エネルギー吸収布及びその製造方法

申请号 JP2015559243 申请日 2014-01-22 公开(公告)号 JP2016511336A 公开(公告)日 2016-04-14
申请人 ワイケイケイ コーポレーション オブ アメリカ; ワイケイケイ コーポレーション オブ アメリカ; 发明人 ティモシー・エム・ラッセル;
摘要 エネルギー吸収布はほぼ平坦で、制御可能な著しい伸長距離を有する。該布は、部分延伸糸(POY)等の伸長糸とバインダー糸とから構成される。伸長糸及びバインダー糸は、望ましい伸長量に応じて種々の織りイン割合を有する。ある実施形態において、それらはほぼ平坦であるため、エネルギー吸収布は、レトラクターでの使用に適している。ほぼ平坦なエネルギー吸収布を製造する方法も提供される。
权利要求

布であって、 (i)実質的に縦方向に延びる第1伸長糸セットを含む第1層にして、第1伸長糸セットの伸長糸が互いに織り交ぜられる第1層と、 (ii)実質的に縦方向に延びる第2伸長糸セットを含む第2層にして、第2伸長糸セットの伸長糸が互いに織り交ぜられる第2層と、 (iii)前記第1伸長糸セットと前記第2伸長糸セットとを束ねるために第1層と第2層との間に織り交ぜられる複数のバインダー糸と、 (iv)複数の横方向糸にして、前記複数の横方向糸のいくつかが第1伸長糸セット間において前記布を横切る実質的に横方向に延び、かつ前記複数の横方向糸の他の横方向糸が第2伸長糸セット間において前記布を横切る実質的に横方向に延びる複数の横方向糸とを備え、 前記複数のバインダー糸の少なくとも1本は、第1層の横方向糸の組と第2層の横方向糸の組とを織り交ぜ、 前記複数のバインダー糸の少なくとも1本は、複数の第1区域各々が前記横方向糸の組の一つを含むように前記複数の第1区域に沿って第1層を出てかつ第1層に再度入り、 前記複数のバインダー糸の少なくとも1本は、複数の第2区域各々が前記横方向糸の組の別の一つを含むように前記複数の第2区域に沿って第2層を出てかつ第2層に再度入り、 前記伸長糸は、バインダー糸の収縮特性よりも大きい収縮特性を有し、バインダー糸は、伸長糸の引張強度よりも大きい引張強度を有する布。前記布が熱処理された後で負荷がかかった時、前記布の長さは、布の非展開長さに対しほぼ100%まで伸長することができる請求項1の布。実質的に縦方向に延びかつ互いに織り交ぜられた伸長糸の一つ又は複数の追加の層を更に備え、前記伸長糸の一つ又は複数の追加の層は、第1層と第2層との間に配置される請求項1の布。前記第1及び第2伸長糸セットは部分延伸糸である請求項1の布。前記バインダー糸の長さは、前記第1及び第2伸長糸セットの元々の長さよりも長い請求項1の布。前記複数のバインダー糸の織りインは、第1及び第2伸長糸セットの織りインよりも大きい請求項1の布。前記布はほぼ平坦である請求項1の布。前記布の長さは、熱処理時に少なくともほぼ40%、収縮する請求項1の布。布であって、 (i)実質的に縦方向に延びる第1伸長糸セットを含む第1層にして、第1伸長糸セットの伸長糸が互いに織り交ぜられる第1層と、 (ii)実質的に縦方向に延びる第2伸長糸セットを含む第2層にして、第2伸長糸セットの伸長糸が互いに織り交ぜられる第2層と、 (iii)複数のバインダー糸にして、該複数のバインダー糸の少なくとも1本が、前記第1層を前記第2層に留めるために前記布の長さに沿う種々の地点で第1層と第2層との間に織り交ぜられる複数のバインダー糸と、 (iv)前記第1及び第2層各々の間に前記布を横切る実質的に横方向に延びる複数の横方向糸とを備え、 前記複数のバインダー糸の少なくとも1本は、第1層の横方向糸の群と第2層の横方向糸の群とを織り交ぜ、 前記複数のバインダー糸の少なくとも1本は、複数の第1バンド各々が前記横方向糸の群の一つを含むように前記複数の第1バンドに沿って第1層を出てかつ第1層に再度入り、 前記複数のバインダー糸の少なくとも1本は、複数の第2バンド各々が前記横方向糸の群の別の一つを含むように前記複数の第2バンドに沿って第2層を出てかつ第2層に再度入り、 前記伸長糸は、バインダー糸の収縮特性よりも大きい収縮特性を有し、バインダー糸は、伸長糸の引張強度よりも大きい引張強度を有し、 前記バインダー糸は前記伸長糸よりも長い布。前記布が熱処理された後、前記布の長さは、負荷がかかった時、ほぼ100%まで伸長することができる請求項9の布。連続する第1バンド間の間隔及び連続する第2バンド間の間隔はそれぞれ、前記布が熱処理される際、少なくともほぼ40%、長さが収縮するように構成される請求項9の布。前記第1及び第2バンドに沿って、前記バインダー糸は、伸長糸を囲み、伸長糸の保護を支援する請求項9の布。前記布はほぼ平坦である請求項9の布。実質的に縦方向に延びかつ互いに織り交ぜられた伸長糸の少なくとも第3層を更に備える請求項9の布。前記複数の第1バンド各々は前記第1層の幅を横切って延び、前記複数の第2バンド各々は前記第2層の幅を横切って延びる請求項9の布。布を織る方法であって、 (i)第1伸長糸セットを実質的に縦方向に互いに織り交ぜて、前記布の第1層を形成し、 (ii)第2伸長糸セットを実質的に縦方向に互いに織り交ぜて、前記布の第2層を形成し、 (iii)前記複数の横方向糸のいくつかが第1伸長糸セット間に織り交ざり、かつ前記複数の横方向糸の他の横方向糸が第2伸長糸セット間に織り交ざるように前記複数の横方向糸を前記布を横切る実質的に横方向に織り交ぜ、 (iv)少なくとも1本のバインダー糸が複数の第1区域に沿って第1層を出てかつ第1層に再度入るように前記少なくとも1本のバインダー糸を前記布の長さに沿って第1層と第2層との間に織り交ぜて第1層を第2層に留め、 前記第1区域各々は横方向糸の群を含み、前記少なくとも1本のバインダー糸は、複数の第2区域に沿って第2層を出てかつ第2層に再度入り、 前記第2区域各々は横方向糸の別の群を含む方法。前記第1層に沿う連続する第1区域間の間隔が少なくともほぼ40%、長さが収縮するように前記布を熱処理することを更に含む請求項16の方法。前記第2層に沿う連続する第2区域間の間隔が少なくともほぼ40%、長さが収縮するように前記布を熱処理することを更に含む請求項17の方法。

