ウエブを担持した抄紙ベルトが前記外部流管理装置と前記ヘッドの前記ウエブ対向面との間を走行するように配置され、前記外部流管理装置は一定の空気流抵抗を有して前記ウエブ対向面のアパチュアを通る空気流の分布を制御することにより、真空溝穴を通して前記抄紙ベルトに加えられる真空圧の量を前記縦方向において増大させるように成された外部流管理装置とを含む、 ことを特徴とする真空ピックアップ・シューを備えた真空装置。
  • 【請求項4】縦方向と該縦方向に対して垂直な幅方向とを有する抄紙機に使用される真空装置において、前記真空装置は、 縦方向に走行する抄紙ベルトを支承するウエブ対向面を有するヘッドと、 前記ヘッドに連結され、かつ真空源と流体連通した本体と、 前記ヘッドの中に配置され前記ウエブ対向面上にアパチュアを画成する少なくとも1つの真空溝穴であって、前記少なくとも1つの真空溝穴は前記ウエブ対向面と流体連通しそこから前記本体まで延在する少なくとも1つの真空溝穴と、 前記抄紙ベルトのウエブ接触面に対向する外部流管理装置であって、該外部流管理装置は、ウエブを担持した抄紙ベルトが前記外部流管理装置と前記ヘッドの前記ウエブ対向面との間を走行するように配置され、前記外部流管理装置は一定の空気流抵抗を有して前記ウエブ対向面の前記アパチュアを通る空気流の分布を制御することにより、前記真空溝穴を通して前記抄紙ベルトに加えられる真空圧の量を前記縦方向において増大させるように成された外部流管理装置とを含み、 前記ヘッドの前記ウエブ対向面と抄紙ベルトとの間に配置される抄紙用具であって、前記ヘッドの前記ウエブ対向面と直接に接触し、かつ、前記ウエブ対向面に対して可動の抄紙用具と、を含むことを特徴とする真空装置。
  • 【請求項5】前記外部流管理装置が可動であることを特徴とする請求項1に記載の真空装置。
  • 【請求項6】前記真空装置の使用中に前記Z間隔が調節可能であることを特徴とする請求項2に記載の真空装置。
  • 【請求項7】縦方向と幅方向とを有し、紙ウエブを形成ワイヤから抄紙ベルトに転送するために抄紙機において使用される真空ピックアップ・シューであって、前記真空ピックアップ・シューは、前記縦方向に走行する抄紙ベルトを支承するウエブ対向面を備えたヘッドと、前記ヘッドに連結された本体と、 前記真空ピックアップ・シューは、紙ウエブを形成ワイヤから抄紙ベルトまで転送するのに十分な転送真空圧を有する転送区域と、前記転送真空圧と異なる初脱水真空圧を有する初脱水区域とを有し、前記転送区域と前記脱水区域はそれぞれ前記縦方向に順次に離間配列された1
    つまたは複数の真空溝穴を備え、前記の各真空溝穴が前記ウエブ対向面上にアパチュアを画成し、かつ該アパチュアを通して付与される真空圧を有し、 前記抄紙ベルトのウエブ接触面に対向する外部流管理装置であって、該外部流管理装置は、ウエブを担持した抄紙ベルトが前記外部流管理装置と前記ヘッドの前記ウエブ対向面との間を走行するように配置され、前記外部流管理装置は一定の空気流抵抗を有して前記ウエブ対向面の前記アパチュアを通る空気流の分布を制御することにより、前記真空溝穴を通して前記抄紙ベルトに加えられる真空圧の量を前記縦方向において増大させるように成された外部流管理装置とを含む、 ことを特徴とする真空ピックアップ・シューを備えた真空装置。
  • 【請求項8】前記抄紙用具は、100パスカルの差圧においてその表面積の平方メートルあたり毎分少なくとも約
    121.92立方メートルの透気度を有することを特徴とする請求項4に記載の真空装置。
  • 说明书全文

    【発明の詳細な説明】 発明の分野 本発明は一般に強で柔らかで吸収性の紙製品を製造するための抄紙機において使用される真空装置に関するものである。 さらに詳しくは、本発明は真空を制御的に加えることのできる真空装置に関するものである。

    発明の背景 現在工業社会の日常生活において普及している1つの特徴は種々の目的に対する紙製品の使用である。 紙タオル、顔用ティシュ、トイレット・ティシュなどはほとんど定常的に使用されている。 このような紙製品に対する大きな需要は製品とその製法の改良バージョンに対する要求を作り出した。 抄紙業界における大きな進歩にも拘わらず、製品とその製法の改良のための研究と開発と努力が続けられている。

    紙タオル、顔用ティシュ、トイレット・ティシュなどの紙製品は1つまたは複数のティシュ・ペーパ・ウエブから製造される。 製品がその所望の仕事をなし広く受け入れられるためには、これらの製品およびその材料のティシュ・ペーパ・ウエブが二、三の物理的特性を示さなければならない。 これらの特性のうちで最も重要なものは強度、柔らかさおよび吸収性である。

    強度とは紙ウエブがその使用中に物理的一体性を保持する能力である。

    柔らかさとは、ユーザが紙を手の中で丸めてその期待する目的のために使用する際にユーザの受ける心地よい触感である。

    吸収性とは、紙が流体、特に、水溶液および懸濁液を取り上げ保持することのできる特徴である。 紙の吸収性の評価に際しては、一定量の紙の保持する流体の絶対量が重要であるのみならず、紙が流体を吸収する速度も重要である。 さらに紙がタオルまたはワイパーなどの製品の形に形成される時には、紙が流体を取り上げることによって乾燥した払拭面を残す能力も重要である。

    ティシュ、タオル類および生理用製品に使用される紙製品の製造工程は、紙繊維の水性スラリの製造段階と、
    次にスラリから水を除去すると同時にスラリ中の繊維を再整列させて紙ウエブを形成する段階とを含む。 この脱水工程を支援するため種々の型の装置を使用することができる。

    現在、ほとんどの抄紙工程は長網ワイヤ抄紙機として知られる機械、またはツイン・ワイヤ抄紙機として知られる機械を使用している。 長網ワイヤ抄紙機においては紙スラリが走行する無限ベルト上に送られ、このベルトが機械の最初の抄紙面として作用する。 ツイン・ワイヤ機械においては、スラリは一対の集中型形成ワイヤの間に堆積させられ、これらのワイヤの間で抄紙工程の最初の脱水と繊維再配置とが実施される。

    長網ワイヤまたは形成ワイヤ上での抄紙ウエブの最初の形成後に、これら両方の型の抄紙機は一般に無限ベルトの形のしかし長網ワイヤまたは形成ワイヤと異なる他の抄紙用具上での1つまたは複数の乾燥工程の中に紙ウエブを搬送する。 この他の抄紙用具は時に乾燥ファブリックまたはベルトと呼ばれる。 ウエブがこの乾燥ウエブ上にある間に実施される乾燥工程または脱水工程は真空脱水、抄紙ウエブを通しての熱空気の吹き通しによる乾燥、および抄紙フェルトとの機械的組合わせ処理、および抄紙ウエブの少なくとも一部の次の圧縮を含むことができる。

    紙ウエブの真空脱水は通常真空装置によって実施され、この装置は初期ウエブに対して流体差圧を加えるために使用される。 形成ワイヤはウエブを形成部からピックアップ・シューに送り、次に真空ボックスに送る。 ピックアップ・シューは水をワイヤからウエブの中に吸引し、次にウエブからベルトの中に吸引する。 ベルトはウエブを水分転送点からプレス部に送る。 ピックアップ・
    シューは、シュー真空溝穴を通して加えられる真空によって、ウエブをワイヤからベルトに転送する。

    消費者によって広く受け入れている紙ウエブの例は19
    67年1月31日にサンフォードおよびシッソンに発行された米国特許第3,301,746号明細書に記載の方法によって製造された紙ウエブである。 他の広く受け入れられている紙製品は、1976年11月13日にモータンおよびリッチに発行された米国特許第3,994,771号明細書および1980年3月4日にトロカンに発行された米国特許第4,191,609
    号明細書に記載のされた方法によって製造される。 しかしこれらの2つの方法によって製造される製品の品質が高いにも拘わらず、前述のようにさらに改良された製品の研究が続けられている。

    ここに引例とする1985年1月16日にトロカンに発行された米国特許第4,529,480号明細書に記載の方法によって前記の紙ウエブに対して商業的に顕著な改良が加えられた。 この改良は抄紙ベルト(「デフレクター部材」と呼ばれる抄紙ベルト)の利用を含み、この抄紙ベルトは、硬化した感光性樹脂骨組によって包囲された多孔性織成部材から成る。 樹脂骨組は「デフレクター導管」として知られる複数の別々の相互離間されたチャンネルを備える。 このデフレクター部材が使用される方法は特に抄紙繊維の初期ウエブをデフレクター部材の上側面に取付ける段階と、デフレクター部材の背面(機械接触側面)からウエブに対して真空またはその他の流体差圧を加える段階とを含んでいた。 この方法に使用される抄紙ベルトは、流体差圧が加えられた時に抄紙繊維が硬化樹脂骨組のデフレクター導管の中に片寄らされて再配置されるが故に、「デフレクター部材」と呼ばれた。 前記の抄紙法を使用することにより、下記に詳細に説明するように一定所望の予め選択された特性を有する紙を製造することがついに可能となった。

    米国特許第4,529,480号明細書に記載の方法を使用して製造された紙は、ここに引例とするトロカンに対して発行された米国特許第4,637,859号明細書に記載されている。 この紙はその表面にそって分布された2つの物理的に相異なる別々の区域を特徴とする。 一方の区域は比較的高い密度と高い固有強度とを有する連続的網状組織区域である。 他方の区域は、網状組織区域によって完全に包囲された複数のドームから成る区域である。 これらのドームは、網状組織区域と比較して相対的に低い密度と固有強度とを有する。

    米国特許第4,529,480号明細書に記載の方法によって製造された紙は従来技術によって製造された紙よりも、
    二、三のファクタの結果、強力、柔らかまた吸収性がある。 製造された紙の強度は、連続網状組織区域によって与えられる比較的高い固有強度の結果として増加されている。 またこの紙の柔らかさは、その表面に沿って複数の低密度ドームを備える結果として増加されている。

