織物とその製造方法

申请号 JP2013555494 申请日 2013-09-27 公开(公告)号 JPWO2014051049A1 公开(公告)日 2016-08-22
申请人 東レ株式会社; 发明人 裕樹 古庭; 裕樹 古庭; 小原 徹也; 徹也 小原;
摘要 高 密度 織物製織時の 耳 端部の織り口後退を抑制することで耳たぶりを小さくし、精練、セットさらにコーティング工程での加工通過性、均一塗布性に優れ、さらに裁断性および縫製性に優れたエアバッグ用基布として最適な織物とその製造方法を提供する。合成繊維マルチフィラメント糸を地部糸とした織物であり、該織物の端部の耳組部に、繊度33dtex以下のフィラメントで構成される絡み糸および繊度33dtex以下のフィラメントで構成される増糸、さらに前記地部糸の総繊度に対し80%以上の総繊度を有するマルチフィラメントで構成される耳締め糸を含む織物とする。その製造方法は、織物の端部にある耳組部形成のために、絡み糸および増糸に繊度33dtex以下のフィラメントを使用し、さらに前記耳組部に、前記地部糸の総繊度に対し80%以上の総繊度を有するマルチフィラメントを耳締め糸として挿入しつつ製織する。
权利要求

合成繊維マルチフィラメント糸を地部糸とした織物であって、該織物の端部にある組部に、繊度33dtex以下のフィラメントで構成される絡み糸および繊度33dtex以下のフィラメントで構成される増糸、さらに前記地部糸の総繊度に対し80%以上の総繊度を有するマルチフィラメントで構成される耳締め糸を含むことを特徴とする織物。前記絡み糸および前記増糸を構成する33dtex以下のフィラメントが、いずれもモノフィラメントであることを特徴とする請求項1記載の織物。前記織物が、エアバッグ基布用織物であることを特徴とする請求項1または2記載の織物。前記織物の幅が160cm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の織物。前記織物のカバーファクターが1800〜2500の範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の織物。前記耳締め糸を構成するマルチフィラメントが、捲縮を有するマルチフィラメント糸であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の織物。合成繊維マルチフィラメント糸を地部糸とした織物の製造方法であって、織物の端部にある耳組部形成のために、絡み糸および増糸に繊度33dtex以下のフィラメントを使用し、さらに前記耳組部に、前記地部糸の総繊度に対し80%以上の総繊度を有するマルチフィラメントを耳締め糸として挿入しつつ製織することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の織物を製造する方法。前記絡み糸および前記増糸を構成する33dtex以下のフィラメントが、いずれもモノフィラメントであることを特徴とする請求項7記載の織物を製造する方法。前記耳締め糸が1.0〜7.0cN/dtexの引張強度を有するマルチフィラメントであり、総繊度あたり0.1〜0.7cN/dtexの供給張で両耳組部へ前記挿入をすることを特徴とする請求項7または8記載の織物の製造方法。織機としてウォータージェットルーム織機を用いて製織することを特徴とする請求項7〜9のいずれかに記載の織物の製造方法。織機の回転数を700回/分以上として製織することを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の織物の製造方法。

说明书全文

本発明は、織物とその製造方法に関する。更に詳しくは、エアバッグ用基布として好適な織物とその製造方法に関する。

自動車では乗員の安全確保のためのエアバッグを装備している。

エアバッグは、自動車の衝突事故の際、衝突の衝撃を受けてセンサーが作動し、高温、高圧のガスをエアバッグ内で発生させ、このガ スによってエアバッグを瞬間的に膨張させて衝突時に乗員の顔面、前頭部を保護するものである。

エアバッグは、一般に、100〜1000dtexのナイロン6フィラメント糸またはナイロン6・6フィラメント糸を用いた平織物からなる織物布に、耐熱性、難燃性、空気遮断性などの特性を向上させるために、シリコーンなどの樹脂を塗布または積層した基布を製造し、裁断し、袋体に縫製して作られる。

また、樹脂を付与せずに、ポリアミド繊維あるいはポリエステル繊維等の合成繊維フィラメント糸を高密度に製織することにより布帛の通気量を小さくして使用される、いわゆるノンコート布がある。

ここで、エアバッグ用の織物は、自動車の衝突事故の際、エアバッグを瞬間的に膨張させ、衝突時には乗員の顔面、前頭部を保護するということから、高強かつ低通気性が要求されるものである。

このため、エアバッグ用の織物は、通常の衣料用の織物に比較して、より高強力の糸を用いたかつ高密度の織物が必要となる。

一般に、この高密度織物を製織する際、織物設計上、例えば、経糸および緯糸が470dtex、経糸および緯糸の織物密度が、経、緯共に1インチ(2.54cm)あたり55本の平織り組織の場合など、緯糸密度が高くなるほど、織り前の織り口が筬の最前進位置よりも経糸の送出し側に移動する量が大きくなる。

これによって、以下の(a)〜(d)に記載するように製織時の不都合な点が発生する。 (a)筬打ち時に、織前近傍の織物がバンピング現象を起こし、所望の緯糸密度の織物が得られにくくなる。 (b)緯糸が打ち込まれた後、織り前の左右それぞれの端部でカッターにより緯糸を切断する。その際切断された緯糸は把持されるものがなくなるためフリーとなり、基布の両方の端部の緯糸クリンプが大きくなり、それにより逆に耳端部の経糸クリンプは小さくなり、両方の耳部の経糸張力が低下する。それにより、経糸による緯糸の把持力が低下するため、織り前の両耳部の織り口が後退する。その結果、耳部の経糸緩みから起因する毛羽を誘発するため、安定して製織することができなくなる。 (c)織機回転数を高速化すると、耳端部の織り口が後退する現象が、更に顕著に表れる。基布耳部の経糸緩みにより、耳部と中央部との布長差が生じ耳端部が波打ち状態になるという耳たぶりが、本質的な問題点として発生する。エアバッグ用基布は、裁断、縫製されて袋体に作られるが、エアバッグ用基布を最大限有効利用するため、裁断パターンが設計され、通常、耳端部またはその近傍まで使用される。裁断品の端はほつれやすいため、耳端部近傍部に耳たぶりが発生していると裁断不良が発生することにより、エアバッグとしての所望の正確な形状が得られず、必要とされる機能も有しなくなることになる。 (d)生機での耳たぶりは、またロール巻の時、およびその後の精練、セット工程での加工通過性に支障を及ぼすばかりでなく、皺発生の原因にもなる。樹脂をコートする場合には、耳たぶりによりコーティング工程の加工通過性に支障を及ぼすばかりでなく、コーティング樹脂の塗布量ムラや皺が発生する問題がある。

上記(a)〜(d)の不都合点に関連し、特に、製織に起因する耳タルミを防止するための種々の試みとして、合繊繊維織物からなるエアバッグ用基布において、該織物の耳部の経糸の繊度を、基布の本体の経糸の繊度より細くする方法が提案されている(特許文献1)。また、絡み糸の他に増糸を挿入すること、また絡み糸の組織を変更する方法が提案されている(特許文献2〜4)。

