【0001】 【発明の属する技術分野】 本発明は架橋ポリマーナノ粒子の水性分散液を調製する方法に関する。 本発明は、また、架橋ポリマーナノ粒子の水性分散液と水性ベースの製品用の会合性増粘剤にも関する。 【0002】 【従来の技術】 架橋ポリマーナノ粒子(これ以降、「PNP」)は、水性ベースのラテックスエマルジョン塗料用の分散剤とレオロジー改良剤などの種々の民生及び工業用製品において有用な新しい類の高分子粒子である。 【0003】 増粘された水性系の形の広範で多様な民生及び工業用製品が存在する。 このような製品の例は、洗剤、シャンプー、ヘアコンディショナー、液体石けんまたは化粧液、歯磨剤、家庭用あるいは工業用液体クリーナー、金属加工液、ラテックス塗料、及び種々の他のコーティング材料などの家庭用あるいは個人用のケア製品である。 このような水性製品はこれらの流動性を増粘するレオロジー改良剤をしばしば含有する。 【0004】 会合性増粘剤はラテックス塗料などの水性製品に改善された流動性(例えば、流動性、レベリング性、垂れ下がり抵抗)をもたらすことができるレオロジー改良剤の類である。 会合性増粘剤は、通常、2つあるいはそれ以上の結合した疎水性ブロックあるいは枝(「疎水基」)を有する水溶性ポリマーである。 この疎水基は相互に会合して、網目を形成すると考えられる。 この生成する網目は改善された流動性に寄与すると考えられる。 【0005】 残念なことに、多数の会合性増粘剤は界面活性剤を用いてエマルジョンポリマーとして調製され、これが生成硬化塗料膜の水感受性の増大に寄与する。 これは水スポット、すじ、ふくれ、接着力の減少、及びスクラブ抵抗の減少などの種々の問題を引き起こす。 従って、本発明の目的は界面活性剤を必要としない会合性増粘剤を調製することである。 【0006】 通常水中で界面活性剤を用いて調製されて、50ナノメーターより大きい平均粒径を有するポリマー粒子をもたらすラテックスエマルジョンと異なり、モノエチレン性不飽和モノマーを多エチレン性不飽和モノマーと有機溶媒中でフリーラジカル共重合することにより、界面活性剤を使用せずに1〜50ナノメーターの範囲の平均粒径を有するPNPの分散液を調製することができる。 水性ベース製品中での界面活性剤の使用を最少限とすることが望ましい一方で、有機溶媒を水により置換するなどによりこのような製品中の揮発性有機溶媒の存在を低減することも望ましい。 従って、現在、安定性を賦与するのに界面活性剤の使用を必要としない水を含有するPNP分散液を提供する必要性が存在する。 【0007】 PNPの添加からメリットを得ることができる多数の工業用及び民生用製品は水ベースのラテックス塗料などの水ベースである。 しかしながら、有機溶媒ポリマー組成物(例えば、PNP)を水ベースの製品と混合することは問題を伴う。 例えば、ポリマーは、通常、調製された溶媒中で安定であるが、溶媒ベースのポリマーは、アルキルアクリルベースのPNPに対する水などのPNPに対する貧溶媒である液体と混合すると不安定化(例えば、相分離)する傾向がある。 結果として、不安定化したPNPはよく分散せず、水性ベースの製品中でこれらの有効性を喪失する傾向がある。 従って、現在、このような転換時に不安定化しない水性ベースのPNP分散液に溶媒ベースのPNP分散液を転換する必要性が存在する。 【0008】 米国特許第5,290,654号は、ポリマーを有機溶媒中に溶解する工程、界面活性剤を含有する水性媒体中に、生成する溶液を分散する工程、及び任意に加熱しながらこの混合物を攪拌してこの有機溶媒を除去し、それによって懸濁ポリマー粒子を得る工程を包含するトナー組成物を調製する方法を開示している。 この特許は前記工程が容積直径で約0.05ミクロン(50ナノメーター)〜約2ミクロン(2,000ナノメーター)の懸濁ポリマー粒子を提供することを挙げている一方で、この特許の実施例で事実提供される懸濁ポリマー粒子は150ナノメーター〜260ナノメーターの範囲の容積直径を有する非架橋縮合ポリエステルをベースとしている。 加えて、この懸濁ポリマー粒子を調製する方法は界面活性剤の使用を必要とする。 【0009】 米国特許第4,514,552号は、α,β−モノエチレン性不飽和カルボン酸、界面活性剤能を欠如しているモノエチレン性不飽和モノマー、1価非イオン性界面活性剤のモノエチレン性不飽和モノイソシアネートとウレタンとの反応製品である非イオン性ウレタンモノマー、および多エチレン性不飽和モノマーとの水性エマルジョンコポリマーである改善された、水敏感性を有するアルカリ可溶増粘剤の調製を開示している。 この特許の実施例は、水性増粘剤として有用である92nmの平均直径を有するポリマー粒子を調製するのに界面活性剤の使用を必要とする。 【0010】 従って、上述の特許のいずれも1ないし50ナノメーターの範囲の平均粒径を有する水性ベースPNP分散液の調製を教示していない。 更には、上述の特許は両方とも水性媒体中で安定なポリマー粒子を形成するのに界面活性剤の使用を必要とする。 【0011】 本発明者らは、安定性を確保(例えば、この粒子は実質的に非凝集状態を保つ)するために界面活性剤の使用を必要としない水性PNP分散液の調製方法を見出した。 本発明のPNPは、最初に溶媒中で調製され、引き続き水性媒体に転換される。 本発明においては、中和可能な重合単位を含有するPNPの分散液を調製し、任意にこれを中和し、そして水と混合する。 この生成PNP分散液はそのまま(すなわち、この溶媒と水の両方を含有して)で、あるいは引き続いてこの溶媒の少なくとも一部を除去した後で使用可能である。 【0012】 本発明者らは、また、各PNPの表面から延びる平均少なくとも2個の疎水基を有する中和されたPNP分散液を、水性ベース配合物中でレオロジー改良剤として使用することができることも見出した。 特定の理論に束縛されるのではないが、この中和されたPNPの表面から延びている疎水基は、「会合性増粘」機能をもたらすと考えられる。 PNPの架橋は水中でのPNPの溶解度を低下させ、そしてこのPNPは界面活性剤の使用を必要としないために、本発明の中和されたPNP会合性増粘剤は硬化した水性ベースラテックスコーティングにおける前述の水感受性の問題を低減させると考えられる。 【0013】 本発明の第1の態様に従えば、 (a)PNP分散液を調製する工程であって、前記PNP分散液が(i)1〜50ナノメーターの範囲の直径を有するPNPであって、重合単位として少なくとも一つの多エチレン性不飽和モノマーと少なくとも一つの中和可能なエチレン性不飽和モノマーを含む前記PNP、及び(ii)少なくとも一つの溶媒を含む工程、 (b)該少なくとも一つの中和可能なエチレン性不飽和モノマーから形成される中和可能な重合単位の少なくとも一部を少なくとも一つの中和剤により中和して、少なくとも部分的に中和されたPNP分散液を形成する工程、及び(c)該少なくとも部分的に中和されたPNP分散液を水性媒体と混合する工程を含む、水性PNP分散液を調製する方法が提供される。 【0014】 本発明の第2の態様に従えば、 (a)1〜50ナノメーターの範囲の直径を有するPNPであって、重合単位として少なくとも一つの多エチレン性不飽和モノマーと少なくとも一つの中和可能なエチレン性不飽和モノマーを含む前記PNP、 (b)該少なくとも一つの中和可能なエチレン性不飽和モノマーを部分的に中和する少なくとも一つの中和剤、及び(c)水性媒体を含む水性PNP分散液が提供される。 【0015】 本発明の第3の態様に従えば、 (a)1〜50ナノメーターの範囲の直径を有するPNPであって、重合単位として少なくとも一つの多エチレン性不飽和モノマーと少なくとも一つの中和可能なエチレン性不飽和モノマーを含む前記PNP、及び(b)少なくとも一つの溶媒であって、該溶媒が該PNPに対する良溶媒であり、該溶媒の水中への溶解度が少なくとも10重量パーセントである溶媒を含む水性PNP分散液が提供される。 【0016】 本発明の第4の態様に従えば、1〜50ナノメーターの範囲の直径を有するPNPであって、前記PNPが重合単位として少なくとも一つの多エチレン性不飽和モノマーと少なくとも一つの中和可能なエチレン性不飽和モノマーを含み、前記PNPが前記PNPの表面から延びる平均少なくとも2つの疎水基を含む会合性増粘剤組成物が提供される。 【0017】 本明細書で使用される通り、用語「水相溶性溶媒」は工程条件で水に少なくとも部分的に可溶である溶媒または溶媒の混合物を指す。 水相溶性溶媒は水に完全に混和する溶媒を包含する。 【0018】 本明細書で使用される通り、用語「分散液」は、一つの相が第2の相中に分布し、第2の相が連続的である少なくとも2つの明確に区別される相を含む物質の物理的な状態を指す。 【0019】 本明細書で使用される通り、このPNPを記述する場合、用語「分子量」は標準ゲルパーミエーションクロマトグラフィ法(例えば、40CでTHF溶媒、3Plgelカラム(Polymer Labs)、100オングスローム、10 3 、10 4オングスローム、長さ30cm、内径7.8mm、1mil/分、注入容積100マイクロリットル、Polymer LabsのCALIBRE(登録商標)ソフトウエアを用いて狭ポリスチレン標準により較正)を用いて得られる見掛けの分子量を指す。 