1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパンまたは2,3,3,3−テトラフルオロプロペンを含む組成物

申请号 JP2015103177 申请日 2015-05-20 公开(公告)号 JP2015212385A 公开(公告)日 2015-11-26
申请人 イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー; E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY; 发明人 バリー アッシャー マーラー; マリオ ジョセフ ナッパ; ジェフリー ピー.ナップ;
摘要 【課題】冷凍、空気調節および熱ポンプシステム用の伝熱組成物として有用であるHFO−1234yfを含む組成物の提供。 【解決手段】伝熱組成物、冷媒、エアゾール噴射剤、又は発泡剤に用いられる組成物であって、HFO−1234yfと、HFC−245cbと、HFO−1234ze, HFC−254eb、HFO−1243zf、HFO−1225ye、HFC−23又はHFO−1132aから選択される少なくとも1つの化合物と、を含み、前記少なくとも1つの化合物は、前記組成物の重量に対し0〜1重量%未満である、組成物。 【選択図】図1
权利要求

伝熱組成物、冷媒、エアゾール噴射剤、または発泡剤に用いられる組成物であって、前記組成物は、 HFO−1234yfと、 HFC−245cbと、 HFO−1234ze, HFC−254eb、HFO−1243zf、HFO−1225ye、HFC−23、およびHFO−1132aからなる群から選択される少なくとも1つの化合物と、 を含み、 前記少なくとも1つの化合物は、前記組成物の重量に対し0重量%より多く1重量%未満である、 ことを特徴とする組成物。伝熱組成物としての請求項1に記載の組成物の使用。冷媒としての請求項1に記載の組成物の使用。空気調節装置、冷凍庫、冷蔵庫、熱ポンプ、冷却装置、浸水蒸発器冷却装置直接膨張冷却装置、遠心冷却装置、ウォークインクーラー、移動式冷蔵庫、移動式空気調節装置およびそれらの組み合わせでの冷媒としての請求項1に記載の組成物の使用。エアゾール噴射剤としての請求項1に記載の組成物の使用。発泡剤としての請求項1に記載の組成物の使用。熱源からヒートシンクへと熱を伝えるために作動流体を使用する伝熱方法であって、前記作動流体が、請求項1に記載の組成物を含むことを特徴とする方法。前記作動流体が液相と気相との間の相変化を受ける冷媒である請求項7に記載の方法。

说明书全文

本願は、2008年5月7日出願の米国仮特許出願第61/126,813号の優先権の利益を主張する。

本開示は、伝熱組成物、エアゾール噴射剤、発泡剤(foaming agent)、発泡剤(blowing agent)、溶媒、洗浄剤、分散媒、置換乾燥剤、バフ研磨剤、重合媒体、ポリオレフィンおよびポリウレタンのための膨張剤、ガス状誘電体、消火剤、ならびに液体状またはガス状の火災鎮圧剤として有用であろう組成物の分野に関する。特に、本開示は、2,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFO−1234yfまたは1234yf)などの伝熱組成物、あるいはHFO−1234yfを製造する方法で有用である1,1,1,2,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245ebまたは245eb)を含む組成物として有用であろう組成物に関する。

新しい環境規制によって、冷凍、空気調節および熱ポンプ装置用の新規組成物の必要性が導かれた。地球温暖化の可能性の低い化合物は特に興味深い。

出願人は、HFO−1234yfなどのそのような新規の地球温暖化の可能性の低い化合物を調製する際に、ある種の追加的な化合物が少量で存在することを見出した。

したがって、本発明によれば、HFO−1234yfと、HFO−1234ze、HFC−254eb、HFC−254fb、HFO−1243zf、HFC−245eb、HFC−245fa、HFC−245cb、HFC−236cb、HFC−236ea、HFC−236fa、HFC−227ea、HFC−227ca、HFO−1225yc、HFO−1225zc、HFO−1225ye、3,3,3−トリフルオロプロピン、メタン、エタン、プロパン、HFC−23、HFC−143a、HFC−134、HFC−134a、HFO−1132aおよびFC−1216からなる群から選択される少なくとも1つの追加的な化合物を含む組成物が提供される。組成物は、約1重量%未満の少なくとも1つの追加的な化合物を含有する。

加えて、本発明によれば、HFC−245ebと、HFO−1234ze、HFC−245fa、HFC−245ca、HFC−236cb、HFC−236ea、HFC−236fa、HFC−227ea、HFC−227ca、HFO−1225yc、HFO−1225zc、HFO−1225ye、メタン、エタン、プロパン、HFC−23、HFC−143a、HFC−134、HFC−134a、FC−1216、HFO−1234yf、HFC−254eb、HFO−1243zfおよびHFC−254fbからなる群から選択される少なくとも1つの追加的な化合物とを含む組成物が提供される。この場合、組成物は0重量%より多く、約99重量%までのHFC−245ebを含有してよい。HFC−245ebを含む組成物は、HFO−1234yfを製造する方法で有用である。

HFC−245ebからHFO−1234yfを製造する反応と、HFC−245ebからHFO−1234yfへの反応工程の間に同時に生じ得るHFO−1234yfおよびHFC−245ebからの副反応とを示すスキーム図である。

一実施形態において、本開示は、HFC−245ebと、HFO−1234ze、HFC−245fa、HFC−236cb、HFC−236ea、HFC−236fa、HFC−227ea、HFC−227ca、HFO−1225yc、HFO−1225zc、HFO−1225ye、メタン、エタン、プロパン、HFC−23、HFC−143a、HFC−134、HFC−134a、FC−1216、HFO−1234yf、HFC−254eb、HFO−1243zfおよびHFC−254fbからなる群から選択される少なくとも1つの追加的な化合物を含む組成物を提供する。

