コハク酸イミド化合物、潤滑油添加剤および潤滑油組成物

申请号 JP2012076720 申请日 2012-03-29 公开(公告)号 JP5829965B2 公开(公告)日 2015-12-09
申请人 JX日鉱日石エネルギー株式会社; 发明人 田川 一生; 阿部 紀子; 遠藤 美帆; 上野 龍一;
摘要
权利要求

下記一般式(1)で表されるコハク酸イミド化合物。 [式(1)中、R1は数平均分子量500以上5000未満のアルキル基又は数平均分子量500以上5000未満のアルケニル基を示し、nは1〜3の整数を示す。]下記一般式(2)で表される化合物と、下記一般式(3)で表される化合物との反応により得られるコハク酸イミド化合物。 [式(2)中、R1は数平均分子量500以上5000未満のアルキル基又は数平均分子量500以上5000未満のアルケニル基を示す。] [式(3)中、nは1〜3の整数を示す。]請求項1又は2に記載のコハク酸イミド化合物を含有する潤滑油添加剤。潤滑油基油と、請求項1又は2に記載のコハク酸イミド化合物とを含有する潤滑油組成物。潤滑油基油と、請求項1又は2に記載のコハク酸イミド化合物とを含有する無段変速機用潤滑油組成物。

说明书全文

本発明は、新規なコハク酸イミド化合物、並びに該化合物を含有した潤滑油添加剤及び潤滑油組成物に関する。

コハク酸イミド化合物は、ガソリンエンジン油やディーゼルエンジン油などの内燃機関用潤滑油の分野において、生成する不溶解分を油中に分散させる無灰分散剤として用いられている。一方、コハク酸イミド化合物は、自動変速機などの駆動系潤滑油の分野において、摩擦を高める摩擦調整剤として使用されている。

従来のコハク酸イミド化合物としては、高分子量のアルケニルもしくはアルキル基で置換されたこはく酸無物と、ポリアルキレンポリアミンとの反応により得られるコハク酸イミド化合物などが知られている(下記特許文献1〜3を参照。)また、置換コハク酸イミドの製造方法として、マレイミド化合物及びケイ素エノラートを反応させる方法が知られている(下記特許文献4を参照。)

特開2005−146148号公報

特開平10−265793号公報

特開平10−219269号公報

特開平2007−238524号公報

本発明は、内燃機関用潤滑油における無灰分散剤、駆動系潤滑油における摩擦調整剤などの用途に有用な新規なコハク酸イミド化合物、並びに該化合物を含有した潤滑油添加剤及び潤滑油組成物を提供することを目的とする。

上記課題を解決するために、本発明は、下記一般式(1)で表されるコハク酸イミド化合物を提供する。

[式(1)中、R1は数平均分子量500以上5000未満のアルキル基又は数平均分子量500以上5000未満のアルケニル基を示し、nは1〜3の整数を示す。]

また、本発明は、下記一般式(2)で表される化合物と、下記一般式(3)で表される化合物との反応により得られるコハク酸イミド化合物を提供する。

[式(2)中、R1は数平均分子量500以上5000未満のアルキル基又は数平均分子量500以上5000未満のアルケニル基を示す。]

[式(3)中、nは1〜3の整数を示す。]

本発明のコハク酸イミド化合物は、従来のコハク酸イミド化合物と比較して、非常に優れた特性を有するため、内燃機関用潤滑油における無灰分散剤、駆動装置用潤滑油における摩擦調整剤などの用途に有用である。

例えば、近時、駆動系潤滑油では、燃費効率向上の観点から自動変速機内部での摩擦力を効率よく駆動力に転換するために、従来以上の高い摩擦係数が求められている。しかし、上記の特許文献1〜3に記載されているような従来のコハク酸イミド化合物を用いた場合には、十分な摩擦特性向上効果を得ることができなかった。なお、この原因としては、従来のコハク酸イミド化合物の場合、コハク酸イミド化合物自体の摩擦特性向上効果が不十分であることに加えて、コハク酸イミドの量を増やすと金属表面への吸着性が変化してその他の添加剤のバランスを崩してしまい、結果として摩擦特性を悪化させてしまうことが考えられる。

