デングウイルスワクチン組成物

申请号 JP2015549988 申请日 2013-12-16 公开(公告)号 JP6333290B2 公开(公告)日 2018-05-30
申请人 セントロ デ インジエニエリア ジエネテイカ イ バイオテクノロジア; 发明人 ヘルミダ クルス、リゼット; ギル ゴンザレス、ラザロ; イズキエルド オリヴァ、アリエニス; マルコス ロペス、エルネスト; スザルテ ポルタル、イディス; ギレン ニエト、ゲラルド エンリケ; ガズマン ティラド、マリア、グアダルペ; ヴァルデス プラド、イリス; ラゾ ヴァスケス、ラウラ; ガルシア アレチャヴァレタ、アンジェリカ、デ ラ カリダド; アルヴァレス ヴェラ、メイリング; カストロ ヴェラズコ、ホルヘ; ロペス フェルナンデス、ラザロ; ラミレス バルトゥティス、ローザ リセット; ペレス フエンテス ユスレイディ、デ ラ カリダド; ペレス ゲバラ、オルガ、リディア; ロメロ フェルナンデス、ヤレミー;
摘要
权利要求

a)デングウイルス(DV)のカプシドタンパク質のアミノ酸1〜99を含む少なくとも1種の抗原と、b)配列番号1と識別されるオリゴヌクレオチドとを含むことを特徴とするワクチン組成物。前記カプシドタンパク質のアミノ酸1〜99を含む組換え抗原が、配列番号5(抗原DIIIC−1)、配列番号6(抗原DIIIC−2)、配列番号7(抗原DIIIC−3)、及び配列番号8(抗原DIIIC−4)からなる群から選択されるキメラ抗原である、請求項1に記載のワクチン組成物。配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8からなる群から選択される2種のキメラ抗原を含むことを特徴とする、請求項1に記載のワクチン組成物。配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8と識別される4種のキメラ抗原を含むことを特徴とする、請求項1に記載のワクチン組成物。配列番号1と識別される配列を特徴とするオリゴヌクレオチド。DVのカプシドタンパク質のアミノ酸1〜99を含むワクチン抗原に対する免疫応答を増大させるための医薬の製造のための、配列番号1と識別される核酸の使用。前記DVのカプシドタンパク質のアミノ酸1〜99を含む組換え抗原が、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8からなる群から選択されるキメラ抗原である、請求項6に記載の使用。a)DVのカプシドタンパク質のアミノ酸1〜99を含む少なくとも1種の抗原と、b)配列番号1と識別されるオリゴヌクレオチドとを含むワクチン組成物の、DVに対する免疫応答を誘導するための医薬の製造のための使用。前記カプシドタンパク質のアミノ酸1〜99を含む組換え抗原が、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するキメラ抗原である、請求項8に記載の使用。配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8と識別されるキメラ抗原を二価組成物の形態で逐次的に投与する、請求項9に記載の使用。配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8と識別される4種のキメラ抗原を含む四価組成物の追加刺激用量をさらに投与する、請求項10に記載の使用。a)DVのカプシドタンパク質のアミノ酸1〜99を含む少なくとも1種の抗原と、b)配列番号1と識別されるオリゴヌクレオチドとを含むワクチン組成物を、皮下経路、皮内経路又は筋肉内経路によって投与する、請求項8に記載の使用。

说明书全文

本発明は、バイオテクノロジー及び医薬品産業の分野、特に規定された配列を有する組換えタンパク質抗原及びオリゴヌクレオチドに基づいてデングウイルス(DV)に対するワクチン製剤を得ることに関する。

デング熱は、節足動物によって伝染するウイルス性疾患であり、最も広範にヒト集団に影響を及ぼしている。毎年50,000,000〜100,000,000件のデングの症例が報告されており、そのうちの500,000件がデング出血熱として知られる当該疾患の最も重症型に至る(Guzmanら、Lancet Infect.Dis.2002年;2巻:33〜42頁)。この疾患の病因は、フラビウイルス科フラビウイルス属に属するDVである。DVは、4種の血清型を含むウイルス複合体である。DVは、エンベロープを有するウイルスであり、その脂質膜は、その3種の構造タンパク質のうちの2種:エンベロープタンパク質及び膜タンパク質を含有する。このリポタンパク質エンベロープが、それらの構造タンパク質の3つ目であるカプシドタンパク質で構成される正二十面体のヌクレオカプシドを取り囲んでいる(Leyssenら、Clin.Microbiol.Rev.2000年;13巻:67〜82頁)。

ここ数十年の間に、これらのウイルスによる感染症の世界的蔓延により、公衆衛生の優先事項である有効なワクチンの開発が行われてきた。この目的は、いくつかの要因によって限定されている。まず第1に、1種の血清型による感染では残りの血清型に対する持続的な交差防御が誘導されず(Leyssenら、Clin.Microbiol.Rev.2000年;13巻:67〜82頁)、同時に、異種への二次感染(heterotypic secondary infection)が、疾患の重症型の発生に関する主要な危険要因である(Guzmanら、Lancet Infect.Dis.2002年;2巻:33〜42頁;Mongkolsapayaら、Nat.Med.2003年;9巻:921〜927頁)。したがって、DVに対する理想的なワクチンは、4種のウイルス血清型(DV1、DV2、DV3及びDV4)に対する持続的な防御免疫を誘導すべきである。

最先端のワクチン候補は、細胞培養における連続継代によって弱毒化したウイルス株に基づくもの、又は組換え法によって得たものである。この種類の候補に関して4種の血清型に対する同等の機能免疫応答の誘導を難しくしている主要な限定は、四価製剤における4種の血清型間のウイルス干渉である。さらに、これらの候補は、計画された2回又は3回のワクチン投薬間に長い間隔を開けて投与する必要がある(Bhamarapravatiら、Vaccine.2000年;18巻:44〜47頁;Kanesa−Thasanら、Vaccine.2001年;19巻:3179〜3188頁;Morrisonら、J.Infect.Dis.2010年;201巻:370〜377頁)。さらに、それらの生ウイルスとしての性質に起因して、1歳未満の小児には投与できない。

的な代替物として、サブユニットワクチンに基づく一連の前臨床試験が行われてきた。この手法には、弱毒生ウイルスを用いたワクチン接種と比較して、1)これらは潜在的に安全なワクチンであること、2)免疫原の非複製性に起因してウイルス干渉の現象が起こらないと予想されること、及び3)追加刺激効果を実現するためにワクチン投薬間に長い間隔を必要とする弱毒生ウイルスの投与にとは逆に、短いワクチン接種スキームを計画できるという3つの重要な利点がある。

最も有望なサブユニットワクチン候補の1つはHawaii Biotech/Merck社により開発されたものである(Hombach、Rev.Panam.Salud Publica.2007年;21巻:254〜260頁)。これは、昆虫細胞で発現させた4種の血清型由来の各ウイルスエンベロープタンパク質によって形成される候補である。一価製剤及び四価製剤がマウス及びサルにおいて評価されており、弱毒化ウイルスを用いて得られるものと同様の免疫原性結果が得られている(Clementsら、Vaccine.2010年;28巻:2705〜2715頁)。しかしながら一価製剤では、適切な免疫応答を誘導するにはヒトへの使用が認可されていない強力なアジュバントの添加が必要であった。同様に、非ヒト霊長類で評価された四価製剤は、非認可アジュバントだけでなく、ヒト内皮細胞に対していくらかの相同性を有するために自己免疫障害を惹起し得るDV2由来のタンパク質NS1も含有していた。さらに、このワクチン候補を投与した際の、デングに対する防御的役割を有すると最近確認された免疫の重要な武器である細胞媒介性免疫の誘導に関する入手可能なデータが存在しない(Gilら、Viral Immunol.2009年;22巻:23〜30頁;Yauchら、J.Immunol.2009年;182巻:4865〜4873頁;Yauchら、J.Immunol.2010年;185巻:5405〜5416頁)。

