Thermally conductive resin composition and a heat conductive sheet using the same

申请号 JP2012061767 申请日 2012-03-19 公开(公告)号 JP5511872B2 公开(公告)日 2014-06-04
申请人 日本バルカー工業株式会社; 发明人 博久 今田;
摘要
权利要求
  • (A1)主鎖中にパーフルオロアルキルエーテル構造を有し、分子末端にヒドロシリル基を1〜2個有する化合物であって、ヒドロシリル基を2個有する分子の含有率が60〜100モル%であるフッ素系化合物と、
    (B1)主鎖中にパーフルオロアルキルエーテル構造を有し、分子末端にアルケニル基を1〜2個有する化合物であって、アルケニル基を2個有する分子の含有率が60〜100モル%であるフッ素系化合物と、
    (A2)主鎖中にパーフルオロアルキルエーテル構造を有し、分子末端にヒドロシリル基を1〜2個有する化合物であって、ヒドロシリル基を2個有する分子の含有率が0〜40モル%であるフッ素系化合物と、
    (B2)主鎖中にパーフルオロアルキルエーテル構造を有し、分子末端にアルケニル基を1〜2個有する化合物であって、アルケニル基を2個有する分子の含有率が0〜40モル%であるフッ素系化合物と、
    (C)熱伝導性フィラーと、を含み、
    前記フッ素系化合物(A1)、(B1)、(A2)及び(B2)は、下記式[6]:
    (式中、nは1〜10の整数である。)
    で表される主鎖構造を有し、
    前記フッ素系化合物(A1)、(B1)、(A2)及び(B2)の含有量に関し、下記式[1]〜[3]:
    〔(A1)+(B1)〕/〔(A2)+(B2)〕=20/80〜80/20 [1]
    (A1)/(B1)=20/80〜80/20 [2]
    (A2)/(B2)=20/80〜80/20 [3]
    を満たす熱伝導性樹脂組成物。
  • 前記フッ素系化合物(A1)、(B1)、(A2)及び(B2)の含有量に関し、下記式[4]及び[5]:
    (A1)/(B1)=20/80〜40/60又は60/40〜80/20 [4]
    (A2)/(B2)=20/80〜40/60又は60/40〜80/20 [5]
    を満たす請求項1に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  • 前記フッ素系化合物(B1)及び(B2)が有するアルケニル基がビニル基である請求項1 又は2に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  • 前記フッ素系化合物(A1)、(B1)、(A2)及び(B2)の合計含有量100重量部に対して、前記熱伝導性フィラー(C)を50〜500重量部含む請求項1〜 のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  • (D)白金族系触媒をさらに含む請求項1〜 のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物。
  • 請求項1〜 のいずれか1項に記載の熱伝導性樹脂組成物の硬化物からなる熱伝導性シート。
  • ASKER C硬度が70以下であり、JIS Z3284に準拠して測定される表面の粘着性が30gf以上である請求項 に記載の熱伝導性シート。
  • 说明书全文

    本発明は、発熱体と放熱体との間に介在させて、発熱体の熱を効率的に放熱体に伝導させるためのシート等として用いられる熱伝導性シート、及びこれを形成するための熱伝導性樹脂組成物に関する。

    各種装置や電子機器の内部で発生する熱を外部に効率的に放出するための手段として、電子部品等の発熱体と放熱体(放熱用部材あるいは冷却用部材)との間に熱伝導性シートを配置することが従来行なわれている。 柔軟性を有し、熱伝導性能の高い熱伝導性シートを介在させることにより、良好な密着で熱伝導性能の高い熱伝導性シートを介して発熱体と放熱体とを結合させることができるため、結果として熱伝導性シートを介在させない場合に比べて、発熱体から放熱体への熱伝導効率を改善することができる。

    現在、一般的に市場流通している熱伝導性シートは、その多くがケイ素を主成分とするシリコーンゴムシートである。 しかし、シリコーンゴムからなる熱伝導性シートが、シート中に含有される低分子量シロキサン成分の揮発により系を汚染するという問題を有していることはよく知られているところである。 また昨今、特に半導体製造装置向け及びパワーデバイス向けの市場では、200℃以上の高温での使用に耐える熱伝導性シートが要求されているが、シリコーンゴムからなる熱伝導性シートは、このような耐熱性の面でも課題を抱えているのが現状である。

    上記課題を解決すべく特開2010−232535号公報(特許文献1)には、液状フッ素化ポリエーテルと熱伝導性充填剤との混合物を反応硬化させることにより得られる、フッ素を主成分とするフッ素ゴムシートを熱伝導性シート(耐熱性放熱シート)として用いることが提案されている。