说明书全文

関連出願 本出願は、2013年3月14日付け出願の米国出願第13/828,367号、タイトル「エネルギー吸収布及びその製造方法」に対する優先権を主張し、また、継続中である2010年8月12日付け出願の米国出願第12/855,341号、タイトル「引き込み式エネルギー吸収帯ひも及びその製造方法」に関連する。これら両出願の内容は参照によりここに組み込まれる。

発明の分野 実施形態はエネルギー吸収布に関する。

床あるいは他の相対的に低い面の上方の高い位置にいる人々には、落下し負傷する危険がある。例えば、足場上等の高い位置にいることが要求される仕事を持つ作業者及び他の人員には、落下し負傷する危険がある。安全ハーネスが、人の落下を止め、損傷を防止又は低減するために装着される。

安全ハーネスは、一般に、使用者が装着するハーネス部と、ハーネス部から伸びるつなぎ綱もしくはランヤードとを有する。ランヤードは、ハーネス部を安全な構造体に連結する。ある人が高い位置から落ちた場合、安全ハーネスは、その人の落下を止め、この時、ランヤードは真っ直ぐになる。

シートベルトシステムにおける負荷リミッターは、突然の停止又は衝突が起きた場合に、障害の危険を減らすべく車両の乗員を締め付けるために装着され得る。もし人が車両の突然の停止のために慣性を受けた場合、負荷リミッターは、その人の前方への動きを制限し、この時、負荷リミッターは真っ直ぐになる。

ある落下防止用途に引き込み式ランヤード装置が使用される。また、引き込み式負荷リミッターが、あるシートベルトシステムに使用される。引き込み式ランヤード装置は、一般に、レトラクター内に受け入れ可能な平たい帯ひもから成る。既存の引き込み式ランヤード装置は、(帯ひもが帯ひもの範囲外へと更に進展することを防ぐことにより)落下を止めるため、又は(金属を変形させることにより)エネルギーを消散させるため、レトラクター内に機械的装置を有する。しかしながら、典型的な引き込み式ランヤード装置では、人の動きがやや急に止められ、人は急な停止の衝撃を受ける。更に、既存の引き込み式ランヤード装置は、嵩張り、重たく、かつ高価である。