それに対して、本発明のコハク酸イミド化合物は、従来のコハク酸イミド化合物と比較して、摩擦特性向上効果に優れるため、自動変速機内部での摩擦力を効率よく駆動力に転換するための高い摩擦係数を達成することができ、燃費効率を向上させることができる。

また、本発明は、上記本発明のコハク酸イミド化合物を含有する潤滑油添加剤を提供する。

また、本発明は、潤滑油基油と、上記本発明のコハク酸イミド化合物とを含有する潤滑油組成物を提供する。

また、本発明は、潤滑油基油と、上記本発明のコハク酸イミド化合物とを含有する無段変速機用潤滑油組成物を提供する。

本発明の潤滑油組成物は、リン化合物をさらに含有することが好ましい。

本発明によれば、内燃機関用潤滑油における無灰分散剤、駆動系潤滑油における摩擦調整剤などの用途に有用な新規なコハク酸イミド化合物、並びに該化合物を含有した潤滑油添加剤及び潤滑油組成物を提供することが可能となる。

実施例1で得られたコハク酸イミド化合物のIRチャートを示す図である。

以下、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。

[第1実施形態;コハク酸イミド化合物] 本発明の第1実施形態に係るコハク酸イミド化合物は、下記式(1)で表される構造を有する。

一般式(1)中のR1としては、ポリブテニル基、ポリイソブテニル基が好ましい。また、数平均分子量は、500以上5000未満であり、好ましくは700〜4000、より好ましくは800〜3500である。

また、一般式(1)中のnは1〜3の整数であり、好ましくは1〜2の整数、より好ましくは1である。nが上記上限値を超えると基油に対する溶解性が低下する傾向にある。

一般式(1)で表されるコハク酸イミド化合物の好ましい例として、以下の化合物が挙げられる。

[式(4)中、R1は数平均分子量500以上5000未満のアルキル基又は数平均分子量500以上5000未満のアルケニル基を示す。]

一般式(1)で表されるコハク酸イミド化合物は、ホウ素化せずにそのまま(すなわち非ホウ素化コハク酸イミド化合物として)用いてもよく、あるいはホウ素化コハク酸イミド化合物として用いてもよい。さらに、ホウ素化コハク酸イミド化合物と非ホウ素化コハク酸イミド化合物とを組み合わせて用いてもよい。

ホウ素化コハク酸イミド化合物は、式(1)で表されるコハク酸イミド化合物に対し、ホウ素含有化合物を、通常50〜250℃、好ましくは100〜200℃の温度で反応させることにより得ることができる。ホウ素含有化合物としては、酸化ホウ素、ハロゲン化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸無水物およびホウ酸エステルなどが挙げられる。これらのホウ素含有化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

[第2実施形態:コハク酸イミド化合物] 本発明の第2実施形態に係るコハク酸イミド化合物は、下記一般式(2)で表される化合物と、下記一般式(3)で表される化合物との反応により得られるコハク酸イミド化合物である。

[式(2)中、R1は数平均分子量500以上5000未満のアルキル基又は数平均分子量500以上5000未満のアルケニル基を示す。]

[式(3)中、nは1〜3の整数を示す。]

一般式(2)中のR1並びに一般式(3)中のnは、それぞれ一般式(1)中のR1並びにnと同一の定義内容を示す。これらの好ましい態様も一般式(1)の場合と同様であり、ここでは重複する説明を省略する。

上記一般式(3)で示される化合物の具体例としては、下記式(5)で表される1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサンが例示出来る。