一実施形態において、HFC−245ebを含む組成物中の追加的な化合物の全量は、0重量%より多く、約99重量%までの範囲である。もう1つの実施形態において、追加的な化合物の全量は、約1重量%〜約80重量%の範囲である。もう1つの実施形態において、追加的な化合物の全量は、約1重量%〜約50重量%の範囲である。もう1つの実施形態において、追加的な化合物の全量は、約1重量%〜約30重量%の範囲である。もう1つの実施形態において、追加的な化合物の全量は、約1重量%〜約10重量%の範囲である。

いくつかの実施形態において、HFC−245ebのある種の前駆化合物は、HFC−245ebに生じる不純物を含有する。他の実施形態において、追加的な化合物は、これらの前駆不純物の反応によって形成される。他の実施形態において、HFC−245ebが製造される反応条件によって副産物も製造される。これは、HFC−245ebが製造される特定の条件次第で、代わりの反応経路が追加的な化合物を製造し得ることを意味する。

もう1つの実施形態において、本開示は、HFO−1234yfと、HFO−1234ze、HFC−254eb、HFC−254fb、HFO−1243zf、HFC−245eb、HFC−245fa、HFC−245cb、HFC−236cb、HFC−236ea、HFC−236fa、HFC−227ea、HFC−227ca、HFO−1225yc、HFO−1225zc、HFO−1225ye、3,3,3−トリフルオロプロピン、メタン、エタン、プロパン、HFC−23、HFC−143a、HFC−134、HFC−134a、HFO−1132aおよびFC−1216からなる群から選択される少なくとも1つの化合物を含む組成物を提供する。

一実施形態において、HFO−1234yfを含む組成物中の追加的な化合物の全量は、0重量%より多く、1重量%未満の範囲である。

いくつかの実施形態において、HFC−245ebに存在する不純物は、HFO−1234yfを製造する反応の間、未反応のままである。したがって、それらは追加的な化合物に含まれる。

HFC−245ebを含む組成物は、HFO−1234yfを製造する方法で有用である。

本明細書に開示されるHFO−1234yfを含む組成物は、伝熱組成物、エアゾール噴射剤、発泡剤(foaming agent)、発泡剤(blowing agent)、溶媒、洗浄剤、分散媒、置換乾燥剤、バフ研磨剤、重合媒体、ポリオレフィンおよびポリウレタンのための膨張剤、ガス状誘電体、消火剤、ならびに液体状またはガス状の火災鎮圧剤として有用である。開示された組成物は、熱源からヒートシンクへと熱を伝えるために使用される作動流体として作用可能である。そのような伝熱組成物は、液体が相変化を受け、すなわち、液体から気体へ、またはその逆のサイクルでの冷媒としても有用であり得る。

伝熱システムの例としては、限定されないが、空気調節装置、冷凍庫、冷蔵庫、熱ポンプ、冷却装置、浸水蒸発器冷却装置、直接膨張冷却装置、遠心冷却装置、ウォークインクーラー、熱ポンプ、移動式冷蔵庫、移動式空気調節装置およびそれらの組み合わせが挙げられる。

本明細書で使用される場合、移動式冷凍装置、移動式空気調節または移動式暖房装置とは、道路、鉄道、海または航空用の輸送ユニットに組み込まれるいずれもの冷凍、空気調節装置または暖房装置を指す。加えて、移動式冷凍または空気調節装置ユニットとしては、いかなる移動担体からも独立していて、「インターモダル」システムとして既知の装置が含まれる。そのようなインターモダルシステムとしては、「コンテナ」(海/陸上輸送の組み合わせ)、ならびに「スワップボディ(swap bodies)」(道路/鉄道輸送機関の組み合わせ)が含まれる。

本明細書で使用される場合、固定伝熱システムは、いずれもの種類の建物内に含まれるか、または取り付けられたシステムである。これらの固定用途は、固定空気調節および熱ポンプ(限定されないが、冷却装置(遠心冷却装置を含む)高温熱ポンプ、居住用、商用または工業用空気調節システムを含み、そしてルーフトップシステムなどのウインドウ、ダクトレス、ダクテッド、パッケージドターミナルおよびそれらの外部であるが、建物に連結されたものを含む)であってよい。固定冷凍用途において、開示された組成物は、商用、工業用または住居用冷蔵庫および冷凍庫、製氷機、内蔵式クーラーおよび冷凍庫、浸水蒸発器冷却装置、直接膨張冷却装置、ウォークインおよびリーチインクーラーおよび冷凍庫、ならびに組み合わせのシステムを含む装置において有用であり得る。いくつかの実施形態において、開示された組成物は、スーパーマーケットの冷蔵庫システムで使用されてもよい。

開示された組成物を構成する化合物については、表1に定義される。

HFC−245ebは、SynQuest Laboratories,Inc.(Alachua,Florida)を含む専門の化学製品製造業者から入手可能であるか、または当該技術で既知の方法によって製造されてもよい。HFC−245ebを製造するために使用可能な一連の工程は、ヘキサフルオロプロペン(HFP)から出発する。HFPを水素化して、1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236ea)を製造してよい。次いで、HFC−236eaを脱フッ化水素し、1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFC−1225ye)を製造してよい。HFC−1225yeを水素化し、所望のHFC−245ebを得てよい。水素化工程は、例えば、国際公開第2008/030440号パンフレットに記載されるように実行されてよい。HFC−236eaからHFO−1225yeへの脱フッ化水素は、例えば、HFC−245ebからHFO−1234yfへの脱フッ化水素に関して本明細書に記載されたものと同じ条件で実行されてもよい。