    特開2010−232535号公報

    フッ素ゴムシートによれば、ケイ素を主成分とするシリコーンゴムシートに比べて、概して耐熱性を向上させることが可能である。 しかしながら、従来の熱伝導性フッ素ゴムシートには次のような問題点があった。

    すなわち、熱伝導性シート自体に高い熱伝導性能を付与するためには、比較的多量の熱伝導性フィラー(熱伝導性充填剤)を含有させる必要があるが、多量の熱伝導性フィラーを含有させると、これに伴ってシートの硬度が高くなったり、シート表面の粘着性(タック性)が低下したりする。 このような硬度の上昇及び表面粘着性の低下はいずれも、熱伝導性シートに隣接して配置される発熱体及び放熱体との接触性(密着性)を悪化させ、接触熱抵抗を上昇させる要因となる。 接触熱抵抗が高くなると、熱伝導性シート自体の熱伝導性能が高い場合であっても、その性能を十分に発揮することができず、発熱体から放熱体への良好な熱伝導効率を得ることができない。

    そこで本発明は、高い耐熱性を有するフッ素系の熱伝導性シートであって、熱伝導性フィラーを高充填した場合であっても、良好な低硬度性と高表面粘着性とを併せ持ち、もって優れた熱伝導効率を示す熱伝導性シートを形成することができる熱伝導性樹脂組成物、及びこれより形成される熱伝導性シートを提供することを目的とする。

    本発明者は上記課題を解決すべく種々検討を行ない、次の点を見出し、さらに検討を重ね、本発明を完成させるに至った。

    (1)フッ素系熱伝導性シートのバインダーを形成するフッ素系化合物として、硬化反応(架橋)によりエラストマー特性を示すフッ素系ポリマー(ゴム状弾性体)を形成するフッ素系化合物対を単独で用いると(例えば、特許文献1の実施例のように)、熱伝導性フィラーを高充填した場合、シートの硬度が高くなったり、シート表面の粘着性が低下したりする。

    (2)一方、フッ素系熱伝導性シートのバインダーを形成するフッ素系化合物として、硬化反応によりゲル特性を示すフッ素系ポリマー(ゲル状弾性体)を形成するフッ素系化合物対を単独で用いると、シート成型が困難となる。

    (3)これに対し、フッ素系熱伝導性シートのバインダーを形成するフッ素系化合物として、硬化反応によりエラストマー特性を示すフッ素系ポリマー(ゴム状弾性体)を形成するフッ素系化合物対〔後述するフッ素系化合物(A1)及び(B1)〕と、硬化反応によりゲル特性を示すフッ素系ポリマー(ゲル状弾性体)を形成するフッ素系化合物対〔後述するフッ素系化合物(A2)及び(B2)〕とを適切な比で併用し、かつ、配合比(A1)/(B1)及び(A2)/(B2)をも適切な所定の比に調整した熱伝導性樹脂組成物によれば、耐熱性が高く、熱伝導性フィラーを高充填した場合であっても、良好な低硬度性と高表面粘着性とを有する熱伝導性シートを得ることができる。

    なお本明細書中において、「エラストマー特性」とは、JIS K6253に準拠して測定されるShore A硬度が20〜40の範囲内であることを意味する。 また、「ゲル特性」とは、JIS K2207に準拠して測定される針入度が60〜80の範囲内であることを意味する。

    すなわち本発明は、下記成分:
    (A1)主鎖中にパーフルオロアルキルエーテル構造を有し、分子末端にヒドロシリル基を1〜2個有する化合物であって、ヒドロシリル基を2個有する分子の含有率が60〜100モル%であるフッ素系化合物、
    (B1)主鎖中にパーフルオロアルキルエーテル構造を有し、分子末端にアルケニル基を1〜2個有する化合物であって、アルケニル基を2個有する分子の含有率が60〜100モル%であるフッ素系化合物、
    (A2)主鎖中にパーフルオロアルキルエーテル構造を有し、分子末端にヒドロシリル基を1〜2個有する化合物であって、ヒドロシリル基を2個有する分子の含有率が0〜40モル%であるフッ素系化合物、
    (B2)主鎖中にパーフルオロアルキルエーテル構造を有し、分子末端にアルケニル基を1〜2個有する化合物であって、アルケニル基を2個有する分子の含有率が0〜40モル%であるフッ素系化合物、及び (C)熱伝導性フィラー、を含み、フッ素系化合物(A1)、(B1)、(A2)及び(B2)の含有量に関し、下記式[1]〜[3]:
    〔(A1)+(B1)〕/〔(A2)+(B2)〕=20/80〜80/20 [1]
    (A1)/(B1)=20/80〜80/20 [2]
    (A2)/(B2)=20/80〜80/20 [3]
    を満たす熱伝導性樹脂組成物を提供する。