一般式(2)で表される化合物と一般式(3)で表される化合物との反応においては、通常、上記一般式(1)で表されるコハク酸イミド化合物が主生成物として得られる。また、一般式(3)で表される化合物の反応部位は2箇所あるため、原料化合物の仕込み比(モル比)によっては、反応生成物中に一般式(3)で表される化合物1当量に対して一般式(2)で表される化合物が2当量反応した下記一般式(6)で表される副生成物が存在し得る。本実施形態においては、反応生成物から上記の副生成物を除去し、一般式(1)で表されるコハク酸イミド化合物のみを潤滑油添加剤として用いてもよく、あるいは、一般式(1)で表されるコハク酸イミド化合物と上記の副生成物との混合物を潤滑油添加剤として用いても良い。

[式(6)中、R1は数平均分子量500以上5000未満のアルキル基又は数平均分子量500以上5000未満のアルケニル基を示し、nは1〜3の整数を示す。]

また、一般式(2)で表される化合物及び一般式(3)で表される化合物の仕込み比を適宜選定することによって、反応生成物中の一般式(1)で表されるコハク酸イミド化合物の割合を調整することが可能である。一般式(1)で表されるコハク酸イミド化合物をより確実に得ることができる点から、両者の仕込み比は、一般式(2)で表される化合物1molに対して、一般式(3)で表される化合物が、好ましくは1〜2mol、より好ましくは1〜1.8mol、さらに好ましくは1.1〜1.6mol、特に好ましくは1.2〜1.5molである。

一般式(2)で表される化合物と一般式(3)で表される化合物との反応条件は特に制限されないが、反応温度は145〜180℃、好ましくは155〜175℃であり、反応時間は6〜12、好ましくは8〜10時間である。 必要に応じて反応溶媒を用いることが出来、溶媒としては、一般式(5)で表される化合物と一般式(6)で表される化合物を溶解するものが好ましく、具体的には有機溶媒であり、エタノール、トルエン、キシレン類などが例示できる。

本実施形態に係るコハク酸イミド化合物は、ホウ素化せずにそのまま(すなわち非ホウ素化コハク酸イミド化合物として)用いてもよく、あるいはホウ素化コハク酸イミド化合物として用いてもよい。さらに、ホウ素化コハク酸イミド化合物と非ホウ素化コハク酸イミド化合物とを組み合わせて用いてもよい。

ホウ素化コハク酸イミド化合物は、式(1)で表されるコハク酸イミド化合物に対し、ホウ素含有化合物を、通常50〜250℃、好ましくは100〜200℃の温度で反応させることにより得ることができる。ホウ素含有化合物としては、酸化ホウ素、ハロゲン化ホウ素、ホウ酸、ホウ酸無水物およびホウ酸エステルなどが挙げられる。これらのホウ素含有化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。

[第3実施形態:潤滑油添加剤] 本実施形態に係る潤滑油添加剤は、上記の第1実施形態又は第2実施形態に係るコハク酸イミド化合物を含有する。当該潤滑油添加剤は、第1実施形態又は第2実施形態に係るコハク酸イミド化合物のみからなるものであってもよく、第1実施形態又は第2実施形態に係るコハク酸イミド化合物と他の添加剤との混合物であってもよい。また、当該潤滑油添加剤は、添加剤を溶解するための希釈剤をさらに含有してもよい。

第1実施形態及び第2実施形態に係るコハク酸イミド化合物は、潤滑油分野に用いられる各種添加剤との適合性に優れている。そのため、本実施形態に係る潤滑油添加剤が第1実施形態又は第2実施形態に係るコハク酸イミド化合物と他の添加剤との混合物である場合、併用される他の添加剤の種類は特に制限されず、第1実施形態又は第2実施形態に係るコハク酸イミド化合物と併用される他の添加剤の種類並びに両者の配合量は、潤滑油添加剤の用途・目的に応じて適宜選定することができる。併用される他の添加剤の具体例は後述する。

