有機無機複合コーティング溶液組成物及び有機無機複合コーティング鋼板

申请号 JP2015525312 申请日 2012-12-27 公开(公告)号 JP2015531818A 公开(公告)日 2015-11-05
申请人 ポスコ; 发明人 キョン−ピル コ、; キョン−ピル コ、; ロー−ブム パク、; ロー−ブム パク、; ジョン−サン キム、; ジョン−サン キム、; ジュン−ファン イ、; ジュン−ファン イ、;
摘要 本発明は、固形分を基準に、ウレタン‐アクリル複合樹脂:12〜36重量%、ナノシリケート‐フェノキシ複合樹脂:8〜24重量%、及び無機系耐食剤:40〜80重量%を含む有機無機複合コーティング溶液組成物、及び上記コーティング溶液組成物によってコーティング層が形成された有機無機複合コーティング鋼板に関する。本発明によれば、溶液安定性に優れたコーティング溶液組成物、及び耐食性、耐溶剤性、伝導性が向上したコーティング鋼板を提供することができる。
权利要求

固形分を基準に、ウレタン‐アクリル複合樹脂:12〜36重量%、ナノシリケート‐フェノキシ複合樹脂:8〜24重量%、及び無機系耐食剤:40〜80重量%を含む、有機無機複合コーティング溶液組成物。前記ナノシリケート‐フェノキシ複合樹脂にはナノシリケートが1.0〜3.0重量%含まれる、請求項1に記載の有機無機複合コーティング溶液組成物。前記ウレタン‐アクリル複合樹脂及び前記ナノシリケート‐フェノキシ複合樹脂の重量平均分子量(Mw)はそれぞれ40000〜90000である、請求項1に記載の有機無機複合コーティング溶液組成物。前記ウレタン‐アクリル複合樹脂はNCO/OH当量比が1〜3である、請求項1に記載の有機無機複合コーティング溶液組成物。前記無機系耐食剤は、シランA:8〜33重量%、シランB:28〜57重量%、バナジウムホスフェート:3〜11重量%、チオ尿素:0.5〜7重量%、Mg酸化物:0.1〜1.4重量%、燐酸亜鉛:2〜10重量%、チタニウムカーボネート:0.5〜3.4重量%、Zr化合物:0.5〜4重量%、及びシリカ:0.4〜3重量%のうち1種又は2種以上を含む、請求項1に記載の有機無機複合コーティング溶液組成物。前記シランAは、ガンマグリシドキシプロピルトリエトキシシラン及びガンマアミノプロピルトリエトキシシランのうち1種又は2種の混合物である、請求項5に記載の有機無機複合コーティング溶液組成物。前記シランBは、ビニル系シラン、エポキシ系シラン、及びアルコキシ系シランのうち1種又は2種以上の混合物である、請求項5に記載の有機無機複合コーティング溶液組成物。素地鋼板、前記素地鋼板上に形成された亜鉛系メッキ層、及び前記メッキ層上に形成されたコーティング層を含み、 前記コーティング層は、請求項2〜7のいずれか一項に記載のコーティング溶液組成物によって形成される、有機無機複合コーティング鋼板。前記コーティング層の付着量は、鋼板の片面を基準に0.3〜2g/m2である、請求項8に記載の有機無機複合コーティング鋼板。

说明书全文

本発明は、亜鉛メッキ鋼板等に用いられる有機無機複合コーティング溶液組成物及びこれを用いた有機無機複合コーティング鋼板に関する。

自動車材料、家電製品、建築材料等の用途に用いられる亜鉛メッキ鋼板及び亜鉛系合金メッキ鋼板、アルミニウムメッキ鋼板、アルミニウム系合金メッキ鋼板、冷延鋼板、熱延鋼板に耐食性及び塗装密着性を付与するために、表面にクロムを主成分とするクロメート皮膜をコーティングする表面処理法が従来技術として通常行われている。主なクロメート処理法としては、電解型クロメート処理法と塗布型クロメート処理法があり、このうち、電解型クロメート処理法としては、6価クロムを主成分とし、他に硫酸、燐酸、酸及びハロゲン等の各種の陰イオンを添加した処理液を用いて金属板を陰極電解する方法が通常行われている。塗布型クロメート処理法としては、予め6価クロムの一部を3価に還元した溶液に無機コロイド、無機イオンを添加したものを処理液とし、その内に金属板を浸漬するか又は処理液を金属板にスプレーする方法が通常行われている。