キューバの研究者のグループは、サブユニットワクチンに関連する利点を維持しつつ、同時にベースのアジュバントとしてアラムを含有する安全な免疫原性製剤を探すことにより、デングウイルスのカプシドタンパク質及びエンベロープタンパク質のドメインIIIに基づく実用的な系統を開発した(Guzmanら、Exp.Rev.Vaccines.2010年;9巻:137〜147頁)。

DV由来のカプシドタンパク質はビリオンの組立てに必須であり、また、ウイルスのゲノムの主要な機能を保護する。その分子量は9〜12kDa(112〜127アミノ酸)であり、そのアミノ酸の25%がアルギニン及びリシンであるので基本的な構造を有する。このタンパク質は、ビリオン構造内に位置し、露出した領域は伴わず(Kuhnら、Cell.2002年;108巻:717〜725頁)、これにより、免疫促進抗体の標的にならない可能性があるので、ワクチンに含めるのに魅力的なものになる。他方では、ウイルスに対する有効な細胞媒介性免疫の誘導をもたらす種々のヒトCTLエピトープがその配列上で同定されている(Gagnonら、J.Virol.1996年;70巻:141〜147頁;Gagnonら、J.Virol.1999年;73巻:3623〜3629頁)。

このカプシドタンパク質の構造特性に関していくつかの試験が行われてきたが、マウスにおける免疫原性に関して初めて評価されたのは2007年である。この試験では、DV2由来のカプシドがEscherichia coliにおいて組換えタンパク質として得られた。半精製プロセスが行われた際に得られた調製物がマウスにおいて評価され、DV2による攻撃後に中和抗体の誘導を伴わない部分的な防御が得られた。(Lazoら、Vaccine.2007年;25巻:1064〜1070頁)。その後に、実験室規模の精製及びin vitro凝集プロセスが確立され、さらに得られたタンパク質は、防御に関するその機能性を測定するためにマウスにおいて評価された(Lopezら、Arch.Virol.2009年;154巻:695〜698頁)。免疫原性の分析により、ガンマインターフェロン(IFN−γ)の分泌によって測定された、凝集タンパク質を受けたマウスの脾細胞による細胞媒介性免疫の誘導が明らかになった。そのような分泌はCD4+細胞及びCD8+細胞に依存していた。同様に、DV2を用いて攻撃すると、凝集タンパク質を用いて免疫した動物において有意な防御が得られ、そのような防御もCD4+細胞及びCD8+細胞に依存した(Gilら、Int.Immunol.2009年;21巻:1175〜1183頁)。上述の結果に基づいて、同じ遺伝子構築物内に、どちらもDV2由来のカプシドタンパク質とエンベロープタンパク質のDomIII領域を組み合わせることが計画された。DomIIIは1つの受容体結合性領域として広範に記載されており(Chenら、J.Virol.1996年;70巻:8765〜8772頁)、さらに、このウイルス領域を含有する融合タンパク質を用いて免疫したマウスにおける中和抗体の誘導及び防御が報告されている(Crillら、J.Virol.2001年;75巻:7769〜7773頁;Hermidaら、J.Virol.Methods.2004年;115巻:41〜49頁;Simmonsら、Am.J.Trop.Med.Hyg.2001年;65巻:159〜161頁)。同様に、非ヒト霊長類での実験において、フロイントアジュバントのみを使用した防御免疫応答の誘導が実証されている(Hermidaら、Vaccine.2006年;24巻:3165〜3171頁)。

ウイルスカプシドとウイルスエンベロープタンパク質のDomIIIIとを合わせることにより、中和抗体(DomIII)と細胞性免疫応答(カプシド)とを同時に誘導できる潜在的に防御的な2つの領域を同じ分子内に存在させることが可能になる。次いで、E.coliで発現させたDIIIC−2(カプシドタンパク質のN末端領域と融合したDomIII、血清型2)と称される遺伝子構築物が得られ、生じたタンパク質を実験室規模で精製し、配列不明のオリゴヌクレオチドの混合物を用いて凝集させるプロセスを行った。マウスに3回接種したところで抗ウイルス抗体及び中和抗体が検出された。同様に、凝集タンパク質を用いて免疫した動物由来の脾細胞において有意なIFN−γ分泌が検出された。細胞媒介性免疫と一貫して、頭蓋内攻撃の際の有意な防御が得られ、そのような防御は、免疫プロセスの間に誘導されるCD4+細胞及びCD8+細胞によって媒介された(Valdesら、Virology.2009年;394巻:249〜258頁)。総合すると、上述の結果により、その後の非ヒト霊長類における試験のために凝集した形態のDIIIC−2を選択することが可能になる。DIIIC2の追加刺激能を知ることを主要な目的として、DV2を予め感染させた動物を使用して非ヒト霊長類における最初の試験を実現した。予測通り、DIII−C2を投与した後、ウイルス感染の3ヶ月後に動物において同種のウイルスに対する高レベルの抗ウイルス抗体及び中和抗体が発生し、これにより、組換えタンパク質内に機能的エピトープが存在することが示される(Valdesら、Clin.Vaccine Immunol.2011年;18巻:455〜459頁)。

本発明の背景として、オリゴデオキシヌクレオチドを添加してタンパク質DIIIC−2の凝集改変型を形成することがマウスにおける同種のウイルスに対する細胞媒介性免疫及び防御に有利であることが公知である(Valdesら、Virology.2009年;394巻:249〜258頁)。それでもなお配列が誘導される免疫応答の質に影響するかどうかは不明であった。

前述の要素によると、4種の血清型に対する安全且つ有効な免疫応答を誘導できるDVに対するワクチンの開発は未解決の問題である。本発明は、まさにこの目的を対象とする。

本発明は、上述の問題を解決し、a)DVのカプシドタンパク質の配列の少なくとも50%を含む少なくとも1種の抗原と、b)配列番号1と識別されるオリゴデオキシヌクレオチドとを含むワクチン組成物を提供する。本発明の一実施形態では、ワクチン組成物は、DVのカプシドタンパク質の配列の少なくとも50%を含む抗原が、そのような抗原のアミノ酸1〜99を含む組換え抗原であることを特徴とする。本発明の一実施形態では、ワクチン組成物は、カプシドタンパク質のアミノ酸1〜99と、ウイルスエンベロープタンパク質のDomIII領域のアミノ酸286〜426とを含むキメラ抗原を含む。特定の一実施形態では、前記組換え抗原は、配列番号5(抗原DIIIC−1)、配列番号6(抗原DIIIC−2)、配列番号7(抗原DIIIC−3)及び配列番号8(抗原DIIIC−4)で構成される群の中から選択される。

