【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は織機で織物を織るのに先立って行われる製織準備作業としての柄組み方法及びその装置に関するものである。 【0002】 【従来の技術】この柄組みとは、天然繊維や化合成繊維等の素材、色、太さ等の異なる経糸を予め設定された順番に一層のシート状に並べる作業をいう。 【0003】従来この種の柄組み作業は、予め定められた順番表を見ながら素材、色、太さ等の異なる経糸を人為的に順次一層のシート状に並べるようにしている。 そして、この柄組みされた多数の経糸はドロッパー、ヘルド及び筬に一本宛引き通したのち、織機に掛けられることになる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら上記柄組み作業は手作業による肉眼に依存しているため、作業者の疲労負担は大きく、熟練度を要する長時間作業のため作業能率の低下や間違いの発生を余儀なくされているという不都合を有している。 【0005】 【課題を解決するための手段】本発明はこのような課題を解決することを目的とするもので、本発明のうちで、 請求項1記載の方法の発明は、複数本の経糸が一層のシート状に並列された経糸シートを巻取ってなる織機ビームを複数個用意し、該複数個の織機ビームから引き出された複数枚の経糸シートの織機ビーム側を多層状に保持すると共に各経糸シートの糸端側を各経糸シート別に放射状に張架保持し、該放射状に張架保持された各経糸シートの内から予め選択された経糸シートの経糸を順次一本宛分離し、該分離された一本の経糸の糸端側を移送把持し、該織機ビーム側の把持位置と糸端側の移送把持位置との間の糸長を変えずに三次元的に移送させ、該経糸を綾取りして経糸の糸端側を一層のシート状に並べて固定することを特徴とする柄組み方法にある。 【0006】又、請求項2記載の方法の発明は、上記経糸シートから一本の経糸を分離すると共に経糸の織機ビーム側の把持位置と糸端側の先端把持位置との間を上記移送把持位置に引き寄せ、該移送把持位置で移送把持された後に経糸の糸端側を切断することを特徴とするものであり、又、請求項3記載の方法の発明は、上記経糸シートから一本の経糸を分離し、該分離された経糸の織機ビーム側の把持位置と糸端側の先端把持位置との間を切断すると同時に切断された経糸の糸端を保持して経糸を上記移送把持位置に引き寄せ、該移送把持位置で移送把持された後に経糸の糸端側を釈放することを特徴とするものである。 【0007】又、請求項4記載の装置の発明は、複数本の経糸が一層のシート状に並列された経糸シートを巻き取ってなる複数個の織機ビームと、該複数個の織機ビームから引き出された複数枚の経糸シートの織機ビーム側を多層状に保持可能な中間把持部及び該各経糸シートの糸端側を中間把持部の把持位置を中心として各経糸シート別に放射状に張架保持可能な複数個の先端把持部からなる多層糸張り機構と、該放射状に張架保持された各経糸シートの内から予め選択された経糸シートの経糸を順次一本宛分離可能な糸分離機構と、該糸分離機構により分離された一本の経糸の糸端側を移送把持部により移送把持し、該中間把持部の把持位置を中心として該把持位置と糸端側の移送把持位置との間の糸長を変えずに三次元的に移送可能な糸端移送機構と、該糸端移送機構により順次移送されてくる経糸を綾取りする綾取機構と、該綾取りされた経糸の糸端側を一層のシート状に固定可能な糸端固定機構とを具備してなることを特徴とする柄組み装置にある。 