しかしながら、上記方法を用いる場合、クロメート処理液に含有された6価クロムの有毒性のため、作業環境及び排処理等における多様な対策を必要とし、上記表面処理金属を用いた自動車、家電、建材製品等のリサイクル及び廃棄処理においても人体有害性と環境汚染問題をもたらす。

よって、各鉄鋼会社は、6価クロムを含有せず且つ耐食性等をはじめ各種の要求特性を満たすことができる表面処理鋼板を開発するのに注している。

また、メッキ鋼板のメッキ層の主原料である亜鉛の価格が急激に上昇しているため、多数の鉄鋼会社を中心に、上記亜鉛を別の元素に取り替えるか、亜鉛の含量を減らすか、又はメッキ付着量を減らす等の研究が行われている。

その代表的な技術として、ZAM(Zinc Aluminium‐Magnesium)を用いる技術が提案されている。このような技術は、従来と比べて亜鉛を少量用い、これに代わる物質として、ありふれた金属であるアルミニウムやマグネシウムをメッキ層の主成分として用いる技術である。しかしながら、上記合金メッキ鋼板の場合、一定水準以上の耐食性を確保することはできるが、操業性、表面外観、耐高温高湿性及び溶接性が劣化するという問題がある。

また、別の技術として、メッキ鋼板のメッキ付着量を減らす技術が提案されている。しかしながら、上記メッキ付着量は金属の腐食防止と長期防錆性に大きな影響を与える因子であるため、溶融亜鉛メッキ鋼板において亜鉛メッキ付着量が増加するほど、赤錆が発生するのにかかる時間が長くなって耐食性が高くなる。よって、鉄鋼会社は、赤錆が速く発生して耐食性が低下する問題のため、亜鉛メッキ付着量を減らすことができず、高価の製造コストを策定している。

このため、亜鉛メッキ量を減らし、Cr含有溶液を用いず、且つ耐食性の低下を補償することができる技術に関する研究が必要とされている。

本発明の目的の1つは、亜鉛メッキ量を減らしても耐食性(SST)が低下することを補償することができるコーティング溶液組成物及びこれを用いたコーティング鋼板を提供することである。

本発明の一実施形態による有機無機複合コーティング溶液組成物は、固形分を基準に、ウレタン‐アクリル複合樹脂:12〜36重量%、ナノシリケート‐フェノキシ複合樹脂:8〜24重量%、及び無機系耐食剤:40〜80重量%を含むことができる。

本発明の他の実施形態による有機無機複合コーティング鋼板は、素地鋼板、上記素地鋼板上に形成された亜鉛系メッキ層、及び上記メッキ層上に形成されたコーティング層を含み、上記コーティング層が上記有機無機複合コーティング溶液組成物によって形成されることができる。

本発明の一実施形態によれば、有機無機複合コーティング溶液の溶液安定性を向上させることができる。上記コーティング溶液を用いて、亜鉛メッキ鋼板の表面に有機無機複合コーティング層を形成させる場合、鋼板の耐食性を大きく向上させることができる。また、コーティング層の耐溶剤性を増大させることができる。さらに、コーティング鋼板の伝導性を向上させることができる。

本発明の上記及びその他の側面、特徴、並びに他の利点は、以下の詳細な説明を添付の図面とともに参照することによってより明確に理解されるであろう。

本発明の一実施形態による有機無機複合コーティング鋼板の耐食性確保方法を示す模式図である。

従来例のコーティング鋼板の耐食性評価写真である。

本発明の一実施例である発明例の有機無機複合コーティング鋼板の耐食性評価写真である。

本発明者らは、メッキ鋼板の耐食性を確保するための研究を重ねた結果、有機系のバリア(Barrier)効果と無機系の防錆剤(Rust inhibitor)効果を極大化し、無機系耐食剤の収容を極大化することができるバインダー樹脂の最適な組み合わせを導出し、有機無機複合コーティング層を鋼板の一面又は両面に形成させることにより、亜鉛メッキ層の付着量を減らしたにもかかわらず耐食性を確保することができることを見出し、本発明に至った。

