多孔質体ベルト及びその製造方法、並びにインクジェット記録装置

申请号 JP2017106922 申请日 2017-05-30 公开(公告)号 JP2017214697A 公开(公告)日 2017-12-07
申请人 キヤノン株式会社; 发明人 柳生 峰人; 長谷川 研二; 照井 真;
摘要 【課題】高い引張強度と高い屈曲強度とを両立できる多孔質体ベルトを提供する。 【解決手段】多孔質体を含む被接続体と、繊維Aと樹脂材料Aとを含むつなぎ材Aと、を有する多孔質体ベルトであって、前記樹脂材料Aは前記被接続体の前記多孔質体の空隙部の少なくとも一部に浸透して、前記被接続体の端部同士を接合していることを特徴とする多孔質体ベルト。 【選択図】図2
权利要求

多孔質体を含む被接続体と、 繊維Aと樹脂材料Aとを含むつなぎ材Aと、 を有する多孔質体ベルトであって、 前記樹脂材料Aは前記被接続体の前記多孔質体の空隙部の少なくとも一部に浸透して、前記被接続体の端部同士を接合していることを特徴とする多孔質体ベルト。前記樹脂材料Aの軟化点が、前記多孔質体を構成する材料の軟化点および前記繊維Aを構成する材料の軟化点よりも低い請求項1に記載の多孔質体ベルト。前記繊維Aの一部が前記被接続体の端部同士の隙間をまたいでいる請求項1又は2に記載の多孔質体ベルト。前記つなぎ材Aが、前記繊維Aからなる芯部と、前記樹脂材料Aからなる鞘部とを有する芯鞘構造を有する繊維A’をさらに含む請求項1から3のいずれか1項に記載の多孔質体ベルト。前記繊維A’が、前記つなぎ材Aの前記被接続体と接する面とは反対側の面に存在する請求項4に記載の多孔質体ベルト。前記多孔質体の空隙部の少なくとも一部に前記樹脂材料Aが浸透している領域の多孔質体ベルトの厚みが、前記被接続体上に前記つなぎ材Aが形成されていない領域の多孔質体ベルトの厚みよりも薄い請求項1から5のいずれか1項に記載の多孔質体ベルト。前記多孔質体ベルトは、前記被接続体の端部同士を接合するつなぎ材Bをさらに有し、 つなぎ材Bは、繊維Bと樹脂材料Bとを含み、 前記樹脂材料Bは前記被接続体の前記多孔質体の空隙部の少なくとも一部に浸透して、前記被接続体の端部同士を接合し、 前記樹脂材料Aは、前記被接続体の第一の面の端部同士を接合し、 前記樹脂材料Bは、前記被接続体の第二の面の端部同士を接合している請求項1から6のいずれか1項に記載の多孔質体ベルト。前記多孔質体ベルトの長手方向の断面において、前記樹脂材料Aの前記被接続体への浸透幅が、前記樹脂材料Bの浸透幅よりも広い請求項7に記載の多孔質体ベルト。請求項1から8のいずれか1項に記載の多孔質体ベルトの製造方法であって、 前記被接続体上に、前記繊維Aからなる芯部と、前記樹脂材料Aからなる鞘部とを有する芯鞘構造を有する繊維A’を配置する工程と、 前記樹脂材料Aの軟化点以上、かつ、前記多孔質体を構成する材料の軟化点および前記繊維Aを構成する材料の軟化点未満の温度で加熱する工程と、 を含むことを特徴とする多孔質体ベルトの製造方法。被記録体上に第一の液体と色材とを含む第一の画像を形成する画像形成ユニットと、 前記第一の画像と接触し、前記第一の画像から前記第一の液体の少なくとも一部を吸収する多孔質体を有する液吸収部材と、 を備えるインクジェット記録装置であって、 前記液吸収部材が請求項1から8のいずれか1項に記載の多孔質体ベルトであることを特徴とするインクジェット記録装置。被記録体上に第一の液体と色材とを含む第一の画像を形成する画像形成ユニットと、 前記第一の画像と接触し、前記第一の画像から前記第一の液体の少なくとも一部を吸収する多孔質体を有する液吸収部材と、 を備えるインクジェット記録装置であって、 前記液吸収部材が請求項7または8に記載の多孔質体ベルトであり、 前記第一の画像と接触する多孔質体ベルトの第一の面が、前記つなぎ材Aを有する面であり、前記多孔質体ベルトの第一の面の裏面である第二の面が、前記つなぎ材Bを有する面であることを特徴とするインクジェット記録装置。前記第一の画像と接触する多孔質体ベルトの第一の面の平均孔径は、前記多孔質体ベルトの、前記多孔質体ベルトの第一の面の裏面である第二の面の平均孔径よりも小さい請求項10又は11に記載のインクジェット記録装置。前記被記録体は、前記第一の画像と、前記第一の画像から前記第一の液体の少なくとも一部が吸収された第二の画像とを一時的に保持する転写体であって、最終画像が形成される記録媒体に前記第二の画像を転写する転写ユニットをさらに有する請求項10から12のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。

说明书全文

本発明は、多孔質体ベルト及びその製造方法、並びにインクジェット記録装置に関する。

近年、医療・衛生用、衣料用、生活関連資材用、産業資材用等の広範な用途に対して、良好なフィルター性能及び吸性を有し、かつ柔軟性に優れる多孔質体を用いた、多孔質体ベルトが求められている。多孔質体の代表例としては不織布が挙げられる。特許文献1には、不織布の端面同士を突き合わせ、当該突き合わせ部位を加熱することにより互いに溶着させた不織布が記載されている。特許文献2には、超音波ウェルダーによって熱可塑性繊維を主体として成る不織布の端部相互を接合する方法が記載されている。該方法においては、ローレット加工により凹凸部を形成した後、各凸部先端部を平坦加工した板状体を下板として使用することで、複数の点を溶着して接合する方法が記載されている。特許文献3には、非熱溶着性繊維層と熱溶着性繊維層の積層において、熱溶着性物質を非熱横着性物質の両側から含浸させ接着した積層体が記載されている。

特開2006−37300号公報

特開平6−198740号公報

特公昭54−24506号公報

多孔質体ベルトには、フィルター性能や吸水性といった機能性に加えて、搬送や巻取りに対する引張強度が求められることがある。特許文献1に記載の不織布の接合部は、一方の端面に露出した繊維と、もう一方の端面に露出した繊維の対向している部分だけが溶着する構成であり、溶着面積が小さいため、引張強度が十分であるとは言い難い。また、特許文献2に記載の方法では、引張に際して点状態の溶着部に応が集中しやすく、引張強度が十分であるとは言い難い。一方、多孔質体ベルトをローラの周上において走行させる場合、該多孔質体ベルトのつなぎ部における屈曲強度が高いことも求められる。

本発明の目的は、高い引張強度と高い屈曲強度とを両立できる多孔質体ベルトを提供することにある。

本発明に係る多孔質体ベルトは、多孔質体を含む被接続体と、繊維Aと樹脂材料Aとを含むつなぎ材Aと、を有する多孔質体ベルトであって、前記樹脂材料Aは前記被接続体の前記多孔質体の空隙部の少なくとも一部に浸透して、前記被接続体の端部同士を接合していることを特徴とする。

本発明に係る多孔質体ベルトの製造方法は、上記の多孔質体ベルトの製造方法であって、前記被接続体上に、前記繊維Aからなる芯部と、前記樹脂材料Aからなる鞘部とを有する芯鞘構造を有する繊維A’を配置する工程と、前記樹脂材料Aの軟化点以上、かつ、前記多孔質体を構成する材料の軟化点および前記繊維Aを構成する材料の軟化点未満の温度で加熱する工程と、を含むことを特徴とする。

本発明に係るインクジェット記録装置は、被記録体上に第一の液体と色材とを含む第一の画像を形成する画像形成ユニットと、前記第一の画像と接触し、前記第一の画像から前記第一の液体の少なくとも一部を吸収する多孔質体を有する液吸収部材と、を備えるインクジェット記録装置であって、前記液吸収部材が上記の多孔質体ベルトであることを特徴とする。

本発明によれば、高い引張強度と高い屈曲強度とを両立できる多孔質体ベルトを提供することができる。

実施例1において樹脂材料Aを溶着する前の多孔質体ベルトの断面図である。

本発明に係る多孔質体ベルトの一例を示す断面図である。

本発明に係る多孔質体ベルトの一例を示す断面図である。

本発明に係る多孔質体ベルトの一例を示す断面図である。

本発明に係る多孔質体ベルトの製造方法において使用される装置の一例を示す模式図である。

本発明に係る多孔質体ベルトの製造方法において使用される装置の一例を示す模式図である。

ローラ間の走行時における多孔質体ベルトのつなぎ部を説明するための模式図である。

ローラ上の走行時における多孔質体ベルトのつなぎ部を説明するための模式図である。

本発明の一実施形態における転写型インクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。

本発明の一実施形態における直接描画型インクジェット記録装置の構成の一例を示す模式図である。

図9、10に示すインクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。

図9に示す転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。

図10に示す直接描画型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。

本実施形態に係る液吸収部材である多孔質体ベルトの多孔質体の一例を示す断面図である。

[多孔質体ベルト] 本発明に係る多孔質体ベルトは、多孔質体を含む被接続体と、繊維Aと樹脂材料Aとを含むつなぎ材A(第一のつなぎ材とも称する)と、を有する。前記樹脂材料Aは前記被接続体の前記多孔質体の空隙部の少なくとも一部に浸透して、前記被接続体の端部同士を接合している。

