時計または宝飾品の要素のエピラム化方法

申请号 JP2017204198 申请日 2017-10-23 公开(公告)号 JP2018069233A 公开(公告)日 2018-05-10
申请人 ザ・スウォッチ・グループ・リサーチ・アンド・ディベロップメント・リミテッド; 发明人 クレール・ラヌー; クリストフ・ルトンドール; ニコラ・フランソワ;
摘要 【課題】従来の浸漬塗布エピラム化方法で得られるものと同等かそれ以上の高い品質のエピラム化が得られる、環境にやさしい新たなエピラム化方法を提供する。 【解決手段】本発明は、 基板 表面の少なくとも一部をエピラム化する方法であって、 a)エピラム剤を調製するステップと、 b)任意選択で、基板表面を調製するステップと、 c)基板とエピラム剤とを周囲圧 力 でチャンバーに入れるステップと、 d)25〜74barの圧力と10〜80℃の 温度 で、1〜30分間にわたって密閉チャンバーにCO 2 を導入するステップと、 e)チャンバー内を減圧するステップと、 f)エピラム化した基板をチャンバーから取り出すステップと を含むエピラム化方法に関する。 【選択図】なし
权利要求

基板表面の少なくとも一部をエピラム化する方法であって、 a)エピラム剤を調製するステップと、 b)任意選択で、前記基板表面を調製するステップと、 c)前記基板と前記エピラム剤とを周囲圧でチャンバーに入れるステップと、 d)25〜74barの圧力と10〜80℃の温度で、1〜30分間にわたって前記密閉チャンバーにCO2を導入するステップと、 e)前記チャンバー内を減圧するステップと、 f)エピラム化した前記基板を前記チャンバーから取り出すステップと を含むエピラム化方法。ステップd)の前記密閉チャンバーにおける圧力は45〜70barであることを特徴とする、請求項1に記載のエピラム化方法。ステップd)の前記密閉チャンバーにおける圧力は50〜60barであることを特徴とする、請求項2に記載のエピラム化方法。ステップd)の前記密閉チャンバーにおける温度は25〜60℃であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載のエピラム化方法。ステップd)の前記密閉チャンバーにおける温度は30〜50℃であることを特徴とする、請求項4に記載のエピラム化方法。ステップd)の時間は1〜20分間であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のエピラム化方法。ステップd)の時間は3〜15分であることを特徴とする、請求項6に記載のエピラム化方法。前記方法は、ステップe)とf)の間に、エピラム化した前記基板を熱処理するステップg)をさらに含むことを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のエピラム化方法。ステップb)は、10〜80℃の温度と25〜250barの圧力でのCO2処理を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のエピラム化方法。前記エピラム剤は純粋な形であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のエピラム化方法。前記エピラム剤は溶媒中の溶液の形であり、溶媒とCO2との混合物中のその濃度が、混合物(CO2+溶媒)1000g当たり10mg〜5gであることを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載のエピラム化方法。溶媒とCO2との混合物中の前記エピラム剤の濃度は、混合物(CO2+溶媒)1000g当たり50mg〜1gであることを特徴とする、請求項11に記載のエピラム化方法。溶媒とCO2との混合物中の前記エピラム剤の濃度は、混合物(CO2+溶媒)1000g当たり100〜500mgであることを特徴とする、請求項12に記載のエピラム化方法。前記溶媒はフッ素化溶媒であることを特徴とする、請求項11〜13のいずれか一項に記載のエピラム化方法。前記エピラム剤はフッ素化ポリマーであることを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載のエピラム化方法。少なくともその一部にエピラム剤を塗布する前記基板表面は、金属、金属酸化物、ポリマー、サファイア、ルビー、ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、DLC(ダイヤモンド状炭素)、およびそれらの合金からなるグループから選択される材料で作られていることを特徴とする、請求項1〜15のいずれか一項に記載のエピラム化方法。前記基板は時計または宝飾品の要素の一部であることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一項に記載のエピラム化方法。

说明书全文

本発明は、機械学の領域、具体的には時計製作技術または宝飾品類の領域に関する。より具体的には、時計または宝飾品に存在する基板の表面の少なくとも一部をエピラム化する方法に関する。

