糸製造装置及び凝集部

申请号 JP2015528036 申请日 2013-07-22 公开(公告)号 JP5943150B2 公开(公告)日 2016-06-29
申请人 村田機械株式会社; 发明人 高嶌 弘樹;
摘要
权利要求

カーボンナノチューブ繊維群を走行させつつ当該カーボンナノチューブ繊維群からカーボンナノチューブ糸を製造する糸製造装置であって、 前記カーボンナノチューブ繊維群を凝集させる凝集部と、 前記凝集部によって凝集させられた前記カーボンナノチューブ繊維群に撚りを掛ける撚掛部と、を備え、 前記凝集部は、前記カーボンナノチューブ繊維群の凝集状態を調整する調整機構を有する、糸製造装置。前記凝集部は、前記カーボンナノチューブ繊維群にその走行方向に垂直な方向にを作用させつつ前記カーボンナノチューブ繊維群を凝集させる、請求項1記載の糸製造装置。前記凝集部は、通過孔に対して前記カーボンナノチューブ繊維群を接触させつつ通過させることにより、前記カーボンナノチューブ繊維群に前記力を作用させつつ前記カーボンナノチューブ繊維群を凝集させる、請求項2記載の糸製造装置。前記凝集部は、前記通過孔を形成する複数の組立部材を有し、 前記調整機構は、前記組立部材の位置関係を調整して前記通過孔の開口面積を調整することにより、前記カーボンナノチューブ繊維群の前記凝集状態を調整する、請求項3記載の糸製造装置。前記凝集部は、前記組立部材として、前記通過孔を画定する第1切欠き及び第2切欠きがそれぞれ設けられた第1板状部材及び第2板状部材を有し、 前記調整機構は、前記第1板状部材及び前記第2板状部材の少なくとも一方を移動させて前記第1切欠きと前記第2切欠きとの重なり状態を調整することにより、前記通過孔の前記開口面積を調整する、請求項4記載の糸製造装置。前記凝集部は、前記組立部材として、前記通過孔を画定する複数のワイヤ、及び前記ワイヤの端部をそれぞれ保持する複数の保持片を有し、 前記調整機構は、前記保持片のそれぞれを搖動させて前記ワイヤ同士の重なり状態を調整することにより、前記通過孔の前記開口面積を調整する、請求項4記載の糸製造装置。前記凝集部と前記撚掛部との間を走行する前記カーボンナノチューブ繊維群に作用して、前記撚掛部によって撚りが掛けられる前記カーボンナノチューブ繊維群にテンションを付与するテンション付与部を更に備える、請求項1〜6のいずれか一項記載の糸製造装置。前記テンション付与部は、前記カーボンナノチューブ繊維群に空気を噴射することにより、前記カーボンナノチューブ繊維群にその走行方向とは逆方向に力を作用させる空気式のテンション付与機構である、請求項7記載の糸製造装置。前記テンション付与部は、互い違いに配置された櫛歯状の接触部を用いて前記カーボンナノチューブ繊維群を屈曲させることにより、前記カーボンナノチューブ繊維群の走行に対して抵抗力を作用させるゲート式のテンション付与機構である、請求項7記載の糸製造装置。前記凝集部と前記撚掛部との間に配置され、走行する前記カーボンナノチューブ繊維群を凝集させる追加凝集部を更に備える、請求項1〜9のいずれか一項記載の糸製造装置。前記カーボンナノチューブ繊維群が引き出されるカーボンナノチューブ形成基板を支持する基板支持部を更に備える、請求項1〜10のいずれか一項記載の糸製造装置。前記撚掛部は、 巻取管が取り付けられた巻取軸をその巻取中心線周りに回転させることにより、前記巻取管に前記カーボンナノチューブ糸を巻き取る巻取駆動機構と、 前記カーボンナノチューブ糸を前記巻取管に案内するガイド部を前記巻取管の周りにおいて回転させることにより、前記カーボンナノチューブ繊維群乃至前記カーボンナノチューブ糸を旋回させつつ、前記カーボンナノチューブ繊維群に撚りを掛けて前記カーボンナノチューブ糸を製造する撚掛駆動機構と、 前記巻取管に対して前記ガイド部を前記巻取軸の前記巻取中心線に沿って相対的に往復移動させることにより、前記巻取管において前記カーボンナノチューブ糸をトラバースさせるトラバース駆動機構と、を有する、請求項1〜11のいずれか一項記載の糸製造装置。カーボンナノチューブ繊維群を走行させつつ当該カーボンナノチューブ繊維群からカーボンナノチューブ糸を製造する糸製造装置において、前記カーボンナノチューブ繊維群を凝集させる凝集部であって、 前記カーボンナノチューブ繊維群の凝集状態を調整する調整機構を有する、凝集部。前記カーボンナノチューブ繊維群にその走行方向に垂直な方向に力を作用させつつ前記カーボンナノチューブ繊維群を凝集させる、請求項13記載の凝集部。通過孔に対して前記カーボンナノチューブ繊維群を接触させつつ通過させることにより、前記カーボンナノチューブ繊維群に前記力を作用させつつ前記カーボンナノチューブ繊維群を凝集させる、請求項14記載の凝集部。前記通過孔を形成する複数の組立部材を更に有し、 前記調整機構は、前記組立部材の位置関係を調整して前記通過孔の開口面積を調整することにより、前記カーボンナノチューブ繊維群の前記凝集状態を調整する、請求項15記載の凝集部。前記組立部材として、前記通過孔を画定する第1切欠き及び第2切欠きがそれぞれ設けられた第1板状部材及び第2板状部材を更に有し、 前記調整機構は、第1板状部材及び第2板状部材の少なくとも一方を移動させて前記第1切欠きと前記第2切欠きとの重なり状態を調整することにより、前記通過孔の前記開口面積を調整する、請求項16記載の凝集部。前記組立部材として、前記通過孔を画定する複数のワイヤ、及び前記ワイヤの端部をそれぞれ保持する複数の保持片を更に有し、 前記調整機構は、前記保持片のそれぞれを搖動させて前記ワイヤ同士の重なり状態を調整することにより、前記通過孔の前記開口面積を調整する、請求項16記載の凝集部。