前述したように、多孔質体ベルトには、フィルター性能や吸水性といった機能性に加えて、搬送や巻取りに対する引張強度が高いことが求められる。また、該多孔質体ベルトをローラの周上において走行させる場合、該多孔質体ベルトのつなぎ部(接合部とも称する)における屈曲強度が高いことが求められる。図7に、つなぎ部840を有する多孔質体ベルトが、ローラ802、803の間を走行する場合を示す。つなぎ部840は、ベルトの一方の端部の表面ともう一方の端部の裏面とを接着剤によって接合されていることが多い。この端部の表面と裏面を接合した場合、つなぎ部840の厚さや硬さがつなぎ部以外の多孔質体ベルトと異なってしまう。図8に、つなぎ部840がローラ803の周上を走行する状態を示す。つなぎ部840が厚くなったり、硬くなってしまった場合、つなぎ部840はローラ803の周上に沿わず、図8に示されるようにつなぎ部840の端部に屈曲部841が生じる。屈曲部841の径はローラ径より小さいため、屈曲強度が低くなる。また、屈曲度はローラ径とつなぎ部840の長さにも支配され、つなぎ部840の長さは短いほど有利であるが、つなぎ部840の長さが短いと引張強度が低下する。すなわち、引張強度と屈曲強度とはトレードオフの関係にあり、両者の両立が望まれる。

本発明に係る多孔質体ベルトでは、多孔質体を含む被接続体の一方の端部ともう一方の端部が、繊維Aと樹脂材料Aとを含むつなぎ材Aにより接合されている。ここで、つなぎ材Aが繊維Aを有し、かつ樹脂材料Aが多孔質体の空隙部の少なくとも一部に浸透しているため、被接続体とつなぎ材Aがより強く接合され、高い引張強度が得られる。また、被接続体の端部同士の間隙および多孔質体の空隙部の少なくとも一部に樹脂材料Aが浸透しており、繊維Aが存在するため、引張強度を維持したまま多孔質体ベルト全体としての屈曲強度を向上させることができる。被接続体の接合時に樹脂材料Aを多孔質体の空隙部の少なくとも一部に浸透させることができる観点から、樹脂材料Aの軟化点は、多孔質体を構成する材料の軟化点および繊維Aを構成する材料の軟化点よりも低いことが好ましい。

なお、本発明において「軟化点」とは、融点を有する場合には融点を、融点を有さず、ガラス転移点を有する場合にはガラス転移点を、それぞれ指すものとする。本発明において軟化点は、示差走査熱量測定(DSC: Differential scanning calorimetry)により測定した値である。

本発明に係る多孔質体ベルトの一例を図2に示す。図2に示される多孔質体ベルトは、被接続体1100と、被接続体1100上に配置されたつなぎ材A1300を有する。つなぎ材A1300は、繊維A1304と、樹脂材料A1305とを含む。図2に示されるように、つなぎ材A1300の樹脂材料A1305は、被接続体1100の多孔質体の空隙部の少なくとも一部に浸透している。これにより、つなぎ材A1300の樹脂材料A1305は、被接続体1100の端部同士を接合している。 以下に、多孔質体ベルトの各構成について説明する。なお、以下、つなぎ材A及びBを単に「つなぎ材」、繊維A及びBを単に「繊維」、樹脂材料A及びBを単に「樹脂材料」と称することがある。

(被接続体) 被接続体は多孔質体を含む。被接続体の形状は多孔質体ベルトを形成できるものであれば特に制限はないが、シート状であることが好ましい。そして、このシート状の被接続体の端部同士を接合することによって、多孔質体ベルトを得ることができる。接合する端部は被接続体の長手方向の端部であることが好ましい。該多孔質体は、液体や固形分等の良好な捕集力、吸収力、十分な捕集容量、吸収容量を得るために空隙部を有している。多孔質体としては、例えば、不織布、織布及びメッシュ(網状ネット)等の繊維状部材、並びにその他の各種多孔質体を挙げることができる。これらの中でも、強度、通気性、柔軟性及び作業性等の観点から、繊維状部材が好ましく、不織布がより好ましい。多孔質体を構成する材料としては、後述する樹脂材料Aの軟化点よりも高い軟化点を有する材料が好ましい。例えばポリオレフィン(例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリウレタン、ナイロン、ポリアミド、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタラート(PET)など)、ポリスルフォン(PSF)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、フッ素樹脂などを挙げることができる。フッ素樹脂に含まれるフッ素系ポリマーとしては、具体的に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA:パーフルオロアルコキシアルカン(テトラフルオロエチレン・パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合樹脂))、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。また、被接続体は、多孔質体を少なくとも被接続体が接合する端部に有していればよいが、被接続体自体が多孔質体であってもよい。また、後述するように多孔質体を複数層として形成する場合には、各層においてこれらの材料を一種用いてもよく、二種以上併用してもよい。不織布等の繊維状部材を用いる場合には、単一材料の繊維からなる繊維状部材や、異なる材料からなる二種以上の繊維が混在する繊維状部材を用いることができる。

本発明に係る多孔質体ベルトを、被清掃面に付着した液体や固形物を精度よくふき取る部材として利用する場合や、被記録体上に形成された画像に含まれる液体成分を吸収する部材として利用する場合には、被接続体は複数層から形成されることが好ましい。該被接続体における全体の層数は特に限定されないが、例えば2〜5層の範囲から適宜選択することができる。各層は各層間で接合されており、全体としての強度が保持されている。該被接続体は、例えば第一の層と、第二の層とからなる積層構造を有することができる。前記第一の層及び前記第二の層は、それぞれ、単層または複数層からなることができる。なお、第二の層の上に、更に別の層を有していてもよい。また、各層間に別の層を有していてもよいが、少なくとも第一の層と第二の層とは隣り合う層であることが好ましい。なお、被接続体が複数層から形成される場合、「多孔質体を構成する材料の軟化点」とは、つなぎ材Aと接する層を構成する材料の軟化点を示す。

多孔質体の多孔性は、その通気性によって評価することができる。通気性は、JIS P8117で規定されるガーレー試験機により測定されるガーレー値により規定することができる。本発明に係る被接続体全体としてのガーレー値は、10秒以下であることが好ましい。尚、ガーレー値が低いもの程、通気性が高いことを意味する。なお、ガーレー値の下限値は特に限定されないが、0.3秒程度に設定することができる。以下、本発明に係る被接続体が、第一の層と第二の層とからなる場合について説明する。

第一の層を構成する多孔質体およびその材料は、前述した多孔質体およびその材料を用いることができる。本発明において、被接続体の厚さは特に制限がないが、50μm以上500μm以下であることが好ましく、150μm以上350μm以下であることがより好ましい。多孔質体の第一の層の厚さは、100μm以下であることが好ましい。また、第一の層の厚さの下限は特に限定されず、多孔質体ベルトの用途に応じて適宜設定することができ、例えば1μm以上とすることができる。なお、層の厚さは、直進式のマイクロメーターOMV_25(商品名、ミツトヨ製)で任意の10点の層厚を測定し、その平均値を算出することによって得ることができる。

多孔質体の第二の層は、第一の層とともに積層構造を形成することによって、液体や固形分等の良好な捕集力、吸収量、十分な捕集容量、吸収容量を得るための層である。そのため、第二の層は、第一の層よりも通気性(平均孔径)が大きいことが好ましく、第一の層で捕集した物質を第二の層で収容し、より高い捕集容量を提供できることが好ましい。すなわち、第二の層は第一の層よりも低いガーレー値を有することが好ましい。また、第二の層は通気性を有し、かつ多孔質体ベルトの支持体としての機能を有する層であることが好ましい。第二の層を構成する多孔質体およびその材料は、前述した多孔質体およびその材料を用いることができる。また、第二の層を複数の層として形成することもできる。第二の層を複数の層で形成する場合には、構成材料や形態が異なる層を組み合わせて用いてもよい。第二の層を複数の層で形成する場合、各層の構成材料としては、前述したものを用いることができる。第二の層を複数の層で形成する場合においても、先に述べた通り、第二の層全体の通気性が、第一の層よりも高いことが好ましい。

また、多孔質体ベルトにおいて、被接続体の端部同士は直接接触しておらず、一方の端部ともう一方の端部との間に隙間を有していることが好ましく、この隙間に樹脂材料が存在することがより好ましい。すなわち、被接続体の端部同士が樹脂材料を介して接合していることが好ましい。この被接続体の接合部が隙間を有していること、または、この隙間に樹脂材料が存在することによって、多孔質体ベルトが屈曲する際の被接続体の端部同士の接触を抑制し、多孔質体ベルトの屈曲による接合部へのダメージをさらに抑制することができる。なお、この接合部の隙間を調整する方法については特に制限がなく、例えば、接合時の被接続体の端部の設置位置、被接続体の両端部を重ねて切断する時のカッターの刃幅、接合時の加熱温度によって調整することができる。

(つなぎ材) つなぎ材Aは、繊維Aと樹脂材料Aとを含む。つなぎ材は複数用いてもよい。例えば、多孔質体ベルトは、被接続体の第一の面(表面)の端部同士を接合するつなぎ材A(第一のつなぎ材とも称する)と、被接続体の第二の面(裏面)の端部同士を接合するつなぎ材B(第二のつなぎ材とも称する)とを有することが好ましい。樹脂材料Aとしては、前記多孔質体を構成する材料の軟化点および前記繊維Aを構成する材料の軟化点よりも低い軟化点を有する材料が好ましい。例えばポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリウレタン、ナイロンなどのポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)など)、ポリフルフォン(PSF)等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。樹脂材料Aの軟化点は、前記多孔質体を構成する材料の軟化点および前記繊維Aを構成する材料の軟化点よりも5℃以上低いことが好ましく、10℃以上低いことがより好ましい。繊維Aの材料としては、該樹脂材料Aよりも高い軟化点を有する材料が好ましく、樹脂材料Aと同様の材料を用いることができる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。繊維Aの平均繊維径に特段の制約はないが、屈曲強度の観点から20μm以下であることが好ましい。つなぎ材Aは、つなぎ材Aの全質量を基準として繊維Aを30〜70質量%含むことが好ましく、つなぎ材Aの全質量を基準として樹脂材料Aを30〜70質量%含むことが好ましい。また、つなぎ材を複数用いる場合、つなぎ材を構成する材料は同じであっても異なっていてもよい。つなぎ材の形状については特に制限はないが、層状のつなぎ材であることが好ましい。層状のつなぎ材を「つなぎ材層」とも称する。また、つなぎ材はつなぎ部を補強するための補強材としても機能している。そのため、つなぎ材を補強材と呼ぶこともできる。

