シードラックから還元型酸化グラフェンを基板上に合成する方法

申请号 JP2015557573 申请日 2014-05-08 公开(公告)号 JP6063065B2 公开(公告)日 2017-01-18
申请人 タータ スチール リミテッド; カウンスル オブ サイエンティフィック アンド インダストリアル リサーチ; 发明人 シャム、クマル コーディハリー; マニッシュ、クマル バドゥ; タパン、クマル ロウト; スミテッシュ、ダス; ランジャン、クマル サフ; ヤシャバンタ、ナラヤン シングバブ; アシット、クマル プラマニック; ヴィカス、チャンドラ シュリヴァスタヴァ;
摘要
权利要求

シードラックから還元型酸化グラフェンを基板上に合成する方法であって、 C2〜C4アルコール中でシードラック溶液を調製するステップ; 基板をシードラック溶液に1回又は複数回浸漬するステップ;及び 基板を、100から500sccmの流量のAr/N2/Ar−H2/N2−H2の制御雰囲気下で、400℃から1200℃の温度範囲にて、10から120分間加熱するステップ を含む上記方法。基板が金属シートである、請求項1に記載の方法。基板がガラスシートである、請求項1に記載の方法。金属シートが、鋼鉄、銅、亜鉛、ニッケル、アルミニウム及びそれらの合金からなる群から選択される材料で作られる、請求項2に記載の方法。C2〜C4アルコールが、エタノール、イソプロパノール及びそれらの混合物を含む、請求項1に記載の方法。基板が酸化した鋼鉄の表面である、請求項1に記載の方法。基板をシードラック溶液に各浸漬後、空気雰囲気中に基板を1から10分間維持することにより基板を乾燥するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。60℃から90℃の範囲の温度のC2〜C4アルコール中で、シードラックを10から60分間加熱することにより、シードラック溶液を調製する、請求項1に記載の方法。塩化ニッケルをC2〜C4アルコール中のシードラック溶液に加えるステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。シードラックの濃度が、C2〜C4アルコール1リットル当たり、10〜100グラムの範囲である、請求項1に記載の方法。基板が、電気加熱炉を使用して加熱される、請求項1に記載の方法。還元型酸化グラフェンで基板をコーティングする方法であって、 C2〜C4アルコール中でシードラック溶液を調製するステップ; 基板をシードラック溶液に1回又は複数回浸漬するステップ;及び 基板を、100から500sccmの流量のAr/N2/Ar−H2/N2−H2の制御雰囲気下で、400℃から1200℃の温度範囲にて、10から120分間加熱するステップ を含む上記方法。基板が金属シートである、請求項12に記載の方法。基板がガラスシートである、請求項12に記載の方法。金属シートが、鋼鉄、銅、亜鉛、ニッケル、アルミニウム及びそれらの合金からなる群から選択される材料で作られる、請求項13に記載の方法。C2〜C4アルコールが、エタノール、イソプロパノール及びそれらの混合物を含む、請求項12に記載の方法。基板が酸化した鋼鉄の表面である、請求項12に記載の方法。基板をシードラック溶液に各浸漬後に、空気雰囲気中に基板を1から10分間維持することにより基板を乾燥するステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。還元型酸化グラフェンのコーティング厚さが、2〜100nmの範囲である、請求項12に記載の方法。塩化ニッケルをC2〜C4アルコール中のシードラック溶液に加えるステップをさらに含む、請求項12に記載の方法。60℃から90℃の範囲の温度のC2〜C4アルコール中で、シードラックを10から60分間加熱することにより、シードラック溶液を調製する、請求項12に記載の方法。電気加熱炉を使用して基板を加熱する、請求項12に記載の方法。シードラックの濃度が、C2〜C4アルコール1リットル当たり、10〜100グラムの範囲である、請求項12に記載の方法。

说明书全文

本発明は、大型の金属シート及びガラスの表面に、還元型酸化グラフェンのコーティングを発現させる(developing)方法に関する。この方法は、金属の表面においてシードラック及びNi−シードラック溶液をコーティングし、続いて、制御雰囲気下で加熱することを含む。

グラフェンは、炭素の同素体であり、ハニカム型に配置された単一の原子状sp2炭素を含有し、2次元シートをなす。この材料は、室温での高電子移動度(2x105cm2V−1s−1)、熱伝導性(5×105Wm−1K−1)及び高ヤング率(約1TPa)のような、様々な独特の性質を呈する[Science、306、666頁、2004年;Nature、438、197頁、2005年;Phys.Rev.Lett.、100、016602頁、2008年;Science、321、385頁、2008年]。その上、金属の表面を覆うグラフェンのコーティングは、金属の耐食性を改善する[ACS Nano、6、1102頁、2012年]。さらに、グラフェンの性質は、グラフェンシートにおける酸素などヘテロ原子を置換することにより調整されている。そのようなヘテロ原子を伴うグラフェンは、文献(Angew Chem.Int.Ed.49、9336頁、2010年)において「還元型酸化グラフェン」(“reduced graphene oxide”)として造語された。金属の表面におけるグラフェンの蒸着に関する文献で、いくつかの方法が報告されており、これは、化学蒸着(CVD)法を含む。しかし、CVDのプロセスは高価であり、大規模に製造することができない。

