【0001】 本発明はコーティングに関し、特に、セメント質物質、たとえば、セメント、シンダーブロックなどに施用されるコーティングに関する。 【0002】 セメント質物質が建築物または道路、歩道、床、および滑走路などの水平表面のいずれに関連するものであっても、これらを通過する水の移動を防止することは、これらの物質が第一に使用されるので建築技師および技術者の主な目的であった。 メーソンリー(masonry)、コンクリートおよび他のセメント質基体は高度に多孔質の内部構造であるので、水はこれらに浸透することができる。 水は、基体、特にそれが凍結した場合、損傷を与え得、また埋め込まれた鋼鉄補強材(steel reinforcement)を腐食させ得る。 さらに、水のメーソンリーの内外への移動は塩を抽出し、表面に見苦しい塩の汚れを堆積させる。 これらの問題を低減するために、多くの無機基体は溶媒性または水性ポリマーでシールされる。 【0003】 溶媒性シーラーは孔により深く浸透すると考えられており、それらは水を非常によく排除する。 しかしながら、溶媒含率(総配合物の50%〜80%)が、健康および火災の危険を引き起こす要因となっている。 水性ラテックスシーラーは、通常、より安全であるが、非常により小さいセメント孔のサイズと比較して比較的大きいラテックス粒子のサイズのために、その粒子があまり深くは浸透しない。 より小さな粒子はより良く浸透すると考えられる。 【0004】 一つの可能性のある解決法がWO99/01522に提示されており、これは1〜60nmのポリマー粒子の使用を開示している。 これらの小粒子は、アミンをカルボキシル性脂肪酸と反応させることにより調製され、アミン塩を得る。 これらのポリマー粒子は次いで架橋剤と組み合わせられ、セメント質基体をコーティングするための配合物の必須成分を構成する。 しかしながら、コーティングが基体の表面に施用されるまで架橋反応が起こるのを防止するために、塩基性化合物を配合物に添加する。 塩基性化合物は、有機または無機アミン、たとえば、アンモニア、ジメチルアミンまたはジエチルアミンである。 基体の表面に施用した後、塩基性化合物は揮発し、これにより架橋反応が進行するのを可能にする。 【0005】 この方法に関する問題は、コーティングが基体上で適切に硬化し得る前に、非常に有害な物質がまずコーティングから揮発することである。 これは、この特許により開示された化合物の取り組まなくてはならない望ましくない結果である。 【0006】 従って、望ましいのは、内部セメント質構造内の最小の孔でさえも満たすために十分小さい粒子を含み、有機溶媒の使用または有害な架橋抑制剤の放出を必要としないで水の浸透に対抗するために十分なコーティングマトリックスを形成するコーティング配合物である。 本発明のポリマーナノ粒子コーティング配合物はこれらの目的を達成する。 【0007】 【特許文献1】国際公開第WO99/01522号パンフレット【0008】 本発明は、ポリマーナノ粒子(「PNP」)を含む。 各PNPは1〜50ナノメートル(「nm」)の平均粒子直径を有し、1〜100重量%の少なくとも一つの多エチレン性不飽和モノマーからなる。 より好ましくは、各PNPは直径が1〜30nm、最も好ましくは1〜10nmである。 【0009】 本発明の第二の態様において、本明細書において記載されているPNPは従来のラテックスセメントシーリングバインダー、たとえば、Rohm and Haas、Phila、PAから得られるCS−4000と同時に配合することができる。 【0010】 本発明の第三の態様は、PNPを従来のケイ素含有ポリマーセメントシーラーと組み合わせることを含む。 【0011】 本発明の架橋されたPNPは、当業者に公知の重合技術により形成することができる。 これらの技術は、縮合重合、カチオン重合、開環メタセシス重合、アニオン重合およびフリーラジカル重合を包含する。 最も好ましい技術は、ラジカル重合可能なモノマーと少なくとも一つの架橋モノマーのフリーラジカル付加重合である。 【0012】 本明細書において使用されるとおり、次の略語は文脈が特に明示しない限り、次の意味を有する:C=センチグレード;μm=ミクロン、UV=紫外線;rpm=1分当たりの回転数;nm=ナノメートル;J=ジュール;cc=立方センチメートル;g=グラム;wt%=重量パーセント;L=リットル;mL=ミリリットル;MIAK=メチルイソアミルケトン;MIBK=メチルイソブチルケトン;PMA=ポリ(メチルアクリレート);CyHMA=シクロヘキシルメタクリレート;EG=エチレングリコール;DPG=ジプロピレングリコール;DEA=ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート;BzA=ベンジルアクリレート;BzMA=ベンジルメタクリレート;MAPS=MATS=(トリメトキシルシリル)プロピルメタクリレート;PETTA=ペンタエリスリトールテトラ/トリアセテート;PPG4000DMA=ポリプロピレングリコール4000ジメタクリレート;DPEPA=ジペンタエリスリトールペンタアクリレート;TMSMA=トリメチルシリルメタクリレート;MOPTSOMS=メタクリルオキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン;MOPMDMOS=3−メタクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン;TAT=トリアリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン;IBOMA=イソボルニルメタクリレート;PGMEA=プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート;PEGMEMA475=ポリ(エチレングリコールメチルエーテル)メタクリレート Mw=475;EUG=オイゲノール(4−アリル−2−メトキシフェノール);およびPGDMA=プロピレングリコールジメタクリレート。 