しかしながら、コスト競争力を求められる現在では、織機の運転の高速化、目的とする織物の広幅化に応えるため、高密度織物を製織する場合、これら特許文献に提案されているような手段では、織機運転の高速化に伴って、緯糸の飛走時の張力が高くなると、緯糸を十分に締め付けることができず、耳部の経糸張力低下を招くことになった。そして経糸の単糸切れから毛羽が発生し、織機の停止回数の増加、製織性の低下につながるという問題があった。また耳たぶりも大きくなるという問題があった。

日本国特開平10−236253号公報

日本国特開2001−355143号公報

日本国特開2002−212856号公報

日本国特開2002−69790号公報

本発明は、かかる従来の織物とその製造方法の欠点に鑑み、高密度織物を高速で製織する際、耳端部の織り口の後退を抑制すること、さらに必要な場合には耳たぶりを小さくする織物とその製造方法を提供することを課題とする。

本発明の織物は、上記課題を解決するために、下記(1)の構成を有する。 (1)合成繊維マルチフィラメント糸を地部糸とした織物であって、該織物の端部にある耳組部に、繊度33dtex以下のフィラメントで構成される絡み糸および繊度33dtex以下のフィラメントで構成される増糸、さらに前記地部糸の総繊度に対し80%以上の総繊度を有するマルチフィラメントで構成される耳締め糸を含むことを特徴とする織物。

かかる本発明の織物において、好ましくは、以下の(2)〜(6)のいずれかの構成を有することである。 (2)前記絡み糸および前記増糸を構成する33dtex以下のフィラメントが、いずれもモノフィラメントであることを特徴とする上記(1)記載の織物。 (3)前記織物が、エアバッグ基布用織物であることを特徴とする上記(1)または(2)記載の織物。 (4)前記織物の幅が160cm以上であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の織物。 (5)前記織物のカバーファクターが1800〜2500の範囲にあることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の織物。 (6)前記耳締め糸を構成するマルチフィラメントが、捲縮を有するマルチフィラメント糸であることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の織物。

また、本発明の織物の製造方法は、上記課題を解決するために、下記(7)の構成を有する。 (7)合成繊維マルチフィラメント糸を地部糸とした織物の製造方法であって、織物の端部にある耳組部形成のために、絡み糸および増糸に繊度33dtex以下のフィラメントを使用し、さらに前記耳組部に、前記地部糸の総繊度に対し80%以上の総繊度を有するマルチフィラメントを耳締め糸として挿入しつつ製織することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の織物を製造する方法。

かかる本発明の織物を製造する方法において、好ましくは、以下の(8)〜(11)のいずれかの構成を有することである。 (8)前記絡み糸および前記増糸を構成する33dtex以下のフィラメントが、いずれもモノフィラメントであることを特徴とする上記(7)記載の織物を製造する方法。 (9)前記耳締め糸が1.0〜7.0cN/dtexの引張強度を有するマルチフィラメントであり、総繊度あたり0.1〜0.7cN/dtexの供給張力で両耳組部へ前記挿入をすることを特徴とする上記(7)または(8)記載の織物の製造方法。 (10)織機としてウォータージェットルーム織機を用いて製織することを特徴とする上記(7)〜(9)のいずれかに記載の織物の製造方法。 (11)織機の回転数を700回/分以上として製織することを特徴とする上記(7)〜(10)のいずれかに記載の織物の製造方法。

請求項1にかかる本発明によれば、高密度織物製織時の耳端部の織り口後退を抑制することができる。また条件によっては、耳たぶりを小さくすることができる。特に、用途として、エアバッグ用基布として使用する場合、製織後に行われる精練、セットさらにコーティング工程での加工通過性、均一塗布性に優れ、さらに、裁断性および縫製性に優れたエアバッグ用基布用織物を提供することができる。

請求項2〜6のいずれかにかかる本発明によれば、上記した請求項1にかかる本発明の織物の効果をより明確かつ確実に有する織物が提供されるものである。

請求項7にかかる本発明によれば、そうした優れたエアバッグ用基布用織物を製織することを可能にする織物の製造方法が提供されるものである。

請求項8〜11のいずれかにかかる本発明によれば、上記した請求項7にかかる本発明の織物の製造方法による効果を、より明確かつ確実に有する織物の製造方法が提供されるものである。

発明の実施するための形態

本発明において製造される織物は、その地部は合成繊維マルチフィラメントからなる。該合成繊維の素材としては、例えば、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、アラミド系繊維、レーヨン系繊維、ポリサルホン系繊維、あるいは超高分子量ポリエチレン系繊維等を用いることができる。

中でも、大量生産性や経済性に優れたポリアミド系繊維やポリエステル系繊維が好ましい。

ポリアミド系繊維としては、例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン46や、ナイロン6とナイロン66との共重合ポリアミド、ナイロン6にポリアルキレングリコール、ジカルボン酸、アミン等を共重合させた共重合ポリアミド等からなる繊維をあげることができる。ナイロン6繊維、ナイロン66繊維は強度に特に優れており、好ましい。

また、ポリエステル系繊維としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等からなる繊維を挙げることができる。ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートに酸成分としてイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸や、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸を共重合させた共重合ポリエステルからなる繊維であってもよい。

また、これらの合成繊維には、紡糸・延伸工程や加工工程での生産性、あるいは特性改善のために、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、平滑剤、帯電防止剤、可塑剤、増粘剤、顔料、難燃剤等の添加剤を含んでいてもよい。また、合成繊維の単繊維の断面形状としては、円形断面の他に、扁平断面のものを用いることもできる。扁平な断面の繊維を用いることにより、織物としたときの繊維の高い密度での充填が可能となり、織物中の単繊維間に占める空隙が小さくなり、同じ織物組織であれば、同等繊度の円形断面糸を使用した場合よりも、エアバッグ用途で要求される、通気量を小さく抑えることを実現できる。

扁平断面の形状については、単繊維の断面形状を楕円に近似した際、その長径(D1)と短径(D2)との比(D1/D2)で定義される扁平率が1.5〜4であることが好ましく、より好ましくは2.0〜3.5である。かかる扁平断面形状としては、幾何学的に真の楕円形の他、例えば、長方形、菱形または繭形でもよいし、左右対称の他、左右非対称型でもよい。また、これらを組み合わせた形状のものでもよい。さらに、上記を基本形として、突起や凹みあるいは部分的に中空部があるものであってもよい。

本発明で製造される織物は、通常は、同じ合成繊維糸を経糸および緯糸としていることが好ましい。同じ合成繊維糸を経糸および緯糸としてなるとは、経糸・緯糸とも同種のポリマーからなり、経糸・緯糸とも同じ単繊維繊度を有し、かつ経糸・緯糸とも同じ総繊度を有するということである。同種のポリマーとは、ナイロン66同士、ポリエチレンテレフタレート同士等、ポリマーの主たる繰り返し単位が共通するポリマー同士である。例えば、ホモポリマーと共重合ポリマーとの組み合わせも、本発明でいう同種のポリマーとして好ましく使用される。さらには、共重合成分の有無、また共重合する場合は共重合成分の種類、量も同じ組み合わせとしておけば、経糸と緯糸を区別する必要がないため、生産管理上も好ましい。

