太陽電池用裏面保護シート、その製造方法、及び太陽電池モジュール

申请号 JP2010546564 申请日 2010-09-15 公开(公告)号 JPWO2011034070A1 公开(公告)日 2013-02-14
申请人 東洋インキScホールディングス株式会社; 发明人 山口 浩史; 浩史 山口; 幸文 真下; 幸文 真下; 猛 吉川; 猛 吉川; 諭志 前田; 諭志 前田; 昌希 柳沼; 昌希 柳沼;
摘要 加 水 分解によって封止層から生じる酢酸に起因して発電性能が劣化するのを抑制することが可能となる。太陽電池用裏面保護シート(V’)は、エポキシ樹脂(A)を含有した接着剤層(1’)と、一方の主面が前記接着剤層(1’)を支持したプラスチックフィルム(2)とを含んでいる。
权利要求
  • エポキシ樹脂(A)を含有した接着剤層(1')と、一方の主面が前記接着剤層(1')を支持したプラスチックフィルム(2)とを具備した太陽電池用裏面保護シート(V')。
  • 前記接着剤層(1')中のエポキシ基の量は0.01乃至5mmol/gの範囲内にある請求項1に記載の太陽電池用裏面保護シート(V')。
  • 前記接着剤層(1')は、水酸基を有し、カルボキシル基を実質的に有していない、エポキシ樹脂以外の樹脂(B)と、ポリイソシアネート化合物(C)とを更に含有した請求項1又は2に記載の太陽電池用裏面保護シート(V')。
  • 前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量は5000g/eq以下である請求項3に記載の太陽電池用裏面保護シート(IV')。
  • 前記樹脂(B)は、ポリエステル系樹脂(B1)、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂からなる群より選ばれる請求項3又は4に記載の太陽電池用裏面保護シート(V')。
  • 前記樹脂(B)は前記ポリエステル系樹脂(B1)である請求項5に記載の太陽電池用裏面保護シート(V')。
  • 前記エポキシ樹脂(A)と前記ポリエステル系樹脂(B1)との合計量に占める前記エポキシ樹脂(A)の割合は1乃至50質量%の範囲内にある請求項6に記載の太陽電池用裏面保護シート(V')。
  • 前記ポリエステル系樹脂(B1)のガラス転移温度は20乃至100℃の範囲内にある請求項6又は7に記載の太陽電池用裏面保護シート(V')。
  • 前記ポリイソシアネート化合物(C)はブロック化ポリイソシアネート化合物(C1)である請求項3乃至8の何れかに記載の太陽電池用裏面保護シート(V')。
  • 金属箔と金属酸化物又は非金属無機酸化物からなる蒸着層との少なくとも一方を、前記プラスチックフィルム(2)の前記接着剤層(1')を支持した前記主面の裏面側に更に具備した請求項1乃至9の何れかに記載の太陽電池用裏面保護シート(V')。
  • プラスチックフィルム(2)の一方の主面に、エポキシ樹脂(A)と、水酸基を有し、カルボキシル基を実質的に有していない、エポキシ樹脂以外の樹脂(B)と、ポリイソシアネート化合物(C)とを含有した接着剤を塗工して、接着剤層(1')を形成することを含んだ太陽電池用裏面保護シート(V')の製造方法。
  • 表面保護材(I)と、
    受光面と非受光面とを有し、前記受光面が前記表面保護材(I)と向き合った太陽電池素子(III)と、
    前記太陽電池素子(III)の前記非受光面側に位置し、エチレン−ビニルアセテート共重合体を含んだ封止層(IV)と、
    請求項1乃至10の何れかに係る太陽電池用裏面保護シート(V')を、前記接着剤層(1')と前記封止層(IV)とが接触するように前記封止層(IV)に貼り付けてなる太陽電池裏面封止シート(V)とを具備した太陽電池モジュール。
  • 前記表面保護材(I)と前記太陽電池素子(III)との間に、エチレン−ビニルアセテート共重合体を含んだ封止層(II)を更に具備した請求項12に記載の太陽電池モジュール。
  • 说明书全文

    本発明は、太陽電池用裏面保護シートに関する。

    近年、環境問題に対する意識が高まり、環境汚染がなくクリーンなエネルギー源である太陽電池が注目されている。 太陽電池は、実質的に無尽蔵なエネルギー資源である太陽エネルギーを電気エネルギーとして利用可能とすることから、鋭意研究されており、既に実用化が進んでいる。

    太陽電池素子には様々な形態がある。 代表的な太陽電池素子としては、結晶シリコン太陽電池素子、多結晶シリコン太陽電池素子、非晶質シリコン太陽電池素子、銅インジウムセレナイド太陽電池素子及び化合物半導体太陽電池素子等が知られている。 これらの中でも、薄膜結晶太陽電池素子、非晶質シリコン太陽電池素子及び化合物半導体太陽電池素子は、比較的低コストであり且つ大面積化が可能であるため、それらに関する研究開発が活発に行われている。 特に、導体金属基板上にシリコンを積層し、その上に透明導電層を更に形成した非晶質シリコン太陽電池素子に代表される薄膜太陽電池素子は、軽量であり且つ耐衝撃性及びフレキシブル性に富んでいる。 従って、そのような太陽電池素子は、将来、太陽電池の分野において主流になると見られている。

    単純な太陽電池モジュールは、例えば、太陽電池素子の前面及び背面の各々の上に、封止層と保護材とをこの順に積層した構造を有している。

    太陽電池素子の受光面を保護する保護材としては、透明性、耐候性及び耐擦傷性に優れたガラス板が、従来から一般的に用いられている。 他方、太陽電池素子の非受光面を保護する保護材としては、従来はガラス板が使用されていたが、近年、コスト、安全性及び加工性の観点から、ガラス板の代わりに太陽電池用裏面保護シート(以下、裏面保護シートという)が使用されつつある。

    裏面保護シートとしては、例えば、ポリエステルフィルム等の単層フィルム、ポリエステルフィルム等の上に金属酸化物又は非金属酸化物からなる蒸着層を設けた蒸着フィルム、並びに、ポリエステルフィルム、フッ素系フィルム、オレフィンフィルム及びアルミニウム箔などのフィルムを積層した多層フィルムが挙げられる。

    多層構造の裏面保護シートは、様々な性能を有し得る。 例えば、ポリエステルフィルムを用いると、絶縁性に優れた裏面保護シートが得られる。 また、フッ素系フィルムを用いると、耐候性に優れた裏面保護シートが得られる。 そして、アルミニウム箔を用いると、蒸気バリア性に優れた裏面保護シートが得られる。 どのような裏面保護シートを用いるかは、太陽電池モジュールの使用形態に応じて適宜選択され得る。

    封止層としては、透明性及びコスト等の観点から、現在、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)フィルムが一般的に使用されている。

    しかしながら、特開2005−29588号及び特開2007−329404号に記載されているように、EVAフィルムは、その構成成分として酢酸ビニルを含んでいるため、高温時に水蒸気又は水が浸入すると、EVAが加水分解して酢酸を生じることがある。 そのため、封止層としてEVAフィルムを使用した太陽電池モジュールには、時間の経過に伴い発電性能が劣化するという問題がある。

    また、封止層としてEVAフィルムを使用した太陽電池モジュールには、裏面保護シートが封止層から剥離し易いという問題もある。 これに関連して、特開2008−108948号には、段落0031及び0033に、エチレン−アクリル酸エステル共重合体、エチレン−メタクリル酸エステル共重合体及びEVAの少なくとも1つを主成分として含み、エポキシ化合物、オキサゾリン化合物又はカルボジイミド化合物が更に配合された熱融着性層を、任意にウレタン系接着剤層を介して、耐熱性フィルム上に積層することによって、封止用保護シート、即ち、裏面保護シートを構成することが記載されている。 また、この文献には、段落0027及び0030に、この裏面保護シートを、EVAフィルムに貼り合せてなる太陽電池モジュールも記載されている。

    特開2008−108948号には、表1及び段落0113などに、エチレン−アクリル酸エチル共重合体にカルボジイミド化合物を配合してなる熱融着性層を、ウレタン系接着剤層を介さずに耐熱性フィルム上に積層することによって裏面保護シートを構成し、この裏面保護シートをEVAフィルムに熱融着させた場合、初期において、即ち、高温高湿度環境下での劣化促進試験に供する前に、耐熱性フィルムと熱融着性層との間で層間剥離を生じることが記載されている。 また、表1及び段落0112などには、熱融着性層がエチレン−アクリル酸エチル共重合体のみからなり且つこの熱融着性層がウレタン系接着剤層を介して耐熱性フィルム上に積層されたこと以外は上記と同様の裏面保護シートをEVAフィルムに貼り合せた場合、初期において十分な接着を達成することができるものの、高温高湿度環境下での劣化促進試験による強度低下が著しいことが記載されている。 特開2008−108948号の0020などの記載からすると、これは、劣化促進試験中にEVAフィルムから生じる酢酸により、ウレタン系接着剤層の加水分解が促進されたためであると推定される。

    本発明の目的は、加水分解によって封止層から生じる酢酸に起因して発電性能が劣化するのを抑制可能とすることにある。

    本発明の第1側面によると、エポキシ樹脂(A)を含有した接着剤層(1')と、一方の主面が前記接着剤層(1')を支持したプラスチックフィルム(2)とを具備した太陽電池用裏面保護シート(V')が提供される。

