炭化水素質鉱床から回収した硫黄含有炭化水素の処理 |
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申请号 | JP2015545428 | 申请日 | 2013-11-27 | 公开(公告)号 | JP2016507595A | 公开(公告)日 | 2016-03-10 |
申请人 | メリケム カンパニー; メリケム カンパニー; | 发明人 | ワトソン,ジョン; | ||||
摘要 | 炭化 水 素質鉱床からの液体炭化水素のin situ回収により得られるガス状成分を処理するプロセスにおいて、メルカプタンおよび硫化水素をリーンオイルを用いて互いに分離し、硫化水素をさらに処理して、硫黄不含 燃料 ガス生成物を得る。ガス状成分の処理後に得られるリッチオイルは、液体炭化水素とともに希釈剤として用いることができ、または処理して、メルカプタンを除去し、二硫化油に変換することができる。【選択図】なし | ||||||
权利要求 | 炭化水素質鉱床から得られる炭化水素を処理するプロセスであって、 a)炭化水素質鉱床から得られる、液体炭化水素とガス状成分との混合物であって、前記ガス状成分が硫化水素およびメルカプタンを含む、混合物を用意するステップ、 b)前記液体炭化水素を前記ガス状成分から分離するステップ、 c)前記ガス状成分をリーンオイルと接触させ、それによって前記メルカプタンを前記リーンオイルに吸収させてリッチオイルを形成するステップ、 d)前記硫化水素を含有するガス状生成物を前記リッチオイルから分離するステップ、 e)前記ガス状生成物を処理して、前記硫化水素を除去し、リーン燃料ガスを生成するステップ、ならびに f)ステップb)で得られる前記液体炭化水素を処理して、精油所へ輸送し、処理する前に粘度を低減させるステップ を含むプロセス。液体炭化水素とガス状成分との前記混合物がSAGDプロセスを用いて得られる、請求項1に記載のプロセス。前記液体炭化水素がビチューメンを含む、請求項1に記載のプロセス。ステップf)における液体炭化水素の前記処理が、前記液体炭化水素を希釈剤炭化水素と混合することを含む、請求項1に記載のプロセス。ステップf)における液体炭化水素の前記処理が、前記液体炭化水素をステップd)からの前記リッチオイルと混合することを含む、請求項1に記載のプロセス。ステップf)における液体炭化水素の前記処理が、前記液体炭化水素を希釈剤炭化水素およびステップd)からの前記リッチオイルと混合することを含む、請求項1に記載のプロセス。ステップd)からの前記ガス状生成物の前記処理が、前記ガス状生成物を気−液接触器中の液体溶液と接触させて、前記硫化水素を単体硫黄に変換させることを含む、請求項1に記載のプロセス。ステップd)からの前記ガス状生成物の前記処理が、前記ガス状生成物を気−液接触器中の液体溶液と接触させ、続いて酸化反応により、前記硫化水素を単体硫黄に変換させることを含む、請求項1に記載のプロセス。ステップd)からの前記リッチオイルを苛性アルカリと接触させて、前記メルカプタンを除去し、再生リーンオイルを形成し、それによって前記メルカプタンをメルカプチドに変換し、前記苛性アルカリ中に移して、使用済みの苛性アルカリを形成する、請求項1に記載のプロセス。前記再生リーンオイルをステップc)の前記ガス状成分と接触させて、前記メルカプタンを前記ガス状成分から除去する、請求項9に記載のプロセス。前記再生リーンオイルをステップf)の前記液体炭化水素に加えて、前記液体炭化水素の粘度を低減させる、請求項9に記載のプロセス。a)前記使用済みの苛性アルカリを酸素含有ガスと混合し、 b)触媒を用いて、前記使用済みの苛性アルカリを酸化して、再生苛性アルカリを形成し、それによって前記使用済み苛性アルカリ中の前記メルカプチドを二硫化油に酸化し、 c)前記再生苛性アルカリを前記二硫化油から分離し、請求項1のステップd)からの前記リッチオイルと接触させるために、前記再生苛性アルカリをリサイクルすること によって、使用済みの前記苛性アルカリを再生させるステップをさらに含む、請求項9に記載のプロセス。ステップc)における前記接触が、蒸留塔中の前記ガス状成分を前記リーンオイルと接触させ、蒸留して、リッチオイルボトムと、燃料ガスおよび硫化水素を含む低メルカプタンのガス状塔頂流出物とを形成することを含む、請求項1に記載のプロセス。