Aqueous binder for granular and / or fibrous substrates

申请号 JP2014503097 申请日 2012-04-02 公开(公告)号 JP2014512433A 公开(公告)日 2014-05-22
申请人 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアBasf Se; 发明人 クリューガー クリスティアン; シュッツェ ウルリヒ; ラービッシュ オリヴァー;
摘要 粒状及び/又は繊維状基材のための結合剤。
权利要求
  • 本質的な結合剤成分として a)重合導入した形で、次のものから合成される少なくとも1のポリマーP、
    少なくとも1の酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び/又は少なくとも1のα,β−モノエチレン性不飽和C 3 〜C 6 −モノカルボン酸アミドまたはジカルボン酸アミド(モノマーA)、0.1質量%以上15質量%以下、
    少なくとも1のエチレン性不飽和カルボン酸ニトリルまたはジニトリル(モノマーB)、8.0質量%以上30質量%以下、
    少なくとも2の非共役エチレン性不飽和基を有する、少なくとも1の架橋性に作用するモノマー(モノマーC)、0質量%以上5.0質量%以下、
    少なくとも1のモノエチレン性不飽和シラン基含有化合物(モノマーD)、0質量%以上10質量%以下、
    ホモポリマーが30℃以下のガラス転移温度を有し、モノマーA〜Dとは異なる少なくとも1のエチレン性不飽和モノマー(モノマーE)、20質量%以上70質量%以下、及び ホモポリマーが50℃以上のガラス転移温度を有し、モノマーA〜Dとは異なる少なくとも1のエチレン性不飽和モノマー(モノマーF)、25質量%以上71.9質量%以下(モノマーA〜Fの量は、100質量%に合計される)、及び b)少なくとも1のサッカリド化合物S、前記化合物の量は、ポリマーP100質量部あたり10質量部以上400質量部以下であるように決定される、
    を含み、更なるホルムアルデヒド含有結合剤成分の全量は、ポリマーP及びサッカリド化合物Sの全量の合計100質量部あたり50質量部以下である、
    水性の結合剤組成物。
  • 少なくとも1のモノマーEが、共役脂肪族C 4 〜C 9 −ジエン化合物、ビニルアルコールとC 1 〜C 10 −モノカルボン酸からのエステル、C 1 〜C 10 −アルキルアクリラート、C 5 〜C 10 −アルキルメタクリラート、C 5 〜C 10 −シクロアルキルアクリラート及び−メタクリラート、C 1 〜C 10 −ジアルキルマレイナート及び/又はC 1 〜C 10 −ジアルキルフマラートを含む群から選択されており、そして、少なくとも1のモノマーFが、ビニル芳香族モノマー及び/又はC 1 〜C 4 −アルキルメタクリラートを含む群から選択されている請求項1記載の水性の結合剤組成物。
  • ポリマーPが、ポリマー水性分散液の形で使用される請求項1または2記載の水性の結合剤組成物。
  • ポリマー水性分散液のポリマー粒子が、50nm以上400nm以下の数平均粒径を有する請求項3記載の水性の結合剤組成物。
  • ポリマーPが、
    少なくとも1のモノマーA、0.5質量%以上10質量%以下少なくとも1のモノマーB、10質量%以上25質量%以下少なくとも1のモノマーC、0質量%以上1.5質量%以下少なくとも1のモノマーD、0質量%以上5.0質量%以下少なくとも1のモノマーE、25質量%以上65質量%以下、及び少なくとも1のモノマーF、25質量%以上64.5質量以下から合成されている、請求項1から4のいずれか1項記載の水性の結合剤組成物。
  • ポリマーPが、
    アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド及び/又はN−メチロールメタクリルアミド、3.0質量%以上8.5質量%以下、
    アクリルニトリル及び/又はメタクリルニトリル、10質量%以上20質量%以下、
    1,4−ブチレングリコールジアクリラート、アリルメタクリラート及び/又はジビニルベンゼン、0質量%以上1.5質量%以下、
    2−エチルヘキシルアクリラート、n−ブチルアクリラート、1,4−ブタジエン及び/又はエチルアクリラート、30質量%以上60質量%以下、及び メチルメタクリラート、スチレン及び/又はtert−ブチルメタクリラート、25質量%以上57質量%以下 から合成されている、請求項1から5のいずれか1項記載の水性の結合剤組成物。
  • モノマーA、B、D、E及びFの種類及び量は、それらから製造されるポリマーが15℃以上45℃以下のガラス転移温度を有するように選択される請求項1から6のいずれか1項記載の水性の結合剤組成物。
  • 少なくとも1のサッカリド化合物Sとして、デンプン、セルロース、グアラン、キサンタン、アルギナート、ペクチン、キトサン、アラビアゴム及び/又はゲランを使用する請求項1から7のいずれか1項記載の水性の結合剤組成物。
  • サッカリド化合物Sとして、デンプン、デンプン誘導体及び/又はその置換生成物を使用する請求項1から8のいずれか1項記載の水性の結合剤組成物。
  • サッカリド化合物Sが、50000g/mol以上1000000g/mol以下の質量平均分子量を有する請求項1から9のいずれか1項記載の水性の結合剤組成物。
  • 100質量部のポリマーPあたり40質量部以上250質量部以下のサッカリド化合物Sを使用する請求項1から10のいずれか1項記載の水性の結合剤組成物。
  • ポリマーP及びサッカリド化合物Sの全量の合計100質量部あたり10質量部以下の更なるホルムアルデヒド含有結合剤成分を含む請求項1から11のいずれか1項記載の水性の結合剤組成物。
  • 粒状及び/又は繊維状基材のための結合剤としての請求項1から12のいずれか1項記載の水性の結合剤組成物の使用。
  • 請求項1から12のいずれか1項記載の水性の結合剤組成物を、粒状及び/又は繊維状基材上に設け、場合によって、そのように処理した粒状及び/又は繊維状基材を成形し、そして引き続き、そのようにして得られる粒状及び/又は繊維状基材を、110℃以上の温度で熱処理工程に供することを特徴とする粒状及び/又は繊維状基材からの成形体の製造方法。
  • 水性の結合剤組成物の量を、粒状及び/又は繊維状基材100gあたり1g以上100g以下の結合剤(ポリマーP及びポリサッカリド化合物Sの全量の合計に相応)を設けるように選択することを特徴とする請求項14記載の成形体の製造方法。
  • 請求項14または15記載の方法によって得られる成形体。
  • ビチューメン化した屋根シートの製造のための請求項16記載の成形体の使用。
  • 請求項16記載の成形体を使用して製造したビチューメン化屋根シート。
  • 说明书全文

    発明の詳細な説明 本発明の主題は、本質的な結合剤成分として a)重合導入した形で、次のものから合成される少なくとも1のポリマーP、
    少なくとも1の酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び/又は少なくとも1のα,β−モノエチレン性不飽和C 3 〜C 6 −モノカルボン酸アミドまたはジカルボン酸アミド(モノマーA)、≧0.1〜≦15質量%、
    少なくとも1のエチレン性不飽和カルボン酸ニトリルまたはジニトリル(モノマーB)、≧8.0〜≦30質量%、
    少なくとも2の非共役エチレン性不飽和基を有する、少なくとも1の架橋性に作用するモノマー(モノマーC)、≧0〜≦5.0質量%、
    少なくとも1のモノエチレン性不飽和シラン基含有化合物(モノマーD)、≧0〜≦10質量%、
    ホモポリマーがガラス転移温度≦30℃を有し、モノマーA〜Dとは異なる少なくとも1のエチレン性不飽和モノマー(モノマーE)、≧20〜≦70質量%、及び ホモポリマーがガラス転移温度≧50℃を有し、モノマーA〜Dとは異なる少なくとも1のエチレン性不飽和モノマー(モノマーF)、≧25〜≦71.9質量%
    (モノマーA〜Fの量は、100質量%に合計される)、及び b)少なくとも1のサッカリド化合物S、前記化合物の量は、ポリマーP100質量部あたり≧10〜≦400質量部であるように決定される、
    を含み、更なるホルムアルデヒド含有結合剤成分の全量は、ポリマーP及びサッカリド化合物Sの全量の合計100質量部あたり≦50質量部である、
    性の結合剤組成物に関する。

    さらに、本発明は、前述の水性の結合剤組成物の粒状及び/又は繊維状基材のための結合剤としての使用、水性の結合剤組成物を使用した成形体の製造方法、並びに、そうして製造した成形体、特に結合した繊維フリースであってビチューメン化した屋根シート(Dachbahn)の製造に使用されるもの、に関する。

    ポリサッカリド含有水性結合剤組成物では、以下先行技術を前提としている。

    EP−A 649 870では、ガス遮断作用を有するポリマーフィルムの製造のための、95:5〜20:80の質量比にあるポリカルボン酸及びサッカリド化合物からの混合物が開示されている。

    EP−A 911 361は、質量平均分子量少なくとも1000g/molを有するポリカルボキシポリマー及び質量平均分子量少なくとも10000g/molを有するポリサッカリドを含み、その量は、カルボキシル基対ヒドロキシル基の当量比が3:1〜1:20であるように決定される、粒状及び/又は繊維状基材のための水性結合剤システムを開示する。

    さらに、EP−A 1 578 879は、ポリカルボキシポリマー、少なくとも2個のヒドロキシル基を有するポリアルコール並びにいわゆる水溶性増量剤を含む、ガラス繊維の被覆のための水性結合剤組成物を開示し、ここで水溶性増量剤として特に平均分子量10000g/mol未満を有するポリサッカリドが提案される。

    WO 2008/150647は、尿素/ホルムアルデヒド樹脂及びコポリマー水性分散液を含む繊維マットの製造のための水性結合剤システムを開示し、そのコポリマーは実質的にスチレン、アルキルアクリラートまたは−メタクリラート、アクリルニトリル及び場合によって置換したアクリルアミドから合成されている。 任意に、前記水性コポリマー分散液はさらにデンプンを含んでよい。

    US−A 2009/170978もまた、繊維フリースのための、水性コポリマー分散液を含む水性結合剤システムを開示し、そのコポリマーは5〜40質量%の少なくとも1のカルボン酸基含有モノマーを重合導入した形で含み、かつ、天然結合剤成分は、ポリサッカリド、植物タンパク質、リグニン及び/又はリグニンスルホナートを含む群から選択されている。