【0020】 本明細書で使用される通り、用語「Tg」は示差走査熱量分析(「DSC」)法を用いて求められるガラス転移温度を指す。 【0021】 本明細書で使用される通り、次の略語は文脈が特に明示しない限り、次の意味を有するものとする:%=パーセント;C=センチグレード;μm=ミクロン;UV=紫外;rpm=1分当たりの回転数;nm=ナノメーター;J=ジュール;cc=立方センチメートル;g=グラム;wt%=重量パーセント;L=リットル;mL=ミリリットル;MIAK=メチルイソアミルケトン;MIBK=メチルイソブチルケトン;BA=ブチルアクリレート;AA=アクリル酸;MAA=メタアクリル酸;PS=粒子サイズ=平均粒子直径;PMA=ポリ(メチルアクリレート);CyHMA=シクロヘキシルメタアクリレート;EG=エチレングリコール;DPG=ジプロピレングリコール;DEA=ジエチレングリコールエチルエーテルアセテート;BzA=ベンジルアクリレート;BzMA=ベンジルメタアクリレート;MAPS=MATS=(トリメトキシルシリル)プロピルメタアクリレート;OFPMA=オクタフルオロペンチルメタアクリレート;PMA=プロピルメタアクリレート;PETTA=ペンタエリスリトールテトラ/トリアセテート;PPG4000DMA=ポリプロピレングリコール4000ジメタアクリレート;DPEPA=ジペンタエリスリトールペンタアクリレート;TMSMA=トリメチルシリルメタアクリレート;MOPTSOMS=メタアクリルオキシプロピルビス(トリメチルシロキシ)メチルシラン;MOPMDMOS=3−メタアクリルオキシプロピルメチルジメトキシシラン;TAT=トリアリル−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H,3H,5H)−トリオン;IBOMA=イソボルニルメタアクリレート;PGMEA=プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート;PEGMEMA475=ポリ(エチレングリコールメチルエーテル)メタアクリレート;Mw=475;EUG=オイゲノール(4−アリル−2−メトキシフェノール);及びPGDMA=プロピレングリコールジメタアクリレート。 【0022】 用語「(メタ)アクリル」はアクリルとメタアクリルの両方を包含し、そして用語「(メタ)アクリレート」はアクリレートとメタアクリレートの両方を包含する。 同様に、用語「(メタ)アクリルアミド」はアクリルアミドとメタアクリルアミドの両方を指す。 「アルキル」は直鎖、分岐鎖及び環状のアルキル基を包含する。 【0023】 本明細書で定義されるすべての範囲は両端の値を含み、組み合わせ可能である。 【0024】 本発明は、1〜50ナノメーターの範囲の直径を有する水性PNP分散液を調製する方法を指向する。 本発明は、また、1〜50ナノメーターの範囲の直径を有するPNPを包含する会合性増粘剤組成物を提供することも指向する。 【0025】 本発明の種々の実施形態で使用されるPNPは、通常1nm〜50nmの範囲の平均粒子直径を有するが、好ましくは1nm〜40nm、更に好ましくは1nm〜30nm、なお更に好ましくは1nm〜25nm、なお一層更に好ましくは1nm〜20nm、そして最も好ましくは1nm〜10nmの範囲の平均粒子直径を有する。 このPNPは、少なくとも1.5nm、好ましくは少なくとも2nmの平均粒子直径を有するのが更に通常である。 【0026】 本発明の水性PNP分散液を調製する方法においては、PNPが重合単位として少なくとも一つの多エチレン性不飽和モノマーと少なくとも一つ中和可能なエチレン性不飽和モノマーを包含するPNP分散液を最初に調製する。 【0027】 少なくとも一つの多エチレン性不飽和モノマーと少なくとも一つの中和可能なエチレン性不飽和モノマーのフリーラジカル重合により、このPNPを形成することができる。 通常、特記しない限り、この少なくとも一つの重合された多エチレン性不飽和モノマーの量はこのPNPの重量基準で少なくとも1重量%である。 このPNPの重量基準で100%以下の重合された多エチレン性不飽和モノマーを本発明の粒子中で有効に使用することができる。 重合された多エチレン性不飽和モノマーの量は、好ましくはこのPNPの重量基準で1%〜80%であり、更に好ましくはこのPNPの重量基準で1%〜60%であり、そして最も好ましくはこのPNPの重量基準で1%〜25%である。 重合された多エチレン性不飽和モノマーの量は、通常少なくとも1%、更に通常少なくとも2%、一層通常少なくとも3%、なお更に通常少なくとも5%、そして一層更に通常少なくとも7.5%、そして最も通常少なくとも10%である。 【0028】 本発明で有用な好適な多エチレン性不飽和モノマーは、例えば、トリビニルベンゼン、ジビニルトルエン、ジビニルピリジン、ジビニルナフタレン及びジビニルキシレンなど;及びエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジエチレングリコールジビニルエーテル、トリビニルシクロヘキサン、アリルメタアクリレート(「ALMA」)、アリルアクリレート、エチレングリコールジメタアクリレート(「EGDMA」)、ジエチレングリコールジメタアクリレート(「DEGDMA」)、プロピレングリコールジメタアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリメタアクリレート(「TMPTMA」)、ジビニルベンゼン(「DVB」)、2,2−ジメチルプロパン−1,3−ジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジメタアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジメタアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジメタアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコール200ジアクリレート、テトラエチレングリコールジメタアクリレート、ポリエチレングリコールジメタアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジアクリレート、エトキシル化ビスフェノールAジメタアクリレート、ポリエチレングリコール600ジメタアクリレート、ポリ(ブタンジオール)ジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリエトキシトリアクリレート、グリセリルプロポキシトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジビニルシラン、トリビニルシラン、ジメチルジビニルシラン、ジビニルメチルシラン、メチルトリビニルシラン、ジフェニルジビニルシラン、ジビニルフェニルシラン、トリビニルフェニルシラン、ジビニルメチルフェニルシラン、テトラビニルシラン、ジメチルビニルジシロキサン、ポリ(メチルビニルシロキサン)、ポリ(ビニルヒドロシロキサン)、ポリ(フェニルビニルシロキサン)及びこれらの混合物などのジ−、トリ−、テトラ−、あるいは高度に多官能性のエチレン性不飽和モノマーを包含する。 【0029】 中和可能でもある多エチレン性不飽和モノマーを使用して、このPNPを調製することもできる。 このような実施形態においては、本発明の目的のためには、これらのモノマーは多エチレン性不飽和モノマーと中和可能なモノマーの両方として分類される。 【0030】 通常、特記しない限り、少なくとも一つの重合された中和可能なエチレン性不飽和モノマーの量は、このPNPの重量基準で少なくとも0.5重量%である。 このPNPの重量基準で100%以下の重合された中和可能なエチレン性不飽和モノマーを本発明の粒子中で有効に使用することができる。 重合されたエチレン性不飽和の中和可能なモノマーの量は、好ましくはこのPNPの重量基準で1%〜50%であり、更に好ましくは3%〜40%であり、なお更に好ましくは5%〜25%であり、そして最も好ましくは10%〜20%である。 【0031】 共重合単位としてこのPNP中に組み込むことができる好適な中和可能なエチレン性不飽和モノマーは、限定ではないが、酸含有モノマー、塩基含有モノマー、4級化可能な反応性モノマー、及び引き続いてこの官能基を酸あるいは塩基官能基に形成することができる他の官能性モノマーを包含する。 【0032】 好適な酸含有モノマーはカルボン酸官能基を有することができ、アクリル酸、メタアクリル酸、クロトン酸、及びアクリルオキシプロピオン酸を包含する。 コストと重合時の反応性に基づくと、アクリル酸とメタアクリル酸が好ましい。 好適な酸含有モノマーはジカルボン酸官能基を有することができ、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸を包含する。 好適な酸含有モノマーは、1個のカルボン酸官能基と1個のC 1−6エステルまたは1個のC 0−6アミド(例えば、アクリルアミドはC 0アミドである)を含有するようなジカルボン酸の半エステルあるいは半アミドを有することができる。 