つなぎ材Aでは、前記繊維Aの一部が前記被接続体の端部同士の隙間をまたいでいることが好ましい。「繊維Aの一部が被接続体の端部同士の隙間をまたいでいる」とは、繊維Aの少なくとも一部の繊維が被接続体の一方の端部ともう一方の端部の両方に接触していることを意味する。これにより、屈曲強度と引張強度との両立がより実現される。

つなぎ材Aは、前記繊維Aからなる芯部と、前記樹脂材料Aからなる鞘部とを有する芯鞘構造を有する繊維A’を含むことが好ましい。つなぎ材Aは、例えば前記繊維A’を原料として、前記樹脂材料Aの軟化点以上、かつ、前記多孔質体を構成する材料の軟化点および前記繊維Aを構成する材料の軟化点未満の温度で加熱することにより、形成できる。この場合、繊維Aの構造を維持した状態で、樹脂材料Aが前記被接続体の前記多孔質体の空隙部の少なくとも一部に浸透して、前記被接続体の端部同士を接合できる。また、前記繊維A’は、そのままつなぎ材A内に残存してもよい。つなぎ材Aが繊維A’を含む場合、つなぎ部が凹方向と凸方向のどちらにも屈曲される使用方法においては被接続体の表裏両側に溶着している層が存在する方が有利である。この観点から、前記繊維A’は、前記つなぎ材Aの前記被接続体と接する面とは反対側の面に存在することが好ましい。すなわち、前記繊維A’は、前記つなぎ材Aの前記被接続体と接する面とは反対側の面に、少なくとも接するように存在することが好ましい。なお、つなぎ材Aが繊維A’を含むこと、また、繊維A’が、前記つなぎ材Aの前記被接続体と接する面とは反対側の面に存在することは、断面のSEM(Scanning Electron Microscope)やEDAXにより確認することができる。

図3に示されるように、多孔質体の空隙部の少なくとも一部に樹脂材料Aが浸透している領域の多孔質体ベルトのつなぎ部の厚み1120は、被接続体1100上につなぎ材A1300が形成されていない領域の多孔質体ベルトの厚み1110よりも薄いことが好ましい。これにより、接着テープ等のつなぎ材によって被接続体の端部同士を接着し、つなぎ部を形成する場合よりも、つなぎ部の厚みを抑制することができる。また、つなぎ部の厚み1120は、厚み1110よりも20μm以上薄いことがより好ましい。

また、図4に示されるように、前記多孔質体ベルトは、被接続体1100においては、つなぎ材A1300が配置されている側とは反対側の面上であって、つなぎ材A1300と対向する位置に、繊維B1311と樹脂材料B1312とを含む、つなぎ材B1310をさらに有することが好ましい。樹脂材料B1312は被接続体1100の多孔質体の空隙部の少なくとも一部に浸透して、被接続体1100の端部同士を接合していることが好ましい。これにより、つなぎ部が凹方向と凸方向のどちらにも屈曲される使用方法において屈曲強度が向上する。また、繊維Bは繊維Aと同様のものを用いることができる。また、樹脂材料Bは樹脂材料Aと同様のものを用いることができる。前記つなぎ材Bは、前記つなぎ材Aと同一の構成であっても、異なる構成であってもよい。

また、引張強度と屈曲強度の向上の点から、多孔質体ベルトは、前記被接続体の端部同士を接合するつなぎ材Bをさらに有することが好ましい。つなぎ材Bは、繊維Bと樹脂材料Bとを含む。前記樹脂材料Bは前記被接続体の前記多孔質体の空隙部の少なくとも一部に浸透して、前記被接続体の端部同士を接合する。前記樹脂材料Aは、前記被接続体の第一の面の端部同士を接合し、前記樹脂材料Bは、前記被接続体の第二の面の端部同士を接合している。また、前記多孔質体ベルトの長手方向の断面において、前記樹脂材料Aの前記被接続体への浸透幅が、前記樹脂材料Bの浸透幅よりも広いことが好ましい。

[多孔質体ベルトの製造方法] 本発明に係る多孔質体ベルトの製造方法は、以下の工程を含む。前記被接続体上に、前記繊維Aからなる芯部と、前記樹脂材料Aからなる鞘部とを有する芯鞘構造を有する繊維A’を配置する工程。前記樹脂材料Aの軟化点以上、かつ、前記多孔質体を構成する材料の軟化点および前記繊維Aを構成する材料の軟化点未満の温度で加熱する工程。該製造方法によれば、本発明に係る多孔質体ベルトを簡便に製造することができる。また、多孔質体ベルトのつなぎ部の表面と裏面の両方につなぎ材を有する場合は、多孔質体ベルトの製造方法は、以下の工程を含む。被接続体上の第一の面上に、前記繊維Aからなる芯部と、前記樹脂材料Aからなる鞘部とを有する芯鞘構造を有する繊維A’を配置する工程。被接続体上の第二の面上に、前記繊維Bからなる芯部と、前記樹脂材料Bからなる鞘部とを有する芯鞘構造を有する繊維B’を配置する工程。前記樹脂材料Aの軟化点以上、かつ、前記被接続体に含まれる前記多孔質体を構成する材料の軟化点および前記繊維Aを構成する材料の軟化点未満の温度で加熱する工程。前記樹脂材料Bの軟化点以上、かつ、前記被接続体に含まれる前記多孔質体を構成する材料の軟化点および前記繊維Bを構成する材料の軟化点未満の温度で加熱する工程。

本発明に係る多孔質体ベルトは、例えば図5に示される装置を用いて製造することができる。初めに、平坦なステージ1500上に、被接続体1100の端部を左右からつき合わせる。このとき、被接続体1100の端部の端面同士を向かい合うように配置する。単に端部をつき合わせただけでは大きな隙間が生じてしまう場合には、つなぎ部を中心に左右から被接続体の端部を重ね合わせて配置し、被接続体が動かないように固定おもり1600で固定し、重ね合わされた部分の中央部をカッターで切断することができる。これにより、ほとんど隙間のない、つき合わせ状態が実現される。次に、つなぎ部をまたぐように加熱される前のつなぎ材A1300を積層する。この加熱前のつなぎ材A1300は、前記繊維Aからなる芯部と、前記樹脂材料Aからなる鞘部とを有する芯鞘構造を有する繊維A’である。その後、加熱される前のつなぎ材A1300の全域を覆う加圧ブロック1700を、つなぎ材A1300に密着させて加圧し、被接続体1100およびつなぎ材A1300をステージ1500との間で固定する。なお、図6に示されるように、前記加圧の際の圧力を高め、つなぎ材A1300を被接続体1100に対して沈みこませることで、図3に示されるような、厚み1120が厚み1110よりも薄い多孔質体ベルトが得られる。

その後、加圧部を、樹脂材料Aの軟化点以上、かつ、多孔質体を構成する材料の軟化点および繊維Aを構成する材料の軟化点未満の温度で加熱する。加熱温度は、樹脂材料Aの軟化点よりも10℃以上高いことが好ましい。また、加熱温度は、多孔質体を構成する材料の軟化点および繊維Aを構成する材料の軟化点よりも10℃以上低いことが好ましい。加熱はヒーターにより行うことができる。加圧ブロック1700にヒーターが埋め込まれていても、ステージ1500にヒーターが埋め込まれていてもよい。また、加熱は、ステージ1500と加圧ブロック1700の両方のヒーターにより行ってもよい。ヒーターはつなぎ部全長を覆うことができる長尺ヒーターが好ましいが、つなぎ部に沿って走査できる15mm角ほどのヒーターであってもよい。また、加圧ブロック1700として透明加圧体を用い、これを介してレーザー加熱してもよい。その後、樹脂材料Aの軟化点を十分に下回る温度まで冷却し、圧力を解放することで、多孔質体ベルトが得られる。

[インクジェット記録装置] 以下に図面を参照して、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置について説明する。 本発明に係るインクジェット記録装置は、被記録体上に第一の液体と色材とを含む第一の画像を形成する画像形成ユニットと、前記第一の画像と接触し、前記第一の画像から前記第一の液体の少なくとも一部を吸収する多孔質体を有する液吸収部材と、を備える。前記液吸収部材は、本発明に係る多孔質体ベルトである。前記液吸収部材として本発明に係る多孔質体ベルトを用いることにより、例えば加熱することなく、または、加熱をできるだけ抑えた状態で、画像中の水分を含む液体成分を吸収して色材成分の濃度を高めることができる。

本発明のインクジェット記録装置としては、被記録体(被吐出媒体とも称する)としての転写体上にインクを吐出して第一の画像(液体吸収前のインク像)を形成し、液吸収部材によるインク像からの液吸収後の第二の画像(液体吸収後のインク像)を記録媒体へ転写するインクジェット記録装置と、被記録体としての記録媒体上に第一の画像を形成するインクジェット記録装置とが挙げられる。なお、本発明において、前者のインクジェット記録装置を、以下便宜的に転写型インクジェット記録装置と称し、後者のインクジェット記録装置を、以下便宜的に直接描画型インクジェット記録装置と称する。以下にそれぞれのインクジェット記録装置について説明する。

(転写型インクジェット記録装置) 転写型インクジェット記録装置において、被記録体は、第一の画像と、前記第一の画像から第一の液体の少なくとも一部を吸収した第二の画像を一時的に保持する転写体である。また、転写型インクジェット記録装置は、前記第二の画像を、最終画像が形成される記録媒体上に転写する転写用の押圧部材を備えた転写ユニットを含む。