    前記接着剤層(1')中のエポキシ基の量は0.01乃至5mmol/gの範囲内にあってもよい。 前記接着剤層(1')は、水酸基を有し、カルボキシル基を実質的に有していない、エポキシ樹脂以外の樹脂(B)と、ポリイソシアネート化合物(C)とを更に含有していてもよい。 前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量は5000g/eq以下であってもよい。 前記樹脂(B)は、ポリエステル系樹脂(B1)、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂からなる群より選ばれてもよい。 前記樹脂(B)は前記ポリエステル系樹脂(B1)であってもよい。 前記エポキシ樹脂(A)と前記ポリエステル系樹脂(B1)との合計量に占める前記エポキシ樹脂(A)の割合は1乃至50質量%の範囲内にあってもよい。 前記ポリエステル系樹脂(B1)のガラス転移温度は20乃至100℃の範囲内にあってもよい。 前記ポリイソシアネート化合物(C)はブロック化ポリイソシアネート化合物(C1)であってもよい。 前記太陽電池用裏面保護シート(V')は、金属箔と金属酸化物又は非金属無機酸化物からなる蒸着層との少なくとも一方を、前記プラスチックフィルム(2)の前記接着剤層(1')を支持した前記主面の裏面側に更に具備していてもよい。

    本発明の第2側面によると、プラスチックフィルム(2)の一方の主面に、エポキシ樹脂(A)と、水酸基を有し、カルボキシル基を実質的に有していない、エポキシ樹脂以外の樹脂(B)と、ポリイソシアネート化合物(C)とを含有した接着剤を塗工して、接着剤層(1')を形成することを含んだ太陽電池用裏面保護シート(V')の製造方法が提供される。

    本発明の第3側面によると、表面保護材(I)と、受光面と非受光面とを有し、前記受光面が前記表面保護材(I)と向き合った太陽電池素子(III)と、前記太陽電池素子(III)の前記非受光面側に位置し、エチレン−ビニルアセテート共重合体を含んだ封止層(IV)と、第1側面に係る太陽電池用裏面保護シート(V')を、前記接着剤層(1')と前記封止層(IV)とが接触するように前記封止層(IV)に貼り付けてなる太陽電池裏面封止シート(V)とを具備した太陽電池モジュールが提供される。

    前記太陽電池モジュールは、前記表面保護材(I)と前記太陽電池素子(III)との間に、エチレン−ビニルアセテート共重合体を含んだ封止層(II)を更に具備していてもよい。

    第1乃至第3側面によると、加水分解によって封止層から酢酸が生じたとしても、この酢酸は、エポキシ樹脂(A)を含有した接着層(1)によってトラップされる。 従って、加水分解によって封止層から生じる酢酸に起因して発電性能が劣化するのを抑制することが可能となる。

    以下、本発明の実施の形態を、詳細に説明する。
    本発明の一形態に係る太陽電池用裏面保護シート(V')は、エポキシ樹脂(A)を含有した接着剤層(1')と、一方の主面が接着剤層(1')を支持したプラスチックフィルム(2)とを含んでいる。 裏面保護シート(V')は、接着剤層(1')とEVAを含んだ封止層(IV)とが接触するように、後述する太陽電池モジュールの封止層(IV)に貼り付けられる。

    まず、接着剤層(1')について説明する。
    接着剤層(1')は、プラスチックフィルム(2)と封止層(IV)との接着性を向上させるために設けられた樹脂層である。

    太陽電池モジュールにおいて、接着剤層(1')に対応した接着層(1)は、封止層(IV)における加水分解によって生じる酢酸をトラップする。 具体的には、接着層(1)が含んでいるエポキシ樹脂(A)は、EVAから生じる酢酸の少なくとも一部をトラップする。

    EVAから、生じる酢酸をトラップし得るエポキシ樹脂(A)以外の物質としては、特開2008−108948号に記載されたカルボジイミド化合物がある。 しかしながら、カルボジイミド基は、エポキシ基に比して、水との反応性に富むので、水の影響によりトラップ機能が持続し難い。 そして、トラップ機能が持続しないと、太陽電池モジュールとしての出力低下を抑制することができない。

    エポキシ樹脂(A)としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、ビキシレノール型エポキシ樹脂、トリヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、及びテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂が挙げられる。

    ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、及び水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂が挙げられる。 コスト及び溶剤溶解性の観点から、ビスフェノールA型エポキシ樹脂を使用することが好ましい。

    ノボラック型エポキシ樹脂としては、例えば、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、臭素化フェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフタレン骨格含有フェノールノボラック型エポキシ樹脂、及びジシクロペンタジエン骨格含有フェノールノボラック型エポキシ樹脂が挙げられる。

    エポキシ樹脂(A)として、例えば、ダイセル化学工業(株)製のEHPE−3150などの脂環式エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアヌレートなどの複素環式エポキシ樹脂、N,N,N',N'−テトラグリシジルメタキシレンジアミンなどのグリシジルアミン類若しくはグリシジル(メタ)アクリレートとエチレン性不飽和二重結合を有する化合物との共重合物、又は、グリコール若しくはポリオールの水酸基をグリシジルエーテル化したエポキシ化合物も用いることができる。
    これらは、単独で使用してもよく、2種類以上を併用してもよい。

    なお、この明細書において、或る官能基について「(メタ)アクリル」という表記を使用した場合、その官能基は、「(メタ)アクリル」を「アクリル」に読み替えた官能基、及び、「(メタ)アクリル」を「メタクリル」に読み替えた官能基の何れであってもよいことを意味している。 更に、この明細書において、或る化合物について「(メタ)アクリレート」という表記を使用した場合、その化合物は、「(メタ)アクリレート」を「アクリレート」に読み替えた化合物、及び、「(メタ)アクリレート」を「メタクリレート」に読み替えた化合物の何れであってもよいことを意味している。

    接着剤層(1')は、種々の方法で設けることができる。 例えば、接着剤をプラスチックフィルム(2)に塗工して、コーティング層(1'−a)を形成し、該コーティング層(1'−a)を接着剤層(1')として用いることができる。 或いは、加熱することによってEVAシートに接着し得る樹脂と、エポキシ樹脂(A)とを含有したフィルム(1'−b)を、接着剤を介して又は直にポリエステルフィルム(2)上に積層し、前記樹脂フィルム(1'−b)を接着剤層(1')として用いることもできる。 後者の場合、接着剤層(1')は、例えば、ポリエチレン及びポリプロピレン等のポリオレフィン樹脂、ポリフッ化ビニル及びポリフッ化ビニリデン等のフッ素系樹脂、又はエチレン−酢酸ビニル共重合体等にエポキシ樹脂(A)を混合し、この混合物を、T−ダイ押出機等を用いてフィルム化することにより得ることができる。

    この明細書及び請求の範囲においては、接着剤層(1')中に含まれるエポキシ基の量を、mmol/gという単位で表す。 接着剤層(1')中のエポキシ基の量がXmmolであることは、接着剤層(1')の固形分1gに、Xmmolのエポキシ基が含まれていることを意味している。

    接着剤層(1')中のエポキシ基の量は、0.01乃至5mmol/gの範囲内にあることが好ましく、0.05乃至2mmol/gの範囲内にあることがより好ましく、0.1乃至1mmol/gの範囲内にあることが更に好ましい。

    エポキシ基が少ない場合、酢酸のトラップ効果が小さい。 エポキシ基が多い場合、接着層(1)において、封止層(IV)との接着に寄与する成分の含有量が相対的に少なく、それ故、封止層(IV)との接着力の低下を引き起こす可能性がある。

    また、この明細書及び請求の範囲においては、エポキシ樹脂(A)中に含まれるエポキシ基の量を、エポキシ当量を用いて表す。 エポキシ当量がYg/eqであることは、Ygのエポキシ樹脂(A)中に、1molのエポキシ基が含まれていることを意味している。 この値が小さいほど、分子中により多くのエポキシ基が含まれる。

    エポキシ樹脂(A)は、エポキシ当量が5000g/eq以下であることが好ましく、2000g/eq以下であることがより好ましい。

    エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量が大きいと、必然的にエポキシ樹脂の数平均分子量も大きくなる。 分子量が過剰に大きなエポキシ樹脂は、他の成分との相溶性が低い。 それ故、エポキシ当量が過剰に大きなエポキシ樹脂(A)を使用した場合、接着剤層(1')中にエポキシ樹脂を均一に含有させることが難しい。

    なお、エポキシ当量の値が小さくても特段の不都合は見いだされてはいない。

    また、エポキシ樹脂(A)は、数平均分子量(Mn)が500乃至5000の範囲内にあることが好ましく、500乃至2000の範囲内にあることがより好ましい。

    エポキシ樹脂(A)として数平均分子量が小さなものを使用すると、接着剤層(1')の表面にタック、即ち粘着性を生じる可能性がある。 この裏面保護シート(V')は、大量生産に適用した場合、典型的には、ロール状に巻き取られた長尺状のシート(web)の形態を呈する。 ロール状に巻き取られるので、接着剤層(1')の表面は、プラスチックフィルム(2)の反対側に接するか、又は、裏面保護シート(V')がプラスチックフィルム(2)及び接着剤層(1')以外の層を更に含んでいる場合には追加の層と接触する。 それ故、接着剤層(1')の表面が粘着性を有していると、接している層同士がブロッキング、即ち粘着してしまう可能性がある。 また、エポキシ樹脂(A)の数平均分子量が小さい場合、耐久性に優れた太陽電池モジュールが得られない可能性もある。

    数平均分子量が過剰に大きなエポキシ樹脂(A)は、前述したように、他の成分との相溶性が低いため、好ましくない。

    コーティング法により接着剤層(1')を設ける場合、コーティング液は、エポキシ樹脂(A)に加え、水酸基を有し、カルボキシル基を実質的に有していない、エポキシ樹脂以外の樹脂(B)を含有していることが好ましい。 特に、エポキシ樹脂以外の樹脂(B)は、カルボキシル基を実質的に有していないことが重要である。 仮に、エポキシ樹脂以外の樹脂(B)がカルボキシル基を有すると、カルボキシル基とエポキシ樹脂(A)とが反応し、接着層(1)の酢酸トラップ効果が低下する。