ステップc)における前記接触が、向流の液−気低圧吸収塔中の前記ガス状成分を、前記リーンオイルと接触させることを含む、請求項1に記載のプロセス。分留して、残留硫化水素を前記リッチオイルから除去することをさらに含む、請求項14に記載のプロセス。SAGDプロセスを用いてオイルサンドからin situで得られる炭化水素を処理するプロセスであって、 a)ガス状成分からビチューメンを分離するステップであって、前記ガス状成分が炭化水素、硫化水素およびメルカプタンを含むステップ、 b)前記ビチューメンを十分な量の炭化水素希釈剤と混合して、ディルビットを形成するステップ、 c)ステップa)からの前記分離されたガス状成分を、向流の液−気塔中のリーンオイルと接触させ、それによって前記メルカプタンを前記リーンオイルに吸収させてリッチオイルを形成し、低メルカプタンガス状生成物を回収するステップ、ならびに、 e)前記低メルカプタンガス状生成物を水性液体レドックス触媒溶液で処理して、前記硫化水素を単体硫黄に酸化し、硫黄不含燃料ガスを生成するステップ を含む、プロセス。前記ディルビットを形成する際、前記リッチオイルを前記ビチューメンと混合する、請求項16に記載のプロセス。前記リッチオイルを苛性アルカリで処理して、前記メルカプタンを除去し、リサイクルしてステップc)で使用する再生リーンオイルを形成する、請求項16に記載のプロセス。前記リッチオイルから除去された前記メルカプタンを含有する使用済みの苛性アルカリを、酸素含有ガスと混合し、次に触媒を用いて酸化して、再生苛性アルカリを形成し、それによって前記使用済み苛性アルカリ中の前記メルカプチドを二硫化油に酸化し、二硫化油を前記再生苛性アルカリから分離し、前記再生苛性アルカリを前記リッチオイルを処理するためにリサイクルする、請求項18に記載のプロセス。 |
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说明书全文 | 本発明は、タールサンド、オイルサンド、オイル砂岩およびオイルシェールを含む炭化水素含有地質物質から得られる、液体、半固体およびガス状炭化水素を処理およびプロセシングする方法および装置に関する。具体的に本発明は、スチーム補助重力排油(Steam Assisted Gravity Drainage)(SAGD)プロセスなどのプロセスから得られる、ガス状炭化水素中に見出される硫黄汚染物質を除去する方法を対象とする。 本明細書において炭化水素質鉱床としては、タールサンド、オイルサンド、オイル砂岩、オイルシェール、およびその他の全ての天然に存在する地質物質であって、通常は多孔質で岩石質の無機マトリックス内に含有される炭化水素を有しているものが含まれると解すべきである。マトリックスは、脆い、砕けやすい、または硬化している恐れがある。 タールサンドは、例えばカナダ(アルバータ州)で見出される、天然に存在する地層である。こうしたサンドは多量の石油を産する可能性を有する。タールサンドは多孔質で、通常は脆くまたは砕けやすく、典型的には相当量の粘土を含有し、当技術分野でビチューメンとして通常知られる高粘度の炭化水素で埋められた割れ目を有する。こうしたタール状瀝青材料の多くは、より軽質な(分子量がより小さい)炭化水素が、漏出したか、微生物による働き、水洗、および場合により無機酸化を通して分解した後に残存する残渣である。非常に大規模なタールサンドの鉱床は、北アルバータのアサバスカ川沿い他に存在する。こうした鉱床は、1.6兆バレル超のオイルの潜在的産出量を含有すると推定されている。 オイルシェールは、オイルサンドおよびタールサンドと同類であるが、基材は細粒で縞状の堆積岩であり、典型的には油母として知られる有機化合物のオイルを産する層を含有している。オイルシェールは世界中の多くの場所に存在する。特に油母が豊富なシェールは、米国のワイオミング州、コロラド州、ユタ州に存在し、5400億バレルを超える潜在的なオイルを含有していると想定される。 タールサンドおよびオイルシェールから回収可能な炭化水素としては、これらに限定はされないが、ビチューメン、油母、アスファルテン、パラフィン、アルカン、芳香族化合物、オレフィン、ナフタレン、およびキシレンが含まれる。 