【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は、電気・電子機器(携帯電話、携帯端末、デジタルカメラ、ビデオムービー、パーソナルコンピューター、その他家電製品など)用の定型シール材に関する。 【0002】 【従来の技術】 ゴム発泡体は、すぐれたクッション性を有し、クッション材、パット材などに有用である。 例えば携帯電話やデジタルカメラ等の電気・電子機器の液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイなどの防塵、緩衝材として使用されている。 特に貼り合わせ作業時にその位置合わせを簡便にするため、粘着剤層を設けたシール材がよく使用されるが、従来の粘着剤層を付設したシール材では、シール材端部より粘着剤層がはみ出し、ごみ、ほこりが付着し、製品の外観不良や機能低下といった問題を生じる場合がある。 【0003】 この問題を解決する手段として、シール材の端部から粘着剤層がはみ出さないように部分的に粘着剤層を設けたり、粘着剤層を設けず使用する方法が知られている。 しかしながら、前者は加工コストへの負担が大きくコストアップを招き、後者ではシール材の位置固定が困難となる、または位置固定様の別の方法が必要となるといった問題を抱えている。 【0004】 また近年、電気・電子機器用途においては小型化の傾向があり、それに用いるシール材も細幅化、薄層化が必要となってきている。 このためシール材自体の形状維持が困難となり、取り扱い性が問題になる。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】 本発明は、この様な事情に照らし、発泡体に粘着剤層を設けたシール材であってもごみやほこりが付着せず、取り扱いが容易な電気・電子機器用の定型シール材を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】 本発明者らは、上記の目的に対し鋭意検討した結果、微細セル発泡体の表面に貯蔵弾性率が20N/cm 2以上である粘着剤組成物からなる層を設け、粘着力が5.0N/20mm幅以上であるシール材であれば、細幅、薄層の加工が容易であり、上記粘着剤はタックをもたないため端部へのごみやほこりの付着が低減でき、かつ貼り付け後は粘着力を発揮しシール材を固定できることを見出した。 【0007】 更に本発明者らは、このような微細セル発泡体は、特定ポリマーに不活性ガスを高圧下で含浸させた後、減圧することにより得られることを見出した。 本発明はこれらの知見に基づいて完成されたものである。 【0008】 すなわち本発明は、 熱可塑性ポリマーからなり、平均気泡径が0.1〜500μmである発泡構造体の少なくとも一方の面に、室温での貯蔵弾性率〔G´〕が20N/cm 2以上である粘着剤組成物からなる層が設けられ、粘着力が5.0N/20mm幅以上であることを特徴とする電気・電子機器用シール材(請求項1)に係るものであり、特にその粘着剤組成物が、室温での貯蔵弾性率〔G´〕が20N/cm 2以上、室温での粘着力が5.0N/20mm幅以上である粘着剤組成物からなることを特徴とする請求項1に記載の電気・電子機器用シール材(請求項2)に係るものであり、特に粘着剤組成物からなる層の厚さが2〜100μmであることを特徴とする(請求項3)。 【0009】 また本発明は、上記粘着剤組成物が次の式; 【化2】
(式中、Rは炭素数2〜20の直鎖状または分枝状の炭化水素基である)で表される繰り返し単位を有するポリカーボネート構造を持つポリマーを含むことを特徴とする電気・電子機器用シール材(請求項4)に係るものである。 【0010】
また本発明は、上記平均気泡径が0.1〜500μmである発泡構造体が、熱可塑性ポリマーに高圧の不活性ガスを含浸させた後、減圧する工程を経て形成されることを特徴とする(請求項5)、または熱可塑性ポリマーからなる未発泡成形物に高圧の不活性ガスを含浸させた後、減圧する工程を経て形成されることを特徴とする(請求項6)、または溶融した熱可塑性ポリマーに不活性ガスを加圧状態下で含浸させた後、減圧とともに成形に付して形成されることを特徴とする(請求項7)、電気・電子機器用シール材に係るものである。
【0011】
また本発明は、上記発泡体の製造工程において、減圧後、さらに加熱することを特徴とし(請求項8)、不活性ガスが二酸化炭素であることを特徴とし(請求項9)、含浸時の不活性ガスが超臨界状態であることを特徴とする(請求項10)、電気・電子機器用シール材に係るものである。
【0012】
また本発明の電気・電子機器用シール材は、特にディスプレイ回りのシール用に好適に使用されるものである。
【0013】
なお、本明細書において、粘着剤組成物の貯蔵弾性率〔G´〕とは、上記組成物の剪断貯蔵弾性率を指し、これは、外部からの応力を歪みとしてエネルギ―の貯蔵する弾性成分というべきものであって、レオメトリツク社製の動的粘弾性測定装置RDS−IIを用い、サンプル厚さ約1.5mm、直径7.9mmのパラレルプレ―トの治具により、周波数1Hzで測定される値である。