【0013】 用語「(メタ)アクリル」はアクリルとメタクリルの両方を包含し、用語「(メタ)アクリレート」はアクリレートとメタクリレートの両方を包含する。 同様に、用語「(メタ)アクリルアミド」はアクリルアミドとメタクリルアミドの両方を意味する。 「アルキル」は、直鎖、分岐および環状のアルキル基を包含する。 【0014】 本明細書で定義されるすべての範囲は両端を含み、組み合わせ可能である。 【0015】 本発明の水性組成物は、1〜50ナノメートル(nm)の範囲の平均直径を有するポリマー粒子の水性分散液を含み、該粒子は重合単位として、少なくとも一つの多エチレン性不飽和モノマーおよび少なくとも一つのエチレン性不飽和水溶性モノマーを含む。 本明細書において用いる場合、「分散液」なる用語は、第一相が第二相中に分散し、第二相が連続な媒体である、少なくとも2つの異なる相を含む物理状態を意味する。 本明細書において「水性」とは、水性媒体の重量基準で50〜100重量%が水である媒体を意味する。 【0016】 本明細書においてポリマーナノ粒子(「PNP」)と称するポリマー粒子は、付加重合体であり、これは重合単位として少なくとも一つの多エチレン性不飽和モノマーおよび少なくとも一つのエチレン性不飽和水溶性モノマーを含む。 本発明において有用な好適な多エチレン性不飽和モノマーは、例えば、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルピリジン、ジビニルナフタレン、ジビニルキシレン、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリビニルシクロヘキサン、アリル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、たとえば、ポリエチレングリコール200ジ(メタ)アクリレートおよびポリエチレングリコール600ジ(メタ)アクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ポリ(ブタンジオール)ジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリ(メタ)アクリレート、グリセリルプロポキシトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジビニルシラン、トリビニルシラン、ジメチルジビニルシラン、ジビニルメチルシラン、メチルトリビニルシラン、ジフェニルジビニルシラン、ジビニルフェニルシラン、トリビニルフェニルシラン、ジビニルメチルフェニルシラン、テトラビニルシラン、ジメチルビニルジシロキサン、ポリ(メチルビニルシロキサン)、ポリ(ビニルヒドロシロキサン)、ポリ(フェニルビニルシロキサン)、およびこれらの混合物などのジ−、トリ−、テトラ−、あるいはより高次の多官能性エチレン性不飽和モノマーを包含する。 用語「(メタ)アクリル」はアクリルとメタクリルの両方を包含し、用語「(メタ)アクリレート」は、アクリレートとメタクリレートの両方を包含する。 同様に、用語「(メタ)アクリルアミド」は、アクリルアミドとメタクリルアミドの両方を包含する。 「アルキル」は、直鎖、分岐鎖および環状アルキル基を包含する。 【0017】 典型的には、PNPは、PNPの重量基準で少なくとも1重量%の少なくとも一つの重合された多エチレン性不飽和モノマーを含む。 PNPの重量基準で99.5重量%以下の重合された多エチレン性不飽和モノマーが本発明の粒子において有効に用いられる。 重合された多エチレン性不飽和モノマーの量は、PNPの重量基準で1重量%〜80重量%であるのが好ましく、より好ましくは1重量%〜60重量%、最も好ましくは1重量%〜25重量%である。 【0018】 PNPはさらに、重合単位として、少なくとも一つの水溶性モノマーを含む。 本明細書において「水溶性モノマー」なる用語は、25℃の温度で、少なくとも7重量%、好ましくは少なくとも9重量%、最も好ましくは少なくとも12重量%の水中への溶解性を有するモノマーを意味する。 モノマーの水溶性のデータは、たとえば、「Polymer Handbook」(第2版、J.Brandrup、E.H.Immergut編、John Wiley & Sons、New York)および「Merck Index」(第11版、Merck&Co,Inc.,Rahway,New Jersey)に見られる。 水溶性モノマーの例は、エチレン性不飽和イオン性モノマーおよびエチレン性不飽和水溶性非イオン性モノマーを包含する。 典型的には、重合した水溶性モノマーの量は、PNPの重量基準で少なくとも0.5重量%である。 PNPの重量基準で99重量%以下の重合した水溶性モノマーを本発明の粒子において有効に用いることができる。 【0019】 本明細書において「イオン性モノマー」と呼ばれるエチレン性不飽和イオン性モノマーは、PNPが分散されている水性媒体中でイオン電荷を有することができるモノマーである。 好適なイオン性モノマーは、たとえば、酸含有モノマー、塩基含有モノマー、両性モノマー;4級化窒素含有モノマー、および引き続いてイオン性モノマーに形成することができる他のモノマー、たとえば、酸−塩基反応により中和されて、イオン性モノマーを形成することができるモノマーを包含する。 