说明书全文

本発明は、カーボンナノチューブ繊維群を走行させつつ当該カーボンナノチューブ繊維群からカーボンナノチューブ糸を製造する糸製造装置、及びそのような糸製造装置に適用される凝集部に関する。

上述したような糸製造装置として、カーボンナノチューブ形成基板から引き出されたカーボンナノチューブ繊維群を凝集させる挟持手段と、挟持手段によって凝集させられたカーボンナノチューブ繊維群に撚りを掛ける撚掛手段と、を備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。

また、特許文献2(図4)には、懸濁したナノチューブ配列の整列性を作り出す紡糸口金ノズルが開示されている。この紡糸口金ノズルによってナノチューブ懸濁液中の延伸流強度を著しく増加させ、それによりカーボンナノチューブの整列度を増加させている。

特開2010−116632号公報

特許第3954967号

特許文献1記載の糸製造装置においては、カーボンナノチューブ繊維群を凝集させる挟持手段として、一対の回転可能なローラが用いられているため、例えばカーボンナノチューブ形成基板から引き出されたカーボンナノチューブ繊維群の量が変動すると、カーボンナノチューブ繊維群の凝集状態が不安定となり、その結果、製造されたカーボンナノチューブ糸において十分な強度又は外観を得られないおそれがある。また、特許文献2記載の紡糸口金ノズルによって製造されたカーボンナノチューブ糸において十分な強度を得るためには、所望する太さのカーボンナノチューブ糸に応じて、紡糸口金ノズルを都度交換する必要がある。

そこで、本発明は、製造されたカーボンナノチューブ糸において十分な強度を得ることができる糸製造装置、及びそのような糸製造装置に適用される凝集部を提供することを目的とする。

本発明の糸製造装置は、カーボンナノチューブ繊維群を走行させつつ当該カーボンナノチューブ繊維群からカーボンナノチューブ糸を製造する糸製造装置であって、カーボンナノチューブ繊維群を凝集させる凝集部と、凝集部によって凝集させられたカーボンナノチューブ繊維群に撚りを掛ける撚掛部と、を備え、凝集部は、カーボンナノチューブ繊維群の凝集状態を調整する調整機構を有する。