    先行技術の結合剤システムの欠点は、粒状及び/又は繊維状基材からの成形体の製造の際に、特にその機械的特性に関して必ずしも常に完全に満足させることができないことである。

    したがって、本発明の課題は、先行技術の水性結合剤組成物の欠点を克服し、かつ、それによって、室温で改善された横方向引裂及び/又は高められた温度で改善された耐熱性を有する成形体を入手可能に出来る水性結合剤組成物を提供することであった。

    この課題は、冒頭部で挙げた水性結合剤組成物によって解決された。

    水性結合剤組成物の本質的な成分は、重合導入した形で、
    少なくとも1の酸基含有エチレン性不飽和モノマー及び/又は少なくとも1のα,β−モノエチレン性不飽和C 3 〜C 6 −モノカルボン酸アミドまたはジカルボン酸アミド(モノマーA)、≧0.1〜≦15質量%、
    少なくとも1のエチレン性不飽和カルボン酸ニトリルまたはジニトリル(モノマーB)(モノマーB)、≧8.0〜≦30質量%、
    少なくとも2の非共役エチレン性不飽和基を有する、少なくとも1の架橋性に作用するモノマー(モノマーC)、≧0〜≦5.0質量%、
    少なくとも1のモノエチレン性不飽和シラン基含有化合物(モノマーD)、≧0〜≦10質量%、
    ホモポリマーがガラス転移温度≦30℃を有し、モノマーA〜Dとは異なる少なくとも1のエチレン性不飽和モノマー(モノマーE)、≧20〜≦70質量%、及び ホモポリマー−がガラス転移温度≧50℃を有し、モノマーA〜Dとは異なる少なくとも1のエチレン性不飽和モノマー(モノマーF)、≧25〜≦71.9質量%
    から合成されているポリマーPである。

    モノマーAとして、全てのエチレン性不飽和化合物が考慮され、これは少なくとも1の酸基(プロトンドナー)、例えばスルホン酸基、ホスホン酸基又はカルボン酸基を有し、例えばビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸、2−アクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ビニルホスホン酸、アリルホスホン酸、スチレンホスホン酸及び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンホスホン酸である。 しかし好ましくは、前記モノマーAは、α,β−モノエチレン性不飽和の、特にC 3 〜C 6 −、好ましくはC 3またはC 4 −モノ−又はジカルボン酸、例えばアクリル酸、メタクリル酸、エチルアクリル酸、イタコン酸、アリル酢酸、クロトン酸、ビニル酢酸、フマル酸、マレイン酸、2−メチルマレイン酸である。 しかし、モノマーAは、相応するα,β−モノエチレン性不飽和ジカルボン酸の無水物、例えば無水マレイン酸または無水2−メチルマレイン酸無水物を含む。 好ましくは、酸基含有モノマーAは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、2−メチルマレイン酸及びイタコン酸を含む群から選択されており、ここでアクリル酸、メタクリル酸及び/又はイタコン酸は特に好ましい。 無論、モノマーAは、完全に又は部分的に中和した水溶性塩、特に前述の酸のアルカリ金属塩又はアンモニウム塩をも含む。

    さらに、モノマーAとして、全てのα,β−モノエチレン性不飽和C 3 〜C 6 −モノ−又はジカルボン酸アミドが考慮される。 同様に、モノマーAには、カルボン酸アミド基がアルキル基又はメチロール基で置換されている前述の化合物が属する。 そのようなモノマーAの例は、α,β−モノエチレン性不飽和C 3 〜C 6 −、好ましくはC 3またはC 4 −モノ−又はジカルボン酸のアミド又はジアミド、例えばアクリルアミド、メタクリルアミド、エチルアクリル酸アミド、イタコン酸モノアミド又はジアミド、アリル酢酸アミド、クロトン酸モノアミド又は−ジアミド、ビニル酢酸アミド、フマル酸モノアミド又は−ジアミド、マレイン酸モノアミド又は−ジアミド、並びに、2−メチルマレイン酸モノアミド又は−ジアミドである。 そのカルボン酸アミド基がアルキル基又はメチロール基で置換されているα,β−モノエチレン性不飽和C 3 〜C 6 −モノカルボン酸アミド又はジカルボン酸アミドの例は、N−アルキルアクリルアミド−及びメタクリルアミド、例えばN−tert−ブチルアクリルアミド及び−メタクリルアミド、Nーメチルアクリルアミド及び−メタクリルアミド並びにN−メチロールアクリルアミド及びN−メチロールメタクリルアミドである。 好ましいアミド性モノマーAは、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド及び/又はN−メチロールメタクリルアミドであり、ここでメチロールアクリルアミド及び/又はN−メチロールメタクリルアミドは特に好ましい。

    モノマーAとして、特に好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、フマル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、2−メチルマレイン酸、イタコン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド及び/又はN−メチロールメタクリルアミドであり、ここでアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、メチロールアクリルアミド及び/又はN−メチロールメタクリルアミドは特に好ましい。

    ポリマーP中の重合導入したモノマーAの量は、≧0.1〜≦15質量%、好ましくは≧0.5〜≦10質量%、特に好ましくは≧3.0〜≦8.5質量%である。

    モノマーBとして、少なくとも1のニトリル基を有する全てのエチレン性不飽和化合物が考慮される。 しかし好ましくは、モノマーBは、前述のα,β−モノエチレン性不飽和の、特にC 3 〜C 6 −、好ましくはC 3またはC 4 −モノ−又はジカルボン酸から誘導されたニトリル、例えばアクリルニトリル、メタクリルニトリル、マレイン酸ジニトリル及び/又はフマル酸ジニトリルであり、ここでアクリルニトリル及び/又はメタクリルニトリルは特に好ましい。

    ポリマーP中の重合導入したモノマーBの量は、≧8.0〜≦30質量%、好ましくは≧10〜≦25質量%、特に好ましくは≧10〜≦20質量%である。

    モノマーCとして、少なくとも2つの非共役エチレン性不飽和基を有する全ての化合物が考慮される。 そのための例は、2つのビニル基を有するモノマー、2つのビニリデン基を有するモノマー、並びに、2つのアルケニル基を有するモノマーである。 特に好ましくは、この場合に、二価アルコールとα,β−モノエチレン性不飽和モノカルボン酸とのジエステルであり、そのうちアクリル酸及びメタクリル酸が好ましい。 そのような2つの非共役エチレン性不飽和二重結合を有するモノマーの例は、アルキレングリコールジアクリラート及び−ジメタクリラート、例えばエチレングリコールジアクリラート、1,2−プロピレングリコールジアクリラート、1,3−プロピレングリコールジアクリラート、1,3−ブチレングリコールジアクリラート、1,4−ブチレングリコールジアクリラート及びエチレングリコールジメタクリラート、1,2−プロピレングリコールジメタクリラート、1,3−プロピレングリコールジメタクリラート、1,3−ブチレングリコールジメタクリラート、1,4−ブチレングリコールジメタクリラート、三価アルコールとα,β−モノエチレン性不飽和モノカルボン酸とのトリエステル、例えばグリセリントリアクリラート、グリセリントリメタクリラート、トリメチロールプロパントリアクリラート、トリメチロールプロパントリメタクリラート、並びに、ジビニルベンゼン、ビニルメタクリラート、ビニルアクリラート、アリルメタクリラート、アリルアクリラート、ジアリルマレアート、ジアリルフマラート、メチレンビスアクリルアミド、シクロペンタジエニルアクリラート、トリアリルシアヌラート又はトリアリルイソシアヌラートである。 特に好ましくは、1,4−ブチレングリコールジアクリラート、アリルメタクリラート及び/又はジビニルベンゼンである。

    ポリマーP中に重合導入されるモノマーCの量は、≧0〜≦5.0質量%、好ましくは≧0〜≦3.0質量%、特に好ましくは≧0〜≦1.5質量%である。

    モノマーDとして、全てのモノエチレン性不飽和シラン基含有化合物が考慮される。 特に好ましくは、モノマーDは加水分解可能なシラン基を有する。 好ましくは加水分解可能なシラン基は少なくとも1のアルコキシ基又はハロゲン原子、例えば塩素を含む。 本発明により好ましく使用可能なモノマーDは、WO 2008/150647、9頁、5〜25行に開示されている。 その明示的な引用によって、これらモノマーDは本願明細書の構成要素とみなされるものである。 特に好ましくは3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン及び/又はビニルエトキシジメトキシシランが使用される。 この場合に、無機の粒状及び/又は繊維状基材、例えば特にガラス繊維又は鉱物繊維、例えばアスベスト又は岩綿が結合されることが望ましい場合に、モノマーDは常に好ましく使用される。

    ポリマーP中で任意に重合導入されるモノマーDの量は、好ましい実施態様において、≧0〜≦10質量%、好ましくは≧0〜≦5.0質量%、特に好ましくは0質量%である。 他の好ましい実施態様において、特に、無機の粒状及び/又は繊維状基材が結合されることが望ましい場合には、ポリマーP中で重合導入されるモノマーDの量は、≧0.1〜≦10質量%、好ましくは≧0.1〜≦5.0質量%、特に好ましくは≧0.5〜≦2.5質量%である。

    モノマーEとして、そのホモポリマーがガラス転移温度≦30℃を有し、かつ、モノマーA〜Dとは異なる、全てのエチレン性不飽和モノマーが考慮される。 適したモノマーEは、例えば、共役脂肪族C 4 〜C 9 −ジエン化合物、ビニルアルコールとC 1 〜C 10 −モノカルボン酸のエステル、C 1 〜C 10 −アルキルアクリラート、C 5 〜C 10 −アルキルメタクリラート、C 5 〜C 10 −シクロアルキルアクリラート及び−メタクリラート、C 1 〜C 10 −ジアルキルマレイナート及び/又はC 1 〜C 10 −ジアルキルフマラート、C 3 〜C 10 −アルカノールのビニルエーテル、分枝状及び非分枝状C 3 〜C 10 −オレフィンである。 好ましくは、そのホモポリマーがTg値<0℃を有するモノマーEが使用される。 特に好ましくはモノマーEとして、酢酸ビニル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−プロピル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸sec−ブチル、アクリル酸n−ヘキシル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸n−ヘキシル、2−へチルヘキシルメタクリラート、ジ−n−ブチルマレイナート、ジ−n−ブチルフマラートが使用され、ここで2−エチルヘキシルアクリラート、n−ブチルアクリラート、1,4−ブタジエン及び/又はエチルアクリラートは特に好ましい。

