糖液の製造方法

申请号 JP2013527195 申请日 2013-04-25 公开(公告)号 JP6160484B2 公开(公告)日 2017-07-12
申请人 東レ株式会社; 发明人 岸本 淳平; 栗原 宏征; 南野 淳; 山田 勝成;
摘要
权利要求

キシロースを含む糖液をナノ濾過膜に通じて濾過して、非透過側からキシロースを含む糖液を回収する工程を含む糖液の製造方法において、25℃における比誘電率が17以上の有機液体化合物を含む糖液をナノ濾過膜に通じて濾過する製造方法であって、 前記有機液体化合物が、エタノール、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、グリセリン、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、エチレングリコール、アセトン、アセトニトリル、アクリロニトリル、ジメチルスルホキシドおよびジメチルホルムアミドからなる群から選ばれる1種類以上であることを特徴とする、糖液の製造方法。ナノ濾過膜処理に供するキシロースを含む糖液中の、25℃における比誘電率が17以上の有機液体化合物の濃度の合計が50ppm〜10000ppmであることを特徴とする、請求項1に記載の糖液の製造方法。ナノ濾過膜処理に供するキシロースを含む糖液がセルロース含有バイオマス由来であることを特徴とする、請求項1または2に記載の糖液の製造方法。ナノ濾過膜の透過液を逆浸透膜に通じて濾過し、有機液体化合物を回収することを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の糖液の製造方法。

说明书全文

本発明は、ナノ濾過膜に通じて濾過する工程を含む糖液の製造方法に関する。

糖を原料とした化学品の発酵生産プロセスは、種々の工業原料生産に利用されている。現在、発酵原料となる糖としては、例えば、さとうきび、澱粉、テンサイなどの可食性原料に由来するものが工業的に使用されている。しかしながら、今後は世界人口の増加により食用原料が不足し、価格が高騰することが懸念され、再生可能な非可食用資源、すなわちセルロース含有バイオマスから効率的に糖液を製造するプロセスの構築が課題となっている。

セルロース含有バイオマスは、主に芳香族系重合物のリグニンと、単糖の重合物であるセルロースやヘミセルロースを含む。セルロース含有バイオマスを原料とした糖液の製造方法として、例えば、濃硫酸などを用いて直接原料であるセルロース系バイオマスを加分解する方法や、セルロース含有バイオマスに予め蒸煮処理、微粉砕処理、希硫酸処理などの前処理を施してセルロースやヘミセルロースをリグニンから脱離した後、セルラーゼ等の糖化酵素により加水分解を行う前処理−酵素糖化法等がある。

セルロース含有バイオマスを原料とした糖液の製造方法では、前処理の過程でヒドロキシメチルフルフラール(HMF)、フルフラール、バニリンなどの発酵阻害物質が生成し、得られた糖液を発酵してアルコール等を生産する際に糖液の発酵を阻害するという課題があり、また、糖液製造の処理条件によっては得られる糖液の糖濃度が薄い場合があるために発酵工程に供する前に数倍〜10倍程度糖濃度を濃縮する必要があったが、糖液に含まれる発酵阻害物質を取り除くと同時に、糖の濃度を高めることができる方法として、糖液をナノ濾過膜に通じて濾過して非透過側から糖液を回収する方法が知られている(特許文献1および2参照)。

WO2009/110374号

WO2010/067785号

本発明者は、糖液をナノ濾過膜に通じて濾過した場合、糖はナノ濾過膜の非透過側に阻止されるものの、ナノ濾過膜透過側への糖の流出が避けられず、それにより非透過側から回収される糖液の収率が低下するという課題を新たに見出した。そこで本発明では、糖液をナノ濾過膜に通じて濾過する場合において、ナノ濾過膜透過側への糖の損失を低減する方法を提供することを課題とする。

本発明者は、上記課題を解決するため鋭意研究を行った結果、25℃における比誘電率が17以上の有機液体化合物を含んだ糖液をナノ濾過膜に通じて濾過した場合、該有機液体化合物を含まない糖液をナノ濾過膜に通じて濾過した場合よりも糖のナノ濾過膜透過率を著しく低減できることを見出し、本発明を完成した。