炭化水素質鉱床から石油を回収する既知の技術では、高分子量の瀝青材料または油母質材料を、砂、砂岩、またはシェールから熱とともに押出すことができる。例えば、スチーム補助重力排油(SAGD)プロセスでは、一方が他方の約4〜6メートル上方にある、2本の平行で水平な油井を地層に掘削する。上部の坑井では水蒸気を注入し、下部の坑井では地層から流出する加熱された原油またはビチューメンを、注入水蒸気の凝縮からの水があればそれとともに捕集する。このプロセスの原理は、注入した水蒸気が「水蒸気の空洞(steam chamber)」を形成し、これが地層中で垂直および水平に伸びることである。水蒸気からの熱により重質な原油またはビチューメンの粘度が低減し、このため下部の坑井に流れ落ちる。水蒸気およびガスは、下部の重質な原油に比べて密度が低いために上昇し、これにより下部の生産坑井では水蒸気が生成しないことが保証される。放出されたガスは、メタン、二酸化炭素、および通常いくらかの硫化水素を含み、水蒸気の空洞の中で上昇する傾向があり、オイルにより残された空間を満たし、さらにある程度は水蒸気の上に断熱ブランケットを形成する。オイルおよび水の流れは、向流により、排液をさらに下部の坑井中に重力で押し流す。凝縮した水、および原油またはビチューメンは、地下使用圧力またはポンプを用いて地表に回収される。ポンプとしては、高粘度の流体を懸濁した固形物とともに移動させるのにうまく機能する、プログレッシブキャビティポンプなどがある。 いったんSAGD坑井から取り出されると、溶存ガスおよび同伴ガスは、ビチューメンから分離される。次にビチューメンを希釈剤と称する中程度の分子量の「キャリヤ」と混合して、ディルビットを作り出す。ディルビットは、原材料のビチューメンに比べて軽く、粘度の低い炭化水素材料で、精油所へパイプライン経由でより容易に輸送することができる。精油所ではディルビットは最終製品にプロセシングされ、ある場合は、希釈剤として使用するために中級品の生産物(mid−range production)の一部は生産場所に戻される。 SAGDプロセスは、液体または半固体のビチューメンとともに得られるガス状成分に関して、重大な欠点を有している。これらガス状成分は、炭化水素ばかりでなく、硫化水素(H2S)、メルカプタン(RSH)、硫化カルボニル(COS)および二硫化炭素(CS2)などの、好ましくない硫黄含有化合物も含んでいる。ビチューメンから最初に分離される付随ガスは、生産場所で蒸気発生装置の燃料として利用されるが、ガス状成分を燃料として用いた硫黄含有燃焼生成物は、重大な汚染問題である。硫黄による空気汚染を防ぐ経済的なルートは、燃料として用いられる前に硫黄化合物をガス状成分から除去することである。SAGDプロセスの他に、炭化水素質鉱床から炭化水素を回収する別のプロセスであって、本発明から便益が得られるものが存在する。例えば、周期的水蒸気注入法すなわち「Huff and Puff」法で、生産坑井(通常は垂直な坑井)の中に水蒸気をある期間注入し、次に浸漬させ、その後オイルを生産する。または、水蒸気攻法で、水蒸気を注入しオイルを回収する一連の垂直な坑井を備える点を除いては、SAGDプロセスと類似している。または、水攻法で、回収し再注入できる水を用いる点を除いては、水蒸気攻法と類似している。または、ガス再圧入法(gas re−injection)で、生産したいくらかの天然ガスを圧縮して再圧入する。または、CO2圧入法で、外部供給源からCO2を導入し油層に圧入する。または、in−situ熱的方法で、坑井の一部を地中で燃焼させ、熱をオイルに供給する。 H2S含有ガスから硫黄を除去して回収するいくつかの再生可能なプロセスがあるが、メルカプタンの存在により重大な操作上の問題が起きる恐れがある。その理由は、これらのプロセスではメルカプタンが確実には除去されないからである。事実RSHは通常、「スイートニングした(sweetened)」生成ガス中、再生空気ベント中、および生成した硫黄上に最終的に行き着くであろう。COSおよびCS2は通常は通りぬけて、吸収されたり変換されたりしないであろう。RSHの強い匂いにより、生成した硫黄を扱うことが(不可能でないにしても)困難になり、操作部署での匂いにより実質的に操作できなくなる恐れがある。しかしH2Sは容易に除去でき、単体硫黄(S)に変換できる。 