好適な酸含有モノマーはスルホン酸官能基を有することができ、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、スチレンスルホン酸、ビニルスルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、及びスルホプロピル(メタ)アクリレートを包含する。 好適な酸含有モノマーはスルフィン酸官能基を有することができ、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルフィン酸、スチレンスルフィン酸、及びビニルスルフィン酸を包含する。 好適な酸含有モノマーはリン酸官能基を有することができ、2−ホスホエチル(メタ)アクリレート及びビニルリン酸を包含する。 リン酸モノマーはある基材(例えば、金属)に対して改善された接着性をもたらすことができるので望ましい。 好適な酸含有モノマーはビニルホスフィン酸などホスフィン酸官能基を有することができる。 好適な酸含有モノマーはヒドロキシスチレン及びこれらの誘導体などフェノール性官能基も有することができる。 【0033】 好適な塩基含有モノマーはアミン官能基を有することができ、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート;N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート;N−t−ブチルアミノエチル(メタ)アクリレート;N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド;p−アミノスチレン;N,N−シクロヘキシルアリルアミン;アリルアミン;ジアリルアミン;ジメチルアリルアミン;N−エチルジメチルアリルアミン;クロチルアミン;及びN−エチルメタアリルアミンを包含する。 好適な塩基含有モノマーはピリジン官能基を有することができ、2−ビニルピリジンと4−ビニルピリジンを包含する。 好適な塩基含有モノマーはビニルピペリジンなどピペリジン官能基も有することができる。 好適な塩基含有モノマーはイミダゾール官能基も有することができ、ビニルイミダゾールを包含する。 好適な塩基含有モノマーは、オキサゾリジニルエチル(メタ)アクリレート、ビニルベンジルアミン、ビニルフェニルアミン、置換ジアリルアミン、2−モルホリノエチル(メタ)アクリレート、アクリルアミド、メタアクリルアミド、N−置換(メタ)アクリルアミド、メタアクリルアミドプロピルトリメチル塩化アンモニウム(MAPTAC)、ジアリルジメチル塩化アンモニウム(DADMAC)、2−トリメチルアンモニウムエチルメタアクリルクロリド(TMAEMC)、置換(メタ)アクリル及び(メタ)アクリルアミドモノマーの4級アミン塩なども包含する。 【0034】 引き続いてこの官能基を酸あるいは塩基に形成することができる好適な官能性モノマーは、グリシジル(メタ)アクリレートとアリルグリシジルエーテルなどのエポキシド官能基;無水マレイン酸などのアンハイドライド;及びハライドを含有するモノマーを包含する。 好適なハライド含有官能性モノマーはビニル芳香族ハライドとハロアルキル(メタ)アクリレートを包含する。 好適なビニル芳香族ハライドは、ビニルベンジルクロライド、ビニルベンジルブロマイド、アリルクロライド、及びアリルブロマイドを包含する。 好適なハロアルキル(メタ)アクリレートはクロロメチル(メタ)アクリレートを包含する。 【0035】 通常、本発明で有用なアルキル(メタ)アクリレートは(C 1 −C 24 )アルキル(メタ)アクリレートである。 好適なアルキル(メタ)アクリレートは、限定ではないが、「ローカット」アルキル(メタ)アクリレート、「ミドルカット」アルキル(メタ)アクリレート及び「ハイカット」アルキル(メタ)アクリレートを包含する。 【0036】 「ローカット」アルキル(メタ)アクリレートは、通常、このアルキル基が1〜6個の炭素原子を含有するものである。 好適なローカットアルキル(メタ)アクリレートは、限定ではないが、メチルメタアクリレート(「MMA」)、メチルアクリレート、エチルアクリレート、プロピルメタアクリレート、ブチルメタアクリレート(「BMA」)、ブチルアクリレート(「BA」)、イソブチルメタアクリレート(「IBMA」)、ヘキシルメタアクリレート、シクロヘキシルメタアクリレート、シクロヘキシルアクリレート及びこれらの混合物を包含する。 【0037】 「ミドルカット」アルキル(メタ)アクリレートは、通常、このアルキル基が7〜15個の炭素原子を含有するものである。 好適なミドルカットアルキル(メタ)アクリレートは、限定ではないが、2−エチルヘキシルアクリレート(「EHA」)、2−エチルヘキシルメタアクリレート、オクチルメタアクリレート、デシルメタアクリレート、イソデシルメタアクリレート(分岐鎖(C 10 )アルキル異性体混合物に基づくと「IDMA」)、ウンデシルメタアクリレート、ドデシルメタアクリレート(ラウリルメタアクリレートとしても知られている)、トリデシルメタアクリレート、テトラデシルメタアクリレート(ミリスチルメタアクリレートとしても知られている)、ペンタデシルメタアクリレート及びこれらの混合物を包含する。 有用な混合物は、ドデシル−ペンタデシルメタアクリレート(「DPMA」)、ドデシル、トリデシル、テトラデシル及びペンタデシルメタアクリレートの直鎖及び分岐鎖の異性体の混合物;及びラウリル−ミリスチルメタアクリレート(「LMA」)を包含する。 【0038】 「ハイカット」アルキル(メタ)アクリレートは、通常、このアルキル基が16〜24個の炭素原子を含有するものである。 好適なハイカットアルキル(メタ)アクリレートは、限定ではないが、ヘキサデシルメタアクリレート、ヘプタデシルメタアクリレート、オクタデシルメタアクリレート、ノナデシルメタアクリレート、コシルメタアクリレート、エイコシルメタアクリレート及びこれらの混合物を包含する。 ハイカットアルキル(メタ)アクリレートの有用な混合物は、限定ではないが、ヘキサデシル、オクタデシル、コシル及びエイコシルメタアクリレートの混合物であるセチル−エイコシルメタアクリレート(「CEMA」);及びヘキサデシル及びオクタデシルメタアクリレートの混合物であるセチル−ステアリルメタアクリレート(「SMA」)を包含する。 【0039】 上述のミドルカット及びハイカットアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、概ね、工業用グレードの長鎖脂肪アルコールを用いる標準的なエステル化法により調製され、そしてこれらの市販のアルコールは、このアルキル基中に10と15個の間または16と20個の炭素原子を含有する種々の鎖長のアルコールの混合物である。 これらのアルコールの例は、Vista Chemical(現在Sasol)Companyのチーグラー触媒による種々のALFOLアルコール、すなわちALFOL1618とALFOL1620、Shell Chemical Companyのチーグラー触媒による種々のNEODOLアルコール、すなわちNEODOL25L、及びProctor&GambleのTA−1618及びCO−1270などの天然由来のアルコールである。 結果として、本発明の目的には、アルキル(メタ)アクリレートは、名前を挙げた個別のアルキル(メタ)アクリレート製品を包含するのみならず、多量の名前を挙げた特定のアルキル(メタ)アクリレートを含むアルキル(メタ)アクリレートの混合物も包含することを意図されている。 【0040】 本発明で有用なアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、単一モノマーまたはアルキル部分に異なる数の炭素原子を有するモノマーの混合物であることができる。 【0041】 本発明で有用な(メタ)アクリルアミドとアルキル(メタ)アクリレートモノマーは場合によっては置換可能である。 好適な任意の置換(メタ)アクリルアミド及びアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、限定ではないが、ヒドロキシ(C 2 −C 6 )アルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノ(C 2 −C 6 )−アルキル(メタ)アクリレート、ジアルキルアミノ(C 2 −C 6 )アルキル(メタ)アクリルアミドを包含する。 【0042】 有用な置換アルキル(メタ)アクリレートモノマーはアルキル基中に1個あるいはそれ以上のヒドロキシル基を含むもの、特に、このヒドロキシル基がアルキル基中のβ−位(2位)に見出されるものである。 置換アルキル基が分岐鎖あるいは非分岐鎖の(C 2 −C 6 )アルキルであるヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーが好ましい。 好適なヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、限定ではないが、2−ヒドロキシエチルメタアクリレート(「HEMA」)、2−ヒドロキシエチルアクリレート(「HEA」)、2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート、1−メチル−2−ヒドロキシエチルメタアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、1−メチル−2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシブチルメタアクリレート、2−ヒドロキシブチルアクリレート及びこれらの混合物を包含する。 