以下では、本発明の一実施形態による有機無機複合コーティング溶液組成物について詳細に説明する。上記コーティング溶液組成物は、固形分を基準に、ウレタン‐アクリル複合樹脂:12〜36重量%、ナノシリケート‐フェノキシ複合樹脂:8〜24重量%、及び無機系耐食剤:40〜80重量%を含むことができる。

有機系樹脂として上記ウレタン‐アクリル複合樹脂及び上記ナノシリケート‐フェノキシ複合樹脂が全部で20〜60重量%含まれ、無機系耐食剤は40〜80重量%含まれる。ここで、有機系樹脂は、バインダー樹脂の役割をし、耐食性確保のための無機系耐食剤を大量に収容できるように設定されたものである。

上記各成分の数値限定理由は、次の通りである。

1)ウレタン‐アクリル複合樹脂:12〜36重量%

本発明で用いるウレタン‐アクリル複合樹脂は、2種の樹脂をそれぞれ合成する過程で同時に混合して製造される。即ち、上記ウレタン‐アクリル複合樹脂は、各樹脂の合成が完了する前のウレタンとアクリルのエマルションを温度80℃でTEA(トリエチルアミン)を添加しながら混合して調製される複合樹脂であり、緻密な構造のコーティング層を形成することができる。上記ウレタン‐アクリル複合樹脂は、耐食性と耐溶剤性を確保するために12重量%以上含まれることが好ましい。但し、上記ウレタン‐アクリル複合樹脂の投入量が多すぎる場合は投入による物性向上効果が小さいため、その上限を36重量%に制御することが好ましい。

また、上記ウレタン‐アクリル複合樹脂の重量平均分子量(Mw)が低いほど、架橋密度が高いが、無機系耐食剤の安定性が劣化する可能性があるため、重量平均分子量の制御が重要である。重量平均分子量が40000未満の場合は無機系耐食剤が沈殿する可能性があり、重量平均分子量が90000を超える場合は耐食性が劣化する可能性がある。したがって、上記ウレタン‐アクリル複合樹脂の重量平均分子量を40000〜90000に制御することが好ましい。また、上記ウレタン‐アクリル複合樹脂の重量平均分子量を65000〜70000に制御することがより好ましく、68000に制御することが最も好ましい。

また、ハードセグメント(hard segment)を構成するイソシアネート(isocyanate)の構成比を制御することにより樹脂の硬質度を確保することが好ましい。このために、上記ウレタン‐アクリル複合樹脂の重合時、NCO基とOH基の当量比を1〜3に制御することが好ましい。上記NCO/OH当量比の値が1未満の場合は加工における耐黒化性が劣化する可能性があり、上記NCO/OH当量比の値が3を超える場合は溶液安定性及び耐食性が劣化する可能性がある。また、上記効果を確保するために、上記NCO/OH当量比の値を1.3〜1.9に制御することがより好ましく、1.6に制御することが最も好ましい。

2)ナノシリケート‐フェノキシ複合樹脂:8〜24重量%

本発明で用いるナノシリケート‐フェノキシ複合樹脂は、フェノキシ樹脂を合成する過程でナノシリケート耐食剤を添加して製造される複合樹脂であり、コーティング鋼板の耐食性、加工における耐黒化性及び耐薬品性を向上させる役割をすることができる。上記ナノシリケート‐フェノキシ複合樹脂は、耐食性と加工における耐黒化性を確保するために8重量%以上含まれることが好ましい。但し、上記ナノシリケート‐フェノキシ複合樹脂の投入量が多すぎる場合は投入による物性向上効果が小さいため、その上限を24重量%に制御することが好ましい。

また、上記ナノシリケート‐フェノキシ複合樹脂は、ナノシリケートを1.0〜3.0重量%含むことが好ましい。上記ナノシリケートは、耐食剤の効果を示すために1.0重量%以上含まれることが好ましい。但し、上記ナノシリケートの投入量が多すぎる場合は投入量に対して上記効果が大きく向上せず、複合樹脂の溶液安定性が劣化するため、その上限を3.0重量%に制御することが好ましい。