[第4実施形態:潤滑油組成物] 本発明の第4実施形態に係る潤滑油組成物は、潤滑油基油と、上記第1実施形態又は第2実施形態に係るコハク酸イミド化合物とを含有する。なお、当該潤滑油組成物には、潤滑油基油と、上記第3実施形態に係る潤滑油添加剤とを含有する態様が包含される。

潤滑油基油としては特に制限されず、鉱油および合成油のいずれも使用することができる。鉱油としては、従来公知の種々のものが使用可能であり、例えば、パラフィン基系鉱油、中間基系鉱油、ナフテン基系鉱油などが挙げられる。具体的には、溶剤精製または水素精製による軽質ニュートラル油、中間ニュートラル油、重質ニュートラル油またはブライトストックなどを挙げることができる。また、ワックスを異性化したGTL基油などを用いてもよく、精製度が上がるほどその効果は高くなる。

また、合成油としては、同様に従来公知の種々のものが使用可能である。例えば、ポリα—オレフィン(α—オレフィン共重合体を含む)、ポリブテン、ポリオールエステル、二塩基酸エステル、リン酸エステル、ポリフェニルエーテル、アルキルベンゼン、アルキルナフタレン、ポリオキシアルキレングリコール、ネオペンチルグリコール、シリコーンオイル、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、さらにはヒンダードエステルなどを用いることができる。

これらの潤滑油基油は、1種を単独で、あるいは2種以上を組み合わせて使用することができ、鉱油と合成油とを組み合わせて使用してもよい。

潤滑油基油の動粘度は、潤滑油組成物の用途・目的に応じて適宜選定することができる。例えば、本実施形態に係る潤滑油組成物を駆動系潤滑油として用いる場合、潤滑油基油の100℃における動粘度は、好ましくは1〜30mm2/s、より好ましくは2〜20mm2/s、さらに好ましくは3〜10mm2/sである。100℃における動粘度が上記範囲にあると、自動変速機のギア軸受けやクラッチなどの摺動部における摩擦を十分に低減し得ると共に低温特性も良好となる。一方、100℃における動粘度が30mm2/sを超えると、燃費が悪化し、また低温粘度が高くなりすぎる傾向にある。また、100℃における動粘度が1mm2/s未満であると、自動変速機のギア軸受けやクラッチ等の摺動部において摩耗量が増加するなど潤滑性能が低下したり、蒸発性が高くなり潤滑油消費量が多くなるおそれがある。

また、潤滑油基油の%CAは、低温特性の点から、20以下であるものが好ましく、特に10以下であることがより好ましい。

本実施形態に係る潤滑油組成物において、式(1)で表されるコハク酸イミド化合物の含有量は、その添加効果を有効に発揮し得る点から、好ましくは0.01〜30質量%、より好ましくは0.05〜20質量%、さらに好ましくは0.1〜10質量%である。

本実施形態に係る潤滑油組成物は、その性能をさらに向上させる目的で、必要に応じて、第1実施形態又は第2実施形態に係るコハク酸イミド化合物以外の添加剤をさらに含有することができる。当該添加剤としては、式(1)で表されるコハク酸イミド化合物以外の無灰分散剤及び/又は摩擦調整剤、金属系清浄剤、粘度指数向上剤、極圧添加剤、酸化防止剤、腐食防止剤、消泡剤、着色剤等が挙げられる。これらの添加剤は、1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。

第1実施形態又は第2実施形態に係るコハク酸イミド化合物以外の無灰分散剤及び/摩擦調整剤としては、脂肪酸エステル、脂肪酸アミド、または、リン酸エステル、亜リン酸エステル、チオリン酸エステルなどのリン化合物、MoDTP、MoDTCなどの有機モリブデン化合物、ZnDTPなどの有機亜鉛化合物、アルキルメルカプチルボレートなどの有機ホウ素化合物、グラファイト、二硫化モリブデン、硫化アンチモン、ホウ素化合物、ポリテトラフルオロエチレンなどの固体潤滑剤系摩擦調整剤などが挙げられ、これら中でも、リン化合物が好ましい。無灰分散剤及び/又は摩擦調整剤の含有量は、潤滑油組成物全量を基準として、通常0.1〜10質量%である。