表1の他の化合物は、商業的に入手可能であるか、または当該技術で既知のように調製されてもよい。

表1の化合物の中で、開示された組成物中に存在するものは製造方法次第である。

いくつかの実施形態において、HFC−245ebへのある種の前駆化合物は不純物を含有し、HFC−245eb組成物中で追加的な化合物として現れる。他の実施形態において、これらの前駆化合物は、HFC−245eb形成の間にそれ自身反応し得、追加的な化合物を生じ、HFC−245eb組成物中で現れる。他の実施形態において、HFC−245ebが生じ、副産物も生じる反応条件とは、付随的な反応経路が同時に起こって、HFC−245eb以外の化合物が生じ、そしてこれらの追加的な化合物の量および同一性は、特定のHFC−245ebが生じる条件次第であることを意味する。

いくつかの実施形態において、HFO−1234yfは、HFC−245ebの脱フッ化水素によって製造される。この反応については図1に示す。

触媒脱フッ化水素 一実施形態において、脱フッ化水素は、脱フッ化水素触媒を使用して、気相中で実行される。脱フッ化水素触媒としては、限定されないが、アルミナ、フッ化アルミニウム、フッ化アルミナ、フッ化アルミニウム上の金属化合物、フッ化アルミナ上の金属化合物、マグネシウム、亜鉛ならびにマグネシウムと亜鉛および/またはアルミニウムとの混合物の酸化物、フッ化物およびオキシフッ化物、酸化ランタンおよびフッ化酸化ランタン、酸化クロム、フッ化酸化クロムおよび立法三フッ化クロム、炭素、酸洗浄炭素、活性炭、三次元マトリックス炭素質材料、ならびに炭素上で支持された金属化合物が挙げられる。金属化合物は、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジミウム、ネオジム、サマリウム、クロム、鉄、コバルト、ロジウム、ニッケル、銅、亜鉛およびそれらの混合物からなる群から選択される少なくとも1つの金属の酸化物、フッ化物およびオキシフッ化物であってもよい。

一実施形態において、触媒としてフッ化アルミナ、フッ化アルミニウムまたはそれらの混合物を使用して、米国特許第5,396,000号明細書に開示されるHFC−236eaからHFO−1225yeへの脱フッ化水素と類似の様式で、HFC−245ebの触媒気相式脱フッ化水素を実行する。米国特許第4,902,838号明細書に記載されるように、またはCF2Cl2、CF2HClおよびCHF3などの気化可能なフッ素含有化合物によるアルミナの処理によって、フッ化アルミナおよびフッ化アルミニウムを調製することができる。

他の実施形態において、触媒として炭素、活性炭または三次元マトリックス炭素質材料を使用して、米国特許第6,369,284号明細書に開示される方法と類似の様式で、あるいは触媒として炭素上に支持されたナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、イットリウム、ランタン、セリウム、プラセオジミウム、ネオジム、サマリウム、クロム、鉄、コバルト、ロジウム、ニッケル、銅、亜鉛およびそれらの混合物を使用して、米国特許第5,268,122号明細書に開示される方法と類似の様式で、HFC−245ebの脱フッ化水素を実行する。以下の供給源のいずれからの炭素も脱フッ化水素に有用である;木、泥炭、石炭、ココナッツシェル、骨、亜炭、石油系残留物および糖。使用されてもよい商業的に入手可能な炭素としては、以下の商標で販売されるものを含む:Barneby & Sutcliffe(登録商標)、Darco(登録商標)、Nucharm(登録商標)、Columbia JXN(登録商標)、Columbia LCK(登録商標)、Calgon PCB(登録商標)、Calgon BPL(登録商標)、Westvaco(登録商標)、Norit(登録商標)、およびBarnaby Cheny NB(登録商標)。

炭素としては、酸洗浄炭素(例えば、塩酸または塩酸で処理され、続いてフッ化水素酸によって処理された炭素)が挙げられる。酸処理は、1000ppm未満のアッシュを含有する炭素を提供するために典型的に十分である。炭素の適切な酸処理は、米国特許第5,136,113号明細書に記載される。炭素としては、三次元マトリックス多孔質炭素質材料も含まれる。例としては、米国特許第4,978,649号明細書に記載されるものが挙げられる。注目すべきは、ガス状または蒸気状炭素含有化合物(例えば炭化水素)を多量の炭素質材料(例えばカーボンブラック)の顆粒に導入し、炭素含有化合物を分解させて、顆粒の表面上に炭素を沈積し、そして、活性剤気体を含む蒸気で、得られた材料を処理して、多孔性炭素質材料を提供することにより得られる三次元マトリックス炭素質材料である。そのようにして、炭素−炭素複合材料が形成される。

さらなる実施形態において、触媒として酸化クロム、フッ化酸化クロムおよび立方三フッ化クロムを使用して、HFC−245ebの触媒脱フッ化水素を実行する。約350℃〜約400℃の温度で、3〜12時間、好ましくは3〜6時間、空気または不活性雰囲気(例えば、窒素またはアルゴン)中で加熱することにより、立方三フッ化クロムは、CrF3・XH2O(式中、Xは、3〜9、好ましくは4である)から調製されてもよい。

触媒の物理的形状は重要ではないが、例えば、ペレット、粉末または顆粒を含み得る。その上、炭素上で支持された触媒に関して、炭素は、粉末、顆粒またはペレットなどの形状でもよい。不可欠ではないが、触媒は使用前にHFで処理されてもよい。これにより、表面酸化物のいくつかがオキシフッ化物へと変換されると考えられる。触媒を適切な容器(反応を実行するために使用される反応器であってよい)に入れ、その後、乾燥触媒上にHFを通過させ、触媒をHFで部分的に飽和させることによって、この前処理を達成することができる。これは、例えば、約200℃〜約450℃の温度で、一定期間(例えば、約15〜300分)、HFを触媒上に通過させることによって都合よく実行される。

触媒脱フッ化水素は、約200℃〜約500℃の温度範囲で適切に実行されてよく、好ましくは、約300℃〜約450℃の温度範囲で実行される。接触時間は、典型的に、約1〜約450秒であり、好ましくは約10〜約120秒である。

