【0001】 本発明は、感圧接着剤(PSA)、ドライボンド積層接着剤、ヒートシール接着剤、コールドシート接着剤及びバリヤー接着剤を包含する改良された水ベース又は水性接着剤に関する。 特に、本発明は、多エチレン性不飽和モノマー及び重合されたイオン性モノマーを含むモノマー群から形成され、且つ1から50ナノメーター(nm)の平均直径を有するポリマーナノ粒子を含む水性接着剤に関する。 本接着剤は、PNPなしで形成された接着剤と比較して改良された特性を有する。 【0002】 公開されたPCT特許出願WO200075244号(特許文献1)は、1以上のエポキシド官能性結合剤と5から200nmの平均粒径を有するカルボキシル官能性金属‐有機ナノ粒子とを反応させることにより形成される結合剤を開示する。 【0003】 米国特許第4,845,149号(特許文献2)は,慣用されている分散剤を使用して樹脂担持型重合においてPSAを製造することを記載する。 対照的に、本発明は、PSA及び他の接着剤についての分散剤としてPNPを使用する。 米国特許第6,420,023号(特許文献3)は、約100nm以下の平均粒径を有し、1以上のN‐(イソ‐ブトキシメチル)アクリルアミド、N‐(n‐ブトキシメチル)アクリルアミド及びN‐メチロールアクリルアミドを含むエチレン性不飽和モノマー及びオリゴマーの混合物から形成され、特定の乳化剤の存在下で乳化されたPSAを開示する。 そのPSAは、約1重量パーセント未満の1,3‐ブタンジオールジメタクリレートモノマーを含有することができる。 【0004】 【特許文献1】国際公開00/75244号パンフレット【特許文献2】米国特許第4,845,149号明細書【特許文献3】米国特許第6,420,023号明細書【0005】 本発明の目的は、PNP不在の接着剤の特性と比較して改良された少なくとも一つの下記の特性を有する水性接着剤組成物を提供する;湿潤組成物において、改良されたレオロジー、泡立ちの減少、乾燥時間、機械的安定性及び改良された湿潤フィルム一体性(即ち、グリーン強度);乾燥組成物において、改良された固有接着性、ピールビルド(peel‐build)性、水白化抵抗、及び可塑剤及び溶媒マイグレーション抵抗、ガスバリヤー特性、低温加工に付いての改良されたレオロジー、及び減少したエッジウーズ(edge ooze)、接着剤製品に改良された転換、切除及び剥離を付与する流れ。 これら及び他の目的は、本発明の接着剤組成物により達成され得る。 【0006】 本発明の一態様において、接着剤の乾燥重量を基準にして0.1から100重量パーセントの、1から50nmの平均粒径を有し、且つ重合単位として少なくとも一つの多エチレン性不飽和モノマー及び少なくとも一つのエチレン性不飽和水溶性モノマーを含むポリマーナノ粒子(PNP)、を含む水性接着剤が提供される。 第二の態様において、接着剤は、接着剤の総乾燥重量を基準にして90から100重量%のPNPを含む。 【0007】 本発明の第三の態様において、接着剤の総乾燥重量を基準にして0.1から90重量%のPNPを含む接着剤が提供される。 接着剤は、更に−100から+50℃のガラス転移温度(Tg)を有する少なくとも一つのエマルションポリマーを含み得る。 一態様において、エマルションポリマーを形成するモノマーの重合は、PNPの存在下で遂行される。 【0008】 本発明の第四の態様において、接着剤の乾燥重量を基準にして10から60重量%のPNPを含む接着剤が提供される。 接着剤は、更に−100から+50℃の範囲のTgを有する少なくとも一つのエマルションポリマーを含むことができ、そこでは、エマルションポリマーを形成するモノマーの重合は、PNPの存在下で遂行される。 【0009】 本発明の第五の態様においては、1以上の多エチレン性不飽和モノマー及び1以上のエチレン性不飽和水溶性モノマーが同一のモノマー又はモノマー群である接着剤が提供される。 【0010】 本発明の水性組成物は、水性接着剤を要求する慣用の、具体化された用途の使用に適する。 本発明の第六の態様において、接着剤は感圧接着剤、ヒートシール接着剤、コールドシール接着剤及び積層接着剤からなる群から選択される接着剤として使用される。 本発明の第七の態様において、接着剤組成物はガス又は水分バリヤー特性を有する。 【0011】 本発明の第八の態様において、第一基体、及び第一基体の一表面の少なくとも一部に接着剤層を含む製品が提供され、その接着剤は接着剤の総重量を基準にして0.1から100重量%の、1から50nmの平均粒径を有し、且つ重合単位として少なくとも一つの多エチレン性不飽和モノマー及び少なくとも一つのエチレン性不飽和水溶性モノマーを含むポリマーナノ粒子(PNP)を含む。 その製品は、更に接着剤に付着される第一基体とは異なる少なくとも一つの他の基体を含むことができる。 【0012】 本発明の第九の態様において、反対の2表面に付いて異なる固有接着特性を有する一対の反対の2表面を有する剥離層が提供され、その剥離層は少なくとも一つのエマルションポリマー及び1から50nmの平均粒子直径を有するポリマーナノ粒子(PNP)を含み、そのPNPは重合単位として少なくとも一つの多エチレン性不飽和モノマー及び少なくとも一つのエチレン性不飽和水溶性モノマーを含む。 【0013】 本発明の水性接着剤組成物は、1から50nmの範囲の平均直径を有するポリマー粒子の水性分散液を含み、その粒子は重合単位として少なくとも一つの多エチレン性不飽和モノマー及び少なくとも一つのエチレン性不飽和水溶性モノマーを含む。 本明細書において、用語「分散液」は、第一相が第二相に分配され、第二相が連続媒体である少なくとも二つの相を含む物体の物理的状態を意味する。 本明細書において「水性」とは、水性媒体の重量を基準にして50から100重量%が水である媒体を意味する。 【0014】 ポリマーナノ粒子(PNP)と本明細書において称されるポリマー粒子は、重合単位として少なくとも一つの多エチレン性不飽和モノマー及び少なくとも一つのエチレン性不飽和水溶性モノマーを含有する付加ポリマーである。 本発明において有用な好適な多エチレン性不飽和モノマーとしては、例えば、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルピリジン、ジビニルナフタレン、ジビニルキシレン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリビニルシクロヘキサン、アリル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2‐ジメチルプロパン‐1,3‐ジ(メタ)アクリレート、1,3‐ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4‐ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6‐ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール200ジ(メタ)アクリレート及びポリエチレングリコール600ジ(メタ)アクリレートのようなポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリルプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジビニルシラン、トリビニルシラン、ジメチルジビニルシラン、ジビニルメチルシラン、メチルトリビニルシラン、ジフェニルジビニルシラン、ジビニルフェニルシラン、トリビニルフェニルシラン、ジビニルメチルフェニルシラン、テトラビニルシラン、ジメチルビニルジシロキサン、ポリ(メチルビニルシロキサン)、ポリ(ビニルヒドロシロキサン)、ポリ(フェニルビニルシロキサン)及びこれらの混合物のようなジ‐、トリ‐、テトラ‐又は高次の多エチレン性不飽和モノマーが挙げられる。 用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレート及びメタクリレート双方を含む。 同様に、用語「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミド及びメタクリルアミド双方を含む。 「アルキル」は、直鎖、分岐及び環状アルキル基を含む。 【0015】 典型的に、PNPは、PNPの重量を基準にして少なくとも1重量%の少なくとも一つの重合された多エチレン性不飽和モノマーを含有する。 PNPの重量を基準にして99.5重量%までの重合された多エチレン性不飽和モノマーは、本発明の粒子に有効に使用される。 重合された多エチレン性不飽和モノマーの量は、PNPの重量を基準にして1%から80%が好ましく、より好ましくは1%から60%、最も好ましくは1%から25%である。 【0016】 PNPは、更に、重合単位として少なくとも一つの水溶性モノマーを含有する。 本明細書において、「水溶性モノマー」とは、25℃の温度において、少なくとも7重量%、好ましくは少なくとも9重量%及びより好ましくは12重量%の水に対する溶解度を有するモノマーを意味する。 モノマーの水溶解度についてのデータは、例えば、 ポリマーハンドブック 、第2版、J. ブランドラップ、E. H. インマーグット編集、John Wiley & Sons社、ニューヨーク、及びメルクインデックス 、第11版、Merk & Co. ,Inc. ,米国、ニュージャーシー州、ラーウェイにおいて見出される。 