接着剤

申请号 JP2016541670 申请日 2014-12-19 公开(公告)号 JP2017502146A 公开(公告)日 2017-01-19
申请人 ニュージーランド フォレスト リサーチ インスティテュート リミテッド; ニュージーランド フォレスト リサーチ インスティテュート リミテッド; 发明人 グリグスビー、ウォーレン・ジェームズ;
摘要 【解決手段】 水 性接着剤組成物およびそのような組成物を調製する方法が開示される。組成物は高分子錯体を含み、高分子錯体は(A)第1の成分であって、(i)骨格要素および(ii)ポリフェノールを含む第1の成分、および(B)第2の成分であって、ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸またはポリアミンを含む第2の成分を含む。骨格要素は(a)ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸もしくはポリアミン、(b)多糖、オリゴ糖もしくは単糖もしくは糖複合体、または(c)リグニン、リグナンもしくはリグニン複合体を含む。ポリフェノールはタンニン、タンニン酸、フラボノイドまたはポリレゾルシノールを含む。第1の成分を含む接着剤前駆体組成物も開示される。【選択図】なし
权利要求

高分子錯体を含む性接着剤組成物であって、前記高分子錯体が (A)第1の成分であって、 (i)以下の(a)、(b)、(c)から選ばれた骨格要素: (a)ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸、ポリアミンまたはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ、 (b)多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ;または多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせと第1のリンカー分子とを含む糖複合体;および (c)リグニン;リグナン;またはリグニンと第2のリンカー分子とを含むリグニン複合体;および (ii)タンニン、タンニン酸、フラボノイド、ポリレゾルシノールまたはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせを含む、ポリフェノールを含む、第1の成分、ならびに (B)ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸、ポリアミンまたはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせを含む、第2の成分 を含むものである、水性接着剤組成物。骨格要素とポリフェノールとの比率が、乾燥重量基準で約20:1〜約1:1である、請求項1に記載の接着剤。骨格要素(a)とポリフェノールとの比率が、乾燥重量基準で約15.5:1〜約2:1である、請求項1に記載の接着剤。骨格要素(b)とポリフェノールとの比率が、乾燥重量基準で約3:1〜約7:1である、請求項1に記載の接着剤。骨格要素(c)とポリフェノールとの比率が、乾燥重量基準で約7:1〜約2:1である、請求項1に記載の接着剤。ポリフェノールと第2の成分との比率が、乾燥重量基準で約1:1〜約1:8である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の接着剤。前記第1のリンカー分子および第2のリンカー分子が、それぞれ、以下のものから独立して選ばれたものである、請求項1〜6のいずれか1項に記載の接着剤: (a)ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸またはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ、 (b)無機ポリヒドロキシル化非金属化合物またはそのエステルもしくは塩、 (c)アミン化合物またはその塩、 (d)チオール化合物またはその塩、 (e)金属イオン、 (f)アルデヒド化合物;またはカルボン酸化合物もしくはその塩、エステル、酸無水物もしくはハロゲン化物;および (g)上記の任意の2種以上の任意の組み合わせ。前記第1のリンカー分子が、ポリヒドロキシル化ホウ素、リン、ケイ素またはイオウ化合物、もしくはそのエステルもしくは塩である、請求項7に記載の接着剤。前記第2のリンカー分子が、天然アミノ酸、少なくとも2個の炭素原子を有する非天然アミノ酸、少なくとも2個の炭素原子を有するポリアミン、および少なくとも2個の炭素原子を有するヒドロキシアミン、またはそれらの塩から選ばれたアミン化合物である、請求項7に記載の接着剤。前記第2のリンカー分子が、少なくとも2個の炭素原子;チオール基;および前記リグニン複合体中で共有結合または非共有結合を形成することができる少なくとも1個の追加の官能基;を含むチオール化合物である、請求項7に記載の接着剤。前記第2のリンカー分子が、約1〜約12個の炭素原子を含むアルデヒドである、請求項7に記載の接着剤。前記第2のリンカー分子が、約1〜約12個の炭素原子を含むアルデヒド、およびアミン化合物を含むものである、請求項7に記載の接着剤。前記第2のリンカー分子が、ポリヒドロキシル化ホウ素、リン、ケイ素またはイオウ化合物もしくはそのエステルもしくは塩;およびカルボン酸化合物またはその塩、エステル、酸無水物もしくはハロゲン化物を含むものである、請求項7に記載の接着剤。前記第2の成分、骨格要素(a)、第1のリンカー分子または第2のリンカー分子が、ゼイン、ダイズ、ケラチン、グルテン、カゼインもしくはホエイポリペプチドもしくはオリゴペプチド、またはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせである、請求項1〜13のいずれか1項に記載の接着剤。前記ポリフェノールが、タンニンまたはタンニンとリグニンとの混合物を含むものである、請求項1〜14のいずれか1項に記載の接着剤。前記組成物が1種以上のタンパク質変性剤を含むものである、請求項1〜15のいずれか1項に記載の接着剤。前記組成物が、有機溶媒、界面活性剤、分散剤、粘度調整剤および疎水化剤から成る群から選ばれた1種以上の添加物を含むものである、請求項1〜16のいずれか1項に記載の接着剤。第1の成分を含む接着剤前駆体組成物であって、前記第1の成分が、 (i)下記(a)、(b)、(c)から選ばれた骨格要素: (a)ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸、ポリアミンまたはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ、 (b)多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ;または多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせと第1のリンカー分子とを含む糖複合体、および (c)リグニン;リグナン;またはリグニンと第2のリンカー分子とを含むリグニン複合体、ならびに (ii)タンニン、タンニン酸、フラボノイド、ポリレゾルシノールまたはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせを含む、ポリフェノール を含むものである、接着剤前駆体組成物。高分子錯体を含む水性接着剤組成物を製造する方法であって、 (1)第1の成分を含む水性組成物を準備する工程であって、前記第1の成分が、 (i)以下の(a)、(b)、(c)から選ばれた骨格要素: (a)ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸、ポリアミンまたはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ、 (b)多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ;または多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせと第1のリンカー分子とを含む糖複合体、および (c)リグニン;リグナン;またはリグニンと第2のリンカー分子とを含むリグニン複合体、および (ii)タンニン、タンニン酸、フラボノイド、ポリレゾルシノールまたはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせを含む、ポリフェノール、 を含む工程、ならびに (2)ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸、ポリアミンまたはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせを含む第2の成分を添加混合して、前記高分子錯体を形成する工程 を含む、方法。前記工程(1)が、 (a)前記骨格要素を含む水性組成物を準備する工程、および (b)前記ポリフェノールを添加混合して、前記第1の成分を形成する工程 を含む、請求項19に記載の方法。前記工程(1)(a)が、 (i)水性組成物を準備する工程であって、前記水性組成物が(a)多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ、もしくは(b)第1のリンカー分子を含む工程、および (ii)前記(a)もしくは(b)の他方を添加混合して、糖複合体を形成する工程、または (i)水性組成物を準備する工程であって、前記水性組成物が(a)リグニン、もしくは(b)第2のリンカー分子を含む工程、および (ii)前記(a)もしくは(b)の他方を添加混合して、リグニン複合体を形成する工程 を含む、請求項19または20に記載の方法。前記工程(1)、(1)(a)、または(1)(a)(i)もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせを準備する工程が、前記第1の成分、前記骨格要素、前記多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ、前記第1のリンカー分子、前記リグニンまたは前記第2のリンカー分子を水性溶液中に可溶化、溶解、分散または懸濁する工程を含む、請求項19〜21のいずれか1項に記載の方法。前記工程(2)、(1)(b)または(1)(a)(ii)もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせの添加混合する工程が、アルカリ性pHまたは高められた温度もしくはその両方で実施される、請求項22に記載の方法。前記pHが約8〜約13である、請求項23に記載の方法。前記温度が約50〜約95℃である、請求項23または24に記載の方法。前記工程(2)、(1)(b)または(1)(a)(ii)もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせの添加混合工程が、1つ以上の条件を調節して、前記高分子錯体、第1の成分、糖複合体またはリグニン複合体を形成する工程をさらに含む、請求項19〜25のいずれか1項に記載の方法。前記1つ以上の条件を調節する工程が、前記pHまたは温度もしくはその両方を下げる工程を含む、請求項26に記載の方法。前記工程(2)、(1)(b)または(1)(a)(ii)もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせの添加混合工程が、さらなる第2の成分、さらなるポリフェノール、さらなる多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ、さらなる第1のリンカー分子、さらなるリグニンまたはさらなる第2のリンカー分子を添加混合する工程をさらに含む、請求項19〜27のいずれか1項に記載の方法。前記工程(2)、(1)(b)または(1)(a)(ii)もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせの添加混合工程が、反応混合物の凝集を抑制するまたは防止する条件の下で実施される、請求項19〜28のいずれか1項に記載の方法。前記第2の成分が、前記第2の成分の可溶化、溶解、分散または懸濁を促進する1種以上の添加物と一緒に添加混合され、または前記添加物を添加混合した後に添加混合される、請求項19〜29のいずれか1項に記載の方法。前記添加物がタンパク質変性剤である、請求項30に記載の方法。前記工程(2)が、1種以上の粘度調整剤を添加混合する工程をさらに含む、請求項19〜31のいずれか1項に記載の方法。前記工程(2)が、1種以上の分散剤を添加混合する工程をさらに含む、請求項19〜32のいずれか1項に記載の方法。第1の成分を含む接着剤前駆体組成物を製造する方法であって、 (1)骨格要素を含む水性組成物を準備する工程であって、前記骨格要素が以下の(a)、(b)、(c)から選ばれる工程: (a)ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸、ポリアミンまたはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ、 (b)多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ;または多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせと第1のリンカー分子とを含む糖複合体、および (c)リグニン;リグナン;またはリグニンと第2のリンカー分子とを含むリグニン複合体、ならびに (2)前記骨格要素を、タンニン、タンニン酸、フラボノイド、ポリレゾルシノールまたはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせを含むポリフェノールに添加混合して、前記第1の成分を提供する工程 を含む方法。請求項1〜19のいずれか1項に記載の、硬化されたまたは硬化可能な接着剤組成物を含むものである、リグノセルロース基板。前記基板がリグノセルロース複合材料である、請求項35に記載の基板。前記基板が、リグノセルロース繊維、粒子、フレーク、ストランド、チップまたはシートを含むリグノセルロース複合材料である、請求項35または36に記載の基板。前記基板が、パーティクルボード、配向性ストランドボード、ウエハーボード、ファイバーボード、パラレルストランドランバー、積層ストランドランバー、合板、単板積層材、フィンガー継ぎ材、スクリンバーボード、板紙、ライナーボードまたは他のエンジニアリングウッド製品もしくはエンジニアリングウッド製品ボードである、請求項35〜37のいずれか1項に記載の基板。リグノセルロース複合材料を製造する方法であって、請求項1〜17のいずれか1項に記載の接着剤組成物をリグノセルロース繊維、粒子、フレーク、ストランド、チップまたはシートに施与する工程、および前記繊維、粒子、フレーク、ストランド、チップまたはシートから複合材料を形成する工程を含む、方法。

说明书全文

本発明は、リグノセルロース複合材料、たとえば合板、中密度繊維板、パーティクルボードおよび単板の製造に、および木材の接合および包装に使用されるのに特に適している接着剤ならびにそのような複合材料を製造する方法に関する。

中密度繊維板、パーティクルボード、および他のパネルボード、合板および単板、および類似の工業化木質製品は、典型的には、接着剤または樹脂で結合された、小片あるいは薄板としてのリグノセルロースまたはセルロース材料から成り、その組成物がその後パネルまたは類似物へとプレスされまたは成形され、そして加熱され接着剤が硬化されて形状が固定され、かつ内部結合が形成される。

工業的に、最も一般に使用されている接着剤は、尿素ホルムアルデヒド(UF)樹脂およびフェノール−ホルムアルデヒド樹脂である。イソシアネート樹脂も使用されている。フェノール樹脂は、優れた材料特性、たとえば安定性、硬さおよび耐性を備えた複合材料を提供する。UF樹脂は良好な強さを提供し、極めてコスト競争がある。しかし、両樹脂には不利な点を有する。両者は化石燃料に由来する合成樹脂であり、両者とも製造時および得られたパネルの使用時に、揮発性有機化合物、特にホルムアルデヒドの発生および放出をもたらす。

UF樹脂およびフェノール樹脂の材料特性を保持しながら、ホルムアルデヒドを含まず、再生可能なまたはほとんど再生可能な資源からつくられた樹脂があれば、木質複合材料産業、木質複合材料使用者、屋内居住空間および環境にとって潜在的に有益であろう。理想的には、どのようなそのような樹脂であっても、それがあれば現在の生産設備および生産計画に、とりわけ樹脂のハンドリングおよび適用、プレスおよび硬化のような事柄に関して適合できるであろう。理想的には、そのような樹脂があれば、典型的な接着剤の製造手法を使用して配合処方されることができるであろう。

本発明の目的は、木材と他のリグノセルロース基板とを接着するのに適しており、好ましくはホルムアルデヒドを含んでいないかまたはホルムアルデヒドの放出を低減することができ、かつ再生可能な材料から実質的に成る接着剤を提供すること、または少なくとも有用な選択枝を人々に提供することである。

1つの様相では、本発明は、高分子錯体を含む、から成る、またはから実質的に成る水性接着剤組成物を提供し、該高分子錯体は (A)第1の成分であって、 (i)以下の(a)、(b)、(c)から選ばれた骨格要素: (a)ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸、ポリアミンまたは それらの任意の2種以上の任意の組み合わせ、 (b)多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意 の組み合わせ;または多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせと第1のリンカー分子とを含む糖複合体、および (c)リグニン;リグナン;またはリグニンと第2のリンカー分子とを含むリグニン複合体、および (ii)タンニン、タンニン酸、フラボノイド、ポリレゾルシノールまた はそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせを含む、ポリフェノール、 を含む、第1の成分、ならびに (B)ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸、ポリアミンまたはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせを含む、第2の成分 を含む。

以下のいずれの実施形態も、本明細書に記載されたいずれの様相にも適用されることができる。

1つの実施形態では、骨格要素とポリフェノールとの比率は、乾燥重量基準で約20:1〜約1:1、約20:1〜約2:1、約15:1〜約1:1、約15:1〜約2:1、約10:1〜約2:1、約10:1〜約1:1、約7:1〜約2:1、約7:1〜約3:1、約6:1〜約2:1、約6:1〜約3:1、約5:1〜約3:1、約4:1〜約3:1、約4:1または約3:1である。

1つの実施形態では、骨格要素(a)とポリフェノールとの比率は、乾燥重量基準で約15.5:1〜約2:1である。別の実施形態では、骨格要素(a)とポリフェノールとの比率は乾燥重量基準で約3.9:1である。

1つの実施形態では、骨格要素(a)とポリフェノールと第2の成分との比率は、乾燥重量基準で約3〜5:1:5.6である。

1つの実施形態では、骨格要素(b)とポリフェノールとの比率は、乾燥重量基準で約3:1〜約7:1である。いくつかの実施形態では、該比率は乾燥重量基準で5:1である。

1つの実施形態では、骨格要素(c)とポリフェノールとの比率は、乾燥重量基準で約7:1〜約2:1である。別の実施形態では、骨格要素(c)とポリフェノールとの比率は乾燥重量基準で約6.3:1〜約2.6:1である。別の実施形態では、骨格要素(c)とポリフェノールとの比率は乾燥重量基準で約5.3:1〜約3:1である。別の実施形態では、骨格要素(c)とポリフェノールとの比率は乾燥重量基準で約3.2:1である。

1つの実施形態では、ポリフェノールと第2の成分との比率は、乾燥重量基準で約1:1〜約1:8、約1:2〜約1:8、約1:1〜約1:7、約1:2〜約1:7、約1:3〜約1:7、約1:1〜約1:6、約1:2〜約1:6、約1:3〜約1:6、約1:6、約1:5、約1:4、約1:3または約1:2である。

1つの実施形態では、ポリフェノールと第2の成分との比率は、乾燥重量基準で約1:2〜約1:6である。別の実施形態では、ポリフェノールと第2の成分との比率は乾燥重量基準で約1:2.8である。

1つの実施形態では、第2の成分とポリフェノールとの比率は、乾燥重量基準で約3:1〜約7:1である。別の実施形態では、第2の成分とポリフェノールとの比率は乾燥重量基準で約2.8:1〜約6.7:1である。別の実施形態では、第2の成分とポリフェノールとの比率は乾燥重量基準で約5.5:1である。

1つの実施形態では、第2の成分とポリフェノールとの比率は、乾燥重量基準で約2:1〜約7:1である。いくつかの実施形態では、第2の成分とポリフェノールとの比率は乾燥重量基準で約5.6:1である。

いくつかの実施形態では、糖複合体は、同じでも異なってもよい複数の第1のリンカー分子を含む。

いくつかの実施形態では、リグニン複合体は、同じでも異なってもよい複数の第2のリンカー分子を含む。

1つの実施形態では、第1のリンカー分子および第2のリンカー分子は、それぞれ、以下のものから独立して選ばれる: (a)ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸またはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ、 (b)無機ポリヒドロキシル化非金属化合物またはそのエステルもしくは塩、 (c)アミン化合物またはその塩、 (d)チオール化合物またはその塩、 (e)金属イオン、 (f)アルデヒド化合物;またはカルボン酸化合物もしくはその塩、エステル、酸無水物もしくはハロゲン化物、および (g)上記の任意の2種以上の任意の組み合わせ、たとえば上記の3種、4種、5種または6種以上の任意の組み合わせ。

ある実施形態では、第1のリンカー分子および第2のリンカー分子は、それぞれ(a)〜(g)から独立に選ばれ、その場合に(f)はアルデヒド化合物である。

いくつかの実施形態では、第1のリンカー分子および/または第2のリンカー分子は独立して、2個以上、たとえば3個、4個、5個またはそれ以上の互いに隣接しているリンカー分子を含み、その場合に該リンカー分子は(a)〜(f)から選ばれる。

いくつかの実施形態では、糖複合体は第1のリンカー分子を含み、該第1のリンカー分子は2個以上、たとえば3個、4個、5個またはそれ以上の、(a)〜(f)から選ばれた互いに隣接しているリンカー分子を含む。

いくつかの実施形態では、、リグニン複合体は第2のリンカー分子を含み、該第2のリンカー分子は2個以上、たとえば3個、4個、5個またはそれ以上の、(a)〜(f)から選ばれた互いに隣接しているリンカー分子を含む。

1つの実施形態では、第1のリンカー分子は以下のものから選ばれる: (b)無機ポリヒドロキシル化非金属化合物またはそのエステルもしくは塩、 (e)金属イオン、および (g)上記の任意の2種以上の任意の組み合わせ。

別の実施形態では、第1のリンカー分子は、無機ポリヒドロキシル化非金属化合物またはそのエステルもしくは塩である。

1つの実施形態では、該無機ポリヒドロキシル化非金属化合物またはそのエステルもしくは塩は、ポリヒドロキシル化ホウ素、リン、ケイ素またはイオウ化合物、またはそのエステルもしくは塩である。別の実施形態では、無機ポリヒドロキシル化非金属化合物またはそのエステルもしくは塩は、ポリヒドロキシル化ホウ素またはリン化合物、またはそのエステルもしくは塩である。

1つの実施形態では、該無機ポリヒドロキシル化非金属化合物またはそのエステルもしくは塩は、2つ以上のヒドロキシル基を含むホウ素またはリンのオキソ酸またはそのエステルもしくは塩である。1つの実施形態では、オキソ酸は、ホウ素またはリンのオルト酸またはそのエステルもしくは塩である。

