Adhesive resin composition, adhesive containing this, adhesive sheet and a laminate for a printed wiring board which is bonded using this |
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申请号 | JP2009554800 | 申请日 | 2009-09-29 | 公开(公告)号 | JP5126239B2 | 公开(公告)日 | 2013-01-23 |
申请人 | 東洋紡株式会社; | 发明人 | 秀樹 田中; 武 伊藤; 達也 粟田; 慎太郎 南原; 武久 家根; 裕子 麻田; | ||||
摘要 | Disclosed is a resin composition for an adhesive agent, which comprises: (a) a polyester resin containing a radical-polymerizable site; (b) a polymer of a radical-polymerizable monomer; (c) a modified polyester resin modified with a polymer of a radical-polymerizable monomer, in which the resin (a) and the polymer (b) are bound to each other; (d) a polyurethane resin having an acid value of 100 to 1000 equivalents/106 g inclusive; and (e) an epoxy compound having a dicyclopentadiene structure. In the resin composition, maleic anhydride makes up 10 to 60 mass% inclusive of the radical-polymerizable monomer, the resin (c) has a glass transition temperature (Tg(c)) of 0 to 80°C inclusive, the resin (d) has a glass transition temperature (Tg(d)) of -10 to 60°C inclusive, Tg(c) and Tg(d) meet the requirement represented by the formula: 50 = Tg(c)-Tg(d) = 5, and the acid value of the resin (c) (AV(c) equivalent/106 g) and the acid value of the resin (d) (AV(d) equivalent/106 g) meet the requirement represented by the formula: 8,000 = AV(c)-AV(d) = 200. Also disclosed are an adhesive agent, an adhesive sheet and a laminate for a print circuit board, each of which comprises the resin composition. | ||||||
权利要求 | ラジカル重合性部位を含むポリエステル樹脂(a)、 ラジカル重合性単量体の重合体(b)、 前記樹脂(a)と前記重合体(b)が結合している、ラジカル重合性単量体の重合体で変性された変性ポリエステル樹脂(c)、 酸価が100当量/10 6 g以上1000当量/10 6 g以下であるポリウレタン樹脂(d)、 ジシクロペンタジエン構造を有するエポキシ化合物(e)、 を含有し、 ラジカル重合性単量体の10質量%以上60質量%以下が無水マレイン酸であり、 樹脂(c)のガラス転移温度Tg(c)が0℃以上80℃以下であり、 樹脂(d)のガラス転移温度Tg(d)が−10℃以上60℃以下であり、 Tg(c)とTg(d)の関係が下記式(1) 50≧Tg(c)−Tg(d)≧5 (1) を満たし、 樹脂(c)の酸価AV(c)当量/10 6 gと樹脂(d)の酸価AV(d)当量/10 6 gの関係が下記式(2) 8,000≧AV(c)−AV(d)≧200 (2) を満たす、接着剤用樹脂組成物。 前記樹脂(c)の酸価が400当量/10 6 g以上8,500当量/10 6 g以下である 請求項1に記載の樹脂組成物。 前記樹脂(d)の数平均分子量が5,000以上100,000以下である 請求項1に記載の樹脂組成物。 前記樹脂(a)の数平均分子量が5,000以上50,000以下である 請求項1に記載の樹脂組成物。 前記樹脂(a)を構成する全酸成分の合計モル量を100モル%としたとき、芳香族酸成分が30モル%以上、ラジカル重合性部位を含む酸成分とラジカル重合性部位を含むグリコール成分の合計が0.5モル%以上20モル%以下である 請求項1に記載の樹脂組成物。 前記樹脂(a)と前記重合体(b)と前記樹脂(c)の全体に対して、前記樹脂(a)を構成するモノマーに由来する部分と前記重合体(b)を構成するモノマーに由来する部分との比が質量比で10/90以上99/1以下である 請求項1に記載の樹脂組成物。 前記樹脂(a)、前記重合体(b)、前記樹脂(c)の合計質量をWc、樹脂(d)の質量をWdとしたとき、Wc/Wdが1/99以上80/20以下であることを特徴とする 請求項1に記載の樹脂組成物。 請求項1に記載の樹脂組成物を含有することを特徴とする接着剤。 請求項1に記載の樹脂組成物を含有することを特徴とする接着性シート。 複数の板状体および/または箔状体を接着層で貼り合わせた積層体であって、該接着層の少なくとも一部が 請求項1に記載の樹脂組成物を含むことを特徴とするプリント配線板用積層体。 前記複数の板状体および/または箔状体が、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、銅、アルミ、ガラスエポキシ、およびステンレス鋼からなる群より選択される1種以上の素材からなるものである 請求項10に記載のプリント配線板用積層体。 請求項10に記載の積層体を構成要素として含むプリント配線板。 |
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说明书全文 | 本発明は各種プラスチックフィルムへの接着性や、銅、アルミ、ステンレス鋼などの金属への接着性、ガラスエポキシへの接着性、鉛フリーハンダにも対応できる高度の高温耐熱性、HDDドライブ用FPCの接着剤にも対応できる高温高湿度下での接着力の維持、常温流通にも対応できるBステージ接着シートのシートライフ確保、以上を達成することができる樹脂組成物、これを含有する接着剤、およびこれを用いて接着した積層体に関するものである。 近年、様々な分野で接着剤は使用されているが使用目的の多様化により、従来使用されてきた接着剤よりも各種プラスチックフィルムへの接着性や、銅、アルミ、ステンレス鋼などの金属への接着性、ガラスエポキシへの接着性、耐熱性、耐湿性等、更なる高性能化が求められている。 フレキシブルプリント配線基盤(以下FPCと略すことがある)を始めとする回路基板用の接着剤としては、例えば、エポキシ/アクリルブタジエン系接着剤や、エポキシ/ポリビニルブチラール系接着剤等が使用されている。 当該用途で使用される場合、ハンダ耐熱性が要求されるが、近年、鉛フリーハンダに対応するため、より高温での耐熱性(接着層が剥がれや膨れを起こさないこと)が要求されるため、従来使用されているエポキシ/アクリルブタジエン系接着剤や、エポキシ/ポリビニルブチラール系接着剤では、要求性能を満たせなくなってきている。 また、ハードディスクドライブ(以下HDDと略することがある)に使用されるFPCは、接着体が屈曲状態で使用されるため、接着界面に強いせん断力がかかる。 特に、近年のHDDの高性能化に伴い、モーターの回転数が上がり、HDD内部の温度も高くなる等、接着体が実際に使用される環境は厳しくなっている。 具体的には、60℃相対湿度90%といった、高温高湿条件下で、安定した接着性能を維持することが要求される。 しかし、従来使用されているエポキシ/アクリルブタジエン系接着剤や、エポキシ/ポリビニルブチラール系接着剤では、要求性能を満たせなくなってきている。 また、当該接着剤は、一度半硬化状態(Bステージ)のシートとして保存、流通、販売されることが多い。 したがって、Bステージでは、シートライフの確保が要求され、かつ、実使用時(Bステージ接着シートと基材との貼り合せ時)には、高い硬化反応性が要求される。 従来、FPC用接着剤シートは冷蔵保管されることが多く、エポキシ/アクリルブタジエン系接着剤や、エポキシ/ポリビニルブチラール系接着剤でも、シートライフは確保された。 しかし、近年、製造コストの削減要求により、常温で保存、流通が可能であることを求められることが多く、さらに、海外へ流通される場合も多くなっており、シートライフに要求される条件が厳しくなっており、エポキシ/アクリルブタジエン系接着剤や、エポキシ/ポリビニルブチラール系接着剤では、要求性能を満たせなくなっている(特開2001−291964号公報(特許文献1)、特開2003−313526号公報(特許文献2)、特開2005−139387号公報(特許文献3)、特開2005―139391号公報(特許文献4)参照)。 本発明の課題は、これら従来の接着剤が抱えている各問題点を改良することであり、具体的には各種プラスチックフィルムへの接着性、銅、アルミ、ステンレスなどの金属への接着性、ガラスエポキシへの接着性、鉛フリーハンダにも対応できる高度の高温耐熱性、HDDドライブ用FPCの接着剤にも対応できる高温高湿度下での接着力の維持、常温流通にも対応できるBステージ接着シートのシートライフ確保、以上を達成することができる樹脂組成物、これを含有する接着剤、およびこれを用いて接着した積層体を提供することにある。 本発明は以下の樹脂組成物を含有する樹脂組成物、これを含有する接着剤、接着性シートおよびこれを用いて接着したプリント配線板用積層体および積層体を左記構成要素として含むプリント配線板である。 本発明によれば、各種プラスチックフィルムへの接着性や、銅、アルミ、ステンレス鋼などの金属への接着性、ガラスエポキシへの接着性、鉛フリーハンダにも対応できる高度の高温耐熱性、HDDドライブ用FPCの接着剤にも対応できる高温高湿度下での接着力の維持、常温流通にも対応できるBステージ接着シートのシートライフ確保、以上を達成することができる樹脂組成物、これを含有する接着剤、およびこれを用いて接着した積層体を得ることができる。 本発明の樹脂組成物は、ラジカル重合性単量体の重合体で変性された変性ポリエステル樹脂(以下、変性ポリエステル樹脂と呼ぶ)、ポリウレタン樹脂、エポキシ化合物から主としてなり、前記ラジカル重合性単量体の重合体および未変性ポリエステル樹脂を含有する。 変性ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂は、各々カルボキシル基、無水カルボキシル基等を樹脂骨格に導入し、酸価を持つことが必須である。 酸価を持たないとエポキシ化合物と架橋反応が起こらないため、強靭な硬化塗膜を得ることができず、高い接着力を得ることができない。 本発明に用いるポリウレタン樹脂の酸価は100当量/10 6 g以上、1,000当量/10 6 g以下である。 酸価が100当量/10 6 g未満だと、金属系基材への密着性が不充分になる傾向にある。 酸価が1,000当量/10 6 gを超えると、ポリウレタン樹脂製造時のウレタン反応が遅くなったり、溶液粘度が高くなったりするので生産性が悪くなることがある。 また、エステル結合の耐久性に悪影響を与えることも予想される。 好ましくは酸価の下限は150当量/10 6 g、より好ましくは酸価の下限は200当量/10 6 g、さらに好ましくは酸価の下限は400当量/10 6 gである。 好ましい上限は900当量/10 6 g、より好ましい上限は800当量/10 6 g、さらに好ましい上限は700当量/10 6 gである。 なお、ここで言う酸価とは樹脂10 6 g当たりに含まれるカルボン酸の当量数を示す。 鎖延長剤としてジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等を使用することにより、ポリウレタン樹脂の分子骨格中にカルボキシル基を導入し、酸価を付与することができる。 