反応圧は気圧より低くても、気圧であっても、気圧より高くてもよい。一般に気圧付近が好ましい。しかしながら、脱フッ化水素は減圧(すなわち、1気圧未満の圧)下で有利に実行することができる。

触媒脱フッ化水素は、場合により、窒素、ヘリウムまたはアルゴンなどの不活性気体の存在下で実行可能である。不活性気体の添加は、脱フッ化水素の範囲を増加させるために使用可能である。注目すべきは、不活性気体対脱フッ化水素を受けるヒドロフルオロカーボンのモル比が約5:1〜約0.5:1であるプロセスである。窒素は好ましい不活性気体である。

熱分解(熱伝導性フッ化水素) 一実施形態において、HFO−1234yfを生じるためのHFC−245ebの脱フッ化水素は、HFC−245ebの熱分解によって実行されてもよい。この反応は以下のように記載することができる。 CF3CFHCFH2+Δ→CF3CF=CH2+HF 式中、Δは熱を表し、HFはフッ化水素である。

2007年6月22日出願であり、2008年1月3日に国際公開第2008/002501号パンフレットとして公開された国際出願PCT/US07/14646に開示されるように、炭素上パラジウム触媒上でのCF3CClFCCl2F(CFC−215bb)の水素添加によって、または米国特許第5,396,000号明細書に開示されるように、CF3CF=CFHの水素添加によって、HFC−245ebを調製することができる。

熱分解とは、本明細書中、触媒不在下で熱によって生じた化学変化を意味する用語として使用される。熱分解反応器は、一般に3領域を含む。a)反応体を反応温度付近にさせる余熱領域と、b)反応体が反応温度に達し、そして少なくとも部分的に熱分解されて、生成物およびいずれかの副産物が形成する反応領域と、c)反応領域を出た流れが冷却され、熱分解反応を停止させるクエンチ領域である。研究所スケールの反応器には反応領域はあるが、予熱およびクエンチ領域は省略されてもよい。

熱分解を実行するための反応器は、方法と調和したいかなる形状でもよいが、好ましくは直線状かコイル状の円筒形チューブである。重要ではないが、そのような反応器は、典型的に約1.3〜約5.1cm(約0.5〜約2インチ)の内径を有する。熱はチューブの外側に加えられ、化学反応がチューブの内側で生じる。反応器とその関連する供給ライン、排出物ラインおよび関連する装置は、少なくとも反応体および生成物に触れる表面に関して、フッ化水素に対して耐性を示す材料から構成されなければならない。構造物の典型的な材料としては、ステンレス鋼、特にオーステナイト型、Special Metals Corp.(New Hartford,New York)からMonel(登録商標)の商標で商業的に入手可能なニッケル−銅合金、Haynes International(Kokomo,Indiana)からHastelloy(登録商標)の商標で商業的に入手可能なニッケルベースの合金(以下、「Hastelloy(登録商標)」と記載する)、およびSpecial Metals Corp.からInconel(登録商標)の商標で商業的に入手可能なニッケル−クロム合金などの周知の高ニッケル合金、ならびに銅被覆鋼が挙げられる。

反応器が高温に曝される場合、反応器は2つ以上の材料から製造されてもよい。例えば、反応器の外面層は、構造的完全性を維持し、熱分解温度で腐食に耐える能力に関して選択されなければならない。反応器の内面層は、反応体および生成物による攻撃に耐性がある、すなわち、それらに対して不活性である材料から選択されなければならない。本方法の場合、生成物であるフッ化水素は、ある種の材料に腐食性である。したがって、反応器は、高温での物理的強度に関して選択される外側材料と、熱分解の温度下で反応体および生成物による腐食に対する耐性に関して選択される内側材料とから構成されてもよい。

一実施形態において、反応器の内部表面層は高ニッケル合金製である。高ニッケル合金というのは、少なくとも約50重量%のニッケルを含有する合金であり、好ましくは、少なくとも約75重量%のニッケルを有するニッケル合金であり、より好ましくは、約8重量%未満のクロムを有するニッケル合金であり、さらにより好ましくは、少なくとも約98重量%のニッケルを有するニッケル合金であり、最も好ましくは、Nickel 200として知られている商用グレードなどの実質的に純粋なニッケルである。反応器の内部表面層用の材料として、ニッケルまたはその合金より好ましいのは金である。内部表面層の厚さは熱分解に影響を実質的に及ぼすことはなく、内部表面層の完全性が損なわれない限り、重要でない。内部表面層の厚さは、典型的に、約10〜約100ミル(0.25〜2.5mm)である。内部表面層の厚さは、製造方法、材料費および望ましい反応器寿命によって決定され得る。

一実施形態において、反応器の外部表面層は、酸化または他の腐食に耐性があり、そして、反応容器が歪まないように、反応温度において十分な強度を維持する。一実施形態において、この層は、ニッケル、鉄、Inconel(登録商標)の商標でSpecial Metals Corp.(New Hartford,New York)によって販売されるクロム合金である。もう1つの実施形態において、この層は、もう1つのニッケル、鉄、Inconel(登録商標) 600の商標でSpecial Metals Corp.(New Hartford,New York)によって販売されるクロム合金である。

HFC−245ebからHFO−1234yfおよびHFへの熱分解は、実質的に空の反応器中で、触媒の不在下、実行される。触媒の不在下とは、熱分解プロセスの活性化エネルギーを減少させることによって反応速度を増加させる材料または処理が熱分解反応器に加えられないことを意味する。熱分解反応器などのいずれかの格納容器に不可避的に存在する表面は、熱分解プロセスに対する付随的な触媒的または非触媒的な影響を有し得るが、熱分解速度に及ぼされる影響は、あるとしても、取るに足らない程度であることは理解される。特に、触媒の不在下とは、ヒドロフルオロカーボンからのフッ化水素の排除(すなわち、脱フッ化水素)を促進する際に有用である微粒子、ペレット、繊維または支持型の従来の触媒がないことを意味する。そのような脱フッ化水素触媒の例としては、フッ化アルミナ、フッ化アルミニウム、場合により他の金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物を含有する酸化クロム;フッ化クロム、場合により他の金属、金属酸化物または金属ハロゲン化物を含有する活性炭、ならびに本明細書中、前記されたような他のものが挙げられる。