水溶性モノマーの例としては、エチレン性不飽和イオン性モノマー及びエチレン性不飽和水溶性非イオン性モノマーが挙げられる。 典型的に、重合された水溶性モノマーの量は、PNPの重量を基準にして少なくとも0.5重量%である。 PNPの重量を基準にして99重量%までの重合された水溶性モノマーは、本発明の粒子において有効的に使用され得る。 【0017】 本明細書において「イオン性モノマー」と称されるエチレン性不飽和モノマーイオン性モノマーは、PNPが分散される水性媒体においてイオン電荷を有することができるモノマーである。 好適なイオン性モノマーとしては、例えば、酸含有モノマー、塩基含有モノマー、両性モノマー;4級化窒素含有モノマー及びイオン性モノマーを形成するために酸‐塩基反応により中和され得るモノマーのような、その後イオン性モノマーに形成され得る他のモノマーが挙げられる。 好適な酸基としては、カルボン酸基及びリン含有酸及び硫黄含有酸のような強酸基が挙げられる。 好適な塩基は、アミンを含む。 PNPの重量を基準にして重合されたイオン性モノマーの量は、0.5から99重量%の範囲が好ましく、より好ましくは1から50重量%の範囲、いっそう更に好ましくは2から40重量%及び最も好ましくは3から25重量%である。 【0018】 好適なカルボン酸含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸、アクリルオキシプロピオン酸及びクロトン酸のようなカルボン酸モノマー;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸及びシトラコン酸のようなジカルボン酸モノマー;及び一つのカルボン酸官能基及び一つのC 1〜6エステルを含有するモノマーのようなジカルボン酸の半エステルであるモノマーが挙げられる。 好ましいのは、アクリル酸及びメタクリル酸である。 好適な強酸モノマーとしては、2‐アクリルアミド‐2‐メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2‐アクリルアミド‐2‐メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸及びビニルスルフィン酸のような硫黄酸モノマー;及び2‐ホスホエチル(メタ)アクリレート、ビニルリン酸及びビニルホスフィン酸などのリン酸モノマーが挙げられる。 他の酸モノマーとしては、米国特許第5,710,227号において開示されるような末端不飽和酸含有マクロモノマーが挙げられる。 リン酸モノマーは、ある種の基体(例えば、金属)に改良された接着性を提供することができるので望ましい。 【0019】 好適な塩基含有モノマーとしては、N,N‐ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N‐ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N‐t‐ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N‐ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、p‐アミノスチレン、N,N‐シクロヘキシルアリルアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、ジメチルアリルアミン、N‐エチルジメチルアリルアミン、クロチルアミン、及びN‐エチルメタアリルアミンをはじめとするアミン官能基を有するモノマー;2‐ビニルピリジン及び4‐ビニルピリジンをはじめとするピリジン官能基を有するモノマー;ビニルピペリジンのようなピペリジン官能基を有するモノマー及びビニルイミダゾールをはじめとするイミダゾール官能基を有するモノマーが挙げられる。 他の好適な塩基含有モノマーとしては、オキサゾリジニルエチル(メタ)アクリレート、ビニルベンジルアミン、ビニルフェニルアミン、置換ジアリルアミン、2‐モルフォリノエチル(メタ)アクリレート、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ジアリルジメチルアンモニウムクロリド及び2‐トリメチルアンモニウムエチルメタクリルクロリド等が挙げられる。 【0020】 好適な両性モノマーとしては、N‐ビニルイミダゾリウムスルホネート内部塩及びN,N‐ジメチル‐N‐(3‐メタクリルアミドプロピル)‐N‐(3‐スルホプロピル)アンモニウムベタインが挙げられる。 【0021】 官能基がその後酸又は塩基に形成される好適なモノマーには、グリシジル(メタ)アクリレート及びアリルグリシジルエーテルのようなエポキシド官能基;無水マレイン酸のような無水物;メチルアクリレートのようなエステル;及びハライドをはじめとするモノマーが含まれる。 好適なハライド含有官能性モノマーとしては、ビニル芳香族ハライド及びハロ‐アルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。 好適なビニル芳香族ハライドとしては、ビニルベンジルクロリド及びビニルベンジルブロミドが挙げられる。 他の好適な官能性モノマーとしては、塩化アリル、臭化アリル及び塩化(メタ)アクリル酸が挙げられる。 好適なハロ‐アルキル(メタ)アクリレートとしては、クロロメチル(メタ)アクリレートが挙げられる。 官能基がその後非イオン性水溶性基となる好適な官能性モノマーには、酢酸ビニルがある。 重合された酢酸ビニルの加水分解はPNPにヒドロキシ基を提供する。 【0022】 水溶性モノマーでもある多エチレン性不飽和水溶性非イオン性モノマーは、代替的にPNPを調製するのに使用される。 斯かる態様においては、これらのモノマーは、多エチレン性不飽和モノマー及び水溶性モノマー双方として本発明の目的のために分類される。 水溶性、多エチレン性不飽和モノマーの例は、ホスホジエチルメタクリレートである。 【0023】 エチレン性不飽和水溶性非イオン性モノマーは、本明細書において「水溶性非イオン性モノマー」と呼ばれる。 水溶性非イオン性モノマーの例としては、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのようなヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ポリ(エチレンオキシド) 20メタクリレート及びポリ(プロピレンオキシド) 150アクリレートのような(メタ)アクリル酸のポリ(アルキレンオキシド)エステル;アクリルアミド;及びメタクリルアミドが挙げられる。 PNPの重量を基準にして、重合された水溶性非イオン性モノマーの量は、好ましくは0.5から99重量%、より好ましくは20から90重量%の範囲、いっそう更に好ましくは30から80重量%及び最も好ましくは40から70重量%である。 重合単位として、PNPがイオン性モノマー及び非イオン性水溶性モノマーを含むとき、低濃度の重合された非イオン性水溶性モノマーが、好ましい。 【0024】 PNPは、任意に、重合単位として、多エチレン性不飽和モノマーでなく、且つ水溶性モノマーでない1以上の第三のモノマーを含有する。 好適な第三モノマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、及びノナデシル(メタ)アクリレート、及びこれらの混合物のようなC 1 〜C 24アルキル(メタ)アクリレートが挙げられる。 他の好適な第三モノマーとしては、酢酸ビニル;ビニルバーサテート;ジイソブチレン;N‐(エチレンウレイドエチル)‐4‐ペンテンアミド、N‐(エチレンチオウレイド‐エチル)‐10‐ウンデセンアミド、ブチルエチレンウレイド‐エチルフマレート、メチルエチレンウレイドエチルフマレート、ベンジルN‐(エチレンウレイド‐エチル)フマレート及びベンジルN‐(エチレンウレイド‐エチル)マレアメート(maleamate)のようなウレイド含有モノマー;スチレン、α‐メチルスチレン、ビニルトルエン、p‐メチルスチレン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ビニルキシレン及びノニルフェノキシプロペニルポリエトキシル化アルコールのようなビニル芳香族モノマーが挙げられる。 ビニル芳香族モノマーとして、また、ハロゲン誘導体、即ち、フッ素、塩素又は臭素のようなハロゲン基の1以上を含有するハロゲン化誘導体;及びニトロ、シアノ、(C 1 〜C 10 )アルコキシ、ハロ(C 1 〜C 10 )アルキル、(C 1 〜C 10 )アルコキシ及びカルボキシ等の相当する置換対応物が挙げられる。 本発明における不飽和モノマーとして有用な置換エチレンモノマーとしては、アリルモノマー、酢酸ビニル、ビニルバーサテート、ビニルホルムアミド、塩化ビニル、フッ化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン及び臭化ビニリデンが挙げられるが、これらに限定されない。 【0025】 PNPは、1〜50nmの範囲、好ましくは1〜40nmの範囲、より好ましくは1〜30nm、いっそうより好ましくは1〜25nm、いっそう更に好ましくは1〜20nm及び最も好ましくは1〜10nmの範囲の平均直径を有する。 更に典型的には、PNPは少なくとも1.5nm、好ましくは少なくとも2nmの平均粒子直径を有する。 