この糸製造装置では、凝集部によってカーボンナノチューブ繊維群が凝集させられる際に、調整機構によってカーボンナノチューブ繊維群の凝集状態が調整される。これにより、例えばカーボンナノチューブ繊維群の量が変動しても、カーボンナノチューブ繊維群を安定して凝集させることが可能となる。そのため、撚掛部においてカーボンナノチューブ繊維群に撚りを掛ける際に、凝集したカーボンナノチューブ繊維群に所望のテンションを作用させることができる。よって、この糸製造装置によれば、製造されたカーボンナノチューブ糸において十分な強度を得ることができる。

本発明の糸製造装置においては、凝集部は、カーボンナノチューブ繊維群にその走行方向に垂直な方向にを作用させつつカーボンナノチューブ繊維群を凝集させてもよい。これによれば、凝集部によってカーボンナノチューブ繊維群が凝集させられる際に、カーボンナノチューブ繊維群にその走行に対する抵抗力が作用することになるため、撚掛部においてカーボンナノチューブ繊維群を高密度で撚ることができる。

本発明の糸製造装置においては、凝集部は、通過孔に対してカーボンナノチューブ繊維群を接触させつつ通過させることにより、カーボンナノチューブ繊維群に力を作用させつつカーボンナノチューブ繊維群を凝集させてもよい。これによれば、カーボンナノチューブ繊維群への抵抗力の作用及びカーボンナノチューブ繊維群の凝集を簡易な構成で実現することができる。

本発明の糸製造装置においては、凝集部は、通過孔を形成する複数の組立部材を有し、調整機構は、組立部材の位置関係を調整して通過孔の開口面積を調整することにより、カーボンナノチューブ繊維群の凝集状態を調整してもよい。これによれば、カーボンナノチューブ繊維群に作用する抵抗力の大きさ及びカーボンナノチューブ繊維群の凝集状態を任意に調整することができる。更に、例えばカーボンナノチューブ繊維群が通過孔に詰まったとしても、組立部材を分離してカーボンナノチューブ繊維群を容易に取り除くことができる。

本発明の糸製造装置においては、凝集部は、組立部材として、通過孔を画定する第1切欠き及び第2切欠きがそれぞれ設けられた第1板状部材及び第2板状部材を有し、調整機構は、第1板状部材及び第2板状部材の少なくとも一方を移動させて第1切欠きと第2切欠きとの重なり状態を調整することにより、通過孔の開口面積を調整してもよい。これによれば、通過孔の開口面積を容易に且つ確実に調整することができる。

本発明の糸製造装置においては、凝集部は、組立部材として、通過孔を画定する複数のワイヤ、及びワイヤの端部をそれぞれ保持する複数の保持片を有し、調整機構は、保持片のそれぞれを搖動させてワイヤ同士の重なり状態を調整することにより、通過孔の開口面積を調整してもよい。これによれば、通過孔の開口面積を容易に且つ確実に調整することができる。

本発明の糸製造装置は、凝集部と撚掛部との間を走行するカーボンナノチューブ繊維群に作用して、撚掛部によって撚りが掛けられるカーボンナノチューブ繊維群にテンションを付与するテンション付与部を更に備えてもよい。これによれば、カーボンナノチューブ繊維群に所望の値のテンションを付与し、撚掛部において、カーボンナノチューブ繊維群をより高密度で撚ることができる。

本発明の糸製造装置においては、テンション付与部は、カーボンナノチューブ繊維群に空気を噴射することにより、カーボンナノチューブ繊維群にその走行方向とは逆方向に力を作用させる空気式のテンション付与機構であってもよい。これによれば、接触によってカーボンナノチューブ繊維群を必要以上に凝集させることなく、カーボンナノチューブ繊維群に好適にテンションを付与することができる。

本発明の糸製造装置においては、テンション付与部は、互い違いに配置された櫛歯状の接触部を用いてカーボンナノチューブ繊維群を屈曲させることにより、カーボンナノチューブ繊維群の走行に対して抵抗力を作用させるゲート式のテンション付与機構であってもよい。これによれば、カーボンナノチューブ繊維群を必要以上に凝集させることなく、カーボンナノチューブ繊維群に好適にテンションを付与することができる。

本発明の糸製造装置は、凝集部と撚掛部との間に配置され、走行するカーボンナノチューブ繊維群を凝集させる追加凝集部を更に備えてもよい。これによれば、カーボンナノチューブ繊維群が段階的に凝集させられるので、カーボンナノチューブ繊維群に無理な力が作用してカーボンナノチューブ繊維群の整列(配列)状態が乱されるのを抑制することができる。