    前記の改良法はきわめてよい結果を示すが、前記の方法によって得られるデフレクター部材が真空脱水装置(真空ピックアップシューおよび真空ボックス)上を通過させられる際に、二、三の望ましくない事象の生じることが発見された。 最も問題なのは、紙ウエブ中の多数の部分的に脱水された可動繊維がデフレクター部材を完全に通過することにある。 その結果、さらに可動的な紙繊維による真空脱水装置の望ましくない閉塞を生じる。
    他の望ましくない事象は、これらの可動紙繊維が繊維の塊を生じるまで脱水装置上に堆積する傾向である。 この繊維堆積は抄紙ベルトの平滑な後側面にシワ寄せし、折り目、特に縦方向折り目を形成する。 これらの折り目は紙の水分および物理的特性のプロファイルに関する重大な問題を生じ、場合によっては抄紙ベルトの折損を生じる。

    平滑な裏側面を有する抄紙ベルトと平滑面を有する真空装置とを使用する際に生じるこれらの事象は、少なくとも部分的には紙ウエブが真空脱水装置上を通過する際にこの紙ウエブに対して極度に急激に真空を加える結果であった。 平滑な裏側面を有する抄紙ベルトと平滑面を有する真空装置は真空源の上にシールを形成する。 次に抄紙ベルトの開放チャンネル(デフレクター導管)に出会うと、真空は樹脂骨組上に配置された高度に可動性の繊維に対して非常に急激に加えられる。 この非常に急激に加えられる真空が可動性の急激な撓みを生じ、従って繊維は抄紙ベルトを完全に通過すると思われる。 またこのように急激に加えられる真空と繊維の移動が仕上がり紙製品のドーム区域中のピンサイズの孔(またはピンホール)の原因となり、これは通常望ましくないものである。

    1994年8月2日にトロカンほかに発行された米国特許第5,334,289号明細書(ここに引例とする)は、ピンホール形成現象と真空脱水装置上の可動抄紙繊維の堆積とを軽減する改良型抄紙ベルトとその製法を開示している。 開示された抄紙ベルトの裏側面は、この裏側面の網状組織の中に表面組織不規則性を与える通路を備えた網状組織を有する。 これらの通路は、抄紙ベルトの裏側面と真空装置のウエブ対向面との間に空気を進入させる。
    このような空気の進入が抄紙ベルトの裏側面と真空装置のウエブ対向面との間の真空シールを著しく低減させまたは除去し、その結果、初期ウエブ中の繊維を徐々にまたはさらに増量的に撓ませると考えられる。

    さらに改良型製品の研究が続けられた。

    本発明の目的は前記の可動紙繊維の移動が実質的に低減される改良型抄紙法を提供するにある。

    本発明のさらに他の目的は、紙ウエブに対する急激な望ましくない真空付加を著しく軽減または除去する抄紙真空装置を提供するにある。

    本発明のさらに他の目的は、真空脱水機上の紙繊維の堆積の問題を実質的に低減する抄紙真空装置を提供するにある。

    また本発明の目的は、仕上がり紙ウエブ中のピンサイズの孔を(このような孔が製造される製品の望ましい特性でない限り)著しく低減させるのに役立つ抄紙真空装置を提供するにある。

    以下、本発明を図面に示す実施例について詳細に説明するが本発明はこれに限定されない。

    発明の概要 真空ピックアップ・シューと真空ボックスとを有する抄紙真空装置が提供される。 この真空装置は、紙ウエブを担持する抄紙ベルトの裏側面を支承するように成されたウエブ対向面を有するヘッドと、前記ヘッドに連結された本体とを有する。 ウエブ対向面は少なくとも1つの先頭面と少なくとも1つの後尾面とを有する。 真空装置のヘッドの中に少なくとも1つの真空溝穴が配置される。 この少なくとも1つの真空溝穴は、ウエブ対向面上に、前記先頭面と後尾面との間にアパチュア(開口部)
    を画成する。 この真空溝穴はウエブ対向面と流体連通し、このウエブ対向面から本体まで延在し、この本体がさらに真空源と流体連通する。

    本発明の1つの概念において、抄紙真空装置はウエブ対向面を有し、このウエブ対向面は、真空溝穴によって画成されたアパチュアに並置された区域に組織化区域を含む。 この組織化区域は17.5cm(7インチ)水銀の差圧において少なくとも約35マーラットの漏れ率を生じる。
    この流体漏れが抄紙ベルトの平滑な裏側面と真空装置のウエブ対向面との間の真空密封を除去する。

    本発明の他の概念において、真空装置のウエブ対向面は前記ヘッドの前記ウエブ対向面と抄紙ベルトとの間に配置された組織化抄紙用具を備える。 前記組織化抄紙用具は、抄紙ベルトの裏側面と真空装置のウエブ対向面との間に漏れを生じ、このようにしてこれらの2面間の真空密封を効率的に低減させまたは除去する。 好ましい実施態様において、組織化抄紙用具は真空装置回りに走行するように成された無限組織化ベルトを成す。

    本発明の他の概念において、真空装置の先頭面は、真空溝穴によって画成されたアパチュアに並置された遷移区域を有する。 この遷移区域は抄紙ベルトから所定のZ
    方向間隔を有し、このZ間隔が縦方向に増大するので、
    紙ウエブが真空溝穴上を縦方向に走行するに従って真空溝穴を通して紙ウエブに加えられる真空量が増大する。

    本発明の他の概念において、真空装置中に外部流管理装置が備えられる。 この外部流管理装置は、紙ウエブを担持した抄紙ベルトがこの外部流管理装置と真空装置のウエブ対向面との間を走行するように配置される。 外部流管理装置は一定の空気流抵抗を有し、真空装置の真空溝穴を通る空気流の縦方向分布を制御するように成される。

    本発明のさらに他の概念において、真空装置は第1真空セクションから最後の真空セクションまで順次に離間配置された複数の配列真空セクションを有する。 各真空セクションは、ウエブ対向面と流体連通しその上にアパチュアを画成する少なくとも1つの真空溝穴を有する。
    前記の各真空セクションは前記ウエブ対向面上の合成的開放面積と、この開放面積を通して加えられる真空とを有し、前記真空は前記の第1真空セクションから前記の最後の真空セクションまで増大する。 好ましくは任意の順次の合成的開放面積を通して加えられる各真空が従来の合成的開放面積を通して加えられる前記真空より約20
    %大である。

    図面の簡単な説明 第1図は本発明の真空装置を使用する連続抄紙機の1
    実施態様の概略側面立面図、 第2図は真空ピックアップ・シューと真空ボックスとを含む本発明の抄紙真空装置の実施態様の概略図、 第3A図はウエブをその上に担持した抄紙ベルトの平滑な裏側面が従来の真空装置の平滑なウエブ対向面に対向するときに生じる状態を示す従来の真空装置の概略断面図、 第3B図は組織化ウエブ対向面を有する本発明の真空装置の概略断面図、 第4図は従来技術の平滑なウエブ対向面を有する真空装置を使用する場合と本発明による組織化ウエブ対向面を有する本発明の真空装置を使用する場合とについて抄紙ベルトを通して加えられる真空を時間関数として示すグラフ、 第5A図は複数の通路を備えた組織化ウエブ対向面を有する本発明の真空装置の1実施態様の斜視図、 第5B図は長方形断面の縦方向グループを備えた組織化ウエブ対向面を有する本発明の真空装置を示す第5A図と類似の図、 第5C図は円形断面の縦方向グループを備えた組織化ウエブ対向面を有する本発明の真空装置を示す第5B図と類似の図、 第5D図は縦方向に線形増大するZ間隔を示す第5B図および第5C図に図示の真空装置の先頭組織化区域の1実施態様の垂直断面図、 第5E図は縦方向に指数関数的に増大するZ間隔を示す第5B図および第5C図に図示の真空装置の先頭組織化区域の1実施態様の垂直断面図、 第6A図はZ方向に突出した複数突起を備えた組織化面の概略平面図、 第6B図は交差グループの網状組織を有する組織化面を示す第6A図と類似の図、 第7A図は第6B図の組織化面の遷移区域の実施態様を示す概略垂直断面図、 第7B図は第6B図の組織化面の遷移区域の他の実施態様を示す概略垂直断面図、 第8図は組織化ウエブ対向面を有する真空ピックアップ・シューの概略断面図、 第9図は無限組織化ベルトの形の組織化抄紙用具を有する本発明の真空装置を使用した連続抄紙工程の部分的概略側面図、 第10A図は縦方向に連続的にまた徐々に増大する特定のZ方向間隔を有し、モジュラーセグメントの上側面によって画成される真空ピックアップ・シューを有する本発明の真空装置の概略断面図、 第10B図は回転自在要素の上側面によって画成される遷移区域を有する第10A図と類似の本発明の真空装置の概略断面図、 第10C図は引き込み式装置の上側面によって画成された遷移区域を有する第10A図および第10B図と類似の本発明の真空装置の概略断面図、 第11図は真空ピックアップ・シューと外部流管理装置とを備えた本発明の真空装置の概略断面図、 第12図は縦方向に順次離間された複数の配列真空セクションを備えた真空ピックアップ・シューを有する本発明の真空装置の概略断面図、 第13A図は3真空セクションを有し、各真空セクションがそれぞれ3真空溝穴を備えた真空ボックスの概略平面図、 第13B図は第12A図に図示の真空ボックスの13B−13B線に沿って取られた垂直断面図、 第13C図はそれぞれセクションカバーを備えた真空セクションを有する真空ボックスの概略平面図、また 第13D図は第12C図に図示の真空ボックスの13D−13D線に沿って取られた垂直断面図である。

    発明の詳細な説明 第1図に図示の代表的抄紙機において、本発明の抄紙真空装置10は真空ピックアップ・シュー100と真空ボックス200とを含む。 本明細書において、用語「真空装置」とは総称であって、前記の抄紙工程において使用されるこれら2つの型の真空装置、すなわち真空ボックス
    200と真空ピックアップ・シュー100とを指す。 この明細書を通して、説明のため真空ボックス200または真空ピックアップ・シュー100を使用した実施例および実施態様を示す。 当業者には明かなように、図示の特定の実施態様(真空ボックス200または真空ピックアップ・シュー100)にも拘わらず、本発明は前述したような総称的「抄紙用真空装置10」に適用可能である。

