感圧接着剤のための新規調製物

申请号 JP2018505655 申请日 2016-08-03 公开(公告)号 JP2018528997A 公开(公告)日 2018-10-04
申请人 レプソル・ソシエダッド・アノニマ; REPSOL.S.A.; 发明人 カロリナ・ルイス・オルタ; ラウラ・マリン・ペラレス; ソニア・セグラ・フェルナンデス; ラファエル・ポロ・アバド; マリア・ドロレス・ブランコ・ゴンサレス; ロマン・ガルダメス・ペニャ; モニカ・ガルシア・ルイス; ホセ・ミゲル・マルティン・マルティネス; アンドレス・ヘスス・ジャニェス・パシオス;
摘要 【解決手段】本発明は、感圧接着剤の製造に適した調製物であって、a)17,000Da以上の数平均分子量を有するポリアルキレンカーボネート40〜95重量%、b)CO 2 含有量がポリエーテルカーボネートポリオールの全重量に基づいて0.5〜40重量%の範囲であり、その化学構造に無作為に組み込まれたCO 2 基を有するポリエーテルカーボネートポリオール5〜60重量%、及びc)任意に粘着付与樹脂30重量%未満を含み、ただし、前記調製物は網状化剤を含まない、調製物に関する。
权利要求

感圧接着剤の製造に適した調製物であって、該調製物は、 a)17,000Da以上の重量平均分子量を有するポリアルキレンカーボネート40〜95重量%、 b)CO2含有量がポリエーテルカーボネートポリオールの全重量に基づいて0.5〜40重量%の範囲であり、その化学構造に無作為に組み込まれたCO2基を有するポリエーテルカーボネートポリオール5〜60重量%、及び c)任意に粘着付与樹脂30重量%未満 を含み(該調製物の成分a)、b)及びc)の前記重量%は、調製物の全重量に基づく)、 ただし、前記調製物は網状化剤を含まない、調製物。a)17,000Da以上の重量平均分子量を有するポリアルキレンカーボネート55〜95重量%、 b)CO2含有量がポリエーテルカーボネートポリオールの全重量に基づいて0.5〜40重量%の範囲であり、その化学構造に無作為に組み込まれたCO2基を有するポリエーテルカーボネートポリオール5〜45重量%、及び c)任意に粘着付与樹脂30重量%未満 を含み(該調製物の成分a)、b)及びc)の前記重量%は、該調製物の全重量に基づく)、 ただし、前記調製物は、網状化剤を含まない、請求項1に記載の調製物。a)17,000Da以上の重量平均分子量を有するポリアルキレンカーボネート75〜95重量%、 b)CO2含有量がポリエーテルカーボネートポリオールの全重量に基づいて0.5〜40重量%の範囲であり、その化学構造に無作為に組み込まれたCO2基を有するポリエーテルカーボネートポリオール5〜25重量%、及び c)任意に粘着付与樹脂10重量%未満 を含み(該調製物の成分a)、b)及びc)の前記重量%は、該調製物の全重量に基づく)、 ただし、前記調製物は網状化剤を含まない、請求項1に記載の調製物。前記ポリエーテルカーボネートポリオールは、該ポリエーテルカーボネートポリオールの全重量に基づいて5〜25重量%の二酸化炭素を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の調製物。前記ポリエーテルカーボネートポリオールは、複金属シアン化物触媒の存在下で、1種以上のH−官能性開始物質、1種以上のアルキレンオキシド、及び二酸化炭素を共重合する工程により得られ、前記複金属シアン化物触媒は、 a)有機錯化剤及びポリエーテルポリオール配位子の存在下で固体複金属シアン化物触媒を合成する工程、並びに b)90〜100重量%及び ポリエーテルポリオール配位子0〜10重量%、 を含む水溶液で、工程a)において得られた該触媒を初めに洗浄してスラリーを形成する工程、 ここで、前記水溶液は該ポリエーテルポリオール配位子以外の有機錯化剤を含ない、 を含む方法により得られる、請求項1〜4のいずれかに記載の調製物。前記ポリエーテルカーボネートポリオールは、ポリエーテルカーボネートトリオール又はポリエーテルカーボネートジオールである、請求項1〜5のいずれかに記載の調製物。前記ポリエーテルカーボネートポリオールの当量分子量は、500Daより大きい、請求項1〜6のいずれかに記載の調製物。前記ポリアルキレンカーボネートは、触媒存在下でCO2をアルキレンオキシドと共重合させた生成物である、請求項1〜7のいずれかに記載の調製物。前記ポリアルキレンカーボネートは、カーボネート結合を介して連結された隣接するモノマー単位を平均して約75%を超えて有する、請求項1〜8のいずれかに記載の調製物。前記ポリアルキレンカーボネートは、20,000〜500,000Daの重量平均分子量を有する、請求項1〜9のいずれかに記載の調製物。前記ポリアルキレンカーボネートは、ポリプロピレンカーボネート、ポリエチレンカーボネート及びそれらの混合物から選択される、請求項1〜10のいずれかに記載の調製物。請求項1〜11のいずれかに記載の調製物の製造方法であって、 (a)17,000Da以上の重量平均分子量を有するポリアルキレンカーボネート40〜95重量%、 (b)CO2含有量は、ポリエーテルカーボネートポリオールの全重量に基づいて0.5〜40重量%の範囲であり、その化学構造に無作為に組み込まれたCO2基を有するポリエーテルカーボネートポリオール5〜60重量%、及び (c)任意に粘着付与樹脂30重量%未満、 を均一な混合物が得られるまで混合する、調製物の製造方法。請求項1〜12のいずれかに記載の調製物を含む、感圧接着剤。請求項13に記載の感圧接着剤を含む、多層フィルム。請求項13に記載の感圧接着剤又は請求項14に記載の多層フィルムを含む、再封可能なパッケージ、又は再封可能なパッケージの部品。自己治癒材料としての請求項1〜12のいずれかに記載の調製物の使用。

说明书全文

本発明は、感圧接着剤の製造に適した組成物に関し、特に、任意に粘着付与樹脂を有する、ポリアルキレンカーボネート及びポリエーテルカーボネートポリオールの混合物に関する。

PSAとして一般に知られている感圧接着剤は、軽い圧下で簡単な接触により表面に粘着するように設計された自己接着性材料である。圧力を印加することは、十分な接着を提供するために基材表面上に十分な含浸を達成するために必要である。PSAの基材への結合様式は、化学的ではなく、実際、この種類の接着剤は結合過程において化学反応を起こさない。

感圧接着剤組成物は、製品が受ける応力及び環境に耐えることができ、使用中に残存することが期待できるように、物理的及び化学的な性質の特定の最小限のバランスを有する組成物を提供するように処方される。接着剤の物理的又は流動的な性質、特に、粘着性、剥離接着性及びせん断接着性は、慎重に選択されたポリマー構造と、粘着付与樹脂等の小分子の適切な添加と組み合わせ、用途に合わせて細かく調整しなければならない。 PSAは、化学反応が起こらず室温で結合が行われるため、特に使用が容易で安全である。

感圧接着剤は、主にアクリル、スチレンブロックコポリマー、天然ゴム、及びポリウレタンから得られるポリマーに基づく。低温使用や高温安定性が要求され、コストは問題とならないシリコーンPSA用のニッチ市場もある。ゴム系接着剤は、典型的には天然ゴムの化合物であり、同様の割合でゴムと混和する低分子量粘着付与樹脂であるため、製造するのが安価であり、また配合も最も簡単である。初期のバージョンでは、架橋されていなかったが、今日では流動を回避するために架橋工程が一般的に実行されている。

アクリレートコポリマーベースのPSAは、様々な形態(溶液、エマルション、更にホットメルト)で入手可能であり、広範囲の性質を有する。しかしながら、これらの接着剤は、硬化剤を使用して塗布した後に硬化させる必要があり、塗布後に乾燥又は硬化させるためのエネルギーの使用を必要とする。よって、天然ゴムPSAの場合、接着剤を塗布した時点で、架橋工程(電子線又はUV線)がクリープを防止するために一般的に用いられる。

スチレンブロックコポリマーに基づくPSAは、一般的にスチレン−イソプレン−スチレン(SIS)トリブロックと、イソプレン相と混和するがスチレン相と混和しないC5環に基づく低分子量樹脂と配合されたスチレン−イソプレンジブロックとの混合である。よって、粘着付与樹脂は、この種類のPSAに必要な成分である。スチレンドメインは、物理的架橋をもたらし、クリープに対する優れた耐性を生じさせる。

PSAの他の調製物は、又は他の鎖延長剤との反応に有用なNCO基を有するポリウレタンプレポリマーに基づく。前記プレポリマーは、通常、ポリイソシアネートと、エチレンオキシド又はプロピレンオキシドとの付加重合により得られるポリオールの反応から得られる。一例として、欧州特許第1983012号明細書、欧州特許第0196749号明細書、及び米国特許第3,681,277号明細書は、ウレタン樹脂、又はポリイソシアネートとポリオキシアルキレン化合物から誘導されるポリオールとの反応によるPSAの製造のためのポリウレタンのウレタン樹脂又はプレポリマーの製造を記載している。

これらの材料の代替物として、ポリエステル又は脂肪族ポリカーボネートポリオール化合物も、PSA調製物を製造するために使用されている。国際公開第98/38262号には、ポリエステル成分と、化学線又は電子線の照射に暴露されると架橋可能な1種以上のエポキシ樹脂とを含む感圧接着剤層が記載されている。

米国特許出願公開第2002/081426号明細書は、主成分が式−(O−R−O−C(O))n−(Rは鎖状又は分岐状の炭化水素基である)の脂肪族ポリカーボネートジオールであるPSAのシート又は層を開示している。

除去可能な接着剤は、PSAの一つの特定のクラスを構成する。これらの接着剤は、一時的な結合を形成するように設計され、理想的にはそれらが付着する表面上に残留物を残すことなく、長期間経た後にも容易に除去することができる。除去可能な接着剤は、表面保護フィルム、マスキングテープ、ブックマーク、及びメモ紙、価格マーキングラベル、宣伝用グラフィックス材料、及び皮膚接触のような用途に使用される。この意味において、Post it(登録商標)は、従来技術において広く知られ、使用されている除去可能な接着剤の特定の例である。

これら除去可能な接着剤のいくつかは、繰り返し使用するように設計され、例えば、食品包装業界のような再封可能なパッケージにおいて使用され、これらは使用後にユーザーがパッケージを密封することができるため、鮮度を保ち、製品を容易に評価の評価できる。これらの調製物のいくつかは、エチレン−酢酸ビニルコポリマー又はスチレンブロックコポリマーとの混合物を含む(米国特許出願公開第2009/0270540号明細書;米国特許第3,330,670号明細書)。

しかしながら、これらの用途において、多くの接着剤調製物は、粘着性の度合いを改善するために多量の粘着付与樹脂の添加を必要とするため、接着性の調製物は、多くの場合、有害で環境負荷な成分である。

ポリアルキレンカーボネート化合物は、ポリオ−ルと組み合わせて他の調製物の調製に使用されている。特に、ポリプロピレンカーボネートと、ポリエーテルポリオ−ル、ポリエステルポリオ−ル、及びポリカーボネートポリオールのようなポリオールとの混合物は、物理的性質が改善された相互貫入するポリマーネットワークを得るための、ポリイソシアネートのような硬化剤の存在下で硬化する樹脂組成物の製造についての文献(欧州特許第2845878号明細書)に記載されている。同様の混合物は、接着剤調製物の製造に関して記載されている(国際公開第2013/158621号)。