本発明の糸製造装置は、カーボンナノチューブ繊維群が引き出されるカーボンナノチューブ形成基板を支持する基板支持部を更に備えてもよい。これによれば、カーボンナノチューブ繊維群を安定して供給することができる。

本発明の糸製造装置においては、撚掛部は、巻取管が取り付けられた巻取軸をその巻取中心線周りに回転させることにより、巻取管にカーボンナノチューブ糸を巻き取る巻取駆動機構と、カーボンナノチューブ糸を巻取管に案内するガイド部を巻取管の周りにおいて回転させることにより、カーボンナノチューブ繊維群乃至カーボンナノチューブ糸を旋回させつつ、カーボンナノチューブ繊維群に撚りを掛けてカーボンナノチューブ糸を製造する撚掛駆動機構と、巻取管に対してガイド部を巻取軸の巻取中心線に沿って相対的に往復移動させることにより、巻取管においてカーボンナノチューブ糸をトラバースさせるトラバース駆動機構と、を有してもよい。これによれば、カーボンナノチューブ繊維群乃至カーボンナノチューブ糸を旋回させてバルーン(カーボンナノチューブ繊維群乃至カーボンナノチューブ糸が遠心力により風船状に膨らんだ状態)を形成することで、伸縮性が比較的少ないカーボンナノチューブ繊維群に生じるテンション変動をバルーンで好適に吸収しつつ、カーボンナノチューブ繊維群に効率良く撚りを掛けることができる。

本発明の凝集部は、カーボンナノチューブ繊維群を走行させつつ当該カーボンナノチューブ繊維群からカーボンナノチューブ糸を製造する糸製造装置において、カーボンナノチューブ繊維群を凝集させる凝集部であって、カーボンナノチューブ繊維群の凝集状態を調整する調整機構を有する。

本発明の凝集部は、カーボンナノチューブ繊維群にその走行方向に垂直な方向に力を作用させつつカーボンナノチューブ繊維群を凝集させてもよい。

本発明の凝集部は、通過孔に対してカーボンナノチューブ繊維群を接触させつつ通過させることにより、カーボンナノチューブ繊維群に力を作用させつつカーボンナノチューブ繊維群を凝集させてもよい。

本発明の凝集部は、通過孔を形成する複数の組立部材を更に有し、調整機構は、組立部材の位置関係を調整して通過孔の開口面積を調整することにより、カーボンナノチューブ繊維群の凝集状態を調整してもよい。

本発明の凝集部は、組立部材として、通過孔を画定する第1切欠き及び第2切欠きがそれぞれ設けられた第1板状部材及び第2板状部材を更に有し、調整機構は、第1板状部材及び第2板状部材の少なくとも一方を移動させて第1切欠きと第2切欠きとの重なり状態を調整することにより、通過孔の開口面積を調整してもよい。

本発明の凝集部は、組立部材として、通過孔を画定する複数のワイヤ、及びワイヤの端部をそれぞれ保持する複数の保持片を更に有し、調整機構は、保持片のそれぞれを搖動させてワイヤ同士の重なり状態を調整することにより、通過孔の開口面積を調整してもよい。

本発明によれば、製造されたカーボンナノチューブ糸において十分な強度を得ることができる糸製造装置、及びそのような糸製造装置に適用される凝集部を提供することが可能となる。

本発明の一実施形態の糸製造装置の平面図である。

図1の糸製造装置の凝集部の平面図である。

図2の凝集部の第1及び第2板状部材の正面図である。

図3の第1及び第2板状部材の要部拡大図である。

図1の糸製造装置の撚掛巻取装置の一部断面図である。

図1の糸製造装置の凝集部の変形例の斜視図である。

図1の糸製造装置の凝集部の変形例の正面図である。

以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図において同一又は相当部分には同一符号を付し、重複する説明を省略する。