    第1図において、抄紙ベルト11は紙ウエブ(または「繊維ウエブ」)27をその形成の全段階を通して担持する。 ベルト11は、戻しロール19a,19b、押圧ニップロール20、戻しロール19c,19d,19g,19fおよび排出分配ロール21に掛け回されて矢印MDで示される縦方向に走行する。 第1図において、さらに抄紙ベルト11は通気ドライヤ26などの予備乾燥器に掛け回され、押圧ニップロール
    20とヤンキードライヤ・ドラム28とによって形成されるニップの間を通る。 第1図と第2図に図示のように、抄紙ベルト11はウエブ接触面11aと裏側面(または機械対向面)11bとを有する。 ウエブ接触面11aは、脱水され仕上がり製品として再配列される紙ウエブ27と接触する面である。 ベルト11の反対側面、すなわち裏側面11bは本発明による真空装置10を含めて抄紙工程に使用される抄紙機に接触しながら走行する面である。

    抄紙工程に際して、用語「縦方向」(またはMD)とは、抄紙機を通しての紙ウエブの流れに平行な方向を言う。 用語「幅方向」(またはCD)とは縦方向に対して垂直に、抄紙ベルト11の面の中に存在する。 縦方向および幅方向は本明細書の各図面においてそれぞれ矢印MDおよびCDによって表示される。

    好ましくは、本発明の真空装置10を使用する抄紙工程で使用される抄紙ベルト11は水および空気などの流体に対して比較的高い透過性を有する。 ベルト11の好ましい透気度は、100パスカルの差圧において表面積の平方メートルあたり毎分120立方メートル(平方フィートあたり毎分400立方フィート)より大である。 本発明においては、抄紙工程において乾燥のために使用するに適した任意の抄紙ベルトを使用することができる。 好ましい抄紙ベルトを開示した米国特許第4,529,480号明細書、米国特許第4,514,345号明細書、米国特許第4,637,859号明細書および米国特許第5,334,289号明細書をここに引例とする。

    第2図に図示のように、真空ピックアップ・シュー10
    0はヘッド110およびこのヘッドに連結された本体120とを含む。 ヘッド110はウエブ対向面114を有し、このウエブ対向面は少なくとも1つの先頭面114Lと少なくとも1
    つの後尾面114Tとを有する。 ウエブ対向面114は、ウエブ27を担持して矢印MD方向に走行するベルト11の支持体を成す。 好ましくは抄紙ベルト11の裏側面11bは真空ピックアップ・シュー100のウエブ対向面114と直接に接触する。 ヘッド110の中に少なくとも1つの真空溝穴116が配置されている。 この少なくとも1つの溝穴116は、少なくとも1つの先頭面114Lと少なくとも1つの後尾面11
    4Tとの間において抄紙ベルト11に接触する少なくとも1
    つのアパチュア118を画成する。

    真空溝穴116はウエブ対向面114から本体120まで延在する。 真空溝穴116は、ヘッド110のウエブ対向面114と流体連通する。 本体120はさらに真空源(図示されていない)と流体連通する。 本明細書において、2または2
    以上の要素が空気および水などの流体を(1方向または両方向に)透過することのでき、または透過するように構成されている時に、これらの要素が「流体連通性」と言われる。 真空源として、業界公知の真空を形成することのできる種々の装置が使用される。 真空源の1つの例は真空ポンプを含むがこれに限定されない。

    第2図において最もよく図示されているように、真空ピックアップ・シュー100は真空溝穴16を通して加えられた真空によってウエブ27をワイヤ23から抄紙ベルト11
    に引張り、ウエブ27から余分な水の少なくとも一部を除去する。 真空ピックアップ・シュー110のウエブ対向面1
    14が、ウエブ27を担持した抄紙ベルト11の支持体を成す。

    第2図において、本発明の真空ボックス200はヘッド2
    10とこのヘッドに連結された本体220とを含む。 ヘッド2
    10はウエブ対向面214を有し、この面214は少なくとも1
    つの先頭面214Lと少なくとも1つの後尾面214Tとを有する。 ウエブ対向面214は、ウエブ27を担持して矢印MD方向に走行するベルト11の支持体を成す。 好ましくは抄紙ベルト11の裏側面11bは真空ボックス200のウエブ対向面
    214と直接に接触する。 ヘッド210の中に少なくとも1つの真空溝穴216が配置されている。 この少なくとも1つの真空溝穴216は、ウエブ対向面214の少なくとも1つの先頭面214Lと少なくとも1つの後尾面214Tとの間において少なくとも1つのアパチュア218を画成する。 本発明の好ましい実施態様において、真空ボックス200は多溝穴型真空ボックスであって、少なくとも3真空溝穴216
    と、少なくとも3ウエブ対向先頭面214Lと、少なくとも3ウエブ対向後尾面214Tとを有する。 さらに好ましくは真空ボックス200は、少なくとも4真空溝穴216と、少なくとも4ウエブ対向先頭面214Lと、少なくとも4ウエブ対向後尾面214Tとを有する。

    本明細書を通して、「Z方向」、「Zサイズ」、「Z
    方向間隔」または「Z間隔」が引用される。 この場合、
    「Z方向」(「Zサイズ」、「Z方向間隔」または「Z
    間隔」)は真空ボックス200の真空ピックアップ・シュー100のそれぞれウエブ対向面114、214に関連する配向である。 さらに詳しくは、Z方向は任意特定点においてウエブ対向面114、214に対して垂直な配向を指す。 ウエブ対向面114、214は平坦面とし、または非平坦面とすることを注意しなければならない。 当業者には明かなように、ウエブ対向面が平坦であれば(真空ボックス200のウエブ対向面214の場合のように)、すなわちウエブ対向面214がデカルト座標のx−y面にあれば、Z方向はx−y方向に対して垂直に走るz軸であると言うことができる。 同時に、ウエブ対向面が非平坦面であれば(例えば真空ピックアップ・シュー100のウエブ対向面114のような湾曲面)、Z方向は、湾曲面上の特定点における接線に対して垂直に走る配向を言う。 当業者には明かなように、湾曲面は円形表面である必要はない。 湾曲面は本明細書において定義された本発明の目的に適した任意形状とすることができる。

    従来技術の真空装置は、比較的平滑なウエブ対向面を有する真空ピックアップ・シューおよび真空ボックスを使用する。 平滑なウエブ対向面を有する従来技術の真空装置を使用する際に生じる問題点は少なくとも部分的には、紙ウエブが抄紙工程の真空装置の上を抄紙ベルト11
    によって搬送される際に紙ウエブに対して加えられる非常に急激な真空の結果であると考えられる。 真空装置の従来技術の平滑なウエブ対向面と抄紙ベルト11の平滑な裏側面との組合わせは真空源の上の一時的なシールを形成する。 そこで抄紙ベルトの撓み導管に遭遇すると、真空は抄紙ベルト上に配置された紙ウエブに対して極度に急激に加えられる。 この真空の急激な付加が繊維ウエブ中の非常に可動的な繊維の急激な撓みを生じ、この撓みが可動繊維を抄紙ベルトを完全に通過させるのに十分となると考えられる。 従来技術の装置を使用する場合と本発明の真空装置10を使用する場合の繊維ウエブの繊維の撓みの差異が第3A図および第3B図に概略図示され第4図にグラフで図示されている。

    第3A図は、平滑な裏側面を有し紙ウエブを担持し、この紙ウエブが真空ボックス199のような従来技術の平滑なウエブ対向面を有する真空脱水装置に遭遇した際に生じると思われる状態を示す。 第3B図は、紙ウエブを担持する抄紙ベルトが真空ボックス200のような本発明の真空装置10に遭遇した時に生じると思われる状態を示す。
    第4図は、初期ウエブ27を担持し、従来技術の真空ボックス199の真空溝穴16および本発明の真空装置10の真空溝穴216を横断する抄紙ベルト11に対して真空(差圧)
    を加えた状態のグラフである。

    第3A図と第3B図に概略図示されているように、抄紙ベルト11はウエブ27を縦方向MDに(図において左方から右方に)搬送する。 第3A図において、抄紙ベルト11の一部が平滑なウエブ対向面14を有する従来技術の真空ボックス199の単一の溝穴16の上を通る。 図示されたウエブ対向面14の一部は、紙ウエブ27を担持した抄紙ベルト11が縦方向に走行する際に最初に遭遇する先頭面14Lを含み、またウエブ対向面14は、抄紙ベルト11が真空溝穴16
    の上を通過した後に遭遇する真空ボックス199の後尾面1
    4Tを含む。 真空Vは真空源(図示されていない)から加えられ、矢印V方向に抄紙ベルト11と初期ウエブ27に対して圧力を加える。 真空Vは水の一部を初期ウエブ27から除去し、初期ウエブの個々の繊維27aを抄紙ベルト11
    の導管12の中に撓ませ再配置する。

    第3A図においては、ウエブ対向面14の平滑な性質の故に、抄紙ベルト11の平滑な連続的裏側面11bと従来技術の真空ボックス199の先頭ウエブ対向面14Lとの間に、参照文字Sで示され箇所に真空シールが形成される。 抄紙ベルト11が縦方向に走行する際に、真空溝穴16に遭遇し、真空シールが突然破断され、真空Vが突然に初期ウエブ27に対して加えられる。 これは初期ウエブ27の繊維
    27aを突然に導管12の中に撓ませ、またさらに可動的な繊維の一部27aを完全に抄紙ベルト11を通過させ真空ボックス199の後尾面14Tの縁部上に堆積させる。 これらの可動繊維27aは繊維塊を成すまで堆積し、抄紙ベルト11
    が乗り越えなければならない背部を形成するにいたることが発見された。

    第3B図は本発明の真空ボックス200の一部を示す。 第3
    A図と同様に、抄紙ベルト11がウエブ27を本発明によるウエブ対向面214を有する真空ボックス200の単一の溝穴
    216の上を搬送する。 ウエブ対向面214の一部は先頭ウエブ対向面214Lと後尾ウエブ対向面214Tとを有する。 真空源(図示されていない)から加えられた真空Vが抄紙ベルト11と初期ウエブ27を二重矢印V方向に押圧する。