【0008】又、請求項5記載の装置の発明は、上記多層糸張り機構の複数個の先端把持部は中間把持部の把持位置を中心として円弧状に移動調節固定可能に設けられていることを特徴とするものであり、又、請求項6記載の装置の発明は、上記糸分離機構は各経糸シート別に複数個配置されていることを特徴とするものであり、又、 請求項7記載の装置の発明は、上記経糸シートの経糸の分離及び移送に伴って変化する経糸シートのシート端に追従して上記糸分離機構、糸端移送機構、綾取機構及び上記糸端固定機構を移動させる追従移動機構を設けてなることを特徴とするものであり、又、請求項8記載の装置の発明は、糸分離機構により経糸シートから一本の経糸を分離すると共に経糸の織機ビーム側の把持位置と糸端側の先端把持位置との間を上記移送把持位置に引き寄せ、該移送把持位置で移送把持された後に経糸の糸端側を切断する切断部を設けてなることを特徴とするものである。 【0009】又、請求項9記載の装置の発明は、上記複数個の糸分離機構の内の一乃至複数個の糸分離機構を上記移送把持部の移送把持位置とシート端との間で独立して進退移動させる進退移動機構を設けてなることを特徴とするものであり、又、請求項10記載の装置の発明は、上記糸分離機構により分離された経糸の織機ビーム側の把持位置と糸端側の先端把持位置との間を切断すると同時に切断された経糸の糸端を保持し、該経糸を上記進退移動機構により上記移送把持位置に引き寄せ、上記移送把持部により把持された後に経糸の糸端側を釈放する切断部を設けてなることを特徴とするものであり、 又、請求項11記載の装置の発明は、上記糸端固定機構は対向配置された一対の粘着テープを含んでなることを特徴とするものである。 【0010】 【発明の実施の形態】図1乃至図19は本発明の装置の実施の形態例を示し、大別すると、多層糸張り機構A、 糸分離機構B、糸端移送機構C、綾取機構D及び糸端固定機構E、更には、追従移動機構M及び進退移動機構T から成り立っている。 【0011】W・Wは織機ビームであり、この場合、二個の織機ビームが用いられ、二個の織機ビームW・Wには複数本の経糸Rが一層のシート状に並列された経糸シートSが巻き取られている。 すなわち、例えば仕様に応じ、素材、色、太さ毎の同種の経糸R、若しくは異種の経糸Rを一層のシート状に並べてなる経糸シートSが各織機ビームW・Wに巻き取られている。 【0012】また、上記多層糸張り機構Aは、この場合、図1、図2の如く、二個の織機ビームW・Wから引き出された二枚の経糸シートS・S群の織機ビームW・ W側を多層状に保持可能な中間把持部1及び各経糸シートS・Sの糸端側を中間把持部1の把持位置Kを中心として各経糸シートS・S別に先端把持位置L・Lで放射状に張架保持可能な上下二個の先端把持部2・2からなり、かつ、この各先端把持部2・2は中間把持部1の把持位置Kを中心とする半径Hの円弧状に移動調節固定可能に設けられている。 【0013】又、上記追従移動機構Mは、図2の如く、 上記経糸シートS・Sの経糸Rの分離及び移送に伴って変化する分離側の経糸シートS・Sのシート端S 1に追従して上記糸分離機構B・B、糸端移送機構C、綾取機構D及び糸端固定機構Eを移動させる構造となっており、この場合、経糸シートS・Sのシート端S 1を検出可能な図示省略の糸検出センサー及び各経糸シートS・ S別の複数個の糸分離機構B並びに糸端移送機構Cを移動枠体7に取付け、機体にラック7aを取付け、移動枠体7にピニオン7bを取付け、ピニオン7bを送り用モータ7cにより所定量回転させ、糸検出センサーの検出に同期して移動枠体7を追従移動させるように構成している。 【0014】又、上記糸分離機構B・Bは、上記各経糸シートS・S別に二個上下位置に配置され、この上下に配置された二個の糸分離機構B・Bは進退移動機構T・ Tの図示省略の制御用モータにより上記移送把持部4の移送把持位置Gとシート端S 1との間でそれぞれ独立して進退移動可能に設けられ、又、各経糸シートS・Sの経糸R群はそれぞれ二本の綾紐F・Fにより綾取りがなされ、この綾紐F・Fと協働して経糸シートSのシート端S 1側から経糸Rを一本宛分離する図示省略の分離機構が設けられ、図示省略のコンピュータ内に設定され記憶されたプログラムをもつ経糸シート選択手段により予め選択された経糸シートSに対応する糸分離機構Bが分離作動することにより、上記多層糸張り機構Aの中間把持部1の把持位置Kと先端把持部2・2の先端把持位置L・Lとの間に張架保持された各経糸シートS・Sの内から経糸Rを順次一本宛分離する構造となっている。 