    エポキシ樹脂以外の樹脂(B)の酸価は、2mgKOH/g以下であることが好ましく、1mgKOH/g以下であることがより好ましい。 カルボキシル基を有さない樹脂(B)の酸価が大きいと、この有機成分と、カルボキシル基と反応する他の有機成分、ここではエポキシ樹脂(A)とが反応し、接着層(1)の酢酸トラップ効果が低下してしまう。

    また、エポキシ樹脂以外の樹脂(B)の水酸基価は、0.1乃至50mgKOH/gの範囲内にあることが好ましく、0.5乃至30mgKOH/gの範囲内にあることがより好ましい。 水酸基価が小さいと、後述するポリイソシアネート化合物(C)との反応点が少なく、架橋密度が低下して耐湿熱性が悪化する。 一方、水酸基価が大きいと、架橋密度が増加するため、硬化後の接着層(1)が過剰に硬くなり、封止層との接着力が低下する。

    エポキシ樹脂以外の樹脂(B)としては、例えば、ポリエステル系樹脂(B1)、ウレタン系樹脂及びアクリル系樹脂が挙げられる。 これらは、単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。 更に、これらの樹脂を複合化したものも使用できる。

    ここで、「ポリエステル系樹脂(B1)」は、カルボン酸成分と水酸基成分とを反応(エステル化反応又はエステル交換反応)させたポリエステル樹脂に加え、水酸基を有するポリエステル樹脂にイソシアネート化合物を反応させてなるポリエステルポリウレタン樹脂、及び、更にジアミン成分を反応させてなるポリエステルポリウレタンポリウレア樹脂なども包含しているとする。

    ポリエステル系樹脂(B1)を構成するカルボン酸成分としては、例えば、安息香酸、p−tert−ブチル安息香酸、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、無水コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、テトラクロル無水フタル酸、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸、無水トリメリット酸、メチルシクロヘキセントリカルボン酸無水物、無水ピロメリット酸、ε−カプロラクトン及び脂肪酸が挙げられる。 これらカルボン酸成分とメタノール等の低級アルコールとのメチルエステル化物もカルボン酸成分として例示できる。

    ポリエステル系樹脂(B1)を構成する水酸基成分としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、1、3−ブチレングリコール、1、6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、3−メチルペンタンジオール及び1、4−シクロヘキサンジメタノール等のジオール成分、並びに、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、ペンタエリスリトール及びジペンタエリスリトールなどの多官能アルコールが挙げられる。

    例えば、これらのカルボン酸成分と水酸基成分とを常法に従って重合させて所定のポリエステル樹脂としたものを、ポリエステル系樹脂(B1)として使用できる。

    ウレタン系樹脂とは、水酸基を有するポリエステル樹脂以外の水酸基成分とイソシアネート化合物とを反応させてなるものである。

    水酸基成分としては、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドを付加したポリエーテル系ポリオール、アクリルポリオール及びポリブタジエン系ポリオールなどのポリマーポリオールが使用できる。

    イソシアネート化合物としては、例えば、後述するポリイソシアネート化合物(C)と同様のものを使用できる。 イソシアネート化合物としては、例えば、トリメチレンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、メチレンビス(4、1−フェニレン)=ジイソシアネート(MDI)、3−イソシアネートメチル−3、5、5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)及びキシリレンジイソシアネート(XDI)等のジイソシアネート、これらジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、これらジイソシアネートの三量体であるイソシアヌレート体、これらジイソシアネートのビュレット結合体、並びにポリメリックジイソシアネートが挙げられる。

    また、このようにして重合させたウレタン系樹脂を、更にジアミン成分と反応させてなるウレタンウレア系樹脂も、エポキシ樹脂以外の樹脂(B)の一種として用いることができる。 ジアミン成分としては、例えば、ウレタンウレア系樹脂を生成する際に常用されるものを用いることができる。

    アクリル系樹脂は、種々のアクリル系モノマーを重合させることによって得ることができる。 アクリル系モノマーとしては、例えば、水酸基とグリシジル基とカルボキシル基とを有していないモノマーであって、アルキル基を有している(メタ)アクリル系モノマー、水酸基を有している(メタ)アクリル系モノマー、及びグリシジル基を有している(メタ)アクリル系モノマーが挙げられる。 これらアクリル系モノマーの他に、例えば、酢酸ビニル、無水マレイン酸、ビニルエーテル、プロピオン酸ビニル及びスチレンも共重合用モノマーとして用いることができる。

    水酸基とグリシジル基とカルボキシル基とを有していないモノマーであって、アルキル基を有している(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ノルマルブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、及びオクチル(メタ)アクリレートが挙げられる。

    水酸基を有している(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが挙げられる。

    グリシジル基を有している(メタ)アクリル系モノマーとしては、例えば、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル及び4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテルが挙げられる。

    上記のアクリル系モノマーの重合には、通常のラジカル重合を用いることができる。 反応方法に何ら制限はなく、溶液重合、塊状重合及び乳化重合などの公知の重合法で行うことができる。 反応のコントロールが容易であること及び直接次の操作に移れることから、溶液重合が好ましい。

    溶剤は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、セロソルブ、酢酸エチル及び酢酸ブチルなどのように、上記樹脂を溶解させ得るものであれば何ら制限はない。 これら溶剤は、単独で使用してもよく、複数を併用してもよい。 また、重合反応の際に使用する重合開始剤も、公知のもの、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、メチルエチルケトンパーオキサイド及びラウロイルパーオキサイドなどの有機過酸化物、並びに、アゾビスイソブチロニトリルなどのアゾ系開始剤を用いることができ、特に制限はない。

    エポキシ樹脂以外の樹脂(B)は、プラスチックフィルム(2)及び封止層への接着性の観点から、ポリエステル系樹脂(B1)であることが好ましい。

    接着剤層(1')をエポキシ樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B1)とを含有した接着剤を用いて形成する場合、エポキシ樹脂(A)とポリエステル系樹脂(B1)との合計量に占めるエポキシ樹脂(A)の割合は、1乃至50質量%の範囲内にあることが好ましく、10乃至40質量%の範囲内にあることがより好ましい。 この割合を小さくすると、接着層(1)の耐久性が低下し、湿熱後のEVAとの接着力が低下する可能性がある。 また、この割合を大きくすると、接着層(1)が硬くなり、初期の封止層との接着力が低下することがある。

    ポリエステル系樹脂(B1)としては、ガラス転移温度(Tg)が20乃至100℃の範囲内にあるものが好ましい。 ポリエステル系樹脂(B1)としてガラス転移温度が低いものを使用すると、接着剤層(1')の表面にタックが生じてブロッキングし易くなり、また、耐久性が低下する可能性がある。 ポリエステル系樹脂(B1)としてガラス転移温度が高いものを使用すると、接着剤の溶液粘度が高くなり、塗工性が低下する。

    接着剤層(1')は、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体を含んでいてもよく、含んでいなくてもよい。

    また、接着剤層(1')は、典型的にはEVAを含んでいないが、EVAを含んでいてもよい。 但し、接着剤層(1')がEVAを含んでいると、接着層(1)において酢酸が発生する可能性がある。 従って、接着剤層(1')において、エポキシ樹脂(A)とエポキシ樹脂以外の樹脂(B)との合計量に占めるEVAの割合は、50質量%以下であることが好ましく、30質量%以下であることがより好ましい。

    接着剤層(1')は、樹脂(A)及び(B)以外の成分を更に含有することができる。 但し、接着剤層(1')に占める、エポキシ樹脂(A)とエポキシ樹脂以外の樹脂(B)との合計量の割合は、30質量%以上であることが好ましく、50質量%以上であることがより好ましい。 この割合を小さくすると、封止層との接着力が低下することがある。

    コーティング法により接着剤層(1')を設ける場合、接着剤は、エポキシ樹脂(A)とエポキシ樹脂以外の樹脂(B)とに加えて、水酸基と反応し得る官能基を有する硬化剤を含有することが好ましい。

    水酸基と反応し得る官能基を有する硬化剤としては、イソシアネート化合物が好ましく、ポリイソシアネート化合物(C)がより好ましい。 イソシアネート基は、エポキシ樹脂以外の樹脂(B)中の水酸基と反応し、硬化後の接着層(1)に耐湿熱性を付与すると共に、裏面保護シートを構成するプラスチックフィルム(2)及び封止層との密着性を向上させることができる。 そのため、イソシアネート化合物は、一分子中に2つ以上のイソシアネート基を有していることが重要である。 そのようなイソシアネート化合物としては、例えば、芳香族ポリイソシアネート、鎖式脂肪族ポリイソシアネート、及び脂環族ポリイソシアネートが挙げられる。

    芳香族ポリイソシアネートとしては、例えば、1,3−フェニレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4'−トルイジンジイソシアネート、2,4,6−トリイソシアネートトルエン、1,3,5−トリイソシアネートベンゼン、ジアニシジンジイソシアネート、4,4'−ジフェニルエーテルジイソシアネート、及び4,4',4”−トリフェニルメタントリイソシアネートを挙げることができる。

    鎖式脂肪族ポリイソシアネートとしては、例えば、トリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、ドデカメチレンジイソシアネート、及び2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネートを挙げることができる。