【0014】
また、本明細書において、シール材の粘着力は、サンプルを被着体としてのアクリル板(ポリメチルメタクリレ―ト)に貼り付けて、雰囲気温度23℃、貼り付け時間30分、剥離速度300mm/分の条件で測定される90°剥離粘着力を意味するものである。
【0015】
また粘着剤組成物の粘着力は、厚さ25μmのポリエチレンテレフタレートフィルム上に粘着剤組成物を塗布後、乾燥して厚さ30μmの粘着剤層を設け、これをサンプルとしてアクリル板(ポリメチルメタクリレ―ト)に貼り付けて、雰囲気温度23℃、貼り付け時間30分、剥離速度300mm/分の条件で測定される180°剥離粘着力を意味するものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明において用いられる発泡構造体は、
熱可塑性ポリマーからなり、平均気泡径が0.1〜500μmである発泡構造体で あり 、従来公知の独立気泡、連続気泡、半独半連気泡構造の発泡体を使用できる。 平均気泡径を500μm以下、好ましくは300μm以下、更に好ましくは200μm以下とすることで、発泡構造体の形状維持性が確保され、細幅、薄層の発泡構造体であっても加工が容易となる。 また平均気泡径を0.1μm以上、好ましくは10μm以上とすることで、クッション性を付与することができる。 【0017】
上記のような内部に気泡を有する発泡体を形成する方法として、一般的には物理発泡法及び化学発泡法が行われている。 物理発泡とは、炭化水素系あるいはクロロフルオロカーボン系の低沸点液体をポリマーに含浸させた後、ポリマーを加熱することで、内部に含浸させた低沸点液体をガス化させ、これを駆動力としてポリマーを発泡させる手法である。 また化学発泡とは、ポリマーに熱分解型発泡剤を添加した樹脂組成物を加熱し、該分解型発泡剤の分解により発生したガスにより気泡形成を行う手法である。
【0018】
このような発泡構造体の製造には、天然ゴムまたは合成ゴム(クロロプレンゴム、エチレン・プロピレン・ターポリマーなど)、加硫剤、発泡剤、充填剤などをバンバリーミキサーや加圧ニーダなどの混練り機で混練したのち、カレンダ、押し出し機、コンベアベルトキャスティングなどにより連続的に混練しつつシート状、ロッド状に成型し、これを加熱して加硫、発泡させさらに必要によりこの加硫発泡体を所定形状に裁断加工する方法や、天然ゴムまたは合成ゴム、加硫剤、発泡剤、充填剤などをミキシングロールで混練し、この混練組成物をバッチ式により、型で加硫、発泡ならびに成形する方法などを使用することができる。
【0019】
また本発明においては、上記発泡構造体を得る方法として、特定ポリマーに不活性ガスを高圧下で含浸させた後、減圧することにより得ることが好ましい。 すなわち上記物理発泡による技術には、発泡剤として用いる物質の可燃性や毒性、及びオゾン層破壊などの環境への影響が懸念される。 また、化学発泡法では、発泡ガスの残渣が発泡体中に残存するため、特に低汚染性の要求が高い電子機器用途においては、腐食性ガスやガス中の不純物による汚染が問題となる。 なお、これらの物理発泡法及び化学発泡法では、いずれにおいても微細な気泡構造を形成することは難しく、特に300μm以下の微細気泡を形成することはできないとされている。
【0020】
すなわち本発明は、上記平均気泡径が0.1〜500μmである発泡構造体が、熱可塑性ポリマーに高圧の不活性ガスを含浸させた後、減圧する工程を経て形成される方法、または熱可塑性ポリマーからなる未発泡成形物に高圧の不活性ガスを含浸させた後、減圧する工程を経て形成される方法、または溶融した熱可塑性ポリマーに不活性ガスを加圧状態下で含浸させた後、減圧とともに成形に付して形成される方法が好ましく用いられる。
【0021】
本発明において、発泡体の素材である熱可塑性ポリマーとしては、熱可塑性を示すポリマーであって、高圧ガスを含浸可能なものであれば特に制限されない。 このような熱可塑性ポリマーとして、例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンとプロピレンとの共重合体、エチレン又はプロピレンと他のα−オレフィンとの共重合体、エチレンと酢酸ビニル、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、メタクリル酸エステル、ビニルアルコール等との共重合体などのオレフィン系重合体;ポリスチレンなどのスチレン系重合体;ポリアミド;ポリアミドイミド;ポリウレタン;ポリイミド;ポリエーテルイミドなどが挙げられる。
【0022】
