光子の製造方法およびこれを用いて製造される偏光子

申请号 JP2017558489 申请日 2016-06-03 公开(公告)号 JP2018517170A 公开(公告)日 2018-06-28
申请人 エルジー・ケム・リミテッド; 发明人 キム、ジ ヨン; キム、ジ ヨン; ユ、ヘ ミン; ラー、キュン イル; パク、ジン ヨン; リー、エウンキ; ナム、タエク グン;
摘要 本明細書は、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素および二色性染料のうち少なくとも一つの染料を染着させるステップと、前記ポリビニルアルコール系フィルムと前記染料を、多価カルボン 酸化 合物およびホウ素化合物を含む第1の 水 溶液を用いて架橋させる第1の架橋ステップと、前記ポリビニルアルコール系フィルムと前記染料を、多価カルボン酸化合物およびホウ素化合物を含む第2の水溶液を用いて架橋させる第2の架橋ステップと、前記ポリビニルアルコール系フィルムと前記染料を、多価カルボン酸化合物を含む第3の水溶液を用いて架橋させる第3の架橋ステップとを含み、前記第1の架橋ステップおよび第2の架橋ステップは、架橋と同時に延伸を行う偏 光子 の製造方法およびこれを用いて製造される偏光子に関する。
权利要求

ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素および二色性染料のうち少なくとも一つの染料を染着させるステップと、 前記ポリビニルアルコール系フィルムと前記染料を、多価カルボン酸化合物およびホウ素化合物を含む第1の溶液を用いて架橋させる第1の架橋ステップと、 前記ポリビニルアルコール系フィルムと前記染料を、多価カルボン酸化合物およびホウ素化合物を含む第2の水溶液を用いて架橋させる第2の架橋ステップと、 前記ポリビニルアルコール系フィルムと前記染料を、多価カルボン酸化合物を含む第3の水溶液を用いて架橋させる第3の架橋ステップとを含み、 前記第1の架橋ステップおよび第2の架橋ステップは、架橋と同時に延伸を行う、偏光子の製造方法。前記第3の架橋ステップを行った後、前記ポリビニルアルコール系フィルムの表面に残留する多価カルボン酸化合物の濃度指標Xが、下記の式(1)を満たす、請求項1に記載の偏光子の製造方法。 式(1):0.25≦X≦0.4 前記式(1)中、Xは、第1〜第3の架橋ステップを行った偏光子のATR(attenuated total reflection)で測定して得られた吸収スペクトルの1580cm−1〜1780cm−1の積分値から多価カルボン酸化合物を含んでいない水溶液を用いて架橋ステップを行った偏光子のATR(attenuated total reflection)で測定して得られた吸収スペクトルの1580cm−1〜1780cm−1の積分値を減算した値を意味する。前記第3の架橋ステップは、浸漬法を用いて行う、請求項1に記載の偏光子の製造方法。前記ホウ素化合物は、それぞれ第1および第2の水溶液100重量%に対して0.5重量%〜10重量%含まれる、請求項1に記載の偏光子の製造方法。前記第1の水溶液および第2の水溶液内の多価カルボン酸化合物は、それぞれホウ素化合物100重量%に対して10重量%〜150重量%含まれる、請求項1に記載の偏光子の製造方法。前記第3の水溶液は、多価カルボン酸化合物を第3の水溶液100重量%に対して0.5重量%〜10重量%含む、請求項1に記載の偏光子の製造方法。前記多価カルボン酸化合物は、グルタル酸、コハク酸、マロン酸、シュウ酸、1,2,3,4‐ブタンテトラカルボン酸、クエン酸、リンゴ酸(malic acid)、酒石酸およびこれらの誘導体からなる群から選択される1種以上である、請求項1に記載の偏光子の製造方法。前記第3の架橋ステップの後、前記ポリビニルアルコール系フィルムを乾燥するステップを含む、請求項1に記載の偏光子の製造方法。請求項1から8のいずれか1項に記載の方法により製造される、偏光子。前記偏光子の100重量%に対してホウ素元素を0.5重量%〜5重量%含む、請求項9に記載の偏光子。請求項9に記載の偏光子を含む、偏光板。前記偏光板は、60℃〜70℃から選択されるいずれか一つの温度の下で48時間放置した後、20℃〜30℃から選択されるいずれか一つの温度の下で24時間放置する条件の耐久性評価後の長さ方向(MD)の収縮率が0.01%〜0.03%である、請求項11に記載の偏光板。前記偏光板は、80℃〜120℃から選択されるいずれか一つの温度の下で24時間放置する条件の耐久性評価後のクラック(crack)の発生率が10%以下である、請求項11に記載の偏光板。前記偏光板は、偏光子の一面に保護フィルムが備えられている、請求項11に記載の偏光板。前記偏光板は、偏光子の他面に粘着層が備えられ、偏光子と接して備えられている、請求項14に記載の偏光板。表示パネルと、 前記表示パネルの一面または両面に貼り付けられている請求項11に記載の偏光板とを含む、画像表示装置。表示パネルと、 前記表示パネルの一面または両面に貼り付けられている請求項12から15のいずれか1項に記載の偏光板とを含む、画像表示装置。

说明书全文

本出願は、2015年6月3日付で韓国特許庁に提出された韓国特許出願第10−2015−0078294号の出願日の利益を主張し、その内容のすべては本明細書に組み込まれる。

