【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】本発明は感圧接着性組成物に関し、より詳細には皮膚瘻装具の面プレートをシールするための保護用皮膚バリヤー材料としての使用に特に適した感圧接着性組成物に関する。 【0002】 【従来の技術および課題】皮膚バリヤーは、皮膚瘻(st oma)装具において一般的に使用されており、このバリヤーは、装具の面プレートを瘻周縁の皮膚表面に対してシールすることにより、それらの皮膚表面を瘻放出液への暴露から保護し、かつ放出液受袋(以下、液受袋と称することがある)の皮膚瘻接続開口部近辺からそのような放出液が漏出することを防ぐ。 そのようなバリヤーリングは、一般的に、例えば米国特許第4,973,323号明細書、同第4,834,731号明細書および同第4,710,182号明細書に記載の装具などの接着性面プレートの一部として皮膚瘻装具に包含されており、そのような皮膚瘻装具の構成要素として利用されている。 【0003】皮膚瘻に使用するための皮膚バリヤー組成物はある種の物理特性を有していなければならず、該物理特性の幾つかは従来から良く知られているが、他の特性は本発明により現時点で初めて知られるようになったか、あるいは少なくとも完全に知られるようになったものと信じられる。 例えば、バリヤー材料は皮膚に優しくなければならない。 即ち、バリヤー材料は滑らか、柔軟かつ皮膚非刺激性で、身体の動きに合わせて伸縮自在でなければならないことが知られている。 バリヤー材料は長い期間に亘って皮膚接着性を保持しなくてはならないが、その接着性はバリヤー使用中及び除去時に皮膚を傷付けたり、あるいは刺激したりする危険が生じる程に強いものであってはならない。 皮膚バリヤー組成物は十分に高い凝集強さを有して、その使用期間中崩壊に抗し、 かつ除去時に完全な状態を保って皮膚に残る残留物が殆どまたは全くないようにしなければならない。 従来の皮膚バリヤー組成物は上記目標特性の幾つかを達成していることが知られているが、他の特性、特にコントロールされた水和、ならびに飽和時における充分な強度を提供するという点に関しては、その特性を満足し得ていないことも知られている。 【0004】皮膚バリヤー組成物は、典型的には弾性接着性連続相全体に分散されたヒドロコロイド粒子を含有する。 通常「乾燥粘着性」と称される初期粘着性は前記連続相により提供されるが、そのようなバリヤーは閉鎖性であるかまたは呼吸不能であるので、液体を吸収することによりバリヤーの皮膚への接着を維持し、そして恐らくは接着を強化する分散ヒドロコロイドがバリヤー中に存在していなければ、バリヤーと皮膚との接着は発汗および皮膚瘻からの液体放出物によって剥離される可能性がある。 米国特許第4,551,490号明細書および他の文献が適切な吸水膨潤性ヒドロコロイドガムを開示しており、そのようなガムには、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチン、ゼラチン、グアーガム、イナゴマメガム、カラヤガムおよびそれらの混合物が含まれる。 前記米国特許第4,551,490号の連続相に使用されたエラストマーは低分子量のポリイソブチレン(約36,000 〜約58,000の粘度平均分子量を有する)であり、これにブチルゴム(約350,000〜約450,000の粘度平均分子量を有する)が配合されていてもよい。 【0005】前記特許の特許権者らは、弾性相がスチレンブロックコポリマー成分を含有することにより、組成物に伸長性および部分的な歪みからの回復性を提供する一助となし得ることをも開示している。 さらに、そのような組成物は、鉱油を含有して配合物の伸展性および接着性を増加させることも、適切な粘着剤および抗酸化剤を含有することもできる。 【0006】前記特許第4,551,490号明細書の教示に従い製造されたと信じられる市販の皮膚バリヤー組成物は、現時点では、皮膚瘻装具、特に尿路皮膚瘻(urosto my)および回腸皮膚瘻(ileostomy)における使用を意図した皮膚瘻装具のためのバリヤー材料としての有用性を約束するある種の特性を有していると認められている。 そのような装具において、バリヤーリングは皮膚瘻から液受袋に放出される液体に暴露される内縁を有しているので、その結果、特に内縁に沿ってバリヤー内のヒドロコロイド含量の液体吸収および膨潤が生じる。 