相互進入高分子網目を形成する硬化性組成物

申请号 JP2016521786 申请日 2014-10-28 公开(公告)号 JP2016538363A 公开(公告)日 2016-12-08
申请人 ブルー キューブ アイピー エルエルシー; ブルー キューブ アイピー エルエルシー; 发明人 ソン,シャオメイ; ゴン,ヨンフア; チェン,ホンギュウ; シャオ,チアンフイ; ジェイ. マリンズ,マイケル; ジェイ. マリンズ,マイケル;
摘要 a)30重量%〜85重量%の1,2−ビニル基を含み、10重量%〜50重量%の範囲の量でスチレンが存在するスチレン−ブタジエンビニル樹脂、b)数平均分子量が300〜10000の範囲のビニルポリ(フェニレンエーテル)、c)アニリン変性スチレン−無 水 マレイン酸コポリマー、d)多官能性エポキシ樹脂、及びe)難燃剤、を含有する硬化性組成物であって、硬化条件で硬化後に前記硬化性組成物が少なくとも1つの相互侵入網目構造を形成する、硬化性組成物が提供される。硬化性組成物の製造方法、並びにこれらから作られるプリプレグ及び積層板も開示される。
权利要求

a)30重量%〜85重量%の1,2−ビニル基を含み、10重量%〜50重量%の範囲の量でスチレンが存在するスチレン−ブタジエンビニル樹脂、 b)数平均分子量が300〜10000の範囲のビニルポリ(フェニレンエーテル)、 c)アニリン変性スチレン−無マレイン酸コポリマー、 d)多官能性エポキシ樹脂、及び e)難燃剤、 を含有する硬化性組成物であって、硬化条件で硬化後に前記硬化性組成物が少なくとも1つの相互侵入網目構造を形成する、硬化性組成物。前記スチレン−ブタジエンビニル樹脂が500〜8000の数平均分子量を有する、請求項1に記載の組成物。2,2’−アゾビスイソブチルニトリル、過酸化ベンゾイル、ジクミルペルオキシド、ジスルフィド、及びこれらの混合物からなる群から選択されるフリーラジカル開始剤を更に含有する、請求項1または2に記載の硬化性組成物。2−メチルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、ホウ酸、トリフェニルホスフィン、テトラフェニルホスホニウム−テトラフェニルボレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される触媒を更に含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。前記硬化性組成物の総重量基準で、前記スチレン−ブタジエンビニル樹脂が5〜40重量%の範囲の量で存在し、前記ビニルポリ(フェニレンエーテル)が25〜75重量%の範囲の量で存在し、前記アニリン変性スチレン−無水マレイン酸コポリマーが25〜75重量%の範囲の量で存在し、前記多官能性エポキシ樹脂が25〜75重量%の範囲の量で存在する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。前記難燃剤が、前記スチレン−ブタジエンビニル樹脂とビニルポリ(フェニレンエーテル)の総重量基準で1〜70重量%の範囲の量で存在する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。前記フリーラジカル開始剤が、前記スチレン−ブタジエンビニル樹脂とビニルポリ(フェニレンエーテル)の総重量基準で0.01重量%〜10重量%の範囲の量で存在する、請求項2に記載の硬化性組成物。前記硬化条件が100℃〜230℃の範囲の硬化温度と1分〜200分の範囲の硬化時間とを含む、請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性組成物。a)i)30重量%〜85重量%の1,2−ビニル基を含み、10重量%〜50重量%の範囲の量でスチレンが存在するスチレン−ブタジエンビニル樹脂、 ii)数平均分子量が800〜10000の範囲のビニルポリ(フェニレンエーテル)、 iii)アニリン変性スチレン−無水マレイン酸コポリマー、 iv)多官能性エポキシ樹脂、及び v)難燃剤、 を混合して硬化性組成物を形成することと、 b)硬化条件で前記硬化性組成物を硬化させて相互侵入高分子網目を有する硬化製品を形成することと、を含む方法。工程a)で2,2’−アゾビスイソブチルニトリル、過酸化ベンゾイル、ジクミルペルオキシド、ジスルフィド、及びこれらの混合物からなる群から選択されるフリーラジカル開始剤を混合することを更に含む、請求項9に記載の方法。前記硬化性組成物の総重量基準で、前記スチレン−ブタジエンビニル樹脂が5〜40重量%の範囲の量で前記硬化性組成物中に存在し、前記ビニルポリ(フェニレンエーテル)が25〜75重量%の範囲の量で存在し、前記アニリン変性SMAが25〜75重量%の範囲の量で存在し、前記多官能性エポキシ樹脂が25〜75重量%の範囲の量で存在する、請求項9または10に記載の方法。前記難燃剤が、前記スチレン−ブタジエンビニル樹脂とビニルポリ(フェニレンエーテル)の総重量基準で1〜70重量%の範囲の量で前記硬化性組成物中に存在する、請求項9〜11のいずれか1項に記載の方法。前記フリーラジカル開始剤が、前記スチレン−ブタジエンビニル樹脂とビニルポリ(フェニレンエーテル)の総重量基準で0.01重量%〜10重量%の範囲の量で前記硬化性組成物中に存在する、請求項10に記載の方法。前記硬化条件が130℃〜160℃の硬化温度と2分〜6分の硬化時間とを含む、請求項9〜13のいずれか1項に記載の方法。請求項1に記載の硬化性組成物から製造されるプリプレグ。請求項1に記載の硬化性組成物から製造される電気積層板。請求項1に記載の硬化性組成物から製造されるプリント回路基板