本明細書は、偏光子の製造方法およびこれを用いて製造される偏光子に関する。

液晶表示装置は、液晶のスイッチング効果による偏光を可視化するディスプレイであり、腕時計、電子計算機、携帯電話などの中小型ディスプレイだけでなく、大型TVに至るまで様々な範疇において使用されている。

現在、ディスプレイ装置用として量産実用化している偏光板のかなりの数は、ポリビニルアルコール系フィルムからなる基材フィルムにヨウ素や二色性染料などの二色性材料を染色し、ホウ素化合物で架橋した後、延伸配向してなる偏光フィルム(偏光子)の両面あるいは一面に、光学的に透明で、且つ機械的強度を有する保護フィルムを貼ったものが用いられている。

しかし、延伸したポリビニルアルコール系フィルム偏光子は、高温高湿のような耐久条件(durability condition)下で収縮ひずみが起こりやすいという問題がある。偏光子がひずんだ場合、その応が保護フィルムに影響を及ぼし、反りが発生することになり、結果として、これを含む偏光板の物性変化、液晶表示装置での光漏れ現象を引き起こすなどの問題が生じる。

偏光子の製造工程のうち架橋ステップにおいて一般的に使用するホウ素化合物は、架橋鎖が短くて延伸工程によって幅の収縮が頻繁に起こり、これは、偏光子の収縮ひずみの主な原因となる。これを解決するために、ホウ素化合物以外に有機系架橋剤を使用する方法、具体的には、多価アルデヒド化合物で架橋処理する方法が提案されている。しかし、アルデヒドは、独特のにおいと取り扱い安定性の問題がある。また、多価カルボン酸化合物で架橋処理する方法も提案されているが、偏光子の収縮ひずみの改善効果が十分でない。

本明細書は、偏光子の製造方法およびこれを用いて製造される偏光子を提供することを目的とする。

本明細書の一実施形態は、ポリビニルアルコール系フィルムにヨウ素および二色性染料のうち少なくとも一つの染料を染着させるステップと、 前記ポリビニルアルコール系フィルムと前記染料を、多価カルボン酸化合物およびホウ素化合物を含む第1の溶液を用いて架橋させる第1の架橋ステップと、 前記ポリビニルアルコール系フィルムと前記染料を、多価カルボン酸化合物およびホウ素化合物を含む第2の水溶液を用いて架橋させる第2の架橋ステップと、 前記ポリビニルアルコール系フィルムと前記染料を、多価カルボン酸化合物を含む第3の水溶液を用いて架橋させる第3の架橋ステップとを含み、 前記第1の架橋ステップおよび第2の架橋ステップは、架橋と同時に延伸を行う偏光子の製造方法を提供する。

また、本明細書の一実施形態は、前記偏光子の製造方法により製造される偏光子を提供する。

また、本明細書の一実施形態は、偏光子100重量%に対してホウ素元素を0.5重量%〜5重量%含む偏光子を提供する。

また、本明細書の一実施形態は、前記偏光子を含む偏光板を提供する。

また、本明細書の一実施形態は、80℃〜120℃から選択されるいずれか一つの温度の下で24時間放置する条件の耐久性評価後のクラック(crack)の発生率が5%以下である偏光板を提供する。

また、本明細書の一実施形態は、表示パネルと、 前記表示パネルの一面または両面に貼り付けられている前記偏光板を含む画像表示装置を提供する。

本明細書の一実施形態に係る偏光子の製造方法によると、寸法安定性、耐久性などに優れた偏光子を製造することができる。

また、本明細書の一実施形態に係る偏光子を含む偏光板は、高温耐久条件(durability condition)下でクラックの発生率が低いという利点がある。結果として、これを含む液晶表示装置などにおいて、光漏れ現象の問題を防止できるという利点がある。

また、本明細書の一実施形態に係る偏光子は、優れた収縮ひずみの改善効果を有しており、偏光子を効率よく薄膜化することができる。

また、本明細書の一実施形態に係る偏光子は、取り扱い性に優れる。

本明細書の一実施形態に係る偏光子の製造方法を示すフローチャートである。

実施例1および3、並びに比較例1および5による偏光板のクラック発生可否を撮影した顕微鏡写真である。

以下、本明細書をより詳細に説明する。

本明細書の一実施形態に係る偏光子の製造方法は、第1および第2の架橋ステップを含み、各ステップは、いずれも多価カルボン酸化合物およびホウ素化合物を含む水溶液を用いる。無機系架橋剤であるホウ素化合物以外に有機系架橋剤である多価カルボン酸化合物を含むことで、架橋によるフィルムの幅の収縮を緩和し、耐熱条件での収縮率もまた減少させる効果が得られる。ただし、第1の架橋ステップでのみホウ素化合物以外に多価カルボン酸化合物を添加し、第2の架橋ステップではホウ素化合物のみ添加する場合、多価カルボン酸化合物の架橋反応が十分に行われていない状態で、第2の架橋ステップで洗浄されて多価カルボン酸化合物の添加効果が著しく減少する。また、第1の架橋ステップではホウ素化合物のみ添加し、第2の架橋ステップでのみホウ素化合物以外に多価カルボン酸化合物を添加する場合、ホウ素化合物による架橋反応が一部先行して行なわれた後、多価カルボン酸化合物を含む水溶液に浸漬されるため、フィルム内に多価カルボン酸化合物が添加される効果が減少する。一方、第1の架橋ステップおよび第2の架橋ステップの両方にてホウ素化合物と多価カルボン酸化合物を含む場合、フィルム内に両化合物が均一に分布して架橋が行われるという利点がある。結果として、ホウ酸化合物および多価カルボン酸化合物を両方とも含む水溶液を用いて、第1および第2の架橋ステップを行う場合、優れた光学物性を維持しながら架橋による偏光子の幅の収縮を緩和し、耐熱条件での収縮ひずみの改善を効率よく強化することができる。一方、前記第1の架橋ステップおよび第2の架橋ステップは、架橋と同時に延伸を行う。すなわち、前記第1および第2の架橋ステップは、それぞれ、第1の架橋および延伸ステップ、および第2の架橋および延伸ステップである。