PNPの粒径(平均粒子直径)を測定する一方法は、相関関数がコンチン(CONTIN)のようなラプラス変換法を使用して流体力学的サイズに変換される標準動的光散乱技術を使用することによるものである。 【0026】 典型的には、重合単位として、10重量%未満の多エチレン性不飽和モノマーを含むPNPは、モジュール化された示差走査熱量分析(DSC)により測定されるような重合された多エチレン性不飽和モノマーの不存在下で組成物について−90℃から170℃のガラス転移温度を有する。 重合単位として、少なくとも50重量%の多エチレン性不飽和モノマーを含有するPNPは、少なくとも50℃のTgを有するものと考えられる。 【0027】 本発明のPNPは、典型的には5,000から1,000,000の範囲、好ましくは10,000から500,000及びより好ましくは15,000から100,000の範囲の「見掛け重量平均分子量」を有する。 本明細書において使用される通り、「見掛け平均分子量」は、例えば40℃においてTHF溶媒、3プルゲル(Plgel、商標)カラム(Polymer Labs、米国、マサチューセッツ州、アンハースト)、100オングストローム(10nm)、10 3オングストローム(100nm)、10 4オングストローム(1ミクロン)、長さ30cm、内径7.8mm、1ml/分、注入容積100マイクロリットル、Polymer Labsのカリバー(CALIBRE、商標)ソフトウェアを用いて狭ポリスチレン標準に換算された標準ゲルパーミエーションクロマトグラフィーを使用したPNPの粒径を反映する。 【0028】 PNPは、PNPが水性媒体中に分散されるのに好適な親水性を有するものとして任意に特徴付けられる。 PNPの親水性を特徴付ける一つの方法は、実際に疎水性の尺度であるハンシュ(Hansch)パラメーターを計算することである。 ハンシュパラメーターは原子団寄与法(group contribution method)を使用して計算される。 ポリマーを形成するモノマー単位は疎水性寄与が与えられ、ポリマーの疎水性はポリマー中のモノマーの重量平均に基づいて計算される。 その方法は、ハンシュ及びフジタ、 J. Amer. Chem. Soc. ,86,1616〜1626(1964) ;H. クビニイ、 Methods and Principles of Medicinal Chemistry 、第1巻、R. マンホールド等編集、VCH、ワインハイム(1993);C. ハンシュ及びA. レオ、 SubstitutionConstants for Correlation Analysis in Chemistry and Biology 、ワイリー、ニューヨーク(1979);C. ハンシュ、P. マローニー、T. フジタ及びR. ミュア、 Nature 、194、178〜180(1962)に記載が有る。 【0029】 幾つかのモノマーについての疎水性寄与値は、表1に掲げられる。 【表1】
【0030】 好ましいPNPは、−2.5から4の範囲、代替的には−1から3のハンシュパラメーターを有する。
【0031】
PNPは、任意に他の官能基を含有し、これらの基はこれらの基又はこれらの前駆体基を含有するモノマーの重合により提供される。 官能基は、PNPのイオン性基と好適な化合物とを反応させることによりPNPに任意に結合される。 例えば、カルボン酸基を含有するPNPは、カルボン酸基とキャップされたポリアルキレンオキシドのような好適なアルコールとを反応させることによりペンダント親水性基を含有するよう変性される。 米国特許第5,270,380号において教示されるように、代替的に、官能基は非ラジカル反応を通してPNPに付加され、結果的にその基を含む変性用化合物及びPNPに共有結合する補足的反応性基との間にイオン又は共有結合の生成をもたらす。
【0032】
PNP内の補足的反応性基及び変性化合物は、イオン又は共有結合を提供する。 補足的イオン結合は、酸塩基相互作用及び、陰及び陽荷電原子のイオン対結合を包含する。 例えば、補足的反応性基による共有結合としては:(a)アセトアセテート‐アルデヒド;(b)アセトセテート‐アミン;(c)アミン‐アルデヒド;(d)アミン‐無水物;(e)アミン‐イソシアネート;(f)アミン‐エポキシ;(g)アルデヒド‐ヒドラジド;(i)酸‐エポキシ;(j)酸‐カルボジイミド;(k)酸‐クロロメチルエステル;(l)酸‐クロロメチルアミン;(m)酸‐無水物;(n)酸‐アジリジン;(o)エポキシ‐メルカプタン;及び(p)イソシアネート‐アルコールが挙げられる。 それぞれの対の第一又は第二反応性基は、PNP中又は、代替的に、変性化合物中のいずれかに存在する。
【0033】
水性媒体に分散されるPNPを含有する水性組成物を調製する好適な方法は、少なくとも一つの溶媒に分散されるPNPを含有する非水性PNP分散液を調製する工程;及び非水性PNP分散液と水性媒体とを配合させる工程を包含する。 本明細書において、「非水性」とは、非水性媒体の重量を基準にして0から50重量%未満の水を含有する媒体を意味する。 重合単位としてイオン性モノマーを含むPNPを含有する水性組成物は、その水性媒体との配合の前、過程又は後で任意に部分的に又は完全に中和される。
【0034】
非水性PNP分散液を調製する好適な重合法は、少なくとも一つの多エチレン性不飽和モノマー、少なくとも一つの水溶性モノマー及び任意に少なくとも一つの第三モノマーのフリーラジカル重合である。 本発明において、「溶液重合」とは、ポリマーについての好適な溶媒中でのフリーラジカル付加重合を意味する。 本発明において、「ポリマーについての好適な溶媒」とは、PNPに実質的に類似の重合されたモノマー単位を有する線状ランダム(コ)‐ポリマーがその溶媒に可溶性であることを意味する。 好適な溶媒又は溶媒混合物を選択するための他の方法は、溶解度パラメーター分析を使用することを基礎としている。 斯かる方法に従えば、溶媒の溶解度は、デルタd、デルタp、デルタh及びデルタvのファンクレベレン(Van Krevelen)パラメーターのようなPNP及び溶媒についての溶解パラメーターを実質的に一致させることにより測定される。 例えば、ファンクレベレン等による、「ポリマー特性。それらの評価及び化学構造との相関性」、Elsevier Scientific Publishing Co. (1976);オラビシ等の「ポリマー‐ポリマー混和性」、Academic Press,NY(1979);コールマン等の「ポリマーブレンドの固有相互作用及び混和性」、Technomic(1991);.A. F. M. バートンの「溶解パラメーター及び他の粘着パラメーターのCRCハンドブック」、第2版、CRC Press(1991)」にその記載がある。 デルタdは分散相互作用の尺度であり、デルタpは極性相互作用の尺度であり、デルタhは水素結合相互作用の尺度であり、そしてデルタvは分散及び極性相互作用両者の尺度である。 斯かる溶解パラメーターは、当分野で公知の原子団寄与法等により計算されるか又は実験的に測定されるかのどちらかにより測定される。 好ましい溶媒は、5(立方センチメーター当たりのジュール)
1/2以内のデルタv、好ましくはポリマーデルタvパラメーターの1(立方センチメーター当たりのジュール) 1/2以内を有する。 重合用の好適な溶媒としては、炭化水素;アルカン;ハロ炭化水素;塩素化、フッ素化及び臭素化炭化水素;芳香族炭化水素;エーテル;ケトン;エステル;アルコール;及びこれらの混合物等の有機溶媒が挙げられる。 PNPの組成に応じて特に好適な溶媒としては、ドデカン、メシチレン、キシレン、ジフェニルエーテル、ガンマ‐ブチロラクトン、酢酸エチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カプロラクトン、2‐ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びイソプロパノール、デカノール及びt‐ブタノールのようなアルキルアルコール;超臨界二酸化炭素が挙げられる。 【0035】
非水性PNP分散液は、最初に溶媒又は代替的に溶媒とモノマー混合物の多少の部分との混合物を反応容器に装填することにより調製される。 モノマー装填物は、典型的には、モノマー、開始剤及び利用されているなら連鎖移動剤から構成される。 典型的には、開始温度は55℃から125℃の範囲であるが、当分野で公知の好適な低温又は高温開始剤を使用するより低温又はより高温の開始温度が可能である。 ヒール装填が重合を開始するのに十分な温度に達した後で、モノマー装填物又はモノマー装填物の残りは、反応容器に添加される。 モノマー装填時間は、典型的には15分から4時間の範囲であるが、より短期及び長期双方の期間が想定される。 モノマー装填の過程で、反応温度を変化させることも可能であるが、反応温度は典型的には一定に維持される。 モノマー混合物の添加を完了させた後に、溶媒中の追加の開始剤が反応に装填され得るし及び/又は反応混合物は一定時間放置されてもよい。
【0036】
PNP粒径及び分布の調節は、溶媒の選択、開始剤の選択、全固形分濃度、開始剤濃度、及び多官能性モノマーの種類と量、及びイオン性モノマーの種類と量、及び連鎖移動剤の種類と量及び反応条件等の1以上の斯かる方法により達成される。
【0037】