    第3B図に図示のように、真空ボックス200のウエブ対向面214の一部はアパチュア218に隣接した区域215を有する。 この区域215は、先頭ウエブ対向面214L上に配置された先頭面または先頭区域215Lと、後尾ウエブ対向面
    214T上に配置された後尾面または区域215Tとを含む。 この区域215が、抄紙ベルト11の平滑裏側面11bとウエブ対向面214との間の真空シールを除去する。 この除去は種々の手段によって実施することができる。 例えば、区域
    215はウエブ対向面214の平滑でない(または「組織化された」)区域とすることができる。 区域215の表面が平滑でないので、空気が抄紙ベルト11の後側面11bとウエブ対向面214との間に入るための通路219が存在する。 この空気の導入は図において大矢印VL(真空漏れ)によって示されている。 第3B図に図示のように、この空気導入
    VLはウエブ27中の繊維の撓みをさらに漸進的または増分的に成す。 抄紙ベルト11を通過してウエブ対向面214の上に堆積する繊維27aがあっても、少数である。

    「真空シール」の望ましくない結果を説明するために真空ボックス200を選択したが、通気型空気乾燥抄紙工程に使用される真空ピックアップ・シューについても同様の説明が成される。

    第4図は、第3A図および第3B図に図示の抄紙ベルト11
    が真空装置10の真空溝穴216を横断する際に抄紙ベルト1
    1に対して加えられる真空(差圧)の示すグラフである。 この第4図に図示のように、本発明の真空装置10は従来技術の真空装置と比較して、時間と共にはるかにゆっくり増大する真空を生じる。

    真空装置10の非平滑区域215を有するウエブ対向面214
    を配備することは、抄紙ベルト11の平滑後側面11bと真空装置10のウエブ対向面214との間の真空シールを除去する1つの手段である。 前述のような真空の急激付加による望ましくない結果を緩和するためのこのような真空シール除去手段およびその他の手段を本発明の目的に従って下記に説明する。

    組織化ウエブ対向面を有する真空装置 第5A図は本発明の真空ボックス200のウエブ対向面214
    の1つの実施態様のさらに詳細な、しかしさらに概略的な斜視図である。 第5A図に図示のように、ウエブ対向面
    214の少なくとも一部は「組織化」区域215を有する。 この組織化面はまた「真空装置表面組織」または「組織化面」とも呼ばれる。 本明細書において用語「組織化」とは、通常は平滑な平面である部分にいて不連続部分または非平面中断部分によって形成されるウエブ対向面11
    4、214の特徴を言う。 このような中断部分はこのような平滑面からの突出部分または平滑面中の凹部を含むことができる。

    第5A図乃至第7図は本発明により備えられる組織化区域215の種々の形状を示す。 これらの図における組織化区域215のそれぞれの型は、本発明の真空装置10において使用されうる組織化区域215を包括するものでもなく、余す所のないものでもない。 またウエブ対向面11
    4、124は平面あるいは非平面とすることができることを注意しなければならない。

    第5A図は真空装置10の1つの組織化区域215の概略図である。 この図に図示のように、組織化区域215(1)
    は、ウエブ対向面214上の不連続部分および隣接アパチュア218によって形成された通路219(1)を有する。 真空ボックス200の先頭面214L(1)は、先頭面214L
    (1)の縁部を通して「切り出された」複数の先頭通路
    219L(1)から成る先頭組織化区域215L(1)を有する。 後尾面214T(1)は後尾面214T(1)の縁部を通して「切り出された」複数の後尾通路219T(1)から成る後尾組織化区域215T(1)を有する。 第5A図に図示の実施態様においては、先頭通路214L(1)の形状と数は後尾通路214T(1)の形状および数と同一であるが、これらの形状および数は、先頭面214Lまたは後尾面214Tがまったく通路219を有しなくなるまで相違させることができる。

    本明細書において、括弧中の数字を有しない参照数字は、特定の実施態様の有無に拘わらず本発明のそれぞれの特徴に適用される総称用語または総称要素である。 その例は、真空ボックス200の「ウエブ対向面214」、ピックアップ・シュー100の「ウエブ対向面114」、真空ボックス200の「先頭面214L」および「後尾面214T」などである。 括弧中の数字を有する参照数字は、総称的に説明され、または説明されることのできる要素の特定の実施態様を示す。 その例は、真空ボックスの「複数の先頭通路219L(1)を有する先頭面214L(1)」、真空ボックスの「縦方向グループの形の複数の先頭通路219L(2)
    を有する先頭面」である。 これらの例において、数字「(1)」は本発明の特定要素の第1実施態様を示し、
    数字「(2)」は本発明の特定要素の第2実施態様を示す。 従って「先頭組織化区域215L(1)」と「後尾組織化区域215T(1)」とから成る「組織化215(1)」は組織化区域215の第1実施態様であり、「先頭組織化区域215L(2)」と「後尾組織化区域215T(2)」とから成る「組織化215(2)」は組織化区域215の第2実施態様である。

    本明細書において、用語「通路」とは流体開口を意味し、さらに詳しくは空気および水がウエブ対向面114、2
    14に沿ってアパチュア118、218の方に流れることのできる間隔を意味する。 用語「通路」は、必ず特定の形状またはサイズを有する間隙を含むと解釈してはならない。
    当業者には明かなように、先頭通路および後尾通路の形状および数の無制限な組合わせが可能であり、これらの組合わせ全部が本発明の主旨の範囲内に含まれる。 本明細書において、用語「密封区域」とは、通路を分離し好ましくは抄紙ベルト11の裏側面11bと直接に接触する組織化面215の一部を意味する。 組織化面115、215が固有の平滑面中の凹部から成る場合、密封区域は、物理的に「組織化」によって影響されず固有の平滑面の特性を保持する区域である。

    第5B図、第5C図、第5D図、第5E図は本発明の真空装置
    10の組織化区域215の他の実施態様を示す。 第5B図および第5C図において、先頭面214L(2)と214L(3)はそれぞれ比較的長い縦方向グループの形の先頭通路219L
    (2)および219L(3)を有する。 これらのグループは、縦方向に徐々に増大するZ間隔Zを有することができる。 このZ間隔Zはそれぞれ先頭面214L(2)および
    214L(3)に対して一定度で、縦方向位置の線関数として増大することができる(第5D図)。 あるいはこのZ
    間隔Zは縦方向位置の指数関数として(第5F図)、または所望ならばその他の関数として増大することができる。 またZ間隔Zは、図示のように幅方向全体において同一である必要はない。 通路219L(2)および219L
    (3)の幅方向断面輪郭は種々の形状とすることができ、例えば三角形、多角形または円形とすることができるがこれに限定されない。 例えば、第5B図は長方形断面を有する通路219L(2)を示すが、第5C図に図示の通路
    219L(3)は円形断面を有する。 当業者には明かなように、第5B図、第5C図、第5D図および第5E図はそれぞれ先頭通路219L(2)および219L(3)を有するウエブ対向面214L(2)と214L(3)のみを図示しているが、対応の後尾面(図示されていない)はこれらの先頭通路219L
    (2),219L(3)と類似または相異なる後尾通路(図示されていない)を有することができる。 同様に、当業者には明かなように、これらの後尾通路は、縦方向と逆の方向に連続的に徐々に増大するZ間隔Zを有することができる。 しかし、先頭面214Lは抄紙ベルト11が真空溝穴216の上を縦方向に走行する際に最初に遭遇させるのであるから、ベルトの裏側面11bとウエブ対向面214との間に真空シールが生じないようにするため、先頭組織化区域215Lは特に重要であることを注意しなければならない。 従って、二、三の実施態様においては、後尾組織化区域215Tは対応の先頭組織化区域215Lよりも小としまたは完全に除去することができる。

    第6A図はウエブ対向面214からZ方向に外側に延在する突起211(4)によって形成された組織化区域215を示す。 この第6A図において、突起211(4)は、先頭ウエブ対向面214上に配置された先頭面突起211L(4)と、
    後尾ウエブ対向面214T上に配置された後尾面突起211T
    (4)とを含む。 これらの突起211(4)は種々の形状および配置を有することができ、またx−y面において種々の全体パタンを画成することができる。 例えば第6B
    図はx−y面において偏菱形を成す突起211L(5)を示し、先頭面214L(5)上において非ランダム反復パタンで配置されている。 第6B図においては、突起211T(5)
    はx−y面において正方形を有し、また非ランダム反復パタンで後尾面214T(5)上に配置されている。 第6B図に図示の実施態様およびその他の網状組織などのパタンはウエブ対向面214に2方向または2以上の方向にグループを形成することによって備えられる。

    前述のように、本発明の真空装置は(前述のまたここに引例とする米国特許第4,529,480号明細書および第4,6
    37,859号明細書に記載の)樹脂骨組を有する抄紙ベルト
    11について使用することができる。 この場合、密封区域の幅方向サイズが抄紙ベルト11の撓み導管のサイズより小であることが好ましい。 このようにして、撓み導管が密封区域によってブロッキングされることなく、また真空溝穴216上を走行する紙ウエブ27が幅方向に均一に分布された真空圧を受ける。

    第7A図および第7B図に図示のように、ウエブ対向面21
    4の組織化区域215はアパチュア218と並置された区域の中に遷移区域215Zを有することができる。 この遷移区域
    215Z(5)は縦方向と逆の方向においてアパチュア218
    に並置されている(すなわち、第7A図において先頭組織化区域215L(5)に含まれる)。 あるいは、遷移区域21
    5Z(6)は第7B図に図示のように、両方向において、すなわち縦方向とその逆の方向とにおいて、アパチュア21
    8に並置されることができる(すなわち先頭組織化区域2
    15L(6)と後尾組織化区域215T(6)とに含まれることができる)。 いずれにせよ、遷移区域215Zは抄紙ベルト11の裏側面11bから特定のZ方向間隔(またはZ間隔)を有し、このZ間隔がアパチュア218の方向に連続的にまた徐々に増大する。 言い替えれば、先頭組織化面
    215Lに組合わされたZ間隔は縦方向に増大し、また後尾組織化面215Tに組合わされたZ間隔は縦方向と逆の方向に増大する。 またZ間隔は線形に増大することができる。 あるいは非線形に、例えば指数関数的に増大することができる。