タンパク質凝集のために使用するオリゴヌクレオチドがより良好な免疫応答の誘導に影響を及ぼすかどうかを実証するために、血清型2の組成物をモデルとして選択した。タンパク質DIIIC−2(DV2由来のウイルスエンベロープタンパク質のDomIIIとカプシドタンパク質のアミノ酸1〜99とを含むキメラ抗原)を、当技術分野で記載されている配列が分かっている種々のオリゴヌクレオチドの存在下で沈殿させた。これらのオリゴヌクレオチドのいくつかはアジュバント能を有することが公知である(Klinman、Int.Rev.Immunol.2006年;25巻:1〜20頁;Vollmer、Int.Rev.Immunol.2006年;25巻:125〜134頁)。記載されているオリゴヌクレオチドのうちの2つの融合によって形成した新しいオリゴヌクレオチドをこの試験にさらに含めた(Krugら、Eur.J.Immunol.2001年;31巻:2154〜2163頁;Verthelyiら、J.Immunol.2001年;166巻:2372〜2377頁)。マウスにおいて評価した際に、本発明者らは、IFN−γ分泌によって測定された通り、新しいオリゴヌクレオチド(配列番号1)が最良の細胞媒介性免疫に有利であることを実証し、したがって、同種のウイルスを用いたマウス脳炎モデルを使用した防御アッセイを実施するためにこれを選抜した。結果として、配列番号1のオリゴヌクレオチドを含有し、アラムでアジュバント添加したDIIIC−2製剤により、生存のパーセンテージ及び脳におけるウイルス力価によって測定される強力な防御免疫応答が引き出された。

したがって、本発明において、適切な細胞性免疫応答の誘導、したがって、組換えタンパク質の防御能にはオリゴヌクレオチドの性質が極めて重要であることが初めて実証された。いくつかのオリゴヌクレオチドが試されたが、それらのうちの1つ、配列番号1と識別される配列を有するオリゴヌクレオチドのみが、細胞性免疫応答及び防御の誘導に関して最良であることが分かった。構造内においてCpGモチーフ含有又は非含有の、リン酸ジエステル結合を有し、配列が異なるいくつかの合成オリゴヌクレオチドを試験した。この最後の要素は、文献に記載されている免疫増強活性を有するオリゴヌクレオチドとは異なっており、なぜならこれらのオリゴヌクレオチドの合成に使用される連結は、エキソヌクレアーゼによる分解から保護するためにホスホロチオエート型の連結になっているためである。さらに、19塩基、20塩基及び39塩基などのいくつかのサイズを試験した。この最後の39塩基のオリゴヌクレオチドは、配列内の所定位置にいくつものCpGモチーフを含有しており、当技術分野において免疫増強活性を有するオリゴヌクレオチドに関して説明された分類の範囲内には含められない。

他方では、全ての場合において、これらの分子は組換え抗原の凝集のために使用されたことから、これらの分子の最小量が加えられた。これは、免疫系の刺激物質として使用されるオリゴヌクレオチドとは異なる別の要素を構成するものであり、なぜならこのようなオリゴヌクレオチドは、その機能を促進するためにはこれらの分子を大量に必要とするためである(Riedlら、J.Immunol.2002年;168巻:4951〜4959頁)。

上記の通り、マウスにおける免疫学的評価の際に、本発明者らは、予想外に、配列番号1と識別される配列を有するオリゴヌクレオチドにより、組換えタンパク質DIIIC−2によって誘導される細胞性防御免疫応答が、使用したオリゴヌクレオチドの残りと比較して示差的に有意に増強されることを示した。

次いで、非ヒト霊長類ではデングに対して陰性であるという概念を証明した。動物に、配列番号1のオリゴヌクレオチドを伴い、アラムでアジュバント添加した凝集DIIIC−2製剤を4回投薬した。さらに動物の別の群を試験に導入し、それらには、予め配列番号1のオリゴヌクレオチドと一緒にインキュベートしてヌクレオカプシド様粒子(NLPs−2)を形成させた、DV2由来のカプシドタンパク質のアミノ酸1〜99を含む組換え抗原を与えた。

DV2の異なる株及び異なる細胞系を使用した中和試験により、抗ウイルス抗体及び抗タンパク質抗体の応答を決定し、加えてこの応答の機能性も決定した。他方では、細胞媒介性免疫についても、感染性DV2を用いて末梢血単核細胞(PBMC)をin vitroで刺激した後にIFN−γ分泌を決定することによって評価した。その後、DV2を用いて動物を攻撃し、血液中のウイルスの存在を決定した。結果として、タンパク質により、サルにおけるウイルスを用いた攻撃の前後に、6つの異なる系によって測定された通り強健な中和活性を有する抗体応答が誘導されただけでなく(100%セロコンバージョン)、IFN−γ分泌によって媒介される適切な細胞媒介性免疫も誘導された。攻撃後のいずれの日にも、免疫した動物3匹のうち2匹でウイルスが単離されず、また、3匹目の動物では1日のみ1ミリリットル当たり10プラーク形成単位(pfu/mL)未満のウイルス血症値が示されたことから、免疫原性の結果と一致して、ワクチン接種された動物は、ウイルスによる攻撃に対して有意に防御された。

以前はデングに対して陰性の非ヒト霊長類でなされたこの試験は、ウイルスカプシドDVの領域を含有する組換えタンパク質の防御力に関する最初の試験である。この発見から、血清型1、3及び4に対応する得られた他のキメラタンパク質に対する同条件を推測することが可能になる。

次に、血清型1、3及び4に対応する組換えタンパク質を設計し、それを得て、それぞれDIIIC−1、DIIIC−3及びDIIIC−4と名付けた。全ての分子が、E.coliから適切な発現のパーセンテージで得られた。同様にこれらを精製し、これらは、同類の血清型に対して特異的なマウスポリクローナル抗体によって認識された。 さらに、各タンパク質におけるジスルフィド結合の正しい形成が、質量分析によって決定され(DIIIC−1 DIIIC−2、DIIIC−3及びDIIIC−4について)、さらにDomIII鎖内ジスルフィド結合のシステインが還元カルボキシメチル化されたときのマウスポリクローナル血清に対する認識の喪失によって決定された(DIIIC−1、DIIIC−2及びDIIIC−4について)。

本発明に含まれる試験では、初めて記載されたこれらの血清型(1、3及び4)のキメラタンパク質DIIICにより、マウスにおいて同類の血清型に対する機能性防御免疫応答も誘導されることが実証された。さらに、配列番号1のオリゴヌクレオチドと一緒に予め製剤化し、アラムでアジュバント添加した4種のキメラタンパク質の混合物により、マウスにおいて、4種の血清型全てに対して、細胞性及び体液性の、且つ防御的な応答が抗原の競合を伴わずに誘導されることも見出された。

4種のキメラタンパク質DIIIC−1、DIIIC−2、DIIIC−3及びDIIIC−4を、配列番号1のオリゴヌクレオチドの添加により凝集させて、次いで、マウスでさらに評価するためにこれらにアラムでアジュバント添加した。3回投薬した後、免疫した動物の100%で、4種の血清型全てに対する抗ウイルス抗体の存在を検出することが可能であった。同様に、これらのマウスの血清において4種の血清型に対して測定された中和活性が検出された。この結果と一致して、ウイルス血清型1及び4を用いた頭蓋内攻撃を実施すると、どちらの場合でも有意な防御が得られ、したがって、マウスにおいて評価した一価製剤及び四価製剤の機能性の概念実証が示された。

四価製剤により、サルにおける体液性及び細胞性の両方の機能免疫応答を誘導することもできた。この製剤の免疫原性を評価するために、デング陰性非ヒト霊長類において第2の試験を行った。動物に、試験群に応じて種々の経路によって四価製剤を3回投薬し、最後の投薬の1ヶ月後に、誘導された体液性免疫応答及び細胞性免疫応答を決定した。結果として、サルの100%でウイルス血清型の全てに対して中和抗体の抗ウイルス免疫応答が誘導されたことが見出された。また、細胞性免疫応答試験により、試験した全ての動物において陽性反応の誘導が明らかになった。