PNPを形成するフリーラジカル重合において有用な開始剤は、例えば、1以上のペルオキシエステル、アルキルヒドロペルオキシド、ジアルキルペルオキシド、アゾ開始剤、過硫酸塩及びレドックス開始剤等を包含する。 使用されるフリーラジカル開始剤の量は、典型的には全モノマーの重量を基準にして0.05から10重量%である。 連鎖移動剤は、本発明に有用なPNPの重合度を調節するために任意に使用される。 好適な連鎖移動剤は、例えば、ドデシルメルカプタンのようなアルキルメルカプタン;トルエンのような活性水素を有する芳香族炭化水素;及びブロモトリクロロエタンのようなアルキルハライドを包含する。
【0038】
水性PNP組成物を調製する一方法において、PNPの重合されたイオン性モンマー単位の少なくとも一部は、少なくとも一つの中和剤で中和され少なくとも部分的に中和された非水性PNP分散液を形成する。 PNPの重合されたイオン性モノマー単位は、多様な方法で中和され得る。 重合されたイオン性モノマー単位が酸性であるとき、中和剤は典型的には塩基である。 同様に重合されたイオン性モノマー単位が塩基性であるとき、中和剤は典型的には酸である。 好適な塩基としては、無機及び有機塩基が挙げられる。 好適な無機塩基は水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩及びアルカリ又はアルカリ金属の酢酸塩基を包含する。 好適な有機塩基は、アンモニア、第1級/第2級/第3級アミン、ジアミン及びトリアミンを包含する。 好ましい塩基中和剤は、水酸化ナトリウム及び水酸化アンモニウムを包含する。 好適な酸は、酢酸のようなカルボン酸;ジカルボン酸;(ジ)カルボキシ/ヒドロキシル酸;安息香酸のような芳香族酸;及びホウ酸、炭酸、クエン酸、ヨウ素酸、亜硝酸、硝酸、過ヨウ素酸、リン酸、亜燐酸、硫酸、亜硫酸及び塩酸のような多様な他の酸を包含する。 前記塩基及び酸の範疇のいずれもが限定的であるとは見なされない。
【0039】
非水性PNP分散液を中和するために必要とされる中和剤の量は、典型的にはPNPの重合されたイオン性モノマー単位に対する中和剤のモルベースを基に決定される。 特定の理論に拘束されるわけではないが、PNPを安定化させるのに(即ち、非水性から水性媒体に変換の過程で粒径を維持するのに)必要とされる重合されたイオン性モノマー単位の量(即ち、装填量)は、PNP組成及び特性が変化するに連れて変化するであろう。 PNP疎水性、Tg、架橋度及び中和剤からの対イオンの種類は重要な変数であると信じられる。 安定な水性PNP分散液を提供するに際して(即ち、PNPの凝集が最小化される場合)、重合されたイオン性モノマー単位は、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも50%、いっそうより好ましくは少なくとも80%及び最も好ましくは少なくとも90%中和されている。
【0040】
PNPを中和することは、多様な方法で代替的に遂行される。 一方法において、非水性PNP分散液は、撹拌しながら中和剤を含有する溶液に添加される。 好ましくは、中和剤は非水性PNP分散液を撹拌しながら長時間水性溶液として添加され少なくとも部分的に中和された非水性PNP分散液を提供する。
【0041】
分散したPNPを含有する水性組成物を調製する一方法においては、その少なくとも部分的に中和された非水性PNP分散液は、水性媒体と混合される。 水性媒体は任意にPNPを中和するための中和剤を含有し、その場合において非水性PNP分散液は同時に中和され、水性媒体と混合されることが可能である。 水性媒体は、PNPの安定性を変更することができ、又は表面張力のような、結果として生じるPNP分散液の他の特性を変更することができる界面活性剤を任意に含有する。
【0042】
部分的に中和された非水性PNP分散液と水性媒体を混合する順序は、重要ではない。 混合に適した種々の方法及び装置が、
The Chemical Engineer's Hanndbook 、第5版、ペリー及びチルトン編集、 McGraw‐Hill、第21章(1973)に記載されている。 典型的には、PNPの凝集を最小化するよう溶媒が完全に水性媒体に混合されることを確実にするために部分的に中和されたPNP分散液を水性媒体に添加しながら、水性媒体は連続して撹拌される。 【0043】
水性組成物の総重量を基準にした水性PNP組成物中の好適なPNPの重量パーセント(即ち、水性組成物におけるPNP固形分の範囲)は、典型的には1から90重量%、より典型的には2から75重量%、いっそう更に典型的には4から65重量%、更により典型的には8から55重量%及び最も典型的には10から45重量%である。
【0044】
水性PNP組成物の調製が界面活性剤の使用を要求せず、非水性PNP分散液が実質的に界面活性剤を含まないことが典型的である一方で、界面活性剤は、任意に含まれる。 存在する場合には、界面活性剤の量は、PNPの総重量を基準にして典型的には3重量%未満、より典型的には2重量%未満、いっそうより典型的には1重量%未満、更に典型的には0.5重量%未満及びいっそう更に典型的には0.2重量%未満である。
【0045】
水性PNP組成物は、PNPの固形分を増加させるために少なくとも溶媒の一部及び任意に水を除去ために任意に処理される。 PNPを濃縮する好適な方法は、水及び好適な溶媒の共沸混合物を形成するような蒸留法;溶媒又は水の蒸発;凍結乾燥又は噴霧乾燥による水性組成物の乾燥;溶媒抽出技術;及び限外ろ過技術を包含する。 好ましくは少なくとも25重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、いっそうより好ましくは75重量%及び最も好ましくは100重量%の溶媒が、水と交換される。 溶媒の除去は、好ましくはPNPの不安定化(即ち、凝集)を最小化する条件下で遂行される。
【0046】
代替法においては、水性PNP組成物は、PNPについて好適な溶媒及び水に相溶性又は混和性でもある少なくとも一つの溶媒に分散されたPNPを含有する非水性PNP分散液を調製し、非水性PNP分散液と水性媒体と混合する工程を含む方法により調製される。 水に相溶性又は混和性でもあるアクリル含有PNPについて斯かる好適な溶媒の例としては、イソプロパノール及びエーテルアルコール(例えば、エチレングリコールのモノブチルエーテル及びジエチレングリコールのモノエチルエーテル)が挙げられる。 この方法においては、PNPは水と混合されたときに粒子安定性を与えるために中和剤の添加を要求しない。
【0047】
本発明の水性PNP組成物の代替的態様は、広い範囲のPNP含量(即ち、PNP分散液中のPNP固形分)を有する。 典型的には、PNP重量フラクションは水性PNP組成物の総重量を基準にして0.1から99重量%、より典型的には1から90重量%、いっそうより典型的には2から75重量%、更に典型的には5から50重量%及び最も典型的には、10から40重量%の範囲である。 本発明の水性接着剤組成物は、任意に50nmより大きな平均粒子直径を有するエマルションポリマー粒子のような、PNPではない他のポリマー粒子を任意に含有する。 PNPは、水性組成物においてポリマー粒子の総重量を基準にして0.1から100重量%のPNPの濃度で水性組成物中に存在する。 PNPの機能上の役割が、存在するPNPの濃度を決定する。
【0048】
幾つかのPNPの機能上の役割は、例えば、添加剤として、分散剤として、ブレンド剤として、及び主要な又は単独バインダーポリマー成分としてのPNPについてのPNPマトリックスとしてである。 利用されるPNPの量は、前者についての低濃度から後者についての高濃度の範囲に及ぶ。
【0049】
一態様において、PNPは他のポリマー粒子と共に提供され、その他のポリマー粒子はPNPの存在下で調製される。 この態様において、PNPは水性接着剤組成物においてポリマーの総乾燥重量を基準にして10から60重量%及び最も好ましくは20から40重量%の濃度で水性組成物中に存在する。 PNP中においてエマルションポリマーの分散液が形成されるとき、結果として生じる組成物は、樹脂担持エマルションポリマー(ReSEP)と称され得る。
【0050】
PNPは、PNP重合溶媒中で分散液として使用され得る、或いは、それらは例えば真空蒸留、非溶媒中での沈殿及び噴霧乾燥により分離され得る。 分離されるとき、PNPは、引き続き接着剤組成物中への組み入れ用に適した媒体に再分散され得る。 媒体は水であるのが好ましい。 代替的に、分離されたPNPは、水ベースエマルション中に直接再分散され得る。
【0051】
本発明のPNPを含む水性接着剤組成物は、PNP不在の接着剤の特性に比較して改良された少なくとも一つの次の特性を有する;湿潤組成物において、改良されたレオロジー、気泡の減少、乾燥時間、機械的安定性及び改良された湿潤フィルム一体性(即ち、グリーン強度);乾燥組成物において、改良された固有接着性、ピール‐ビルト特性、水白化抵抗、及び可塑剤及び溶媒マイグレーション抵抗、ガスバリヤー特性、低温加工のための改良レオロジー及び減少したエッジウーズ及び改良された転化、切除及び剥離性を接着剤製品に付与する流れ。 その特性に応じて、接着剤組成物は、例えば、感圧接着剤、ヒートシール接着剤、コールドシール接着剤、ドライボンド積層接着剤又はガス又は水分バリヤー接着剤としての用途を有することができる。
【0052】
本発明の水性接着剤組成物は、接着剤の総乾燥重量を基準にして0.1から100重量%のPNPを含む。 接着剤組成物を調製する上で、PNPは、典型的に水性PNP接着剤の総重量を基準にして0.1から99重量%の固形分を有する上記の水性PNP組成物として使用される。 接着剤は、一つの又は1以上の水性PNP組成物から形成され得る。