人の落下の衝撃を吸収することを試みるランヤードは知られている。しかしながら、そのようなランヤードは、エネルギーが吸収される際に延びるアコーディオンタイプ区域を一つにまとめる。これらのまとめられた区域は、レトラクターにおいてエネルギー吸収帯ひもの使用を妨げる。これは、レトラクターが平たい帯ひもを使用を要求するからである。

この特許に使用される用語「発明」、「該発明」、「この発明」及び「本発明」は、 この特許及び下記の特許請求の範囲の主題のすべてを広く意味することが企図される。これらの用語を含む記述は、ここの記載された主題を制限したり、又は下記の特許請求の範囲の意味を限定するように理解されるべきではない。この特許によってカバーされる本発明の実施形態は、この概要ではなく、下記の特許請求の範囲により定義される。この概要は、本発明の種々の側面の高レベルの概要であり、下記の詳細な説明区域で更に記述されるコンセプトのいくつかを紹介する。この概要は、特許を請求した主題のキー又は本質的特徴を特定することを企図せず、また、特許を請求した主題の範囲を決定するために単独で使用されることも企図しない。主題は、この特許の明細書、全図面及び各請求項の全体を参照することにより理解されるべきある。

本発明のある実施形態は、エネルギー吸収布及びランヤード、及びそれらの製造方法におおむね関連する。更に詳しくは、本発明のいくつかの実施形態は、エネルギー吸収布に関連し、該エネルギー吸収布は、ほぼ平坦であり、そのためレトラクター内に受け入れ可能である。また、該エネルギー吸収布は、負荷がかかった時、十分に伸長することができる(ある実施形態において、ほぼ100%の伸長又はそれ以上まで)。

当業者に向けられる特許請求の範囲を実施するベストモードを含むすべての権利付与開示がより詳細に明細書の残りの部分に記載される。該明細書は、以下の添付図面を参照する。異なる特徴における同じ参照番号は、同じ又は類似の構成要素を例示することが企図される。

図1は、一実施形態に従うエネルギー吸収布の織りパターンであり、該布は熱処理前にて示される。

図2は、図1のエネルギー吸収布の織りパターンであり、該布は熱処理後にて示される。

図3は、本発明の一実施形態に従う図1のエネルギー吸収布の織りパターンのピックダイアグラムである。

図4は、一実施形態に従うエネルギー吸収布を形成するのに使用され得る種々の連続的プロセスを例示する図である。

図5は、別の実施形態に従うエネルギー吸収布の織りパターンであり、該布が熱処理される前にて示される。

図6は、本発明の一実施形態に従う図5のエネルギー吸収布の織りパターンのピックダイアグラムである。

図7は、別の実施形態に従うエネルギー吸収布の織りパターンであり、該布が熱処理前にて示される。

図8は、本発明の一実施形態に従う図7のエネルギー吸収布の織りパターンのピックダイアグラムである。

図9は、布が落下イベントに関連する荷重を受けた際の、種々の実施形態に従う布のエネルギー吸収を示すグラフの例示である。

図10は、布が落下イベントに関連する荷重を受けた際の、種々の実施形態に従う布のエネルギー吸収を示すグラフの例示である。

図11は、一実施形態に従うエネルギー吸収布と共に使用されるレトラクターの斜視図である。

図12は、一実施形態に従うエネルギー吸収布の斜視図であり、熱処理前にて示される。

図13は、一実施形態に従うエネルギー吸収布の斜視図であり、熱処理後にて示される。

本発明の実施形態の主題は、法定要件を満たすために特異性を持ってここに記述されるが、この記述は、特許請求の範囲を制限することを必ずしも企図しない。要求される主題は、他のやり方で具現化され得、異なる要素又は工程を含み得、また、他の既存の又は未来の技術と共に使用され得る。この記述は、個々の工程の順番又は要素の配列が明示的に記述される場合を除き、種々の工程又は要素間における何らかの特定の順序又は配列を暗示すると解釈されるべきではない。

ある実施形態は布10を提供する。布10は、負荷がかかった時、それらの非展開長さのほぼ100%又はそれ以上まで長さが伸長することができる布10を提供する。ある実施形態において、該布は、ほぼ平坦であり、そのため、図11に示すレトラクター12等のレトラクターでの使用に適する。