    ポリマーP中に重合導入されるモノマーEの量は、≧20〜≦70質量%、好ましくは≧25〜≦65質量%、特に好ましくは≧30〜≦60質量%である。

    モノマーFとして、そのホモポリマーがガラス転移温度≧50℃を有し、モノマーA〜Dとは異なる全てのエチレン性不飽和モノマーが考慮される。 適したモノマーFは、例えばビニル芳香族モノマー及びC 1 〜C 4 −アルキルメタクリラートである。 ビニル芳香族モノマーとは、特にスチレン又はα−メチルスチレンの誘導体が理解され、その中でフェニル核は場合によって1、2又は3個のC 1 〜C 4 −アルキル基、ハロゲン、特に臭素又は塩素及び/又はメトキシ基で置換されている。 好ましくはそのホモポリマーが、ガラス転移温度≧80℃を有するモノマーである。 特に好ましいモノマーは、スチレン、α−メチルスチレン、o−又はp−ビニルトルエン、p−アセトキシスチレン、p−ブロモスチレン、p−tert−ブチルスチレン、o−、m−又はp−クロロスチレン、メチルメタクリラート、tert−ブチルアクリラート、tert−ブチルメタクリラート、エチルメタクリラート、イソブチルメタクリラート、n−ヘキシルアクリラート、シクロヘキシルメタクリラート、例えばtert−ブチルビニルエーテル又はシクロヘキシルビニルエーテルであり、しかしここでメチルメタクリラート、スチレン及び/又はtert−ブチルメタクリラートは特に好ましい。

    ポリマーP中に重合導入されるモノマーFの量は、≧25〜≦71.9質量%、好ましくは≧25〜≦64.5質量%、特に好ましくは≧25〜≦57質量%である。

    ガラス転移温度T gとは、ガラス転移温度の限界値を意味し、これはG. Kanig (Kolloid−Zeitschrift & Zeitschrift fuer Polymere,190巻,1頁、式1)によれば、分子量の増加とともに増加する。 T gは、DSC法により算出される(Differential Scanning Calorimetry,20K/min,中点測定(midpoint−Messung),DIN 53765)。 大抵のモノマーのホモポリマーのTg値は、知られており、例えばUllmann's Ecyclopedia of Industrial Chemistry, VCH Weinheim,1992,第5巻,Vol. A21,169頁に詳説され、ホモポリマーのガラス転移温度の更なる出典は、例えばJ. Brand−rup, E. H. Immergut, Polymer Handbook, 1st Ed. , J. Wiley, New York 1966, 2nd Ed. J. Wiley, New York 1975及び3rd Ed. J. Wiley,New York 1989が構成する。

    1 〜C 10 −アルキル基とは、本刊行物の意味合いにおいて、鎖状又は分枝状のアルキル基であって1〜10個の炭素原子を有するもの、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、tert−ペンチル、n−ヘキシル、2−エチルヘキシル、n−ノニル又はn−デシルが理解されるものである。 C 5 〜C 10 −シクロアルキル基とは、好ましくはシクロペンチル基又はシクロヘキシル基を理解でき、これは場合によって1、2又は3個のC 1 〜C 4個のアルキル基で置換されていてよい。

    好ましくは、水性結合剤組成物は、その少なくとも1のモノマーEが、共役脂肪族C 4 〜C 9 −ジエン化合物、ビニルアルコールとC 1 〜C 10 −モノカルボン酸のエステル、C 1 〜C 10 −アルキルアクリラート、C 5 〜C 10 −アルキルメタクリラート、C 5 〜C 10 −シクロアルキルアクリラート及び−メタクリラート、C 1 〜C 10 −ジアルキルマレイナート及び/又はC 1 〜C 10 −ジアルキルフマラートを含む群から選択されており、そして、その少なくとも1のモノマーFが、ビニル芳香族モノマー及び/又はC 1 〜C 4 −アルキルメタクリラートを含む群から選択されているポリマーPを有する。

    同様に、好ましくは、水性結合剤組成物は、重合導入した形で少なくとも1のモノマーCを≧0〜≦1.5質量%含むポリマーPを有する。

    好ましい一実施態様において、水性結合剤組成物は、重合導入した形で、
    少なくとも1のモノマーA、≧0.5〜≦10質量%、
    少なくとも1のモノマーB、≧10〜≦25質量%、
    少なくとも1のモノマーC、≧0〜≦1.5質量%、
    少なくとも1のモノマーD、≧0〜≦5.0質量%、
    少なくとも1のモノマーE、≧25〜≦65質量%、及び少なくとも1のモノマーF、≧25〜≦64.5質量%
    から合成されているポリマーPを含む。

    特に好ましい一実施態様において、水性結合剤組成物は、重合導入した形で、
    アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド及び/又はN−メチロールメタクリルアミド、≧3.0〜≦8.5質量%、
    アクリルニトリル及び/又はメタクリルニトリル、≧10〜≦20質量%、
    1,4−ブチレングリコールジアクリラート、アリルメタクリラート及び/又はジビニルベンゼン、≧0〜≦1.5質量%、
    2−エチルヘキシルアクリラート、n−ブチルアクリラート、1,4−ブタジエン及び/又はエチルアクリラート、≧30〜≦60質量%、及び メチルメタクリラート、スチレン及び/又はtert−ブチルメタクリラート、≧25〜≦57質量%
    から合成されているポリマーPを含む。

    ポリマーPの製造は当業者に原則として慣用であり、かつ、例えば、塊状重合、エマルション重合、溶液重合、沈殿重合又は懸濁重合の方法に応じて、モノマーA〜Fのラジカル重合によって行われ、しかし、ラジカル開始した水性エマルション重合が特に好ましい。 したがって、本発明によれば好ましくは、ポリマーPは水性媒体中で分散され、すなわち、水性ポリマー分散液の形で使用される。

    水性媒体中のエチレン性不飽和モノマーのラジカルにより開始したエマルション重合の実施は何回も以前に記載され、したがって、当業者には十分知られている(これに関して、Emulsionspolymerisation in Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Vol.8,659頁〜(1987); D.C. Blackley, in High Polymer Latices, Vol.1,35頁〜(1966); H. Warson, The Applications of Synthetic Resin Emulsions,第5章,246頁〜(1972); D. Diederich, Chemie in unserer Zeit 24,135〜142頁(1990); Emulsion Polymerisation, Interscience Publishers, New York (1965); DE−A 40 03 422及びDispersionen synthetischer Hochpolymerer, F. Hoelscher, Springer−Verlag, Berlin (1969)を参照)。 ラジカルにより開始した水性エマルション重合は、通常は、エチレン性不飽和モノマーを、通常は分散助剤、例えば乳化剤及び/又は保護コロイドの併用下で、水性媒体中に分散して分布させ、少なくとも1の水溶性ラジカル重合開始剤を用いて重合させるように行われる。 しばしば、得られた水性ポリマー分散液では、未反応エチレン性不飽和モノマーの残存含有量は、当業者によって同様に知られている化学的及び/又は物理的方法(例えば、EP−A 771328, DE−A 19624299, DE−A 19621027, DE−A 19741184, DE−A 19741187, DE−A 19805122, DE−A 19828183, DE−A 19839199, DE−A 19840586及び198471 15を参照)によって減少させられ、ポリマー固形物含有量は希釈又は濃縮によって所望の値に調節されるか、又は、水性ポリマー分散液に更なる通常の添加剤、例えば殺菌剤、フォーム改変助剤又は粘度改変助剤が添加される。 この一般的な方法と、ポリマーPの水性分散液の製造とは、前述のモノマーA〜Fの特別な使用の点でのみ異なる。 この場合に、ポリマーPの製造には本刊行物の範囲内で、当業者に慣用のシード運転法、段階運転法及び勾配運転法が包含されることは勿論である。

    したがって、本発明によれば、水性結合剤組成物の製造のために、好ましくはポリマーPの水性分散液が使用され、
    前記Pは、
    少なくとも1のモノマーA、≧0.1〜≦15質量%、
    少なくとも1のモノマーB、≧8.0〜≦30質量%、
    少なくとも1のモノマーC、≧0〜≦5.0質量%、
    少なくとも1のモノマーD、≧0〜≦10質量%、
    少なくとも1のモノマーE、≧20〜≦70質量%、及び少なくとも1のモノマーF、≧25〜≦71.9質量%から、
    好ましくは、
    少なくとも1のモノマーA、≧0.5〜≦10質量%、
    少なくとも1のモノマーB、≧10〜≦25質量%、
    少なくとも1のモノマーC、≧0〜≦1.5質量%、
    少なくとも1のモノマーD、≧0〜≦5.0質量%、
    少なくとも1のモノマーE、≧25〜≦65質量%、及び少なくとも1のモノマーF、≧25〜≦64.5質量%から、
    特に好ましくは、
    アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド及び/又はN−メチロールメタクリルアミド、≧3.0〜≦8.5質量%、
    アクリルニトリル及び/又はメタクリルニトリル、≧10〜≦20質量%、
    1,4−ブチレングリコールジアクリラート、アリルメタクリラート及び/又はジビニルベンゼン、≧0〜≦1.5質量%、
    2−エチルヘキシルアクリラート、n−ブチルアクリラート、1,4−ブタジエン及び/又はエチルアクリラート、≧30〜≦60質量%、及び メチルメタクリラート、スチレン及び/又はtert−ブチルメタクリラート、≧25〜≦57質量%
    から重合導入した形で合成されている。

    本発明により使用される、ポリマー水性分散液の形のポリマーP(ポリマーP−水性分散液)の製造には、モノマーA〜Fの全量(全モノマー量)は水性反応媒体中に重合反応開始前に装入されることができる。 しかし、場合によってモノマーA〜Fの部分量だけを水性反応媒体中に重合反応開始前に装入し、次いで重合開始後に重合条件下でラジカルエマルション重合の間に全量又は場合によって残存する残量を消費の程度に応じて連続的に同じか又は変化する流量でもって又は不連続的に添加することも可能である。 この場合に、モノマーA〜Fの計量供給は別個の個別流として、不均一な又は均一な(部分)混合物として、又は、モノマーエマルションとして、行うことができる。 好ましくは、モノマーA〜Fは、モノマー混合物の形で、特に水性モノマーエマルションの形で計量供給される。