この好ましいヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートモノマーは、HEMA、1−メチル−2−ヒドロキシエチルメタアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタアクリレート及びこれらの混合物である。 この後者の2つのモノマーの混合物は、「ヒドロキシプロピルメタアクリレート」または「HPMA」と普通呼ばれる。 【0043】 本発明で有用な他の置換(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドモノマーは、アルキル基中にジアルキルアミノ基またはジアルキルアミノアルキル基を含むものである。 このような置換された(メタ)アクリレート及び(メタ)アクリルアミドの例は、限定ではないが、ジメチルアミノエチルメタアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアミノエチルメタアクリルアミド、N,N−ジメチル−アミノプロピルメタアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノブチルメタアクリルアミド、N,N−ジ−エチルアミノエチルメタアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノプロピルメタアクリルアミド、N,N−ジエチルアミノブチルメタアクリルアミド、N−(1,1−ジメチル−3−オキソブチル)アクリルアミド、N−(1,3−ジフェニル−l−エチル−3−オキソブチル)アクリルアミド、N−(1−メチル−1−フェニル−3−オキソブチル)メタアクリルアミド、及び2−ヒドロキシエチルアクリルアミド、アミノエチルエチレン尿素のN−メタアクリルアミド、N−メタアクリルオキシエチルモルホリン、ジメチルアミノプロピルアミンのN−マレイミド及びこれらの混合物を包含する。 【0044】 本発明で有用な他の置換(メタ)アクリレートモノマーは、γ−プロピルトリ(C 1 −C 6 )アルコキシシリル(メタ)アクリレート、γ−プロピルトリ(C 1 −C 6 )アルキルシリル(メタ)アクリレート、γ−プロピルジ(C 1 −C 6 )アルコキシ(C 1 −C 6 )アルキルシリル(メタ)アクリレート、γ−プロピルジ(C 1−6 )アルキル(C 1 −C 6 )アルコキシシリル(メタ)アクリレート、ビニルトリ(C 1 −C 6 )アルコキシシリル(メタ)アクリレート、ビニルジ(C 1 −C 6 )アルコキシ(C 1 −C 6 )アルキルシリル(メタ)アクリレート、ビニル(C 1 −C 6 )アルコキシジ(C 1 −C 6 )アルキルシリル(メタ)アクリレート、ビニルトリ(C 1 −C 6 )アルキルシリル(メタ)アクリレート、及びこれらの混合物などのケイ素含有モノマーである。 【0045】 ビニル芳香族モノマーも本発明の不飽和モノマーとして有用であり、スチレン(「STY」)、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メチルスチレン、エチルビニルベンゼン、ビニルナフタレン、ビニルキシレン、及びこれらの混合物を包含する。 有用なビニル芳香族モノマーは、また、ハロゲン化誘導体、すなわち、フッ素、塩素または臭素などの一つあるいはそれ以上のハロゲン基を含有する誘導体;及びニトロ、シアノ、(C 1 −C 10 )アルコキシ、ハロ(C 1 −C 10 )アルキル、カルボ(C 1 −C 10 )アルコキシ、カルボキシ、アミノ、(C 1 −C 10 )アルキルアミノ誘導体などのこれらの対応する置換対応物も包含する。 【0046】 本発明で有用な窒素含有化合物は、限定ではないが、2−ビニルピリジンまたは4−ビニルピリジンなどのビニルピリジン;2−メチル−5−ビニル−ピリジン、2−エチル−5−ビニルピリジン、3−メチル−5−ビニルピリジン、2,3−ジメチル−5−ビニル−ピリジン、及び2−メチル−3−エチル−5−ビニルピリジンなどの低級アルキル(C 1 −C 8 )置換N−ビニルピリジン;メチル置換キノリン及びイソキノリン;N−ビニルカプロラクタム;N−ビニルブチロラクタム;N−ビニルピロリドン;ビニルイミダゾール;N−ビニルカルバゾール;N−ビニル−コハク酸イミド;(メタ)アクリロニトリル;o−、m−、あるいはp−アミノスチレン;マレイミド;N−ビニル−オキサゾリドン;N,N−ジメチルアミノエチル−ビニル−エーテル;エチル−2−シアノアクリレート;ビニルアセトニトリル;N−ビニルフタルイミド;N−ビニル−チオ−ピロリドン、3−メチル−1−ビニル−ピロリドン、4−メチル−1−ビニル−ピロリドン、5−メチル−1−ビニル−ピロリドン、3−エチル−1−ビニル−ピロリドン、3−ブチル−1−ビニル−ピロリドン、3,3−ジメチル−1−ビニル−ピロリドン、4,5−ジメチル−1−ビニル−ピロリドン、5,5−ジメチル−1−ビニル−ピロリドン、3,3,5−トリメチル−1−ビニル−ピロリドン、4−エチル−1−ビニル−ピロリドン、5−メチル−5−エチル−1−ビニル−ピロリドン及び3,4,5−トリメチル−1−ビニル−ピロリドンなどのN−ビニル−ピロリドン;ビニルピロール;ビニルアニリン;ビニルバーサテート;及びビニルピペリジンを包含する。 【0047】 本発明で有用な置換エチレン性不飽和モノマーは、限定ではないが、アリルモノマー、酢酸ビニル、ビニルホルムアミド、塩化ビニル、フッ化ビニル、臭化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン及び臭化ビニリデンを包含する。 【0048】 他のエチレン性不飽和モノマーも共重合単位としてこのPNP中に取り込むことができる。 好適なエチレン性不飽和モノマーは、限定ではないが、アルキル(メタ)アクリレート、酢酸ビニル、アルケニル(メタ)アクリレート、芳香族(メタ)アクリレート、ビニル芳香族モノマー、ブタジエンとイソプレンなどのアルキルジエン、窒素含有化合物及びこれらのチオ類似体、及び置換エチレンモノマーを包含する。 重合時のこれらの反応性のために(メタ)アクリル及び(メタ)アクリルアミドモノマーが好ましい。 【0049】 本発明で使用されるPNP分散液を溶液重合により調製することができる。 「溶液重合」とは、このポリマーに対する溶媒中でのフリーラジカル付加重合を本明細書では意味する。 「このポリマーに対する溶媒」とは、このPNPに実質的に類似の重合されたモノマー単位を有する直鎖ランダム(コ)ポリマーがこの溶媒中で可溶であることを本明細書では意味する。 本明細書で開示される溶解パラメーター分析を用いても好適な溶媒あるいは溶媒混合物を選択することができる。 【0050】 このPNPを有機溶媒などの溶媒中で調製することができる。 有機溶媒の例は、限定ではないが、アルカンなどの炭化水素、塩素化、フッ素化、及び臭素化された炭化水素などのハロ炭化水素、芳香族炭化水素、エーテル、ケトン、エステル、アルコール及びこれらの混合物を包含する。 特に好適な溶媒は、ドデカン、メシチレン、キシレン、ジフェニルエーテル、ガンマ−ブチロラクトン、酢酸エチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カプロラクトン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びデカノール、t−ブタノール、及びイソプロパノール(「IPA」)などのアルキルアルコールを包含する。 【0051】 最初にスターラー、温度計及び還流コンデンサーを備えた反応容器に溶媒ヒールまたは、あるいは溶媒とモノマーの一部の混合物を充填することにより、このPNPを調製することができる。 このモノマー装填物は、通常、モノマー、開始剤及び連鎖移動剤から適宜構成される。 この溶媒または溶媒/モノマーヒール装填物は窒素雰囲気下で攪拌しながら加熱される。 当業界で既知の好適な低温あるいは高温の開始剤を用いて更に低い、あるいは高い開始温度が可能であるが、開始温度は、通常、55℃〜約125℃の範囲内にある。 このヒール装填物が重合を開始するのに充分な温度に達した後、このモノマー装填物またはモノマー装填物の残りを反応容器に添加する。 更に短時間及び長時間が実用可能と想定されるが、このモノマー装填時間は、通常、15分〜4時間の範囲内にある。 反応温度を変えることは可能であるが、モノマー装填時反応温度は通常一定に保たれる。 モノマー混合物添加を完結した後、溶媒中の追加的な開始剤をこの反応に装填し、そして/または保持時間を使用することができる。 