バリヤーの吸水率が比較的高率であるために少なくとも内縁周辺部のバリヤーは飽和し、そして飽和部分の先端部はバリヤーリングの外縁に向かって外向きに進んでいき、 ときどきは2日間またはそれ以下の比較的短い装着期間の後に外縁に達する。 ひとたび飽和部分の先端部が外縁に達すると、漏出が生じ、そして装具の面プレート(または一体型装具であれば装具全体)の交換が必要となる。 【0007】飽和はそのようなバリヤー材料の凝集強さを大幅に減じるので、バリヤーリングまたは輪状ウエハの破れを避けるためにはそのような装具の除去時に多大な注意を払わなければならないことも判明した。 破れが生じてしまうと、長引く水和において発香性となることが知られている組成物中の特定成分がいっそう水和に晒されることとなり、特に強く不快な臭いが放出されるようになる。 より深刻なのは、しばしば破れの結果として、皮膚上に残留物として残るリング状のバリヤー部分とその他のバリヤー部分との少なくとも部分的な崩壊がもたらされるという事実である。 アルコールまたはその他の溶剤による残留物の除去は不便であるのみならず、 敏感な皮膚瘻および皮膚瘻周縁皮膚表面の刺激をもたらす結果を引き起こす可能性がある。 残念ながら、破れの危険性はバリヤー材料が強い湿性粘着性および飽和時における比較的低い凝集強さとを共に有する場合により増大する。 【0008】面プレートの内縁に沿った部分の飽和バリヤー材料が膨潤して液受袋または二個構成装具の液受袋継手リングに触れてしまうと、液受袋構成品が正しく繋がれないことにより、容易にバリヤー材料の破れが生じる恐れがある。 単に液受袋を交換しようとしただけであって、人体への接着性装具を面プレートから除去する意図を持たなかった使用者も、皮膚バリヤーリングの膨潤、接着および回避不能である破れまたは皮膚バリヤーリングの崩壊により、そのような面プレートの除去が必要となっていることに直ちに気付くであろう。 【0009】当該技術分野の状況について説明しているその他の特許明細書には、米国特許第4,166,051号明細書、同第4,204,540号明細書、同第4,231,369号明細書、 同第3,339,546号明細書、同第5,059,189号明細書、同第 4,393,080号明細書、同第4,192,785号明細書、同第4,74 3,499号明細書、および同第4,181,635号明細書がある。 【0010】 【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記した如き組成物、即ち皮膚瘻、特に尿路皮膚瘻および回腸皮膚瘻における使用を意図した皮膚瘻装具に用いられる従来のバリヤー組成物における課題を克服すべく鋭意研究を行った結果、上記課題は、低分子量ポリイソブチレンの使用を完全に回避すること、および1種類以上の高分子量ポリイソブチレンと1種類以上のスチレンブロックコポリマーとから実質的に全てが構成されるエラストマー配合物を用いて接着性バリヤー組成物を調製することにより克服し得ることを見出し、本発明を完成させるに至った。 【0011】即ち、本発明によれば、患者の皮膚瘻周辺部の皮膚表面に皮膚瘻装具の面プレートをシールするための使用に特に適した感圧接着性皮膚バリヤー組成物であって、1種類以上の高分子量ポリイソブチレンおよび1種類以上のスチレンブロックコポリマーから実質的に全てが構成されるエラストマー配合物;ペトロラタムまたは鉱油からなる群から選択される炭化水素可塑剤;カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチンおよびそれらの混合物から本質的になる群から選択され、付加的に他のヒドロコロイドガムを少量含むことができる吸水性ヒドロコロイド;粘着付与剤;および抗酸化剤の実質的に均質な混合物から本質的になることを特徴とする、感圧接着性皮膚バリヤー組成物が提供される。 【0012】より詳細には、本発明によるバリヤー組成物のエラストマー配合物中の1種類以上のポリイソブチレンは、約750,000〜2,350,000の範囲内、好ましくは約 1,000,000〜1,900,000の範囲内の粘度平均分子量を有していなければならない。 組成物全体に対する重量%を基準とすれば、エラストマー配合物は組成物の25%未満を構成し、このとき高分子量ポリイソブチレンは約2〜15 重量%の範囲内であり、スチレンブロックコポリマーは約5〜20重量%を構成する。 