したがって本発明は、H2Sを残したままでガス状成分から有害な硫黄含有化合物、特にRSHを除去することを対象とする。その後ガス状成分は処理して、硫黄不含ガス状燃料を提供することができる。 本発明は、炭化水素質鉱床から得られるガス状成分を使用および/またはプロセシングすることに伴う問題を回避することを対象とする。特にSAGDプロセスなどのプロセスを用いて、オイルサンドからビチューメンを回収することを含んでいる。特に、本発明はSAGDから得られる供給原料流を処理することであって、SAGDプロセスで得られるガス状炭化水素を汚染する硫黄含有メルカプタン化合物の有害作用を回避することを、対象とする。 より具体的には、本発明は炭化水素質鉱床から得られる炭化水素を処理するプロセスを対象とし、この炭化水素は、液体炭化水素、ならびに硫化水素およびメルカプタンを含有する、ガス状成分の混合物を含む。この混合物をまず液体または半固体の炭化水素相と、硫化水素およびメルカプタンなどの硫黄含有化合物で汚染された炭化水素燃料ガスを主に含むガス状相に分離する。in situ SAGDプロセスを用いてオイルサンドから炭化水素を回収する時、液体または半固体炭化水素はビチューメンを含んでいる。分離されたガス状成分を次にリーンオイル(軽質炭化水素、例えば灯油、ナフサなど)と接触させ、メルカプタンをリーンオイルに吸収させてサワーオイルまたはリッチオイルを形成するようにする。硫化水素を含有すガス状生成物をリッチオイルから分離し、硫化水素を除去および/または変換する処理をして、スイート燃料ガス生成物を生成する。この生成物は、地上設備の別の場所で燃焼生成物として、具体的にはSAGDプロセスの水蒸気を発生させるために、使用することができる。 次に、分離された液体炭化水素を処理する。好ましくはリーンオイルまたは同等の炭化水素と混合して、液体または半固体炭化水素の粘度を低減させ、精油所でのプロセシングのために輸送できるようにする。あるいは、液体または半固体炭化水素を、リッチオイルまたは、リッチオイルとリーンオイルとの混合物と混合してもよい。この別のアプローチではメルカプタンを含有したリッチオイルは液体炭化水素に伴って精油所までいき、そこでメルカプタンは炭化水素とともにプロセシングされてオイル関連生成物を形成する。好ましいプロセススキームでは、液体炭化水素およびガス状成分の混合物はSAGDプロセスを用いて得られる。ビチューメンがSAGDプロセスで得られる液体または半固体炭化水素である時、希釈剤炭化水素(リーンオイル、リッチオイル、または両者の混合物のいずれか)を添加することにより、ディルビットの形成がもたらされる。ディルビットは次に、ビチューメンのSAGDによるin situ回収が行われる場所から精製施設まで、より容易に輸送することができる。 リーンオイルと接触またはスクラビングした後に得られる、ガス状生成物または低メルカプタン燃料ガスは、いくつかの気−液接触プロセスを用いて処理し、硫化水素を除去および/または単体硫黄に変換することができる。1つの好適なプロセスでは、ガス状生成物を気−液物質移動装置中でアルカリ性すなわち苛性溶液と接触させる。ここで硫化水素が苛性溶液により吸収されかつ変換されて、他のプロセスの単位操作における燃焼に使用することができる硫黄不含燃料ガスを生成する。次に使用済みすなわち高硫黄苛性溶液を、空気を用いてバイオリアクター中で処理する。ここでは、吸収された硫黄を酸素制限状態でバクテリアが酸化して、単体硫黄を形成し、同時に苛性溶液を再生し、これは元へリサイクルして、流入するガス状生成物と接触させる。 硫黄不含燃料ガスを生成するのに用いることができる他の硫化水素除去プロセスには、クラウス反応(Claus reaction)を用いるものが含まれる。例えば、メルカプタン不含ガス状生成物を、二酸化硫黄(SO2)を酸化剤として用いるプロセスで処理し、修正液相クラウス反応を介してH2Sを単体硫黄に変換することができる。形成される単体硫黄は、反応溶液中で可溶であり、これにより固形物が高圧装置中で循環することが回避される。次に単体硫黄を結晶化し、固形物を扱うように設計された装置を用いてプロセスから分離するが、プロセスの他の部分では固形物不含のままである。 さらに別の好適なプロセスは、レドックス法としても知られ、米国特許第4,238,462号および米国特許第5,160,714号に例示および開示されており、その教示は参照により本明細書に組み込まれている。