    脂環族ポリイソシアネートとしては、例えば、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)、1,3−シクロペンタンジイソシアネート、1,3−シクロヘキサンジイソシアネート、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,4−シクロヘキサンジイソシアネート、メチル−2,6−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4'−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、及び1,4−ビス(イソシアネートメチル)シクロヘキサンを挙げることができる。

    また、ポリイソシアネート化合物(C)として、例えば、上記ポリイソシアネートとトリメチロールプロパン等のポリオール化合物とのアダクト体、上記ポリイソシアネートのビュレット体若しくはイソシアヌレート体、又は、更には上記ポリイソシアネートとポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール若しくはポリイソプレンポリオール等とのアダクト体を使用してもよい。

    これらポリイソシアネート化合物(C)の中でも、色が変化しにくいという観点から、低黄変型の脂肪族又は脂環族のポリイソシアネートが好ましく、耐湿熱性の観点からは、イソシアヌレート体が好ましい。 より具体的には、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)のイソシアヌレート体、及び、3−イソシアネートメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルイソシアネート(IPDI)のイソシアヌレート体が好ましい。

    更に、これらポリイソシアネート化合物(C)のイソシアネート基のほぼ全量とブロック化剤とを反応させることで、ブロック化ポリイソシアネート化合物(C1)を得ることができる。 接着剤層(1')は、封止剤と貼り合わせて太陽電池モジュールを製造するまでは未架橋にあることが好ましく、そのため、ポリイソシアネート化合物(C)は、ブロック化ポリイソシアネート化合物(C1)であることが好ましい。

    ブロック化剤としては、例えば、フェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、キシレノール、クレゾール、レゾルシノール、ニトロフェノール及びクロロフェノール等のフェノール類、アセトンオキシム、メチルエチルケトンオキシム及びシクロヘキサノンオキシム等のオキシム類、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、t−ブチルアルコール、t−ペンタノール、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル及びベンジルアルコールなどのアルコール類、3,5−ジメチルピラゾール及び1,2−ピラゾール等� ��ピラゾール類、1,2,4−トリアゾール等のトリアゾール類、エチレングロルヒドリン及び1,3−ジクロロ−2−プロパノール等のハロゲン置換アルコール類、ε−カプロラクタム、δ−バレロラクタム、γ−ブチロラクタム及びβ−プロピルラクタム等のラクタム類、並びに、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、アセチルアセトン、マロン酸メチル及びマロン酸エチル等の活性メチレン化合物類が挙げられる。 その他にも、アミン類、イミド類、メルカプタン類、イミン類、尿素類及びジアリール類等も挙げられる。

    これらのブロック剤の中でも、ブロック剤の解離温度が80乃至150℃の範囲内にあるものが好ましい。 解離温度が低いと、接着剤を塗布し、溶剤を揮散させる際に、硬化反応が進んで、封止層との密着性が不十分となる可能性がある。 解離温度が高いと、太陽電池モジュールを製造する際の真空熱圧着工程で、硬化反応が充分に進行せず、封止層との密着性が不十分となる可能性がある。

    解離温度が80乃至150℃の範囲内にあるブロック剤としては、例えば、メチルエチルケトンオキシム(解離温度:140℃、以下同様)、3,5−ジメチルピラゾール(120℃)、及びジイソプロピルアミン(120℃)が挙げられる。

    接着剤層(1')は、エポキシ樹脂以外の樹脂(B)の水酸基の合計に対して、ポリイソシアネート化合物(C)中のイソシアネート基が、当量比で1.0乃至15.0の範囲内になるように配合されることが好ましく、1.5乃至10.0の範囲内になるように配合されることがより好ましい。 ポリイソシアネート化合物(C)が少ないと、エポキシ樹脂以外の樹脂(B)との反応が殆ど進まず、接着層(1)の耐湿熱性が不十分となる可能性がある。 ポリイソシアネート化合物(C)が多いと、硬化後の接着層(1)が硬くなり過ぎ、封止層との初期接着力が不十分となる可能性がある。

    接着剤層(1')は、後述する有機系粒子又は無機系粒子を更に含有することができる。 これら粒子を含有することによって、接着剤層(1')表面のタックを低減することができる。 好ましくは、融点又は軟化点が150℃以上の有機系粒子を使用する。 有機系粒子の融点又は軟化点が低いと、太陽電池モジュールを製造する際の真空熱圧着工程で粒子が軟化し、封止層との接着が妨げられるおそれがある。

    有機系粒子又はその材料としては、例えば、ポリメチルメタアクリレート樹脂、ポリスチレン樹脂、ナイロン樹脂、メラミン樹脂、グアナミン樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、シリコン樹脂、メタクリレート樹脂及びアクリレート樹脂などのポリマーからなるポリマー粒子、セルロースパウダー、ニトロセルロースパウダー、木粉、古紙粉、籾殻粉及び澱粉が挙げられる。

    ポリマー粒子は、乳化重合法、懸濁重合法、分散重合法、ソープフリー重合法、シード重合法及びマイクロサスペンジョン重合法などの重合法により得ることができる。 また、有機系粒子は、その特性を損なわない程度に不純物を含んでいてもよい。 また、粒子は、粉末状、粒状、顆粒状、平板状及び繊維状など、どのような形状又は形態であってもよい。

    無機粒子としては、例えば、マグネシウム、カルシウム、バリウム、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、ケイ素、アンチモン及びチタンなどの金属の酸化物、水酸化物、硫酸塩、炭酸塩又はケイ酸塩を含有した無機系粒子が挙げられる。 無機粒子として、例えば、シリカゲル、酸化アルミニウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、炭酸マグネシウム、酸化亜鉛、鉛酸化物、珪藻土、ゼオライト、アルミノシリケート、タルク、ホワイトカーボン、マイカ、ガラス繊維、ガラス粉末、ガラスビーズ、クレー、ワラスナイト、酸化鉄、酸化アンチモン、酸化チタン、リトポン、軽石粉、硫酸アルミニウム、ケイ酸ジルコニウム、炭酸バリウム、ドロマイト、二硫化モリブデン、砂鉄又はカーボンブラックを含有した無機系粒子を使用することができる。

    無機系粒子は、その特性を損なわない程度に不純物を含んでいてもよい。 また、無機粒子は、粉末状、粒状、顆粒状、平板状及び繊維状など、どのような形状又は形態であってもよい。

    接着剤層(1')は、エポキシ樹脂(A)とエポキシ樹脂以外の樹脂(B)との合計100質量部に対して、上記粒子を0.01乃至30質量部含有することが好ましく、0.1乃至10質量部含有することがより好ましい。 上記粒子が少ないと、接着剤層(1')表面のタックを充分に低減できない可能性がある。 一方、上記粒子が多くなると、接着剤層(1')と封止層との密着が阻害され、接着力の低下を招く可能性がある。

    接着剤層(1')には、必要に応じて、本発明による効果を妨げない範囲で、架橋促進剤を添加してもよい。 架橋促進剤は、エポキシ樹脂以外の樹脂(B)の水酸基とポリイソシアネート化合物(C)のイソシアネートとによるウレタン結合反応を促進する触媒としての役割を果たす。 架橋促進剤としては、例えば、スズ化合物、金属塩及び塩基が挙げられる。 具体的な架橋促進剤としては、例えば、オクチル酸スズ、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート、ジオクチルスズジラウレート、塩化スズ、オクチル酸鉄、オクチル酸コバルト、ナフテン酸亜鉛、トリエチルアミン及びトリエチレンジアミンが挙げられる。

    また、接着剤層(1')には、必要に応じて、本発明による効果を妨げない範囲で、封止剤、チクソトロピー付与剤、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、熱伝導性改良剤、可塑剤、ダレ防止剤、防汚剤、防腐剤、殺菌剤、消泡剤、レベリング剤、硬化剤、増粘剤、顔料分散剤及びシランカップリング剤等の各種の添加剤を添加してもよい。

    接着剤層(1')の厚さは、0.01乃至30μmの範囲内にあることが好ましく、0.1乃至10μmの範囲内にあることがより好ましい。

    接着剤層(1')は、例えば、コーティング法によって形成することができる。 この場合、プラスチックフィルム(2)上に、エポキシ樹脂(A)を含有した接着剤を塗工し、例えば加熱することによって塗膜から有機溶剤等の揮発性成分を揮発させる。 ここでは、接着剤を塗布し、溶剤を揮発させる工程を塗工と称する。

    プラスチックフィルム(2)上への接着剤の塗布には、従来公知の方法を用いることができる。 例えば、コンマコーティング、グラビアコーティング、リバースコーティング、ロールコーティング、リップコーティング又はスプレーコーティングを利用することができる。

    次に、プラスチックフィルム(2)について説明する。
    プラスチックフィルム(2)としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂からなるポリエステル系樹脂フィルム、ポリエチレン、ポリプロピレン及びポリシクロペンタジエンなどのポリオレフィンからなるオレフィンフィルム、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデンフィルム、ポリテトラフルオロエチレンフィルム及びエチレン−テトラフルオロエチレン共重合体フィルムなどのフッ素系樹脂からなるフッ素系フィルム、アクリルフィルム、又はトリアセチルセルロースフィルムを用いることができる。 フィルム剛性及びコストの観点から、ポリエステル系樹脂フィルム、特にはポリエチレンテレフタレートフィルムを使用することが好ましい。

    これらのフィルムは、単独で使用してもよく、積層して使用してもよい。 即ち、プラスチックフィルム(2)は、単層構造を有していてもよく、多層構造を有していてもよい。

    プラスチックフィルム(2)は、無色であってもよいし、顔料及び染料などの着色成分を含んでいてもよい。 着色成分を含んだプラスチックフィルム(2)は、例えば、着色成分を練りこんだ材料からフィルムを製造する方法、又は、無色透明フィルム基材上に着色成分を印刷する方法によって得られる。 また、着色フィルムと無色透明フィルムとを貼り合わせて使用してもよい。