ポリウレタン樹脂とエポキシ化合物のみからなる樹脂組成物(以下、ポリウレタン樹脂/エポキシ化合物)の場合、常温における各種基材への接着性は良好である。 また半硬化状態(Bステージ)のシートとした場合、冷蔵保存することなく、室温で3ヶ月保存した後に、基材に貼り合わせをしても、高い接着性能を示す。 しかし、鉛フリーハンダを使用した場合のハンダリフロー工程(260℃)では、接着層の膨れが起こり、耐熱性が不十分である。 特に、接着体を高温高湿下(40℃相対湿度80%)に2日間保存した後に、ハンダリフロー工程(260℃)を経ると、接着体に含まれる水分の急激な蒸発による応力に、十分抗することができず、樹脂は基材から剥離してしまう。 これは、ポリウレタン樹脂骨格由来の耐熱性の低さ、ウレタン結合由来の吸湿性によるものと推定される。 また、HDD用途FPC接着剤として検討(60℃相対湿度90%での接着性能を検討)した場合、接着界面にせん断応力をかけたところ容易に剥離してしまった。 これも、ウレタン結合由来の吸湿性によるものと推定される。 また、ポリウレタン樹脂のガラス転移温度を60℃以上に設計すると、当該条件での接着界面の剥離は見られないが、逆に常温での接着性能が下がり実用に足らなくなる。 ハンダリフロー工程(260℃)での接着層の膨れ、剥離を抑制するには、接着層にさらなる耐熱性を付与することと、水分の急激な蒸発により発生する応力を緩和する機能を付与する必要がある。 また、HDD用途で使用可能にするには、室温から60℃を超える広範囲で高い接着能力を維持できるようにする必要がある。 上記のようなポリウレタン樹脂/エポキシ化合物二元系接着剤組成物の抱える課題を解決すべく鋭意検討した結果、樹脂系は、変性ポリエステル樹脂/ポリウレタン樹脂/エポキシ化合物の三元系とし、変性ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂の酸価、ガラス転移温度を制御し、さらに、エポキシ化合物の骨格を制御することにより、常温での接着性、Bステージのシートライフを維持しつつ、鉛フリーハンダを使用した場合のハンダリフロー工程(260℃)での膨れもなく、HDD用途FPC接着剤として検討(60℃相対湿度90%での接着性能を検討)した場合でも、接着界面の剥離を抑制できることを発見した。 変性ポリエステル樹脂の役割は、高度耐熱性(260℃)付与と、高温高湿度(60℃相対湿度90%)での接着性能維持である。 まず、変性ポリエステル樹脂の製法であるが、ポリエステル樹脂に二重結合等、ラジカル重合性部位を含む単量体を共重合し、その有機溶剤溶液中で、ラジカル重合性単量体をラジカル反応させると、容易にラジカル重合性単量体の重合体でグラフト変性された変性ポリエステル樹脂を得ることができる。 このとき、ラジカル重合性単量体の10質量%以上60質量%以下は無水マレイン酸である。 カルボキシル基無水物は、カルボキシル基よりもエポキシ化合物との反応性が大きい。 この変性法を用いると、ポリエステル樹脂に、容易に高酸価でかつエポキシ化合物と反応性の高い部位を導入することができる。 本発明の、変性ポリエステル樹脂/ポリウレタン樹脂/エポキシ化合物の三元系の反応において、三者は完全に相溶して均一な構造になるのではなく、不均一構造をとり、かかる優れた特性を実現する。 本発明の樹脂組成物からなる硬化塗膜が不均一構造を取っていることは、位相差顕微鏡、電子顕微鏡の観察で容易に確認できる。 まず、高酸価でエポキシ化合物との反応性の大きい無水カルボキシル基を持つ変性ポリエステル樹脂とエポキシ化合物が、架橋密度の高い架橋構造を生成し、その後、ポリウレタン樹脂とエポキシ化合物で、比較的架橋密度の小さな架橋構造を生成すると推測される。 変性ポリエステル樹脂とエポキシ化合物からなる架橋密度の高い部位は、耐熱性が高く、260℃のハンダリフロー工程に耐えることができる。 特に、接着体を高温高湿下(40℃相対湿度80%)に2日間保存した後に、ハンダリフロー工程(260℃)を経た場合でも、基材からの剥離が発生しない。 これは、ポリウレタン樹脂とエポキシ化合物からなる比較的架橋密度の小さな架橋構造を持つ部位が、ソフトセグメントの役割を果たし、接着体に含まれる水分の急激な蒸発による応力を緩和できるものと推測される。 本発明における、ラジカル重合性単量体の重合体による変性ポリエステル樹脂の酸価は400〜8,500当量/10 6 gであることが好ましい。 より好ましくは650〜7,000当量/10 6 g、さらに好ましくは900〜5,500当量/10 6 gである。 酸価が400当量/10 6 g未満だと、金属系基材への密着性が不充分になる傾向にある。 さらに、架橋密度が小さくなるため、ポリウレタン樹脂と配合した場合、ポリウレタンの耐熱性不足を補うことができない場合がある。 酸価が8,500当量/10 6 gを超えると、硬化塗膜の架橋度が大きくなるため、内部応力が大きくなり、接着力が低下する傾向がある。 またBステージでの反応性が大きくなりシートライフが悪化する傾向がある。 先述したように、本発明における、ラジカル重合性単量体の10質量%以上60質量%以下は無水マレイン酸である。 好ましくは20質量%以上55質量%以下、より好ましくは30質量%以上50質量%以下である。 無水マレイン酸を用いることにより、エポキシ化合物と反応性の高いカルボン酸無水物基を容易に変性ポリエステル樹脂に導入することができる。 無水マレイン酸がラジカル重合性単量体の10質量%以下の場合は、変性ポリエステル樹脂とエポキシ化合物との反応が、ポリウレタン樹脂とエポキシ化合物の反応に比べて早く進行しないため、三元系の硬化塗膜において不均一性が小さく、求める性能が発現しにくい。 また60質量%以上の場合、未反応の無水マレイン酸が多く存在するため、硬化塗膜が脆くなったり、耐水性がなくなり、接着強度が下がる。 特に高湿度下での接着強度が下がる。 ラジカル重合性部位を含むポリエステル樹脂に、ラジカル重合性部位を導入するには、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸の共重合を行うのが一般的であるが、かかる不飽和ジカルボン酸の不飽和基と無水マレイン酸は、ラジカル反応で殆ど反応が進まない。 これらのラジカル重合性単量体は、不飽和結合部位に電子吸引基が隣接しており、不飽和基及びそれから生成するラジカルの電荷正に偏っているために、互いの反応が進みにくい。 無水マレイン酸を効率よく重合するには、不飽和結合部位に電子供与基が隣接しているラジカル重合性単量体を用いればよい。 これらのラジカル重合性単量体は不飽和基及びそれから生成するラジカルの電荷が負に偏っているため、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等との反応性が高い。 不飽和結合部位に電子供与基が隣接しているラジカル重合性単量体として使用できるのは、スチレン、α-メチルスチレン、t-ブチルスチレン、N-ビニルピロリドンなどのビニル系ラジカル重合性単量体、酢酸ビニルなどのビニルエステル、ビニルブチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル、アリルアルコール、グリセリンモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテルなどのアリル系ラジカル重合性単量体、ブタジエンなどであり、これらのうちの一種または二種以上の混合物が使用される。 もっとも好ましくは、スチレンなどのビニル系ラジカル重合性単量体である。 したがって、無水マレイン酸の未反応物を抑制するためには、スチレン等のラジカル重合性単量体の共重合が必須であり、60質量%以上用いることは好ましくない。 本発明において、ラジカル重合性単量体の重合体による変性ポリエステル樹脂の乾燥塗膜の酸価をAV(c)(当量/10 6 g)、ポリウレタン樹脂の酸価をAV(d)(当量/10 6 g)とした場合、AV(c)−AV(d)は、200以上8,000以下であり、好ましくは300以上6,500以下、さらに好ましくは400以上5,000以下である。 AV(c)−AV(d)が200当量/10 6 g以下の場合、変性ポリエステル/エポキシ化合物部位、ポリウレタン部位/エポキシ化合物部位の架橋密度の差が小さく、ポリウレタン樹脂/エポキシ化合物部位の応力緩和能力が小さく、ハンダリフロー領域での耐熱性が不十分になる。 また、AV(c)−AV(d)が8,000当量/10 6 g以上の場合、変性ポリエステル部位の反応性が高く、エポキシとの反応が早く、シートライフを維持することができない。 また、系全体の架橋密度も大きくなるため、剥離応力に対する応力緩和が不十分になり、室温から高温に至る、幅広い領域での剥離強度が小さくなる。 また、変性ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂のガラス転移温度を制御すれば幅広い温度領域で高い接着性能を実現することが可能である。 特に、本発明の変性ポリエステル樹脂においては、エポキシ化合物との反応性の高い無水カルボキシル基を持つラジカル重合性単量体の重合体がポリエステル樹脂とグラフト反応で化学結合しているため、硬化塗膜の動的粘弾性測を行うと、損失正接のピークはエポキシ化合物単体の硬化塗膜の損失正接ピークである130〜150℃も含めた幅広い一山のピークとなり、広い温度領域で、高い接着性能を示すことができる。 かかる変性ポリエステル樹脂の特性を活用して、変性ポリエステル樹脂/ポリウレタン樹脂/エポキシ化合物の三元系で、さらに幅広い温度領域で、安定した接着性能を達成するには、ポリウレタン樹脂のガラス転移温度よりも、ガラス転移温度の高い変性ポリエステル樹脂を使用すればよい。 本発明に用いるポリウレタン樹脂のガラス転移温度は、−10〜60℃である。 ガラス転移温度が−10℃以下だと、高温での接着性が不十分になる傾向がある。 ガラス転移温度が60℃を超えると、溶融粘度が高くなるため、Bステージ状態での基材との貼り合せが不十分になり、剥離強度低下の原因になる。 また常温での弾性率が高くなるので、常温での剥離強度が低くなる。 好ましいガラス転移温度の下限は−5℃、より好ましいガラス転移温度の下限は0℃、さらに好ましいガラス転移温度の下限は5℃である。 好ましい上限は55℃、より好ましい上限は50℃、さらに好ましい上限は45℃である。 ガラス転移温度を制御する方法は、構成成分のポリエステルジオールのガラス転移温度を制御する方法、ポリウレタン樹脂を構成するポリイソシアネートの含有量を制御する方法等がある。 本発明における、変性ポリエステル樹脂の塗膜のガラス転移温度は0〜80℃で、好ましくは5〜75℃であり、更に好ましくは10〜70℃である。 0℃以下では、硬化剤と反応させた硬化塗膜においても耐熱性が小さく、高温時での接着性が悪くなる。 さらにBステージ状態での反応性が大きくなるため、シートライフが悪くなる。 また、80℃を超えると変性後においても樹脂の溶融粘度が高く、Bステージ状態での基材との貼り合せが不十分になり、剥離強度低下の原因になる。 また常温での弾性率が高くなるので、常温での剥離強度が低くなる。 変性ポリエステル樹脂の乾燥塗膜のガラス転移温度をTg(c)(℃)、ポリウレタン樹脂のガラス転移温度をTg(d)(℃)とした場合、Tg(c)−Tg(d)は、5℃以上50℃以下であり、好ましくは7℃以上45℃以下、さらに好ましくは10℃以上40℃以下である。 Tg(c)−Tg(d)が、5℃以下の場合、室温から高温にわたる幅広い温度領域での接着性が保てない。 特に、ハンダリフロー温度域での耐熱性がポリウレタン樹脂/エポキシ化合物には不足しており、変性ポリエステルを配合することにより補うことが可能であるが、ガラス転移温度が近接していると補う効果が少なくなり、耐熱性が不十分になる。 また、変性ポリエステルは、エポキシ化合物系の硬化剤との反応性が高く、Bステージ状態のシートライフが単独樹脂系では不良だが、比較的反応性の低いポリウレタン樹脂と併用することでBステージのシートライフの向上が可能である。 しかしラジカル重合性単量体で変性された変性ポリエステルそのものガラス転移温度を上げないと安定性を確保することができず、Tg(c)−Tg(d)が5℃以下の場合、ポリウレタン樹脂との併用効果が不十分である。 またTg(c)−Tg(d)が50℃以上の場合、シートライフ向上効果は見られるが、幅広い温度領域での接着性がでない。 以上に示したように、ポリウレタン樹脂/エポキシ化合物の系に、変性ポリエステル樹脂を加えて三元系にすることにより、高度耐熱性(260℃)付与と、高温高湿度(60℃相対湿度90%)での接着性能維持が可能になった。 