このプロセスは、気−液物質移動操作を含み、液体触媒配合物が硫化水素を含有するガス状生成物と接触し、触媒作用、好ましくは鉄キレート触媒を用いて、硫化水素を酸化して単体硫黄にする。反応溶液を好ましくは周囲空気の形の溶存酸素と、別の接触ゾーン中で接触させて酸化することにより、使用済みの多価金属キレート混合物を、連続的に再生する。例えば触媒の第二鉄溶液と接触させて、硫化水素を除去するような連続プロセスでは、触媒溶液を、吸収器ゾーンと酸化剤ゾーンの間で連続的に循環させる。吸収器ゾーンでは、H2Sは触媒の第二鉄キレート溶液に吸収され、溶液は還元されて第一鉄となる。酸化剤ゾーンでは、還元された第一鉄が酸化されて第二鉄状態に戻される。 ガス状生成物から硫化水素を最終的に変換および除去するのに用いるプロセスに関係なく、本発明の重要なステップの1つは、最初にメルカプタンをガス状成分から除去することである。ここでガス状成分は、炭化水素質鉱床から得られる液体または半固体炭化水素から最初に分離されるものである。ガス状成分を接触させまたはスクラビングして、メルカプタンを吸収するのに用いるリーンオイルとしては、ナフサ、灯油、中質炭化水素、ガソリン流、ジェット燃料、ディーゼル、およびこれら炭化水素の混合物が含まれる。先に述べたように、リーンオイルを用いるメルカプタンの除去は、吸収器、好ましくは、不規則充填塔、規則充填塔(structured packed column)、または泡鐘トレイ塔などの向流の気−液接触器を用いて行われる。達成可能な移動単位数(NTU)は、使用する塔の型式と使用するリーンオイルの種類に直接依存する。吸収器は、約30〜70psigの圧力範囲および135°F未満の温度で稼働することが好ましいであろう。吸収器に供給されるガス状成分中のメルカプタン含量は、特定のレベルに維持されたり制御される必要はないが、好ましい含量は体積で8500ppm未満である。吸収塔は、ガス生成物中の総メルカプタン濃度を経済的に実現可能な低レベルに削減するように設計されなければならない。好ましい低レベルとは、約2ppmvという低さである。 吸収器からボトム生成物として得られるリッチオイルは、ディルビットを形成するためにこれにビチューメンを加えることにより、直接希釈剤炭化水素として使用してもよい。リサイクル用、または再生リーンオイルを得るために、リッチオイルをプロセシングしてメルカプタンを除去することが望ましいこともある。得られる再生リーンオイルは、元へ戻して、ガス状成分と接触する、および/または炭化水素質鉱床から回収した液体もしくは半固体炭化水素と混合する。しかし場合によっては、吸収器の設計によって、許容できないレベルのH2Sをリーンオイルが吸収する結果になる恐れがあり、こうした状況では、吸収された硫化水素を除去し、実質的に硫化水素不含のリッチオイルを生成するために、ストリッピングプロセスが必要となる。 リッチオイル流から、メルカプタンおよび硫化水素を分離することは、達成が難しい。リッチオイルからH2Sの分離を促進するために、ストリッピング塔は吸収器よりも相当高い圧力で運転する必要があり、底部リボイラーに沿って還流凝縮器が必要である。還流凝縮器およびリボイラーを使用することで、塔内での蒸気と液体との十分な移行が可能になり、ほぼ全てのH2Sが塔頂蒸気中に出ていくことが可能になる。残念ながら、いくらかのメルカプタンも同様に塔頂蒸気とともにどうしても漏れ出てしまう。この蒸気流中のメルカプタンの量は、もともと液体炭化水素から分離されたサワーガス成分のそれよりも相当に少ないので、この塔頂流出物の一部を吸収器の前部にリサイクルして戻し、そこでサワーガス成分の供給原料と混合またはブレンドすることができる。 ストリッピング塔の圧力は、H2Sの除去を最大にするように選ばねばならない。好ましい方法は、許容できる分離を得るために、ストリッピング塔を50〜200psigで運転することである。このことは、供給原料またはリッチオイル供給ポンプによってリッチオイルを増大させて、ラインおよび他のシステムの損失を含めても、塔の操作圧力を超えさせることを必要とする。好ましくはリッチオイルは塔の下半部に供給され、塔は棚段蒸留塔であることが好ましい。