図1及び2に示す布10は二層構造であるが、この発明の布は、いかなる適切な数の層をも有し得る(例えば、図5は三層構造を例示し、また、図7は四層構造を例示する。)。図1は布10が熱処理される前の布10の織りパターンを例示し、図2は布10が熱処理された後の布10の織りパターンを例示する。

布10は、第1層14及び第2層16を含む。第1層14は、伸長糸18、20を共に織り交ぜることにより形成される。伸長糸18、20は、実質的に縦方向に布に沿って伸びる。同様に、第2層16は、布伸長糸24、26によって共に形成される。伸長糸24、26は、実質的に縦方向に布に沿って伸びる。

横方向糸22(「横糸」又は「ピック糸」とも呼ばれる)は、布10の幅を横切って実質的に横方向に織られ、これにより、伸長糸18、20を第1層14に沿って留め、また、伸長糸24、26を第2層16に沿って留め、布10を横方向に横切る。ある実施形態において、横方向糸22は、ほぼ1,000デニールポリエステル糸である。他の実施形態において、横方向糸22は、産業繊維ポリエステル、ナイロン、ノーメックス(登録商標)、ケブラー(登録商標)、又は任意の他の適切な糸である。

バインダー糸28は、第1層14の伸長糸18、20と、第2層16の伸長糸24、26との間を織り交ぜ、該二層14、16を共に留める。ある実施形態において、図1及び2に示すように、バインダー糸28の少なくとも一本は、交互織りパターンで第1層14から第2層16へ及び第2層16から第1層14へと移行する。これは、例えば、バインダー糸28の前記少なくとも一本が、横方向糸22の群、例えば横方向糸22の群23間において第1及び第2層14、16から移行するようにされる。横方向糸22の組を含むように群23は図1に例示されるが、群23は、任意の適切な数の横方向糸(一本又は複数本の横方向糸)を含み得る。その数は、布10の長さにわたって変わり得る。

更に、バインダー糸28は、布10の種々の部分に沿って層14、16を出て再び入る。特に、図1を参照して、布10は、バインダー糸28が第1層14を出て第1層14に再度入る間の布10の区域に対応する複数の第1部分50を含む。この特定の実施形態において、各第1部分50は、一組の横方向糸22(群23)を含むが、より多い又は少ない横方向糸が各第1部分に含まれ得る。布10はまた、バインダー糸28が第2層16を出て第2層16に再度入る間の布10の区域に対応する複数の第2部分52を含む。この特定の実施形態において、各第2部分52は、一組の横方向糸22(群23)を含むが、より多い又は少ない横方向糸が各第2部分に含まれ得る。第3部分54は、第1部分50と第2部分52との間に延びる。図1及び2の実施形態において、第3部分54に沿う第1層14又は第2層16には横方向糸22が存在しない。ある実施形態において、連続する第1部分50間の第1層14に横方向糸22は存在せず、また、連続する第2部分52間の第2層16に横方向糸22は存在しない。

ある実施形態において、バインダー糸28は、ナイロン、ポリエステル、ケブラー(登録商標)、ダイニーマ(登録商標)、又は任意の他の高弾性高靱性糸、又は、(伸長糸と比べて)比較的高強度であり、かつ、熱処理中、縮まないか又は伸長糸18、20、24及び26よりも縮みが実質的に少ない他の適切な材料である。例えば、ある実施形態において、バインダー糸28は、少なくとも5,000ポンド引張強度の強さを有する。他の実施形態において、バインダー糸は、5,400ポンドよりも大きい名目破壊強さを有し、ある実施形態において、6,000ポンドを超える名目破壊強さを有し、これは、29C.F.R.1926.104(d)(2008)、米国規格協会(「ANSI」)Z335.1、カナダ規格Z259.1.1クラス1A及び1B、欧州規格BS EN355:2002、及び、オーストラリア規格AN/NZS1891.1.1995に従う。

伸長糸18、20、24及び26は、引っ張り荷重下に置かれた際、著しく伸長する高伸長性糸である。上述したように、ある実施形態において、伸長糸は、負荷/所定張力を受けた際、(熱処理後でさえ)それらの非展開長さの少なくともほぼ100%まで伸長することができるように織られる。伸長時において、伸長糸18、20、24及び26は、負荷の下で布にかかる力又はエネルギーのいくらかを吸収することにより、布10のエネルギー吸収部材としての役割を果たす。一実施形態において、伸長糸18、20、24及び26は、ポリエステル等のポリマー材料から成る部分延伸糸(POY)である。しかし、伸長糸18、20、24及び26は、高伸長特性と、例えば熱処理中にバインダー糸よりも実質的に長さが縮むことができる性能とを有する一つ又は複数の適切な材料から成り得る。ある実施形態において、各伸長糸は、ほぼ300デニールとほぼ5、580デニールとの間の線密度を有する。