好適な酸基としては、カルボン酸基および強酸基、たとえば、リン含有酸およびイオウ含有酸が挙げられる。 好適な塩基基としては、アミンが挙げられる。 PNPの重量に基づいた重合されたイオン性モノマーの量は、0.5〜99重量%の範囲であるのが好ましく、より好ましくは1〜50重量%の範囲であり、さらにより好ましくは2〜40重量%であり、そして最も好ましくは3〜25重量%である。 【0020】 好適なカルボン酸含有モノマーとしては、カルボン酸モノマー、たとえば、(メタ)アクリル酸、アクリルオキシプロピオン酸、およびクロトン酸;ジカルボン酸モノマー、たとえば、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、およびシトラコン酸;ならびにジカルボン酸の半エステルであるモノマー、たとえば、1個のカルボン酸官能基および1個のC 1−6エステルを含むモノマーが挙げられる。 好ましいものは、アクリル酸およびメタクリル酸である。 好適な強酸モノマーとしては、イオウ含有酸モノマー、たとえば、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、スルホプロピル(メタ)アクリレート、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフィン酸、スチレンスルフィン酸、およびビニルスルフィン酸;ならびにリン含有酸モノマー、たとえば、2−ホスホエチル(メタ)アクリレート、ビニルリン酸、およびビニルホスフィン酸が挙げられる。 他の酸モノマーは、米国特許第5,710,227号に開示されているマクロモノマーを含む末端不飽和酸を含む。 リン含有酸モノマーはある種の基体(たとえば、金属)に対して向上した接着性を提供できるので、望ましい。 【0021】 好適な塩基含有モノマーは、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、p−アミノスチレン、N,N−シクロヘキシルアリルアミン、アリルアミン、ジアリルアミン、ジメチルアリルアミン、N−エチルジメチルアリルアミン、クロチルアミン、およびN−エチルメタリルアミンを含む、アミン官能基を有するモノマー;2−ビニルピリジンおよび4−ビニルピリジンを含む、ピリジン官能基を有するモノマー;ビニルピペリジンをはじめとする、ピペリジン官能基を有するモノマー;ならびにビニルイミダゾールを含む、イミダゾール官能基を有するモノマーを包含する。 他の好適な塩基含有モノマーは、オキサゾリジニルエチル(メタ)アクリレート、ビニルベンジルアミン、ビニルフェニルアミン、置換ジアリルアミン、2−モルホリノエチル(メタ)アクリレート、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロライド、ジアリルジメチルアンモニウムクロライド、2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリルクロライドなどを包含する。 【0022】 好適な両性モノマーは、N−ビニルイミダゾリウムスルホネート分子内塩およびN,N−ジメチル−N−(3−メタクリルアミドプロピル)−N−(3−スルホプロピル)アンモニウムベタインを包含する。 【0023】 引き続いてこの官能基を酸あるいは塩基に形成する好適な官能性モノマーは、グリシジル(メタ)アクリレートおよびアリルグリシジルエーテルなど、エポキシド官能基;無水マレイン酸など、アンハイドライド;メチルアクリレートなどのエステル;およびハライドを含有するモノマーを包含する。 好適なハライド含有官能性モノマーは、ビニル芳香族ハライドおよびハロ−アルキル(メタ)アクリレートを包含する。 好適なビニル芳香族ハライドは、ビニルベンジルクロライドおよびビニルベンジルブロマイドを包含する。 他の好適な官能性モノマーは、アリルクロライド、アリルブロマイド、および(メタ)アクリル酸クロライドを包含する。 好適なハロ−アルキル(メタ)アクリレートは、クロロメチル(メタ)アクリレートを包含する。 引き続いて官能基を非イオン性水溶性基に形成する好適な官能性モノマーは、酢酸ビニルを包含する。 重合した酢酸ビニルの加水分解によりPNPにヒドロキシル基が賦与される。 【0024】 水溶性モノマーでもある多エチレン性不飽和モノマーは、別法として、PNPを調製するために用いられる。 かかる態様において、これらのモノマーは、本発明の目的に関して、多エチレン性不飽和モノマーおよび水溶性モノマーの両方として分類される。 水溶性、多エチレン性不飽和モノマーの例は、ホスホジ(エチルメタクリレート)である。 【0025】 エチレン性不飽和水溶性非イオン性モノマーは、本明細書において「水溶性非イオン性モノマー」と呼ばれる。 水溶性非イオン性モノマーの例は、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、たとえば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートおよびヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリル酸のポリ(アルキレンオキサイド)エステル、たとえば、ポリ(エチレンオキサイド) 20メタクリレートおよびポリ(プロピレンオキサイド) 150アクリレート;アクリルアミド;およびメタクリルアミドを包含する。 