金属シートの表面におけるグラフェン又は還元型酸化グラフェンのコーティングについて、いくつかの方法論が特許を取得している。US20130143067A1は、化学蒸着及び噴霧技術を使用することによる、金属板、例えば鋼鉄、アルミニウム、銅及びその鋼線におけるグラフェンのコーティングについて論じている。噴霧技術は、ポリマーを混合した還元型酸化グラフェンを使用し、純粋な還元型酸化グラフェンの代わりに複合材料とすることができる。したがって、複合材料を用いてコーティングした金属シートは、純粋な還元型酸化グラフェンを用いてコーティングした金属とは異なる性質を有するであろう。また、特許US20090110627A1を参照することもでき、その文献中では、グラフェンシートの合成が、一酸化炭素、アルコール及び多環式芳香族化合物を含む異なる炭素供給源から行われている。US20110104442A1もまた、グラファイト以外の炭素供給源を使用した、CVD法による基板へのグラフェンの直接的蒸着について記載している。US20100021708A1は、SiO2/Si基板へのグラフェンの蒸着について開示している。しかし、蒸着プロセスは、いくつかのコーティング及び化学エッチングステップを伴うため、きわめて遅い。

Sunらは、ポリ(メタクリル酸メチル)(PMMA)及びスクロース由来のグラフェンのCu基板上での成長について報告した[Nature、468、549頁、2010年]。WO2012064102A3は、炭素供給源としてアセチレンガスを使用する、鋼鉄へのグラフェンのコーティングについて開示した。また、特許US13704054A1を参照することもでき、その文献では、耐食性を目的とする、鋼鉄の表面へのグラフェンのコーティングについて主張している。この方法は、酸化還元プロセスにより、グラファイト粉末から還元型酸化グラフェンを合成し、続いてポリイミドと混合することを含む。その後、還元型酸化グラフェン−ポリイミド複合材料を鋼鉄の表面にコーティングした。しかし、プロセスは時間がかかり、ポリイミドは鋼鉄の表面への接着が弱い。以上の論じられている参考文献を踏まえると、グラフェンのコーティングは、開示されており、様々な炭素供給源及びCVD技術を使用して発現するが、大規模な製造に課題が残ることは明白である。

一方、溶液法によるグラフェンのコーティングは、十分に確立されており[Int.J.Chem.Eng.App.、3、453頁、2012年]、大規模に製造することが可能である。溶液法は、以下の手順に従う;(a)グラファイト粉末を酸化して、2つの黒鉛層の間でファンデルワールスを最小化する必要がある(b)調製した酸化グラファイトを超音波処理によりに分散させる(c)分散した酸化グラファイト溶液を、還元剤、例えばヒドラジン、HI酸、NaBH4、クエン酸を使用して還元する(d)還元した生成物を適切な有機溶媒に分散し、コーティングに使用する。しかし、この方法は、工業的規模で使用されるプロセスが、以下の理由で制限されるいくつかの欠点を伴う;グラファイト粉末の酸化グラファイトへの変換は、時間がかかり、HNO3及びH2SO4など一部の有害な酸を使用するいくつかのステップを伴う。さらに、還元剤も毒性であり、大きい規模でのそれらの取り扱いは難題であり、還元した生成物は有機溶媒への分散度がきわめて低いので、長時間にわたって超音波処理が必要となる。また、金属の表面に対するグラフェンシートの接着性は、きわめて低い。その上、炭素供給源に使用されるグラファイトは高価である。

花弁など天然の炭素供給源を使用して、グラフェンを低コストで大規模に製造できることが、一部の報告で示されている。[Carbon50、4123頁、2012年]。しかし、天然の供給源から製造されるグラフェンは、金属/合金の表面で一体化させることが困難である。したがって、金属シートにグラフェンコーティングした領域では、不十分な塗布が見出される。