1つの実施形態では、該無機ポリヒドロキシル化非金属化合物またはそのエステルもしくは塩は、ホウ酸、リン酸、またはそのエステルまたは塩である。1つの実施形態では、無機ポリヒドロキシル化非金属化合物またはそのエステルもしくは塩は、ホウ酸またはそのエステルもしくは塩である。

1つの実施形態では、該金属イオンは、糖複合体またはリグニン複合体中で金属キレートを形成することができる。

1つの実施形態では、該金属イオンは、周期表の第1〜15族から選ばれた金属のイオンである。別の実施形態では、金属は、第1および2族の第2〜6周期、第3〜12族の第4〜6周期、第13族の第3〜6周期または第14および15族の第4〜6周期から選ばれる。

1つの実施形態では、該金属は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属または卑金属である。

1つの実施形態では、該金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、チタン、バナジウム、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛、ジルコニウム、モリブデン、ロジウム、銀、タングステン、オスミウム、レニウム、イリジウム、アルミニウム、鉛またはビスマスである。別の実施形態では、金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛、アルミニウム、鉛またはビスマスである。別の実施形態では、金属は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、チタン、クロム、マンガン、鉄、コバルト、銅、亜鉛、アルミニウムまたは鉛である。別の実施形態では、金属は、カルシウム、クロム、鉄、銅、亜鉛またはアルミニウムである。

いくつかの実施形態では、ポリフェノールと第1のリンカー分子との比率は、乾燥重量基準で約5:1〜約40:1である。いくつかの実施形態では、、この比率は、約5:1〜約30:1、約5:1〜約20:1、約5:1〜約10:1、約10:1〜約40:1、約10:1〜約30:1または約10:1〜約20:1である。

いくつかの実施形態では、第2のリンカー分子は以下のものから選ばれる: (a)タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸またはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ、 (c)アミン化合物またはその塩、 (d)チオール化合物またはその塩、 (f)アルデヒド化合物;またはカルボン酸化合物もしくはその塩、エステル、酸無水物もしくはハロゲン化物、および (g)上記の任意の2種以上の任意の組み合わせ、たとえばそれらの任意の3種、4種もしくはそれ以上の任意の組み合わせ。

いくつかの実施形態では、第2のリンカー分子は上記の(a)、(c)、(d)、(f)および(g)から選ばれ、(f)はアルデヒド化合物である。

いくつかの実施形態では、、第2のリンカー分子は次のものから選ばれる: (a) タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸またはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ、 (c)アミン化合物またはその塩、 (f) アルデヒド化合物;またはカルボン酸化合物もしくはその塩、エステル、酸無水物もしくはハロゲン化物;および (g)上記の任意の2種以上の任意の組み合わせ。

いくつかの実施形態では、第2のリンカー分子は上記の(a)、(c)、(f)および(g)から選ばれ、(f)はアルデヒド化合物である。

いくつかの実施形態では、第2のリンカー分子は次のものから選ばれる: (a) タンパク質、ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸またはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ、 (c)アミン化合物またはその塩、および (g)上記の任意の2種以上の任意の組み合わせ。

ある実施形態では、第2のリンカー分子は、(b)、(e)およびカルボン酸化合物またはその塩、エステル、酸無水物もしくはハロゲン化物から選ばれた2種以上、たとえば3種、4種、5種またはそれ以上の互いに隣接しているリンカー分子を含む。

いくつかの実施形態では、第2のリンカー分子は、無機ポリヒドロキシル化非金属化合物またはそのエステルもしくは塩、およびにそれに隣接しているカルボン酸化合物またはその塩、エステル、酸無水物もしくはハロゲン化物を含む。

1つの実施形態では、該アミン化合物は少なくとも2個の炭素原子を含む。

1つの実施形態では、該アミン化合物は、アミノ基および少なくとも1個の追加の官能基を含み、該少なくとも1個の追加の官能基は糖複合体またはリグニン複合体中で共有結合もしくは非共有結合を形成することができる。別の実施形態では、該少なくとも1個の追加の官能基は、アミノ、ヒドロキシルおよびカルボキシル基から成る群から選ばれる。

1つの実施形態では、該アミン化合物は、天然アミノ酸、少なくとも2個の炭素原子を有する非天然アミノ酸、少なくとも2つの炭素原子を有するポリアミンおよび少なくとも2個の炭素原子を有するヒドロキシアミン、またはそれらの塩から選ばれる。1つの実施形態では、ポリアミンはジアミンである。

いくつかの実施形態では、該アミン化合物は、約2〜約12個、約2〜約10個、約2〜約8個、または約2〜約6個の炭素原子を含む。

いくつかの実施形態では、該天然アミノ酸はリシンである。

1つの実施形態では、該チオール化合物は、チオール基および少なくとも1個の追加の官能基を含み、該少なくとも1個の追加の官能基は糖複合体またはリグニン複合体中で共有結合もしくは非共有結合を形成することができる。別の実施形態では、該少なくとも1個の追加の官能基は、チオール、アミノ、ヒドロキシルおよびカルボキシル基から成る群から選ばれる。

1つの実施形態では、該チオール化合物は少なくとも2個の炭素原子を含む。1つの実施形態では、チオール化合物は、システイン、すなわちチオール基および少なくとも1個の追加の官能基を含む、少なくとも2個の炭素原子を有する化合物であって、該少なくとも1個の追加の官能基がチオール、アミノ、ヒドロキシルおよびカルボキシル基またはそれらの塩から選ばれた化合物である。

いくつかの実施形態では、該チオール化合物は、約2〜約12個、約2〜約10個、約2〜約8個、または約2〜約6個の炭素原子を含む。

いくつかの実施形態では、リグニンと第2のリンカー分子との比率は、乾燥重量基準で約10:1〜約1:5、約10:1〜約1:4、約10:1〜約1:2、約10:1〜約1:1、約9:1〜約1:2、約9:1〜約1:1、約8:1〜約1:2、約8:1〜約1:1、約7:1〜約1:2、約7:1〜約1:1、約6:1〜約1:2、約6:1〜約1:1、約5:1〜約2:1、約5:1〜約1:1である。

いくつかの実施形態では、リグニンと第2のリンカー分子(c)との比率は乾燥重量基準で約10:1〜約1:1である。いくつかの実施形態では、、リグニンと第2のリンカー分子(c)との比率は乾燥重量基準で約3:1である。

いくつかの実施形態では、第2のリンカー分子(a)とリグニンとの比率は乾燥重量基準で約4:1〜約1:2である。いくつかの実施形態では、第2のリンカー分子(a)とリグニンとの比率は約3.7:1〜約0.74:1である。いくつかの実施形態では、第2のリンカー分子(a)とリグニンとの比率は約1.2:1である。

いくつかの実施形態では、第2のリンカー分子(a)とポリフェノールとの比率は乾燥重量基準で約1:1〜約5:1である。いくつかの実施形態では、第2のリンカー分子(a)とポリフェノールとの比率は約1.9:1〜約4.7:1である。いくつかの実施形態では、第2のリンカー分子(a)とポリフェノールとの比率は約2.3:1〜約3.9:1である。いくつかの実施形態では、第2のリンカー分子(a)とポリフェノールとの比率は約3.9:1である。

いくつかの実施形態では、第2のリンカー分子(a)とリグニンとポリフェノールと第2の成分との比率は、乾燥重量基準で約2〜5:2〜5:1:3〜7である。いくつかの実施形態では、第2のリンカー分子(a)とリグニンとポリフェノールと第2の成分との比率は、乾燥重量基準で約1.9〜4.7:2〜5:1:2.8〜6.7または3.6:3:1:5.6である。

1つの実施形態では、第2の成分、骨格要素(a)、第1のリンカー分子または第2のリンカー分子は、ポリペプチドまたはオリゴペプチドを含む。いくつかの実施形態では、、該ポリペプチドまたはオリゴペプチドは、少なくとも約2、3、5、10、20、50、100、150、200、250、300、350、400、450、500または550個のアミノ酸を含む。いくつかの実施形態では、該ポリペプチドまたはオリゴペプチドは、約2〜約550、約3〜約550、約5〜約550、約10〜約550、約2〜約500、約3〜約500、約5〜約500または約10〜約500のアミノ酸を含む。

いくつかの実施形態では、該ポリペプチドまたはオリゴペプチドは、天然もしくは合成ポリペプチドまたはオリゴペプチドである。いくつかの実施形態では、天然ポリペプチドまたはオリゴペプチドは、植物または動物のポリペプチドまたはオリゴペプチドである。

いくつかの実施形態では、該ポリペプチドまたはオリゴペプチドは、肉、魚、乳製品、卵もしくは植物のポリペプチドまたはオリゴペプチドである。

いくつかの実施形態では、該ポリペプチドまたはオリゴペプチドは、ゼイン、ダイズ、ケラチン、グルテン、カゼインもしくはホエイポリペプチドもしくはオリゴペプチド、またはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせである。

いくつかの実施形態では、該ポリペプチドはタンパク質である。いくつかの実施形態では、、ポリペプチドは、肉、魚、乳製品、卵または植物のタンパク質である。いくつかの実施形態では、タンパク質はゼインまたはダイズのタンパク質である。

いくつかの実施形態では、骨格要素(a)はゼインタンパク質である。いくつかの実施形態では、第2の成分はダイズタンパク質である。

いくつかの実施形態では、第2のリンカー分子(a)はゼインタンパク質である。

いくつかの実施形態では、該タンパク質は変性されている。

1つの実施形態では、本発明の接着剤はタンパク質変性剤をさらに含む。

いくつかの実施形態では、該変性剤は、有機溶媒、塩、尿素およびその塩、グアニジンおよびその塩、チオールおよびその塩、界面活性剤、分散剤ならびにそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせから成る群から選ばれる。

1つの実施形態では、該有機溶媒は極性プロトン性または非プロトン性溶媒である。1つの実施形態では、有機溶媒はアルコールである。1つの実施形態では、アルコールはグリセリンである。1つの実施形態では、塩は、金属塩、無機非金属塩および有機化合物の塩から選ばれる。1つの実施形態では、塩は水への高い溶解度を有する。

1つの実施形態では、該金属塩は、アルカリまたはアルカリ土類金属塩である。1つの実施形態では、金属塩はナトリウム塩である。1つの実施形態では、ナトリウム塩は、塩化ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、ギ酸ナトリウムまたは重硫酸ナトリウムである。ある実施形態では、接着剤組成物は、亜硫酸ナトリウムを含む変性剤を含む。

1つの実施形態では、該無機非金属塩または有機化合物の塩は、アミン、アンモニウム、有機性窒素およびリン酸塩から選ばれる。

いくつかの実施形態では、該ポリアミンは2個以上のアミン基を含む有機化合物から選ばれる。いくつかの実施形態では、ポリアミンは、2個以上のアミン基を含む脂肪族または芳香族化合物から選ばれる。いくつかの実施形態では、ポリアミンは少なくとも2個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、ポリアミンは、約2〜約100、約2〜約150、約2〜約200、約2〜約75、約2〜約50、約2〜約25の炭素原子を含む。

いくつかの実施形態では、該ポリアミンは、2個以上のアミン基を含む脂肪族または芳香族化合物のモノマーを含むポリマーである。いくつかの実施形態では、該モノマーは少なくとも2個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、該モノマーは、約2〜約20、約2〜約15、約2〜約12、約2〜約10、約2〜約8または約2〜約6個の炭素原子を含む。

いくつかの実施形態では、該ポリアミンは、直鎖状の、または実質的に直鎖状の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、ポリアミンは、約2〜約12、約2〜約10、約2〜約8または約2〜約6個の炭素原子を含む直鎖状のもしくは実質的に直鎖状の炭素原子を含む。

いくつかの実施形態では、該アルデヒドまたはカルボン酸化合物は、約1〜約12、約1〜約10、約1〜約8、約1〜約6、約2〜約12、約2〜約10、約2〜約8、約2〜約6個の炭素原子を含む。いくつかの実施形態では、アルデヒドは、ホルムアルデヒド、または2〜12個の炭素原子および2個以上のアルデヒド基を含む脂肪族もしくは芳香族化合物である。

いくつかの実施形態では、カルボン酸化合物またはその塩、エステル、酸無水物もしくはハロゲン化物は、糖複合体またはリグニン複合体中に共有結合もしくは非共有結合を形成することができる少なくとも1個の追加の官能基を複合体化して含む、または提供することができる。

いくつかの実施形態では、カルボン酸化合物またはその塩、エステル、酸無水物もしくはハロゲン化物は、ギ酸、炭酸またはその塩、エステル、酸無水物もしくはハロゲン化物;カルボン酸基もしくはその塩、エステルもしくは酸無水物を含み、かつ少なくとも2個の炭素原子、たとえば2〜12、2〜10、2〜8もしくは2〜6個の炭素原子を有する脂肪族または芳香族化合物から選ばれる。

いくつかの実施形態では、脂肪族または芳香族化合物は、少なくとも3個の炭素原子、好ましくは少なくとも4個の炭素原子、たとえば3〜8、4〜8、4〜7もしくは4〜6個の炭素原子を有する環状エステルまたは環状酸無水物;または少なくとも2個の炭素原子、たとえば2〜12、2〜10、2〜8もしくは2〜6個の炭素原子を有するカルボン酸基もしくはその塩、非環状エステルもしくは非環状酸無水物を含み、かつチオール、アミノ、ヒドロキシルおよびカルボキシルから選ばれた少なくとも1個の追加の官能基を含む脂肪族または芳香族化合物である。

いくつかの実施形態では、脂肪族または芳香族化合物は、少なくとも2個の炭素原子、たとえば2〜12、2〜10、2〜8もしくは2〜6個の炭素原子を有するポリカルボン酸、たとえばジカルボン酸もしくはその塩;または少なくとも4個の炭素原子、好ましくは少なくとも5個の炭素原子、たとえば4〜8、4〜7もしくは4〜6個の炭素原子を有する環状酸無水物である。

いくつかの実施形態では、ハロゲン化物は、酸塩化物、酸臭化物または酸ヨウ化物、好ましくは酸塩化物または酸臭化物、より好ましくは酸塩化物である。

いくつかの実施形態では、カルボン酸化合物またはその塩、エステル、酸無水物もしくはそのハロゲン化物は、カルボン酸化合物またはその塩、エステルもしくは酸無水物である。

いくつかの実施形態では、第2のリンカー分子は、2種以上、たとえば3、4、5種またはそれ以上の、互いに隣接している(c)およびアルデヒド化合物から選ばれたリンカー分子を含む。

いくつかの実施形態では、第2のリンカーは、アミン化合物およびアルデヒドの両方を含む。いくつかの実施形態では、第2のリンカー分子は、アミン化合物およびそれに隣接しているアルデヒド化合物を含む。

1つの実施形態では、骨格要素(b)は多糖またはオリゴ糖を含む。いくつかの実施形態では、多糖またはオリゴ糖は、少なくとも約2、3、5、10、20、50、100、200、300、400、500、550、600、650、700、750、800、850、900、950、1000、1250、1500または2000個の単糖単位を含む。いくつかの実施形態では、多糖またはオリゴ糖は、約2〜約2000、約3〜2000、約5〜約2000、約10〜約2000、約2〜約1500、約3〜約1500、約5〜約1500、約10〜約1500個の単糖単位を含む。

いくつかの実施形態では、多糖またはオリゴ糖は50,000ダルトン未満の分子量を有する。いくつかの実施形態では、分子量は約1,500〜約50,000ダルトンである。

いくつかの実施形態では、骨格要素(b)は多糖を含む。

いくつかの実施形態では、多糖は天然多糖または変性多糖である。いくつかの実施形態では、天然多糖は動物、植物または生物の多糖である。

いくつかの実施形態では、多糖は、デンプン、酸化デンプン、加水分解デンプン、ゴム、セルロース、ヘミセルロース、デキストリン、デキストラン、グリコーゲン、キトサン、キチン、アミノ多糖、糖タンパク質およびそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせから成る群から選ばれる。

いくつかの実施形態では、単糖はグルコサミンである。

いくつかの実施形態では、骨格要素(c)はリグニンを含む。

いくつかの実施形態では、該リグニンは、約2,000〜約300,000、約5,000〜約300,000、約2,000〜約100,000または約5,000〜約100,000ダルトンの分子量を有する。

いくつかの実施形態では、該リグニンは化学的に変性されたリグニンである。

いくつかの実施形態では、骨格要素(c)はリグナンを含む。

1つの実施形態では、該ポリフェノールはタンニンまたはタンニン酸を含む。別の実施形態では、ポリフェノールはタンニンを含む。

1つの実施形態では、該ポリフェノールはリグニンをさらに含む。1つの実施形態では、ポリフェノールはタンニン−リグニン錯体を含む。

いくつかの実施形態では、該ポリフェノールは、タンニンまたはタンニンとリグニンとの混合物を含む。いくつかの実施形態では、ポリフェノールはタンニンまたはタンニン−リグニン錯体を含む。

いくつかの実施形態では、本発明の接着剤組成物は、少なくとも1、2、3、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95重量%の高分子錯体を含む。いくつかの実施形態では、固形分は、約5〜約99%、約10〜約99%、約5〜約95%または約10〜約95%である。

いくつかの実施形態では、該接着剤組成物は、少なくとも約5cP、少なくとも約10cP、少なくとも約25cP、少なくとも約50cP、少なくとも約75cP、少なくとも約100cPまたは少なくとも約125cPの粘度を有する。いくつかの実施形態では、粘度は約100,000cP未満、約75,000cP未満、約50,000cP未満、約25,000cP未満、約10,000cP未満、約7,500cP未満または約5,000cP未満である。いくつかの実施形態では、粘度は約5〜約100,000cP、約10〜約75,000cP、約10〜約50,000cP、約25〜約25,000cP、約25cPから約10,000cP、約50〜約10,000cP、約75〜約10,000 cP、約100〜約10,000cP、約25〜約7,500cP、約50〜約7,500cP、約100〜約7,500cP、約100〜約7,500cP、約25〜約5,000cP、約50〜約5,000cP、約75〜約5,000cPまたは約100〜約5,000cPである。

いくつかの実施形態では、第1の成分は、共有結合でまたは非共有結合で第2の成分に結合されている。

いくつかの実施形態では、骨格要素は、共有結合でまたは非共有結合でポリフェノールに結合されており、またポリフェノールは、共有結合でまたは非共有結合で第2の成分に結合されている。

いくつかの実施形態では、ポリフェノールは、共有結合でまたは非共有結合でポリフェノールの酸素含有官能基と骨格要素との間で結合されており、または共有結合でまたは非共有結合でポリフェノールの酸素含有官能基と第2の成分との間で結合されている。

いくつかの実施形態では、ポリフェノールの酸素含有官能基は、ヒドロキシル基、カルボン酸基、エステル基、エーテル基、ケトン基またはアルデヒド基を含む。いくつかの実施形態では、酸素含有官能基は、ヒドロキシル基、カルボン酸基、エステル基またはエーテル基を含む。

いくつかの実施形態では、 (a)第1の成分は、共有結合でまたは非共有結合で第2の成分に結合されており、 (b)ポリフェノールは、共有結合でまたは非共有結合で骨格要素に結合されており、 (c)ポリフェノールは、共有結合でまたは非共有結合で第2の成分に結合されており、 (d)糖複合体の多糖、オリゴ糖、単糖またはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせは、共有結合でまたは非共有結合で第1のリンカー分子に結合されており、もしくは (e)リグニン複合体のリグニンは、共有結合でまたは非共有結合で第2のリンカー分子に結合されており、または (f)上記の任意の2種以上の任意の組み合わせがある。