    本発明により使用されるポリマーP−水性分散液の製造には、モノマー液滴も形成されるポリマー粒子も水性媒体中で分散して分布した状態にさせて、そうして生じる水性ポリマー分散液の安定性を保証する分散助剤が併用される。 分散助剤として、ラジカル水性エマルション重合の実施に通常使用される保護コロイドも、乳化剤も考慮される。

    適した保護コロイドは、例えば、ポリビニルアルコール、ポリアルキレングリコール、ポリアクリル酸及びポリメタクリル酸のアルカリ金属塩、ゼラチン誘導体又はアクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸無水物、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸及び/又は4−スチレンスルホン酸を含有するコポリマー及びそのアルカリ金属塩、またN−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、N−ビニルカルバゾール、1−ビニルイミダゾール、2−ビニルイミダゾール、2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、アクリルアミド、メタクリルアミド、アミノ基含有アクリラート、メタクリラート、アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド含有ホモポリマー及びコポリマーである。 更なる適した保護コロイドの詳細な説明は、Houben−Weyl,Methoden der organischen Chemie,XIV/1巻,Makromolekulare Stoffe,Georg−Thieme−Verlag,Stuttgart,1961,411〜420頁に見出される。

    無論、保護コロイド及び/又は乳化剤からの混合物も使用できる。 しばしば、分散剤として、その相対分子量が保護コロイドと異なり通常1000未満である乳化剤のみ使用される。 これらはアニオン性、カチオン性又は非イオン性の性質であってよい。 無論、界面活性物質の混合物の使用の場合には、個々の成分は相互に相容性でなければならず、このことは疑わしい場合にはわずかな予備試験を用いて検証されることができる。 一般に、アニオン性乳化剤は互いに、そして、非イオン性乳化剤と相容性である。 類似のことはカチオン性乳化剤にも該当し、その一方で、アニオン性乳化剤及びカチオン性乳化剤は大抵は相互に相容性でない。 適した乳化剤の概要は、Houben−Weyl,Methoden der organischen Chemie, 第XIV/1巻,Makromolekulare Stoffe,Georg−Thieme−Verlag,Stuttgart,1961,192〜208頁に見出される。

    しかし、分散助剤として、特に乳化剤が使用される。

    慣用の非イオン性乳化剤は、例えばエトキシル化モノ−、ジ−及びトリアルキルフェノール(EO度:3〜50、アルキル基:C 4 〜C 12 )並びにエトキシル化脂肪アルコール(EO度:3〜80、アルキル基C 12 〜C 36 )である。 その例は、BASF SE社の、商標名Lutensol (R) A (C 1214 −脂肪アルコールエトキシラート、EO度:3〜8)、Lutensol (R) AO (C 1315 −オキソアルコールエトキシラート、EO度:3〜30)、Lutensol (R) AT (C 1618 −脂肪アルコールエトキシラート、EO度:11〜80)、Lutensol (R) ON (C 10 −オキソアルコールエトキシラート、EO度:3〜11)及びLutensol (R) TO (C 13 −オキソアルコールエトキシラート、EO度:3〜20)である。

    通常のアニオン性乳化剤は、例えば、アルキルスルファート(アルキル基:C 8 〜C 12 )の、エトキシル化アルカノール(EO度:4〜30、アルキル基:C 12 〜C 18 )及びエトキシル化アルキルフェノール(EO度:3〜50、アルキル基:C 4 〜C 12 )の硫酸半エステルの、アルキルスルホン酸(アルキル基:C 12 〜C 18 )の及びアルキルアリールスルホン酸(アルキル基:C 9 〜C 18 )のアルカリ金属塩及びアンモニウム塩、である。

    更なるアニオン性乳化剤として、さらに、一般式(I)の化合物が好適であると判明した。

    [式中、R

    1及びR

    2は、H原子又はC

    4 〜C

    24 −アルキルを意味し、同時にH原子でない、そして、M

    1及びM

    2はアルカリ金属イオン及び/又はアンモニウムイオンであってよい]。 一般式(I)において、R

    1及びR

    2は好ましくは、6〜18個のC原子、特に6、12及び16個のC原子を有する鎖状又は分枝状アルキル基又は水素を意味し、ここで、R

    1及びR

    2は双方同時にH原子でない。 M

    1及びM

    2は、好ましくはナトリウム、カリウム又はアンモニウムであり、ここでナトリウムが特に好ましい。 特に好ましくは、化合物(I)[式中、M

    1及びM

    2が、ナトリウム、R

    1が12個のC原子を有する分枝状アルキル基、そして、R

    2がH原子又はR

    1である]である。 しばしば、50〜90質量%のモノアルキル化生成物の含分を有する工業的混合物、例えばDowfax

    (R) 2A1(Dow Chemical Company社の商標)が使用される。 化合物(I)は一般に知られており、例えばUS−A 4269749から知られており、そして市販されている。

    適したカチオン活性乳化剤は、通常はC 6 〜C 18 −アルキル、−アルキルアリール−又は複素環基を有する一級、二級、三級又は四級のアンモニウム塩、アルカノールアンモニウム塩、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、オキサゾリニウム塩、モルホリニウム塩、チアゾリニウム塩並びにアミノオキシド塩、キノリニウム塩、イソキノリニウム塩、トロピリウム塩、スルホニウム塩及びホスホニウム塩である。 例示的に、ドデシルアンモニウムアセタート又は相応するスルファート、種々の2−(N,N,N−トリメチルアンモニウム)エチルパラフィン酸エステルのスルファート又はアセタート、N−セチルピリジニウムスルファート、N−ラウリルピリジニウムスルファート並びにN−セチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムスルファート、N−ドデシル−N,N,N−トリメチルアンモニウムスルファート、N−オクチル−N,N,N−トリメチルアンモニウムスルファート、N,N−ジステアリル−N,N−ジメチルアンモニウムスルファート並びにジェミニ型界面活性剤N,N′−(ラウリルジメチル)エチレンジアミンジスルファート、エトキシル化獣脂アルキル−N−メチルアンモニウムスルファート及びエトキシル化オレイルアミン(例えば、BASF SE社のUniperol (R) AC、約11個のエチレンオキシド単位)が挙げられる。 数々の更なる例が、H. Stache, Tensid−Taschenbuch, Carl−Hanser−Verlag, Muenchen, Wien, 1981及びMcCutcheon's, Emulsifiers & Detergents, MC Publishing Company, Glen Rock, 1989に見出される。 好ましいのは、アニオン対基が可能な限り少ない求核性である場合であり、例えばペルクロラート、スルファート、ホスファート、ニトラート及びカルボキシラート、例えばアセタート、トリフルオロアセタート、トリクロロアセタート、プロピオナート、オキサラート、シトラート、ベンゾアート、並びに、有機スルホン酸の共役アニオン、例えばメチルスルホナート、トリフルオロメチルスルホナート及びパラトルエンスルホナートであり、さらにテトラフルオロボラート、テトラフェニルボラート、テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボラート、テトラキス[ビス(3,5−トリフルオロメチル)フェニル]ボラート、ヘキサフルオロホスファート、ヘキサフルオロアルセナート又はヘキサフルオロアンチモナートである。

    分散助剤として好ましく使用される乳化剤は、好ましくは、そのつどモノマーA〜F(全モノマー量)に対して、≧0.005〜≦10質量%、好ましくは≧0.01〜≦5質量%、特に≧0.1〜≦3質量%の全量で使用される。

    分散助剤として追加的に又は乳化剤の代わりに使用される保護コロイドの全量は、そのつど全モノマー量に対して、しばしば≧0.1〜≦40質量%、大抵≧0.2〜≦25質量%である。

    しかし、好ましくはアニオン性及び/又は非イオン性乳化剤、特に好ましくはアニオン性乳化剤が分散助剤として使用される。

    本発明により使用されるポリマーP−分散液の製造には、分散助剤の全量が水性反応媒体へと、重合反応の開始前に装入されることができる。 しかし、場合によって単に、分散助剤の部分量を水性反応媒体中へ重合反応の開始前に装入し、次いで、重合条件下でラジカルエマルション重合の間に分散助剤の全量又は場合によって残留する残存量を、連続的に又は不連続的に添加することも可能である。 好ましくは、主要量又は全量の分散助剤の添加は水性モノマーエマルションの形で行われる。

    ラジカルによって開始した水性エマルション重合の開始は、ラジカル重合開始剤(ラジカル開始剤)を用いて行われる。 この場合に、これは原則的にペルオキシドであってもよいし、アゾ化合物であってもよい。 無論、レドックス開始剤システムも考慮される。 ペルオキシドとして、原則的に、無機ペルオキシド、例えば過酸化水素又はペルオキソジスルファート、例えばペルオキソ二硫酸のモノ−又はジ−アルカリ金属−又はアンモニウム塩、例えばそのモノ−及びジ−ナトリウム−、−カリウム−又はアンモニウム塩又は有機ペルオキシド、例えばアルキルヒドロペルオキシド、例えばtert−ブチル−、p−メンチル−又はクミルヒドロペルオキシド、並びに、ジアルキル−又はジアリールペルオキシド、例えばジ−tert−ブチル−又はジ−クミルペルオキシドが使用できる。 アゾ化合物として、実質的に2,2′−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)及び2,2′−アゾビス(アミジノプロピル)ジヒドロクロリド(AIBA, Wako ChemicalsのV−50に相応)が使用される。 レドックス開始剤系のための酸化剤として、実質的に上述のペルオキシドが考慮される。 相応する還元剤として、低酸価段階を有する硫黄化合物、例えばアルカリ亜硫酸塩、例えばカリウム及び/又はナトリウム亜硫酸塩、アルカリ水素亜硫酸塩、例えばカリウム−及び/又はナトリウム水素亜硫酸、アルカリメタ重亜硫酸塩、例えばカリウム−及び/又はナトリウムメタ重亜硫酸塩、ホルムアルデヒドスルホキシラート、例えばカリウム−及び/又はナトリウムホルムアルデヒドスルホキシラート、アルカリ金属塩、特にカリウム−及び/又はナトリウム塩、脂肪族スルフィン酸及びアルカリ金属水素硫化物、例えばカリウム−及び/又はナトリウム水素硫化物、多価金属塩、例えば硫酸鉄(II)、硫酸アンモニウム鉄(II)、リン酸鉄(II)、エンジオール、例えばジヒドロキシマレイン酸、ベンゾイン及び/又はアスコルビン酸、並びに、還元性サッカリド、例えばソルボース、グルコース、フルクトース及び/又はジヒドロキシアセトンが使用できる。 通常は、使用されるラジカル開始剤の量は、全モノマー量に対して、0.01〜5質量%、好ましくは0.1〜3質量%、特に好ましくは0.2〜1.5質量%である。