    本発明の熱伝導性樹脂組成物は、フッ素系化合物(A1)、(B1)、(A2)及び(B2)の含有量に関し、下記式[4]及び[5]:
    (A1)/(B1)=20/80〜40/60又は60/40〜80/20 [4]
    (A2)/(B2)=20/80〜40/60又は60/40〜80/20 [5]
    をさらに満たすことが好ましい。

    フッ素系化合物(A1)、(B1)、(A2)及び(B2)は、下記式[6]:

    (式中、nは1〜10の整数である。)
    で表される主鎖構造を有するものであることができる。

    フッ素系化合物(B1)及び(B2)が有するアルケニル基は、例えばビニル基である。

    本発明の熱伝導性樹脂組成物は、フッ素系化合物(A1)、(B1)、(A2)及び(B2)の合計含有量100重量部に対して、熱伝導性フィラー(C)を50〜500重量部含むことができる。 本発明の熱伝導性樹脂組成物は、白金族系触媒(D)をさらに含むことが好ましい。

    また本発明は、上記本発明に係る熱伝導性樹脂組成物の硬化物からなる熱伝導性シートを提供する。 本発明の熱伝導性シートは、典型的には、70以下のASKER C硬度及び30gf以上の表面粘着性(JIS Z3284に準拠して測定)を示す。

    本発明によれば、耐熱性が高く、また熱伝導性フィラーを高充填した場合であっても、良好な低硬度性と高表面粘着性とを併せ持ち、もって優れた熱伝導効率を示す熱伝導性シートを提供することができる。

    <熱伝導性樹脂組成物>
    本発明の熱伝導性樹脂組成物は、発熱体と放熱体との間に介在させて、発熱体の熱を効率的に放熱体に伝導させる熱伝導性シートを形成するために好適に用いられるものであり、以下の成分を含む。

    (A1)主鎖中にパーフルオロアルキルエーテル構造を有し、分子末端にヒドロシリル基を1〜2個有する化合物であって、ヒドロシリル基を2個有する分子の含有率が60〜100モル%であるフッ素系化合物〔以下、「フッ素系化合物(A1)」ともいう。 〕、
    (B1)主鎖中にパーフルオロアルキルエーテル構造を有し、分子末端にアルケニル基を1〜2個有する化合物であって、アルケニル基を2個有する分子の含有率が60〜100モル%であるフッ素系化合物〔以下、「フッ素系化合物(B1)」ともいう。 〕、
    (A2)主鎖中にパーフルオロアルキルエーテル構造を有し、分子末端にヒドロシリル基を1〜2個有する化合物であって、ヒドロシリル基を2個有する分子の含有率が0〜40モル%であるフッ素系化合物〔以下、「フッ素系化合物(A2)」ともいう。 〕、
    (B2)主鎖中にパーフルオロアルキルエーテル構造を有し、分子末端にアルケニル基を1〜2個有する化合物であって、アルケニル基を2個有する分子の含有率が0〜40モル%であるフッ素系化合物〔以下、「フッ素系化合物(B2)」ともいう。 〕、及び (C)熱伝導性フィラー。

    上記のとおり、フッ素系化合物(A1)及び(B1)は、硬化(架橋)反応によりエラストマー特性を示すフッ素系ポリマー(ゴム状弾性体)を形成するフッ素系化合物対であり、フッ素系化合物(A2)及び(B2)は、硬化反応によりゲル特性を示すフッ素系ポリマー(ゲル状弾性体)を形成するフッ素系化合物対である。 本発明は、これらのフッ素系化合物(A1)、(B1)、(A2)及び(B2)を併用し、さらにはこれらを特徴的な配合比で熱伝導性樹脂組成物に含有させることによって、高い耐熱性を有するとともに、良好な低硬度性と高表面粘着性とを併せ持つ熱伝導性シートの実現を可能としたものである。

    なおここで留意すべきは、本発明が単純に、エラストマー特性を示す架橋体(A1)−(B1)と、ゲル特性を示す架橋体(A2)−(B2)とブレンドすることによって、得られる熱伝導性シートの特性を調整するという着想に基づくものではないことである。 本発明の熱伝導性樹脂組成物は、あらかじめ調製された架橋体(A1)−(B1)と架橋体(A2)−(B2)とを配合成分として含むものではなく、架橋前の状態のフッ素系化合物(A1)、(B1)、(A2)及び(B2)を含むものであり、したがって該熱伝導性樹脂組成物から形成される熱伝導性シートは、上記4種のフッ素系化合物が種々の組み合わせで架橋し合う結果として、架橋体(A1)−(B1)及び(A2)−(B2)以外にも多種の架橋体(ポリマー鎖長等をも考慮すればさらに多種の架橋体)をバインダーとして含む。