全体として、この研究により、配列番号1のオリゴヌクレオチドを有する4種の凝集タンパク質DIIIC、DVの4種の血清型全てに対する防御力が実証される。

本発明はまた、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8からなる群から選択される2種のキメラ抗原を含むことを特徴とするワクチン組成物も含む。本発明の別の目的は、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8と識別される4種のキメラ抗原を含むことを特徴とするワクチン組成物である。

別の態様では、本発明は、配列番号1と識別される配列を特徴とする核酸を提供する。本発明において十分に示されている通り、前記核酸は、DVのカプシドタンパク質の配列の少なくとも50%を含むワクチン抗原に対する免疫応答を増大させるために有用である。本発明の一実施形態では、DVのカプシドタンパク質のアミノ酸1〜99を含む組換え抗原に対する免疫応答を増大させるための、配列番号1と識別される核酸の使用が実証される。特定の実施形態では、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8と識別されるキメラ抗原に対する免疫応答を増大させるための、配列番号1と識別される核酸の使用が開示されている。

さらに、a)DVのカプシドタンパク質の配列の少なくとも50%を含む少なくとも1種の抗原と、b)配列番号1と識別されるオリゴヌクレオチドとを含むワクチン組成物を対象に投与することを特徴とする、DVに対する免疫応答を誘導する方法は本発明の目的である。一態様では、本発明は、前記タンパク質のアミノ酸1〜99を含む組換え抗原を含む組成物を特徴とする、DVに対する免疫応答を誘導する方法を提供する。前記方法の一実施形態では、組換え抗原は、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8からなる群から選択されるアミノ酸配列を有するキメラ抗原である。

本発明では、マウスにおいて免疫スケジュールにおける各DIIICタンパク質の総用量を減少させることを目的とした試験を行った。このために、2種の異なる二価製剤を逐次的に投与し、第3の追加刺激投薬を行った。結果として、4種のウイルス血清型のいずれかにおいても試験群間で統計的有意差は見出されず、これにより、DIIICの二価製剤を逐次的に投与し、配列番号1のオリゴヌクレオチドを含む四価製剤を用いて追加刺激することにより、配列番号1のオリゴヌクレオチドを有する四価製剤DIIICを3回投薬することと同じレベルの免疫原性を得ることが可能であることが示される。したがって、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8と識別されるキメラ抗原を含むワクチン組成物を二価組成物の形態で逐次的に投与する、DVに対する免疫応答を誘導する方法も本発明の目的である。本発明は、配列番号5、配列番号6、配列番号7及び配列番号8と識別される4種のキメラ抗原の四価組成物を含む追加刺激組成物をさらに投与する方法も提供する。

実施例において示されているように、DVのカプシドタンパク質の配列の少なくとも50%を含む少なくとも1種の抗原と、配列番号1と識別されるオリゴヌクレオチドとを含む組成物は、種々の経路により免疫原性であり、したがって、本発明の方法では、ワクチン組成物を、「最先端の技術」の当業者に周知の経路、例えば皮下経路、皮内経路又は筋肉内経路によって投与する。

免疫した動物における抗ウイルス抗体応答を示すグラフである。Y軸では、抗DV2対数力価がプロットされており、X軸は製剤DIIIC−2の異なる改変型を受けた動物の群である。ウイルスを抗原として使用した増幅捕捉ELISAを使用して力価を決定した。クラスカル・ワリス(Kruskal−Wallis)及びダン事後検定(Dunn’s test a posteriori)を使用した多重比較を使用した統計解析を実施した。異なる文字は群間の統計的有意差を示す。データは、平均±標準偏差として示されている。

DV2又は陰性対照調製物(mock)と一緒に培養したDIIIC−2の異なる製剤を用いて免疫したマウス由来の脾細胞をin vitroで刺激した後、ELISAによって測定されたIFN−γの濃度を示すグラフである。Y軸には、IFN−γの濃度(pg/mL)が示されている。X軸には、DIIIC−2の異なる製剤を受けた群が示されている。各点のセットの上のパーセンテージは、応答者のパーセンテージを示す。破線は、それを超えると陽性反応とみなされる値を示す。単一分類ANOVAを使用して統計解析を実施し、チューキー検定によって群間の多重比較を実施した。異なる文字は群間の統計的有意差を示す。データは、平均±標準偏差として示されている(n=8)。

DV2に対する防御アッセイを示すグラフである。A.致死株DV2を用いて頭蓋内攻撃した後の免疫したマウスについての生存曲線である。Y軸は生存のパーセンテージを示し、X軸は頭蓋内攻撃後の観察時間を示す。B.攻撃後7日目に感染脳から測定されたVERO細胞のウイルスの数量化を示す。Y軸は感染マウスの脳ホモジネート由来のVERO細胞におけるプラーク形成後に得られた1mL当たりのpfu数を示す。X軸は試験群を示す。生存曲線については、ログランク生存検定に従って統計解析を実施した。異なる文字は群間の統計的有意差を示す。データは、2つの独立した実験(n=10)を表す。ウイルス負荷量については、クラスカル・ワリス及びダン事後検定を使用した多重比較を使用して統計解析を実施した。異なる文字は群間の統計学的差を示す。データは、平均±標準偏差として示されている(n=5)。破線は100pfu/mLを示す。

サルにおいて生じ、ELISAによって測定された抗DIIIC−2抗体の反応速度論を示すグラフである。Y軸は対数力価を示し、X軸はアッセイの間の時間を日数で示す。黒い矢印は各免疫の時間を示す。

捕捉ELISAによって測定された、プラセボ(A)、凝集タンパク質DIIIC−2(B)又はNLPs−2(C)を用いて免疫したサルにおける抗DV抗体の反応速度論を示すグラフである。Y軸はlog1/力価を示し、X軸はアッセイの間の時間を日数で示す。黒い矢印は各免疫の時間を示し、破線の矢印は、ウイルスによる攻撃を行った日を示す。

プラセボ調製物又はDIIIC−2タンパク質を受けたサル由来の末梢血単核細胞をin vitroで刺激した後にELISAによって測定されたIFN−γの濃度を示すグラフである。Y軸にはIFN−γの濃度(pg/mL)が示されており、X軸にはアッセイの時間が示されている。免疫したサル由来のPBMCをDV2又は陰性対照調製物(mock)と一緒に培養した。データは、平均±標準偏差として示されている(n=3)。破線は、それを超えると陽性反応とみなされる値を示す。

VERO細胞における直接プラーク形成によって測定された、プラセボ製剤(A)、凝集タンパク質DIIIC−2(B)又はNLPs−2(C)を用いて免疫したサルの血清中のウイルス負荷量を示すグラフである。右側の軸はサル2、5及び9(破線)において検出された負荷量に対応する。左側の軸は残りの動物において検出された負荷量に対応する。X軸上には、攻撃後の時間(日数)が示されている。

遺伝子構築物pDIIIC−1、pDIIIC−2、pDIIIC−3及びpDIIIC−4を得るためのクローニング戦略を示す図である。

ELISAによって決定された、還元条件下及び非還元条件下での、同類の血清型に対して高い中和力価を有するマウスポリクローナル抗体によるキメラタンパク質DIIICの認識レベルを示すグラフである。Y軸には吸収値がプロットされており、X軸は試験したタンパク質を示す。

最後の免疫の15日後に測定した、免疫した動物における抗ウイルス抗体応答を示すグラフである。Y軸には抗DV対数力価が示され、X軸は各製剤を受けた動物の群を示す。(A)抗DV1抗体応答;(B)抗DV2抗体応答;(C)抗DV3抗体応答及び(D)抗DV4抗体応答。各ウイルスを抗原として使用した増幅捕捉ELISAを使用して力価を決定した。クラスカル・ワリス及びダン事後検定を使用した多重比較を使用して統計解析を実施した。異なる文字は群間の統計的有意差を示す。データは、平均±標準偏差として示されている(n=10)。