    前述のように、組織化区域215の「組織」はウエブ対向面214上に不連続または中断によって形成され、これらの不連続はさもなければ平滑な面から外側に突出した突起またはこのような平滑面中の凹部を含むことができる。 この「さもなければ平滑な面」は真空装置10のウエブ対向面114、214の固有の面であって、平面とし、または非平面、例えば曲面とすることができる。 組織がこのような固有のさもなければ平滑な面から外側に突出した時によって形成される場合、これらの突起の末端は、固有のウエブ対向面よりも(Z方向に)「高く」配置された他の(仮想)面を画成しているとみなされる。 組織がこのような固有のさもなければ平滑なウエブ対向面中の凹部によって形成される場合、これらの凹部の底部は、
    固有のウエブ対向面よりも(Z方向に)「低く」配置された他の(仮想)面を画成しているとみなされる。 いずれの場合にも、Z間隔は(Z方向において)「最下」の面215から測定される。 言い替えれば、組織が固有ウエブ対向面から突出した突起によって形成されている場合、Z間隔はこの固有ウエブ対向面から測定される。 組織が固有ウエブ対向面中の凹部によって形成されている場合、Z間隔は凹部の底部によって画成される面から測定される。

    第7A図に図示のように、突起211Lの自由端部によって画成される仮想面はZ方向間隔の変化率に対応する。 突起211L(5)の自由端部によって画成される線ML(5)
    の断面輪郭は遷移区域215Z(5)の固有ウエブ対向面の断面輪郭に対して実質的に平行である。 あるいは、第7B
    図に図示のように、突起211L(6)の自由端部によって画成される線ML(6)の断面輪郭は遷移区域215Z(6)
    の固有ウエブ対向面の断面輪郭に対して不平行である。
    同様に固有ウエブ対向面中の凹部の底部によって画成される面はZ間隔の変化率に対して一致しまたは一致しない場合がある。

    理論に拘束されるつもりはないが、真空溝穴216を通して抄紙ベルト11に加えられる真空量は遷移区域215Zと抄紙ベルト11の裏側面11bとの間のZ間隔Zの連続的なまた漸進的増大により、徐々に増大すると思われる。 第
    7A図と第7B図とに図示の実施態様において、2つのファクタ、すなわち組織化面215の存在とZ間隔Zの連続的また漸進的増大とが協働して、ウエブ27に対する真空圧の急激付加の望ましくない結果を緩和する。

    当業者に明かなように、本発明の真空ボックス200に関して組織化面(およびZ間隔の漸進的増大と組合わされた組織化面)の特定の実施例を開示したが、本発明に関する限り、これらの組織化面は本発明の真空ピックアップ・シュー100に対しても、あらゆる点において適用される。

    第8図は第2図に図示の代表的なピックアップ・シュー100のヘッド110の断片を概略示す。 ヘッド110はウエブ対向面114と少なくとも1つの真空溝穴116とを有し、
    この真空溝穴はヘッド110の中に配置され、ウエブ対向面114のアパチュア118を画成する。 ヘッド110は、真空源(図示されていない)と流体連通した本体120に接続されている。 真空溝穴116はウエブ対向面114と流体連通し、またそこから本体120まで延在する。 第8図に図示のように、抄紙ベルト11はウエブ27を溝穴116(またはアパチュア118)を越えて縦方向に搬送する。 ウエブ対向面114の一部は先端面114Lと後尾面114Tとを含む。 真空Vが真空源(図示されていない)から加えられて、抄紙ベルト11および初期ウエブ27に対して矢印Vの方向に圧力を加える。

    ウエブ対向面114の少なくとも一部が組織化区域115を有し、この組織化区域115はベルトの平滑裏側面11bとウエブ対向面114との間の真空密封を除去するのに役立つ。 組織化区域115は少なくとも1つの先頭組織化区域1
    15Lを含む。 組織化区域115はまた少なくとも1つの後尾組織化区域115Tを含む。 組織化区域115はアパチュア118
    と並置されて、紙ウエブ27がアパチュア118を搬送される際の真空の急激付加の発生を許さないような漏れ状態を生じる。 17.5cm(7インチ)水銀の差圧における少なくとも約35マーラット(Marlatts)の漏れ状態が好ましい。 マーラットから標準的立方センチメートル/分への変換はマーラットで測定された読取値を下記の式に代入することによって成される。 この式において、xはマーラット読取値、またyは標準cc/minの対応値である。

    y=36.085+52.583x−.07685x 2 . マーラットを標準c/minに変換するこの式は、Buck Op
    tical Soap Bubble Meterを使用して流量計を標準型cc/
    minに校正することによって展開された。 ここに引例とする米国特許第5,334,289号明細書は漏れ量の測定を実施するテスト法とこれに使用される装置を詳細に説明している(米国特許第5,334,289号明細書、65:8−68:
    7)。 抄紙ベルトの裏側面組織化漏れ量を測定するために、米国特許第5,334,289号明細書に記載の装置を使用した。 この装置に下記の変更を加えて、本発明の真空装置の組織化面115、215の漏れの測定に使用することができる。 米国特許第5,334,289号明細書の第30図について述べれば、本発明のテストのために裏側面漏れを有しないベルト10(すなわち、0マーラットの裏側面漏れを有するベルト)を使用する。 このベルトと同一高度を有する平坦材料片を備えることによって、このベルトを制御のためにシミュレートすることができる。

    さらに米国特許第5,334,289号明細書の第30図について述べれば、ベルト10と直接に接触する板60の表面は、
    平滑ではなくテストされる特定の組織化区域を含みまたは少なくとも正確にシミュレートしなければならない。
    このような板は、考慮される組織と同一の表面組織を有するように平坦板を加工し、または歯列矯正のように考慮される組織の正および負の型をとることによって実施される。 満足な板サイズが得られるまでこれらの型を適当に隣接させ適当に配向させることができる。

    第8図は通常のピックアップ・シュー100を含み、このピックアップ・シューは1つの真空溝穴116と1つの対応のアパチュア118とを有する。 しかし本発明のピックアップ・シュー100は1以上の真空溝穴116と1以上のアパチュア118とを有することができる。 これらの複数の真空溝穴116は同一または相異なる構造を有することができる。 複数の真空溝穴116は共通の真空源と同等の真空とを有することができる。 あるいは各真空溝穴116
    が他の真空溝穴116の真空と相異なるそれぞれの真空を有することができる。 2つまたは2つ以上の真空溝穴11
    6を有する真空ピックアップ・シュー100が使用される場合、各真空溝穴116は独自の真空制御手段を有することができる。 当該業界公知の真空弁などの装置が独自の真空制御手段として使用される。

    組織化抄紙用具 第9図に図示の方法および装置は、真空ピックアップ・シュー100のウエブ対向面114と紙ウエブ27を担持するベルト11の裏側面11bとの間に介入された組織化抄紙用具300を含む。 好ましくは組織化抄紙用具300はピックアップ・シュー100のウエブ対向面114と直接に接触する。
    組織化抄紙用具300は真空装置10のウエブ対向面114と抄紙ベルト11の裏側面11bとの間に空気漏れを生じて、これらの2面間に真空シールを発生させない。 本発明の好ましい実施態様の組織化抄紙用具300は無限組織化ベルト311の形を成すが、この抄紙用具300はその他種々の形をとることができ、例えば静止組織化板の形で合体することができる。 いずれの場合にも、組織化抄紙用具300
    は真空装置10のウエブ対向面114に対して移動するように成される。

    第9図に図示のように、組織化ベルト311はウエブ対向面311aと裏側面(装置対向面)311bとを有する。 組織化ベルト311のウエブ対向面311aは、脱水され仕上がり製品状に再配置される紙ウエブ27を担持する抄紙ベルト
    11の裏側面11bと接触するベルト311の面である。 組織化ベルト311の反対側面、すなわち裏側面311bは抄紙真空ピックアップ・シュー100のウエブ対向面114にそって接触しながら走行する組織化ベルト311の面である。

    ベルト311は表面組織の不規則性を有するので「組織化」と呼ばれる。 本明細書において、用語「表面組織不規則性部分」(または単に「不規則性部分」)とは、通常の平滑な平坦な表面中の不連続または非平面中断部分、例えば平滑な表面からの突起および/またはこのような表面中の凹部を言う。 不規則性部分は組織化ベルトの裏側面311b中の不規則なまたは不均一な部分を成す部分を含む。

    第9図に略示するように、組織化ベルト311は真空ピックアップ・シュー100と戻しロール318、319との回りを走行する。 好ましくは組織化ベルト311は、紙ウエブ2
    7を担持する抄紙ベルト11の走行方向に、または縦方向に走行する。 さらに好ましくは、組織化ベルト311は抄紙ベルト11と同一速度で縦方向に走行する。 この場合、
    組織化ベルト311のウエブ対向面311aと抄紙ベルト11の裏側面11bとの間の摩擦は最小限となる。 同時に、抄紙ベルト11とウエブ対向面114との間に介在させられた組織化ベルト311がこれらの2面間の摩擦を除去する。

    抄紙ベルト11とウエブ対向面114との間の摩擦除去は抄紙ベルト11の期待寿命を著しく延長させ、またその結果、抄紙工程全体の効率を著しく高めると思われる。 抄紙ベルトの破損は抄紙工程の効率にとって重大な影響を与える。 頻繁なベルト破損は装置の「停止」期間の故に抄紙作業の経済性に大きく影響する。 抄紙ベルトの期待寿命の延長は比較的高いベルト価格の故に重要となる。
    多くの場合、多孔性織成要素(すなわち、本発明の吹き通し乾燥工程において使用される抄紙ベルトの主要要素の1つとしての補強構造)の製造は、大型の高価な織機の使用を含めて、高価なテキスタイル処理操作を必要とする。 またこれらの織成要素の中に、多量の比較的高価なフィラメントが合体される。 高耐熱性フィラメントが使用される場合、ベルト価格はさらに上昇するが、これは一般に乾燥工程を通るベルトには必要な工程である。