接着剤調製物及びポリウレタン発泡材料を製造するために、ポリエーテルカーボネートポリオールは、ポリエーテルカーボネートポリオール構造又はポリオ−ル鎖のいずれかにおいて、ウレタン基の存在下でポリオ−ルと組み合わさせる(米国特許出願公開第2013/150526号、米国特許出願公開第2014/066535号、及び米国特許出願公開第2013/059973号)。

しかしながら、ポリアルキレンカーボネートとポリエーテルカーボネートポリオールとの混合物は、従来技術において開示されていない。これらの混合物が感圧接着剤として有用であるためには、混合物を構成する成分間において適切な混和が必要となる。更に、良好な接着性、特に粘着性、剥離接着性、及びせん断接着性も必要とされる。

一方で、自己治癒ポリマー(自動的にそれら自身を修復する能力を有するポリマー)又は治癒ポリマー(熱、光、圧力、又は機械的応力のような外部刺激にさらされると治癒され得るポリマー)が、ポリマーの機械的欠陥及び亀裂形成の修復を容易にするために開発されている。

特に、自己治癒ポリマーは、損傷領域内及びその周辺に複数の結合相互作用を形成し、その構造を構成する構成要素間の接続を形成する能力を有しなければならない。この挑戦は、4つの異なる戦略で従来技術において取り扱われていている:破損後に放出される反応性モノマーのカプセル化;損傷領域における新しい不可逆的な共有結合の形成;超分子自己集合;及び可逆的な共有結合の形成。しかしながら、従来技術において記載される様々な自己治癒材料にもかかわらず、自己治癒性質を有するポリマー材料を提供する必要性が依然として存在する。

欧州特許第1983012号明細書

欧州特許第0196749号明細書

米国特許第3,681,277号明細書

国際公開第98/38262号

米国特許出願公開第2002/081426号明細書

米国特許出願公開第2009/0270540号明細書

米国特許第3,330,670号明細書

欧州特許第2845878号明細書

国際公開第2013/158621号

米国特許出願公開第2013/150526号明細書

米国特許出願公開第2014/066535号明細書

米国特許出願公開第2013/059973号明細書

本発明者らは、ポリエーテルカーボネートポリオールとポリアルキレンカーボネートとの混合物はそれ自体が接着性を有し、感圧接着剤として使用するのに必要な粘着性及び接着性を損なう粘着付与樹脂の添加を必要としないことを見出した。 実験部分から導き得るように、ポリエーテルカーボネートポリオールは、粘着付与樹脂が存在しない場合でも、又は非常に少量のこの成分を使用する場合でも、混合物に適切な粘着性、剥離接着性、及びせん断接着性を提供する。 実際に、ポリアルキレンカーボネートであるが、その組成物においてCO2の含有量がないポリエーテルポリオ−ル、ポリオ−ルエステル、又はポリカーボネートポリオールのようなポリオールの他のタイプも有する混合物と比較した場合に、改善された接着性及び再封用途のための容易な除去性を備える前記混合物を支える両成分の混和性の増加が観察されている。 更に、増加した粘度及び極性との相乗効果は、CO2含有量がなく混合物の全ての組成範囲において同一の分子量及び機能性を有するポリエーテルポリオ−ルに比べて、より高いポリプロピレンカーボネートとの相溶性をポリエーテルカーボネートポリオールに与える。 更に、言及された前記混合物は、調製物を硬化するために網状化剤の存在を必要としないため、接着剤を基材表面に塗布した時点で架橋工程を回避する。

ポリアルキレンカーボネートへのポリエーテルカーボネートポリオールの組み込みは、分解温度が比較的低いポリアルキレンカーボネートの熱安定性を改善する。驚くべきことに、TGA結果から導き出されるように、この改善された安定性は、CO2の含有量がないポリエーテルポリオ−ル、ポリオ−ルエステル、又はポリカーボネートポリオールのような他のポリオ−ルに比べて顕著に高く、ポリプロピレンカーボネートに組み込まれる。 加えて、混合物中の全CO2含有量は、それに続く持続可能性の改善とともに増加する。

本発明者らは、本発明の調製物から得られたポリマー材料が、切断した後に、室温で簡単な接触により自己修復できることを見出した。実際に、調製物は、特別な触媒又は熱若しくは光のような外部刺激の付加なしに定量的な治癒効率を示すポリマー材料を提供する。 特に、本発明の調製物から得られるポリマー材料の自己治癒過程は、任意の外部刺激を必要とせずに、短縮された時間内に起こることがわかった。材料が2つの部分に切断されると、それら部分を一緒に接触させるだけで再び元に戻る。よって、ポリマー材料は、損傷領域内及びその周囲に水素結合及びファンデルワールス力のような複数の結合相互作用を形成することにより、自動的及び自律的に損傷を治癒することができる。 引張強度試験により試験され、もたらされた実験データは、著しく高い自己治癒効率が達成されうることを示している。

よって、本発明の第1の態様は、感圧接着剤の製造に適した調製物であって、 a)17,000Da以上の重量平均分子量を有するポリアルキレンカーボネート40〜95重量%; b)CO2含有量がポリエーテルカーボネートポリオールの全重量に基づいて0.5〜40重量%の範囲であり、その化学構造に無作為に組み込まれたCO2基を有するポリエーテルカーボネートポリオール5〜60重量%;及び c)任意に粘着付与樹脂30重量%未満 を含み(該調製物の成分a)、b)及びc)の前記重量%は、調製物の全重量に基づく)、 ただし、前記調製物は網状化剤を含まない、調製物に関する。 好ましい実施形態では、ポリアルキレンカーボネートは、ポリプロピレンカーボネート、ポリエチレンカーボネート、及びそれらの混合物から選択される。 別の特定の実施形態では、調製物は粘着付与樹脂を含まない。

本発明の第2の態様は、 (a)17,000Da以上の重量平均分子量を有するポリアルキレンカーボネート40〜95重量%; (b)CO2含有量がポリエーテルカーボネートポリオールの全重量に基づいて0.5〜40重量%の範囲であり、その化学構造に無作為に組み込まれたCO2基を有するポリエーテルカーボネートポリオール5〜60重量%;及び (c)任意に粘着付与樹脂30重量%未満 を均一な混合物を得るまで混合する工程を含む、 上記で定義した調製物の製造方法を示す。

本発明の別の態様は、上述の調製物を含む感圧接着剤を示す。好ましい実施形態では、本発明の感圧接着剤は、ホットメルト感圧接着剤である。 本発明の別の態様は、基材を結合させるための感圧接着剤の使用を示す。 本発明の更なる態様は、上で定義した感圧接着剤を含む多層フィルムを示す。 本発明の更なる態様は、本発明によれば、感圧接着剤又は多層フィルムを含む再封可能なパッケージ又は再封可能なパッケージの部品を示す。 最後に、本発明の更なる態様は、自己治癒材料として上で定義した調製物の使用を示す。

図1は、種々の割合のポリアルキレンカーボネート及びポリエーテルカーボネートポリオール(ポリオ−ルPC)を含む試料、並びにポリプロピレンカーボネート及びポリエーテルポリオ−ル(ポリオ−ル)、ポリプロピレンカーボネート及びポリオ−ルエステル及びポリプロピレンカーボネート及びポリカーボネートポリオールを含む試料のTGA(熱重量分析)で得られる分解温度を示す。

図2(a)引張強度試験を実施するために使用された半分に切断されたダンベル型試料の写真を示し、図2(b)は、ISO37タイプ2規格に基づく前記ダンベル型試料の寸法を示す。

図3は、試料11に適用された応力−歪み試験の結果を示す:(−)初期、並びに半分に切断した後、(・・・・)24時間及び(−−−−)96時間、2つの半分を簡単に接触した状態とした。

図4は、その端部の一方をカッターで切断し、試料11(a)のダンベル形状の試験片の写真配列を示す。その後、2つの分離した部分を、(b)3時間、(c)8時間、及び(d)24時間、簡単に接触した状態とした。

<定義> 用語「網状化剤」とは、例えば、紫外線、電子線、又は加熱によるポリマー鎖の架橋によりポリマー材料を硬化し、堅くし、又は固めることを可能とする化合物をいう。本発明の調製物は、本明細書で定義される任意の網状化剤を欠く。 用語「当量分子量」とは、前記ポリマーにおいて官能性/反応性基の数に対するポリマーの重量の比をいう。本件では、ポリマーは、官能性/反応性基がヒドロキシル基であるポリエーテルカーボネートポリオールである。よって、ポリエーテルカーボネートジオールの当量分子量は、前記ポリマーが2つの官能性ヒドロキシル基を有するため、前記ポリエーテルカーボネートジオールの重量平均分子量を2で割ったものであり、ポリエーテルカーボネートトリオールの当量分子量は、前記ポリマーが3つの官能性ヒドロキシル基を有するため、前記ポリエーテルカーボネートトリオールの重量平均分子量を3で割ったものである。

重量平均分子量(Mw)の値は、偏向RI検出器を備えるBruker3800を使用するゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)によりポリエチレングリコール(PEG)標準に対して決定する。流速1mL/分でテトラヒドロフランを、室温で溶離剤として使用する。

用語「アルキル」とは、好ましくは1〜24個の炭素原子、より好ましくは1〜3個の炭素原子を含み、不飽和を含まず、単結合により分子の残りの部分と結合した鎖状又は分岐状の炭化水素鎖基をいい、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル等である。

用語「アルキレン」とは、末端炭素原子から2つの水素の除去により鎖状又は分岐状の飽和炭化水素鎖から誘導され、単結合により分子の残りに結合したC2−C24二基をいい、例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン等である。

前述のように、本発明の第1の態様は、感圧接着剤の製造に適した調製物であって、 a)17,000Da以上の重量平均分子量を有するポリアルキレンカーボネート40〜95重量%、 b)CO2含有量が、ポリエーテルカーボネートポリオール全重量に基づいて0.5〜40重量%の範囲であり、その化学構造に無作為に組み込まれたCO2基を有するポリエーテルカーボネートポリオール5〜60重量%、及び c)任意に粘着付与樹脂30重量%未満 を含み(該調製物の成分a)、b)及びc)の前記重量%は、調製物の全重量に基づく)、 ただし、前記調製物は網状化剤を含まない、調製物に関する。

特定の実施形態では、前記調製物は、上で定義した成分a)、b)及び任意にc)を含む混合物を含む。より具体的には、前記混合物は、物理的な混合物である。 用語「混合」又は「物理的混合(physical mixture)」は、調製物の成分の混ぜ合わせ又は組み合わせと理解されるべきである。前記混合物は、以下の明細書に記載されたいずれかの手順に従って得られる。

<ポリアルキレンカーボネート> 用語ポリ(アルキレンカーボネート)(PAC)は、エーテル及びカーボネートの単位を有するそれらのポリマーを含む(Encyclopedia of Polymer Science and Technology,Johnson Wiley and sons,Vol.3)。本発明はそのような方法により製造されることに限定されないが、それらは、典型的には、CO2と1以上のエポキシドとの共重合により製造される。PACは当該技術分野で知られており、当業者は、例えば、それらの構造、分子又は物理的性質の広い範囲から選択することができる。