また、上記ナノシリケート‐フェノキシ複合樹脂の重量平均分子量(Mw)が低いほど、架橋密度が高いが、無機系耐食剤であるナノシリケートの安定性が劣化する可能性があるため、重量平均分子量の制御が重要である。重量平均分子量が40000未満の場合は無機系耐食剤が沈殿する可能性があり、重量平均分子量が90000を超える場合は耐食性が劣化する可能性がある。したがって、上記ナノシリケート‐フェノキシ複合樹脂の重量平均分子量を40000〜90000に制御することが好ましい。また、上記ナノシリケート‐フェノキシ複合樹脂の重量平均分子量を74000〜82000に制御することがより好ましく、78000に制御することが最も好ましい。

3)無機系耐食剤:40〜80重量%

上記無機系耐食剤は、シランA:8〜33重量%、シランB:28〜57重量%、バナジウムホスフェート:3〜11重量%、チオ尿素:0.5〜7重量%、Mg酸化物:0.1〜1.4重量%、燐酸亜鉛:2〜10重量%、チタニウムカーボネート:0.5〜3.4重量%、Zr化合物:0.5〜4重量%、及びシリカ:0.4〜3重量%のうち1種又は2種以上を含むことが好ましい。ここで、上記シランA及びシランBは、シランの種類によって区分されるものであって、本発明において別々の2種のシランを含むことを示すために記載するものである。

シランA:8〜33重量%

シラン化合物には一般にエポキシ系、クロロ系、アミノ系、アクリル系等があり、本発明ではエポキシ系シランを用いることが溶液安定性の面で好ましい。上記エポキシ系シランは、ガンマグリシドキシプロピルトリエトキシシラン(gamma glycidoxypropyl triethoxysilane)、ガンマアミノプロピルトリエトキシシラン(gamma aminopropyl triethoxysilane)のうち1種又は2種を含むことが好ましい。投入されるシランAの含量は、耐溶剤性とコーティング層の撥水性を考慮して、十分な疎水性基を確保し、腐食因子を効果的に遮断するために、8重量%以上に制御されることが好ましい。但し、上記シランAの含量が多すぎる場合は溶液安定性が低下する可能性があり、含量増加による耐食性向上効果が小さいため、その含量の上限を33重量%に制御することが好ましい。また、上記シランAの含量を12〜33重量%に制御することがより好ましい。

シランB:28〜57重量%

上記シランBは、上述したシランAとは異なるもので、耐食性を極大化することができる。上記シランBは、上記耐食性向上のために28重量%以上含まれることが好ましい。また、溶液安定性と投入量に対する耐食性向上効果を考慮して、その上限を57重量%に制御することが好ましい。また、上記シランBは、ビニル系シラン、エポキシ系シラン及びアルコキシ系シランのうち1種又は2種以上を含むことが好ましい。

バナジウムホスフェート:3〜11重量%

上記コーティング溶液は、耐食性向上のためにバナジウムホスフェートを3重量%以上含むことができる。但し、高温及び高湿雰囲気で鋼板の外観が黒く変わる黒変現象が発生する可能性があるため、その含量の上限を11重量%に制御することが好ましい。

チオ尿素:0.5〜7重量%

チオ尿素は、樹脂、医薬品等の製造に用いられる有機化合物であり、本発明では硬化促進剤として用いられ得る。上記チオ尿素の含量が0.5%以下の場合はその効果がほぼなく、それ以上の場合はコーティング層の硬化にかかる時間を短縮させる効果があるが、多すぎる場合は溶液安定性が減少するため、その上限を7重量%に制限することが好ましい。

Mg酸化物:0.1〜1.4重量%

Mgの場合、酸化マグネシウム(MgO)をバナジウムホスフェート水溶液に溶解させて用いることが好ましい。また、Mg酸化物は、耐食性効果を確保するために0.1重量%以上含まれることが好ましい。但し、上記Mg酸化物の含量が多すぎる場合は溶液安定性が低下する可能性があるため、その上限を1.4重量%に制御することが好ましい。