【0053】
一つの態様において、水性接着剤組成物は、添加剤又はブレンド剤としてPNPを含む;即ち、PNPはエマルションポリマーと混合され又はブレンドされて接着剤組成物を形成する。 この態様において、接着剤組成物は、接着剤の総乾燥重量を基準にして0.1から90重量%のPNPを含む。 好ましくは、接着剤組成物は、1から90重量%、より好ましくは5から50重量%及び更により好ましくは10から40重量%のPNP組成物を含む。 高濃度においては、ブレンド剤として考慮され得るが、より低濃度においては、PNPは添加剤として考慮され得る。
【0054】
別の態様において、本発明の水性接着剤組成物は90から100重量%のPNPを含む。 接着剤は、接着剤の単独ポリマー成分としてのPNP組成物を含むことができる。 留意すべきことにPNP組成物自身は上記のいずれかで記載された他の成分を含むことができる。 接着剤が100重量%未満のPNPを含む場合に、接着剤組成物の残部は、PNPと混合又はブレンドされるエマルションポリマー又は他の成分を含むことができる。 接着剤が100%の1以上のPNP組成物から形成されるとき、乾燥接着剤は接着剤の総重量を基準にして100重量%のPNPを含有するであろう。
【0055】
別の態様において、本発明の水性接着剤組成物は10から60重量%のPNP、好ましくは20から40重量%のPNPを含み、接着剤組成物のエマルションポリマーはPNP組成物の存在下で好適なモノマーから重合される。 これが、ReSEP接着剤を形成する。 この態様において、PNPは他のポリマー粒子と共に供給され、他のポリマー粒子はPNPの存在下で調製される。 この態様において、PNPは、水性組成物中の歩の総乾燥重量を基準にして1から99重量%、好ましくは5から90重量%、より好ましくは10から60重量%及び最も好ましくは20から40重量%の濃度の固形分において水性組成物中に存在する。
【0056】
この態様において、本発明のPNPは、「ハイアシッド(high acid)」ポリマー安定剤(しばしば、「樹脂担持エマルション重合」と称される、例えば、米国特許第6,020,061号を参照)を使用するため又は立体安定剤を使用するための公知の方法に従いエマルション重合において安定剤(即ち、分散剤)として使用され得る。 好適なエマルションポリマー組成物の中で、任意のエマルションポリマー、コポリマー、多段コポリマー、インターポリマー及びコア‐シェルポリマー等が、本発明のPNPを使用して安定化され得る。 任意のエチレン性不飽和モノマーが使用され得る一方で、安定化されるエマルションポリマーは少なくとも一つの(メタ)アクリル酸エステルから調製されるのが好ましい。
【0057】
本発明のPNP安定剤を含有するエマルション重合を遂行する上で、全ての典型的なエマルション重合成分、条件及びプロセスが使用され得る、例えば、それらは、任意のエマルション重合乳化剤(石鹸)が存在することができ(又は不存在でさえもよい)、また、開始剤、温度、連鎖移動剤、反応器の種類及び固形分等である。 この仕様で調製されるラテックスは、ラテックス粒子表面に並びに水性相中にPNPを有するものと信じられる。 これは、接着剤の湿潤及び乾燥特性における改良をもたらす。 また、斯かるPNP安定化ラテックスは、PNP及び慣用のラテックス類似のブレンドと比較して向上したコロイド安定性を発揮することができる。
【0058】
これらの水性接着剤組成物のそれぞれについて容易に明らかであるように、結果として生じる接着剤中に存在するPNP固形分の総量及び結果的には乾燥接着剤のPNP量は、水性接着剤組成物を作成する上で使用される水性PNP組成物の重量パーセント及び水性PNP組成物におけるポリマーナノ粒子の重量パーセント両方の関数である。
【0059】
本発明の接着剤に使用されるエマルションポリマーは、当分野でよく知られたエマルション重合技術により調製されている。 エマルションポリマーは、水溶性ラテックス、フィルム形成性ポリマーを生じさせる任意のモノマー又はモノマー混合物から形成され得る。 本発明の水性接着剤に使用されるエマルションポリマーは、典型的には−100から+50℃の範囲の示差走査熱量分析により測定されたガラス転移温度を有する。 PSAについて、Tgは、好ましくは−70から−10℃、より好ましくは、−70から−35℃の範囲である。 ドライボンド積層接着剤についてTgは、好ましくは−50から+50℃、より好ましくは−30から+25℃、更により好ましくは−10から+10℃の範囲である。 ヒートシール接着剤についてTgは、好ましくは−20から+50℃、より好ましくは+10から+30℃の範囲であり;追加的に、ヒートシール接着剤の弾性率は、好ましくは25から100℃の範囲の温度において約3×10
6ダイン/cmである。 コールドシール接着剤についてTgは、好ましくは−100から+10℃、好ましくは−80から0℃の範囲である。 【0060】
エマルションポリマーのMwは、接着及び粘着強度の好適な均衡を与えるためにエマルション重合の過程において、n‐ドデシルメルカプタンのような連鎖移動剤の添加を通して調製され得る。
【0061】
多岐に亘るモノマー又はモノマー混合物が、本発明の接着剤に使用されるエマルションポリマーを製造するために使用され得る。 例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート(EA)、プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、ブチルアクリレート(BA)、イソブチルアクリレート、第2級ブチルアクリレート、t‐ブチルアクリレート、ペンチルアクリレート、ネオペンチルアクリレート、ヘキシルアクリレート、ヘプチルアクリレート、オクチルアクリレート、イソオクチルアクリレート、2‐エチルヘキシルアクリレート(EHA)、デシルアクリレート、イソデシルアクリレート、ラウリルアクリレート、ボルニルアクリレート、イソボルニルアクリレート、ミリスチルアクリレート、ペンタデシルアクリレート及びステアリルアクリレート等を含むアクリルエステルモノマー;メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、プロピルメタクリレート、イソプロピルメタクリレート、ブチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、ヘキシルメタクリレート、オクチルメタクリレート、イソオクチルメタクリレート、デシルメタクリレート、イソデシルメタクリレート、ラウリルメタクリレート、ボルニルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ミリスチルメタクリレート、ペンタデシルメタクリレート、ステアリルメタクリレート及びホスホエチルメタクリレート等を含むメタクリル酸エステルモノマー;アクリル酸(AA)、メタクリル酸(MAA)、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、スチレン、置換スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、エチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、スチレンスルホン酸ナトリウム、ビニルスルホン酸ナトリウム、アクリルアミド及びメタクリルアミド等が使用され得る。 他のエマルションポリマーとしては、ポリウレタン、ポリエステル、天然ゴム、合成ゴム、ポリビニルエーテル、ポリ塩化ビニル及びそれらのコポリマー、尿素ホルムアミド、フェノールホルムアミド、レゾルシノール及びブロックコポリマー(クラトン樹脂(Kraton、商標))の分散液が挙げられるが、これらに限定されない。
【0062】
接着剤組成物は、例えば、粘着剤、乳化剤及び湿潤剤、架橋剤、モノマー、オリゴマー、ポリマー、溶媒又は可塑剤、バッファー、中和剤、増粘剤又はレオロジー改良剤、殺生物剤、発泡防止剤又は消泡剤のような慣用の接着剤補助剤を含有することができる。
【0063】
本発明の一態様において、接着剤組成物は接着剤組成物の総乾燥重量を基準にして90から100重量%のPNPを含むことができる。 もし、100重量%未満のPNPが利用されるならば、残存重量フラクションは、エマルションポリマー、分散剤、界面活性剤、充填剤又は本接着剤組成物に使用される他の添加剤を含有することができる。 本発明の他の態様において、接着剤組成物は、接着剤組成物の総乾燥重量を基準にして0.1から90重量%のPNPとブレンドされる好適なエマルションポリマーを含むことができる。 この範囲内のより上端においてPNPはブレンド剤として特徴付けられ得る一方で、この範囲内のより下端において、PNPは添加剤として特徴付けられ得る。 本発明の更に他の態様において、接着剤組成物は、樹脂担持エマルションポリマー(ReSEP)として好適なエマルションポリマー粒子上の周りに凝集又は担持されたPNPを含むことができる。 典型的に、ReSEP組成物は、接着剤組成物の総乾燥重量を基準にして10から60重量%のPNPを含有する。 斯かる組成物のそれぞれの接着剤は、PSA、積層接着剤、ヒートシール及びコールドシール接着剤として使用され得る。
【0064】