本発明において織物の地部糸として使用される合成繊維糸は、単繊維繊度1〜7dtexの合成繊維フィラメントを用いることが好ましい。単繊維繊度を7dtex以下とすることで、織物中の単繊維間に占める空隙が小さくなり、繊維の充填化効果がより一層向上するため通気量を低下させることができ好ましい。また、合成繊維フィラメントの剛性を低下させる効果も得られるためエアバッグの収納性が向上し、好ましい。

織物の地部糸として使用される合成繊維糸の総繊度としては、100〜1000dtexであることが好ましい。ここで、総繊度とは、織物の組織を構成する織糸1本分の繊度をいう。例えば、後述する実施例のように334dtex、96フィラメントの糸を2本引き揃えて1本の織糸(経糸)として用いる場合、総繊度は668dtexである。なお、本発明において繊度は、JIS L 1013:2010 8.3.1 A法により、所定荷重0.045cN/dtexで正量繊度を測定される値である。

本発明においては、該地部糸として使用される合成繊維糸の総繊度を100dtex以上とすることにより、織物の強度を維持できる。また、100dtex未満の場合、後述する経糸の曲がり構造の形成において緯糸が低剛性となっているので、経糸の曲がり構造が大きくならず、経糸と緯糸との接触長が大きくならず、経方向の繊維の滑脱抵抗力が十分にならない傾向があり、また所望の低通気度が得られない場合がある。また、該地部糸として使用される合成繊維糸の総繊度を1000dtex以下とすることにより、収納時のコンパクト性や、低通気性を維持できる。総繊度は、より好ましくは200〜700dtex、さらに好ましくは300〜500dtexである。この範囲内の総繊度にすることにより、織物の強力、滑脱抵抗力、低通気性、柔軟性、コンパクト収納性をバランスよく向上させることができる。

本発明の織物が、エアバッグ基布用織物である場合、該織物を構成する繊維の引張強度としては、エアバッグ基布用織物として要求される機械的特性を満足するためと製糸操業面から、経糸および緯糸ともに8.0〜9.0cN/dtexが好ましく、より好ましくは8.3〜8.7cN/dtexである。

本発明で製造される織物は、上記のような同じ合成繊維糸からなる経糸と緯糸とからなるものとした上で、該織物の組織は、特に制約されないが、エアバッグに使用する場合、必要な特性であるコンパクトに収納できるという要求の観点から、平織りのものが特に好ましい。織密度は、樹脂加工される織物かあるいは樹脂加工されない織物かにより、また織糸の繊度などにより変わりうるが、カバーファクターは、1800以上、2500以下であることが、低通気性と高滑脱抵抗力を両立する上で好ましい。一般的に、1800以上、2500以下などとカバーファクターが大きくなると、製織時に問題となる耳部の織り口後退が大きくなり、また、耳たぶりも顕著となるものであり、特に、本発明で採用する耳締め糸を用いて製織し、織物を製造することが有効となる。すなわち、本発明の織物の製造方法は、上記の範囲外のカバーファクターを有する織物の製造に際しても有効に採用できるが、特に、カバーファクターが1800以上、2500以下である織物の製造に採用すると、その効果が顕著であり好ましい。

目的とするカバーファクターが、織物設計と製織上、緯糸打ち込み限界となり、織機筬打ち部、特に耳部の織り口後退が大きくなるため、経糸緩みによる毛羽発生により製織できなくなる。かかる織物のカバーファクターとは、糸条繊度の平方根と1インチあたりの糸条数との積の値について、経糸と緯糸のそれぞれで算出し、それを合計した和を言う。すなわち、織物のカバーファクター(CF)は、経糸総繊度をDw(dtex)、緯糸総繊度をDf(dtex)、経糸の織密度をNw(本/2.54cm)、緯糸の織密度をNf(本/2.54cm)としたとき、次の式で表される。 CF=(Dw×0.9)1/2 ×Nw+(Df×0.9)1/2 ×Nf

本発明の方法により製織される織物は、織物を長手方向に1m毎にサンプリングし、各地点合計10点平均の弧形量が12mm以下にすることが好ましい。弧形量が大きい場合では、基布の耳たぶりが大きくなり、コーティング樹脂の塗布量ムラが発生することがある。また、基布耳部と中央部との通気量差が大きくなるため、基布規格値から外れる。なお、「弧形量」とは、ひとつの緯糸が存在する両端部を結んだ直線から緯糸にそった曲線への距離を意味する。なお、この距離を示すのは両端部を結んだ直線の垂線の長さである。

本発明においては、絡み糸、増糸の他に、更に耳締め糸を製織時に耳部に打ち込む。絡み糸、増糸は、織物の耳形成として用い、さらに耳締め糸は、該織物の両耳端部近くの耳端部に挿入される。本発明において、織物の「耳端部」とは、耳部が形成されている左右にある最外端部分をいい、さらに「耳組部」とは絡み糸、増糸とを経糸とした織物組織にする部分をいう。

「絡み糸」とはレノとも呼ばれ、耳ほつれを防止するため、経糸両端部で緯糸を締め付け、耳を形成する。耳を形成する場合、一般的に遊星歯車を使用、さらに好ましくは遊星歯車ねじり方式が用いられる。もちろんその他の方法もある。絡み糸の素材、種類、繊度は、地糸の種類、織密度により適宜選択して使用する。使用本数は、両端部にそれぞれ2本以上、好ましくは2本ずつ使用することが好ましい。一般的には、耳締めの性能に優れるモノフィラメントを用いるのがよいが、マルチフィラメントも使用できる。絡み糸の材質としては、地糸材質と同じナイロンが好ましいが、ポリエステルも使用できる。

絡み糸の繊度としては、33dtex以下のものを使用することが重要である。33dtexよりも大きいと基布の耳部においてほつれが発生する場合があり、また基布を1本のロールに長尺で巻いた場合、耳高になりシワの原因となるためである。好ましくは、22dtex以下、5dtex以上のものである。

「増糸」も、絡み糸と同様に、基布の耳の形成、耳ほつれ、耳裂け防止を目的として使用し、経糸の両側面部に配置されて、絡み糸の補助として用いるものをいう。ただし、遊星装置は使用せず、増糸の素材、種類、繊度についても、地糸の種類、織密度により適宜選択して使用することができる、上記の絡み糸と同様に、耳締まりに優れるモノフィラメントを用いることが好ましい。使用する場合の本数は、両端部に各2本から10本使用してもよい。増糸の繊度としては、33dtex以下のものを使用することが重要である。33dtexよりも大きいと基布の耳部においてほつれが発生する場合があり、また基布を1本のロールに長尺で巻いた場合、耳高になりシワの原因となるためである。好ましくは、22dtex以下、5dtex以上のものである。

これら絡み糸、増糸としてモノフィラメントを用いる場合、捲縮を有する加工糸を使用すると、製織した基布をロールに巻き取っていくとき、ロールの巻き径が大きくなっていくにつれて、耳高、耳吊り、皺の発生原因となることがあるので好ましくなく、捲縮を有さない糸、すなわち非加工糸を絡み糸、増糸に使用するのがよいが、耳高、耳吊り、皺の発生がなければ使用してもよい。なお、絡み糸、増糸としてマルチフィラメントを用いる場合には捲縮糸等の加工糸を用いるのが好ましい。