したがって、利用できる炭素供給源を使用して大規模にグラフェンを合成できる発明が必要である。さらに、方法は、コスト効率に優れ、採算が合うようにすべきである。

本発明の目的は、還元型酸化グラフェンを金属基板上にコーティングする方法を提供することである。

本発明の別の目的は、採算の合う方法を使用して、還元型酸化グラフェンを大規模に合成することである。

本発明の別の目的は、実質的に有害ではない化学物質を使用して、還元型酸化グラフェンを合成する方法を開発することである。

本発明のもう1つの目的は、天然の利用可能な炭素供給源を使用して、還元型酸化グラフェンを合成することである。

本発明のさらに別の目的は、簡単なコーティング技術、例えば浸漬コーティングを用いて適用することができる、還元型酸化グラフェン配合物(formulation)を開発することである。

本発明は、金属基板、例えば鋼鉄、銅、亜鉛、ニッケル、アルミニウム及びそれらの合金上で還元型酸化グラフェンのコーティングを発現させる方法を提供する。コーティングはさらに、ガラス基板上にも同様に発現させることができる。本方法は、基板をシードラック又はシードラック−塩化ニッケル(NiCl2)溶液に浸漬コーティングし、続いて制御雰囲気下の範囲で加熱することを含む。シードラック又はシードラック−NiCl2溶液は、C1〜C4アルコール、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール又はtert−ブチルアルコール中で調製される。好ましくは、C2〜C4アルコールが使用される。基板をシードラック又はシードラック−塩化ニッケル(NiCl2)溶液に1回又は複数回浸漬し、次いで、空気中で乾燥させる。次いで、乾燥させた基板を、100から500sccmの範囲の異なる流量のAr/N2/Ar−H2/N2−H2の制御雰囲気下で、10から120分間加熱する。

シードラックの化学構造を示す図である。

シードラックのXPSスペクトルの図である。

還元型酸化グラフェンをコーティングした鋼鉄のラマンスペクトルの図である。

還元型酸化グラフェンをコーティングした鋼鉄のXPSスペクトルの図である。

還元型酸化グラフェンをコーティングした鋼鉄の、EDX分析による後方散乱画像である。

酸化した鋼鉄上にコーティングした還元型酸化グラフェンのラマンスペクトルの図である。

還元型酸化グラフェンをコーティングしたCuのラマンスペクトルの図である。

還元型酸化グラフェンをコーティングしたCuのXPSスペクトルの図である。

還元型酸化グラフェンをコーティングしたCuの、EDX分析による後方散乱画像である。

還元型酸化グラフェンをコーティングした鋼鉄のラマンスペクトルの図である。シードラック及びNiCl

2溶液を使用してコーティングを発現させる。

還元型酸化グラフェンをコーティングしたニッケルシートの、EDX分析による後方散乱及び二次画像である。

還元型酸化グラフェンをコーティングしたガラスのXPSデータの図である。

還元型酸化グラフェンをコーティングしたガラスの、EDX分析による後方散乱画像である。

SAEDパターンによる、還元型酸化グラフェンシートのTEM顕微鏡写真である。

ある程度の酸素分を有するグラフェンは、還元型酸化グラフェンと呼ばれる。本発明によるグラフェンの変形例も酸素分を含有するので、本発明を通して還元型酸化グラフェンと呼ばれている。シードラックは、天然の粘着ゴムであり、天然ワニスとしても知られている。シードラックは、図1及び図2に示すように、脂肪族長鎖に結合したヒドロキシル及びアセタート官能基を有する環状の6員及び5員炭素環を含有する。本発明は、還元型酸化グラフェンを合成するために、シードラックを炭素供給源として利用する。シードラックは、加熱時にヒドロキシル官能基の除去により結合の転位が起こるので、最適化した実験条件下で還元型酸化グラフェンに変換できる。このプロセスにより、金属の表面における広い面積のグラフェンコーティングに関連する上記問題の一部が克服される。

本発明の実施形態において、還元型酸化グラフェンを基板上にコーティングする方法は以下を含む: (i)アルコール中でのシードラック溶液の調製。本発明の実施形態において、アルコールは、エタノール、イソプロパノール、tert−ブチルアルコール及びそれらの混合物から選択される。メタノールも使用できるが、C2〜C4アルコールと比較して毒性である。シードラック溶液の濃度は、アルコール1リットル当たり、10〜100グラムの範囲で変動する。60から90℃の範囲の温度のC2〜C4アルコール中で、シードラックを10から60分間加熱して、均一な溶液を調製することにより、シードラック溶液が調製される。 (ii)粘性を有するシードラック溶液の基板へのコーティング。本発明の実施形態において、基板は、鋼鉄、銅、ニッケル及びそれらの合金から選択される。本発明の別の実施形態において、基板はガラスである。基板の表面におけるシードラック溶液のコーティング厚さは、基板をシードラック溶液に浸漬する回数を変化させることにより制御される。本発明の実施形態では、1から20回の範囲で基板をシードラック溶液に浸漬する。各浸漬後、基板を空気雰囲気中で1から10分間乾燥させる。 (iii)シードラックをコーティングした基板を、100から500sccmの範囲の異なる流量のAr/N2/Ar−H2/N2−H2の制御雰囲気下で、400から1200℃の温度範囲にて、10から120分間加熱する。本発明の実施形態では、電気加熱炉を使用して基板を加熱できる。