    太陽電池用裏面保護シートは、水蒸気バリア性を付与するために、金属箔(3)と金属酸化物又は非金属無機酸化物からなる蒸着層(4)との少なくとも一方を、プラスチックフィルム(2)の接着剤層(1')を支持した主面の裏面側に更に含むことができる。

    金属箔(3)としては、例えば、アルミニウム箔、鉄箔又は亜鉛合板を使用することができる。 これらの中でも、耐腐食性の観点から、アルミニウム箔が好ましい。 金属箔(3)の厚さは、10乃至100μmの範囲内にあることが好ましく、20乃至50μmの範囲内にあることがより好ましい。
    金属箔(3)は、例えば、接着剤を用いてプラスチックフィルム(2)上に積層することができる。

    金属酸化物又は非金属無機酸化物としては、例えば、ケイ素、アルミニウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、スズ、ナトリウム、ホウ素、チタン、鉛、ジルコニウム及びイットリウムの酸化物が使用できる。 また、アルカリ金属及びアルカリ土類金属のフッ化物なども使用することができる。 これらは、単独で使用してもよく、組み合わせて使用してもよい。

    金属酸化物又は非金属無機酸化物は、真空蒸着、イオンプレーティング及びスパッタリングなどのPVD(physical vapor deposition)又はプラズマCVD(chemical vapor deposition)及びマイクロウェーブCVDなどのCVDを用いて、プラスチックフィルム(2)上に蒸着することができる。

    金属箔(3)及び蒸着層(4)は、接着剤層(1')の形成に先立ってポリエステルフィルム(2)上に設けることが好ましい。

    太陽電池用裏面保護シートは、耐候性付与のための耐候性樹脂層(5)を更に含むことができる。 耐候性樹脂層(5)は、プラスチックフィルム(2)を間に挟んで接着剤層(1')と向き合うように設ける。 太陽電池用裏面保護シートが金属箔(3)及び蒸着層(4)の少なくとも一方を含んでいる場合、耐候性樹脂層(5)は、例えば、金属箔(3)及び/又は蒸着層(4)を間に挟んでプラスチックフィルム(2)と向き合うように設ける。

    耐候性樹脂層(5)は、例えば、接着剤を用いて、ポリフッ化ビニリデンフィルム、並びに、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート及びポリナフタレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂からなるフィルムを貼り付けること、又は、旭硝子(株)製のルミフロンなどの高耐候性塗料を塗工することにより設けることができる。 耐候性樹脂層(5)は、接着剤層(1')の形成に先立ってポリエステルフィルム(2)上に設けることが好ましい。

    次に、太陽電池モジュールについて説明する。
    本発明の一形態に係る太陽電池モジュールは、表面保護材(I)と、受光面と非受光面とを有し、受光面が前記表面保護材(I)と向き合った1つ以上の太陽電池素子(III)と、太陽電池素子(III)の非受光面側に位置し、エチレン−ビニルアセテート共重合体を含んだ封止層(IV)と、太陽電池用裏面保護シート(V')を、接着剤層(1')と封止層(IV)とが接触するように封止層(IV)に貼り付けてなる太陽電池裏面封止シート(V)とを含んでいる。 この太陽電池モジュールは、表面保護材(I)と太陽電池素子(III)との間に、エチレン−ビニルアセテート共重合体を含んだ封止層(II)を更に含むことができる。

    この太陽電池モジュールは、例えば、表面保護材(I)と、任意の封止層(II)と、太陽電池素子(III)と、封止層(IV)と、太陽電池用裏面保護シート(V')とを、例えば減圧下にて接触させ、次いで、加熱及び加圧することによって得ることができる。 接着剤層(1')が熱硬化性である場合、常圧に戻した後、更に高温条件下に置いて、接着剤層(1')の硬化を進行させることもできる。

    なお、接着剤層(1')が例えば熱硬化性である場合、太陽電池用裏面保護シート(V')を封止層(IV)に貼り合せる前後で、接着剤層(1')の組成が変化する。 従って、ここでは、貼り合せ後の太陽電池用裏面保護シート(V')及び接着剤層(1')を、それぞれ、太陽電池裏面封止シート(V)及び接着層(1)と呼んで、貼り合せ前の太陽電池用裏面保護シート(V')及び接着剤層(1')から区別している。

    表面保護材(I)としては、例えば、ガラス板、又は、ポリカーボネート板及びポリアクリレート板などのプラスチック板を用いることができる。 透明性、耐候性及び強靭性などの観点から、ガラス板、特には、透明性の高い白板ガラスが好ましい。

    太陽電池素子(III)の受光面側及び非受光面側にそれぞれ位置する封止層(II)及び(IV)としては、例えば、エチレン−ビニルアセテート共重合体を、厚さ0.2mm〜1.0mmのシート状に成形したものが主に用いられる。 封止層(II)及び(IV)は、架橋補助剤及び紫外線吸収剤などの添加剤を更に含んでいてもよい。

    太陽電池素子(III)としては、例えば、結晶シリコン、多結晶シリコン、非晶質シリコン、若しくは銅インジウムセレナイドに代表される化合物半導体からなる光電変換層に電極を設けたもの、又は、それらをガラス等の基板上に積層したものが挙げられる。 太陽電池モジュールは、太陽電池素子(III)を1つのみ含んでいてもよく、複数の太陽電池素子(III)を含んでいてもよい。

    以下に、本発明の実施例を記載する。 なお、実施例中、「部」及び「%」は、それぞれ、「質量部」及び「質量%」を表す。

    <エポキシ樹脂溶液A1>
    ビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、JER1001、エポキシ当量:450)を酢酸エチルに溶解させて、固形分が50%の樹脂溶液を調製した。 以下、この樹脂溶液を、エポキシ樹脂溶液A1と呼ぶ。

    <エポキシ樹脂溶液A2>
    クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(東都化成(株)製、YDCN−704、エポキシ当量:210)を酢酸エチルに溶解させて、固形分が50%の樹脂溶液を調製した。 以下、この樹脂溶液を、エポキシ樹脂溶液A2と呼ぶ。

    <エポキシ樹脂溶液A3>
    ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル(ナガセケムテックス(株)製、デナコールEX−821、エポキシ当量:185)を酢酸エチルに溶解させて、固形分が50%の樹脂溶液を調製した。 以下、この樹脂溶液を、エポキシ樹脂溶液A3と呼ぶ。

    <ポリエステル樹脂溶液B1>
    99.6部のテレフタル酸ジメチルと、92.2部のエチレングリコールと、72.2部のネオペンチルグリコールと、0.02部の酢酸亜鉛とを反応缶に仕込み、窒素気流下で攪拌しながら160乃至210℃に加熱して、エステル交換反応を行なった。 理論量の97%のメタノールが留出した後、77.5部のイソフタル酸と、166.9部のアゼライン酸とを仕込み、160乃至240℃に加熱して、エステル化反応を行なった。 このまま反応缶内部を徐々に1乃至2Torrまで減圧し、酸価が0.8mgKOH/g以下となったところで減圧下での反応を停止した。 これにより、数平均分子量が41,000、水酸基価が3.2(mgKOH/g)、酸価が0.7(mgKOH/g)、Tgが−10℃のポリエステルポリオールを得た。 更に、これを酢酸エチルで希釈して、固形分が50%の樹脂溶液を得た。 以下、この樹脂溶液を、ポリエステル樹脂溶液B1と呼ぶ。

    なお、数平均分子量、ガラス転移温度Tg、酸価及び水酸基価は、以下に記述するようにして測定した。

    <数平均分子量(Mn)の測定>
    Mnの測定には、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)を用いた。 GPCは、溶媒(THF:テトラヒドロフラン)に溶解させた物質をその分子サイズの差によって分離定量する液体クロマトグラフィーである。 数平均分子量(Mn)の決定はポリスチレン換算で行った。

    <ガラス転移温度(Tg)の測定>
    ガラス転移温度は、示差走査熱量測定(DSC)により求めた。
    具体的には、まず、約10mgの試料を収容したアルミニウムパンをDSC装置にセットし。 なお、リファレンスとしては、試料を入れていない同タイプのアルミニウムパンを用いた。 次に、300℃の温度で5分間加熱し、次いで、液体窒素を用いて−120℃まで急冷処理した。 その後、10℃/分で昇温し、得られたDSCチャートからガラス転移温度(Tg)を算出した(単位:℃)。

    <酸価(AV)の測定>
    まず、共栓三フラスコ中に約1gの試料(固形分が50%の樹脂溶液)を正確に量り採り、100mlのトルエン/エタノール混合液(容量比:トルエン/エタノール=2/1)を更に加えて、それらを混合した。 次に、この溶液に、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間保持した。 その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定した。

    酸価は次式により求めた。 酸価は、樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)。
    酸価(mgKOH/g)={(5.611×a×F)/S}/(不揮発分濃度/100)
    但し、
    Sは試料の採取量(g)、
    aは0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)、
    Fは0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価を意味している。

    <水酸基価(OHV)の測定>
    まず、共栓三角フラスコ中に約1gの試料(固形分が50%の樹脂溶液)を正確に量り採り、100mlのトルエン/エタノール混合液(容量比:トルエン/エタノール=2/1)を更に加えて、それらを混合した。 次に、この溶液に、アセチル化剤(25gの無水酢酸をピリジン中に溶解させて、容量を100mlとした溶液)を正確に5ml加え、約1時間攪拌した。 これに、フェノールフタレイン試液を指示薬として加え、30秒間持続した。 その後、溶液が淡紅色を呈するまで0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液で滴定した。