エネルギー吸収部材として機能する伸長糸18、20、24及び26の重要な特性は、高い伸長性、高い収縮性、及び高い縮み力(収縮中に作り出される力)のうちのいくつか又はすべてを含む。伸長糸18、20、24及び26は、例えば、建物からの落下、パラシュート展開、又は、自動車もしくは航空機もしくは他の車両の事故又は爆発による衝撃等によってもたらされる突然の減速状態における人又は他の物体への衝撃を低減するため、負荷下において負荷エネルギーを吸収する十分高い伸長性及び荷重耐性を有するべきである。ある実施形態において、布は、運動エネルギーの消散が要求される場での使用に適用される。

ある実施形態において、図1に示されるバインダー糸28は、布10が熱処理される前において伸長糸18、20、24及び26よりも長い。ある非限定的実施形態において、バインダー糸28は、伸長糸よりもほぼ40%長いが、これは他の実施形態において変わり得る。布10が熱処理される際、伸長糸18、20、24及び26は、バインダー糸28よりも一層縮む。これは、バインダー糸28が熱処理時に収縮しないからである。層14、16間に十分な間隔があるので、バインダー糸28は、布10が熱処理される前において、伸長糸18、20、24及び26に比べ長さがより長くなり得る。

ここに記述した布は、ニードル織機等、任意の望ましいプログラム可能な織機で形成され得る。上述したように、布10は、伸長糸18、20、24及び26、バインダー糸28、及び横方向糸22を含む。図3は、布10に対するピックダイアグラム(チェーンダイアグラム又はカムドラフトとしても知られている。)である。平軸線に沿う正方向は、横方向糸22の織り路/スロー(投入)を表す。垂直軸線は、種々の縦糸(例えばバインダー糸28)又はラベル付けされた縦糸(例えば伸長糸18、20、24及び26)の群に対応する。図3のピックダイアグラムは、8ハーネス織機を示す。正方形が網掛けの場合、それは、その正方形に対応するハーネスが持ち上げられ、横方向糸22が織機を横切って投入されることを示す。

一実施形態において、布10は、図2に表されるように伸長糸18、20、24及び26の長さを縮めるために熱処理される。布10が熱処理されると、伸長糸18、20、24及び26の長さが収縮し、他方、バインダー糸28は縮まず、結果的に、バインダー糸28の織りインよりも一層大きい伸長糸18、20、24及び26の織りインをもたらす。ここで、織りインは、1本の糸がそれが織り込まれる布よりも長い割合を意味する。

図1を参照して、距離30は、布10が熱処理される前における布の一方の層に沿う、第1の群23の最後の横方向糸22と第2の連続した群23の第1の横方向糸22との間の間隔に対応する。この特定の伸長を持つこの特定の実施形態において、距離30は、距離32のほぼ2倍であり、距離32は、布10が熱処理された後(図2)における、布の同じ層に沿う、第1の群23の同じ最後の横方向糸22と、第2の連続した群23の同じ第1の横方向糸22との間の間隔に対応する。ある場合において、距離30は、一般に(必ずしも正確ではないが)、布10が熱処理される前における布の第1層14に沿う二つの連続する第1区域50間の間隔に対応し、また、該布の第2層16に沿う二つの連続する第2区域52間の間隔に対応する。その一方、距離32は、一般に(必ずしも正確ではないが)、布10が熱処理された後(図2)における布の第1層に沿う二つの連続する第1区域50間の間隔に対応し、また、該布の第2層に沿う二つの連続する第2区域52間の間隔に対応する。布の異なる伸長がターゲットとされる場合、後述するように距離30及び32間の比が変化し得る。

伸長糸18、20、24及び26はほぼ50%又はそれ以上程度縮むことを許容されるので、熱処理後の布10は、負荷がかかった際、著しく伸長することができる。言及したように、ある実施形態において、布10は、負荷がかかった時、その非展開長さの少なくとも100%の伸長まで到達することができる。第1、第2及び第3区域の長さ及び連続する第1区域間及び連続する第2区域間の間隔を含むがそれに限定されない伸長糸18、20、24及び26とバインダー糸28の織りパターンは、伸長糸の望ましい収縮(これは布10の伸長量を決定する)に応じて変化し得る。