勿論、綾取りがなされていない経糸シートSの経糸Rを一本宛分離する構造を採用することもある。 【0015】3・3は切断部であって、この場合、切断片3a及び切断片3aと協働する切断部材3bからなり、この場合、上記二個の糸分離機構B・Bに各別に二個並設され、しかして、各切断部3・3は上記追従移動機構Mにより各糸分離機構B・Bと一緒に追従移動すると共に各糸分離機構B・Bの独立進退移動により当該糸分離機構Bと一緒に進退移動するように構成されている。 【0016】又、この場合、上記切断部3・3は、一方の糸分離機構Bにより一方の経糸シートSから経糸Rを分離するとき、他方の糸分離機構Bが他方の経糸シートSに邪魔されずに追従移動機構Mにより一方の糸分離機構Bと一緒にシート端S 1に向けて追従移動することができ、一方の糸分離機構Bにより一方の経糸シートSから経糸Rを分離することができる通常の場合の動作と、 一方の糸分離機構Bにより一方の経糸シートSから経糸Rを分離するとき、他方の糸分離機構Bが他方の経糸シートSに邪魔され、追従移動機構Mにより一方の糸分離機構Bと一緒にシート端S 1に向けて追従移動させることができず、一方の糸分離機構Bにより一方の経糸シートSから経糸Rを分離することができず、一方の糸分離機構Bのみを独立進退移動させる場合の動作とでは、制御プログラムにより互いに異なる動作をなすように構成されている。 【0017】すなわち、上記通常の場合においては、図3乃至図8を参照すると、先ず、図3から図4の如く、 例えば、上方位置の糸分離機構Bにより上方の経糸シートSから一本の経糸Rを分離し、この分離動作により分離された一本の経糸Rは糸端移送機構Cの移送把持部4 の移送把持位置Gに引き寄せられ、このとき、経糸Rは切断部3の切断片3aと切断部材3bとの開口部分に位置し、そして、図5から図7の如く、この分離された経糸Rが移送把持位置Gで移送把持された後に切断部3の切断片3aは切断部材3b側に下降移動して経糸Rの糸端側を切断し、切断片3aは直ちに上昇後退して釈放する動作を行うことになる。 【0018】又、糸分離機構Bを独立して進退移動させる場合においては、図10乃至図18を参照すると、先ず、図10から図11の如く、例えば、上方位置の糸分離機構B及び上方の切断部3のみを進退移動機構Tによりシート端S 1に向けて前進移動させ、図12から図1 3の如く、その前進位置で上方の糸分離機構Bにより上方の経糸シートSから一本の経糸Rを分離し、この分離動作により分離された一本の経糸Rは切断部3の切断片3aの下降移動により切断されると同時に切断片3aの下降状態の維持により切断された経糸Rの糸端は切断部3の切断片3aと切断部材3bとにより挟着保持され、 そして、図14の如く、上方位置の糸分離機構B及び上方の切断部3は進退移動機構Tにより後退移動し、この後退により切断部3により保持されている経糸Rは糸端移送機構Cの移送把持部4の移送把持位置Gに引き寄せられ、そして、図15から図17の如く、この分離された経糸Rが移送把持位置Gで移送把持された後に切断部3の切断片3aは上昇移動して経糸Rの糸端側を釈放する動作を行うことになる。 