加熱接合用シート、及び、ダイシングテープ付き加熱接合用シート |
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申请号 | JP2015204211 | 申请日 | 2015-10-16 | 公开(公告)号 | JP2016121329A | 公开(公告)日 | 2016-07-07 |
申请人 | 日東電工株式会社; | 发明人 | 菅生 悠樹; 鎌倉 菜穂; 石坂 剛; 襖田 光昭; | ||||
摘要 | 【課題】 ダイアタッチ時のはみ出しやチップ表面への這い上がりが抑制され、且つ、高温環境においても高い信頼性、熱特性が得られる加熱接合用シートを提供すること。 【解決手段】 引張弾性率が10〜3000MPaであり、金属微粒子を60〜98重量%の範囲内で含み、大気雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で、23℃から400℃まで昇温を行った後のエネルギー分散型X線分析により得られる炭素濃度が15重量%以下である加熱接合用シート。 【選択図】 図1 | ||||||
权利要求 | 下記引張試験方法により得られる引張弾性率が10〜3000MPaであり、 金属微粒子を60〜98重量%の範囲内で含み、 大気雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で、23℃から400℃まで昇温を行った後のエネルギー分散型X線分析により得られる炭素濃度が15重量%以下であることを特徴とする加熱接合用シート。 引張試験方法: (1)試験試料として、厚さ200μm、幅10mm、長さ40mmの加熱接合用シートを準備し、 (2)チャック間距離10mm、引張速度50mm/分、23℃の条件で引張試験を行い、 (3)得られた応力−ひずみ線図の直線部分の傾きを引張弾性率とする。大気雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で、23℃から500℃まで示差熱分析を行った際のピークが150〜350℃に存在することを特徴とする請求項1に記載の加熱接合用シート。アクリル樹脂、及び、ポリカーボネート樹脂のうち少なくとも一種を含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の加熱接合用シート。前記金属微粒子が、銀、銅、酸化銀、酸化銅からなる群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1に記載の加熱接合用シート。23℃での厚さが、5〜100μmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1に記載の加熱接合用シート。ダイシングテープと、 前記ダイシングテープ上に積層された請求項1〜5のいずれか1に記載の加熱接合用シートとを有することを特徴とするダイシングテープ付き加熱接合用シート。 |
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说明书全文 | 本発明は、加熱接合用シート、及び、ダイシングテープ付き加熱接合用シートに関する。 半導体装置の製造において半導体素子を金属リードフレームなどの被着体に接着する方法(いわゆるダイボンディング法)は、従来の金−シリコン共晶に始まり、半田、樹脂ペーストによる方法に推移してきた。現在では、導電性の樹脂ペーストを使用することがある。 しかしながら、樹脂ペーストを用いる方法では、ボイドにより導電性が低下したり、樹脂ペーストの厚さが不均一であったり、樹脂ペーストのはみ出しによりパッドが汚染されるという問題があった。これらの問題を解決するために、樹脂ペーストに代えて、ポリイミド樹脂を含有するフィルム状接着剤を用いる場合がある(例えば、特許文献1参照)。 アクリル樹脂を含むフィルム状接着剤も知られている。例えば、特許文献2には、ガラス転移温度−10℃〜50℃のアクリル酸共重合体を使用することにより、可とう性を高め、リードフレーム等の熱損傷を低減する技術が記載されている。 一方、近年、電力の制御や供給を行うパワー半導体装置の普及が顕著となっている。パワー半導体装置には常に電流が流れるため、発熱量が大きい。それゆえ、パワー半導体装置に使用される導電性の接着剤は、高い放熱性と低い電気抵抗率を持つことが望ましい。 パワー半導体装置には、低損失で高速動作が求められる。従来、パワー半導体装置にはIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)やMOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)などのSiを用いた半導体が用いられていた。近年では、SiCやGaNなどの半導体を用いたものが開発され、今後拡大するものと予想されている。 SiCやGaNを用いた半導体は、バンドギャップが大きい、絶縁破壊電界が高いなどの特徴があり、低損失、高速動作、高温動作が可能となる。高温動作は、熱環境が厳しい自動車や小型電力変換機器等においてメリットなる。熱環境が厳しい用途の半導体装置は、250℃前後の高温動作が想定されており、従来の接合・接着材料であるはんだや導電性接着剤では、熱特性、信頼性に問題が生じる。そこで、従来、焼結金属粒子含有のペースト材が提案されている(例えば、特許文献3参照)。焼結金属粒子含有ペースト材には、ナノ・マイクロサイズの金属粒子を含み、これら金属粒子がナノサイズ効果で通常の融点よりも低い温度で融解し、粒子間の焼結が進行する。焼結による接合のため、250℃環境においても高い信頼性が得られ、かつ高い熱特性が得られる。 特開平6−145639号公報 特許4137827号公報 特開2014−111800号公報 特開2013−39580号公報
しかしながら、焼結金属粒子含有のペースト材は、ペースト状態であるため、半導体チップのダイアタッチ時にはみ出しや、チップ表面への這い上がりが発生することがある。そのため、傾きが発生し、半導体装置製造の歩留り低下や性能のバラツキを引き起こす場合がある。特に、高い電圧がかかる場合には、チップが傾くと接合の距離が不均一になりデバイスの特性が悪くなる。なお、特許文献4には、加熱接合用シート体が開示されているが、この加熱接合用シート体は高粘度の加熱接合用材料をプレスしてシート形状としたものであり、加熱接合時のはみ出しやチップ表面への這い上がりの懸念は解消されない。 本発明は前記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、ダイアタッチ時のはみ出しやチップ表面への這い上がりが抑制され、且つ、高温環境においても高い信頼性、熱特性が得られる加熱接合用シート、及び、当該加熱接合用シートを有するダイシングテープ付き加熱接合用シートを提供することにある。 本願発明者等は、前記従来の問題点を解決すべく、加熱接合用シート、及び、当該加熱接合用シートを有するダイシングテープ付き加熱接合用シートについて検討した。