说明书全文

本開示の実施形態は硬化性組成物に関し、特には硬化後に相互進入高分子網目を形成するポリマーを含む硬化性組成物に関する。

硬化性組成物は、架橋可能な熱硬化性モノマーを含む組成物である。硬化性組成物は、架橋(硬化ともよばれる)によって、例えば複合材、電気積層板、及びコーティングなどの様々な分野で有用な架橋ポリマー(すなわち硬化製品)へと変換される。具体的な用途のために考慮され得る硬化性組成物及び架橋ポリマーのいくつかの特性としては、数ある物理的特性の中でも、機械特性、熱的特性、電気的特性、光学特性、加工特性が挙げられる。

硬化性組成物は、硬化して相互進入高分子網目(IPN)を形成することができる。IPNは網目を形成する2種以上のポリマーの組み合わせであり、少なくとも1種のポリマーが他のポリマーの存在下で重合及び/または架橋される。デュアル硬化できる系はIPNの形成に有用である。

ガラス転移温度、比誘電率、及び散逸係数は、電気積層板で使用される硬化性組成物に非常に関係があるとみなされる特性の例である。例えば、電気積層板が十分に高いガラス転移温度を有することは、電気積層板を高温環境で効率的に使用できるようにするために非常に重要な場合がある。同様に、電気積層板の比誘電率(Dk)及び散逸係数(Df)を下げることは、通電領域を他の領域と分離するのに役立つ場合がある。

スチレン−ブタジエンコポリマー(SBC)は、その極めて優れた誘電性能のため、低Dkかつ低Dfの積層板を製造するために使用することができる。SBCを用いて作られた完全に硬化した材料は、比較的良好な耐熱性を示す。しかし、SBCを主成分とするプリプレグは、通常、粘性及び可燃性の問題を有している。更に、硬化した材料は150℃よりも低いガラス転移温度(Tg)を有している。低Dkかつ低Dfの積層板を製造するために、ビニルキャップしたポリ(フェニレンエーテル)(PPO)も開発されている。硬化したPPOは、高いTgと良好な難燃性を有する。しかしながら、そのDk値及びDf値はブタジエンを主成分とする系ほど良好ではない。

そのため、ガラス転移温度及び難燃性などの他の本質的な特性を犠牲にすることなく低いDk値及びDf値を有する電気積層板が望まれている。

本発明の1つの広い態様は、a)30重量%〜85重量%の1,2−ビニル基を含み、10重量%〜50重量%の範囲の量でスチレンが存在するスチレン−ブタジエンビニル樹脂、b)数平均分子量が300〜10000の範囲のビニルポリ(フェニレンエーテル)、c)アニリン変性スチレン−無マレイン酸コポリマー、d)多官能性エポキシ樹脂、及びe)難燃剤、を含有する、またはこれらからなる、またはこれらから本質的になる、硬化性組成物であって、硬化条件で硬化後に硬化性組成物が少なくとも1つの相互侵入網目構造を形成する硬化性組成物、を開示する。