塔内での必要な蒸気の移行を起こし、H2Sおよびこれに伴うメルカプタンの少量部を除去するために、底部リボイラーを使用する。蒸気が塔を上方へ移動するに伴い、蒸気はリッチオイル、さらに還流凝縮物と接触し、これにより所望の分離がさらに促進される。先に述べたように、分離があまり効率的ではないので、メルカプタンは塔頂蒸気とともに漏れる傾向がある。 ガス状成分からメルカプタンを除去する別の方法は、塔頂還流凝縮器からの液体およびリボイラーからの蒸気を用いて、リーンオイルおよびガス状成分を蒸留する蒸留プロセスを実施することである。この別のアプローチでは、上で述べた吸収とストリッピングとを組み合わせる必要性が排除される。 スクラビングプロセスを出ていく、メルカプタンが多く硫化水素含量の少ないオイルは、さらにプロセシングしてメルカプタンを除去または変換することができる。または、先に述べたように、希釈剤として用いて、炭化水素質鉱床から得られる液体もしくは半固体炭化水素の粘度を低減させることができる。もしこうした液体または半固体炭化水素がビチューメンを含んでいて、リッチオイルを加えると、リーンオイルの有無にかかわらず、結果として得られる混合物はディルビットとして知られる。リッチオイル中のメルカプタンを除去および変換するための、好適なアプローチは、リッチオイルを苛性アルカリと接触させることで、これによってメルカプタンはメルカプチドに変換されて苛性溶液中に残り、こうして再生リーンオイルが形成される。使用済みの苛性アルカリ中にあるメルカプチドは最終的にさらにプロセシングされ、酸化反応を介してメルカプチドは二硫化油(DSO)に変換され、これを次に捕集して、精油所で液体炭化水素とともにさらにプロセシングすることができる。再生苛性溶液は次にリサイクルされ、未使用すなわち補給用の苛性アルカリと混合し、リッチオイル供給原料を処理する。 メルカプタンを二硫化油に(抽出とは対照的に)変換する別のより好ましいプロセスでは、水性処理溶液および酸化反応を用いる。二硫化油は、プロセスから取り出された分離炭化水素生成物流中に残る。より具体的には、リッチオイルを含有するメルカプタンは、酸素含有ガスと混合され、供給原料流を形成する。供給原料を、水、アルカリ金属水酸化物、多価キレート化金属触媒を含む水性処理溶液と接触容器中で接触させる。ここで触媒および酸素を用いて、メルカプタンを酸化反応経由で二硫化油に変換する。接触ステップでは、少なくとも1つの分離ゾーンに向けられる生成混合物を形成し、ここで二硫化油を含有するグレードアップした炭化水素流が混合物から分離される。上で述べたリーンオイルに加えて、またはその代替として、DSOを含有したリーンオイル流を使用することができる。補給の触媒および/または処理溶液の他の成分を補充した後に、必要であれば、リッチオイル供給原料を処理するために水性処理溶液を再循環する。 水性処理溶液に用いる触媒組成物は、好ましくは液体のキレート化多価金属触媒溶液である。多価触媒としては、これらに限定はされないが、金属フタロシアニンが含まれ、ここで金属カチオンは、マンガン(Mn)、鉄(Fe)、コバルト(Co)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)、ルテニウム(Ru)、ロジウム(Rh)、パラジウム(Pd)、銀(Ag)その他からなる群から選択される。触媒濃度は約10〜約10,000ppm、好ましくは約20〜約4000ppmである。特定の選択された触媒を、処理溶液の調製中に含めてもよく、および/またはそれを使用する場所で後に溶液に加えてもよい。 炭化水素供給原料と水性処理溶液との接触は、充填塔、泡鐘トレイ、撹拌槽、ピストン流れ反応器、繊維膜接触器(fiber−film contactor)その他、などの任意の液−液混合装置によって実施できる。好ましくは、炭化水素および水性処理溶液間の迅速かつ明確な相分離を得るのに問題を起こさず、急速な液−液物質移動を実現する接触器を用いて、接触を実施する。こうした接触器は、ほとんどまたは全く撹拌を起こさず、水溶液の炭化水素中への飛沫同伴を減らすように、設定される。より大きな処理効率を達成するために、水性処理溶液との2つ以上の接触段階を採用してもよい。 以下に含まれる好適な実施形態の詳細な記述から、以上および他の実施形態がより明らかになるだろう。 本発明の想定される一実施形態の工程系統図を概略的に示す。