多価カルボン酸化合物およびホウ素化合物を両方とも含む水溶液により第1および第2の架橋および延伸のステップを行うことで、寸法安定性に優れた偏光子を製造することができる。具体的には、薄い厚さでより優れた収縮ひずみの改善効果を有する偏光子を製造することができる。

ただし、第1の架橋ステップと第2の架橋ステップのみ行い、第3の架橋ステップを行っていない場合、フィルムの表面にホウ素の結晶が析出され残留する現象が起こる。また、これを解決するために、フィルムを洗浄するステップをさらに行う場合、ポリビニルアルコール系フィルムの内部のホウ酸および多価カルボン酸もともに流出することになる。 本明細書の一実施形態に係る偏光子の製造方法は、かかる現象を解決するために、第1および第2の架橋ステップの後、第3の架橋ステップを行う。

具体的には、本明細書の一実施形態に係る偏光子の製造方法は、第1および第2の架橋ステップの後、多価カルボン酸化合物を含む第3の水溶液を用いて行う第3の架橋ステップを含む。具体的には、第3の水溶液は、第1および第2の水溶液とは異なり、ホウ素化合物は含んでいない。

この際、第3の架橋ステップでは、第1および第2の架橋ステップとは異なり、延伸は行われない。延伸ステップの後、多価カルボン酸化合物を含む第3の水溶液を用いて第3の架橋ステップを行う場合、ポリビニルアルコール系フィルムの表面に残留するホウ素化合物を除去し、ホウ素化合物の表面への析出や架橋鎖が短いホウ素化合物の架橋反応による幅の収縮を防止することができ、結果として、ポリビニルアルコール系フィルムの表面不良を低減できるという効果がある。さらに、多価カルボン酸化合物の添加により、ポリビニルアルコールのヒドロキシ基の架橋反応を強化することができ、収縮ひずみの改善効果をさらに効率よく発現することができる。

一方、前記多価カルボン酸化合物は、2以上のカルボキシ基(carboxyl group、−COOH)を含むカルボン酸化合物を意味し得る。ポリビニルアルコールと架橋をするためには、架橋剤一つの分子内にポリビニルアルコールのヒドロキシ(−OH)基と反応可能な置換基が2個以上存在しなければならない。そのため、本明細書に係る偏光子の製造方法は、2以上のカルボキシ基を有する多価カルボン酸化合物を用いる。

これに限定されるものではないが、例えば、ポリビニルアルコールと多価カルボン酸とが反応して、偏光子内に下記の構造のような架橋形態を導入してもよい。

本明細書の一実施形態によると、前記第3の架橋ステップを行った後、前記ポリビニルアルコール系フィルムの表面に残留する多価カルボン酸化合物の濃度指標Xは、下記の式(1)を満たすことができる。この際、前記ポリビニルアルコール系フィルムの表面とは、深さ0〜約2μmまでを意味し得る。本明細書の発明者らは、この場合、前記偏光子を含む偏光板は、高温耐久条件下でも偏光板内のクラック(crack)の発生率が著しく低いことを見出した。 式(1):0.25≦X≦0.4

前記式(1)中、Xは、第1〜第3の架橋ステップを行った偏光子のATR(attenuated total reflection)で測定して得られた吸収スペクトルの1580cm−1〜1780cm−1の積分値から多価カルボン酸化合物を含んでいない水溶液を用いて架橋ステップを行った偏光子のATR(attenuated total reflection)で測定して得られた吸収スペクトルの1580cm−1〜1780cm−1の積分値を減算した値を意味する。

本明細書の一実施形態によると、前記第3の架橋ステップは、浸漬法を用いて行うことができる。例えば、第3の架橋ステップは、前記ポリビニルアルコール系フィルムを多価カルボン酸化合物を含む第3の水溶液で満たされている架橋槽に含浸して行ってもよい。従来、第3の架橋ステップの後、洗浄ステップを行っているため、洗浄過程中に直前の工程で吸収されたヨウ素、ホウ酸、および多価カルボン酸が流出する可能性があり、最終的に製造された偏光子の物性に影響を及ぼす問題があった。本明細書では、第3の架橋ステップを浸漬法を用いて行うことで、第3の架橋ステップの後、別の洗浄ステップを必要としないことから、工程経済性の面で利点があり、製造される偏光子の物性を低下させないという利点がある。

本明細書の一実施形態によると、前記第1および第2の水溶液は、前記ホウ素化合物を、それぞれ第1および第2の水溶液100重量%に対して0.5重量%〜10重量%含んでもよく、具体的には、1重量%〜6重量%含んでもよく、さらに具体的には、1重量%〜4重量%で含んでもよい。ホウ素化合物が、水溶液100重量%に対して1重量%未満で含まれる場合、ホウ素化合物の架橋反応が十分に行われず、偏光子のシワ発生の問題および光学物性低下の問題があり、10重量%を超えて含まれる場合、過剰なホウ素化合物との架橋反応によって延伸ステップを行うことが困難となる問題がある。