その結果、下記の構成を採用することにより、ダイアタッチ時のはみ出しやチップ表面への這い上がりが抑制され、且つ、高温環境においても高い信頼性、熱特性が得られることを見出し、本発明を完成させるに至った。 すなわち、本発明に係る加熱接合用シートは、 下記引張試験方法により得られる引張弾性率が10〜3000MPaであり、 金属微粒子を60〜98重量%の範囲内で含み、 大気雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で、23℃から400℃まで昇温を行った後のエネルギー分散型X線分析により得られる炭素濃度が15重量%以下であることを特徴とする。 引張試験方法: (1)試験試料として、厚さ200μm、幅10mm、長さ40mmの加熱接合用シートを準備し、 (2)チャック間距離10mm、引張速度50mm/分、23℃の条件で引張試験を行い、 (3)得られた応力−ひずみ線図の直線部分の傾きを引張弾性率とする。 前記構成によれば、上記引張試験方法により得られる引張弾性率が10MPa以上であるため、ダイアタッチ時に加熱接合用シートの構成材料がはみ出したり、チップ表面へ這い上がったりすることを抑制できる。また、前記引張弾性率が3000MPa以下であるため、例えば、ダイシング時に半導体ウエハを固定することができる。 また、金属微粒子を60〜98重量%の範囲内で含むため、金属微粒子を焼結、又は、溶融させて2つの物(例えば、半導体チップとリードフレーム)を接合させることができる。 また、大気雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で、23℃から400℃まで昇温を行った後のエネルギー分散型X線分析により得られる炭素濃度が15重量%以下であるため、400℃まで昇温を行った後は、有機物がほとんど存在しない。その結果、加熱接合工程後は、耐熱性に優れ、高温環境においても高い信頼性、熱特性が得られる。 前記構成においては、大気雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で、23℃から500℃まで示差熱分析を行った際のピークが150〜350℃に存在することが好ましい。 前記ピークが150〜350℃に存在すると、有機物(例えば、加熱接合用シートを構成する樹脂成分)がこの温度領域で熱分解しているといえる。その結果、加熱接合工程後の耐熱性により優れる。 前記構成においては、アクリル樹脂、及び、ポリカーボネート樹脂のうち少なくとも一種を含むことが好ましい。 アクリル樹脂、及び、ポリカーボネート樹脂のうち少なくとも一種を含むと、加熱接合工程前は、よりシート形状を維持し易い。また、加熱接合工程時にはより熱分解させ易い。 前記構成においては、前記金属微粒子が、銀、銅、酸化銀、酸化銅からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。 前記金属微粒子が、銀、銅、酸化銀、酸化銅からなる群より選ばれる少なくとも1種であると、より好適に加熱接合することができる。 前記構成において、23℃での厚さが、5〜100μmであることが好ましい。 23℃での厚さが、5μm以上であると、はみ出しをより抑制できる。一方、100μm以下であると、加熱接合時の傾き発生をより抑制できる。 また、本発明に係るダイシングテープ付き加熱接合用シートは、 ダイシングテープと、 前記ダイシングテープ上に積層された前記加熱接合用シートとを有することを特徴とする。 前記ダイシングテープ付き加熱接合用シートによれば、ダイシングテープと一体型であるため、ダイシングテープと貼り合わせる工程を省略することができる。また、前記加熱接合用シートを備えるため、加熱接合時のはみ出しやチップ表面への這い上がりが抑制される。 また、金属微粒子を焼結、又は、溶融させて2つの物(例えば、半導体チップとリードフレーム)を接合させることができる。 また、大気雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で、23℃から400℃まで昇温を行った後のエネルギー分散型X線分析により得られる炭素濃度が15重量%以下であるため、400℃まで昇温を行った後は、有機物がほとんど存在しない。その結果、加熱接合工程後は、耐熱性に優れ、高温環境においても高い信頼性、熱特性が得られる。 本発明の一実施形態に係るダイシングテープ付き加熱接合用シートを示す断面模式図である。 本発明の他の実施形態に係るダイシングテープ付き加熱接合用シートを示す断面模式図である。 本実施形態に係る半導体装置の一製造方法を説明するための断面模式図である。
(ダイシングテープ付き加熱接合用シート) 本発明の一実施形態に係る加熱接合用シート(以下、「加熱接合用シート」ともいう)、及び、ダイシングテープ付き加熱接合用シートについて、以下に説明する。本実施形態に係る加熱接合用シートは、以下に説明するダイシングテープ付き加熱接合用シートにおいて、ダイシングテープが貼り合わせられていない状態のものを挙げることができる。従って、以下では、ダイシングテープ付き加熱接合用シートについて説明し、加熱接合用シートについては、その中で説明することとする。図1は、本発明の一実施形態に係るダイシングテープ付き加熱接合用シートを示す断面模式図である。図2は、本発明の他の実施形態に係る他のダイシングテープ付き加熱接合用シートを示す断面模式図である。 図1に示すように、ダイシングテープ付き加熱接合用シート10は、ダイシングテープ11上に加熱接合用シート3が積層された構成を有する。ダイシングテープ11は基材1上に粘着剤層2を積層して構成されており、加熱接合用シート3はその粘着剤層2上に設けられている。また本発明は、図2に示すダイシングテープ付き加熱接合用シート12のように、ワーク貼り付け部分にのみ加熱接合用シート3’を形成した構成であってもよい。 (加熱接合用シート) 加熱接合用シート3、3’は、下記引張試験方法により得られる引張弾性率が10MPa〜3000MPaであり、12MPa〜2900MPaであることが好ましく、15MPa〜2500MPaであることがより好ましい。 引張試験方法: (1)試験試料として、厚さ200μm、幅10mm、長さ40mmの加熱接合用シート(引張試験用加熱接合用シート)を準備し、 (2)チャック間距離10mm、引張速度50mm/分、23℃の条件で引張試験を行い、 (3)得られた応力−ひずみ線図の直線部分の傾きを引張弾性率とする。 加熱接合用シート3、3’は、上記引張試験方法により得られる引張弾性率が10MPa以上であるため、ダイアタッチ時に加熱接合用シートの構成材料がはみ出したり、チップ表面へ這い上がったりすることを抑制できる。また、前記引張弾性率が3000MPa以下であるため、例えば、ダイシング時に半導体ウエハを固定することができる。 加熱接合用シート3、3’は、加熱接合用シート全体に対して金属微粒子を60〜98重量%の範囲内で含む。前記金属微粒子の含有量は、65〜97重量%の範囲内であることが好ましく、70〜95重量%の範囲内であることがより好ましい。