図9は、本実施形態の転写型インクジェット記録装置の概略構成の一例を示す模式図である。転写型インクジェット記録装置100は、図9に示すように、支持部材102によって支持された転写体101と、転写体101上に反応液を付与する反応液付与装置103と、反応液が付与された転写体101上にインクを付与し、転写体101上にインク像(第一の画像)を形成するインク付与装置104と、転写体101上の第一の画像から液体成分を吸収する液吸収装置105と、記録媒体を押圧することによって液体成分が除去された転写体101上の第二の画像を紙などの記録媒体108上に転写する押圧部材106と、を有する。また、転写型インクジェット記録装置100は、転写した後の転写体101の表面をクリーニングする転写体クリーニング部材109を有していてもよい。

支持部材102の回転軸102aを中心として、支持部材102は図9の矢印の方向に回転する。この支持部材102の回転により、転写体101が移動される。移動された転写体101上に、反応液付与装置103による反応液、および、インク付与装置104によるインクが順次付与され、転写体101上に第一の画像が形成される。転写体101上に形成された第一の画像は、転写体101の移動により、液吸収装置105が有する液吸収部材105aと接触する位置まで移動される。

液吸収装置105の液吸収部材105aは、転写体101の回転に同期して移動する。転写体101上に形成された第一の画像はこの移動する液吸収部材105aと接触した状態を経る。この間に液吸収部材105aは第一の画像から液体成分を除去する。なお、この液吸収部材105aと接触した状態を経ることで、第一の画像に含まれる液体成分が除かれる。この接触した状態において、液吸収部材105aは、所定の押圧力をもって第一の画像に押圧されることが、液吸収部材105aを効果的に機能させる点で好ましい。液体成分の除去を異なる視点で説明すれば、転写体101上に形成された第一の画像を構成するインクを濃縮するとも表現することができる。インクを濃縮するとは、インクに含まれる液体成分が減少することによって、インクに含まれる色材や樹脂といった固形分の液体成分に対する含有割合が増加することを意味する。

そして、液体成分が除去された後の第二の画像は、転写体101の移動により、記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108と接触する転写部に移動される。液体成分が除去された後の第二の画像が記録媒体108と接触している間に、押圧部材106が記録媒体108を押圧することによって、記録媒体108上にインク像が転写される。これにより記録媒体上に最終画像が形成される。記録媒体108上に転写された転写後のインク像は第二の画像の反転画像である。以降の説明では、上述した第一の画像(液除去前インク像)、第二の画像(液除去後インク像)とは別に、この転写後インク像を第三の画像ということがある。

なお、転写体101上には反応液が付与されてからインクが付与されて第一の画像が形成されるため、非画像領域(非インク像形成領域)には反応液がインクと反応することなく残っている。本装置では液吸収部材105aは第一の画像からのみならず、未反応の反応液とも接触(圧接)し、反応液の液体成分も併せて転写体101の表面上から除去している。したがって、以上では、第一の画像から液体成分を除去すると表現し説明しているが、第一の画像のみから液体成分を除去するという限定的な意味合いではなく、少なくとも転写体101上の第一の画像から液体成分を除去していればよいという意味合いで用いている。例えば、第一の画像とともに第一の画像の外側領域に付与された反応液中の液体成分を除去することも可能である。

なお、液体成分は、一定の形を持たず、流動性を有し、ほぼ一定の体積を有するものであれば、特に限定されるものではない。例えば、インクや反応液に含まれる水や有機溶媒等が液体成分として挙げられる。また、上述したクリアインクが第一の画像に含まれている場合においても、液吸収処理によるインクの濃縮を行うことができる。例えば、転写体101上に付与された色材を含有するカラーインクの上にクリアインクが付与されると、第一の画像の表面には全面的にクリアインクが存在している、或いは、第一の画像の表面の一箇所または複数箇所にクリアインクが部分的に存在し、他の箇所にはカラーインクが存在する。第一の画像において、カラーインク上にクリアインクが存在している箇所では、多孔質体が第一の画像の表面のクリアインクの液体成分を吸収し、クリアインクの液体成分が移動する。それに伴ってカラーインク中の液体成分が多孔質体側へ移動することで、カラーインク中の液体成分が吸収される。一方、第一の画像の表面にクリアインクの領域とカラーインクの領域が存在している箇所では、カラーインク及びクリアインクのそれぞれの液体成分が多孔質体側へ移動することで液体成分が吸収される。なお、このクリアインクには、転写体101から記録媒体108への画像の転写性を向上させるための成分を多く含ませておいてもよい。例えばカラーインクよりも加熱により記録媒体への粘着性が高くなる成分の含有率を高くしておくことが挙げられる。 本実施形態の転写型インクジェット記録装置の各構成について以下に説明する。

<転写体> 転写体101は、画像形成面を含む表面層を有する。表面層の部材としては、樹脂、セラミック等各種材料を適宜用いることができるが、耐久性等の点で圧縮弾性率の高い材料が好ましい。具体的には、アクリル樹脂、アクリルシリコーン樹脂、フッ素含有樹脂、加水分解性有機ケイ素化合物を縮合して得られる縮合物等が挙げられる。反応液の濡れ性、転写性等を向上させるために、表面処理を施して用いてもよい。表面処理としては、フレーム処理、コロナ処理、プラズマ処理、研磨処理、粗化処理、活性エネルギー線照射処理、オゾン処理、界面活性剤処理、シランカップリング処理などが挙げられる。これらを複数組み合わせてもよい。また、表面層に任意の表面形状を設けることもできる。

また転写体は、圧力変動を吸収する機能を有する圧縮層を有することが好ましい。圧縮層を設けることで、圧縮層が変形を吸収し、局所的な圧力変動に対してその変動を分散し、高速印刷時においても良好な転写性を維持することができる。圧縮層の部材としては、例えばアクリロニトリル−ブタジエンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム等が挙げられる。上記ゴム材料の成形時に、所定量の加硫剤、加硫促進剤等を配合し、さらに発泡剤、中空微粒子或いは食塩等の充填剤を必要に応じて配合し多孔質としたものが好ましい。これにより、様々な圧力変動に対して気泡部分が体積変化を伴って圧縮されるため、圧縮方向以外への変形が小さく、より安定した転写性、耐久性を得ることができる。多孔質のゴム材料としては、各気孔が互いに連続した連続気孔構造のものと、各気孔がそれぞれ独立した独立気孔構造のものがある。本発明ではいずれの構造であってもよく、これらの構造を併用してもよい。

さらに転写体は、表面層と圧縮層との間に弾性層を有することが好ましい。弾性層の部材としては、樹脂、セラミック等、各種材料を適宜用いることができる。加工特性等の点で、各種エラストマー材料、ゴム材料が好ましく用いられる。具体的には、例えばフルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴム、フッ素ゴム、クロロプレンゴム、ウレタンゴム、ニトリルゴム、エチレンプロピレンゴム、天然ゴム、スチレンゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、エチレン/プロピレン/ブタジエンのコポリマー、ニトリルブタジエンゴム等が挙げられる。特に、シリコーンゴム、フルオロシリコーンゴム、フェニルシリコーンゴムは、圧縮永久ひずみが小さいため、寸法安定性、耐久性の面で好ましい。また、温度による弾性率の変化が小さく、転写性の点でも好ましい。

転写体を構成する各層(表面層、弾性層、圧縮層)の間に、これらを固定・保持するために各種接着剤や両面テープを用いてもよい。また、装置に装着する際の横伸びの抑制や、コシを保つために圧縮弾性率が高い補強層を設けてもよい。また、織布を補強層としてもよい。転写体は前記材質による各層を任意に組み合わせて作製することができる。

転写体の大きさは、目的の印刷画像サイズに合わせて自由に選択することができる。転写体の形状としては、特に制限されず、具体的にはシート形状、ローラ形状、ベルト形状、無端ウェブ形状等が挙げられる。

<支持部材> 転写体101は、支持部材102上に支持されている。転写体の支持方法として、各種接着剤や両面テープを用いてもよい。または、転写体に金属、セラミック、樹脂等を材質とした設置用部材を取り付けることで、設置用部材を用いて転写体を支持部材102上に支持してもよい。

支持部材102は、その搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。支持部材の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いるのも好ましい。

<反応液付与装置> 本実施形態のインクジェット記録装置は、転写体101に反応液を付与する反応液付与装置103を有する。図9の反応液付与装置103は、反応液を収容する反応液収容部103aと、反応液収容部103aにある反応液を転写体101上に付与する反応液付与部材103b、103cとを有するグラビアオフセットローラの場合を示している。

<インク付与装置> 本実施形態のインクジェット記録装置は、反応液を付与された転写体101にインクを付与するインク付与装置104を有する。反応液とインクとが混合されることで第一の画像が形成され、次の液吸収装置105にて第一の画像から液体成分が吸収される。

<液吸収装置> 本実施形態において、液吸収装置105は、本発明に係る多孔質体ベルトである液吸収部材105a、および、液吸収部材105aを転写体101上の第一の画像に押し当てる液吸収用の押圧部材105bを有する。なお、液吸収部材105aおよび押圧部材105bの形状については特に制限がない。例えば、図9に示すように、押圧部材105bが円柱形状であり、液吸収部材105aがベルト形状であって、円柱形状の押圧部材105bでベルト形状の液吸収部材105aを転写体101に押し当てる構成であってもよい。また、押圧部材105bが円柱形状であり、液吸収部材105aが円柱形状の押圧部材105bの周面上に形成された円筒形状であって、円柱形状の押圧部材105bで円筒形状の液吸収部材105aを転写体に押し当てる構成であってもよい。本発明において、インクジェット記録装置内でのスペース等を考慮すると、液吸収部材105aはベルト形状であることが好ましい。また、このようなベルト形状の液吸収部材105aを有する液吸収装置105は、液吸収部材105aを張架する張架部材を有することができる。図9において、105c、105d、105eは張架部材としての張架ローラである。図9において、押圧部材105bも張架ローラと同様に回転するローラ部材としているが、これに限定されるものではない。