燐酸亜鉛:2〜10重量%

燐酸亜鉛は、耐食性向上のための補助添加剤として含まれる。上記燐酸亜鉛の含量は、耐食性確保のために2重量%に制御されることが好ましい。但し、上記燐酸亜鉛の含量が多すぎる場合は溶液安定性が低下し、投入量に対して物性向上効果が大きくないため、その含量の上限を10重量%に制御することが好ましい。

チタニウムカーボネート:0.5〜3.4重量%

チタニウムカーボネートは、コーティング溶液の安定性と素地鋼板及びコーティング溶液の反応性のために含まれ、樹脂と無機物のカップリング剤としての役割をすることができる。上記チタニウムカーボネートは、耐食性確保のために0.5重量%以上含まれることが好ましい。但し、上記チタニウムカーボネートの投入量が多すぎる場合は投入量に対して耐食性向上効果が小さいため、その上限を3.4重量%に制御することが好ましい。

Zr化合物:0.5〜4重量%

上記Zr化合物は、耐食性向上のために含まれる。上記Zr化合物は、耐食性確保のために0.5重量%以上含まれることが好ましい。但し、上記Zr化合物の投入量が多すぎる場合は投入量に対して耐食性向上効果が小さいため、その上限を4重量%に制限することが好ましい。

シリカ:0.4〜3重量%

上記シリカは、耐食性向上のために含まれ、上記シリカとしては、主にコロイダルシリカを用いる。上記シリカは、耐食性確保のために0.4重量%以上含まれることが好ましい。但し、上記シリカの投入量が多すぎる場合は溶液安定性が低下する可能性があるため、その上限を3重量%に制限することが好ましい。

上記のような組成を有するコーティング溶液を用いて、後述する鋼板の一面又は両面にコーティング層を形成させることにより、上記鋼板の耐食性を極大化することができる。

以下では、本発明の他の実施形態による有機無機複合コーティング鋼板について詳細に説明する。本発明の有機無機複合コーティング鋼板は、素地鋼板、上記素地鋼板に形成された亜鉛系メッキ層、及び上記亜鉛系メッキ層上に形成された有機無機複合コーティング層を含み、固形分を基準に、ウレタン‐アクリル複合樹脂:12〜36重量%、ナノシリケート‐フェノキシ複合樹脂:8〜24重量%、及び無機系耐食剤:40〜80重量%を含むことができる。

上記素地鋼板は、特に限定されず、本発明の目的に合わせて使用可能な素地鋼板であればいずれでもよい。

また、上記亜鉛系メッキ層の形成方法は、溶融亜鉛メッキ方法により行われることが好ましいが、他にも亜鉛系メッキ層を形成できる方法であればいずれでもよい。また、亜鉛系メッキ層の成分系も、特に限定されず、通常の溶融亜鉛メッキ鋼板又は電気亜鉛メッキ鋼板のメッキ層の成分系であればいずれでもよい。

また、上記有機無機複合コーティング鋼板は、上記亜鉛系メッキ層が形成された鋼板の一面又は両面に形成されたコーティング層を含むことができる。上記コーティング溶液を用いて上記鋼板の一面又は両面をコーティングすることが好ましい。この際、コーティング層の付着量を0.5〜2g/m2に制御することが好ましい。本発明が目的とする耐食性確保のために、上記コーティング層の付着量の下限を0.5g/m2に制御することが好ましい。但し、上記コーティング層の付着量が2g/m2を超える場合は、コーティング層の伝導性が落ちる。

以下では、上記コーティング層の成分系について詳細に説明する。上記コーティング層は上述したコーティング溶液を用いて形成されることが好ましく、上記成分系もコーティング溶液の成分系から導出されることが好ましい。

上記ウレタン‐アクリル複合樹脂及びナノシリケート‐フェノキシ複合樹脂は、耐食性、耐溶剤性及び加工における耐黒化性を確保するために、20重量%以上含まれることが好ましい。但し、これらの樹脂はバインダーの役割をし、投入量が多すぎる場合は投入による物性向上効果が小さいため、その上限を60重量%に制御することが好ましい。なお、これらの樹脂の特性は、上述したコーティング溶液における複合樹脂の特性を示すことが好ましい。