PNPの重量に基づいた重合した水溶性非イオン性モノマーの量は、0.5〜99重量%の範囲であるのが好ましく、より好ましくは、20〜90重量%の範囲であり、より一層好ましくは30〜80重量%であり、そして最も好ましくは40〜70重量%である。 PNPが重合単位としてイオン性モノマーおよび非イオン性水溶性モノマーを含む場合、重合した非イオン性水溶性モノマーがより少ないレベルであることが好ましい。 【0026】 PNPは任意に重合単位として、多エチレン性不飽和モノマーでなく、水溶性モノマーでもない1以上の第三のモノマーを含んでもよい。 好適な第三のモノマーは、C 1 −C 24アルキル(メタ)アクリレート、たとえば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ペンタデシル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、およびノナデシル(メタ)アクリレート、およびその混合物を包含する。 他の好適な第三のモノマーは、酢酸ビニル;ビニルバーサテート;ジイソブチレン;ウレイド含有モノマー、たとえば、N−(エチレンウレイドエチル)−4−ペンテンアミド、N−(エチレンチオウレイド−エチル)−10−ウンデセンアミド、ブチルエチレンウレイド−エチルフマレート、メチルエチレンウレイド−エチルフマレート、ベンジルN−(エチレンウレイド−エチル)フマレート、およびベンジルN−(エチレンウレイド−エチル)マレアメート;ビニル芳香族モノマー、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ビニルキシレン、およびノニルフェノキシプロペニルポリエトキシル化アルコールを包含する。 ビニル芳香族モノマーは、その対応する置換された対応物、たとえばハロゲン化誘導体、すなわち、たとえば、フッ素、塩素または臭素をはじめとするハロゲン基の1以上を有するもの;およびニトロ、シアノ、(C 1 −C 10 )アルコキシ、ハロ(C 1 −C 10 )アルキル、(C 1 −C 10 )アルコキシ、カルボキシなどを含むものも包含する。 【0027】 PNPは1〜50nmの範囲の平均直径を有し、好ましくは1〜40nmの範囲、より好ましくは1〜30nm、さらにより好ましくは1〜25nm、さらに一層好ましくは1〜20nm、そして最も好ましくは1〜10nmの範囲である。 PNPが少なくとも1.5nm、好ましくは少なくとも2nmの平均粒子直径を有するのがさらに通常である。 PNPの粒子サイズ(平均粒子直径)を測定する一方法は、CONTIN法などのラプラス変換法を使用して相関関数を流体力学的なサイズに変換することができる標準的な動的光散乱法を用いることによる。 【0028】 典型的には、重合単位として10重量%未満の多エチレン性不飽和モノマーを含むPNPは、変調示差走査熱量測定法により測定すると、重合された多エチレン性不飽和モノマーの非存在下で組成物について−90℃〜170℃のガラス転移温度を有する。 重合単位として少なくとも50重量%の多エチレン性不飽和モノマーを含むPNPは、少なくとも50℃のガラス転移温度を有すると考えられる。 【0029】 本発明のPNPは、典型的には、5,000〜1,000,000の範囲の、好ましくは10,000〜500,000の範囲の、より好ましくは15,000〜100,000の範囲の「見掛けの重量平均分子量」を有する。 本明細書で使用される、「見掛けの重量平均分子量」は、たとえば40℃でTHF溶媒、3Plgel(商標)カラム(Polymer Labs、Amherst,MA)、100オングストローム(10nm)、10 3オングストローム(100nm)、10 4オングストローム(1ミクロン)、長さ30cm、内径(ID)7.8mm、1ミリリットル/分、注入容積100マイクロリットル(Polymer LabsのCALIBRE(商標)ソフトウェアを用いて狭ポリスチレン標準により較正)を用いた標準的ゲル透過クロマトグラフィー法を用いたこのPNP粒子のサイズを反映する。 【0030】 PNPは任意に、適当な親水性を有することにより特徴づけられ、これによりPNPが水性媒体中に分散されることを可能にする。 PNPの親水性を特徴づける一方法は、Hanschパラメータを計算することである。 Hanschパラメータは、基寄与(group contribution)法を用いて計算される。 ポリマーを形成するモノマー単位は、疎水性寄与をし、ポリマーの相対的疎水性は、ポリマー中のモノマーの重量平均基準で計算される。 HanschおよびFujita、J. Amer. Chem. Soc. 、86、1616−1626(1964);H. Kubinyi、Methods and Principles of Medicinal Chemistry、第1巻、R. Mannholdら編、VCH、Weinheim(1993);C. HanschおよびA. Leo、Substituent Constants for Correlation Analysis in Chemistry and Biology、Wiley、New York(1979);およびC. Hansch、P. Maloney、T. Fujita、およびR. Muir、Nature、194、178−180(1962)。 【0031】 いくつかのモノマーについての疎水性寄与値を表1に記載する。 【0032】 【表1】
【0033】 好ましいPNPは−2.5〜4、あるいは−1〜3の範囲のHanschパラメータを有する。
【0034】