本発明の水性接着剤組成物の固形分は、約10重量%から約70重量%である。 粘度は、典型的にはブルックシールド粘度計を使用して測定すれば0.05から5Pa. s(50cpsから5000cps)である;異なる最終使用及び適用方法に適した粘度は、かなり変化する。 接着剤は、カーテンコーティング、ローラーコーティング、リバースローラーコーティング、メイヤーロッド(meyer rod)、スロットダイ及びグラビアコーティングのような慣用の接着剤適用方法により塗布され得る。 接着剤組成物は、例えば、置換エチレンモノマー、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリエステル又は複合ブレンドのシート及びフィルムをはじめとするプラスチック、金属フィルム、織布及び不織布、紙等の基体に、化学プライマー、処理剥離ライナー又はコロナ又はフレーム処理表面のような前基体処理して又は処理なしで塗布され得る。 化学プライマーは、PNPを伴い又はPNPなしの接着剤組成物のプレコートであり得るか、代替のプライマー組成物であり得る。 基体上の接着剤コーティングは、典型的には40℃から200℃の温度において乾燥し、または乾燥される。
【0065】
本発明の一態様において、50ナノメーターより大きい粒径を有するエマルションポリマーのような、水性媒体に分散されたポリマーを含有する水性接着剤は、PNPと混合される。 そのように形成された水性接着剤は、斯かるPNP不在の水性接着剤組成物のそれと比較して、上記したような湿潤又は乾燥状態で少なくとも一つの改良された特性を発揮する。
【0066】
本発明の一態様において、50ナノメーターより大きい粒径を有するエマルションポリマーのような、水性媒体に分散されたポリマーを含有する水性接着剤は、PNPの存在化に調製される。 水性媒体に分散されたポリマーは、エマルション重合、ミニエマルション、マイクロエマルション、サスペンション重合、非水性ディスパーション重合、又は溶液重合のような種々の重合法により調製され得る。 そのように形成された水性接着剤は、斯かるPNP不在の水性接着剤組成物のそれと比較して、上記したような湿潤又は乾燥状態で少なくとも一つの改良された特性を発揮する。
【0067】
本発明の一態様において、エマルションポリマーのような水性媒体に分散されたポリマーを含有する水性接着剤は、PNPと混合又はブレンドされ、該PNPは可塑剤である溶媒又は水溶性溶媒又はエマルションポリマーと相溶性の溶媒混合物内の分散液として提供される。 そのように形成された水性接着剤は、斯かるPNP不在の水性接着剤組成物のそれと比較して、上記したような湿潤又は乾燥状態で少なくとも一つの改良された特性を発揮する。
【0068】
本発明の一態様において、例えば、接着剤促進剤又は剥離剤、又は追加の架橋可能な部位のような官能種を有するPNPを含む水性接着剤が、提供される。 例えば、官能種は、PNPの調製において導入される相当する官能性モノマー、PNPの後反応又はPNPへの適当な種の吸着等の物理的付加、水素結合等により提供され得る。 PNPは、PNP不在の接着剤と比較して官能種のより効率的な使用を提供する。 PNPは、また、官能種が50ナノメーターより大きい粒子に付着している場合の接着剤に比較して官能種のより効率的な使用を提供する。
【0069】
一態様において、PNPを伴う接着剤は、特に接着が難しい基体に対して改良された接着力を意味する、有用な固有接着力を有する。 特定の理論に拘束されるわけではないが、斯かる接着剤中のPNPは、空気界面又は被覆基体にマイグレーションすることができ、その後接着剤製品のフェイスストック(又は基体層)又は接着剤製品が接着している表面にのいずれかに固有粘着性を提供する。 この性質は接着剤製品中に好適な接着剤層を提供するために、又は例えば接着剤テープ製品において剥離層を提供するために有益に使用され得る。 好適な極性官能基を有するPNPの選択は、金属化フィルム及び紙をはじめとする高エネルギー基体のような種々の接合が難しい基体への接着を促進するのに使用され得る。 ヒドロキシル(例えば、HEMA系)及び酸含有モノマー及びPEMは斯かる極性モノマーである。 同様に、好適な非極性官能基を有するPNPの選択は、高及び低密度ポリエチレン、未処理配向ポリプロピレン(OPP)及びプリンテッドオレフィンのような低エネルギー基体のような基体への接着を促進するのに使用され得る。 シリコーン及びフルオロモノマー並びに他の疎水性モノマーは、斯かる非極性モノマーの例である。
【0070】
本発明の一態様において、水溶液に溶解したポリマーを含有する接着剤は、フルオロモノマー、珪素含有モノマー又は100から5000g/モルの範囲のポリ(アルキレン‐オキシド)セグメント分子量を有するポリ(酸化アルキレン)含有モノマー(ポリ(エチレン‐オキシド)セグメントを含むモノマー等)又はこれらの混合物のような少なくとも一つの共重合表面活性モノマーを含むPNPと混合される。 この態様において、PNPを調製するために使用される表面活性モノマーの重量パーセントは、1から90%、好ましくは2から75%、より好ましくは5から50%及びいっそうより好ましくは10から40%である。 フッ素、珪素及びポリ(アルキレン‐オキシド)を含有するPNPは、また、反応性基を含有するPNPとフッ素、珪素及びPNPの反応性基と化学的に相互作用するポリ(アルキレン‐オキシド)化学部位とを反応させることにより調製され得る。 斯かる接着剤組成物から形成された乾燥接着剤は、改良された固有接着性又は剥離性を発揮する。
【0071】
望ましいガス又は水分バリヤー特性を有する水性接着剤組成物は、好適なポリマーに組み入れられるときバリヤー官能性を提供する公知の塩化ビニル、塩化ビニリデン、ビニルアルコール、アクリロニトリル及びその他のモノマーのような好適なモノマーを含むPNPを使用して調製され得る。
【0072】
次の実施例は、更に本発明の種々の態様を例示するため提示される。
【0073】
実施例1. ブチルアクリレートPNPの調製5リットルの反応器に熱電対、温度調節機、パージガス入り口、パージガス出口付き水冷還流コンデンサー、撹拌器及び添加漏斗が装備された。 添加漏斗に337.5gのブチルアクリレート(純度100%)、67.5gのアクリル酸(純度100%)、45gのトリメチロールプロパントリアクリレート、9gのミネラルスピリッツ中のt‐アミルペルオキシピバレート75%溶液(ルペロックス554‐M‐75)及び112.5gのイソプロピルアルコール(「IPA」)からなるモノマー混合物571.5gが装填された。 2334gのIPAを含む反応器は、その後、反応器の内容物を75℃にするため熱を適用する前に窒素で30分間フラッシュされた。 反応器の内容物が75℃に達したら、添加漏斗中のモノマー混合物は90分かけて反応器に一定速度で装填された。 モノマー混合物添加の終点より30分後、9.0gのミネラルスピリッツ(ルペロックス554‐M‐75)中のt‐アミルペルオキシピバレート75%溶液及び23gのIPAからなる、30分間隔でなされる二つのチェイサーアリコートの最初のものが添加された。 第二チェイサーアリコートの終点において、反応器の内容物は、反応を完了させるために80℃に2時間30分間、維持された。 結果として生じたポリマーは、真空で溶媒を除去して分離された。 この物質は、アルカリ水であった。 かくして形成されたPNPは、GPCで測定して2.8から3.6nmの粒径分布を有していた。
【0074】
実施例2. ブチルアクリレートPNPの調製5リットルの反応器に熱電対、温度調節機、パージガス入り口、パージガス出口付き水冷還流コンデンサー、撹拌器及び添加漏斗が装備された。 添加漏斗に356.25gのブチルアクリレート(純度100%)、71.75gのアクリル酸(純度100%)、47.5gのトリメチロールプロパントリアクリレート、19gの、ミネラルスピリッツ中のt‐アミルペルオキシピバレート75%溶液(ルペロックス554‐M‐75)及び118.75gのメチルイソブチルケトン(「MIBK」)からなるモノマー混合物612.75gが装填された。 2454gのMIBKを含む反応器は、その後、反応器の内容物を75℃にするため熱を適用する前に窒素で30分間フラッシュされた。 反応器の内容物が75℃に達したら、添加漏斗中のモノマー混合物は90分かけて反応器に一定速度で装填された。 モノマー混合物添加の終点より30分後、9.5gのミネラルスピリッツ(ルペロックス554‐M‐75)中のt‐アミルペルオキシピバレートの75%溶液及び23gのMIBKからなる、30分間隔でなされる二つのチェイサーアリコートの最初のものが添加された。 第二チェイサーアリコートの終点において、反応器の内容物は、反応を完了させるために80℃に2時間30分間、維持された。 結果として生じたポリマーは、真空で溶媒を除去して分離された。 この物質は、アルカリ水であった。 かくして形成されたPNPは、GPCで測定して6から8nmの粒径分布を有していた。
【0075】
実施例1及び2のPNPは、エマルション100部当たり(PHE)5、10及び20部において市販のPSAエマルション、ロープレックス(Rhoplex、商標)N‐619(ロームアンドカンパニー、米国、フィラデルフィア)と混合される。 pHは、アンモニアで7.5より上に維持される。 エマルション混合物は、直接コートされるか、又は剥離ライナーから2ミルポリエステルフィルムに転写される前に、一晩、平衡化された。 接着剤は慣用の強制エアオーブン内で100℃において3分間、乾燥されて、0.9ミル(コート重量=cwt)の乾燥フィルムを形成した。 接着剤製品は、剥離ライナーに密封された。 ステンレス鋼板(ss)パネル上でループタック、90℃のピール性及び剪断力(1”×1”×1kg)が測定された。