【0052】 好適な共重合性モノマーの組み合わせPNPは、例えば、HEMA/DEGDMA、MMA/DEGDMA/MAA、MMA/MAPS/DEGDMA/AA、MMA/MAPS/PETTA/MAA、MMA/MAPS/PPG4000DMA/AA、MMA/MAPS/DPEPA/MAA、MAPS/DEGDMA/AA、BA/DEGDMA/MAA、MMA/MAPS/TMPTMA/MAA、MMA/MAPS/DVB/AA、STY/MAPS/DVB/MAA、BA/MAPS/DVB/AA、BA/TMSMA/DVB/MAA、BA/MOPTSOMS/DVB/AA、BA/MOPMDMOS/DVB/MAA、BA/MAPS/TAT、ALMA/BA/DVB/AA、IBOMA/MAPS/DVB/MAA、IBOA/MAPS/DVB/AA、BA/DVB/MAA、BA/PGDMA/AA、BA/ALMA/MAA、BA/TMPTMA/AA、BA/DPEPA/MAA、EHA/DVB/MAA、EHA/ALMA/AA、EHA/TMPTMA/AA、EHA/DPEPA/MAA、STY/DVB/MAA、STY/ALMA/MAA、EHA/STY/ALMA/MAA、MMA/BA/ALMA/MAA、STY/MMA/DVB/AA、MMA/ブタジエン/STY/AA、MMA/EA/ALMA/MAA、BA/ALMA/MATS/AA、STY/MATS/DVB/MAA、MMA/BA/MATS/AA、STY/MMA/MATS/DVB/MAA、MMA/BA/MATS/ALMA/MAA、BzA/TMPTMA/MAA、BzA/DVB/MAA、IDMA/BzMA/AA、MMA/ALMA/MATS/MAA、MMA/AA/TMPTA、及びBA/MMA/AA/TMPTAを包含する。 【0053】 粒径と分布の制御は、溶媒の選択、開始剤の選択、全固体レベル、開始剤レベル、多官能性モノマーのタイプと量、連鎖移動剤のタイプと量、及び反応条件などの方法により達成可能である。 CONTINなどのラプラス変換法を使用して相関関数を流体力学的なサイズに変換することができる標準的な動的光散乱法を用いて、粒径(平均粒子直径)を求めることができる。 【0054】 本発明のフリーラジカル重合で有用な開始剤は、例えば、パーオキシエステル、ジアルキルパーオキサイド、アルキルハイドロパーオキサイド、過硫酸塩、アゾ開始剤、レドックス開始剤などの一つあるいはそれ以上を包含する。 有用なフリーラジカル開始剤は、限定ではないが、ベンゾイルパーオキサイド、t−ブチルパーオクトエート、t−アミルパーオキシピバレート、クメンハイドロパーオキサイド、及びアゾイソブチルニトリル及び2、2'−アゾビス(2−メチルブタンニトリル)などのアゾ化合物を包含する。 このフリーラジカル開始剤はt−アミルパーオキシピバレートであることが好ましい。 使用されるフリーラジカル開始剤の量は、通常、全モノマーの重量基準で0.05〜10重量%である。 【0055】 任意に連鎖移動試剤を使用して、本発明で有用なPNPを調製することができる。 好適な連鎖移動剤は、例えば、ドデシルメルカプタンなどのアルキルメルカプタン、トルエンなどの活性化された水素を含む芳香族炭化水素、及びブロモトリクロロエタンなどのアルキルハライドを包含する。 【0056】 本発明のPNPは、通常、5,000ないし1,000,000の範囲の、好ましくは10,000ないし500,000の範囲の、そして更に好ましくは15,000ないし100,000の範囲の「見掛けの重量平均分子量」を有する。 本明細書で使用される通り、「見掛けの重量平均分子量」はこのPNP粒子のサイズを反映する。 それゆえ、このPNPのGPC溶離時間は、見掛けの重量平均分子量測定の表示を提供し、絶対重量平均分子量測定を必ずしも提供しない。 【0057】 このPNPの溶媒による溶解性は、通常、デルタd、デルタp、デルタh及びデルタvのファンクレベレン(Van Krevelen)パラメーターなどのこれらの溶解パラメーターをマッチさせることにより求められる。 例えば、Van Krevelenら、「ポリマーの特性。それらの化学構造による評価および相関性(Properties of Polymers.Their Estimation and Correlation with Chemical Structure)、Elsevier Scientific Publishing Co.,1976」;Olabisiら、「ポリマー−ポリマー混和性(Polymer−Polymer Miscibility)、Academic Press,NY,1979」;Colemanら、「具体的な相互作用およびポリマーブレンドの混和性(Specific Interactions and the Miscibility of Polymer Blends)、Technomic,1991」;及びA. F. M. Barton,「溶解パラメータおよび他の粘着パラメータのCRCハンドブック第2版(CRC Handbook of Solubility Parameters and Other Cohesion Parameters,2nd Ed.)、CRC Press,1991」を参照されたい。 デルタdは分散性相互作用の目安であり、デルタpは極性相互作用の目安であり、デルタhは水素結合相互作用の目安であり、そしてデルタvは分散性及び極性両者の相互作用の目安である。 基寄与(group contribution)法などにより計算するか、あるいは可溶性溶媒と不溶性溶媒からなる混合溶媒系中でのポリマー材料の曇点を測定することにより、このような溶解パラメーターを求めることができる。 曇点での溶解パラメーターは、この溶媒の重み付けされたパーセントを基準とする。 通常、多数の曇点をこの材料について測定し、そしてこのような曇点により規定される中心領域をこの材料の溶解パラメーターの領域(範囲)として規定する。 【0058】 本発明の一つの実施形態に従って水性PNP分散液を調製する方法においては、前述のPNPと少なくとも一つの水相溶性溶媒を含有するPNP分散液が調製される。 この水性PNP分散液の全重量を基準とした水性PNP分散液中でのPNPの好適な重量パーセントは、通常1重量%〜90重量%、更に通常2重量%〜75重量%、なお更に通常4重量%〜65重量%、一層更に通常8重量%〜55重量%、そして最も通常10重量%〜45重量%である。 【0059】 好適な水相溶性溶媒は工程条件で水に少なくとも部分的に可溶である。 好適な水相溶性溶媒は、工程条件で、通常少なくとも10重量%、更に通常少なくとも15重量%、なお更に通常少なくとも20重量%、なお一層更に通常少なくとも30重量%、一層通常少なくとも50重量%、なお一層通常少なくとも75重量%、そして最も通常完全に水に可溶である。 好適な水相溶性溶媒は、「Lange's Handbook of Chemistry」に掲げられており、塩素化、フッ素化、及び臭素化された炭化水素などのハロ炭化水素、エーテル、ケトン、エステル、アルコール及びこれらの混合物を包含する。 特に好適な溶媒は、ジフェニルエーテル、ガンマ−ブチロラクトン、酢酸エチル、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カプロラクトン、2−ヘプタノン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、メチルエチルケトン(「MEK」)、プロピレングリコールモノメチルエーテル、及びデカノールなどのアルキルアルコール、好ましくはt−ブタノールとイソプロパノール(「IPA」)などのC 1 −C 5アルキルアルコールを包含する。 【0060】 好適な溶媒は、また、工程条件で水と共沸物(二元及び更に高次の共沸物)も形成する。 水と共沸物を形成する溶媒が規定され、そこで、工程条件での平衡した水と溶媒の混合物の蒸気相中の溶媒の濃度は、少なくとも10重量%、通常少なくとも20重量%、更に通常少なくとも30重量%、なお更に通常少なくとも40重量%、そして好ましくは少なくとも50重量%である。 水と共沸物も形成する好適な溶媒は、「Lange's Handbook of Chemistry」に示されている。 このような溶媒は、好ましくはC 1 −C 4ジ(アルキル)(ジ)エチレングリコール、IPAなどのC 1 −C 3アルコール、アセトン、及びMEKなどの水と良好な共沸物を形成する水相溶性溶媒を包含する。 【0061】 本発明のPNP分散液の調製は界面活性剤の使用を必要とせず、本発明のPNP分散液は界面活性剤を実質的に含まないのが通常であるが、界面活性剤を包含してもよい。 存在する場合には、界面活性剤の量は、このPNPの全重量基準で、通常3重量パーセント未満、更に通常2重量パーセント未満、なお更に通常1重量パーセント未満、一層通常0.5重量パーセント未満、そしてなお一層通常0.2重量パーセント未満である。 【0062】 この水相溶性溶媒を種々の方法でPNP分散液に提供することができる。 一つの方法は、非水相溶性溶媒中でこのPNPの溶媒ベースのフリーラジカル重合を行ない、引き続いて、この分散液を水相溶性溶媒により希釈することである。 この場合、この水相溶性溶媒はこの非水相溶性溶媒と混和性である。 加えて、水相溶性溶媒による希釈に先立ち、PNP分散液の非水相溶性溶媒の少なくとも一部を真空蒸留などにより除去することができる。 この非水相溶性溶媒の実質的なフラクションを除去すると、特性的に硬いPNP(例えば、工程温度よりも高いTgを有するか、あるいは高度に架橋されている)を粉末に乾燥し、引き続き水相溶性溶媒、水性の水含有溶媒に、または水にすら分散することができる。 