本明細書の一実施形態によると、前記第1および第2の水溶液は、前記多価カルボン酸化合物を、それぞれホウ素化合物100重量%に対して10重量%〜150重量%含んでもよく、具体的には、20重量%〜100重量%含んでもよく、さらに具体的には、20重量%〜80重量%で含んでもよい。多価カルボン酸化合物が、ホウ素化合物100重量%に対して10重量%未満で含まれる場合、多価カルボン酸の添加および架橋反応が十分に行われず、効率的な収縮ひずみの改善効果を得ることができない。具体的には、薄い厚さでより優れた収縮ひずみの改善効果を実現するためには、前記の範囲を満たすことが好ましい。一方、多価カルボン酸化合物が、ホウ素化合物100重量%に対して150重量%を超えて含まれる場合、ホウ素化合物の架橋反応が効果的に行われず、偏光子のシワ発生の問題および光学物性低下の問題がある。

一方、前記第1および第2の水溶液に含まれるホウ素化合物および多価カルボン酸化合物の割合は、同一であってもよく、必要に応じて、異なっていてもよい。

本明細書の一実施形態によると、前記第3の水溶液は、多価カルボン酸化合物を、第3の水溶液100重量%に対して0.5重量%〜10重量%含んでもよく、具体的には、1重量%〜5重量%含んでもよく、さらに具体的には、1重量%〜3重量%含んでもよい。多価カルボン酸化合物が、第3の水溶液100重量%に対して0.5重量%未満で含まれる場合、多価カルボン酸化合物の添加によってポリビニルアルコールのヒドロキシ基の架橋反応の強化効果があまりなく、多価カルボン酸化合物が、第3の水溶液100重量%に対して10重量%を超えて含まれる場合、過剰な架橋剤の濃度によって表面不良を起こし得るという問題がある。

他の実施形態によると、前記多価カルボン酸化合物は、グルタル酸、コハク酸、マロン酸、シュウ酸、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸、クエン酸、リンゴ酸(malic acid)、酒石酸およびこれらの誘導体からなる群から選択される1種以上であってもよい。ただし、これに限定されるものではない。

以下、図1を参照して、本明細書の偏光子の製造方法の各ステップについてより具体的に説明する。

先ず、前記染着させるステップ(以下、「染着ステップ」)は、ヨウ素分子および/または二色性染料をポリビニルアルコール系フィルムに染着するために行われ、ヨウ素分子および/または二色性染料分子は、偏光子の延伸方向に振動する光は吸収し、垂直方向に振動する光は通過させることで、特定の振動方向を有する偏光が得られるようにすることができる。この際、前記染着は、例えば、ポリビニルアルコール系フィルムをヨウ素溶液および/または二色性染料を含む溶液で満たされた処理浴に含浸させることで行われ得る。

この際、前記染着ステップの溶液に使用される溶媒としては、水が一般的に使用されるが、水との相溶性を有する有機溶媒が適量添加されていてもよい。一方、ヨウ素および/または二色性染料は、溶媒100重量部に対して、0.06重量部〜0.25重量部使用されてもよい。前記ヨウ素などの二色性物質が前記範囲内の場合、延伸後に製造された偏光子の透過度が40%〜47%の範囲を満たすことができる。

一方、二色性物質としてヨウ素を用いる場合には、染着効率の改善のためにヨウ化化合物などの補助剤をさらに含有することが好ましく、前記補助剤は、溶媒100重量部に対して0.3重量部〜2.5重量部の割合で使用され得る。この際、前記ヨウ化化合物などの補助剤を添加する理由は、ヨウ素の場合、水に対する溶解度が低いため、水に対するヨウ素の溶解度を高めるためである。一方、前記ヨウ素とヨウ化化合物との配合比は、重量を基準として1:5〜1:10が好ましい。

前記添加可能なヨウ化化合物の具体例としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化スズ、ヨウ化チタンまたはこれらの混合物などを挙げられるが、これに限定するものではない。

一方、処理浴の温度は、25℃〜40℃程度に維持されることが好ましい。処理浴の温度が25℃未満の場合には、染着効率が低下することがあり、40℃を超える場合には、ヨウ素の昇華が頻繁に起こりヨウ素の使用量が増加することがある。

この際、ポリビニルアルコール系フィルムを処理浴に浸漬する時間は、30秒〜120秒程度が好ましい。浸漬時間が30秒未満の場合には、ポリビニルアルコール系フィルムに染着が均一に行われないことがあり、120秒を超える場合には、染着が飽和(saturation)状態となり、それ以上浸漬する必要がないためである。

次に、第1および第2の架橋ステップを行う。上述のように、第1および第2の架橋ステップは、それぞれ架橋と同時に延伸を行う。

一方、架橋および延伸ステップは、ヨウ素および/または二色性染料がポリビニルアルコール高分子マトリックスに吸着されて、高分子鎖を所定の方向に配向して所望の偏光物性を得るために行われ、ポリビニルアルコール系フィルムを水溶液に沈積して行う沈積法が一般的に用いられるが、これに限定されず、ポリビニルアルコール系フィルムに架橋剤を含む溶液を塗布または噴射する塗布法または噴霧法により行われてもよい。