スチレン−ブタジエンコポリマー系ビニル樹脂 本発明の硬化性組成物は、ブタジエンとスチレンとのコポリマーを主成分とするビニル樹脂を含有する。ある実施形態では、スチレン−ブタジエンコポリマー(SBC)系ビニル樹脂は1〜99重量%の1,2−ビニル基を含み、別の実施形態では30重量%〜85重量%の1,2−ビニル基を含み、また更に別の実施形態では50〜70重量%の1,2−ビニル基を含む。SBC系ビニル樹脂は、様々な実施形態ではSBC系ビニル樹脂の総重量基準で1〜99重量%の範囲のスチレン含量も有し、他の実施形態では10〜50重量%、また更に別の実施形態では15〜30重量%の含量を有する。

このようなスチレン−ブタジエンコポリマー系ビニル樹脂の市販の例としては、Ricon(登録商標) 100樹脂、Ricon(登録商標) 181樹脂、及びRicon(登録商標) 184樹脂(全てCray Valleyより)が挙げられるが、これらに限定されない。

SBC系ビニル樹脂は、硬化性組成物の総重量基準で通常1重量%〜50重量%の範囲の量で硬化性組成物中に存在する。他の実施形態では、SBC系ビニル樹脂は、5重量%〜40重量%の範囲の量で存在し、また更に別の実施形態では15重量%〜35重量%の範囲の量で存在する。

様々な実施形態では、SBC系ビニル樹脂は500〜8000の範囲の数平均分子量を有していてもよい。

ビニルPPO 様々な実施形態では、硬化性組成物はビニルポリ(フェニレンエーテル)(PPO)化合物を更に含有していてもよい。

ビニルPPO化合物は、通常、300〜25000の範囲の数平均分子量を有する。他の実施形態では、ビニルPPO化合物は800〜10000の範囲の数平均分子量を有し、また更に別の実施形態では、1500〜4000の範囲の数平均分子量を有する。

ビニルPPO化合物は、硬化性組成物の総重量基準で通常1重量%〜99重量%の範囲の量で硬化性組成物中に存在する。別の実施形態では、ビニルPPO化合物は、25重量%〜75重量%の範囲の量で存在し、また更に別の実施形態では30重量%〜60重量%の範囲の量で存在する。

そのようなPPO樹脂の市販の例としては、SABICのNoryl(登録商標)SA9000樹脂及び三菱ガス化学株式会社のOPE−2Stが挙げられるが、これらに限定されない。

SBC系ビニル樹脂対ビニルPPO化合物の重量比は、通常1:5である。別の実施形態では、SBC系ビニル樹脂対ビニルPPOの重量比は1:4であり、また更に別の実施形態では1:2である。

SBC系ビニル樹脂とビニルPPO化合物は、硬化性組成物の総重量基準で通常1重量%〜99重量%の範囲の量で硬化性組成物中に存在する。別の実施形態では、SBC系ビニル樹脂とビニルPPO化合物は35重量%〜55重量%の範囲の量で存在し、また更に別の実施形態では45重量%〜55重量%の範囲の量で存在する。

変性SMA 硬化性組成物は、芳香族アミン化合物で変性されたスチレン−無水マレイン酸(SMA)コポリマーも含有していてもよい。特段の記載のない限り、スチレン成分には、化学式C6H5CH=CH2の化合物スチレン及びこの化合物由来の化合物(例えばスチレン誘導体)を含めることができる。無水マレイン酸は、cis−ブテンジオン酸無水物、トキシル酸無水物、またはジヒドロ−2,5−ジオキソフランとも呼ばれる場合があり、C2H2(CO)2Oの化学式を有する。

そのようなスチレン−無水マレイン酸コポリマーの市販の例としては、SMA(登録商標) 1000、SMA(登録商標) 2000、SMA(登録商標) 3000、SMA(登録商標) EF−30、 SMA(登録商標) EF−40、SMA(登録商標) EF−60、及びSMA(登録商標) EF−80(全てCray Valleyより入手可能)が挙げられるが、これらに限定されない。