また、図1の(a)及び(b)に模式的に示されているように、上記コーティング層に含まれたシランA、シランB及びバナジウムホスフェートは、腐食因子に対してバリア(Barrier)の役割をし、シリカ、チタニウムカーボネート、Zr化合物、Mg酸化物及び燐酸亜鉛は、無機系耐食剤として防錆性(腐食遅延)を付与する役割をする。

上記コーティング層に含まれたシランA及びシランBは、コーティング層の内部に全体的に分布し、腐食因子を防御する役割をする。上記シランA及びシランBは、疎水性及びバリア効果はよいが、多量投入時には溶液安定性が問題となる。そのため、通常は1〜2重量%含まれる。しかしながら、本発明では、最大で33重量%含まれることにより、コーティング層の最上部のみならず中間層でもコーティング層の疎水性を維持し且つバリア効果を維持することができる。

なお、上記腐食因子は、上述したバリアを通過して最終層であるバナジウムホスフェート(V‐PO4)に到達し得る。特に、バナジウムホスフェート層は、下地層である亜鉛層と反応して燐酸塩層を形成することにより、最終的にコーティング層の腐食を防止するバリアの役割をする。但し、ある程度の時間が経過すると、腐食因子の攻撃を受けて亜鉛層に白錆が発生する可能性がある。

上記防錆剤(rust inhibitor)としてのシリカ、チタニウムカーボネート、Zr化合物等は、コーティング層の内部に侵入した腐食因子と反応することにより、より安定した化合物をなすため、更なる侵入を遮断して亜鉛層の白錆を抑制させる。

以下では、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。但し、下記実施例は、本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明の権利範囲を限定するものではない。本発明の権利範囲は、特許請求の範囲に記載の事項及びここから合理的に類推される事項によって決定される。

[実施例1]

メッキ付着量が片面を基準に70g/m2である溶融亜鉛メッキ鋼板に、既存のクロムフリー溶液(韓国特願2005‐0128523号)をバー(bar)コーティング方式で塗布した後、誘導加熱器を用いて上記溶融亜鉛メッキ鋼板をPMT(Peak Metal Temperature)140℃に加熱し、焼付乾燥して従来例1を製造した。この際、従来例1の湿式付着量測定結果は680mg/m2であった。白錆及び赤錆発生に関する従来例1の耐食性を確認するための写真を図2に示した。

本発明によるコーティング溶液を、メッキ付着量が片面を基準に40g/m2である溶融亜鉛メッキ鋼板にバーコーティング方式で塗布した後、誘導加熱器を用いて上記溶融亜鉛メッキ鋼板を140℃に加熱し、焼付乾燥して発明例1を製造した。発明例1の湿式付着量測定結果は680mg/m2であった。白錆及び赤錆発生に関する発明例1の耐食性を確認するための写真を図3に示した。

従来例1及び発明例1の耐食性、メッキ密着性、耐溶剤性及び耐黒変性を測定して下記表1に示した。

耐食性評価においては、コーティング試料に対し、塩水濃度5%、温度35℃、噴霧圧1kg/cm2の条件下で塩水噴霧テストを行い、赤錆が5%発生する時間を測定した。また、耐溶剤性評価においては、MEK(Methyl Ethyl Ketone)試薬を浸したガーゼをコーティング試料に10回擦りつけた後、原板と比較して色差(デルタE)値を測定した。また、耐黒変性評価においては、温度50℃、相対湿度95%の恒温恒湿器内で試料を120時間維持し、その前後の色差(デルタE)値を測定した。

従来例1では、5%の赤錆は300時間で発生した。また、耐溶剤性及び耐黒変性の評価の結果、色差値がそれぞれ1.0及び2.0であった。

これに対し、発明例1では、5%の赤錆は500時間で発生した。また、耐溶剤性及び耐黒変性の評価の結果、色差値がいずれも1.0であった。

したがって、本発明によるコーティング溶液を用いた溶融亜鉛メッキ鋼板は、亜鉛メッキ付着量が片面を基準に40g/m2であって、従来例1の70g/m2より少ないにもかかわらず、赤錆発生までの時間がむしろより長く、優れた耐食性を示した。

[実施例2]