前記金属微粒子を60〜98重量%の範囲内で含むため、金属微粒子を焼結、又は、溶融させて2つの物(例えば、半導体チップとリードフレーム)を接合させることができる。 前記金属微粒子としては、焼結性金属粒子を挙げることができる。 前記焼結性金属粒子としては、金属微粒子の凝集体を好適に使用できる。金属微粒子としては、金属からなる微粒子などが挙げられる。前記金属としては、金、銀、銅、酸化銀、酸化銅などが挙げられる。なかでも、銀、銅、酸化銀、酸化銅からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。前記金属微粒子が、銀、銅、酸化銀、酸化銅からなる群より選ばれる少なくとも1種であると、より好適に加熱接合することができる。 前記焼結性金属粒子の平均粒径は、好ましくは0.0005μm以上、より好ましくは0.001μm以上である。また、0.005μm以上、0.01μm以上であってもよい。平均粒径の下限として、0.01μm、0.05μm、0.1μmも例示できる。さらに、0.5μm、1μmも例示できる。一方、焼結性金属粒子の平均粒径は、好ましくは30μm以下、より好ましくは25μm以下である。平均粒径の上限として、20μm、15μm、10μm、5μmも例示できる。 前記焼結性金属粒子の平均粒径は、次の方法で測定する。すなわち、前記焼結性金属粒子をSEM(走査型電子顕微鏡)にて観察し、平均粒子径を計測する。なお、SEM観察は、例えば、焼結性金属粒子がマイクロサイズの場合、5000倍で観察し、サブミクロンサイズの場合、50000倍観察で観察し、ナノサイズの場合、300000倍で観察するのが好ましい。 前記焼結性金属粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、棒状、鱗片状、不定形である。 加熱接合用シート3、3’は、大気雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で、23℃から400℃まで昇温を行った後のエネルギー分散型X線分析により得られる炭素濃度が15重量%以下であり、12重量%以下であることが好ましく、10重量%以下であることがより好ましい。前記炭素濃度が15重量%以下であるため、加熱接合用シート3、3’は、400℃まで昇温を行った後には有機物がほとんど存在しない。その結果、加熱接合工程後は、耐熱性に優れ、高温環境においても高い信頼性、熱特性が得られる。 加熱接合用シート3、3’は、大気雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で、23℃から500℃まで示差熱分析を行った際のピークが150〜350℃に存在することが好ましく、170〜320℃に存在することがより好ましく、180〜310℃に存在することがさらに好ましい。前記ピークが150〜350℃に存在すると、有機物(例えば、加熱接合用シートを構成する樹脂成分)がこの温度領域で熱分解しているといえる。その結果、加熱接合工程後の耐熱性により優れる。 加熱接合用シート3、3’は、熱分解性バインダーを含有することが好ましい。熱分解性バインダーを含有すると、加熱接合工程前は、シート形状を維持し易い。また、加熱接合工程時に熱分解させ易い。 本明細書において「熱分解性バインダー」とは、加熱接合工程において熱分解させることが可能なバインダーをいう。前記熱分解性バインダーは、加熱接合工程後には、加熱接合用シートにほとんど残存しないことが好ましい。前記熱分解性バインダーとしては、例えば、加熱接合用シートに含有させたとしても、大気雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で、23℃から400℃まで昇温を行った後のエネルギー分散型X線分析により得られる炭素濃度が15重量%以下となるような材料が挙げられる。例えば、熱分解性バインダーとして、より熱分解させ易い材料を採用すれば、比較的含有量を多くしても、加熱接合工程後に、加熱接合用シートにほとんど残存させないようにすることができる。 前記熱分解性バインダーとしては、常温(23℃)で固形の材料が好ましい。前記熱分解性バインダーが、常温(23℃)で固形の材料であると、常温にて加熱接合用シートをフィルム状に形成しやすくなり、ハンドリング性が向上する。 前記熱分解性バインダーとしては、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂を挙げることができる。 前記アクリル樹脂としては、加熱接合工程において熱分解させることが可能な範囲において、炭素数30以下、特に炭素数4〜18の直鎖若しくは分岐のアルキル基を有するアクリル酸又はメタクリル酸のエステルの1種又は2種以上を成分とする重合体(アクリル共重合体)などが挙げられる。前記アルキル基としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、イソブチル基、アミル基、イソアミル基、ヘキシル基、へプチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、イソオクチル基、ノニル基、イソノニル基、デシル基、イソデシル基、ウンデシル基、ラウリル基、トリデシル基、テトラデシル基、ステアリル基、オクタデシル基、又はドデシル基などが挙げられる。 また、重合体(アクリル共重合体)を形成する他のモノマーとしては、特に限定されるものではなく、例えばアクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチルアクリレート、カルボキシペンチルアクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸若しくはクロトン酸などの様なカルボキシル基含有モノマー、無水マレイン酸若しくは無水イタコン酸などの様な酸無水物モノマー、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル若しくは(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)−メチルアクリレートなどの様なヒドロキシル基含有モノマー、スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート若しくは(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸などの様なスルホン酸基含有モノマー、又は2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェートなどの様な燐酸基含有モノマーが挙げられる。 アクリル樹脂のなかでも、重量平均分子量が1万〜100万のものがより好ましく、3万〜70万のものがさらに好ましい。上記数値範囲内であると、加熱接合工程前の接着性、及び、加熱接合工程時における熱分解性に優れるからである。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値である。 