スチレンと無水マレイン酸のコポリマーは、芳香族アミン化合物で変性される。様々な実施形態では、この化合物はアニリンである。芳香族アミン化合物(例えばアニリン)は、スチレンと無水マレイン酸のコポリマーの中のマレイン酸無水物基部分と反応させるために使用することができる。これによって、ポリマー中にマレイミドを存在させることができる。ある実施形態では、マレイミドはN−フェニルマレイミドである。

変性ポリマーは、例えばスチレンと無水マレイン酸のコポリマーをアミン化合物と反応させるなどの、化学反応によりモノマーをコポリマーと結合させることによって得ることができる。また、このポリマーは化学反応(例えばスチレン化合物と、無水マレイン酸と、マレイン酸化合物との反応)により2種以上のモノマーを結合させることによって得ることができる。ある実施形態では、スチレンと無水マレイン酸を変性するための方法にはイミド化が含まれる。別の実施形態では、スチレンと無水マレイン酸はアミド酸に変性されてもよい。反応したモノマー及び/またはコポリマーはポリマーの構造単位を形成する。

変性SMAコポリマーは、硬化性組成物の総重量基準で通常1重量%〜99重量%の範囲の量で硬化性組成物中に存在する。別の実施形態では、変性SMAコポリマーは、25重量%〜75重量%の範囲の量で存在し、また更に別の実施形態では30重量%〜60重量%の範囲の量で存在する。

多官能性エポキシ樹脂 硬化性組成物は多官能性エポキシ樹脂も含有する。

多官能性エポキシ樹脂の例としては、ナフトール−ノバラック型エポキシ樹脂などのフェノール若しくはナフトールとアルデヒドとの縮合生成物をグリシジル化することによって得られるエポキシ樹脂、またはナフトールとフェノールとホルムアルデヒドとの共縮合生成物をグリシジル化することによって得られるエポキシ樹脂、またはビスフェノールAもしくはF−ノバラック型エポキシ樹脂、及びこれらの任意の2種以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。様々な実施形態では、D.E.R.(登録商標)560を使用することができる。

多官能性エポキシ樹脂は、硬化性組成物の総重量基準で通常1〜99重量%の範囲の量で硬化性組成物中に存在する。別の実施形態では、多官能性エポキシ樹脂は、25重量%〜75重量%の範囲の量で存在し、また更に別の実施形態では30重量%〜60重量%の範囲の量で存在する。

難燃剤 硬化性組成物は難燃剤化合物も含有していてもよい。

適切な難燃剤の例としては、臭素化樹脂若しくは非臭素化樹脂、デカブロモジフェニルエタンやN,N−エチレン−ビス(テトラブロモフタル−イミド)やトリ(トリブロモフェニル)シアヌレートなどの非反応性臭素化添加剤、テトラブロモビスフェノールAビス(アリルエーテル)やジブロモスチレンなどの反応性臭素化添加剤、非臭素化添加剤、ビスフェノールAビス(ジフェニルホスフェート)(ChemturaのReofos BAPP及びAlbemaarleのNcendX P−30)やテトラフェニルレゾルシノールビス(ジフェニルホスフェート)(ChemturaのReofos RDP)などのリン系難燃剤、及びこれらの任意の2種以上の混合物が挙げられるが、これらに限定されない。

様々な実施形態ではジブロモスチレン(DBS)またはテトラブロモビスフェノールA(TBBA)などの、ビニル系またはエポキシ系と反応可能な官能基を有する難燃剤を使用することができる。様々な実施形態では、1,2−ビス(2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニル)エタンなどのワニスに均一に分散可能な非反応性難燃剤を使用することもできる。

難燃剤化合物は、SBCビニル樹脂とビニルPPO樹脂の総重量基準で通常1重量%〜99重量%の範囲の量で硬化性組成物中に存在する。別の実施形態では、難燃剤化合物は、1重量%〜70重量%の範囲の量で存在し、また更に別の実施形態では5重量%〜60重量%の範囲の量で存在する。