PNPは任意にこれらの基またはその前駆体基を含むモノマーの重合により得られる他の官能基を含んでもよい。 官能基は、PNPのイオン性基を適当な化合物と反応させることにより任意にPNPと結合させてもよい。 たとえば、カルボン酸基を含むPNPは、カルボン酸基を適当なアルコールと反応させることにより、キャップされたポリアルキレンオキサイドなどのペンダント親水性基を含むように改質される。 別法として、官能基を非ラジカル反応によりPNPに付着させ、その結果、米国特許第5,270,380号に記載されているように該基を含む改質化合物とPNPに共有結合する相補性反応可能な基間にイオン結合または共有結合が形成される。
【0035】
PNPおよび改質化合物における相補反応可能な基はイオン結合または共有結合を提供する。 相補的なイオン結合は、酸−塩基相互作用ならびに負および正に荷電した原子のイオン対結合を包含する。 相補反応可能な基による共有結合は、たとえば:(a)アセトアセテート−アルデヒド;(b)アセトアセテート−アミン;(c)アミン−アルデヒド;(d)アミン−無水物;(e)アミン−イソシアネート;(f)アミン−エポキシ;(g)アルデヒド−ヒドラジド;(i)酸−エポキシ;(j)酸−カルボジイミド;(k)酸−クロロメチルエステル;(j)酸−クロロメチルアミン;(m)酸−無水物;(n)酸−アジリジン;(o)エポキシ−メルカプタン;および(p)イソシアネート−アルコールを包含する。 各対における第一または第二の反応可能な基は、PNPまたは、別法として改質化合物中に存在する。
【0036】
水性媒体中に分散されたPNPを含む水性組成物を調製するための好適な方法は、少なくとも1種の溶媒中に分散されたPNPを含む非水性PNP分散液を調製する工程;および非水性PNP分散液を水性媒体と組み合わせる工程を含む。 本明細書において「非水性」とは、非水性媒体の重量基準で0〜50重量%未満の水を含む媒体を意味する。 重合単位としてイオン性モノマーを含むPNPを含む水性組成物は、水性媒体と組み合わせる際、またはその前後に、任意に部分的または完全に中和してもよい。
【0037】
非水性PNP分散液を調製するための好適な重合プロセスは、少なくとも一つの多エチレン性不飽和モノマー、少なくとも一つの水溶性モノマー、および任意に少なくとも一つの第三モノマーのフリーラジカル溶液重合である。 「溶液重合」とは、このポリマーに対する適当な溶媒中でのフリーラジカル付加重合を本明細書では意味する。 「ポリマーの適当な溶媒」とは、PNPに実質的に類似の重合されたモノマー単位を有する直鎖ランダム(コ)ポリマーがこの溶媒中に可溶性であることを本明細書では意味する。 適当な溶媒または溶媒の混合物を選択するための他の方法は、溶解度パラメータ分析の使用に基づく。 かかる方法に従って、PNPと溶媒の溶解パラメータ、たとえば、デルタd、デルタp、デルタhおよびデルタvのファンクレベレン(Van Krevelen)パラメータを実質的にマッチさせることにより、溶媒の適性を決定する。 たとえば、Van Krevelenら、「ポリマーの特性。それらの化学構造による評価および相関性(Properties of Polymers.Their Estimation and Correlation with ChemicalStructure)」、Elsevier Scientific Publishing Co. ,1976;Olabisiら、「ポリマー−ポリマー混和性(Polymer−Polymer Miscibility)」、Academic Press、NY、1979;Colemanら、「具体的な相互作用およびポリマーブレンドの混和性(Specific Interactions and the Miscibility of Polymer Blends)」、Technomic、1991;およびA. F. M. Barton、「溶解パラメータおよび他の粘着パラメータのCRCハンドブック(CRC Handbook of Solubility Parametersand Other Cohesion Parameters)」、第2版、CRC Press、1991参照。 デルタdは分散性相互作用の目安であり、デルタpは極性相互作用の目安であり、デルタhは水素結合相互作用の目安であり、そしてデルタvは分散性および極性両者の相互作用の目安である。 かかる溶解度パラメータは別法として、基寄与(group contribution)法などにより計算するか、あるいは実験的に求めることができ、これは当該分野で公知である。 好ましい溶媒は、ポリマーのデルタvパラメータの5(ジュール/cm
3 ) 1/2以内、好ましくは1(ジュール/cm 3 ) 1/2以内のデルタvパラメータを有する。 重合の適当な溶媒は、有機溶媒、たとえば、炭化水素;アルカン;ハロ炭化水素;塩素化、フッ素化、および臭素化炭化水素;芳香族炭化水素;エーテル;ケトン;エステル;アルコール;およびその混合物を包含する。 特に好適な溶媒は、PNPの組成に応じて、ドデカン、メシチレン、キシレン、ジフェニルエーテル、ガンマ−ブチロラクトン、酢酸エチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カプロラクトン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、アセトン、メチルエチルケトン、ジイソブチルケトン、プロピレングリコーモノメチルエーテル、およびアルキル−アルコール、たとえば、イソプロパノール、デカノール、およびt−ブタノール;および超臨界二酸化炭素を包含する。 【0038】