【0019】又、上記糸端移送機構Cは、上記通常の場合の動作並びに独立進退移動の場合の各分離動作により分離された一本の経糸Rの糸端側を移送把持部4の移送把持位置Gで把持し、この一本の経糸Rを中間把持部1 の把持位置Kを中心として該把持位置Kと糸端側の移送把持位置Gとの間の糸長を変えずに三次元的に移送運動させる移送機構5を備えてなり、この場合、移送把持部4は固定的な把持筒体4aと把持筒体4aの端面との間で経糸Rを保持釈放すべく進退運動可能な把持体4bからなり、移送機構5は複数個の移送把持部4を間隔を置いて配列可能な二個一対の無端状の循回走行ベルト5a ・5aと、循回走行ベルト5a・5aに間隔を置いて取り付けられた軸受走行体5b・5bと、軸受走行体5b ・5b間に軸受された二本のスライド軸5c・5cと、 二本のスライド軸5c・5cにスライド自在に架設され、移送把持部4を取付可能な複数個の取付体5dと、 循回走行ベルト5a・5aを循回走行させる図示省略の走行用モータと、上記把持体4bを所定位置において進退運動させ、これにより経糸Rを把持釈放させる図示省略の空圧シリンダからなる作動機構とを備えて構成されており、しかして、図7から図8、図17から図18の如く、移送把持部4により糸端側を把持したまま、一本の経糸Rを循回走行ベルト5a・5aの循回走行及びスライド軸5c・5cのずれ吸収作用をもって中間把持部1の把持位置Kを中心として把持位置Kと糸端側の移送把持位置Gとの間の糸長を変えずに経糸シートSの張架方向とほぼ垂直の上向きに移送した後に折曲して経糸シートSの張架方向とほぼ平行の向きに移送し、すなわち、三次元的に移送運動させるように構成している。 【0020】又、上記綾取機構Dは、この場合、上記糸端移送機構Cにより一本宛順次移送されてくる経糸Rの張架方向と交差する方向に並列張架される二本の綾紐Q ・Qと、この二本の綾紐Q・Qの各糸端Q 1・Q 1を保持すると共に経糸Rの張架方向と交差する方向の上下方向に交互に綾取運動可能な二個の綾紐止着部材6・6とからなり、この場合、綾取動作は、図9の如く、糸端移送機構Cの移送把持部4により一本宛移送されてくる毎に綾紐止着部材6・6は交互に上下動作して綾取りし、綾紐Q・Qにより綾取りすることにより一層のシート状に並べられる経糸Rの順番を保持するように構成している。 【0021】又、上記糸端固定機構Eは、図9の如く、 糸端移送機構Cにより順次移送されてくる経糸Rの糸端を、図19の如く、一層のシート状に固定する構造となっており、この場合、二つの粘着テープN・Nにより挟着固定する構造が採用されている。 【0022】この実施の形態例は上記構成であるから、 図1、図2の如く、複数本の経糸Rが一層のシート状に並列された経糸シートSを巻取ってなる織機ビームW・ Wを二個用意し、この二個の織機ビームW・Wから引き出された二枚の経糸シートS・Sの織機ビームW・W側を中間保持部1・1により二層状に保持すると共に各経糸シートS・Sの糸端側を先端把持部2・2により各経糸シートS・S別に放射状に張架保持し、図3乃至図8 に示した通常の分離動作及び図10乃至図18に示した独立進退を伴う分離動作により、放射状に張架保持された各経糸シートS・Sの内から予め選択された経糸シートS・Sの経糸Rを当該経糸Rに対応して選択された糸分離機構Bにより順次一本宛分離し、そして、糸端移送機構Cにより分離された一本の経糸Rの糸端側を移送把持部4の移送把持位置Gで移送把持し、図8及び図18 に示した織機ビームW・W側の把持位置Kと糸端側の移送把持位置Gとの間の糸長を変えずに経糸Rを三次元的に移送し、図9の如く、この糸端移送機構Cにより一本宛順次移送されてくる経糸Rを綾取機構Dにより綾取りし、図19の如く、この順次一本宛移送されてくる経糸Rの糸端側を糸端固定機構Eにより一層のシート状に並べて固定することができ、従って、これら作動の繰り返しにより、二個の織機ビームW・Wから引き出された経糸Rを予め定められた順番に正確に一層状のシート上に並び替えて保持することができ、次の織機準備作業としてのドロッパー、ヘルド及び筬への経糸一本宛の引き通し作業を円滑に行うことができ、例えば、一方の織機ビームW側の経糸Rの隣に他方の織機ビームW側の経糸R が並列する如く、各織機ビームW・Wの経糸Rを予め定められた順番に自動的に並び替えて固定し、いわゆる柄組みをすることができ、それだけ、作業者の疲労負担を軽減することができると共に柄組み作業性を大幅に向上することができる。 