任意的な成分 様々な実施形態では、硬化性組成物はフリーラジカル硬化用の開始剤も含有していてもよい。そのようなフリーラジカル開始剤の例としては、ジアルキルジアゼン(AIBN)、過酸化ベンゾイル(BPO)などのジアロイルペルオキシド、ジクミルペルオキシド(DCP)、tert−ブチルヒドロペルオキシド(tBHP)、クメンヒドロペルオキシド(CHP)、ジスルフィド、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。本発明で使用することができるフリーラジカル開始剤の市販の例としては、Arkema CompanyのLuperox(登録商標)−F40P及びLuperox(登録商標)−101が挙げられるが、これらに限定されない。

フリーラジカル開始剤は、SBCビニル樹脂とビニルPPO樹脂の総重量基準で通常0.01重量%〜10重量%の範囲の量で硬化性組成物中に存在させることができる。別の実施形態では、フリーラジカル開始剤は、0.1重量%〜8重量%の範囲の量で存在し、また更に別の実施形態では2重量%〜5重量%の範囲の量で存在する。

様々な実施形態では、硬化性組成物は触媒を含有していてもよい。触媒の例としては2−メチルイミダゾール(2MI)、2−フェニルイミダゾール(2PI)、2−エチル−4−メチルイミダゾール(2E4MI)、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール(1B2PZ)、ホウ酸、トリフェニルホスフィン(TPP)、テトラフェニルホスホニウム−テトラフェニルボレート(TPP−k)、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。様々な実施形態に関しては、触媒(10重量%溶液)は変性SMA樹脂と多官能性エポキシ樹脂の固体成分総重量基準で0.01重量%〜2.0重量%の量で使用することができる。

1つ以上の実施形態では、硬化性組成物はフィラーも含有していてもよい。フィラーの例としては、シリカ、タルク、アルミニウム三水和物(ATH)、水酸化マグネシウム、カーボンブラック、及びこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。

フィラーは、硬化性組成物の総重量基準で通常1重量%〜80重量%の範囲の量で硬化性組成物中に存在してもよい。別の実施形態では、フィラーは、1重量%〜50重量%の範囲の量で存在し、また更に別の実施形態では1重量%〜30重量%の範囲の量で存在する。

1つ以上の実施形態では、硬化性組成物は溶媒を含んでいてもよい。使用することができる溶媒の例としては、メチルエチルケトン(MEK)、トルエン、キシレン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド(DMF)、エチルアルコール(EtOH)、プロピレングリコールメチルエーテル(PM)、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート(DOWANOL(商標) PMA)及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。

溶媒は、硬化性組成物の総重量基準で通常1重量%〜60重量%の範囲の量で硬化性組成物中に存在する。別の実施形態では、溶媒は、1重量%〜50重量%の範囲の量で存在し、また更に別の実施形態では30重量%〜40重量%の範囲の量で存在する。

組成物の製造方法 硬化性組成物は、当業者に公知のいずれの適切な方法によっても製造することができる。成分はいずれの組み合わせまたは部分的組み合わせで混合してもよい。ある実施形態では、SBC−変性ビニル樹脂とビニルPPOの溶液が混ぜ合わせられ、エポキシ樹脂と変性SMAが混ぜ合わせられる。この2つの混合物が、その後に混ぜ合わせられる。難燃剤と開始剤と触媒は、例えばフィラーなどの上述の任意の他の必要とされる成分と共にその後に添加されてもよい。

1つ以上の実施形態に関しては、硬化性組成物は171℃で70秒〜250秒のゲル化時間(全ての個々の値及び/またはこの中の部分範囲を含む)を有していてもよい。別の実施形態では、硬化組成物は150℃で200秒〜250秒のゲル化時間(全ての個々の値及び/またはこの中の部分範囲を含む)を有していてもよい。ゲル化時間は、硬化性組成物の反応性(例えば特定の温度での)を示すことができ、ゲル化点までの秒数として表現することができる。ゲル化点とは、それぞれの網目の単位が本質的にお互いの網目の単位に連結されるように構造が十分に枝分かれする、高分子網目形成の始まりの時点のことをいう。硬化性組成物がゲル化点に到達すると、残存溶媒は実質的に枝分かれ構造の中に取り込まれる。取り込まれた溶媒が沸点に到達すると、構造(例えばプリプレグ)中で気泡が発生して望ましくない製品になる場合がある。