一実施形態において、脱フッ化水素を実行するために有用な実質的に空の反応器は、前記の構造材料を含むチューブである。実質的に空の反応器は、反応器を通る気体流が部分的に妨害されて、バックミキシング、すなわち、乱流が生じ、それによって、気体の混合と良好な伝熱が促進されるものを含む。この部分的な妨害は、反応器の内部にパッキングを置き、その横断面を充填することによって、または穴をあけたバッフルを使用することによって都合よく得られる。反応器パッキングは微粒子または原繊維であり得、好ましくは、挿入および除去の容易さのため、カートリッジ配置であり、Raschig環(長さおよび直径がほぼ等しいチューブのセラミックまたは金属片)のような開放構造を有し、または高い自由体積を有する他のパッキングであって、コークスの蓄積を防止し、圧力低下を最小にし、そして、気体のフリーフローを可能にする。好ましくは、そのような反応器パッキングの外部表面は、反応器内部表面層のものと同一の材料を含み、ヒドロフルオロカーボンの脱フッ化水素に触媒作用を及ぼさない材料であり、フッ化水素に耐性がある。反応領域の自由体積は、少なくとも約80%、好ましくは少なくとも約90%、より好ましくは約95%である。自由体積とは、反応領域の体積から反応器パッキングを形成する材料の体積を差し引いたものである。

一実施形態において、HFC−245ebからHFO−1234yfへの変換を達成する熱分解は、約450℃〜約900℃の温度で適切に実行される。もう1つの実施形態において、熱分解は約550℃〜約850℃の温度で行われる。もう1つの実施形態において、熱分解は約600℃〜約750℃の温度で行われる。熱分解温度は、反応領域内中央付近の気体の温度である。

一実施形態において、反応領域の気体の滞留時間は、約0.5〜約60秒である。もう1つの実施形態において、滞留時間は約2秒〜約20秒である。

一実施形態において、熱分解は1つ以上の不活性な、熱分解条件で反応しない希釈気体の存在下で実行可能である。そのような不活性な希釈気体は、不活性気体、窒素、アルゴンおよびヘリウムを含む。熱分解条件で安定であるフルオロカーボン、例えば、トリフルオロメタンおよびペルフルオロカーボンを不活性な希釈気体として使用してもよい。注目すべきは、熱分解反応器に供給される不活性気体対HFC−245ebのモル比が約5:1〜1:1であるプロセスである。窒素は、その比較的安い費用のため、好ましい不活性気体である。

一実施形態において、熱分解反応は気圧より低い全圧力で実行される。もう1つの実施形態において、減少された全圧力(すなわち、1気圧未満の全圧力)で熱分解反応を有益に実行することができる。もう1つの実施形態において、熱分解反応は、気圧または気圧付近の全圧力で実行される。

液体相脱フッ化水素 一実施形態において、HFC−245ebの脱フッ化水素は、アルカリ性水溶液を使用して達成される。一実施形態において、反応は、HFC−245eb(CF3CHFCH2F)が少なくとも部分的に混和可能な非水系溶媒の存在下で実行される。もう1つの実施形態において、反応は、非水系溶媒を用いずに実行される。もう1つの実施形態において、反応は、相間移動触媒の存在下で実行される。さらにもう1つの実施形態において、反応は相間移動触媒を用いずに実行される。

一実施形態において、アルカリ性水溶液中の塩基は、アルカリ金属、アルカリ土類金属およびそれらの混合物の水酸化物、酸化物、炭酸塩またはリン酸塩からなる群から選択される。一実施形態において、使用されてよい塩基としては、限定されないが、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウムなどおよびそれらの混合物が挙げられる。

本明細書で使用される場合、アルカリ性水溶液とは、主にpH7を超える水液である液体(溶液、分散液、乳液または懸濁液など)である。いくつかの実施形態において、塩基性水溶液は8を超えるpHを有する。いくつかの実施形態において、塩基性水溶液は10を超えるpHを有する。いくつかの実施形態において、塩基性水溶液は10〜13のpHを有する。いくつかの実施形態において、塩基性水溶液は、水と混和性または非混和性であってよい少量の有機液体を含有する。いくつかの実施形態において、アルカリ性水溶液中の液体媒体は、少なくとも90%の水である。一実施形態において、水は水道水であり、他の実施形態において、水は脱イオン水または蒸留水である。

HFC−245ebをHFO−1234yfへと変換するために必要とされる(アルカリ性水溶液中の)塩基の量は、ほぼ化学量論量であるか、または1モルのHFC−245ebに対して約1モルの塩基である。一実施形態において、(例えば、反応速度を増加させるために、)1より大きい塩基対HFC−245ebの比率を使用することが望ましい。いくつかの実施形態において、所望のヒドロフルオロオレフィンのさらなる反応が生じ得るように、(塩基性水溶液中の)塩基の大過剰量は避けるべきである。したがって、いくつかの実施形態において、二次反応を最小化するために、化学量論量よりわずかに少ない(塩基性水溶液中の)塩基の量を利用することが必要とされ得る。したがって、一実施形態において、(塩基性水溶液中の)塩基対HFC−245ebのモル比は約0.75:1〜約10:1である。もう1つの実施形態において、(塩基性水溶液中の)塩基対HFC−245ebのモル比は約0.9:1〜約5:1である。さらにもう1つの実施形態において、塩基対HFC−245ebのモル比は約1:1〜約4:1である。