本発明の実施形態によれば、PACは、(C2−C20)アルキレンオキシド、(C1−C20)アルキロキシ、(C6−C20)アリーロキシ、(C6−C20)アリールアルキロキシ、(C4−C20)シクロアルキルオキシド、(C5−C20)シクロアルキレンオキシド及びそれらの混合物からなる群から選択される1以上のエポキシドから(実際に使用されているか、又は概念的に)誘導される。例示的、非限定的なエポキシド化合物は、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテンオキシド、ペンテンオキシド、へキセンオキシド、オクテンオキシド、デセンオキシド、ドデセンオキシド、テトラデセンオキシド、ヘキサデセンオキシド、オクタデセンオキシド、ブタジエンモノキシド、1,2−エポキシド−7−オクテン、エピフルオロヒドリン、エピクロロヒドリン、エピブロモヒドリン、グリシジルメチルエーテル、グリシジルエチルエーテル、グリシジルノルマルプロピルエーテル、グリシジルsec−ブチルエーテル、グリシジルノルマル又はイソペンチルエーテル、グリシジルノルマルヘキシルエーテル、グリシジルノルマルヘプチルエーテル、グリシジルノルマルオクチル又は2−エチル−ヘキシルエーテル、グリシジルノルマル又はイソノニルエーテル、グリシジルノルマルデシルエーテル、グリシジルノルマルドデシルエーテル、グリシジルノルマルテトラデシルエーテル、グリシジルノルマルヘキサデシルエーテル、グリシジルノルマルオクタデシルエーテル、グリシジルノルマルイコシルエーテル、イソプロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、t−ブチルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、シクロペンテンオキシド、シクロヘセキセンオキシド、シクロオクテンオキシド、シクロドデセンオキシド、アルファ−ピネンオキシド、2,3−エポキシドノルボネン、リモネンオキシド、ディルドリン、2,3−エポキシドプロピルベンゼン、スチレンオキシド、フェニルプロピレンオキシド、スチルベンオキシド、クロロスチルベンオキシド、ジクロロスチルベンオキシド、1,2−エポキシ−3−フェノキシプロパン、ベンジルオキシメチルオキシラン、グリシジル−メチルフェニルエーテル、クロロフェニル−2,3−エポキシドプロピルエーテル、エポキシプロピルメトキシフェニルエーテル、ビフェニルグリシジルエーテル、グリシジルナフチルエーテル、グリシジル酢酸エステル、グリシジルプロピオネート、グリシジルブタノエート、グリシジルノルマルペンタノエート、グリシジルノルマルヘキサノエート、グリシジルヘプタノエート、グリシジルノルマルオクタノエート、グリシジル2−エチルヘキサノエート、グリシジルノルマルノナノエート、グリシジルノルマルデカノエート、グリシジルノルマルドデカノエート、グリシジルノルマルテトラデカノエート、グリシジルノルマルヘキサデカノエート、グリシジルノルマルオクタデカノエート、及びグリシジルイコサノエートからなる群から選択される1種以上であってもよい。

本発明の実施形態によれば、PACは化学式(I)

の化合物であり、 ここで、 wは、2〜10の整数であり、 xは5以上の整数、好ましくは5〜100の整数であり、 yは0〜100の整数であり、 nは、1〜3の整数であり、及び 各Rは、独立に、水素、(C1−C4)アルキル、又は−CH2−O−R’から選択され、R’は(C1−C8)アルキルであり、 及び各繰り返し単位は、w及び/又はnについて同一の又は異なる値を有することができる。

本発明の実施形態によれば、PACは、C2−C6オキシランに基づき、例えば、ポリ(エチレンカーボネート)(PEC)、ポリ(プロピレンカーボネート)(PPC−例えば、Luinstra G.A.;Borchardt E.,Adv.Polym.Sci.(2012)245:29−48及びLuinstra,G.A.,PolymerReviews,(2008)48:192−219 参照)、ポリ(ブチレンカーボネート)、又はポリ(へキシレンカーボネート)のようなC2、C3又はC4に基づき得る。環状脂肪族カーボネートの例は、ポリ(シクロヘキセンカーボネート)、ポリ(ノルボルネンカーボネート)、又はポリ(リモネンカーボネート)を含んでもよい。PACは、ポリ(プロピレンカーボネート)、ポリ(エチレンカーボネート)、又はそれらの混合物であり得る。従って、本発明は、異なるPACの混合物も含む。そのような混合物は、例えば、ポリ(ブチレンカーボネート)、ポリ(へキシレンカーボネート)、ポリ(シクロヘキセンカーボネート)、ポリ(ノルボルネンカーボネート)又はポリ(リモネンカーボネート)のような他のPACと、PPC及びPEC、又はPPC又はPECとの単位を含むPACであり得る。本発明において「アルキレンオキシド」、「エポキシド」又は「オキシラン」は、全て同等とみなされる。

PACの重量平均分子量は、臨界ではないが17,000Da以上であるべき、特に20,000〜1,000,000Da、好ましくは20,000〜500,000Da、更に好ましくは20,000〜250,000Daであるべきである。 特定の実施形態では、本発明のPACの典型的なガラス転移温度(Tg)は、5℃〜40℃である。

ガラス転移温度(Tg)を、下記の手順に従って示差走査熱量計(DSC)実験における第2加熱から得る。非等温(10℃/分 −85〜200℃)実験をDSC TA Instruments Q2000を用いて、窒素流下で冷却器内において操作して実行した。温度及び熱流較正を、標準としてインジウムを用いて実行した。

好ましい実施形態では、ポリアルキレンカーボネートは、ポリプロピレンカーボネート、ポリエチレンカーボネート、及びそれらの混合物から選択される。 特定の実施形態では、ポリアルキレンカーボネートは、ポリプロピレンカーボネートである。 PPCともいうポリプロピレンカーボネートは、触媒存在下でCO2をプロピレンオキシドと共重合させた生成物である。前記反応は、下記構造

を有する一次繰り返し単位を含む化合物を提供する。

特定の実施形態では、ポリプロピレンカーボネートは、17,000Da以上の重量平均分子量を有する。好ましい実施形態では、20,000〜300,000Da、より好ましくは20,000〜250,000Da、更に好ましくは20,000〜150,000Dの範囲の重量平均分子量を有する。

特定の実施形態では、ポリプロピレンカーボネートを、金属サレン触媒、例えば、コバルトサレン触媒又は亜鉛グルタレート触媒のような遷移金属触媒の存在下で、CO2及びプロピレンオキシドの共重合により得る。適した触媒及び方法には、例えば、国際公開第2010/022388号、国際公開第2010/028362号、国際公開第2012/071505号、米国特許第8,507,708号明細書、米国特許第4,789,727号明細書、Angew.Chem.Int.,2003,42,5484−5487;Angew.Chem.Int.,2004,43,6618−6639、及びMacromolecules,2010,43,7398−7401に記載されているものが含まれる。

別の特定の実施形態において、ポリプロピレンカーボネートは、カーボネート結合を高い割合で有することにより特徴付けられる。好ましくは、ポリプロピレンカーボネートは、平均して約75%を超えるカーボネート結合を介して連結する隣接するモノマー単位、及び約25%未満のエーテル結合を有する。より好ましくはポリプロピレンカーボネートは、カーボネート結合を介して連結する隣接するモノマー単位を、平均して約80%を超えて、更に好ましくは85%を超えて、最も好ましくは85〜90%有する。

別の特定の実施形態では、ポリプロピレンカーボネートは、調製物の全重量に対して55〜95重量%、より好ましくは75〜95重量%の割合で、本発明の調製物に含まれる。 別の特定の実施形態では、ポリアルキレンカーボネートは、ポリエチレンカーボネートである。

PECともいうポリエチレンカーボネートは、触媒存在下でCO2をエチレンオキシドと共重合させた生成物である。前記反応は、下記構造

を有する一次繰り返し単位を含む化合物を提供する。

特定の実施形態では、ポリエチレンカーボネートは、17,000Da以上の重量平均分子量を有する。好ましい実施形態では、20,000〜300,000Da、より好ましくは100,000〜250,000Da、更に好ましくは20,000〜150,000Daの範囲の重量平均分子量を有する。

別の特定の実施形態では、ポリエチレンカーボネートは、カーボネート結合を高い百分率で有することにより特徴付けられる。好ましくは、ポリエチレンカーボネートは、平均して約75%を超えるカーボネート結合を介して連結する隣接するモノマー単位、及び約25%未満のエーテル結合を有する。より好ましくはポリエチレンカーボネートは、カーボネート結合を介して隣接するモノマー単位を平均して約80%を超えて、更に好ましくは85%を超えて、最も好ましくは85〜90%の有する。 別の特定の実施形態では、ポリエチレンカーボネートは、調製物の全重量に対して55〜95重量%、より好ましくは75〜95重量%の割合で、本発明の調製物において含む。

<ポリエーテルカーボネートポリオール> 用語ポリエーテルカーボネートポリオールは、その化学構造に無作為に組み込まれたCO2基を有するポリエーテルポリオ−ルと理解されるべきである。これらのCO2基は、共有結合によりポリエーテルカーボネートポリオールの化学構造内に組み込まれる。

よって、本発明で定義されるポリエーテルカーボネートポリオールの化学構造は、ヒドロキシル末端基を有する式[−O−R−]の繰り返し単位を含み、ポリマーは、無作為に組み込まれたCO2基を有し、すなわち、これら繰り返し基のいくつかは−[O−R−O−C(O)−]であるが、他は[−O−R−]のままであり、Rはアルキレン基である。

よって、下記の構造

を有する本質的に100%のカーボネート結合を有し、ジオールと、ホスゲン又はジアルキル若しくはジフェニルカーボネートとの反応から誘導されるポリカーボネートポリオールとは対照的に、本発明の調製物において使用されるポリエーテルカーボネートポリオールは、カーボネート基をそれぞれ有する繰り返し単位を含まないが、それらの一部がCO2基を有するが他はCO2基を有しない繰り返しポリエーテルポリオ−ル単位を含む。よって、CO2基は、全てのモノマー単位には組み込まれない。

本発明の特定の実施形態では、ポリエーテルカーボネートポリオールは、末端ヒドロキシル基を含み、化学式(II)

(II) のポリマーのフラグメントを含むポリオ−ルであり、ここで、Rは、水素又はC1−C22アルキル基であり、xは1〜500の整数であり、yは2〜500の整数であり、ただし、yはxにより大きい。

別の特定の実施形態では、x及びyは、それぞれ2より大きく、好ましくは3より大きい。 別の特定の実施形態では、Rは水素又はC1−C3アルキル基である。 特に、ポリエーテルポリオ−ル構造におけるCO2の重量割合は、ポリエーテルカーボネートポリオールの全重量に基づいて、0.5〜40重量%の範囲である。 ポリエーテルカーボネートポリオールの製造は、複金属シアン化物(DMC)触媒の存在下で1種以上のH−官能性開始物質、1種以上のアルキレンオキシド、及び二酸化炭素を共重合させることを含む方法により行われる。

典型的には、2〜24個の炭素原子を有するアルキレンオキシドを使用することができる。前記アルキレンオキシドの例としては、とりわけ、任意に置換されたエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテンオキシド、ペンテンオキシド、ヘキセンオキシド、ヘプテンオキシド、オクテンオキシド、ノネンオキシド、デセンオキシド、ウンデセンオキシド、ドデセンオキシド、シクロペンテンオキシド、シクロヘキサンオキシド、シクロヘプテンオキシド、シクロオクテンオキシド、及びスチレンオキシドからなる群から選択される1種以上の化合物が挙げられる。置換されたアルキレンオキシドとは、好ましくは、C1−C6アルキル基、好ましくはメチル又はエチルで置換されたアルキレンオキシドをいう。好適なアルキレンオキシドは、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブテンオキシド、スチレンオキシド、及びそれらの混合物である。特定の実施形態では、アルキレンオキシドはプロピレンオキシドである。