最初に、溶媒、あるいは溶媒とモノマーの一部との混合物を反応容器に充填することにより、非水性PNP分散液を調製する。 モノマー装填物は典型的にはモノマー、開始剤、および連鎖移動剤から構成される。 典型的には、開始温度は55℃〜125℃の範囲内であるが、当該分野で公知の適当な低温または高温開始剤を用いて、より低いかまたはより高い開始温度も可能である。 ヒール装填物が重合を開始するのに十分な温度に達した後、モノマー装填物またはモノマー装填物の残りを反応容器に添加する。 より短時間およびより長時間のどちらも想定されるが、このモノマー装填時間は、典型的には15分〜4時間の範囲内にある。 モノマー装填の間、反応温度を変えることは可能であるが、反応温度は典型的には一定に保たれる。 モノマー混合物添加を完結した後、溶媒中の追加的な開始剤を反応に装填し、および/または反応混合物を一時保持することができる。
【0039】
PNP粒子サイズおよび分布の制御は、溶媒の選択、開始剤の選択、合計固形分レベル、開始剤レベル、多官能性モノマーの種類および量、イオン性モノマーの種類および量、連鎖移動剤の種類および量、ならびに反応条件の選択などの1以上の方法により達成される。
【0040】
本発明のフリーラジカル重合において有用な開始剤は、たとえば、1以上の:パーオキシエステル、アルキルハイドロパーオキサイド、ジアルキルパーオキサイド、アゾ開始剤、過硫酸塩、レドックス開始剤などの一つあるいはそれ以上を包含する。 使用されるフリーラジカル開始剤の量は、典型的には全モノマーの重量基準で0.05〜10重量%である。 本発明において有用なPNPの重合の程度を制御するために、任意に連鎖移動剤を使用してもよい。 好適な連鎖移動剤は、たとえば:ドデシルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン;トルエンなどの活性化された水素を有する芳香族炭化水素;およびブロモトリクロロエタンなどのアルキルハライドを包含する。
【0041】
本発明の水性組成物を調製するための一方法において、PNPの重合したイオン性モノマー単位の少なくとも一部は、少なくとも一つの中和剤で中和されて、少なくとも部分的に中和された非水性PNP分散液が形成される。 PNPの重合されたイオン性モノマー単位は様々な方法で中和することができる。 重合されたイオン性モノマー単位が酸性である場合、中和剤は典型的には塩基である。 同様に、重合されたイオン性モノマー単位が塩基性である場合、中和剤は典型的には酸である。 好適な塩基は、無機および有機塩基を包含する。 好適な無機塩基は、最大範囲のアルカリまたはアルカリ金属の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩および酢酸塩基を包含する。 好適な有機塩基は、アンモニア、1級/2級/3級アミン、ジアミン、およびトリアミンを包含する。 好ましい塩基性中和剤は、水酸化ナトリウム、および水酸化アンモニウムを包含する。 適当な酸は、酢酸などのカルボン酸;ジカルボン酸;(ジ)カルボン/ヒドロキシル酸;安息香酸などの芳香族酸;およびホウ酸、炭酸、クエン酸、ヨウ素酸、亜硝酸、硝酸、過ヨウ素酸、リン酸、亜リン酸、硫酸、亜硫酸、および塩酸などの種々の他の酸を包含する。 前記範疇の塩基および酸のいずれも限定されるものではない。
【0042】
非水性PNP分散液を中和するために必要な中和剤の量は、典型的には、PNPの重合したイオン性モノマー単位に対する中和剤のモル基準で決められる。 特定の理論に拘束されるのではないが、PNP組成と性質が変わるに従ってPNPを安定化する(すなわち、非水性から水性への媒体の転換時に粒径を維持する)ために必要とされる重合したイオン性モノマー単位の量(すなわち、投入レベル)は変わる。 PNPの疎水性、Tg、架橋レベル、およびこの中和剤から得られる対イオンのタイプは重要な変数であると考えられる。 安定な水性PNP分散液(すなわち、このPNPの凝集が最少化されている)を提供するためには、この重合したイオン性モノマー単位は、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも80%、そして最も好ましくは少なくとも90%中和される。
【0043】
このPNPの中和は、別法として、様々な方法で行われる。 一つの方法においては、非水性PNP分散液を、撹拌しながら中和剤を含む溶液に添加する。 好ましくは、中和剤は、非水性PNP分散液を撹拌しながら時間をかけて水性溶液に添加されて、少なくとも部分的に中和された非水性PNP分散液を得る。
【0044】
分散されたPNPを含む水性組成物を調製する一方法において、少なくとも部分的に中和された非水性PNP分散液を水性媒体と組み合わせる。 水性媒体は任意にPNPを中和するための中和剤を含んでもよく、この場合において、非水性PNP分散液は、同時に中和され、水性媒体と組み合わせることができる。 水性媒体は、任意に界面活性剤を含んでもよく、これはPNPの安定性を変更することができるか、または結果として得られる水性PNP分散液の他の性質、たとえばその表面張力を変更することができる。
【0045】
部分的に中和された非水性PNP分散液および水性媒体の混合の順序は重要ではない。 混合に好適な種々の方法および装置は、「The Chemical Engineer's Handbook」、5th Edition,Perry and Chilton,Eds. ,McGraw−Hill、Ch. 21,1973で記述されている。 通常、この水性媒体を連続して撹拌し、その間にこの部分的に中和された非水性PNP分散液を添加して、この溶媒が水性媒体と完全に混合されることを確保しながら、このPNPの凝集を最少化する。