    好ましくはないが、組織化ベルト311は抄紙ベルト11
    よりも大きいまたは小さい速度で走行することができる。 また同様に好ましくはないが、組織化ベルト311は縦方向と逆の方向に走行することができる。 また組織化ベルト311が幅方向に走行する構造(図示されていない)も可能である。

    組織化ベルト311は周期的に移動するようにすることができる。 本明細書において、用語「周期的移動」とは一定の時間間隔での組織化ベルト311の回帰運動と定義される。 組織化ベルト311の周期的運動は、組織化ベルトの一定の単数または複数の区域の洗浄のための追加的時間(組織化ベルト311が運動していない期間)を与えるので、組織化ベルト311の洗浄の目的から有効である。 洗浄工程を下記に説明する。 好ましくは、組織化ベルト311は水および空気などの流体に対して高い透過性を有する。 ベルト311の好ましい透気度は100パスカルの差圧において、その表面の平方メートル(平方フィート)あたり毎分少なくとも約121.92立方メートル(400
    立方フィート)である。 本発明においては、吹き通し乾燥工程に適した任意の組織化ベルトを組織化ベルト311
    として使用することができる。 テキスタイル面を有する抄紙ベルトを開示した米国特許第4,529,480号明細書、
    米国特許第4,514,345号明細書、米国特許第4,637,859号明細書および米国特許第5,334,289号明細書をここに引例とする。 本発明においては、ジャッカード機構または織機を使用して織成された抄紙ベルトを使用することもできる。

    好ましくは第9図に図示のように、本発明の組織化ベルト311を使用する抄紙工程は組織化ベルト311を洗浄するための洗浄ステーション320を含む。 組織化ベルト311
    は真空ピックアップ・シュー100の真空溝穴116上を通過する際に、加えられた真空の結果として抄紙ベルト11を通過する可能性のある可動繊維を堆積させることができる。 このようにして、組織化抄紙用具311は漏れ作用を生じることによって紙ウエブ27に対する真空の急激付加の望ましくない結果を低減させるのみならず、真空装置
    10を抄紙ベルト11を通過することのできるような非常に可動性の繊維の堆積から防護する。 好ましくは、本発明の洗浄ステーション320は少なくとも1つのシャワーと縦方向に後続の真空ボックスとを含む。 シャワーは組織化ベルト311から、堆積した繊維を洗浄し、次に真空ボックスが組織化ベルトを乾燥する。 組織化ベルト311の洗浄工程は業界公知であって、当業者には公知である。

    遷移区域を含むウエブ対向面を有する真空装置 第10A図は抄紙工程において真空ピックアップ・シュー100が真空溝穴116を通して加えられる真空Vによって、紙ウエブ27をワイヤ23から抄紙ベルト11の方に引張る段階を示す。 第8図と同様に、ヘッド110は、紙ウエブ27を担持した抄紙ベルト11を支承するように成されたウエブ対向面114と、少なくとも1つの真空溝穴116とを有する。 溝穴116はウエブ対向面114上にアパチュア118
    を画成する。 ヘッド110は本体120に連結され、この本体は真空源(図示されていない)と流体連通する。 真空溝穴116はウエブ対向面114に流体連通し、そこから本体12
    0まで延在する。 第10A図に図示のように、抄紙ベルト11
    は初期ウエブ27を矢印MDで示された縦方向に、溝穴116
    上を搬送する。 ウエブ対向面114の一部は少なくとも1
    つの先頭面114Lと少なくとも1つの後尾面114Tとを有する。 真空源(図示されていない)から真空Vが加えられ、抄紙ベルト11と初期ウエブ27とに対して矢印V方向に追加的圧力を加える。

    第10A図に図示のように、先頭図114Lはアパチュア118
    に並置された遷移区域115zを有する。 遷移区域115zはボルト11の裏側面11bから特定のZ方向間隔(またはZ間隔)Zを有し、この間隔は、抄紙ベルト11が紙ウエブ27
    と共に縦方向に前進するに従って縦方向に連続的に徐々に増大する。 理論に拘束されるつもりはないが、遷移区域115zの存在の故に、真空溝穴116を通してウエブ27に加えられる真空の量は、ウエブ27がアパチュア118の前を縦方向に前進するに従って、徐々に増大すると思われる。 従って、このような遷移区域115zとベルト11との間のZ間隔Zの連続的な漸進的増大が、紙ウエブ27のアパチュア118上の通過に際して真空の極度に急激な付加を生じないようにする。

    遷移区域115zと抄紙ベルト11の裏側面11bとの間のZ
    間隔Zの連続的漸進的増大は線形増大を含むことができる。 あるいはこのような増大は非線形、例えば指数関数的増大とすることができる。 この場合、指数関数的増大とは、Z間隔が関数Fxに比例し、xが1より大であることを意味する。 Z間隔は、その極大値Zmaxに達するまで、縦方向に増大する。

    代表的な市販の抄紙装置の場合、遷移区域115zは少なくとも約1.27cm(0.5インチ)、好ましくは少なくとも約2.54cm(1インチ)の長さWを有する。 長さWは縦方向に測定された区域115zの幾何学的長さであって、すなわち長さWは遷移区域115zが平面であれば直線であり、
    遷移区域115zが湾曲面であれば曲線であり、この曲線は縦方向における遷移区域115zの湾曲面の形状に一致する。 遷移区域115z(215z)は、抄紙ベルト11のその任意のサイクルにおいて、Z間隔の増大の開始により抄紙ベルト11が最初に先頭ウエブ対向面114L(214L)から永久的に分離する点から始まる。 遷移区域115z(215z)は、
    通常の表面凹凸または加工半径など、遷移区域を形成する意図のない通常の加工処理によって形成された区域を意味すると解釈してはならないことに注意しなければならない。 遷移区域115zは、その縦方向長さWとその極大値Zmax間隔との比率としての概念比W:Zmaxが少なくとも約6:1、さらに好ましくは少なくとも約8:1となることが好ましい。

    本発明の真空ピックアップ・シュー100の中に、Z間隔の増大を調節する手段を備えることができる。 このような調節可能のZ間隔(または遷移区域115zの調節可能位置)は抄紙工程の特定点において、工程を中断することなく、紙ウエブに加えられる真空レベルを選択する自由を増大する。 第10A乃至第10C図は調節可能Z間隔を有する種々の実施態様を示す。

    第10A図はモジュラー・セグメント400の上側面によって画成され遷移区域115z(1)を有する本発明の真空ピックアップ・シュー100の実施態様を示す。 与えられた抄紙工程の特有の条件および遷移区域115zにおける真空の所望の増大率に依存して、モジュラー・セグメント40
    0を除去し、遷移区域115z(1)を画成する相異なる形の上側面410を有する他のモジュラー・セグメントと交換することができる。

    第10B図は、回転要素500の上側面510によって画成される遷移区域115z(2)を有する本発明の真空ピックアップ・シュー100の他の実施態様の断片を示す。 回転自在要素500は真空ピックアップ・シュー100のヘッド110
    に対してヒンジ連結されるように設計されている。 回転要素500はZ間隔の増大度を効率的に変動させるように、ヒンジ501回りに回転することができる。 回転自在要素500の正確な位置は操作員によって手動的に調節される。 あるいは、回転自在要素500の位置は、与えられた抄紙工程の特定の条件と製造される紙の所望の特性とに依存して、自動的に調節可能とすることができる。

    第10C図は調節可能遷移区域115zのさらに他の実施態様を示す。 この図に図示されているように、遷移区域11
    5z(3)は引き込み式装置600の上側面610によって画成される。 この引き込み式装置600はハウジング170からヘッド110の中に滑動自在に延在し、ハウジング170の中に完全にまたは部分的に引き込まれる。 使用されない時、
    装置600はハウジング170の中に後退させられている。 使用に際して、装置600は必要な遷移区域115z(3)を生じるのに必要なだけハウジング170から突出される。 遷移区域115zは上側面610の一部のみによって画成されることを指摘しなければならない。 第10C図に図示のように、引き込み式装置600は、ウエブ対向面114の非遷移区域の形状に対応し従って遷移区域115zを画成しない上側面部分615を有する。

    回転自在要素500と引き込み式装置600は操作員によって手動的に調節される。 あるいはまた予告的に、これらの要素および装置は第10B図に図示のような流量計700からの信号に応答して自動的に調節することができる。 このようなオプションは当業者の力量の範囲内にある。 流量計700は、遷移区域115z(3)に近接して流れる空気流量を測定する。 空気流量が与えられた抄紙工程および製造される紙ウエブの所望の品質の特定条件に基づいて予選定された空気流量の一定の事前設定レベルより高くまたは低い場合には、流量測定装置700がエラー信号を発生して装置600または回転自在要素500を調節し、このようにして遷移区域115z中の空気流量を低減または増大させる。

    予告的に、回転自在要素500および引き込み式装置600
    を、装置600に関する第10C図に図示のように、繊維検出システム800からの信号に応答して自動的に調節可能とすることができる。 センサとしての繊維検出システム80
    0は真空溝穴116を通過する空気流中に存在する遊離繊維
    27aを検出することができる。 検出された遊離繊維27aの数が一定の予選定しきい値より大となった時、この繊維検出システム800がエラー信号を発生して装置600または回転自在要素500をこれに対応して調節する(おそらくは、延長させる)。 繊維検出システム800は空気流量測定装置700に対する追加的手段または代替手段として利用することができる。

    流量管理装置を有する真空装置 第11図は外部流管理装置900を有する真空ピックアップ・シューを示す。 第11図は、真空溝穴116を通して加えられる真空Vを利用して紙ウエブ27をワイヤ23から抄紙ベルト11に引張る段階を示す。 第8図および第10A図と同様に、ヘッド110は、紙ウエブ27を担持した抄紙ベルト11を支承するように成されたウエブ対向面114と、
    少なくとも1つの真空溝穴116とを有する。 溝穴116は縦方向に所定の長さを有し、ウエブ対向面114上にアパチュア118を画成する。 ヘッド110は本体120に連結され、
    この本体は真空源(図示されていない)と流体連通する。 真空溝穴116はウエブ対向面114に流体連通し、そこから本体120まで延在する。 第10A図に図示のように、抄紙ベルト11は初期ウエブ27を矢印MDで示された縦方向に、溝穴116上を搬送する。 ウエブ対向面114の一部は少なくとも1つの先頭面114Lと少なくとも1つの後尾面11
    4Tとを有する。 真空源(図示されていない)から真空V
    が加えられ、抄紙ベルト11と初期ウエブ27とに対して矢印V方向に追加的圧力を加える。