ある実施形態において、バインダー糸28は、約40%の織りインを持って始まり、これは、バインダー糸28の長さは、熱処理前において布10の長さ及び伸長糸18、20、24及び26の長さよりもほぼ40%長いようになる。ある実施形態において、伸長糸は、ほぼ5%等の比較的小さい織りインを有する。この織りイン割合により、布10は、ほぼ30%又はそれ以上に伸長可能である。他の実施形態において、織りイン割合は、望ましい伸長量に応じて変化する。一般に、より小さい最大伸長がターゲットとされる場合、バインダー糸の要求される織りインもより小さくなるであろう。より大きい最大伸長がターゲットとされる場合、バインダー糸の織りインはより大きくなるであろう。

一実施形態において、布10が熱処理を受けた後、伸長糸18、20、24及び26の長さ及び布10の長さは、少なくともほぼ50%縮み、その一方、バインダー糸28は、最小の収縮よりも大きくは縮まない。そのため、この実施形態において、伸長糸18、20、24及び26は、約10%織りインへとわずかに増長し(布10の一般的な収縮のため)、他方、バインダー糸28は、約90%又はそれ以上の織りインを有する。このように、伸長糸18、20、24及び26とバインダー糸28との相対的長さは、熱処理時に自動的に調整される。一実施形態において、布10は、伸長糸18、20、24及び26の収縮が制御されるような態様で熱処理される。

ある実施形態において、伸長糸18、20、24及び26に対するバインダー糸の織りパターン(より詳しくは、布の層14、16からバインダー糸28が出て再び入ること)のため、布10は切断及び摩耗抵抗を高める。これは、バインダー糸28が、伸長糸18、20、24及び26に比べ付加的なテナシティーを持つ強度部材としての役割を果たすためである。これの一部の原因は、バインダー糸28が層から出て、布10の長さに沿う種々の地点において布10の幅Wにわたって伸長糸18、20の周り及び伸長糸24、26の周りにバンド56(図12及び13参照)を本質的に形成するためである。伸長糸の周りのバインダー糸28のバンド56は、伸長糸の保護を支援する。ある実施形態において、バンドは、第1及び第2部分50、52(図1)に対応する。第1及び第2部分50、52に沿って、バインダー糸28は第1及び第2層14、16それぞれの外部にある(従って、伸長糸18、20及び24、26それぞれの外部にある。)。

布10が熱処理された後、第1又は第2層14、16のいずれかに沿う二つの連続するバンド56間の間隔は縮み、これは、バンド56が、熱処理前より熱処理後の方が互いに近付くためである。図12及び13を参照して、熱処理前(図12)における布10の上層14に沿う二つの連続するバンド56間の間隔30は、熱処理後(図13)における布10の第1層14に沿う二つの連続するバンド56間の間隔32よりも大きい。

ある実施形態において、布10の一端部は、クリップ11、金属留め金、ハーネス、又はシートベルト構成部品等のハードウエア構成部品に取り付けられ、他方、布10の他端部は、レトラクター12(図11に示す)内に位置付けられる。レトラクター12は安定構造に固定される。ある実施形態において、布10の一端部は、例えば自動車又は他の車両で使用するチャイルドシートに対する取り付けのために、ハーネス及び/又はクリップに取り付けられる。

ある実施形態において、布10は、突然の停止、又は人もしくは他の物体の急な減速が生じ得る任意の他の用途からもたらされ得る有害な運動から車両の乗員を守るために減速装置として使用される。該布を落下保護装置として使用する場合、布10の一端部は、ユーザが装着した安全ハーネスに確実に取り付けられる。布10の反対側端部は、固定構造にしっかりと取り付けられる。もしユーザが落下したら、布10は、その人の落下を止め、その人が感じる衝撃を低減し、ユーザは制御された減速状態に至る。人が落下する際、布10は真っ直ぐになり、ユーザの荷重が布10にかかる。伸長糸18、20、24及び26は伸びて、布10にかかる荷重の力を吸収する。伸長糸18、20、24及び26が伸びるにつれ、布10は伸長する。布がレトラクターと共に使用される実施形態において、一旦布10がレトラクター12に引っ込んだら、布10は、人が更に落下するのを止める。落下中の人がそうでなければ感じるであろう落下を止める衝撃が、エネルギー吸収伸長糸18、20、24及び26により低減され又は和らげられる。