一方、変性ポリエステル樹脂/エポキシ化合物の系では、高度耐熱性(260℃)、高温高湿度(60℃相対湿度90%)での接着性能維持は可能であるが、常温での接着性は、ポリウレタン樹脂/エポキシ化合物の系、変性ポリエステル樹脂/ポリウレタン樹脂/エポキシ化合物系に比べて低くなる。 基材がアルミニウム板や銅箔の光沢面等、接着しにくい素材の場合には、実用に値しない場合がある。 本発明の樹脂組成物は、ジシクロペンタジエン構造を有するエポキシ化合物を含む。 ジシクロペンタジエン骨格を持つエポキシ化合物からなる硬化塗膜は、疎水性が大きく、極めて吸湿率が小さいため、高温高湿度(60℃相対湿度90%)での接着性能維持に有効である。 また、ジシクロペンタジエン骨格が嵩高いため、化合物中のグリシジル基の間隔が大きく、硬化塗膜の架橋密度を下げる効果があり、特に、接着体を高温高湿下(40℃相対湿度80%)に2日間保存した後に、ハンダリフロー工程(260℃)を経た時に、接着体に含まれる水分の急激な蒸発による応力を緩和する能力が大きく、基材からの接着樹脂の剥離を抑制することができる。 配合するエポキシ樹脂として、その他のエポキシも併用することができる。 例えば、ビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、ノボラックグリシジルエーテル、ブロム化ビスフェノールAジグリシジルエーテル等のグリシジルエーテルタイプ、ヘキサヒドロフタル酸グリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステル等のグリシジルエステルタイプ、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン等のグリシジルアミン、あるいは3,4−エポキシシクロヘキシルメチルカルボキシレート、エポキシ化ポリブタジエン、エポキシ化大豆油等の脂環族あるいは脂肪族エポキサイド、あるいはテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルパラアミノフェノール、テトラグリシジルビスアミノメチルシクロヘキサノン、N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン等のグリシジルアミン系などが挙げられる。 N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン等のグリシジルアミン系は、触媒作用のあるアミノ基を骨格にもつため、硬化速度が高く、安定したBステージ状態を得ることができる。 エポキシ化合物の配合量はポリウレタン樹脂と変性ポリエステル樹脂100質量部に対して5〜30質量部の配合量であることが好ましい。 この範囲であればポリエステルとエポキシ化合物の反応点のバランスが合うため、強固な接着性能を得ることができる。 本発明において、ラジカル重合性部位を含むポリエステル樹脂は、ポリエステル樹脂組成における全酸成分の合計量を100モル%としたとき、芳香族酸は30モル%以上であることが好ましく、より好ましくは45モル%以上、よりさらに好ましくは60モル%以上である。 芳香族酸が30モル%以下の場合、樹脂からなる塗膜、及び樹脂/硬化剤からなる塗膜の凝集力が弱く、各種基材への接着強度の低下が見られる。 芳香族酸の例としてはテレフタル酸、イソフタル酸、オルソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ジフェン酸、5−ヒドロキシイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸が例示できる。 また、スルホテレフタル酸、5−スルホイソフタル酸、4−スルホフタル酸、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、5−(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸、スルホテレフタル酸などのスルホン酸基有する芳香族ジカルボン酸、スルホテレフタル酸の金属塩、アンモニウム塩、5−スルホイソフタル酸の金属塩、アンモニウム塩、4−スルホフタル酸の金属塩、アンモニウム塩、4−スルホナフタレン−2,7−ジカルボン酸、5−(4−スルホフェノキシ)イソフタル酸の金属塩、アンモニウム塩、スルホテレフタル酸の金属塩、アンモニウム塩などのスルホン酸塩基を有する芳香族ジカルボン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4,4−ビス(p−ヒドロキシフェニル)バレリック酸などの芳香族オキシカルボン酸等を挙げることができる。 これらのうちでもテレフタル酸、イソフタル酸、およびその混合物が塗膜の凝集力を上げる点で特に好ましい。 なお、芳香族酸以外の酸成分としては、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸とその酸無水物などの脂環族ジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸などの脂肪族ジカルボン酸を挙げることができる。 一方、グリコ−ル成分は脂肪族グリコ−ル、脂環族グリコ−ル、芳香族含有グリコール、エ−テル結合含有グリコ−ルなどよりなることが好ましい。 脂肪族グリコ−ルの例としては、エチレングリコ−ル、1,2−プロピレングリコ−ル、1,3−プロパンジオ−ル、1,4−ブタンジオ−ル、1,5−ペンタンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル、1,6−ヘキサンジオ−ル、3−メチル−1,5−ペンタンジオ−ル、1,9−ノナンジオ−ル、2−エチル−2−ブチルプロパンジオール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、ジメチロールヘプタン、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオ−ル等を挙げることができる。 脂環族グリコ−ルの例としては、1,4−シクロヘキサンジオ−ル、1,4−シクロヘキサンジメタノ−ル、トリシクロデカンジオ−ル、トリシクロデカンジメチロール、スピログリコ−ル、水素化ビスフェノ−ルA、水素化ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物、等を挙げることができる。 エ−テル結合含有グリコ−ルの例としては、ジエチレングリコ−ル、トリエチレングリコ−ル、ジプロピレングリコ−ル、さらに、ポリエチレングリコ−ル、ポリプロピレングリコ−ル、ポリテトラメチレングリコ−ル、ネオペンチルグリコールエチレンオキサイド付加物、ネオペンチルグリコールプロピレンオキサイド付加物も必要により使用しうる。 芳香族含有グリコールの例としてはパラキシレングリコ−ル、メタキシレングリコ−ル、オルトキシレングリコ−ル、1,4−フェニレングリコ−ル、1,4−フェニレングリコ−ルのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノ−ルA、ビスフェノ−ルAのエチレンオキサイド付加物およびプロピレンオキサイド付加物等の、ビスフェノ−ル類の2つのフェノ−ル性水酸基にエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドをそれぞれ1〜数モル付加して得られるグリコ−ル類等を例示できる。 また、分子構造の中に、水酸基とカルボキシル基を有する、オキシカルボン酸化合物もポリエステル原料として使用することができ、5−ヒドロキシイソフタル酸、p−ヒドロキシ安息香酸、p−ヒドロキシフェニチルアルコール、p−ヒドロキシフェニルプロピオン酸、p−ヒドロキシフェニル酢酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、4,4−ビス(p−ヒドロキシフェニル)バレリック酸等を例示できる。 本発明で使用されるポリエステル樹脂中には、必要によりポリエステル樹脂中に分岐骨格を導入する目的で、ポリエステル樹脂を構成する全酸成分、全グリコール成分の合計モル量を200%としたとき、0.1〜5モル%程度の3官能以上のポリカルボン酸類および/又はポリオ−ル類を共重合しても構わない。 特に硬化剤と反応させて硬化塗膜を得る場合、分岐骨格を導入することにより、樹脂の末端基濃度(反応点)が増え、架橋密度の高い、強度な塗膜を得ることができる。 その場合の3官能以上のポリカルボン酸の例としてはトリメリット酸、トリメシン酸、エチレングルコールビス(アンヒドロトリメリテート)、グリセロールトリス(アンヒドロトリメリテート)、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸(PMDA)、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3',4,4'−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4'−(ヘキサフロロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)、2,2'−ビス[(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物(BSAA)などの化合物等、が使用でき、一方3官能以上のポリオ−ルの例としてはグリセリン、トリメチロ−ルエタン、トリメチロ−ルプロパン、ペンタエリスリト−ル等が使用できる。 3官能以上のポリカルボン酸および/またはポリオ−ルを使用する場合は、全酸成分あるいは全グリコ−ル成分に対し0.1〜5モル%、好ましくは0.5〜3モル%の範囲で共重合するのが良く、5モル%を超えると塗膜の破断点伸度などの力学物性の低下が生じることがあり、また重合中にゲル化を起こす可能性がある。 本発明で使用されるポリエステル樹脂中には必要によりポリエステル樹脂末端にカルボキシル基を導入する目的で、ポリエステル樹脂を構成する全酸成分、全グリコール成分の合計モル量を200%としたとき、0.1〜10モル%程度の酸付加を行うことができる。 酸付加にモノカルボン酸、ジカルボン酸、多官能カルボン酸化合物を用いると、エステル交換により分子量の低下が起こるので、酸無水物を用いることが好ましい。 酸無水物としては、無水コハク酸、無水マレイン酸、オルソフタル酸、2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸(PMDA)、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3',4,4'−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4'−(ヘキサフロロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)、2,2'−ビス[(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物(BSAA)などの化合物等が使用できる。 10モル%以上酸付加を行うと、ゲル化を起こすことがあり、またポリエステルの解重合を起こし樹脂分子量を下げてしまうことがある。 酸付加はポリエステル重縮合後、バルク状態で直接行う方法と、ポリエステルを溶液化し付加する方法がある。 バルク状態での反応は、速度が速いが、多量に付加するとゲル化が起こることがあり、かつ高温での反応になるので、酸素ガスを遮断し酸化を防ぐなどの注意が必要である。 一方、溶液状態での付加は、反応は遅いが、多量のカルボキシル基を安定に導入することができる。 特に、無水ピロメリット酸(PMDA)、オキシジフタル酸二無水物(ODPA)、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3',4,4'−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)、3,3',4,4'−ジフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物(DSDA)、4,4'−(ヘキサフロロイソプロピリデン)ジフタル酸二無水物(6FDA)、2,2'−ビス[(ジカルボキシフェノキシ)フェニル]プロパン二無水物(BSAA)などの酸二無水物を使用すると、鎖延長効果で分子量を上げることができる。 本発明において、ラジカル重合性単量体の重合体による変性後のポリエステル樹脂として高い重量平均分子量を得るのには、特に、無水ピロメリット酸(PMDA)、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)、3,3',4,4'−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物(BPDA)の使用が有効である。 