    本発明の特徴は、それら同士のみで架橋したならばエラストマー特性を示す架橋体を形成するフッ素系化合物対と、それら同士のみで架橋したならばゲル特性を示す架橋体を形成するフッ素系化合物対とを併用することにより、エラストマー特性の利点とゲル特性の利点とを併せ持つ熱伝導性シートを得るという着想を前提としつつも、上記のように、シート成型時に多種にわたる架橋体が生成することを考慮して、所望の特性を有する熱伝導性シートの実現のために、4種のフッ素系化合物の含有量比を適切に制御したことにある。

    〔1〕フッ素系化合物(A1)
    フッ素系化合物(A1)は、主鎖中にパーフルオロアルキルエーテル構造を有し、分子末端にヒドロシリル基(SiH基)を1〜2個有する化合物であって、ヒドロシリル基を2個有する分子の含有率が60〜100モル%、好ましくは80〜100モル%であり(したがって、ヒドロシリル基を1個有する分子の含有率が0〜40モル%、好ましくは0〜20モル%であり)、フッ素系化合物(B1)及びフッ素系化合物(B2)のアルケニル基と付加反応可能なフッ素系化合物である。

    フッ素系化合物(A1)の主鎖構造は、パーフルオロオキシアルキレン単位から構成されるものであることができ、好ましくは下記式[6]:

    (式[6]中、nは1〜10の整数である。)
    で表される構造である。

    フッ素系化合物(A1)として好適に用いられる化合物の代表例は、下記式[7]:

    で表されるヒドロシリル基末端フッ素系化合物である。 式[7]中、nは上記と同じ意味を表す。 Z 1はヒドロシリル基を含む架橋部であり、Si(H)(R 12を表す。 Z 2は、末端ヒドロシリル基を2個有する分子においては、Z 1と同様、Si(H)(R 22を表し、末端ヒドロシリル基を1個有する分子においては、Si(R 33を表す。

    上記R 1 、R 2 、R 3は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立して、置換または非置換の一価炭化素基であり、その例を挙げれば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基等のアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基等のアリール基;3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基などである。 R 1 、R 2 、R 3は、好ましくは炭素原子数1〜5のアルキル基である。

    フッ素系化合物(A1)は、JIS K7117−1に準拠して測定される粘度が1.5〜4.0Pa・sであることが好ましい。

    式[7]で表されるフッ素系化合物(A1)として、信越化学工業(株)製の商品名「SIFEL 8370−A」などを好適に用いることができる。

    〔2〕フッ素系化合物(B1)
    フッ素系化合物(B1)は、主鎖中にパーフルオロアルキルエーテル構造を有し、分子末端にアルケニル基を1〜2個有する化合物であって、アルケニル基を2個有する分子の含有率が60〜100モル%、好ましくは80〜100モル%であり(したがって、アルケニル基を1個有する分子の含有率が0〜40モル%、好ましくは0〜20モル%であり)、フッ素系化合物(A1)及びフッ素系化合物(A2)のヒドロシリル基と付加反応可能なフッ素系化合物である。

    フッ素系化合物(B1)の主鎖構造は、パーフルオロオキシアルキレン単位から構成されるものであることができ、好ましくは上記式[6]で表される構造である。 フッ素系化合物(B1)においても、式[6]中のnは1〜10の整数である。 フッ素系化合物(B1)におけるnの数は、フッ素系化合物(A1)と同じであっても、異なっていてもよい。

    フッ素系化合物(B1)として好適に用いられる化合物の代表例は、下記式[8]:

    で表されるアルケニル基末端フッ素系化合物である。 式[8]中、nは上記と同じ意味を表す。 Z 3はアルケニル基を含む架橋部であり、Si(アルケニル基)(R 42を表す。 Z 4は、末端アルケニル基を2個有する分子においては、Z 3と同様、Si(アルケニル基)(R 52を表し、末端アルケニル基を1個有する分子においては、Si(R 63を表す。

    上記R 4 、R 5 、R 6は、同じであっても異なっていてもよく、それぞれ独立して、置換または非置換の一価炭化水素基であり、その例は、上記R 1 、R 2 、R 3について述べたものと同様である。 R 4 、R 5 、R 6は、好ましくは炭素原子数1〜5のアルキル基である。