図1に示されるように、糸製造装置1は、カーボンナノチューブ繊維群(以下、「CNT繊維群」という)Fを走行させつつ当該CNT繊維群Fからカーボンナノチューブ糸(以下、「CNT糸」という)Yを製造する装置である。糸製造装置1は、基板支持部2と、凝集部3と、テンション付与部4と、撚掛巻取装置(撚掛部)5と、を備えている。基板支持部2、凝集部3、テンション付与部4及び撚掛巻取装置5は、この順序で直線の所定線L上に配置されており、CNT繊維群Fは、基板支持部2から撚掛巻取装置5に向かって走行させられる。なお、CNT繊維群Fは、カーボンナノチューブからなる糸条体(繊維)が複数集合したものである。CNT糸Yは、CNT繊維群Fに撚り(実撚り又は仮撚り)が掛けられたものである。

基板支持部2は、CNT繊維群Fが引き出されるカーボンナノチューブ形成基板(以下、「CNT形成基板」という)Sを保持した状態で支持する。CNT形成基板Sは、カーボンナノチューブフォレスト(carbon nanotube forest)、或いは、カーボンナノチューブの垂直配向構造体等と称されるものであり、化学気相成長法等によって基板上に高密度且つ高配向にカーボンナノチューブ(例えば、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ、多層カーボンナノチューブ等)が形成されたものである。基板としては、例えば、ガラス基板、シリコン基板、金属基板等が用いられる。なお、CNT糸Yの製造開始時、CNT形成基板Sの交換時等には、マイクロドリルと称される治具を用いて、CNT形成基板SからCNT繊維群Fを引き出すことができる。また、マイクロドリルに代えて、吸引装置、粘着テープ等を用いて、CNT形成基板SからCNT繊維群Fを引き出すことができる。

凝集部3は、CNT形成基板Sから引き出されたCNT繊維群Fが撚掛巻取装置5に向かって走行する際に、CNT繊維群Fにその走行方向に垂直な方向に力を作用させつつCNT繊維群Fを凝集させる。より具体的には、凝集部3は、後段においてCNT繊維群Fに撚りを掛けられる程度にCNT繊維群Fを凝集させる。

凝集部3は、CNT繊維群Fを接触させつつ通過させる通過孔11を形成する複数の組立部材として、第1板状部材12及び第2板状部材13を複数ずつ有している。更に、凝集部3は、CNT繊維群Fの凝集状態を調整する調整機構10を有している。調整機構10は、第1板状部材12及び第2板状部材13の位置関係を調整して通過孔11の開口面積を調整することにより、CNT繊維群Fの凝集状態を調整する。

複数(例えば、2つ)の第1板状部材12は、互いに所定間隔を介して、所定線Lの一方の側において調整機構10に取り付けられている。複数(例えば、3つ)の第2板状部材13は、互いに所定間隔を介して、所定線Lの他方の側において調整機構10に取り付けられている。図2に示されるように、調整機構10は、各第1板状部材12の先端部12a及び各第2板状部材13の先端部13aを所定線Lに対して進退させることにより、所定線L上において先端部12aと先端部13aとを互い違いに配置させる。なお、隣り合う第1板状部材12間及び隣り合う第2板状部材13間のそれぞれには、所定間隔を維持するためのスペーサ14が介在させられている。

図3に示されるように、第1板状部材12の先端部12aには、所定線L側に開口する第1切欠き16が設けられている。第2板状部材13の先端部13aには、所定線L側に開口する第2切欠き17が設けられている。図4に示されるように、第1切欠き16と第2切欠き17とが所定線L上において重なった領域(例えば、図4の(a)に示されるような長円状の領域、図4の(b)に示されるような真円状の領域等)は、CNT繊維群Fを接触させつつ通過させる通過孔11となる。つまり、第1切欠き16及び第2切欠き17は、通過孔11を画定する。

調整機構10は、各第1板状部材12の先端部12a及び各第2板状部材13の先端部13aを所定線Lに対して進退させて、所定線L上における第1切欠き16と第2切欠き17との重なり状態を調整することで、通過孔11の開口面積を調整する。これにより、調整機構10は、CNT繊維群Fの凝集状態を調整する。具体例として、通過孔11の開口面積を小さくするほど、CNT繊維群Fをより密に凝集させることができる。また、通過孔11の開口面積を小さくするほど、走行するCNT繊維群Fに作用する抵抗力が大きくなるので、凝集部3の下流側においてCNT繊維群Fに生じるテンションを高くすることができる。