この際、前記第1および第2の水溶液に使用される溶媒としては、水が一般的に使用されるが、水との相溶性を有する有機溶媒が適量添加されてもよい。

一方、前記第1および第2の水溶液の温度は、架橋剤の量と延伸比に応じて異なり、これに限定するものではないが、一般的に、30℃〜60℃であることが好ましい。具体的には、33℃〜60℃または35℃〜60℃であってもよい。一般的に、架橋剤の量が増加すると、ポリビニルアルコール系フィルムの鎖の流動性(mobility)を向上させるために、高い温度条件に架橋浴の温度を調節し、架橋剤の量が少ないと、相対的に低い温度条件に架橋浴の温度を調節する。一方、水溶液にポリビニルアルコール系フィルムを浸漬する時間は、30秒〜120秒程度であることが好ましい。浸漬時間が30秒未満の場合には、ポリビニルアルコール系フィルムに対して架橋が均一に行われないことがあり、120秒を超える場合には、架橋が飽和(saturation)状態となり、それ以上浸漬する必要がないためである。

第1および第2の水溶液に使用される溶媒、温度は、互いに同一であってもよく、工程性の確保などの必要に応じて、異なっていてもよい。

第1および第2の水溶液に含まれる架橋剤である多価カルボン酸化合物およびホウ素化合物に関する説明は、上述の内容がそのまま適用される。

一方、第1および第2の水溶液は、多価カルボン酸化合物およびホウ素化合物以外にヨウ素系化合物をさらに含んでもよい。この際、水溶液に含まれるヨウ素系化合物は、偏光特性および色相調節の役割を果たす。前記ヨウ素系化合物は、染着ステップにおいて補助剤として使用可能な当技術分野において公知のヨウ素系化合物であれば、制限なく採用されてもよく、例えば、ヨウ化カリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化リチウムなどがこれに該当し得る。一方、前記ヨウ素系化合物は、これに限定されるものではないが、好ましくは、前記第1および第2の水溶液それぞれの100重量%に対して1重量%〜10重量%含まれてもよい。

一方、延伸は、前記ポリビニルアルコール系フィルムを4.5倍〜8倍の延伸比で延伸することが好ましい。その理由は、ポリビニルアルコール系フィルムに偏光性能を付与するためには、ポリビニルアルコール系フィルムの高分子鎖を配向する必要があるが、4.5倍未満の延伸比では鎖の配向が十分に行われないことがあり、8倍を超える延伸比ではポリビニルアルコール系フィルム鎖が切断され得るためである。

この際、前記延伸は、30℃〜60℃の延伸温度で行うことが好ましい。前記延伸温度は、架橋剤の含有量に応じて異なり得るが、30℃未満の温度では、ポリビニルアルコール系フィルム鎖の流動性が低下して延伸効率が減少することがあり、60℃を超える場合には、ポリビニルアルコール系フィルムが軟化して強度が弱くなることがあるためである。

一方、前記延伸は、ポリビニルアルコール系フィルム単独で行われてもよく、ポリビニルアルコール系フィルムに基材フィルムを積層した後、ポリビニルアルコール系フィルムと基材フィルムをともに延伸する方法で行われてもよい。前記基材フィルムは、厚さの薄いポリビニルアルコール系フィルム(例えば、60μm以下のPVAフィルム)を延伸する場合、延伸過程でポリビニルアルコール系フィルムが破断することを防止するために使用されるものであり、10μm以下の薄型PVA偏光子を製造するために使用され得る。

この際、前記基材フィルムとしては、20℃〜85℃の温度条件下で最大延伸倍率が5倍以上の高分子フィルムが使用されてもよく、例えば、高密度ポリエチレンフィルム、ポリウレタンフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリオレフィンフィルム、エステル系フィルム、低密度ポリエチレンフィルム、高密度ポリエチレンおよび低密度ポリエチレン共押出フィルム、高密度ポリエチレンにエチレンビニルアセテートが含有された共重合体樹脂フィルム、アクリルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリビニルアルコール系フィルム、セルロース系フィルムなどが使用されてもよい。一方、前記最大延伸倍率は、破断が発生する直前の延伸倍率を意味する。

また、前記基材フィルムとポリビニルアルコール系フィルムの積層方法は、特に限定されない。例えば、基材フィルムとポリビニルアルコール系フィルムを接着剤または粘着剤を媒介として積層してもよく、別の媒介物無しに基材フィルム上にポリビニルアルコール系フィルムを載せる方式に積層してもよい。また、基材フィルムを形成する樹脂とポリビニルアルコール系フィルムを形成する樹脂を共押出する方法で行われてもよく、もしくは基材フィルム上にポリビニルアルコール系樹脂をコートする方法で行われてもよい。

一方、前記基材フィルムは、延伸が完了した後、偏光子から離脱させて除去してもよく、除去せず、次のステップに進んでもよい。この場合、前記基材フィルムは、後述する偏光子保護フィルムなどとして使用され得る。

次に、第3の架橋ステップを行う。

上述のように、第3の架橋ステップは、第3の水溶液を用いて行っており、第3の水溶液は、多価カルボン酸化合物は含むが、ホウ素化合物は含んでいない。

第3の水溶液に含まれる多価カルボン酸化合物は、第1および/または第2の水溶液に含まれる多価カルボン酸化合物と同一であってもよく、異なっていてもよい。 一方、第3の水溶液に含まれる多価カルボン酸化合物の含有量は、上述のとおりである。