    アルケニル基としては、例えば、ビニル基、メチルビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等の、通常、炭素原子数2〜8、好ましくは2〜4程度のものが挙げられ、とりわけビニル基が好ましい。

    フッ素系化合物(B1)は、JIS K7117−1に準拠して測定される粘度が1.5〜4.0Pa・sであることが好ましい。

    式[8]で表されるフッ素系化合物(B1)として、信越化学工業(株)製の商品名「SIFEL 8370−B」などを好適に用いることができる。

    〔3〕フッ素系化合物(A2)
    フッ素系化合物(A2)は、主鎖中にパーフルオロアルキルエーテル構造を有し、分子末端にヒドロシリル基(SiH基)を1〜2個有する化合物であって、ヒドロシリル基を2個有する分子の含有率が0〜40モル%、好ましくは20〜40モル%であり(したがって、ヒドロシリル基を1個有する分子の含有率が60〜100モル%、好ましくは60〜80モル%であり)、フッ素系化合物(B1)及びフッ素系化合物(B2)のアルケニル基と付加反応可能なフッ素系化合物である。

    フッ素系化合物(A2)の主鎖構造は、パーフルオロオキシアルキレン単位から構成されるものであることができ、好ましくは上記式[6]で表される構造である。 フッ素系化合物(A2)においても、式[6]中のnは1〜10の整数である。 フッ素系化合物(A2)におけるnの数は、フッ素系化合物(A1)や(B1)と同じであっても、異なっていてもよい。

    フッ素系化合物(A2)として好適に用いられる化合物の代表例は、下記式[9]:

    で表されるヒドロシリル基末端フッ素系化合物である。 式[9]中、nは上記と同じ意味を表す。 Z 5及びZ 6はそれぞれ、上記Z 1及びZ 2と同じ意味を表す。

    フッ素系化合物(A2)は、JIS K7117−1に準拠して測定される粘度が1.5〜500Pa・sであることが好ましい。

    式[9]で表されるフッ素系化合物(A2)として、信越化学工業(株)製の商品名「SIFEL 3405−A」、「SIFEL 3505−A」などを好適に用いることができる。

    〔4〕フッ素系化合物(B2)
    フッ素系化合物(B2)は、主鎖中にパーフルオロアルキルエーテル構造を有し、分子末端にアルケニル基を1〜2個有する化合物であって、アルケニル基を2個有する分子の含有率が0〜40モル%、好ましくは20〜40モル%であり(したがって、アルケニル基を1個有する分子の含有率が60〜100モル%、好ましくは60〜80モル%であり)、フッ素系化合物(A1)及びフッ素系化合物(A2)のヒドロシリル基と付加反応可能なフッ素系化合物である。

    フッ素系化合物(B2)の主鎖構造は、パーフルオロオキシアルキレン単位から構成されるものであることができ、好ましくは上記式[6]で表される構造である。 フッ素系化合物(B2)においても、式[6]中のnは1〜10の整数である。 フッ素系化合物(B2)におけるnの数は、フッ素系化合物(A1)や(B1)、(A2)と同じであっても、異なっていてもよい。

    フッ素系化合物(B2)として好適に用いられる化合物の代表例は、下記式[10]:

    で表されるアルケニル基末端フッ素系化合物である。 式[10]中、nは上記と同じ意味を表す。 Z 7及びZ 8はそれぞれ、上記Z 3及びZ 4と同じ意味を表す。 アルケニル基は、フッ素系化合物(B1)と同様、例えば、ビニル基、メチルビニル基、アリル基、プロペニル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基等の、通常、炭素原子数2〜8、好ましくは2〜4程度のものであることができ、とりわけビニル基が好ましい。 フッ素系化合物(B2)のアルケニル基は、フッ素系化合物(B1)のアルケニル基と同じであってもよいし、異なっていてもよい。

    フッ素系化合物(B2)は、JIS K7117−1に準拠して測定される粘度が1.5〜500Pa・sであることが好ましい。

    式[10]で表されるフッ素系化合物(B2)として、信越化学工業(株)製の商品名「SIFEL 3405−B」、「SIFEL 3505−B」などを好適に用いることができる。

    〔5〕フッ素系化合物の含有量 本発明の熱伝導性樹脂組成物は、フッ素系化合物(A1)、(B1)、(A2)及び(B2)の含有量に関し、下記式[1]〜[3]:
    〔(A1)+(B1)〕/〔(A2)+(B2)〕=20/80〜80/20 [1]
    (A1)/(B1)=20/80〜80/20 [2]
    (A2)/(B2)=20/80〜80/20 [3]
    を満たす。