吸水膨潤性ヒドロコロイドは組成物の約35〜65重量%を構成するが、該ヒドロコロイドは、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ペクチンおよびそれらの混合物から本質的になる群から選択され、かつ付加的に他のヒドロコロイドガムを少量含むことができる。 ゼラチンの包含は回避することが好ましい。 接着性組成物中にはペトロラタムまたは鉱油のどちらか一方が可塑剤として(6〜20重量%)含まれるが、 ペトロラタムがより好ましい。 組成物は、付加的に、約 10〜35重量%の粘着付与剤および約1重量%までの抗酸化剤を含有する。 【0013】本発明の皮膚瘻用皮膚バリヤー組成物、およびそのような組成物を利用する皮膚瘻装具のためのウエハまたは面プレートは、実際的および模擬的使用条件下において特筆すべき耐用性を有している。 本発明の皮膚バリヤー組成物を利用した面プレートの装着期間は8 日間またはそれ以上であり、従来のバリヤー組成物を利用した装具の装着期間を遥かに越えている。 このように延長された装着期間をもたらす一因は、水和がより緩慢にコントロールされた様式で生じ、そのような水和が発汗の吸収をもたらすことにより装具が皮膚への有効な接着を維持する一方、輪状バリヤーの内縁から外方へ進む飽和部分の先端部の進出は通常の使用条件および期間ではバリヤーの外縁に到達して漏出を引き起こすことのない程緩慢であるという事実である。 水和されたときであっても組成物は比較的強度を保って破れに抗するので、 そのようなバリヤーは、その一部または断片を皮膚に粘着させたまま残すことなく、延長された装着期間後に無傷のままでより容易に除去されることができる。 【0014】組成物が二個構成装具のバリヤー材料として使用されるときには、従来遭遇していた問題、即ち面プレートの内縁で形成された膨潤バリヤー材料の「タートルネック」が液受袋(または液受袋のリング)に接着して破れ、交換のために液受袋が外されるときに面プレートの除去が必要となるという問題が排除されるか、または大幅に減少させられる。 水和後に皮膚バリヤーがどうにかして破れたときでさえ、実質的に従来よりは不快でない臭いが漏れ出すが、この不快度の減少はバリヤー配合、特に組成物中に実質的な量のゼラチンが存在しないことに起因する。 本発明のその他の特徴、利点および目的は本明細書の記載から明らかとなろう。 【0015】 【発明の具体的な説明】本発明の感圧接着性組成物は皮膚瘻装具の面プレートを患者皮膚瘻周辺部の皮膚表面にシールするに特に適しているが、それは本発明組成物がそのような使用において特に有利な物理的特性を有しているからである。 その目的のために、組成物は約 0.010 〜0.090インチ(0.254〜2.286mm)の厚みを有し、かつその一面に沿って薄く柔軟な熱可塑性バッキング層でバッキングされたウエハに形成され、次にそのようなバッキング層は液受袋に直接的または間接的に固定される。 ウエハのその反対側の面または表面、即ちウエハの身体側表面は、シリコーン被覆剥離シートなどの着脱可能な保護カバーで使用時まで被覆されることもできる。 理想的には、バッキング層は、ポリウレタン膜等の熱可塑性エラストマー、または DuPont 社(Wilmington, Delawa re)から商品名 Hytrel として販売されているタイプのコポリエステル膜もしくは Elf Atochem 社(Philadelp hia,Pennsylvania)から商品名 Pebax として販売されているポリエーテル-ブロックアミド膜から構成され得るが、その他の非弾性膜、発泡体および不繊布材料を使用することもできる。 【0016】本発明の組成物は実質的に接着性粘弾性連続相を形成する選択された成分の均質な混合物であり、 前記連続相中に吸水性かつ膨潤可能なヒドロコロイド粒子が分散されている。 連続相の本質的な成分は、1種類以上の高分子量ポリイソブチレン 約2〜15重量%(好ましくは3〜7重量%)および1種類以上のスチレンブロックコポリマー 約5〜20重量%(好ましくは7〜14重量%)から実質的に全てが構成されるエラストマー配合物である。 