    水酸基価は次式により求めた。 水酸基価は、樹脂の乾燥状態の数値とした(単位:mgKOH/g)。
    水酸基価(mgKOH/g)=[{(b−a)×F×28.25}/S]/(不揮発分濃度/100)+D
    但し、
    Sは試料の採取量(g)、
    aは0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)、
    bは空実験の0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の消費量(ml)、
    Fは0.1Nアルコール性水酸化カリウム溶液の力価、
    Dは酸価(mgKOH/g)
    を意味している。

    <ポリエステル樹脂溶液B2>
    ポリエステル樹脂「バイロン200」(東洋紡(株)製、数平均分子量17,000、水酸基価:6mgKOH/g、酸価:2mgKOH/g以下、Tg:67℃)をメチルエチルケトンに溶解させて、固形分が50%の樹脂溶液を調製した。 以下、この樹脂溶液を、ポリエステル樹脂溶液B2と呼ぶ。

    <ポリエステル樹脂溶液B3>
    ポリエステル樹脂溶液B1とポリエステル樹脂溶液B2とを1:1の質量比で混合して、固形分が50重量%の樹脂輸液を調製した。 以下、この樹脂溶液を、ポリエステル樹脂溶液B3と呼ぶ。

    ポリエステル樹脂溶液B3中のポリエステル樹脂は、水酸基価が4.6mgKOH/g、酸価が0.8mgKOH/g、Tgが28℃であった。

    <ポリエステル樹脂溶液B4>
    ジエチレングリコール117部、ネオペンチルグリコール319部、イソフタル酸192部、テレフタル酸188部、及びアジピン酸214部を反応缶に仕込み、窒素気流下で攪拌しながら160乃至240℃に加熱して、エステル化反応を行なった。 このまま反応缶内部を徐々に1乃至2Torrまで減圧し、酸価が1mgKOH/g以下となったところで減圧下での反応を停止した。 これにより、数平均分子量が10,000、水酸基価が19mgKOH/g、酸価が0.9mgKOH/g、Tgが0℃のポリエステル樹脂を得た。 更に、これを酢酸エチルで希釈して、固形分50%の樹脂溶液を得た。 以下、この樹脂溶液を、ポリエステル樹脂溶液B4と呼ぶ。

    <アクリル樹脂溶液B5>
    冷却管、撹拌装置、温度計及び窒素導入管を備えた4つ口フラスコに、40部のメチルメタクリレートと、30部のn−ブチルメタクリレートと、28部の2−エチルヘキシルメタクリレートと、1部の2−ヒドロキシエチルメタクリレートと、100部のトルエンとを仕込み、窒素雰囲気下で撹拌しながら80℃まで昇温した。 次に、この溶液に、0.15部のアゾビスイソブチロニトリルを加えて2時間重合反応を行い、続いて、0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えて更に2時間重合反応を行い、その後、0.07部のアゾビスイソブチロニトリルを加えて更に2時間重合反応を行った。 これにより、数平均分子量が25,000、水酸基価が4.4mgKOH/g、酸価が0mgKOH/g、Tgが39℃、固形分50%の樹脂溶液を得た。 以下、この樹脂溶液を、アクリル樹脂溶液B5と呼ぶ。

    <ウレタン樹脂溶液B6>
    140部のポリカーボネートジオール(宇部興産(株)製、UC−100、数平均分子量:1,000)と、5部の1,6−ヘキサンジオールと、27部のイソホロンジイソシアネートとを反応缶に仕込み、窒素気流下で攪拌しながら140乃至160℃まで徐々に加熱して、ウレタン化反応を行なった。 160℃で3時間反応させて、IR測定によりNCOピークがないことを確認した後、先の溶液に酢酸エチルを添加した。 これにより、数平均分子量が35,000、水酸基価が3.2mgKOH/g、酸価が0mgKOH/g、Tgが30℃、固形分が30%の樹脂溶液を得た。 以下、この樹脂溶液を、ウレタン樹脂溶液B6と呼ぶ。

    <硬化剤溶液>
    メチルエチルケトン(MEK)オキシムでブロックされたイソホロンジイソシアネートの三量体と、MEKオキシムでブロックされたヘキサメチレンジイソシアネートの三量体とを1:1の質量比で混合し、これを酢酸エチルで希釈して、固形分が50%の樹脂溶液を調製した。 以下、この樹脂溶液を、硬化剤溶液と呼ぶ。

    <添加剤D1>
    N,N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド(官能基当量:206)を、添加剤D1とする。

    <添加剤D2>
    カルボジライトV−07(日清紡(株)製、官能基当量:200)を、添加剤D2とする。

    <接着剤の調製>
    エポキシ樹脂溶液(A)、エポキシ樹脂以外の樹脂溶液(B)、添加剤(D)、硬化剤溶液、及びジブチル錫ジラウレートを、表1に示す固形分比となるように混合して、接着剤1乃至14を得た。

    <接着シート1>
    90質量部のポリプロピレン樹脂(プライムポリマー(株)製、プライムポリプロF109V)と10質量部のビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、JER1001、エポキシ当量:450)とをタンブラー(新栄工機産業社製、SKS50)でプレミックスした。 次に、この混合物を、二軸押出機(日本プラコン社製)を用いた混練及び押出しに供した。 ここでは、回転数は300rpmとし、設定温度は220℃とした。 このようにして得られた樹脂組成物をペレタイザーでペレット化した後、設定温度を220℃としたT−ダイ押出機を用いて、これらペレットから、厚さが20μmの樹脂フィルム(エポキシ基含有量:0.22mmol/g)を製造した。 以下、この樹脂フィルムを、接着シート1と呼ぶ。

    <接着シート2>
    90質量部のポリエチレン樹脂(プライムポリマー(株)製、ネオゼックス0234N)と10質量部のビスフェノールA型エポキシ樹脂(ジャパンエポキシレジン(株)製、JER1001、エポキシ当量:450)とをタンブラー(新栄工機産業社製、SKS50)でプレミックスした。 次に、この混合物を、二軸押出機(日本プラコン社製)を用いた混練及び押出しに供した。 ここでは、回転数は300rpmとし、設定温度は220℃とした。 このようにして得られた樹脂組成物をペレタイザーでペレット化した後、設定温度を220℃としたT−ダイ押出機を用いて、これらペレットから、厚さが20μmの樹脂フィルム(エポキシ基含有量:0.22mmol/g)を製造した。 以下、この樹脂フィルムを、接着シート2と呼ぶ。

    <接着シート3>
    設定温度を220℃としたT−ダイ押出機用いて、ポリプロピレン樹脂(プライムポリマー(株)製、プライムポリプロF109V)から、厚さが20μmの樹脂シートを製造した。 以下、この樹脂シートを、接着シート3と呼ぶ。

    <接着シート4>
    設定温度を220℃としたT−ダイ押出機用いて、ポリエチレン樹脂(プライムポリマー(株)製、ネオゼックス0234N)から、厚さが20μmの樹脂シートを製造した。 以下、この樹脂シートを、接着シート4と呼ぶ。

    [実施例1乃至9及び比較例1乃至5]
    接着剤1乃至14を用い、後述する方法で、ポリエステルフィルムとEVAシートとの接着力(初期及び湿熱経時後)及びEVAシートからの酢酸発生量を測定した。 これらの結果を表2に示す。

    [接着力測定]
    ポリエステルフィルム(東レ(株)製、ルミラーX−10S、厚さ:50μm)のコロナ処理面に接着剤1乃至14をメイヤーバーによって塗布し、溶剤を揮発させて、ポリエステルフィルム上に接着剤層(1')を形成した。 ここでは、接着剤の塗布量は、固形分換算で2g/平方メートルとした。

    この接着剤層(1')付きポリエステルフィルムを2枚用意し、これらとEVAシートとを、接着剤層(1')側の面がEVAシートを間に挟んで向き合うように重ね合わせた。 ここでは、EVAシートとして、サンビック(株)製のEVAシート(厚さ:450μm、スタンダードキュアタイプ)を使用した。 続いて、この積層体に熱及び圧力を加えて、接着剤層(1')付きポリエステルフィルムとEVAシートとを圧着した。 この加熱及び加圧には、真空ラミネーターを使用した。 ここでは、温度を150℃、脱気時間を5分、プレス圧力を1atm、プレス時間を10分に設定した。 また、アフターキュアの温度及び時間は、それぞれ、150℃及び15分とした。 以上のようにして、接着力測定用のサンプルを作製した。

    このようにして得られた接着力測定用サンプルの一部について、温度が121℃、相対湿度が100%RH、圧力が2気圧の条件で48時間に亘るプレッシャークッカー試験(以下、PCTという)を行った。

    PCTを行わなかったサンプル(初期)と、PCTを行ったサンプル(湿熱経時後)との各々を、15mm幅の長方形にカットして、試験片とした。 各試験片について、引っ張り試験機を用いてT字剥離試験を行った。 ここでは、荷重速度は100mm/minとした。 以下に、T字剥離試験の評価基準を纏める。

    ○:20N/15mm以上 △:5N/15mm以上20N/15mm未満 ×:5N/15mm未満[酢酸発生量の評価方法]
    <ポリエステルフィルム(2)の用意>
    ポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、テトロンS、厚さ:188μm)の両面をコロナ処理した。 このポリエステルフィルムの一方の面に接着剤「ダイナレオVA−3020/HD−701」(東洋インキ製造(株)製、配合比:100/7)をグラビアコーターによって塗布し、塗膜を乾燥させて、接着剤層を形成した。 ここでは、接着剤の塗布量は、固形分換算で10g/平方メートルとした。