また、前記熱可塑性ポリマーには、常温ではゴムとしての性質を示し、高温では熱可塑性を示す熱可塑性エラストマーも含まれる。 このような熱可塑性エラストマーとして、例えば、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリブテン、ポリイソブチレン、塩素化ポリエチレンなどのオレフィン系エラストマー;スチレン−ブタジエン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−スチレン共重合体、スチレン−イソプレン−ブタジエン−スチレン共重合体、それらの水素添加物ポリマーなどのスチレン系エラストマー;熱可塑性ポリエステル系エラストマー;熱可塑性ポリウレタン系エラストマー;熱可塑性アクリル系エラストマーなどが挙げられる。 これらの熱可塑性エラストマーはガラス転移温度が室温以下(例えば20℃以下)であるため、シール材としたとき柔軟性及び形状追随性に著しく優れる。
【0023】
熱可塑性ポリマーは単独で又は2種以上混合して使用できる。 また、発泡体の素材(熱可塑性ポリマー)として、熱可塑性エラストマー、熱可塑性以外の熱可塑性ポリマー、熱可塑性エラストマーと熱可塑性エラストマー以外の熱可塑性ポリマーとの混合物の何れを用いることもできる。
【0024】
前記熱可塑性エラストマーと熱可塑性エラストマー以外の熱可塑性ポリマーとの混合物として、例えば、エチレン−プロピレン共重合体等のオレフィン系エラストマーとポリプロピレン等のオレフィン系重合体との混合物などが挙げられる。 熱可塑性エラストマーと熱可塑性エラストマー以外の熱可塑性ポリマーとの混合物を用いる場合、その混合比率は、例えば、前者/後者=1/99〜99/1程度(好ましくは10/90〜90/10程度、さらに好ましくは20/80〜80/20程度)である。
【0025】
本発明で用いられる不活性ガスとしては、上記熱可塑性ポリマーに対して不活性で且つ含浸可能なものであれば特に制限されず、例えば、二酸化炭素、窒素ガス、空気等が挙げられる。 これらのガスは混合して用いてもよい。 これらのうち、発泡体の素材として用いる熱可塑性ポリマーへの含浸量が多く、含浸速度の速い二酸化炭素が好適である。
【0026】
熱可塑性ポリマーに含浸させる際の不活性ガスは超臨界状態であるのが好ましい。 超臨界状態では、ポリマーへのガスの溶解度が増大し、高濃度の混入が可能である。 また、含浸後の急激な圧力降下時には、前記のように高濃度であるため、気泡核の発生が多くなり、その気泡核が成長してできる気泡の密度が気孔率が同じであっても大きくなるため、微細な気泡を得ることができる。 なお、二酸化炭素の臨界温度は31℃、臨界圧力は7.4MPaである。
【0027】
発泡体を形成する際、熱可塑性ポリマーに、必要に応じて添加剤を添加してもよい。 添加剤の種類は特に限定されず、発泡成形に通常使用される各種添加剤を用いることができる。 このような添加剤として、例えば、気泡核剤、結晶核剤、可塑剤、滑剤、着色剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、充填剤、補強剤、難燃剤、帯電防止剤等が挙げられる。 添加剤の添加量は、気泡の形成等を損なわない範囲で適宜選択でき、通常の熱可塑性エラストマー等の熱可塑性ポリマーの成形に用いられる添加量を採用できる。
【0028】
発泡体は、熱可塑性ポリマーに不活性ガスを高圧下で含浸させるガス含浸工程と、該工程後に圧力を低下させて樹脂を発泡させる減圧工程、及び必要に応じて加熱により気泡を成長させる加熱工程を経て形成される。 この場合、予め成形した未発泡成形物を不活性ガスに含浸させてもよく、また、溶融した熱可塑性ポリマーに不活性ガスを加圧状態下で含浸させた後、減圧の際に成形に付してもよい。 これらの工程は、バッチ方式、連続方式の何れの方式で行ってもよい。
【0029】
バッチ方式によれば、例えば以下のようにして発泡体を形成できる。 すなわち、まず、単軸押出機、二軸押出機等の押出機を使用してポリオレフィン樹脂、熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性ポリマーを押し出すことにより、未発泡成形物(発泡体成形用樹脂シート等)を形成する。 或いは、ローラ、カム、ニーダ、バンバリ型の羽根を設けた混練機を使用して、ポリオレフィン樹脂、熱可塑性エラストマーなどの熱可塑性ポリマーを均一に混練しておき、これを熱板のプレス機を用いてプレス成形し、熱可塑性ポリマーを基材樹脂として含む未発泡成形物(発泡体成形用樹脂シート等)を形成する。 そして、得られた未発泡成形物を耐圧容器中に入れ、高圧の不活性ガスを導入し、該不活性ガスを未発泡成形物中に含浸させる。 この場合、未発泡成形物の形状は特に限定されず、ロール状、板状等の何れであってもよい。 また、高圧の不活性ガスの導入は連続的に行ってもよく不連続的に行ってもよい。 十分に高圧の不活性ガスを含浸させた時点で圧力を解放し(通常、大気圧まで)、基材樹脂中に気泡核を発生させる。 気泡核はそのまま室温で成長させてもよく、また、必要に応じて加熱することによって成長させてもよい。 加熱の方法としては、ウォーターバス、オイルバス、熱ロール、熱風オーブン、遠赤外線、近赤外線、マイクロ波などの公知乃至慣用の方法を採用できる。 このようにして気泡を成長させた後、冷水などにより急激に冷却し、形状を固定化する。