また、アクリル樹脂のなかでも、200℃〜400℃で熱分解するアクリル樹脂が好ましい。 前記ポリカーボネート樹脂としては、加熱接合工程において熱分解させることが可能なものであれば、特に限定されないが、主鎖の炭酸エステル基(−O−CO−O−)間に芳香族化合物(例えば、ベンゼン環など)を含まず、脂肪族鎖からなる脂肪族ポリカーボネートや、主鎖の炭酸エステル基(−O−CO−O−)間に芳香族化合物を含む芳香族ポリカーボネートを挙げることができる。なかでも、脂肪族ポリカーボネートか好ましい。 前記脂肪族ポリカーボネートとしては、ポリエチレンカーボネート、ポリプロピレンカーボネート等が挙げられる。なかでもシート形成のためのワニス作製における有機溶剤への溶解性の観点から、ポリプロピレンカーボネートが好ましい。 前記芳香族ポリカーボネートとしては、主鎖にビスフェノールA構造を含むもの等が挙げられる。 前記ポリカーボネート樹脂の重量平均分子量は、10,000〜1,000,000の範囲内であることが好適である。なお、重量平均分子量は、GPC(ゲル・パーミエーション・クロマトグラフィー)により測定し、ポリスチレン換算により算出された値である。 なお、加熱接合用シート3、3’には、前記成分以外にも、例えば、可塑剤などを適宜含有してよい。 加熱接合用シート3、3’は、通常の方法で製造できる。例えば、前記各成分を含有するワニスを作製し、ワニスを基材セパレータ上に所定厚みとなる様に塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜を乾燥させることで、加熱接合用シート3、3’を製造できる。 ワニスに用いる溶媒としては特に限定されないが、前記各成分を均一に溶解、混練又は分散できる有機溶剤やアルコール溶剤が好ましい。前記有機溶剤としては、例えば、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノンなどのケトン系溶媒、トルエン、キシレンなどが挙げられる。また、前記アルコール溶剤としては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、グリセリン、オクタンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、テルピネオールが挙げられる。 塗布方法は特に限定されない。溶剤塗工の方法としては、例えば、ダイコーター、グラビアコーター、ロールコーター、リバースコーター、コンマコーター、パイプドクターコーター、スクリーン印刷などが挙げられる。なかでも、塗布厚みの均一性が高いという点から、ダイコーターが好ましい。また、塗布膜の乾燥条件は特に限定されず、例えば、乾燥温度70〜160℃、乾燥時間1〜5分間で行うことができる。なお、塗布膜を乾燥させた後であっても溶剤の種類によって、溶剤の全部が気化せずに塗膜中に残る場合がある。 基材セパレータとしては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレン、ポリプロピレンや、フッ素系剥離剤、長鎖アルキルアクリレート系剥離剤などの剥離剤により表面コートされたプラスチックフィルムや紙などが使用可能である。 加熱接合用シート3、3’の製造方法としては、例えば、前記各成分をミキサーにて混合し、得られた混合物をプレス成形して加熱接合用シート3、3’を製造する方法なども好適である。ミキサーとしてはプラネタリーミキサーなどが挙げられる。 加熱接合用シート3、3’は、加熱前における23℃での厚さが、5〜100μmであることが好ましく、10〜80μmであることがよ好ましい。23℃での厚さが、5μm以上であると、はみだしをより抑制できる。一方、100μm以下であると、加熱接合時の傾き発生をより抑制できる。 (ダイシングテープ) ダイシングテープ11は基材1上に粘着剤層2を積層して構成されている。 基材1は、ダイシングテープ付き加熱接合用シート10、12の強度母体となるものであり、紫外線透過性を有するものが好ましい。基材1としては、例えば、低密度ポリエチレン、直鎖状ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、ランダム共重合ポリプロピレン、ブロック共重合ポリプロピレン、ホモポリプロレン、ポリブテン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、アイオノマー樹脂、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル(ランダム、交互)共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、ポリウレタン、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリアミド、全芳香族ポリアミド、ポリフェニルスルフイド、アラミド(紙)、ガラス、ガラスクロス、フッ素樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、セルロース系樹脂、シリコーン樹脂、金属(箔)、紙等が挙げられる。 また基材1の材料としては、前記樹脂の架橋体等のポリマーが挙げられる。前記プラスチックフィルムは、無延伸で用いてもよく、必要に応じて一軸又は二軸の延伸処理を施したものを用いてもよい。延伸処理等により熱収縮性を付与した樹脂シートによれば、ダイシング後にその基材1を熱収縮させることにより粘着剤層2と加熱接合用シート3、3’との接着面積を低下させて、半導体チップの回収の容易化を図ることができる。 基材1の表面は、隣接する層との密着性、保持性等を高めるため、慣用の表面処理、例えば、クロム酸処理、オゾン暴露、火炎暴露、高圧電撃暴露、イオン化放射線処理等の化学的又は物理的処理、下塗剤(例えば、後述する粘着物質)によるコーティング処理を施すことができる。 基材1の厚さは、特に制限されず適宜に決定できるが、一般的には5〜200μm程度である。 粘着剤層2の形成に用いる粘着剤としては特に制限されず、例えば、アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の一般的な感圧性接着剤を用いることができる。前記感圧性接着剤としては、半導体ウェハやガラス等の汚染をきらう電子部品の超純水やアルコール等の有機溶剤による清浄洗浄性等の点から、アクリル系ポリマーをベースポリマーとするアクリル系粘着剤が好ましい。 前記アクリル系ポリマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル、プロピルエステル、イソプロピルエステル、ブチルエステル、イソブチルエステル、s−ブチルエステル、t−ブチルエステル、ペンチルエステル、イソペンチルエステル、ヘキシルエステル、ヘプチルエステル、オクチルエステル、2−エチルヘキシルエステル、イソオクチルエステル、ノニルエステル、デシルエステル、イソデシルエステル、ウンデシルエステル、ドデシルエステル、トリデシルエステル、テトラデシルエステル、ヘキサデシルエステル、オクタデシルエステル、エイコシルエステル等のアルキル基の炭素数1〜30、特に炭素数4〜18の直鎖状又は分岐鎖状のアルキルエステル等)及び(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル(例えば、シクロペンチルエステル、シクロヘキシルエステル等)の1種又は2種以上を単量体成分として用いたアクリル系ポリマー等が挙げられる。