本発明の実施形態では、塩化ニッケル(NiCl2)を、シードラック溶液の体積100から1000ml当たり0.001gから0.1gの範囲の重量でシードラック溶液に加える。基板上の還元型酸化グラフェンのコーティング厚さは2〜100nmの範囲で観察された。

以下の例は、実践における本発明の実施を例示する目的で示されており、したがって、本発明の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。

(例1) 100から500mlの範囲の体積である、60から90℃の範囲の温度のイソプロパノール溶媒中にシードラック2gを加えることにより、シードラック溶液を作った。シードラック溶液を鋼鉄、銅、亜鉛、ニッケル、アルミニウム及びそれらの合金の表面に、浸漬コーティングによってコーティングし、続いて室温で空気乾燥させた。コーティング層の厚さは、浸漬の回数により変動する。400から1200℃の温度範囲の電気加熱炉を使用して、コーティングした金属シート及びガラスを、100から500sccmの流量のAr/N2/Ar−H2/N2−H2の制御雰囲気下で、10から120分間加熱した。ラマン分光法、X線光電子分光法及び電子顕微鏡法を使用して、加熱した鋼鉄、銅、亜鉛、ニッケル、アルミニウム及び合金の表面を特徴付けた(図3〜9)。

(例2) 100から500mlの範囲の体積である、60から90℃の範囲の温度のイソプロパノール溶媒中にシードラック2gを加えることにより、シードラック溶液を調製した。0.001gから0.1gの範囲の重量のNiCl2を、100から1000mlの体積であるシードラック溶液に加えることにより、NiCl2−シードラック溶液を作った。生じた溶液を鋼鉄、銅、亜鉛、ニッケル、アルミニウム、合金及びガラスの表面に、浸漬コーティングによってコーティングし、続いて室温で空気乾燥させた。400から1200℃の温度範囲にて電気加熱炉を使用して、コーティングした金属シート及びガラスを、100から500sccmの流量のAr/N2/Ar−H2/N2−H2の制御雰囲気下で、10から120分間加熱した。ラマン分光法及びX線光電子分光法を使用して、加熱した金属シート及びガラスを特徴付けた(図10及び図11)。

(例3) 100から500mlの範囲の体積である、60から90℃の範囲の温度のイソプロパノール溶媒中にシードラック2gを加えることにより、シードラック溶液を作った。シードラック溶液を、ガラス表面に、浸漬コーティングによってコーティングし、続いて室温で空気乾燥させた。コーティング層の厚さは、浸漬の回数により変動する。400から1200℃の温度範囲の電気加熱炉を使用して、コーティングした金属シート及びガラスを、100から500sccmの流量のAr/N2/Ar−H2/N2−H2の制御雰囲気下で、10から120分間加熱した。X線光電子分光法及び電子顕微鏡法を使用して、加熱した鋼鉄、銅、亜鉛、ニッケル、アルミニウム、合金及びガラスの表面を特徴付けた(図12〜14)。 (i)コーティングされた還元型酸化グラフェンのXPSデータは、39:1を上回る炭素対酸素(C/O)比を呈し、C1sの半値全幅は1.4eV未満である。 (ii)コーティングされた還元型酸化グラフェンのラマンデータは、0.8未満のID/IG値を呈する。 (iii)TEM及びラマンデータから、還元型酸化グラフェンにおいて観察した層の数は、およそ10層である(Nature Nanotech.、8、235頁(2013年))。 (iv)ガラス上の還元型酸化グラフェンのシート抵抗は、3kOhm未満である。

基板上に還元型酸化グラフェンコーティングを合成する本方法は、いくつかの利点を有する。この方法は、還元型酸化グラフェンを金属の表面に直接コーティングするために、天然の炭素供給源としてシードラックを使用する。このコーティング方法はきわめて簡単であり、鋼鉄の表面又は他のいかなる金属の表面にも容易にコーティングを適合させることができる。さらに、この方法はいかなる有害な化学物質も利用しないので、環境に配慮した方法である。酸化した鋼鉄の表面さえも、本方法を使用すれば、還元型酸化グラフェンでコーティングできることがさらに試験され、実証された。

本発明の例示的な実施形態は、上記本明細書で詳細に記載されているが、本当業者に現れ得る、本明細書で教示されている本発明の基本的な概念の変形及び修正の多くは、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の精神及び範囲内に入ることになると明確に理解されるべきである。

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