【0030】
一方、連続方式によれば、例えば以下のようにして発泡体を形成できる。 すなわち、熱可塑性ポリマーを単軸押出機、二軸押出機等の押出機を使用して混練しながら高圧の不活性ガスを注入し、十分にガスを熱可塑性ポリマー中に含浸させた後、押し出して圧力を解放し(通常、大気圧まで)、発泡と成形とを同時に行い、場合によっては加熱することにより気泡を成長させる。 気泡を成長させた後、冷水などにより急激に冷却し、形状を固定化する。
【0031】
前記ガス含浸工程における圧力は、例えば6MPa以上(例えば6〜100MPa程度)、好ましくは8MPa以上(例えば8〜100MPa程度)である。 圧力が6MPaより低い場合には、発泡時の気泡成長が著しく、気泡径が大きくなりすぎて防音効果が低下しやすい。 これは、圧力が低いとガスの含浸量が高圧時に比べて相対的に少なく、気泡核形成速度が低下して形成される気泡核数が少なくなるため、1気泡あたりのガス量が逆に増えて気泡径が極端に大きくなるからである。 また、6MPaより低い圧力領域では、含浸圧力を少し変化させるだけで気泡径、気泡密度が大きく変わるため、気泡径及び気泡密度の制御が困難になりやすい。
【0032】
ガス含浸工程における温度は、用いる不活性ガスや熱可塑性ポリマーの種類等によって異なり、広い範囲で選択できるが、操作性等を考慮した場合、例えば10〜350℃程度である。 例えば、シート状などの未発泡成形物に不活性ガスを含浸させる場合の含浸温度は、バッチ式では10〜200℃程度、好ましくは40〜200℃程度である。 また、ガスを含浸させた溶融ポリマーを押し出して発泡と成形とを同時に行う場合の含浸温度は、連続式では60〜350℃程度が一般的である。 なお、不活性ガスとして二酸化炭素を用いる場合には、超臨界状態を保持するため、含浸時の温度は32℃以上、特に40℃以上であるのが好ましい。
【0033】
前記減圧工程において、減圧速度は、特に限定されないが、均一な微細気泡を得るため、好ましくは5〜300MPa/秒程度である。 また、前記加熱工程における加熱温度は、例えば、40〜250℃程度、好ましくは60〜250℃程度である。
【0034】
本発明の発泡構造体は、発泡体が熱可塑性エラストマー等の熱可塑性ポリマーからなるため柔軟性に優れるとともに、発泡剤として二酸化炭素等の不活性ガスを用いるので、従来の物理発泡法及び化学発泡法と異なり、有害物質が発生したり汚染物質が残存することがなくクリーンである。 そのため、特に精密な電気・電子機器等の内部に用いる定型シール材として好適に利用できる。
【0035】
本発明の電気・電子機器用の定型シール材は、この様な発泡構造体の少なくとも一方の面に、室温での貯蔵弾性率〔G´〕が20N/cm
2以上である粘着剤組成物からなる層が設けられ、粘着力が5.0N/20mm幅以上であるものである。 【0036】
本発明において用いられる粘着剤組成物は、室温での貯蔵弾性率〔G´〕が20N/cm
2以上、好ましくは50N/cm 2以上(通常は、500N/cm 2以下)に設定されているものである。 このような粘着剤組成物は、タックを示さず、また加工後の糊はみ出しが少ないため、ごみやほこりが付着しにくい。 また貼り付け後数秒程度の短時間であれば、被着体を損傷することなく再剥離でき、したがって位置合わせ、位置直しが容易であるという(いわゆるリワーク性)、特徴を備えている。 【0037】
また本発明の電気・電子機器用の定型シール材は、粘着力が5.0N/20mm幅以上、好ましくは10.0N/20mm幅以上、更に好ましくは15N/20mm幅以上(通常は30.0N/20mm幅以下)に設定されているものであるので、加熱処理などの繁雑な工程を必要とすることなく、高い接着力を発揮するというというユニークでかつ有用な特性を備えている。 粘着力が5.0N/20mm幅未満であると、被着体より容易に剥離してしまい、好ましくない。
【0038】
この様な粘着特性を示すために、本発明で用いられる粘着剤組成物は、室温での貯蔵弾性率〔G´〕が20N/cm
2以上、好ましくは50N/cm 2以上(通常は、500N/cm 2以下)に設定されているとともに、室温での粘着力が5.0N/20mm幅以上、好ましくは10.0N/20mm幅以上(通常は30.0N/20mm幅以下)である粘着剤組成物を最表面に用いることが好ましい。 【0039】
このような特性を備える粘着剤組成物は、上記の貯蔵弾性率〔G´〕および上記の粘着力を有する限り、組成上の限定は特にない。 一般には、粘着剤構成用のポリマーにポリイソシアネート化合物などの架橋剤を加えて架橋処理し、上記ポリマーの選択と架橋処理の程度などによつて前記の貯蔵弾性率〔G´〕および粘着力に設定したものが、好ましく用いられる。 ここで、粘着剤構成用のポリマ―としては、ポリカ―ボネ―ト構造を持つポリマ―として、つぎの式;
【化3】