    本発明により使用されるポリマーP−分散液の製造には、ラジカル開始剤の全量が重合反応の開始前に水性反応媒体中に装入されることができる。 しかし、場合によっては単にラジカル開始剤の部分量だけが水性反応媒体中に重合反応の開始前に装入され、次いで、重合条件下でラジカルエマルション重合の間に全量又は場合によっては残留する残存量が消費の程度に応じて連続的に又は不連続的に添加されることも可能である。

    重合反応の開始とは、重合容器中に存在するモノマーの、ラジカル開始剤のラジカル形成後の重合反応の開始が理解される。 この場合に、重合反応の開始は重合容器中の水性重合混合物へのラジカル開始剤の添加によって重合条件下で行われることができる。 しかし、ラジカル開始剤の部分量又は全量を装入されたモノマーを含む水性重合混合物に重合容器中で、重合反応を開始するのに適していない条件下で、例えば低温で添加し、その後水性重合混合物中で重合条件を調節することも可能である。 重合条件とは、この場合に一般に、十分な重合速度でもってラジカル開始した水性エマルション重合が進行する温度及び圧力が理解される。 これは特に使用されるラジカル開始剤に依存する。 好ましくは、ラジカル開始剤の種類及び量、重合温度及び重合圧力は、ラジカル開始剤が<3時間、特に好ましくは<1時間、特にとりわけ好ましくは<30分間の半値時間を有し、この場合に、重合反応を開始し、かつ維持するのに常に十分に開始ラジカルが提供されるように選択される。

    ラジカルの水性エマルション重合のための反応温度として、0〜170℃の全範囲が考慮される。 この場合に、通常は50〜120℃、好ましくは60〜110℃、特に好ましくは70〜100℃の温度が適用される。 ラジカルの水性エマルション重合は、1atmより低い、1atmに等しい又は1atmより高い圧力(1.013bar(絶対圧)、雰囲気圧力)で実施されることができ、その結果重合温度は100℃を超え、170℃にまでなり得る。 低沸点を有するモノマーA〜Fの存在では、エマルション重合は好ましくは高められた圧力で実施される。 この場合に、圧力は1.2、1.5、2.5、10、15bar(絶対)又はそれより高い値をとることがある。 エマルション重合が陰圧で実施される場合には、950mbar、しばしば900mbar、そして大抵850mbar(絶対)の圧力が調節される。 好ましくは、ラジカルの水性エマルション重合は1atmで酸素排除下で、特に不活性雰囲気下で、例えば窒素又はアルゴン下で実施される。

    水性反応媒体は原則的に、微量(<5質量%)においても、水溶性有機溶媒、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、しかしまた、アセトン等を含むこともできる。 しかし、好ましくは、本発明の方法をそのような溶媒の非存在下で実施する。

    前述の成分の他に、エマルション重合の間に任意に、重合によって入手されるポリマーPの分子量を減少又は制御するために、ラジカル連鎖移動化合物が使用されることもできる。 この場合に、本質的に脂肪族及び/又は芳香族脂肪族ハロゲン化合物、例えばn−ブチルクロリド、n−ブチルブロミド、n−ブチルヨウ化物、メチレンクロリド、エチレンジクロリド、クロロホルム、ブロモホルム、ブロムトリクロロメタン、ジブロモジクロロメタン、四塩化炭素、四臭化炭素、ベンジルクロリド、ベンジルブロミド、有機チオ化合物、例えば一級、二級又は三級脂肪族チオール、例えばエタンチオール、n−プロパンチオール、2−プロパンチオール、n−ブタンチオール、2−ブタンチオール、2−メチル−2−プロパンチオール、n−ペンタンチオール、2−ペンタンチオール、3−ペンタンチオール、2−メチル−2−ブタンチオール、3−メチル−2−ブタンチオール、n−ヘキサンチオール、2−ヘキサンチオール、3−ヘキサンチオール、2−メチル−2−ペンタンチオール、3−メチル−2−ペンタンチオール、4−メチル−2−ペンタンチオール、2−メチル−3−ペンタンチオール、3−メチル−3−ペンタンチオール、2−エチルブタンチオール、2−エチル−2−ブタンチオール、n−ヘプタンチオール及びその異性体化合物、n−オクタンチオール及びその異性体化合物、n−ノナンチオール及びその異性体化合物、n−デカンチオール及びその異性体化合物、n−ウンデカンチオール及びその異性体化合物、n−ドデカンチオール及びその異性体化合物、n−トリデカンチオール及びその異性体化合物、置換チオール、例えば2−ヒドロキシエタンチオール、芳香族チオール、例えばベンゼンチオール、オルト−、メタ−又はパラ−メチルベンゼンチオール、並びに、全ての更なる、Polymerhandbook 3rd edtition, 1989, J. Brandrup及びE. H . Immergut, John Wiley & Sons, セクションII,133〜141頁に記載の硫黄化合物、しかしまた脂肪族及び/又は芳香族アルデヒド、例えばアセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド及び/又はベンズアルデヒド、不飽和脂肪酸、例えばオレイン酸、非共役二重結合を有するジエン、例えばジビニルメタン又はビニルシクロヘキサン又は容易に引き抜き可能な水素原子を有する炭化水素、例えばトルエンが使用される。 しかし、障害とならない前述のラジカル連鎖移動化合物の混合物を使用することもできる。

    エマルション重合の間に任意に使用される、ラジカル連鎖移動化合物の全量は、全モノマー量に対して、通常は<5質量%、しばしば<3質量%、大抵<1質量%である。

    好ましくは、任意に使用されるラジカル連鎖移動化合物の部分量又は全量が水性反応媒体にラジカル重合開始前に供給される場合である。 さらに、ラジカル連鎖移動化合物の部分量又は全量は水性反応媒体に、好ましくはモノマーA〜Fと一緒でも、重合反応の間に供給されることができる。

    本発明により使用されるポリマーPは原則的に≧−70℃〜≦150℃の範囲内のガラス転移温度T gを有することができる。 好ましくは、モノマーA、B、D、E及びFは、種類及び量において、それらからだけ製造されるポリマーがガラス転移温度T gを≧−10℃〜≦70℃の範囲に、好ましくは≧5℃〜≦50℃の範囲に、特に好ましくは≧15〜≦45℃の範囲に有するように選択される。 ガラス転移温度T gとは、本刊行物の範囲において、ASTM D 3418−82に応じた中点温度(midpoint temperature)が理解され、これは示差熱分析(DSC)[UIlmann 's Encyclopedia of Industrial Chemistry,169頁,Verlag Chemie, Weinheim, 1992及びZosel in Farbe und Lack, 82, 125〜134頁, 1976、を参照]によって算出されることができる。

    Fox (T.G. Fox, Bull. Am. Phys. Soc. 1956 [Ser. II]1 , 123頁及びUIImann's Encyclopaedie der technischen Chemie, 第19巻, 第18頁, 第4版, Verlag Chemie, Weinheim, 1980)によれば、最も弱く架橋したコポリマーのガラス転移温度T gに関して以下の良好な近似が成立する:

    [式中、x1、x2、. . . . xnはモノマー1、2. . . . nの質量分率であり、T

    g 1、T

    g 2. . . . T

    g nはそれぞれモノマー1、2. . . . nの一つだけから構成されたポリマーのガラス転移温度(ケルビンで示す)を意味する]。 大抵のエチレン性不飽和モノマーのホモポリマーについてのガラス転移温度は公知であり(又は、簡単に自体公知の方法で実験によって算出でき)、そして、例えばJ. Brandrup, E. H. Immergut, Polymer Handbook Ist Ed. J. Wiley, New York, 1966, 2nd Ed. J. Wiley, New York, 1975及び3rd Ed. J. Wiley, New York, 1989並びにUllmann's Cncyclopedia of Industrial Chemistry, 169頁, Verlag Chemie, Weinheim, 1992に記載されている。

    本質的であるのは、ラジカル開始した水性エマルション重合がポリマーシードの存在下でも、例えばそのつど全モノマー量に対して、0.01〜3質量%、しばしば0.02〜2質量%、大抵0.04〜1.5質量%のポリマーシードの存在下でも実施できることである。

    ポリマーシードは、特に、ラジカル水性エマルション重合を用いて製造すべきポリマー粒子の粒径が狙いを定めて調節されることが望ましい場合に使用される(これに関して例えば、US−A 2520959及びUS−A 3397165を参照)。

    特に、ポリマーシード粒子が狭い粒径分布及び質量平均直径Dw≦100nm、しばしば≧5nm〜≦50nm、大抵≧15nm〜≦35nmを有するポリマーシードが使用される。 質量平均粒径の決定は当業者に知られており、かつ、例えば分析超遠心分離法によって行われる。 質量平均粒径とは、本刊行物において分析超遠心分離法によって算出される質量平均Dw50値が理解される(これに関して、S.E. Harding et al., Analytical Ultracentrifugation in Biochemistry and Polymer Science, Royal Society of Chemistry, Cambridge, Great Britain 1992, Chapter 10, Analysis of Polymer Dispersions with an Eight−Cell−AUC−Multiplexer: High Resolution Particle Size Distri−bution and Density Gradient Techniques, W. Maechtie, 147〜175頁を参照)。

    狭い粒径分布とは本刊行物の範囲において、分析超遠心分離法によって算出した質量平均粒径D w50と数平均粒径D N50 (D w50 /D N50 )の比が、<2.0、好ましくは<1.5、特に好ましくは<1.2又は<1.1である場合が理解される。