    本発明によれば、外部流管理装置900は、紙ウエブ27
    を担持した抄紙ベルト11が真空ピックアップ・シュー10
    0のウエブ対向面114とこの外部流管理装置900との間を走行するように配置されている。 外部流管理装置900はワイヤ23と抄紙ベルト11のウエブ接触面11aとに対向している。 また第11図に図示のように、外部流管理装置90
    0はアパチュア118の区域において真空ピックアップ・シュー100のウエブ対向面114に対向する。 外部流管理装置
    900は一定の流れ抵抗を有し、従って真空溝穴116のアパチュア118を通る空気流の分布を制御するように成されている。 外部流管理装置900は、この空気流の分布を制御することにより、真空溝穴116を通して紙ウエブ27に加えられる真空量を制御することができる。 本発明によれば、真空溝穴116を通して紙ウエブ27に加えられる真空量は、紙ウエブ27がアパチュア118の前を縦方向に、
    ウエブ対向面114と外部流管理装置900との間を進行する際に増大する。 すなわち、真空溝穴116は、その縦方向長さにそって相互に離間された相異なる位置において相異なる真空を有する。

    外部流管理装置900は空気流抵抗を有する任意の物質によって形成することができる。 その例は、板紙のような空気不透過性物質から、空気流を通過させるある程度突出した開放面積を有する特殊織成ワイヤまでの範囲を含む。 1985年7月16日にトロカンに発行された米国特許第4,529,480号明細書、1987年1月20日にトロカンに発行された米国特許第4,637,859号明細書および1994年8
    月2日にトロカンに発行された米国特許第5,334,289号明細書に記載の抄紙ベルトも本発明の外部流管理装置90
    0として使用することができる。

    第11図に図示の外部流管理装置900は静止装置とすることができる。 あるいは、第11図において鎖線で示すように縦方向および縦方向と反対側方向に移動できるように構成されることが好ましい(それぞれ位置(I)、
    (II))。 また外部流管理装置900は縦方向に対して垂直方向に移動するように成されることができる(第11
    図、位置(IV))。 また外部流管理装置900が第11図において鎖線(III)で示すように回転中心「C」回りに回転するように成された実施態様も可能である。

    本発明によれば、外部流管理装置900はワイヤ23から離間させることができる。 第11図は、外部流管理装置90
    0とワイヤ23との間の距離「f」を示す。 外部流管理装置900が静止している場合、距離fは一定である。 当業者には明かなように、外部流管理装置900が縦方向の逆方向に移動しまたは回転中心C回りに枢転することができるならば、距離fは可変である。 好ましくは外部流管理装置900はワイヤ23と直接に接触する。

    静止外部流管理装置900は、第1セグメントから最後のセグメントまで順次に離間し相互に隣接する複数のセグメントから成ることができる。 これらの各セグメントが一定の空気流抵抗または一定の透気度を有することができる。 好ましくは装置900の透過性が縦方向に増大するように、この装置900の空気流抵抗を縦方向に減少させることができる。 この場合、各セグメントが縦方向に増大する透気度を有する。 また各セグメントがメッシュを有するスクリーンから成ることができる。 当業者には明かなように、本発明においてセグメントの他の実施態様を使用することもできる。

    さらに、第11図に図示のように、外部流管理装置900
    は所望ならばこの装置900を通る空気流を強化するためにファン910を含むことができる。

    複数の順次配列真空セクションを有する真空装置 第12図は前述の抄紙工程において、真空ピックアップ・シュー100が真空を利用して紙ウエブ27をワイヤ23から抄紙ベルト11に引張る段階を示す部分的断面図である。 第8図および第10図と同様に、ヘッド110は紙ウエブ27を担持した抄紙ベルト11を支承するように成されたウエブ対向面114を有する。 第12図に図示のように、真空ピックアップ・シュー100は複数の真空セクションA,
    B,Cを有し、これらのセクションは第1真空セクションAから第3真空セクションCまで順次に離間されている。 各真空セクションA,B,Cは少なくとも1つの真空溝穴116を含む。 この場合、総称参照数字116は真空ピックアップ・シュー100のヘッド110の中に配置された任意の真空溝穴を表わし、総称数字118は真空溝穴116によって真空ピックアップ・シュー100のウエブ対向面114上に画成された任意のアパチュアを表わす。 同様に、総称数字
    216は真空ボックス200のヘッド210の中に配置された任意の真空溝穴を示し、また総称数字218は真空ボックス2
    00のウエブ対向面214上に真空溝穴216によって画成された任意のアパチュアを示す。

    各真空セクションA、B,Cは、ウエブ対向面114上の対応の合成的開放面積R(AR,BR,CR)と、これらの合成的開放面積を通して加えられる真空V(それぞれV1,V2,V
    3)とを有する。 第12図に図示の真空ピックアップ・シュー100の実施態様において、真空セクションAは真空溝穴116aを含み、真空セクションBは真空溝穴116bを含み、真空セクションCは真空溝穴116cを含む。 各真空溝穴116(116a,116b,116c)はウエブ対向面114上にアパチュア118(それぞれ118a,118b,118c)を画成し、これらのアパチュアを通して真空がベルト11に加えられる。 第
    12図に図示のように各真空セクションA,B,Cがそれぞれ単一の真空溝穴116を含む場合、各真空セクションA,B,C
    の合成的開放面積AR,BR,CRはウエブ対向面114上にそれぞれの真空溝穴116によって画成される対応アパチュア1
    18の面積である。 各真空セクションA,B,Cはウエブ対向面114と流体連通し、そこから本体120まで延在する。 本体120はさらに真空セクションA,B,Cを通して真空源(図示されていない)と流体連通する。

    ウエブ27を担持する抄紙ベルト11に加えられる真空は、真空V1を加えられる第1真空セクションAから、次に縦方向に離間されて真空V2を加えられる第2真空セクションBに、さらに次に縦方向に離間されて真空V3を加えられる第3真空セクションCまで増大する。 理論に拘束されるつもりはないが、このような縦方向の真空増大は、紙ウエブ27が真空セクションA,B,C上を縦方向に搬送される際の真空の急激な付加という望ましくない結果を緩和すると思われる。 好ましくは真空V1は真空V2の約5%乃至15%の範囲内にあり、また真空V2は真空V3の約
    25%乃至約35%の範囲内にある。

    形成ワイヤから抄紙ベルトへのウエブの転送は最初に繊維が抄紙ベルトの撓み導管の中に撓むことによって生じると思われる。 単一の真空溝穴を有する従来技術の真空ピックアップ・シューにおいては、転送/撓みプロセスと脱水プロセスとがほとんど同時的に生じる。 本発明の真空ピックアップ・シューは、転送/抄紙ベルトの撓み導管中への繊維の撓みプロセスと、真空ピックアップ・シュー上でのウエブの最初の脱水プロセスとを分離させる。

    第12図に図示の本発明の真空ピックアップ・シュー10
    0においては、複数の真空セクションA,B,Cが少なくとも2つの区域、すなわち初脱水区域と転送区域とを画成する。 本明細書において、用語「初脱水区域」とは、対応の「初脱水真空」を有するウエブ対向面114上の区域を示す。 また本明細書において、用語「転送区域」とは、
    ウエブ27を形成ワイヤ23から抄紙ベルト11まで転送するのに必要な対応の真空を有するウエブ対向面114上の区域を示す。 転送に必要な真空が「転送真空」である。 好ましくは、初脱水真空は転送真空より低い。 すなわち、
    初脱水真空は転送/撓みの生じるのに必要な真空より低い。 当業者には明かなように、ウエブ対向面114上に真空溝穴116によって画成されまた抄紙ベルト11を通して幅方向漏れを生じることのできるアパチュア118間の距離、およびベルトの裏側面11bとウエブ対向面114との距離が比較的小さいので、転送区域の空気流が脱水真空区域の空気流と混合する可能性がある。 転送区域と脱水区域のそれぞれの空気流は相互間に厳格な境界線を有しないが、転送区域と脱水区域はそれぞれの遂行する主機能とそれぞれの相対順位に関して明確に定義されている。
    この点に関して、転送真空V2を加えることによって生じるウエブ27の転送もウエブ27の脱水を生じることを注意しなければならない。

    ウエブ27を形成ワイヤ23から抄紙ベルト11に転送するプロセスを実施するため、真空ピックアップ・シュー10
    0によって誘導された十分な差圧がウエブ27に対して加えられる。 再び第12図について述べれば、好ましくはウエブ27の転送は真空V2がウエブ27に加えられる時点において始まる。 この場合、真空V2はウエブ27をワイヤ23からベルト11に転送し繊維の少なくとも一部を抄紙ベルト
    11の撓み導管の中に撓ませるのに十分な転送真空である。 本発明によれば、第12図に図示のように、好ましくは転送真空V2の前に初脱水真空V1が加えられる。 初脱水真空V1は、転送の生じる際にウエブ27の繊維をベルト11
    の撓み導管の中に撓ませる程に大きくない。 しかしこの初脱水真空V1はベルト11の脱水プロセスを開始させるのには十分である。

    第12図はそれぞれ1つの真空溝穴116を含む真空セクションA,B,Cを示しているが、各真空セクションが2または2以上の真空溝穴116を有することができる。 各真空セクションA,B,Cが複数の真空溝穴116を含む場合には、各セクションの合成的開放面積合計Rはウエブ対向面114上に各セクションの各溝穴116によって画成されたアパチュア118の面の合計に等しい。 当業者には明からなように、真空装置10中に使用される真空セクションの数は第12図に図示の数と異なることができる。 例えば真空装置10は2、4、5、...N真空セクションを有することができる。 使用される真空セクションの数がどのようであれ、縦方向において転送区域の前に初脱水区域が配置され、また好ましくは転送真空は初脱水真空より大である。