本発明において、ラジカル重合性部位としては、不飽和結合、水素引き抜きで容易にラジカルを発生する三級炭素などを挙げることができるが、ラジカル重合性単量体の重合体で効率よく変性するためには、主鎖をなす樹脂中に重合性不飽和結合を導入し、ラジカル重合性単量体でグラフト反応することが有効である。 不飽和結合の導入は、不飽和結合をもつ酸成分および/またはグリコール成分を共重合することにより達成できる。 重合性不飽和結合を含有するジカルボン酸の例としては、α、β−不飽和ジカルボン酸類としてフマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸などが、不飽和二重結合を含有する脂環族ジカルボン酸の例としては2,5−ノルボルネンジカルボン酸無水物、テトラヒドロ無水フタル酸等を挙げることができる。 これらのうちでもフマル酸、イタコン酸がポリエステル重合時の熱安定性が高い点、さらにラジカル重合反応に対しても活性が高い点で特に好ましい。 重合性不飽和結合を含有するグリコールの例としては、グリセリンモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、等を挙げることができる。 重合性不飽和二重結合を含有するモノマーの共重合量は、ポリエステル樹脂を構成する全酸成分、全グリコール成分の合計モル量を200%としたとき、好ましくは0.5〜20モル%、より好ましくは1.5〜15モル%、さらに好ましくは2.5〜10モル%であり、最も好ましくは3〜7モル%である。 重合性不飽和二重結合を含有するモノマーが20モル%を超える場合は、グラフト反応工程で、ゲル化反応が起こりやすくなり、不溶物含量が増加し、製造安定性、作業性が悪くなる。 また、0.5モル%以下ではグラフト反応が不十分で、未反応のポリエステルが存在し、ラジカル反応後の樹脂の分子量が上がらないため、高い耐熱性、高温高湿下での接着性がでない。 本発明に用いるポリエステル樹脂に含まれる重合触媒としてのチタン系化合物の量は、ポリエステル樹脂中にチタン原子として10〜200ppmであることが好ましく、より好ましくは15〜100ppm、更に好ましくは20〜80ppmである。 10ppm以下では触媒として用いる場合に活性が極端に低下するため好ましくない。 200ppm以上では塗膜の耐水性、耐熱性、色調が低下する傾向にあるため好ましくない。 本発明に用いるポリエステル樹脂を重合する際に重合触媒として使用するチタン化合物としては、テトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトライソブチルチタネート、テトラ−tert−ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラベンジルチタネートなどが挙げられ、特にテトラ−n−ブチルチタネートの使用が好ましい。 また一方で、本発明に用いるポリエステル樹脂は、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、スズ化合物、アルミニウム化合物などの重合触媒を、これらの成分の添加が塗膜の耐水性、耐熱性、色調等に問題を生じない添加量の範囲内において共存させて用いることは、これらを重合触媒として用いる場合に重合時間の短縮による生産性を向上させる際に有効であり、好ましい。 本発明に用いるポリエステル樹脂を重合する際および本発明の樹脂組成物には、ラジカル重合禁止剤を共存させることが好ましい。 その量はポリエステル樹脂中にラジカル重合禁止剤分子として10〜800ppm、より好ましくは100〜400ppmである。 10ppm以下では二重結合開裂によるゲル化の可能性が高くなり高分子量のポリエステル樹脂の製造が困難になることがある。 800ppm以上ではポリエステル樹脂が着色する場合があり、塗膜の色調が低下し外観を損ねることがあり、またラジカル反応性を下げてしまう。 本発明に使用するラジカル重合禁止剤は主にポリエステル樹脂を重合する際に二重結合開裂によるゲル化防止、さらには塗料の硬化性向上のために用いられるものであるが、ポリエステル樹脂の貯蔵安定性を高めるために重合後に添加しても良い。 ラジカル重合禁止剤としてはフェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、無機化合物系酸化防止剤など公知のものが例示できる。 フェノール系酸化防止剤としては、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、4,4'−ブチルデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリス−メチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)イソシアヌレートなど、またはそれらの誘導体等が挙げられる。 リン系酸化防止剤としては、トリ(ノニルフェニル)ホスファイト、トリフェニルホスファイト、ジフェニルイソデシルホスファイト、トリオクタデシルホスファイト、トリデシルホスファイト、ジフェニルデシルホスファイト、4,4'−ブチリデン−ビス(3−メチル−6−t−ブチルフェニルジトリデシルホスファイト)、ジステアリル−ペンタエリスリトールジホスファイト、トリラウリルトリチオホスファイトなど、またはそれらの誘導体等が挙げられる。 アミン系酸化防止剤としては、フェニル−β−ナフチルアミン、フェノチアジン、N,N'− ジフェニル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−β−ナフチル−p−フェニレンジアミン、N−シクロヘキシル−N'−フェニル−p−フェニレンジアミン、アルドール−α−ナフチルアミン、2,2,4−トリメチル−1,2−ジハイドロキノリンなど、またはそれらの誘導体等が挙げられる。 硫黄系酸化防止剤としては、チオビス(N−フェニル−β−ナフチルアミン、2−メルカプトベンチアゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、テトラメチルチウラムジサルファイド、ニッケルイソプロピルキサンテートなど、又はそれらの誘導体が挙げられる。 ニトロ化合物系酸化防止剤としては、1,3,5−トリニトロベンゼン、p−ニトロソジフェニルアミン、p−ニトロソジメチルアニリン、1−クロロ−3− ニトロベンゼン、o−ジニトロベンゼン、m−ジニトロベンゼン、p−ジニトロベンゼン、p−ニトロ安息香酸、ニトロベンゼン、2−ニトロ−5−シアノチオフェンなど、又はそれらの誘導体が挙げられる。 無機化合物系酸化防止剤としては、FeCl 3 、Fe(CN) 3 、CuCl 2 、CoCl 3 、Co(ClO 4 ) 3 、Co(NO 3 ) 3 、Co 2 (SO 4 ) 3等が挙げられる。 本発明に用いるラジカル重合禁止剤としては、上記の酸化防止剤の中で、フェノール系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤が熱安定性の点で好ましく、融点が120℃以上で分子量が200以上のものがより好ましく、融点が170℃以上のものがさらに好ましい。 具体的には、フェノチアジン、4,4'−ブチルデンビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)などである。 本発明に用いるポリエステル樹脂は、公知の方法で製造できるが、180℃〜270℃の反応温度で製造することが好ましい。 反応温度が180℃以下の場合、樹脂分子量が大きくならず、接着性、加工性が低下し、接着剤としての特性がでない傾向にある。 また反応温度が270℃以上になると、前記重合禁止剤を添加しても、不飽和基の熱解裂が起こりゲル状物が発生し、安定に製造することが困難になる傾向にある。 本発明で使用されるポリエステル樹脂は、数平均分子量が5,000〜50,000の範囲であり、好ましくは数平均分子量が7,000〜40,000の範囲であり、さらに好ましくは9,000〜30,000の範囲である。 数平均分子量が5,000未満であると樹脂としての凝集力が小さく、ために接着性、特に高温高湿下での接着性が低下する。 また、数平均分子量が100,000を超えるとグラフト化反応中に高粘度化し、反応の均一な進行が妨げられ、ゲル物が発生し、製造安定性、作業性が悪くなる。 本発明におけるラジカル重合性単量体の重合体による変性ポリエステル樹脂の側鎖を構成するラジカル重合性単量体として、無水マレイン酸以外には、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸のエステル化合物、窒素原子を含有するラジカル重合性単量体、ジカルボン酸タイプのラジカル重合性単量体、ビニル系ラジカル重合性単量体、アリル系ラジカル重合性単量体などが好ましい。 (メタ)アクリル酸のエステル化合物の例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボルニル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸ヒドロキシイソプロピル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレートなどのフタル酸誘導体と(メタ)アクリル酸ヒドロキシエチルのエステル、さらにはアクリル酸、メタクリル酸とフェニルグリシジルエーテルとの反応物、すなわち、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートなどを挙げることができる。 窒素原子を含有するラジカル重合性単量体として(メタ)アクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどを挙げることができる。 ジカルボン酸タイプのラジカル重合性単量体としては、フマル酸、フマル酸モノエチル、フマル酸ジエチル、フマル酸ジブチルなどのフマル酸モノエステル及びフマル酸ジエステル、マレイン酸、マレイン酸モノエチル、マレイン酸ジエチル、マレイン酸ジブチルなどのマレイン酸モノエステル及びマレイン酸ジエステル、イタコン酸およびその無水物、イタコン酸モノエステル及びイタコン酸ジエステル、フェニルマレイミド等のマレイミドなどを挙げることができる。 ビニル系ラジカル重合性単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、t-ブチルスチレン、クロロメチルスチレンなどのスチレン誘導体、N−ビニルピロリドンなど、酢酸ビニルなどのビニルエステル、ビニルブチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルなどのビニルエーテル、アリルアルコール、グリセリンモノアリルエーテル、ペンタエリスリトールモノアリルエーテル、トリメチロールプロパンモノアリルエーテルなどのアリル系ラジカル重合性単量体などを挙げることができる。 グラフト化反応終了後の反応生成物は、1)グラフト重合体の他に、2)グラフトを受けなかった非グラフトベース樹脂および3)ベース樹脂とグラフト化しなかった非グラフトラジカル重合体より成るのが通常である。 一般に、反応生成物中のグラフト重合体比率が低く、非グラフトベース樹脂及び非グラフトラジカル重合体の比率が高い場合は、変性による効果が低いだけでなく、非グラフトラジカル重合体により塗膜が白化するなどの悪影響が観察される。 従ってグラフト重合体生成比率の高い反応条件を選択することが重要である。 グラフトを受けなかった非グラフトベース樹脂およびベース樹脂とグラフト化しなかった非グラフトラジカル重合体を、再沈法で除去し精製することは可能であるが、製造効率を考慮すると、先述したとおり、反応性を考慮してラジカル重合性単量体を選択する方法が望ましい。 グラフト効率を上げ、グラフトを受けなかった非グラフトベース樹脂およびベース樹脂とグラフト化しなかった非グラフトラジカル重合体の量を抑制する方が好ましい。 以下に、ラジカル重合性単量体の重合体による変性ポリエステル樹脂の塗膜と示す場合は、非グラフトベース樹脂およびベース樹脂とグラフト化しなかった非グラフトラジカル重合体も含む塗膜である。 ベース樹脂に対するラジカル重合性単量体のグラフト化反応の実施に際しては、ベース樹脂に対し、ラジカル重合性単量体混合物とラジカル開始剤を一時に添加して行なってもよいし、別々に一定時間を要して滴下した後、更に一定時間撹拌下に加温を継続して反応を進行せしめてもよい。 グラフト化反応温度は50〜120℃の範囲にあることが望ましい。 