増糸の材質としては、地部糸の材質と同じものであることが好ましく、特に、エアバック用の場合、地部糸がナイロンであることが多いので、ナイロンが好ましいと言えるが、ポリエステルも使用できる。

本発明での耳締め糸は、絡み糸、増糸とは別の供給装置によりヘルド、筬へ引き通しするものである。耳締め糸は、捲縮を有するポリエステルまたはナイロンの加工糸を経糸の両耳端部に10本以下、好ましくは、2本以上10本以下の本数で挿入するのが好ましい。その結果、耳締め糸は、織前の織り口の後退を抑制し、基布の弧形量を極小化することを目的として、該織物の両耳端部の耳組部に挿入されつつ製織されるものである。

本発明において、織物の組織は平織りであることが好ましいが、基布への要求特性などにより斜文織り、朱子織りなどでもよく、織物組織によってヘルド通し順、筬への引き通し本数を適宜決定する。耳締め糸は、ヘルドに通された糸を、経糸と同様に開口運動させ、緯糸を把持する。耳締め糸は、織機後方の経糸ビーム近傍から供給し、スプリング式テンサーで荷重を付与し、開口ヘルドに引き通す。筬へは、地糸の耳端部と一緒に通す。高圧や圧空により緯糸を飛走させ、筬によって緯糸を打ち込んだ後、カッターで緯糸を切断するが、その際緯糸はフリーなる。その緯糸の端部の耳房が地側への戻ろうとするが、それを耳締め糸が把持することにより抑制される。そして、耳部の緯糸クリンプが小さくなり、経糸のクリンプは大きくなる。それにより、経糸張力が高くなり、緯糸の把持力が高まり耳部の織口後退が小さくなる。よって、基布の耳端部と中央部の布長差が小さくなるため弧形量が小さくなり、耳たぶりも改善することができる。

一般に、従来のように耳締め糸を使用しないで製織する場合、織り前の織り口は、テンプル先端から織り口までの距離で表わされ、高圧水や圧空により緯糸を飛走させる際に、緯糸には高い張力がかかるため、筬による緯糸打ち込み後、カッターで緯糸を切断すると、フリーとなった緯糸端部が地側へ戻り、基布耳部の緯糸張力低下により緯糸のクリンプが大きく、逆に耳部の経糸クリンプは小さくなるため、耳部の経糸張力が低くなる。それにより、経糸による緯糸の把持力がなくなり、織り口の後退が大きくなるため、基布の弧形量が大きくなり、耳たぶりや基布の物性悪化につながる。

耳締め糸の供給は、前述のように、遊星装置、ボビンを使用せず、三コーンまたは紙管から供給するのが通常である。特に、供給時の張力を管理するため、スプリングワッシャーを用いるのが好ましい。

耳締め糸の素材は、マルチフィラメントであることが重要であり、中でも、捲縮加工されたマルチフィラメント加工糸を使用することが好ましい。例えば、仮撚り加工を受けた加工糸などが、本発明において好ましく使用される糸である。耳締め糸の糸種は、特に制約されないが、ポリエステルまたはナイロンが、一般的に入手しやすく、地糸との糸特性が近いため好ましい。特に、耳締め糸が、マルチフィラメントの捲縮加工糸であることが、適度な捲縮を与えることで製織中の耳締め糸の張力変動が小さくなるため好ましい。ここで、マルチフィラメント糸とは、2本以上のフィラメントが合わさり1本の糸として、単独で一つの糸巻き体に巻き上げられているものである。耳締め糸に用いる加工糸の単糸繊度は特に制約はされない。耳締め糸に用いる糸の総繊度は、本発明の効果を最大に発揮できるという観点から、地糸総繊度の80%以上であることが重要である。理由は、80%に満たないと、耳部の経糸ユルミが発生し製織が困難となるためである。さらに地糸総繊度の100%以上であることが好ましい。また、地糸総繊度の300%以下、さらに200%以下が好ましい。

ここで、地糸とは、耳部以外の織物本体を形成する織糸をいう。また、耳締め糸の引張り強度は、特に限定されないが、下限側としては1.0cN/dtex、すなわち、1.0cN/dtex以上が好ましく、上限側としては7.0cN/dtex、7.0cN/dtex以下が好ましい。

耳締め糸に用いる糸の本数は、本発明の効果を最大に発揮できるという観点から両側の耳端部それぞれに4〜8本であることが好ましい。

耳締め糸は、経糸を開口させるヘルド1本に、耳締め糸を1本通すのが好ましい。例えば、経糸繊度(地部糸総繊度)470dtexで、耳締め糸の総繊度660dtex、本数が4本では、経糸を開口させるヘルド1本に、耳締め糸を1本引き通し、筬羽1羽に繊度660dtexを2本ずつ引き通すことが好ましい。

耳締め糸として地糸総繊度の80%未満の繊度を有するマルチフィラメントを用いる場合、以下のように複数本をタテ糸1本として用い、その複数本をあわせた総繊度として地糸総繊度の80%未満の繊度を有するようにしてもよい。

例えば、経糸繊度(地部糸総繊度)470dtexで、耳締め糸として繊度が330dtexのマルチフィラメントを用いる場合、マルチフィラメントの本数として8本用い、経糸を開口させるヘルド1本に、耳締め糸を2本引き揃えて総繊度660dtexとし、筬羽1羽に660dtexを2本ずつ引き通すことが好ましい。ヘルド1本に耳締め糸を2本通す際、上記のように合糸等の方法により2本引き揃えで通してもよく、予め引き揃えて合糸せずとも、経糸を複数本並べるように複数の耳締め糸を一本のヘルドに通して用いてもよい。特に、合糸しなくても緯糸を十分に締め付けることができるため、耳部の経糸張力低下を抑え、耳端部の織り口の後退を抑制することができ、耳たぶりを小さくすることができる。ヘルド1本に耳締め糸を2本引き揃えで、または並べて通した場合の織物において、織物を分解した際、耳締め糸が2本、すなわち、複数本並びの状態で、同時に緯糸と交錯している場合、この複数本を合わせて経糸1本として、本発明では扱うものである。

製織時の耳端部の織り口状態により、筬羽1羽に耳締め糸を1本ずつ通してもよい。4〜8本の耳締め糸を1羽に全て引き通すと、基布を巻き取ってロール状巻き体とした際、耳部が高くなり耳シワの原因となるおそれがある。耳締め糸を供給する際には、スプリング式あるいはワッシャー式などのテンサーを介して、その供給張力を管理することが肝要である。耳締め糸の供給張力は、耳締め糸の繊度当たり0.1〜0.7cN/dtexで供給することが好ましい。なお、「耳締め糸の繊度」とは、耳締め糸に用いる個々のマルチフィラメントの繊度を言い、「耳締め糸の総繊度」とは、織物を分解した場合、ヨコ糸と一度に交錯する耳締め糸の総繊度であり、製造工程では、通常、ヘルド1本に通すマルチフィラメントの総繊度に相当するものである。たとえば、耳締め糸の総繊度が330dtexの場合、好ましい供給張力は33〜231cNとなる。耳締め糸の供給張力が、総繊度当たり0.1cN/dtex未満では、緯糸を把持する力が弱いため、製織時の耳端部の織り口後退が大きく、製織時の耳部経糸緩みにより毛羽が発生し、製織は困難となる。耳締め糸の供給張力が、総繊度当たり0.7cN/dtexよりも大きい場合には、供給張力が高すぎて耳裂けの発生、基布の耳吊りによる品位悪化を招く場合があるため好ましくない。