すなわち、本発明は以下の(1)〜(5)の構成を有する。 (1)糖液をナノ濾過膜に通じて濾過して、非透過側から糖液を回収する工程を含む糖液の製造方法において、25℃における比誘電率が17以上の有機液体化合物を含む糖液をナノ濾過膜に通じて濾過することを特徴とする、糖液の製造方法。 (2)有機液体化合物が、エタノール、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、グリセリン、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、エチレングリコール、アセトン、アセトニトリル、アクリロニトリル、ジメチルスルホキシドおよびジメチルホルムアミドからなる群から選ばれる1種類以上であることを特徴とする、(1)に記載の糖液の製造方法。 (3)ナノ濾過膜処理に供する糖液中の25℃における比誘電率が17以上の有機液体化合物の濃度の合計が50ppm以上であることを特徴とする、(1)または(2)に記載の糖液の製造方法。 (4)ナノ濾過膜処理に供する糖液がセルロース含有バイオマス由来であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載の糖液の製造方法。 (5)ナノ濾過膜の透過液を逆浸透膜に通じて濾過し、有機液体化合物を回収することを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の糖液の製造方法。

本発明により、ナノ濾過膜に通じて濾過する工程を含む糖液の製造方法において、ナノ濾過膜の透過側への糖の損失を低減するため、糖液の収率を向上することができる。

以下、本発明の実施の形態(以下、実施形態という)を詳細に説明する。なお、下記の発明を実施するための実施形態により本発明が限定されるものではない。また、下記実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、下記実施形態で開示した構成要素は適宜組み合わせてもよいし、適宜選択して用いてもよい。

糖液とは、糖を溶解した水溶液のことである。糖とは、グルコース、キシロース、ガラクトース、フルクトース、マンノース、アラビノースなどの単糖、マルトース、セロビオース、ソホロース、キシロビオース、ラクトース、スクロースなどの二糖、セロオリゴ糖、キシロオリゴ糖などの水溶性多糖、フコース、ラムノースなどのデオキシ糖、キシリトール、ソルビトールなどの糖アルコールなどを含む。糖液は、糖以外の不純物成分を含んでもよく、その不純物成分は特に限定されない。なお、本発明において用いられる糖液の原料は特に制限されず、可食性の糖質もしくはデンプン質を原料としてもよく、また、セルロースに代表される非可食性の多糖類を原料としてもよいが、糖液をナノ濾過膜に通じて濾過する工程(ナノ濾過膜処理工程)はセルロース含有バイオマスを原料とする糖液の製造方法において好ましく採用される工程であるため(WO2010/067785号参照)、本発明ではセルロース含有バイオマスを原料とすることが好ましい。

セルロース含有バイオマスとは、バガス、スイッチグラス、ネピアグラス、エリアンサス、コーンストーバー(トウモロコシの茎葉)、コーンコブ(トウモロコシの芯)、稲わら、麦わらなどの草本系バイオマス、また樹木、廃建材などの木質系バイオマスなどのことである。セルロース系バイオマスは、セルロースあるいはヘミセルロースなどの多糖類を含有しており、こうした多糖類を加水分解することにより糖液を製造することが可能である。

一般に、セルロース含有バイオマスの加水分解のことを、糖化と呼ぶ。また、本実施形態ではセルロース含有バイオマスを糖化することにより得られた糖液をセルロース由来糖液と呼ぶ。セルロース由来糖液は、グルコース、キシロース、マンノース、アラビノースなどの単糖、セロビオース、キシロビオースなどの二糖、セロオリゴ糖、キシロオリゴ糖などの水溶性多糖を含んでおり、こうした糖類は生物の発酵原料(炭素源)として使用することができ、微生物によりエタノール、乳酸、アミノ酸など様々な化学品に変換することが可能である。セルロース由来糖液の製造方法としては特に制限はなく、例えば、WO2010/067785号に記載の方法に従って製造すればよい。

本発明の糖液の製造方法では、前述の糖液をナノ濾過膜に通じて濾過し、非透過側から糖液を回収する工程を含むことを特徴とする。ナノ濾過膜とは、「一価のイオンは透過し、二価のイオンを阻止する膜」と一般に定義される分離膜であり、ナノフィルター、ナノフィルトレーション膜、NF膜とも呼ばれる。ナノ濾過膜は、数ナノメートル程度の微小空隙を有していると考えられる膜であり、主として、水中の微小粒子や分子、イオン、塩類等を阻止するために用いられる。また、WO2010/0677785号に記載されるように、ナノ濾過膜はセルロース原料由来糖液に含まれる発酵阻害物質を透過側に除去し、非透過側において糖を阻止することができるため、糖液の濃縮・精製工程に用いられる。本発明における糖液のナノ濾過膜処理工程も、WO2010/067785号に記載の方法に準じて実施すればよい。