【0023】この場合、図3乃至図8に示した通常の分離動作の如く、上記糸分離機構B・Bにより経糸シートS・Sから一本の経糸Rを分離すると共に経糸Rの織機ビームW・W側の把持位置Kと糸端側の先端把持位置L との間を上記移送把持位置Gに引き寄せ、移送把持位置Gで移送把持された後に切断部3により経糸Rの糸端側を切断するので、分離された経糸Rを確実に糸端移送機構Cに受け渡すことができ、又、この場合、図10乃至図18に示した独立進退を伴う分離動作の如く、糸分離機構Bにより経糸シートSから一本の経糸Rを分離し、 分離された経糸Rの織機ビームW・W側の把持位置Kと糸端側の先端把持位置Lとの間を切断部3により切断すると同時に切断部3により経糸Rの糸端を保持し、進退移動機構Tにより糸分離機構B及び切断部3を後退移動させて経糸Rを移送把持位置Gに引き寄せ、そして、この切断部3に保持された経糸Rが移送把持部4の移送把持位置Gで移送把持された後に切断部3は経糸Rの糸端側を釈放するので、分離された経糸Rを確実に糸端移送機構Cに受け渡すことができる。 【0024】又、この場合、上記多層糸張り機構Aの二個の先端把持部2・2は中間把持部1の把持位置Kを中心とする円弧状に移動調節固定可能に設けられているから、把持位置Kと先端把持部2・2の先端把持位置Lとの間の糸長を変えずに放射状に経糸シートS・Sを張架することができ、それだけ糸分離機構Bとの相対位置を容易に調節することができ、又、この場合、上記糸分離機構Bは各経糸シートS・S別に二個設けられているから、各経糸シートS・Sと各糸分離機構B・Bとの相対位置を容易に調節することができ、各経糸シートS・S からの経糸Rの分離を円滑に行うことができ、又、この場合、上記経糸シートS・Sの経糸Rの分離及び移送に伴って変化する経糸シートS・Sのシート端S 1・S 1に追従して上記糸分離機構B及び糸端移送機構C、綾取機構D並びに上記糸端固定機構Eを移動させる追従移動機構Mを設けているから、経糸シートS・Sからの経糸R の分離に伴って変化するシート端S 1と糸分離機構B及び糸端移送機構C、綾取機構D並びに上記糸端固定機構Eとの相対位置を良好に定めることができると共に織機ビームW及び多層糸張り機構Aを追従移動させる構造に比較して、構造を簡素化することができ、柄組み後の工程としての糸通し作業工程への柄組みされた経糸シートSの移行を円滑に行うことができ、それだけ作業性を高めることができる。 【0025】又、この場合、上記二個の糸分離機構B・ Bを上記移送把持部4の移送把持位置Gとシート端S 1 との間で独立して進退移動させる進退移動機構Tを設けてなるから、糸分離機構B・Bを各別に独立して進退移動させることにより各経糸シートS・Sのシート端S 1 ・S 1応じた糸分離に最適な位置に各糸分離機構B・B を位置させることができ、例えば、幅広のストライプ柄の柄組み作業において、一方の経糸シートSの経糸Rだけが先に分離移送され、さらに一方の経糸シートSの経糸Rを分離しようとすると、他方の糸分離機構Bに対して他方の経糸シートSが邪魔をして一方の糸分離機構B による糸分離ができない場合や、密度の粗い経糸シートSの柄組み作業の如く、シート端S 1の位置が不揃いになり易い場合などにおいて、進退移動機構T・Tにより糸分離機構B・Bを各別に独立して進退移動させることにより各経糸シートS・Sのシート端S 1・S 1に応じた糸分離に最適な位置に各糸分離機構B・Bを位置させることができ、これにより柄組み処理できる柄の自由度を増すことができると共にシート端S 1の位置のばらつきに対しての融通性を高めることができ、糸張りの労力を軽減することができると共に糸張り作業性を向上することができる。 