溶融亜鉛メッキ鋼板(亜鉛付着量40g/m2)の表面に、下記表2及び表3に記載の成分系を満たすコーティング溶液をロールコーター方式で塗布し、その付着量を680mg/m2に制御した後、上記溶融亜鉛メッキ鋼板を140℃に加熱し、焼付乾燥してコーティング試験片を製作した。

下記表2及び表3の組成で製造された各コーティング溶液の溶液安定性を評価し、上記コーティング溶液が塗布されたコーティング鋼板の耐食性、耐溶剤性及び耐黒変性を評価した後、その結果を下記表2及び表3に共に示した。

上記溶液安定性評価においては、コーティング溶液の粘度が初期に比べて20%以上上昇するか、又は、肉眼で観察した結果、溶液が沈殿、分解及びジェル化した場合を不良(X)と判断した。

また、上記耐食性評価においては、平板状態で、塩水濃度5%、温度35℃、噴霧圧1kg/cm2の条件下で赤錆が5%発生するのにかかる時間を測定した。また、耐食性評価においては、従来例1と同等以上のレベルである300時間を基準に下記のように評価した。

○:300時間以上

X:300時間未満

また、上記耐溶剤性評価においては、MEK(Methyl Ethyl Ketone)試薬を浸したガーゼをコーティング鋼板に10回擦り付けた後、原板と比較して色差(デルタE)値を測定し、通常のクロムフリーコーティング鋼板の要求水準である2.0を基準に下記のように評価した。

○:2.0以下

X:2.0超

また、上記耐黒変性評価においては、温度50℃、相対湿度95%の恒温恒湿器内でコーティング鋼板を120時間維持し、その前後の色差(デルタE)値を測定した後、通常のクロムフリーコーティング鋼板の要求水準である2.0を基準に下記のように評価した。

○:2.0以下

X:2.0超

(但し、複合樹脂A+Bは、ウレタン‐アクリル複合樹脂及びナノシリケート‐フェノキシ複合樹脂である。)

(但し、複合樹脂A+Bは、ウレタン‐アクリル複合樹脂及びナノシリケート‐フェノキシ複合樹脂である。)

比較例1は、バナジウムホスフェートの含量が本発明の制御範囲より低いため、腐食因子の浸透を防ぐ燐酸亜鉛層が足りず、耐食性が低下した。

比較例2は、バナジウムホスフェートの含量が本発明の制御範囲より高いため、エッチングが過多に発生し、耐黒変性が低下した。

比較例3は、Mg酸化物の含量が本発明の制御範囲より低いため、Mgの水和物の形成による腐食抑制の役割が十分にできず、耐食性が低下した。

比較例4は、Mg酸化物の含量が本発明の制御範囲より高いため、溶液内に必要以上に存在して他の耐食添加剤と反応し、溶液安定性が低下した。

比較例5は、シランAの含量が本発明の制御範囲より低いため、シラン樹脂と無機物間の架橋の役割が十分にできず、耐食性が低下した。

比較例6は、シランAの含量が本発明の制御範囲より高いため、溶液内で安定的に分散されるシランの含量が多くなり、溶液安定性が低下した。

比較例7は、複合樹脂の含量が本発明の制御範囲より低いため、バインダー樹脂の役割が十分にできず、高温及び高湿雰囲気で水分の浸透が容易となり、耐黒変性が低下した。

比較例8は、複合樹脂の含量が本発明の制御範囲より高いため、無機系耐食剤の含量が相対的に減少し、耐食性が低下した。

比較例9は、燐酸亜鉛の含量が本発明の制御範囲より低いため、耐食補助の役割が十分にできず、鋼板の耐食性が低下した。

比較例10は、燐酸亜鉛の含量が本発明の制御範囲より高いため、溶液内で他の耐食剤との最適な混合及び分散がなされず、溶液安定性が低下した。

比較例11は、チタニウムカーボネート(TiCO3)の含量が本発明の制御範囲より低いため、樹脂との架橋の役割が十分にできず、耐食性が低下した。

比較例12は、チタニウムカーボネート(TiCO3)の含量が本発明の制御範囲より高いため、溶液内で他の耐食剤との最適な混合及び分散がなされず、溶液安定性が低下した。