    初脱水区域および転送区域を通してのウエブの水分除去または脱水は紙ウエブ中の繊維の可動性を低減させる。 このような繊維可動性の低減は、繊維が撓められ再配置された後にこれらの繊維を固定する傾向がある。 縦方向において転送区域に続いて追加的脱水区域を備えることができる。 転送真空V2と同等または好ましくはこれ以上の追加的脱水真空を有するこのような追加的脱水区域は、ウエブ27の繊維がベルト11上に転送された後に脱水プロセスを継続させる。 このような追加的脱水区域は第12図に図示のような対応の真空V3を有する1つまたは複数の真空溝穴116を含むことができる。 真空V3の付加は、この時点においてすでに撓み導管の中に撓ませられ再配置され可動性の大部分を失った繊維をさらに脱水することができる。 抄紙繊維は真空V1、V2の付加後にその可動性の大部分を失っているので、次の真空V3は転送真空V2よりも大であって、真空ピックアップ・シュー100
    の乾燥能力を効率的に増大することができる。

    縦方向に順次配置された合成的開放面積AR,BR,C
    R,...,NRは相互に同等とすることができる。 あるいは、
    合成的開放面積AR,BR,CR,...,NRは縦方向に第1真空セクションの合成的開放面積ARから最後の真空セクションの合成的開放面積NRまで増大することができ、この場合、符号「A」は第1真空セクションを指し、また符号「N」は最後の真空セクションを指す。 各合成的開放面積を通して加えられる各真空は真空弁またはその他の真空制御手段によって制御することができる。 相異なる流れ抵抗度を有するスクリーンを真空弁のほかに、または真空制御の代替手段として備えることができる。

    第13A図は、3真空セクションD,F,Gを有し、各真空セクションがそれぞれ3真空溝穴216(216d,216f,216g)
    を含む真空ボックス200の概略平面図である。 各真空セクションD,F,Gにおいて、真空溝穴216は縦方向において、第1真空溝穴216d(1),216f(1),216g(1)から、それぞれ最後の真空溝穴216d(3),216f(3),21
    6g(3)まで順次に相互離間して配置されている。 各真空溝穴216はウエブ対向面114上に対応のアパチュア218
    を画成する。 各真空セクションの合成的開放面積は各真空セクション中の真空溝穴216によって画成されたアパチュア218の面積の合計である。 従って真空セクションDの合成的開放面積DRは真空溝穴216dによってウエブ対向面214上に画成されたアパチュア218dの面積の合計(すなわち、和:218d(1)+218d(2)+218d
    (3))から成る。 真空セクションFの合成的開放区域
    FRは真空溝穴126fによって画成されるアパチュア218fの面積の合計であり、以下同様である。 任意の真空セクションD,FまたはGに含まれる真空溝穴216は、溝穴216によってウエブ対向面214上に画成される同等面積のアパチュア218を有する必要はない。 好ましくは、真空溝穴2
    16によってウエブ対向面214上に画成されるアパチュア2
    18の面積は縦方向に増大する。 さもなければ、アパチュア218の面積は各真空セクションのパラメータの範囲内で縦方向に同等としまたは徐々に減少することもできる。

    第13B図は第13A図に図示の真空ボックス200の断面図である。 第13A図に図示のように、真空ボックス200は3
    真空セクション、すなわち第1真空セクションD、中間真空セクションFおよび最後の真空セクションGを有する。 真空セクションD,F,Gは縦方向に順次に離間配置され、各真空セクションが3真空溝穴216を有する。 各真空溝穴216は真空ボックス200のウエブ対向面214上にアパチュア218を画成する。 第13B図において、矢印VD,VF,
    VGは、それぞれ抄紙ベルト11(図示されていない)上に配置された紙ウエブ27に対して真空セクションD,F,Gを通して加えられる真空量を示す。 前述のように、真空セクションGを通して加えられる真空VGは真空溝穴Fを通して加えられる真空VFより大であり、また真空溝穴Fを通して加えられる真空VFは真空溝穴Dを通して加えられる真空VDより大である。 好ましくは、真空VDは真空VGの約5%乃至約15%であり、また真空VFはVGの約25%乃至
    35%である。

    理論に拘束されるつもりはないが、最も可動性の繊維でさえも最後の真空セクションGに到達する時までに、
    真空の逓増の故に、その可動性の大部分を失うと思われる。 従って、最後の真空セクションGに到達するウエブ
    27に加えられる最終真空V3は、真空の均等な(非逓増)
    分布を有する従来技術の真空装置において使用される真空よりも著しく高くなると思われる。

    本発明の真空装置10が縦方向に配列された複数の真空セクションを含み、各真空セクションが合成的開放面積を有しこの合成的開放面積を真空を通して加えられた場合、好ましくは後続の任意の合成的開放面積を通して加えられる真空は従来の合成的開放面積を通して加えられる真空よりも少なくとも約20%大である。 この場合、用語「後続」とは、用語「従来」によって呼ばれる同一性質の他の要素から縦方向に続いて離間配置された要素を言う(同一性質の要素の例は、真空セクション、真空溝穴、合成的開放面積、アパチュアを含む)。 言い替えれば、縦方向に配列された後続の第2真空から始まって、
    各真空度は従来真空度より約20%大である。

    当業者に明かなように、複数の真空セクションを有する本発明の真空装置10において、各真空セクションが複数の真空溝穴を有する必要はない。 従って例えば、3真空セクションを有する真空装置10が複数の溝穴を有する単一の真空セクションを有し、他の真空セクションがそれぞれ単一の真空溝穴を含むことができる。

    第13A図および第13B図に図示のように、各真空セクションD,F,Gのパラメータの範囲内においてウエブ対向面2
    14上に画成されるアパチュア区域218は縦方向に逐次増大する。 前述のように、真空度は第1真空セクションD
    から最後の真空セクションFまで増大する。 さらに真空度は真空セクションD,F,Gの中において、例えば真空セクションDの中では第1アパチュア218d(1)(または第1真空溝穴216d(1))から最後のアパチュア218d
    (3)(または最後の真空溝穴216d(3))まで増大し、真空セクションFの中では第1アパチュア218f
    (1)から最後のアパチュア218f(3)まで増大し、真空セクションGの中では第1アパチュア218g(1)から最後のアパチュア218g(3)まで増大する。 各真空セクション中の真空度の増大は、第13A図および第13B図に図示のように各真空セクション中のアパチュア218の面積を縦方向に順次増大することにより、または各アパチュアに格子を備え、これらの格子によって形成される突出開放面積を逐次増大させて格子の透気度を増大させることによって実施することができる。 さもなければ、縦方向に順次に離間配置された1つの真空溝穴から次の真空溝穴を通して各真空セクション中に形成される真空の増大は、各真空溝穴に真空弁などの個別の真空制御手段を備えることによって達成される。 いずれにせよ、好ましくは任意の真空溝穴を通して加えられる真空は従来の真空溝穴を通して対応の真空セクション中に加えられる真空より少なくとも約20%大である。 縦方向に第1真空溝穴から最後の真空溝穴まで真空を増大することにより第1真空セクションから最後の真空セクションまでの真空を増大することは、乾燥工程中の真空度をさらに逓増的に増大させ、全抄紙工程の品質を改良すると思われる。

    第1真空セクションDから最後の真空セクションGまでの真空度の増大は業界公知の方法によって実施され、
    例えばすべての真空セクションD,F,Gが同一真空源を有するならば真空弁によって実施することができる。 さもなければ、各真空セクションがその固有の真空源を有することができる。 第13B図は、各真空セクションD、
    F、Gがそれ自体の固有の真空源910、902、903を有する実施態様を示す。

    第13C図および第13D図は本発明の真空装置10の他の実施態様を示す。 これらの図において順次配列された複数の真空セクションD 、F 、G はこれに対応して縦方向に配列され相互に隣接し相異なる流れ抵抗度を有する複数のスクリーンPから成る。 これらの複数のスクリーンPがウエブ対向面214を成す。 例えばこれらの図に図示のように、各真空セクション216D 、216F はそれぞれ対応の単一の可動スクリーンP(1)、P(2)を有する。 同時に真空セクション216G は3可動スクリーンP(3)、P(4)、P(5)を有する。 可動スクリーンを有する真空ボックスの実施態様の他の変更例は、
    2または2以上の真空セクションを「カバーする」単一スクリーン(図示されていない)を有する真空ボックス
    200である。 アパチュア218は、一定の突出した開放面積を有するモジュラー格子218d 、218f 、218g を備えることができる。 相異なる突出開放面積を有するモジュラー格子を使用することにより、アパチュア218の突出区域を容易に変更することができ、従ってモジュラー格子218d ,218f ,218g を変更することによって簡単に真空セクションD 、F 、G の合成的開放面積を効率的に変更することができる。

    第12図、第13A図、第13B図、第13C図、第13D図に図示の真空装置10は、それぞれ組織化区域115、215を有するウエブ対向面114、214を有することができる。 これらの組織化区域115、215は、ウエブ対向面114、214がこれらの面上に真空セクション116、216によって画成されたアパチュア118、218と重なり合う場所で漏れを生じることができる。 また組織化区域114、215の使用は、前述のように真空の急激付加の望ましくない結果を避けるのに役立つ。 さもなければ、前述のようにウエブ対向面114、2
    14と抄紙ベルト11との間に配置された組織化抄紙用具(図示されていない)を漏れを生じるために使用することができる。

    ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (31)優先権主張番号 08/706,917 (32)優先日 平成8年9月3日(1996.9.3) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 08/706,919 (32)優先日 平成8年9月3日(1996.9.3) (33)優先権主張国 米国(US) (31)優先権主張番号 08/706,920 (32)優先日 平成8年9月3日(1996.9.3) (33)優先権主張国 米国(US) (72)発明者 エイラーズ、 ピーター、 グレーブス アメリカ合衆国 オハイオ州、 ミドル タウン、キャッスル ヒル ドライブ 6248 (72)発明者 ブエンガー、 ダニエル、 エドワード アメリカ合衆国 オハイオ州、 シンシ ナチ、アスベリー ヒルズ ドライブ 7735 (56)参考文献 特開 平6−210221(JP,A) 特開 昭47−19106(JP,A) 特開 昭58−156093(JP,A) 特表 昭57−500476(JP,A) 特表 平5−508452(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl. 7 ,DB名) D21F 1/00 - 13/12

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