本発明は、硫黄汚染物質、特にメルカプタンを除去することを対象とする。硫黄汚染物質は、炭化水素質鉱床、好ましくはオイルサンドまたはタールサンドのin situ SAGDプロセシングから得られる、液体および/または半固体炭化水素から分離されるガス状成分中に存在する。図1を参照して、1つの想定されるプロセスフロースキームを説明するが、当業者には別のフロースキームを考案できることがわかるだろう。液体および/または半固体炭化水素(以降は単に「液体炭化水素」と称する)、ガス状成分ならびに水の混合物を、炭化水素質鉱床から得て、地上のプロセシング設備にあるセパレーター2に送り、ガス状成分をライン3経由で除去し、液体炭化水素をライン4経由で除去する。分離した水(図示せず)は、SAGDプロセスで再利用する蒸気を作るためにリサイクルしたり、他のプロセス水として使用することができる。オイルサンドから産出する時、回収される液体炭化水素はビチューメンを含む。 ライン4にある液体炭化水素は、希釈剤としてのリーンオイル13と容器14で混合され、液体炭化水素の粘度が低減し、したがって、有用な炭化水素製品にプロセシングするための精油所への輸送が容易になる。ビチューメンが液体炭化水素である時、得られる希釈流15は、ディルビットとして知られている。リーンオイル13は、液体炭化水素4を希釈できる任意の炭化水素または炭化水素の混合物でよく、硫黄含量が少ないことが好ましい。好適なリーンオイルとしては、ナフサ、灯油、中質炭化水素、ガソリン流、ジェット燃料、灯油類、ディーゼル、ナフサ類およびこれらの混合物が挙げられる。リーンオイルに対する1つの想定される選択肢としては、沸点が約35℃〜約230℃の範囲にある、FCCナフサまたはコークス器ナフサなどの分解ナフサがある。 分離されたガス状成分3には、炭化水素燃料ガスならびに、例えばメルカプタン、硫化水素、硫化カルボニル、および二硫化炭素などの硫黄汚染物質が含まれる。この硫黄で汚染された燃料ガスを容器40の中でさらにプロセシングして、硫化水素に対してメルカプタンを選択的に抽出または吸収する。これを達成するのにリーンオイル6が用いられ、リーンオイル6は液体炭化水素を希釈するのに用いるリーンオイル13と同じかまたは異なってよい。接触容器40は、気−液吸収塔とそれに続くストリップ分留装置の組合せであってよく、またはリボイルおよび還流を用いて硫化水素からメルカプタンの所望の分離を行う蒸留塔であってもよい。リサイクルしたリーンオイル8は、以下により詳しく述べるように、リーンオイル6に加えて用いてもよい。メルカプタンを含有するリッチオイルをライン7経由で除去し、その全部または一部を希釈剤16として用いて、処理プロセス14における液体炭化水素の粘度を低減させることができる。こうした場合、メルカプタンは希釈剤炭化水素および液体炭化水素とともに精油所へ輸送され、ここでメルカプタンは公知のプロセシング技法を用いて最終的に炭化水素から除去される。 あるいは、リッチオイル7の全部または一部を現場でさらにプロセシングし、プロセス17においてメルカプタンを除去および二硫化油に変換することができる。こうして、再生またはリサイクルされたリーンオイルを製造し、接触器40においてガス状成分からメルカプタンを吸収するのに用いることができる。プロセス17ではリッチオイル7が苛性溶液18と接触することを含むことが好ましく、ここでメルカプタンは苛性溶液中に残留するメルカプチドに変換される。使用済みの苛性アルカリは、ライン8経由で除去される再生リーンオイルから分離される。分離された使用済みの苛性アルカリ20は、ライン19経由の空気などの酸素含有ガスと容器25において混合され、ここで触媒の存在下で酸化反応が起こり、メルカプチドが二硫化油(DSO)に変換され、再生苛性溶液が形成される。このDSOは再生苛性溶液から分離され、さらなるプロセシングまたはディルビット中に混ぜ戻すためにライン27経由で除去される。ライン26経由で除去された再生苛性アルカリは、リサイクルしライン18の苛性と混合することができる。 メルカプタンは少ないが硫化水素が多い燃料ガスは、ライン5経由でプロセス40から除去され、プロセス10に送られる。ここで硫化水素は、ライン12経由で除去される単体硫黄に変換される。