特定の表面性状を特別に改善する適切な薬剤を用いた処理によって基板の表面状態を修正するさまざまな方法が存在する。例えば、機械学の領域、具体的には時計製作技術の領域では、また宝飾品類の領域でも、エピラム剤を用いて部分や要素の表面のエピラム化を行い、使用時に上記表面の表面エネルギーを制御する、または減少させる。より具体的には、エピラム剤の目的は、潤滑油を処理表面の所定の場所にとどまらせ、それにより拡散を防止する目に見えない疎性および疎油性分子の層を要素の表面に形成することによって、時計または宝飾品の要素上のオイル、つまり潤滑油の拡散を防ぐことである。潤滑油をその動作領域にとどめておくことで、耐久性が向上する。

現在、Moebius(登録商標) Fixodrop(登録商標)FK/BSまたは3M(商標) Fluorad(商標)シリーズ(FC−722など)といった市販されているエピラム剤の大半は、全フッ素化溶媒またはフッ素化溶媒に溶解したフルオロポリマーから成る。通常、エピラム化方法は、エピラム剤を添加した全フッ素化溶媒またはフッ素化溶媒からなるエピラム槽で、エピラム化する部品を浸漬塗布することによって実現する。

最近までもっとも一般的に使用されていたフッ素化溶媒はテトラデカフルオロヘキサンと3M(商標)HFE−7100であった。しかしながら、テトラデカフルオロヘキサンは、特に蒸発すると温室効果ガスを発生するという欠点があり、これは3,200年にわたって空気中で安定したままで、地球温暖化係数がCO2当量で7,400となる。

そのような溶媒の使用は、新たな環境規制によって禁止されてきているため、新しいフッ素化溶媒が開発されている。しかしながら、こうした新世代フッ素化溶媒(例えば3M(商標)HFE−7200)は空気中での安定性は低いものの、それでも環境への影響がある。そのため、機械または閉鎖系装置の使用が求められ、将来、さらに厳しい規制の影響を受ける可能性がある。さらに、こうした新世代フッ素化溶媒は比較的高価である。

有毒で高価なフッ素化溶媒を用いた従来のエピラム化方法に代えて、特許文献1は、水とプロパノールの混合物中のエピラム分子溶液を用いたエピラム化方法を提案している。このエピラム化方法では、エピラム分子は水とプロパノールの混合物に可溶でなければならないため、非常に限定された数のエピラム剤しか使用できないという欠点がある。しかしながら、当業者にはよく知られているように、最高のエピラム特性はフッ素化分子により得られるため、水とプロパノールの混合物中の溶解度が非常に低い。

また、従来の浸漬塗布エピラム化方法で用いられるエピラム剤の濃度は非常に低く(通常、含有量は20〜250mg/L)、使用されるフッ素化溶媒は揮発性(沸点が100℃未満)である。そのため、エピラム槽中のエピラム剤の濃度を滴定によって検査せねばならず、またエピラム槽の組成変化に応じてエピラム剤の濃縮液または溶媒を添加する必要があることから、エピラム槽の日常的な産業管理は複雑である。

欧州特許出願公開第1927648号明細書

欧州特許出願公開第3070133号明細書

本発明の目的は、既知のエピラム化方法のさまざまな欠点を克服することである。

より正確には、本発明の目的は、従来の浸漬塗布エピラム化方法で得られるのと同等の、またはそれより高い品質のエピラム化が得られる新たなエピラム化方法を提供することである。

また、有毒なフッ素化溶媒を大量に使用しない、環境にやさしい新たなエピラム化方法を提供することも本発明の目的である。

また、高価なフッ素化溶媒を大量に使用しない、新しい経済的なエピラム化方法を提供することも本発明の目的である。

また、エピラム槽の日常管理を単純化できる、新たなエピラム化方法を提供することも本発明の目的である。

このため、本発明は、基板表面の少なくとも一部をエピラム化する方法であって、 a)エピラム剤を調製するステップと、 b)任意選択で、基板表面を調製するステップと、 c)基板とエピラム剤とを周囲圧でチャンバーに入れるステップと、 d)25〜74barの圧力と10〜80℃の温度で、1〜30分間にわたって密閉チャンバーにCO2を導入するステップと、 e)チャンバー内を減圧するステップと、 f)エピラム化した基板をチャンバーから取り出すステップと を含むエピラム化方法に関する。