    通常は、ポリマーシードは水性ポリマー分散液の形で使用される。 前述の量の記載は、この場合に、水性ポリマーシード分散液のポリマー固形物割合に関する。

    ポリマーシードが使用される場合には、好ましくは異種ポリマーシードが使用される。 いわゆるin situ ポリマーシード(本来のエマルション重合の開始前に反応容器中で製造され、そして、通常は、後続のラジカルにより開始した水性エマルション重合により製造されるポリマーと同一のモノマー組成を有する)とは異なり、異種ポリマーシードは、別個の反応工程において製造されており、そして、そのモノマー組成がラジカルにより開始した水性エマルション重合によって製造されたポリマーとは異なるポリマーシードが理解され、しかしこのことは、異種ポリマーシードの製造のため、そして、水性ポリマー分散液の製造のために、異なるモノマーが使用される又は異なる組成を有するモノマー混合物が使用されること以外のことを意味しない。 異種ポリマーシードの製造は当業者にとって慣用であり、そして通常は、比較的少量のモノマー並びに比較的多量の乳化剤を反応容器に装入し、そして、反応温度で十分な量の重合開始剤を添加するように行われる。

    本発明により好ましくはガラス転移温度≧50℃、しばしば≧60℃又は≧70℃、大抵≧80℃又は≧90℃を有する異種ポリマーシードが使用される。 特に好ましくは、ポリスチレンポリマーシード又はポリメチルメタクリラートポリマーシードである。

    異種ポリマーシードの全量は重合容器中に装入されることができる。 しかし、単に部分量の異種ポリマーシードを重合容器中に装入し、そして残留する残存量を重合の間にモノマーA〜Fと一緒に添加することも可能である。 しかし、必要であれば、全ポリマーシード量は、重合の進行中に添加されることもできる。 好ましくは、異種ポリマーシードの全量は重合反応の開始前に重合容器中に装入される。

    エマルション重合によって入手されるポリマーP水性分散液は、通常は、そのつどポリマー水性分散液に対して、≧10〜≦70質量%、しばしば≧20〜≦65質量%、大抵≧25〜≦60質量%のポリマー固形物割合を有する。 準弾性の光散乱(ISO規格13321)により測定される数平均粒径(累積z平均)は、通常≧10〜≦2000nmの範囲内、しばしば≧10〜≦700nmの範囲内、大抵≧50〜≦400nmの範囲内にある。

    無論、水性ポリマーP分散液は原則的に、いわゆる二次ポリマー分散液の形でも製造される(二次ポリマー分散液の原則的な製造に関しては、例えばEckersley et al., Am. Chem. Soc, Div. Polymer Chemistry, 1977, 38(2), 630, 631頁, US−A 3360599, US−A 3238173, US−A 3726824, US−A 3734686又はUS−A 6207756を参照)。 二次ポリマーP水性分散液の製造はこの場合に通常は、塊状重合又は溶液重合の方法に応じて製造されたポリマーPが適した有機溶媒中で溶解され、そして、水性ポリマー/溶媒−(ミニ)エマルションの形成下で水性媒体中に分散されるように行われる。 引き続く溶媒分離によって、相応する水性ポリマーP分散液が提供される。

    それに応じて、本発明の水性結合剤組成物は、その数平均粒径が≧10〜≦2000m、好ましくは≧10〜≦700nm、特に好ましくは≧50〜≦400nmの範囲内にあるポリマーPの水性分散液を含有する。

    水性結合剤組成物の本質的成分は、少なくとも1のポリマーPの他に、少なくとも1のサッカリド化合物Sである。

    本刊行物の範囲において、サッカリド化合物Sは、モノサッカリド、オリゴサッカリド、ポリサッカリド、糖アルコール並びに前述の化合物の置換生成物及び誘導体が理解される。

    この場合に、モノサッカリドとは、一般式C n2nn (nは整数5、6、7、8又は9)の有機化合物である。 これらモノサッカリドは、ペントース、ヘキソース、ヘプトース、オクトース又はノノースとも称され、その際、これら化合物は相応するアルドース(アルデヒド基を有する)又はケトース(ケト基を有する)に細分化される。 相応して、モノサッカリドは、アルド−又はケトペントース、−ヘキソース、−ヘプトース、−オクトース又は−ノノースを含む。 本発明により好ましいモノサッカリド化合物は、天然にも存在するペントース及びヘキソースであり、ここでグルコース、マンノース、ガラクトース及び/又はキシロースが特に好ましい。 無論、本発明により全ての前述のモノサッカリドの全ての立体異性体も包含される。

    糖アルコールとは、前述のアルド−又はケトペントース、−ヘキソース、−ヘプトース、−オクトース、又は−ノノースの水素化生成物であり、これは一般式C n2n+2n (式中、nは5、6、7、8又は9の整数である)を有する。 好ましい糖アルコールは、マンニトール、ラクチトール、ソルビトール及び/又はキシリトールである。 無論、本発明によれば全ての前述の糖アルコールの全ての立体異性体も包含されるものである。

    前述のモノサッカリドはその半アセタール又は−ケタール(ヒドロキシ基とアルデヒド−又はケト基から形成される)の形で存在し、ここで通常は5員環又は6員環が形成されることが知られている。 1のモノサッカリド分子の1のヒドロキシル基(半アセタール又は半ケタール基から又は炭素骨格鎖から)と、1の他のモノサッカリド分子の半アセタール−又は半ケタール基とが、水素分離及びアセタール基又はケタール基の形成をしつつ(そのような結合は、グリコシド結合とも称される)反応する場合には、ジサッカリド(一般実験式C n2n-2n-1 )が得られる。 さらに、そのようなジサッカリドは更なるモノサッカリドと反応して、水分離しつつ、トリサッカリドとなる。 モノサッカリドとの更なる反応によって、テトラサッカリド、ペンタサッカリド、ヘキササッカリド、ヘプタサッカリド、オクタサッカリド、ノナサッカリド又はデカサッカリドが得られる。 少なくとも2個の、しかし最高10個のモノサッカリド構造単位からグリコシド結合が構築されている化合物は、オリゴサッカリドと称される。 好ましいオリゴサッカリドはジサッカリドであり、そのうちラクトース、マルトース及び/又はサッカロースが特に好ましい。 無論、本発明によれば全ての前述のオリゴサッカリドの全ての立体異性体も包含されるものである。

    10個より多いモノサッカリド構造単位から合成されているサッカリド化合物は、本刊行物の範囲で、ポリサッカリド化合物と称される。 この場合に、ポリサッカリド化合物は、モノサッカリドの構造要素(いわゆるホモグリカン)又は2以上の異なるモノサッカリドの構造要素(いわゆるヘテログリカン)から構築されていてよい。 本発明により好ましくはホモグリカンが使用される。

    ホモグリカンのうち、α−D−グルコース単位から構築されているデンプンが、特に好ましい。 デンプンは、ポリサッカリドであるアミロース(D−グルコース単位(α−1,4−グリコシドによって相互に結合されている))及びアミロペクチン(D−グルコース単位(α−1,4−及びさらに約4%のα−1,6−グルコシドによって相互に結合されている))からなる。 通常は、天然に存在するデンプンは約20〜30質量%のアミロース及び約70〜80質量%のアミロペクチンを含む。 しかし、品種改良によって及び植物種を変化させて、アミロースとアミロペクチンの割合は変化してよい。 デンプンとして、全ての天然のデンプン、例えばトウモロコシ、コムギ、エンバク、オオムギ、コメ、キビ、ジャガイモ、エンドウマメ、タピオカ、ソルガム又はサゴからのデンプンが適する。 興味をもたれるのはさらに、ワックストウモロコシデンプン(Wachsmaissstarke)及びワックスジャガイモデンプン(Wachskartoffelsstarke)と同様の高いアミロペクチン含有量を有する天然のデンプンである。 前記デンプンのアミロペクチン含有量は、≧90質量%、しばしば≧95〜≦100質量%である。

    無論、サッカリド化合物Sの概念は、前述のモノ−、オリゴ−及びポリサッカリド化合物並びに糖アルコールの置換生成物及び誘導体も含む。

    この場合に、サッカリド化合物Sの置換生成物とは、サッカリド化合物Sのヒドロキシ基少なくとも1が、サッカリド構造を維持しながら、例えばエステル化、エーテル化、酸化等によって、官能化されたものが理解される。 この場合に、エステル化は、例えばサッカリド化合物Sと、無機又は有機酸、その無水物又はハロゲン化物との反応によって行われる。 特に興味をもたれるのは、ホスファート化及びアセチル化したサッカリド化合物である。 エーテル化は、通常は、サッカリド化合物と有機ハロゲン化合物、エポキシド又はスルファートとの、アルカリ性水溶液中での反応によって行われる。 知られているエーテルは、アルキルエーテル、ヒドロキシアルキルエーテル、カルボキシアルキルエーテル及びアリルエーテルである。 有機炭水化物化学において通常の酸化剤、例えば硝酸、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、ペルオキシ酢酸、次亜塩素酸ナトリム及び/又は2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(TEMPO)の1つを用いた少なくとも1のヒドロキシ基の酸化は、相応するケト化合物(二級ヒドロキシ基の酸化の場合)又はカルボキシル化合物(一級ヒドロキシ基の酸化の場合)を生じる。

    サッカリド化合物Sの誘導体とは、少なくとも1のアセタール基又はケタール基(少なくとも1のグリコシド結合)の分離下で、そしてしたがって、当初のサッカリド構造の分解下で得られる、オリゴサッカリド及びポリサッカリドの反応生成物が理解される。 そのような分解反応は当業者にとって慣用であり、そして特にオリゴ−又はポリサッカリド化合物を熱、酵素、酸化及び/又は加水分解の条件に暴露することによって行われる。

    好ましくは、サッカリド化合物Sとして、デンプン、セルロース、グアラン、キサンタン、アルギナート、ペクチン、キトサン、アラビアゴム、カラギーナン、寒天及び/又はゲラン並びにそれらの置換生成物又は誘導体が使用される。