1つの実施形態では、本発明の組成物は、有機溶媒、界面活性剤、分散剤、粘度調整剤および疎水化剤から成る群から選ばれた1種以上の添加物を含む。

いくつかの実施形態では、該1種以上の添加物は、その接着剤を含むリグノセルロース基板に耐水性を提供しまたはリグノセルロース基板の耐水性を高める。いくつかの実施形態では、、1種以上の添加物は、金属塩、たとえば可溶性または不溶性金属塩、例として、以下のものに限定されることなく亜鉛塩、マグネシウム塩、アルミニウム塩、および炭酸塩(たとえば、炭酸カルシウム)のようなカルシウム塩から選ばれ、該添加物は、その接着剤を含むリグノセルロース基板に耐水性を提供しまたはリグノセルロース基板の耐水性を高める。

1つの実施形態では、該添加物は、多価アルコール、脂肪酸もしくはそのエステルもしくは塩、無機ポリヒドロキシル化非金属化合物もしくはそのエステルもしくは塩または金属イオンである。1つの実施形態では、多価アルコールは少なくとも2個の炭素原子を含む。別の実施形態では、多価アルコールは2〜10個の炭素原子を含む。ある実施形態では、多価アルコールはグリセリンである。

1つの実施形態では、該無機ポリヒドロキシル化非金属化合物もしくはそのエステルもしくは塩または金属イオンは、第1または第2のリンカー分子との関係において本明細書に記載された実施形態のうちのいずれかに定義された通りのものである。

いくつかの実施形態では、本発明の接着剤は以下を有しまたは提供する: (a)AS/NZS:4266によって試験されたときに少なくとも約0.45MPaの凝集力、 (b)AS/NZS:4266によって評価されたときに少なくとも約600kg/cm3の密度、 (c)ASTM D906−98によって試験されたときに少なくとも約1250Nの平均最大荷重値、 (d)ASTM D906−98によって試験されたときに少なくとも約2MPaの引張応力、 (e)AS/NZS 2098.2:2006 Bによって試験されたときに、「のみ」を用いた分割試験で満足すべき接着層結合度評価、 (f)7日間の条件調整後にAS/NZS 4266:2004によって試験されたときに0.5mg/L未満のホルムアルデヒド放出量、または (g)上記の任意の2種以上の任意の組み合わせ。

いくつかの実施形態では、凝集力は少なくとも約0.5、約0.55、約0.6または約0.65 MPaである。

いくつかの実施形態では、、密度は少なくとも約650、約700または約750kg/m3である。

いくつかの実施形態では、ホルムアルデヒド放出量は、約0.45未満、約0.4未満、約0.35未満、約0.3mg/L未満、約0.25mg/L未満、約0.2mg/L未満、約0.15mg/L未満または約0.1mg/L未満である。

いくつかの実施形態では、組成物のpHは約3〜約9、たとえば約4〜約6である。

いくつかの実施形態では、組成物の粘度は、その組成物が少なくとも約3、5、7、8、9、10、11、12、13、14、21または28日間、基板への施与に適している所定の範囲内に留まっている。

いくつかの実施形態では、本発明の接着剤は、高分子錯体を含み、から成り、またはから本質的に成り、該高分子錯体は、 (A)第1の成分であって、 (i)以下の(a)、(b)、(c)から選ばれた骨格要素: (a)ポリペプチド、 (b)多糖;または多糖と第1のリンカー分子とを含む糖複合体、および (c)リグニン;またはリグニンと第2のリンカー分子とを含むリグニン複合体、および (ii)タンニンを含むポリフェノール を含む、第1の成分、ならびに (B)ポリペプチドを含む第2の成分 を含む。

別の様相では、本発明は、第1の成分を含む、から成る、またはから本質的に成る接着剤前駆体組成物を提供し、該第1の成分は、 (i)下記(a)、(b)、(c)から選ばれた骨格要素: (a)ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸、ポリアミンまたはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ、 (b)多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ;または多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせと第1のリンカー分子とを含む糖複合体、および (c)リグニン;リグナン;またはリグニンと第2のリンカー分子とを含むリグニン複合体、ならびに (ii)タンニン、タンニン酸、フラボノイド、ポリレゾルシノールまたはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせを含む、ポリフェノール を含む。

1つの実施形態では、骨格要素(a)は、ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸またはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせである。

1つの実施形態では、第1の成分、骨格要素およびポリフェノールは、本明細書に記載された実施形態のうちのいずれかに定義された通りのものである。

いくつかの実施形態では、前駆体組成物は、変性剤および/または1種以上の添加物、たとえば有機溶媒、界面活性剤、分散剤、粘度調整剤および/または疎水化剤を、これらが接着剤組成物中に存在することがある場合と同じように、含む。

1つの実施形態では、本発明の組成物は、固形粒子、または水性の可溶化物、溶液、分散物もしくは懸濁物の形態をしている。

別の様相では、本発明は、高分子錯体を含む、から成る、またはから本質的に成る水性接着剤組成物を製造する方法を提供し、該方法は、 (1)第1の成分を含む水性組成物を準備する工程であって、該第1の成分が、 (i)以下の(a)、(b)、(c)から選ばれた骨格要素: (a)ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸、ポリアミンまたはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ、 (b)多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ;または多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせと第1のリンカー分子とを含む糖複合体、および (c)リグニン;リグナン;またはリグニンと第2のリンカー分子とを含むリグニン複合体、および (ii)タンニン、タンニン酸、フラボノイド、ポリレゾルシノールまたはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせを含む、ポリフェノール、 を含む工程、ならびに (2)ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸、ポリアミンまたはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせを含む第2の成分を添加混合して、該高分子錯体を形成する工程 を含む。

1つの実施形態では、該第1の成分、骨格要素、ポリフェノールおよび第2の成分は、本明細書に記載された実施形態のうちのいずれかに定義された通りのものである。

いくつかの実施形態では、該工程(1)は、 (a)骨格要素を含む水性組成物を準備する工程、および (b)ポリフェノールを添加混合して、第1の成分を形成する工程 を含む。

1つの実施形態では、上記の方法は、 (1)(a) 骨格要素を含む水性組成物を準備する工程であって、該骨格要素が以下の(a)、(b)、(c)から選ばれる工程: (a)ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸、ポリアミンまたはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ、 (b)多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ;または多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせと第1のリンカー分子とを含む糖複合体、および (c)リグニン;リグナン;またはリグニンと第2のリンカー分子とを含むリグニン複合体、ならびに (1)(b) タンニン、タンニン酸、フラボノイド、ポリレゾルシノールまたはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせを含むポリフェノールを添加混合して、第1の成分を形成する工程、ならびに (2)ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸、ポリアミンまたはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせを含む第2の成分を、該第1の成分に添加混合して、高分子錯体を形成する工程 を含む。

別の実施形態では、上記の方法は、 (1)(a) 骨格要素を含む水性組成物を準備する工程であって、該骨格要素が以下の(d)、(e)、(f)から選ばれる工程: (d)ポリペプチド、 (e)多糖;または多糖と第1のリンカー分子とを含む糖複合体、および (f)リグニン;またはリグニンと第2のリンカー分子とを含むリグニン複合体、ならびに (1)(b) タンニンを含むポリフェノールを添加混合して、第1の成分を形成する工程、ならびに (2)ポリペプチドを含む第2の成分を、該第1の成分に添加混合して、高分子錯体を形成する工程 を含む。

いくつかの実施形態では、上記の工程(1)(a)は、 (i)水性組成物を準備する工程であって、該水性組成物が(a)多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ、もしくは(b)第1のリンカー分子を含む工程、および (ii)上記の(a)もしくは(b)の他方を添加混合して、糖複合体を形成する工程、または (i)水性組成物を準備する工程であって、該水性組成物が(a)リグニンもしくは(b)第2のリンカー分子を含む工程、および (ii)上記の(a)もしくは(b)の他方を添加混合して、リグニン複合体を形成する工程 を含む。

いくつかの実施形態では、第1のリンカー分子(b)または第2のリンカー分子(b)は2種以上のリンカー分子を含み、かつ工程(1)(a)は該2種以上のリンカー分子と(a)とを任意の順序に添加混合する工程を含む。

いくつかの実施形態では、第1のリンカー分子または第2のリンカー分子は2種以上のリンカー分子を含み、かつ工程(1)(a)は、該2種以上のリンカー分子のうちの1種と(a)とを混合して、該リンカー分子と(a)とを複合体化し、その後に1種以上の他のリンカー分子を添加混合して、互いに隣接している2種以上のリンカー分子を含む第1のリンカー分子もしくは第2のリンカー分子を含む糖複合体またはリグニン複合体を形成する工程を含む。

いくつかの実施形態では、工程(1)、(1)(a)、または(1)(a)(i)もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせを準備する工程は、第1の成分、骨格要素、多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ、第1のリンカー分子、リグニンまたは第2のリンカー分子を水性溶液中に可溶化、溶解、分散または懸濁する工程を含む。

いくつかの実施形態では、工程(1)、(1)(a)、または(1)(a)(i)もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせの水性組成物は、可溶化物、溶液、分散物または懸濁物である。

いくつかの実施形態では、可溶化物、溶液、分散物または懸濁物は、骨格要素、多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ、第1のリンカー分子、リグニンまたは第2のリンカー分子の沈降に対して少なくとも2、3、5、10、15、20、30または60分間、安定している。

いくつかの実施形態では、可溶化、溶解、分散または懸濁の工程は、アルカリ性pHまたは高められた温度もしくはその両方で実施される。

いくつかの実施形態では、工程(2)(1)(b)または(1)(a)(ii)もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせの添加混合工程は、アルカリ性pHまたは高められた温度もしくはその両方で実施される。

いくつかの実施形態では、該pHは、少なくとも約8、少なくとも約9または少なくとも約10である。

いくつかの実施形態では、該pHは、約8〜約13、約8〜約12、約8〜約11、約8〜約10、約8〜約9、約9〜約13、約9〜約12、約9〜約11、約9〜約10、約10〜約13、約10〜約12、約10〜約11、約11〜約13または約11〜約12である。

いくつかの実施形態では、該温度は、少なくとも約50℃、少なくとも約55℃、少なくとも約60℃、少なくとも約65℃または少なくとも約70℃である。

いくつかの実施形態では、該温度は、約50〜約95℃、約50〜約90℃、約50〜約80℃、約50〜約70℃、約50〜約60℃、約60〜約95℃、約60〜約90℃、約60〜約80℃、約60〜約70℃、約70〜約95℃、約70から約90℃、約70〜約80℃、約80〜約95℃または約80〜約90℃である。

いくつかの実施形態では、水性組成物のpHまたは温度もしくはその両方は、添加混合の間、維持される。

いくつかの実施形態では、工程(2)、(1)(b)または(1)(a)(ii)もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせの添加混合工程は、第2の成分、ポリフェノール、多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ、第1のリンカー、リグニンまたは第2のリンカーを可溶化、溶解、分散または懸濁する工程を含む。

いくつかの実施形態では、工程(2)、(1)(b)または(1)(a)(ii)もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせの添加混合工程は、条件(すなわち、該反応の1つ以上の条件)を調節して、高分子錯体、第1の成分、糖複合体またはリグニン複合体を形成する工程をさらに含む。

いくつかの実施形態では、条件(すなわち、該反応の1つ以上の条件)を調節する工程は、pHまたは温度もしくはその両方を下げる工程を含む。

いくつかの実施形態では、pHは、少なくとも約8、少なくとも約9または少なくとも約10のpHに下げられる。

いくつかの実施形態では、温度は約50〜約80℃の温度に下げられる。

いくつかの実施形態では、工程(2)、(1)(b)または(1)(a)(ii)もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせの添加混合工程は、さらなる第2の成分、さらなるポリフェノール、さらなる多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ、さらなる第1のリンカー、さらなるリグニンまたはさらなる第2のリンカーを添加混合する工程をさらに含む。

いくつかの実施形態では、工程(2)、(1)(b)または(1)(a)(ii)もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせの添加混合工程は、以下を含む: (a)第2の成分、ポリフェノール、多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ、第1のリンカー、リグニンまたは第2のリンカーを添加混合する工程、 (B)反応条件を調節して、高分子錯体、第1の成分、糖複合体またはリグニン複合体を形成する工程、および (C)さらなる第2の成分、さらなるポリフェノール、さらなる多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ、さらなる第1のリンカー、さらなるリグニンまたはさらなる第2のリンカーを添加混合して、さらなる高分子錯体、さらなる第1の成分、さらなる糖複合体またはさらなるリグニン複合体を形成する工程。

工程(C)で形成された、さらなる高分子錯体、さらなる第1の成分、さらなる糖複合体またはさらなるリグニン複合体は、工程(B)で形成された、高分子錯体、第1の成分、糖複合体またはリグニン複合体と同じでも異なってもよい。

いくつかの実施形態では、工程(C)で形成された、さらなる高分子錯体、さらなる第1の成分、さらなる糖複合体またはさらなるリグニン複合体は、工程(B)で形成された、高分子錯体、第1の成分、糖複合体またはリグニン複合体から形成される。

いくつかの実施形態では、工程(2)、(1)(b)または(1)(a)(ii)もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせの添加混合工程は、反応混合物の凝集を抑制するまたは防止する条件の下で実施される。

1つの実施形態では、該組成物は、第1の成分、第2の成分、骨格要素、第1のリンカー、第2のリンカー、多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ、リグニンまたはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせのうちのいずれか1種以上の可溶化、溶解、懸濁または分散を促進する、選ばれた1種以上の添加物を含む。

いくつかの実施形態では、該添加物は、有機溶媒、界面活性剤および分散剤から成る群から選ばれる。

いくつかの実施形態では、工程(2)は約8〜約10のpHで実施される。典型的な実施形態では、工程(2)は約9のpHで実施される。

いくつかの実施形態では、工程(2)におけるポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸、ポリアミンまたはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせは、反応混合物の凝集を抑制するまたは防止する条件の下で添加混合される。

いくつかの実施形態では、該条件はアルカリ性である。いくつかの実施形態では、、pHは約9である。いくつかの実施形態では、温度は約50〜約80℃である。いくつかの実施形態では、温度は約70℃である。

いくつかの実施形態では、ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸、ポリペプチドまたはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせは、その溶解度を高める1種以上の添加物と一緒に添加混合され、または該添加物を添加混合した後に添加混合される。いくつかの実施形態では、該添加物はタンパク質変性剤である。

いくつかの実施形態では、工程(1)(b)は約9〜約13のpHで実施される。いくつかの実施形態では、pHは約9〜約12である。いくつかの実施形態では、pHが約9〜11.5である。いくつかの実施形態では、pHは約10〜約11である。いくつかの実施形態では、pHは約11である。いくつかの実施形態では、pHは約9である。

いくつかの実施形態では、工程(1)(b)は約70〜約95℃の温度で実施される。いくつかの実施形態では、温度は約90℃である。いくつかの実施形態では、温度は約50〜約80℃である。いくつかの実施形態では、温度は約70℃である。

いくつかの実施形態では、該条件は高分子複合体を形成するように調節される。いくつかの実施形態では、pHは下げられる。いくつかの実施形態では、pHは約9まで下げられる。いくつかの実施形態では、温度が下げられる。いくつかの実施形態では、温度は約50〜約80℃まで下げられる。いくつかの実施形態では、温度は約70℃まで下げられる。

いくつかの実施形態では、工程(1)(b)は以下を含む: (A)ポリフェノールを添加混合する工程、 (B)反応条件を調節して、第1の成分を形成する工程、および (C)さらなるポリフェノールを添加混合して、第1の成分を形成する工程。

いくつかの実施形態では、工程(C)で形成される第1の成分は、工程(B)における第1の成分から、たとえばペンダント型タンニン単位を添加する工程によって形成される。

いくつかの実施形態では、さらなるポリフェノールは、反応混合物の凝集を抑制するまたは防止する条件の下で添加混合される。

いくつかの実施形態では、該条件はアルカリ性である。いくつかの実施形態では、pHは約9である。いくつかの実施形態では、温度は約50〜約80℃である。いくつかの実施形態では、温度は約70℃である。

いくつかの実施形態では、工程(1)(a)は、骨格要素を水性溶液中に可溶化、溶解、分散または懸濁する工程を含む。

いくつかの実施形態では、骨格要素は、アルカリ性条件の下で可溶化、溶解、分散または懸濁される。いくつかの実施形態では、pHは約9〜約13である。いくつかの実施形態では、pHは約11である。

いくつかの実施形態では、骨格要素は高められた温度で可溶化、溶解、分散または懸濁される。いくつかの実施形態では、骨格要素は約70〜約95℃の温度で可溶化、溶解、分散または懸濁される。いくつかの実施形態では、温度は約90℃である。

1つの実施形態では、工程(1)(a)は、骨格要素(a)を水性溶液中にアルカリ性条件の下で可溶化、溶解、分散または懸濁する工程を含む。1つの実施形態では、pHは約10〜約12である。別の実施形態では、pHは約10.5である。

1つの実施形態では、工程(1)(a)は、骨格要素(a)を水性溶液中に高められた温度で可溶化、溶解、分散または懸濁する工程を含む。1つの実施形態では、温度は約50〜約90℃である。別の実施形態では、温度は約70℃である。

1つの実施形態では、工程(1)(a)(ii)は、アルカリ性条件の下でまたは高められた温度でもしくはその両方で第1のリンカー分子を添加混合して、糖複合体を形成する工程を含む。1つの実施形態では、pHは約9である。

1つの実施形態では、第1のリンカーは、無機ポリヒドロキシル化非金属化合物またはそのエステルもしくは塩である。1つの実施形態では、ポリヒドロキシル化非金属化合物は、ホウ酸またはそのエステルもしくは塩である。

1つの実施形態では、工程(1)(a)(ii)は、アルカリ性条件の下でまたは高められた温度でもしくはその両方で第2のリンカー分子を添加混合し、そしてその条件を調節してリグニン複合体を形成する工程を含む。

1つの実施形態では、リグニン複合体を形成するように条件を調節する工程は、pHを下げる工程を含む。1つの実施形態では、pHは約9まで下げられる。

1つの実施形態では、リグニン複合体を形成するように条件を調節する工程は、温度を下げる工程を含む。1つの実施形態では、温度は約50〜約80℃まで下げられる。別の実施形態では、温度は約70℃まで下げられる。

1つの実施形態では、工程(1)(a)(ii)は、第2のリンカー分子と酵素とを、第2のリンカー分子を酵素で複合化させるのに有効な条件の下で添加混合して、リグニン複合体を形成する工程を含む。

いくつかの実施形態では、工程(1)(a)(ii)は、アミン化合物およびアルデヒドを添加混合して、リグニン複合体を形成する工程を含む。

いくつかの実施形態では、工程(1)(a)(ii)は、カルボン酸化合物またはその塩、エステル、酸無水物もしくはハロゲン化物と無機ポリヒドロキシル化非金属化合物またはそのエステルもしくは塩とを添加混合して、リグニン複合体を形成する工程を含む。

いくつかの実施形態では、工程(1)(a)(ii)は、カルボン酸化合物またはその塩、エステル、酸無水物もしくはハロゲン化物とリグニンとを添加混合して、カルボン酸化合物またはその塩、エステル、酸無水物もしくはハロゲン化物をリグニンと複合体化して、その後ポリヒドロキシル化非金属化合物、好ましくはホウ酸またはそのエステルもしくは塩を添加混合して、無機ポリヒドロキシル化非金属化合物またはそのエステルもしくは塩と、それに隣接しているカルボン酸化合物またはその塩、エステル、酸無水物もしくはハロゲン化物と、を含むリグニン複合体を形成する工程を含む。