【0026】又、この場合、上記糸端固定機構Eは対向配置された一対の粘着テープN・Nを含んでなるから、 粘着テープN・Nの間により経糸Rの糸端側を一層のシート状に並べて固定することができ、構造を簡素化することができ、又、この場合、多層糸張り機構Aにより張られた経糸シートSの張架方向と柄組み後の経糸シートSとがほぼ同一の面上に張架されることになるので、運転作業状況の監視を容易に行うことができる。 【0027】尚、本発明は上記実施の形態例で示す構造に限られるものではなく、例えば上記実施の形態例においては、二個の織機ビームWを用意し、二枚の経糸シートSを張架するようにしているが三個乃至複数個の織機ビームWを用意し、複数枚の経糸シートSを張架し、これら複数枚の経糸シートSのうちから経糸を選択して柄組みすることもあり、又、多層糸張り機構A、糸分離機構B、糸端移送機構C、綾取機構D、糸端固定機構E、 追従移動機構M、進退移動機構Tの構造や形態等は適宜変更して設計される。 【0028】 【発明の効果】本発明は上述の如く、請求項1及び4記載の発明にあっては、複数本の経糸が一層のシート状に並列された経糸シートを巻取ってなる織機ビームを複数個用意し、この複数個の織機ビームから引き出された複数枚の経糸シートの織機ビーム側を中間保持部により多層状に保持すると共に各経糸シートの糸端側を先端把持部により各経糸シート別に放射状に張架保持し、放射状に張架保持された各経糸シートの内から予め選択された経糸シートの経糸を糸分離機構により順次一本宛分離し、そして、糸端移送機構により分離された一本の経糸の糸端側を移送把持部の移送把持位置で移送把持し、織機ビーム側の把持位置と糸端側の移送把持位置との間の糸長を変えずに経糸を三次元的に移送し、この糸端移送機構により一本宛順次移送されてくる経糸を綾取機構により綾取りし、この順次一本宛移送されてくる経糸の糸端側を糸端固定機構により一層のシート状に自動的に並び替えて固定し、これら作動の繰り返しにより、いわゆる柄組みをすることができ、それだけ、作業者の疲労負担を軽減することができると共に柄組み作業性を大幅に向上することができる。 【0029】又、請求項2及び請求項8記載の発明にあっては、上記糸分離機構により経糸シートから一本の経糸を分離すると共に経糸の織機ビーム側の把持位置と糸端側の先端把持位置との間を上記移送把持位置に引き寄せ、移送把持位置で移送把持された後に切断部により経糸の糸端側を切断するので、分離された経糸を確実に糸端移送機構に受け渡すことができ、又、請求項3及び請求項10記載の発明にあっては、糸分離機構により経糸シートから一本の経糸を分離し、分離された経糸の織機ビーム側の把持位置と糸端側の先端把持位置との間を切断部により切断すると同時に切断部により経糸の糸端を保持し、進退移動機構により経糸を移送把持位置に引き寄せ、経糸が移送把持部の移送把持位置で移送把持された後に経糸の糸端側を釈放するので、分離された経糸を確実に糸端移送機構に受け渡すことができる。 【0030】又、請求項5記載の発明にあっては、上記多層糸張り機構の複数個の先端把持部は中間把持部の把持位置を中心とする円弧状に移動調節固定可能に設けられているから、把持位置と先端把持部の先端把持位置との間の糸長を変えずに放射状に経糸シートを張架することができ、それだけ糸分離機構との相対位置を容易に調節することができ、又、請求項6記載の発明にあっては、上記糸分離機構は各経糸シート別に複数個設けられているから、各経糸シートと各糸分離機構との相対位置を容易に調節することができ、各経糸シートからの経糸の分離を円滑に行うことができ、又、請求項7記載の発明にあっては、上記経糸シートの経糸の分離及び移送に伴って変化する経糸シートのシート端に追従して上記糸分離機構及び糸端移送機構、綾取機構並びに上記糸端固定機構を移動させる追従移動機構を設けているから、経糸シートからの経糸の分離に伴って変化するシート端と糸分離機構及び糸端移送機構、綾取機構並びに上記糸端固定機構との相対位置を良好に定めることができると共に織機ビーム及び多層糸張り機構を追従移動させる構造に比較して、構造を簡素化することができ、柄組み後の工程としての糸通し作業工程への柄組みされた経糸シートの移行を円滑に行うことができ、それだけ作業性を高めることができる。 