耳締め糸は、捲縮率が40%以下のものであることが好ましい。捲縮率とは、15〜25℃の常温水中におけるクリンプの形態復元性を示すものである。耳締め糸の捲縮率が40%以上であると、精練・セット加工後、地部糸と耳締め糸の収縮差により、基布耳部に耳吊りが発生する場合がある。好ましい捲縮率は2%以上、40%以下である。

本発明のエアバッグ基布用の織物は、その製造に際して織機の高速運転ができることからジェットルームで製織することが好ましい。特に、ウォータージェットルームが好ましい。ウォータージェットルーム織機は、緯糸を高圧の圧縮水により飛走させるため、エアージェットルーム織機やレピア織機と比較して、緯糸の飛走張力が高い傾向であり、更なる耳部での緯糸把持力向上が求められるため、高速運転、広幅の織物のとき追加糸の使用による効果が顕著となるからである。

本発明により製造する織物がエアバッグ基布用である場合、織物をウォータージェットルーム織機で製織した後、基布を乾燥および/または原糸に付着していた油剤の除去やシワの除去のために精練・セット加工することが好ましい。本発明により得られるエアバッグ基布用織物は、製織した後の基布幅が160cm以上であることが、本発明の製造方法の効果が顕著になるため好ましい。なお、エアバックを製造する際の裁断時ロスを考慮すると、更に基布幅は180cm以上であることが好ましい。基布幅の上限は240cm以下が好ましい。なお、「基布幅」とは、耳部を除いた織物の本体部の幅である。

次に、本発明でエアバッグ基布用の織物を製造する方法について説明する。

本発明のエアバッグ基布用織物の製造方法においては、合成繊維フィラメント糸を経糸および緯糸に用い、織物設計に準じた繊度の経糸を整経して織機にかけ、同様に緯糸の準備をする。該経糸および緯糸に用いる合成繊維フィラメント糸条は、同じものを用いることが、基布の品質上、後工程の面で好ましい。織機としては、ウォータージェットルーム織機を用いることが製織時の経糸毛羽の発生が小さく、また高速製織が比較的容易で生産性が高いため好ましい。

ウォータージェットルーム織機で製織する際、拘束飛走がある緯糸測長装置を選択することが好ましい。例えば、ガイド回転により1ピック分の緯糸を測長ドラムに巻き付ける装置、または1ピック分の緯糸を測長装置のドラム回転とブロアによる送風により巻き付ける装置を有するウォータージェットルーム織機を用いることが好ましい。主に、エアージェットルーム織機に用いられるフリードラム式の測長装置は、1ピック分の緯糸が飛走完了すると、係止ピンでブレーキをかけるため、緯糸にかかる張力が高く、耳部の織り口後退が大きくなるため、使用しても効果は乏しい。拘束飛走とは、1ピック分の緯糸をガイド回転またはドラム回転、ブロワによる送風により測長装置のドラムに巻き付けて、該巻き付けられた緯糸が、測長装置からの解舒が終了したときに緯糸ブレーキが生じる際のタイミングを言う。拘束飛走を有すると、耳部の織り口後退は、フリードラム式の拘束飛走なしに比べて軽減される。

本発明のエアバッグ基布用織物の製造方法として、経糸張力を50〜250cN/本に調整して行うことが好ましく、より好ましくは100〜200cN/本である。かかる範囲内に経糸張力を調整することで、織物を構成するマルチフィラメント糸の糸束中の単繊維間空隙を減少させることができ、したがって、通気量を低減させることができる。また、緯糸打ち込み後に、上記張力をかけられた経糸が緯糸を押し曲げることで、緯糸方向の織物の組織拘束力を高め、織物の抗目ズレ性が向上し、エアバッグとして袋体を形成するときの縫製部分の目ズレによる空気漏れを抑えることができる。経糸張力が小さいと、経糸と緯糸との織物中での接触面積を増やすことができず、滑脱抵抗力が所望のところまで得られにくく、また、単繊維間空隙を減少させる効果が小さいため低通気性が得られにくくなる。

経糸張力が大きすぎると、経糸がヘルドメールでの擦過により毛羽が発生しやすくなる傾向がある。経糸張力を上記範囲内に調整する具体的方法としては、織機の経糸送り出し速度を調整する他、緯糸の打ち込み速度を調整する方法が挙げられる。経糸張力が製織中に実際に上記範囲内となっているかどうかは、例えば織機稼動中に経糸ビームとバックローラーとの中間において、経糸一本当たりに加わる張力を張力測定器で測ることにより、確認することができる。また、経糸開口における上糸シート張力と下糸シート張力に差をつけることが好ましい。

調整方法としては、例えば、バックローラー高さを、一般的に水平位置から、例えば10〜30mm高めの位置に設置するなどして、上糸の走行線長と下糸の走行線長差をつける方法がある。また、上糸の張力と下糸の張力とに差をつける他の方法としては例えば、開口装置にカム駆動方式を採用し、上糸・下糸の片側のドエル角を他方よりも100度以上大きく取る方法もある。ドエル角を大きくした方の張力が高くなる。織機のテンプルとしては、カバーファクターが2000以上では、高密度織物であるため、バーテンプルを用いることが好ましい。カバーファクターが1700以下の場合は、リングテンプルを選択してもよい。バーテンプルを用いると、織前全体、基布の両端部も把持しながら筬打ちすることができるため、経糸耳部のユルミがリングテンプルと比較して改善する。また、合成繊維フィラメント同士の空隙を小さくすることができ、その結果低通気量と抗目ズレ性が向上するからである。

次に、必要があれば、製織工程後、精練、熱セット等の加工を施す。特に小さい通気量が求められる場合には、基布表面に樹脂等を塗布したり、フィルムを貼り付け、コート布としてもよい。本発明のエアバック基布用織物を用いて製造されるエアバッグは、上記エアバッグ基布用織物を袋状に縫製し、インフレーターなどの付属機器を取り付けたものである。本発明のエアバック基布用の織物を用いて製造されるエアバッグは、運転席用、助手席用および後部座席用、側面用、膝用、天井用エアバッグなどに使用することができる。特に、大きな拘束力が求められる運転席用、助手席用エアバッグとして使用することに適する。

本発明により得られる織物は、裁断パターンが設計され、裁断し、縫製して袋体に作られて、エアバッグにすることができる。なお、樹脂加工された織物の裁断では、通常、樹脂加工された織物を複数枚積層し、ナイフによる打ち抜きにより行われる。また、ノンコート基布の場合は、ナイフによる打ち抜き裁断では、裁断品の端がほつれやすいので、通常、レーザーカッターにより1枚ずつ裁断されるが、本発明にかかる織物は耳端部近傍部に耳たぶりがないので、設計通りの形状に裁断でき縫製も容易である。そのため、本発明にかかる織物を用いて得られるエアバッグは、エアバッグとしての形態が設計通りで、かつ、正確な形態に仕上げられることができ、高い破裂強度を有するなど機能的に優れたものを提供することができ、しかも、耳たぶりが小さいため、該織物の廃棄ロスが少なく、織物を最大限有効に利用できるのでコスト的にも有利なものである。