用語「H−官能性開始物質」とは、例えば、アルコール、第一級若しくは第二級アミン、又はカルボン酸のようなアルコキシル化に活性なH原子を有する化合物をいう。 適切なH−官能性開始物質は、一価又は多価のアルコール、多価アミン、多価チオール、アミノアルコール、チオアルコール、ヒドロキシエステル、ポリエーテルポリオ−ル、ポリエステルポリオ−ル、ポリエステルエーテルポリオ−ル、ポリエーテルカーボネートポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリカーボネート、ポリエチレンイミン、ポリエーテルアミン、ポリテトラヒドロフラン、ポリテトラヒドロフランアミン、ポリエーテルチオール、ポリアクリレートポリオ−ル、ヒマシ油、リシノール酸のモノ−又はジ−グリセリド、脂肪酸のモノグリセリド、化学的に変性された脂肪酸のモノ−、ジ−及び/又はトリ−グリセリド、及び1分子当たり平均して少なくとも2個のヒドロキシル基を含むC1−C24アルキル脂肪酸エステルからなる群から選択される1種以上の化合物を含む。

特定の実施形態では、H−官能性開始物質はポリオ−ルとしても知られている多価アルコールでもあり、より好ましくはポリエーテルポリオ−ルであり、好ましくは数分子量100〜4,000Daを有する。より好ましくはポリエーテルポリオ−ルは、2〜8個の官能基、すなわち1分子当たり2〜8個のヒドロキシル基を有し、更に好ましくはジオール又はトリオールである。

適するポリエーテルポリオ−ルは、ポリ(オキシプロピレン)ポリオ−ル、エチレンオキシドでキャップされたポリ(オキシプロピレン)ポリオ−ル、混合したエチレンオキシド−プロピレンオキシドポリオ−ル、ブチレンオキシドポリマー、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドのブチレンオキシドコポリマー、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等を含む。最も好ましくは、ポリ(オキシプロピレン)ポリオ−ルであり、特に2〜8個のヒドロキシル基を有し、より好ましくは2,000Da未満、より好ましくは200〜1,000Da、更に好ましくは300〜800Daの数平均分子量を有するジオール及びトリオールである。

より好ましくはH−官能性開始物質として使用されるポリエーテルポリオ−ルは、酸性触媒により、すなわち、活性水素含有開始剤及び酸性触媒の存在下ででエポキシドを重合することにより合成される。適した酸性触媒の例は、BF3、SbF5、Y(CF3SO3)3のようなルイス酸、又はCF3SO3H、HBF4、HPF6、HSbF6のようなブレンステッド酸を含む。

特定の実施形態では、H−官能性開始物質は、酸性触媒により合成されるポリエーテルポリオ−ルである。好ましくはH−官能性開始物質は、酸性触媒で合成され、2,000Da未満の、好ましくは200〜1,000Daの、より好ましくは300〜800Daの数平均分子量を有するポリエステルポリオ−ルである。

本発明の調製物において使用されるポリエーテルカーボネートポリオールは、1分子当たり少なくとも2個、好ましくは2〜8個、更に好ましくは2個又は3個の官能基、すなわち、2個又は3個のヒドロキシル基を有する。よって、ポリエーテルカーボネートポリオールは、好ましくはポリエーテルカーボネートジオール又はポリエーテルカーボネートトリオールであり、更に好ましくはポリエーテルカーボネートトリオールである。この官能基は、ポリエーテルカーボネートポリオールを調製するために使用されるH−官能性出発物質の官能基と一致する。

特定の実施形態では、ポリエーテルカーボネートポリオールの当量分子量は、500Daよりも大きく、好ましくは1,000〜45,000Da、より好ましくは1,000〜15,000Daである。

好ましくは、ポリエーテルカーボネートポリオールは、ポリマーの化学構造内に無作為に共有結合で組み込まれた二酸化炭素(全ポリエーテルカーボネートポリオール鎖ともいう)を、ポリエーテルカーボネートポリオールの全重量に基づいて5〜35重量%、好ましくは5〜30重量%、更に好ましくは5〜25重量%、更に好ましくは9〜25重量%有する。

好ましい実施形態では、ポリエーテルカーボネートポリオールは、1種以上のH−官能性開始物質、1種以上のアルキレンオキシド及び二酸化炭素を複金属シアン化物触媒の存在下で共重合させることを含む工程で製造され、前記複金属シアン化物触媒は、 a)有機錯化剤及びポリエーテルポリオール配位子の存在下で、固体複金属シアン化物触媒を合成する工程、並びに b)スラリーを形成するために 水90〜100重量%及び ポリエーテルポリオール配位子0〜10重量%、 を含む水溶液で、工程a)において得られた触媒を初めに洗浄してスラリーを形成する工程 を含む方法により得られ、 前記水溶液は、ポリエーテルポリオール配位子以外の有機錯化剤を含まない。

特定の実施形態では、前記工程は、 c)工程b)で得られたスラリーから触媒を単離する工程及び d)工程c)で得られた固体触媒を 有機錯化剤90〜100重量%、及び ポリエーテルポリオール配位子0〜10重量% を含む水溶液で洗浄する工程 を更に含む。

(工程a)) この工程は、DMC触媒の合成についての先行技術において知られている方法により実行され得る。特定の実施形態では、この工程は、ポリエーテルポリオール配位子及び有機錯化剤の存在下で水溶液において水溶性金属塩(過剰)及び水溶性金属シアン化物塩の反応により実行され得る。 好ましい実施形態では水溶性金属塩及び水溶性金属シアン化物塩の水溶液を、初めに有機錯化剤の存在下で効率的に混合して反応させ、触媒スラリーを製造する。金属塩は過剰に使用される;好ましくは金属シアン化物塩に対する金属塩のモル比は、2:1〜50:1、より好ましくは10:1〜40:1である。この触媒スラリーは、複金属シアン化化合物である、金属塩及び金属シアン化物塩の反応生成物を含む。過剰の金属塩、水、及び有機錯化剤も存在し、これらは全て触媒構造中にある程度組み込まれる。別の好ましい実施形態では、水溶性金属塩を含む水溶液、及び水溶性金属シアン化物塩を含む水溶液の混合は、30〜70℃、より好ましくは40〜60℃、更に好ましくは約50℃の温度で行われる。

水溶性金属塩は、好ましくは一般式MAnを有し、ここで、 Mは、Zn(II)、Fe(II)、Ni(II)、Mn(II)、Co(II)、Sn(II)、Pb(II)、Fe(III)、Mo(IV)、Mo(VI)、Al(III)、V(V)、V(IV)、Sr(II)、W(IV)、W(VI)、Cu(II)、及びCr(III)からなる群から選択されるカチオンである。好ましくはMは、Zn(II)、Fe(II)、Ni(II)、Mn(II)及びCo(II)から選択され、 Aは、ハロゲン化物、水酸化物、硫酸塩、カーボネート、バナジン酸塩、シアン化物、シュウ酸塩、チオシアネート、イソシアネート、イソチオシアネート、カルボン酸塩及び硝酸塩からなる群から選択されるアニオンである。好ましくはAは、ハロゲン化物から選択されるアニオンであり、 nは、1、2又は3であり、Mの原子価状態を満足する。

適する金属塩の例として、これらに限定されないが、塩化亜鉛、臭化亜鉛、酢酸亜鉛、亜鉛アセトニルアセトネート、亜鉛ベンゾエート、硝酸亜鉛、硫酸鉄(II)、臭化鉄(II)、塩化コバルト(II)、コバルト(II)チオシアネート、ギ酸ニッケル(II)、硝酸ニッケル(II)等、及びそれらの混合物が挙げられる。特定の実施形態では、水溶性金属塩は、塩化亜鉛である。

水溶性金属シアン化物塩、好ましくは一般式Dx[Ey(CN)6]を有し、ここで、 Dは、アルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンであり、 Eは、Co(II)、Co(III)、Fe(II)、Fe(III)、Mn(II)、Mn(III)、Cr(II)、Cr(III)、Ni(II)、Ir(III)、Rh(III)、Ru(II)、V(IV)及びV(V)からなる群から選択されるカチオンである。好ましくはEはCo(II)、Fe(II)、Ni(II)、Co(III)及びFe(III)から選択され、 x及びyは、1以上の整数であり、x及びyの合計はシアノ基(CN)の電荷とつりあう。

適切な水溶性金属シアン化物塩は、これらに限定されないが、ヘキサシアノコバルト酸カリウム(III)、ヘキサシアノ鉄酸カリウム(II)、ヘキサシアノ鉄酸カリウム(III)、ヘキサシアノコバルト酸カルシウム(III)、ヘキサシアノコバルト酸リチウム(III)等を含む。特定の実施形態では、金属シアン化物塩はヘキサシアノコバルト酸カリウム(III)である。

有機錯化剤は、水溶性塩溶液のいずれか若しくは両方に含めることができ、又はDMC化合物の沈殿の直後に触媒スラリーに添加することができる。一般に、反応物を混合する前に、いずれかの水溶液と有機錯化剤を予備混合することが好ましい。通常、過剰量の錯化剤が使用される。典型的には、金属シアン化物塩に対する錯化剤のモル比は、10:1〜100:1、好ましくは10:1〜50:1、より好ましくは20:1〜40:1である。

一般的に、錯化剤は、水に比較的溶解性でなければらない。適する有機錯化剤は、当該技術分野において、例えば、米国特許第5,158,922号明細書において一般的に知られている。好ましい有機錯化剤は、複金属シアン化化合物と錯体を形成できる水溶性ヘテロ原子含有有機化合物である。本発明によれば、有機錯化剤は、ポリエーテルポリオ−ルではない。より好ましくは有機錯化剤は、一価アルコール、アルデヒド、ケトン、エーテル、エステル、アミド、尿素、ニトリル、硫化物、及びそれらの混合物から選択される水溶性ヘテロ原子含有化合物である。好ましい有機錯化剤は、水溶性脂肪族アルコール、好ましくはエタノール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、iso−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール及びtert−ブチルアルコールからなる群から選択されるC1−C6脂肪族アルコールである。Tert−ブチルアルコール(TBA)は、特に好ましい。

好ましくは、水溶性金属塩及び金属シアン化物塩の溶液(又はそれらのDMC反応生成物)は、有機錯化剤と効率的に混合される。効率的な混合を達成するために、撹拌機が都合よく使用される。 この反応で得られる複金属シアン化物化合物の例として、例えば、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛(III)、ヘキサシアノ鉄酸亜鉛(III)、ヘキサシアノ鉄酸ニッケル(II)、ヘキサシアノコバルト酸コバルト(III)等が挙げられる。ヘキサシアノコバルト酸亜鉛(III)が好ましい。

有機錯化剤の存在下で水溶液の混合後に製造される触媒スラリーは、次いで、ポリエーテルポリオール配位子と組み合わされる。この工程は、好ましくは触媒スラリー及びポリエーテルポリオ−ルの効率的な混合が行われるように、撹拌機を用いて実行される。 この混合は、好ましくは30〜70℃、より好ましくは40〜60℃、更に好ましくは約50℃の温度で実行される。