酸化防止剤としては、例えばアルキル化ジフェニルアミン、フェニル−α−ナフチルアミン、アルキル化−α−ナフチルアミンなどのアミン系酸化防止剤、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−t−ブチルフェノール)などのフェノール系酸化防止剤などが挙げられる。酸化防止剤の含有量は、潤滑油組成物全量を基準として、通常0.05〜5質量%である。

金属系清浄剤としては、例えば、カルシウムスルホネート、マグネシウムスルホネート、バリウムスルホネート、カルシウムサリチレート、マグネシウムサリチレート、カルシウムフェネート、バリウムフェネートなどが挙げられ、金属系清浄剤の含有量は、潤滑油組成物全量を基準として、通常0.1〜10質量%である。

粘度指数向上剤としては、例えばポリメタクリレート系、ポリイソブテン系、エチレン−プロピレン共重合体系、スチレン−ブタジエン水添共重合体系のものなどが挙げられる。粘度指数向上剤の含有量は、潤滑油組成物全量を基準として、通常0.5〜35質量%である。

本実施形態に係る潤滑油組成物の用途は特に制限されず、内燃機関用潤滑油、駆動系潤滑油等の幅広い分野で使用することができる。例えば、本実施形態に係る潤滑油組成物は、潤滑式(1)で表されるコハク酸イミド化合物を含有するため、従来のコハク酸イミド化合物と比較して、高い静摩擦係数(高い湿式摩擦材トルク容量)を達成することができ、自動変速機油や無段変速機油として好適である。また湿式クラッチ、湿式ブレーキを有する変速機を備えた建設機械や農機、手動変速機、二輪車ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、ガスエンジン、ショックアブソーバー油等の潤滑油として用いることができる。

以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。

[実施例1;コハク酸イミド化合物I−aの合成] 2000mLのオートクレーブに、ポリイソブテン(数平均分子量1000)1.0molと、無水マレイン酸1.0molとを入れ、1.5時間かけて220℃まで昇温させ、220℃に達してから4時間反応させた。反応終了後、得られた生成物にn−ヘキサンを加え攪拌し、その液をろ過して不溶解分を取り除いた。ろ液を常圧蒸留でn−ヘキサンを除去後、減圧下220℃で無水マレイン酸を除去し、マレイン化ポリイソブテンを得た。 合成装置を組み、300mlの4口フラスコに1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン7.40gをはかりとり、系を窒素置換した。200mlナスフラスコにマレイン化ポリイソブテンを30.0gはかりとり、80mlのo−キシレンを加えて湯浴で溶かし、滴下ロート部分に入れた。また、4口フラスコに20mlのo−キシレンを入れた。 145℃まで昇温し、300rpmにて滴下を開始した。その後30分間で155℃に温度を上げ、更に1時間かけて165℃に温度を上げ、3時間で滴下終了した。IR測定より反応が進行していることを確認し、4時間後に反応を終了した。反応液はうすい黄色であった。 生成物をエバポレータにて減圧蒸留した。生成物35.8gを得た。IR及びGPC分析により、得られた生成物が、一般式(1)で表され、R1が数平均分子量1000のポリイソブテニル基であり、n=1であるコハク酸イミド化合物(以下、「コハク酸イミド化合物I−a」という。)であることを確認した。生成物のIRチャートを図1に示す。