【0076】
【表2】
【0077】
破壊の様式は、接着層破壊(「A」)又は凝集破壊(C)のいずれかとして上記で示される。
【0078】
追加的に湿潤接着剤組成物の機械的安定性は、フィンガーラブにより湿潤ロープレックスN‐619単独との比較において試験される。 PNPは、湿潤接着剤の機械的安定性を著しく改善し、合格の評価付けが上記10及び20PHEを含有する接着剤組成物に対し与えられた。 湿潤接着剤は、また、泡立ち傾向につき評価され、PNPを有する組成物は実質的により低い泡立ちであった。
【0079】
実施例3. 樹脂担持エマルション重合に適したPNPの調製メチルメタクリレート/ブチルアクリレート/アクリル酸/トリメチロールプロパントリアクリレート(35/35/20/10重量%)のPNPが、次の溶液重合により調製された:5リットル反応器に熱電対、温度調節器、パージガス入り口、パージガス出口付き水冷還流コンデンサー、攪拌機及びモノマー供給ラインが装備された。 157.5gのメチルメタクリレート(MMA)、157.5gのブチルアクリレート(BA)、90.0gのアクリル酸(AA)及び45.00gのトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)からなるモノマー混合物(A)450.0gが別の容器に添加された。 追加の容器に、ミネラルスピリッツ中のt‐アミルペルオキシピバレートの75%溶液(トリガノックス(Triganox)125‐C75)18.00g及びイソプロピルアルコール112.50gからなる開始剤混合物(B)が装填された。 2325.00gのイソプロピルアルコールの装填物が、反応器に添加された。 約30分間、窒素で反応器をスイープした後で、反応器装填物を79℃にするため熱が加えられた。 反応器内容物が79℃に達したとき、モノマー混合物(A)及び開始剤混合物(B)双方の二つの供給物が反応器に添加された。 二つの混合物は120分に亘りフィードポンプを使用して一定速度で供給された。 モノマー及び開始剤供給の最後において、9.00gのミネラルスピリッツ(トリガノックス125‐C75)中のt‐アミルペルオキシピバレートの75%溶液及び22.50gのイソプロピルアルコールからなる三つの追加の開始剤装填物の最初のものが添加される前にバッチは30分間、79℃に維持された。 第二の開始剤装填物の添加は、第一開始剤装填物添加の30分後に行われた。 同様に、最終開始剤装填物添加は、第二開始剤装填物添加の30分後に行われた。 バッチは、それからモノマーの完全転化を達成するために更に2時間30分の間、79℃の重合温度に維持される。 最終維持の最後に、バッチは42.5gのアンモニア水の28%水溶液及び450.00gの水の混合物で中和された。 中和ポリマー溶液は、ロートエバポレーターに移され、減圧下で〜35℃において溶媒をストリップした。 全ての溶媒を除去した後で、バッチは更に水中で〜25%ポリマー(PNP)に水で希釈された。 粒径は〜5.0nmと測定された。 生じた水性PNP分散液は、エマルション重合用安定剤として使用され得る。
【0080】
実施例4. PNPを利用する樹脂担持エマルション重合アンモニア水で調整されたpH8〜9の、アンモニア中和アクリル酸ベースPNP342g(水中で25.6%活性)(実施例3に従い調製された35MMA/35BA/20AA/10TMPTA、粒径10nm未満)は、サイドアーム、コンデンサー、攪拌機及び熱電対を装備した2リットル4つ口丸底フラスコに添加された。 フラスコ内容物は、窒素スィープ下で85℃に加熱された。 一方で、DI水中過硫酸アンモニウムの別の溶液2.63g及び0.22gの28%水酸化アンモニウムを2時間掛けて添加しながら、同時にモノマー、350.0gのブチルアクリレートが1.5時間を掛けて添加された。 モノマー混合物供給が完了した後で、過硫酸塩の同時供給が更に30分継続された。 この時点で、フラスコ内容物は、更に60分間85℃に維持された。 その後で、フラスコ内容物は、25℃に冷却され、100/325メッシュセットの積み重ねられたスクリーンを通して濾過され、ごく僅かな量の凝集したポリマーが生じた。 結果として生じたろ過エマルション重合生成物は、55.04%の固形分、7.52のpH、128nmの粒径及び1090cpsの粘度を有していた。 このラテックスは20%PNP及び80%ポリブチルアクリレートを含有していた。
【0081】
実施例5. PNPを利用した樹脂担持エマルション重合実施例4の手順に従い、他の樹脂担持エマルションポリマーが、25%の同一PNP及び75%のポリブチルアクリレートを利用して調製された。 生じたろ過エマルション重合生成物は、52.87%の固形分、pH7.49、粒径148nm及び950cpsの粘度を有していた。
【0082】
比較実施例A. 慣用の分散剤を利用した樹脂担持エマルション重合実施例4の手順に従い、他の樹脂担持エマルションポリマーが、20%の慣用の分散剤及び80%のブチルアクリレートを利用して調製された。 慣用の分散剤は、ジョンクリル(Joncryl、商標)678(S.C.Johnson&Sons,INc.,米国、ウィスコンシン州、ラシン)であった。 固体物質は、アンモニア水に溶解され、9.45gの非イオン性界面活性剤、マコール(Macol)1(BASF Cop.)が安定な生成物を生じるのに要求されることを除き、樹脂担持エマルション重合のための実施例4におけるPNPに同等に利用される。 それは、ブチルアクリレートモノマーと混合される。 生じたろ過エマルション重合生成物は、49.02%の固形分、pH7.84、158nmの粒径及び160cpsの粘度を有していた。
【0083】
比較実施例B. 慣用の分散剤を利用した樹脂担持エマルション重合比較実施例Aの手順に従い、他の樹脂担持エマルションポリマーが、25%の同一の慣用分散剤及び75%のブチルアクリレートを利用して調製された。 生じたろ過エマルション重合生成物は、48.19%の固形分、pH7.97、粒径142nm及び260cpsの粘度を有していた。
【0084】
実施例6〜7. PNPを有するPSA
それぞれ20%及び25%PNPにより製造された実施例4及び5の樹脂担持ポリマーは、双方とも2ミルポリエステルフィルムに直接及びトランスファーコートされ、100℃において3分間、0.8ミルのフィルム厚さに乾燥された。 追加的に比較実施例A及びBにおける慣用の分散剤ジョンクリル678により製造された樹脂担持ポリマーは、コートされ、同じ方法で乾燥された。 20%又は25%PNPにより製造されたポリブチルアクリレート(pBA)接着剤は、適度なステンレス鋼上のループ粘着性、90°ピール性及び剪断性(1”×1”×1kg)を有し、一方、20%及び25%pBAを有するジョンクリル678により製造されたものは、測定可能な粘着性、ピール性又は剪断性を有さなかった。
【0085】
【表3】
【0086】
破壊様式は、接着層破壊(「A」)又は凝集破壊(「C」)のいずれかとして示される。
【0087】
実施例8. 低ニップ温度によるドライボンド積層化40〜60%の固形分を有する70BA/20AA/10TMPTA組成のPNPは、実施例1に従い調製される。 固形分を基準にして5%のこのPNP及び固形分を基準にして95%の98.2BA/1.8MAA組成のポリマーエマルションを含有する配合物が形成され、エマルションは積層用途においては単独では使用されない。 ベンチトップミキサーにより撹拌し、次に引き続き撹拌しながら滴下によりPNPを添加しながら、配合物は14容積%のNH
4 OHを滴下して加えることによりpHを9に調整して、容器中でポリマーエマルションを提供することにより調製される。 調製物は約10分間、蓋をして混合され、その後1時間、平衡化される。 【0088】
積層化に際し、配合物は#1巻き線ロッドを使用して1.5ミル配向ポリプロピレン(OPP)フィルム上にドローダウンされ、約0.2ミルの湿潤フィルム厚さを生じさせる。 コートされたフィルムは、3分間、104℃のオーブンに置かれ約0.1ミルの厚さにフィルムを乾燥する。 乾燥フィルムは、オーブンから除去され、接着剤はゴムローラーで圧力をかけながら別の1.5ミルOPPフィルムと接触させられる。 OPP‐OPP積層体は、その後、38℃の温度で約20psiの圧力で一組のローラー中を通過させられる。 生じた積層体は、10インチ/分において遂行されたt‐ピール接着試験によれば25℃及び65℃において250g/インチの接着強度を有する。 良好な接着性を提供することに加えて、PNPは剪断強度が増加される。 38℃のニップ温度は、慣用の系において使用される85℃よりはかなり低い。
【0089】
実施例9. PNPを有するコールドシール接着剤ポリマーエマルション(98.2BA/1.8MAA)及びPNP(75MMA/20AA/5TMPTA)のブレンドは、実施例10のプロセスに従い調製される。 接着剤は、フィンガータッチテストに基づけば少ししか粘着性を有していない。 二つの1.5ミルOPPフィルムは、0.1ミルの接着剤コーティングでコートされる。 その二つの接着剤表面は、その後、室温でお互いが接触させられ積層体を形成する。 接着強度は、90°ピール試験により測定して300から500g/インチの範囲である。