本明細書で述べたように、1つ以上の実施形態に関しては、硬化性組成物は171℃で70秒〜250秒、または150℃で200秒〜260秒のゲル化時間を有する。いくつかの実例では、本明細書で述べたような触媒及び/または添加剤を添加することによって、171℃で250秒よりも長いゲル化時間を有する硬化性組成物を、171℃で70秒〜250秒、または150℃で200秒〜260秒の範囲のゲル化時間へと調整するために修正することができる。いくつかの用途に関しては、171℃で200秒未満のゲル化時間を有する硬化性組成物は反応性が高すぎると見なされる場合がある。

組成物の硬化方法 組成物はデュアル硬化系によって硬化してIPNを形成する。 様々な実施形態では、硬化組成物中に2つの異なる反応系が存在する。1つは開始剤の存在下での、SBCビニル樹脂内もしくはビニルPPO内のフリーラジカル重合反応、または、SBCビニル樹脂とビニルPPOとの間フリーラジカル重合反応である。もう1つは、エポキシド基と無水物基との間の縮合反応である。ある実施形態では、これはSMA40と多官能性エポキシ樹脂の中で生じる。これらの2つの系は別々に架橋網目構造を形成することができ、これらの2組の網目は相互侵入してIPNを形成することができる。

本発明の様々な実施形態では、プリプレグは上述の組成物を溶媒と混合してワニスを形成することにより製造することができる。その後、ワニスを基材に含ませて乾燥させることによりプリプレグを作製することができる。

ワニスは適切ないずれの方法によっても基材に含ませることができる。例としては、ローリング、浸漬、噴霧、刷毛塗り、及び/またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。基材は、典型的には、例えばガラス繊維または紙を含む、繊維織物マットまたは不織繊維マットである。

被覆された基材は、被覆基材を容易に取り扱うことができるように、配合物から溶媒を取り除くのに十分な温度で、及び任意選択的には配合物を部分的に硬化させるのに十分な温度で、加熱することによって「Bステージ化」される。「Bステージ化」工程は、通常は90〜210℃の温度で、1分間〜15分間行われる。ある実施形態では、被覆基材は130℃〜160℃の範囲の温度で乾燥され、また2〜6分の範囲の時間乾燥される。この範囲内では、より長い乾燥時間に対応する比較的低い乾燥温度が好ましく、例えばある実施形態では乾燥は130℃で6分間行うことができ、また別の実施形態では160℃で2分間行うことができる。

Bステージ化によって得られる基材は「プリプレグ」と呼ばれる。電気積層板が必要とされる場合には、1枚以上のプリプレグのシートが1枚以上の銅箔などの導電性材料のシートと交互に積層またはレイアップされる。

レイアップされたシートは、樹脂を硬化し積層板を形成するのに十分な時間、高温高圧でプレスされる。この積層(硬化)工程の温度は、通常は100℃〜230℃であり、また別の実施形態では165℃〜190℃である。積層工程は、100℃〜150℃の一段階目と165℃〜190℃の二段階目などの、2つの以上の段階で行ってもよい。圧は、通常は50N/cm2〜500N/cm2である。積層工程は、通常1分〜200分の時間で行われ、別の実施形態では45分〜90分の時間で行われる。積層工程は、任意選択的にはより高温でより短い時間(連続積層工程など)行ってもよいし、より低温でより長い時間(低エネルギープレス工程など)行ってもよい。

任意選択的には、得られた積層体(例えば銅張積層板)は、高温、周囲圧力で一定時間加熱することによる後処理を行ってもよい。後処理の温度は通常は120℃〜250℃である。後処理時間は通常は30分〜12時間である。

様々な実施形態では、本明細書で述べた本開示の硬化性組成物から製造される硬化製品は、少なくとも180℃のガラス転移温度を有することができる。

様々な実施形態に関しては、本明細書で述べた本開示の硬化性組成物から製造される硬化製品は、1GHzで3.15未満の比誘電率を有することができる。

様々な実施形態に関しては、本明細書で述べた本開示の硬化性組成物から製造される硬化製品は、1GHzで0.005以下の散逸係数を有することができ、例えば1GHzでの散逸係数は0.003〜0.005とすることができる。

プリプレグはプリント回路基板用の電気積層板を製造するために使用することができる。

成分 Cray ValleyのRicon(登録商標) 100樹脂(SBC、約70%の1,2ビニルと17〜27%のスチレンを含むスチレンブタジエンランダムコポリマー)