好ましい方法は、水相溶性溶媒中でこのPNPの溶媒ベースのフリーラジカル重合を行なうことである。 この場合には、この水相溶性溶媒は、また、少なくとも2つの異なる溶媒の混合物であって、その混合物が水相溶性であるものであってもよい。 【0063】 水性PNP分散液を本発明に従って調製する方法において、このPNPの中和可能な重合単位の少なくとも一部は、少なくとも一つの中和剤により中和されて、少なくとも部分的に中和されたPNP分散液を形成する。 このPNPの中和可能な重合単位を種々の方法で中和することができる。 この中和可能な重合単位が酸性である場合には、中和剤は通常塩基性である。 同様に、この中和可能な重合単位が塩基性である場合には、中和剤は通常酸性である。 【0064】 好適な塩基性中和剤は無機及び有機塩基を包含する。 好適な無機塩基は、種々のI族[Li,Na,K,Rb,Cs]とII族[Be,Mg,Ca,Sr,Ba]の元素の水酸化物、炭酸塩、重炭酸塩、酢酸塩を包含する。 好適な有機塩基はアンモニア、1級/2級/3級アミン、ジアミン、及びトリアミンを包含する。 好ましい塩基性中和剤は水酸化ナトリウム(NaOH)、水酸化アンモニウム(NH 4 OH)、及びアンモニアを包含する。 水性ベースの被覆配合物中で使用する場合には、アンモニアは被膜から容易に蒸発し、したがって乾燥被膜の水に対する感受性を低下させるので、中和用塩基として好ましい。 【0065】 好適な酸性中和剤は、限定ではないが、ギ酸、酢酸、プロパン酸、クロロ酢酸、及びトリクロロ酢酸などのカルボン酸;マレイン酸、フマル酸、マロン酸、及びシュウ酸などのジカルボン酸;グリコール酸、乳酸、リンゴ酸、及び酒石酸などの(ジ)カルボン/ヒドロキシル酸;安息香酸、マンデル酸、フタル酸、及びサリチル酸などの芳香族酸;及びホウ酸、炭酸、クエン酸、ヨウ素酸、亜硝酸、硝酸、過ヨウ素酸、リン酸、亜リン酸、硫酸、亜硫酸、及び塩酸などの種々の他の酸を包含する。 【0066】 このPNP重合に4級化可能な反応性エチレン性不飽和モノマーを包含し、引き続き米国特許第5,212,251号で記述されているようにこのPNPを4級化することにより、中和を行なうこともできる。 例えば、アミン官能性モノマーは、好適な4級化可能な反応性エチレン性不飽和モノマーであり、これに対してアミン官能性モノマーを4級化する能力のある好適な化合物は、アルキルハライド、アリールハライド、エピクロロヒドリン及び例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ビスフェノールAのエポキシ誘導体などのエポキシドからなる群から選ばれるものを包含する。 4級化可能な反応性モノマーを4級化する能力のある4級化剤は、概ね、4級化可能な反応性官能基(例えば、アミン)と優先的に反応するいかなるアルキル化剤も包含する。 【0067】 本発明のある実施形態においては、この中和可能な重合単位は共重合された反応性官能基により提供される。 塩基性、あるいは酸性の官能基の中和に先立って、このような基を塩基性あるいは酸性の官能基を含有する反応物と後反応させることができる。 好適な反応物は、求核剤と塩基性あるいは酸性の官能基の両方を含有する。 通常の反応物はアミンあるいはメルカプタンの求核剤を含有する。 好ましい反応物は、メルカプト酸、例えば、HS−(CH 2 ) n −COOH、n=1〜3とアミノ酸、例えば、グリシン、アラニン、ロイシン、アスパルギン酸、グルタミン酸の少なくとも一つなどのアミンあるいはメルカプタンの求核剤と一つあるいはそれ以上のカルボン酸官能基を含有する。 コストと金属に有害である傾向のあるハライド(例えば、クロライドとブロマイド)イオンの生成を避ける理由で、エポキサイドとアンハイドライド重合可能な官能基の両方がハライドよりも好ましい。 コスト、入手性及びメルカプタン官能基に伴う臭いの懸念のために、通常、アミノ酸が後反応物としてメルカプト酸よりも好ましい。 後反応を施された反応物の塩基性あるいは酸性の官能基の中和を上述の好適な中和剤により行なって、少なくとも部分的に中和されたPNP分散液を得る。 【0068】 このPNP分散液を中和する中和剤の量は、通常、このPNPの中和可能な重合単位に対する中和剤のモル基準で決められる。 特定の理論に拘束されるのではないが、PNP組成と性質が変わるに従ってPNPを安定化(すなわち、非水性から水性への媒体の転換時に粒径を維持する)するのに必要とされる中和可能な重合単位の量(すなわち、投入量)は変わる。 PNPの疎水性、Tg、架橋レベル、及びこの中和剤からの対イオンのタイプは重要な変数であると考えられる。 安定化された水性PNP分散液(すなわち、このPNPの凝集を好ましくは最少化する)を提供するためには、この中和可能な重合単位は、好ましくは少なくとも20%、更に好ましくは少なくとも50%、なお更に好ましくは少なくとも80%、そして最も好ましくは少なくとも90%中和される。 中和剤をPNP分散液の完全中和に必要とされるものよりも過剰に添加してもよい(すなわち、過中和)が、過剰の中和剤は、PNP分散液の性質を劣化(例えば、臭いの増加)させ得るので通常望ましくない。 このような場合、中和剤の量は、通常、このPNPを完全に中和するのに必要な量の120%以下、そして更に通常、110%以下である。 【0069】 このPNPの中和を種々の方法で行なうことができる。 一つの実施形態においては、このPNP分散液を攪拌しながらこの中和剤を含有する溶液に添加することができる。 好ましくは、このPNP分散液を攪拌しながら、この中和剤を水溶液として経時的に添加して、少なくとも部分的に中和されたPNP分散液を提供する。 【0070】 本発明に従って水性PNP分散液を調製する方法においては、この少なくとも部分的に中和されたPNP分散液は水性媒体と混合される。 この水性媒体は水を含有するいかなる液体媒体でもよく、そして好ましくは水である。 この水性媒体はこのPNPを中和するための中和剤を含有してもよく、この場合には、このPNP分散液を同時に中和し、水性媒体と混合することができる。 この水性媒体は、また、このPNPの安定性を変えるか、あるいは表面張力などのこのPNP分散液の他の性質を変えることができる界面活性剤も含有してもよい。 【0071】 このPNP分散液と水性媒体の混合を種々の方法を用いて行なうことができる。 一つの実施形態においては、この少なくとも部分的に中和されたPNP分散液を水性媒体に添加することができる。 別な実施形態においては、水性媒体をこのPNP分散液に添加することができる。 別な実施形態においては、この少なくとも部分的にPNP分散液と水性媒体を混合ヘッド中などで同時に混合することができる。 混合に使用することができる種々の方法及び装置は、「The Chemical Engineer's Handbook,5th Edition,Perry and Chilton,Eds.,McGraw−Hill,Ch.21,1973」で記述されている。 通常、この水性相を連続的に攪拌し、その間にこのPNP分散液を添加して、この溶媒がこの水性媒体と完全に混合されることを確保しながら、このPNPの凝集を最少化する。 【0072】 このPNPを溶媒中で調製し、中和し、溶媒ストリッピングし、そして水性媒体(例えば、水)により希釈する本発明の追加的な実施形態が次の通り可能である。 【0073】 本発明の一つの実施形態においては、PNPをIPAなどの水相溶性溶媒中で調製し、中和剤により中和して、中和されたPNPの単一あるいは高次の相の溶液を形成し、水性媒体により希釈して、水性PNP分散液を形成する。 「高次の相の溶液」とは、PNPと溶媒を含有する少なくとも2つの熱力学的に明確に区別される相を有する組成物を意味する。 引き続いてこの水性PNP分散液を溶媒ストリッピングしてもよい。 【0074】 本発明の一つの実施形態においては、PNPをMEKなどの水相溶性溶媒中で調製し、中和剤により中和して、中和されたPNPの単一あるいは高次の相の溶液を形成し、水性媒体により希釈して、水性PNP分散液を形成する。 引き続いてこの実施形態の水性PNP分散液を溶媒ストリッピングし、PNPをこの分散液から抜き出すか、あるいは溶媒をこの分散液から抜き出してもよい。 この実施形態の水性PNP分散液の溶媒含量を低下させるために、ストリッピングと抽出工程の組み合わせも使用することができる。 【0075】 本発明の一つの実施形態においては、PNPをトルエンなどの水不混和性溶媒中で調製し、次に、中和剤により中和して、中和されたPNPの単一あるいは高次の相の溶液を形成し、水性媒体により希釈して、水性PNP分散液を形成する。 引き続いて、この実施形態の水性PNP分散液を溶媒ストリッピングし、PNPをこの分散液から抜き出すか、あるいは溶媒をこの分散液から抜き出してもよい。 この実施形態の水性PNP分散液の溶媒含量を低下させるために、ストリッピングと抽出工程の組み合わせも使用することができる。 【0076】 本発明の一つの実施形態においては、PNPを最初に溶媒中で調製し、次に、ストリッピングなどにより溶媒を除去し、次に、PNPを中和剤で中和し、水性媒体により希釈して、水性PNP分散液を形成する。 【0077】 本発明の一つの実施形態においては、PNPを最初に溶媒中で調製し、次に、中和剤により中和し、次に、ストリッピングなどにより溶媒を除去し、次に、水性媒体により希釈して、水性PNP分散液を形成する。 