糖液をナノ濾過膜に通じて濾過した場合、大部分の糖はナノ濾過膜によって非透過側に阻止されるものの、後述の実施例で説明される通り、一部の糖が濾液側に透過し、その結果、糖の収率が低下するという問題が見出されている。そこで本発明では、25℃における比誘電率が17以上の有機液体化合物を含む糖液をナノ濾過膜に通じて濾過することによって、ナノ濾過膜の糖の透過率を低減することを特徴としている。

有機液体化合物とは、常圧(0.1MPa)における融点が30℃未満の有機化合物のことを指す。

比誘電率とは、真空の誘電率と誘電体の誘電率の比である。誘電率は、誘電体(絶縁体)の分極のしやすさを表す。コンデンサにおいては、極板間に何も介在しない、すなわち真空状態で、一定の電圧を極板間に印加すると、印加電圧と等しい電圧を生じるまで極板上に電荷が蓄えられるが、コンデンサの極板間に誘電体が満たされている場合では、誘電体の分極により電場が弱められるため、コンデンサには更に多くの電荷が蓄えられる。すなわちコンデンサの静電容量が増加する。したがって、極板間に介在する誘電体が分極しやすければしやすいほど、静電容量は更に増加する。そこで誘電率ε(F/m)は、コンデンサの静電容量をC(F)、極板間の距離をd(m)、極板の面積をS(m2)とした場合に、C=εS/dを満たす量として定義される。そして比誘電率は、極板間が真空であるコンデンサの静電容量と、極板間に誘電体を満たした場合の静電容量とをそれぞれ測定し、その比より求められる。このようにして求められる有機液体化合物の比誘電率は、物質固有の数値を持つことが知られている。なお、誘電率は誘電体の温度にも影響を受け、一般に、液体の誘電率は温度が高まるにつれ減少することが知られている。また、液体の誘電率の温度による変化は、誘電率が大きいものほど大きく、誘電率が小さいものほど小さくなる傾向が知られている。誘電率が大きい純水の場合、20℃における比誘電率は80.4で、25℃における比誘電率は78.5である。一方、誘電率の比較的小さい1,2−ジクロロエタンでは、20℃における比誘電率は10.65であり、25℃における比誘電率は10.36である。本発明では、25℃における比誘電率を基準とした。なお、有機液体化合物の誘電率測定装置としては、例えば、液体用誘電率計“Model 871”(RUFUTO社製)が挙げられる。

本発明は、25℃における比誘電率が17以上の有機液体化合物を含む糖液をナノ濾過膜に通じて濾過した場合、糖のナノ濾過膜透過率が低減するという知見に基づいている。これは、有機液体化合物の比誘電率が17以上であれば、糖分子に有機液体化合物が親和性を持つことにより、糖分子の見かけの分子量が大きくなるためであると推定されるが、その理由は明確ではない。なお、セルロース由来糖液においては、糖液中に25℃における比誘電率が17以上の有機液体化合物を含むことにより、糖の透過率は低減するが、上述の発酵阻害物の透過率は全く変わらない。したがって、本発明においてセルロース含有バイオマス由来糖液中に25℃における比誘電率が17以上の有機液体化合物を含む条件下で、セルロース含有バイオマス由来糖液をナノ濾過膜に通じて濾過することにより、発酵阻害物の除去性にはなんら影響を与えることなく、糖の収率のみを向上することができる。

本発明では糖液中に25℃における比誘電率が17以上の有機液体化合物が少なくとも1種類含まれていればよい。従って、例えば比誘電率が17以上の有機液体化合物と比誘電率が17未満の有機液体化合物が糖液中に共存している場合も、本発明に含まれるものとする。

本発明においてナノ濾過膜に供される糖液中の有機液体化合物の25℃における比誘電率は17以上であるが、好ましくは20以上、より好ましくは25以上である。有機液体化合物の25℃における比誘電率が17以上で糖のナノ濾過膜透過率低減の効果が見られ、20以上では顕著になり、25以上で更に顕著となるためである。なお25℃における比誘電率の上限については特に制限はないが、120が好ましい。なお、本明細書での各化合物のナノ濾過膜透過率とは、各化合物を溶解した液体(原液)をナノ濾過膜に通じ、濾過を行った場合に、濾液に含まれる各化合物の濃度を、原液に含まれる各化合物の濃度で除した値を指す。なお、各化合物の透過率は、各化合物の濃度、分離膜の種類、透過流束、温度、pHにより影響を受ける。そこで明細書では、糖液中の有機液体化合物による各化合物(グルコース、キシロース)の透過率低減効果の比較に際しては、各化合物濃度、分離膜の種類、透過流束、温度、pHの各条件を一定にするものとする。