    上記式[1]〜[3]を満たす含有量比で、フッ素系化合物(A1)、(B1)、(A2)及び(B2)を配合することにより、耐熱性が高く、熱伝導性フィラー(C)を高充填した場合であっても、良好な低硬度性と高表面粘着性とを併せ持つ熱伝導性シートを得ることができる。

    より優れた低硬度性及び高表面粘着性を得るために、含有量比〔(A1)+(B1)〕/〔(A2)+(B2)〕は、25/75以上とすることが好ましく、30/70以上とすることがより好ましく、また、75/25以下とすることが好ましい。 含有量比〔(A1)+(B1)〕/〔(A2)+(B2)〕は、例えば、70/30以下、60/40以下、あるいは50/50程度とすることができる。 含有量比〔(A1)+(B1)〕/〔(A2)+(B2)〕が20/80未満である場合には、熱伝導性シートへの成型が困難となる傾向にある。 一方、含有量比〔(A1)+(B1)〕/〔(A2)+(B2)〕が80/20を超える場合には、熱伝導性シートの硬度が高くなったり、表面粘着性が低下したりする。

    上記式[1]に加えて含有量比(A1)/(B1)及び(A2)/(B2)をそれぞれ20/80〜80/20の範囲内とする(上記式[2]及び[3]を満たす)ことにより、良好な低硬度性と高表面粘着性とを両立させることが可能であるが、より優れた低硬度性を得るためには、含有量比(A1)/(B1)及び(A2)/(B2)は、下記式[4]及び[5]:
    (A1)/(B1)=20/80〜40/60又は60/40〜80/20 [4]
    (A2)/(B2)=20/80〜40/60又は60/40〜80/20 [5]
    を満たすことが好ましい。

    すなわち、上記式[4]及び[5]を満たすように、フッ素系化合物(A1)又は(B1)のいずれか一方を他方に対して過剰に配合し、フッ素系化合物(A2)又は(B2)のいずれか一方を他方に対して過剰に配合することにより、過剰分のフッ素系化合物が効果的に作用して、熱伝導性シートの低硬度性を向上させることができる。 ただし、上記過剰分が過度に多いと、すなわち、含有量比(A1)/(B1)又は(A2)/(B2)が20/80未満又は80/20を超える場合には、上記式[1]を満たしている場合であっても、熱伝導性シートへの成型が困難となる傾向にある。

    なお、上記過剰分のフッ素系化合物は、熱伝導性シートを構成するバインダーと分子構造が類似しているため、高温使用時においてもブリードしない(又は極めてブリードしにくい)。 高温使用時におけるシート含有成分のブリードは、系を汚染する要因となるが、本発明の熱伝導性シートはこのような不具合が生じず、この点においても高耐熱性である。

    〔6〕熱伝導性フィラー(C)
    熱伝導性フィラー(C)としては、特に制限されず、一般的に使用されているものを用いることができる。 具体例を挙げれば、例えば、酸化アルミニウム(Al 23 )、結晶性酸化ケイ素(SiO 2 )、酸化マグネシウム(MgO)、酸化ベリリウム(BeO)、酸化亜鉛(ZnO)、窒化ケイ素(Si 34 )、窒化ホウ素(六方晶BNや立方晶BN)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素(SiC)、炭素繊維、ダイヤモンド、黒鉛などである。

    熱伝導性フィラー(C)の形状は、粒状、鱗片状、針状などであり得るが、より高密度充填できることから粒状であることが好ましい。 粒状である熱伝導性フィラー(C)の平均粒子径は、例えば0.1〜100μmであり、好ましくは0.5〜50μmである。

    熱伝導性フィラー(C)として、1種の熱伝導性フィラーを単独で用いてもよいし、2種以上の熱伝導性フィラーを混合して用いてもよい。 また、高密度充填性などを考慮して、平均粒子径の異なる2種以上の熱伝導性フィラーを混合して用いることもできる。

    本発明の熱伝導性樹脂組成物において、熱伝導性フィラー(C)の含有量は、フッ素系化合物(A1)、(B1)、(A2)及び(B2)の合計含有量100重量部に対して、通常50〜500重量部であり、好ましくは100〜400重量部である。 本発明によれば、熱伝導性フィラー(C)の含有量を例えば200〜500重量部程度まで高くしても、良好な低硬度性と高表面粘着性とを有する熱伝導性シートを得ることができる。 熱伝導性フィラー(C)の含有量がフッ素系化合物の合計含有量100重量部に対して50重量部以上、好ましくは100重量部以上、より好ましくは250重量部以上であると、熱伝導性シート自体の十分な熱伝導性性能が得られやすい。 また、熱伝導性フィラー(C)の含有量がフッ素系化合物の合計含有量100重量部に対して500重量部以下、好ましくは400重量部以下であると、熱伝導性シートへの成型性を十分に確保できるとともに、極度の熱伝導性フィラー充填による熱伝導性シートの硬度上昇を抑制することができる。