液吸収装置105では、多孔質体を有する液吸収部材105aを押圧部材105bによって第一の画像に押圧させることで、第一の画像に含まれる液体成分を液吸収部材105aに吸収させ、第一の画像から液体成分を減少させた第二の画像とする。第一の画像中の液体成分を減少させる方法として、液吸収部材を押圧する本方式に加え、その他従来用いられている各種手法、例えば、加熱による方法、低湿空気を送風する方法、減圧する方法等を組み合わせても良い。また、液体成分を減少させた第二の画像にこれらの方法を適用してさらに液体成分を減少させてもよい。以下、液吸収装置105における、各種条件と構成について詳細に述べる。

〔液吸収部材〕 本実施形態では、液除去前のインク像から液体成分の少なくとも一部を、多孔質体を有する液吸収部材と接触させて吸収することで除去し、インク像中の液体成分の含有量を減少させる。液吸収部材のインク像との接触面を第一の面とし、第一の面に多孔質体が配置される。このような多孔質体を有する液吸収部材は、被吐出媒体の移動に連動して移動し、インク像と接触した後、所定の周期で別の液除去前のインク像に再接触する循環して液吸収が可能な形状を有するものが好ましい。例えば、無端ベルト状などの形状が挙げられる。

また、前記多孔質体ベルトの長手方向の断面において、前記樹脂材料Aの前記被接続体への浸透幅が、前記樹脂材料Bの浸透幅よりも広く、前記第一の画像と接触する多孔質体ベルトの第一の面が、前記つなぎ材Aを有する面であり、前記多孔質体ベルトの第一の面の裏面である第二の面が、前記つなぎ材Bを有する面であることが好ましい。これにより、第一の画像と接触する面におけるつなぎ部の樹脂材料Aの浸透幅が広いことによって、より多孔質体ベルトの第一の面のつなぎ部における耐久性をさらに向上させることができる。また、液吸収部材である多孔質体ベルトは、前記第一の画像と接触する多孔質体ベルトの第一の面の平均孔径は、前記多孔質体ベルトの、前記多孔質体ベルトの第一の面の裏面である第二の面の平均孔径よりも小さいことが好ましい。第一の面と第二の面の平均孔径が上記関係を満たすことで、第一の画像の色材を含む凝集物の多孔質体ベルトへの付着や侵入をより抑制することができる。さらに、第一の面の平均孔径が小さいことから、毛管力によって第一の画像と接触する面におけるつなぎ部の樹脂材料Aの浸透幅を広げやすくなる。

〔多孔質体〕 本実施形態に係る液吸収部材105aであるベルト形状の多孔質体は、例えば図14に示されるように、第一の層、第二の層および第三の層からなる三層構造を有することが好ましい。図14に示される多孔質体は、第一の層21と、第二の繊維44を含む第二の層41と、第三の繊維32を含む第三の層31とを含む。第二の繊維44は、中心軸を形成する芯構造42と、芯構造42を包む鞘構造43と、を有する芯鞘構造を有している。第二の繊維44の平均繊維径d2は、第三の繊維32の平均繊維径d3よりも大きいことが好ましい。鞘構造43の平均厚みt2は第一の層21の厚みt1よりも小さいことが好ましい。

前記多孔質体は、第一の層、第二の層および第三の層以外に他の層を含んでもよい。前記多孔質体を含む被接続体の厚みは、均一に高い通気性を得る観点から薄いことが好ましく、例えば50〜500μmとすることができる。通気性はJIS P8117で規定されるガーレー値で示すことができ、前記多孔質体のガーレー値は10秒以下であることが好ましい。

(1)第一の層 第一の層は第一の画像と接触する層であり、第一の画像に直接触れて第一の液体の少なくとも一部を吸収する多孔質層である。前記第一の層を形成する材料は特に限定されないが、色材付着抑制及びクリーニング性を高くする観点から、表面自由エネルギーの低いフッ素樹脂を含むことが好ましい。すなわち、前記第一の層はフッ素樹脂を含むことが好ましく、フッ素樹脂からなることがより好ましい。フッ素樹脂としては、具体的には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリフッ化ビニル(PVF)、パーフルオロアルコキシフッ素樹脂(PFA)、四フッ化エチレン・六フッ化プロピレン共重合体(FEP)、エチレン・四フッ化エチレン共重合体(ETFE)、エチレン・クロロトリフルオロエチレン共重合体(ECTFE)等が挙げられる。これらの材料は、必要に応じて1種又は2種以上を用いることができる。また、第一の層が材料の異なる複数の膜が積層された構成であってもよい。

前記第一の層を形成する材料の軟化点は、前記第二の繊維における鞘構造を形成する材料の軟化点よりも高くする観点から、170℃以上が好ましく、180℃以上がより好ましく、200℃以上がさらに好ましい。前記第一の層を形成する材料の軟化点の範囲の上限は特に限定されないが、例えば350℃以下とすることができる。また、第一の層が複数の材料を含む場合には、複数の材料を含む状態での軟化点を示す。

前記第一の層を形成する材料は、第一の画像に痕跡を残さない程度に柔軟性を有することが望ましく、該材料のヤング率としては、2.0GPa以下が好ましく、1.0GPa以下がより好ましく、0.5GPa以下がさらに好ましい。該ヤング率の範囲の下限は特に限定されないが、例えば0.1GPa以上とすることができる。なお、本発明においてヤング率は、JIS K7161に規定される方法にて測定した値である。

前記第一の層の第一の画像と接する側の面における平均孔径は、第一の画像に圧接させた際の色材付着抑制の観点から、10.0μm以下であることが好ましく、1.0μm以下であることがより好ましく、0.2μm以下であることがさらに好ましい。特に、該平均孔径が0.2μm以下であることにより、濾過性が高まり、多孔質体への色材付着が大幅に抑制される。なお、本発明において平均孔径は、電子顕微鏡で多孔質層の表面を観察し、該表面の孔部分の面積を円の面積とした場合の直径として、20点以上計測した平均値である。該平均孔径の範囲の下限は特に限定されないが、例えば0.02μm以上とすることができる。

前記第一の層の厚みは50μm以下であることが好ましく、30μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましく、5μm以下が特に好ましい。該厚みが50μm以下であることにより、流抵抗の増加を抑制でき、画像流れを抑制できる。該厚みの範囲の下限は特に限定されないが、例えば1μm以上とすることができる。

(2)第二の層 第二の層は、前記第一の層と第三の層とを接着する多孔質層である。第二の層は第二の繊維を含み、第二の繊維からなってもよい。なお、第二の繊維の一部が溶融していても、第二の層内において第二の繊維が繊維形状として残っていれば、第二の層は第二の繊維を含むものとする。後述する第二の層aに含まれる第二の繊維a、第二の層bに含まれる第二の繊維A’についても同様である。第二の層は不織布でも良く、織布でも良い。前記第二の繊維は、中心軸を形成する芯構造と、前記芯構造を包む鞘構造と、を有する芯鞘構造を有している。前記芯構造を形成する材料および前記鞘構造を形成する材料は、例えばポリオレフィン(ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)など)、ポリウレタン、ナイロンなどのポリアミド、ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート(PET)など)、ポリフルフォン(PSF)等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。

前記鞘構造を形成する材料の軟化点は、前記芯構造を形成する材料の軟化点、前記第一の層を形成する材料の軟化点、および第三の層に含まれる第三の繊維を形成する材料の軟化点よりも低いことが好ましい。これにより、第一から第三の層を加熱により接着する際に、加熱温度を選択することで前記鞘構造を形成する材料のみを軟化させることができ、芯構造が溶融しないため、第二の繊維の形状を維持することができる。したがって、第二の層全体が溶けつぶれないため、第二の層の目潰れを防止できる。前記鞘構造を形成する材料の軟化点は、前記芯構造を形成する材料の軟化点、前記第一の層を形成する材料の軟化点、および第三の層に含まれる第三の繊維を形成する材料の軟化点よりも5℃以上低いことが好ましく、10℃以上低いことがより好ましい。

前記芯構造を形成する材料の軟化点は、140℃以上であることが好ましく、150℃以上であることがより好ましい。前記芯構造を形成する材料の軟化点の範囲の上限は特に限定されないが、例えば180℃以下であることができる。また、前記鞘構造を形成する材料の軟化点は、140℃未満であることが好ましく、130℃以下であることがより好ましい。前記鞘構造を形成する材料の軟化点の範囲の下限は特に限定されないが、例えば110℃以上であることができる。

第二の層は、第二の繊維aを含む第二の層aと、第二の繊維bを含む第二の層bとを有することができる。第二の繊維aの鞘構造の平均厚みは、0.5〜5.0μmが好ましく、1.0〜4.0μmがより好ましい。また、第二の繊維aの芯構造の平均直径は、1.0〜30.0μmが好ましく、5.0〜20.0μmがより好ましい。第二の繊維bの平均繊維径は、第三の繊維の平均繊維径よりも大きいことができる。第二の繊維bの平均繊維径は、第三の繊維の平均繊維径よりも1μm以上大きいことが好ましく、2μm以上大きいことがより好ましい。第二の繊維bの平均繊維径は、10〜50μmが好ましく、15〜30μmがより好ましい。第二の層bの厚みは、搬送性の観点から、10〜500μmであることが好ましい。

前記芯構造を形成する材料のヤング率は、搬送性の観点から、0.1〜3.0GPaであることが好ましい。また、前記鞘構造を形成する材料のヤング率は、搬送性の観点から、0.1〜3.0GPaであることが好ましい。前記鞘構造の平均厚みは、前記第一の層の厚みよりも小さいことが好ましい。前記第二の層の厚みは、搬送性の観点から、10〜500μmであることが好ましい。