    しかし、特に好ましくは、デンプン及び/又はデンプン誘導体又はその置換生成物、例えば好ましくはマルトデキストリン及び/又はグルコースシロップである。

    経営上の慣行において極めて慣用の、デンプンの分解度を特性付けるための値はDE値である。 この場合に、DEはデキストロース当量( D extrose E quivalent)であり、乾燥物質の還元性糖の百分率割合を指す。 したがって、DE値は、100gの乾燥物質ごとに同じ還元能を有するであろう、グルコース(=デキストロース)量(グラム)に相応する。 DE値は、どの程度ポリマー分解が行われているかの尺度である。 そのため、低DE値を有するデンプンはポリサッカリドの高い含有量及び低分子量のモノサッカリド及びオリゴサッカリドの低い含有量を獲得し、他方、高DE値を有するデンプンは主として低分子量モノサッカリド又はジサッカリドからなる。 本発明の範囲で好ましいマルトデキストリンは、3〜20の範囲内のDE値及び15000〜30000g/molの質量平均分子量を有する。 本発明の範囲で好ましいマルトデキストリンは、20〜30の範囲内のDE値及び3000〜9000g/molの質量平均分子量を有する。 製造条件に依存して、これら生成物は水溶液の形で生じ、そのため通常はそれ自体で市販されている。 マルトデキストリンの適した溶液は、50〜70質量%の固形物含有量を有する。 グルコースシロップの適した溶液は70〜95質量%の固形物含有量を有する。 しかし、特にマルトデキストリンは、粉末として噴霧乾燥した形でも入手できる。 本発明によれば好ましくは、DE値1〜3及び質量平均分子量M w 100000〜1000000g/molを有し、かつ、通常固形物質として入手される、改質された分解したデンプンでもある。

    サッカリド化合物Sは、通常≧1000〜≦5000000g/molの範囲内、好ましくは≧10000〜≦3000000g/molの範囲内、特に好ましくは≧50000〜≦1000000g/molの範囲内の質量平均分子量を有する。 この場合に、質量平均分子量の決定は、所定の標準を用いた当業者に慣用のゲル浸透クロマトグラフィを用いて、行われる。

    好ましくは、本発明により使用されるサッカリド化合物Sが、20℃及び雰囲気圧力で脱イオン水1リットルあたり≧10g、好ましくは≧50g、特に好ましくは≧100gの溶解性を有する場合である。 しかし、そのサッカリド化合物Sが、20℃及び雰囲気圧力で脱イオン水1リットルあたり<10gの溶解性を有する実施態様も本発明によれば包含される。 この使用されるサッカリド化合物Sの量に依存して、これはその水性懸濁液の形でも存在できる。 本発明によりサッカリド化合物Sが、水性懸濁液中に存在する種類及び量で使用される場合には、水性媒体中に懸濁されるサッカリド化合物Sの粒子が平均粒径≦5μm、好ましくは≦3μm、特に好ましくは≦1μmを有する場合に、好ましい。 平均粒径の決定は、ポリマーP水性分散液で、準弾性の光散乱(ISO規格13321)の方法によって行われる。

    本発明にとって本質的であるのは、サッカリド化合物Sの全量が水性重合媒体に、モノマーA〜Fのエマルション重合の前又は間に、又は、ポリマーPの水性分散液のエマルション重合の終了後に、に添加できることである。 無論、単に部分量のサッカリド化合物Sが水性重合媒体にモノマーA〜Fのエマルション重合前に又は間に、そして、残留する残存量がポリマーPの水性分散液のエマルション重合の終了後に添加されることも可能である。 部分量又は全量のサッカリド化合物Sが、モノマーA〜Fのエマルション重合の前に又は間に添加される場合には、これは通常は保護コロイドの機能を果たし、それによって他の保護コロイド及び/又は乳化剤の量は減少されるか、又はそのようにして場合によって完全に断念されることができる。

    本発明によれば、サッカリド化合物Sの量は通常は、100質量部のポリマーPあたり、≧10〜≦400質量部、好ましくは≧25〜≦300質量部、特に好ましくは≧40〜≦250質量部のサッカリド化合物Sである。

    本質的であるのは、本発明の水性結合剤組成物がポリマーP及びサッカリド化合物Sの他に、追加してなお更なる、当業者に種類及び量の点で慣用の成分、例えば増粘剤、顔料分割剤、分散剤、乳化剤、緩衝物質、中和剤、殺生物剤、消泡剤、少なくとも2個のヒドロキシル基及び分子量≦200g/molを有するポリオール化合物、フィルム形成助剤、有機溶媒、顔料又は染料その他を含有できることである。

    しかし、好ましくは、水性の結合剤組成物は、少なくとも2個のヒドロキシ基及び分子量≦200g/mol、特に≦150g/molを有するポリオール化合物、例えばエチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2,3−プロパントリオール、1,2−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,2,3,4−ブタンテトロール(Butantetrol)、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等を、ポリマーP及びサッカリド化合物Sの全量の合計に対して、≦1質量%、特に好ましくは≦0.5質量%含む。

    本発明にとって本質的であるのは、水性結合剤組成物中で追加的なホルムアルデヒド含有結合剤成分の全量が、ポリマーP及びサッカリド化合物Sの全量の合計の100質量部あたり、≦50質量部、好ましくは≦10質量部であることである。 特に好ましくは、本発明の結合剤組成物は、ホルムアルデヒド含有結合剤成分を全く含まない。

    本刊行物の範囲で、ホルムアルデヒド含有結合剤成分とは、その製造にホルムアルデヒドが使用された結合剤成分が理解されるものである。 大抵はそのようなホルムアルデヒド含有結合剤成分の製造は、出発材料とホルムアルデヒドとの縮合反応によって行われる。 このホルムアルデヒド含有結合剤成分の問題は、これが20000ppmまでの未反応ホルムアルデヒドを含み、さらに、硬化過程の間の熱処理時に≦250℃の温度でさらになお結合したホルムアルデヒドを遊離できることである。 そのような化合物の例は、当業者に慣用の尿素/ホルムアルデヒド樹脂、メラミン/ホルムアルデヒド樹脂、フェノール/ホルムアルデヒド樹脂、グアナミン/ホルムアルデヒド樹脂、ベンゾグアナミン/ホルムアルデヒド樹脂又はアセトグアナミン/ホルムアルデヒド樹脂である。

    本発明の水性の結合剤組成物は、好ましくは、粒状及び/又は繊維状基材のための結合剤としての使用に適する。 したがって、好ましくは、前述の水性の結合剤組成物は、粒状及び/又は繊維状基材からの成形体の製造で使用される。

    粒状及び/又は繊維状基材は、当業者に慣用である。 例えば、この場合に、木片、木材繊維、セルロース繊維、テキスタイル繊維、プラスチック繊維、ガラス繊維、鉱物繊維又は天然繊維、例えばジュート、亜麻、麻又はサイザル、しかしまたコルク片又は砂並びに他の有機又は無機の天然の及び/又は合成の粒状及び/又は繊維状化合物であってその最長の寸法が粒状基材の場合に≦10mm、好ましくは≦5mm、特に≦2mmであるものである。 無論、基材との概念は、繊維から得られる繊維フリース、例えばいわゆる機械的に固化させた、例えばニードリングさせたか又は化学的に予備結合させた繊維フリースも包含されている。 特に好ましくは、本発明の水性結合剤組成物は、ホルムアルデヒド不含結合剤系として、前述の繊維及び機械的に固化させたか又は化学的に予備結合させた繊維フリースのために適している。

    粒状及び/又は繊維状基材からの成形体及び前述の水性の結合剤組成物の製造方法は、好ましくは、本発明の水性の結合剤組成物を粒状及び/又は繊維状基材上に設け(含浸)、場合によって、そのように水性の結合剤組成物で処理した(含浸した)粒状及び/又は繊維状基材を成形し、そして引き続き、そのようにして得られる粒状及び/又は繊維状基材を≧110℃、好ましくは≧130℃、特に好ましくは≧150℃の温度で熱処理工程に供するように行われ、ここで結合剤組成物はフィルム形成し、硬化する。

    本質的であるのは、水性の結合剤組成物の必須成分、すなわち、ポリマーPの水性分散液及びサッカリド化合物Sが、特にその溶液又は懸濁液の形で、粒状及び/又は繊維状基材へ設ける前に、均一に混合できることである。 しかし、これら双方の成分を設ける直前に、例えばスタティックミキサー装置及びダイナミックミキサー装置で混合することも可能である。 無論、最初にポリマーPの水性分散液を、その後サッカリド化合物Sの水溶液又は懸濁液を、粒状及び/又は繊維状基材の上に設けることも可能であり、ここでこの混合が粒状及び/又は繊維状基材の上で行われる。 同様にして、しかし、まずサッカリド化合物Sの水溶液又は懸濁液を、その後にポリマーPの水性分散液を、粒状及び/又は繊維状基材上に設けることもできる。 無論、双方の必須成分の塗布混合形(Mischformen des Aufbringens)もまた本発明により包含されている。

    粒状及び/又は繊維状基材の含浸は、通常は、水性の結合剤組成物が均一に、繊維状及び/又は粒状基材の表面に設けられるように行われる。 この場合に、水性の結合剤組成物の量は、粒状及び/又は繊維状基材100gあたり、≧1g〜≦100g、好ましくは≧2g〜≦50g、特に好ましくは≧5g〜≦30gの結合剤(固形物質ベースでポリマーP及びサッカリド化合物Sの全量の合計として算出)が使用されるように選択される。 粒状及び/又は繊維状基材の含浸は当業者に慣用であり、例えば本発明による水性の結合剤組成物での、粒状及び/又は繊維状基材の浸漬によって又は吹付けによって行われる。

    含浸の後に、粒状及び/又は繊維状基材は場合によって、例えば加熱可能なプレス又は型中に導入されることによって、所望の形にされる。 それに続いて、型中に導入した含浸された粒状及び/又は繊維状基材は当業者に慣用の手法で乾燥及び硬化される。

    大抵は、場合によって型中に導入される含浸された粒状及び/又は繊維状基材の乾燥又は硬化は2つの温度段階で行われ、その際乾燥段階は<100℃、好ましくは≧20℃〜≦90℃、特に好ましくは≧40℃〜≦80℃の温度で、そして、硬化段階は≧110℃、好ましくは≧130℃〜≦250℃、特に好ましくは≧180℃〜≦220℃の温度で行われる。

    しかし、無論、成形体の乾燥工程及び硬化工程を一の作業段階で、例えば成形プレスにおいて行うことも可能である。

    本発明の方法で入手される成形体は、好ましい特性、特に改善された、横方向での引裂力(Reisskraft)並びに、改善された耐熱性を有する。

    したがって、特に好ましくは、本発明の水性の結合剤組成物は、ポリエステル及び/又はガラス繊維ベースの繊維フリースの製造に適し、これは一方で特にビチューメン化した屋根シートの製造に適する。