【0078】 水性媒体に対するこの少なくとも部分的に中和されたPNP分散液の重量比は、通常0.1:100〜100:1の範囲内、更に通常1:100〜10:1の範囲内、なお更に通常1:20〜2:1の範囲内、そして一層通常1:5〜1:1の範囲内である。 この水相溶性溶媒が水に混和する場合、一つの液相を有して、水性PNP分散液をもたらす比に対する限界はない。 この水相溶性溶媒が水中で部分的に可溶である場合、単一液相の水性PNP分散液を与える比は、通常、工程条件での水中でのこの溶媒の溶解性により限定される。 【0079】 本発明のある実施形態においては、この水性PNP分散液から溶媒の少なくとも一部を除去して、この分散液の水性及びPNPフラクションを富化することが望ましい。 これらの実施形態においては、この溶媒の好ましくは少なくとも25重量%、更に好ましくは少なくとも50重量%、なお更に好ましくは少なくとも75重量%、及び最も好ましくは実質的にすべてが水と交換される。 この溶媒の除去は、好ましくはこのPNPの不安定化(すなわち、凝集)を最少化する条件下で行なわれる。 水−溶媒混合物から溶媒を除去する種々の方法を本発明で使用することができるが、多数のものは、「The Chemical Engineer's Handbook,5th Edition,Perry andChilton,Eds.,McGraw−Hill,Ch.13,”Distillation”,1973」で記述されている。 好ましくは、溶媒の少なくとも一部を除去するのに共沸蒸留法が使用される。 「同上、13〜38頁及びその次」を参照されたい。 好適な共沸二元水−溶媒対の例は同上、表13−10に提供されている。 好ましくは、この共沸混合物は、二元あるいは更に高次であれ、共沸蒸留時に単一の液相を含有する(すなわち、均一な共沸蒸留)。 【0080】 本発明の一つの実施形態においては、粒子安定性を賦与するのに中和剤を必要としない水性PNP分散液を調製することが望ましい。 この実施形態においては、このPNPに対して「良溶媒」であり、かつ水中で相溶性あるいは混和性である溶媒中でPNPの分散液を調製することができる。 このPNPに対する良溶媒は通常このPNPを膨潤させる。 このPNPに対する良溶媒も規定され、ここでは、この良溶媒とこのPNPの溶解パラメーターを実質的にマッチさせる。 水と相溶性あるいは混和性である溶媒は本明細書で記述されている。 水と相溶性あるいは混和性でもあるアクリル含有PNPに対するこのような良溶媒の例は、イソプロパノール、アルキルセロソルブ、(例えば、ブチルセロソルブ)及びアルキルカルビトール(例えば、エチルカルビトール)を包含する。 この実施形態においては、このPNPは、水と混合される時の粒子安定性を賦与するのに中和剤の添加を必要としない。 このPNP溶媒分散液を水などの水性媒体と混合することにより、この実施形態の水性PNP分散液を調製することができる。 この実施形態においては、水の重量パーセントは、この水性PNP分散液の全重量基準で、通常少なくとも1重量%、更に通常少なくとも2重量%、なお更に通常少なくとも5重量%、一層通常少なくとも10重量%、なお一層通常少なくとも25重量%、更に一層通常少なくとも50重量%、そして最も通常少なくとも75重量%である。 【0081】 本発明の水性PNP分散液は広範囲のPNP重量フラクションを有することができる。 このPNP重量フラクションは、通常0.1重量%〜99重量%、更に通常1重量%〜90重量%、なお更に通常2重量%〜75重量%、一層通常5重量%〜50重量%、そして最も通常10重量%〜40重量%の範囲である。 PNP重量フラクションが25重量%よりおおきい場合には、粘稠なシロップ様の水性PNP分散液が通常生成する一方、このPNP重量フラクションが15重量%未満である場合には、希薄な液体様の水性PNP分散液がもたらされる。 これらの固体濃度対粘度のガイドラインは組成と温度と共に変わる。 【0082】 本発明の水性PNP分散液を会合性増粘剤として使用することができる。 これらの実施形態においては、このPNPはこのPNPの表面から延びる平均少なくとも2個の疎水基を更に含んでなる。 この疎水基を種々な方法でこのPNPに好適に提供することができる。 一つの方法は、このPNPの合成中に平均2個のエチレン性不飽和疎水基含有モノマーを包含することである。 好適な疎水基含有モノマーは、疎水基を有するいかなるエチレン性不飽和モノマーであることができる。 好適な疎水基は、通常少なくとも4個の炭素原子を、更に通常少なくとも6個の炭素原子を、なお更に通常少なくとも8個の炭素原子を、そして一層通常少なくとも10個の炭素原子を含んでなるアルキル基である。 この疎水基含有モノマーは本発明のPNPと共重合可能であり、本明細書で説明される通りエチレン性不飽和官能基を有する。 この疎水基含有モノマーは、疎水基とエチレン性不飽和官能基の間に2〜100個のポリエチレンオキシド(PEO)結合などの少なくとも1個の水可溶スペーサー基を場合によっては含有してもよい。 【0083】 好ましい実施形態においては、この疎水基含有モノマーは、疎水基とエチレン性不飽和官能基の間に水溶性スペーサー分子(例えば、ポリエチレンオキサイドスペーサー)を有する。 好適な例はC 10 −C 30エトキシレート、好ましくはC 12 −C 18エトキシレートを有するメタアクリレート化非イオン性界面活性剤を包含する。 【0084】 別な実施形態においては、疎水基含有反応物を後反応させることにより、化学官能基を有する重合単位を含有するPNPにこのPNP会合性増粘剤の疎水基を与えることができる。 好適な化学官能基を有するPNPは上記に示されている。 好適な疎水基含有反応物はアミン、アルコール、及びアンハイドライドを包含する。 【0085】 好適な疎水基含有モノマーと反応物は、通常10未満、好ましくは5未満、更に好ましくは2未満、そして一層好ましくは1重量パーセント未満の25℃での水溶解度(または混合物に対する重量平均の水溶解度)を有する。 「水溶解度」とは、疎水基含有モノマーと反応物の水中への溶解度を本明細書では意味する。 【0086】 本発明のPNP会合性増粘剤とPNP水性分散液は、この重合溶媒中での分散液として、本明細書で提供される水性分散液として、あるいは例えば、真空蒸発、非溶媒への沈澱、及び噴霧乾燥による単離物として使用可能である。 単離した場合には、PNPをコーティング組成物の中への組み込みに好適な媒体中に引き続き再分散することができる【0087】 PNPまたはこのPNPの分散液を水性ベース組成物と混和することにより、本発明のPNP会合性増粘剤を種々の水性ベース組成物(例えば.コーティング、接着剤、光沢剤、ワックス、及び種々の他の有機及び無機分散液)中に組み込むことができる。 当業者によく知られた種々のオプションの組成物補助剤を同様に添加することができる。 被覆物用途においては、この被覆組成物は水性あるいは非水性媒体を包含することができる。 この被覆組成物は、例えば、粘着剤、顔料、乳化剤、架橋剤、モノマー、オリゴマー、ポリマー、溶媒、融合剤、緩衝剤、中和剤、保湿剤、湿潤剤、殺生物剤、可塑剤、発泡防止剤、着色剤、ワックス、酸化防止剤、及び他の増粘剤または会合性増粘剤などの慣用の被覆補助剤を含有することができる。 【0088】 本発明のPNP会合性増粘剤を含有する被覆物は、例えば、ブラシまたは塗料ローラー、エアアトマイズスプレー、エアアシストスプレー、エアレススプレー、高容積低圧スプレー、エアアシストエアレススプレー、カーテンコーティング、ローラーコーティング、リバースローラーコーティング、グラビアコーティング、フレキソ印刷、インク−ジェット、バブル−ジェット、及び静電スプレーなどの慣用の適用方法により適用され得る。 【0089】 本発明のPNP会合性増粘剤を含有する被覆物は、例えば、シートとフィルムを含むプラスチック、木材、金属、皮革、織布または不織布、毛髪、皮膚、爪、紙、既塗装の表面、セメント質基材、及びアスファルト質基材などの基材に適用され得る。 【0090】 【実施例】 実施例1:水性PNP分散液:70MMA/10TMPTA/20MAA メタクリル酸メチル/メタアクリル酸/トリメチロールプロパントリアクリレート(70/20/10重量%)PNP分散液をIPA中の溶液重合により次の通りに調製した。 5リットル反応器に熱電対、温度コントローラー、パージガス入口、パージガス出口付きの水冷還流コンデンサー、スターラー、及びモノマー供給ラインを取り付けた。 別な容器に315gのMMA、90gのMAA、及び45gのTMPTAを含有する450グラムのモノマー混合物(A)を装填した。 追加の容器に18gの、ミネラルスピリッツ中のt−アミルペルオキシピバレートの75%溶液(Triganox125−C75)と、113gのイソプロピルアルコールからなる開始剤ミックス(B)を装填した。 2330gのIPA装填物をこの反応器に添加した。 この反応器を窒素によりほぼ30分間スイープした後、加熱して、この反応器装填物を79℃とした。 この反応器の内容物が79℃に達した時、モノマー混合物(A)と開始剤ミックス(B)の両方をこの反応器に複路で供給した。 