本明細書において、「高分子量ポリイソブチレン」という術語は約750,000〜2,350,000(好ましくは約 1,000,000〜1,900,000)の範囲内の粘度平均分子量を有するポリイソブチレンを意味するが、この粘度平均分子量は20℃におけるジイソブチレンの極限粘度測定から求めたものである。 そのようなポリイソブチレンは商業的に入手可能であり、例えば、Exxon 社(Houston, Texa s)から商品名Vistnex MM-L80, MM-L100, MM-L120 および MM-L140 として販売されていることが知られている。 【0017】上記高分子量ポリイソブチレンと配合するに適したスチレンブロックコポリマーは、スチレン-オレフィン-スチレンブロックコポリマーとして一般的に定義され得る。 本発明の目的に特に適しているのは、スチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーおよびスチレン-ブタジエン-スチレンコポリマーであり、これらは共に、例えば Shell Chemical 社および他の供給業者から商業的に入手可能である。 商品名 Kraton 1107 (Shell Chemical 社製)として市販されているスチレン-イソプレン-スチレンブロックコポリマーが特に適切であると信じられるが、Kraton 1100, 1101, 1102 等の他の Kraton コポリマーも適切であると考えられる。 【0018】ペトロラタムは本発明の接着性バリヤー組成物における炭化水素可塑剤成分として最も有利であるが、鉱油も使用可能であることが見出された。 ペトロラタムは鉱油に比べて比較的粘稠であり、そして室温下では非流動性であるが、これらの特性は柔軟粘弾性かつ接着性である皮膚バリヤー組成物の達成に望ましいものであると信じられる。 一般的に本発明組成物はペトロラタムまたは鉱油可塑剤を約6〜20重量%含有すべきであるが、好ましくは約8〜15重量%の範囲で可塑剤を含有する。 【0019】本発明の皮膚バリヤー組成物はまた、湿気を吸収してそのような湿気が皮膚表面への接着を剥がすことを防止し得る1種類以上の水溶性ヒドロコロイドガムも含有する。 好ましいヒドロコロイドガムはカルボキシメチルセルロースナトリウムおよびペクチンであるが、少量のその他のヒドロコロイドガム、例えばゼラチン、グアーガム、イナゴマメガム、ナトリウム-カルシウムアルギン酸塩、カラヤガムおよびそれらの混合物を含有してもよい。 組成物のヒドロコロイド含量は、一般的に約35〜65重量%(好ましくは約40〜55重量%)の範囲内であるが、その際、概ね2:1の割合のペクチンおよびカルボキシメチルセルロースナトリウムから本質的になるヒドロコロイド含量であることが好ましい。 【0020】また、本発明のバリヤー組成物は、均質に分配されて組成物の連続相の一部を形成する1種類以上の炭化水素粘着付与剤樹脂も含有するべきである。 特に有効な結果は、Hercules 社(Wilmington, Delaware) から商品名 Piccotac 95 として商業的に入手可能な脂肪族炭化水素樹脂粘着付与剤により得られるが、他の粘着付与剤、例えば、ロジンのトリメチロールプロパンエステル(Hercules 社製Staybelite Ester 10)またはロジンのペンタエリトリトールエステル(Hercules社製 Pe ntalyn H)も使用することができる。 本発明のバリヤー組成物に使用するに適切であると信じられるその他の粘着付与剤は、やはり商業的に入手可能なベータピネンまたはシクロペンタジエン樹脂である。 粘着付与剤含量は、一般的には約10〜35重量%、好ましくは約20〜30重量%の範囲内であるべきである。 さらに、本発明のバリヤー組成物は約1重量%以下の適切な抗酸化剤、例えばC iba Geigy 社製 Irganox 1010 および Irganox 1076 (商品名)を含有していてもよい。 その他の商業的に入手可能な抗酸化剤も使用することができる。 【0021】本発明のバリヤー組成物は次の如く調製される。 最初に、エラストマー、即ち高分子量ポリイソブチレンおよびスチレンブロックコポリマーを、抗酸化剤と、高剪断シグマブレードミキサー等の高負荷ミキサー中で約120〜150℃の温度に熱して配合する。 配合を続けながら可塑剤、好ましくはペトロラタムを添加し、そして配合の最終段階において、約80〜100℃の温度にてヒドロコロイドを連続相成分と混合して、均質な接着性皮膚バリヤー混合物を製造する。 