一価製剤DIIIC及び四価製剤DIIIC(配列番号1のオリゴヌクレオチドを含む)又はプラセボ製剤を用いて免疫し、各タンパク質DIIICを用いて刺激したマウス由来の脾細胞をin vitroで刺激した後にELISAによって測定されたIFN−γの濃度を示すグラフである。Y軸にはIFN−γの濃度(pg/mL)が示されている。X軸上には試験群が示されている。データは、平均±標準偏差として示されている。

致死株DV1を用いて頭蓋内攻撃した後(A)及びDV4を用いて頭蓋内攻撃した後(B)の、免疫したマウスの生存曲線を示すグラフである。Y軸は生存のパーセンテージを示し、X軸は頭蓋内攻撃後の観察時間を示す。ログランク生存検定に従って統計解析を実施した。異なる文字は群間の統計的有意差を示す。データは、2つの独立した実験(n=9)を表す。

非ヒト霊長類における、皮下(SC)投与経路、皮内(ID)投与経路及び筋肉内(IM)投与経路を使用して配列番号1のオリゴヌクレオチドを有する四価製剤DIIICを3回投薬した後の捕捉ELISAによって決定されたDVの4種の血清型全てに対する抗ウイルス抗体応答を示すグラフである。Y軸は抗DV対数力価を示し、X軸は動物の群を示す。

非ヒト霊長類における、配列番号1のオリゴヌクレオチドを有する四価製剤DIIICを3回投薬した後にin vitroで組換えタンパク質DIIICを用いて刺激した末梢血リンパ球由来のIFN−γを産生する細胞の発生頻度を示すグラフである。Y軸には、IFN−γを産生する細胞の発生頻度が1mL当たりのスポット数で表されている。X軸上には、動物群が示されている。

最後の免疫の15日後に測定した、免疫した動物における抗ウイルス抗体応答を示すグラフである。Y軸には抗DV対数力価が示され、X軸には各製剤を受けた動物の群が示されている。(A)抗DV1抗体応答;(B)抗DV2抗体応答;(C)抗DV3抗体応答及び(D)抗DV4抗体応答。各ウイルスを抗原として使用した増幅捕捉ELISAを使用して力価を決定した。クラスカル・ワリス及びダン事後検定を使用した多重比較を使用して統計解析を実施した。異なる文字は群間の統計学的差を示す。データは、平均±標準偏差として示されている(n=10)。

免疫したマウス由来の脾細胞をin vitroで刺激し、各タンパク質DIIICを用いて刺激した後の、ELISAによって測定されたIFN−γの濃度を示すグラフである。Y軸にはIFN−γの濃度(pg/mL)が示されている。X軸上には試験群が示されている。データは、平均±標準偏差として示されている(n=5)。

(実施形態の詳細な説明/実施例) (例1) 配列が規定された異なるオリゴヌクレオチドを有する凝集タンパク質DIIIC−2のマウスにおける免疫原性の評価 マウスにおける、タンパク質の凝集のためにランダムに選択した配列不明のおよそ50bのオリゴヌクレオチドの混合物を使用したDIIIC−2タンパク質を用いた概念実証に基づいて(Valdesら、Virology 2009年;394巻:249〜258頁)、規定された配列の種々のオリゴヌクレオチドを試験した。オリゴヌクレオチドのアジュバント能に関する文献での報告に反して、本試験で試験したものは、リン酸ジエステル結合によってのみ構成される。文献で定義されているアジュバント活性を発揮するオリゴヌクレオチドに分類されない2つの39塩基のオリゴヌクレオチドも用いられた。

試験したオリゴヌクレオチドは、以下の通りであった: オリゴヌクレオチドK3(配列番号2):ATCGACTCTCGAGCGTTCTC、20mer(ヒト及びサルのCpGモチーフを含有する。リン酸ジエステル結合の骨格) オリゴヌクレオチド2216(配列番号3):GGGGGACGATCGTCGGGGG、19mer(マウス及びサルのCpGモチーフを含有する。リン酸ジエステル結合の骨格) 混合オリゴヌクレオチド(配列番号1):ATCGACTCTCGAGCGTTCTCGGGGGACGATCGTCGGGGG、39mer(オリゴヌクレオチドK3及び2216の配列を含有する、リン酸ジエステル結合の骨格) オリゴヌクレオチドOriC(配列番号4):CATACCTCGCTCTGCTAATCCTGTTACCAGTGGCTGCTG、39mer(リン酸ジエステル結合の骨格) RNAのポリI:C骨格:ICICICICICICICICICICICICIC、26mer(リン酸ジエステル結合の骨格) DNAのポリI:C骨格:ICICICICICICICICICICICICIC、26mer(リン酸ジエステル結合の骨格)。

凝集反応を、製剤中に等量の可溶性タンパク質及び凝集タンパク質を一定のパラメータとするために、タンパク質の50%が沈殿することが可能になるオリゴヌクレオチドの質量に対するタンパク質の質量比を用いて行った。

異なるオリゴヌクレオチドを有する凝集タンパク質DIIIC−2をBALB/cマウスにおいて評価した。群は以下の通りであった: 群1:可溶性DIIIC−2(非凝集、オリゴヌクレオチドを有さない)(タンパク質20μg) 群2:混合オリゴヌクレオチド(配列番号1)を有するDIIIC−2:(タンパク質20μg+オリゴヌクレオチド2μg) 群3:オリゴヌクレオチドポリ:IC、ARNを有するDIIIC−2(タンパク質20μg+オリゴヌクレオチド2μg) 群4:オリゴヌクレオチドポリ:IC、ADNを有するDIIIC−2(タンパク質20μg+オリゴヌクレオチド2μg) 群5:オリゴヌクレオチド2216(配列番号3)を有するDIIIC−2(タンパク質20μg+オリゴヌクレオチド2μg) 群6:オリゴヌクレオチドK3(配列番号2)を有するDIIIC−2(タンパク質20μg+オリゴヌクレオチド2μg) 群7:オリゴヌクレオチドOriC(配列番号4)を有するDIIIC−2(タンパク質20μg+オリゴヌクレオチド) 群8:加熱したDIIIC−2(オリゴヌクレオチドを用いない沈殿の対照)(沈殿したタンパク質を半分(10μg)と可溶性タンパク質を半分(10μg)含有する) 群9:混合オリゴヌクレオチド(配列番号1)を有するプラセボ(2μg) 群10:102pfuの感染性DV2

全ての改変型を、アラムをアジュバントベースとして製剤化し、動物に、15日ごとに3回、腹腔内経路によって投薬した。3回目の投薬後、DV2に対する反応性抗体の検出を捕捉ELISAによって決定し、それにより、これらの動物の血清の限界希釈によって力価を決定した。図1に示されている通り、試験した全群について高力価の抗ウイルス抗体が検出され、それらの間に統計学的差異はなく(p>0.05)、これにより、キメラタンパク質DIIIC−2の凝集は抗ウイルス抗体応答に影響を及ぼさないことが示される。

免疫により生じる抗体の機能性を決定するために、in vitroにおけるウイルス中和アッセイも実施した。表1にはDV2に対する中和力価が示されている。中和力価を、プラーク数の減少が50%に達する最高希釈度と定義した。それから分かるように、全群の動物が中和により陽性であり、セロコンバージョン100%であり、幾何平均力価(GMT)が1:70を超えた。