ある種の実施形態において、非水系溶媒は、アルキルおよびアリールニトリル、アルキルおよびアリールエーテル、アルコール、アミド、ケトン、スルホキシド、リン酸エステルおよびそれらの混合物からなる群から選択される。

一実施形態において、固体塩基(例えば、KOH、NaOH、LiOHまたはそれらの混合物)を水中に溶解するか、あるいは塩基の濃縮溶液(例えば、50重量%水酸化カリウム水溶液)を水で所望の濃度まで希釈する。次いで、本プロセス用の非水系を、攪拌下、他の周囲条件で添加する。一実施形態において、本反応用の溶媒は、ニトリル、エーテル、アルコール、アミド、ケトン、スルホキシド、リン酸エステルまたはそれらの混合物であり得る。もう1つの実施形態において、溶媒は、アセトニトリル、プロピオニトリル、ブチロニトリル、メチルグルタロニトリル、アジポニトリル、ベンゾニトリル、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、エタノール、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソブチルケトン、アニソール、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグリム、トリグリム、テトラグリム、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリジノン、スルホラン、ジメチルスルホキシド、ペルフルオロ−N−メチル、モルホリン、ペルフルオロテトラヒドロフラン、およびそれらの混合物からなる群から選択される。好ましい溶媒としては、アセトニトリル、アジポニトリル、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、ジグリムおよびテトラグリムが挙げられる。

本明細書で使用される場合、相間移動触媒とは、水相から、または固相から有機相中へのイオン化合物の移動を促進する物質を意味するものである。相間移動触媒は、これらの異種の非相溶性成分の反応を促進する。様々な相間移動触媒が種々の様式で作用し得るが、相間移動触媒が脱フッ化水素反応を促進するならば、それらの作用機構は、反応におけるそれらの有用性に対して決定的ではない。

相間移動触媒は、クラウンエーテル、オニウム塩、クリプタンド、ポリアルキレングリコールおよびその混合物からなる群から選択される。

一実施形態において、塩基が溶媒中で高度に溶解性である必要はない。相間移動触媒の量は、その中の塩基の溶解性を改善する量で、反応の溶媒に添加されてもよい。一実施形態において、使用される相間移動触媒の量は、存在する塩基の全量に基づき、約0.001〜約10モル%である。もう1つの実施形態において、使用される相間移動触媒の量は、存在する塩基の全量に基づき、約0.01〜約5モル%である。さらにもう1つの実施形態において、使用される相間移動触媒の量は、存在する塩基の全量に基づき、約0.05〜約5モル%である。本発明の一実施形態において、水相または無機相は、塩基の結果として存在し、有機相は、HFO−1234yfと非水系溶媒の結果として存在する。

いくつかの実施形態において、相間移動触媒はイオン性または中性であってよい。一実施形態において、相間移動触媒は、クラウンエーテル、オニウム塩、クリプタンドおよびポリアルキレングリコール、ならびにそれらの混合物および誘導体からなる群から選択される。

クラウンエーテルは、エーテル基がジメチレン結合によって結合された環状分子であり、この化合物は、水酸化物のアルカリ金属イオンを「受け取る」または保持することができ、したがって、反応を促進することができると考えられる分子構造を形成する。いくつかの実施形態において、ある種のクラウンエーテル相間移動触媒を、塩基性水溶液中で使用されるある種の塩基と適合させることが好ましい。一実施形態において、クラウンエーテルとして、水酸化カリウム塩基性水溶液と組み合わせて使用される18−クラウン−6、水酸化ナトリウム塩基性水溶液と組み合わせて使用される15−クラウン−5、水酸化リチウム塩基性水溶液と組み合わせて使用される12−クラウン−4が挙げられる。上記クラウンエーテルの誘導体も有用であり、例えば、ジベンゾ−18−クラウン−6、ジシクロヘキサノ−18−クラウン−6、およびジベンゾ−24−クラウン−8、ならびに12−クラウン−4である。アルカリ金属化合物、特にリチウムから製造される塩基性水溶液との組み合わせで特に有用な他のポリエーテルについては、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第4,560,759号明細書に記載されている。クラウンエーテルに類似の同目的のために有用な他の化合物は、ヘキサメチル−[14]−4,11−ジエンN4などの他の種類の供与体原子、特にNまたはSによって1個以上の酸素原子が置換されることにより異なる化合物である。

いくつかの実施形態において、オニウム塩には、本発明の方法で相間移動触媒として使用されてもよい第4級ホスホニウム塩および第4級アンモニウム塩が含まれる。そのような化合物は、次式IIおよびIII: R1R2R3R4P(+)X'(-) (II) R1R2R3R4N(+)X'(-) (III) (式中、R1、R2、R3およびR4のそれぞれは、同一であっても異なっていてもよく、アルキル基、アリール基またはアラルキル基であり、そしてX’は、F、Cl、Br、I、OH、CO3、HCO3、SO4、HSO4、H2PO4、HPO4およびPO4からなる群から選択される)によって表され得る。これらの化合物の具体的な例としては、テトラメチルアンモニウムクロリド、テトラメチルアンモニウムブロミド、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリド、メチルトリオクチルアンモニウムクロリド(Aliquat(登録商標)336の商標で販売される第4級アンモニウム塩)、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロリド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロミド、硫酸水素テトラ−n−ブチルアンモニウム、テトラ−n−ブチルホスホニウムクロリド、テトラフェニルホスホニウムブロミド、テトラフェニルホスホニウムクロリド、トリフェニルメチルホスホニウムブロミドおよびトリフェニルメチルホスホニウムクロリドが挙げられる。一実施形態において、ベンジルトリエチルアンモニウムクロリドは強塩基性の条件下で使用される。この種類の化合物の他の有用な化合物としては、高温安定性(例えば、約200℃まで)を示すものが挙げられ、4−ジアルキルアミノピリジニウム塩、テトラフェニルアルソニウムクロリド、ビス[トリ(ジメチルアミノ)ホスフィン]イミニウムクロリド、およびテトラトリ[トリ(ジメチルアミノ)ホスホニウム]ホスホニウムクロリドが含まれる。後者の2つの化合物は、加熱された濃縮水酸化ナトリウムの存在下で安定であることも報告されており、したがって、特に有用であり得る。