次ぎに、接着性の塊を押出してシリコーン被覆剥離紙上に圧延またはプレスし、 そして熱可塑性膜またはその他の材料の柔軟なバッキング部材を接着性バリヤー層の別の面にラミネートする。 【0022】後続工程において、ラミネート物を切断して所望のサイズおよび形状のウエハまたはブランケットを形成し、そして前記バッキング層を液受袋の壁面(一体型装具の場合)またはそのような液受袋に着脱自在に接続可能な継手リング(二個構成装具の場合)に接着させるが、その接着手段はヒートシールであることが好ましい。 装具がどちらの型の場合でも、柔軟なバッキング層でバッキングされた皮膚バリヤー組成物のウエハは、 患者の皮膚瘻周辺皮膚表面に対する接着性シール装着物の輪状面プレートとなる。 所望であれば、そのような面プレートは他の特徴、例えば米国特許第4,213,458号の中間装着リングおよび微孔性パッチ、または米国特許第 4,419,100号の浮動フランジ構造等を包含して製造することができ、それらの特許の開示がここに参考として取り入れられる。 下記実施例は、本発明をさらに説明するものである。 【0023】 【実施例】 実施例1〜6本発明の実施態様である感圧皮膚バリヤー組成物を下記表に示す成分からなるように調製した。 表中の数字は重量%で表されている。 【0024】 【表1】 【0025】高分子量ポリイソブチレン、スチレン-イソプレン-スチレンコポリマー、および抗酸化剤を(約1 30℃に)熱してシグマブレードミキサー中で約10分間配合した。 次に、可塑剤(ペトロラタムまたは鉱油)を前記配合物に添加して約25分間混合した後、粘着付与剤、 カルボキシメチルセルロースナトリウムおよびペクチンを添加した。 実施例5においては、さらにゼラチンも添加した。 混合は約90℃で約40分間かけて均質な塊が得られるまで実施した。 【0026】得られた塊を放置して冷却させ、そしてシリコーン被覆剥離紙のシート上で所望の厚みに扁平化させた。 ある場合には、各々のウエハの反対側の面を厚さ 0.0012インチ(0.03048mm)の熱可塑性エラストマー(H ytrel)で被覆し、そして他の場合には各々のウエハの反対側の面をシリコーン被覆剥離紙で被覆して両方の剥離シートが製品試験のために除去可能となるようにした。 【0027】 実施例7〜11これら実施例7〜11の感圧皮膚バリヤー組成物は本発明の実施態様ではないが、前記実施例1〜6との比較分析をするための組成物であり、下記表に示す成分を含有していた。 表中の数字は重量%で表されている。 【0028】 【表2】 【0029】実施例7〜11は実施例1〜6に概要を記した一般的手法に従い調製した。 実施例7は米国特許第 5,059,189号明細書の実施例1に開示されたと同一の組成物であり市販の製品(Durahesive)と同一または実質的に同一の配合物であるものと信じられる。 【0030】 実施例12本実施例において、実施例1〜11の組成物をそれぞれ、実際の使用条件を模した実験室条件下に液体の動的吸収について試験した。 この試験目的のために、各々の試料を、直径3.25インチ(82.55mm)および厚み0.070インチ(1.778mm)を有しその一面が厚み0.0012インチ(0.03048mm)の熱可塑性弾性膜(Hytrel)で覆われた環状ウエハの形状とした。 各々の試料の中心に直径0.75 インチ(19.5mm)の環状開口部を設け、それに対応する部分のバッキング層も取り除いた。 各々のウエハの反対側の面を、試料の開口部に対応する開口部を有する両面接着性貼付シート(Avery Fasson Fast Tape 445)に、 互いの開口部が合うように接着させたが、この貼付シートの目的は取り外し時に掛かる力による試料の損傷を避けながら試験装置の表面に試料を装着および取り外しすることを可能にすることであった。 【0031】動的吸収試験装置はゴム製貼付板を包含していたが、この貼付板は皮膚表面を模した平滑な垂直面を有し、かつその中心部に皮膚瘻開口部を模した横向き開口部を有していた。 この貼付板を通る液体循環通路を、管を介してポンプおよびヒーターに接続し、このヒーターにより貼付板を通って循環する水を、体温を模した温度である35〜40℃にまで熱した。 水を含有する溜めを直径1/16インチ(1.5875mm)の軟質管を介して貼付板中心部の開口部およびカムを備えた蠕動性ポンプに接続した。 