ライン11経由で除去される硫黄不含燃料ガスを生成するために、いくつかの異なるプロセスを用いて、硫化水素を変換および除去することができる。こうしたプロセスの1つに液−気接触器の使用が含まれ、ここで苛性溶液が燃料ガスおよび硫化水素と接触して硫化水素を抽出する。次に、サワーなすなわち使用済みの苛性アルカリをバイオリアクター中でプロセシングし、再生苛性溶液を生じさせる。これをリサイクルして未使用の補給用苛性アルカリに加えて、燃料ガスおよび硫化水素を処理することができる。あるいは、プロセス10ではクラウス反応または修正クラウス反応を利用することができる。ここで硫化水素は炭化水素に吸収され、二酸化硫黄(SO2)を酸化剤として用いて、流入H2Sを単体硫黄に変換する。単体硫黄は、得られる炭化水素中および水溶液中で可溶であり、これにより高圧装置中で固形物が循環することが回避される。次に硫黄を結晶化して、固形物を扱うよう設計された装置を用いてプロセスから分離する。一方、プロセスの他の部分では固形物不含のままである。 燃料ガスから硫化水素を除去するための、第3番目で好適なプロセスは、H2Sで汚染された燃料ガスを液体レドックス触媒溶液9および空気30と接触させ、硫黄不含燃料ガス11と単体硫黄12を生成することを含む。使用するプロセスにかかわらず、硫黄不含燃料ガスを燃焼ガスとして用いて、現場で他の単位操作を加熱することが最も好ましい。最も具体的には、炭化水素質鉱床から液体炭化水素をin situで回収するのに使用する水蒸気を発生させることである。 本明細書において、メルカプタン化合物としては、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、n−プロピルメルカプタン、イソプロピルメルカプタン、n−ブチルメルカプタン、チオフェノールおよび高分子量メルカプタンが含まれる。メルカプタン化合物はしばしば記号RSH(式中、Rは直鎖または分枝のアルキルまたはアリールである)で表される。ガス流中に存在する可能性があり、しかも本発明の酸化プロセスにより二硫化物に変換される可能性のある特定の種類のメルカプタンとしては、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、プロピルメルカプタン、ブチルメルカプタン、ペンチルメルカプタンなどが含まれる。 リッチオイルからメルカプタンを除去する処理プロセス17では、アルカリ金属水酸化物を含有する水性処理溶液を使用することが好ましい。リッチオイルのメルカプタンレベルは、リッチオイルの重量に対して、約10〜約10,000wppmの範囲でよい。ここまでの記載では無酸素中での二相処理溶液を用いた処理プロセスを対象としているが、別のアプローチでは、酸素含有ガスを加えるとともに水性処理溶液を用いることができ、酸素含有ガスは炭化水素供給原料中のメルカプタンを二硫化油に酸化させ、二硫化油は炭化水素相に残存する。処理溶液は、金属フタロシアニン触媒をアルカリ金属水酸化物の水性溶液に加えることにより調製することができる。 具体的な実施形態に関する先の記述は、本発明の一般的特性を十分に開示していると見込まれるので、他者は、最新の知識を応用することにより、類概念から離れることなくこのような具体的な実施形態を、種々の応用のために容易に修正および/または適合することができ、したがって、そのような適合および修正は、開示した実施形態の均等物の意味および範囲内であると理解されることを意図している。本明細書での表現または用語は、説明のためであり、限定のためではないことを理解されたい。 様々な開示した機能を実施するための手段、材料、および工程は、本発明から離れることなく様々な代替形態を取り得る。それ故、上記の明細書または下記の特許請求の範囲で見出し得る表現、「・・するための手段」および「・・用の手段」または任意の方法工程の言い回しと、それに続く機能の説明は、現在または将来存在し得るもので、上記明細書で開示された1つまたは複数の実施形態に正確に等価か否かは問わず、説明したその機能を実施するいずれの構造的、物理的、化学的または電気的要素または構造体も、あるいはいずれの方法工程も定義し、包含することを意図している。すなわち、同じ機能を実施するための他の手段または工程を使用することができ、そのような表現は、以下の特許請求の範囲の用語内で最も幅広い解釈が与えられることを意図している。 |