適するポリエーテルポリオ−ルは、環状エーテルの開環重合により製造されるものを含み、エポキシドポリマー、オキセタンポリマー、テトラヒドロフランポリマー等を含む。任意の触媒の方法が、ポリエーテルを作製するために用いられ得る。ポリエーテルは、例えば、ヒドロキシル、アミン、エステル、エーテル等を含む任意の所望の末端基を有することができる。好ましいポリエーテルは、平均約2個〜約8個のヒドロキシル官能基を有するポリエーテルポリオ−ルである。その上、好ましくは2,000Da未満、より好ましくは200〜1,000Da、更に好ましくは300〜800Daの数平均分子量を有するポリエステルポリオ−ルである。これらは通常、活性水素−含有開始剤及び塩基性、酸性又は有機金属の触媒(DMC触媒を含む)の存在下で、エポキシドを重合することにより製造される。

有用なポリエーテルポリオ−ルは、ポリ(オキシプロピレン)ポリオ−ル、エチレンオキシドでキャップされたポリ(オキシプロピレン)ポリオ−ル、混合したエチレンオキシド−プロピレンオキシドポリオ−ル、ブチレンオキシドポリマー、エチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシドとのブチレンオキシドコポリマー、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等を含む。最も好ましくは、ポリ(オキシプロピレン)ポリオ−ル、特に2,000Da未満、より好ましくは200〜1,000Da、更に好ましくは300〜800Daの数平均分子量を有するジオール及びトリオールである。

より好ましくは、DMC触媒の製造で使用されるポリエーテルポリオ−ルは、酸性触媒により、すなわち、活性水素−含有開始剤及び酸性触媒の存在下で、エポキシドを重合することにより合成される。適する酸性触媒の例は、BF3、SbF5、Y(CF3SO3)3のようなルイス酸、又はCF3SO3H、HBF4、HPF6、HSbF6のようなブレンステッド酸を含む。 特定の実施形態では、ポリエーテルポリオール配位子は、数平均分子量200〜1,000Da、好ましくは300〜800Daを有し、塩基触媒で得られるポリ(オキシプロピレン)ポリオ−ルである。

別の実施形態において、ポリエーテルポリオール配位子は、数平均分子量200〜1,000Da、好ましくは300〜800Daを有し、酸性触媒で得られるポリ(オキシプロピレン)ポリオ−ルである。

DMC触媒の製造において酸性触媒により得られるポリエーテルポリオ−ルを使用することが好ましい。ポリエーテルポリオ−ルを複金属シアン化化合物と組み合わせると、ポリエーテルポリオ−ル−含有固体触媒は、触媒スラリーから単離される。これは、濾過、遠心分離などの任意の便利な手段により達成される。

特定の実施形態では、 複金属シアン化物合物30〜80重量%、 水1〜10重量%、 有機錯化剤1〜30重量%、及び ポリエーテルポリオール配位子1〜30重量% を含む固体DMC触媒を与えるために、十分な反応物は使用される。 好ましくは有機錯化剤及びポリエーテルポリオ−ルの全重量は、触媒の全重量に対して5〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%、更に好ましくは15〜40重量%である。

<工程b)> 単離されたポリエーテルポリオ−ル−含有固体触媒を、初めに水90〜100重量%及びポリエーテルポリオ−ル0〜10重量%を含む水溶液で洗浄する。この水溶液には、上記のような有機錯化剤は存在しない。単離された固体DMC触媒が工程a)で得られる場合、この第一の洗浄工程の前に他の洗浄工程は実行されない。 工程b)において使用されたポリエーテルポリオ−ルは、工程a)について上で定義したものである。 水溶液における成分の重量%は、水溶液の全重量に基づく。

好ましくは、工程b)での水溶液におけるポリエーテルポリオール配位子の量は、水溶液の全重量に対して5重量%未満である。更なる特定の実施形態によれば、工程b)での水溶液におけるポリエーテルポリオール配位子の量は、溶液の全重量に対して4重量%未満、好ましくは3重量%未満である。更なる実施形態によれば、工程b)での水溶液におけるポリエーテルポリオール配位子の量は、溶液の全重量に対して0.05〜10重量%、好ましくは0.1〜2重量%、より好ましくは0.3〜1.8重量%である。更なる特定の実施形態において、工程b)での水溶液におけるポリエーテルポリオール配位子の量は、0重量%である。

工程b)において、水及びポリエーテルポリオール配位子を、工程a)で得られた触媒と同時に又は連続的に接触させることができる。すなわち、工程a)で得られた触媒と接触させ(「同時に接触させる」)、又は工程a)で得られた触媒は、まず個々の成分(水又はポリエーテルポリオール配位子)の一つと接触させ、次いで得られた混合物を他の個々の成分と接触させたとき(「連続的に接触させる」)、工程b)の水溶液は、水及びポリエーテルポリオール配位子の両方を既に含むことができる。特定の実施形態では、水及びポリエーテルポリオール配位子は、工程a)で得られる触媒と連続的に接触させる。

好ましい実施形態では、工程a)で得られる触媒を、初めに水と接触させ、次いで水溶液の全重量に対して好ましくは0.1〜5重量%、より好ましくは0.1〜3重量%のポリエーテルポリオール配位子と接触させる。 この洗浄工程は、一般的に触媒を水溶液中で再スラリー化し、次いで任意の都合のよい手段、例えば、濾過を用いて触媒単離工程を行うことにより達成される。 工程a)及び/又はd)における過剰量の有機錯化剤と組み合わせて、洗浄工程b)において水溶液を使用することも特に有利である。

<工程d)> 簡単な洗浄工程で十分であるが、2回以上触媒を洗浄することが好ましい。好ましい実施形態では、その後の洗浄は非水性であり、前の洗浄工程で使用された有機錯化剤における又は有機錯化剤及びポリエステルの混合物における複金属シアン化物触媒の再スラリーを含む。より好ましくは複金属シアン化物触媒を、有機錯化剤90〜100重量%及びポリエステルポリオ−ル0〜10重量%を含む溶液を用いて洗浄する。 工程d)で使用されるポリエーテルポリオ−ルは、工程a)について上で定義したものである。 溶液における成分の重量%は、溶液の全重量に基づく。

好ましくは、工程d)での溶液におけるポリエーテルポリオ−ルの量は、溶液の全重量に対して5重量%未満である。更なる特定の実施形態によれば、ポリエーテルポリオール配位子の量は、溶液の全重量に対して4重量%未満、好ましくは3重量%未満である。更なる実施形態によれば、工程d)におけるポリエーテルポリオ−ルの量は、溶液の全重量に対して0.05〜5重量%、好ましくは0.1〜2重量%、より好ましくは0.3〜1.8重量%である。

有機錯化剤は、好ましくはtert−ブチルアルコールである。ポリエーテルポリオ−ルは、好ましくはポリ(オキシプロピレン)ポリオ−ル、より好ましくは数平均分子量2,000Da未満、より好ましくは200〜1,000Da又は300〜800Daを有する、ポリ(オキシプロピレン)ポリオ−ルである。特定の実施形態では、ポリエーテルポリオ−ルは、酸性触媒により合成される。

典型的には、金属シアン化物塩に対する錯化剤のモル比は、10:1〜200:1、好ましくは20:1〜150:1であり、より好ましくは50:1〜150:1である。

工程d)において、有機錯化剤及びポリエーテルポリオ−ルは、工程c)において固体触媒と同時に又は連続的に接触させることができる。特定の実施形態では、それらを工程c)で得られた固体触媒と連続的に接触させる。好ましくは、工程c)で得られた触媒を、まず有機錯化剤と接触させ、次いでポリエーテルポリオ−ルと接触させる。

触媒を洗浄した後、触媒が一定重量に達するまで真空下で乾燥させることが通常好ましい。触媒は、約50℃〜120℃、より好ましくは60℃〜110℃、更に好ましくは90℃〜110℃の範囲内の温度で乾燥され得る。乾燥した触媒を粉砕して、本発明の共重合工程において使用に適した粉末形態の高活性触媒を得ることができる。

特定の実施形態では、複金属シアン化化合物はヘキサシアノコバルト酸亜鉛(III)であり、有機錯化剤はtert−ブチルアルコールであり、ポリエーテルポリオ−ルはポリ(オキシプロピレン)ポリオ−ルであり、好ましくはポリ(オキシプロピレン)ポリオ−ル、より好ましくは2,000Da未満、より好ましくは200〜1,000Da又は300〜800Daの数平均分子量を有するポリ(オキシプロピレン)ポリオ−ルである。特定の実施形態では、ポリエーテルポリオ−ルは、酸性触媒により合成される。

特定の実施形態では、上記工程で得られ得る触媒は、 少なくとも1種の複金属シアン化化合物、 少なくとも1種の有機錯化剤、及び 2,000Da未満の数平均分子量を有する少なくとも1種のポリエーテルポリオール配位子 を含むことでも特徴付けられる。

特定の実施形態では、複金属シアン化化合物は、ヘキサシアノコバルト酸亜鉛(III)であり、有機錯化剤はtert−ブチルアルコールであり、ポリエーテルポリオールは2,000Da未満の数平均分子量を有するポリエーテルポリオ−ルである。最も好ましくはポリエーテルポリオ−ルは、ポリ(オキシプロピレン)ポリオ−ル、特に200〜1,000Da、より好ましくは300〜800Daの数平均分子量を有するジオール又はトリオールである。

特定の実施形態では、有機錯化剤はtert−ブチルアルコールであり、ポリエーテルポリオ−ルは酸性触媒で合成される。好ましくは有機錯化剤はtert−ブチルアルコールであり、ポリエーテルポリオ−ルは2,000Da未満、好ましくは200〜1,000Da、より好ましくは300〜800Daの数平均分子量を有し、酸性触媒により合成される。 別の実施形態では、有機錯化剤はtert−ブチルアルコールであり、ポリエーテルポリオ−ルは塩基性触媒で合成される。好ましくは有機錯化剤はtert−ブチルアルコールであり、ポリエーテルポリオ−ルは、2,000Da未満、好ましくは200〜1,000Da、より好ましくは300〜800Daの数平均分子量を有し、塩基性触媒で合成される。

特定の実施形態では、上記工程で得られ得る複金属シアン化物触媒は、 複金属シアン化物化合物30〜80重量%、 水1〜10重量%、 有機錯化剤1〜30重量%、及び ポリエーテルポリオール配位子1〜30重量% を含む。 好ましくは、有機錯化剤及びポリエーテルポリオ−ルの全重量は、触媒の全重量に対して5〜60重量%、より好ましくは10〜50重量%、更に好ましくは15〜40重量%である。

特定の実施形態では、本発明の調製物は、 a)17,000Da以上の重量平均分子量を有するポリアルキレンカーボネート55〜95重量%、 b)CO2含有量がポリエーテルカーボネートポリオールの全重量に基づいて0.5〜40重量%の範囲であり、その化学構造に無作為に組み込んだCO2基を有するポリエーテルカーボネートポリオール5〜45重量%、及び c)任意に粘着付与樹脂30重量%未満 を含み(該調製物の成分a)、b)及びc)の前記重量%は、調製物の全重量に基づく)、 ただし、前記調製物は網状化剤を含まない。