(3)第三の層 第三の層は、液吸収部材の剛性を高める多孔質層である。第三の層は第三の繊維を含み、第三の繊維からなってもよい。第三の層は不織布でも良く、織布でも良い。前記第三の繊維を形成する材料は、例えば、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリイミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)等が挙げられる。これらは一種を用いてもよく、二種以上を併用してもよい。しかしながら、後述するようにヤング率が高く、搬送強度を向上できる観点から、前記第三の繊維はポリフェニレンサルファイド(PPS)又はポリイミドを含むことが好ましい。

前記第三の繊維を形成する材料の軟化点は、150℃以上であることが好ましく、170℃以上であることがより好ましく、200℃以上がさらに好ましい。前記第三の繊維を形成する材料の軟化点の範囲の上限は特に限定されないが、例えば350℃以下であることができる。

前記第三の繊維を形成する材料のヤング率は、搬送強度を高め、剛性を確保する観点から、前記第一の層を形成する材料のヤング率よりも高いことが好ましい。前記第三の繊維を形成する材料のヤング率は、前記第一の層を形成する材料のヤング率よりも1.0GPa以上高いことが好ましく、2.0GPa以上高いことがより好ましい。前記第三の繊維を形成する材料のヤング率は、2.0GPa以上であることが好ましく、2.5GPa以上であることがより好ましく、3.0GPa以上であることがさらに好ましい。該ヤング率の範囲の上限は特に限定されないが、例えば5.0GPa以下とすることができる。該ヤング率を有する材料からなる第三の層は、最終的に多孔質体ベルトの剛性を概ね決定することになる。多孔質体ベルトには、安定搬送させるため、搬送時に2.5〜10.0mN/mm程度の張力がかけられる。その際、多孔質体ベルトの伸びが大きいと、張力変動等に対して搬送安定性が確保できない。搬送安定性を確保するには、2.5〜10.0mN/mmの範囲で弾性変形能の範囲で2%以下の伸びに抑えることが好ましい。なお、張力と弾性変形能の範囲での伸びは、島津製作所製「オートグラフAG−X」(商品名)にて測定した値である。

前記第三の層の厚みは、搬送強度を高め、剛性を確保する観点から、50〜500μmであることが好ましく、100〜400μmであることがより好ましく、150〜300μmであることがさらに好ましい。前記第三の繊維の平均繊維径は、前記第二の繊維の平均繊維径よりも小さくする観点から、2〜15μmが好ましく、5〜10μmがより好ましい。

〔前処理〕 本実施形態において、多孔質体を有する液吸収部材105aを第一の画像に接触させる前に、液吸収部材に処理液を付与する前処理装置(図9では不図示)によって前処理を施すことが好ましい。本発明に用いる処理液は、水及び水溶性有機溶剤を含有することが好ましい。水は、イオン交換等により脱イオンした水であることが好ましい。また、水溶性有機溶剤の種類は特に限定されず、エタノールやイソプロピルアルコール等の公知の有機溶剤をいずれも用いる事ができる。本発明に用いる液吸収部材の前処理において、付与方法は特に限定されないが、浸漬や液滴滴下が好ましい。

〔加圧条件〕 転写体上の第一の画像に対して圧接する液吸収部材の圧力が2.9N/cm2(0.3kgf/cm2)以上であれば、第一の画像中の液体をより短時間に固液分離でき、第一の画像中から液体成分を除去できるため好ましい。また、圧力が98N/cm2(10kgf/cm2)以下であれば、装置への構造上の負荷が抑制できるため好ましい。尚、本明細書における液吸収部材の圧力とは、被記録体と液吸収部材との間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器(新田株式会社製 I−SCAN)にて面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、値を算出したものである。

〔作用時間〕 第一の画像に液吸収部材105aを接触させる作用時間は、第一の画像中の色材が液吸収部材へ付着することをより抑制するために、50ms(ミリ秒)以内であることが好ましい。尚、本明細書における作用時間とは、上述した面圧測定における、被記録体の移動方向における圧力感知幅を、被記録体の移動速度で割って算出される。以降、この作用時間を液吸収ニップ時間と称す。

このようにして、転写体101上には、第一の画像から液体成分が吸収され、液体分の減少した第二の画像が形成される。第二の画像は次に転写部において記録媒体108上に転写される。転写時の装置構成及び条件について説明する。

<転写用の押圧部材> 本実施形態では、第二の画像と記録媒体搬送装置107によって搬送される記録媒体108とが接触している間に、転写用の押圧部材106が記録媒体108を押圧することによって、記録媒体108上にインク像が転写される。転写体101上の第一の画像に含まれる液体成分を除去した後に、記録媒体108へ転写することにより、カールや、コックリング等を抑制した記録画像を得ることが可能となる。

押圧部材106は記録媒体108の搬送精度や耐久性の観点からある程度の構造強度が求められる。押圧部材106の材質には金属、セラミック、樹脂等が好ましく用いられる。中でも特に、転写時の加圧に耐え得る剛性や寸法精度のほか、動作時のイナーシャを軽減して制御の応答性を向上するために、アルミニウム、鉄、ステンレス、アセタール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリウレタン、シリカセラミクス、アルミナセラミクスが好ましく用いられる。またこれらを組み合わせて用いてもよい。

転写体101上の第二の画像を記録媒体108に転写するための押圧部材106が押圧する時間については特に制限はないが、転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないようにするために、5ms(ミリ秒)以上100ms(ミリ秒)以下であることが好ましい。尚、本実施形態における圧接させる時間とは、記録媒体108と転写体101間が接触している時間を示しており、面圧分布測定器(新田株式会社製 I−SCAN)にて面圧測定を行い、加圧領域の搬送方向長さを搬送速度で割り、値を算出したものである。

また、転写体101上の第二の画像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が押圧する圧力についても特に制限はないが、転写が良好に行われ、かつ転写体の耐久性を損なわないようにする。このために、圧力が9.8N/cm2(1kg/cm2)以上294.2N/cm2(30kg/cm2)以下であることが好ましい。尚、本実施形態における圧力とは、記録媒体108と転写体101間のニップ圧を示しており、面圧分布測定器にて面圧測定を行い、加圧領域における加重を面積で割り、値を算出したものである。

転写体101上の第二の画像を記録媒体108に転写するために押圧部材106が押圧しているときの温度についても特に制限はないが、インクに含まれる樹脂成分のガラス転移点以上又は軟化点以上であることが好ましい。また、加熱には転写体101上の第二の画像、転写体101及び記録媒体108を加熱する加熱装置を備える態様が好ましい。押圧部材106の形状については特に制限されないが、例えばローラ形状のものが挙げられる。

<記録媒体および記録媒体搬送装置> 本実施形態において、記録媒体108は特に限定されず、公知の記録媒体をいずれも用いることができる。記録媒体としては、ロール状に巻回された長尺物、あるいは所定の寸法に裁断された枚葉のものが挙げられる。材質としては、紙、プラスチックフィルム、木板、段ボール、金属フィルムなどが挙げられる。

また、図9において、記録媒体108を搬送するための記録媒体搬送装置107は、記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって構成されているが、記録媒体を搬送できればよく、特にこの構成に限定されるものではない。

<制御システム> 本実施形態における転写型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図11は図9に示す転写型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図である。図11において、301は外部プリントサーバー等の記録データ生成部、302は操作パネル等の操作制御部、303は記録プロセスを実施するためのプリンタ制御部、304は記録媒体を搬送するための記録媒体搬送制御部、305は印刷するためのインクジェットデバイスである。

図12は図9の転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。401はプリンタ全体を制御するCPU、402は前記CPUの制御プログラムを格納するためのROM、403はプログラムを実行するためのRAMである。404はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵した特定用途向けの集積回路(ApplicationSpecific Integrated Circuit:ASIC)である。405は液吸収部材搬送モータ406を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、ASIC404からシリアルIFを介して、コマンド制御される。407は転写体駆動モータ408を駆動するための転写体駆動制御部であり、同様にASIC404からシリアルIFを介してコマンド制御される。409はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。

(直接描画型インクジェット記録装置) 本発明における別の実施形態として、直接描画型インクジェット記録装置が挙げられる。直接描画型インクジェット記録装置において、被記録体は画像を形成すべき記録媒体である。

図10は、本実施形態における直接描画型インクジェット記録装置200の概略構成の一例を示す模式図である。直接描画型インクジェット記録装置は、前述した転写型インクジェット記録装置と比較し、転写体101、支持部材102、転写体クリーニング部材109を有さず、記録媒体208上で画像を形成する点以外は、転写型インクジェット記録装置と同様の部材を有する。

したがって、記録媒体208に反応液を付与する反応液付与装置203、記録媒体208にインクを付与するインク付与装置204、および、記録媒体208上の第一の画像に接触する液吸収部材205aにより、第一の画像に含まれる液体成分を吸収する液吸収装置205は、転写型インクジェット記録装置と同様の構成を有しており、説明を省略する。

なお、本実施形態の直接描画型インクジェット記録装置において、液吸収装置205は、本発明に係る多孔質体ベルトである液吸収部材205a、および、液吸収部材205aを記録媒体208上の第一の画像に押し当てる液吸収用の押圧部材205bを有する。また、液吸収装置205は、液吸収部材を張架する張架部材を有していてもよい。図10において、205c、205d、205e、205f、205gは張架部材としての張架ローラである。張架ローラの数は5個に限定されるものではなく、装置設計に応じて必要数を配置すれば良い。

また、インク付与装置204によって記録媒体208にインクを付与する印字部、および、液吸収部材205aを記録媒体上の第一の画像に圧接し、液体成分を除去する液体成分除去部には、記録媒体を下から支える不図示の記録媒体支持部材を有していてもよい。

<記録媒体搬送装置> 本実施形態の直接描画型インクジェット記録装置において、記録媒体搬送装置207は特に限定されず、公知の直接描画型インクジェット記録装置における搬送装置を用いることができる。例として、図10に示すように、記録媒体繰り出しローラ207a、記録媒体巻き取りローラ207b、記録媒体搬送ローラ207c、207d、207e、207fを有する記録媒体搬送装置が挙げられる。