50℃以下ではラジカル開始剤の反応活性が低くラジカル反応が進みにくく、また120℃以上だと発生したラジカルの熱による失活が早く十分なラジカル反応が進みにくく、変性効果が得られにくい。 本発明の目的に適合するグラフト反応生成物に占めるベース樹脂を構成するモノマーに由来する部分とラジカル重合性単量体由来部分の質量比率は、ベース樹脂を構成するモノマーに由来する部分/ラジカル重合性単量体に由来する部分が質量比で10/90〜99/1の範囲であることが好ましく、より好ましくは25/75〜95/5、さらに好ましくは40/60〜90/10、特に好ましくは60/40〜85/15の範囲である。 ベース樹脂を構成するモノマーに由来する部分の質量比率が10質量%未満であるとき、ベース樹脂の優れた性能、即ち接着性を充分に発揮することが困難となる傾向がある。 ベース樹脂を構成するモノマーに由来する部分の質量比率が99質量%を超えると、グラフト生成物中のグラフトされていないベース樹脂の割合がほとんどになり、変性による官能基導入の効果が少なく、硬化塗膜の強靭性が劣る傾向がある。 本発明で使用されるラジカル重合開始剤としては、公知の有機過酸化物類や有機アゾ化合物類を利用しうる。 すなわち有機過酸化物としてベンゾイルパ−オキサイド、t−ブチルパ−オキシピバレ−ト、有機アゾ化合物として2,2'−アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)などを例示することが出来る。 グラフト化反応を行うためのラジカル開始剤の使用量は、ラジカル重合性単量体に対して少なくとも0.2質量%以上が必要であり、好ましくは、0.5質量%以上が使用される。 0.2質量%以下の場合、ラジカル重合性単量体の重合体による変性が不十分であり性能が不十分である。 また0.2質量%以下の場合、グラフト反応が不十分になってしまう。 連鎖移動剤、例えば、オクチルメルカプタン、ドデシルメルカプタン、メルカプトエタノール、β-メルカプトプロピオン酸、β-メルカプトプロピオン酸メチルエステル、β-メルカプトプロピオン酸エチルエステル、β-メルカプトプロピオン酸2-エチルヘキシルエステル、β-メルカプトプロピオン酸n-オクチルエステル、β-メルカプトプロピオン酸メトキシブチルエステル、β-メルカプトプロピオン酸ステアリルエステル、β-メルカプトプロピオン酸イソノニルエステル、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトプロピオネート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3-メルカプトプロピオネート)、ジペンタエリスリトールヘキサキス(3-メルカプトプロピオネート)、トリス[(3-メルカプトプロピオニロキシ)−エチル]イソシアヌレート等の添加も、グラフト鎖長調整のために必要に応じて使用される。 その場合、ラジカル重合性単量体に対して0〜20質量%の範囲で添加されるのが好ましい。 グラフト化反応の反応溶媒として、ポリエステル及びポリエステルポリウレタンの溶解性の高い溶媒を使用できる。 該当する溶剤としては、ケトン類例えばメチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、環状エ−テル類例えばテトラヒドロフラン、ジオキサン、グリコ−ルエ−テル類例えばプロピレングリコ−ルメチルエ−テル、プロピレングリコ−ルプロピルエ−テル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコ−ルブチルエ−テル、カルビトール類例えばメチルカルビト−ル、エチルカルビト−ル、ブチルカルビト−ル、グリコ−ル類若しくはグリコ−ルエ−テルの低級エステル類例えばエチレングリコ−ルジアセテ−ト、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、ケトンアルコール類例えばダイアセトンアルコール、更にはN−置換アミド類例えばジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、などを例示することが出来る。 また、単独ではポリエステル及びポリエステルポリウレタンを溶解しない貧溶媒でも、良溶剤との混合溶媒とした場合、樹脂の溶解が可能であれば使用することができる。 ポリエステル及びポリエステルポリウレタンの貧溶媒として、低級アルコール類、低級カルボン酸類、低級アミン類、水などを挙げることができる。 良溶媒と貧溶媒の組み合わせとして、上記の溶媒の一種または二種以上の組み合わせを挙げることができる。 本発明の実施のためのグラフト化反応溶媒の沸点が250℃を超えるものは、蒸発速度が遅く、高温における乾燥によっても充分に取り除くことが出来ないので好ましくない。 また沸点が50℃以下では、それを溶媒としてグラフト化反応を実施する場合、50℃以下の温度でラジカルに開裂する開始剤を用いねばならないので取扱上の危険が増大し、好ましくない。 本発明に用いるポリウレタン樹脂は、数平均分子量は5,000〜100,000であることが好ましい。 分子量5,000未満だと塗布直後の密着性が不充分で作業性が悪くなり、分子量100,000を超えると、塗布時の溶液粘度が高すぎて、均一な塗布膜が得られないことがある。 好ましくは下限分子量8,000、さらに望ましくは下限分子量10,000、好ましくは上限分子量50,000、さらに望ましくは上限分子量35,000である。 該ポリエステルポリオールは、本発明で使用されるポリエステル樹脂(ベース樹脂)として説明したものを使用することができる。 本発明に用いるポリウレタン樹脂の製造で使用するポリイソシアネートは、ジイソシアネート、その二量体(ウレトジオン)、その三量体(イソシアヌレート、トリオール付加物、ビューレット)等の一種、またはそれら二種以上の混合物であってもよい。 例えば、ジイソシアネート成分としては、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、p−フェニレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、m−フェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、3,3'−ジメトキシ−4,4'−ビフェニレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、2,6−ナフタレンジイソシアネート、4,4'−ジイソシアネートジフェニルエーテル、1,5−キシリレンジイソシアネート、1,3−ジイソシアネートメチルシクロヘキサン、1,4−ジイソシアネ−トメチルシクロヘキサン、4,4'−ジイソシアネートシクロヘキサン、4,4'−ジイソシアネートシクロヘキシルメタン、イソホロンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、ノルボルネンジイソシアネート等が挙げられるが、透明蒸着フィルムへの用途等では黄変性が問題となる場合が多いので、脂肪族・脂環族のジイソシアネートが好ましい。 さらに入手容易性および経済的な理由で、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートが特に好ましい。 本発明に用いるポリウレタン樹脂を製造する上で、必要により鎖延長剤を使用しても良い。 鎖延長剤としては、ポリエステルポリオールを合成する際のグリコール成分としての低分子量ジオールや、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸等のカルボキシル基含有低分子量ジオール等が挙げられる。 その中で、酸価導入の容易さと、汎用溶剤への溶解性からジメチロールブタン酸が好ましい。 また、水酸基導入の容易さから、トリメチロールプロパンの使用も好ましい。 本発明に用いるポリウレタン樹脂の反応方法としては、該ポリエステルポリオール及び該ポリイソシアネート、必要により鎖延長剤を一括して反応容器に仕込んでも良いし、分割して仕込んでも良い。 いずれにしても、系内のポリエステルポリオール、鎖延長剤の水酸基価の合計と、ポリイソシアネートのイソシアネート基の合計について、イソシアネート基/水酸基の官能基の比率が1以下で反応させる。 またこの反応は、イソシアネート基に対して不活性な溶媒の存在下または非存在下に反応させることにより製造することができる。 その溶媒としては、エステル系溶媒(酢酸エチル、酢酸ブチル、酪酸エチルなど)、エーテル系溶媒(ジオキサン、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテルなど)、ケトン系溶媒(シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)、芳香族炭化水素系溶媒(ベンゼン、トルエン、キシレンなど)およびこれらの混合溶媒が挙げられるが、環境負荷の低減の観点から、酢酸エチルやメチルエチルケトンが好ましい。 反応装置としては、撹拌装置の具備した反応缶だけでなく、ニーダー、二軸押出機のような混合混練装置も使用できる。 ウレタン反応を促進させる為、通常のウレタン反応において用いられる触媒、たとえば錫系触媒(トリメチルチンラウレート、ジメチルチンジラウレート、トリメチルチンヒドロキサイド、ジメチルチンジヒドロキサイド、スタナスオクトエートなど)、鉛系触媒(レッドオレート、レッド−2−エチルヘキソエートなど)、アミン系触媒(トリエチルアミン、トリブチルアミン、モルホリン、ジアザビシクロオクタンなど)等を使用することができる。 本発明に使用するエポキシ化合物の硬化反応に、硬化触媒を使用することができる。 例えば2−メチルイミダゾールや1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾールや2−フェニル−4−メチルイミダゾールや1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール系化合物やトリエチルアミンやトリエチレンジアミンやN'−メチル−N−(2−ジメチルアミノエチル)ピペラジンや1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7や1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5や6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7等の3級アミン類及びこれらの3級アミン類をフェノールやオクチル酸や4級化テトラフェニルボレート塩等でアミン塩にした化合物、トリアリルスルフォニウムヘキサフルオロアンチモネートやジアリルヨードニウムヘキサフルオロアンチモナート等のカチオン触媒、トリフェニルフォスフィン等が挙げられる。 これらのうちが1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7や1,5−ジアザビシクロ(4,3,0)−ノネン−5や6−ジブチルアミノ−1,8−ジアザビシクロ(5,4,0)−ウンデセン−7等の3級アミン類及びこれらの3級アミン類をフェノールやオクチル酸等や4級化テトラフェニルボレート塩でアミン塩にした化合物が熱硬化性及び耐熱性、金属への接着性、配合後の保存安定性の点で好ましい。 その際の配合量はポリエステル100質量部に対して0.01〜1.0質量部の配合量であることが好ましい。 この範囲であればポリエステルとエポキシ化合物の反応に対する効果が一段と増し、強固な接着性能を得ることができる。 本発明において、ラジカル重合性単量体の重合体による変性ポリエステル樹脂の質量をWc(g)、ポリウレタン樹脂の質量をWd(g)とした場合、Wc/Wdは、1/99〜80/20であることが好ましい。 Wcが1%以下の場合、ポリウレタンの耐熱性の低さをカバーすることができず、高温での接着性が低下する。 また80%以上の場合、室温での接着性が低下してしまう。 本発明の樹脂組成物に各種硬化性樹脂、添加剤を配合して接着剤組成物とすることができる。 硬化性樹脂としてはシリコーン樹脂、メラミン樹脂、フェノールーホルマリン樹脂、イソシアネート樹脂などが挙げられる。 フェノール樹脂としてはたとえばアルキル化フェノール類、クレゾール類のホルムアルデヒド縮合物を挙げることが出来る。 具体的にはアルキル化(メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル)フェノール、p-tert- アミノ樹脂としては、例えば尿素、メラミン、ベンゾグアナミンなどのホルムアルデヒド付加物、さらにこれらの炭素原子数が1〜6のアルコールによるアルキルエーテル化合物を挙げることができる。 