1つの実施形態では、第2のリンカー分子はアミン化合物またはその塩である。1つの実施形態では、アミン化合物はリシンである。

1つの実施形態では、、工程(1)(a)(ii)は、アルカリ性条件の下でまたは高められた温度でもしくはその両方でリグニンを添加混合し、そしてその条件を調節してリグニン複合体を形成する工程を含む。

1つの実施形態では、第2のリンカーは、多糖、オリゴ糖、単糖またはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせである。1つの実施形態では、多糖、オリゴ糖、単糖またはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせはゼインである。

1つの実施形態では、該条件を調節する工程はpHを下げる工程を含む。1つの実施形態では、pHは約9まで下げられる。

1つの実施形態では、該条件を調節する工程は温度を下げる工程を含む。1つの実施形態では、温度は約50〜約80℃まで下げられる。別の実施形態では、温度は約70℃まで下げられる。

1つの実施形態では、該リグニンは、アルカリ性条件の下でまたは高められた温度でもしくはその両方で添加混合される。1つの実施形態では、pHは約12.5である。

いくつかの実施形態では、第2の成分は、第2の成分の可溶化、溶解、分散または懸濁を促進する1種以上の添加物と一緒に添加混合され、または該添加物を添加混合した後に添加混合される。

いくつかの実施形態では、該添加物は、本明細書に記載された実施形態のうちのいずれかに定義されたタンパク質変性剤である。

いくつかの実施形態では、該添加物は、ナトリウム塩、たとえば亜硫酸ナトリウム、グリセリンまたはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせから選ばれる。ある実施形態では、添加物は亜硫酸ナトリウムである。

いくつかの実施形態では、工程(2)は、第2の成分とタンパク質変性剤とを、第1の成分を含む水性組成物に添加混合する工程を含む。

いくつかの実施形態では、該タンパク質変性剤は、第1の成分を含む水性組成物に、第2の成分に先立ってまたは第2の成分と同時に添加混合される。

いくつかの実施形態では、工程(2)は、第2の成分とタンパク質変性剤とを含む組成物を、第1の成分を含む水性組成物に添加混合する工程を含む。いくつかの実施形態では、第2の成分とタンパク質変性剤とを含む組成物は、水性の可溶化物、溶液、分散物または懸濁物である。

いくつかの実施形態では、変性剤は、上に記載された実施形態のうちのいずれかに定義されたものである。

いくつかの実施形態では、工程(2)は、1種以上の粘度調整剤を添加混合する工程をさらに含む。

いくつかの実施形態では、工程(2)は、1種以上の分散剤を添加混合する工程をさらに含む。

いくつかの実施形態では、工程(2)は、第2の成分を高められた第1の温度で添加混合する工程、任意的に第1の温度を第1の時間維持する工程、温度を第2の温度に調節する工程、そして第2の温度を第2の時間維持する工程を含む。

いくつかの実施形態では、工程(2)は、第2の成分を高められた第1の温度で混合する工程、任意的に第1の温度を第1の時間維持して、第2の成分を少なくとも部分的に可溶化、溶解もしくは懸濁または分散させる工程、温度を第2の温度に調節する工程、そして第2の温度を維持して、第2の成分をさらに可溶化、溶解もしくは懸濁または分散させる工程を含む。

いくつかの実施形態では、第2の温度は第1の温度よりも低い。

いくつかの実施形態では、第1の温度を第1の時間維持する任意的な工程が実施される。

いくつかの実施形態では、該方法は、工程(2)の後に、組成物のpHを好ましくは約3〜約9、たとえば約4〜約6内のpHに調節する工程を含む工程(3)を含む。

1つの実施形態では、骨格要素とポリフェノールとの、骨格要素(a)とポリフェノールとの、骨格要素(a)とポリフェノールと第2の成分との、骨格要素(b)とポリフェノールとの、骨格要素(c)とポリフェノールとの、第2の成分とポリフェノールとの、ポリフェノールと第1のリンカー分子との、ポリフェノールと第2のリンカー分子との、リグニンと第2のリンカー分子との、リグニンと第2のリンカー分子(a)との、リグニンと第2のリンカー分子(c)とのもしくは第2のリンカー分子(c)とリグニンとポリフェノールとの比率またはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせは、本明細書に記載された実施形態のうちのいずれかに定義されたものである。

別の様相では、本発明は、本発明による方法によって製造された水性接着剤組成物を提供する。

別の様相では、本発明は、第1の成分を含む、から成るまたはから本質的に成る接着剤前駆体組成物を製造する方法を提供し、該方法は、 (1)骨格要素を含む水性組成物を準備する工程であって、該骨格要素が以下の(a)、(b)、(c)から選ばれる工程: (a)ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸、ポリアミンまたはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ、 (b)多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせ;または多糖、オリゴ糖、単糖もしくはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせと第1のリンカー分子とを含む糖複合体、および (c)リグニン;リグナン;またはリグニンと第2のリンカー分子とを含むリグニン複合体、ならびに (2)該骨格要素を、タンニン、タンニン酸、フラボノイド、ポリレゾルシノールまたはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせを含むポリフェノールに添加混合して、第1の成分を提供する工程 を含む。

いくつかの実施形態では、骨格要素(a)は、ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸またはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせである。

いくつかの実施形態では、骨格要素およびポリフェノールは、本明細書に記載された実施形態のうちのいずれかに定義されたものである。

別の様相では、本発明は、本発明による方法によって製造された第1の成分を含む、から成るまたはから本質的に成る接着剤前駆体組成物を提供する。

別の様相では、本発明は、本発明の硬化されたまたは硬化可能な接着剤組成物を含むリグノセルロース基板を提供する。

いくつかの実施形態では、基板はリグノセルロース複合材料である。いくつかの実施形態では、該複合材料は、リグノセルロース繊維、粒子、フレーク、ストランド、チップまたはシートを含む。いくつかの実施形態では、リグノセルロース繊維、粒子、フレーク、ストランド、チップまたはシートは、木質の繊維、粒子、フレーク、ストランド、チップまたはシートである。

いくつかの実施形態では、接着剤の充填量は、約5重量%〜約50重量%である。

いくつかの実施形態では、複合材料は以下を有する: (a)AS/NZS:4266によって試験されたときに少なくとも約0.45MPaの凝集力、 (b)AS/NZS:4266によって評価されたときに少なくとも約600kg/cm3の密度、 (c)ASTM D906−98によって試験されたときに少なくとも約1250Nの平均最大荷重値、 (d)ASTM D906−98によって試験されたときに少なくとも約2MPaの引張応力、 (e)AS/NZS 2098.2:2006 Bによって試験されたときに、「のみ」を用いた分割試験で満足すべき接着層結合度評価、 (f)7日間の条件調整後にAS/NZS 4266:2004によって試験されたときに0.5mg/L未満のホルムアルデヒド放出量、または (g)上記の任意の2種以上の任意の組み合わせ、たとえば3種、4種、5種またはそれ以上。

いくつかの実施形態では、凝集力は、少なくとも約0.5、約0.55、約0.6または約0.65MPaである。

いくつかの実施形態では、密度は、少なくとも約650、約700または約750kg/m3である。

いくつかの実施形態では、ホルムアルデヒド放出量は、約0.45、約0.4、約0.35または約0.3mg/L未満である。

いくつかの実施形態では、複合材料は、パーティクルボード、配向性ストランドボード、ウエハーボード、ファイバーボード、パラレルストランドランバー、積層ストランドランバー、合板、単板積層材、フィンガー継ぎ材、スクリンバーボード、板紙、ライナーボードまたは他のエンジニアリングウッド製品もしくはエンジニアリングウッド製品ボードである。

いくつかの実施形態では、複合材料は、パーティクルボード、配向性ストランドボード、ウエハーボード、ファイバーボード、パラレルストランドランバー、積層ストランドランバー、合板、単板積層材またはフィンガー継ぎ材である。いくつかの実施形態では、複合材料は、パーティクルボード、ファイバーボードまたは合板である。

別の様相では、本発明はリグノセルロース複合材料を製造する方法を提供し、この方法は、本発明の接着剤組成物をリグノセルロース繊維、粒子、フレーク、ストランド、チップまたはシートに施与する工程;および該繊維、粒子、フレーク、ストランド、チップまたはシートから複合材料を形成する工程を含む。

いくつかの実施形態では、複合材料を形成する工程は、熱または圧力もしくはその両方をかける工程を含む。

いくつかの実施形態では、かけられる熱は約120〜約250℃の温度のものである。いくつかの実施形態では、温度は約150〜約220℃である。

いくつかの実施形態では、圧力は約5kN〜約35kNである。

別の様相では、本発明は、第1の基板を第2の基板に接合する方法を提供し、この方法は以下を含む: (a)本発明の接着剤組成物を第1の基板または第1の基板と第2の基板とに施与する工程、および (b)第2の基板または第2の基板に施与された接着剤を第1の基板に施与された接着剤と接触させて、第1の基板を第2の基板に接合する工程。

別の様相では、本発明は、リグノセルロース基板用の、特にリグノセルロース複合材料の製造用の、および木材連結用の接着剤を提供し、この接着剤は以下の(a)、(b)の反応生成物: (a)それ自体も以下の(i)、(ii)の反応生成物である第1の成分: (i)骨格要素、および (ii)生物由来のポリフェノール化合物、たとえばタンニン、タンニンに富む材料またはポリフェノール性リグニンとタンニンとの組み合わせ および (b)タンパク質もしくはタンパク質に富む基体またはアミノ酸を含む第2の成分 を含み、ここで、該骨格要素は、ゼイン、ゼインに富むトウモロコシ材料または残留物、小麦グルテン、ダイズタンパク質、ダイズ粉またはダイズミール、何らかの他のタンパク質、リグニン、リグニン誘導体、たとえばリグノスルホネート、リグニン−アミン化合物複合体、ゼイン−リグニン複合体、デンプン、アミノ糖、たとえばキトサン、キチンまたは糖−タンパク質複合体のうちの1種以上を含む。

好ましくは、該タンパク質またはタンパク質に富む基体は、ダイズタンパク質、ダイズ粉もしくはダイズミール、または何らかの他の生物由来のタンパク質、または高タンパク質原料、たとえば以下のものに限定されることなくグルテンおよびカゼインである。

好ましくは、該骨格要素は、アルカリ性可溶化処理に付され、溶液中の骨格要素にタンニンが添加され、そしてpHが約pH9に調節されて、第1の成分の形成が促進される。

好ましくは、該タンパク質またはタンパク質に富む基体は、依然として溶液中にある第1の成分に添加され、その間pHがpH9にまたは約pH9に維持される。

好ましくは、該タンパク質に富む基体は、ダイズタンパク質、ダイズ粉、小麦グルテンまたは他のタンパク質性材料のうちの1種以上である。

好ましくは、変性剤が、該タンパク質またはタンパク質に富む基体とともに添加される。

該変性剤は、グリセリン、ナトリウム塩、たとえば塩化ナトリウムもしくは亜硫酸ナトリウムもしくは重亜硫酸(亜硫酸水素)ナトリウム、尿素、チオール、界面活性剤および分散剤またはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせから成ることができる。

好ましくは、該骨格要素成分は、9〜11.5のpHおよび50〜90℃の温度で最初に可溶化される。

ゼインを可溶化する場合、好ましくは約pH11以上のpHが使用され、リグニンでは、好ましくはpH10.2超のpHが使用される。

骨格要素を可溶化した後、好ましくはタンニンが添加され、分散され、そしてpHが9に下げられて、第1の成分の形成が引き起こされる。

生物由来のポリフェノール化合物がリグニンとタンニンとの組み合わせである場合、該リグニンおよびタンニンは逐次的に添加される。

不純な原料が使用されてデンプンおよび炭水化物および他の不純物の結合が促進される場合、任意的に、ホウ酸が添加される。

任意的に、さらなる粘度調整剤が添加される。

任意的に、ワックスまたはワックス系添加物も添加される。

好ましくは、さらなる粘度調整剤は、亜硫酸ナトリウムまたは重亜硫酸ナトリウムから選ばれる。さまざまな範囲の他の粘度調整剤が使用され得ることは当業者に明らかであろう。

好ましくは、ゼインに富むトウモロコシ材料または残留物とは、乾燥重量基準で少なくとも30%のゼインを有する材料または残留物を意味する。

ゼインまたはゼインに富む成分のタンパク質含有量は、好ましくは少なくとも50重量%、より好ましくは少なくとも60%重量である。

本発明のいくつかの実施形態では、ゼインにリグニンを、またはリグニンにアミノ酸、たとえばリシンを添加することによって、骨格要素が最初に配合形成される。

リグニンが使用される本発明の1つの実施形態では、タンニンの添加の前に、アミノ酸が添加される。

好ましくは、該アミノ酸は2個以上のアミン基を有する。

好ましくは、アミノ酸はリシンである。

リグニン−リシンの組み合わせが使用される場合、リグニンとリシンとの複合体化は2つ以上の方法で達成されることができる。たとえば、それはpHの調節および再懸濁によって達成されることができる。それは、酵素、たとえラッカーゼによって促進された共有結合グラフト法によって達成されることもできる。

本発明の1つの実施形態では、グリセリンまたはナトリウム塩が、第1の成分の溶液にタンパク質もしくはタンパクに富む基体の添加とともにまたはその前に添加される。そのような添加物は、ダイズタンパク質の溶解を助けて、最終配合物の粘度に影響を与えることができる。

別の様相では、本発明は、接着剤または樹脂を製造する方法を提供し、この方法は以下を含む: −骨格要素を可溶化する工程、 −生物由来のポリフェノール化合物、たとえばタンニン、タンニンに富む材料またはポリフェノール性リグニンとタンニンとの組み合わせを、タンニンが分散される前に骨格要素が凝集するのを防ぐ条件の下で添加し分散する工程、 −該条件を変えて、骨格要素と生物由来のポリフェノール化合物とから第1の成分の形成を引き起こす工程、 −任意的に、もっと多くの生物由来のポリフェノール化合物を添加する工程、および −タンパク質またはタンパク質に富む材料またはアミノ酸を含む第2の成分を、中間複合体の凝集または沈降または損傷を引き起こさないで、該タンパク質またはタンパク質に富む材料またはアミノ酸の可溶化および変性を促進する条件の下で、および/またはそれを促進する添加物とともに添加する工程、

別の様相では、本発明は、本発明の接着剤を接着剤ブレンド中に、たとえば他の樹脂、例としてUF、フェノール化合物、メラミン、ポリアミンもしくはイソシアネートまたは他のアミノ樹脂とともに使用する方法を提供し、該本発明の接着剤は、それ自体の接着剤効果を提供するだけでなく、リグノセルロース複合材料の合成中または使用中のホルムアルデヒドの放出を低減するホルムアルデヒド捕捉剤としての働きもする。

別の様相では、本発明は、本発明の接着剤組成物および1種以上のさらなる接着剤を含む接着剤ブレンドを提供する。

別の様相では、本発明は、本発明の接着剤前駆体組成物および1種以上のさらなる接着剤を含む接着剤ブレンドを提供する。

別の様相では、本発明は、本発明の接着剤組成物および1種以上のさらなる接着剤を添加混合する工程を含む接着剤ブレンドを製造する方法を提供する。

別の様相では、本発明は、本発明の接着剤前駆体組成物および1種以上のさらなる接着剤を添加混合する工程を含む接着剤ブレンドを製造する方法を提供する。

いくつかの実施形態では、上記の様相における1種以上のさらなる接着剤は、UF、フェノール化合物、メラミン、ポリアミンもしくはイソシアネートまたは他のアミノ樹脂を含む。

さらなる様相では、本発明は、イソシアネート、エピクロルヒドリンまたはポリアミドアミンを使用する他のダイズ系接着剤とともにまたは該他のダイズ系接着剤とのブレンド中で、本発明の接着剤を使用する方法を提供する。

さらなる様相では、本発明は、本明細書に記載されたリグノセルロース材料および接着剤システムを組み込んでいるリグノセルロース材料−接着剤複合材料、たとえばmdfパネル、パーティクルボード、合板および類似の製品を提供する。

本明細書および特許請求の範囲で使用される用語「を含んでいる」とは、「少なくとも一部分においてから成る」を意味する。用語「を含んでいる」を含む本明細書および特許請求の範囲の各記載を解釈する場合、この用語で受けられるもの以外のものが存在してもよい。関連する用語「を含む」も同じように解釈されることになる。

本明細書で使用される用語「および/または」とは、「および」または「または」もしくは両方を意味する。

本明細書で使用される、名詞に続く「s」は、その名詞の複数形および/または単数形を意味する。

本明細書に開示された数値の範囲(たとえば、1〜10)への言及は、その範囲内のすべての有理数(たとえば、1、1.1、2、3、3.9、4、5、6、6.5、7、8、9および10)、およびまたその範囲内のすべての有理数の任意の範囲(たとえば、2〜8、1.5〜5.5および3.1〜4.7)への言及を包含することが意図されており、したがって、本明細書に明示的に開示されたすべての範囲のすべての下位範囲が、ここに明示的に開示される。これらは、具体的に意図されたものの例に過ぎず、列挙された最低値と最高値との間の数値のすべての可能な組み合わせが、同様な様式で本出願に明示的に記載されていると考えなければならない。

本明細書で、特許明細書、他の外部文書または他の情報源への言及がされた場合、これは、一般に本発明の特徴を検討する文脈を提供するためである。特に別記されない限り、そのような外部文書への言及は、そのような文書、またはそのような情報源が、任意の管轄区域において、先行技術であるまたは当該技術分野の一般常識の一部を構成することの承認であると解釈されてはならない。

本発明が関係する分野の当業者にとって、構成の多くの変更および広く異なる実施形態および本発明の適用は、添付された特許請求の範囲に定義された本発明の範囲から逸脱することなく、自明であろう。本明細書の開示および記載は、純粋に例示的なものであり、いかなる意味においても限定的であることは意図されていない。

本発明は上記のように広く定義されているけれども、当業者は、本発明がそれに限定されず、かつ本発明が以下の記載が示す実施例の実施形態をも包含することを認識するだろう。

本発明の接着剤組成物は、互いに会合した第1の成分および第2の成分を含む高分子錯体を含む。これらの成分は、共有結合または非共有結合相互作用、たとえばイオン結合、水素結合、ファンデルワールス力、π−スタッキング相互作用または疎水性相互作用によって、高分子錯体の中で互いに会合することができる。

第1の成分は、骨格要素および会合したポリフェノールを含む。高分子錯体中の第1の成分および第2の成分についていえば、第1の成分の骨格要素およびポリフェノールは、共有結合または非共有結合相互作用によって会合することができる。

用語「錯体」および関連する用語、たとえば「複数の錯体」等は本明細書では、化学的引力あるいは物理的引力のいずれかによる、2個以上の分子、たとえば2個以上の高分子の会合を示すために使用される。たとえば、第1の成分と第2の成分との会合または骨格要素とポリフェノールとの会合が挙げられる。したがって、本明細書に記載された錯体は、たとえば1個以上の配位子によって配位された金属または金属イオンを含む配位化合物に限定されない。

高分子錯体は、ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸、ポリアミンまたはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドまたはオリゴペプチドは、ゼイン、ダイズ、ケラチン、グルテン、カゼインもしくはホエイポリペプチドまたはオリゴペプチド、またはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせである。

使用されるポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸またはポリアミンは、任意の適当な源から得られることができる。いくつかの実施形態では、ポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸またはポリアミンは、単離されたまたは精製されたポリペプチド、オリゴペプチド、アミノ酸またはポリアミンである。

ポリペプチドは、タンパク質、たとえば肉、魚、乳製品、卵または植物性タンパク質であることができる。いくつかの実施形態では、タンパク質はゼインタンパク質またはダイズタンパク質である。