本発明によれば、CO2を超臨界条件に近い形態で使用することで、エピラム剤を運び、上記エピラム剤の目に見えない疎水性および疎油性分子の層の堆積を実現する。したがって、本発明による方法では、フッ素化溶媒の使用が大幅に削減されるため、またはフッ素化溶媒を使用しないため、本発明の方法は環境にやさしく経済的である一方で、エピラム品質が維持される。

エピラム化方法は、一般に時計または宝飾品の要素の一部であり、潤滑剤に接触することが想定される基板表面へのエピラム剤の層の堆積に関する。エピラム剤の層は、目に見えない疎水性および疎油性分子の層を形成し、潤滑油の拡散を妨げる。

本発明によれば、上記基板の表面の少なくとも一部をエピラム化する方法は、 a)エピラム剤を調製するステップと、 b)任意選択で、基板表面を調製するステップと、 c)基板とエピラム剤とを周囲圧力、すなわち0.6〜1.1barの圧力でチャンバーに入れ、チャンバーを密閉するステップと、 d)25〜74bar、好ましくは45〜70bar、より好ましくは50〜60barの圧力と、10〜80℃、好ましくは25〜60℃、より好ましくは30〜50℃の温度で、1〜30分間、好ましくは1〜20分間、より好ましくは3〜15分間にわたって密閉チャンバーにCO2を導入するステップと、 e)チャンバー内を減圧するステップと、 f)エピラム化した基板をチャンバーから取り出すステップと を含む。

通常は、ステップb)に従って、エピラム化前に基板表面を丁寧に洗浄して、完全に清潔にしておく必要がある。当業者に既知の任意の適切な表面調製処理が利用できる。しかしながら、有利には、ステップb)は、10〜80℃の温度と25〜250barの圧力で、1〜60分間にわたる基板のCO2表面処理を含むことができる。そのような処理によって、とりわけ表面から粉塵粒子とグリースを除去することができる。有利には、ステップb)の処理は、ステップd)で使用するのと同じチャンバーで実施する。それにより、本発明の異なるステップを相次いで実施することができ、部品の取り扱いが避けられる。その場合、基板を設置したチャンバーを閉じてステップb)を実施し、その後で開いて、ステップc)でエピラム剤を中に入れ、その後で再び閉じて、ステップd)を実施する。

特に有利には、本発明の方法で任意の既知のエピラム剤を使用できる。好ましくは、エピラム剤はフッ素化ポリマーであり、また有利には、エピラム剤は、同じ出願者による特許文献2に記載のエピラム剤のグループから選択される。この選択により、有利には、時計職人による洗浄に耐性があるエピラム膜が形成される。

第1の実施形態では、エピラム剤は純粋な形でチャンバーに入れてよい。

第2の実施形態では、エピラム剤は溶媒中の溶液の形でチャンバーに入れてよい。チャンバーの容量およびCO2圧力に応じて、エピラム剤溶液の適切な容量と濃度を決定し、溶媒とCO2との混合物中のエピラム剤の濃度を、混合物(CO2+溶媒)1000g当たり10mg〜5g、好ましくは混合物(CO2+溶媒)1000g当たり50mg〜1g、さらに優先的には混合物(CO2+溶媒)1000g当たり100〜500mgとする。

好ましくは、上記溶媒は有機溶媒、好ましくはフッ素化溶媒、より優先的にはパーフルオロオレフィンである。

その結果、エピラム剤がフッ素化溶媒中の溶液中にあるとき、本発明の方法で実現されるフッ素化溶媒の量は、従来のエピラム槽で用いられる量と比べると非常に少ない。

好ましくは、ステップe)におけるチャンバー内の減圧は、数秒間から数分間にわたって、例えば5秒間〜10分間にわたってゆっくり行う。有利には、CO2は回収または再循環させる。有利には、エピラム剤は回収し、次のバッチのエピラム化に再利用する。

好ましくは、本発明によるエピラム化方法は、ステップe)とf)の間に、エピラム化した基板の追加的な熱処理ステップg)をさらに含む。例えば、エピラム化した基板をチャンバー内で、2〜30分間にわたって30〜80℃まで加熱する。そのような熱処理によって、処理した基板表面へのエピラム剤の接着が向上する。