このポンプにより室温下に毎分20イクルの頻度で管の壁面を屈曲させ、24時間当たり約1,500ミリリットルの速度で溜めから貼付板の開口部内に水を送り込んだ。 【0032】両面接着性シートにより各々の試料を貼付板の表面に、互いの開口部が合うように接着させた。 そして試験装置を操作して、溜めからの水が貼付板の開口部内に滴下されて、試料の開口部を通過し得るようにさせた。 2、7、10および14日間の間隔でバリヤー材料の各々の試料を取り外し、計量して吸水により増加した累積重量を測定した。 得られた結果を下記表に示す。 【0033】 【表3】 【0034】試料1〜6は本発明を利用しており、実施例6以外は、2日間および7日間の吸水に因る重量増加が試料7〜11のそれよりも少なかった。 表中の「D」 という文字は、試料8および10が10日間後に崩壊して14日間の試験サイクル最終日までも保たなかったことを示している。 試料7の外観による観察は、12日目までに飽和部分の先端部がその外縁まで進み、明らかにその時点で既に試料7が内縁から外縁までの半径方向における漏出を防ぎ得なくなったことを明らかにした。 また、14日目までに試料9および11の飽和部分の先端部もその外縁に達した。 従って、試料7、9および11 に示した星印(*)は、それらの試料が試験期間終了時点またはそれ以前に漏出を防ぎ得なくなったことを示している。 これとは対照的に、試料1〜6の全てにおいて、飽和部分の先端部の半径方向への進行は他の試料よりも緩慢であり、14日間の試験期間終了時点では外縁に到達していなかった。 【0035】試料1および7に関して、試験結果は臨床的に観察されている知見と一致している。 試料1は本発明の接着性組成物を有するウエハであり、現在商品化されている。 そして試料7は本発明の実施態様ではないがやはり商業的に入手可能な、代表的なバリヤー製品(Du rahesive)であると信じられる。 臨床研究は、実際の使用時において、試料1の組成物を有するウエハと比較して、試料7に対応する組成物を有するウエハがより大量の液体を吸収し、飽和部分の先端部がより早くウエハの外縁へ向かって進み、そして装着期間を実質的に減少させて数日間未満にするという観察を支持している。 【0036】 実施例13本実施例において、実施例1〜11の試料( Hytrel によりバッキングし、剥離紙を剥離した)を尿を模したもの(尿模擬物)に浸し、その重量増加を1、6および24 時間の間隔にてグラム単位で測定する試験を行った。 得られた結果を下記に示す。 【0037】 【表4】 【0038】 実施例14実施例1〜11のバリヤー組成物の引張特性をインストロン機械(4501型)にて試験し、ピーク時および破断時の双方における各々の試料の応力および歪を測定した。 また、10%、20%および50%歪時における応力も測定した。 そのような試験の目的のために、バリヤー材料のストリップをバッキングせずに切断した。 各々のストリップの幅は1/2インチ(12.7mm)であった。 各々のストリップの両端部を、初期設定距離1インチ(25.4mm)として、それぞれ機械のあご内に配置し、毎分2.5インチ(6.35mm)のクロスヘッド速度であご間の距離を広げていった。 本試験により、各々のバリヤー材料の引張強さおよび凝集強さを示す下記のデータが得られた。 【0039】 【表5】 【0040】 実施例15実施例1〜11のバリヤー組成物の圧縮永久歪を測定する目的で、各々のバリヤー材料の試料を切断して直径1 インチ(25.4mm)とした。 次ぎに、剥離紙で挟んだ試料を60℃に設定したオーブン中の堅く水平な表面上に置いて、各々の試料上に5Kgの重しを乗せた。 1時間後、試料をオーブンから取り出し、インチ単位で小数点第3位までその直径を測定した。 測定は、最初の測定点からの角度で表して、それぞれ0(最初の測定点)、45、9 0および135度の角度を有する4測定点にて行った。 得られた測定値の平均を各々の試料について計算し、1 時間後における圧縮永久歪を初期直径の百分率として下記式に従い計算し、下表に示す結果を得た。 【0041】 【化1】 【0042】 【表6】 【0043】以上、本発明の実施態様を説明を目的としてできるだけ詳細に開示してきたが、これらの詳細の幾多の点を本発明の精神および主題から逸脱することなく変更し得ることは、当業者には容易に理解できるであろう。 |