以下、実施例に基づいて、本発明の織物とその製造方法について具体的に説明する。

なお、本発明の説明で使用した各種の物性値は、以下に記載する測定法によるものである。 [測定方法] (1)弧形量 長手方向1mおきに10点、ひとつの緯糸が存在する両端部を結んだ直線から緯糸にそった曲線への距離を測定した。なお、この距離を示すのは両端部を結んだ直線の垂線の長さである。この値が大きいと、耳端部の後退が大きいことを意味する。

(2)織物厚さ JIS L 1096:(1999) 8.5に則り、試料の異なる5か所について厚さ測定機を用いて、23.5kPaの加圧下、厚さを落ち着かせるために10秒間待った後に厚さを測定し、平均値を算出した。

(3)経糸・緯糸の織密度 JIS L 1096:(1999) 8.6.1に基づき測定した。試料を平らな台上に置き、不自然なしわや張力を除いて、異なる5か所について2.54cmの区間の経糸および緯糸の本数を数え、それぞれの平均値を算出した。

(4)織物目付 JIS L 1096:1999 8.4.2に則り、20cm×20cmの試験片を3枚採取し、それぞれの質量(g)を量り、その平均値を1m2 当たりの質量(g/m2 )で表した。

(5)引張強力 JIS K 6404−3 6.試験方法B(ストリップ法)に則り、経方向及び緯方向のそれぞれについて、試験片を5枚ずつ採取し、幅の両側から糸を取り除いて幅30mmとし、定速緊張型の試験機にて、つかみ間隔150mm、引張速度200mm/minで試験片が切断するまで引っ張った。その切断に至るまでの最大荷重を測定し、経方向及び緯方向のそれぞれについて平均値を算出した。

(6)破断伸度 JIS K 6404−3 6.試験方法B(ストリップ法)に則り、経方向及び緯方向のそれぞれについて、試験片を5枚ずつ採取し、幅の両側から糸を取り除いて幅30mmとし、これら試験片の中央部に100mm間隔の標線を付け、定速緊張型の試験機にて、つかみ間隔150mm、引張速度200mm/minで試験片が切断するまで引っ張り、切断に至るときの標線間の距離を読み取り、下記式によって、破断伸度を算出し、経方向及び緯方向のそれぞれについて平均値を算出した。 E=[(L−100)/100]×100 ここに、E:破断伸度(%)、L:切断時の標線間の距離(mm)

(7)引裂強力 JIS K 6404−4 6.試験方法B(シングルタング法)に準じ、長辺200mm、短辺76mmの試験片を経方向、緯方向の両方に、それぞれ5個の試験片を採取し、試験片の短辺の中央に辺と直角に75mmの切込みを入れ、定速緊張型の試験機にてつかみ間隔75mm、引張速度200mm/minで試験片が引ききるまで引裂き、そのときの引裂き荷重を測定した。得られた引裂き荷重のチャート記録線より、最初のピークを除いた極大点の中から大きい順に3点選び、その平均値をとった。最後に経方向及び緯方向のそれぞれについて、平均値を算出した。

(8)通気量 JIS L 1096:1999 8.27.1 A法(フラジール形法)に準じて、試験差圧19.6kPaで試験したときの通気量を測定した。試料の異なる5か所から約20cm×20cmの試験片を採取し、口径100mmの円筒の一端に試験片を取り付け、取り付け箇所から空気の漏れがないように固定し、レギュレーターを用いて試験差圧19.6kPaに調整し、そのときに試験片を通過する空気量を流量計で計測し、5枚の試験片についての平均値を算出した。

(9)滑脱抵抗力 ASTM D6479−02に則り測定した。

(10)経糸張力 金井工機(株)製チェックマスター(登録商標)(形式:CM−200FR)を用い、織機稼動中に経糸ビームとバックローラーの中央部分において、経糸一本当たりに加わる張力を測定した。経糸開口における上糸の張力・下糸の張力経糸が開口した状態で織機を停止させ、バックローラーと綜絞との間(バックローラーと綜絖との間にガイドロールを配している場合には、ガイドロールと綜絞との間)において、上側にある経糸一本あたりに加わる張力を張力測定機にて、上糸の張力として測定した。また同様にして、下側にある経糸一本あたりに加わる張力を下糸の張力として測定した。

(11)捲縮率 初荷重0.088cN/dtexで10回巻きのカセを作る。このカセを取り外し24時間放置する。0.088cN/dtex相当の荷重をかけ15〜25℃の常温水中に浸漬し、2分後のかせ長L0を測定した。次に、水中で0.088cN/dtex相当のカセを除き、0.0018cN/dtex相当の荷重に交換し、2分後のかせ長L1を測定し、次式により捲縮率を計算した。 捲縮率(%)={(L0−L1)/L0}×100

(12)基布の耳たぶりの発生有無 織り上がった基布を、机上に広げて両端部の高さを1mm刻み(1mm未満の量は四捨五入)で測定した。評価は、耳たぶり高さを大きさとして判断し、8mm未満を「優秀」、8mm以上10mm以下を「良好」、11mm以上、12mm以下を「可」、13mm以上を「不可」の4段階評価とし、それぞれ、表1中では、「優秀」を「◎」で、「良好」を「○」で、「可」を「△」で、「不可」を「×」で表記した。

実施例1 〔経糸、緯糸〕 ナイロン6・6からなり、円形の断面形状を有し、単繊維繊度6.52dtex、フィラメント数72、総繊度470dtex、無撚りで、強度8.5cN/dtex、伸度23.5%の合成繊維マルチフィラメントを準備した。

〔製織〕 上記の糸を地部糸として経糸、緯糸に用い、ウォータージェットルーム織機を使用して、筬通し幅を227cm、カバーファクター2213、製織時の経糸張力を180cN/本、織機回転数は800rpm、経糸密度54本/2.54cm、緯糸密度54本/2.54cmとした織物を製織した。

その際、両耳部への耳締め糸として、紙管から供給し、供給時の張力を管理するため、スプリングワッシャーを用い、左右各4本の構成で、織機後方の経糸ビーム近傍から捲縮率30%を有する334dtex、96フィラメントのポリエステル仮撚り加工糸を2本ずつ引き揃えて総繊度668dtexを4本とし、筬羽1羽に該ポリエステル仮撚り加工糸2本ずつを順通しでヘルドに通した。

耳締め糸の供給張力は、耳締め糸の総繊度当たり0.15cN/dtexとなる100cNに調整した。

絡み糸としては、22dtexのナイロンモノフィラメントを使用し、遊星装置から経糸両端部に各2本ずつ経糸端部のところのヘルド、筬に引き通した。増糸も、絡み糸と同様の22dtexのナイロンモノフィラメントを使用し、経糸両端部に各6本ずつ経糸端部のところのヘルド、筬に引き通した。筬打ち部とフリクションローラーとの間にはバーテンプルを使用した。筬と織り口の接触タイミングは表1の通りであった。