ある実施形態において、布10は、布が展開したか否かを表示する機能(換言すれば、荷重の力を吸収するために伸長糸が伸長したような落下イベントで使用される)を含む。そのような機能の一つの非限定的例は、布10の少なくとも一部に沿って接着剤で付けられるか又は他の方法で付着されもしくは貼られるラベル又は他の識別子である。一旦布10が展開したら、接着剤又は他の粘着剤が破断し、ラベルが破壊される。これにより、布が展開したことを表し、布は再使用されるべきではない。

図4は、布10を形成するために使用される一つの非限定的な連続的プロセスを例示する。特に、伸長糸18、20、24及び26とバインダー糸28はクリール34に格納され、適切な織機36に供給される。種々の糸が織機36で布10へと織られた後、布10は、熱処理装置38による熱処理を受け、布10の(長さ)伸長糸の長さを低減する。熱処理装置38は、第1ローラセット40、第2ローラセット42、及び、第1及び第2ローラセット間に配置される熱源とを含む。随意的に、該装置はまた、二つのローラセット間における供給速度及び/又は熱源の温度を制御及び/又は監視する制御部及び/又はモニターを含み得る。ある場合において、箱44、46の一方又は両方に積み重ねられた布が格納される。布10は乾燥装置48で乾燥にかけられ得る。

一実施形態において、布10は、第1ローラセット40を通じて熱源に供給され、第2ローラセット42を熱源外部に送られる。ある実施形態において、伸長糸18、20、24及び26の収縮量は、第1ローラセット40の速度と第2ローラセット42の速度の違いを変えることにより制御される。この速度の違いは、ローラの供給比とここでは呼ばれ、完成品の望ましい伸長特性に応じて変えることができる。

一実施形態において、布10が第1ローラセット40を通じて供給される速度は、布10が第2ローラセット42を通じて供給される速度よりも大きい。例えば、一実施形態において、第1ローラセット40に関連する供給速度は、ほぼ1ヤード/分であるのに対し、第2ローラセット42に関連する供給速度は、ほぼ0.5ヤード/分であるであり、2:1の供給比であるが、望ましい伸長量に応じて他の適切な供給比も使用され得る。布10が、熱源に入る速度のほぼ50%の速度で熱源を出るので、布10は、熱源による熱処理中、2:1以上の供給比を被る。このように伸長糸18、20、24及び26は、第1ローラセットと第2ローラセットとの間で緊張状態に留まり、ほぼ50%縮むことが許容される。他方、他の材料(バインダー糸28等)は、伸長糸収縮の力により寄せ集められ、これが90%以上の織りイン及び50%又は他の適切な割合の長さの短縮をもたらす。熱に晒される際、伸長糸18、20、24及び26が縮むため、バインダー糸28は最小収縮よりも大きくは縮まない一方、熱処理プロセスは、伸長糸及びバインダー糸の相対長さを調整する。ある実施形態において、布10は、約220°Fの温度での熱処理にほぼ5分未満晒される。

布10の伸長糸18、20、24及び26の数は、布10を伸長するのに必要な力を調整するために変えられ得る。同様に、織りパターンが、布10の伸長糸18、20、24及び26の収縮量、又は、伸長糸18、20、24及び26と布10のバインダー糸28との長さの相対的違いを変更するために上述したように調整され得る。上述したように、伸長糸とバインダー糸との長さの差は、糸の織りインの違いによってもたらされる。従って、糸の織りインの違いが、布10の望ましい伸長に応じて変更され得る。同様に、第1ローラセット40と第2ローラセット42との間の供給比は、布10を伸長するのに要求される力、及び布10の伸長間隔を調整するために変えられ得る。加えて、布10に加えられる熱の継続時間及び量も、布10を伸長するのに必要な力及び布10の伸長距離を調整するために変更され得る。これは、ユーザ及び/又は用途のニーズに応じて布10の特性が調整されることを可能にする。上述したように、織りパターンは、布10の伸長間隔を変えるために他の方法で調整可能である。該他の方法は、例えば、連続する第1区域50と連続する第2区域52との間隔(そのため、一般に、バンド56間の間隔)、第1及び第2区域50、52に含まれる横方向糸22の面積及び/又は数を変えることによる。更には、布の厚さが変更され得る(例えば、後述するように追加の層を付加したり、層間により多くの空間を加えることにより、厚さを増長する等)。