(式中、Rは炭素数2〜20の直鎖状または分枝状の炭化水素基である)で表わされる繰り返し単位を有するポリマー、とくにポリカーボネートジオールと二塩基酸とから合成されるポリエステルが好ましく用いられる。 また、ガラス転移温度(損失弾性率;G”ピ―ク)が−35℃以下であるポリエステルも好ましく用いられる。さらに、このような脂肪族ポリエステルのほか、アクリル系ポリマーなども使用することができる。
【0040】
ポリカ―ボネ―ト構造を持つポリマ―としては、ポリカ―ボネ―トジオ―ル(またはその誘導体)とジカルボン酸(またはその誘導体)とから合成されるポリエステル、ポリカ―ボネ―トジカルボン酸とジオ―ルとから合成されるポリエステル、ポリカ―ボネ―トジオ―ルとジイソシアネ―トとから合成されるポリウレタンなどがあり、その中でも、とくにポリカ―ボネ―トジオ―ルとジカルボン酸とから合成されるポリエステルが好ましい。 この種のポリエステルは、ポリカ―ボネ―トジオ―ルを必須としたジオ―ル成分と炭素数が2〜20の脂肪族または脂環族の炭化水素基を分子骨格とするジカルボン酸を必須としたジカルボン酸成分とから合成される、重量平均分子量が1万以上、好ましくは3万以上、とくに好ましくは5万以上(通常、30万まで)のものである。
【0041】
ここで用いられるポリカ―ボネ―トジオ―ルは、つぎの式;
【化4】
(式中、Rは炭素数2〜20の直鎖状または分枝状の炭化水素基である)で表わされる繰り返し単位を有するジオ―ルで、数平均分子量としては、400以上、好ましくは900以上(通常1万まで)であるのがよい。 このようなポリカ―ボネ―トジオ―ルとしては、ポリヘキサメチレンカ―ボネ―トジオ―ル、ポリ(3−メチルペンテンカ―ボネ―ト)ジオ―ル、ポリプロピレンカ―ボネ―トジオ―ルなど、それらの混合物またはそれらの共重合物などがある。 市販品としては、ダイセル化学工業(株)製の「PLACCEL CD205PL」、「同CD208PL」、「同CD210PL」、「同CD220PL」、「同CD205HL」、「同CD208HL」、「同CD210HL」、「同CD220HL」などが挙げられる。
【0042】
ジオ―ル成分としては、上記のポリカ―ボネ―トジオ―ルのほか、必要により、エチレングリコ―ル、プロピレングリコ―ル、ブタンジオ―ル、ヘキサンジオ―ル、オクタンジオ―ル、デカンジオ―ル、オクタデカンジオ―ルなどの直鎖状のジオ―ルや分枝状のジオ―ルなどの成分を併用してもよい。 これらの他のジオ―ルは、ジオ―ル成分全体の50重量%以下、好ましくは30重量%以下の使用量とするのがよい。 また、ポリマ―を高分子量化するために、3官能以上のポリオ―ル成分を少量添加してもよい。
【0043】
また、ジカルボン酸成分は、炭素数が2〜20の脂肪族または脂環族の炭化水素基を分子骨格としたもので、上記の炭化水素基が直鎖状のものでも分枝状のものであってもよい。 具体的には、コハク酸、メチルコハク酸、アジピン酸、ピメリツク酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカン二酸、1,14−テトラデカン二酸、テトラヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、これらの酸無水物や低級アルキルエステルなどが挙げられる。
【0044】
ジカルボン酸成分としては、上記の炭素数が2〜20の脂肪族または脂環族の炭化水素基を分子骨格としたジカルボン酸をこれ単独で用いるのが望ましいが、場合により、このジカルボン酸とともに、芳香族の炭化水素基を分子骨格としたジカルボン酸を、適宜混合して使用してもよい。 これら芳香族の炭化水素基を分子骨格としたジカルボン酸の使用量としては、ジカルボン酸成分全体の50重量%以下、とくに好ましくは30重量%以下の少量であるのがよい。 また、合成されるポリエステルを高分子量化するなどの目的で、3官能またはそれ以上の多価カルボン酸成分を少量添加することもできる。
【0045】
ポリエステルは、上記のジオ―ル成分とジカルボン酸成分とを、常法にしたがい、無触媒または適宜の触媒などを用いて、エステル化反応させることにより、得られる。 その際、ジオ―ル成分とジカルボン酸成分とは、等モル反応が望ましいが、エステル化反応を促進するため、どちらかを過剰に用いて反応させてもよい。 このようにして得られるポリエステルは、前記分子量を有していることが望ましい。 これは、分子量があまり低いと、高度に架橋した粘着剤は架橋密度が高くなり、非常に硬い性質を有したり、逆に架橋密度を低く設定しようとすると、未架橋成分の分子量が低いため、耐熱性などの面で好ましくないためである。
【0046】
本発明では、通常、このようなポリエステルをはじめとするポリカ―ボネ―ト構造を持つポリマ―を適宜の手段で架橋処理して、室温での貯蔵弾性率〔G´〕および接着力が前記範囲となる粘着剤組成物とする。 架橋手段は任意でよいが、架橋剤としてポリイソシアネ―ト化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、金属キレ―ト化合物、金属アルコキシド化合物などの多官能性化合物を用い、これと上記ポリマ―(中に含まれる水酸基やカルボキシル基)とを反応させて架橋する方法が一般的である。 多官能性化合物としては、とくにポリイソシアネ―ト化合物が好ましい。