製織では、耳部の織口後退を小さく抑えることができた。すなわち、筬通し幅200cm以上、カバーファクター2000以上の高密度エアバッグ基布を800rpmで、かつ耳端部の織り口の後退を抑制し、耳たぶりも少なく製織できること、耳締まり状態も均一で良好であることがわかった。

〔熱セット〕 次いで、この織物に、引き続きピンテンター乾燥機を用いて幅入れ率0%、オーバーフィード率0%の寸法規制の下で180℃にて1分間の熱セット加工を施した。

得られたエアバッグ用織物は、基布の弧形量が8mmであり、かつ基布物性の引張強力(経/緯)が766/784N、破断伸度(経/緯)が35.5/25.6%、引裂強力(経/緯)が271/268N、基布の通気量が95.6L/m2 、滑脱抵抗値(経/緯)が329/319Nであった。

実施例2 〔経糸、緯糸〕 ナイロン6・6からなり、円形の断面形状を有し、単繊維繊度6.52dtex、フィラメント数72本、総繊度470dtex、無撚りで、強度8.5cN/dtex、伸度23.5%の合成繊維マルチフィラメントを経糸および緯糸として用いた。

〔製織〕 上記の糸を経糸、緯糸に用い、ウォータージェットルーム織機を使用して、筬通し幅を227cm、カバーファクター2213、製織時の経糸張力を180cN/本、織機回転数は800rpm、経糸密度54本/2.54cm、緯糸密度54本/2.54cmの織物を製織した。

その際、両耳部への耳締め糸として、紙管から供給し、供給時の張力を管理するため、スプリングワッシャーを用い、左右各4本の構成で、織機後方の経糸ビーム近傍から捲縮率30%を有する334dtex、96フィラメントのポリエステル仮撚り加工糸を2本ずつ引き揃えて総繊度668dtexの糸とし、筬羽1羽に該ポリエステル仮撚り加工糸の2本ずつを順通しでヘルドに通した。耳締め糸の供給張力は、耳締め糸の総繊度当たり0.15cN/dtexとなる100cNに調整した。

絡み糸としては、33dtexのマルチフィラメントを使用し、遊星装置から経糸両端部に各2本ずつ経糸端部のところのヘルド、筬に引き通した。増糸も33dtexのマルチフィラメントを使用し、経糸両端部に各6本ずつ経糸端部のところのヘルド、筬に引き通した。

筬打ち部とフリクションローラーとの間にはバーテンプルを使用した。筬と織り口の接触タイミングは表1の通りであった。耳部の織口後退が小さく抑えることができたため、これまで製織が不可であった筬通し幅200cm以上、カバーファクター2000以上の高密度エアバッグ基布を800rpmで、かつ耳端部の織り口の後退を抑制し、耳たぶりも少なく製織できることがわかった。耳締まり状態としてはわずかなほつれが観察されたが、実用上問題ないレベルであった。

〔熱セット〕 次いで、実施例1と同様の条件で、熱セット加工を施した。

得られたエアバッグ用織物は、基布の弧形量が8mmであり、かつ基布物性の引張強力(経/緯)が753/771N、破断伸度(経/緯)が34.4/24.1%、引裂強力(経/緯)が260/255N、基布の通気量が88.3L/m2 、滑脱抵抗値(経/緯)が338/331Nであり、良好な物性を有していた。

実施例3 〔経糸、緯糸〕 ナイロン6・6からなり、円形の断面形状を有し、単繊維繊度3.45dtex、フィラメント数136本、総繊度470dtex、無撚りで、強度8.6cN/dtex、伸度24.7%の合成繊維マルチフィラメントを経糸および緯糸として用いた。

〔製織〕 上記の糸を経糸・緯糸に用い、ウォータージェットルーム織機で筬通し幅を227cm、カバーファクター2213、製織時の経糸張力を180cN/本、織機回転数は800rpm、経糸密度54本/2.54cm、緯糸密度54本/2.54cmの織物を製織した。

その際、両耳部への耳締め糸として、紙管から供給し、供給時の張力を管理するため、スプリングワッシャーを用い、左右各4本の構成で、織機後方の経糸ビーム近傍から捲縮率30%を有する334dtex、96フィラメントのポリエステル仮撚り加工糸を2本ずつ引き揃えて総繊度668dtexの糸とし、筬羽1羽に該ポリエステル仮撚り加工糸の2本ずつを順通しでヘルドに通した。耳締め糸の供給張力は、耳締め糸の総繊度当たり0.15cN/dtexとなる100cNに調整した。

絡み糸としては、22dtexのナイロンモノフィラメントを使用し、遊星装置から経糸両端部に各2本ずつ経糸端部のところのヘルド、筬に引き通した。増糸も22dtexのナイロンモノフィラメントを使用し、経糸両端部に各6本ずつ経糸端部のところのヘルド、筬に引き通した。

筬打ち部とフリクションローラーとの間にはバーテンプルを使用した。筬と織り口の接触タイミングは表1の通りであった。耳部の織口後退が小さく抑えることができたため、これまで製織が不可であった筬通し幅200cm以上、カバーファクター2000以上の高密度エアバッグ基布を800rpmで、かつ耳端部の織り口の後退を抑制し、耳たぶりも少なく製織できること、耳締まり状態も均一で良好であることがわかった。

〔熱セット〕 実施例1と同様の条件で、熱セット加工を施した。

得られたエアバッグ用織物は、基布の弧形量が8mmであり、かつ基布物性の引張強力(経/緯)が744/773N、破断伸度(経/緯)が34.8/24.7%、引裂強力(経/緯)が266/257N、基布の通気量が89.7L/m2 、滑脱抵抗値(経/緯)が342/327Nであり、良好な物性を有していた。

実施例4 〔経糸、緯糸〕 ナイロン6・6からなり、円形の断面形状を有し、単繊維繊度2.57dtex、フィラメント数136本、総繊度350dtex、無撚りで、強度8.5cN/dtex、伸度23.5%の合成繊維マルチフィラメントを経糸および緯糸として用いた。

〔製織〕 上記の糸を経糸・緯糸に用い、ウォータージェットルーム織機で筬通し幅を227cm、カバーファクター2245、製織時の経糸張力を130cN/本、織機回転数は800rpm、経糸密度59本/2.54cm、緯糸密度59本/2.54cmの織物を製織した。

その際、両耳部への耳締め糸として、紙管から供給し、供給時の張力を管理するため、スプリングワッシャーを用い、左右各4本の構成で、織機後方の経糸ビーム近傍から捲縮率2.5%を有する334dtex、96フィラメントのポリエステル仮撚り加工糸を2本ずつ引き揃えて総繊度668dtexの糸とし、筬羽1羽に該ポリエステル仮撚り加工糸を2本ずつ順通しでヘルドに通した。耳締め糸の供給張力は、耳締め糸の総繊度当たり0.15cN/dtexとなる100cNに調整した。

絡み糸としては、22dtexのナイロンモノフィラメントを使用し遊星装置から経糸両端部に各2本ずつ経糸端部のところのヘルド、筬に引き通した。増糸も22dtexのナイロンモノフィラメントを使用し、経糸両端部に各6本ずつ経糸端部のところのヘルド、筬に引き通した。