ポリペプチドとしては、天然または合成タンパク質、たとえば構造タンパク質、酵素および結合タンパク質が挙げられる。

タンパク質の非限定的な例は、ミルク、ホエイ、カゼイン、卵、卵白、卵黄、肉、肉、子羊肉、魚、甲殻類、絹、野菜、豆科植物、アルファルファ、クローバ、エンドウ、豆、インゲンマメ、ダイズ、ヒラマメ、ハウチワマメ、メスキート、イナゴマメ、ナッツ、ピーナツ、ライ麦、シリアル、全粒小麦、米、麻、小麦グルテン、真菌、藻タンパク質およびそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせを含む。いずれのそのようなタンパク質も、未加水分解、部分的加水分解または完全加水分解されたものでもよい。

ポリペプチドまたはオリゴペプチドは、1種以上の単糖を含むことができる。いくつかの実施形態では、ポリペプチドは糖タンパク質である。

適当なアミノ酸は、天然および非天然のアミノ酸を包含する。本明細書で使用される「非天然のアミノ酸」とは、以下の遺伝子的にコードされた20個のα−アミノ酸(すなわち、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシンおよびバリン)以外の任意のアミノ酸、変性アミノ酸またはアミノ酸同族体をいう。非天然のアミノ酸は、N−置換α−アミノ酸;α、α−2置換アミノ酸、たとえば環状4級アミノ酸;D−アミノ酸;β−アミノ酸、たとえばβ2−およびβ3−アミノ酸、およびβ2,2−、β2,3−、β3,3−2置換アミノ酸、例として環状変異体;3〜9員環プロリン同族体;γ−アミノ酸;およびホモアミノ酸を含むが、これらに限定されない。

いくつかの実施形態では、アミノ酸は天然アミノ酸である。

ポリアミンは、2個以上のアミン基の存在を特徴とする化合物である。例として、1鎖当たり2個以上の炭素を有するアルカン、たとえば1,2−ジアミノエタンおよび1,6−ヘキサンジアミンおよび環構造を有する化合物、たとえば1,4−シクロヘキサンジアミンおよび1,3−フェニルジアミンが挙げられる。

有用なポリアミンは、3個、4個または5個以上のアミン基を含む直鎖状もしくは主に直鎖状のポリアミンを含む。

ポリアミンは、2個以上のアミン基を含むモノマー化合物、およびまたそのようなモノマーを含むポリマーを含む。

他の実施形態では、骨格要素は、多糖、オリゴ糖、単糖またはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせを含む。

多糖、オリゴ糖または単糖は、任意の適当な源から得られることができる。いくつかの実施形態では、多糖、オリゴ糖または単糖は、単離されたまたは精製された多糖、オリゴ糖または単糖である。

多糖は、天然多糖または変性多糖であることができる。天然多糖は、動物、植物または微生物の多糖を含む。

本明細書で使用される用語「多糖」とは、主として(たとえば、少なくとも約80、85または90%の)単糖繰り返し単位および/または変性単糖繰り返し単位から成る主鎖を含むポリマーをいう。

いくつかの実施形態では、多糖は、デンプン、酸化デンプン、加水分解デンプン、ゴム、セルロース、ヘミセルロース、デキストリン、デキストラン、グリコーゲン、キトサン、キチン、アミノ多糖、糖タンパク質およびそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせから成る群から選ばれる。いくつかの実施形態では、多糖は1種以上の還元糖を含む。

多糖の非限定的な例は、デンプン、加工デンプン、アミロペクチン、変性アミロペクチン、アミロース、変性アミロース、キトサン、キチン、グアーガム、変性グアーガム、ローカストビーンガム、タラガム、コンニャクガム、コンニャク粉、フェヌグリークガム、メスキートガム、アロエマンナン、セルロース、変性セルロース、たとえばカルボキシアルキル化セルロースおよびカルボキシメチルセルロース、酸化多糖、硫酸化多糖、カチオン性多糖、ペクチン、アラビアガム、カラヤガム、キサンタン、カッパ−、イオタ−またはラムダ−カラギーナン、寒天およびアルギン酸塩を含む。

多糖デンプンは、天然デンプン、加工デンプンおよび1種以上の天然および/または加工デンプンの混合物を含む。天然デンプンは、トウモロコシ、ワキシートウモロコシ、ジャガイモ、キャッサバ、タピオカ、小麦デンプン、米、もち米、エンドウ、サゴ、オート麦、大麦、ライ麦、アマランスおよびサツマイモのデンプンを含む。加工デンプンは、たとえばカルボキシメチルデンプン、ヒドロキシエチルデンプン、ヒドロキシプロピルデンプン、アセテートデンプン、スルファメートデンプン、ホスフェートデンプン、窒素修飾加工デンプン等、たとえばキトサンおよびキチンを含む。

変性多糖は、たとえばエーテル化、エステル化、酸化、酸加水分解、デキストリン化、架橋、前ゼラチン化または酵素処理(たとえば、アルファアミラーゼ、β-アミラーゼ、プルラネース、イソアミラーゼまたはグルコアミラーゼを用いた処理)によって変性された多糖を含む。

変性多糖の非限定的な例は、エステル、たとえばアセテートおよびジカルボン酸の半エステル;エーテル、たとえばヒドロキシエチルおよびヒドロキシプロピルのデンプン、および疎水性カチオンエポキシドと反応させられたデンプン;次亜塩素酸塩で酸化されたデンプン;架橋剤、たとえばホウ酸、オキシ塩化リン、エピクロルヒドリンまたはナトリウムもしくはカリウムオルトホスファートもしくはトリポリホスフェートとの反応によって調製されたホスフェート誘導体と反応させられたデンプンを含む。これらのおよび他の慣用のデンプン変性反応は、当業者に周知である。

変性多糖は、1個以上の変性基でランダムに置換された単糖主鎖を含む。

変性基は、官能基をマスクしまたは保護する基を含み、該官能基は、たとえばエーテルおよびエステルとしてのヒドロキシル基、およびさらなる官能基を導入する基、たとえばカチオン性、アニオン性、両性、非イオン性および架橋性の基、例としてカルボン酸、カルボキシレート、アミノおよびアミドの基である。

変性基は、多糖の化学的および/または物理的性質を変えることができる。たとえば、変性基は、疎水性を増加させ、親水性を低減し、またはポリフェノールおよび/または高分子錯体の他の成分と錯体形成しまたは他様に会合する能力を増加させることができる。

変性は、本発明との関係において有益である特性を提供するものに限られず、中立または場合によっては有害な効果を有する変性、たとえば本発明の接着剤が調製される方法に関する処理パラメーターについてのものまたは本発明の接着剤の中長期の特性に関するものを含むことができる。

たとえば、変性多糖であって、その中に存在するヒドロキシル基のうちのわずかな割合が、たとえばアセチル基またはメトキシ基としてマスクされ、これらのアセチル基またはメトキシ基は結合部位または錯体化部位であるという点で有害である変性多糖であるとしても、それでもなお、本発明に有用である可能性がある。というのは、多糖の官能基のうちのわずかな割合のみを変性することは、その多糖は高分子に対し最底限のサム効果を与える可能性が高く、そのためほとんどの場合にその変性多糖を配合形成工程に不適合にしたりまたは接着剤の最終結合力を有意に減少させる可能性は低い。

逆に、いくつかの実施形態において有益である基、たとえば接合力または錯化力を改善する基、例としてカルボキシメチルル化、カルボキシル化およびヒドロキシアルキル化をすることができる基を有する多糖は、たとえば特定の用途においておよび/またはより高い置換度において、湿気に敏感で湿気の侵入につながり得る接着剤およびそのような接着剤を含むエンジニアリングウッド製品の接着特性の経時劣化をもたらす。

いくつかの実施形態では、骨格要素は、多糖、オリゴ糖または単糖を含む糖複合体、および共有結合でまたは非共有結合でそれに複合体化された第1のリンカー分子を含む。理論によって拘束されることを望むわけではないが、高分子錯体中で、第1のリンカー分子は、それを介して多糖、オリゴ糖または単糖とポリフェノールとが会合することができるリンカー(または分子部分)としての役割を果たしていると考えられる。

糖複合体は、複数の第1のリンカー分子を含み、それは同じでも異なってもよい。

糖複合体は、多糖、オリゴ糖または単糖と第1のリンカー分子とを複合体化することによって形成されまたは得られもしくは得られ得る。広範囲のリンカーが複合体化に適していることができる。

第1のリンカー分子は、2種以上のリンカー分子を含んでいてもよい。そのような実施形態では、糖複合体は、多糖、オリゴ糖または単糖と2種以上のリンカー分子とを同時にまたは別々にもしくは任意の順序に逐次的に複合体化することによって形成されまたは得られもしくは得られ得る。

いくつかの実施形態では、第1のリンカー分子は、互いに隣接している2種以上のリンカー分子を含み、それらは同じでも異なってもよい。そのような第1のリンカー分子を含む複合体は、多糖、オリゴ糖または単糖に該2種以上のリンカー分子を別々にまたは逐次的に複合体化することによって調製されることができる。

いくつかの実施形態では、第2のリンカー分子は、ポリフェノールおよび/または高分子錯体の他の成分と、共有結合および/または非共有結合相互作用を形成することができる。糖複合体は、それが形成される前の多糖、オリゴ糖または単糖と比較して、そのような結合および/または結合相互作用を形成する増加した能力を有することができる。

1つの実施形態では、第1のリンカー分子は、無機ポリヒドロキシル化非金属化合物またはそのエステルもしくは塩、たとえばホウ酸であることができる。ホウ酸は、ホウ酸分子中に存在するヒドロキシル基を多糖、オリゴ糖または単糖のヒドロキシル基からの酸素原子で交換することによって、多糖、オリゴ糖または単糖に共有結合で複合体化されることができる。そのような実施形態では、ホウ酸は、多糖、オリゴ糖または単糖のホウ素エステルの形で複合体中に存在することができる。

したがって、1個以上の共有結合によるリンカー分子(たとえば、第1のリンカー分子もしくは第2のリンカー分子、または2個以上のリンカー分子を含む第1のリンカー分子もしくは第2のリンカー分子中の2個以上のリンカー分子のうちのいずれか) の複合体化が、該リンカー分子の構造を変えまたは変性することができることは当業者によって理解されるだろう。

別の実施形態では、第1のリンカー分子は金属イオンである。リンカー分子として金属イオンを含む糖複合体は、多糖、オリゴ糖または単糖を金属イオンを含む金属塩(すなわち、金属イオンは適当な塩の形で提供される)で処理することによって形成されることができる。金属イオンは、多糖、オリゴ糖または単糖中に存在するヒドロキシル基からの1個以上の酸素原子と金属配位錯体を形成することができ、好ましくは多糖、オリゴ糖または単糖のヒドロキシル基からの2個以上の酸素原子とキレート化錯体を形成することができる。

いくつかの実施形態では、骨格要素は、リグニン;リグナン;またはリグニンと第2のリンカー分子とを含むリグニン複合体;を含む。

リグニンは、単離されたまたは精製されたリグニンであることができる。リグニンは、様々な工業プロセスから得られることができる。

リグニンは、植物の二次細胞壁に由来するポリフェノール化合物の混成群であり、通常、木材に由来する。木材中のリグニンは、細胞壁中の多糖を架橋させ、したがって細胞壁におよび植物自体に機械的強度を与える役割をし、それとともに維管束組織を経由して水を導く役割を果たす。

リグニンは、様々な官能基、たとえばヒドロキシル基、メトキシ基、カルボニル基およびカルボキシル基を含む。フェノール性ヒドロキシ基は最も反応性の高いものであることができる。官能基の数および範囲は、高分子錯体中のポリフェノールおよび第2の成分と複合体化するリグニンの能力を失うことなく、かつ接着剤中でのその構造的および結合上の役割を失うことなく、膨大な数のリグニンの変性を可能にする。

リグニンは、複雑な、無定形の、三次元の、フェニルプロパンに基づいた構造を有するポリマーである。天然の未加工の形態では、リグニンの分子構造はその源によって様々であり、非常に複雑で変化に富んでいるので、その分子構造はいまだ完全には解明されていない。

リグニンは、主としてモノリグノールから成り、モノリグノールとは単一のプロパノイド側鎖およびフェニルヒドロキシル基を有するフェニルプロパノイドの下位群である。

自然界に見られるほとんどすべてのリグニンを構成する3個の共通のモノリグノール、すなわちp−クマリルアルコール、コニフェリルアルコールおよびシナピルアルコールが存在する(化1)。これらのモノマーはシキミ酸経路によって植物中で生合成される。

この様々なモノマーの割合は種に依存する。p−クマリルアルコールは草の成分および飼料タイプのリグニンであるが、木材中にはまれである。コニフェリルアルコールは軟材中に見られる主要なリグニンモノマーであり、コニフェリルおよびシナピルアルコールの両方は硬材リグニンの主な構成要素である。

様々な工業的分離方法が、源材料からリグニンを抽出するために使用されている。分離後に得られるリグニンは、スルホン酸リグニン、クラフトリグニン、ソーダリグニン、オルガノソルブリグニン、水蒸気爆砕リグニン、軟材リグニン、硬材リグニン、セルロース草リグニン、トウモロコシまぐさリグニンおよび他のリグニンを含み、これらはすべて変性されて、変性リグニンが製造されることができる。

リグニンは変性されて、本発明との関係において、たとえば構造特性、安定性等が改善され、または可溶性等が増加されることができる。変性リグニンは当該技術分野において周知である。

リグニンおよび変性リグニンの非限定的な例は、スルフィン化およびスルホン化リグニン、ヒドロキシメチル化、エポキシ化、脱窒素化、アシル化またはヒドロキシル化によって変性されたリグニン、ジエタノールアミン変性リグニン、酵素変性リグニン、ラッカーゼ変性リグニン、クラフトリグニン、尿素変性リグニン、リグノスルホネート、アルセル法リグニン、アルカリグラニット法リグニン、還流法リグニン、リグニンポリオール(たとえば、酸化プロピレン変性によるもの)、抗菌性化合物(たとえば、パラベン、テルペノール等)のような化合物部分の添加によって変性されたリグニン、リグノフェノール、リグニンのアミノ誘導体、錯体化された金属イオンを含むリグニン、および同類のもの、たとえば脱メチル化リグニンを含む。

天然リグニンは、カルボキシル基を含むことが知られている。リグニンは、酸化によって(たとえば、亜塩素酸ナトリウムを使用して)さらにカルボキシル基が導入されるように変性されることができる。カルボキシル変性リグニンは知られており商業的に入手可能である。

広範な変性リグニンが本発明に有用である。適当なリグニンおよび変性リグニンは、第1の成分および/または高分子錯体の1種以上の他の成分と会合して、第1の成分および/または高分子錯体を形成する能力を有することができる。リグニン上の錯体化部位のすべてまたは大多数をブロックする変性(たとえば、リグニンが完全にアセチル化された場合に起きる可能性があるような変性)は、そのようなリグニンが第1の成分および/または高分子錯体を形成する能力に影響を与えることがある。

変性リグニンは、1種以上の変性基でランダムに置換されたリグニン主鎖を含む。いくつかの実施形態では、リグニン主鎖のフェノール性ヒドロキシル基が変性基で置換される。

リグニン主鎖はリグニンポリマーの炭素骨格を含み、この炭素骨格はリグニンモノマー単位中の炭素に由来することができる。リグニン主鎖はさらに、隣接するモノマー単位の炭素間にエーテル結合を含み、それはポリマー構造中のモノマー単位を一緒につなぐことがある。

変性基は、官能基を、たとえばエーテルおよびエステルとしてのヒドロキシル基をマスクしまたは保護する基;ならびに追加の官能基、たとえばカチオン性、アニオン性、両性、非イオン性官能基、および架橋基、たとえばカルボン酸、カルボキシレート、アミノおよびアミド基を導入する基を含む。

変性基は、リグニンの化学的および/または物理的性質を変えることができる。たとえば、変性基は疎水性を増加させ、親水性を低減し、またはポリフェノールおよび/または高分子錯体の他の成分と錯体化しまたは他様に会合する能力を増加させることができる。

いくつかの実施形態では、リグニンは、リグニンサブユニットとして単一のモノリグノールを含む。いくつかの実施形態では、リグニンサブユニットは、約1〜約20個、約2〜約20個または約5〜約20個のモノリグノールモノマーを含む。いくつかの実施形態では、リグニンは、約1〜約20個、約2〜約20個または約5〜約20個のモノリグノールモノマーを含む。

リグナンは、リグニンに類似した構造単位から派生した植物ポリフェノール化合物である。リグナンは、C6〜C3骨格を有する2個のフェニルプロパノイド分子が二量化した構造を有する。8,8’連結を有するものが最もよく見られる種類のリグナンである。

それらは様々な部分(根、葉、幹、種子、果物)に見られることができる。多くの源(種子、果物)では、リグナンは、植物の繊維成分と会合したグリコシド複合体として見られる。植物リグナンの例は、ゴマ(セサマムインディカム(Sesamum indicum))に含まれる(+)−ピノレシノール、(+)−セサミン、(+)−セサミノール、(+)−セサモリンおよび(+)−セサモリノール;レンギョウ(フォルシシアインターメディア(Forsythia intermedia))に含まれる(+)−ピノレシノール、(−)−アルクチゲニンおよび(−)−マタイレシノール;ダフニータングチカ(Daphne tangutica)に含まれる(−)−ピノレシノールおよび(−)−ラリシレノール;リナムウシタシシマム(Linum usitatissimum) に含まれる(+)−セコイソラリシレシノール等を含むが、これらに限定されない。

リグニン複合体は、リグニンおよび共有結合でまたは非共有結合でそれに複合体化された第2のリンカー分子を含む。理論によって拘束されることを望むわけではないが、高分子錯体では、第2のリンカー分子は、それによってリグニンとポリフェノールとが会合されることができるリンカー(または化合物部分)としての役割をすると考えられる。

リグニン複合体は、複数の第2のリンカー分子を含むことができ、それらは同じでも異なってもよい。

該複合体は、リグニンと第2のリンカー分子とを複合体化することによって形成されまたは得られもしくは得られ得る。広範囲のリンカーが複合体化に適することができる。

いくつかの実施形態では、第2のリンカー分子は、ポリフェノールおよび/または高分子錯体の他の成分と共有結合および/または非共有結合相互作用を形成することができる。リグニン複合体は、それが形成される元のリグニンと比較して、そのような結合および/または結合相互作用を形成する能力が増加していることがある。

1つの実施形態では、第2のリンカー分子はポリペプチド、たとえばゼインタンパク質であることができる。ゼインタンパク質は、ゼインタンパク質中に存在する1個以上の官能基によって共有結合でまたは非共有結合でリグニンに複合体化される。

別の実施形態では、第2のリンカー分子は、アミン化合物、たとえばアミノ酸リシンであることができる。リシンは、リグニンに共有結合で、たとえば本明細書に記載されたように酵素によってまたは非酵素的にグラフト結合されることができる。

別の実施形態では、第2のリンカー分子は、アルデヒド、たとえばホルムアルデヒドまたはグリオキサルである。リグニン中の求核性官能基は、アルデヒドカルボニル基と反応して、そのアルデヒドを、たとえばアセタールまたはヘミアセタールとしてリグニンに共有結合で複合体化させることができる。

第2のリンカー分子は、2個以上のリンカー分子を含むことができる。そのような実施形態では、リグニン複合体は、リグニンと2個以上のリンカー分子とを、同時にまたは別々にもしくは任意の順序に逐次的に、複合体化させることによって、形成されまたは得られもしくは得られ得る。