<制御システム> 本実施形態における直接描画型インクジェット記録装置は、各装置を制御する制御システムを有する。図10に示す直接描画型インクジェット記録装置における、装置全体の制御システムを示すブロック図は、図9に示す転写型インクジェット記録装置と同様に、図11に示す通りである。

図13は図10の直接描画型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図である。転写体駆動制御部407及び転写体駆動モータ408を有さない以外は図12における転写型インクジェット記録装置におけるプリンタ制御部のブロック図と同等である。すなわち、501はプリンタ全体を制御するCPU、502は前記CPUの制御プログラムを格納するためのROM、503はプログラムを実行するためのRAMである。504はネットワークコントローラ、シリアルIFコントローラ、ヘッドデータ生成用コントローラ、モーターコントローラ等を内蔵したASICである。505は液吸収部材搬送モータ506を駆動するための液吸収部材搬送制御部であり、ASIC504からシリアルIFを介して、コマンド制御される。509はヘッド制御部であり、インクジェットデバイス305の最終吐出データ生成、駆動電圧生成等を行う。

以下、本発明を更に詳細に説明する。本発明は、その要旨を超えない限り、下記の実施例によって何ら限定されるものではない。尚、以下の実施例の記載において、「部」とあるのは特に断りのない限り質量基準である。

[実施例1] まず、図1に示されるように、被接続体1100上に、被接続体1100の端部同士の間隙1200をまたぐように、加熱前のつなぎ材A(繊維A’)1300を配置して、積層体を得た。具体的には、被接続体1100を、被接続体1100のつなぎ部とする位置から両側に7.5mmずつ重ね合わせ、つなぎ部とする位置から左右に20mm離れたところから外側に10mm幅の錘で固定した。その後、つなぎ部とする位置の中央部をロールカッターで切断し、7.5mm幅の切れ端2本を取り除いた。次に、縦800mm、横10mmの幅のテープ状のつなぎ材A1300を、被接続体1100上に、被接続体1100の端部同士の間隙1200をまたぐように配置した。このとき、加熱前のテープ状のつなぎ材A1300は、8mmの幅の部分が被接続体の長手方向に沿うように配置した。

被接続体1100としては、直径1101が10μmのポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維からなる不織布(商品名:トルコン、東レ社製)を用いた。該不織布の膜厚は215μm、空隙率は60%、該PPSの軟化点は285℃であった。なお、該膜厚は、直進式のマイクロメーターOMV_25(商品名、ミツトヨ製)で任意の10点の厚さを測定し、その平均値を算出することによって得た。また、図1では繊維断面と空隙とを表現できるように繊維方向が紙面方向に対して垂直に揃っているように図示されているが、実際の不織布において線方向はランダムである。

加熱前のつなぎ材A1300を構成する繊維A’としては、芯鞘構造を有する繊維(商品名:HOP、廣瀬製紙社製)を用いた。HOPは、ポリプロピレン(PP)(軟化点:160℃)からなる繊維Aからなる芯部と、樹脂材料Aであるポリエチレン(PE)(軟化点:100〜120℃)からなる鞘部と、を有する芯鞘構造を有する繊維A’である。加熱前のつなぎ材A1300の厚みは200μmであった。繊維A’の直径1301は15μmであった。芯部の直径1302は10μmであった。鞘部の厚み1303は2.5μmであった。

次に、図5に示される装置にて、ステージ1500と、加圧ブロック1700との間に前記積層体を配置して、0.2Paの圧力にて加圧固定した。その後、前記積層体を150℃で10分間加熱した。その後、前記積層体を80℃まで冷却し、圧力を開放することで、多孔質体ベルトを得た。該多孔質体ベルトの断面を光学顕微鏡およびSEM(Scanning Electron Microscope)で観察したところ、図2に示されるように、つなぎ材A1300の樹脂材料A1305であるPEが被接続体1100の空隙部に浸透して、被接続体1100内の繊維と密着していた。また、これによりつなぎ材A1300の繊維A1304も密着していた。

前記多孔質体ベルトに対して、引張試験、及び、屈曲試験を行った。引張試験及び屈曲試験の詳細は以下の通りである。

(引張試験) 多孔質体ベルトのつなぎ部が中央に位置するように、多孔質体ベルトのつなぎ部を、多孔質体ベルトの長手方向に150mm、短手方向に15mmの短冊状となるように11本切り出した。この切り出された多孔質体ベルトをサンプルとして用いた。各サンプルに対して、引張試験を実施した。引張試験には、引張試験器(製品名:AGS−X、島津製作所(株)製)を用いた。上記のサンプルをグリップ間距離50mmの中央につなぎ部が位置するように引張試験器に設置し、引張速度20mm/分で引っ張り、破断に至ったときの荷重を引張強度として記録した。この引張試験を11本のサンプルに対して行い、引張強度の平均値、最大値、最小値を得た。 実施例1の多孔質体ベルトでは、引張強度の平均値は3.4N/mm、最大値は4.4N/mm、最小値は2.9N/mmであった。

(屈曲試験) 多孔質体ベルトのつなぎ部が中央に位置するように、多孔質体ベルトのつなぎ部を、多孔質体ベルトの長手方向に150mm、短手方向に15mmの短冊状となるように11本切り出した。この切り出された多孔質体ベルトをサンプルとして用いた。各サンプルに対して、屈曲試験を実施した。 屈曲試験には、MIT耐折疲労試験機0530DA(商品名、東洋精密製作所(株)製)を用いた。この試験片を用い、JIS P8115に基づいて屈曲試験を行った。屈曲試験の具体的な手順は以下の通りである。該サンプルを1.0kgf/cm2(98kPa)のテンションで引っ張りつつ、折り曲げR=1mm、角度90度の繰り返し屈曲を、つなぎ部に1万回まで与え、破断するかどうかを確認した。破断する場合は、破断までの屈曲回数を示す破断回数を11本のサンプルに対してそれぞれ測定し、その平均値を求めた。また、1万回まで屈曲を行っても破断しない場合は、さらに、1万回の屈曲を行った後のサンプルを用いて、さらに上記の引張強度の測定を行った。 実施例1の多孔質体ベルトの屈曲試験では、1万回まで屈曲を行っても破断しなかった。そして、1万回まで屈曲を行った後のサンプルを用いて、上記の引張強度を測定したところ、引張強度の平均値は3.0N/mm、最大値は4.0N/mm、最小値は2.6N/mmであった。

[実施例2] 実施例1にて、図6に示されるように、前記積層体を加圧固定する際の圧力を1.0Paに変更した以外は、実施例1と同様に多孔質体ベルトを作製した。該多孔質体ベルトの断面を光学顕微鏡およびSEMで観察したところ、図3に示されるように、つなぎ材A1300の樹脂材料AであるPEが被接続体1100の空隙部に浸透して、被接続体1100内の繊維と密着していた。また、これによりつなぎ材A1300の繊維Aも密着していた。さらに、樹脂材料AであるPEが浸透している領域の多孔質体ベルトの厚み1120は、つなぎ材A1300が存在していない領域の多孔質体ベルトの厚み1110よりも薄かった。該多孔質体ベルトに対して実施例1と同様に引張試験及び屈曲試験を行った。実施例2の多孔質体ベルトでは、引張強度の平均値は4.0N/mm、最大値は5.0N/mm、最小値は3.3N/mmであった。また、屈曲試験では、1万回まで屈曲を行っても破断しなかった。そして、1万回まで屈曲を行った後のサンプルを用いて、上記の引張強度を測定したところ、引張強度の平均値は3.5N/mm、最大値は4.4N/mm、最小値は2.9N/mmであった。

[実施例3] 実施例1にて前記積層体を作製する際に、被接続体1100のつなぎ材A1300を配置する側の面とは反対側の面上であって、つなぎ材A1300と対向する位置に、加熱される前のつなぎ材A1300と同じ加熱される前のつなぎ材B(繊維B’)1310を配置した。それ以外は、実施例1と同様に多孔質体ベルトを作製した。該多孔質体ベルトの断面を光学顕微鏡およびSEMで観察したところ、図4に示されるように、つなぎ材A1300の樹脂材料A1305であるPE、及び、つなぎ材B1310の樹脂材料B1312であるPEが、被接続体1100の空隙部に浸透して、被接続体1100内の繊維と密着していた。また、これによりつなぎ材A1300の繊維A1304、及び、つなぎ材B1310の繊維B1311も密着していた。該多孔質体ベルトに対して実施例1と同様に引張試験及び屈曲試験を行った。実施例3の多孔質体ベルトでは、引張強度の平均値は6.5N/mm、最大値は7.9N/mm、最小値は5.2N/mmであった。また、屈曲試験では、1万回まで屈曲を行っても破断しなかった。そして、1万回まで屈曲を行った後のサンプルを用いて、上記の引張強度を測定したところ、引張強度の平均値は5.9N/mm、最大値は7.3N/mm、最小値は4.6N/mmであった。

[比較例1] 実施例1で用いた被接続体上に、被接続体の端部同士の間隙をまたぐように、2つの接着テープ(製品名:HF−105P、日東電工(株)製)を、被接続体の両端の表面と裏面の両方にそれぞれ接着させて、多孔質体ベルトを作製した。該多孔質体ベルトの断面を光学顕微鏡およびSEM(Scanning Electron Microscope)で観察したところ、接着テープは被接続体の表面で接着しており、被接続体の多孔質体の空隙への材料の浸透は見られなかった。該多孔質体ベルトに対して実施例1と同様に引張試験及び屈曲試験を行った。比較例1の多孔質体ベルトでは、引張強度の平均値は1.6N/mm、最大値は3.4N/mm、最小値は0.8N/mmであった。また、屈曲試験では、3000回屈曲させた段階で多孔質体ベルトのつなぎ部におけるテープが剥がれた。