なお、(メタ)アクリル酸エステルとはアクリル酸エステル及び/又はメタクリル酸エステルをいい、本発明の(メタ)とは全て同様の意味である。 前記アクリル系ポリマーは、凝集力、耐熱性等の改質を目的として、必要に応じ、前記(メタ)アクリル酸アルキルエステル又はシクロアルキルエステルと共重合可能な他のモノマー成分に対応する単位を含んでいてもよい。この様なモノマー成分として、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、クロトン酸等のカルボキシル基含有モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物モノマー;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸4−ヒドロキシブチル、(メタ)アクリル酸6−ヒドロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸8−ヒドロキシオクチル、(メタ)アクリル酸10−ヒドロキシデシル、(メタ)アクリル酸12−ヒドロキシラウリル、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシル基含有モノマー;スチレンスルホン酸、アリルスルホン酸、2−(メタ)アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、(メタ)アクリルアミドプロパンスルホン酸、スルホプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロイルオキシナフタレンスルホン酸等のスルホン酸基含有モノマー;2−ヒドロキシエチルアクリロイルホスフェート等のリン酸基含有モノマー;アクリルアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これら共重合可能なモノマー成分は、1種又は2種以上使用できる。これら共重合可能なモノマーの使用量は、全モノマー成分の40重量%以下が好ましい。 さらに、前記アクリル系ポリマーは、架橋させるため、多官能性モノマー等も、必要に応じて共重合用モノマー成分として含むことができる。この様な多官能性モノマーとして、例えば、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。これらの多官能性モノマーも1種又は2種以上用いることができる。多官能性モノマーの使用量は、粘着特性等の点から、全モノマー成分の30重量%以下が好ましい。 前記アクリル系ポリマーは、単一モノマー又は2種以上のモノマー混合物を重合に付すことにより得られる。重合は、溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合等の何れの方式で行うこともできる。清浄な被着体への汚染防止等の点から、低分子量物質の含有量が小さいのが好ましい。この点から、アクリル系ポリマーの数平均分子量は、好ましくは10万以上、さらに好ましくは20万〜300万程度であり、特に好ましくは30万〜100万程度である。 また、前記粘着剤には、ベースポリマーであるアクリル系ポリマー等の数平均分子量を高めるため、外部架橋剤を適宜に採用することもできる。外部架橋方法の具体的手段としては、ポリイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、メラミン系架橋剤等のいわゆる架橋剤を添加し反応させる方法が挙げられる。外部架橋剤を使用する場合、その使用量は、架橋すべきベースポリマーとのバランスにより、さらには、粘着剤としての使用用途によって適宜決定される。一般的には、前記ベースポリマー100重量部に対して、5重量部程度以下、さらには0.1〜5重量部配合するのが好ましい。さらに、粘着剤には、必要により、前記成分のほかに、従来公知の各種の粘着付与剤、老化防止剤等の添加剤を用いてもよい。 粘着剤層2は放射線硬化型粘着剤により形成することができる。放射線硬化型粘着剤は、紫外線等の放射線の照射により架橋度を増大させてその粘着力を容易に低下させることができ、図2に示す粘着剤層2のワーク貼り付け部分に対応する部分2aのみを放射線照射することにより他の部分2bとの粘着力の差を設けることができる。 また、図2に示す加熱接合用シート3’に合わせて放射線硬化型の粘着剤層2を硬化させることにより、粘着力が著しく低下した前記部分2aを容易に形成できる。硬化し、粘着力の低下した前記部分2aに加熱接合用シート3’が貼付けられるため、粘着剤層2の前記部分2aと加熱接合用シート3’との界面は、ピックアップ時に容易に剥がれる性質を有する。一方、放射線を照射していない部分は十分な粘着力を有しており、前記部分2bを形成する。なお、粘着剤層への放射線の照射は、ダイシング後であってかつピックアップ前に行ってもよい。 前述の通り、図1に示すダイシングテープ付き加熱接合用シート10の粘着剤層2において、未硬化の放射線硬化型粘着剤により形成されている前記部分2bは加熱接合用シート3と粘着し、ダイシングする際の保持力を確保できる。この様に放射線硬化型粘着剤は、チップ状ワーク(半導体チップ等)を基板等の被着体に固着するための加熱接合用シート3を、接着・剥離のバランスよく支持することができる。図2に示すダイシングテープ付き加熱接合用シート11の粘着剤層2においては、前記部分2bがウェハリングを固定することができる。 放射線硬化型粘着剤は、炭素−炭素二重結合等の放射線硬化性の官能基を有し、かつ粘着性を示すものを特に制限なく使用することができる。放射線硬化型粘着剤としては、例えば、前記アクリル系粘着剤、ゴム系粘着剤等の一般的な感圧性粘着剤に、放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合した添加型の放射線硬化型粘着剤を例示できる。 配合する放射線硬化性のモノマー成分としては、例えば、ウレタンオリゴマー、ウレタン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリストールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリストールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また放射線硬化性のオリゴマー成分はウレタン系、ポリエーテル系、ポリエステル系、ポリカーボネート系、ポリブタジエン系等種々のオリゴマーがあげられ、その分子量が100〜30000程度の範囲のものが適当である。