    この場合に、ビチューメン化した屋根シートの製造は当業者にとって慣用であり、そして、特に液化した、場合によって変性させたビチューメンを、本発明の結合剤組成物と結合させたポリエステル−及び/又はガラス繊維フリースの片側又は両側に設けることによって行われる。

    本発明を、以下に記載の限定されない実施例に基づいて説明する。

    実施例 A)その水性分散液の形のポリマーPの製造 ポリマー比較分散液V1:
    撹拌機及び4つの計量供給装置を備えた2lのガラスフラスコ中に、20〜25℃(室温)及び窒素雰囲気で、200gの脱イオン水並びに7.7gの33質量%のポリスチレンシード水性分散液(平均粒径32nm)を装入し、撹拌下で85℃で加熱した。 この温度に達すると、13.8gのフィード2を、5分間のうちに計量供給した。 それに続き、同時に開始して、フィード1及び残量のフィード2を3時間にわたり、連続的に変わらない流量で、撹拌下で、かつ前述の温度を維持しながら、計量供給した。

    フィード1:次のものから構成される水性エマルション:
    メタクリル酸 17.0g
    アリルメタクリラート 8.5g
    スチレン 331g
    n−ブチルアクリラート 417g
    アクリルニトリル 51.0g
    35質量%の、N−メチロールアクリルアミドの水溶液 72.9g
    15質量%の、硫酸ラウリルナトリウムの水溶液(Disponil (R) SDS、Cognis GmbH社) 113g
    脱イオン水 355g。

    フィード2:次のものから構成される水溶液脱イオン水 64.0g
    過硫酸ナトリウム 5.0g。

    引き続き、重合混合物をさらに2時間85℃で後重合させ、そして、室温に冷却させた。 25質量%のアンモニア溶液の添加によって、pH値7.3に調節した。 得られたポリマー水性分散液は、水性分散液の全質量に対して52.5質量%の固形物含有量を有した。 数平均粒径は242nmと決定された。

    固形物含有量を一般に、所定量のポリマー水性分散液(約0.8g)を、Mettler Toledo社の湿分測定機HR73を用いて130℃の温度で恒量まで乾燥させること(約2時間)によって決定した。 そのつど2回の測定を実施した。 そのつど記載の値は、この測定の平均値である。

    ポリマーシード粒子の数平均粒径は一般に、23℃で、Autosizers IIC(Malvern Instruments社(英国))を用いて0.005〜0.01質量%のポリマー水性分散液での動的光散乱によって算出した。 記載したのは、測定した自動相関機能(ISO規格13321)の累積評価の平均直径(累積z平均)である。

    ポリマー比較分散液V2
    ポリマー比較分散液V2の製造を、ポリマー比較分散液V1の製造と同様に行ったが、フィード1において51.0gの代わりに289gのアクリルニトリルを、417gの代わりに298gのn−ブチルアクリラートを、そして、331gの代わりに212gのスチレンを使用した点で異なった。

    その得られた水性ポリマー分散液は、水性分散液の全質量に対して52.5質量%の固形物含有量を有した。 数平均粒径は235nmと決定された。

    ポリマー分散液K1
    ポリマー分散液K1の製造を、ポリマー比較分散液V1の製造と同様に行ったが、フィード1において51.0gの代わりに85.0gのアクリルニトリルを、417gの代わりに399gのn−ブチルアクリラートを、そして、331gの代わりに315gのスチレンを使用した点で異なった。

    その得られた水性ポリマー分散液は、水性分散液の全質量に対して53.2質量%の固形物含有量を有した。 数平均粒径は233nmと決定された。

    ポリマー分散液K2
    ポリマー分散液K2の製造を、ポリマー比較分散液V1の製造と同様に行ったが、フィード1において51.0gの代わりに136gのアクリルニトリルを、417gの代わりに374gのn−ブチルアクリラートを、そして、331gの代わりに289gのスチレンを使用した点で異なった。

    その得られた水性ポリマー分散液は、水性分散液の全質量に対して52.9質量%の固形物含有量を有した。 数平均粒径は237nmと決定された。

    ポリマー分散液K3
    ポリマー分散液K3の製造を、ポリマー比較分散液V1の製造と同様に行ったが、フィード1において51.0gの代わりに187gのアクリルニトリルを、417gの代わりに348gのn−ブチルアクリラートを、そして、331gの代わりに264gのスチレンを使用した点で異なった。

    その得られた水性ポリマー分散液は、水性分散液の全質量に対して52.7質量%の固形物含有量を有した。 数平均粒径は234nmと決定された。

    ポリマー分散液K4
    ポリマー分散液K4の製造を、ポリマー比較分散液V1の製造と同様に行ったが、フィード1において51.0gの代わりに238gのアクリルニトリルを、417gの代わりに323gのn−ブチルアクリラートを、そして、331gの代わりに238gのスチレンを使用した点で異なった。

    その得られた水性ポリマー分散液は、水性分散液の全質量に対して52.9質量%の固形物含有量を有した。 数平均粒径は240nmと決定された。

    B)適用技術的検査 含浸溶液の製造 含浸溶液の製造のために、ヒドロキシプロピル化ジャガイモデンプンEmsol (R) K55(Emsland Staerke GmbH社)を、20質量%の水溶液の形で使用した。

    含浸溶液の製造は、水性ポリマー分散液K1〜K4並びにポリマー比較分散液V1及びV2が、ヒドロキシル化ジャガイモデンプンEmsol (R) K55の水溶液と、均質に混合されて、ポリマー水性分散液対ヒドロキシル化ジャガイモデンプンのそのつどの固形物割合の質量比が7:3である(ポリマー水性分散液の固形分100質量部あたり42.9質量部のデンプンに相応)ように行われた。 引き続き、得られる均質なポリマー/デンプン混合物を、脱イオン水での希釈によって15質量%の固形物含有量に調節した。 相応して得られる水性分散液を、含浸溶液FK1〜FK4並びにFV1及びFV2と称する。

    結合した繊維フリースの製造 結合した繊維フリースの製造のために、粗製フリースとして、ニードリングした、125g/m 2密度を有するポリエチレンテレフタラート紡糸フリース(40cm長さ、37cm幅)(Freudenberg−Politex社)を使用した。

    結合した繊維フリースの製造のために、粗製フリースを長さ方向で、パジング機を備えた含浸設備HVF(Mathis社、ゴムロール ショアA=85°/鋼ロール)において、そのつどの含浸溶液FK1〜FK2並びにFV1及びFV2で含浸させた。 この場合に、そのつど湿分導入(Nasseintrag)を162.5gの含浸溶液(24.4gの固形物割合に相応)に調節した。 これに引き続いて、得られる含浸した繊維フリースを、ニードルフレームを有する実験室乾燥器LTV(Mathis社、空気循環運転)において、乾燥させ、硬化させた。 そのために、そのつどの含浸させた繊維フリースを、開いたニードルフレーム上に配置させ、閉じて固定し、引き続き3分間200℃で乾燥させ、硬化させた。 この場合に得られる結合した繊維フリースを、使用した含浸溶液に依存して、繊維フリースFK1〜FK4並びにFV1及びFV2と称する。 相応して得られる水性分散液を、含浸溶液FK1〜FK4並びにFV1及びFV2と称する。

    横方向での引裂力の決定 繊維フリースFK1〜FK4並びにFV1及びFV2の横方向での引裂力の決定を、DIN 52123に応じて、Frank社(型番71565)の引裂機械を用いて室温で行った。 そのつど5回の別個の測定を実施した。 表1に挙げた測定結果(N/50mm)は、これら測定のそのつどの平均値を示す。 この場合に、横方向での引裂力は、測定値が高いほどに、より良好と評価することができる。

    耐熱性測定 繊維フリースFK1〜FK4並びにFV1及びFV2の耐熱性の測定を、DIN 18192に準拠して、長さ方向で伸びの測定並びに横方向での収縮の測定(200℃)によって行った。 そのために、繊維フリースから長さ方向において100×340mmのストリップを打ち抜いた。 繊維フリースストリップ上に、そのつど両方の狭い側から出発してそのつど120mmの間隔で真ん中に標識を取り付け、ここで標識の間の測定区間100mmを生じた。 この測定区間の中央の領域で、繊維フリースストリップの幅を測定によって制御した。 それに引き続いて、狭い末端をクランプレール中に挟んだ。 それに平行して、乾燥棚中で測定に必要な三脚並びに8kgの重さの特殊鋼シリンダーを200℃に加熱した。 検査のために、標識付けされ、かつ測定される繊維フリースストリップを、クランプレールの1つを用いて、乾燥棚中にある三脚に固定しないで掛けて取り付けた。 それに引き続いて、8kgの重さの特殊鋼シリンダーを下側のクランプレールに掛け、乾燥棚扉を閉鎖し、そうして挟んだ繊維フリースを10分間200℃で乾燥棚中に放置した。 それに引き続いて、実験室三脚を負荷した繊維フリースストリップとともに乾燥棚から取り出し、5分間室温で冷却させた。 その後、まずは特殊鋼シリンダーを下側のクランプレールから、次いで上側のクランプレールを三脚から外した(三脚及び特殊鋼シリンダーを、次の測定のための温度処理のために再度乾燥棚中に置いた)。 上側及び下側のクランプレールを取り除いた後に、繊維フリースストリップを実験机の上に平らに配置させ、そして、両方の取り付けた標識の間のそのつどの間隔(長さ方向)並びに繊維フリースストリップの最も狭い箇所のそのつどの幅(横方向)を測定した。 そのつど測定を5個の別個の測定ストリップで実施した。 同様に表1に挙げた値は、この測定の平均値である。 この場合に、この結果は、長さ方向の伸びが小さく、そして、横方向の収縮が小さいほどに、より良好と評価できる。 熱処理前の相応する間隔に対し、長さ方向又は横方向での変化は、パーセンテージで示される。

    表1:室温での横引裂力並びに200℃での耐熱性の結果

    この結果からは、本発明の結合剤組成物を用いて製造した繊維フリースが室温で改善した横引裂力並びに200℃で改善した耐熱性を有することを明らかに認識できる。

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