更に、布に存在する伸長糸の層の数も変えることができる。図5〜6は、(熱処理前の)布100の代替的実施形態を示す。布100は、三層構造である点を除き布10に類似する。特に、布100は、第1層114、第2層115及び第3層116を含む。伸長糸118及び120は、布100の第1層114に沿って実質的に縦方向に延び、伸長糸122及び124は、布100の第2層115に沿って実質的に縦方向に延び、また、伸長糸126及び128は、布100の第3層116に沿って実質的に縦方向に延びる。横方向糸130は、布100の幅に沿って実質的に横方向に延び、伸長糸を相互に留める。バインダー糸132は、上述したように三つの層すべてにわたって伸長糸118、120、122、124、126、128を共に織り交ぜるために実質的に縦方向に延びる。

図7及び8は、布200(熱処理前)の代替的実施形態を示す。布200は、四つの層を有する四層構造である点を除き、既述した布10、100に類似する。

伸長糸を収縮するために種々の熱処理プロセスが使用され得る。例えば、連続オーブンが一列に並んだ連続加熱法で使用され得る。布10、100及び200が連続的に編まれ、熱処理のために連続オーブン内に供給され得る。熱処理の別の例は、個々の布が熱処理されるバッチプロセスである。

布10、100及び200の織りパターンは、例えば、布10がほぼ平坦であり、レトラクターでの使用に適するようにされる。布10、100及び200が間隔30に沿って比較的大きく縮むことができるので、布10、100及び200の伸長性能は、従前のほほフラットな布に比べ著しく高い。布10、100及び200の伸長性能が従前のほぼフラットな布よりも著しく高いので、布10、100、及び200は、格段に高いエネルギー吸収性能を有し(垂直軸線に沿う拘束力(lbf単位)及び水平軸線に沿う時間(ms単位)を示す図9及び10のグラフによって例示されるように)、そのため、布10、100、及び200は、他の従前のほぼ平坦な布が、例えば、限定はしないが、落下保護装置、ブラスト減衰装置、負荷リミッター等ではなかった用途に適する。図9は、220ポンド重及び6フィート自由落下を表し、拘束力を約800lbfに保持しつつエネルギーが吸収されることを示す。図10は、282ポンド重及び6フィート自由落下を表し、拘束力を約1110lbf未満に保持しつつエネルギーが吸収されることを示す。自動車用シートベルトにおいて、例えば、拘束力は約900lbfであり、展開距離は約6インチである。

非限定的な一実施形態として、布は、落下する人間を3.5フィート以内に止めるように設計される。これは、29C.F.R.1926.104(d)(2008)に適合する。この実施形態において、布は、約6フィートの直ぐに使える長さに仕上げられる。熱処理前において、この布の伸長糸はほぼ9フィートの長さを有し、他方、バインダー糸はほぼ12.6フィートの長さを有する。熱処理後、伸長糸は、低減した約6フィートの長さを有するが、バインダー糸は、本質的に12.6フィートのそれらの長さを保つ。布の使用中、伸長糸は約6フィートから9フィートに伸びる。布が最大9.5フィート長に達した時、布10は、人の落下を止める。伸長糸は、落下のエネルギーを吸収し、布が落下を止めた時の人に対する突然の衝撃を低減する。

他の実施形態において、布は、約4フィートのすぐに使用できる長さに仕上げられる。約4フィートのすぐに使用できる長さを有する一実施形態において、バインダー糸に対する伸長糸の割合は、上述のものとほぼ同じである。しかしながら、伸長糸に対するバインダー糸の比率は、用途に応じて変化し得る。例えば、伸長糸に対するより多くのバインダー糸がより高い強度用途に要求され得る。また、バインダー糸に対するより多くの伸長糸が、より大きい展開力が必要な場合に要求され得る。

本発明の別の実施形態において、布は、落下する人を11.75フィート以内に止めるように構成される。しかしながら、布は、本発明に従っていかなる望ましい長さにも作成可能である。

本発明の布は、布構造を形成するように織られる、合成材料糸を含むがこれに限定されないいかなる適切な材料からも作成可能である。

ここに既述した目下好ましい実施形態に対する種々の変更及び変形は、当業者には明かであろう。そのような変更及び変形は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、かつその企図する利点を低減することなくなされ得る。そのため、そのような変更及び変形は特許請求の範囲によってカバーされることが企図される。

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