放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分の配合量は、前記粘着剤層の種類に応じて、粘着剤層の粘着力を低下できる量を、適宜に決定することができる。一般的には、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば5〜500重量部、好ましくは40〜150重量部程度である。 また、放射線硬化型粘着剤としては、前記説明した添加型の放射線硬化型粘着剤のほかに、ベースポリマーとして、炭素−炭素二重結合をポリマー側鎖又は主鎖中もしくは主鎖末端に有するものを用いた内在型の放射線硬化型粘着剤が挙げられる。内在型の放射線硬化型粘着剤は、低分子成分であるオリゴマー成分等を含有する必要がなく、又は多くは含まないため、経時的にオリゴマー成分等が粘着剤中を移動することなく、安定した層構造の粘着剤層を形成することができるため好ましい。 前記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマーは、炭素−炭素二重結合を有し、かつ粘着性を有するものを特に制限なく使用できる。この様なベースポリマーとしては、アクリル系ポリマーを基本骨格とするものが好ましい。アクリル系ポリマーの基本骨格としては、前記例示したアクリル系ポリマーが挙げられる。 前記アクリル系ポリマーへの炭素−炭素二重結合の導入法は特に制限されず、様々な方法を採用できるが、炭素−炭素二重結合はポリマー側鎖に導入するのが分子設計の点で容易である。例えば、予め、アクリル系ポリマーに官能基を有するモノマーを共重合した後、この官能基と反応しうる官能基及び炭素−炭素二重結合を有する化合物を、炭素−炭素二重結合の放射線硬化性を維持したまま縮合又は付加反応させる方法が挙げられる。 これら官能基の組合せの例としては、カルボン酸基とエポキシ基、カルボン酸基とアジリジル基、ヒドロキシル基とイソシアネート基等が挙げられる。これら官能基の組合せのなかでも反応追跡の容易さから、ヒドロキシル基とイソシアネート基との組合せが好適である。また、これら官能基の組み合わせにより、前記炭素−炭素二重結合を有するアクリル系ポリマーを生成するような組合せであれば、官能基はアクリル系ポリマーと前記化合物のいずれの側にあってもよいが、前記の好ましい組み合わせでは、アクリル系ポリマーがヒドロキシル基を有し、前記化合物がイソシアネート基を有する場合が好適である。この場合、炭素−炭素二重結合を有するイソシアネート化合物としては、例えば、メタクリロイルイソシアネート、2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート、m−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート等が挙げられる。また、アクリル系ポリマーとしては、前記例示のヒドロキシ基含有モノマーや2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテルのエーテル系化合物等を共重合したものが用いられる。 前記内在型の放射線硬化型粘着剤は、前記炭素−炭素二重結合を有するベースポリマー(特にアクリル系ポリマー)を単独で使用することができるが、特性を悪化させない程度に前記放射線硬化性のモノマー成分やオリゴマー成分を配合することもできる。放射線硬化性のオリゴマー成分等は、通常ベースポリマー100重量部に対して30重量部の範囲内であり、好ましくは0〜10重量部の範囲である。 前記放射線硬化型粘着剤には、紫外線等により硬化させる場合には光重合開始剤を含有させる。光重合開始剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン等のα−ケトール系化合物;メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフエノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)−フェニル]−2−モルホリノプロパン−1等のアセトフェノン系化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニソインメチルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール等のケタール系化合物;2−ナフタレンスルホニルクロリド等の芳香族スルホニルクロリド系化合物;1−フェノン−1,1—プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム等の光活性オキシム系化合物;ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;チオキサントン、2−クロロチオキサンソン、2−メチルチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン、2,4−ジクロロチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン等のチオキサンソン系化合物;カンファーキノン;ハロゲン化ケトン;アシルホスフィノキシド;アシルホスフォナート等が挙げられる。光重合開始剤の配合量は、粘着剤を構成するアクリル系ポリマー等のベースポリマー100重量部に対して、例えば0.05〜20重量部程度である。 また放射線硬化型粘着剤としては、例えば、特開昭60−196956号公報に開示されている、不飽和結合を2個以上有する付加重合性化合物、エポキシ基を有するアルコキシシラン等の光重合性化合物と、カルボニル化合物、有機硫黄化合物、過酸化物、アミン、オニウム塩系化合物等の光重合開始剤とを含有するゴム系粘着剤やアクリル系粘着剤等が挙げられる。 前記放射線硬化型の粘着剤層2中には、必要に応じて、放射線照射により着色する化合物を含有させることもできる。放射線照射により、着色する化合物を粘着剤層2に含ませることによって、放射線照射された部分のみを着色することができる。すなわち、図1に示すワーク貼り付け部分3aに対応する部分2aを着色することができる。従って、粘着剤層2に放射線が照射されたか否かが目視により直ちに判明することができ、ワーク貼り付け部分3aを認識し易く、ワークの貼り合せが容易である。また光センサー等によって半導体チップを検出する際に、その検出精度が高まり、半導体チップのピックアップ時に誤動作が生ずることがない。放射線照射により着色する化合物は、放射線照射前には無色又は淡色であるが、放射線照射により有色となる化合物であり、例えば、ロイコ染料などが挙げられる。放射線照射により着色する化合物の使用割合は、適宜設定できる。 粘着剤層2の厚さは、特に限定されないが、チップ切断面の欠け防止や加熱接合用シート3、3’の固定保持の両立性等の点よりは、1〜50μm程度であるのが好ましい。好ましくは2〜30μm、さらには5〜25μmが好ましい。 本実施の形態に係るダイシングテープ付き加熱接合用シート10、12は、例えば、次の通りにして作製される。 