具体的にはメトキシ化メチロール尿素、メトキシ化メチロールN,N-エチレン尿素、メトキシ化メチロールジシアンジアミド、メトキシ化メチロールメラミン、メトキシ化メチロールベンゾグアナミン、ブトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールベンゾグアナミンなどが挙げられるが好ましくはメトキシ化メチロールメラミン、ブトキシ化メチロールメラミン、およびメチロール化ベンゾグアナミンであり、それぞれ単独または併用して使用することができる。 イソシアネート化合物としては芳香族、脂肪族のジイソシアネート、3価以上のポリイソシアネートがあり、低分子化合物、高分子化合物のいずれでもよい。 たとえば、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(以下、HDIと略記する場合がある)、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(以下、MDIと略記する場合がある)、水素化ジフェニルメタンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、水素化キシリレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネートあるいはこれらのイソシアネート化合物の3量体、およびこれらのイソシアネート化合物の過剰量と、たとえばエチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ソルビトール、エチレンジアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンなどの低分子活性水素化合物または各種ポリエステルポリオール類、ポリエーテルポリオール類、ポリアミド類の高分子活性水素化合物などとを反応させて得られる末端イソシアネート基含有化合物が挙げられる。 イソシアネート化合物としてはブロック化イソシアネートであってもよい。 イソシアネートブロック化剤としては、例えばフェノール、チオフェノール、メチルチオフェノール、クレゾール、キシレノール、レゾルシノール、ニトロフェノール、クロロフェノール等のフェノール類、アセトキシム、メチルエチルケトオキシム、シクロヘキサノンオキシムなどのオキシム類、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、エチレンクロルヒドリン、1,3-ジクロロ-2-プロパノールなどのハロゲン置換アルコール類、t-ブタノール、t-ペンタノールなどの第3級アルコール類、ε-カプロラクタム、δーバレロラクタム、γーブチロラクタム、βープロピルラクタムなどのラクタム類が挙げられ、その他にも芳香族アミン類、イミド類、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル、マロン酸エチルエステルなどの活性メチレン化合物、メルカプタン類、イミン類、尿素類、ジアリール化合物類重亜硫酸ソーダなども挙げられる。 ブロック化イソシアネートは上記イソシアネート化合物とイソシアネート化合物とイソシアネートブロック化剤とを従来公知の適宜の方法より付加反応させて得られる。 本発明の接着剤組成物には必要に応じてシリカを配合しても良い。 シリカを配合することにより耐熱性の特性が向上するため非常に好ましい。 シリカとしては一般に疎水性シリカと親水性シリカが知られているが、ここでは耐吸湿性を付与する上でジメチルジクロロシランやヘキサメチルジシラザン、オクチルシラン等で処理を行った疎水性シリカの方が良い。 シリカの平均粒子径は3μm以下が好ましい。 より好ましくは50nm以下である。 平均粒子径が3μmより大きいと分散不良や接着不良を起こし、耐熱性や接着性が低下する場合がある。 シリカの配合量はポリエステル100質量部に対して0.05〜30質量部の配合量であることが好ましい。 0.05質量部未満であると耐熱性を向上させる効果が発揮しない場合がある。 一方30質量部を超えるとシリカの分散不良が生じたり溶液粘度が高くなりすぎて作業性に不具合が生じたり或いは接着性が低下する場合がある。 本発明の接着剤組成物には必要に応じてシランカップリング剤を配合しても良い。 シランカップリング剤を配合することにより金属への接着性や耐熱性の特性が向上するため非常に好ましい。 シランカップリング剤としては特に限定されないが、不飽和基を有するもの、グリシジル基を有するもの、アミノ基を有するものなどが挙げられる。 不飽和基を有するシランカップリング剤としては、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等を挙げることができる。 グリシジル基を有するシランカップリング剤としては、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等を挙げることができる。 アミノ基を有するシランカップリング剤としては、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。 これらのうち耐熱性の観点からγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランやβ−(3,4エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランやβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン等のグリシジル基を有したシランカップリング剤がさらに好ましくなる。 シランカップリング剤の配合量はポリエステル100質量部に対して0.5〜20質量部の配合量であることが好ましい。 0.5質量部未満であると耐熱性不良となる場合がある。 一方、20質量部を超えると耐熱性不良や接着性不良なる場合がある。 本発明の接着剤組成物には必要に応じ、臭素系、リン系、窒素系、水酸化金属化合物等の難燃剤、レベリング剤、顔料、染料等の添加剤を適宜配合することができる。 本発明において、接着性シートとは、基材と本発明の接着剤組成物、または基材と本発明の接着剤組成物と離型基材から構成されるものである。 接着性シートは接着剤組成物によって基材を被接着材に接着させる機能を有する。 接着性シートの基材は、接着後、被接着材の保護層として機能する。 また接着性シートの基材として離型性基材を使用すると、離型性基材を離型して、さらに別の被接着材に接着剤層を転写することができる。 本発明の接着剤組成物を、常法に従い、各種基材に塗布、乾燥せしむることにより、本発明の接着性シートを得ることができる。 また乾燥せしめた後、接着剤層に離型基材を貼付けると、基材への裏移りを起こすことなくまき取りが可能になり操業性に優れるとともに、接着剤層が保護されることから保存性に優れ、使用も容易である。 また離型基材に塗布、乾燥せしめた後、必要に応じて別の離型基材を貼付すれば、接着剤層そのものを他の基材に転写することも可能になる。 ここで、本発明の組成物を塗布する基材としては、特に限定されるものではないが、フィルム状樹脂、金属板、金属箔、紙類等を挙げることができる。 フィルム状樹脂としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、オレフィン系樹脂等を例示することができる。 金属板および金属箔の素材としては、SUS、銅、アルミ、鉄、亜鉛等の各種金属、及びそれぞれの合金、めっき品等を例示することができる、紙類として上質紙、クラフト紙、ロール紙、グラシン紙等を例示することができる。 また複合素材として、ガラスエポキシ等を例示することができる。 接着剤組成物との接着力、耐久性から、本発明の組成物を塗布する基材としては、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、SUS鋼板、銅箔、アルミ箔、ガラスエポキシが好ましい。 また本発明の組成物を塗布する離型基材としては、特に限定されるものではないが、例えば、上質紙、クラフト紙、ロール紙、グラシン紙などの紙の両面に、クレー、ポリエチレン、ポリプロピレンなどの目止剤の塗布層を設け、さらにその各塗布層の上にシリコーン系、フッ素系、アルキド系の離型剤が塗布されたもの、及び、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−α−オレフィン共重合体、プロピレン−α−オレフィン共重合体等の各種オレフィンフィルム単独、及びポリエチレンテレフタレート等のフィルム上に上記離型剤を塗布したものが挙げられるが、塗布された接着剤層との離型力、シリコーンが電気特性に悪影響を与える等の理由から、上質紙の両面にポリプロピレン目止処理しその上にアルキド系離型剤を用いたもの、ポリエチレンテレフタレート上にアルキド系離型剤を用いたものが好ましい。 なお、本発明において接着剤組成物を基材上にコーティングする方法としては、特に限定されないが、コンマコーター、リバースロールコーター等が挙げられる。 もしくは、必要に応じて、プリント配線板構成材料である圧延銅箔、またはポリイミドフィルムに直接もしくは転写法で接着剤フィルム層を設けることもできる。 乾燥後の接着剤フィルム厚みは、必要に応じて、適宜変更されるが、好ましくは5〜200μmの範囲である。 接着フィルム厚が5μm未満では、接着強度が不十分である。 200μm以上では乾燥が不十分で、残留溶剤が多くなり、プリント配線板製造のプレス時にフクレを生じるという問題点が挙げられる。 乾燥条件は特に限定されないが、乾燥後の残留溶剤率は1%以下が好ましい。 1%以上では、プリント配線板プレス時に残留溶剤が発泡して、フクレを生じるという問題点が挙げられる。 本発明における「プリント配線板」は、導体回路を形成する金属箔と樹脂層とから形成された積層体を構成要素として含むものである。 プリント配線板は、例えば、金属張積層体を用いてサブトラクティブ法などの従来公知の方法により製造される。 必要に応じて、金属箔によって形成された導体回路を部分的、或いは全面的にカバーフィルムやスクリーン印刷インキ等を用いて被覆した、いわゆるフレキシブル回路板(FPC)、フラットケーブル、テープオートメーティッドボンディング(TAB)用の回路板などを総称している。 本発明のプリント配線板は、プリント配線板として採用され得る任意の積層構成とすることができる。 例えば、基材フィルム層、金属箔層、接着剤層、およびカバーフィルム層の4層から構成されるプリント配線板とすることができる。 また例えば、基材フィルム層、接着剤層、金属箔層、接着剤層、およびカバーフィルム層の5層から構成されるプリント配線板とすることができる。 プリント配線板は必要に応じて補強材で補強することがあり、その場合、補強材、接着剤層が基材フィルム層の下に設けられる。 さらに、必要に応じて、上記のプリント配線板を2つもしくは3つ以上積層した構成とすることもできる。 本発明の樹脂組成物はプリント配線板の各接着剤層に好適に使用することが可能である。 特に本発明の樹脂組成物を接着剤として使用すると、プリント配線板を構成する基材に対して高い接着性を有し、かつ鉛フリーハンダにも対応できる高度の耐熱性を有し、さらに高温高湿度下においても高い接着性を維持することが可能である。 特に耐ハンダ性を評価する高温領域において、低い貯蔵弾性率を維持しながら、高い架橋密度を得ることができるので、加湿状態での耐ハンダ性試験における水分の蒸発による衝撃を十分に緩和することが可能であり、金属箔層とカバーフィルム層間の接着剤、および基材フィルム層と補強材層間の接着に適している。 特に、SUS板のように剛直な補強材を使用した場合、加湿状態でのハンダづけの際の基材フィルム層と補強材層間の接着剤層に及ぶ衝撃は強大であり、そのような場合の接着に用いる樹脂組成物として好適である。 本発明のプリント配線板において、基材フィルムとしては、従来からプリント配線板の基材として使用されている任意の樹脂フィルムが使用可能である。 基材フィルムの樹脂としては、ハロゲンを含む樹脂を用いてもよく、ハロゲンを含まない樹脂を用いてもよい。 環境問題の観点から、好ましくは、ハロゲンを含まない樹脂であるが、難燃性の観点からは、ハロゲンを含む樹脂を用いることもできる。 基材フィルムは、好ましくは、ポリイミドフィルムまたはポリアミドイミドフィルムである。 本発明に用いる金属箔としては、回路基板に使用可能な任意の従来公知の導電性材料が使用可能である。 材質としては、例えば、銅箔、アルミニウム箔、スチール箔、及びニッケル箔などを使用することができ、これらを複合した複合金属箔や亜鉛やクロム化合物など他の金属で処理した金属箔についても用いることができる。 