[実施例2;コハク酸イミド化合物I−bの合成] 2000mLのオートクレーブに、ポリイソブテン(数平均分子量2300)1.0molと、無水マレイン酸1.0molとを入れ、1.5時間かけて220℃まで昇温させ、220℃に達してから4時間反応させた。反応終了後、得られた生成物にn−ヘキサンを加え攪拌し、その液をろ過して不溶解分を取り除いた。ろ液を常圧蒸留でn−ヘキサンを除去後、減圧下220℃で無水マレイン酸を除去し、マレイン化ポリイソブテンを得た。 合成装置を組み、300mlの4口フラスコに1,3−ビス(3−アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン3.70gをはかりとり、系を窒素置換した。200mlナスフラスコにマレイン化ポリイソブテンを30.0gはかりとり、80mlのo−キシレンを加えて湯浴で溶かし、滴下ロート部分に入れた。また、4口フラスコに20mlのo−キシレンを入れた。 145℃まで昇温し、300rpmにて滴下を開始した。その後30分間で155℃に温度を上げ、更に1時間かけて165℃に温度を上げ、3時間で滴下終了した。IR測定より反応が進行していることを確認し、4時間後に反応を終了した。反応液はうすい黄色であった。 生成物をエバポレータにて減圧蒸留した。生成物32.4gを得た。IR及びGPC分析により、得られた生成物が、一般式(1)で表され、R1が数平均分子量2300のポリイソブテニル基であり、n=1であるコハク酸イミド化合物(以下、「コハク酸イミド化合物I−b」という。)であることを確認した。

[比較例1;コハク酸イミド化合物IIの合成] 2000mLのオートクレーブに、ポリイソブテン(数平均分子量1000)1.0molと、無水マレイン酸1.0molとを入れ、1.5時間かけて220℃まで昇温させ、220℃に達してから4時間反応させた。反応終了後、得られた生成物にn−ヘキサンを加え攪拌し、その液をろ過してスラッジを取り除いた。ろ液を常圧蒸留でn−ヘキサンを除去後、減圧下220℃で無水マレイン酸を除去し、マレイン化ポリイソブテンを得た。 2Lセパラブルフラスコに、ジエチレントリアミン1.7mol、キシレンを入れた。次に、キシレンに溶解させた得られたマレイン化ポリブテン0.17molを滴下させながら、145〜155℃で11時間反応させた。反応終了後、常圧蒸留で溶媒を除去し、減圧蒸留で残留ジエチレントリアミンを除去し、コハク酸イミド化合物IIを得た。

[実施例3〜8、比較例2〜4;潤滑油組成物の調製及び評価試験] 実施例3〜8においては、それぞれ、潤滑油基油としてのSAE10留分(100℃動粘度4.1mm2/s)の鉱油、コハク酸イミド化合物I−a又はI−b並びに以下に示す添加剤を用いて、表1に示す組成を有する潤滑油組成物を調製した。 比較例2、3においては、それぞれ、潤滑油基油としてのSAE10留分(100℃動粘度4.1mm2/s)の鉱油、コハク酸イミド化合物II並びに以下に示す添加剤を用いて、表2に示す組成を有する潤滑油組成物を調製した。また、比較例4においては、潤滑油基油としてのSAE10留分(100℃動粘度4.1mm2/s)の鉱油及び以下に示す添加剤を用いて、表2に示す組成を有する潤滑油組成物を調製した。 ポリメタクリレート:平均分子量20,000 アミン系酸化防止剤:ジフェニルアミン トリクレジルホスフェノート カルシウムスルホネート:300TBN 無灰系油性剤:グリセリンモノオレート

次に、実施例3〜8及び比較例2〜4の潤滑油組成物について、LFW−1試験機を用いて金属間摩擦係数を評価した。試験条件は面圧0.8GPa、すべり速度0.2m/s、試験温度80℃で、試験時間1時間とし、時間内の摩擦係数を平均化した平均摩擦係数で評価した。得られた結果を表1〜2に示す。

本発明のコハク酸イミド化合物、潤滑油添加剤及び潤滑油組成物は、幅広い潤滑油分野で使用可能であり、特に、高い静摩擦係数が必要とされる自動変速機油や無段変速機油として好適である。

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