まず、基材1は、従来公知の製膜方法により製膜することができる。当該製膜方法としては、例えばカレンダー製膜法、有機溶媒中でのキャスティング法、密閉系でのインフレーション押出法、Tダイ押出法、共押出し法、ドライラミネート法等が例示できる。 次に、基材1上に粘着剤組成物溶液を塗布して塗布膜を形成した後、該塗布膜を所定条件下で乾燥させ(必要に応じて加熱架橋させて)、粘着剤層2を形成する。塗布方法としては特に限定されず、例えば、ロール塗工、スクリーン塗工、グラビア塗工等が挙げられる。また、乾燥条件としては、例えば乾燥温度80〜150℃、乾燥時間0.5〜5分間の範囲内で行われる。また、セパレータ上に粘着剤組成物を塗布して塗布膜を形成した後、前記乾燥条件で塗布膜を乾燥させて粘着剤層2を形成してもよい。その後、基材1上に粘着剤層2をセパレータと共に貼り合わせる。これにより、ダイシングテープ11が作製される。 ダイシングテープ付き加熱接合用シート10は、通常の方法で製造できる。例えば、ダイシングテープ11の粘着剤層2と加熱接合用シート3とを貼り合わせることで、ダイシングテープ付き加熱接合用シート10を製造できる。 (半導体装置の製造方法) 本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、前記加熱接合用シートを準備する工程と、 前記加熱接合用シートを介して、半導体チップを被着体上に加熱接合する加熱接合工程とを含む(以下、第1実施形態ともいう)。 また、本実施形態に係る半導体装置の製造方法は、前記に記載のダイシングテープ付き加熱接合用シートを準備する工程と、 前記ダイシングテープ付き加熱接合用シートの加熱接合用シートと、半導体ウェハの裏面とを貼り合わせる貼り合わせ工程と、 前記半導体ウェハを前記加熱接合用シートと共にダイシングして、チップ状の半導体チップを形成するダイシング工程と、 前記半導体チップを、前記ダイシングテープ付き加熱接合用シートから前記加熱接合用シートと共にピックアップするピックアップ工程と、 前記加熱接合用シートを介して、前記半導体チップを被着体上に加熱接合する加熱接合工程とを含むものでもある(以下、第2実施形態ともいう)。 第1実施形態に係る半導体装置の製造方法は、第2の実施形態に係る半導体装置の製造方法が、ダイシングテープ付き加熱接合用シートを用いているのに対して、第1実施形態に係る半導体装置の製造方法では、加熱接合用シートを単体で用いている点で異なりその他の点で共通する。第1の実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、加熱接合用シートを準備した後、これをダイシングテープと貼り合わせる工程を行なえば、その後は、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法と同様とすることができる。そこで、以下では、第2実施形態に係る半導体装置の製造方法について説明することとする。 本実施形態に係る半導体装置の製造方法においては、まず、ダイシングテープ付き加熱接合用シート10、12を準備する(準備する工程)。ダイシングテープ付き加熱接合用シート10、12は、加熱接合用シート3、3’上に任意に設けられたセパレータを適宜に剥離して、次の様に使用される。以下では、図3を参照しながらダイシングテープ付き加熱接合用シート10を用いた場合を例にして説明する。 まず、ダイシングテープ付き加熱接合用シート10における加熱接合用シート3の半導体ウェハ貼り付け部分3a上に半導体ウェハ4を圧着し、これを接着保持させて固定する(貼り合わせ工程)。本工程は、圧着ロール等の押圧手段により押圧しながら行う。マウントの際の貼り付け温度は特に限定されず、例えば23〜90℃の範囲内であることが好ましい。 次に、半導体ウェハ4のダイシングを行う(ダイシング工程)。これにより、半導体ウェハ4を所定のサイズに切断して個片化し、半導体チップ5を製造する。ダイシングの方法は特に限定されないが、例えば半導体ウェハ4の回路面側から常法に従い行われる。また、本工程では、例えばダイシングテープ付き加熱接合用シート10まで切込みを行なうフルカットと呼ばれる切断方式等を採用できる。本工程で用いるダイシング装置としては特に限定されず、従来公知のものを用いることができる。また、半導体ウェハ4は、ダイシングテープ付き加熱接合用シート10により接着固定されているので、チップ欠けやチップ飛びを抑制できると共に、半導体ウェハ4の破損も抑制できる。 次に、ダイシングテープ付き加熱接合用シート10に接着固定された半導体チップ5を剥離するために、半導体チップ5のピックアップを行う(ピックアップ工程)。ピックアップの方法としては特に限定されず、従来公知の種々の方法を採用できる。例えば、個々の半導体チップ5をダイシングテープ付き加熱接合用シート10側からニードルによって突き上げ、突き上げられた半導体チップ5をピックアップ装置によってピックアップする方法等が挙げられる。 ピックアップ条件としては、チッピング防止の点で、ニードル突き上げ速度を5〜100mm/秒とすることが好ましく、5〜10mm/秒とすることがより好ましい。 ここでピックアップは、粘着剤層2が紫外線硬化型である場合、該粘着剤層2に紫外線を照射した後に行う。これにより、粘着剤層2の加熱接合用シート3に対する粘着力が低下し、半導体チップ5の剥離が容易になる。その結果、半導体チップ5を損傷させることなくピックアップが可能となる。紫外線照射の際の照射強度、照射時間等の条件は特に限定されず、適宜必要に応じて設定すればよい。また、紫外線照射に使用する光源としては、公知のものを使用することができる。なお、粘着剤層に予め紫外線照射し硬化させておき、この硬化した粘着剤層と加熱接合用シートとを貼り合わせている場合は、ここでの紫外線照射は不要である。 次に、ピックアップした半導体チップ5を、加熱接合用シート3を介して被着体6にダイアタッチ(加熱接合)する(加熱接合工程)。被着体6としては、リードフレーム、TABフィルム、基板又は別途作製した半導体チップ等が挙げられる。被着体6は、例えば、容易に変形されるような変形型被着体であってもよく、変形することが困難である非変形型被着体(半導体ウェハ等)であってもよい。 前記リードフレームとしては、Cuリードフレーム、42Alloyリードフレーム等の金属リードフレームを挙げることができる。また、前記基板としては、従来公知のものを使用することができる。例えば、ガラスエポキシ、BT(ビスマレイミド−トリアジン)、ポリイミド等からなる有機基板を挙げることができる。なかでも、金属リームフレームを用いれば、加熱接合により金属微粒子と一体化することができる。また、前記基板としては、セラミックプレート等の絶縁基板に、銅回路基板が積層された絶縁回路基板を挙げることができる。絶縁回路基板を用いれば、例えば、電力の制御や供給を行うパワー半導体装置を製造することができる。 前記加熱接合工程では、加熱により金属微粒子を焼結するとともに、必要に応じて熱分解性バインダーを熱分解させる。