好ましくは、銅箔である。 金属箔の厚みについては特に限定はないが、好ましくは1μm以上であり、より好ましくは、3μm以上であり、さらに好ましくは10μm以上である。 また、好ましくは50μm以下であり、より好ましくは30μm以下であり、さらに好ましくは20μm以下である。 厚さが薄すぎる場合には、回路の充分な電気的性能が得られにくい場合があり、一方、厚さが厚すぎる場合には回路作製時の加工能率等が低下する場合がある。 金属箔は、通常、ロール状の形態で提供されている。 本発明のプリント配線板を製造する際に使用される金属箔の形態は特に限定されない。 ロール状の形態の金属箔を用いる場合、その長さは特に限定されない。 また、その幅も特に限定されないが、250〜500mm程度であるのが好ましい。 カバーフィルムとしては、プリント配線板用の絶縁フィルムとして従来公知の任意の絶縁フィルムが使用可能である。 例えば、ポリイミド、ポリエステル、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルエーテルケトン、アラミド、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリイミド、ポリアミドイミドなどの各種ポリマーから製造されるフィルムが使用可能である。 より好ましくは、ポリイミドフィルムまたはポリアミドイミドフィルムであり、さらに好ましくは、ポリイミドフィルムである。 ポリイミドフィルムは、その樹脂成分としてポリイミド樹脂を主成分とする。 樹脂成分のうち、90質量%以上がポリイミドであることが好ましく、95質量%以上がポリイミドであることがより好ましく、98質量%以上がポリイミドであることがさらに好ましく、99質量%以上がポリイミドであることが特に好ましい。 ポリイミド樹脂としては、従来公知の任意の樹脂を使用することができる。 カバーフィルムの素材樹脂としては、ハロゲンを含む樹脂を用いてもよく、ハロゲンを含まない樹脂を用いてもよい。 環境問題の観点から、好ましくは、ハロゲンを含まない樹脂であるが、難燃性の観点からは、ハロゲンを含む樹脂を用いることもできる。 補強材としては、SUS板、アルミニウム板等の金属板、ポリイミドフィルム、ガラス繊維をエポキシ化合物で硬化した板等が使用される。 本発明のプリント配線板は、上述した各層の材料を用いる以外は、従来公知の任意のプロセスを用いて製造することができる。 好ましい実施態様では、カバーフィルム層に接着剤層を積層した半製品(以下、「カバーフィルム側半製品」という)を製造する。 他方、基材フィルム層に金属箔層を積層して所望の回路パターンを形成した半製品(以下、「基材フィルム側2層半製品」という)または基材フィルム層に接着剤層を積層し、その上に金属箔層を積層して所望の回路パターンを形成した半製品(以下、「基材フィルム側3層半製品」という)を製造する(以下、基材フィルム側2層半製品と基材フィルム側3層半製品とを合わせて「基材フィルム側半製品」という)。 このようにして得られたカバーフィルム側半製品と、基材フィルム側半製品とを貼り合わせることにより、4層または5層のプリント配線板を得ることができる。 さらに補強材層に接着剤層を積層した半製品(以下、「補強材側半製品」という)を製造し、必要に応じて、プリント配線板の基材フィルム層に貼り合わせ補強することができる。 また、補強材と基材フィルム間に用いる接着剤を離型基材に塗布し、プリント配線板の基材フィルム裏面に転写し、補強材と貼りあわせることもできる。 基材フィルム側半製品は、例えば、 金属箔層における回路の形成は、従来公知の方法を用いることができる。 アクティブ法を用いてもよく、サブトラクティブ法を用いてもよい。 好ましくは、サブトラクティブ法である。 得られた基材フィルム側半製品は、そのままカバーフィルム側半製品との貼り合わせに使用されてもよく、また、離型フィルムを貼り合わせて保管した後にカバーフィルム側半製品との貼り合わせに使用してもよい。 カバーフィルム側半製品は、例えば、カバーフィルムに接着剤を塗布して製造される。 必要に応じて、塗布された接着剤における架橋反応を行うことができる。 好ましい実施態様においては、接着剤層を半硬化させる。 得られたカバーフィルム側半製品は、そのまま基材側半製品との貼り合わせに使用されてもよく、また、離型フィルムを貼り合わせて保管した後に基材フィルム側半製品との貼り合わせに使用してもよい。 基材フィルム側半製品とカバーフィルム側半製品とは、それぞれ、例えば、ロールの形態で保管された後、貼り合わされて、プリント配線板が製造される。 貼り合わせる方法としては、任意の方法が使用可能であり、例えば、プレスまたはロールなどを用いて貼り合わせることができる。 また、加熱プレス、または加熱ロ−ル装置を使用するなどの方法により加熱を行いながら両者を貼り合わせることもできる。 補強材側半製品は、例えば、ポリイミドフィルムのように柔らかく巻き取り可能な補強材の場合、補強材に接着剤を塗布して製造されることが好適である。 また、例えばSUS、アルミ等の金属板、ガラス繊維をエポキシ化合物で硬化させた板等のように硬く巻き取りできない補強板の場合、予め離型基材に塗布した接着剤を転写塗布することによって製造されることが好適である。 また、必要に応じて、塗布された接着剤における架橋反応を行うことができる。 好ましい実施態様においては、接着剤層を半硬化させる。 得られた補強材側半製品は、そのままプリント配線板裏面との貼り合わせに使用されてもよく、また、離型フィルムを貼り合わせて保管した後に基材フィルム側半製品との貼り合わせに使用してもよい。 基材フィルム側半製品、カバーフィルム側半製品、補強剤側半製品はいずれも、本発明におけるプリント配線板用積層体である。 〈実施例〉 (物性評価方法) (2)数平均分子量Mn (3)ガラス転移温度示差走査熱量計(DSC)を用いて20℃/分の昇温速度で測定した。 (4)酸価試料0.2gを20mlのクロロホルムに溶解し、指示薬フェノールフタレインを用い、0.1Nの水酸化カリウムエタノール溶液で滴定し、算出した(mgKOH/g)。 (特性評価方法) 接着性フィルム(Bステージ品)を、40℃、80%加湿下にて14日間放置後、上記条件にて圧延銅箔とプレス、熱処理して硬化させ、経時評価用のサンプルを得た。 剥離強度:25℃において、引張速度50mm/minで90°剥離試験を行ない、剥離強度を測定した。 この試験は常温での接着強度を示すものである。 実用的性能から考慮すると15N/cm以上が良好である。 ラジカル重合性部位を含むポリエステル樹脂Aの重合例温度計、撹拌機、還流式冷却管および蒸留管を具備した反応容器にテレフタル酸236.6部、イソフタル酸236.6部、フマル酸17.4部、エチレングリコール266.6部、ネオペンチルグリコール240.2部、フェノチアジン0.13部を仕込み、窒素雰囲気、2気圧にて、4時間かけて230℃まで徐々に昇温し、留出する水を系外に除きつつエステル化反応を行った。 続いて、常圧に戻したのち、チタンテトラブトキシド0.11部を加え、5分間撹拌した後、30分かけて10mmHgまで減圧初期重合を行うと共に温度を250℃まで昇温し、更に1mmHg以下で60分間後期重合を行った。 その後、窒素にて常圧に戻し、ポリエステル樹脂Aを得た。 この様にして得られたポリエステルの組成、特性値を表1に示した。 各測定評価項目は先述の方法に従った。 ラジカル重合性部位を含むポリエステル樹脂C、F、G、I、J、L、Nの重合例ポリエステル樹脂Aの重合例と同様にして、表1に示す原料を用いて、ラジカル重合性部位を含むポリエステル樹脂C、F、G、I、J、L、Nを得た。 ただし、1mmgHg以下の後期重合時間は、Gが42分、Hが32分、Lが16分であり、その他のものは60分行った。 これらの樹脂の組成、特性値を表1に示した。 ラジカル重合性部位を含むポリエステル樹脂Bの重合例 温度計、撹拌機、還流式冷却管および蒸留管を具備した反応容器にテレフタル酸80.5部、イソフタル酸24.9部、セバシン酸60.6部、フマル酸5.8部、エチレングリコール74.4部、ネオペンチルグリコール83.2部、フェノチアジン0.1部を仕込み、窒素雰囲気、2気圧にて、4時間かけて230℃まで徐々に昇温し、留出する水を系外に除きつつエステル化反応を行った。 続いて、常圧に戻したのち、チタンテトラブトキシド0.11部を加え、5分間撹拌した後、30分かけて10mmHgまで減圧初期重合を行うと共に温度を250℃まで昇温し、更に1mmHg以下で60分間後期重合を行った。 その後、窒素にて常圧に戻し、80℃まで温度を下げ、2−ブタノン(MEK)430部を加え溶解、3,3',4,4'−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物(BTDA)32.2部を加え、2時間撹拌し酸付加を行い、ポリエステル樹脂B溶液を得た。 なお、MEKは溶液中樹脂分が30%になるように調整している。 さらに、ポリエステル樹脂A溶液を真空条件下(5mmHg以下)にて80℃、3時間加熱し、溶剤を揮発させたものにて、樹脂組成及び特性を評価した。 結果を表1に示した。 なお、各測定評価項目は先述の方法に従った。 ラジカル重合性部位を含むポリエステル樹脂D、Kの重合例 ポリエステル樹脂Bの重合例と同様にして、表1に示す原料を用いて、ラジカル重合性部位を含むポリエステル樹脂ポリエステル樹脂D、Kを得た。 この樹脂の組成、特性値を表1に示した。 ラジカル重合性部位を含むポリエステル樹脂Eの重合例 温度計、撹拌機、還流式冷却管および蒸留管を具備した反応容器にテレフタル酸78.0部、イソフタル酸81.3部、フマル酸2.3部、2−メチル−1,3−プロパンジオール135.0部、フェノチアジン0.1部を仕込み、窒素雰囲気、2気圧にて、4時間かけて230℃まで徐々に昇温し、留出する水を系外に除きつつエステル化反応を行った。 続いて、常圧に戻したのち、チタンテトラブトキシド0.11部を加え、5分間撹拌した後、30分かけて10mmHgまで減圧初期重合を行うと共に温度を250℃まで昇温し、更に1mmHg以下で60分間後期重合を行った。 その後、窒素にて常圧に戻し、220℃まで温度を下げ、無水トリメリット酸3.8部を加え、30分撹拌し酸付加を行い、ポリエステル樹脂Eを得た。 この様にして得られたポリエステルの組成、特性値を表1に示した。 各測定評価項目は先述の方法に従った。 ラジカル重合性部位を含むポリエステル樹脂H、Mの重合例ポリエステル樹脂Eの重合例と同様にして、表1に示す原料を用いて、ラジカル重合性部位を含むポリエステル樹脂ポリエステル樹脂H、Mを得た。 この樹脂の組成、特性値を表1に示した。 ラジカル重合性単量体の重合体で変性された変性ポリエステル樹脂1の重合例 撹拌機、温度計、還流装置と定量滴下装置を備えた反応器にポリエステル樹脂Aの30質量%MEK溶液(ポリエステルA樹脂分75部含有)を調製し、75℃で加熱撹拌した。 一方、ラジカル重合性単量体25部(無水マレイン酸12部、スチレン13部)、重合開始剤として2,2'−アゾビスイソブチロニトリルをラジカル重合性単量体質量総和の6質量%、連鎖移動剤としてオクチルメルカプタンをラジカル重合性単量体質量総和の10質量%、メチルエチルケトン(以下、MEKと略記することがある)60.3部に溶解して、ラジカル重合性単量体の30%MEK溶液を調整した。 ポリエステル樹脂A溶液に、溶液1を1.5時間かけて滴下し、さらに4時間反応させ、ラジカル重合性単量体の重合体による変性ポリエステル樹脂溶液を得た。 この間、溶液は75℃に保った。 得られたラジカル重合性単量体の重合体による変性ポリエステル樹脂組成物の酸価は2454当量/10 6 g、ガラス転移温度は72℃であった。 ラジカル重合性単量体の重合体で変性された変性ポリエステル樹脂2〜16の重合例変性ポリエステル樹脂1の重合例と同様にして、表2に示す原料を用いて、変性ポリエステル樹脂2〜16を得た。 変性ポリエステル樹脂2について例示すると、ポリエステル樹脂Bの30質量%MEK溶液(ポリエステル樹脂B分20部含有)に対して、ラジカル重合性単量体80部(無水マレイン酸38部、スチレン37部、アクリル酸2−エチルヘキシル5部)、重合開始剤2,2'−アゾビスイソブチロニトリル4.8部(ラジカル重合性単量体質量総和の6%)、連鎖移動剤としてオクチルメルカプタン8部(ラジカル重合性単量質量総和の10%)をMEK186.7部に溶解し(溶液2)、溶液2を1.5時間かけて滴下し、さらに4時間反応させ、ラジカル重合性単量体の重合体による変性ポリエステル樹脂溶液2を得た。 ポリウレタン樹脂に使用したポリエステルポリオールO、P、R、S、Tの重合例ポリエステル樹脂Eの重合例と同様にして、表3に示す原料を用いて、ポリウレタン樹脂に使用したポリエステルポリオールO、P、R、S、Tを得た。 