この特定の実施形態では、ポリアルキレンカーボネートは、ポリプロピレンカーボネート、ポリエチレンカーボネート、及びそれらの混合物から選択される。より好ましくはポリアルキレンカーボネートは、ポリプロピレンカーボネート又はポリエチレンカーボネートである。

好ましい実施形態では、本発明の調製物は、 a)17,000以上の重量平均分子量を有するポリアルキレンカーボネート75〜95重量%、 b)CO2含有量がポリエーテルカーボネートポリオールの全重量に基づいて0,5〜40重量%の範囲であり、その化学構造に無作為に組み込まれたCO2基を有するポリエーテルカーボネートポリオール5〜25重量%、及び c)任意に粘着付与樹脂10重量%未満 を含み(該調製物の成分a)、b)及びc)の前記重量%は調製物の全重量に基づく)、 ただし、前記調製物は網状化剤を含まない。

この特定の実施形態において、ポリアルキレンカーボネートは、ポリプロピレンカーボネート、ポリエチレンカーボネート及びそれらの混合物から選択される。より好ましくはポリアルキレンカーボネートは、ポリプロピレンカーボネート又はポリエチレンカーボネートである。

別の好ましい実施形態では、本発明の調製物は、 a)17,000Da以上の重量平均分子量を有するポリアルキレンカーボネート75〜95重量%、 b)CO2含有量がポリエーテルカーボネートポリオールの全重量に基づいて0.5〜40重量%の範囲であり、その化学構造に無作為に組み込まれたCO2基を有するポリエーテルカーボネートポリオール5〜25重量%、 を含み(該調製物の成分a)、b)、及びc)の該重量%は、調製物の全重量に基づく)、 ただし、前記調製物は網状化剤を含まない。

この特定の実施形態において、ポリアルキレンカーボネートは、ポリプロピレンカーボネート、ポリエチレンカーボネート及びそれらの混合物から選択される。より好ましくはポリアルキレンカーボネートは、ポリプロピレンカーボネート又はポリエチレンカーボネートである。 成分a)及びb)の改善された混和性は、粘着付与樹脂又は網状化剤を必要とせずに、調製物を感圧接着剤として使用するために必要な粘着性を提供する。

<粘着付与樹脂> 粘着付与樹脂は、調製物の全重量に基づいて0〜30重量%、より好ましくは15重量%以下、更に好ましくは10重量%以下の割合で、本発明の調製物に任意に組み込まれ得る。 特定の実施形態では、本発明の調製物は粘着付与樹脂を含まない。

粘着付与樹脂という用語は、当該技術分野において十分に認識されており、接着剤調製物に粘着性を付与する物質を含む。 調製物の他の成分と適合する樹脂が好ましく、特に低い酸価、好ましくは5未満、より好ましくは1未満、及び反応性が低いものが好ましい。適切な樹脂の例は、ロジン樹脂、炭化水素樹脂、テルペン樹脂、及びそれらの誘導体を含む。

特定の実施形態では、粘着付与樹脂は、ロジン樹脂(コロホニー樹脂としても知られている)、ロジンエステル樹脂、完全若しくは部分的な水素化ロジン樹脂、完全若しくは部分的水素化ロジンエステル樹脂、不均衡ロジン樹脂、不均衡ロジンエステル樹脂;芳香族、脂肪族若しくはシクロ脂肪族の炭化水素樹脂又はそれらの誘導体;完全若しくは部分的な水素化芳香族、脂肪族又はシクロ脂肪族の炭化水素樹脂;テルペン樹脂、テルペンポリマー及びコポリマー、テルペンフェノール樹脂及びそれらの水素化誘導体から選択される。

好ましい実施形態では、粘着付与樹脂は、ロジン樹脂又はそれらの誘導体である。好ましくは粘着付与樹脂は、ロジン樹脂、完全若しくは部分的な水素化ロジン樹脂、不均衡ロジン樹脂、ロジンエステル樹脂、完全若しくは部分的な水素化ロジンエステル樹脂及び不均衡ロジンエステル樹脂から選択される。更に好ましくは粘着付与樹脂は、水素化ロジン樹脂のグリセロールエステルのような水素化ロジンエステル樹脂である。 別の好ましい実施形態では、粘着付与樹脂は、上で定義したロジン樹脂又はそれらの誘導体と、炭化水素樹脂又はそれらの誘導体との混合物である。

本発明の第2の態様は、均一な混合物が得られるまで、ポリアルキレンカーボネート、ポリエーテルカーボネートポリオール、及び任意に粘着付与樹脂の混合を含む、本発明の調製物の製造方法を示す。特に、成分を、均一な混合物を得るために要する間、所定の重量割合で混合する。 本発明の調製物の成分は、Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,2版,14巻,Polymer Blends chapter,9貢において記載されている方法のような、当該技術分野における通常の方法に従って混合される。当業者に周知の手順は、ローラー混合により又は押出機若しくはニーダー等で配合することにより、混合された成分の溶液を組み合わせる工程を含む。

一実施形態では、ポリアルキレンカーボネート、ポリエーテルカーボネートポリオール及び、任意に粘着付与樹脂を、均一な混合物を得るために要する間、ポリマーを溶解するために十分な温度、例えば、20°C〜250°C、典型的には100°C〜200°Cで、混合機又はHaakeチャンバーのようなチャンバーで混合する。

本発明の別の実施形態では、本発明の調製物の成分を、適した溶媒中で混合する。全ての成分が溶解することのできる任意の溶媒が適切であり、揮発性である溶媒が好ましい(例えば、THF、ジクロロメタン、又はアセトン)。混合が終了した後、溶媒を除去し、混合物を得る。

特定の実施形態では、ポリアルキレンカーボネートを、混合物の全重量に対して40%〜95重量%、より好ましくは55〜95重量%、更に好ましくは75〜95重量%の割合で混合物に添加する。

好ましい実施形態では、ポリアルキレンカーボネートは、ポリプロピレンカーボネート、ポリエチレンカーボネート、及びそれらの混合物から選択される。より好ましくはポリアルキレンカーボネートは、ポリプロピレンカーボネート又はポリエチレンカーボネートである。

別の好ましい実施形態では、ポリエーテルカーボネートポリオールを、混合物の全重量に対して5〜60重量%、より好ましくは5〜45重量%、更に好ましくは5〜25重量%の割合で混合物に添加する。

本発明の調製物の成分は、ポリプロピレンカーボネート、及びCO2含有量を有しないポリエーテルポリオ−ル、ポリオールエステル又はポリカーボネートポリオールのような他のポリオ−ルを含む調製物と比較した場合に、改善された混和性及び熱安定性を示す。 上述したように、成分の改善された混和性は、粘着付与樹脂又は網状化剤を必要とせずに、感圧接着剤として使用するために調製物に要求される粘着性を付与する。

更に、ポリプロピレンカーボネートへのポリエーテルカーボネートポリオールの組み込みは、比較的低い分解温度を有するポリプロピレンカーボネートの熱安定性を向上させる。驚くべきことに、この安定性の向上は、CO2含有量がないポリエーテルポリオ−ル、ポリオ−ルエステル、又はポリカーボネートポリオールのような他のポリオールをポリアルキレンカーボネートと混合する場合に比べ、顕著に高い。 更に、混合物における全CO2の含有量は、その後の持続可能性が向上することで増加する。 更に、得られた混合物は、切断した後に室温での簡単な接触で自己治癒するために自己修復特性を有する材料を提供する。

本発明の更なる態様は、上で述べたように調製物を含む感圧接着剤を示す。よって、本発明は、 a)17,000Da以上の重量平均分子量を有するポリアルキレンカーボネート40〜95重量%、 b)CO2含有量がポリエーテルカーボネートポリオールの全重量に基づいて0.5〜40重量%の範囲であり、その化学構造に無作為に組み込まれたCO2基を有するポリエーテルカーボネートポリオール5〜60重量%、及び c)任意の粘着付与樹脂30重量%未満 を含む(該調製物の成分a)、b)及c)の前記重量%は、調製物の全重量に基づく)調製物を含む感圧接着剤も提供する。 ただし、該調製物は網状化剤を含まない。

本発明の感圧接着剤は、基材表面上に容易に押し出し、又は塗布することができ、前記表面上に含浸し、多孔質の表面にわずかに浸透し、基材への接着のための良好な基礎を提供するための粘着性粘性液である。よって、本発明の感圧接着剤は、ブラシ又は押出ノズルにより容易に塗布することができ、基材に強く接着した粘着性の粘着層に自動的に変換され、基材表面に堆積された層を提供できる。

適する感圧接着剤を、可塑剤を必要とせずに本発明の調製物を用いて得ることができるが、前記接着剤は接着及び/又は加工並びにサービス特性、例えば、粘度及び柔軟性を改善するために可塑剤を含んでもよい。

従って、別の特定の実施形態では、本発明の感圧接着剤は、接着調製物の全重量に基づいて0.1〜5重量%の少なくとも1種の可塑剤を更に含む。好ましくは、当該感圧接着剤は、0.5〜5重量%、より好ましくは1〜5重量%の少なくとも1種の可塑剤を含む。

そのような可塑剤は、水を含まず、接着剤組成物の成分と適合しなければならない。特定の実施形態では、少なくとも1種の可塑剤は、薬用ホワイトオイル、鉱油、植物油若しくは動物油、アジペート、セバケート、フタレート、シトレート、ベンゾエート、メリテート、及び芳香族スルホネートのような脂肪族又は芳香族のカルボン酸アルキルエステル、アルコール、ポリエーテルポリオ−ル及びポリエステルポリオ−ルを含むグリコール又はポリオ−ル、並びにそれらの混合物から選択される。 可塑剤は、所望のレオロジー特性、特に粘度又は可撓性を提供し、系中に存在し得る任意の触媒を分散させるのに十分な量で組成物に添加される。

上記の成分に加えて、慣用の助剤及び/又は添加剤を接着剤調製物に添加することもできる。

特定の実施形態では、感圧接着剤は、1種以上の更なる添加剤を接着剤調製物の全重量に基づいて0〜5重量%含む。より具体的には、感圧接着剤は、1種以上の更なる添加剤を0.01〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%、より好ましくは0.05〜2重量%、更に好ましくは0.05〜0.5重量%を含む。 このような添加剤は、これらに限定されないが、酸化防止剤、潤滑剤、安定剤、着色剤、難燃剤、無機及び/又は有機フィラー並びに補強剤を含むことができる。

特定の実施形態では、本発明の感圧接着剤は、少なくとも1種の酸化防止剤を接着剤調製物の全重量に基づいて0〜5重量%含む。より好ましくは感圧接着剤は、少なくとも1種の酸化防止剤を0.01〜5重量%、好ましくは0.01〜3重量%、より好ましくは0.05〜2重量%、更に好ましくは0.05〜0.5重量%含む。 実施形態において、少なくとも1種の酸化防止剤は、立体障害性フェノール、亜リン酸塩及びそれらの混合物から選択される。好ましくは少なくとも1種の酸化防止剤は、立体障害性フェノール及び亜リン酸塩の混合物である。 立体障害性フェノールは、当該技術分野において周知であり、そのフェノール性ヒドロキシル基のすぐ近くにtert−ブチルのような立体的に嵩高い基を含むフェノール性化合物をいう。特に、立体障害性フェノールは、フェノール性ヒドロキシル基に対してオルト位の少なくとも1つにtert−ブチル基で置換されたフェノール性化合物により特徴付けられ得る。特定の実施形態では、立体障害性フェノールは、ヒドロキシル基に対して両オルト位にtert−ブチル基を有する。代表的な障害性ヒンダードフェノールは、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、n−オクタデシル−3(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、4,4’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−o−クレゾール)、6−(4−ヒドロキシフェノキシ)−2,4−ビス(n−オクチルチオ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチル−フェノキシ)−1,3,5−トリアジン、ジ−n−オクタデシル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホネート、2−(n−オクチルチオ)エチル−3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート、及びソルビトールヘキサ−(3,3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−フェニル)プロピオネートを含む。