異なるオリゴヌクレオチドを有する凝集タンパク質DIIIC−2の、細胞媒介性免疫応答を生じる能力についてもこのスキームで評価した。このために、各改変型を用いて免疫した動物の脾臓細胞を抽出し、感染性DV2を用いた刺激後に脾細胞の培養上清中のIFN−γの分泌を測定した。図2には、各群によるサイトカインの分泌の値及び応答した動物のパーセンテージが示されている。全群において有意なレベルの分泌が得られたが、配列番号1のオリゴヌクレオチドを有する凝集タンパク質を用いて免疫した群でのみ、陰性対照群に対する統計的有意差が示された。また、その群では、動物の100%がまさに応答した。細胞性免疫応答試験における応答した動物のパーセンテージとIFN−γの濃度の平均値の両方を考慮して、オリゴヌクレオチドを有する凝集タンパク質DIIIC−2製剤:混合(配列番号1)、2216(配列番号3)、K3(配列番号2)、及びOri C(配列番号4)を防御アッセイのために選択した。

この試験のために、以下のマウス15匹の群を形成した: 群1:DIIIC−2混合オリゴヌクレオチド(配列番号1)(タンパク質5μg+オリゴヌクレオチド0.5μg) 群2:DIIIC−2オリゴヌクレオチド2216(配列番号3)(タンパク質5μg+オリゴヌクレオチド0.5μg) 群3:DIIIC−2オリゴヌクレオチドK3(配列番号2)(タンパク質5μg+オリゴヌクレオチド0.5μg) 群4:DIIIC−2オリゴヌクレオチドOriC(配列番号4)(タンパク質5μg+オリゴヌクレオチド0.5μg) 群5:混合オリゴヌクレオチド(配列番号1)を有するプラセボ(0.5μg) 群6:102pfuの感染性DV2

全ての改変型を、アラムをアジュバントベースとして製剤化し、動物に、15日ごとに3回、腹腔内経路によって投薬した。免疫開始の2ヶ月後に、各群の動物10匹を、同類の神経適応ウイルスを50%致死量(LD50)で用いて攻撃し、21日間観察して生存を測定した。図3Aに得られた生存のパーセンテージが記載されている。観察された通り、配列番号1のオリゴヌクレオチドを有する製剤DIIIC−2を受けたマウスの80%超がウイルスによる攻撃に対して生存し、DV2を用いて免疫した陽性対照群と比較して統計的有意差はなかった(p>0.05)。同様に、陰性対照群の動物は10%のみがウイルスによる攻撃に対して生存し、DIIIC−2及び配列番号1のオリゴヌクレオチドを用いて免疫した群、並びに陽性対照を用いて免疫した群との統計的有意差があった(p<0.05)。さらに、オリゴヌクレオチド2216を含有する製剤を用いて免疫した動物、オリゴヌクレオチドK3を含有する製剤を用いて免疫した動物、及びオリゴヌクレオチドOriCを含有する製剤を用いて免疫した動物は生存レベルに到達せず、プラセボ群と比較して統計的有意差があった。

各群の残りの動物5匹に同じウイルスを500 LD50で与え、ウイルスによる攻撃の7日後に、全ての動物を、脳を取り出すために屠殺し、ウイルス負荷量をVERO細胞において測定した。図3Aにおいて観察された生存と一致して、配列番号1のオリゴヌクレオチドを有する製剤DIIIC−2を用いて免疫したマウスの脳内のウイルス負荷量は低く(<102pfu/ml)、陽性対照群と比較して統計学的差異はなかった(p>0.05)が、プラセボ製剤を受けた群のマウスでは平均値で104pfu/mlよりも高いウイルス負荷量が示された(図3B)。オリゴヌクレオチド2216を含有する製剤を用いて免疫した動物、オリゴヌクレオチドOriCを含有する製剤を用いて免疫した動物、及びオリゴヌクレオチドK3を含有する製剤を用いて免疫した動物では、DIIIC−2及び配列番号1のオリゴヌクレオチドの製剤を用いて実現されたレベルとプラセボ製剤を用いて実現されたレベルの中間のレベルのウイルス負荷量が示され、それらの間に統計的有意差はなかった。

(例2) 凝集タンパク質DIIIC−2及び組換えカプシドタンパク質DV2から得たヌクレオカプシド様粒子を用いて免疫した非ヒト霊長類における概念実証 マウスにおける前臨床試験に基づいて、配列番号1のオリゴヌクレオチドを伴い、アラムを用いてアジュバント添加した凝集タンパク質DIIIC−2をDVに対して陰性である非ヒト霊長類において評価した。さらに、NLPs−2(配列番号1のオリゴヌクレオチドを含有する)を受けた1つの群を評価した。同様に、プラセボ群は、アラムでアジュバント添加した組換えタンパク質を凝集させるプロセスにおいて使用した配列番号1のオリゴヌクレオチドを最大量で含有する製剤を受けた。免疫スキーマの全群に動物3匹を含めた。

DIIIC−2について選択された用量は、タンパク質100μg及び配列番号1のオリゴヌクレオチド10μgであり、NLPs−2については、タンパク質50μg及び配列番号1のオリゴヌクレオチド10μgであった。サルに、2ヶ月ごとに4回、皮下に投薬した。各投薬時、及び15日後に血液を採取して、誘導された体液性免疫応答を測定した。図4に抗DIIIC−2抗体の出現の反応速度論が示されている。それから分かるように、製剤DIIIC−2抗体を受けたサルでは、最初の投薬の15日後に検出され始めた。力価は2回目の接種後に増大し、10,000を上回る値であった。3回目の投薬後、力価はわずかに増大し、4回目の投薬後には同じレベルに維持された(平均:80,000)。NLPs−2を用いて免疫した群における抗カプシド抗体の応答は同様であった(図4)。反応性抗DV2抗体の検出を捕捉ELISAによって決定し、それにより、これらの動物の血清の限界希釈によって力価を決定した。抗ウイルス抗体の発生の動力学的試験の結果が図5に示されている。配列番号1のオリゴヌクレオチドを有する製剤DIIIC−2を受けたサルにおける抗ウイルス抗体は2回目の投薬の15日後に検出され始め(平均値:6,000)、3回目の投薬時、すなわち、免疫原の2回目の接種を受けた2ヶ月後には検出不可能なレベルまで低下した。次いで、3回目の投薬後に、力価は2回目の投薬の15日後に得られたものと同様のレベルまで増大したが、この時には、3回目の投薬の2ヶ月後に対応する4回目の投薬時に検出可能なままであった(平均:800)。さらに、4回目の接種を受けた際、動物において投与時に検出されたものよりもわずかに高い値で抗体が発生し、これらはウイルスによる攻撃時まで平均値5,000で維持された。ウイルスを投薬した場合、攻撃の20日後及び27日後に抗体力価のわずかな増大を検出することが可能であり、平均値は12,000であった。

中和抗体応答により、このウイルスに対する防御の可能性のある相関現象が示されるので、中和抗体応答もこの試験で測定した。表2には、各試料についての、Vero細胞系及びSB8553 DV2株を使用して示されている時間に得られた値が示されている。

観察された通り、DIIIC−2の2回目の投薬後に中和抗体を検出することができる。3回目の接種の15日後には、より高い力価が検出され、これは4回目の投与時に維持されていた。15日後に力価が増大し、これにより、明らかな追加刺激効果が示される。同様に、最後の投薬の1ヶ月後、ウイルスによる攻撃時に、DIIIC−2を用いて免疫した動物の全てについて高レベルの中和抗体が検出された。NLPs−2を受けた群については、予測通り、ウイルスによる攻撃前に評価した時間のいずれにおいても中和応答は検出されなかった(10未満の中和力価、データは示していない)。プラセボ群では同様の挙動が見られ、中和力価は10未満であった(データは示していない)。