【0046】
水性組成物中のPNPの好適な重量百分率は、水性組成物の総重量基準で典型的には1〜90重量%、より典型的には2〜75重量%、さらにより典型的には4〜65重量%、さらに一層典型的には8〜55重量%、そして最も典型的には10〜45重量%である。
【0047】
本発明の水性組成物の調製は界面活性剤の使用を必要とせず、非水性PNP分散液は界面活性剤を実質的に含まないのが通常であるが、界面活性剤を任意に包含してもよい。 存在する場合には、界面活性剤の量は、PNPの総重量基準で、典型的には3重量%未満、より典型的には2重量%未満、さらにより典型的には1重量%未満、一層典型的には0.5重量%未満、そしてさらに一層典型的には0.2重量%未満である。
【0048】
水性組成物は、溶媒および任意に水の少なくとも一部を除去するために任意に処理され、PNPの固形分を増大させる。 PNPを濃縮するための適当な方法は、蒸留プロセス、たとえば、水と適当な溶媒の共沸混合物の形成;溶媒または水の蒸発化;凍結乾燥または噴霧乾燥による水性組成物の乾燥;溶媒抽出技術;および限外濾過技術を含む。 好ましくは、少なくとも25重量%、より好ましくは少なくとも50重量%、さらにより好ましくは少なくとも75重量%、そして最も好ましくは100重量%の溶媒を水と交換する。 溶媒の除去は、好ましくはPNPの不安定化(すなわち、凝集)を最小限に抑える条件下で行われる。
【0049】
別の方法において、本発明の水性組成物は、PNPの適当な溶媒であり、かつ水中に相溶性または混和性である少なくとも1種の溶媒中に分散されたPNPを含む非水性PNP分散液を調製する工程;および非水性PNP分散液を水性媒体と組み合わせる工程を含む方法により調製される。 水と相溶性または混和性であるアクリル含有PNPのこのような適当な溶媒の例は、イソプロパノールおよびエーテルアルコール(たとえば、エチレングリコールのモノブチルエーテルおよびジエチレングリコールのモノエチルエーテル)を包含する。 この方法において、水と組み合わせる場合に粒子安定性を賦与するために、PNPは中和剤の添加を必要としない。
【0050】
本発明の水性組成物の他の例は、広範囲のPNP含量を有する。 典型的にはPNP重量分率は、水性組成物の重量基準で、0.1〜99重量%、より典型的には1〜90重量%、さらにより典型的には2〜75重量%、一層典型的には5〜50重量%、そして最も典型的には10〜40重量%の範囲である。
【0051】
本発明の様々な態様を説明するために次の実施例を提示する。
【0052】
実施例1 架橋したポリマーナノ粒子の調製500mL反応器に熱電対、温度コントローラー、パージガス入口、パージガス出口付きの水冷還流コンデンサー、スターラー、および滴下漏斗を取り付けた。 滴下漏斗に、18.00gのメチルメタクリレート(純度100%)、2.00gのジエチレングリコールジメタクリレート(純度100%)、1.60gのミネラルスピリット中75%溶液のt−アミルペルオキシピバレート(Luperox554−M−75)、および180.00gのジイソブチルケトン(「DIBK」)からなる201.60gのモノマー混合物を装填した。 180.00gのDIBKを含む反応器を次に窒素で30分間フラッシュした後、熱を加えて、反応器の内容物を75℃にした。 この反応器の内容物が75℃に達した時、滴下漏斗中のモノマー混合物を反応器に90分にわたって均一に供給した。 モノマー混合物供給の終了30分後に、0.06gのミネラルスピリット中75%溶液のt−アミルペルオキシピバレート(Luperox554−M−75)および2.00gのDIBKからなり、30分間隔をあけた2回のチェイサーアリコートの第一を添加した。 2回のチェイサーアリコートの第二の終わりに、反応器の内容物を80℃で2.5時間保持して、反応を完了させた。 結果として得られるポリマーをヘプタンで沈殿させることにより単離し、濾過により集め、真空下で乾燥して、白色粉末を得た。 この物質をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート中に再溶解させた。 このように形成されたナノ粒子は、動的レーザー光散乱法により測定すると0.8〜5.0nmの粒子サイズ分布(平均1.4nm)を有し、GPCにより測定すると分子量は約22,642g/モル、数平均分子量は約14,601g/モル、Mw/Mn分布は1.6であった。
【0053】
実施例2 半回分乳化重合プロセスによる、架橋ポリマーナノ粒子−AAEM/ALMAコポリマーの調製17gの脱イオン水、8.85gのラウリル硫酸アンモニウム(「ALS」)、28%w/w固形分、12.4gのアセトアセトキシエチルメタクリレート(「AAEM」)、および1.78gのアリルメタクリレート(「ALMA」)の混合物からモノマーエマルジョンを製造した。 次に反応容器に、600gの脱イオン水、15.0gのALS28%w/w固形分、および1mL脱イオン水中0.15gの過硫酸アンモニウム(「APS」)を装填した。 反応容器を窒素でパージしながら90℃に加熱した。 モノマーエマルジョンの半分を反応容器に200rpmで撹拌しながら添加した。 20分後、残りのモノマーエマルジョンを添加した。 30分間、容器温度を90℃で保持し、55℃に冷却し、次に1mL脱イオン水中0.02gのt−ブチルヒドロキシペルオキシド(「t−BHP」)溶液および1mLの脱イオン水中0.010gのナトリウムスルホキシレートホルムアルデヒド(「SSF」)溶液をそれぞれ添加した。 反応を次に周囲温度に冷却し、エマルジョンをそれぞれ400および100メッシュのシーブを通して濾過した。