他の実施形態において、相間移動触媒として反応で有用な化合物のもう1種はクリプタンドである。これらは、橋頭構造を、適切に間隔のあいた供与体原子を含有する鎖に接合することによって形成される三次元ポリ大環状キレート試薬である。例えば、二環式分子は、窒素橋頭を2.2.2−クリプタンドにあるような(−OCH2CH2−)基の鎖と接合することによって得られる(4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ−(8.8.8)ヘキサコサン、ブランド名Cryptand(登録商標)222および商標Kryptofix(登録商標)222で入手可能)。この橋の供与体原子の全てが、O、NまたはSであってもよく、あるいは化合物は、橋の鎖がそのような供与体原子の組み合わせを含有する混合供与体による大環状化合物であってもよい。

いくつかの実施形態において、ポリアルキレングリコールエーテルは相間移動触媒として有用である。いくつかの実施形態において、ポリアルキレングリコールエーテルは次式: R6O(R5O)tR7 (IV) (式中、R5は、2個以上の炭素原子を含有するアルキレン基であり、R6およびR7のそれぞれは同一であっても異なっていてもよく、水素原子、アルキル基、アリール基またはアラルキル基であり、そしてtは少なくとも2の整数である)によって表され得る。そのような化合物としては、例えば、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ペンタエチレングリコール、ヘキサエチレングリコール、ジイソプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラプロピレングリコールおよびテトラメチレングリコールなどのグリコール、そのようなグリコールのモノメチル、モノエチル、モノプロピルおよびモノブチルエーテルなどのモノアルキルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテルおよびペンタエチレングリコールジメチルエーテルなどのジアルキルエーテル、フェニルエーテル、ベンジルエーテル、ポリエチレングリコール(平均分子量約300)ジメチルエーテル、ポリエチレングリコール(平均分子量約300)ジブチルエーテルおよびポリエチレングリコール(平均分子量約400)ジメチルエーテルなどのポリアルキレングリコール、ならびにエトキシル化フルフリルアルコールが挙げられる。それらの中で、R−6およびR−7の両方がアルキル基、アリール基またはアラルキル基である化合物が好ましい。

1つの群の中からの上記相間移動触媒の組み合わせおよび混合物も有用であり得、同様に、2つ以上の群から(例えば、クラウンエーテルおよびオニウム)、または2つより多くの群から(例えば、第4級ホスホニウム塩、第4級アンモニウム塩、クラウンエーテルおよびポリアルキレングリコールエーテル)選択される2つ以上の相間移動触媒の組み合わせまたは混合物も有用であり得る。

一実施形態において、脱フッ化水素は、CF3CHFCH2Fが脱フッ化水素する温度範囲内で行われる。一実施形態において、そのような温度は約5℃〜約150℃であり得る。もう1つの実施形態において、反応は約10℃〜約110℃の範囲で実行される。さらにもう1つの実施形態において、反応は約15℃〜約90℃の範囲で実行される。反応圧は重要でない。反応を、気圧より高い圧力または減圧下で実行することができる。一実施形態において、反応を気圧で実行する。

本発明の脱フッ化水素反応は、バッチモードまたは連続モードで実行されてもよい。いくつかの実施形態において、脱フッ化水素プロセスは、バッチモードで、そして他の実施形態において脱フッ化水素連続モードで実行される。一実施形態において、バッチモードで、HFC−245ebの少なくとも一部をHFO−1234yfへと変換するために十分な時間で、上記成分を適切な容器で組み合わせて、次いで、反応混合物からHFO−1234yfを回収する。

もう1つの実施形態において、連続モードの操作で、反応容器に塩基性水溶液、非水系、非アルコール系溶媒および相間移動触媒を加え、次いで、HFC−245ebを反応器に供給する。HFC−245ebを還流するために十分であるが、HFO−1234yfが反応容器から出て、冷却トラップなどの適切な容器で回収可能な温度まで冷却された冷却器を反応容器に取り付けられる。

液体相脱フッ化水素によって形成された生成物には、HF、HFO−1234yf、そして、HFC−254ebが供給混合物中に存在する場合、HFO−1243zfが含まれる。一実施形態において、HFO−1234yfは、従来の手段(例えば蒸留)によって、低沸点生成物および高沸点生成物から典型的に分離される。

HFC−245ebの脱フッ化水素により、HFC−245ebからHFO−1234yfを生じるために使用される本明細書に記載のものと同一条件下で、さらなる化合物としてHFO−1234ze(Z−および/またはE−異性体)も生じ得る。温度が高いほど、より高濃度のHFO−1234zeが生じることがわかっている。この反応については、図1にも示されている。

HFO−1234zeの水素添加により、国際公開第2008/030440A2号パンフレットに記載の水素添加に典型的な条件下で、さらなる化合物としてHFC−254fbも生じ得る。一般に、HFO−1234zeは、パラジウム、またはアルミナ、アルミニウムフッ化物もしくは炭素などの支持体に支持されたパラジウム、あるいは同様に他の水素添加触媒などの水素添加触媒を含有する反応容器に、水素と一緒に添加される。反応は、約5〜約100秒の接触時間で、約50℃〜約300℃の温度で実行されてよい。水素対HFO−1234zeのモル比は、約1.5:1〜約25:1のいずれかであってよい。この反応については、図1に示される。