最後の投薬の1ヶ月後に、DIIIC−2の群について、3種のウイルス株及び3種の異なる細胞系を使用して中和抗体も決定した。全ての場合において100%セロコンバージョンが検出され、これにより、強力な中和応答が誘導されたことが示される(表3)。

使用した実験系で実現された、それぞれ独立した動物の中和力価、並びにGMT及びセロコンバージョンのパーセンテージが示されている。

細胞性免疫応答がこの試験において測定された別のパラメータであった。4つの時点:4回目の投薬日、4回目の投薬の15日後、ウイルスによる攻撃を行った日、及びウイルスによる攻撃の27日後に単離した末梢血リンパ球を、感染性DV2を用いて刺激し、培養上清中のIFN−γの分泌を測定した。図6には、各試験時点で得られた値が示されている。DIIIC−2及び配列番号1のオリゴヌクレオチドを用いて免疫した動物3匹のうち1匹(サル6)において、ウイルスによる攻撃の前に、考察した3つの時点においてIFN−γの分泌が誘導された。同様に、感染後、27日目に、この群の別のサルも陽性であり、これにより、既往性細胞応答が測定されたことが示される。

さらに、NLPs−2を受けた3匹のうち2匹が、ウイルスによる攻撃を行った日にIFN−γについて陽性であった。同様に、感染後、27日目に、この群のサル3匹が陽性であり、これにより、この場合にも既往性細胞応答が測定されたことが示される。重要なことに、プラセボ製剤を受けた動物のいずれにおいても、ウイルスによる攻撃後でさえも抗ウイルスサイトカインは分泌されなかった。

DV2に対する防御を測定するために、全ての実験動物を、最後の投薬の1ヶ月後に感染用量のウイルスを用いて攻撃した。血液中のウイルスの存在を、VERO細胞系において直接測定することによって決定した。図7に得られた結果が示されている;プラセボ製剤を受けた動物では、平均値3.6日でウイルス血症が発生し、平均ウイルス負荷量が102pfu/mLであった。逆に、配列番号1のオリゴヌクレオチドを有するDIIIC−2タンパク質製剤を受けたサルのうち2匹ではウイルス血症が発生せず、したがって、完全に防御されたと分類される。1匹の動物(サル5)では、5日目にウイルスが検出され、ウイルス負荷量の値は非常に低く、(<10pfu)これにより、同様に有意なレベルの防御が示される。

NLPs−2を受けた群の場合では、全てのサルにおいてウイルスの存在が検出されたが、ウイルス負荷量は対照群において検出されたものと比較して小さかった。実際、サル9では非常に低いウイルス負荷量(<10pfu)が示され、これによって有意なレベルの防御がも示される。

概して、配列番号1のオリゴヌクレオチドを有する、ウイルスカプシドに基づく凝集タンパク質により、サルにおける防御応答が誘導されると言うことができる。

(例3) タンパク質:DIIIC−1、DIIIC−3及びDIIIC−4の獲得及び特徴付け DV血清型1、3及び4のエンベロープタンパク質(アミノ酸286〜426)由来のDomIIIを含有する遺伝子断片BamHI/HindIIIを同じウイルスのカプシドタンパク質と融合したプラスミドpET28の多重クローニング部位にクローニングした。この発現ベクターは、クローニングするタンパク質に関連しないアミノ酸の翻訳を排除するために、NcoI部位とBamHI部位の間の遺伝子配列がヒスチジンタグ以外は排除されるように予め改変されたものであった。プラスミドの遺伝子構築物が図8に示されている。

全ての場合において、タンパク質をそのN末端でヒスチジンタグと融合させ、T7 lacプロモーターの制御下で発現させる。これにより、発現されたら、イオン交換クロマトグラフィー及びアフィニティークロマトグラフィーを金属キレートと組み合わせることによって前記タンパク質の精製プロセスを開発することが可能になった。予め得たタンパク質DIIIC−2を精製するために、同じ方法体系を使用した。4種の組換えタンパク質を精製したら、それらの特徴付けに進んだ。まず、各ウイルス調製物を用いて免疫したマウス由来のポリクローナル血清、具体的には、各血清型の過免疫腹抗DV(HMAF)に対する各タンパク質の反応性を分析した。図9に示されている通り、ELISAによって同種のウイルス血清型由来のHMAFに対する各タンパク質の反応性を得て、これにより、ウイルスエンベロープタンパク質に対して生じた抗体の大部分が立体配置的であるので、カプシドに関して領域DomIIIの正しい提示が示される。さらに、各キメラ分子内に存在しなければならないDomIIIの領域内のジスルフィド結合(S−S)の状態を試験した。まず、各タンパク質を質量分析によって検証し、正しい結合の形成を検証した。次いで、S−S結合がポリクローナル血清抗DVに対するDomIIIの反応性に直接関与するという事実に基づいて、同類の血清型由来のHMAFに対する各組換えタンパク質の反応性を還元条件下及び非還元条件下で再分析した。図9に示されている通り、DIIIC−1タンパク質、DIIIC−2タンパク質及びDIIIC−4タンパク質について、タンパク質をアルキル化によって不可逆的に還元した場合、同類のHMAFに対する反応性が低下した。DIIIC−3については、同様に低下が観察されたが、残りのタンパク質におけるものほど顕著ではなかった。これらの結果により、S−S結合の正しい形成、及びポリクローナル抗DV抗体に対するDomIIIの反応性におけるその可能性のある役割が確認される。

(例4) マウスにおける一価製剤DIIIC及び四価製剤DIIICの免疫学的評価 配列番号1のオリゴヌクレオチドを用いて予め凝集させた各キメラタンパク質及び4種の予め凝集させた分子の四価混合物をBALB/cマウスにおいて評価した。全ての調製物を、アラムをアジュバントベースとして製剤化し、動物に15日ごとに3回、腹腔内に投薬した。陽性対照として、各ウイルス血清型を用いて免疫した4つの群を含めた。陰性対照として、1つの群にアラムでアジュバント添加した、四価製剤に含有されたオリゴヌクレオチドと同じ量のプラセボを与えた。四価製剤についてのタンパク質の量は各20μgであり、配列番号1のオリゴヌクレオチドの総量は8μgであった。一価製剤はタンパク質20μg及び配列番号1のオリゴヌクレオチド2μgを含有した。

3回目の投薬後、各ウイルスに対して反応性の抗体の検出を捕捉ELISAによって決定し(図10)、それにより、力価をこれらの動物の血清の限界希釈によって決定した。一価製剤を受けた動物は血清型1、2及び3に対して高力価の抗ウイルス抗体を有したが、DIIIC−4を用いて免疫した動物は同類の血清型(DV4)に対する力価を有さなかった。しかし、四価製剤テトラ−DIIICを受けた動物では、他の血清型と比較して力価は低かったが、DV4に対する抗体が発生した。この結果により、4種のタンパク質の混合物が、おそらく、いくらかのレベルの他の血清型との交差反応性により、DV4に対する抗体の誘導に有利であることが示される。

四価製剤テトラ−DIIICを用いた免疫により生じる抗体の機能性を決定するために、血清型1、2、3及び4に対するin vitroにおけるウイルス中和アッセイ(表4)を行った。アッセイは世界保健機関(WHO;World Health Organization)のガイドラインに従い、また、参照株を使用して実施した。DIIIC−1タンパク質を用いて免疫したマウス、DIIIC−2タンパク質を用いて免疫したマウス、及びDIIIC−3タンパク質を用いて免疫したマウスでは、同種のウイルスに対して、対照群のマウスにおいて複製性ウイルスによって引き出されるものと同等の高力価の中和抗体が示された。DIIIC−4タンパク質を用いて免疫した動物では応答は示されず、これはDV4に対する中和抗体が検出されなかった抗ウイルス応答の結果と一致した。しかし、四価製剤により、血清型1、2及び3に対する中和抗体が誘導されることに加えて、DV4に対する機能性抗体も誘導された。