【0047】
ポリイソシアネ―ト化合物としては、エチレンジイソシアネ―ト、ブチレンジイソシアネ―ト、ヘキサメチレンジイソシアネ―トなどの低級脂肪族ポリイソシアネ―ト類、シクロペンチレンジイソシアネ―ト、シクロヘキシレンジイソシアネ―ト、イソホロンジイソシアネ―トなどの脂環族ポリイソシアネ―ト類、2,4−トリレンジイソシアネ―ト、4,4´−ジフエニルメタンジイソシアネ―ト、キシリレンジイソシアネ―トなどの芳香族ポリイソシアネ―ト類などがある。 そのほか、トリメチロ―ルプロパンのトリレンジイソシアネ―ト付加物〔日本ポリウレタン(株)製の「コロネ―トL」〕、トリメチロ―ルプロパンのヘキサメチレンジイソシアネ―ト付加物〔日本ポリウレタン(株)製の「コロネ―トHL」〕なども用いられる。
【0048】
これらの多官能性化合物は、単独でまたは2種以上の混合系で用いられる。 使用量は、架橋するポリマ―とのバランスにより、また粘着剤組成物の使用目的によって適宜選択される。 一般には、ポリカ―ボネ―ト構造を持つポリマ―100重量部あたり、0.5重量部以上、好ましくは1〜5重量部程度配合して、架橋処理するのがよい。 これにより、上記ポリマ―の溶剤不溶分が10〜90重量%、好ましくは15〜80重量%、より好ましくは20〜70重量%となる粘着剤組成物が得られる。 ポリマ―の溶剤不溶分が小さすぎると、粘着剤の凝集力が不足して、十分な弾性率や耐熱性,耐久性が得られない。
【0049】
他の架橋手段として、ポリマ―に架橋剤として多官能モノマ―を配合し、これを電子線などで架橋させる方法がある。 多官能モノマ―には、エチレングリコ―ルジ(メタ)アクリレ―ト、ペンタエリスリト―ルトリ(メタ)アクリレ―ト、テトラメチロ―ルメタンテトラ(メタ)アクリレ―ト、トリメチロ―ルプロパントリ(メタ)アクリレ―トなどがある。 これらの多官能モノマ―の使用量は、電子線などで架橋したのちのポリマ―の溶剤不溶分が前記同様の値となるように、前記のポリマ―100重量部あたり、多官能モノマ―が1〜5重量部、好ましくは2〜4重量部となるようにするのがよい。
【0050】
本発明の粘着剤組成物には、従来公知の各種の粘着付与剤を配合してもよい。 粘着付与剤の配合により、粘着性と耐熱性のバランスがとりやすくなる場合もある。 また、無機または有機の充てん剤、金属粉、顔料などの粉体、粒子状、箔状物などの従来公知の各種の添加剤を任意に配合できる。 さらに、各種の老化防止剤の配合により、耐久性のより一層の向上を図ってもよい。
【0051】
本発明においては、上記粘着剤組成物からなる層を通常2〜100μm、好ましくは10〜100μmの厚さに設けてなるものである。 これら粘着剤層は、なるべく薄層とすることで端部のごみやほこりの付着を防止できるため、好ましい。 粘着剤層の設け方は、直接塗布方式でもよいし、離型紙上に設けたのちこれを貼り合わせる方式でもよい。 上記の粘着剤組成物からなる層は、発泡構造体の片面だけでなく両面に設けてもよい。 また、上記の粘着剤組成物からなる層を設けるにあたり、下層として他の粘着剤層や基材を設けるなどの複合層としてもよい。
【0052】
また、上記の粘着剤組成物からなる層を発泡構造体の片面にのみ設ける場合、発泡構造体の反対側の面に、上記の粘着剤組成物とは異なる粘着剤層、たとえば汎用のアクリル系粘着剤層またはゴム系粘着剤層を設けるようにしてもよい。 この場合、片面側に設けたタックを有しない前記の粘着剤組成物からなる層を利用して位置合わせ、位置決めを容易に行うことができるとともに、上記反対側の汎用の粘着剤層の特徴をも発揮させることができる。
【0053】
本発明の電気・電子機器用シール材は、その形状を特に限定するものでなく、その使用目的に合わせ、適宜裁断、打ち抜き等の加工が施されてもよい。
【0054】
以下、本発明の電気・電子機器用シール材の実例を図面にもとづいて説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
【0055】
図1は本発明の電気・電子機器用シール材の使用の一例を模式的に示している。 図1において、1は本発明の電気・電子機器用シール材を額縁状に打ち抜いたシール材を示しており、発泡構造体11の両面に粘着剤層12、13を設けた構造を示している。 2は液晶ディスプレイを、3は外枠部をそれぞれ示している。
【0056】
電気・電子機器用シール材1は液晶ディスプレイ2の外周部に沿うように粘着剤層12を介して固定(仮止め)される。 この時、電気・電子機器用シール材1は平均気泡径が細かいので腰があって形状を保持しやすく、作業性がよい。 また粘着剤層12は、室温での貯蔵弾性率が20N/cm
2以上のものであり、粘着剤としての高いタックを示さず、したがって数秒程度の短時間ではほとんど接着しない。 このため短時間であれば、一度剥がして、再度使用すること可能で、被着体を損傷することなく貼り合わせ位置の修正が可能である。 【0057】