    次いで、この接着剤層に、蒸着フィルムの蒸着面を重ね合わせた。 ここでは、蒸着フィルムとして、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの一方の面に酸化ケイ素の蒸着層を形成し、他方の面にコロナ処理してなる片面蒸着PETフィルム(三菱樹脂(株)製、テックバリアLX、厚さ:12μm)を使用した。

    その後、これを50℃で4日間に亘ってエージング処理して、接着剤層を硬化させ、評価用のポリエスエテルフィルム(2)を得た。

    <裏面保護シート1乃至14の作製>
    評価用のポリエステルフィルム(2)の片面蒸着PETフィルムのコロナ処理面に、接着剤をメイヤーバーによって塗布し、溶剤を揮発させて、接着剤層(1')を形成した。 ここでは、接着剤の塗布量は、固形分換算で2g/平方メートルとした。 この様にして、接着剤として接着剤1乃至14を用いて、評価用の裏面保護シート1乃至14をそれぞれ作製した。

    <評価用擬似モジュールの作製>
    ガラス板と、接着力測定用試料の作製に用いたのと同じEVAシートと、裏面保護シート1乃至14の各々とを、裏面保護シートの接着剤層(1')側の面がEVAシートを間に挟んでガラス板と向き合うように重ね合わせた。 続いて、この積層体に熱及び圧力を加えて、ガラス板とEVAシートと裏面保護シートとを圧着した。 この加熱及び加圧には、真空ラミネーターを使用した。 ここでは、温度を150℃、脱気時間を5分、プレス圧力を1atm、プレス時間を10分に設定した。 また、アフターキュアの温度及び時間は、それぞれ、150℃及び15分とした。 以上のようにして、裏面保護シート1乃至14を用いて、評価用擬似モジュール1乃至14をそれぞれ作製した。

    <EVAシートの加水分解促進>
    評価用擬似モジュール1乃至14の各々について、温度を121℃、相対湿度を100%RH、圧力を2気圧とした条件のもと、48時間に亘るPCTと96時間に亘るPCTとを行い、EVAシートの加水分解を促進した。

    <酢酸発生量の測定>
    (1)48時間及び96時間のPCTを行った評価用擬似モジュールの各々について、EVAシートからガラス板及び保護シートを剥がし取った。

    (2)ガラス板及び保護シートを剥がし取ったEVAシートの各々について、その中央部(周辺部から3cm以上離れた部分)から、1.5cm四方の試験片を切り出した。 各試験片の質量Xを測定した後、これを所定量Y(約4g)の水に浸漬させた。 続いて、試験片と水とを収容した容器を密閉して一晩放置し、加水分解促進によってEVAシート中に発生した酢酸を水の中へと抽出した。

    (3)手順(2)において得られた抽出水について、イオンクロマトグラフィにより、酢酸の濃度Zを求めた。

    (4)手順(3)で求められた酢酸の濃度Z(μg/g)に、抽出に利用した水の量Y(g)を掛け、試験片の質量X(g)で割ることによって、EVA1g当りの酢酸発生量(μg/g)を算出した。 この計算式を次に記す。

    (EVA1g当りの酢酸発生量[μg/g])=Z[μg/g]×Y[g]/X[g]
    [実施例10及び11並びに比較例6及び7]
    評価用ポリエステルフィルム(2)に接着剤1乃至14を塗布する代わりに、接着剤「ダイナレオVA−3020/HD−701」(東洋インキ製造(株)製、配合比:100/7)を介して接着シート1乃至4を評価用ポリエステルフィルム(2)に貼り付けたこと以外は、評価用の裏面保護シート1乃至14について説明したのと同様の方法により、評価用の裏面保護シート15乃至18をそれぞれ作製した。 次いで、裏面保護シート1乃至14の代わりに、裏面保護シート15乃至18を用いたこと以外は、評価用擬似モジュール1乃至14について説明したのと同様の方法により、評価用擬似モジュール15乃至18をそれぞれ製造した。 そして、これら評価用擬似モジュール15乃至18に対し、評価用擬似モジュール1乃至14について上述した<EVAシートの加水分解促進>及び<酢酸発生量の測定>を行った。

    [比較例8]
    裏面保護シート1乃至14の代わりに、接着剤を塗布していない評価用ポリエステルフィルム(2)を裏面保護シート19として用いたこと以外は、評価用擬似モジュール1乃至14について説明したのと同様の方法により、評価用擬似モジュール19を製造した。 そして、この評価用擬似モジュール19に対し、評価用擬似モジュール1乃至14について上述した<EVAシートの加水分解促進>及び<酢酸発生量の測定>を行った。
    以上の結果を表2に纏める。

    表2に示すように、実施例1乃至11では、接着剤層がエポキシ樹脂を含有していない比較例1及び4乃至7並びに接着剤層を有していない比較例8と比較して、酢酸量が少なかった。 また、表2のデータから明らかなように、エポキシ基の量がより多い接着剤層(1')を用いると、酢酸量はより少なくなった。 以上から、エポキシ樹脂を含有した接着層(1)は、EVAの加水分解によって生じた酢酸をトラップすることと、エポキシ樹脂を含有した接着層(1)酢酸をトラップする能力はエポキシ基の量に依存することとが分かる。

    比較例2及び3では、酢酸と反応し得るカルボジイミドを接着剤層(1)が含んでいたため、121℃で48時間に亘るPCT後における酢酸発生量は、実施例1乃至11と同様に少なかった。 しかしながら、比較例2及び3では、121℃で96時間に亘るPCT後に多くの酢酸が検出された。 これは、カルボジイミド基はエポキシ基と比較して反応活性であるため、PCT中にカルボジイミド基が水分と反応し、酢酸をトラップする能力が低下したためであると推定される。

    なお、実施例8及び9では、酢酸の発生量は他の実施例と同様に少なく、また、初期において十分な接着力を発現した。 しかしながら、実施例8及び9では、湿熱後に接着力が低下した。 これは、実施例8及び9において使用した樹脂(B)は、ガラス転移温度が低かったためである。

    [実施例12]
    <太陽電池モジュールの作製>
    表面保護材(I)の上に、封止層(II)、太陽電池素子(III)、封止層(IV)及び裏面保護シート(V')をこの順に重ねた。 ここでは、表面保護材(I)として白板ガラスを使用し、封止層(II)及び(IV)としてEVAシートを使用し、太陽電池素子(III)として、多結晶シリコン太陽電池素子を使用した。 裏面保護シート(V')としては、上記の裏面保護シート1を使用した。 裏面保護シート(V')は、その接着剤層(1')が封止層(IV)と接触するように配置した。

    続いて、この積層体に熱及び圧力を加えて、これら要素を互いに圧着した。 この加熱及び加圧には、真空ラミネーターを使用した。 ここでは、温度を150℃、脱気時間を5分、プレス圧力を1atm、プレス時間を15分に設定した。 また、アフターキュアの温度及び時間は、それぞれ、150℃及び30分とした。

    以上のようにして、10cm×10cmの寸法を有している光電変換効率評価用太陽電池モジュール1を作製した。

    <光電変換効率の測定>
    太陽電池モジュール1の太陽電池出力を測定し、日本工業規格JIS C8912に従い、ソーラーシュミレーター(英弘精機製、SS−100XIL)を用いて光電変換効率を測定した。

    更に、温度が85℃、相対湿度が85%RHの条件のもとで500時間放置した後の光電変換効率と、同条件のもとで1000時間、1500時間、2000時間放置した後の光電変換効率とを、同様の方法により測定した。 初期の光電変換効率に対する、耐湿熱試験による光電変換効率の減少分の比を計算し、以下の基準に基いて評価した。

    ○:出力の低下が10%未満 △:出力の低下が10%以上20%未満 ×:出力の低下が20%以上[実施例13乃至18及び比較例9乃至13]
    裏面保護シート1の代わりに、裏面保護シート2、3、6、7、10乃至12及び15乃至18を用いたこと以外は、太陽電池モジュール1について説明したのと同様の方法により、太陽電池モジュール2、3、6、7、10乃至12及び15乃至18をそれぞれ作製した。 そして、これら太陽電池モジュール2、3、6、7、10乃至12及び15乃至18に対し、太陽電池モジュール1について上述した<光電変換効率の測定>を行った。

    [比較例14]
    裏面保護シート1の代わりに裏面保護シート19を用い、裏面保護シート19の片面蒸着PETフィルムのコロナ処理面が、封止層(IV)と接するように積層したこと以外は、太陽電池モジュール1について説明したのと同様の方法により、太陽電池モジュール19を作製した。 そして、この太陽電池モジュール19に対し、太陽電池モジュール1について上述した<光電変換効率の測定>を行った。

    [実施例19]
    ポリエステルフィルム(帝人デュポンフィルム(株)製、テトロンS、厚さ:188μm)の片面をコロナ処理した。 このポリエステルフィルムのコロナ処理面に接着剤1をメイヤーバーによって塗布し、溶剤を揮発させて、ポリエステルフィルム上に接着剤層(1')を形成した。 ここでは、接着剤の塗布量は、固形分換算で2g/平方メートルとした。 これにより、評価用の裏面保護シート20を得た。

    裏面保護シート1の代わりに、裏面保護シート20を用いたこと以外は、太陽電池モジュール1について説明したのと同様の方法により、太陽電池モジュール20を作製した。 そして、この太陽電池モジュール20に対し、太陽電池モジュール1について上述した<光電変換効率の測定>を行った。