    〔7〕白金族系触媒(D)
    本発明の熱伝導性樹脂組成物は、フッ素系化合物のヒドロシリル基とアルケニル基との架橋反応(ヒドロシリル化反応)を触媒する白金族系触媒(D)を含み、通常は白金族系触媒(D)を含む。 白金族系触媒(D)としては、例えば白金系触媒が好ましく用いられる。 白金系触媒としては、白金の単体;塩化白金酸;塩化白金;白金−オレフィン錯体;白金−アルケニルシロキサン錯体;白金−カルボニル錯体;白金−ホスフィン錯体;白金−アルコール錯体;アルミナ、シリカ、カーボンブラック等の担体に白金を担持させたものなどが挙げられる。

    白金系触媒以外の白金族系触媒としては、ロジウム系化合物、ルテニウム系化合物、イリジウム系化合物、パラジウム系化合物が挙げられる。

    白金族系触媒(D)の含有量は、熱伝導性樹脂組成物の架橋硬化を促進するために必要な有効量であれば特に限定されず、フッ素系化合物(A1)、(B1)、(A2)及び(B2)の合計含有量100重量部に対して、0〜10重量部であることができ、典型的には、上記合計含有量に対して、0.1〜1000ppm程度である。

    〔8〕その他の配合成分 本発明の熱伝導性樹脂組成物は必要に応じて、老化防止剤、酸化防止剤、難燃剤、分散剤、溶剤などを含むことができる。

    <熱伝導性シート>
    本発明の熱伝導性シートは、上記の熱伝導性樹脂組成物を一般的な方法によりシート成型するとともに、成型時の加熱により架橋させて得ることができる。 成型方法としては、プレス成型、射出成型、トランスファー成型、押出成型などを挙げることができる。

    熱伝導性シートの厚さは、用途などにより適宜設定されるが、通常0.05〜3mm程度であり、好ましくは0.1〜1mm程度である。

    本発明の熱伝導性シートは、上記本発明に係る熱伝導性樹脂組成物から形成されるものであるため、高い耐熱性を有するとともに、良好な低硬度性と高表面粘着性とを示す。 本発明の熱伝導性シートは、典型的には、ASKER C硬度が70以下であり、さらには60以下、なおさらには50以下であり得る。 また典型的には、JIS Z3284に準拠して測定される表面粘着性が30gf以上であり、さらには50gf以上、なおさらには70gf以上であり得る。

    以下、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。 下記実施例及び比較例で得られた熱伝導性シートについて行なった評価試験の試験方法は次のとおりである。

    (1)10%圧縮荷重 得られた熱伝導性シートから、直径46.2mm、厚さ(高さ)1.0mmの円柱状試料片を切り出し、(株)島津製作所製「AUTO GRAPH AG−500kND」を用いて荷重をかけ、厚みを10%圧縮したときの荷重値(25℃)を測定した。 「10%圧縮荷重」は、熱伝導性シートの硬度の指標となる物性値であり、10%圧縮荷重が小さいほど硬度が小さい。

    (2)硬度 ASKER製のASKER C硬度計を用いて25℃での熱伝導性シートの硬度を測定した。 熱伝導性シートの耐熱性を評価するために、熱処理(250℃、5時間)前後の硬度を測定し、硬度の変化を確認した。

    (3)表面粘着性 JIS Z3284に準拠して熱伝導性シートの表面粘着性を測定した。 具体的には次のとおりである。 厚さ0.75mmの熱伝導性シートをタッキネステスター(テクスチャーテクノロジーコーポレーション製の「テクスチャーアナライザーTA−XT2」)のステージにセットし、以下の測定条件で1/4インチφのステンレススチール製ボールプローブを熱伝導性シートに押しつけた後、2mm引き上げる時の最大抵抗値を、10分以内に7点測定し、その平均値を測定した。

    (測定条件)
    ・プレート及びプローブ温度:25℃、
    ・落下速度:0.2mm/秒、
    ・侵入厚さ:0.1mm、
    ・荷重:100gf、
    ・プレスタイム:10秒、
    ・引き上げ速度:0.2mm/秒、
    ・引き上げ距離:2mm。