図1に示されるように、テンション付与部4は、凝集部3と撚掛巻取装置5との間を走行するCNT繊維群Fにテンションを付与する。より具体的には、テンション付与部4は、CNT繊維群Fの走行方向における上流側(以下、単に「上流側」という)に向かってCNT繊維群Fに空気を噴射することにより、CNT繊維群Fの走行方向における下流側(以下、単に「下流側」という)において、CNT繊維群Fにその走行方向とは逆方向に力を作用させる空気式のテンション付与機構である。なお、テンション付与部4は、互い違いに配置された櫛歯状の接触部を用いてCNT繊維群Fを屈曲させることにより、CNT繊維群Fにその走行方向とは逆方向に力を作用させるゲート式のテンション付与機構であってもよい。更に、テンション付与部4は、ディスク式のテンション付与機構等、その他のテンション付与機構であってもよい。

撚掛巻取装置5は、凝集部3によって凝集させられたCNT繊維群Fに撚りを掛けつつ、製造されたCNT糸Yを巻取管に巻き取る。より具体的には、図5に示されるように、撚掛巻取装置5は、巻取管TにCNT糸Yを巻き取る巻取駆動機構20と、CNT繊維群F乃至CNT糸YによるバルーンBを形成しつつ、CNT繊維群Fに撚りを掛けてCNT糸Yを製造する撚掛駆動機構30と、巻取管TにおいてCNT糸Yをトラバースさせるトラバース駆動機構40と、を備えている。

巻取駆動機構20は、所定線Lを巻取中心線とする巻取軸21と、巻取軸21を回転させる巻取駆動モータ22と、を有している。巻取管Tは、巻取軸21の上流側端部である先端部21aに取り付けられており、巻取軸21に対して着脱可能となっている。巻取軸21の下流側端部である基端部21bは、軸継手23を介して巻取駆動モータ22の駆動軸22aと連結されている。巻取軸21は、ベアリング24を介して撚掛巻取装置5のフレーム5aに軸支されている。巻取駆動モータ22は、フレーム5aに固定されている。以上の巻取駆動機構20は、巻取駆動モータ22を駆動させて、巻取管Tが取り付けられた巻取軸21をその巻取中心線(すなわち、所定線L)周りに回転させることにより、巻取管TにCNT糸Yを巻き取る。

撚掛駆動機構30は、CNT糸Yを巻取管Tに案内するガイド部31と、ガイド部31を巻取管Tの周りにおいて回転させる撚掛駆動モータ32と、を有している。ガイド部31は、巻取軸21を包囲する筒状の本体31aと、本体31aから上流側に延在する一対のアーム31bと、を含んでいる。一方のアーム31bの上流側端部である先端部には、巻取管Tに案内されるCNT糸Yが挿通される挿通孔31cが設けられている。挿通孔31cに挿通されるCNT糸Yは、所定線L上に配置されたガイドリング35をCNT繊維群F乃至CNT糸Yの状態で通過させられて、巻取管Tに案内される。ガイド部31の本体31aは、複数の平歯車33を介して撚掛駆動モータ32の駆動軸32aと連結されている。ガイド部31、撚掛駆動モータ32及び平歯車33は、所定線Lに沿って往復移動可能となるようにフレーム5aに取り付けられたステージ34に支持されている。なお、巻取軸21と本体31aとの間に、すべり軸受としてブッシュ等を配置してもよい。以上の撚掛駆動機構30は、撚掛駆動モータ32を駆動させて、CNT糸Yを巻取管Tに案内するガイド部31を巻取管Tの周りにおいて回転させることにより、ガイドリング35を支点としてCNT繊維群F乃至CNT糸Yを旋回させつつ、CNT繊維群Fに撚りを掛けてCNT糸Yを製造する。なお、CNT繊維群F乃至CNT糸Yとは、CNT繊維群Fのままの状態、撚りが掛けられてCNT糸Yとなった状態、及びそれらの中間の状態を含む意味である。