比誘電率が17以上の有機液体化合物(括弧内は25℃における比誘電率の数値)としては、例えば、エタノール(24.8)、メタノール(32.6)、1−プロパノール(20.3)、2−プロパノール(19.8)、1,2−プロパンジオール(30.2)、1,3−プロパンジオール(34.2)、グリセリン(45.0)、1−ブタノール(17.4)、2−ブタノール(17.2)、イソブタノール(17.5)、1,2−ブタンジオール(29.5)、1,3−ブタンジオール(30.0)、1,4−ブタンジオール(31.9)、2,3−ブタンジオール(28.5)、エチレングリコール(40.1)、アセトン(20.6)、アセトニトリル(35.6)、アクリロニトリル(32.7)、ジメチルスルホキシド(46.0)、ジメチルホルムアミド(36.9)が挙げられる。

ナノ濾過膜に供される糖液中の25℃における比誘電率が17以上の有機液体化合物の濃度範囲としては、50ppm〜10000ppmであることが好ましく、500ppm〜10000ppmであることがより好ましく、5000ppm〜10000ppmであることがさらに好ましい。50ppm以上で糖のナノ濾過膜透過率低減の効果が見られ、500ppmでは顕著になり、5000ppmでほぼ糖のナノ濾過膜透過率低減の効果が上限に達するためである。一方、10000ppmを上回っても有機液体化合物を添加するためのコストが増大するばかりで、それ以上の糖のナノ濾過膜透過率の低減効果は得られない。

なお、有機液体化合物を含む糖液をナノ濾過膜に通じて濾過した際、有機液体化合物の多くは濾液側に透過する。この濾液を更に逆浸透膜に通じて濾過することにより、非透過側で有機液体化合物を濃縮できるため、有機液体化合物を回収して本発明の糖液の製造方法において再利用することができる。糖液をナノ濾過膜に通じて濾過した際の透過側の濾液は、通常は廃液として処分されるため、これを逆浸透膜により濃縮し、有機液体化合物として再利用すれば、経済的に有利である。

以下に本発明の実施例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。

(参考例1)透過率の算出 本明細書において各化合物のナノ濾過膜透過率とは、各化合物を溶解した液体(原液)を分離膜に通じ、濾過を行った場合に、濾液に含まれる各化合物の濃度を、原液に含まれる各化合物の濃度で除した値を指す。各化合物のナノ濾過膜透過率は、透過流束、液体の温度、pHなどに影響を受けるため、本実施例でナノ濾過膜透過率を測定する際には、透過流束0.5m/日、温度25℃、pH5に制御した。なお、透過流束(m/日)は、透過流量(m3/日)を、分離膜の有効面積(m2)で除した値である。また、溶液のpHは硫酸または水酸化ナトリウムを使用してナノ濾過膜の濾過に先立って調整した。

(参考例2)セルロース含有バイオマス由来糖液の作製工程 セルロース含有バイオマスとして、稲わらを用いた。前記稲わらを4mmの目開きを有するスクリーンで粒度を制御しながらカッターミルを用いて粉砕した。粉砕後、水に浸し、撹拌しながら180℃で5分間オートクレーブ処理(日東高圧株式会社製)した。その際の圧は10MPaであった。得られたスラリーに、トリコデルマ・リーセイ由来のセルラーゼ製剤(アクセルレース・デュエット、Genencor社製)を、スラリー中の固形物乾燥重量に対し、酵素タンパク質乾燥重量で100分の1の量を添加し、50℃で24時間糖化反応を行った。その後、フィルタプレス処理(薮田産業株式会社製、MO−4)を行い、未分解セルロースあるいはリグニンを分離除去したセルロース含有バイオマス由来の糖液を得た。更に、本糖液を細孔径0.22μmの精密濾過膜に供することにより、ミクロンオーダーの不溶性粒子を除去した。このようにして得られたセルロース含有バイオマス由来糖液を、以下の実施例にて使用した。

(参考例3)各化合物の分析条件 1.糖類分析条件 糖液中のグルコース、キシロース濃度は、下記に示す高速液体クロマトグラフィー条件で、標品との比較により定量した。 機器:ACQUITY UPLC システム(Waters社製) カラム:ACQUITY UPLC BEH Amide 1.7μm 2.1×100mm Column(Waters社製) 移動相:A液;80% アセトニトリル+0.2%TEA、B液;30% アセトニトリル+0.2% TEA 流速:0.3mL/min 温度:55℃。