特定の実施形態では、亜リン酸塩は、芳香族置換亜リン酸塩、好ましくは置換又は非置換のトリフェニル亜リン酸塩である。これらの亜リン酸塩の例は、トリフェニル亜リン酸塩、トリスノニルフェニル亜リン酸塩、及びトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−亜リン酸塩が挙げられる。

特定の実施形態では、本発明の感圧接着剤は、立体障害性フェノール、芳香族置換亜リン酸塩及びそれらの混合物から選択される少なくとも1種の酸化防止剤を0.05〜0.5重量%含む。一実施形態において、酸化防止剤は、立体障害性フェノール及び芳香族置換亜リン酸塩の混合物、例えば、ペンタエリスリトールテトラキス(3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート)及びトリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−亜リン酸塩の混合物である。

潤滑剤として、感圧接着剤を柔らかくするため又は加工性向上のために、その粘度を低減するために非反応性液体を使用し得る。潤滑剤の例として、脂肪酸エステル及び/又は脂肪酸アミドが挙げられる。

安定剤は、酸化安定剤、加水分解安定剤及び/又はUV安定剤を含んでもよい。加水分解安定剤の例は、オリゴマーの及び/又はポリマーの脂肪族若しくは芳香族のカルボジイイミドを含む。UV安定剤として、ヒドロキシベンゾトリアゾール、亜鉛ジブチルチオカルバメート、2,6−ジtert−ブチルカテコール、ヒドロキシベンゾフェノン、障害性アミン及び亜リン酸塩を、PSA調製物の光安定性を向上させるために使用することができる。着色顔料を、この目的で使用してもよい。

本発明の感圧接着剤は、1種以上の適する着色剤を更に含んでもよい。典型的な無機着色剤は、これらに限定されないが、二酸化チタン、酸化鉄、及び酸化クロムを含む。有機顔料は、アゾ/ジアゾ顔料、フタロシアニン及びジオキサジン、並びにカーボンブラックを含んでもよい。

本発明の感圧接着剤調製物は、燃焼性を低減するために1種以上の適する難燃剤を更に含んでもよい。難燃剤の選択は、しばしば調製物の意図されたサービス用途及びその用途を規制する付随の可燃性試験シナリオに依存する。そのような難燃剤の例として、塩素化リン酸エステル、塩素化パラフィン、及びメラミン粉末が挙げられる。

本発明の感圧接着剤調製物の任意の添加剤は、フィラーを含む。このようなフィラーは、当業者に周知であり、これらに限定されないが、カーボンブラック、二酸化チタン、カルシウムカーボネート、表面処理シリカ、二酸化チタン、ヒュームシリカ、タルク、アルミニウム三水和物等を含む。特定の実施形態において、強化用フィラーは、組成物の強度を増加させるため及び/又は組成物にチクソトロピー性を付与するために十分な量で使用される。

本発明の接着剤調製物に使用される他の任意の添加剤は、適する粘土を含む。適する粘土は、これらに限定されないが、カオリン、表面処理カオリン、焼成カオリン、ケイ酸アルミニウム及び表面処理無水ケイ酸アルミニウムを含む。粘土は任意の形態で使用され得る。好ましくは、粘土は、粉砕粉末、噴霧乾燥ビーズ又は粉砕粒子の形態である。

本発明の接着剤調製物は、任意の添加剤として更にワックスを含んでもよい。有用なワックスは、例えば、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス及びマクロクリスタリンワックス、フィッシャー−トロプシュワックス、酸化フィッシャー−トロプシュワックス、Mwが3,000未満であるポリエチレン及びポリエチレンの副生成物、プロピレンワックス、並びにヒドロキシステアラミドワックス及び脂肪アミドワックスのような機能性ワックスを含む。均質ワックスともいう限定幾何(例えば、メタロセン)触媒を使用して製造される超低分子量エチレン/アルファ−オレフィンインターポリマーも適している。添加するワックスの量は、調製物の接着性に悪影響を及ぼすことなく粘度が所望の範囲に低下するように算出される。

本発明の感圧接着剤を、様々な基材に薄いコーティングとして塗布することができる。適切な厚さ、好ましくは0.05〜0.3mmの基材表面上に層を付与するための接着剤組成物の塗布後すぐに、良好な接触接着性を有する柔軟な弾性を有する塊を形成する。特に、接着剤は3ヶ月を超えて高い水準で粘着性を示し、熱などの他の誘因を適用することなく、この期間中に層に配置された基材への軽い圧力の簡単な適用により、良好な品質の結合を作製することができる。実験部分で示すように、本発明の感圧接着剤は、良好な接着性及び剥離強度を示す結合を提供する良好な感圧特徴を有することが見出された。

本発明の特定の実施形態では、本発明の感圧接着剤は、ホットメルト感圧接着剤である。この接着剤は、固化せず硬い材料を形成するが、永続的に粘着性を維持し、接触時に基材に含浸する能力を有する。結合は、接着剤と基材とを接触させ、圧力を印加することにより形成される。

本発明の感圧接着剤は、従来の方法、例えば、接着剤調製物の成分の混合により製造することができる。前記成分は、混合機又はHaakeチャンバーのようなチャンバーでポリマーを十分に溶融するための温度、例えば、20°C〜250°C、典型的には100°C〜200°Cで、均質な混合物を得るのに必要な間、混合することができる。もしあれば、異なる添加剤を、ポリアルキレンカーボネート、ポリエーテルカーボネートポリオール及び任意に粘着付与樹脂を混合する前又は後、添加することができる。 この工程は、押出機において実行され得る。

感圧接着剤は、溶液中の全ての成分の混合物を用いて、例えば、クロロホルムのような溶媒から溶液キャスティング、それに続く50℃〜100℃の温度で、真空下、一定の重量まで乾燥によりフィルムの形態で得られる。

本発明の別の態様は、基材に結合する感圧接着剤の使用に関する。好ましくは接着剤は、基材表面から再度取り外せる。よって、好ましくは接着剤は、2つの基材を可逆的に結合するためにも使用される。

接着剤を、様々な基材を結合させるために使用してもよい。これらの基材は、可撓性であっても剛性であってもよい。特定の実施形態では、結合する基材の一方は、薄く可撓性であり、好ましくはフィルム、多層フィルム、紙、アルミニウム、又は紙からの多層構成、アルミニウム及びポリマーフィルムの形態である。

本発明の感圧接着剤は、ガラス、金属、セラミック、木材、コート紙若しくは非コート紙、紙ボードパッケージ、並びにポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリアミド(PA)、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)及びポリスチレン(PS)のようなプラスチック等の基材を結合するために使用され得る。フィルム、多層フィルム又は紙のような薄く可撓性の基材を、固体基材に接着することができる。

本発明の接着剤組成物は、好ましくはプラスチック基材、特にポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル、ポリエチレンテレフタレート、ポリアミド、ポリエチレンナフタレート又はセロファン製の基材を結合させるために使用される。

特定の実施形態では、本発明の接着剤は、2つの可撓性基材の可逆的な結合に使用される。本発明は、本発明の感圧接着剤を含む、結合された、好ましくは可逆的に結合された基材を更に提供する。

一実施形態において、本発明の接着剤は、食品用、医薬品用、化粧品用、並びに工業用途のふた、トレイ、容器、パウチ、フローパック又はブリスター等のパッケージ又はパッケージの部品の製造に使用される。特定の実施形態では、本発明の接着剤は、食品製品についての再封可能なパッケージ又は再封可能なパッケージの部品の製造に使用される。

再封可能なパッケージは、多層フィルム構造が溶着した容器(例えば、トレイ)を一般的に含む。この多層フィルムは、溶着層(一般的にポリエチレン又はポリプロピレン製)、接着層及び上層(一般的にバリアを形成するPE、PET、PA、OPA、OPP等製)、これらの層間に任意に有するバインダー層を含み、3又は5層フィルムをそれぞれ生じる。 従って、別の態様では、本発明は、本発明の接着剤を含む多層フィルムに関する。

これらの多層フィルム構造は、当業者に周知の従来手段により得られる。 本発明の別の態様は、先に定義した基材に結合するための多層フィルムの使用に関する。 別の態様では、本発明は、感圧接着剤又は多層フィルムを含む再封可能なパッケージ、又は再封可能なパッケージの部品に関する。 特定の実施形態では、再封可能なパッケージ又は再封可能なパッケージの部品は、トレイ、容器、バッグ、パウチ、ふた、及びブリスターから選択される。

本発明の感圧接着剤は、自己接着性シーリング組成物、絶縁材料等の製造にも使用することができる。接着剤から製造されたパネルのような成形品は、それらの表面で接触接着剤であるが、成形品の残りは、固体で弾性である。

上述したように、本発明の調製物は、損傷が起こるとすぐにその固有の環境において、それ自体を修復する能力を有する。このような損傷は、例えば、切断、材料の表面又は内部での破損である。よって、前記調製物は、損傷の伝播を防止又は停止し、修復された材料の寿命を延ばすことができる。前記材料は、前記自己治癒調製物により既に作製されてもよいし、又は前記自己修復調製物が添加された材料であってもよい。

本発明の調製物の自己治癒能力に起因して、該調製物は、屋根、壁、床、家用途等の、結合材料、自己治癒弾性材料、自己治癒ポリウレタンフォーム、自己治癒結合部、接着剤、内面、被覆のために、及び一般には、耐荷重構造の損傷耐性を改善するために使用され得る。

本発明の調製物を使用する構造は、関連する損傷機構/状態の関数としての材料の鎖移動度の変化から治癒応答を生じさせることができる。よって、本発明の調製物は、航空機、及び空港宇宙用途並びに他の圧力負荷タイプの構造に適用される。

本発明の調製物に関する他の潜在的な用途としては、これらに限定されないが、保護ライナー、放射線遮蔽、燃料タンクライナー、水圧用封止、燃料ライン及び電線断熱材料の囲い込みが挙げられる。

以下の実施例は、本発明を説明するに過ぎない。当業者は本発明の機能を変更することなく実施することができる多くの変形例を認識するであろう。

<実施例1 感圧接着剤の製造> ポリアルキレンカーボネート(PAC)、ポリエーテルカーボネートポリオール及び粘着付与樹脂(もしあれば)を含む異なる接着剤調製物を、以下に詳述する手順に従って製造した。 異なる試料を調製するために使用されるポリアルキレンカーボネート(PAC)、及びポリプロピレンカーボネート(PPC)又はポリエチレンカーボネート(PEC)は、以下の性質を有する。

PPC1及びPEC1は、Empower MaterialsによりQPAC40及びQPAC25として供給され、PPC2及びPPC3は、Angew.Chem.Int.,2003,42,5484−5487;Angew.Chem.Int.,2004,43,6618−6639;Macromolecules,2010,43,7398−7401に記載された手順に従って調製された実験材料であった。