有利には、少なくともその一部にエピラム剤を塗布する基板表面が、金属、金属酸化物、ポリマー、サファイア、ルビー、ケイ素、酸化ケイ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、DLC(ダイヤモンド状炭素)、およびそれらの合金からなるグループから選択される材料で作られている。

より具体的には、基板表面は、鋼、例えば金、ロジウム、パラジウム、白金などの貴金属、またはアルミニウム、ジルコニウム、チタン、クロム、マンガン、マグネシウム、鉄、ニッケル、銅、亜鉛、モリブデン、銀、タングステン、およびそれらの合金のドープした、もしくはドープされていない金属酸化物、またはポリオキシメチレン、またはアクリルアミドで作られていてよい。

本発明による方法では、部品のバッチ処理が可能になる。さらに、異なるステップすべてを同じチャンバーで実施することができ、不要な取り扱いが避けられる。本発明による方法では、高価で有毒なフッ素化溶媒からなるエピラム槽を使用せず、加えて、エピラム槽を監視する必要がない。そのため、環境にやさしく、経済的で、実施が簡単である。さらに、本発明による方法では、従来の浸漬塗布エピラム化方法で得られるのと少なくとも同程度のエピラム品質を得ることができる。特に、本発明の方法に従って処理した基板には微量のエピラム剤が残留せず、エピラム剤の効果は同程度で、堆積したエピラムの洗浄耐性は少なくとも同等である。

以下の実施例は本発明を説明するものであり、本発明の範囲を限定するものではない。

エピラム剤として、同じ出願者による特許文献2に記載の化合物を使用する。

使用する手順: 基板の調製 エピラム処理の前に、標準的な時計職人の方法を用いて、さまざまな種類の基板を洗浄する。より具体的には、パーツを超音波存在下でRubisol溶液を用いて洗浄し、イソプロピルアルコールで何度かすすぎ、次いで温風で乾燥させる。

本発明による基板のエピラム処理(CO2使用): 本発明に従って、以下をオートクレーブ(255mL)に導入する。 − エピラム化するさまざまな性質の基板 − Vertrel Suprion中にエピラム剤1g/Lが含まれる溶液30mL オートクレーブを閉じ、次いで225mLのCO2を、圧力55bar、温度40℃でオートクレーブに導入する。エピラム化時間は10分間に設定し、次いでオートクレーブをゆっくり減圧し(減圧時間:40秒間)、15分間かけて65℃に加熱する。最後に、エピラム化した基板を取り出して分析する。

比較例:浸漬塗布によるエピラム化 エピラム剤の溶液(構造は上述)(溶媒:DuPont(商標) Vertrel(登録商標) Suprion(商標)1L当たり250mg)中に基板を浸漬させて(約5分間)エピラム化し、次いで温風で乾燥させる。

エピラム化の効果と特性: − 美的外観: 本発明の方法に従ってエピラム化した基板(CO2使用)と比較例の方法(浸漬塗布)を視覚的に検査した。いずれの方法でも、エピラム膜は目に見えなかった。 − 接触 エピラム剤の効果は、潤滑油(MOEBIUS 9010オイル)を滴下することによって評価する。基板と潤滑油の接触角を、DataPhysics OCA測定器で測定した。

結果は以下の通りであった。

− 洗浄耐性 エピラム剤の洗浄耐性を、エピラム化したパーツを3回連続で洗浄処理した後に評価した(Rubisol溶液を用いた標準的な時計職人の洗浄)。

結果は以下の通りであった。

結論: 上述の結果は、エピラム化の直後と時計職人の洗浄処理を3回行った後に9010オイルを用いて得られた接触角度が、本発明の方法(CO2使用)と比較例の方法(浸漬塗布)で同等であることを示している。いくつかの例(Niまたはメチレンポリオキシド基板)では、エピラム剤の洗浄耐性は、本発明の方法で後者を堆積させた場合、さらにわずかにすぐれている。ここから、大量の溶媒を使用する浸漬塗布方法は、性能が低下することなく(エピラム化とエピラム化の耐性)、環境にやさしく経済的な、本発明によるCO2を使用したエピラム化方法に置き換えられることが示される。

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