また粘着剤層12は、上記高弾性でタックフリーでありながら、接着力が5N/20mm幅以上となるものであり、加熱処理などの煩雑な工程を要することなく高い接着力を発揮するというユニークでかつ有用な特性を備えており、この特性によって、次の工程までの間に電気・電子機器用シール材1が液晶ディスプレイ2から剥離することはない。
【0058】
電気・電子機器用シール材1を固定した液晶ディスプレイ2は、外枠部3と粘着剤層13を介して固定される。 この時、適度に加圧された状態で固定されることで電気・電子機器用シール材1はクッション性を示し、衝撃に対する緩衝機能や防塵、防水などのシール機能を発揮する。
【0059】
【発明の効果】
本発明の電気・電子機器用シール材は、
熱可塑性ポリマーからなり、平均気泡径を500μm以下としているので、発泡構造体の形状維持性が確保され、細幅、薄層の発泡構造体であっても加工が容易となる。 また粘着剤として貯蔵弾性率が20N/cm 2以上であり、粘着力が5.0N/20mm幅以上としているので、シール材端部へのごみやほこりの付着が低減でき、かつ貼り付け後は粘着力を発揮しシール材を固定できる。 【0060】
また、発泡体が熱可塑性エラストマー等の熱可塑性ポリマーからなるため柔軟性に優れるとともに、発泡剤として二酸化炭素等の不活性ガスを用いるので、従来の物理発泡法及び化学発泡法と異なり、有害物質が発生したり汚染物質が残存することがなくクリーンである。 そのため、特に携帯電話やビデオカメラ等の電気・電子機器に使用されている液晶ディスプレイ等のシール材として好適に利用できる。
【0061】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0062】
実施例1
密度が0.9g/cm
3 、230℃のメルトフローレートが4であるポリプロピレン50重量部と、JIS−A硬度が69のエチレンプロピレン系エラストマー50重量部及び多面体状のMgO・ZnO・H 2 O(平均粒径1.0μm、アスペクト比4)100重量部を、ローラ型の翼を設けた混錬機(東洋精機(株)製、商品名「ラボプラストミル」)により170℃の温度で混練した後、180℃に加熱した熱板プレスを用いて厚さ0.5mm、Φ80mmのシート状に成形した。 このシートを耐圧容器に入れ、150℃の雰囲気中、15MPa/cm
2の加圧下で、10分間保持することにより、二酸化炭素を含浸させた。 10分後に急激に減圧することにより、平均気泡径100μmの発泡構造体を得、これを厚さ1mmにスライスした。 【0063】
一方、攪拌機、温度計および水分離管を付した四つ口のセパラブルフラスコに、液状のポリカ―ボネ―トジオ―ル〔ダイセル化学工業(株)製の「PLACCEL CD210PL」、水酸基価115KOHmg/g〕250g(水酸基:0.512当量)、セバシン酸51.8g(酸基:0.512当量)、触媒としてのジブチルチンオキサイド(以下、DBTOという)127mgを仕込み、反応水排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。 しばらくすると、水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。 約24時間反応を続けて、重量平均分子量が55,000となるポリエステルを得た。
【0064】
このポリエステルをトルエンで固形分濃度40重量%に希釈したのち、ポリエステル100部(固形分)あたり、架橋剤としてトリメチロ―ルプロパンのヘキサメチレンジイソシアネ―ト3量体付加物〔日本ポリウレタン(株)製の「コロネ―トHL」〕2部(固形分)を加えて、粘着剤組成物を調製した。
【0065】
このように調製した粘着剤組成物を、アプリケ―タにより、前記の発泡構造体の片面に塗布し、130℃で5分間乾燥して、厚さが30μmの粘着剤組成物からなる層を形成し、本発明のシール材を作製した。 また粘着剤の粘着力測定用に、上記粘着剤組成物をアプリケーターにより厚さ25μmのPETフィルム上に塗布し、130℃で5分乾燥して厚さ30μmの粘着剤層を形成し、アフターキュアとして50℃の雰囲気で5日間エージングを行ない粘着力測定用のテープサンプルを作製した。 また上記と同様にして、貯蔵弾性率測定用に粘着剤組成物を剥離紙上に塗布し、厚さが50μmの粘着剤層を形成した。
【0066】
実施例2
攪拌機、温度計および水分離管を付した四つ口のセパラブルフラスコに、液状のポリカ―ボネ―トジオ―ル〔ダイセル化学工業(株)製の「PLACCEL CD220PL」、水酸基価56.1KOHmg/g〕250g(水酸基:0.25当量)、アゼライン酸23.5g(酸基:0.25当量)、触媒としてのDBTOを62mg仕込み、反応水排出溶剤としての少量のトルエンの存在下、攪拌を開始しながら180℃まで昇温し、この温度で保持した。 しばらくすると、水の流出分離が認められ、反応が進行し始めた。 約25時間反応を続けて、重量平均分子量が78,000となるポリエステルを得た。