2.酢酸分析条件 糖液中の発酵阻害物質である酢酸の濃度は、下記に示すHPLC条件で、標品との比較により定量した。 機器:日立高速液体クロマトグラフ Lachrom elite(株式会社日立製作所製) カラム:GL‐C610H‐S (株式会社日立製作所製) 移動相:3mM 過塩素酸 反応液:ブロモチモールブルー溶液 検出方法:UV‐VIS検出器 流速 移動相:0.5mL/min 反応液:0.6mL/min 温度:60℃。

3.芳香族化合物分析条件 糖液中の発酵阻害物質であるHMF、バニリンの濃度は、下記に示すHPLC条件で、標品との比較により定量した。 機器:日立高速液体クロマトグラフ Lachrom elite(株式会社日立製作所製) カラム:Synergi 2.5μm Hydro‐RP 100A(Phenomenex社製) 検出方法:Diode Array 検出器 流速:0.6mL/min 温度:40℃。

4.エタノール分析条件 糖液中のエタノール濃度は、下記に示すGC条件で、標品との比較により定量した。 機器:Shimadzu GC−2010(株式会社島津製作所製) カラム:TC−1(内径0.53mm、長さ15m、膜厚1.50μm(GL サイエンス株式会社製) 検出方法:FID。

(参考例4)モデル糖液のナノ濾過膜処理 モデル糖液として、単糖であるグルコースおよびキシロースをそれぞれ20g/L、発酵阻害物質である酢酸、HMF、バニリンをそれぞれ0.5g/Lずつ含む水溶液を調整した。本モデル糖液を、ナノ濾過膜(UTC−60、東レ株式会社製)を用いて、クロスフロー方式による濾過に供した。クロスフロー濾過条件は、液温25℃、膜面線速度20cm/秒とし、操作圧は透過流束が0.5m/日となるように適宜調節した。また、膜分離装置はスパイラルモジュールの濾過小型試験機として使用できる小型の平膜ユニット(GE Osmonics社製“SEPA CF−II”、有効膜面積140cm2)を使用した。なお、濾液側の濃度は安定するのに時間がかかるため、20分間濾液の液を原水側に戻し、20分経過後の安定した濾液をサンプリングし、参考例1にしたがって透過率を求めた。得られた結果を表1に示す。

(実施例1)比誘電率が17以上の有機液体化合物を含む糖液のナノ濾過膜処理 参考例4記載のモデル糖液中に、25℃における比誘電率が17以上の有機液体化合物であるエタノール、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、グリセリン、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、エチレングリコール、アセトン、アセトニトリル、アクリロニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドのうちいずれか1種類を、5g/Lの濃度で含むこと以外は、参考例4と同様の方法で濾過を行った。参考例1にしたがって透過率を求めた結果を表1に示す。

(比較例1)比誘電率が17未満の有機液体化合物を含む糖液のナノ濾過膜処理 参考例4記載のモデル糖液中に、25℃における比誘電率が17未満の有機液体化合物(括弧内は25℃における比誘電率の数値)であるテトラヒドロフラン(THF、7.5)、ベンジルアルコール(11.9)、1−ヘキサノール(12.7)、2−ヘキサノール(11.1)、シクロヘキサノール(15.9)のうちいずれか1種類を、5g/Lの濃度で含むこと以外は、参考例4と同様の方法で濾過を行った。参考例1にしたがって透過率を求めた結果を表1に示す。

表1から明らかなように、有機液体化合物を含まないモデル糖液(参考例4)に対し、有機液体化合物を含む場合では、有機液体化合物の25℃における比誘電率が17以上である場合(実施例1)に限り、顕著に単糖であるグルコース、キシロースの透過率が低減することが判明した。また単糖透過率の低減効果は、含まれる有機液体化合物の比誘電率が高くなれば高くなるほど、更に高められることが判明した。一方、有機液体化合物を含む場合であっても、有機液体化合物の25℃における比誘電率が17未満の場合(比較例1)では、単糖透過率の低減はほとんど見られないことも判明した。なお、発酵阻害物質である酢酸、HMF、バニリンの透過率に関しては、いずれの場合もほとんど変化がなかった。