いくつかの実施形態では、第2のリンカー分子は、互いに隣接している2個以上のリンカー分子を含み、それは同じでも異なってもよい。そのような第2のリンカー分子を含む複合体は、その2個以上のリンカー分子をリグニンに別々にまたは逐次的に複合体化させることによって調製されることができる。

いくつかの実施形態では、第2のリンカー分子は、アミン化合物(1級または2級アミン)とアルデヒド化合物、たとえばホルムアルデヒドとリシンとを含む。ホルムアルデヒドおよびアミン化合物とリグニンとの反応は、マンニッヒ型反応によってリグニンへのリンカーの共有結合複合体化をもたらす。そのような実施形態では、ホルムアルデヒドは、アミン化合物のアミン基の窒素原子と、別の求核分子、恐らくはリグニンからの求核分子と、につながれたメチレン基(−CH2−)の形で複合体に組み入れられることができることが理解されるだろう。

他の実施形態では、第2のリンカー分子は、カルボン酸化合物またはその塩、エステル、酸無水物もしくはハロゲン化物、たとえばジカルボン酸および無機ポリヒドロキシル化非金属化合物またはそのエステルもしくは塩、たとえばホウ酸を含む。いくつかの実施形態では、ジカルボン酸は、リグニンに、引き続いてホウ酸に複合体化されて、ジカルボン酸とホウ酸とが互いに隣接している複合体を提供することができる。そのような実施形態では、ジカルボン酸は、カルボン酸基のうちの1つによって共有結合でリグニンに複合体化され、他方のカルボン酸基はホウ酸分子に共有結合で結合される。

いくつかの実施形態では、第1の成分のポリフェノールは、タンニン、タンニン酸、フラボノイド、ポリレゾルシノールまたはそれらの任意の2種以上の任意の組み合わせを含む。

タンニン、タンニン酸、フラボノイドまたはポリレゾルシノールは、任意の適当な源から得られることができる。いくつかの実施形態では、タンニン、タンニン酸、フラボノイドまたはポリレゾルシノールは、単離されたまたは精製されたタンニン、タンニン酸、フラボノイドまたはポリレゾルシノールである。

タンニンは、広範な植物、たとえば木質の木のみならず、果実、葉および種子、たとえばブドウ、カキ、ベリー、クローブ、豆類、薬草、茶の葉およびカカオ豆の中にも存在する一群のポリフェノール化合物である。タンニン分子は一般に、多数のヒドロキシル基およびしばしばカルボキシル基をも含み、様々な範囲の高分子と強い錯体および複合体を形成する傾向がある。

タンニンは、様々な植物中に天然に存在するオリゴマー性ポリフェノールを含む。単離されたタンニンは、典型的にはタンニン化合物の異種混合物を形成する。

タンニン化合物は、2つの群、すなわちプロアントシアニジンとしても知られている縮合型タンニンおよび加水分解性タンニンに細分されることができる。タンニンオリゴマーは、典型的には二量体、三量体、四量体、五量体、六量体、七量体、八量体、九量体または十量体として存在する。10個を超えるモノマーセグメントを有するオリゴマーも、たとえば50単位までを含むオリゴマーも分離されることができる。

タンニンのポリマーおよびオリゴマーは、主として以下の基本単位から構成される:没食子酸、フラボノールおよびフロログルシノール。これらの1個または複数の基本単位が存在し、その割合はそのタンニンがどのような植物源から得られたかに大きく依存する。

加水分解性タンニンは、ポリオール核の分子部分、たとえば糖の、没食子酸エステルおよびエラグ酸エステルを含む。プロアントシアニジンはフラボノール(たとえばフラバン−3−オール)のポリマーである。

タンニンは、タンニン酸、プロアントシアニジン、フラボノイド、没食子酸エステル、カテキン等を含む。

タンニンは変性されて、たとえば本発明との関連において、構造特性、安定性等を改善し、または可溶性を増加させること等をすることができる。変性タンニンは、当該技術分野において周知である。タンニンは、たとえばその抽出工程またはタンニンが由来する材料の主要な処理工程の結果として変性されてもよい。

変性タンニンは、1個以上の変性基でランダムに置換されたタンニン主鎖を含む。いくつかの実施形態では、タンニン主鎖のフェノール性ヒドロキシル基は、変性基で置換されている。

変性基は、官能基を、たとえばエーテルおよびエステルとしてのヒドロキシル基をマスクしまたは保護する基;ならびに追加の官能基、たとえばカチオン性、アニオン性、両性、非イオン性の基、および架橋基、たとえばカルボン酸、カルボキシレート、アミノおよびアミド基を導入する基を含む。

タンニンおよび変性タンニンの例は、亜硫酸化タンニン、リグニン−タンニン錯体、タンネート(たとえば、タンニン酸の塩またはエステル)、タンニン塩、エーテル化タンニン、アルキル化(たとえば、メチル化)タンニン、タンニンエステル(たとえば、アセチル化タンニン)、タンニン金属錯体(たとえば、タンニン酸銅)、アミン変性タンニン等、たとえばカチオン性またはアニオン性タンニンおよびヒドロキシプロピル化タンニンを含むが、これらに限定されない。広範な変性タンニンは本発明に有用である。好適なタンニンおよび変性タンニンは、第1の成分および/または高分子錯体の1個以上の他の成分と会合することができ、第1の成分および/または高分子錯体を形成する。タンニン上の複合体化部位のすべてまたは大部分をブロックする変性、たとえばタンニンのヒドロキシル基の実質的にすべてをアセチル化する変性は、そのようなタンニンが第1の成分および/または高分子錯体を形成する能力に影響することがある。

タンニンがタンパク質バインダー/架橋剤としての役割を果たすためには、そのタンニンは一般に、あるサイズのものであり、十分な結合部位を有していなければならない。一般に、タンニンは非常に大きいので、このことは問題にはならない。いくつかの実施形態では、タンニンサブユニットも、本発明に有用であるために十分な大きさを有し、また十分な結合部位を有することができる。

いくつかの実施形態では、タンニンは4個以上のフェニル基および10個以上のヒドロキシル基を含む。いくつかの実施形態では、タンニンは、4個以上のフェニル基および10個以上のヒドロキシル基を含む変性タンニンまたはタンニンサブユニットである。

ポリフラボノイドを包含するフラボノイドは、周知の部類の植物二次代謝産物であり、植物の葉、幹および樹皮中に遍在している。一般にタンニンと呼ばれるこの広い部類の化合物は、加水分解性および圧縮型タンニンを包含し、これらは没食子酸モノマー単位あるいはカテキン系モノマー単位のいずれかのポリフェノールの構成によって識別される。

ポリレゾルシノールは、典型的には海草のような海生源から抽出された部類のポリフェノールである。ポリレゾルシノールは、フロログルシノール系縮合型タンニンに構造上密接に関連している。

接着剤システムに、必要な機能性、たとえばカップリング性、架橋性、耐久性および耐湿性を付与するためには、複数の成分の組み合わせが要求される。

本発明の接着剤組成物中の高分子錯体は、そのような成分の組み合わせを含む。

様々な成分は、特定の順序で組み合わせられて、高分子錯体を形成することができる。

高分子錯体(または第1の成分、糖複合体もしくはリグニン複合体)を調製する際に、その高分子錯体(または第1の成分、糖複合体もしくはリグニン複合体)に何らかの所定の成分を組み込む程度は100%未満であり得ることを、当業者は理解するだろう。いくつかの実施形態では、組み込みの程度は、与えられた出発原料(実際の成分)の乾燥重量基準で約10%〜約99%、約10%〜約95%、約10%〜約90%、約10%〜約85%または約10%〜約80%である。

高分子錯体、第1の成分、糖複合体またはリグニン複合体の構成は、任意の適切な方法によって、たとえば本明細書に記載された核磁気共鳴分光法(NMR)または赤外分光法によって測定されることができる。構成は、出発原料が適切に可溶化され、分散されまたは懸濁されるであろう条件の下における沈降または凝縮によって測定されてもよい。

いくつかの実施形態では、本発明の接着剤組成物は、タンパク質またはリグニン(または同様の目的に役立つことができる他の高分子、たとえば多糖)をタンニンと組み合わせて第1の成分(または本発明の接着剤との関連における、硬化された接着剤中でコポリマーになる中間体)へとする工程、次にこの第1の成分にタンパク質またはタンパクに富む基体を含む第2の成分を組み合わせる工程からつくられることができる。硬化すると、第1の成分と第2の成分のタンパク質とは架橋して、熱硬化性またはコールドセット樹脂または接着剤を形成する。

リグノセルロース材料、たとえば木質繊維または単板と組み合わされると、本発明の接着剤成分は、硬化後にリグノセルロース材料とも架橋して、複合材料を形成する。この接着剤は、様々な範囲のエンジニアリングウッド製品複合材料に使用するのに適していることができる。ある実施形態では、変性剤がタンパク質またはタンパクに富む基体とともに添加されると、よりよい接着特性が得られることができる。変性剤、たとえばグリセリン、ナトリウム塩、たとえば塩化ナトリウムまたは亜硫酸ナトリウムもしくは重亜硫酸(亜硫酸水素)ナトリウム、尿素、チオール、界面活性剤および分散剤は、タンパク質分子の4次、3次および/または2次構造を破壊することによって、タンパク質分子を開く役割をし、またそれを可溶化するのを助けることもできる。

本発明の接着剤は、成分の段階的な構築によって、特に(骨格成分(たとえば、タンパク質、リグニン、デンプンまたは変性リグニン)をポリフェノール成分(たとえば、タンニン)に添加することによる)第1の成分の形成と、それに引き続く第2の成分(たとえば、タンパク質)の添加とによって提供されることができる。温度、pHおよび添加の順序は、成分または複合体を溶液状態に溶解させまたは分散させるために、存在する成分の複合体化または錯体化を適切な時に防止しまたは促進するために、および順序付けられた複合体化を達成するために、調節されることができる。

接着剤の製造は、最初に第1の成分の形成が必要である。第1の成分は、たとえばタンニンをタンパク質に複合体化することによって形成されることができる。本発明の他の実施形態では、他の高分子または変性されたもしくは錯体化された高分子が、タンパク質の代わりに使用されてもよい。アミノ酸によって錯体化されたリグニンは1つの例である。他のものとしては、デンプン、タンパク質−リグニンの組み合わせ等が挙げられる。

第1の成分の形成、たとえばタンニンのタンパク質またはリグニン錯体への複合体化は、水相のpH、温度、成分比率および添加順序の調節によって調節されることができる。溶液化、溶解、複合体化の促進等に使用される温度、時間およびpHの特定範囲は、第1の成分の配合形成、接着剤の形成、接着剤の特性および複合材料の特性のために重要であり得る。ある程度まで、これらの変数は、相互に依存し、特定の配合に使用される特定の成分に従属することに留意しなければならない。たとえば、ゼインおよびダイズは、両方とも骨格要素として使用されることができる。しかし、ゼインは、可溶化するためには実質的によりアルカリ性の条件が必要とされる。当業者は、たとえば様々な成分を可溶化し、可溶化を維持し(たとえば、凝集を防ぎ)およびそれらの複合体化を調節する(たとえば、促進するまたは抑制する)ために使用されることができる適切な条件を認識できるだろう。

添加の順序および第1の成分の形成も重要であり得る。たとえば、最初にダイズ−タンニン錯体を形成し、その後に、より多くのダイズを添加することによってつくられダイズ−タンニン:ダイズ接着剤は、タンニンがそれらの2つのダイズ成分の合計と等しい量のダイズタンパク質に一度に添加された場合よりもはるかに優れた接着剤をもたらす。

第1の成分の形成は、多くの方法で実証されることができる。たとえば、ゼイン−タンニン錯体は、錯体形成がなければタンニンが溶液中に留まるのが観察されるであろう条件の下で、溶液から沈降させることができる。NMR分析では、タンニンヒドロキシル炭素(約155ppm)およびペプチドアミドカルボニル(約175ppm)に帰属されるピークの広がりおよび強度変化が観察され、これはフェノール性ヒドロキシル基とアミノ基との水素結合による多数の化学的相互作用の存在および錯体形成を示している。本発明のいくつかの実施形態では、赤外分光法は、ヒドロキシル−アミノ結合からのアンモニウム形成を示すピークの変化を示している。

タンニンをリシン変性リグニンに添加することによって第1の成分が形成される場合、および他の配合組み合わせでも、同様の効果が明らかである。

1つの実施形態では、本発明の方法は、骨格要素(たとえばゼイン)をその可溶化に適した条件下で可溶化し、次にタンニンが十分に分散される前に骨格要素が凝集するのを回避する条件下でタンニンを添加し分散させ、そして次に条件を変更して(たとえば、pHまたは温度を下げて)、複合体の形成を促進するものである。

任意的に、より多くのタンニンが、ペンダント型タンニン単位を加えるために添加されてもよい。第2の成分(たとえばダイズ粉のようなタンパク質)が、次にダイズの溶解を促進する条件下でおよび/またはダイズの溶解を促進する添加物とともに添加される。その後、接着剤が冷却される。

第2の成分(たとえば、ダイズタンパク質)は典型的には高められた温度で添加され、その組成物は、第2の成分を可溶化し、溶解し、分散しまたは懸濁し、かつ高分子錯体を形成するのに十分な時間高められた温度に維持される。必要とされる温度および時間は、様々な要因、たとえば第2の成分を含有する材料の純度に依存して変わり得る。その材料中の第2の成分の量に関して低純度の材料の場合、高純度の材料と比較して、より長い加熱時間および/またはより高い温度が、第2の成分を可溶化し、溶解し、分散しまたは懸濁するために要求されることがある。

いくつかの実施形態では、たとえば第2の成分を提供する材料が、第2の成分以外の成分を含む場合、第2の成分は、高められた第1の温度で組成物に添加されることができ、該第1の温度はある時間維持されて、第2の成分の少なくとも一部の可溶化、溶解、分散または懸濁が進められ促進され、その後、温度が第2の温度に、典型的には第1の温度よりも低い温度に調節されることができ、該第2の温度は、ある時間維持されて、さらなる第2の成分の可溶化、溶解、分散または懸濁が促進される。高分子錯体は、加熱工程の全体にわたって形成されることができる。

第2の成分の添加後の延長された時間の加熱は、ある実施形態では、接着剤組成物の(貯蔵後の、基板への施与の前の)粘度が時間とともに増加する速度を低減することができる。これは、接着剤組成物が貯蔵後に好適な基板への施与に適した粘度のままでいる期間を増加させる。

ゼイン−タンニン:ダイズタンパク質接着剤の場合には、ゼイン成分は典型的には最初に可溶化され、次にタンニンと複合体化される。このゼイン−タンニン複合体が、次にダイズタンパク質と一緒にされる。水性溶液中にゼインを可溶化するためには、一般的に70〜90℃の温度および約pH11の領域のアルカリ性条件が要求される。タンニンが次に添加され、pHが約9に下げられかつ温度が50〜70℃に下げられて、ポリフェノール化合物−タンパク質の複合体化が促進されることができる。さらに多くのタンニンが添加されることができる。グリセリンまたはナトリウム塩のような添加物が添加されて、ダイズタンパクの溶解が促進されてもよい。ダイズタンパク質は、9のpHおよび70℃の温度を保っている接着剤配合物中に添加され分散される。その後、最終配合物が環境温度まで冷却される。

冷却の際またはその後に、pHは、典型的には3〜9の範囲のpHに、酸(たとえば、ギ酸)の添加によってさらに調節されてもよい。最終配合物のpHは、接着剤がそのために製造される施与の特定の要請に依存する。たとえば、合板の製造は、より大きな耐湿性を与えるためにこの範囲の下端のpHを有する接着剤を必要とし、典型的には約4〜6の範囲のpHである。

リグノセルロース基板への接着剤の施与および硬化をすると、成分は互いに架橋し、リグノセルロース基板は硬化された複合材料製品を形成する。

本明細書に記載された接着剤組成物は、1種以上のさらなる接着剤と組み合わされて、接着剤ブレンドを提供することができる。ブレンド中の本明細書に記載された接着剤組成物の含有量は、ブレンド中に存在する他方の接着剤およびそのブレンドが意図されている被施与物によって決められることができる。 ゼイン−タンニン第1の成分

可溶性形態のゼインの送達とそれに続くタンニンとの合体は、ゼイン−タンニン第1の成分を生成する。このゼイン−タンニン第1の成分は疎水性を付与し、ゼイン−タンニン:ダイズ接着剤のための架橋剤の役割を果たす。

ゼイン−タンニン複合体の形成において、すべてのタンニンが溶液中に添加され分散される前にタンパク質が凝集するのを避けることは、pHの操作によって達成されることができる。タンニンを約pH11で添加すると、タンパク質の凝集を防ぐ。必要な投与量のタンニンが溶液に添加され分散され終われば、pHは約pH9に調節されることができる。このpHの変化は、複合体の形成およびゼイン−タンニン第1の成分のコロイド分散を引き起こす。

ゼイン:タンニンの比率は、まず最初にpH調節後のゼインコロイドの凝集を避けるように調節される。この工程は、様々な程度のゼイン含有量を有する材料(粗原料)を使用する場合においてさえ、適合化され適用されることができる。さらなる量のタンニンが添加されて、ゼインをさらに複合体化させ、かつダイズタンパク質の追添後のさらなるタンパク質の配位に利用可能な、遊離の、非錯体形成性の残留の/ペンダントのタンニン単位を生成することができる。 リグニン−タンニン第1の成分

1つの実施形態では、リグニンは、最初にアミン化合物、たとえばリシンと結合され、次にpHが調節されて、リグニン−アミン化合物の複合体化が確実にされる。タンニンはその後に添加される。

リグニンのフェノール性ヒドロキシル基と、タンパク質、ペプチド残留物およびアミノ酸の中に存在するアミドおよびアミノ基との複合体化は、リグニンを変性してタンニンとの複合体化を助けることができる。

酵素カップリングを含む変形も使用されることができ、たとえば酵素を過酸化物化することを使用して、リグニンとアミノ基と間のグラフト結合を促進することができる。タンニンはその後に添加される。

この第1の成分は、リグニン−タンニン:ダイズまたはゼイン−リグニン−タンニン:ダイズの接着剤配合物中に、たとえば特定の条件下にダイズタンパク質を第2の成分としてその後に添加することによって、一体化されることができる。

他の合成方法も、リグニン−タンニン第1の成分を形成するために使用されることができる。たとえば、リグニン−タンニン第1の成分は、リグニンにホルムアルデヒド、グリオキサルまたは他のアルデヒドを添加し、引き続いてタンニンを添加することによって合成的に形成されることができる。アミノ酸およびホルムアルデヒドはまた、マンニッヒ反応でリグニンに結合されることができ、その生成物が次にタンニンに結合される。しかし、ホルムアルデヒド化学を回避するためには、上記の方法は簡単な代替方法を提供している。 デンプン−タンニン第1の成分

デンプン成分が、炭水化物成分中に存在する残留のアルデヒド基と結合することによってタンニンと合体されてもよい。実質的により大きな複合体化速度を達成するために、ホウ酸塩の媒介によるカップリングが使用されることができる。1つの実施形態では、アルカリ性条件(約pH9)下でホウ酸が添加され、これはデンプンのヒドロキシル基とタンニンの残留のフェノール基との結合を引き起こす。これは、ホウ素を中心とするデンプン−タンニン複合体化をもたらす。20:1のタンニン:ホウ酸比率が、好適な特性および複合体化可能性を提供するようである。 ゼイン:タンニン:ダイズ接着剤