第3の水溶液に使用される溶媒は、第1および第2の水溶液に使用される溶媒と同一であってもよく、異なっていてもよく、一般的に水が使用されるが、水との相溶性を有するアルコール類、DMSOなどの有機溶媒が適量添加されてもよい。

一方、第3の水溶液の温度は、これに限定するものではないが、一般的に20℃〜40℃が好ましい。具体的には、20℃〜35℃または20℃〜30℃であってもよい。第3の水溶液の温度が前記範囲を満たす場合、架橋反応が効果的に行われ得、工程性の効率が増加するという利点がある。

上述のように、第3の架橋ステップは、浸漬法を用いて行ってもよい。この際、第3の水溶液にポリビニルアルコール系フィルムを浸漬させる時間は、1秒〜10秒程度が好ましい。浸漬時間が1秒未満の場合には、ポリビニルアルコール系フィルムの表面に残留するホウ素化合物の除去およびポリビニルアルコールとの架橋反応の強化効果があまりなく、10秒を超える場合には、架橋が飽和(saturation)状態となり、それ以上浸漬する必要がないためである。

本明細書の一実施形態によると、前記第3の架橋ステップの後、必要に応じて、前記ポリビニルアルコール系フィルムを乾燥するステップ(以下、「乾燥ステップ」)を行ってもよい。

前記乾燥ステップは、偏光子に残留する水または溶媒を除去し、偏光子の見かけひずみを取るために行われ、当技術分野において公知の偏光子の乾燥方法により行われてもよく、例えば、前記乾燥するステップは、偏光子を加熱ロールに通過させる方法で行われてもよく、偏光子をオーブンで乾燥する方法で行われてもよい。

本明細書の一実施形態に係る偏光子の製造方法は、必要に応じて、当技術分野において公知の更なるステップを含んでもよい。例えば、染着ステップの前にポリビニルアルコール系フィルムを膨潤させるステップ、偏光子の色相を補正する補色ステップなどをさらに含んでもよい。

本明細書の一実施形態はまた、上述の実施形態により製造された偏光子を提供する。本明細書の一実施形態に係る製造方法により製造された偏光子は、上述の効果を奏する。すなわち、寸法安定性、耐久性などに優れる。

一方、前記偏光子の厚さが薄いほど上述の効果が極大化する。本明細書の一実施形態によると、前記製造方法により製造された偏光子の厚さは、5μm〜25μmであってもよい。

本明細書の一実施形態によると、前記のホウ素の含有量を有する偏光子は、厚さが5μm〜25μmであってもよい。

本明細書の一実施形態はまた、80℃〜120℃から選択されるいずれか一つの温度の下で24時間放置する条件の耐久性評価後のクラック(crack)の発生率が5%以下であり、前記クラックの発生率は、同一条件のサンプルを100個製造し、100個のうちクラックが発生したサンプルの割合を意味する偏光板を提供する。この際、前記耐久性評価の条件のうち、80℃〜120℃から選択されるいずれか一つの温度とは、80℃〜120℃から選択されるいずれか一つの特定の温度を意味し、80℃〜120℃の範囲内のすべての温度で前記偏光子収縮率の値を満たすべきではない。例えば、本明細書の一実施形態によると、前記偏光子は、100℃の温度下で24時間放置する条件の耐久性評価後のクラック(crack)の発生率が5%以下であってもよい。一方、前記偏光板は、上述の一実施形態に係る偏光子を含んでもよい。

本明細書の一実施形態はまた、80℃〜120℃から選択されるいずれか一つの温度の下で24時間放置する条件の耐久性評価後のクラック(crack)の発生率が10%以下であり、前記クラックの発生率は、同一条件のサンプルを6個製造し、6個のうちクラックが発生したサンプルの割合を意味する偏光板を提供する。

前記クラックの発生率は、好ましくは、8%以下であってもよく、さらに好ましくは、5%以下であってもよい。本明細書の一実施形態によると、前記クラックの発生率は、1%以下である。

また、本明細書の一実施形態は、60℃〜70℃から選択されるいずれか一つの温度の下で48時間放置した後、20℃〜30℃から選択されるいずれか一つの温度の下で24時間放置する条件の耐久性評価後の長さ方向(MD)の収縮率が0.01%〜0.03%である偏光板を提供する。この際、前記耐久性評価の条件のうち、60℃〜70℃から選択されるいずれか一つの温度とは、60℃〜70℃から選択されるいずれか一つの特定の温度を意味し、60℃〜70℃の範囲内のすべての温度で前記偏光板収縮率の値を満たすべきではない。前記耐久性評価の条件のうち20℃〜30℃から選択されるいずれか一つの温度も同様に選択されるいずれか一つの特定の温度を意味し、20℃〜30℃の範囲内のすべての温度で前記偏光板の収縮率値を満たすべきではない。例えば、本明細書の一実施形態によると、65℃の温度下で48時間放置した後、25℃の温度下で24時間放置する条件の耐久性評価後の長さ方向(MD)の収縮率が0.01%〜0.03%である偏光板であってもよい。

本明細書の一実施形態によると、前記耐久性評価後の長さ方向(MD)の収縮率が0.01%〜0.03%である偏光板に含まれる偏光子は、厚さが5μm〜25μmであってもよい。