    [比較例15]
    接着剤1の代わりに接着剤10を使用したこと以外は、裏面保護シート20について説明したのと同様の方法により、評価用の裏面保護シート21を得た。 次いで、裏面保護シート1の代わりに、裏面保護シート21を用いたこと以外は、太陽電池モジュール1について説明したのと同様の方法により、太陽電池モジュール21を作製した。 そして、この太陽電池モジュール21に対し、太陽電池モジュール1について上述した<光電変換効率の測定>を行った。
    以上の結果を表3に纏める。

    表3に示すように、実施例12乃至19では、湿熱試験による太陽電池モジュールの出力低下を抑制することができた。 他方、比較例9及び12乃至14では、湿熱試験によって、太陽電池モジュールの出力は、比較的短い時間で大幅に低下した。 これらの結果から、エポキシ樹脂(A)を含有した接着剤層(1')から得られる接着層(1)は、EVAから発生した酸をトラップすることによって、太陽電池モジュールの水分による劣化を抑制することが分かる。

    なお、実施例19では、比較例9及び12乃至14と比較すれば、湿熱試験による太陽電池モジュールの出力低下は抑制されているものの、湿熱試験による太陽電池モジュールの出力低下を抑制する効果は、実施例12乃至18ほど大きくはない。 これは、実施例19において使用した裏面保護シート20が水蒸気バリア性を有していないためである。

    また、比較例10及び11では、比較例9及び12乃至14と比較すれば、湿熱試験による太陽電池モジュールの出力低下は抑制されているものの、湿熱試験による太陽電池モジュールの出力低下を抑制する効果は、実施例12乃至19ほど大きくはない。 これは、比較例10及び11に係る太陽電池モジュール10及び11では、湿熱試験中にカルボジイミドが水分と徐々に反応し、酢酸をトラップする効果が小さくなったためであると推定される。

    本発明の第1側面によると、エポキシ樹脂(A)を含有した最表面層としての接着剤層(1')と、一方の主面が前記接着剤層(1')を支持したプラスチックフィルム(2)とを具備し、前記接着剤層(1')は、水酸基を有し、カルボキシル基を実質的に有していない、エポキシ樹脂以外の樹脂(B)と、ポリイソシアネート化合物(C)とを更に含有し、前記樹脂(B)は、ポリエステル系樹脂(B1)、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂からなる群より選ばれる太陽電池用裏面保護シート(V')が提供される。

    前記接着剤層(1')中のエポキシ基の量は0.01乃至5mmol/gの範囲内にあってもよい 記エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量は5000g/eq以下であってもよい 記エポキシ樹脂(A)と前記ポリエステル系樹脂(B1)との合計量に占める前記エポキシ樹脂(A)の割合は1乃至50質量%の範囲内にあってもよい。 前記ポリエステル系樹脂(B1)のガラス転移温度は20乃至100℃の範囲内にあってもよい。 前記ポリイソシアネート化合物(C)はブロック化ポリイソシアネート化合物(C1)であってもよい。 前記太陽電池用裏面保護シート(V')は、金属箔と金属酸化物又は非金属無機酸化物からなる蒸着層との少なくとも一方を、前記プラスチックフィルム(2)の前記接着剤層(1')を支持した前記主面の裏面側に更に具備していてもよい。

    本発明の第2側面によると、プラスチックフィルム(2)の一方の主面に、エポキシ樹脂(A)と、水酸基を有し、カルボキシル基を実質的に有していない、エポキシ樹脂以外の樹脂(B)と、ポリイソシアネート化合物(C)とを含有した接着剤を塗工して、接着剤層(1')を最表面層として形成することを含み、前記樹脂(B)は、ポリエステル系樹脂(B1)、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂からなる群より選ばれる太陽電池用裏面保護シート(V')の製造方法が提供される。

    また、比較例10及び11では、比較例9及び12乃至14と比較すれば、湿熱試験による太陽電池モジュールの出力低下は抑制されているものの、湿熱試験による太陽電池モジュールの出力低下を抑制する効果は、実施例12乃至19ほど大きくはない。 これは、比較例10及び11に係る太陽電池モジュール10及び11では、湿熱試験中にカルボジイミドが水分と徐々に反応し、酢酸をトラップする効果が小さくなったためであると推定される。
    以下に、当初の請求の範囲に記載していた発明を付記する。
    [1]エポキシ樹脂(A)を含有した接着剤層(1')と、一方の主面が前記接着剤層(1')を支持したプラスチックフィルム(2)とを具備した太陽電池用裏面保護シート(V')。
    [2]前記接着剤層(1')中のエポキシ基の量は0.01乃至5mmol/gの範囲内にある項[1]に記載の太陽電池用裏面保護シート(V')。
    [3]前記接着剤層(1')は、水酸基を有し、カルボキシル基を実質的に有していない、エポキシ樹脂以外の樹脂(B)と、ポリイソシアネート化合物(C)とを更に含有した項[1]又は[2]に記載の太陽電池用裏面保護シート(V')。
    [4]前記エポキシ樹脂(A)のエポキシ当量は5000g/eq以下である項[3]に記載の太陽電池用裏面保護シート(IV')。
    [5]前記樹脂(B)は、ポリエステル系樹脂(B1)、アクリル系樹脂及びウレタン系樹脂からなる群より選ばれる項[3]又は[4]に記載の太陽電池用裏面保護シート(V')。
    [6]前記樹脂(B)は前記ポリエステル系樹脂(B1)である項[5]に記載の太陽電池用裏面保護シート(V')。
    [7]前記エポキシ樹脂(A)と前記ポリエステル系樹脂(B1)との合計量に占める前記エポキシ樹脂(A)の割合は1乃至50質量%の範囲内にある項[6]に記載の太陽電池用裏面保護シート(V')。
    [8]前記ポリエステル系樹脂(B1)のガラス転移温度は20乃至100℃の範囲内にある項[6]又は[7]に記載の太陽電池用裏面保護シート(V')。
    [9]前記ポリイソシアネート化合物(C)はブロック化ポリイソシアネート化合物(C1)である項[3]乃至[8]の何れかに記載の太陽電池用裏面保護シート(V')。
    [10]金属箔と金属酸化物又は非金属無機酸化物からなる蒸着層との少なくとも一方を、前記プラスチックフィルム(2)の前記接着剤層(1')を支持した前記主面の裏面側に更に具備した項[1]乃至[9]の何れかに記載の太陽電池用裏面保護シート(V')。
    [11]プラスチックフィルム(2)の一方の主面に、エポキシ樹脂(A)と、水酸基を有し、カルボキシル基を実質的に有していない、エポキシ樹脂以外の樹脂(B)と、ポリイソシアネート化合物(C)とを含有した接着剤を塗工して、接着剤層(1')を形成することを含んだ太陽電池用裏面保護シート(V')の製造方法。
    [12] 表面保護材(I)と、
    受光面と非受光面とを有し、前記受光面が前記表面保護材(I)と向き合った太陽電池素子(III)と、
    前記太陽電池素子(III)の前記非受光面側に位置し、エチレン−ビニルアセテート共重合体を含んだ封止層(IV)と、
    項[1]乃至[10]の何れかに係る太陽電池用裏面保護シート(V')を、前記接着剤層(1')と前記封止層(IV)とが接触するように前記封止層(IV)に貼り付けてなる太陽電池裏面封止シート(V)と
    を具備した太陽電池モジュール。
    [13]前記表面保護材(I)と前記太陽電池素子(III)との間に、エチレン−ビニルアセテート共重合体を含んだ封止層(II)を更に具備した項[12]に記載の太陽電池モジュール。

    本発明の第1側面によると、 エポキシ当量が5000g/eq以下であるエポキシ樹脂(A)を含有した最表面層としての接着剤層(1')と、一方の主面が前記接着剤層(1')を支持したプラスチックフィルム(2)とを具備し、前記接着剤層(1')は、水酸基を有し、カルボキシル基を実質的に有していない、エポキシ樹脂以外の樹脂(B)と、ポリイソシアネート化合物(C)とを更に含有し、前記樹脂(B)は、 ガラス転移温度が20乃至100℃の範囲内のポリエステル系樹脂(B1) であり、前記接着剤層(1')中のエポキシ基の量は0.05乃至2mmol/gの範囲内にあり、前記エポキシ樹脂(A)と前記ポリエステル系樹脂(B1)との合計量に占める前記エポキシ樹脂(A)の割合は1乃至50質量%の範囲内にある 太陽電池用裏面保護シート(V')が提供される。

    記ポリイソシアネート化合物(C)はブロック化ポリイソシアネート化合物(C1)であってもよい。 前記太陽電池用裏面保護シート(V')は、金属箔と金属酸化物又は非金属無機酸化物からなる蒸着層との少なくとも一方を、前記プラスチックフィルム(2)の前記接着剤層(1')を支持した前記主面の裏面側に更に具備していてもよい。

    本発明の第2側面によると、プラスチックフィルム(2)の一方の主面に、 エポキシ当量が5000g/eq以下であるエポキシ樹脂(A)と、水酸基を有し、カルボキシル基を実質的に有していない、エポキシ樹脂以外の樹脂(B)と、ポリイソシアネート化合物(C)とを含有した接着剤を塗工して、接着剤層(1')を最表面層として形成することを含み、前記樹脂(B)は、 ガラス転移温度が20乃至100℃の範囲内のポリエステル系樹脂(B1) であり、前記接着剤層(1')中のエポキシ基の量は0.05乃至2mmol/gの範囲内にあり、前記エポキシ樹脂(A)と前記ポリエステル系樹脂(B1)との合計量に占める前記エポキシ樹脂(A)の割合は1乃至50質量%の範囲内にある太陽電池用裏面保護シート(V')の製� ��方法が提供される。

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