ゼインは、様々な純度の粗原料、たとえば純ゼイン、またはトウモロコシデンプン処理残留物、例として未精製トウモロコシもしくはグルテンのミール、またはトウモロコシもしくはグルテンの粉であって、1mm(好ましくは<0.25mm)の篩を通過するように摩砕され、かつ少なくとも50%、より好ましくは62〜100%のゼイン純度を有するものが使用されることができ、典型的には62〜70%のゼイン材料が一般に入手可能である。

1つの実施形態では、ゼイン材料(ゼインを含有する粗原料)が水に加えられ、pHが9〜13(好ましくは11)におよび温度が70〜95℃(好ましくは90℃)に調節される。45〜75分間以内に淡黄色〜茶色の分散物(溶液または懸濁物のような用語が、ここでは同等に適用されることができる。)が得られてすべての微粒子が可溶化されたと見なされるまで、加熱が続けられる。

ゼインとともに使用される最初の水の量は、典型的には最終接着剤粘度の要件によって決定される。

タンニン材料(粗原料)の最初の投与量が、pH 11および90℃を保ちながらゼイン分散物に添加される。添加量は、20:1〜5:1、好ましくは10:1(材料(粗原料)重量基準でのゼイン:タンニン比率)の範囲であることができる。

pHはpH9に下げられ、温度は50〜80℃、好ましくは70℃に下げられる。

タンニン材料の第2の投与量が、7:1〜3:1(材料重量基準でのゼイン:タンニン比率)、好ましくは5:1の合計材料比率が得られるように添加され、ゼイン−タンニン中間体の形成が完了する。

グリセリンまたは他の添加物が添加されて、ダイズタンパク質の分散および好ましい粘度のような配合物特性が確保されることができる。

pH9および70℃を保ちながら、ダイズタンパク質材料(粗原料)が添加される。ダイズ材料は、少なくとも40%、好ましくは50〜100%のダイズ純度を有することができ、接着剤の製造に好まれるダイズ粉およびダイズミールでは、典型的には50〜55%のダイズ純度が一般的である。

ダイズの量は、5:1〜10:1、好ましくは5:1(材料重量基準でのダイズ:タンニン比率)であることができる。

いくつかの実施形態では、ダイズは15〜75分間以内に分散されて、ゼイン−タンニン:ダイズ高分子錯体が得られる。何らかの所与の場合において、ダイズタンパク質の分散に必要な時間の実際の長さは、目標最終接着剤特性(粘度を含む。)によって決定されることになる。

いくつかの実施形態では、ダイズは、約70℃の高められた温度で30〜60分間(たとえば、約45分間)添加混合され、温度は約50℃に下げられ、そして加熱が延長された時間、たとえば90〜120分間(例として120分間)続けられて、高分子錯体が形成される。時間および温度は、様々な要因、たとえば使用されるダイズ粗原料または材料の純度に依存して変わることがある。

配合物が環境温度まで冷却されると、ホウ酸がそれに添加されてもよい。使用されたタンニンの量がホウ酸の量を決定し、典型的には40:1〜15:1、好ましくは20:1の成分の乾燥重量基準でのタンニン:ホウ酸比率であり、これは残留の炭水化物とタンニンとの複合体化および結合を助けることができる。 ゼイン:リグニン:タンニン:ダイズ接着剤

上記のように、ゼインは様々な純度で、たとえば少なくとも50%、より好ましくは62〜100%のゼイン純度を有するトウモロコシデンプン処理残留物からのものが使用されることができ、典型的には62〜70%のゼイン材料が一般に入手可能である。

1つの実施形態では、ゼイン材料が水に加えられ、pHが9〜13(好ましくは11)におよび温度が70〜95℃(好ましくは90℃)に調節される。45〜75分間以内に淡黄色〜茶色の溶液が得られてすべての微粒子が可溶化されたと見なされるまで、加熱が続けられる。

ゼインとともに使用される最初の水の量は、典型的には最終接着剤粘度の要件によって決定される。

苛性剤がアルカリ性を増加するために添加される。要求される苛性剤は、典型的には以下で使用される量のリグニンを溶解するのに必要とされる量である。

リグニンが次にゼイン溶液に添加されて、リグニンが完全に可溶化されるまでの時間、放置される。添加されるリグニンは、5:5〜5:1の比率(材料重量基準でのゼイン:リグニン比率)、たとえば5:3の比率を与える。

この溶液は、次にゼイン−リグニン複合体の沈降を生じさせるpH9および50〜80℃の温度に調節される。

タンニン材料が、2.5:1〜6:1(材料重量基準でのゼイン:タンニン比率)、好ましくは3:1〜5:1、たとえば3:1の材料比率を与えるように添加され、リグニン複合体−タンニン第1の成分の形成が完了する。

グリセリンまたは他の添加物が添加されて、ダイズタンパク質の分散および好ましい粘度のような配合物特性が確保されることができる。

pH9および70℃を保ちながら、ダイズタンパク質材料が添加される。ダイズ材料は、少なくとも40%、好ましくは50〜100%のダイズ純度を有することができ、接着剤に好まれるダイズ粉およびダイズミールでは、典型的には50〜55%の純度が一般的である。

ダイズの量は、5:1〜12:1、好ましくは10:1(材料重量基準でのダイズ:タンニン比率)であることができる。

いくつかの実施形態では、ダイズは15〜75分間以内、たとえば45〜50分間以内に分散されて、高分子錯体が得られる。他の実施形態では、ダイズは第1の温度で添加混合され、次に延長された時間、第2のより低い温度で加熱されて、上記の高分子錯体が形成されることができる。

配合物が環境温度まで冷却されると、ホウ酸がそれに添加されてもよい。使用されたタンニンの量がホウ酸の量を決定し、典型的には40:1〜15:1、好ましくは20:1の成分の乾燥重量基準でのタンニン:ホウ酸比率であり、これは残留の炭水化物とタンニンとの複合体化および結合を助けることができる。 化学結合によるリグニン:タンニン:ダイズ接着剤

1つの実施形態では、工業用リグニンが水に溶解され、50〜90℃に加熱されながらpHがpH10〜12に、好ましくは少なくともpH10.5に調節される。

リグニンとともに使用される最初の水の量は、典型的には最終接着剤の粘度の要件によって決定される。

アミノ酸、たとえば少なくとも50%の純度を有するリシンが、5:1〜1:2、好ましくは1:1(材料重量基準でのリグニン:リシン比率)の量で溶液に添加される。

pHがpH9に下げられ、温度が50〜80℃、好ましくは70℃に下げられる。

得られた懸濁物は、リグニン−アミノ酸複合体を生成する。

タンニン材料が、2.5:1〜6:1(材料重量基準でのリグニン:タンニン比率)、好ましくは3:1〜5:1、たとえば3:1の材料比率を与えるように添加され、リグニン複合体−タンニン第1の成分の形成が完了する。

グリセリンまたは他の添加物が添加されて、ダイズタンパク質の分散および好ましい粘度のような配合物特性が確保されることができる。

pH9および70℃を保ちながら、ダイズタンパク質材料が添加される。ダイズ材料は、少なくとも40%、より好ましくは50〜100%のダイズ純度を有することができ、接着剤に好まれるダイズ粉およびダイズミールでは、典型的には50〜55%の純度が一般的である。

ダイズの量は、5:1〜12:1、好ましくは10:1(材料重量基準でのダイズ:タンニン比率)であることができる。

ダイズは15〜75分間以内、たとえば45〜50分間以内に分散されて、高分子錯体が得られる。他の実施形態では、ダイズは第1の温度で添加混合され、次に延長された時間、第2のより低い温度で加熱されて、上記の高分子錯体が形成されることができる。

配合物が環境温度まで冷却されると、ホウ酸がそれに添加されてもよい。使用されたタンニンの量がホウ酸の量を決定し、典型的には40:1〜15:1、好ましくは20:1の成分の乾燥重量基準でのタンニン:ホウ酸比率であり、これは残留の炭水化物とタンニンとの複合体化および結合を助けることができる。 酵素カップリングによるリグニン:タンニン:ダイズ接着剤

1つの実施形態では、工業用リグニンが水に溶解され、40〜80℃に加熱されながらpHがpH10〜12に、好ましくは少なくともpH10.5に調節される。

少なくとも50%の純度を有するリシンが、5:1〜1:2、好ましくは1:1(材料重量基準でのリグニン:リシン比率)の量で溶液に添加される。

pHがpH5〜7に下げられ、温度が40〜60℃、好ましくは50℃に下げられる。

得られた懸濁物が、リグニンペリオキシダーゼ酵素、たとえばリグニン基準で40〜250U/gの活性を有するラッカーゼで処理される。ラッカーゼ活性は、200U/gを使用して4〜20時間の反応時間、好ましくは6時間の反応時間の長さを決定する。

リグニンはアミノ酸にグラフト結合される。

タンニン材料が、2.5:1〜6:1(材料重量基準でのリグニン:タンニン比率)、好ましくは3:1〜5:1、たとえば3:1の合計材料比率を与えるように添加され、リグニン複合体−タンニン第1の成分の形成が完了する。

反応混合物は70℃に加熱される。

残りの工程は上記の変形(a)と同じである。

グリセリンまたは他の添加物が添加されて、ダイズタンパク質の分散および好ましい粘度のような配合物特性が確保されることができる。

pH9および70℃を保ちながら、ダイズタンパク質材料が添加される。ダイズ材料は、少なくとも40%、より好ましくは50〜100%のダイズ純度を有することができ、接着剤に好まれるダイズ粉およびダイズミールでは、典型的には50〜55%の純度が一般的である。

ダイズの量は、5:1〜12:1、好ましくは10:1(材料重量基準でのダイズ:タンニン比率)であることができる。

ダイズは15〜75分間以内、たとえば45〜50分間以内に分散されて、高分子錯体が得られる。他の実施形態では、ダイズは第1の温度で添加混合され、次に延長された時間、第2のより低い温度で加熱されて、上記の高分子錯体が形成されることができる。

配合物が環境温度まで冷却されると、ホウ酸がそれに添加されてもよい。使用されたタンニンの量がホウ酸の量を決定し、典型的には40:1〜15:1、好ましくは20:1の成分の乾燥重量基準でのタンニン:ホウ酸比率であり、これは残留の炭水化物とタンニンとの複合体化および結合を助けることができる。

以下の非限定的な実施例は、本発明を例示するために提供され、本発明の範囲を決して限定しないものである。 [実施例]

ゼイン:タンニン:ダイズMDF Avon Gold(トウモロコシグルテンミール、ゼイン約70%)(100g)が水(450mL)に加えられ、次に40%の水酸化ナトリウム溶液でpH11に調節された。反応混合物は50分間で90℃に加熱されて、確実にpH11が維持された。1時間後にミモザタンニン(10g)が添加され、溶液は10分間撹拌され、その間ギ酸溶液でpHがpH9に調節され、温度が70℃に下げられた。さらなる投与量のタンニン(10g)が添加され、撹拌が続けられた。グリセリン(130 mL)が添加され、引き続いてダイズ粉7B(100g)が添加された。撹拌がさらに50分間継続され、その後溶液は環境温度にまで冷却された。冷却中にホウ酸(0.55g)が添加された。その後最終溶液は、機械的にブレンドされた木質繊維に、繊維当たり8〜10%の接着剤含有量の割合で微細スプレーとして施与された。該繊維はマットレスへと形成され、180℃のホットプレスによって圧密化されて、0.45MPaの凝集力および29%の24時間冷水浸漬後厚さ膨張値を有する8mmの中密度繊維板(MDF)が得られ、これは添加されるサイズ剤ワックスを含まないパネルであった。

ゼイン:タンニン:ダイズMDF Avon Gold(80g)が水(360mL)に加えられ、次に40%の水酸化ナトリウム溶液でpH11に調節された。反応混合物は50分間で90℃に加熱されて、確実にpH11が維持された。1時間後に亜硫酸化された松樹皮タンニン(8g)が添加され、溶液は10分間撹拌され、その間ギ酸溶液でpHがpH9に調節され、温度が70℃に下げられた。さらなる投与量のタンニン(8g)が添加され、撹拌が続けられた。グリセリン(130 mL)が添加され、引き続いてダイズ粉7B(ダイズタンパク質約50〜52%)(80g)が添加された。撹拌がさらに50分間継続され、その後溶液は環境温度にまで冷却された。冷却中にホウ酸(0.48g)が添加された。その後最終溶液は、木質繊維に、繊維当たり8〜10%の接着剤含有量の割合で機械ブレンドによって施与された。該繊維はマットレスへと形成され、210℃のホットプレスによって圧密化されて、0.55MPaの凝集力および31%の24時間冷水浸漬後厚さ膨張値を有する8mmの中密度繊維板(MDF)が得られた。

リグニン:タンニン:ダイズMDF リグノスルホネート(30g)が70℃の水(310mL)に加えられ、水酸化ナトリウムでpH11に調節された。硫酸リシン(30g)が添加され、溶解後にギ酸でpHがpH9に調節された。松樹皮タンニン(10g)が添加され、撹拌が続けられた。ダイズ粉7B(100g)がグリセリン(120 mL)中に加えられた後に溶液に添加され、撹拌が60分間続けられた。ホウ酸(0.50g)が添加され、溶液は冷却された。茶色の溶液が木質繊維に、繊維当たり8〜10%の接着剤含有量の割合で施与され、機械ブレンドされた。この繊維は180℃でホットプレスされ、0.57MPaの凝集力および21%の24時間冷水浸漬後厚さ膨張値を有する8mmの中密度繊維板(MDF)が得られた。

ゼイン:リグニン:タンニン:ダイズMDF Avon Gold(50g)が水(360mL)に加えられ、次に40%の水酸化ナトリウム溶液でpH11に調節された。反応混合物は50分間で90℃に加熱されて、確実にpH11が維持された。苛性剤(水酸化ナトリウム)が添加されてpH12.5とされ、次にクラフトリグニン(30g)が添加された。リグニンを溶解した後、pHがギ酸でpH 9に調節され、そしてミモザタンニン(10g)が添加されて、撹拌が続けられた。グリセリン(120 mL)が添加され、引き続いてダイズ加水分解物(ダイズタンパク質約90%)(55g)が添加され、撹拌が60分間続けられた。ホウ酸(0.55g)が添加され、その後溶液は冷却された。茶色の溶液が、木質繊維に繊維当たり8%の接着剤含有量の割合で施与され、機械的にブレンドされた。この繊維は180℃でホットプレスされて、0.37MPaの凝集力および33%の24時間冷水浸漬後厚さ膨張値を有する8mmの中密度繊維板が得られた。

リグニン:タンニン:ダイズ合板パネル Indulin ATリグニン(クラフトリグニン)(30g)が70℃の水(310 mL)に添加され、水酸化ナトリウムでpH11に調節された。硫酸リシン(30g)が添加され、溶解した後にpHがギ酸でpH9に調節された。亜硫酸化タンニン(10g)が添加され、撹拌が60分間続けられた。ホウ酸(0.50g)が添加され、溶液が冷却された。茶色の溶液が、100g/m2の割合でラジアータパイン軟材単板の両片面に施与された。単板は5層の積み重ねとなるように重ねられ、5分間コールドプレスされた。次に合板パネルが140℃でホットプレスすることによって形成された。該合板は、16時間冷水浸漬後でも層間剥離しない。

ゼイン:タンニン:ダイズMDF Avon Gold、すなわちトウモロコシグルテンミール(1.44kg)が、水(10.1kg)中に分散され、40%の水酸化ナトリウム(40%、211g)が添加されて、溶液がpH11に調節された。この反応混合物が、pH11を維持して90℃まで50分間加熱された。亜硫酸化された松樹皮タンニン(144g)が次に添加され、その溶液が10分間撹拌された後、ギ酸(40%、50g)が添加され、温度が70℃まで下げられた。水性懸濁物をpH9に保って、追加の亜硫酸化された松樹皮タンニン(144g)が添加され、撹拌が続けられた。その後グリセリン(1.9kg)が添加され、引き続いてダイズ粉7B(1.44kg)が注意深く添加された。撹拌が50分間続けられた後、得られた接着剤配合物は環境温度まで冷却された。冷却中に、ホウ酸(10g)が添加された。この接着剤が、木質繊維に繊維当たり10%の接着剤含有量の割合で機械的にブレンドすることによって施与された。繊維はマットレスへと形成され、環境温度でプリプレスされて、40〜50mmの厚さにされた。プリプレスマットレスは、次に20秒/mm(180秒間)の速度で210℃の加圧でホットプレスされることによって圧密化されて、710kg/m3の平均密度を有する8mmの中密度繊維板が得られた。AS/NZS:4266の試験は、0.55MPaの凝集力およびワックス未添加で31%の24時間冷水浸漬後厚さ膨張値のMDFパネルを実証した。

リグニン:タンニン:ダイズMDF リグノスルホネート(30g)が、70℃の水(310 mL)に添加され、水酸化ナトリウムでpH11に調節された。硫酸リシン(30g)が添加され、溶解後、pHがギ酸でpH9に調節された。松樹皮タンニン(10g)が添加され、撹拌が続けられた。ダイズ粉7B(100g)がグリセリン(120 mL)中に加えられた後に溶液に添加され、撹拌が60分間続けられた。ホウ酸(0.50g)が添加され、溶液が冷却された。得られた接着剤が、木質繊維に、繊維当たり10%の接着剤含有量の割合で機械的にブレンドすることによって施与された。この繊維はマットレスへと形成され、環境温度でプリプレスされて、50mmの厚さにされた。プリプレスマットレスは、次に20秒/mm(180秒間)の速度で180℃の加圧でホットプレスされることによって圧密化されて、720kg/m3の平均密度を有する8mmの中密度繊維板が得られた。AS/NZS:4266の試験は、0.57MPaの凝集力およびワックス未添加で21%の24時間冷水浸漬後厚さ膨張値のMDFパネルを実証した。

リグニン:タンニン:ダイズMDF Indulin ATリグニン(660g)および硫酸リシン(660g)が、水(7.4kg)中で一緒にされ、水酸化ナトリウム(40%、586g)が添加されて、pH>10.5が達成された。この溶液は、次にギ酸(40%、470g)でpH7に調節された。ラッカーゼ酵素(46g、55nkat、リグニン当たり203U)が添加され、溶液は50℃で6時間撹拌された。(苛性剤、すなわち水酸化ナトリウム溶液で)pH9に調節された後、亜硫酸化された松樹皮タンニン(220g)が添加され、溶液は10分間撹拌され、その間70℃まで加熱された。グリセリン(2.9kg)が添加され、引き続いて70℃を維持しながらダイズ粉7B(2.2kg)が注意深く添加された。50分後、ホウ酸(10g)が添加され、次に得られた接着剤配合物が周囲温度に冷却された。この接着剤を木質繊維に施与し、180℃でプレスすることによって、670kg/m3の平均密度を有する8mmのMDFパネルが得られた。このMDFパネルは、AS/NZS 4266:2004に準拠する日本国標準デシケーター方法によって測定された0.04mg/Lのホルムアルデヒド放出量実測値を有していた。

上記の配合物において、リグニン:タンニン:ダイズの粗原料(すなわち、材料)の比率は、材料重量基準で3:1:10である。

この配合物では、リグニン:リシンの粗原料の比率は1:1重量比率である。これは1リグニン単位(すなわち、1リグニン単位を含む1フェニルプロピル単位)当たり約1個のリシンに相当し、すなわちこれは成分の乾燥重量基準で約1:1の比率である。