トラバース駆動機構40は、所定線Lに平行な線を中心線とするボールねじ軸41と、ボールねじ軸41と螺合されたボールねじナット42と、ボールねじ軸41を回転させるトラバース駆動モータ43と、を有している。ボールねじ軸41の下流側端部である基端部は、軸継手44を介してトラバース駆動モータ43の駆動軸43aと連結されている。ボールねじナット42は、撚掛駆動機構30のステージ34に固定されている。トラバース駆動モータ43は、フレーム5aに固定されている。以上のトラバース駆動機構40は、トラバース駆動モータ43を駆動させてボールねじ軸41を正回転及び逆回転させ、撚掛駆動機構30を所定線Lに沿って往復移動させることにより(すなわち、巻取管Tに対してガイド部31を巻取軸21の巻取中心線に沿って往復移動させることにより)、巻取管TにおいてCNT糸Yをトラバースさせる。なお、巻取管TにおいてCNT糸Yをトラバースさせる際には、例えばガイド部31に対して巻取管Tを巻取軸21の巻取中心線に沿って往復移動させるなど、巻取管Tに対してガイド部31を巻取軸21の巻取中心線に沿って相対的に往復移動させることができればよい。

以上説明したように、糸製造装置1では、凝集部3によってCNT繊維群Fが凝集させられる際に、調整機構10によってCNT繊維群Fの凝集状態が調整される。これにより、例えばCNT形成基板Sから引き出されるCNT繊維群Fの量が変動しても、CNT繊維群Fを安定して凝集させることが可能となる。そのため、撚掛巻取装置5においてCNT繊維群Fに撚りを掛ける際に、凝集したCNT繊維群Fに所望のテンションを作用させることができる。よって、糸製造装置1によれば、製造されたCNT糸Yにおいて十分な強度を得ることができる。

より具体的には、調整機構10は、別途設けられたセンサによって検出されたCNT繊維群Fの量に基づいて、CNT繊維群Fの量が多くなるほど通過孔11の開口面積が大きくなるように、各第1板状部材12の先端部12a及び各第2板状部材13の先端部13aを所定線Lに対して進退させることができる。なお、ばね等の付勢部材を用いることにより、CNT繊維群Fの走行方向に垂直な方向に力が作用した際に、各第1板状部材12の先端部12a及び各第2板状部材13の先端部13aが所定線Lから離れるように凝集部3を構成すれば、CNT繊維群Fの量が突発的に多くなった場合にも、CNT繊維群Fの整列(配列)が乱れるのを防止することができる。更に、CNT繊維群Fが凝集部3に詰まってCNT繊維群Fが切断されるのを防止することができる。

また、糸製造装置1では、凝集部3が、CNT繊維群Fにその走行方向に垂直な方向に力を作用させつつCNT繊維群Fを凝集させる。これにより、凝集部3によってCNT繊維群Fが凝集させられる際に、CNT繊維群Fにその走行に対する抵抗力が作用することになるため、撚掛巻取装置5においてCNT繊維群Fを高密度で撚ることができる。

また、糸製造装置1では、凝集部3が、通過孔11に対してCNT繊維群Fを接触させつつ通過させることにより、CNT繊維群Fにその走行方向に垂直な方向に力を作用させつつCNT繊維群Fを凝集させる。これにより、CNT繊維群Fへの抵抗力の作用及びCNT繊維群Fの凝集を簡易な構成で実現することができる。

また、糸製造装置1では、調整機構10が、第1板状部材12及び第2板状部材13の位置関係を調整して通過孔11の開口面積を調整することにより、CNT繊維群Fの凝集状態を調整する。これにより、CNT繊維群Fに作用させる抵抗力の大きさ及びCNT繊維群Fの凝集状態を任意に調整することができる。更に、例えばCNT繊維群Fが通過孔11に詰まったとしても、第1板状部材12及び第2板状部材13を互いに離間させてCNT繊維群Fを容易に取り除くことができる。

また、糸製造装置1では、調整機構10が、第1板状部材12及び第2板状部材13を移動させて第1切欠き16と第2切欠き17との重なり状態を調整することにより、通過孔11の開口面積を調整する。これにより、通過孔11の開口面積を容易に且つ確実に調整することができる。なお、調整機構10は、第1板状部材12又は第2板状部材13を移動させて第1切欠き16と第2切欠き17との重なり状態を調整してもよい。

また、糸製造装置1には、凝集部3と撚掛巻取装置5との間を走行するCNT繊維群Fにテンションを付与するテンション付与部4が設けられている。これにより、CNT繊維群Fに所望の値のテンションを付与し、撚掛巻取装置5において、CNT繊維群Fをより高密度で撚ることができる。

また、糸製造装置1では、テンション付与部4として、空気式のテンション付与機構が用いられている。これにより、接触によってCNT繊維群Fを必要以上に凝集させることなく、CNT繊維群Fに好適にテンションを付与することができる。