【0031】又、請求項9記載の発明にあっては、上記複数個の糸分離機構を上記移送把持部の移送把持位置とシート端との間で独立して進退移動させる進退移動機構を設けてなるから、糸分離機構を各別に独立して進退移動させることにより各経糸シートのシート端に応じた糸分離に最適な位置に各糸分離機構を位置させることができ、例えば、幅広のストライプ柄の柄組み作業において、一方の経糸シートの経糸だけが先に分離移送され、 さらに一方の経糸シートの経糸を分離しようとすると、 他方の糸分離機構に対して他方の経糸シートが邪魔をして一方の糸分離機構による糸分離に支障が生ずる場合や、密度の粗い経糸シートの柄組み作業の如く、シート端の位置が不揃いになり易い場合などにおいて、進退移動機構により糸分離機構を各別に独立して進退移動させることにより各経糸シートのシート端に応じた糸分離に最適な位置に各糸分離機構を位置させることができ、これにより柄組み処理できる柄の自由度を増すことができると共にシート端の位置のばらつきに対しての融通性を高めることができ、糸張りの労力を軽減することができると共に糸張り作業性を向上することができ、又、請求項11記載の発明にあっては、上記糸端固定機構は対向配置された一対の粘着テープを含んでなるから、粘着テープの間により経糸の糸端側を一層のシート状に並べて固定することができ、構造を簡素化することができる。 【0032】以上、所期の目的を充分達成することができる。 【図面の簡単な説明】 【図1】本発明の実施の形態例の全体説明斜視図である。 【図2】本発明の実施の形態例の全体説明側面図である。 【図3】本発明の実施の形態例の作動状態の説明斜視図である。 【図4】本発明の実施の形態例の作動状態の説明斜視図である。 【図5】本発明の実施の形態例の作動状態の説明斜視図である。 【図6】本発明の実施の形態例の作動状態の説明斜視図である。 【図7】本発明の実施の形態例の作動状態の説明斜視図である。 【図8】本発明の実施の形態例の作動状態の説明斜視図である。 【図9】本発明の実施の形態例の作動状態の説明斜視図である。 【図10】本発明の実施の形態例の作動状態の説明斜視図である。 【図11】本発明の実施の形態例の作動状態の説明斜視図である。 【図12】本発明の実施の形態例の作動状態の説明斜視図である。 【図13】本発明の実施の形態例の作動状態の説明斜視図である。 【図14】本発明の実施の形態例の作動状態の説明斜視図である。 【図15】本発明の実施の形態例の作動状態の説明斜視図である。 【図16】本発明の実施の形態例の作動状態の説明斜視図である。 【図17】本発明の実施の形態例の作動状態の説明斜視図である。 【図18】本発明の実施の形態例の作動状態の説明斜視図である。 【図19】本発明の実施の形態例の説明斜視図である。 【符号の説明】 A 多層糸張り機構 B 糸分離機構 C 糸端移送機構 D 綾取機構 E 糸端固定機構 M 追従移動機構 T 進退移動機構 R 経糸 S 経糸シート K 把持位置 G 移送把持位置 L 先端把持位置 N 粘着テープ 1 中間把持部 2 先端把持部 3 切断部 4 移送把持部 ───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 白川 正登 新潟県新潟市鐙西1丁目11番1号 新潟県 工業技術総合研究所 内 (72)発明者 上野 弘良 新潟県新津市荻島3丁目4番16号 Fターム(参考) 4L043 BB01 BB02 4L050 CA01 CA11 4L052 AA09 BB04 DA14 MA01 |