一方、本明細書の一実施形態によると、前記偏光板は、偏光子の一面に保護フィルムを備えた偏光板であってもよい。 本明細書のさらに他の実施形態によると、偏光子の一面に保護フィルムを備えた偏光板は、前記偏光子の他面に粘着層を備えた偏光板であってもよい。

近年、ディスプレイ装置の薄型化の傾向およびパネルの曲げ(bending)の改善のために、偏光板の薄型化に対する要求が高まっており、そのため、偏光子の一面にのみ保護フィルムが備えられた偏光板が提案されている。偏光子の一面にのみ保護フィルムが備えられた偏光板の場合、偏光子の両面に保護フィルムを備える従来の偏光板に比べて薄い厚さを有することができ、製造コストも安く、TACフィルムなど保護フィルムのリターデーション(retardation)に起因するブラック(black)輝度の上昇を除去して、高いコントラスト比を実現できるという利点がある。特に、IPSモードの液晶表示装置に含まれる場合、高いコントラスト比を実現することができる。しかし、パネルに貼り付けられるために偏光子の保護フィルムが備えられていない面に感圧粘着剤(PSA)が備えられるため、偏光子の両面に保護フィルムを備えた偏光板に比べて耐久性が弱く、偏光板内のクラック(crack)の発生率が高いという問題がある。これは、パネルに貼り付ける際、光漏れ現象の原因となる。本明細書の研究者らは、本明細書の一実施形態に係る前記偏光子の一面にのみ保護フィルムを備えて偏光板を製造する場合、前記のような問題が生じないことを見出した。換言すれば、本明細書の一実施形態に係る前記偏光板は、偏光子の一面にのみ保護フィルムが備えられた偏光板として適用されるために非常に有利である。

前記偏光子の一面に備えられる保護フィルムは、当技術分野において公知の一般的な保護フィルムであれば、制限なく採用されてもよく、TAC、COP、アクリル系フィルムなどが挙げられる。

本明細書の一実施形態はまた、表示パネルと、前記表示パネルの一面または両面に貼り付けられている上述の実施形態に係る偏光板を含む画像表示装置を提供する。

前記表示パネルは、液晶パネル、プラズマパネルおよび有機発光パネルであってもよく、これに応じて、前記画像表示装置は、液晶表示装置(LCD)、プラズマ表示装置(PDP)および有機電界発光表示装置(OLED)であってもよい。

より具体的には、前記画像表示装置は、液晶パネルおよびこの液晶パネルの両面にそれぞれ備えられた偏光板を含む液晶表示装置であってもよく、この際、前記偏光板のうち少なくとも一つが、上述の本明細書の一実施形態に係る偏光板の製造方法により製造された偏光板であってもよい。

この際、前記液晶表示装置に含まれる液晶パネルの種類は、特に限定されない。例えば、その種類に制限されず、TN(twisted nematic)型、STN(super twisted nematic)型、F(ferroelectic)型またはPD(polymer dispersed)型のようなパッシブマトリックス方式のパネル;2端子型(two terminal)または3端子型(three terminal)のようなアクティブマトリックス方式のパネル;横電界型(IPS;In Plane Switching)パネルおよび垂直配向型(VA;Vertical Alignment)パネルなどの公知のパネルがいずれも適用可能である。また、液晶表示装置を構成するその他の構成、例えば、上部および下部基板(例えば、カラーフィルタ基板またはアレイ基板)などの種類もまた特に制限されず、本分野に公知となっている構成が制限なく採用されてもよい。

以下、実施例により本明細書をより詳細に説明する。しかし、以下の実施例は、本明細書を例示するためのものであって、本明細書の範囲を限定するためのものではない。

<実施例1> 厚さ30μmのポリビニルアルコールフィルムをヨウ素0.1重量%およびヨウ化カリウム(KI)1重量%が含有された30℃の水溶液に40秒間浸漬して染着した。この際、染着溶液でポリビニルアルコールフィルムが3倍延伸されるようにした。次に、グルタル酸1.5重量%およびホウ酸1重量%が含有された35℃の第1の水溶液に20秒間浸漬して累積延伸比が3.5倍になるようにした。グルタル酸1重量%およびホウ酸2.5重量%が含有された54℃の第2の水溶液では2分間浸漬して累積延伸比が5.4倍になるようにした。次に、グルタル酸1重量%が含有された35℃の第3の水溶液にポリビニルアルコールフィルムを3秒間浸漬した。次に、フィルムを80℃のオーブンで2分間乾燥して、厚さ約12μmの偏光子を製造した。製造した偏光子の一面に接着剤を用いて厚さ40μmのアクリルフィルムを積層し、他の面には粘着剤を塗布して偏光板を製造した。

<実施例2> 第3の水溶液でグルタル酸の含有量が1.5重量%である以外は、実施例1と同様にして偏光板を製造した。

<実施例3> 第3の水溶液でグルタル酸の含有量が2重量%である以外は、実施例1と同様にして偏光板を製造した。

<比較例1> 第1および第2の水溶液のグルタル酸の含有量がいずれも0であり、第3の架橋ステップを行っていない以外は、実施例1と同様にして偏光板を製造した。

<比較例2> 第3の水溶液でグルタル酸の含有量が0.3重量%である以外は、実施例1と同様にして偏光板を製造した。

<比較例3> 第3の水溶液でグルタル酸の含有量が5重量%である以外は、実施例1と同様にして偏光板を製造した。

<比較例4> 第3の架橋ステップを行っていない以外は、実施例1と同様にして偏光板を製造した。

<比較例5> 第1および第2の水溶液のグルタル酸の含有量がいずれも0である以外は、実施例1と同様にして偏光板を製造した。

<実験例>実施例1〜3および比較例1〜5により製造された偏光板の高温耐久性の評価 実施例1〜3および比較例1〜5により製造された偏光板は、10mm×160mmサイズに切断した。この際、偏光板の延伸方向(MD方向)を長軸とし、それに直交する方向を短軸とした。塗布された粘着剤を媒介として偏光板をガラスに積層して試験片を製造した。