[比較例2] 実施例1で用いた被接続体の一方の端部の表面をもう一方の端部の裏面に8mmの幅で重ね合わせ、その端部の表面と裏面とを両面接着テープ(製品名:5000NS、日東電工(株)製)を用いて接着させて、多孔質体ベルトを作製した。該多孔質体ベルトに対して実施例1と同様に引張試験及び屈曲試験を行った。比較例2の多孔質体ベルトでは、引張強度の平均値は5.8N/mm、最大値は7.0N/mm、最小値は4.2N/mmであった。また、屈曲試験では、4000回屈曲させた段階で多孔質体ベルトのつなぎ部におけるテープが剥がれた。

[実施例4] <反応液の調製> 反応液には、以下に示される組成を有する反応液を用いた。尚、イオン交換水の「残部」は、反応液を構成する全成分の合計が100.0質量%となる量のことである。 ・グルタル酸 21.0質量% ・グリセリン 5.0質量% ・界面活性剤(商品名:メガファックF444、DIC株式会社製) 5.0質量% ・イオン交換水 残部。

<顔料分散体の調製> カーボンブラック(商品名:モナク1100、キャボット製)10部、樹脂水溶液(スチレン−アクリル酸エチル−アクリル酸共重合体、酸価150、重量平均分子量(Mw)8,000、樹脂の含有量が20.0質量%の水溶液を水酸化カリウム水溶液で中和したもの)15部、純水75部を混合した。この混合液をバッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に仕込み、0.3mm径のジルコニアビーズを200部充填し、水冷しつつ、5時間分散処理を行った。この分散液を遠心分離して、粗大粒子を除去することで、顔料の含有量が10.0質量%の顔料分散体を得た。

<樹脂微粒子分散体の調製> エチルメタクリレート20部、2,2’−アゾビス−(2−メチルブチロニトリル)3部、及びn−ヘキサデカン2部を混合し、0.5時間攪拌した。この混合物を、スチレン−アクリル酸ブチル−アクリル酸共重合体(酸価:130mgKOH/g、重量平均分子量(Mw):7,000)の8質量%水溶液75部に滴下して、0.5時間攪拌した。次に超音波照射機で超音波を3時間照射した。続いて、窒素雰囲気下で80℃、4時間重合反応を行い、室温冷却後にろ過して、樹脂の含有量が25.0質量%である樹脂微粒子分散体を調製した。

<インクの調製> 前記顔料分散体及び前記樹脂微粒子分散体を下記各成分と混合した。尚、イオン交換水の「残部」は、インクを構成する全成分の合計が100.0質量%となる量のことである。 ・顔料分散体 40.0質量% ・樹脂微粒子分散体 20.0質量% ・グリセリン 7.0質量% ・ポリエチレングリコール(数平均分子量(Mn):1,000) 3.0質量% ・界面活性剤:アセチレノールE100 (商品名、川研ファインケミカル株式会社製) 0.5質量% ・イオン交換水 残部 これを十分撹拌して分散した後、ポアサイズ3.0μmのミクロフィルター(富士フイルム株式会社製)にて加圧ろ過を行い、インクを調製した。

<被接続体の作製> 第一の層としては、第一の画像と接する側の面における平均孔径が0.2μmである、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)製の多孔質体からなる多軸延伸膜を使用した。該第一の層は、結晶化したPTFEの乳化重合粒子を圧縮成形し、PTFEの融点以下の温度で多軸延伸することによりフィブリル化した多孔質体を得る方法で作製した。

第二の層としては、ポリプロピレン(PP)からなる芯構造と、ポリエチレン(PE)からなる鞘構造とを有する第二の繊維を含むHOPシリーズ(商品名、廣瀬製紙製)を使用した。該PPの軟化点は160℃、該PEの軟化点は100〜120℃であった。該第二の層は、第二の繊維aを含む第二の層aと、第二の繊維bを含む第二の層bとを有する。第二の繊維aの平均繊維径は5μm、第二の繊維bの平均繊維径は15μmであり、第一の層側に配置された第二の層aに含まれる第二の繊維aをより細く、第三の層側に配置された第二の層bに含まれる第二の繊維bをより太くしている。

第三の層としては、ポリフェニレンサルファイド(PPS)繊維(商品名:トルコン、東レ製)を湿式抄紙して作製した不織布(商品名:PPSペーパー、廣瀬製紙製)を使用した。この第三の層の平均孔径は20μmであった。そして、第一の画像と接する側の第一の面の裏面である第二の面の平均孔径も20μmである。

前記第一から第三の層を、図5に示される装置により溶着した。具体的には、前記第一の層と前記第二の層とをラミネートした後、さらに前記第三の層をラミネートすることで多孔質体を含む被接続体を作製した。なお、各ラミネート工程では、加熱温度が140〜150℃の間となるように調整した。

<多孔質体ベルトの作製> 前記被接続体を所定の長さに切断し、図5に示される装置にセットした。この時、第三の層がステージ1500側となるようにセットした。また、図5に示される装置にセットする際、前記被接続体の15mmを重ねて動かないように固定おもり1600で固定してから、重なった部分の中央をロールカッターで切断した。切断後の切れ端を取り除き、固定おもり1600を動かさないまま、つき合わせ部を覆うように加熱前のつなぎ材A(繊維A’)1300を重ねた。なお、つなぎ材A1300としては第二の層をテープ状に切り出したものを使用した。その後、つなぎ材A1300の全域を覆うように、加圧ブロック1700をつなぎ材A1300に密着させた。ステージ1500と加圧ブロック1700とに挟まれた部分の加熱温度が160℃になるようにヒーターを制御した。10分の昇温時間、10分の保持時間、30分の冷却時間を経て、加圧ブロック1700と固定おもり1600とを外し、多孔質体ベルトを得た。

<インクジェット記録装置及び画像形成> 前記多孔質体ベルトを図9に示される転写型インクジェット記録装置に組み込んだ。転写体101は両面テープにより支持部材102に固定されている。厚さ0.5mmのPETシートに、シリコーンゴム(商品名:KE12、信越化学工業株式会社製)を0.3mmの厚さでコーティングしたシートを転写体101の弾性層として用いた。さらに、グリシドキシプロピルトリエトキシシランとメチルトリエトキシシランとをモル比1:1で混合し、加熱還流することで得られる縮合物と、光カチオン重合開始剤(商品名:SP150、ADEKA製)との混合物を調製した。前記弾性層表面の水の接触角が10度以下となるように大気圧プラズマ処理を行った。その後、前記混合物を前記弾性層上に付与し、UV照射(高圧水銀ランプ、積算露光量:5000mJ/cm2)、熱硬化(150℃、2時間)により成膜し、前記弾性体上に厚さ0.5μmの表面層が形成された転写体101を作製した。なお、転写体101の表面は図示しない加熱装置により60℃に維持した。

反応液付与装置103により付与される前記反応液の付与量は1g/m2とした。インク付与装置104には、電気−熱変換素子を用いオンデマンド方式にてインクの吐出を行うインクジェット記録ヘッドを使用した。画像形成における前記インクの付与量は20g/m2とした。

液吸収部材105aとして前記多孔質体ベルトを用い、この多孔質体ベルトの第一の面が転写体と接するように設置した。押圧部材105bで圧力を印加することで、転写体101と液吸収部材105aとの間のニップ圧を、平均2kg/cm2となるようにした。なお、液吸収用の押圧部材105bの直径は200mmであった。

液吸収部材105aの搬送速度は、液吸収部材105aを張架しつつ搬送する張架ローラ105c、105d及び105eによって、転写体101の移動速度と同等の速度になるよう調節した。また、転写体101の移動速度と同等の速度となるように、記録媒体108を記録媒体繰り出しローラ107aおよび記録媒体巻き取りローラ107bによって搬送した。記録媒体108の搬送速度は0.2m/sとした。記録媒体108としては、オーロラコート紙(日本製紙株式会社製、坪量104g/m2)を用いた。

このインクジェット記録装置に設置された液吸収部材105aである多孔質体ベルトを、図9の矢印の方向に1万回回転させたが、その間にこの多孔質体ベルトは破断しなかった。また、本実施例において多孔質体ベルトをインクジェット記録装置に用いて出力画像の評価を行ったところ、極めて優秀な写真品質の画像が得られた。またインクの乾燥にヒーターのみを使用する装置と比較すると装置の消費電力も大幅に低減できた。

[実施例5] 実施例4の多孔質体ベルトの作製において、以下の点以外は、実施例4と同様に多孔質体ベルトを作製した。実施例4で用いたつなぎ材Aで、被接続体の第一の面(表面)の端部同士を接合した。さらに、つなぎ材Aと同じ構成のつなぎ材Bで、被接続体の第二の面(裏面)の端部同士を接合した。得られた多孔質体ベルトの第一の面の平均孔径は、多孔質体ベルトの、多孔質体ベルトの第一の面の裏面である第二の面の平均孔径よりも小さかった。また、多孔質体ベルトの長手方向の断面において、前記樹脂材料Aの前記被接続体への浸透幅が、前記樹脂材料Bの浸透幅よりも広かった。

この多孔質体ベルトを、実施例4と同様のインクジェット記録装置の液吸収部材として用いて、この多孔質体ベルトの第一の面が転写体と接するように設置した。このとき、つなぎ部においては、第一の画像と接触する多孔質体ベルトの第一の面が、前記つなぎ材Aを有する面であり、前記多孔質体ベルトの第一の面の裏面である第二の面が、前記つなぎ材Bを有する面であった。

このインクジェット記録装置に設置された液吸収部材105aである多孔質体ベルトを、図9の矢印の方向に1万回回転させたが、その間にこの多孔質体ベルトは破断しなかった。また、本実施例において多孔質体ベルトをインクジェット記録装置に用いて出力画像の評価を行ったところ、極めて優秀な写真品質の画像が得られた。またインクの乾燥にヒーターのみを使用する装置と比較すると装置の消費電力も大幅に低減できた。

1100 被接続体 1200 被接続体の端部同士の隙間 1300 つなぎ材A 1304 繊維A 1305 樹脂材料A

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