加熱温度は、好ましくは180〜400℃、より好ましくは190〜370℃、さらに好ましくは200〜350℃で行うことができる。また、加熱時間は、好ましくは0.3〜300分、より好ましくは0.5〜240分、さらに好ましくは1〜180分で行うことができる。また、加熱接合は、加圧条件下で行なってもよい。加圧条件としては、1〜500kg/cm2の範囲内が好ましく、5〜400kg/cm2の範囲内がより好ましい。加圧下での加熱接合は、例えば、フリップチップボンダーのような加熱と加圧とを同時に行える装置で実施ができる。また、平行平板プレスでもよい。 加熱接合用シート3は、前記引張試験方法により得られる引張弾性率が10MPa以上であるため、ダイアタッチ時(加熱接合時)に加熱接合用シート3の構成材料がはみ出したり、半導体チップ5の表面へ這い上がったりすることを抑制できる。 また、加熱接合用シート3は、金属微粒子を60〜98重量%の範囲内で含むため、金属微粒子を焼結、又は、溶融させて半導体チップ5と被着体6(例えば、リードフレーム))を接合させることができる。 また、加熱接合用シート3は、大気雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で、23℃から400℃まで昇温を行った後のエネルギー分散型X線分析により得られる炭素濃度が15重量%以下であるため、加熱接合工程後は、有機物がほとんど存在しない。その結果、加熱接合工程後は、耐熱性に優れ、高温環境においても高い信頼性、熱特性が得られる。 次に、必要に応じて、図3に示すように、被着体6の端子部(インナーリード)の先端と半導体チップ5上の電極パッド(図示しない)とをボンディングワイヤー7で電気的に接続する(ワイヤーボンディング工程)。前記ボンディングワイヤー7としては、例えば金線、アルミニウム線又は銅線等が用いられる。ワイヤーボンディングを行う際の温度は、23〜300℃、好ましくは23〜250℃の範囲内で行われる。また、80〜250℃の範囲内、80〜220℃の範囲内で行ってもよい。また、その加熱時間は数秒〜数分間行われる。結線は、前記温度範囲内となる様に加熱された状態で、超音波による振動エネルギーと印加加圧による圧着工ネルギーの併用により行われる。 次に、必要に応じて、図3に示すように、封止樹脂8により半導体チップ5を封止する(封止工程)。本工程は、被着体6に搭載された半導体チップ5やボンディングワイヤー7を保護するために行われる。本工程は、封止用の樹脂を金型で成型することにより行うことができる。封止樹脂8としては、例えばエポキシ系の樹脂を使用する。樹脂封止の際の加熱温度は、通常175℃で60〜90秒間行われるが、本発明はこれに限定されず、例えば165〜185℃で、数分間キュアすることができる。これにより、封止樹脂8を硬化させる。なお、本封止工程では、シート状の封止用シートに半導体チップ5を埋め込む方法(例えば、特開2013−7028号公報参照)を採用することもできる。また、金型による封止樹脂の成型以外にも、ケース型容器にシリコーンゲルを流し込むゲル封止型でも良い。 次に、必要に応じて加熱を行い、前記封止工程で硬化不足の封止樹脂8を完全に硬化させる(後硬化工程)。本工程における加熱温度は、封止樹脂の種類により異なるが、例えば165〜185℃の範囲内であり、加熱時間は0.5〜8時間程度である。 なお、本発明の加熱接合用シート、及び、ダイシングテープ付き加熱接合用シートは、複数の半導体チップを積層して3次元実装をする場合にも好適に用いることができる。このとき、半導体チップ間に加熱接合用シートとスペーサとを積層させてもよく、スペーサを積層することなく、加熱接合用シートのみを半導体チップ間に積層させてもよく、製造条件や用途等に応じて適宜変更可能である。 また、本発明の加熱接合用シート、及び、ダイシングテープ付き加熱接合用シートは、上記に例示した用途に限定されず、2つのものを加熱接合するのに利用することができる。 以下、本発明に関し実施例を用いて詳細に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。 実施例で使用した成分について説明する。 アクリル樹脂A:綜研化学社製のSPB−TE1(分子量40000) アクリル樹脂B:綜研化学社製のIB−27(分子量370000) ポリプロピレンカーボネート樹脂:Empower社製のQPAC40(分子量200000) エチルセルロースA:日新化成社製のエトセルSTD100 金属微粒子A:三井金属鉱業社製のSPH02J(銀微粒子の凝集体、凝集体の平均粒径1.8μm、不定形) 金属微粒子混合ペーストA:応用ナノ粒子研究所製のANP−1(ナノサイズの銀微粒子が分散されたペースト) 有機溶剤A:メチルエチルケトン(MEK) アルコール溶剤A:テルピネオール [加熱接合用シートの作製] 表1に記載の配合比に従い、表1に記載の各成分及び溶媒を、ハイブリッドミキサー(キーエンス製 HM−500)の攪拌釜に入れ、攪拌モード、3分で攪拌・混合した。得られたワニスを、離型処理フィルム(三菱樹脂(株)製のMRA50)に塗布・乾燥(110℃、2分間)させた。これにより実施例、及び、比較例に係る厚み50μmの加熱接合シートを得た。ただし、比較例1は、均一なシートとすることができなかった。 [引張弾性率の測定] (1)まず、実施例、比較例で得られた加熱接合用シートを厚み200μmとなるように重ねた。次に、幅10mm、長さ30mmに切り出した。 (2)次に、チャック間距離10mm、引張速度50mm/分、23℃の条件で引張試験を行った。この引張試験には、株式会社島津製作所のオートグラフAGS−Jを用いた。 (3)次に、得られた応力−ひずみ線図の応力0.5Nと1Nでの接線の傾きを引張弾性率とした。 結果を表1に示す。 [加熱後の炭素濃度の測定] 実施例、比較例で得られた加熱接合用シートを大気雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で、23℃から400℃まで加温し、400℃に達した後は、自然放冷により常温にした。加温には、オーブンを用いた。次に、加熱後のサンプル(常温)を、EDX(エネルギー分散型X線分析)で元素分析(定量分析)し、炭素濃度(重量%)を測定した。測定には、アメテック株式会社製の製品名:EDAX Model PV77-50780MEを用いた。結果を表1に示す。 [示差熱分析によるピーク温度] 実施例、比較例で得られた加熱接合用シートに対して、大気雰囲気下、昇温速度10℃/分の条件で、23℃から500℃まで示差熱分析を行った。測定には、TG−DTA同時測定装置(示差熱−熱重量同時測定装置)、より具体的には、リガク社製の製品名:Thermo Plus TG8210を用いた。次に、得られたグラフからピーク値の温度を読み取った。結果を表1に示す。
1 基材 2 粘着剤層 3、3’ 加熱接合用シート 4 半導体ウェハ 5 半導体チップ 6 被着体 7 ボンディングワイヤー 8 封止樹脂 10、12 ダイシングテープ付き加熱接合用シート 11 ダイシングテープ |