筬打ち部とフリクションローラーとの間にはバーテンプルを使用した。筬と織り口の接触タイミングは表1の通りであった。耳部の織口後退が小さく抑えることができたため、これまで製織が不可であった筬通し幅200cm以上、カバーファクター2000以上の高密度エアバッグ基布を800rpmで、かつ耳端部の織り口の後退を抑制し、耳たぶりも少なく製織できること、耳締まり状態も均一で良好であることがわかった。

〔熱セット〕 次いで、この織物に、引き続きピンテンター乾燥機を用いて幅入れ率0%、オーバーフィード率0%の寸法規制の下で180℃にて1分間の熱セット加工を施した。得られたエアバッグ用織物は、基布の弧形量が10mmであり、かつ基布物性の引張強力(経/緯)が710/721N、破断伸度(経/緯)が36.4/27.8%、引裂強力(経/緯)が228/231N、基布の通気量が96.9L/m2 、滑脱抵抗値(経/緯)が287/272Nであり、良好な物性を有していた。

比較例1 〔経糸、緯糸〕 実施例1で用いたのと同様のものを経糸、緯糸として用いた。

〔製織〕 上記の糸を経糸、緯糸に用い、織機条件は実施例1と同様とし、絡み糸としては、22dtexのナイロンモノフィラメントを使用し、遊星装置から経糸両端部に各2本ずつ経糸端部のところのヘルド、筬に引き通した。増糸も22dtexのナイロンモノフィラメントを使用し、経糸両端部に各6本ずつ経糸端部のところのヘルド、筬に引き通した。

耳締め糸は使用しなかった。製織時の耳部経糸がゆるみ、毛羽が発生し、製織不可であった。

比較例2 〔経糸、緯糸〕 実施例1で用いたのと同様のものを経糸、緯糸として用いた。

〔製織〕 経糸の織密度が54本/2.54cm、緯糸の織密度が54本/2.54cm、織機としてはウォータージェットルームを用い、筬通し幅を227cm、カバーファクター2213、製織時の経糸張力を180cN/本、織機回転数は800rpmで製織した。

その際、両耳部への耳締め糸として、紙管から供給し、供給時の張力を管理するため、スプリングワッシャーを用い、左右各4本の構成で、織機後方の経糸ビーム近傍から捲縮率2.5%を有する167dtex、48フィラメントのポリエステル仮撚り加工糸を2本ずつ引き揃えて総繊度334dtexの糸とし、筬羽1羽に2本ずつ順通しでヘルドに通した。耳締め糸の供給張力は、耳締め糸の総繊度当たり0.3cN/dtexとなる100cNに調整した。

絡み糸としては、22dtexのナイロンモノフィラメントを使用し、遊星装置から経糸両端部に各2本ずつ経糸端部のところのヘルド、筬に引き通した。増糸も22dtexのナイロンモノフィラメントを使用し、経糸両端部に各6本ずつ経糸端部のところのヘルド、筬に引き通した。

筬打ち部とフリクションローラーとの間にはバーテンプルを使用した。耳部の経糸ユルミが見られため、製織中に毛羽が発生し、筬通し幅200cm以上、カバーファクター2000以上の高密度エアバッグ基布を800rpmで製織することができなかった。

〔熱セット〕 次いで、この織物に、実施例1と同様の熱セット加工を施した。

得られたエアバッグ用織物は、基布の弧形量が12mmであり、また耳部と中央部の通気量差が大きいため、織物通気量が目標値未達となり、さらに織り前の織り口後退が大きいため基布の耳たぶりも大きいためエアバック基布としては使用できないものとなった。

比較例3 〔経糸、緯糸〕 実施例1で用いたものと同様のものを経糸、緯糸とした。

〔製織〕 上記経糸、緯糸を用い、経糸の織密度が54本/2.54cm、緯糸の織密度が54本/2.54cm、筬通し幅を140cm、織機回転数800rpm、経糸張力を180cN/本で製織した。絡み糸としては、22dtexのナイロンモノフィラメントを使用し遊星装置から経糸両端部に各2本ずつ経糸端部のところのヘルド、筬に引き通した。増糸も22dtexのナイロンモノフィラメントを使用し、経糸両端部に各6本ずつ経糸端部のところのヘルド、筬に引き通した。

耳部への耳締め糸は使用しない構成としたところ、筬と織り口の接触タイミングは表1の通りであった。筬通し幅が140cmと狭いため、耳部への耳締め糸を使用しなくても製織することができたが、耳部の後退および耳たぶりが大きかった。

〔熱セット〕 次いで、この織物に、実施例1と同様の熱セット加工を施した。

得られたエアバッグ用織物は、筬通し幅が狭く、緯糸の飛走張力が低いため、緯糸を噴射するノズル側の筬と耳部の織り口の接触する角度も目標の325度を達成していたことから、基布の弧形量は13mmとなった。基布物性も引張強力(経/緯)が801/827N、破断伸度(経/緯)が35.3/26.2%、引裂強力(経/緯)が281/277N、基布の通気量が86.4L/m2 、滑脱抵抗値(経/緯)が363/343Nであり、全ての目標値は満足するが、筬入れ幅が140cmと狭いため、基布の生産量は劣った。

比較例4 〔経糸、緯糸〕 実施例1で用いたものと同様のものを経糸、緯糸とした。

〔製織〕 上記経糸、緯糸を用い、経糸の織密度が54本/2.54cm、緯糸の織密度が54本/2.54cm、筬通し幅を227cm、織機回転数600rpm、経糸張力を180cN/本で製織した。絡み糸としては、22dtexのナイロンモノフィラメントを使用し遊星装置から経糸両端部に各2本ずつ経糸端部のところのヘルド、筬に引き通した。増糸も22dtexのナイロンモノフィラメントを使用し、経糸両端部に各6本ずつ経糸端部のところのヘルド、筬に引き通した。

経糸ビーム近傍からの耳部への耳締め糸は使用しない構成としたところ、筬と織り口の接触タイミングは表1の通りであった。織機回転数が600rpmと遅いためであるため、耳部への耳締め糸を使用しなくても製織できたが、耳部の後退及び耳たぶりが大きかった。

〔熱セット〕 次いで、この織物に、実施例1と同様の熱セット加工を施した。

得られたエアバッグ用織物は、織機回転数が遅いことから、緯糸の飛走張力が低いため、緯糸を噴射するノズル側の筬と耳部の織り口の接触する角度も目標の328度を達成しており、基布の弧形量は14mmとなった。基布物性も引張強力(経/緯)が724/756N、破断伸度(経/緯)が32.1/24.4%、引裂強力(経/緯)が274/261N、基布の通気量が99.7L/m2 、滑脱抵抗値(経/緯)が334/296Nであり、全ての目標値は満足しているが、織機回転数が遅く、基布の生産量は劣る。

以上の実施例、比較例の各結果をまとめて、表1、表2に示した。

本発明により得られる織物は、広幅化、高速化が求められる高密度織物製織時に問題となる耳端部の織り口後退を抑制することができ、また条件によっては耳たぶりを小さくすることができる。本発明により得られる織物は、特にエアバッグ用の基布に好適である。この基布を用いて得られるエアバッグは、運転席用、助手席用、側面衝突用サイドエアバッグなどに使用できる。

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