DMS(Displacement Measuring System)装置に連結されたセンサの端部には、レーザが出る部分と検知される部分が構成されている。前記試験片で偏光板の長軸がセンサから出るレーザと一直線をなすように位置し、センサと隣接する一方の端部に反射体を貼り付ける。センサから出たレーザが試験片の端部の反射体にぶつかってから反射されて検知される原理を用いてセンサと反射体との距離に関する情報を記録し続ける装置である。したがって、センサと反射体との距離が離れただけ偏光板は収縮したものであり、逆に、センサと反射体との距離が近くなると偏光板は膨張したものである。

寸法変化率は、25℃の温度および50%の相対湿度で安定化した初期値と、65℃のオーブンの中で48時間収縮した後、25℃の温度および50%の相対湿度で24時間復元した後の最終値から下記の式により計算することができる。 寸法変化率(%)=(耐久評価後の偏光板の長さ−初期偏光板の長さ)/(初期偏光板の長さ)×100

偏光板は、耐久評価の際、ほとんど収縮する傾向にあり、耐久評価後の長さが初期の長さに比べて短くなることから、寸法変化率は負の値を有することになる。寸法変化率が0に近いほど、耐久評価による長さの変化が大きくないことを意味する。すなわち、寸法変化率が0に近いほど、寸法安定性が高いことを意味する。

また、前記試験片を100℃で24時間放置した後、偏光板の見かけにひずみがあるか否かを目視で評価した。下記の表1において、偏光板内のクラック(crack)の発生率とは、同一条件の試験片を6個ずつ製造し、6個のうち偏光板の見かけにクラックが生じた試験片の割合を意味する。

実験例により、測定した耐久性の評価後、クラック(crack)の発生率および偏光板の延伸方向(MD方向)の収縮率(%)を計算して、その結果を下記の表1にまとめた。

一方、偏光板に含まれる偏光子の表面に残留する多価カルボン酸化合物の濃度指標Xに関する定義は、上述のとおりである。

前記表1を参照すると、本明細書の一実施形態に係る偏光子の製造方法により製造された偏光子を含む偏光子の一面にのみ保護フィルムが備えられた偏光板は、クラックの発生率および延伸方向(MD方向)の収縮率が著しく低いことが分かる。さらに、実施例1〜3の場合、偏光板内のクラックが発生しなかった。これは、結果として、偏光板の寸法安定性、耐久性などに優れることを意味する。

また、本明細書の一実施形態に係る偏光子の製造方法により製造された偏光子を含む偏光子の一面にのみ保護フィルムが備えられた偏光板は、延伸方向(MD方向)の収縮率が低いことが分かる。

具体的に説明すると、ホウ素化合物のみを含む水溶液で架橋を行った比較例1は、ホウ素化合物の短い架橋鎖によりクラックの発生率および延伸方向(MD方向)の収縮率が高いことが分かる。

一方、多価カルボン酸化合物およびホウ素化合物を両方とも含む水溶液で第1および第2の架橋および延伸ステップを行った比較例2および3の場合、比較例1に比べてクラックの発生率および延伸方向(MD方向)の収縮率が低くなっているが、前記式(1)を満たしていないため、寸法安定性および耐久性の向上などの効果が効率よく実現されないことが分かる。

多価カルボン酸化合物およびホウ素化合物を両方とも含む水溶液で第1および第2の架橋および延伸ステップを行ったが、第3の架橋ステップを行っていない比較例4の場合もまた、比較例1に比べてクラックの発生率および延伸方向(MD方向)の収縮率が低くなっているが、寸法安定性および耐久性の向上などの効果が大きくないことが分かる。第3の架橋ステップを行っておらず、偏光子の表面に残留するホウ素化合物が除去されなかったことに起因する問題である。

一方、第3の架橋ステップでのみ多価カルボン酸化合物を使用した比較例5の場合、多価カルボン酸化合物による架橋反応が効果的に行われず、耐久性および寸法安定性が劣ることが分かる。

図2に、実施例1および実施例3と比較例1および比較例5による偏光子の一面にのみ保護フィルムが備えられた偏光板をOptical Microscopyを用いて観察した結果を示した。実施例1および実施例3は、クラックの発生率が0%である一方、比較例1に係る偏光子の一面にのみ保護フィルムが備えられた偏光板は、67%のクラックが発生し、比較例5に係る偏光子の一面にのみ保護フィルムが備えられた偏光板は、50%のクラックが発生したことを確認することができた。前記クラックの発生率は、全偏光子の一面にのみ保護フィルムが備えられた偏光板の全面積に対して同一条件の偏光子の一面にのみ保護フィルムが備えられた偏光板を100個ずつ製造し、100個のうち偏光板の見かけにクラック(crack)が生じたサンプルの個数によりクラック(crack)の発生率を求めた。

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