供給ポンプを用いてこの2つの混合物を120分にわたって均一に供給した。 このモノマーと開始剤の供給の終わりに、このバッチを79℃で30分間保持した後、9gの、ミネラルスピリッツ中のt−アミルペルオキシピバレートの75%溶液(Triganox 125−C75)と、22.5gのIPAからなる3つの開始剤チェイサーの第1のものを添加した。 第1の開始剤チェイサー添加後30分で第2の開始剤チェイサー添加を行なった。 同様に、第2の開始剤チェイサー添加後30分で最終の開始剤の添加を行なった。 次に、このバッチを79℃の重合温度で更に2.5時間保持して、モノマーを完全な転化を達成した。 【0091】 この最終の保持の終わりに、このPNP分散液に42.5gのNH 4 OHの50%水溶液と450gの水の混合物を添加することにより、このPNPの重合MAA単位を中和した。 【0092】 この中和されたPNP分散液をロータリーエバポレーターに移して、フルハウスの真空下約35℃で溶媒をストリッピングした。 この溶媒を実質的にすべて除去した後、このPNP分散液を水により水中の約40重量%のPNPに希釈した。 粒子サイズを測定すると〜5.0nmであった。 得られた水性PNP分散液は水性ラテックス塗料の調製における使用など乳化重合用の安定剤として使用することができる。 【0093】 実施例2:MEK中で合成し、中和及びストリッピングして、水に置換したPNP ブチルアクリレート/メチルメタアクリレート/アクリル酸/アリルメタアクリレート(49.5/33/7.5/10重量%)のPNPを溶液重合により調製した。 1リットル反応器に熱電対、温度コントローラー、パージガス入口、パージガス出口付きの水冷還流コンデンサー、スターラー、及びモノマー供給ラインを取り付けた。 別な容器に74.3gのブチルアクリレート(BA)、49.5gのメチルメタアクリレート(MMA)、11.3gのアクリル酸(AA)、及び15.0gのアリルメタアクリレート(ALMA)からなるモノマー混合物(A)150gを装填した。 追加の容器に3.0gの、ミネラルスピリッツ中のt−アミルペルオキシピバレートの75%溶液(Triganox125−C75)と37.5gのメチルエチルケトン(MEK)からなる開始剤ミックス(B)を装填した。 528gのMEK装填物をこの反応器に添加した。 この反応器を窒素によりほぼ30分間スイープした後、加熱して、この反応器装填物を78℃とした。 この反応器の内容物が78℃に達した時、モノマー混合物(A)と開始剤ミックス(B)の両方をこの反応器に複路で供給した。 供給ポンプを用いてこの2つの混合物を120分にわたって均一に供給した。 このモノマーと開始剤の供給の終わりに、このバッチを78℃で30分間保持した後、3.0gの、ミネラルスピリッツ中のt−アミルペルオキシピバレートの75%溶液(Triganox 125−C75)と7.50gのMEKからなる3つの開始剤チェイサーの第1のものを添加した。 第1の開始剤チェイサー添加後30分で第2の開始剤チェイサー添加を行なった。 同様に、第2の開始剤チェイサー添加後30分で最終の開始剤チェイサーの添加を行なった。 次に、このバッチを78℃の重合温度で更に2.5時間保持して、モノマーの完全な転化を達成した。 【0094】 この最終の保持の終わりに、11.0gのNH 4 OHの50%水溶液と150gの水の混合物によりこのバッチを中和した。 この中和されたPNP分散液をロータリーエバポレーターに移して、フルハウスの真空下〜45℃で溶媒をストリッピングした。 すべての溶媒を除去した後、このバッチを水により水中の〜30%ポリマーに希釈し、そしてpHを〜8.0に調整した。 粒子サイズを測定すると〜4.7nmであった。 【0095】 実施例3:IPA中で調製し、乾燥し、そして水の中に再分散したPNP メチルメタアクリレート/アクリル酸/トリメチロールプロパントリアクリレート(75/20/5重量%)のPNPを実施例1で述べたようにイソプロピルアルコール中で20%固体で溶液重合により調製した。 粒子サイズを測定すると2.4nmであった。 【0096】 この最終の保持の終わりで、このバッチの一部を5倍過剰のヘプタンに装填した。 このヘプタン溶液から容易に沈澱するナノ粒子をブフナー漏斗を用いて濾過し、真空オーブン中、フルハウスの真空で〜60℃で乾燥して、すべての揮発性材料を除去した。 100gの乾燥PNPに300gの水と20.5gの50%NH 4 OH水溶液を添加した。 この混合物を〜1時間攪拌して、透明な均一溶液を得た。 粒子サイズを測定すると2.3nmであった。 【0097】 実施例4:IPA中で調製し、中和し、乾燥し、そして水の中で再分散したPNP 実施例3に従って、この最終の保持の終わりで、100gのPNP分散液を4.4gのNaOHの50%水溶液により中和した。 この中和されたPNP分散液を5倍過剰のヘプタンに装填して、PNPを沈澱させた。 この沈澱したPNPを濾過により単離し、真空オーブン中〜60℃で一定重量まで乾燥した。 次に、この乾燥したPNPを水の中に再分散して、30%固体の溶液を得た。 粒子サイズは2.4nmであった。 【0098】 実施例5:中和可能な単位の含量を変えた水性PNP分散液実施例1の一般的な方法に従って、3つのPNP分散液をn−プロパノール溶媒中で20重量%の固体で調製した。 このPNP組成物は、10重量%のTMPTA、3重量%と7.5重量%の間のMAA、及び残部の等量のBAとMMAのモノマーを含有していた。 n−プロパノール中でのこのPNPの平均粒子サイズは約4と10nmの間であった。 このPNP分散液を充分な量の塩基性中和剤により中和して、実質的にすべてのMAA酸単位を中和した。 次に、共沸蒸留法を用いてこのPNP分散液をn−プロパノールから水性媒体に転換した。 得られた水性PNP分散液の粒子サイズ分布を次表に示す。 【0099】 【表1】
【0100】 上記の実施例は、このPNP粒子の安定性が装填物の増加、共沸蒸留時の温度の低下と共に増加すること、そしてNaOHがNH
4 OHよりも良好な中和剤であるように思われることを示す。 【0101】
実施例6:レオロジー改良剤としての水性PNP分散液の使用組成25BA/25MMA/10TMPTA/40MAA、平均粒径5〜10nmの水性PNP分散液を実施例1の一般的な方法に従って調製する。 この水性PNP分散液はラテックスベースの被覆物などの水ベースの工業用及び民生用製品のレオロジー改良剤として使用することができる。 この実施例においては、固体基準で1重量部のこのPNP分散液を固体基準で100部の水性アクリル半光沢被覆組成物に添加する。 このPNPを含有する水性アクリル半光沢被覆組成物の垂れ下がり時間は増加する。
【0102】
実施例7:PNP疎水基会合性増粘剤疎水基含有モノマーPNP疎水基会合性増粘剤組成物を次のように調製した。 ドデシル/ステアリルエトキシレートの非イオン性界面活性剤と3−イソプロペニル−α,α−ジメチルベンジルイソシアネート(IDI)とをジブチルスズジラウレートの存在下トルエン中90℃で1時間反応させ、続いてこの溶媒を蒸発させることにより、疎水基含有モノマー30C
18 (EO) 92 −IDIを調製した。 PNT組成物PNP A:26.5BA/26.0MMA/10.0TMPTMA/30C
18 (EO) 92 −IDI/7.5MAA PNP B:11.5BA/11.0MMA/10.0TMPTMA/60C
12 (EO) 92 −IDI/7.5MAA 【0103】
水性PNP分散液355gの1−プロパノールを入れたフラスコに窒素下82℃で100gのモノマー溶液(PNPAとPNPB組成物の各々に対する別な重合において)を1.5時間にわたって添加し、そして7.5gの脂肪族炭化水素中の75重量%のt−アミルペルオキシピバレートの37.5gの1−プロパノール中の溶液を4.5時間にわたって添加した。 開始剤供給の完了時、この反応を82℃で更に30分攪拌した。 加熱を取り去り、180gの水を10分間にわたって添加し、続いて24.4gの水中の4.4gの水酸化ナトリウムの中和用溶液を添加した。 溶媒/水媒体中の中和された14.3重量%のPNP粒子の透明な分散液を形成した。 プロパノールを共沸蒸留により水と交換して、PNPAに対して8.2nm、そしてPNPBに対して6.6nm(光散乱による平均直径)の粒子サイズを有する10重量%固体の透明な水性PNP分散液を生成させた。
【0104】
会合性増粘剤PNPA及びPNPB水性分散液が増粘剤として有用性を有することを示した。
水用の増粘剤:
水中の10重量%PNPA:粘度>100,000cps;
水中の10重量%PNPB:粘度=1,250cps。
【0105】
スピンドルLV−4を用いてブルックフィールドモデルDV−IIプログラム制御レオメーターにより粘度測定を12rpmで行なった。
【0106】
【表2】
aKU=ブルックフィールドモデルKU−1Pで測定したストーマー粘度(10
2秒 −1 ) bKU=ICI Cone&Plate粘度計で測定した高せん断粘度(10
3秒 −1 ) c;ペンシルベニア州のロームアンドハース社(Rohm and Haas Company,Philadelphia,PA)
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