全ての場合において、マウス由来の血清の混合物を分析した。(−):未決定。

この試験において測定された別のパラメータは細胞性免疫応答であった。このために、四価製剤テトラ−DIIICを用いて免疫した動物の脾臓細胞を最後の投薬の30日後に抽出し、4種の組換えタンパク質を用いて刺激した後に脾細胞の培養上清中のIFN−γの分泌を測定した。陰性対照として、プラセボ製剤を接種したマウスの脾細胞を使用した。得られた結果が図11に示されている。観察された通り、4種の組換えタンパク質を用いて刺激した後に高レベルのIFN−γが検出され、これにより、各血清型に対して得られた細胞応答の同等性が示される。

最後に、マウスにおけるウイルス性脳炎のモデルに対して防御アッセイを実施した。この実験のために、四価製剤テトラ−DIIICを用いて免疫した動物、一価製剤DIIIC−1を用いて免疫した動物、及び一価製剤DIIIC−4を用いて免疫した動物、陽性対照動物(それぞれDV1及びDV4を用いて免疫した動物)、並びにプラセボ製剤を用いて免疫した動物を選択した。同様に、使用した攻撃用ウイルスは、動物の死亡原因となり得るDV1及びDV4であった。図12に示されている通り、一価製剤と四価製剤のどちらを用いても血清型1及び4に対して高レベルの防御が得られ、全ての場合において、ウイルス対照群と比較して統計学的差異はなかった(p>0.05)。これらの結果により、試験した、配列番号1のオリゴヌクレオチドを有する凝集タンパク質DIIICに基づく製剤の血清型1及び4に対する防御力が示される。

(例5) 非ヒト霊長類における四価製剤テトラ−DIIICの免疫学的評価 マウスにおいて評価した四価製剤テトラDIIICを、非ヒト霊長類において同様に評価した。それぞれ動物3匹の試験群を3つ形成して、3つの異なる抗原投与の経路によって四価製剤を与えた:群1:皮下、群2:皮内、及び群3:筋肉内。群1及び3には、全て混合し、アラムでアジュバント添加したものである、配列番号1のオリゴヌクレオチド5μgを用いて予め凝集させた各キメラタンパク質50μgを与えた。群2には、他の2つの経路の10分の1の免疫原を皮内経路によって与え、これは各タンパク質5μg及び配列番号1のオリゴヌクレオチドの総量2μgであり、全て混合し、アラムでアジュバント添加したものであった。プラセボ群には、アラムでアジュバント添加した、群1及び3と同じ量の配列番号1のオリゴヌクレオチドを筋肉内に与えた。各投薬時、及びそれらの1ヶ月後に血液を採取して、誘導された体液性免疫応答及び細胞性免疫応答を測定した。

各ウイルス血清型に対する反応性抗体の検出を捕捉ELISAによって決定し、それにより、これらの動物の血清の限界希釈によって力価を決定した。図13には、配列番号1のオリゴヌクレオチドを含むテトラ−DIIIC製剤を3回投薬した後にサルにおいて生じた抗ウイルス抗体応答が示されている。観察された通り、抗原投与の経路にかかわらず、捕捉ELISA系において、サルにおいて4種のウイルス血清型を認識することができる抗体応答が引き出された。さらに、この応答は4種のDVに対して均一のパターンを示し、これは、バランスのとれた免疫応答を必要とするこのヒト病原体に対するワクチンの発生の重要なステップになっている。

中和抗体の測定を、VERO細胞において、ウイルス株Jamaica DV1、SB8553 DV2、Nicaragua DV3及びDominica DV4を使用し、プラーク還元中和試験(PRNT)の技法を使用して実施した。3回目の免疫後に得られた値を表5に示す。

製剤テトラDIIICを用いて免疫した動物全てで、抗原投与の経路にかかわらず、in vitroでウイルス感染を中和できる抗体応答が生じた。4種の血清型全てに応答する動物の100%で中和抗体応答が生成されることが、現在デングに対するワクチンの開発の前提になっている。プラセボ群では、免疫した動物全てにおいて中和力価が20よりも低かった。

測定したパラメータのうちの1つは細胞性免疫応答であった。PBMCを、組換えタンパク質DIIICのそれぞれを用いて刺激し、IFN−γを産生する細胞の発生頻度をELISPOTアッセイによって測定した。図14に得られた値が示されている。四価製剤テトラ−DIIICを3回投薬した後、動物において組換えタンパク質を用いた刺激に対して抗ウイルスサイトカインを分泌することができる細胞が生じ、応答は筋肉内に免疫した動物で比較的大きかった。評価した全群において、動物の100%が試験した4種のタンパク質に対して応答した。

(例6) 初回刺激−追加刺激レジメンにおける、タンパク質DIIICの二価製剤及び四価製剤及び配列番号1のオリゴヌクレオチドの併用投与のマウスにおける免疫学的評価 各タンパク質製剤DIIICの同じ免疫化スキームでの投薬を2回のみにするために、以下の実験計画を実行した: 逐次的群I 投薬1:二価製剤DIIIC−1/DIIIC−2 投薬2:二価製剤DIIIC−3/DIIIC−4 投薬3:四価製剤テトラDIIIC 逐次的群II 投薬1:二価製剤DIIIC−1/DIIIC−3 投薬2:二価製剤DIIIC−2/DIIIC−4 投薬3:二価製剤テトラDIIIC テトラDIIIC群:全て四価製剤テトラDIIICの投薬

配列番号1のオリゴヌクレオチドを用いて予め凝集させたキメラタンパク質DIIICを混合して二価製剤及び四価製剤を形成した。二価製剤当たりの免疫原は各タンパク質20μg及び配列番号1のオリゴヌクレオチド4μgで構成された。四価製剤についてのタンパク質の量は各20μg及び配列番号1のオリゴヌクレオチドの総量8μgであった。全ての改変型を、アラムをアジュバントとして製剤化し、15日ごとに腹腔内に投与した。四価製剤テトラ−DIIICのみを受ける群を陽性対照として使用し、プラセボ群を陰性対照として使用した。

3回目の投薬後、各ウイルスに対して反応性の抗体の検出を捕捉ELISAによって決定し(図15)、それにより、これらの動物の血清の限界希釈によって力価を決定した。結果として、本発明者らは、試験群間で4種のウイルス血清型のいずれに対しても統計的有意差はないことを見出し、これにより、二価製剤及び四価テトラ−DIIICを用いた追加刺激の逐次的投与により、四価製剤の3回投薬と同じレベルの免疫原性を得ることが可能であることが示される。

さらに、細胞性免疫応答も測定した。試験の各群からの免疫した動物由来の脾臓細胞を、最後の投薬の30日後に抽出し、4種の組換えタンパク質を用いて刺激した後に脾細胞の培養上清中のIFN−γの分泌を測定した。陰性対照として、プラセボ製剤を接種したマウスの脾細胞を使用した。得られた結果が図16に示されている。それから分かるように、全群(プラセボ以外)において4種の組換えタンパク質を用いて刺激した後に高レベルのIFN−γが検出され、これにより、使用する免疫レジメン及び最初の2回で投薬した二価製剤に関係なく、得られる細胞応答が同等であることが示される。

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