比較例13は、Zr化合物の含量が本発明の制御範囲より低いため、耐食補助の役割が十分にできず、鋼板の耐食性が低下した。

比較例14は、Zr化合物の含量が本発明の制御範囲より高いため、他の耐食剤との最適な混合及び分散がなされず、溶液安定性が低下した。

比較例15は、シリカの含量が本発明の制御範囲より低いため、樹脂層との結合力が減少し、耐食性が低下した。

比較例16は、シリカの含量が本発明の制御範囲より高いため、他の耐食剤との最適な混合及び分散がなされず、溶液安定性が低下した。

比較例17は、シランBの含量が本発明の制御範囲より低いため、有機物及び無機添加剤との結合並びに耐食性増大の役割が弱くなり、鋼板の耐食性が低下した。

比較例18は、シランBの含量が本発明の制御範囲より高いため、溶液安定性が低下し、耐食性が減少した。

これに対し、本発明によるコーティング溶液の組成を満たす発明例2〜20は、溶液安定性、耐食性、耐溶剤性及び耐黒変性全てに優れる。

[実施例3]

溶融亜鉛メッキ鋼板(亜鉛付着量40g/m2)の表面に、上記発明例2のコーティング溶液の組成を基本組成とし、上記複合樹脂A+Bの組成を表4に記載の条件に合わせて変化させたコーティング溶液をロールコーター方式で塗布して、有機無機複合コーティング層を形成させた後、上記溶融亜鉛メッキ鋼板をPMT140℃に加熱し、焼付乾燥してコーティング試験片を製作した。

次に、上記コーティング鋼板の溶液安定性及び耐食性を実施例2と同じ条件及び基準で評価して表4に示した。ここで、複合樹脂Aはウレタン‐アクリル複合樹脂、複合樹脂Bはナノシリケート‐フェノキシ複合樹脂を意味する。

比較例18と比較例24は、複合樹脂Aの含量が12重量%未満と低い場合、無機物と混合されて緻密な構造のコーティング層をなす樹脂の含量が足りず、耐食性が劣化した。但し、上記複合樹脂の投入量が多すぎる場合は、比較例19と比較例25のように投入による物性向上効果が小さく、耐食性が再度減少した。

比較例20と比較例26は、上記複合樹脂の重量平均分子量(Mw)が低いため、無機系耐食剤成分の一部が沈殿した。これに対し、比較例21と比較例27は、重量平均分子量が高すぎるため、架橋密度を確保することができず、耐食性が劣化した。

比較例22は、樹脂コーティング層の硬質度を確保することができず、加工時に樹脂が黒く損傷した。これに対し、比較例23は、溶液安定性及び耐食性が劣化した。

比較例28は、耐食剤であるシリケートの含量が足りず、耐食性が劣化した。これに対し、比較例29は、溶液安定性が劣化した。

これに対し、本発明によるコーティング溶液の組成を満たす発明例21〜33は、溶液安定性、耐食性及び加工における耐黒化性等に優れる。

[実施例4]

溶融亜鉛メッキ鋼板(亜鉛付着量40g/m2)の表面に、上記表2に記載の発明例3のコーティング溶液をロールコーター方式で塗布し、下記表5に記載の付着量で有機無機複合コーティング層を形成させた後、上記溶融亜鉛メッキ鋼板をPMT140℃に加熱し、焼付乾燥してコーティング試験片を製作した。

次に、上記コーティング鋼板の伝導性を評価して表5に示した。上記伝導性評価においては、Loresta GP測定器を用いて測定し、通常のクロムフリーコーティング鋼板の要求水準である0.1mΩを基準に下記のように評価した。耐食性評価においては、実施例2と同じ条件及び基準で評価した。

○:0.1mΩ以下

X:0.1mΩ超

比較例30は、付着量が本発明の制御範囲より少ないため、耐食の役割をするコーティング層が十分な厚さで形成されず、耐食性が低下した。

比較例31は、付着量が本発明の制御範囲より多いため、コーティング層に非伝導性成分が多く形成され、電子の流れを妨害して電気伝導性が低下した。

これに対し、本発明によるコーティング溶液の組成を満たす発明例34〜36は、耐食性と伝導性全てに優れる。

本発明を実施例との関係において示して説明したが、添付の特許請求の範囲に規定される発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく修正及び変形を行い得ることは当業者には明らかであろう。

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