ガラス転移温度(Tg)は、以下の手順に従って、示差走査熱量計(DSC)実験における第2加熱から得た。非等温(10℃/分 −85〜200℃)実験は、DSC TA Instruments Q2000を用いて、窒素流下で冷却器内で操作することで行った。温度及び熱流較正は、標準としてインジウムを用いて行った。 異なる試料を調製するために使用されるポリエーテルカーボネートポリオール(POPC)は、以下の性質を有する。

これらポリエーテルカーボネートポリオールは、例えば、国際公開第2015/022290号に記載された手順に従って得ることができる。

ポリアルキレンカーボネート及びポリエーテルカーボネートポリオールの重量平均分子量(Mw)及び多分散指数(Mw/Mn)を、偏向RI検出器を備えたBruker 3800を用いてPEG標準に対してゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により決定した。流速1mL/分でテトラヒドロフランを溶離剤として室温で使用した。 比較目的のために、他のポリオ−ル、例えば、CO2の含有量のないポリエーテルポリオ−ル、ポリエステルポリオ−ル、並びにポリカーボネートジオールを用い比較組成物を調製した。

比較化合物3として使用されるポリカーボネートジオールは、各モノマー単位においてカーボネート基を有することを特徴とする。

得られたポリエーテルカーボネートポリオール中に組み込まれたCO2のモル量を1H−NMR(Bruker AV III HD 500,500MHz,パルスプログラムzg30,待機時間d1:1s,120スキャン)により決定した。試料を重水素化クロロホルムに溶解した。1H−NMR(TMS=0ppmに基づく)における関連する共鳴は、以下の通りである:環状カーボネート=1.50ppm(3H);ポリエーテルカーボネートポリオール=1.35〜1.25ppm(3H);ポリエーテルポリオ−ル:1.25〜1.05ppm(3H)。

相対強度を考慮して、反応混合物におけるポリマー結合カーボネート(鎖状カーボネート,LC)を下記式(I)に従ってモル%に変換した: LC=F(1.35−1.25)×100/(F(1.50)+F(1.35−1.25)+F(1.25−1.05)) (I) ここで、 F(1.50):環状カーボネートの1.50 ppmでの共鳴領域(3H原子に対応する); F(1.35−1.25):ポリエーテルカーボネートポリオールの1.35−1.25ppmでの共鳴領域(3H原子に対応する); F(1.25−1.05):ポリエーテルポリオ−ルの1.25−1.05ppmでの共鳴領域(3H原子に対応する) である。

反応混合物におけるポリマー結合カーボネート(LC*)の重量(重量%)を式(II)に従い計算した: LC*=F(1.35−1.25)×102×100/N (II) ここで、N(「分母」N)値を式(III)に従って計算した: N=F(1.35−1.25)×102+F(1.50)×102+F(1.25−1.05)×58 (III) 因子102は、CO2(モル質量44g/mol)及びプロピレンオキシド(モル質量58g/mol)のモル質量との和から生じ、一方、因子58は、使用されたアルキレンオキシドに従い、いずれの場合にも調整されるべきプロピレンオキシドのモル質量から生じる。

CO2の重量(重量%)は、式(IV)に従い計算された: ポリマーにおける%CO2=LCp×44/102 (IV) ここで、LCp値は式(V)に従い計算された: LCp=F(1.35−1.25)×102×100/Np (V) ここで、Np値は、式(VI)に従って計算された: Np=F(1.35−1.25)×102+F(1.25−1.05)×58 (VI)

因子102は、CO2(モル質量44g/mol)及びプロピレンオキシド(モル質量58g/mol)のモル質量の和から生じ、因子58は、使用されたアルキレンオキシドに従い、いずれの場合にも調整しなければならないプロピレンオキシドのモル質量から生じる。

粘着付与樹脂は、名称Foralyn90(Eastman)で市販されているものであった。

感圧接着剤は、下記の表4に列挙された量でポリアルキレンカーボネート、ポリエーテルカーボネートポリオール、及び粘着付与樹脂(含む場合)を混合することにより調製した。 特に、試料1〜6は、クロロホルムからの溶液キャスティングにより調製した、すなわち、ポリプロピレンカーボネート、ポリエーテルカーボネートポリオール、及び含む場合、粘着付与樹脂をクロロホルム中で混合し、80℃で真空下、一定の重量になるまで乾燥させてフィルムを得た。

試料7〜12は、ポリプロピレンカーボネート及びポリエーテルカーボネートポリオールをHaakeチャンバー内で、溶融した均一混合物が得られるまで、典型的には、約170℃の温度及び50rpmで少なくとも8分間混合して得られた。 混合物を得た後、得られた混合物の約2gを180℃に加熱された鋼板(7x7x0.01cm)上に堆積させて試料を調製し、次いで、平滑な表面上で冷却して均一なフィルム厚さにした。

比較目的のために、商品名Post it(登録商標)で上市されている3Mにより供給される市販の感圧接着剤、及びポリプロピレンカーボネート(PPC1)及び: ポリエーテルポリオ−ル(CO2の含有量を有しない)、 ポリオ−ルエステル、又は ポリカーボネートジオール(各モノマー単位においてカーボネート基を有する) を含む試料を、以下に記載するように同じ条件で試験した。Post it(登録商標)は、最も周知の市販の封止可能な感圧接着剤である比較例として選択された。

ポリプロピレンカーボネート(PPC1)及び:(i)ポリエーテルポリオ−ル、(ii)ポリオ−ルエステル又は(iii)ポリカーボネートジオールを含む比較試料は、試料7〜12と同じ条件で、すなわち、溶融した均一な混合物が得られるまで、ポリプロピレンカーボネート及びポリオ−ルを、Haakeチャンバー内で、特に約170℃の温度及び50rpmで少なくとも8分間混合することにより調製した。

<実施例2 安定性及び接着性の測定> (熱重量測定) Mettler TGA装置を熱重量測定に使用した。非等温実験は、温度範囲30〜700℃、昇温速度5℃/分、窒素雰囲気下で実施した。TGA値を、熱重量分析曲線(DTG)の最初の最大値から取る。

(粘着性測定) 熱間粘着度テクスチャー測定のために、TA.XT2iテクスチャーアナライザー(Stable Microsystems,Surrey,England)を使用した。各試料は、アルミニウムで覆われ断熱されたチャンバー内に設置され、温度は外部熱電対により制御することができる。 粘着性(タックともいう)の測定は23℃〜100℃の異なる温度で実施され、該温度は試料と接触して配置された熱電対により決定される。

滑らかな接触点を有する円筒状のステンレス鋼ロッド(直径3mm)を使用して、接着剤から分離するのに必要な剥離力を測定した。試験の実験条件は以下の通りである −前記ロッドの試料への接近速度:0.1mm/s −試料に印加される力:5N −力を印加する時間:1s −試料からの前記ロッドの分離速度:1mm/s。

<キャンバス試験からの剥離> T−剥離歪みの下での接着性をキャンバス−ホットメルト−キャンバス接着結合で試験した。キャンバスは、一般にホットメルト接着剤で結合された段ボール及びエッジブックと同様のテクスチャーを有する多孔質材料である。 キャンバスとの接着接合については、キャンバスの非塗装面を使用して、表面処理を施さずに30×150mmプローブを使用した。

スプレッダー(Brookfiled Thermosel装置により温度を制御した)を用いて、結合される2つのプローブのうちの1つの表面に接着剤を180℃で塗布した。その後、0.88MPaの圧力を10秒間かけてプローブを結合させた。前記圧力は、油圧プレスにより印加した。 接着結合を行った1時間後に、ユニバーサル試験機Instron4411(Instron Espana and Portugal,Cerdanyola,Barcelona,Spain)を用いて、剥離速度10mm/分でT−剥離試験を実施した。分離した表面の破損のタイプを視覚的に判定した。

<せん断接着試験> 接着剤調製物の接着性を評価するために、せん断接着試験を実施した。そのために、アルミニウム−ホットメルト−アルミニウム接着結合を作製した。接着結合を実施する前に、たわし(Scotch Brite(登録商標))を用いて結合される金属表面を引っ掻くことからなる機械的摩擦により処理して前記表面の粗さを改善し、イソプロパノールで洗浄して表面汚染物質を除去し、その溶媒を少なくとも30分間蒸発させた。

表面処理を実施した後、結合されるアルミニウムプローブの1つに180℃で接着剤の液滴を塗布し、次いで、もう一方のアルミニウムプローブを上に配置し、その結合に2kgの重りを10秒間加えた(圧力65.3KPa)。接着剤が塗布される温度は、Brookfield Thermosel装置を用いて制御した。結合は、室温で1時間冷却した。 その後、せん断接着試験を、ユニバーサル試験機Instron8516(Instron,Buckinghamshire,England)を用いて、10mm/分のクランプ変位速度で実施した。 表5に示す結果は、5回の試験の平均に相当し、分離した表面の破損のタイプを視覚的に決定した。 表5は異なる試料の接着性の実験データを示す。

実験結果からわかるように、本発明の組成物は、市販の感圧接着剤又はCO2の含有量なしのポリエステルポリオ−ルを有する混合物に比べた場合に、前記調製物中の粘着付与樹脂が添加されていない又はわずかな前記樹脂が使用されている場合でさえも改善された接着性を有する感圧接着剤を提供する。 更に、図1から導き出せるように、ポリエーテルカーボネートポリオールをポリアルキレンカーボネートに組み込むことにより、分解温度が比較的低いポリアルキレンカーボネートの熱安定性も改善される。 混合物表面へのポリアルキレンカーボネートとポリオ−ルエステル又はポリカーボネートポリオールとを含む混合物に比べて改善された接着性が得られ、より高い分解温度が観察されるため改善された熱安定性も得られる(表6参照)。更に、ポリオールエステル及びポリカーボネートジオールの混合物表面への移動が観察され、その成分の非相溶性を証明する油状の外観を有する混合物を与える。

<実施例3 引張強度試験> 実施例1の手順に従って調製した試料11のフィルムを、引張強度測定を実施するために、ISO37タイプ2規格による寸法を有するダンベル型試験片の形態で切断した。いくつかの試験片を、初期の試料として機械的に試験した。残りの部分はカッターで半分に切断した後(図2参照)、簡単な接触で15秒間修復し、異なる時間(24時間及び96時間)にわたり、平坦な表面上に放置して試験した。 Instronを用いて、湿度50%及び温度20℃で引張強度試験を実施し、応力−歪み曲線をモニターした。Instronインターフェースタイプは、シリーズ42/43/4400であった。

簡単に説明すると、ダンベル形状の試験片を50mm/分の伸び率で引き伸ばし、試験片が破損するまで応力(MPa)及び歪み(mm)の値を測定した。それらの結果を図3に示す。 観察されたように、修復試料は、96時間後に初期の試料と非常によく似た引っ張り強さを示し、それが破損するまで試料の大幅な伸びを可能にした。これは本発明の調製物に対する極めて顕著な結果といえる。

<実施例4 修復過程の測定> 実施例1の手順に従って調製された試料11のフィルムをISO 37タイプ2規格に従った寸法を有するダンベル形状の試験片の形態で切断した。試験片の一方の端部をカッターで切断した。2つの分離した部分を接触させ、次いで、応力をかけずに室温で3時間、8時間及び24時間放置した。治癒過程を視覚的にモニターした。 図4からわかるように、切断は、3時間後にすでに治癒していた。更に、24時間後、材料を断裂させることなく手動で引き伸ばすことができた。

QQ群二维码
意见反馈