この樹脂の組成、特性値を表3に示した。 ポリウレタン樹脂に使用したポリエステルポリオールQの重合例ポリエステル樹脂Aの重合例と同様にして、表3に示す原料を用いて、ラジカル重合性部位を含むポリエステル樹脂Qを得た。 この樹脂の組成、特性値を表3に示した。 ポリウレタン樹脂Iの重合例 温度計、撹拌機、還流式冷却管および蒸留管を具備した反応容器に表3に記載したポリエステルポリオール(O)100部、トルエン70部を仕込み溶解後、トルエン20部を蒸留させ、トルエン/水の共沸により反応系を脱水した。 60℃まで冷却後、2,2−ジメチロールブタン酸(DMBA)を9部、メチルエチルケトン50部を加えた。 DMBAが溶解後、ヘキサメチレンジイソシアネートを8部さらに反応触媒としてジブチルチンジラウレートを0.4部加え、80℃で3時間反応させてから、メチルエチルケトンとトルエンの同質量混合溶液を投入して固形分濃度を30質量%に調整し、ポリウレタン樹脂(I)の溶液を得た。 ポリウレタン樹脂の特性を表4に示す。 ポリウレタン樹脂(I)の溶液を120℃で1時間乾燥することにより溶剤を除いたフィルムを用いて、クロロホルム中で水酸化カリウムのエタノール溶液により酸価を求めた。 表4中、数平均分子量はテトラハイドロフランを溶媒としてゲル浸透クロマトグラフィーにより、ガラス転移温度は昇温速度20℃/分の条件で示差走査熱量計により測定した。 ポリウレタン樹脂II〜XIの重合例 ポリウレタン樹脂Iの重合例と同様にして、表4に示す原料を用いて、ポリウレタン樹脂II〜XIを得た。 特性値を表4に示した。 〈実施例1〉 〈実施例2〜6〉 〈比較例1〜14〉 比較例1は、変性ポリエステル樹脂(7)のガラス転移温度、Tg(c)−Tg(d)、AV(c)−AV(d)が本発明の範囲外である。 また、無水マレイン酸のラジカル重合性単量体に占める割合も65質量%となっており、本発明の範囲から外れている。 ポリエステル樹脂の優れた接着性が損なわれ、かつTg(c)−Tg(d)も大きいことから、室温の剥離強度も低く、高温高湿度下での接着性の指標となるクリープ特性、ハンダリフロー領域(260℃)の高度耐熱性の指標となる耐ハンダ性も不良である。 さらに、AV(c)−AV(d)も大きいために、Bステージでの反応速度が速く、経時後の性能はさらに低下している。 比較例2は、変性ポリエステル樹脂(8)の酸価が小さく、かつガラス転移温度の高いポリウレタン樹脂(III)と配合しているため、Tg(c)−Tg(d)、AV(c)−AV(d)ともに本発明の範囲外である。 これは、変性ポリエステル(8)のラジカル重合性部位を含むポリエステル樹脂成分(a)を構成するモノマーと前記ラジカル重合性単量体の重合体成分(b)を構成するモノマーの質量比が99.5/0.5と、ポリエステル樹脂成分が大きいため、変性ポリエステル樹脂の酸価が小さくなっているためである。 塗膜中の濃度の大きいポリウレタン樹脂のガラス転移温度が高い(52℃)ため、60℃での評価であるクリープ特性は良好ではあるが、変性ポリエステル樹脂の架橋密度上昇によるハンダリフロー領域の耐熱性改善効果が小さく、耐ハンダ性の性能は不十分である。 また、Tg(c)−Tg(d)が小さく、変性ポリエステル樹脂(8)のBステージの反応も早く、経時後の特性は大幅に低下している。 比較例3は、変性ポリエステル樹脂(7)のガラス転移温度が129℃と高く、無水マレイン酸のラジカル重合性単量体に占める割合も65質量%となっており、本発明の範囲から外れている。 またポリウレタン樹脂(VII)酸価は90当量/10 6 gと小さく、Tg(c)−Tg(d)、AV(c)−AV(d)ともに本発明の範囲外である。 これは、変性ポリエステル(8)のラジカル重合性部位を含むポリエステル樹脂成分(a)を構成するモノマーと前記ラジカル重合性単量体の重合体成分(b)を構成するモノマーの質量比が99.5/0.5と、本発明から外れていること、及びポリウレタン樹脂(VII)が鎖延長剤としてDMBAを使用せず酸価90当量/10 6 gと、本発明からはずれていることによる。 塗膜中の30%の質量にあたるポリウレタン樹脂の硬化性が低いことから、接着剤としての耐熱性は低く、耐ハンダ性は極端に不良。 また、Tg(c)−Tg(d)が大きいことから、剥離強度も不良、AV(c)−AV(d)が大きいことから、経時による性能不良も顕著である。 比較例4は、ポリウレタン樹脂(VIII)よりガラス転移温度の低い変性ポリエステル樹脂(10)を配合しており、Tg(c)−Tg(d)が−13℃で、本発明の範囲外である。 またポリウレタン樹脂(VIII)は、酸価が1150当量/10 6 gで本発明の範囲外である。 Tg(c)−Tg(d)が本発明の範囲外であるため、バランスの取れた幅広い熱特性が不足しており、また(a)、(b)、(c)からなる成分の質量をWc、ポリウレタン樹脂(d)の質量をWdとした場合の、Wc/Wdが90/10で、ポリウレタン樹脂の濃度が低いため、剥離強度が低くなっている。 さらに、ポリウレタンの樹脂の酸価が高く、架橋密度が上がるため、ハンダリフロー領域の耐ハンダ性試験の塗膜に発生する応力緩和能力が下がっているのに加え、変性ポリエステル(10)に使用しているポリエステル樹脂Hは不飽和基を全くもたず、変性ポリエステルHはグラフトされていないため、耐熱性をサポートする効果がなく、耐ハンダ性は全くでない。 グラフトされないラジカル重合性単量体の重合体(ホモポリマー)は極めて反応が早いため、経時による接着性低下も大きい。 比較例5は、ポリウレタン樹脂(IV)よりガラス転移温度の低い変性ポリエステル樹脂(11)を配合しており、Tg(c)−Tg(d)が−14℃で、本発明の範囲外である。 また、ラジカル重合性単量体として無水マレイン酸を使用しておらず、本発明の範囲外である。 Tg(c)−Tg(d)が本発明の範囲外であるため、バランスの取れた幅広い熱特性が不足しており、特に高温での接着性(耐ハンダ性、クリープ特性)が不良になっている。 さらに、変性ポリエステル(11)に使用しているラジカル重合性部位を含むポリエステル樹脂(I)は、ラジカル重合性部位を含む酸成分(イタコン酸)が22モル%と高いため、グラフト工程中にゲル状物が発生しており、100メッシュのナイロン濾布で濾過し、取り除いて試料の作製を行ったが、微細なゲル状物が、試料の全面に点在していることを、光学顕微鏡で確認した。 実際の接着特性評価では、ゲル状物の存在部分から剥離が生じており、全体に性能を大きく引き下げている。 比較例6は、変性ポリエステル樹脂(14)のガラス転移温度が−5℃と低く、かつ配合しているポリウレタン樹脂(IX)のガラス転移温度の方が高いため、Tg(c)−Tg(d)が−14℃となり、本発明の範囲外である。 Tg(c)−Tg(d)が本発明の範囲外であるため、バランスの取れた幅広い熱特性が不足しており、特に高温での接着性(耐ハンダ性、クリープ特性)が不良になっている。 さらに、ポリウレタン樹脂(IX)の数平均分子量が4,500、また、変性ポリエステル(14)の数平均分子量も4,500と小さく、樹脂の凝集力が小さいため、室温の剥離強度も小さなものになっている。 比較例7は、ポリウレタン樹脂(X)は、ガラス転移温度が83℃と高く、かつポリウレタン樹脂よりガラス転移温度の低い変性ポリエステル樹脂(12)を配合しており、Tg(c)−Tg(d)が−23℃となり、本発明の範囲外である。 Tg(c)−Tg(d)が本発明の範囲外であるため、バランスの取れた幅広い熱特性が不足しており、特にポリウレタン樹脂(X)のガラス転移温度が低いため、室温での剥離強度が不足している。 逆に、高温での接着性(耐ハンダ性、クリープ特性)は、初期、経時後ともに良好である。 また、変性ポリエステル(12)に使用しているラジカル重合性部位を含むポリエステル樹脂(J)の数平均分子量が4,000と低く、変性ポリエステル(12)そのものの数平均分子量も4,500と低いため、さらに室温での接着性を下げていると推測される。 比較例8は、Tg(c)−Tg(d)が55℃で、本発明の範囲外である。 またポリウレタン樹脂(XI)はガラス転移温度が−19℃と低く、本発明の範囲外である。 Tg(c)−Tg(d)が本発明の範囲外であるため、バランスの取れた幅広い熱特性が不足しており、特にポリウレタン樹脂のガラス転移温度が低いため、常温の剥離強度は良好であるが、高温での接着性(耐ハンダ性、クリープ特性)が不良である。 また、変性ポリエステル樹脂(9)に使用しているラジカル重合性部位を含むポリエステル樹脂(G)は樹脂を構成する全酸成分の合計モル量を100%とした時の、芳香族酸性分(テレフタル酸)が20%と低く、さらに、変性ポリエステル樹脂の質量をWc、ポリウレタン樹脂の質量をWdとした場合のWc/Wdが0.5/99.5と変性ポリエステルの含量が低くなっている。 変性ポリエステルの濃度が低く、かつ芳香族成分が少なく凝集力が少ないことから、耐熱性をカバーする機能が低下するのも、高温接着性が不良の原因と推測される。 比較例9は、ポリウレタン樹脂(III)よりガラス転移温度の低い変性ポリエステル樹脂(13)を配合しており、Tg(c)−Tg(d)が−21℃で、本発明の範囲外である。 さらに変性ポリエステル(13)は、無水マレイン酸のラジカル重合性単量体に占める割合も8質量%と低く、本発明の範囲から外れている。 使用しているラジカル重合性部位を含むポリエステル樹脂(K)の数平均分子量が53,000と大きく、本発明の範囲外である。 さらに、Tg(c)−Tg(d)が本発明の範囲外であり、かつ無水マレイン酸のラジカル重合性単量体に占める割合もが8質量%と低く、塗膜に不均一化が進みにくいため、バランスの取れた幅広い熱特性が不足している。 さらに、ラジカル重合性部位を含むポリエステル樹脂(K)は分岐成分が多く分子量が上がっているため、変性ポリエステル樹脂(13)には、ゲル状物が存在しており、100メッシュのナイロン濾布で濾過し、取り除いて試料の作製を行ったが、微細なゲル状物が、試料の全面に点在していることを、光学顕微鏡で確認した。 実際の接着特性評価では、ゲル状物の存在部分から剥離が生じており、全体に性能を大きく引き下げている。 比較例10は、変性ポリエステル樹脂(14)のガラス転移温度が−5℃と低く、さらにそれよりもガラス転移温度の高いポリウレタン樹脂(II)を配合しているため、Tg(c)−Tg(d)が−44℃、本発明の範囲外である。 さらにTg(c)−Tg(d)が本発明の範囲外であるため、バランスの取れた幅広い熱特性が不足しており、特に高温での接着性(耐ハンダ性)が不良になっている。 また、変性ポリエステルのガラス転移温度が低いため、Bステージ状態の経時の反応性が大きく、経時後の接着特性が大幅に低下している。 さらに、変性ポリエステル(14)は、使用しているラジカル重合性部位を含むポリエステル樹脂(L)の数平均分子量が2500と低く、樹脂の凝集力が小さく、室温の剥離強度も小さなものになっている。 比較例11は、ポリウレタン樹脂(II)よりガラス転移温度の低い変性ポリエステル樹脂(15)を配合しており、Tg(c)−Tg(d)が−26℃で、本発明の範囲外である。 さらに、エポキシ化合物に、ジシクロペンタジエン骨格を持っているものを含んでおらず、本発明の範囲外である。 Tg(c)−Tg(d)が本発明の範囲外であること、無水マレイン酸を含んでいないため塗膜の不均一化が進みにくいことから、バランスの取れた幅広い熱特性が不足しており、ジシクロペンタジエン骨格を持つエポキシ化合物を含まないことと相俟って、特に高温での接着性(耐ハンダ性)が不良になっている。 比較例12は、変性ポリエステル樹脂(16)のガラス転移温度が84℃と高く、ポリウレタン樹脂(XI)のガラス転移温度が−19℃と低く、Tg(c)−Tg(d)が103℃と高くて、本発明の範囲外である。 さらに、エポキシ化合物に、ジシクロペンタジエン骨格を持っているものを含んでおらず、本発明の範囲外である。 Tg(c)−Tg(d)が本発明の範囲外であるため、バランスの取れた幅広い熱特性が不足している。 ジシクロペンタジエン骨格を持つエポキシ化合物を含まないことと相俟って、特に高温での接着性(耐ハンダ性、クリープ特性)が不良になっている。 変性ポリエステル樹脂のガラス転移温度が高いため、常温での剥離強度も不良になっている。 比較例13は、変性ポリエステル樹脂を含まず、本発明の範囲外である。 ハンダリフロー領域での耐熱性がなく、耐ハンダ性が不良。 さらにHDD用途で使用される温度領域でも接着性能を維持できず、クリープ特性不良である。 比較例14は、ポリウレタン樹脂を含まず、本発明の範囲外である。 初期性能は良好であるが、Bステージの安定性がなく、経時での性能はすべて不良である。 |