【0054】
試料を凍結乾燥により水から単離して、白色脆砕性易流動性粉末を得た。 結果として得られる白色粉末を多量の、二重に蒸留および脱イオンした水で洗浄し、界面活性剤の大部分を除去した。
【0055】
実施例3 回分乳化重合プロセスにより調製された、架橋ポリマーナノ粒子−AAEM/ALMAコポリマーの調製ボトル中、17gの脱イオン水、8.85gのALS28%w/w固形分、12.4gのAAEM、および1.78gのALMAからなる混合物からモノマーエマルジョンを製造した。 次に反応容器に、600gの脱イオン水、15.0gのALS28%w/w固形分、および1mLの脱イオン水中0.15gのAPSを装填した。 反応容器を窒素でパージしながら90℃に加熱した。 200rpmで撹拌しながら、モノマーエマルジョンを一度に反応容器に添加した。 30分後、反応フラスコの温度を75℃に冷却し、次に1mLの脱イオン水中0.02gのt−BHP溶液を添加した。 反応をさらに55℃に冷却し、2mLの脱イオン水中0.010gのSSF溶液を添加した。 反応を周囲温度に冷却し、エマルジョンをそれぞれ400および100メッシュシーブを通して濾過した。
【0056】
実施例4 逐次付加重合プロセスにより調製された架橋したポリマーナノ粒子の調製100gの水、1.60gのALS28%w/w固形分、68gのエチルアクリレート(「EA」)、17gのメチルメタクリレート(「MMA」)、12.5gのジビニルベンゼン(「DVB」)、および5gのメタクリル酸(「MAA」)からなる混合物からモノマーエマルジョンを製造した。 445gの水、22.2gのALS28%w/w固形分および0.37gのAPSを含む反応容器を窒素雰囲気下で85℃に加熱した。 モノマーエマルジョンを90分にわたって容器に供給した。 供給終了後、反応を85℃で30分間保持し、次いで65℃に冷却した。 冷却後、1.33gの10%硫酸鉄(FeSO
4 )を添加した。 1分後、0.2gの70%t−BHPを添加し、2分後、0.10gの100%イソアスコルビン酸(「IAA」)を添加し、反応を15分間保持した。 第二のチェイサー系を同じ手順において、同じ時間にわたって添加した。 反応を次に周囲温度に冷却し、400メッシュシーブを通して濾過した。 【0057】
実施例5 メーソンリー中への浸透使用したPNPは全体としてブチルカルビトール中68.2%の固形分濃度として40MMA/45EHA/10TMPTA/5MAAから構成されていた。 ストック溶液は次のように製造された:
【0058】
【表2】
【0059】
【表3】
【0060】
正方形(10×10cm)の中密度ファイバーセメントサイディングをコーティング中に15秒間浸漬し、取り出し、振とうし、次いで過剰のコーティングをペーパータオルで拭き取った。 一日乾燥後、断面積が13.8cm
2のメスシリンダーを、エポキシを縁の周囲に使用して取り付けた。 エポキシをさらに1日硬化させた後、シリンダーを25mlの目盛りまで満たし、水面の下降速度を24時間観察した。 【0061】
【表4】
【0062】
固形分10%の水性ポリマー(1.b、2、3)について、基体は明らかなポリマーの表面フィルムを有さず、その外観はコートされていないものと変わらなかった。 これらのうち、本発明のPNP(3)は24時間にわたり防水に最も有効であった。 ラテックス固形分が高いもの(1)を使用するか、または溶媒ベースのポリマーを使用することにより防水性は高くなった。 これらの最後の2つはファイバーセメント表面上に目に見える光沢のあるフィルムを生じた。
【0063】
【表5】
【0064】
6:配合物5を次にPNPのストック溶液(固形分20%に希釈)と90/10の重量比でブレンドした。
【0065】
シーラーをコンクリートシェアボンドブロック上に刷毛で塗り、次いで1時間乾燥した。 1滴の水を表面に加え、ビーディング(beading)および浸透を観察した。
【0066】
コーティング5. 水ビーディングをまず観察した。 水滴は水を加えた後1時間ずっと玉状のままであった。
【0067】
コーティング6. 水ビーディングをまず観察した。 水滴は1時間少々すぎた後、コーティングを通ってコンクリート基体ブロック中に浸透した。
【0068】
C. コンクリート上の光沢シーラー300部の45メッシュの砂、100部のポルトランドセメント及び44部の水から新しいコンクリート基体を調製した。 パティ(10cm)を調製し、コーティングの前に、湿潤チャンバー中で7日間硬化させた。
【0069】
7. キシレン中固形分25%のParaloidB−66
8. PNPのストック溶液を20%固形分に希釈した(B.6と同様)
コーティングは基体に約1milの厚さに刷毛で塗り、24時間乾燥した。
【0070】
コーティング7. 20°/60°での光沢=1.2/8.5。 水滴は施用後90分で玉状のままであった。 テーバー摩耗(CS−10Fホイール、釣合重り250g)により、200サイクル後、ほとんどフィルムの破断はなかった。
【0071】
コーティング8. 20°/60°での光沢=3.4/18.5。 水滴は施用すると平たくなり、11〜12分でコーティングを湿らせた。 テーバー摩耗(CS−10Fホイール、釣合重り250g)により、200サイクル後、中程度のフィルムの破断があった(#7よりも悪い)。
【0072】
溶媒性コーティングは一般にポリマー粒子から得られるフィルムよりも光沢度が高いと予想される。 従って、コーティング#8の高い光沢度は驚くべきものである。
|