(実施例2)有機液体化合物の濃度の影響 参考例4記載のモデル糖液中に、誘電率が17以上の有機液体化合物であるエタノール、メタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、グリセリン、1−ブタノール、2−ブタノール、イソブタノール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、エチレングリコール、アセトン、アセトニトリル、アクリロニトリル、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドのうちいずれか1種類を、50ppm、500ppm、5000ppm、10000ppmの各濃度で含む水溶液を調整し、それぞれについて参考例4と同様の方法で濾過を行った。参考例1の方法に従い、グルコース、キシロースの透過率を求めた結果を表2に示す。参考例4の結果および表2から明らかなように、モデル糖液中に誘電率が17以上の有機液体化合物を含む場合では、50ppmの濃度で単糖透過率低減の効果があった。また、この効果は、有機液体化合物の濃度が高くなれば高くなるほど更に高められたが、5000ppmでほぼ頭打ちとなることが明らかとなった。

(実施例3)セルロース含有バイオマス由来糖液のエタノール発酵後の蒸留残渣液のナノ濾過膜処理 参考例2の方法により得られたセルロース含有バイオマス由来糖液を用いたエタノール発酵および蒸留を行って得られる蒸留残渣液に含まれる発酵の残糖を回収することを目的として、蒸留残渣液のナノ濾過膜処理について検討した。まず前培養として、表3に示す培地5mLをフィルター滅菌(ミリポア株式会社製“ステリフリップ”、平均細孔径0.22μm)し、試験管中で30℃にてパン酵母(サッカロマイセス・セレビシエ)を一晩振とう培養した。前培養液よりパン酵母を遠心分離により回収し、滅菌水15mLでよく洗浄した。洗浄したパン酵母を、参考例2の方法により得られたセルロース含有バイオマス由来糖液100mLに植菌し、500mL容坂口フラスコで24時間振とう培養した(本培養)。本培養液より固形物を遠心分離により除去し、さらに精密濾過膜(ミリポア株式会社製“ステリカップ”、平均細孔径0.22μm)に供して清澄なセルロース糖発酵残渣液を得た。更にセルロース糖発酵残渣液を、ロータリーエバポレータを用いて蒸留し、得られたセルロース糖由来蒸留残渣液を、参考例4と同様の方法で濾過を行った。セルロース糖蒸留残渣液中の糖(グルコース、キシロース)およびエタノール濃度と、参考例1の方法に従い、グルコース、キシロース、酢酸、HMF、バニリンの透過率を求めた結果を表4に示す。

(比較例2)モデル蒸留残渣液のナノ濾過膜処理 モデル蒸留残渣液として、実施例3記載のセルロース糖蒸留残渣液と等濃度のグルコース、キシロース、酢酸、HMF、バニリンを含む水溶液を、試薬を用いて調整した。前記モデル蒸留残渣液を、参考例4と同様の方法で濾過を行った。参考例1の方法に従い、各化合物の透過率を求めた結果を表4に示す。

表4から明らかなように、エタノールを含むセルロース糖蒸留残渣液では、エタノールを全く含まないモデル蒸留残渣液と比較して単糖のナノ濾過膜透過率が低減することが判明した。一方で、発酵阻害物質である酢酸、HMF、バニリンのナノ濾過膜透過率に変化は見られなかった。

(比較例3)様々な糖を含むモデル糖液のナノ濾過膜処理 モデル糖液として、マンノース、ガラクトース、フルクトース、アラビノース、キシリトール、ソルビトールをそれぞれ10g/Lずつ、発酵阻害物質である酢酸、HMF、バニリンをそれぞれ0.5g/Lずつ含む水溶液を使用すること以外、参考例4と同様の方法でろ過を行った。参考例1にしたがって透過率を求めた結果を表5に示す。

(実施例4)エタノール、エチレングリコール存在下における様々な糖を含むモデル糖液のナノろ過膜処理 比較例3記載のモデル糖液中に、25℃における比誘電率が17以上の有機液体化合物であるエタノール、エチレングリコールのうちいずれか1種類を、5g/Lの濃度で含むこと以外は、比較例3と同様の方法で濾過を行った。参考例1にしたがって透過率を求めた結果を表5に示す。

表5から明らかなように、エタノール、エチレングリコールのうちいずれか1種類を含モデル糖液では、エタノールやエチレングリコールを含まないモデル糖液と比較して単糖のナノ濾過膜透過率が低減することが判明した。一方で、発酵阻害物質である酢酸、HMF、バニリンのナノ濾過膜透過率に変化は見られなかった。

本発明はナノ濾過膜に通じて濾過する工程を含む糖液の製造方法において、糖液の収率を高める方法として有用である。

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