SABICのSA9000(ビニルPPO、ビニルキャップされたポリフェニレンエーテルオリゴマー(Mnは約1600))

Sinopharm Chemcial Reagent Co.LtdのDCP(ジクミルペルオキシド)

難燃剤:Unibrumの1,2−ビス(2,3,4,5,6−ペンタブロモフェニル)エタン

実施例 アニリン/SMA 40合成手順

100グラムの量のSMA40を90グラムのキシレンに溶解し(固体含量55%)、80℃に加熱した。次いで、9.4グラムの量のアニリンをSMA/キシレン溶液の中へ滴下した。温度は80℃で1時間維持した。その後、10重量%のNaOH水溶液を触媒として添加した。Na+含量は最終製品中で400ppmに維持される。その後、混合物を146℃に加熱し、4〜5時間後、混合物を室温まで冷却した。

ワニスの製造 樹脂中のスチレン−ブタジエンコポリマー(SBC)(Ricon(登録商標) 100)とビニルポリ(フェニレンエーテル)(PPO)(SA9000)との間で、フリーラジカル硬化反応を生じさせた。Ricon(登録商標) 100をMEKに溶解させて50%のSBC/MEK溶液を得た。次いで、SA9000をMEKに溶解させて50%のPPO/MEK溶液を得た。SBC溶液とPPO溶液を混ぜ合わせ、引き続いて難燃剤と混合した。フリーラジカル開始剤を添加することで、均一なワニスを得た。DER(登録商標)560と上で調製したアニリン/SMA 40混合物を秤量し、MEKに溶解させて50%のワニス溶液を得た。その後、上述の溶液を混ぜ合わせて均一なワニスを得た。樹脂配合物を1080ガラス繊維織物の上に刷毛塗りし、溶媒を真空オーブン中、171℃で3分取り除いた。試料を8層でプレスし、220℃で3時間硬化し、キャストした試料の特性を試験した。

対照例A〜C及び実施例1〜5は、表1に列挙した処方に従って製造され、また表1に列挙した条件で硬化した。熱的特性及び電気的特性が測定され、表1に示されている。 表1 配合物を用いたSBC/PPO/Ani−SMA40積層体の処方、電気的特性、熱的性能

SBCなしでは、DER560とAni−SMA40の配合物にPPOを添加してもDfは効果的に改善しない(対照例A及びB)ことが理解できる。PPOなしでは、SBC配合物は、DER560及びAni−SMA40とブレンドする場合、極性の違いにより相分離の問題が生じた(対照例C)。異なる比率(実施例1〜5)でDER560とAni−SMA40にブレンドされたPPO及びSBCは、特には組成物中のSBCとPPOの重量パーセントを増やした場合に(実施例1)、Tgの低下を最小にしつつも積層体のDfを効果的に向上させることができる。

試験方法 基板プレス手順 プレス温度を150℃まで上げた。150℃で24000ポンドの力をかけた。これを気泡が抜けるまで複数回繰り返した。その後、温度を220℃まで上げてその温度で2時間保持した後、基板を室温まで冷却した。

ガラス転移温度(Tg) ガラス転移温度は、RSA III動的機械熱分析計(DMTA)を用いて測定した。試料を3℃/分の加熱速度で−50℃から250℃まで加熱した。試験周波数は6.28rad/秒であった。硬化エポキシ樹脂のTgはタンジェントデルタピークから得た。

比誘電率(Dk)/散逸係数(Df) 比誘電率及び散逸係数は、1GHz、室温でAgilent E4991A RFインピーダンス/マテリアルアナライザーを使用するASTM D−150試験法に基づいて測定した。試料の厚さは0.3〜3.0ミリメートルであった。5層の積層体を得るために、Df値は0.005以下に制御する必要があった。

ゲル化時間試験 ゲル化点は、樹脂が粘稠液からエラストマーへと変化する時点である。ゲル化時間は、150℃または171℃に維持したホットプレート上に置いた約0.7mLの液体を用いて測定及び記録した。この際、ゲル化するまでホットプレート上で60秒後に液体を前後になでた。表1に両方の温度での結果が示されている。

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