タンニンは統一された基準値に基づいて添加される。このことは、3:1重量比率のリグニン−タンニンの粗原料の比率を与える。

ダイズ粉は約50%タンパク質であるので、リグニン:ダイズタンパク質の粗原料の比率は、3:5重量比率である。

全体としては、粗原料の重量基準で3:1:10の比率は、実際の成分の重量基準(すなわち、それぞれの粗原料中のリグニン、タンニンおよびダイズの乾燥重量による実際の量)で約3:1:5の比率に相当する。

本発明の接着剤は、低純度で低コストの粗原料、たとえばトウモロコシ廃棄物(ゼインの場合)およびダイズ粉またはダイズミールから製造されることができるように意図されている。粗原料のいくつかの成分だけが、高分子錯体の形成に係わるのでもよい。ときには、粗原料中の不純物が高分子の形成または安定性に悪影響を及ぼすのを抑制しまたは防止するために、追加の添加物が必要になることがある。たとえば、ホウ酸が、残留する炭水化物デンプン分子の架橋を助けるために添加されることができる。

ゼイン:タンニン:ダイズ合板 Avon Gold(200g)が水(1105mL)に加えられ、次に水酸化ナトリウム溶液(40%、25.8g)でpH11に調節され、50分間、90℃にまで加熱された。1時間後、ミモザタンニン(20g)が添加され、溶液が撹拌され、その間ギ酸溶液(40%、5.9g)でpHがpH9に調節され、温度が70℃に下げられた。追加のミモザタンニン(20g)が添加された。グリセリン(260g)および水(130mL)が添加され、引き続いてダイズ粉7B(200g)が添加された。pH9を維持しながら、撹拌がさらに50分間継続された。得られた接着剤はその後環境温度にまで冷却され、冷却中にホウ酸(1.6g)が添加された。この接着剤は、5重量%の小麦粉と一緒にされ、ラジアータパイン軟材単板に200g/m2の散布率で施与された。10分の開放時間の後、単板は5層の積み重ねとなるように重ねられ、5分間コールドプレスされた。次に合板パネルが140℃で14分間ホットプレスすることによって形成された。ASTM D906−98を用いた引張荷重によるせん断試験は、1527Nの平均最大荷重値および2.4MPaの引張応力を有する接着剤の強さ特性を明らかにした。

リグニン:タンニン:ダイズ合板 Indulin ATリグニン(30g)が、70℃の水(310 mL)に加えられ、水酸化ナトリウムでpH11に調節された。硫酸リシン(30g)が添加され、溶解後、pHがギ酸でpH9に調節された。亜硫酸化タンニン(10g)が添加され、撹拌が続けられた。ダイズ粉7B(100g)がグリセリン(120mL)中に加えられた後に添加され、撹拌が60分間続けられた。ホウ酸(0.50g)が添加され、得られた接着剤が冷却された。この接着剤は、ラジアータパイン軟材単板(250×250mm)の両片面に200g/m2の割合で施与された。単板は5層の積み重ねとなるように重ねられ、59kNで5分間コールドプレスされた。次に合板パネルが90kNにおいて150℃で10分間ホットプレスすることによって形成された。AS/NZS 2098.2:2006 Bによる「のみ」を用いた分割試験において、すべての接着層にわたって63〜95%の木部破断という満足すべき接着層結合度評価が得られた。該合板は、16時間の冷水浸漬後でも層間剥離しない。

リグニン:タンニン:ダイズ合板 リグノスルフェート(90g)および硫酸リシン(90g)が、70℃の水(810mL)に加えられ、水酸化ナトリウム溶液(40%、89g)でpH11に調節された。溶解後、pHがギ酸(40%、85g)および水(170 mL)でpH9に調節された。ミモザタンニン(30g)が添加され、撹拌が続けられた。ダイズ粉7B(300g)が添加され、撹拌が60分間続けられた。ホウ酸(1.6g)が添加され、得られた接着剤は冷却された。この接着剤は、5重量%の小麦粉と一緒にされ、ラジアータパイン軟材単板に200g/m2の散布率で施与された。10分の開放時間の後、単板は5層の積み重ねとなるように重ねられ、次に5分間コールドプレスされた。その後合板パネルが160℃で14分間ホットプレスすることによって形成された。AS/NZS 2098.2:2006 Bによる「のみ」を用いた分割試験において、満足すべき接着層結合度評価が得られた。ASTM D906−98を用いた引張荷重によるせん断試験は、1778Nの平均最大荷重値および>2.9MPaの引張応力を有する接着剤の強さ特性を明らかにした。

追加の粘度調整剤を有するリグニン:タンニン:ダイズMDF クラフトリグニン(90g)および硫酸リシン(90g)が、70℃の水(656mL)に加えられ、水酸化ナトリウム溶液(40%、66g)でpH11に調節された。溶解後、pHがギ酸(40%、85g)および水(170 mL)でpH9に調節された。亜硫酸化された松樹皮タンニン(30g)が添加され、その後に亜硫酸ナトリウム(10g)も添加され、その間攪拌が続けられた。ダイズ粉7B(300g)が添加され、60分間攪拌が続けられた。ホウ酸(1.6g)が添加され、得られた接着剤が冷却された。36%の固形分および420cPの粘度を有するこの接着剤が、木質繊維に施与され、そして180℃でプレスしてMDFパネルが形成された。

リグニン:タンニン:ダイズ合板 クラフトリグニン(90g)およびリシン・H2SO4(90g)が水に加えられ、苛性剤溶液でpH10.5に調節された。70℃に加熱された後、pHがギ酸溶液でpH9に調節され、亜硫酸化された松樹皮タンニン(30g)が添加された。15分後、亜硫酸ナトリウム(8.1g)が添加され、引き続いてダイズ粉(300g)が添加された。その溶液はさらに60分間加熱され、その後50℃にまで冷却された。2時間後、溶液は室温にまで冷却され、その間にホウ酸(5g)が添加されて、34〜40%の固形分含有量を有する配合物が得られた。合板接着剤ミックス用添加物(2%のモダール樹皮粉および1%の小麦粉)が配合物中に混合され、得られた接着剤がラジアータパイン単板上に300g/m2の散布率で散布され、3〜5層の合板パネルが重ねられた。5分の開放時間の後、合板はコールドプレスされ、次にホットプレスされた(170℃で600秒間)。得られた合板は、8〜10の乾燥結合度評価値およびAS/NZS 2098.2:2006による少なくとも5〜6の冷水浸漬後結合度評価値を有する。

ゼイン:タンニン:ダイズ合板 トウモロコシグルテンミール(100g)が水中に懸濁され、pH11に調節され、90℃で45分間加熱された。亜硫酸化された松樹皮タンニン(10g)が添加され、pHがギ酸溶液でpH9にまで下げられた。10分後、タンニンの追加の小分け分(10g)が添加され、20分間を超えて放置攪拌された。亜硫酸ナトリウム(8g)が添加され、引き続いてダイズ粉(300g)が添加された。この溶液は70℃で60分間加熱され、それから50℃にまで冷却され、撹拌がさらに2時間続けられた。室温に冷却後、ホウ酸(1.7g)が添加されて、20〜24%の固形分を有する配合物が得られた。合板接着剤ミックスが、2%のモーダル樹皮粉および1%の小麦粉を加えることによって形成され、この接着剤がラジアータパイン単板に施与された(300g/m2)。170℃で600秒間プレスして、8〜10の乾燥結合度評価値およびAS/NZS 2098.2:2006によって測定された5までの冷水浸漬後結合度評価値を有する合板が得られた。

リグニン:タンニン:ダイズ合板 クラフトリグニン(90g)およびリシン・H2SO4(90g)が水に加えられ、pH11.2に調節された。70℃に加熱後、pHがギ酸溶液でpH9に調節され、モミザタンニン(30g)が亜硫酸ナトリウム(8g)とともに添加された。15分後、ダイズ粉(300g)が添加され、引き続いて炭酸カルシウム(18g)およびステアリン酸(10g)が添加された。加熱が60分間続けられ、その後50℃に冷却された。ホウ酸(1.6g)が添加され、さらに2時間撹拌され、その後室温に冷却されて、36%固形分の配合物が得られた。合板接着剤ミックスが、2%のモダール樹皮粉および1%の小麦粉を加えることによって形成され、この接着剤がラジアータパイン単板に施与された(300g/m2)。170℃で600秒間プレスして、8〜10の乾燥結合度評価値およびAS/NZS 2098.2:2006によって測定された5までの冷水浸漬後結合度評価値を有する合板が得られた。合板パネルが170℃で600秒間プレスされた。優れた乾燥接着剤強さ(8〜10の結合度評価値)が、AS/NZS 2098.2:2006によって測定された1〜2の冷水浸漬後結合度評価値とともに達成された。

リグニン:タンニン:ダイズ合板 クラフトリグニン(90g)およびリシン・H2SO4(90g)が水に加えられ、pH10.9に調節され、そして70℃に加熱された。pHがギ酸溶液でpH9に調節され、モミザタンニン(30g)が亜硫酸ナトリウム(8g)とともに添加された。15分間にわたって、ダイズ粉(300g)、炭酸カルシウム(18g)およびステアリン酸(10g)が添加され、加熱が60分間続けられ、その後50℃に冷却された。2時間撹拌後にホウ酸(5g)が添加され、得られた配合物が室温に冷却され、その後さらにpHが調節された。この配合物は、20日間にわたって約200cPの粘度を保持する。この接着剤を用いて形成された合板パネルは、乾燥接着剤強さとともにAS/NZS 2098.2:2006によって測定された4〜5の冷水浸漬後結合度評価値も有する。

リグニン:タンニン:ダイズMDF クラフトリグニン(90g)およびリシン・H2SO4(90g)が水に加えられ、70℃に加熱後pH11.4に調節された。ギ酸溶液でpH9に調節された後、亜硫酸化されたケブラコタンニン(30g)が、亜硫酸ナトリウム(8g)およびグリセリン(60g)と一緒に添加された。15分間にわたって、ダイズ粉(300g)および炭酸カルシウム(18g)が添加された。加熱が60分間続けられ、その後50℃に冷却された。2時間の攪拌後、配合物は室温に冷却され、ホウ酸(8g)が添加された。38%の固形分を有する配合物が、2つの小分け分に分割され、1方はさらにpH6に調節された。それぞれとも14日後に<300cPの粘度を有する。それぞれの配合物を用いて調製されたMDFパネルは、8〜10%の樹脂添加量でAS/NZS:4266によって測定された約0.45MPaの凝集力値を有する。

成分比率、たとえばゼイン:タンニンの比率またはダイズ−リグニン:タンニン:タンパク質の比率は、官能基を付与するために重要であり、かつ特定の配合物の接着剤特性を決定する。具体的な比率は、接着剤の目的および目標とされる材料特性によって決定されることになる。MDFおよび合板の製造に使用される接着剤のための典型的な比率は、本明細書に記載されたとおりである。

比率は、接着剤の特定の成分を提供するために使用される粗原料または材料(たとえば、ポリペプチド、多糖、リグニン、タンニン等)の乾燥重量基準で、または粗原料中の実際の成分(たとえば、ダイズミールの実際のダイズタンパク質成分)の乾燥重量基準で表現されてもよい。この比率はモル基準ではない。特に指定のない限り、比率は、これらの特定の成分を提供するために使用された粗原料または材料中に示された実際の成分の乾燥重量基準である。

用語「材料」および「粗原料」ならびに関連する用語「複数の材料」および「複数の粗原料」は、本明細書では互換的に使用され、本発明の接着剤の成分を提供する構成成分をいう。構成成分は、成分から成り、または成分から本質的に成ることができる。あるいは、構成成分は、該成分に加えて1個以上の他の成分を含んでいてもよい。たとえば、ダイズ成分を提供するダイズ粉材料または粗原料は、50%のダイズ成分(たとえば、ダイズタンパク質)および50%の他の成分(すなわち、ダイズ以外の成分)を含んでいてもよい。 ゼイン(Z):タンニン(T):ダイズ(S)比率

上記の実施例に記載された種類の粗原料(すなわち、材料)では、ゼイン:タンニン:ダイズ配合物の好ましい比率は、粗原料の重量基準で一般に約5:1:5(Z:T:S)である。しかし、様々な範囲の比率が使用されることができる。

粗原料の重量に基づいて、ゼインとタンニンとの比率は、約20:1〜3:1の範囲内の任意の比率、好ましくは7:1〜3:1、最も好ましくは約5:1であることができる。

比率が粗原料中の実際の成分の乾燥重量基準(たとえば、ゼイン粗原料中のゼインの実際の量)で計算される場合には、この比率はかなり変化してもよい。

ゼイン−タンニン比率は、粗原料中の実際の成分の乾燥重量基準で15.5:1〜2:1の範囲(であるが、タンニンの第2の投与分が添加される実施形態では、最も好ましくは約3.9:1)であることができる。

粗原料の観点からは、タンニンとダイズとの重量比率は1:3〜1:15、1:3〜1:12、または1:4〜1:10、好ましくは1:5の範囲である。これは、1.2〜1:6、好ましくは約1:2.8の粗原料中の実際の成分の乾燥重量基準のタンニン:ダイズ比率と同等である。

全体として見れば、粗原料中の実際の成分の乾燥重量基準のゼインとタンニンとダイズと(Z:T:S)の比率は、好ましくは約(3〜5):1:(2〜6)である。 [表1]粗原料中の成分の(重量基準の)成分比率の例

ゼイン(Z)−リグニン(L):タンニン(T):ダイズ(S)比率

上記のゼイン:リグニン:タンニン:ダイズ配合物の場合、この配合物は約5:3:1:(3〜15)または5:3:1:(3〜12)であることができ、好ましい配合物は、粗原料重量に基づいて約5:3:1:10(Z:L:T:S)である。

粗原料中の実際の成分の乾燥重量基準で、 −Z:L比率はかなり融通が利き、3.7超:1から0.74未満:1の範囲であることができるが、好ましくは約1.2:1である。 −Z:T比率は、1:1〜5:1、好ましくは1.9:1〜4.7:1、より好ましくは2.3:1〜3.9:1、最も好ましくは約3.9:1の範囲であることができる。 −S:T比率は、次に約3:1〜7:1、好ましくは2.8:1〜6.7:1、最も好ましくは約5.5:1でなければならない。

従って、粗原料中の成分の乾燥重量基準の好ましいZ:L:T:S比率は、約(1.9〜4.7):(2〜5):1:(2.8〜6.7)、最も好ましくは約3.6:3:1:5.6である。 リグニン(L):タンニン(T):ダイズ(S)比率

上記のリグニン:タンニン:ダイズ配合物の場合、好ましい配合物は粗原料重量基準で約(3〜5):1:10(L:T:S)である。

この配合物は、典型的にはアミノ酸、たとえばリシン(好ましくは少なくとも50%以上の純度)を、粗原料重量基準で5:1〜1:2、好ましくは約1:1(リグニン:リシン)の比率で添加することを含む。この比率は、リシンおよびリグニン粗原料中のリシンおよびリグニンの乾燥重量基準での10:1〜1:1、好ましくは3:1になる。

粗原料重量基準で、タンニンは2.5:1〜6:1(リグニン:タンニン)、好ましくは3:1〜5.1:1、最も好ましくは約3:1の材料比率を与えるように添加される。リグニンおよびタンニン粗原料中のリグニンおよびタンニンの乾燥重量基準でのリグニン:タンニン比率は、2:1〜7:1、好ましくは2.6:1〜6.3:1、より好ましくは3:1〜5.3:1、最も好ましくは約3.2:1の範囲であることができる。

粗原料重量基準で、ダイズタンパク質は、ダイズ:タンニン比率が3:1〜15:1、3:1〜12:1または5:1〜12:1、好ましくは約10:1になるように添加される。ダイズおよびタンニン粗原料中のダイズおよびタンニンの乾燥重量基準でのダイズ:タンニン比率は、2:1〜7:1、好ましくは2.8:1〜6.7:1、より好ましくは2:8〜6.7:1、最も好ましくは約5.6:1である。

ホルムアルデヒド化学を使用すると、上記の比率が変わることになる。ホルムアルデヒドの化学反応を使用した接着剤において、以下のいくつかのリグニンとタンニンとダイズと(L:T:S)の配合物がそれぞれ調製された。これらは、先に記載の実施例に示された様々なリグニン:タンニンおよびダイズ:タンニン比率とは異なっている。

リグニン、リシンおよびホルムアルデヒドが水に添加され、pH10.5に調節された。マンニッヒ型反応が、90℃で4時間加熱しその後70℃に冷却しpH9に調節することによって実施された。タンニン、ダイズ粉および何らかの他の添加物の残りの添加は、先に記載の実施例に従った。 [表2](粗原料中の実際の成分の乾燥重量基準での)リグニン:タンニン:ダイズの様々な配合物

上記の実施例において、マンニッヒ型反応によってリグニン−リシンの架橋を促進するために、ホルムアルデヒドが使用された。

あるいは、リグニンとタンニンとは、反応によって直接に連結されてもよい。1つの方法は、リグニンとアルデヒドとを反応させ、引き続いてタンニンで連結することである。リグニンとタンニンとをグラフト結合する別の例は、リグニン−グリオキサル−タンニン反応であり、その場合にはリグニンとグリオキサルとを最初に反応させ、次にその反応生成物とタンニンとを連結する。

ホルムアルデヒドのような添加物の添加は、成分比率の調節が必要になることがある。何故ならば、上記の場合にダイズ成分を架橋させるホルムアルデヒド添加物はもっと多くなることがあるからである。

接着剤は噴霧化によって、機械的にブレンドすることによって、またはブローラインによって木質繊維、粒子、フレークおよびストランドに施与されることができ、樹脂処理された木質供給物は、マットレスへと形成され、その後ホットプレスされる。

接着剤はまた、噴霧化、ローラーコーティングまたはカーテンコーティングによって木材単板に施与されることができ、引き続いて単板が重ねられプレスされて、合板、単板積層材、単板オーバーレイまたは他の木質単板製品が得られる。

ホットプレスすることによる圧密化は、木質パネル製品に特有の様々な範囲の温度、閉鎖速度および保持時間を使用することができ、このことは接着剤成分の脱水および硬化とともに木質供給物または単板を高密度化して成形パネルにすることを確実にする。

別の実施形態では、本明細書に記載された接着剤組成物または接着剤前駆体組成物は、水性または粉末の形態で従来の接着剤および樹脂、たとえば尿素ホルムアルデヒド樹脂に付与され、次に通常の様式で木質供給物または単板に施与されることができる。

本明細書に記載された種類の接着剤は、標準的な施与方法および装置を使用して木質繊維、粒子および単板等に施与されることができ、また工業的に現在使用されているものと実質的に異ならないプレススケジュールに従ってプレスされ硬化されることができる。

接着剤が完全に硬化されて複合材料成分間の最終的な架橋および結合をもたらすために、施与後の接着剤は少なくとも部分的に脱水される。水分の滅失およびリグノセルロース基板への水の移行によって、ならびにプレス中および複合材料の形成に係わる硬化段階中に加えられる熱によって、脱水は達成されることができる。

タンパク質またはタンパク質に富む成分またはアミノ酸成分の添加の後、接着剤は水性の懸濁物または分散物の形態をしている。配合物は、直接使用されても、または貯蔵され(たとえば、有限の期間、好ましくは20℃以下で貯蔵され)ても、または施与の時点で再構成されるように粉体へと乾燥されてもよい。

得られた木質複合材料は、ホルムアルデヒドに基づいた樹脂を用いてつくられた材料と実質的に同様な材料特性を有する。

本発明の範囲を上記の実施例のみに限定することは意図されていない。当業者によって正当に理解されるように、本発明の範囲から逸脱することなく、多くの変形が可能である。

QQ群二维码
意见反馈