【0090】
実施例10:メチルメタクリレート/メタクリル酸/トリメチロールプロパントリアクリレート(70/20/10重量%)のPNPが、次の溶液重合により調製された:5リットル反応器に熱電対、温度調節器、パージガス入り口、パージガス出口付き水冷還流コンデンサー、攪拌機及びモノマー供給ラインが装備された。 315.00gのメチルメタクリレート(MMA)、90.00gのメタクリル酸(MAA)及び45.00gのトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)からなるモノマー混合物(A)450.00gが別の容器に添加された。 追加の容器に、ミネラルスピリッツ中のt‐アミルペルオキシピバレートの75%溶液(トリガノックス125‐C75)18.00g及びイソプロピルアルコール112.50gからなる開始剤混合物(B)が装填された。 2325.00gのイソプロピルアルコールの装填物が、反応器に添加された。 約30分間、窒素で反応器をスイープした後で、反応器装填物を79℃にするため熱が加えられた。 反応器内容物が79℃に達したとき、モノマー混合物(A)及び開始剤混合物(B)双方の二つの供給物が反応器に添加された。 二つの混合物は120分に亘りフィードポンプを使用して一定速度で供給された。 モノマー及び開始剤供給の最後において、9.00gのミネラルスピリッツ中のt‐アミルペルオキシピバレートの75%溶液(トリガノックス125‐C75)及び22.50gのイソプロピルアルコールからなる三つの追加の開始剤装填物の最初のものが添加される前にバッチは30分間、79℃に維持された。 第二の開始剤装填物の添加は、第一開始剤装填物添加の30分後に行われた。 同様に、最終開始剤装填物添加は、第二開始剤装填物添加の30分後に行われた。 バッチは、それからモノマーの完全転化を達成するために更に2時間30分の間、79℃の重合温度に維持される。 最終の維持の最後に、バッチは、42.5gのNH
4 OH50%水溶液及び450.00gの水の混合物で中和された。 中和ポリマー溶液は、ロートエバポレーターに移され、完全真空下で〜35℃において溶媒をストリップした。 全ての溶媒を除去した後で、バッチは更に水中で〜40%ポリマー(PNP)に水で希釈された。 粒径は〜5.0nmと測定された。 生じた水性PNP分散液は、エマルション重合用安定剤として使用され得る。 【0091】
実施例11
295.3gの脱イオン水は、サイドアーム、コンデンサー、攪拌機及び熱電対を装備した2リットル4つ口丸底フラスコに添加された。 pH8〜9の、アンモニア中和アクリル酸ベースPNP160.6g(水中で51.6%活性)(実施例10に従い調製された70MMA/20MAA/10TMPTA、粒径10nm未満)は、その後丸底フラスコに添加され、安定剤として使用された。 フラスコ内容物は、窒素スイープ下で85℃に加熱され、それから、145.9gのスチレン、185.7gの2‐エチルヘキシルアクリレート及び0.35gのブチルメルカプトプロピオネートからなるモノマー混合物6.8gが添加された。 6.8gのモノマー混合物をフラスコに添加した直後に、過硫酸アンモニウムの溶液(3gの脱イオン水に溶解した過硫酸アンモニウム0.33g)がフラスコに添加され、フラスコ内容物は、15分間、85℃に維持された。 15分間放置の後、追加の過硫酸アンモニウム溶液(17.8gの水に溶解された過硫酸アンモニウム1.0g)はフラスコに添加され、残存モノマー混合物は、150分かけてフラスコに添加された。 60分のモノマー混合物供給の後、過硫酸アンモニウム同時供給溶液(29.9gの水に溶解された1.2gの過硫酸アンモニウム)が120分かけてフラスコに添加された。 140分のモノマー混合物供給の後、反応温度は87℃に増加された。 モノマー混合物供給の終了に際し、フラスコ内容物は、更に60分間、87℃において維持された。 その後、フラスコ内容物は、25℃に冷却され、100/325メッシュセットの積み重ねられたスクリーンを通して濾過され、ごく僅かな量の凝集したポリマーが生じた。 結果として生じたろ過エマルション重合生成物は、48.1%の固形分、8.3のpH、700nmの粒径及び1340cpsの粘度を有していた。
【0092】
実施例12から24 エマルション重合に使用されるPNP
実施例12:メチルメタクリレート/メタクリル酸/トリメチロールプロパントリアクリレート(70/20/10重量%)のPNPが、次の溶液重合により調製された:5リットル反応器に熱電対、温度調節器、パージガス入り口、パージガス出口付き水冷還流コンデンサー、攪拌機及びモノマー供給ラインが装備された。 315.00gのメチルメタクリレート(MMA)、90.00gのメタクリル酸(MAA)及び45.00gのトリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA)からなるモノマー混合物(A)450.00gが別の容器に添加された。 追加の容器に、ミネラルスピリッツ中のt‐アミルペルオキシピバレートの75%溶液(トリガノックス125‐C75)18.00g及びイソプロピルアルコール112.50gからなる開始剤混合物(B)が装填された。 2325.00gのイソプロピルアルコールの装填物が、反応器に添加された。 約30分間、窒素で反応器をスイープした後で、反応器装填物を79℃にするため熱が加えられた。 反応器内容物が79℃に達したとき、モノマー混合物(A)及び開始剤混合物(B)双方の二つの供給物が反応器に添加された。 二つの混合物は120分に亘りフィードポンプを使用して一定速度で供給された。 モノマー及び開始剤供給の最後において、9.00gの、ミネラルスピリッツ中のt‐アミルペルオキシピバレートの75%溶液(トリガノックス125‐C75)及び22.50gのイソプロピルアルコールからなる三つの追加の開始剤チェイサーの最初のものが添加される前にバッチは30分間、79℃に維持された。 第二の開始剤チェイサーの添加は、第一開始剤装填物添加の30分後に行われた。 同様に、最終開始剤チェイサー添加は、第二開始剤装填物添加の30分後に行われた。 バッチは、それからモノマーの完全転化を達成するために更に2時間30分の間、79℃の重合温度に維持される。 最終の維持の最後に、バッチは42.5gのNH
4 OH50%水溶液及び450.00gの水の混合物で中和された。 中和ポリマー溶液は、ロートエバポレーターに移され、完全真空下で〜35℃において溶媒をストリップした。 全ての溶媒を除去した後で、バッチは更に水中で〜40%ポリマー(PNP)に水で希釈された。 粒径は〜5.0nmと測定された。 生じた水性PNP分散液は、エマルション重合用安定剤として使用され得る。 【0093】
実施例13.
295.3gの脱イオン水は、サイドアーム、コンデンサー、攪拌機及び熱電対を装備した2リットル4つ口丸底フラスコに添加された。 pH8〜9の、アンモニア中和アクリル酸ベースPNP160.6g(水中で51.6%活性)(実施例12に従い調製された70MMA/20MAA/10TMPTA、粒径10nm未満)は、その後丸底フラスコに添加され、安定剤として使用された。 フラスコ内容物は、窒素スイープ下で85℃に加熱され、それから、145.9gのスチレン、185.7gの2‐エチルヘキシルアクリレート及び0.35gのブチルメルカプトプロピオネートからなるモノマー混合物6.8gが添加された。 6.8gのモノマー混合物をフラスコに添加した直後に、過硫酸アンモニウムの溶液(3gの脱イオン水に溶解した過硫酸アンモニウム0.33g)がフラスコに添加され、フラスコ内容物は、15分間85℃に維持された。 15分間放置の後、追加の過硫酸アンモニウム溶液(17.8gの水に溶解された過硫酸アンモニウム1.0g)はフラスコに添加され、残存モノマー混合物は、フラスコに150分にわたって供給された。 モノマー混合物供給の60分後、過硫酸アンモニウム同時供給溶液(29.9の水に溶解された1.2gの過硫酸アンモニウム)は120分かけてフラスコに添加された。 モノマー混合物供給の140分後、反応温度は87℃に上昇された。 モノマー混合物供給の終了に際し、フラスコ内容物は、更に60分間、87℃において維持された。 その後、フラスコ内容物は、25℃に冷却され、100/325メッシュセットの積み重ねられたスクリーンを通して濾過され、ごく僅かな量の凝集したポリマーが生じた。 結果として生じたろ過エマルション重合生成物は、48.1%の固形分、8.3のpH、700nmの粒径及び1340cpsの粘度を有していた。
【0094】
実施例14〜24.
下記表に列挙されたPNPは、実施例12の方法に従い調製され、実施例13に従いエマルション重合に使用される。 異なる組成物のPNPを利用すれば、特性の異なる粒径のラテックス及びそれらが示す改良された特性にを有する種々の生成物が得られる。 生じたエマルションポリマーは、これらのPNP無しで調製された相当するエマルションポリマーに対し、改良された可塑剤マイグレーション抵抗、改良された溶媒マイグレーション抵抗、改良されたガスバリヤー性又は改良された固有接着を有する接着剤を配合するのに使用される。
【0095】
エマルション安定剤として有用なPNPの表【表4】
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