【0067】
このポリエステルをトルエンで固形分濃度40重量%に希釈したのち、ポリエステル100部(固形分)あたり、架橋剤としてトリメチロ―ルプロパンのトリレンジイソシアネ―ト3量体付加物〔日本ポリウレタン(株)製の「コロネ―トL」〕1.5部(固形分)を加えて、粘着剤組成物を調製した。 この粘着剤組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、本発明のシ―ル材を作製した。 また、実施例1と同様にして、粘着力測定用のテープサンプルおよび貯蔵弾性率測定用の粘着剤層を形成した。
【0068】
比較例1
攪拌機および温度計を付した反応容器に、アクリル酸n−ブチル95部、アクリル酸5部、トルエン150部、アゾビスイソブチロニトリル0.1部を入れ、窒素ガス雰囲気中、60℃で約7時間溶液重合して、ポリマ―溶液を得た。 このポリマ―100部(固形分)あたり、架橋剤としてトリメチロ―ルプロパンのトリレンジイソシアネ―ト3量体付加物〔日本ポリウレタン(株)製の「コロネ―トL」〕2部(固形分)を加えて、粘着剤組成物を調製した。 この粘着剤組成物を用いた以外は、実施例1と同様にして、シ―ル材を得た。 また、実施例1と同様にして、粘着力測定用のテープサンプルおよび貯蔵弾性率測定用の粘着剤層を形成した。
【0069】
比較例2
下記の配合組成物をミキシングロ―ルで混練し、この混練物をオ―ブンで160℃,30分の条件で加熱して加硫発泡させ、オ―ブンから取り出し、平均粒子径800μmの発泡構造体を得た。
【0070】
<発泡構造体の配合組成>
エチレン・プロピレン・ターポリマー 100部亜鉛華 5部ステアリン酸 1部カーボン 40部ポリエチレン 20部重質炭酸カルシウム 180部ポリブテン 40部硫黄 2部メルカプトベンゾチアゾール 1部ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛 2部アゾジカルボン酸アミド 13部【0071】
この発泡構造体を用いた以外は、実施例1と同様にしてシール材を得た。
【0072】
上記各実施例および比較例において、貯蔵弾性率測定用として形成した粘着剤層を用いて貯蔵弾性率を測定した。 また粘着力測定用のテープサンプルおよびシール材を用いて、粘着力を測定した。 さらに、シール材を用い、ごみ付着性、加工・作業(取り扱い)性について確認した。 結果を表1に示した。
【0073】
<貯蔵弾性率>
レオメトリツク社製の動的粘弾性測定装置RDS−IIを用い、サンプル厚さ約1.5mm、直径7.9mmのパラレルプレ―トの治具により、周波数1Hzで測定した。
【0074】
<粘着剤粘着力>
得られた粘着力測定用のテープサンプルを長さ150mm、幅20mmに裁断し、アクリル板(ポリメチルメタクリレ―ト)に重さ2kg重のゴムローラーを1往復させる方法にて貼り合わせ、23℃下に30分放置後、23℃、65%RH雰囲気中にて引張試験機にて180°の剥離角度、300m/分の剥離速度で測定を行った。
【0075】
<シール材粘着力>
得られたシール材を長さ150mm、幅20mmに裁断し、アクリル板(ポリメチルメタクリレ―ト)に重さ2kg重のゴムローラーを1往復させる方法にて貼り合わせ、23℃下に30分放置後、23℃、65%RH雰囲気中にて引張試験機にて90°の剥離角度、300m/分の剥離速度で測定を行った。
【0076】
<ゴミ付着性>
得られたシール材サンプルを、室温にて1週間放置し、糊面端部へのゴミやほこりの付着度合いを目視にて確認した。 ゴミやほこりがほとんど付着していない物を「○」、多く付着しているものを「×」と評価した。
【0077】
<加工性>
得られたシール材サンプルを、厚さ1mm、幅2mmで一辺50mmの長さの額縁状サンプルを作成し、所定の位置への設置作業性の容易さ、困難さを評価した。 取り扱いが容易なものを「○」、加工性に難があり、取り扱いが困難なものを「×」と評価した。
【0078】
【表1】
【0079】
表1の結果から明らかなように、本発明の実施例の定型シール材は、いずれも発泡構造体に設けた粘着剤組成物からなる層が室温でタックを示さないため、ゴミやほこりの付着が少ないと共に、大きな粘着力を示すためシール材の固定ができる。 または発泡構造体の平均粒子径が小さいため、薄層、細幅に加工しても形状維持ができ、作業(取り扱い)性も容易であることを示すものである。
【0080】
これに対し、発泡構造体に本発明と異なる特性を示す粘着剤層を設けた比較例1のシール材は、上記粘着剤層が室温でタックを示すため、ゴミ付着が大きく電気・電子機器用途のシール材として性能が劣る。 また比較例2のシール材では、平均粒子径が大きいため発泡構造体に腰がなく、薄層、細幅の加工性に劣るものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電気・電子機器用シール材の使用の一例を示した模式図である。
【符号の説明】
1 電気・電子機器用シール材2 液晶ディスプレイ3 外枠部
|