また、糸製造装置1には、CNT繊維群Fが引き出されるCNT形成基板Sを支持する基板支持部2が設けられている。これにより、CNT繊維群Fを安定して供給することができる。

また、糸製造装置1では、撚掛巻取装置5において、CNT糸Yを巻取管Tに案内するガイド部31を巻取管Tの周りにおいて回転させることにより、CNT繊維群F乃至CNT糸Yを旋回させつつ、CNT繊維群Fに撚りを掛けてCNT糸Yを製造する。これにより、CNT繊維群F乃至CNT糸Yが旋回させられてバルーンBが形成されるので、伸縮性が比較的少ないCNT繊維群Fに生じるテンション変動をバルーンで好適に吸収しつつ、CNT繊維群Fに効率良く撚りを掛けることができる。なお、上記実施形態では、バルーンBを形成しつつCNT繊維群Fに撚りを掛けてCNT糸Yを製造したが、バルーンBが形成されない条件でCNT繊維群Fに撚りを掛けてCNT糸Yを製造することも可能である。

以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。例えば、CNT繊維群Fの供給源として、CNT形成基板Sに替えて、カーボンナノチューブを連続的に合成してCNT繊維群Fを供給する装置等を用いてもよい。また、撚掛巻取装置5に代えて、CNT繊維群Fに仮撚りを掛ける装置、及び仮撚りが掛けられたCNT糸を巻取管に巻き取る装置等を用いてもよい。

また、図6に示されるように、第1板状部材12及び第2板状部材13は、所定線Lに平行な線を中心線として搖動する保持片18及び保持片19にそれぞれ取り付けられていてもよい。この場合には、保持片18及び保持片19を互いに異なる方向に揺動させることにより、各第1板状部材12の先端部12a及び各第2板状部材13の先端部13aを所定線Lに対して進退させることができる。

また、図7に示されるように、凝集部3は、CNT繊維群Fを接触させつつ通過させる通過孔11を形成する複数の組立部材として、通過孔11を画定する複数のワイヤ51、及びワイヤ51の端部をそれぞれ保持する複数の保持片52を有していてもよい。そして、調整機構10は、各保持片52を搖動させてワイヤ51同士の重なり状態を調整することにより、通過孔11の開口面積を調整してもよい。この場合にも、通過孔11の開口面積を容易に且つ確実に調整することができる。なお、各保持片52が搖動させられる際の中心は、所定線Lを中心とする同一の円周上に等ピッチで配置されている。

また、糸製造装置1は、凝集部3と撚掛巻取装置5との間を走行するCNT繊維群Fをより凝集させる追加凝集部を備えていてもよい。追加凝集部は、後段においてCNT繊維群Fに撚りを掛けられる程度の範囲内で、凝集部3によって凝集させられたCNT繊維群Fをより密に凝集させる。これによれば、CNT繊維群Fが段階的に凝集させられるので、CNT繊維群Fに無理な力が作用してCNT繊維群Fの整列(配列)状態が乱されるのを抑制することができる。

このような追加凝集部としては、細管が用いられる。細管は、下流側の端部が下流側に向かって先細りとなる円管形状を有している。細管において先細りとなった先端には、CNT繊維群Fを接触させつつ通過させる通過孔が設けられている。細管は、凝集部3によって凝集させられたCNT繊維群Fが撚掛巻取装置5に向かって走行する際に、CNT繊維群Fにその走行に対する抵抗力を作用させつつCNT繊維群Fをより凝集させる。これによれば、CNT繊維群Fへの抵抗力の作用及びCNT繊維群Fの凝集を簡易な構成で実現することができる。

本発明によれば、製造されたカーボンナノチューブ糸において十分な強度を得ることができる糸製造装置、及びそのような糸製造装置に適用される凝集部を提供することが可能となる。

1…糸製造装置、2…基板支持部、3…凝集部、4…テンション付与部、5…撚掛巻取装置(撚掛部)、10…調整機構、11…通過孔、12…第1板状部材(組立部材)、13…第2板状部材(組立部材)、16…第1切欠き、17…第2切欠き、20…巻取駆動機構、21…巻取軸、30…撚掛駆動機構、31…ガイド部、40…トラバース駆動機構、51…ワイヤ、52…保持片。

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