図1に示すように、生成物HFO−1234yfの水素添加により、HFO−1234zeからHFC−254fbへの水素添加に関する上記と同一の条件下で、さらなる化合物としてHFC−254ebが生じ得る。

図1に示すように、HFC−254ebまたはHFC−254fbの脱フッ化水素により、HFO−1234yfを生じるHFC−245ebの脱フッ化水素に関する本明細書に記載のものと同一条件下で、さらなる化合物としてHFO−1243zfが生じ得る。

生成物分析のための一般手順 以下の一般手順は、フッ素化反応の生成物を分析するために使用される方法の解説である。質量選択探知器(GC/MS)を備えたガスクロマトグラフを使用する有機生成物分析用に、全反応器排出物の一部をオンライン式で標本抽出した。ガスクロマトグラフィーでは、不活性炭素支持体上で、E.I.du Pont de Nemours and Company(Wilmington,Delawareの「DuPont」)によりKrytox(登録商標)の商標で販売されるペルフッ素化ポリエーテルを含有する長さ20フィート(6.1m)×直径1/8インチ(0.32cm)のチューブを利用した。ヘリウム流は、30mL/分(5.0×10-7m3/秒)であった。ガスクロマトグラフィー条件は、3分間の初期保持期間に関して60℃、続いて6℃/分の速度で200℃までの温度プログラムであった。

記号 23はCHF3である 1132aはCH2=CF2である 1225zcはCF3CH=CF2である 1234yfはCF3CF=CH2である E−およびZ−1234zeはE−およびZ−CF3CH=CHFである 245ebはCF3CHFCH2Fである

フッ化アルミナ触媒の調製 Hastelloy(登録商標)チューブ(外径1インチ×内径.854×長さ10インチ)に、25cc(16.68グラム)の12〜20メッシュまで粉砕されたガンマ−アルミナを充填した。反応器のパックされた部分を、反応器の外側に固定された5.0インチ×1インチセラミックバンドヒーターで加熱した。反応器壁とヒーターとの間に配置された熱電対で反応器温度を測定した。50sccm(8.33×10-7m3/秒)の窒素流の下で、一晩、200℃で加熱することによって触媒を乾燥させた。次いで、窒素流を5sccm(8.33×10-8m3/秒)まで減少し、そして20sccm(3.33×10-7m3/秒)のCFC−12(CF2Cl2)流を開始し、60分間維持した。温度を325℃まで上げ、さらに60分間、この温度で保持した。CFC−12流を停止し、そして、50sccm(8.33×10-7m3/秒)の窒素流の下で400℃まで反応器温度を上げ、この温度でさらに60分間保持した。次いで、反応器を所望の動作温度にした。

(実施例1) フッ化アルミナ触媒を含有するHFC−245ebからHFO−1234yfへの蒸気相脱フッ化水素 上記のように調製されたフッ化アルミナ触媒を含有する反応器に、様々な反応器温度でHFC−245ebの蒸気および窒素を供給した。窒素対HFC−245ebの比率は0.67:1であった。接触時間は、最初の4回の分析に関して36秒であった。5回目の分析に関して、窒素対HFC−245ebの比率は1:1であり、接触時間は90秒であった。反応器を出た生成物をGC/MSによって分析し、結果をモル%で表2に要約する。

(実施例2) HFC−245ebの熱分解 反応器は、長さ9.5インチ(24.1cm)×外径0.50インチ(1.3cm)×内径0.35インチ(0.89cm)のチューブであり、その壁の厚さは0.15インチ(3.8mm)であり、内部に金の内張りを含有するものであった。金の内張りの厚さは、0.03インチ(0.08cm)であった。外側に固定された長さ5.7インチ(14.5cm)×外径1インチ(2.5cm)のセラミックバンドヒーターを用いて反応器を加熱した。反応器の外側とバンドヒーターの内部との間でバンドヒーターの中央に置かれたデュアル制御熱電対を使用して、反応器温度を制御し、測定した。様々な動作温度まで加熱された反応器に、5sccm(8.33×10-8m3/秒)の窒素と、毎時2.37mLの、反応器に入る前に蒸発された液体HFC−245ebとを供給した。接触時間は、全ての運転に関して60秒であった。反応器排出物をインラインGC/MSによって分析した。様々な動作温度でのモル%の生成物分析を表3に要約する。

(実施例3) HFC−245ebからHFC−1234yfへの液体相脱フッ化水素 3つ口の2リットルフラスコに水氷冷却器、熱電対およびオーバーヘッドスターラーを備えた。冷却器の排出物を乾燥CaSO4に通し、次いで、活性化分子篩と、ドライアイス/アセトンに浸漬したディップチューブを備えたステンレス鋼トラップに通した。ステンレス鋼トラップの出口にあるKrytox(登録商標)の商標でDuPont(Wilmington,Delaware)により販売されるペルフッ素化ポリエーテル製のオイルバブラーによって、捕捉された生成物の水分による汚染を防いだ。

このフラスコに、水(736mL)、テトラヒドロフラン(200mL)と、KOHペレット(180グラム、3.21モル)と、Aliquat(登録商標)336の商標で販売されており、相間移動触媒として機能するメチルトリオクチルアンモニウムクロリド、四級アンモニウム塩(3.13グラム、7.74×10-3モル)とを加えた。力強く撹拌しながら、CF3CHFCH2F(HFC−245eb)を約100sccmの速度で添加した。塩基性水溶液のpHは、約13であった。フラスコに2つの相が存在した。約247グラムの粗製生成物を回収した。これは、96.1%の1234yf、0.5%のZ−1234ze、0.1%のE1234ze、および2.9%の未反応HFC−245ebを含有した。HFC−245ebを供給する間、非常にわずかな発熱が観察された。

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