    (4)熱抵抗 発熱基板(発熱量:45W)上に、熱伝導性シートから切り出した縦10mm、横10mm、厚さ1.0mmの試料片を貼り付けた。 試料片の上に、上記発熱基板と同じ材質からなる冷却機構付き基板を配置し、98kPaの一定荷重で圧接した。 両基板には温度センサーが取り付けられており、両基板の温度をモニタリングしながら、発熱基板に通電した。 通電開始から5分経過後の発熱基板の温度T 1 (℃)及び冷却機構付き基板T 2 (℃)を測定し、下記式:
    熱抵抗(℃/W)=(T 1 −T 2 )/Q 〔Qは発熱基板の発熱量(W)〕
    に基づき熱抵抗を算出した。 熱伝導性シートの耐熱性を評価するために、熱処理(250℃、5時間)前後の熱抵抗を測定し、熱抵抗の変化を確認した。

    (5)重量減少率 セイコーインスツルメント社製「TG−DTA 6200」を用いて熱重量(TG)測定を行ない、200℃、5時間の熱処理による重量減少率及び250℃、5時間の熱処理による重量減少率(%)を測定した。

    <実施例1〜8、比較例1〜5>
    表1及び表2に示される配合比率(数値の単位は重量部である)で同表に示される各配合成分を自動乳鉢を用いて混合し、さらにロールに通して高分散化させた。 得られた混練物を、金型を用いて熱プレス(150℃、10分間)でシート状に成型し、熱伝導性シートを作製した。 実施例及び比較例で使用した各配合成分の詳細は次のとおりである。

    〔a〕フッ素系化合物(A1):信越化学工業(株)製の商品名「SIFEL 8370−A」(ヒドロシリル基を2個有する分子の含有率が60〜100モル%の範囲内であるフッ素系化合物)、
    〔b〕フッ素系化合物(B1):信越化学工業(株)製の商品名「SIFEL 8370−B」(アルケニル基を2個有する分子の含有率が60〜100モル%の範囲内であるフッ素系化合物)、
    〔c〕フッ素系化合物(A2):信越化学工業(株)製の商品名「SIFEL 3405−A」(ヒドロシリル基を2個有する分子の含有率が0〜40モル%の範囲内であるフッ素系化合物)、
    〔d〕フッ素系化合物(B2):信越化学工業(株)製の商品名「SIFEL 3405−B」(アルケニル基を2個有する分子の含有率が0〜40モル%の範囲内であるフッ素系化合物)、
    〔e〕シリコン系化合物:富士高分子社製「サーコン」、
    〔f〕酸化アルミニウムA:電気化学工業(株)製「DAM−45」(平均粒子径40μm)、
    〔g〕酸化アルミニウムB:電気化学工業(株)製「DAM−05A」(平均粒子径0.5μm)、
    〔h〕白金触媒:田中貴金属社製「TEC10E50E」(担持量50重量%)。

    表1に示されるとおり、実施例1〜8の熱伝導性シートは、熱処理前後の硬度及び熱抵抗の変化率が小さく、また重量減少率も小さく、高い耐熱性を有することがわかる。 また、良好な低硬度性(ASKER C硬度70以下)と高表面粘着性(30gf以上)を有する。 さらに、実施例1〜8の熱伝導性シートの熱処理(250℃、5時間)において、ブリードは認められなかった。

    これに対し、比較例1、2及び4においては、(A1)/(B1)及び(A2)/(B2)が過度に大きいか、これらが過度に小さいか、又は〔(A1)+(B1)〕/〔(A2)+(B2)〕が過度に小さいために、シート成型を行なうことができなかった。 また、比較例3の熱伝導性シートにおいては、〔(A1)+(B1)〕/〔(A2)+(B2)〕が過度に大きいために、硬度が高く、また表面粘着性も低いものとなった。

    本発明の熱伝導性シートは耐熱性が高く、また優れた熱伝導効率を示すものであり、各種装置や電子機器などの幅広い分野における熱伝導性シートとして好適に使用することができる。 本発明の熱伝導性シートを、例えば半導体製造装置に適用した場合には、半導体製造プロセスを高温環境下で実施することが可能となるため、回路の線幅を小さくすることによるLSIの高集積化、ひいては、より高性能な半導体装置を実現し得る。

    また、従来のSi系LSIは理論的な性能限界に近づきつつあり、SiCやGaN、ダイヤモンドなどの材料を使用した次世代型パワー半導体の要求が高まっているが、次世代型パワー半導体の高温動作性に追随した周辺部材が少なく、とりわけ熱伝導性シートでは十分な耐熱性及び熱伝導効率を示すものがないのが現状であった。 本発明の熱伝導性シートは、このような要求特性を満足し得るものであり、次世代型パワー半導体等のパワーデバイス用として好適に用いることができる。

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